JP4615966B2 - 蛋白質の検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、医療機関で使用された各種医療器具等に付着した蛋白質の検出方法に関する。
医療機関の外来診療、手術部、検査部、病棟等で使用された医療器具には、血液、体液、組織片等の蛋白質を主成分とする蛋白質汚れが付着しており、一般的に、これらの汚染された医療器具は、殺菌消毒工程、洗浄工程、滅菌工程を経て再使用される。従って、医療器具の円滑な作動性維持や医療器具による感染防止等のために、医療器具の蛋白質汚れを取り除くための洗浄が重要であり、不可欠である。
医療機関で使用されて蛋白質汚れが付着した医療器具の洗浄方法には、各医療機関の所有する洗浄設備に基づき、浸漬洗浄や、超音波洗浄機、ウォッシャーディスインフェクター等による機械洗浄が行われている。また、内視鏡スコープのような医療器具の構造に応じた内視鏡専用洗浄機等も使用されている。
しかし、上記のような洗浄を行っても、医療器具に蛋白質汚れが残存している場合があり、医療器具の清浄度を確認する必要がある。現在、医療機関で行われている医療器具の清浄度の確認方法は、洗浄後の医療器具を蛋白質染色剤であるアミドブラック10B染色液に浸漬した後に水洗いをして、医療器具表面にアミドブラック10Bが染着した青色の染色跡があるか否かを調べることにより、医療器具表面の蛋白質の有無を肉眼で定性的に判断するのが一般的である。
また、洗浄後の医療器具の清浄度を確認する別の方法としては、医療器具表面に酸性色素溶液を接触させた後、この酸性色素溶液を医療器具表面から洗浄除去し、洗浄後の医療器具表面に所定量のアルカリ性抽出液を接触させ、この抽出液を回収し、抽出液中に溶出する酸性色素によって医療器具表面の蛋白質固着物の有無ないし固着度合を検出する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特許第3165668号公報
しかしながら、上記で提案されている蛋白質の検出方法は、医療器具に固着した蛋白質の表面を酸性色素で染色して、この固着蛋白質の表面に染着した酸性色素の量を基に検出を行うものであり、医療器具に固着した蛋白質の全量を検出するものではない。従って、特に医療器具の蛋白質汚染がひどい場合などは、実際の固着量とはかけ離れた検出結果が得られるという問題があった。
また、上記で提案されている蛋白質の検出方法は、余分な酸性色素溶液を医療器具表面から洗浄除去する工程を有し、ここでの洗浄は、排出される洗浄液が完全に無色透明になるまで行うとされている。しかしながら、排出される洗浄液が完全に無色透明か否かの判断は、目視では困難であり、完全な洗浄を行うのは困難であった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、医療器具に付着した蛋白質を精度高く、かつ、簡便に検出することが可能な蛋白質の検出方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、
(1)アルカリ性溶液が注入された耐アルカリ性の袋の中に医療器具を入れ、この袋を恒温水槽に浸漬して蛋白質を抽出する工程と、前記蛋白質抽工程で得られた抽出液と、クーマシーブリリアントブルーG−250とを接触させる工程と、前記工程で得られた接触液の吸光度を測定する工程と、
を有することを特徴とする蛋白質の検出方法、
(2)前記アルカリ性溶液が、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムの溶液であることを特徴とする(1)に記載の蛋白質の検出方法、
(3)前記アルカリ性溶液の濃度が、0.05〜2Nであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の蛋白質の検出方法、
(4)前記蛋白質抽出工程が、25〜90℃において行われることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の蛋白質の検出方法、
に関する。
本発明の検出方法は、アルカリ性溶液に医療器具を浸漬して、医療器具に付着した蛋白質を抽出する工程を有することから、どのような形状の医療器具であっても、医療器具の汚染がひどい場合であっても、医療器具に付着した蛋白質を精度高く、かつ、簡便に検出することができ、医療の現場で要求される検出精度を十分に備えるものである。
本発明に係る蛋白質の検出方法は、主に、医療器具に付着した蛋白質の有無、さらには、付着量を検出するものであり、アルカリ性溶液に医療器具を浸漬して、蛋白質を抽出する工程と、蛋白質の抽出工程で得られる抽出液と蛋白質染色剤とを接触させる工程とを有することを特徴とする。
アルカリ性溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム等のアルカリ剤を溶媒に溶かしたものが挙げられ、これらを単独で又は2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも、蛋白質の抽出を良好に行う観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく用いられる。
アルカリ性溶液の溶媒としては、例えば、水道水、蒸留水、イオン交換水、RO水等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を混合して使用することができる。当該濃度としては、蛋白質の抽出を良好に行う観点から、好ましくは0.05〜2Nであり、より好ましくは0.1〜1Nであり、特に好ましくは0.15〜0.75Nである。
医療器具としては、手術、検査、治療等に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、鑷子、鉗子、剪刀、吸引管、内視鏡、カテーテル、注射針等が挙げられる。なお、本発明において「医療器具」とは、手術、検査、治療等で使用されたものだけでなく、蛋白質が付着している可能性があるものも含まれる。
抽出温度としては、好ましくは25〜90℃であり、より好ましくは30〜80℃であり、特に好ましくは40〜70℃である。また、抽出時間としては、好ましくは20分以上であり、より好ましくは20〜60分である。
アルカリ性溶液の使用量としては、検出対象となる医療器具の大きさ、表面積、使用状況等に応じて調節すればよく、特に限定されるものではない。
ここで、「アルカリ性溶液に医療器具を浸漬する」とは、医療器具全体をアルカリ性溶液に浸漬することをいい、具体的には、耐アルカリ性の容器や袋等に、所定量のアルカリ性溶液を注入し、この中に、医療器具を入れて振盪させる態様等が挙げられるが、アルカリ性溶液に医療器具全体を浸漬し得る操作であれば、特に限定されるものではない。
蛋白質抽出工程は、使用後の医療器具について洗浄を終えた段階で行ってもよいし、滅菌が済んだ段階で行ってもよい。なお、医療器具の洗浄時に用いる洗浄剤や、洗浄前に用いる殺菌消毒剤等の干渉物質が、医療器具に残存している場合であっても、医療器具に付着した蛋白質の有無ないし付着量の検出に及ぼす影響は問題ない。
本発明の蛋白質の検出方法は、上述した蛋白質抽出工程を行った後に、蛋白質抽出工程で得られた抽出液と、蛋白質染色剤とを接触させる工程を有する。
蛋白質染色剤としては、蛋白質と化学量論的に結合して発色するものであれば特に限定されず、例えば、クーマシーブリリアントブルーR−250、クーマシーブリリアントブルーG−250、アミドブラック10B、アシッドオレンジ12、バッファローブラック、オレンジG、ブロモフェノールブルー等の酸性色素;サフラニンO等の塩基性色素;ビシコニン酸等のキレート色素;エオシンY等の蛍光色素等が挙げられる。これらの中でも、検出精度をより良好にする観点から、蛋白質との結合性に特に優れるクーマシーブリリアントブルーG−250が好ましく用いられる。このクーマシーブリリアントブルーG−250は、蛋白質と結合すると赤色(465nm)から青色(595nm)に変化するものであるが、蛋白質との結合は約2分間で平衡になり、その結合は室温で約1時間は安定な分散状態を維持するので、後述する吸光度測定を迅速、かつ、正確に行うことができるという利点も備えている。
また、接触工程において、蛋白質染色剤は、水、アルコール等の溶媒に溶解させた状態で使用するのが好ましい。この蛋白質染色剤溶液は、蛋白質染色剤として酸性色素を用いる場合は、酢酸、燐酸、硫酸等の酸成分を添加して、pH0.5〜4とすることが好ましく、蛋白質染色剤溶液として塩基性色素を用いる場合は、酢酸等の弱酸成分等を添加して、pH3〜8とすることが好ましい。なお、蛋白質染色剤溶液は、市販品を用いてもよく、例えば、上記クーマシーブリリアントブルーG−250の溶液である、PIERCE社製、Coomasie protein assay reagent kit(商品名)等が挙げられる。
蛋白質染色剤の使用量としては、検出対象となる医療器具の大きさ、表面積、使用状況、さらには、検出対象となる蛋白質の種類、量等に応じて調節すればよく、特に限定されるものではない。
ここで、「抽出液と蛋白質染色剤とを接触させる」態様としては、具体的には、上述した抽出工程で得られた抽出液の一部又は全部に、所定量の蛋白質染色剤を添加する態様等が挙げられるが、所定量の抽出液と蛋白質染色剤とを接触させ得る操作であれば特に限定されるものではない。
こうして、抽出液と蛋白質染色剤とを接触させた接触液が、着色しているか否かを調べることにより、医療器具に蛋白質が付着していたか否かを判断することができる。また、医療器具の付着蛋白質量については、接触液の着色度合からでも推定できるが、接触液の吸光度を測定することにより、簡便に検出することもできる。
前記吸光度測定による付着蛋白質量の検出方法は、上述した抽出条件、抽出液と蛋白質染色剤との接触条件等を一定にして蛋白質染色剤に特有の吸収波長域における吸光度を測定し、予め作成した同じ蛋白質染色剤によって測定した吸光度と蛋白質量との相関(例えば、検量線、相関数式等)と対比することにより、付着蛋白質量を検出するものである。
ここで、使用する蛋白質染色剤の種類、量により、付着蛋白質量の検出限界が異なるが、蛋白質染色剤の種類、使用量を一定にすることにより、医療器具に付着した蛋白質量が基準値を超えるか否かの判断を容易に行うことができる。
本発明においては、医療機関等で、医療器具に付着した蛋白質を検出する場合において、医療器具を浸漬して、蛋白質を抽出するためのアルカリ性溶液と、この抽出後の抽出液と接触させるための蛋白質染色剤とを備えた検出キットとして供給することもできる。また、この検出キットには、蛋白質の抽出工程で用いるビニール製等の袋、比色管、吸光度測定用の簡易分光光度計等の検出器具が備えられていてもよい。
以下、蛋白質染色剤として、クーマシーブリリアントブルーG−250(蛋白質と結合した場合、595nmに吸収極大を有する)を使用した場合を例に挙げ、本発明に係る蛋白質の検出方法について説明する。
(検量線の作成)
2mg/mlの牛血清アルブミン溶液〔和光純薬工業株式会社製〕を、表1に示す各濃度となるように、0.2Nの水酸化ナトリウム水溶液で希釈し、各希釈液を得た。次いで、95%エタノール50mlに、クーマシーブリリアントブルーG−250を100mg溶解し、この溶液に85%(w/v)の燐酸100mlを加え、更に水を加えて全体量を1lとし、pH1.43(25℃)のクーマシーブリリアントブルーG−250溶液を調製した。このようにして得られたクーマシーブリリアントブルーG−250溶液3ml中に、得られた各希釈液1mlを添加して、25℃で20分間反応させた後、得られた接触液の595nmにおける吸光度を測定した。表1にこの結果を示し、図1に、表1の測定結果から作成した検量線を示す。
Figure 0004615966
図1に示すように、作成した検量線は、良好な直線性を示した。
上記で得られた検量線をもとに、アルカリ性溶液による抽出条件について、以下のような検討を行った。
(抽出濃度及び抽出時間について)
1.0Nの水酸化ナトリウム〔和光純薬工業株式会社製〕を蒸留水で希釈し、表2に示す濃度のアルカリ性溶液を調製し、得られたアルカリ性溶液10mlと、ステンレス板(15×50mm)に擬似血液(牛血精製物:アルブミン、ヘモグロビン、フィブリノーゲン、トロンビン)を付着させた洗浄度評価インジケーター〔Pereg社製、商品名:TOSI〕(以下、「TOSI」という。)を、ポリエチレン製の袋(寸法:240×340mm、厚さ:0.04mm、チャック付き)に入れ、この袋を、50℃に保たれた恒温水槽〔TAITEC社製、品番:SM−05R〕に浸漬した。そして、TOSIをアルカリ性溶液中で浸漬振盪を行い、蛋白質の抽出を行った。抽出時間については、表2に示すとおりである。
こうして得られた抽出液1mlを、上述した検量線の作成例と同様に、クーマシーブリリアントブルーG−250溶液3ml中に添加して、25℃で20分間反応させた後、得られた接触液の595nmにおける吸光度測定を行うという操作を、各条件それぞれについて5回繰り返した。この各5回の吸光度測定の結果から得られた蛋白質量の平均値を表2に示す。
Figure 0004615966
表2に示すように、アルカリ性溶液(水酸化ナトリウム水溶液)の濃度が、0.2Nの場合が、最も高い蛋白質の抽出量を示した。また、アルカリ性溶液の濃度が、0.2Nの場合には、抽出時間が30分までは、抽出時間が長くなるにつれて、蛋白質の抽出量の増加が確認されたが、30分と60分を比較すると、蛋白質の抽出量に大きな差は見られなかった。
(抽出温度について)
アルカリ性溶液(0.2N水酸化ナトリウム水溶液)10mlと、TOSIを、ポリエチレン製の袋に入れ、この袋を、各温度(25,30,50,70℃)に保たれた恒温水槽に浸漬した。そして、TOSIをアルカリ性溶液中で30分間浸漬振盪を行い、蛋白質の抽出を行った。
こうして得られた抽出液1mlを、上述したように、クーマシーブリリアントブルーG−250溶液3ml中に添加して、25℃で20分間反応させた後、得られた接触液の595nmにおける吸光度測定を行うという操作を、各条件それぞれについて3回繰り返した。この各3回の吸光度測定の結果から得られた蛋白質量の平均値を表3に示す。
Figure 0004615966
表3に示すように、抽出温度が50℃の場合と70℃の場合を比較すると、蛋白質の抽出量に大きな差は見られなかったが、抽出温度50℃で、最も高い蛋白質の抽出量を示した。
(抽出回数について)
アルカリ性溶液(0.2N水酸化ナトリウム水溶液)10mlと、TOSIを、ポリエチレン製の袋に入れ、この袋を、50℃に保たれた恒温水槽に浸漬し、TOSIをアルカリ性溶液中で30分間浸漬振盪を行い、蛋白質の抽出を行った。こうして蛋白質の抽出を行ったTOSIについて、前記の1回目の抽出条件と同様の条件にて、2回目の抽出を行った。
こうして得られた1回目の抽出液及び2回目の抽出液のそれぞれ1mlを、上述したように、クーマシーブリリアントブルーG−250溶液3ml中に添加して、25℃で20分間反応させた後、得られた接触液の595nmにおける吸光度測定を行い、この吸光度測定の結果から得られた蛋白質量を表4に示す。
Figure 0004615966
表4に示すように、全て(No.1〜5)において、2回目の抽出における蛋白質の抽出量は、10μg以下であった。以上のことから、抽出回数は、1回で十分であるといえ、さらには、1回の抽出操作で、検出対象に付着した蛋白質をほぼ全量抽出可能であるといえる。
次に、検出精度について、以下の方法により評価した。
5,10,20,30,40,50μg/25μlの牛血清アルブミン液を、ステンレス板(15×50mm)に25μlずつ塗布した後、24時間乾燥させたものをそれぞれ5枚ずつ作製した。こうして得られた試験片と、アルカリ性溶液(0.2N水酸化ナトリウム水溶液)10mlを、ポリエチレン製の袋に入れ、この袋を、50℃に保たれた恒温水槽に浸漬し、試験片をアルカリ性溶液中で30分間浸漬振盪を行い、蛋白質の抽出を行った。
こうして得られた抽出液1mlを、上述したように、クーマシーブリリアントブルーG−250溶液3ml中に添加して、25℃で20分間反応させた後、得られた接触液の595nmにおける吸光度測定を行い、この吸光度測定の結果から得られた蛋白質量を表5に示す。また、得られた値から求めた平均値、標準偏差及び変動係数についても、表5に示す。
Figure 0004615966
表5に示すように、アルブミンの塗布量が5μgの場合において、変動係数が20.05%とやや高い値を示したものの、アルブミンの塗布量が10,20,30,40,50μgの場合は、標準偏差、変動係数ともに、良好な値を示した。
また、医療器具の洗浄時のすすぎが不十分である場合、また、洗浄前に使用する消毒剤の残存を想定して、医療器具に残存する洗浄剤、消毒剤等の干渉物質が、検出精度に与える影響について、以下の方法により評価した。
牛血清アルブミンを5μg含有し、かつ、以下に示す洗浄剤S1〜S2及び消毒剤D1〜D4の濃度が、0.01,0.1,1.0重量%となるように、蒸留水を用いて調製した試料1mlを、上述したように、クーマシーブリリアントブルーG−250溶液3ml中に添加して、25℃で20分間反応させた後、得られた接触液の595nmにおける吸光度測定を行い、各条件における蛋白質濃度を求めた。この結果を表6に示す。
評価で用いた洗浄剤及び消毒剤の詳細については、以下の通りである。
(洗浄剤)
S1:酵素配合洗浄剤〔株式会社イヌイメデイックス製、商品名:メディポールEX−1〕
S2:酵素、界面活性剤配合洗浄剤〔株式会社イヌイメデイックス株式会社製、商品名:メディポールEX−2〕
S3:アルカリ系界面活性剤配合洗浄剤〔株式会社イヌイメデイックス株式会社製、商品名:メディポールF〕
S4:アルカリ系界面活性剤非配合洗浄剤〔株式会社イヌイメデイックス株式会社製、商品名:メディポールZT〕
(消毒剤)
D1:アルキルジアミノエチルグリシン15%液〔日本油脂株式会社製、商品名:ニッサンアノン#300〕と蒸留水を、0.3:99.7の重量比で混合したもの
D2:グルコン酸クロルヘキシジン0.2%液〔サラヤ株式会社製、商品名:ヒビスコール〕
D3:ポピドンヨード10%液〔明治製菓株式会社製、商品名:イソジン液〕
D4:グルタルアルデヒド3.5%液〔ジョンソン&ジョンソン株式会社製、商品名:サイデックスプラス28〕
Figure 0004615966
表6に示すように、洗浄剤S3、洗浄剤S4、消毒剤D2及び消毒剤D3を1重量%含有する場合では、対照値に比べて高い値を示した。しかしながら、医療器具の洗浄時のすすぎが不十分であっても、洗浄剤、消毒剤等の干渉物質の残留濃度が、1重量%程度にまで到達する場合は想定し難い。従って、本発明の検出方法に対する、洗浄剤、消毒剤等の干渉物質が及ぼす影響は、問題ないと思われる。
(手術器具の測定1)
剪刀(全長約15cm)に、人血0.5mlを塗布した後、表7に示すように、様々な条件のもとで洗浄を行った。洗浄後の剪刀と、アルカリ性溶液(0.2N水酸化ナトリウム水溶液)10mlを、ポリエチレン製の袋に入れ、この袋を、50℃に保たれた恒温水槽に浸漬し、剪刀をアルカリ性溶液中で30分間浸漬振盪を行い、蛋白質(人血)の抽出を行った。こうして得られた抽出液1mlを、上述したように、クーマシーブリリアントブルーG−250溶液3ml中に添加して、25℃で20分間反応させた後、得られた接触液の595nmにおける吸光度測定を行った。この吸光度測定の結果から得られた蛋白質量を表7に示す。
なお、表7に示す処理1及び処理2は、以下に示すとおりである。
処理1:血液凝固防止剤〔株式会社イヌイメデイックス製、商品名:メディポールPS〕を噴霧する。
処理2:酵素系界面活性剤配合洗浄剤〔株式会社イヌイメデイックス製、メディポールEX−1〕と水道水を、0.5:99.5の重量比で混合した洗浄液を、超音波洗浄機〔シャープ株式会社製、品番:MU−624〕に入れ、40℃とされた洗浄液中に剪刀を浸漬し、10分間超音波洗浄を行う。
表7に示す洗浄条件4は、人血0.5mlを塗布した剪刀を処理1、処理2を行わずに、洗浄前に付着している蛋白質を定量したものである。
Figure 0004615966
表7の蛋白質量の測定結果が示すように、洗浄条件を明確に反映した結果が得られた。なお、この結果から、処理1(血液凝固防止剤を噴霧)を行うこと、特には、血液付着直後に行うことで、良好な付着物除去効果が得られることが判明した。
(手術器具の測定2)
吸引嘴管(全長約12cm、先端径約3mm)の内腔部分に、人血0.5mlを塗布し、12時間放置後、表8に示すように、様々な条件のもとで洗浄を行った。洗浄処理後の吸引嘴管と、アルカリ性溶液(0.2N水酸化ナトリウム水溶液)10mlを、ポリエチレン製の袋に入れ、この袋を、50℃に保たれた恒温水槽に浸漬し、吸引嘴管をアルカリ性溶液中で30分間浸漬振盪を行い、蛋白質の抽出を行った。こうして得られた抽出液1mlを、上述したように、クーマシーブリリアントブルーG−250溶液3ml中に添加して、25℃で20分間反応させた後、得られた接触液の595nmにおける吸光度測定を行い、この吸光度測定の結果から得られた蛋白質量を表8に示す。
なお、表8に示す処理3及び処理4は、以下に示すとおりである。
処理3:酵素系界面活性剤配合洗浄剤〔株式会社イヌイメデイックス製、商品名:メディポールEX−1〕と水道水を、0.5:99.5の重量比で混合した洗浄液を40℃とし、この中で、30分間浸漬する。
処理4:アルカリ系洗浄剤〔株式会社イヌイメデイックス製、メディポールF〕と水道水を、0.5:99.5の重量比で混合した洗浄液を、超音波洗浄機に入れ、40℃とされた洗浄液中に吸引嘴管を浸漬し、10分間超音波洗浄を行う。
Figure 0004615966
表8に示すように、吸引嘴管についても、洗浄条件を明確に反映した結果が得られた。
(手術器具の測定3)
実際に、手術で使用した止血鉗子(全長約14cm)を、表9に示すように、様々な条件のもとで洗浄を行った。洗浄処理後の止血鉗子と、アルカリ性溶液(0.2N水酸化ナトリウム水溶液)10mlを、ポリエチレン製の袋に入れ、この袋を、50℃に保たれた恒温水槽に浸漬し、止血鉗子をアルカリ性溶液中で30分間浸漬振盪を行い、蛋白質の抽出を行った。こうして得られた抽出液1mlを、上述したように、クーマシーブリリアントブルーG−250溶液3ml中に添加して、25℃で20分間反応させた後、得られた接触液の595nmにおける吸光度測定を行い、この吸光度測定の結果から得られた蛋白質量を表9に示す。
なお、表9に示す処理5〜処理7は、以下に示すとおりである。
処理5:血液凝固防止剤〔株式会社イヌイメデイックス製、商品名:メディポールPS〕を噴霧する。
処理6:ブラッシング
処理7:アルカリ系洗浄剤〔株式会社イヌイメデイックス製、メディポールF〕と水道水を、0.5:99.5の重量比で混合した洗浄液を、超音波洗浄機に入れ、40℃とされた洗浄液中に吸引嘴管を浸漬し、15分間超音波洗浄を行う。
Figure 0004615966
表9に示すように、洗浄条件に反映した結果が得られた。止血鉗子は、比較的、血液の付着が少ないものであるが、表9に示す結果からも実証された。
手術器具の測定1〜3の結果から、本実施例の検出方法は、医療の現場で要求される検出精度を十分に備えるものであるといえる。
蛋白質染色剤として、クーマシーブリリアントブルーG−250を用いた場合における、蛋白質濃度−吸光度の検量線を示すグラフである。

Claims (4)

  1. アルカリ性溶液が注入された耐アルカリ性の袋の中に医療器具を入れ、この袋を恒温水槽に浸漬して蛋白質を抽出する工程と、
    前記蛋白質抽出工程で得られた抽出液と、クーマシーブリリアントブルーG−250とを接触させる工程と、
    前記工程で得られた接触液の吸光度を測定する工程と、
    を有することを特徴とする蛋白質の検出方法。
  2. 前記アルカリ性溶液が、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムの溶液であることを特徴とする請求項1に記載の蛋白質の検出方法。
  3. 前記アルカリ性溶液の濃度が、0.05〜2Nであることを特徴とする請求項1又は2に記載の蛋白質の検出方法。
  4. 前記蛋白質抽出工程が、25〜90℃において行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の蛋白質の検出方法。
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