JP6076706B2 - 医療器具の洗浄評価用抽出液、及びこれを用いた医療器具の洗浄評価方法 - Google Patents

医療器具の洗浄評価用抽出液、及びこれを用いた医療器具の洗浄評価方法 Download PDF

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Description

本発明は医療器具の洗浄評価用抽出液、及びこれを用いた医療器具の洗浄評価方法に関するものである。
医療機関の外来診療、手術部、検査部、病棟等で使用された医療器具には、血液、体液、組織片等の蛋白質を主成分とする蛋白質汚れが付着しており、一般的に、これらの汚染された医療器具は、殺菌消毒工程、洗浄工程、滅菌工程等を経て再使用される。従って、医療器具の円滑な作動性維持や医療器具による感染防止等のために、医療器具の蛋白質汚れを取り除くための洗浄が重要であり、不可欠である。
医療機関で使用されて蛋白質汚れが付着した医療器具の洗浄方法には、各医療機関の所有する洗浄設備に基づき、浸漬洗浄や、超音波洗浄機、ウォッシャーディスインフェクター等による機械洗浄が行われている。また、内視鏡スコープのような医療器具の構造に応じた内視鏡専用洗浄機等も使用されている。
しかし、上記のような洗浄を行っても、医療器具に蛋白質汚れが残存している場合があるので、医療器具の清浄度を確認する必要がある。
従来から、医療器具の清浄度の確認方法としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性溶液に医療器具を浸漬して蛋白質を抽出し、得られた抽出液と蛋白質染色剤(例えば、クーマシーブリリアントブルーG−250等)とを接触させる方法が開示されている(特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に開示された方法は、ステンレス製の医療器具に対しては適用することができるが、該医療器具の中に、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の部材が含まれていると、当該部材がアルカリ性溶液と接触することで、表面が黒色化して腐食し、結果として医療器具の劣化を招いている。
特開2006−145271号公報
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の部材が医療器具の中に含まれていても、医療器具が黒色化して腐食し、結果として劣化することなく好適に用いられる洗浄評価用抽出液、及びこれを用いた医療器具の洗浄評価方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、従来用いられてきたアルカリ性溶液に代えて、それぞれ特定濃度範囲のメタケイ酸ナトリウム及びケイ酸カリウムを含有する水溶液からなる抽出液を用いることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
〔1〕 0.10〜0.50重量%のメタケイ酸ナトリウム、及び0.12〜1.2重量%のケイ酸カリウムを含有する水溶液からなることを特徴とする、医療器具の洗浄評価用抽出液、
〔2〕 ケイ酸カリウムが、メタケイ酸カリウム、1号ケイ酸カリウム(JIS規格)、
及び2号ケイ酸カリウム(JIS規格)から選ばれる1種以上である、前記〔1〕記載の抽出液、
〔3〕 0.10〜0.50重量%のメタケイ酸ナトリウム、及び0.12〜1.2重量%のケイ酸カリウムを含有する水溶液からなる抽出液と医療器具とを接触させて、該医療器具に残存する蛋白質を抽出する蛋白質抽出工程、及び
前記蛋白質抽出工程後の抽出液と、蛋白質染色剤とを接触させる染色工程、
を有する、医療器具の洗浄評価方法、
〔4〕 ケイ酸カリウムが、メタケイ酸カリウム、1号ケイ酸カリウム(JIS規格)、
及び2号ケイ酸カリウム(JIS規格)から選ばれる1種以上である、前記〔3〕記載の洗浄評価方法、
に関する。
本発明によれば、医療器具の中にアルミニウム製またはアルミニウム合金製の部材が含まれていても、該医療器具表面が黒色化して腐食し、結果として劣化することなく、さらに医療器具表面に残存した蛋白質の抽出性にも優れる、医療器具の洗浄評価に適した抽出液が提供されるとともに、上記効果を有する医療器具の洗浄評価方法が提供される。
蛋白質染色剤としてクーマシーブリリアントブルーG−250を用いた場合における、蛋白質濃度−吸光度の検量線である。 各温度における抽出時間と蛋白質量の関係を示すグラフである。
本発明に係る医療器具の洗浄評価方法は、少なくとも、医療器具に付着した蛋白質の有無を判別し、望ましくは、該蛋白質の付着量を定量するものであり、メタケイ酸ナトリウム及びケイ酸カリウムを含有する抽出液と医療器具とを接触させて、該医療器具に残存する蛋白質を抽出する蛋白質抽出工程、及び上記蛋白質抽出工程後の抽出液と、蛋白質染色剤とを接触させる染色工程、を有するものである。
本発明において洗浄評価の対象とされる医療器具は、医療機関で使用された医療器具であって、通常は洗浄後のものである。また、比較として洗浄前の医療器具を評価対象に含めてもよい。医療器具としては、手術、検査、治療等に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、鑷子、鉗子、剪刀、吸引管、内視鏡、カテーテル、注射針等が挙げられる。なお、本発明において「医療器具」とは、手術、検査、治療等で使用されたものだけでなく、蛋白質が付着している可能性があるものも含まれる。医療器具の材質についても特に限定されず、例えば、ステンレス製、チタン製、アルミニウム製、アルミニウム合金製、高炭素鋼製、銅製、銅合金製、ニッケルメッキ製等が挙げられる。上記医療器具の材質のうち、アルミニウム合金としては、例えば、Al-Cu系合金(A2011、A2017、A2024等)、Al-Mg系合金(A5052、A5056等)、Al-Mg-Si系合金(A6061、A6063等)、Al-Zn-Mg系合金(A7075等)等が挙げられる。
本発明に係る医療器具の洗浄評価方法を用いた場合、医療器具の材質が上記のうちいずれであっても、医療器具表面が黒色化し、腐食し、結果として医療器具の劣化を招くおそれはない(以下では、上記の効果を単に「医療器具に対する劣化抑制性」という場合がある)。本発明の方法では、上記材質の医療器具のうち、アルミニウム製またはアルミニウム合金製(以下、まとめて「アルミニウム(合金)製」という)の部材を含む医療器具に適用した場合にも、該医療器具のうち、アルミニウム(合金)製の部材表面が黒色化し、腐食し、結果として当該医療器具の劣化を招くおそれがないので、アルミニウム(合金)製の部材を含む医療器具に対して好適に用いられる。したがって、本発明では、アルミニウム(合金)製の部材を含む医療器具のみを洗浄評価の対象としてもよいし、アルミニウム(合金)製の部材を含む医療器具と、その他の材質から構成される医療器具とを混在させたものを洗浄評価の対象としてもよい。さらに本発明では、アルミニウム(合金)製の部材のみから構成される医療器具のみを洗浄評価の対象としてもよいし、アルミニウム(合金)製のみから構成される医療器具と、その他の材質から構成される医療器具とを混在させたものを洗浄評価の対象としてもよい。
上記抽出液としては、メタケイ酸ナトリウムとケイ酸カリウムを必須成分とし、これらを溶媒に溶かした水溶液が挙げられる。ケイ酸カリウムとしては、例えば、メタケイ酸カリウム、1号ケイ酸カリウム(JIS規格)、2号ケイ酸ナトリウム(JIS規格)等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
メタケイ酸ナトリウムの含有量は、医療器具に対する劣化抑制性及び蛋白質抽出性の点で、0.10〜0.50重量%が好ましく、0.10〜0.40重量%がさらに好ましく、0.10〜0.35重量%が特に好ましい。ケイ酸カリウムの含有量は0.12〜1.2重量%が好ましく、0.12〜0.35重量%がさらに好ましく、0.12〜0.30重量%が特に好ましい。
上記抽出液の溶媒としては、例えば、水道水、蒸留水、イオン交換水、RO水等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明者達は、上記必須成分と類似する構造を持つ化合物を用いた抽出液について、医療器具に対する劣化抑制性と蛋白質抽出性を調べたところ、いずれについても優れた効果を示さなかった。具体的には、メタケイ酸ナトリウムに代えてオルトケイ酸ナトリウムを用い、ケイ酸カリウムに代えてケイ酸ナトリウムを用い、これらを抽出液の必須成分としたところ、該抽出液では上記の効果が得られない。
上記抽出液の成分としては上記の必須成分のみを含有させてもよいが、必要に応じて任意成分を含有させてもよい。このような任意成分としては、例えば、非イオン界面活性剤等が挙げられる。
上記蛋白質抽出工程において、「抽出液と医療器具とを接触させる」とは、医療器具の全体または少なくとも一部に抽出液を接触させることをいう。抽出液と医療器具とを接触させる方法は特に限定されず、例えば、抽出液中に医療器具を浸漬すること、所定量の抽出液が入っている、耐アルカリ性の材質からなる容器や袋等の中に医療器具を入れ、該容器や袋等を振盪、振動すること、医療器具の表面に抽出液を噴霧、滴下等すること等が挙げられる。上記方法は単独で行ってもよく、2種以上を組み合わせてもよい。また、蛋白質抽出工程において、医療器具の全体に抽出液を接触させるようにすると、医療器具に付着した蛋白質の定量が容易になり、検出精度が向上するので、より好ましい。
抽出液の使用量としては、洗浄評価の対象となる医療器具の大きさ、表面積、使用状況等に応じて調節すればよく、特に限定されるものではない。
抽出温度としては、好ましくは20〜90℃であり、より好ましくは30〜80℃であり、特に好ましくは40〜60℃である。また、抽出時間としては、好ましくは5分以上であり、より好ましくは20〜90分である。
蛋白質抽出工程は、使用後の医療器具について洗浄を終えた段階で行ってもよいし、滅菌が済んだ段階で行ってもよい。なお、医療器具の洗浄時に用いる洗浄剤や、洗浄前に用いる殺菌消毒剤等の干渉物質が医療器具に残存している場合であっても、医療器具に付着した蛋白質の有無または付着量の検出の際に影響はない。
本発明では、上述した蛋白質抽出工程を行った後に、蛋白質抽出工程後の抽出液と、蛋白質染色剤とを接触させる染色工程を経て、医療器具の洗浄評価が行われる。
上記染色工程で用いられる蛋白質染色剤としては、蛋白質と化学量論的に結合して発色するものであれば特に限定されず、例えば、クーマシーブリリアントブルーR−250、クーマシーブリリアントブルーG−250、アミドブラック10B、アシッドオレンジ12、バッファローブラック、オレンジG、ブロモフェノールブルー等の酸性色素;サフラニン等の塩基性色素;ビシコニン酸等のキレート色素;エオシンY等の蛍光色素等が挙げられる。これらの中でも、検出精度をより良好にする観点から、蛋白質との結合性に特に優れるクーマシーブリリアントブルーG−250が好ましく用いられる。このクーマシーブリリアントブルーG−250は、蛋白質と結合すると赤色(465nm)から青色(595nm)に変化するものであるが、蛋白質との結合は約2分間で平衡になり、その結合は室温で約1時間は安定な分散状態を維持するので、後述する吸光度測定を迅速、かつ、正確に行うことができるという利点も備えている。
また、上記染色工程において、蛋白質染色剤は、水、アルコール等の溶媒に溶解させた状態で使用するのが好ましい。この蛋白質染色剤溶液は、蛋白質染色剤として酸性色素を用いる場合は、酢酸、燐酸、硫酸等の酸成分を添加して、pH0.5〜4とすることが好ましく、蛋白質染色剤溶液として塩基性色素を用いる場合は、酢酸等の弱酸成分等を添加して、pH3〜8とすることが好ましい。なお、蛋白質染色剤溶液は、市販品を用いてもよく、例えば、上記クーマシーブリリアントブルーG−250の溶液である、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、Coomasie protein assay reagent kit(商品名)等が挙げられる。
上記蛋白質染色剤の使用量としては、洗浄評価の対象となる医療器具の大きさ、表面積、使用状況、さらには、洗浄評価の対象となる蛋白質の種類、量等に応じて調節すればよく、特に限定されるものではない。
ここで、「蛋白質抽出工程後の抽出液と蛋白質染色剤とを接触させる」態様としては、具体的には、上述した抽出工程により、医療器具表面から抽出された抽出液の一部又は全部と、所定量の蛋白質染色剤とを添加、混合させる態様等が挙げられるが、所定量の上記抽出液と蛋白質染色剤とを接触させ得る操作であれば特に限定されるものではない。
こうして、蛋白質抽出工程後の抽出液と蛋白質染色剤とを接触させた接触液が、着色しているか否かを調べることにより、医療器具に蛋白質が付着していたか否かを判断することができる。また、医療器具の付着蛋白質量については、接触液の着色度合からでも推定できるが、接触液の吸光度を測定することにより、簡便に検出することもできる。
上記吸光度測定による付着蛋白質量の検出方法は、上述した抽出条件、抽出液と蛋白質染色剤との接触条件等を一定にして蛋白質染色剤に特有の吸収波長域における吸光度を測定し、予め作成した同じ蛋白質染色剤を用いて測定した吸光度と蛋白質量との相関(例えば、検量線、相関数式等)と対比することにより、付着蛋白質量を検出するものである。
ここで、使用する蛋白質染色剤の種類、量により、付着蛋白質量の検出限界が異なるが、蛋白質染色剤の種類、使用量を一定にすることにより、医療器具に付着した蛋白質量が基準値を超えるか否かの判断を容易に行うことができる。
本発明においては、医療機関等で、医療器具に付着した蛋白質を検出する場合において、蛋白質を抽出するための抽出液と、この蛋白質抽出工程後の抽出液と接触させるための蛋白質染色剤とを備えた検出キットとして供給することもできる。また、この検出キットには、蛋白質抽出工程で用いる耐アルカリ性の材質からなる袋、比色管、吸光度測定用の簡易分光光度計等の検出器具が備えられていてもよい。
以下、試験例などにより本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらによりなんら限定されるものではない。なお、以下において、%は、特にことわりのない限り、重量%を示す。
実施例1.アルミ製テストパネルに対する抽出液の劣化抑制性
<抽出液>
メタケイ酸ナトリウムと2号ケイ酸カリウムをイオン交換水に溶解し、表1に示す各濃度に調製し、抽出液とした。
<テストパネル>
・アルマイト加工済み純アルミ板(A1050P):26mm×76mm
・Al-Cu系合金板(A2024P):26mm×76mm
<ポリエチレン袋(PE袋)>
チャック付きポリエチレン袋(スマイルチャック(商品名)、大倉工業社製、340mm×240mm、厚さ0.04mm)
<試験方法>
あらかじめ重量を測定したテストパネルをPE袋に入れ、抽出液10mlを添加した後PE袋のチャックを閉じ、50℃に保温した循環式温水恒温槽にPE袋ごと浸漬した。1時間経過後、テストパネルをPE袋から取り出し、室温で風乾させた後、テストパネルの重量を測定するとともに外観を目視観察し、以下の基準によりアルミ製テストパネルに対する抽出液の劣化抑制性を評価した。表1に結果を示す。
<評価基準>
〇:パネルの色調が試験前と比べて変化しなかった。
△:パネルの一部において、パネルの色調が黒色、または試験前とは異なる色に変化した。×:パネルの全体にわたり、パネルの色調が黒色、または試験前とは異なる色に変化した。
Figure 0006076706
表1の最上段を除き、2号ケイ酸カリウムが0.028%以上のときは、パネルの色調が試験前と比べて変化せず、抽出液の劣化抑制性は○と評価された。一方、最上段では、テストパネルの表面全体が白色化するとともに、重量も有意に増加し、すべての抽出液について、抽出液の劣化抑制性は×と評価された。表1の結果から、抽出液について優れた劣化抑制性を発揮させるには、2号ケイ酸カリウムが0.028%以上必要であり、メタケイ酸ナトリウムは6.1%未満にする必要がある。
実施例2.抽出液の蛋白質抽出性
<抽出液>
表1のうち、劣化抑制性が〇と評価された抽出液(メタケイ酸ナトリウム0〜1.2%、ケイ酸カリウム0.028%〜0.28%)を用いた。
<テストパネル>
・アルマイト加工済み純アルミ板(A1050P,26mm×76mm)に擬似汚染物(ヘパリン添加型羊全血に1%硫酸プロタミン溶液を10:1(容量比)で混合させたもの)を、該アルミ板の面積の1/3程度になるように50μL塗布し、24時間乾燥させたものを用いた。
・ステンレス板(SUS304,26mm×76mm)に擬似汚染物(ヘパリン添加型羊全血に1%硫酸プロタミン溶液を10:1(容量比)で混合させたもの)を、該ステンレス板の面積の1/3程度になるように50μL塗布し、24時間乾燥させたものを用いた。
<ポリエチレン袋(PE袋)>
チャック付きポリエチレン袋(スマイルチャック(商品名)、大倉工業社製、340mm×240mm、厚さ0.04mm)
<試験方法>
テストパネルをPE袋に入れ、抽出液10mlを添加した後PE袋のチャックを閉じ、50℃に保温した循環式温水恒温槽にPE袋ごと浸漬した。30分経過後、テストパネルをPE袋から取り出し、室温で風乾させた後、テストパネルを蛋白質染色色素(アミドブラック10B)で染色し、該テストパネル上の疑似汚染物の色調を目視観察し、以下の基準により疑似汚染物に対する抽出液の蛋白質抽出性を評価した。表2に結果を示す。
また、比較・対照試験として、0.8重量%NaOH水溶液とイオン交換水をそれぞれ抽出液とし、上記ステンレス板に疑似汚染物を塗布したものをテストパネルとしたこと以外は、上記と同様の方法で、該抽出液の蛋白質抽出性を評価した。表3に結果を示す。
<評価基準>
〇:疑似汚染物の塗布領域に青色の染色物が全く認められない。
△:疑似汚染物の塗布領域の一部に青色の染色物が認められる。
×:疑似汚染物の塗布領域の大部分に青色の染色物が認められる。
Figure 0006076706
Figure 0006076706
表2の結果から、純アルミ板およびステンレス板の双方について、抽出液の蛋白質抽出性は、メタケイ酸ナトリウムが0.12%と0.31%、2号ケイ酸カリウムが0.14%と0.28%のときにのみ、〇と評価された。表2と表3の結果を比較すると、上記○と評価された本発明の抽出液は、従来からアルカリ抽出液として用いられてきたNaOH水溶液と同程度であることが確認された。
実施例3.アルミ製テストパネルに対する抽出液の劣化抑制性、および抽出液の蛋白質抽出性(比較例)
抽出液成分として、上記「実施例2.抽出液の蛋白質抽出性」で用いたメタケイ酸ナトリウムと2号ケイ酸カリウムに代えて、オルトケイ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、および2号ケイ酸カリウムのうち、少なくとも1種以上をイオン交換水に溶解し、表4に示す各濃度に調製したものを抽出液とし、テストパネルとしてAl−Cu系合金(A2024P)に疑似汚染物を塗布したものを用いたこと以外は、上記「実施例2.抽出液の蛋白質抽出性」と同様の方法で試験を行い、用いた抽出液のアルミ製テストパネルに対する劣化抑制性と蛋白質抽出性を評価した。
劣化抑制性は、テストパネル上の疑似汚染物が塗布されていない領域を目視観察し、上記「実施例1.アルミ製テストパネルに対する抽出液の劣化抑制性」と同様の評価基準で評価した。蛋白質抽出性は、テストパネル上の疑似汚染物が塗布された領域を目視観察し、上記「実施例2.抽出液の蛋白質抽出性」と同様の評価基準で評価した。表4に結果を示す。
Figure 0006076706
(テストパネルに対する抽出液の劣化抑制性について)
ケイ酸ナトリウムのみからなる抽出液を用いた場合(表4の4段目)、テストパネルの全体が黒色化し、テストパネルに対する劣化抑制性を全く示さなかった。ケイ酸ナトリウムのこのような特性は、上記「実施例1.アルミ製テストパネルに対する抽出液の劣化抑制性」において、2号ケイ酸カリウムが劣化抑制性にとって最重要成分であったのとは対照的である(表1を参照)。
ケイ酸ナトリウムにオルトケイ酸ナトリウムまたはメタケイ酸ナトリウムを配合した場合でも、劣化抑制性は低いままだった(表4の2段目、3段目)。
(抽出液の蛋白質抽出性について)
いずれの抽出液についても、蛋白質抽出性は、△または×の評価となった。この結果と表2の結果を合わせると、メタケイ酸ナトリウムと2号ケイ酸カリウムを含有する抽出液は上述した所定の濃度範囲で優れた蛋白質抽出性を示すが、前記2成分と類似の構造からなる抽出液では前記好適な濃度範囲内であっても優れた蛋白質抽出性を示さないことが確認された。
実施例4.蛋白質の好適な検出条件の検討
以下、蛋白質染色剤として、クーマシーブリリアントブルーG−250(蛋白質と結合した場合、595nmに吸収極大を有する)を使用した場合を例に挙げ、テストパネル上に固着した疑似汚染物の好適な検出条件を検討した。
(検量線の作成)
2mg/mlの牛血清アルブミン溶液(和光純薬工業株式会社製)を、表5に示す各濃度となるように、抽出液(メタケイ酸ナトリウムと2号ケイ酸ナトリウムをイオン交換水に溶解し、それぞれ0.12%と0.28%に調製したもの)で希釈し、各希釈液を得た。次いで、95%エタノール50mlに、クーマシーブリリアントブルーG−250を100mg溶解し、この溶液に85%(w/v)の燐酸100mlを加え、更に水を加えて全体量を1Lとし、pH1.43(25℃)のクーマシーブリリアントブルーG−250溶液を調製した。このようにして得られたクーマシーブリリアントブルーG−250溶液3ml中に、得られた各希釈液1mlを添加して、25℃で20分間反応させた後、得られた接触液の595nmにおける吸光度を測定した。試験は、BSAの各濃度について10個のサンプルを準備して行った。表5に結果を示す。
Figure 0006076706
表5から、BSA濃度が1〜20μg/mlの範囲では、データのバラツキが比較的少なかったが、0.5μg/mlでは、他の濃度データと比べるとデータのバラツキが相対的に大きくなった。
そこで、BSA濃度が1〜20μg/mlの範囲で検量線を作成した(図1を参照)。また、比較として、従来からアルカリ抽出液として用いられてきた0.8%NaOH水溶液を用いて、上記と同様の方法で検量線を作成した。
図1に示すように、作成した検量線は、NaOH水溶液と同様、良好な直線性を示した。
上記で得られた検量線をもとに、本発明の抽出液による抽出条件について、以下のような検討を行った。
(抽出温度及び抽出時間について)
<抽出液>
メタケイ酸ナトリウムと2号ケイ酸カリウムをイオン交換水に溶解し、それぞれ0.12%と0.28%に調製し、抽出液とした。
<テストパネル>
ステンレス板(SUS304,26mm×76mm)に擬似汚染物(ヘパリン添加型羊全血に1%硫酸プロタミン溶液を10:1(容量比)で混合させたもの)を、該ステンレス板の面積の1/3程度になるように50μL塗布し、24時間乾燥させたものを用いた。
<ポリエチレン袋(PE袋)>
チャック付きポリエチレン袋(スマイルチャック(商品名)、大倉工業社製、340mm×240mm、厚さ0.04mm)
<試験方法>
テストパネルをPE袋に入れ、抽出液10mlを添加した後PE袋のチャックを閉じ、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃に保温した循環式温水恒温槽にPE袋ごと浸漬し、0分後、10分後、20分後、30分後、40分後、50分後及び60分後に、テストパネルをPE袋から取り出した。得られた抽出液1mlを、クーマシーブリリアントブルーG−250溶液3ml中に添加し、25℃で20分間反応させた後、得られた接触液の595nmにおける吸光度を測定した。各抽出温度毎に、各抽出時間に対する蛋白質抽出量をプロットした。図2に結果を示す。
図2から、抽出される蛋白質量が増える点で、抽出温度としては、40〜60℃が好ましく、抽出時間としては20分以上が好適であることが分かった。
本発明の洗浄評価用抽出液及びこれを用いた洗浄評価方法は、医療器具に対する劣化抑制性及び蛋白質抽出性に優れるので、医療器具の洗浄評価分野に広く適用可能である。

Claims (4)

  1. 0.10〜0.50重量%のメタケイ酸ナトリウム、及び0.12〜1.2重量%のケイ酸カリウムを含有する水溶液からなることを特徴とする、医療器具の洗浄評価用抽出液。
  2. ケイ酸カリウムが、メタケイ酸カリウム、1号ケイ酸カリウム(JIS規格)、及び2号ケイ酸カリウム(JIS規格)から選ばれる1種以上である、請求項1記載の抽出液。
  3. 0.10〜0.50重量%のメタケイ酸ナトリウム、及び0.12〜1.2重量%のケイ酸カリウムを含有する水溶液からなる抽出液と医療器具とを接触させて、該医療器具に残存する蛋白質を抽出する蛋白質抽出工程、及び
    前記蛋白質抽出工程後の抽出液と、蛋白質染色剤とを接触させる染色工程、
    を有する、医療器具の洗浄評価方法。
  4. ケイ酸カリウムが、メタケイ酸カリウム、1号ケイ酸カリウム(JIS規格)、及び2号ケイ酸カリウム(JIS規格)から選ばれる1種以上である、請求項3記載の洗浄評価方法。
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