JP2007285918A - 筋傷害の簡便検査方法および筋傷害検査用キット - Google Patents

筋傷害の簡便検査方法および筋傷害検査用キット Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、筋疾患に起因する筋傷害のみならず、他の原因によって生じうる筋傷害を簡便に検出可能な筋傷害の検査方法および筋傷害検査用キットを提供することを課題とする。
【解決手段】以下の手順を含む筋傷害の検査方法による。1)被検体から筋組織を採取する;2)採取した組織を、Gal-GalNAc型糖鎖に特異的に結合し、かつシアル酸が付加されたGal-GalNAc型糖鎖には結合しない標識レクチンを用いて組織中のGal-GalNAc型糖鎖と反応させて組織染色する;3)組織染色した筋組織を観察して筋組織へのシアル酸の結合を調べる。
【選択図】なし

Description

本発明は、筋組織の変性・壊死における細胞外マトリクスの変化を検出することによる筋傷害の簡便な検査方法および筋傷害検査用キットに関する。より詳しくは、筋変性疾患の有無や、遺伝子のタイプに関係なく生じうる筋傷害を感度よく検出しうる筋傷害の簡便な検査方法および筋傷害検査用キットに関する。
筋疾患として、筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、多発性筋炎、重症筋無力症などがあり、例えば筋ジストロフィーにおいては、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーおよび遠位型筋ジストロフィー(distal myopathy)など多くのタイプに分類される。これらの疾患は、筋組織におけるタンパク質の欠損や遺伝子の変異など種々の原因により発生しうる。
筋疾患の検査方法として、血液生化学的検査や筋電図、CT、MRI、筋生検などが行われている。一般に、臨床診断法として「血清生化学値」が用いられ、血清内の様々な酵素活性が調べられる。
組織が傷害され、変性・壊死が生じて細胞が破壊されると、その組織細胞内にある物質が細胞外へ湧出する。これは、組織分布が比較的限定される酵素の活性を調べることにより、本来ならば血清中にはそれほど存在せず活性が低いものが、異常なレベルまで上昇している場合は、当該組織の破壊により逸脱した酵素が血清中に湧出してきたことが推察される。筋組織は、クレアチンホスフォキナーゼ(CPK)などが、血清生化学値測定の対象として用いられる。CPK測定法の問題として、心筋梗塞後および激しい運動後もCPKが高値になること、CPK値の変動が少ない筋疾患患者の見落としが挙げられる。
筋生検として、局所麻酔下で、上腕二頭筋、三角筋、大腿直筋、腓腹筋などから外科的に採取した筋を、組織化学用、生化学用、電子顕微鏡用に分けて凍結保存したり、固定液に入れて処理し、ヘマトキシリン・エオシン(H&E)染色、Gromoriトリクローム染色変法、NADH-TR染色等を行う方法がある。免疫組織化学的検査では筋細胞膜の筋ジストロフィンの状態をみる。これらの方法は、筋を採取してから判定までに時間を要するという問題がある。
遺伝子検査の場合は、遺伝子異常が判明している病型についてのみ確定診断が可能である。
一方、筋疾患にまで至らない場合であっても、筋の脱力、筋の圧痛、易疲労、筋萎縮などの症状は、筋傷害による場合がある。これらの症状が、筋傷害によるか否かが簡便に判断できれば、その後になすべき対応を的確に選択することができる。
なお、シアル酸合成酵素の欠損が公知の筋疾患として、遠位型筋ジストロフィー(distal myopathy with rimmed vacuoles)があるが、この疾患患者の筋肉組織に、シアル酸が付加されたGal-GalNAc型糖鎖には結合しないピーナッツレクチン(PNA)を用いて、シアル酸が欠損していることを確認したことについて、報告がある(非特許文献1)。しかしながら、本文献に開示される内容は、シアル酸合成酵素を欠損した特定の筋ジストロフィー患者について、シアル酸の合成がなかったことを確認しているのにすぎない。また、他の型の筋疾患患者については、検出できないことが記載されている(非特許文献1)。
American Journal of Pathology, vol.166, No.4, 1121-1130 (2005)
本発明は、筋疾患に起因する筋傷害のみならず、他の原因によって生じうる筋傷害を簡便に検出可能な、筋傷害の検査方法および筋傷害検査用キットを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、筋組織の変性・壊死による細胞外マトリクスの変化に着目し、変化した筋組織の細胞外マトリクスでは正常筋組織に比べて結合しているシアル酸含量が低下していることを確認した。そしてそのシアル酸含量の低下は、ある種のレクチンの結合度合いを調べることによって検出可能であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下よりなる。
1.以下の手順を含む筋傷害の検査方法:
1)被検体から筋組織を採取する;
2)採取した組織を、Gal-GalNAc型糖鎖に特異的に結合し、かつシアル酸が付加されたGal-GalNAc型糖鎖には結合しない標識レクチンを用いて組織中のGal-GalNAc型糖鎖と反応させて組織染色する;
3)組織染色した筋組織を観察して筋組織へのシアル酸の結合を調べる。
2.Gal-GalNAc型糖鎖に特異的に結合し、かつシアル酸が付加されたGal-GalNAc型糖鎖には結合しない標識レクチンのほかに、さらにシアル酸の付加に影響されず、Gal-GalNAc型糖鎖に結合しうる標識レクチンを用いて組織染色する手順を含む、前項1に記載の筋傷害の検査方法。
3.Gal-GalNAc型糖鎖に特異的に結合し、かつシアル酸が付加されたGal-GalNAc型糖鎖には結合しない標識レクチンを用いた組織染色、並びに、シアル酸の付加に影響されず、Gal-GalNAc型糖鎖に結合しうる標識レクチンを用いた組織染色の染色結果を比較し、筋組織へのシアル酸の結合を調べる、前項2に記載の筋傷害の検査方法。
4.Gal-GalNAc型糖鎖に特異的に結合し、かつシアル酸が付加されたGal-GalNAc型糖鎖には結合しない標識レクチンが、標識ピーナッツレクチンである前項1〜3のいずれか1項に記載の筋傷害の検査方法。
5.シアル酸の付加に影響されず、Gal-GalNAc型糖鎖に結合しうる標識レクチンが、標識ACL(Amaranthus caudatus Lectin)である前項2〜4のいずれか1項に記載の筋傷害の検査方法。
6.標識レクチンが、ビオチンラベルされたレクチンであり、標識レクチンで組織中のGal-GalNAc型糖鎖と反応させたのち、アビジン結合蛍光色素を加えて組織染色し、組織染色した筋組織を観察して筋組織へのシアル酸の結合を調べる、前項1〜5のいずれか1項に記載の筋傷害の検査方法。
7.Gal-GalNAc型糖鎖に特異的に結合し、かつシアル酸が付加されたGal-GalNAc型糖鎖には結合しない標識レクチン試薬とシアル酸の付加に影響されず、Gal-GalNAc型糖鎖に結合しうる標識レクチン試薬を含む、前項1〜6のいずれか1項に記載の筋傷害の検査方法に使用する筋傷害検査用キット。
8.Gal-GalNAc型糖鎖に特異的に結合し、かつシアル酸が付加されたGal-GalNAc型糖鎖には結合しない標識レクチン試薬が標識ピーナッツレクチン試薬である前項7に記載の筋傷害検査用キット。
9.シアル酸の付加に影響されず、Gal-GalNAc型糖鎖に結合しうる標識レクチン試薬が、標識ACL(Amaranthus caudatus Lectin)試薬である前項7または8に記載の筋傷害検査用キット。
10.標識レクチン試薬がビオチンラベルされたレクチン試薬であり、筋傷害検査用キットの構成試薬として、さらにアビジン結合蛍光色素試薬を含む前項7〜9のいずれか1項に記載の筋傷害検査用キット。
本発明の筋傷害の簡便検査方法により、筋疾患に起因する筋傷害のみならず、他の原因によって生じうる筋傷害をも簡便に検出しうる。本発明の検査方法は筋生検であるが、筋組織を採取した後は、30分程度で検査を完了することができる点で優れている。したがって、筋の脱力、筋の圧痛、易疲労、筋萎縮などの症状が、筋傷害によることが短時間で判明すれば、さらなる検査を行う場合の方向付けが可能となり、さらには無駄のない治療方法を選択することができる。本発明の筋傷害の簡便検査方法は、ヒトおよびヒト以外の哺乳動物にも適用することができる。
筋組織の変性・壊死により、細胞外マトリクスが変化し、該変化した筋組織の細胞外マトリクスでは正常筋組織に比べて結合しているシアル酸含量が低下していることを初めて確認した。本発明の筋傷害の検査方法は、筋組織の変性・壊死による細胞外マトリクスの変化をレクチンによる組織染色によって検出し、筋傷害を検査するものである。本発明において、被検体とはヒトおよびヒトを除く哺乳動物であってもよく、特に好適には、ヒトが挙げられる。
本発明において、「Gal-GalNAc型糖鎖に特異的に結合し、かつシアル酸が付加されたGal-GalNAc型糖鎖には結合しないレクチン」とは、そのような性質を有するレクチンであれば特に限定されないが、具体的にはピーナッツレクチン(Peanut agglutininn; PNA)が挙げられる。また、「シアル酸の付加に影響されず、Gal-GalNAc型糖鎖に結合しうるレクチン」とは、そのような性質を有するレクチンであれば特に限定されないが、具体的にはACL(Amaranthus caudatus Lectin)が挙げられる。
本発明の筋傷害の検査方法は、具体的には、Gal-GalNAc型糖鎖に結合しうる2種のレクチンを用い、シアル酸の付加に影響を受けないレクチン(例えばACL)と、シアル酸の付加していない(除去されている)Gal-GalNAc型糖鎖と結合できるレクチン(例えばPNA)とを併用し、両者のレクチンの染色性を比較し、Gal-GalNAc型糖鎖へのシアル酸付加を検出することにより行われる。正常個体にもシアル酸が付加されていない糖鎖が一定量存在するが、それよりもシアル酸付加が著しく低下している場合、すなわちPNAでより強く染色される場合は、シアル酸付加に関する異常が示唆され、つまりは筋傷害が生じていると考えられる。ACLでの染色性に差がなければ、Gal-GalNAc型糖鎖の存在には差がないことがわかり、PNAの染色性の差が「シアル酸付加の有無」であることが証明される。
レクチンの染色性は、標識レクチンにより確認することができる。標識レクチンとしては、レクチンのGal-GalNAc型糖鎖との結合を認識しうるようにレクチンが標識されていればよい。組織染色は、例えば蛍光染色、酵素反応染色、放射性同位元素染色等により行うことができる。取扱いの容易さや、検査時間などを考慮すると、蛍光染色により染色するのが最も好適である。蛍光レクチン染色は非常に感度が高く、しかも簡便で1時間もかからずに高感度で検出することができる。このような蛍光標識物質としては、例えばフルオレッセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、テキサスレッド等が挙げられ、特に好適にはFITCが挙げられる。
検出に用いる標識蛍光色素としては多種の色素が使用でき、観察に使用する蛍光顕微鏡に備わっている励起波長用フィルターや観察用フィルターに合った色素を選ぶことができる。蛍光観察には青色光(400〜500nm付近)で蛍光色素を励起して(B励起)緑色の蛍光を発する色素(FITC、Alexa Fluor-488など)や、緑色光(550〜650nm付近)で蛍光色素を励起して(G励起)赤色の蛍光を発する色素(ローダミンやテキサスレッド、Cy5など)、最近では更に赤色寄りの蛍光色素(Cy7やAlexa Fluor750等)などを使用することができる。
本発明の検査方法においては、レクチンに、組織を染色するための染色物質を直接標識していても良いし、直接標識していなくても良い。検出感度を上げるために、染色物質に結合しうるリガンドをレクチンに標識し、リガンドを染色物質に結合させても良い。例えばレクチンにビオチン標識したものが好適である。ビオチン標識レクチンのビオチンにアビジン結合蛍光色素を結合させて、結合した蛍光色素を検出することにより、レクチンと結合するシアル酸の存在を顕在化させることができる。具体的には、ビオチンで標識した標識レクチンで組織中のGal-GalNAc型糖鎖と反応させたのち、アビジン結合蛍光色素を加えて組織染色することもできる。
組織染色した筋組織を観察して筋組織へのシアル酸の結合を調べる方法は、自体公知の方法を用いることができる。例えばコウラナメクジ凝集素(LFA)、カブトガニ凝集素(LPA)、小麦胚芽凝集素(WGA)が挙げられ、特に好適にはLFAが挙げられる。
本発明において、採取する筋組織は、傷害の有無を判別する部位を含む筋組織であれば良く、特に限定されないが、例えば上腕二頭筋、三角筋、大腿直筋、腓腹筋等を採取することができる。採取の方法は、自体公知の方法に従うことができる。採取した筋組織は、通常の方法に従い固定することができる。例えば、凍結保存や固定液にいれて固定することができる。例えばホルマリン固定、パラフィン包埋、パラホルムアルデヒド固定などを行うことができる。筋採取後、簡便かつ早急に検査を行おうとする場合は、−196℃の液体窒素処理により、組織を凍結保存するのが好適である。
例えば凍結保存した組織から凍結切片を作成し、上述の方法に従って組織染色し、シアル酸の結合を調べることができる。上述の方法により、筋組織のシアル酸の結合を調べた結果、変性した筋組織の細胞外マトリクスにおいては、正常筋組織に比べ、結合しているシアル酸量が低下していることが確認された。
骨格筋細胞の細胞質には、他の臓器に比べ、高いシアル酸除去酵素(Cytosolic sialidase;細胞質シアリダーゼ)が含まれる(Biochemistry International, Vol.13, No.5, p.741 - 748 (1986))。同様な動きの酵素は、ライソゾームなどの細胞内小器官にも存在するが、ライソゾーム酵素は、反応の至適pHが酸性であるのに対し、この酵素の至適pHは中性であり、筋細胞が傷害を受けて細胞から逸脱した場合には、細胞外マトリクスや細胞表面の糖タンパク質や糖脂質の糖鎖のシアル酸をはずしてしまうことが推察される。
また、変性・壊死に陥った筋組織では、代謝経路が傷害され、物質産生や異化に異常をきたすと考えられる。そのため、細胞内・細胞外の構成成分に変化が生じ、例えば産生されるべき物質の欠如や、分解除去されるべき物質の残存などが生じる。筋変性時のシアル酸付加の異常低下は、こうしたメカニズムにも原因となりうると思われる。
様々な原因で、変性・壊死した筋組織に対して、本検査方法を用いて検査した結果、筋変性の原因によらず、また動物種(ヒトを含む)によらず筋傷害を検出することができることが確認された。本方法は、筋採取を必要とするが、血液生化学的検査における血中CPK値がわずかに上昇した場合でも筋変性の有無が確認可能な感度良い検査方法である。
本発明は、筋傷害の検査方法のほか、筋傷害検査用キットにも及ぶ。キットには、少なくともGal-GalNAc型糖鎖に特異的に結合し、かつシアル酸が付加されたGal-GalNAc型糖鎖には結合しない標識レクチン試薬とシアル酸の付加に影響されず、Gal-GalNAc型糖鎖に結合しうる標識レクチン試薬を含む。「Gal-GalNAc型糖鎖に特異的に結合し、かつシアル酸が付加されたGal-GalNAc型糖鎖には結合しない標識レクチン試薬」は、標識ピーナッツレクチン試薬とすることができる。また、「シアル酸の付加に影響されず、Gal-GalNAc型糖鎖に結合しうる標識レクチン試薬」は、標識ACL試薬とすることができる。さらに、標識レクチン試薬は、ビオチンラベルされたレクチン試薬とすることができ、かかる場合はキットの構成試薬として、さらにアビジン結合蛍光色素試薬を含めることができる。キットには、上述の試薬のほか、緩衝液などの試薬やプレパラート用デバイスなどを含んでいても良い。
以下、本発明の理解を深めるために実施例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではないことはいうまでもない。
(実施例1)ハムスターによる確認
正常ハムスターおよびδサルコグリカン欠損による筋ジストロフィーモデルであるBIO14.6ハムスターの筋組織について、レクチン染色を行った。
1.筋組織の採取方法
動物を麻酔(エーテルまたはネンブタール)後、大腿筋を採取した。
2.筋組織切片の作製方法
採取した骨格筋をOCT compoundにいれ液体窒素を用いて凍結させた。ミクロトームを用いて4〜6μmの凍結切片を作製し、スライドグラスにのせた。ドライヤーを用いて冷風で風乾し、凍結切片を得た。
3.レクチン試薬(Vector Laboratoriesを用いた。)
4.組織染色方法
1)凍結切片を100%エタノールで5〜10分間固定した。
2)固定した切片を、PBSを用いて洗浄した。
3)ビオチン化レクチン液を最終濃度5〜20μg/mLとなるようにPBSに希釈して50μLを組織切片に載せ、保湿箱に入れて室温にて15分おいた。「レクチンなし」を「陰性対照」として用いた。
4)上記切片を、PBSを用いて洗浄した。
5)アビジン-FITC(最終濃度は20μg/mL程度)を組織切片に50μL程度載せて室温にて5分おいた。
6)上記切片を、PBSを用いて洗浄した。
7)FITCの減衰を防ぐため、退色防止剤、例えばVector LabsのVECTASHIELDを載せて、カバーグラスを載せマニキュアで封入した。
5.観察方法
落射蛍光顕微鏡にて観察した。蛍光物質フルオレッセインイソチオシアネート(FITC)は励起波長494nm蛍光518nmであり、FITC用フィルターを用いた。実際には共焦点レーザー顕微鏡を用いてレーザー(アルゴン)波長488nmをあて、518nmの蛍光を観察した。
観察した結果を図1に示した。正常対照に比べてBIO14.6ハムスターの筋組織はPNAに強く染まるが、ACLの染色性には差がないことが確認された。
(実施例2)マウスによる確認
正常マウスおよびジストロフィン欠損による筋ジストロフィーモデルであるmdxマウスの筋組織について、レクチン染色を行った。
筋の採取方法、組織染色方法および観察方法は、実施例1に従った。
観察した結果を図2に示した。正常対照に比べてmdxマウスの筋組織はPNAに強く染まるが、ACLの染色性には差がないことが確認された。このことから筋傷害があればPNAによく染まることが確認された。なお、実際の染色は、ビオチンラベルされたレクチンを作用させた後、アビジン結合蛍光色素を結合させてレクチンの存在を顕在化させているので、「レクチンなし」群は、アビジン結合蛍光色素の非特異反応ではないことを証明するために、レクチンを用いずにアビジン結合蛍光色素のみを反応させた場合には全く光らないことを示したものである。
(実施例3)マウスによる確認
正常マウスおよびメロシン欠損で筋ジストロフィーを呈するdy/dyマウスの筋組織について、レクチン染色を行った。
筋の採取方法、組織染色方法および観察方法は、実施例1に従った。
観察した結果を図3に示した。正常対照に比べてdy/dyマウスの筋組織はPNAに強く染まるが、ACLの染色性には差がないことが確認された。
(実施例4)ヒト標本による確認(患者1、患者2)
筋疾患患者2例の筋組織についてPNAおよびACL染色を行った。正常対照は脳の病気患者の骨格筋を用いた。両患者とも正常対照に比べ、筋組織はPNAで強く染まるが、ACLでは差が見られなかった。
筋組織は、局所麻酔を投与して採取した。
組織染色方法および観察方法は、実施例1に従った。
以上説明したように、本発明の筋傷害の簡便検査方法により、筋疾患に起因する筋傷害のみならず、他の原因によって生じうる筋傷害をも簡便に検出しうる。本発明の検査方法は筋生検であるが、筋組織を採取した後は、30分程度で検査を完了することができる点で優れている。したがって、筋の脱力、筋の圧痛、易疲労、筋萎縮などの症状が、筋傷害によることが短時間で判明すれば、さらなる検査を行う場合の方向付けが可能となり、さらには無駄のない治療方法を選択することができる。本発明の筋傷害の簡便検査方法は、ヒトおよびヒト以外の哺乳動物にも適用することができる。
実施例1の結果を示す図である。 実験例2の結果を示す図である。 実施例3の結果を示す図である。 実験例4の結果を示す図である。

Claims (10)

  1. 以下の手順を含む筋傷害の検査方法:
    1)被検体から筋組織を採取する;
    2)採取した組織を、Gal-GalNAc型糖鎖に特異的に結合し、かつシアル酸が付加されたGal-GalNAc型糖鎖には結合しない標識レクチンを用いて組織中のGal-GalNAc型糖鎖と反応させて組織染色する;
    3)組織染色した筋組織を観察して筋組織へのシアル酸の結合を調べる。
  2. Gal-GalNAc型糖鎖に特異的に結合し、かつシアル酸が付加されたGal-GalNAc型糖鎖には結合しない標識レクチンのほかに、さらにシアル酸の付加に影響されず、Gal-GalNAc型糖鎖に結合しうる標識レクチンを用いて組織染色する手順を含む、請求項1に記載の筋傷害の検査方法。
  3. Gal-GalNAc型糖鎖に特異的に結合し、かつシアル酸が付加されたGal-GalNAc型糖鎖には結合しない標識レクチンを用いた組織染色、並びに、シアル酸の付加に影響されず、Gal-GalNAc型糖鎖に結合しうる標識レクチンを用いた組織染色の染色結果を比較し、筋組織へのシアル酸の結合を調べる、請求項2に記載の筋傷害の検査方法。
  4. Gal-GalNAc型糖鎖に特異的に結合し、かつシアル酸が付加されたGal-GalNAc型糖鎖には結合しない標識レクチンが、標識ピーナッツレクチンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の筋傷害の検査方法。
  5. シアル酸の付加に影響されず、Gal-GalNAc型糖鎖に結合しうる標識レクチンが、標識ACL(Amaranthus caudatus Lectin)である請求項2〜4のいずれか1項に記載の筋傷害の検査方法。
  6. 標識レクチンが、ビオチンラベルされたレクチンであり、標識レクチンで組織中のGal-GalNAc型糖鎖と反応させたのち、アビジン結合蛍光色素を加えて組織染色し、組織染色した筋組織を観察して筋組織へのシアル酸の結合を調べる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の筋傷害の検査方法。
  7. Gal-GalNAc型糖鎖に特異的に結合し、かつシアル酸が付加されたGal-GalNAc型糖鎖には結合しない標識レクチン試薬とシアル酸の付加に影響されず、Gal-GalNAc型糖鎖に結合しうる標識レクチン試薬を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の筋傷害の検査方法に使用する筋傷害検査用キット。
  8. Gal-GalNAc型糖鎖に特異的に結合し、かつシアル酸が付加されたGal-GalNAc型糖鎖には結合しない標識レクチン試薬が標識ピーナッツレクチン試薬である請求項7に記載の筋傷害検査用キット。
  9. シアル酸の付加に影響されず、Gal-GalNAc型糖鎖に結合しうる標識レクチン試薬が、標識ACL(Amaranthus caudatus Lectin)試薬である請求項7または8に記載の筋傷害検査用キット。
  10. 標識レクチン試薬がビオチンラベルされたレクチン試薬であり、筋傷害検査用キットの構成試薬として、さらにアビジン結合蛍光色素試薬を含む請求項7〜9のいずれか1項に記載の筋傷害検査用キット。
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