JP3165668B2 - 蛋白固着物の検出方法と検出キット - Google Patents

蛋白固着物の検出方法と検出キット

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JP3165668B2
JP3165668B2 JP29465397A JP29465397A JP3165668B2 JP 3165668 B2 JP3165668 B2 JP 3165668B2 JP 29465397 A JP29465397 A JP 29465397A JP 29465397 A JP29465397 A JP 29465397A JP 3165668 B2 JP3165668 B2 JP 3165668B2
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鉦三 矢野
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クリーンケミカル株式会社
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  • Investigating Or Analyzing Non-Biological Materials By The Use Of Chemical Means (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By The Use Of Chemical Reactions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療機関で用いる
各種医療器具、食品分野や医薬品分野における液状物を
取り扱う製造ラインの多様な構成器材等、使用中に蛋白
質の汚れが付着する可能性のある種々の物品について、
該物品表面の蛋白固着物の有無ないし固着度合を簡単に
且つ確実に検出する検出方法と、この検出方法に利用す
る検出キットに関する。
【0002】
【従来技術とその課題】医療機関で用いる各種医療器
具、とりわけ内視鏡、ラパコレ鉗子(腹腔鏡手術用鉗
子)、生検鉗子、吸引管、カテーテル、シリンジ(注射
器)、注射針等の中空部を有する医療器具は、その使用
時に患者の体液成分や生体組織片が付着するが、中空部
内の汚れの残留の有無が通常の目視や比色手段では確認
できないため、洗浄・滅菌による再生使用が非常に困難
な器材となっている。
【0003】例えば、上下部消化器や気管支等を切術な
しに診察治療するのに使用されている内視鏡では、鉗子
チャンネルと呼ばれる生検鉗子挿入チャンネルを持つ
が、このチャンネルは汚物吸引口も兼ねており、その内
部に血液、胃液、胆汁、唾液、生体組織片等が付着蓄積
し易く、これら付着物が洗浄によって除去されずに残る
と、不衛生なことは勿論のこと、次工程の滅菌処理に重
大な影響を及ぼすことになる。
【0004】すなわち、内視鏡の殺菌消毒には一般的に
グルタールアルデヒドを2〜3%に希釈した液が汎用さ
れており、このグルタールアルデヒドは、一般細菌、
黴、結核菌、芽胞等の広範囲の病原性微生物に対して強
い殺菌効果を示す優れた殺菌剤であるが、蛋白質を短時
間で変性凝固させるという性質がある。従って、内視鏡
の滅菌処理の際、鉗子チャンネル内に蛋白質が付着して
いると、この蛋白質がグルタールアルデヒドとの接触に
よって変性凝固して内壁に固着することになり、この固
着物の表面部はグルタールアルデヒドにて殺菌消毒され
ても、固着物の内部、特に底部まで薬液が届かない可能
性は否定できず、完全な殺菌消毒状態に至らない場合が
充分に考えられる。
【0005】無論、内視鏡を取り扱う殆どの医療機関で
は専用のブラシによって鉗子チャンネルをブラッシング
して洗浄する方法を採っているが、現状では蛋白質が実
際に完全除去されているか否かを直接に確認する手段は
なく、間接的に内部の清浄度を調べる程度であるため、
殺菌消毒に対する信頼性は完全であるとは言い難く、近
年において大きな問題となっている院内感染の一つの原
因になることが懸念される。しかして、このような問題
は、内視鏡以外の中空部を有する医療器具でも同様であ
る。
【0006】前記の間接的に清浄度を調べる手段として
は、内部の細菌類の数を測定する方法や、潜血反応を利
用して血中のヘモグロビン濃度を測定する方法がある
が、前者の方法では既述のグルタールアルデヒドとの接
触で変性凝固した蛋白質中の細菌群は検出できず、また
後者の方法では血液以外の胆汁や胃液等に由来する汚れ
を検出できない。
【0007】なお、物品表面に固着した蛋白質を検出す
る一般的な手段として、強アルカリによって(多くの場
合は加熱を伴って)蛋白質を溶解するか、あるいは強酸
によって蛋白質を分解すると共に溶解剥離し、その溶解
した蛋白質及びその分解物を回収し、その蛋白質量をケ
ルダール(Kjeldahl)法やローリー(Lowly)法によって
分析する方法がある。前者のケルダール法は、難溶性固
形試料等を対象とする場合に特に有効な方法であり、試
料中の窒素含有量を求めて蛋白質量に換算する。後者の
ローリー法は、フェノール試薬が蛋白質中の還元性アミ
ノ酸(チロシン、トリプトファン、システイン)によっ
て青色に呈色することを利用して蛋白質を定量する方法
である。
【0008】しかるに、上記の蛋白質の溶解・分析手段
は、検査対象とする物品表面が強アルカリや熱、強酸に
弱い材質である場合は適用できず、また例えば通常の内
視鏡の本体部のように、検査部分には問題はなくとも付
属部分が侵され易い材質である場合、その付属部分への
強アルカリや強酸の接触を防止する必要があるが、その
手立てを講じることが極めて困難である上、強い薬品を
取扱うために作業自体に危険を伴い、しかも回収液を分
析するためにPH調整や妨害物質の除去等の前処理を必
要として操作的にも非常に煩雑であるといった多くの難
点がある。従って、このような溶解・分析手段は実用的
とは言えず、とりわけ医療機関等において現実的に採用
することは不可能であった。
【0009】一方、食品分野や医薬品分野において蛋白
質成分を含む液状物を取り扱う製造ラインでは、配管内
部、各種の弁部、ポンプ、ドレン、攪拌槽、貯留槽等の
接液部に蛋白質を含む粕が付着するが、この付着物の変
質や腐敗は衛生上及び製品品質上で重大な問題になるた
め、近年においてはサニタリー仕様として消毒洗浄機構
を付設し、操業終了の都度あるいは定期的に接液部に消
毒洗浄液を送り込んで付着物の除去及び殺菌を行うこと
が一般化している。しかしながら、このような消毒洗浄
を行っても、移送・貯蔵ラインの殆どの接液部は外部か
ら視認できず、実際に付着物が完全除去されているか否
かは確認できないため、やはり衛生上の懸念は残ること
になる。
【0010】本発明は、上述の状況に鑑み、医療機関で
用いる各種医療器具、食品分野や医薬品分野における液
状物の移送ラインや貯留部の構成器材等、使用中に蛋白
固着物を生じる可能性のある種々の物品について、洗浄
等による蛋白固着物の除去が完全になされているか否か
を確実に且つ容易に判定できる手段を提供し、もって再
生使用する医療器具の蛋白汚れの残留に起因した院内感
染等の危険性を排除し、検査治療の信頼性ならびに器材
の再生利用率の向上に貢献し、また食品分野や医薬品分
野における安全衛生上の懸念を払拭することを目的とし
ている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1に係る蛋白固着物の検出方法は、
蛋白質が固着している可能性のある物品表面に酸性色素
溶液を接触させたのち、この酸性色素溶液を物品表面か
ら洗浄除去し、洗浄後の物品表面に所定量のアルカリ性
抽出液を接触させ、この抽出液を回収し、該抽出液中に
溶出する酸性色素によって前記物品表面の蛋白固着物の
有無ないし固着度合を検出することを特徴としている。
【0012】この検出方法によれば、検査対象の物品表
面に蛋白固着物が存在している場合、この固着物が酸性
色素溶液に接触することにより、蛋白質分子のアミノ基
(−NH2 )が(−NH3 + )となって酸性色素と結合
する。次いで、洗浄によって上記結合に関与しない酸性
色素を除去したのち、アルカリ性抽出液と接触すると、
前記蛋白質に結合していた酸性色素が離れて当該抽出液
中に溶出するから、この抽出液を回収して酸性色素によ
る着色があるか否かを調べることにより、蛋白固着物の
有無を確実に判定できる。また、酸性色素は物品表面に
付着している蛋白質の量に対応して結合量が略比例的に
増減するから、抽出液中に溶出した酸性色素の量に基づ
いて蛋白固着物を定量検出することも可能となる。
【0013】請求項2の発明は、上記請求項1の検出方
法における蛋白質が固着している可能性のある物品は検
査又は治療に使用後に洗浄を施した医療器具である構成
としている。また、請求項3の発明は、上記請求項2の
検出方法における医療器具が医療器具は内面に蛋白質が
固着している可能性のある中空部を有するものであり、
この中空部内の蛋白固着物の有無ないし固着度合を検出
する構成としている。これらの構成によれば、特に再生
使用する医療器具の安全性を確固たるものとできるか
ら、検査治療の信頼性を著しく高め得ると共に、従来で
は再生利用できなかった医療器具についても細菌汚染等
の懸念なく使用可能となる。
【0014】更に、請求項4の発明は、上記請求項1〜
3のいずれかの検出方法における酸性色素がアミドブラ
ック10Bである構成、請求項5の発明は同請求項1〜
4のいずれかの検出方法における酸性色素溶液の接触後
の洗浄を弱酸性水溶液にて行う構成、請求項6の発明は
同請求項1〜5のいずれかの検出方法におけるアルカリ
性抽出液が濃度0.001〜2Nの希アルカリ水溶液で
ある構成、をそれぞれ採用している。これらの構成によ
れば、いずれも蛋白汚れの検出精度及び信頼性がより向
上することになる。
【0015】また、前記請求項1〜6のいずれかの検出
方法において、請求項7の発明では、回収したアルカリ
性抽出液の吸光度を測定し、この測定値を、同じ酸性色
素によって予め測定した蛋白質量−吸光度の相関と対比
することにより、物品表面の蛋白固着物を定量する構成
とし、同じく請求項8の発明では、回収したアルカリ性
抽出液の色合いを、同じ酸性色素を用いて予め作成した
蛋白質量−色合いの相関を表す比色ゲージと対比するこ
とにより、物品表面の蛋白固着物の固着度合を判定する
構成としている。これら請求項5,6の構成では、蛋白
汚れの有無と程度を簡単に且つ確実に判定できる。な
お、請求項7で吸光度の測定値と対比する蛋白質量−吸
光度の相関は、例えば標準検量線や数式として表せる。
【0016】一方、本発明の請求項9に係る蛋白固着物
の検出キットは、蛋白質が固着している可能性のある物
品表面に接触させるための酸性色素溶液からなる呈色液
と、この接触後の呈色液を洗い流すための洗浄液と、こ
の洗浄後の物品表面に固着した蛋白質に結合していた酸
性色素を抽出するためのアルカリ性抽出液と、呈色液に
用いられる酸性色素による蛋白質量−色合いの相関を表
し、前記物品表面への接触後に回収される抽出液の色合
いを対比して蛋白固着物の有無ないし固着度合を判定す
るための比色ゲージと、を具備してなるものとしてい
る。この検出キットによれば、蛋白固着物の検出を行う
際に薬液の調合や希釈等の手間が不要であり、且つ比色
ゲージによって蛋白固着物の有無及び固着度合を極めて
簡易に判定できる。
【0017】また請求項10の発明に係る蛋白固着物の
検出キットは、上記請求項9の比色ゲージの代わりに、
呈色液に用いられる酸性色素による蛋白質量−吸光度の
相関を表す標準検量線又は相関数式が表記され、物品表
面への接触後に回収される抽出液の吸光度の測定値を対
比して蛋白固着物を定量するための表示物を具備する構
成としている。従って、前記請求項9の場合と同様に蛋
白固着物の検出を行う際に薬液の調合や希釈等の手間が
不要であると共に、回収される抽出液の吸光度を測定
し、その測定値を前記標準検量線又は相関数式に当ては
めるだけで、蛋白固着物の確実な定量を行える。
【0018】請求項11の発明は、上記請求項9又は1
0の検出キットにおいて、呈色液、洗浄液、抽出液の各
々を収容した容器と、これら容器内の液を採取する多数
本の合成樹脂製スポイトとを具備してなる構成としてい
る。この場合、特に検査対象が中空部を有する医療器具
である場合に、その中空部にスポイトによって各液を簡
単に注入でき、また医療機関で格別に容器や注入器具等
を準備する必要がないから、蛋白固着物の検出がより容
易となる。
【0019】
【発明の実施の形態】この発明に係る蛋白固着物の検出
方法は、蛋白質分子のアミノ基が酸性領域で酸性色素と
定量的に結合する性質と、蛋白質と結合していた酸性色
素がアルカリによって容易に抽出される性質とを利用し
たものである。その具体的手法は、蛋白固着物が存在す
る可能性のある物品表面に酸性色素溶液を接触させたの
ち、この酸性色素溶液を洗浄除去し、洗浄後の物品表面
に所定量のアルカリ性抽出液を注入し、この抽出液を回
収し、該抽出液中に溶出する酸性色素により蛋白固着物
の有無ないし固着度合を検出することよりなる。
【0020】この検出方法は、その使用によって蛋白質
が固着する可能性があるもの全て物品が適用対象となる
が、特に検査や治療に使用することによって患者の血液
や唾液、胃液や胆汁の如き内分泌液、生体組織片、排泄
物等が付着する可能性があって、使用後に洗浄及び殺菌
消毒を行って再生使用するような医療器具、とりわけ蛋
白汚れを外部から確認しにくい中空部を有する医療器具
への適用価値が高い。このような中空部を有する医療器
具としては、その中空部が管状、筒状、孔状、タンク状
等の種々の形態であるものを包含し、また全体が管状等
の中空形状であるものの他、器具の付属品として管状等
の中空部材を有するものでもよい。その代表例として
は、内視鏡、ラパコレ鉗子、生検鉗子、吸引管、カテー
テル、注射針等が挙げられる。しかして、この検出方法
は、検査や治療に使用後の医療器具を洗浄した段階で適
用してもよいし、洗浄後の滅菌消毒を終えた段階で適用
してもよい。
【0021】医療器具以外の適用物品としては、食品分
野や医薬品分野等で蛋白質成分を含む液状物を取り扱う
製造ラインの多様な構成器材が代表的なものとして挙げ
られる。すなわち、この製造ラインにおける配管内部、
各種の弁部、ポンプ、ドレン、攪拌槽、貯留槽等の接液
部には蛋白質を含む粕が付着するため、一般に操業終了
の都度あるいは定期的に接液部に消毒洗浄液を送り込ん
で付着物の除去及び殺菌を行っているが、これら接液部
の殆どは外部から視認できず、実際に付着物が完全に除
去されているか否かは確認できない。従って、上記の消
毒洗浄を行っても残留した付着物の変質や腐敗の懸念は
少なからずあるが、本発明の検出方法を適用することに
よって消毒洗浄が完全であるか否かを確実に判定でき
る。しかして、これら構成器材に本発明の検出方法を適
用する場合、酸性色素溶液、洗浄液、アルカリ性抽出液
の検査部位への送り込みと排出及び回収は、前記の消毒
洗浄液の供給・排出ラインを利用して行える。
【0022】なお、本発明の蛋白固着物の検出方法は、
酸性色素による染色抽出法であるため、共染性つまり酸
性色素による染色を生じる性質がある材料には適用でき
ない。この共染性を有する材料は、繊維質材料やウレタ
ンスポンジの如き多孔質のものと、ポリアミド(ナイロ
ン66)のように素材自体がカチオニックの電位を帯び
るものとに大別されるが、他の材料でも酸性色素の種類
によって共染性の有無及び度合の違いがある。
【0023】上記の酸性色素としては、アミドブラック
10B(Color Index No.20470)、コマジーブリリアン
ト青R−250(同 No.4266)、ポンソー3R等が使用
可能である。しかして、これら酸性色素の中でも、アミ
ドブラック10B、つまり1−アミノ−2−ジアゾ(p
−ニトロフェニル)−7−ジアゾフェニル−8−ナフト
ール−3・6−ジスルホン酸ナトリウムは、蛋白質との
定量的な結合性、希アルカリ溶液に対する溶出性に優
れ、また次の表1に示すように共染色性のある材料種が
少ないことから、特に好適である。これに対し、コマジ
ーブリリアント青R−250は、蛋白質と結合する感度
に優れるものの、プラスチック類に対して共染色性を示
すため、対象とする医療器具の材質的制約が大きい。ま
たポンソー3Rは、蛋白質と結合する感度が低いため、
信頼性に劣る。
【0024】
【表1】
【0025】使用する酸性色素溶液(呈色液)は、酸性
色素の濃度が高過ぎるとアルカリ水溶液による抽出性が
低下すると共に共染性が高くなり、逆に低過ぎると蛋白
質との結合が定量的に行われにくくなるため、0.05
〜0.5%程度の濃度範囲が好適である。また、その溶
媒は、水又は低級アルコール水溶液に、液PHを4以下
とする程度の酢酸等の弱酸成分を加えたものが好適であ
る。しかして、上記の低級アルコール水溶液を用いた場
合は、蛋白汚れの固着物に対する浸透性及び濡れ性が向
上するという利点がある。なお、低級アルコール水溶液
におけるアルコール濃度は、高過ぎては危険物として取
扱い上の問題があるため、70%以下とするのがよい。
【0026】上記の酸性色素溶液を物品表面に接触後、
該酸性色素溶液を洗浄除去する際に使用する洗浄液とし
ては、検査対象とする物品表面の大きさから使用量が非
常に多くなる場合には水道水等の水でも差支えないが、
水道水では含有する塩素による酸性色素への影響が懸念
されることや、蛋白固着物に結合した酸性色素が酸性下
で安定することから、酸性水が推奨される。この酸性水
としては、特に制約はないが、PH2〜5程度の弱酸性
としたものがよく、特に取扱い性等より濃度0.5〜3
%程度の酢酸水溶液が好適である。しかして、洗浄は排
出される洗浄液が完全に無色透明になるまで行う。
【0027】上記の洗浄後の中空部内に注入するアルカ
リ性抽出液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、燐酸ナトリウム、
燐酸カリウム等の水溶液が好適であり、特に濃度0.0
01〜2N程度の希アルカリ水溶液が推奨される。この
抽出液のアルカリ度が低過ぎると酸性色素の抽出性が不
充分になり、逆に高過ぎては取扱い性が悪くなると共に
検査対象とする物品の材質上の制約が大きくなる。な
お、抽出液の使用量は対象とする物品表面の大きさ(中
空部では容積)に応じて調節するが、この大きさに対し
て相対的に少ない液量では抽出の感度が高くなり、逆に
多い液量では測定可能な蛋白質量の上限が上がるから、
経験的に判明する平均的な蛋白固着物の固着度合に応じ
て相対的な使用液量を設定すればよい。
【0028】物品表面に接触させた抽出液は、適当な透
明性容器に受け取って回収し、この回収液が着色してい
るか否かを調べることにより、該物品表面の蛋白固着物
の有無を判定する。そして、完全に非着色であれば、そ
の物品表面には蛋白固着物が存在しないことになるか
ら、医療器具では滅菌消毒工程を経て安全に再生使用で
き、また前記の食品分野や医薬品分野等における製造ラ
インでは問題なく次回の使用を行える。無論、着色が認
められた場合は、蛋白固着物が存在することになり、医
療器具においては、滅菌消毒工程を経ても再生使用には
不適格であるから、洗浄工程へ戻して充分な洗浄を行
い、しかる後もしくは殺菌消毒を経た後に再び同様の検
出方法によって蛋白固着物の有無を調べる、という操作
を上記着色が認められなくなるまで繰り返す必要があ
る。また、前記製造ラインでは、対応する構成器材の消
毒洗浄と上記の検出を蛋白固着物が完全に除去されるま
で繰り返し行うか、場合によっては分解して清掃、消毒
する。
【0029】蛋白固着物の固着度合は前記回収液(抽出
液)の着色度合によって経験的にも推定できるが、蛋白
質に対して酸性色素が定量的に結合することから、この
回収液を利用して、その吸光度に基づいて蛋白固着物の
量を簡単に定量検出したり、該蛋白固着物の有無及び固
着度合を比色によって容易に判定することが可能であ
る。しかして、これら吸光度測定や比色によって蛋白固
着物の固着度合が判明すれば、その結果から使用後の物
品に適用している現状の洗浄手段の適否が判明する。従
って、蛋白固着物の量が多い場合は、洗浄工程における
各種条件、手法、使用する洗浄器具、洗浄剤の種類や濃
度及び量等を適宜変更し、改めて同様の定量検出を行っ
て比較検討することにより、最も良好な結果が得られる
洗浄マニュアルを究明できる。
【0030】吸光度による定量検出法は、前記の回収液
について使用した酸性色素に特有の吸収波長域における
吸光度を測定し、同じ酸性色素によって予め測定した蛋
白質量と吸光度との相関と対比することにより、前記中
空部内の蛋白汚れを定量するものである。例えば、アミ
ドブラック10Bは620nmに吸収波長域があるか
ら、牛血清アルブミン等を蛋白質試料として適当な基材
に種々の付着量で付着させ、その各々について、各液の
使用量や接触時間等の条件を実際の検出方法と同様にし
て、アミドブラック10B溶液による着色、洗浄、アル
カリ性水溶液による抽出を行い、各抽出液の620nm
における吸光度を測定し、蛋白質量−吸光度の標準検量
線もしくは相関数式を作成しておけば、実際の検出にて
得られた回収液の吸光度測定値を該検量線と単に比較す
るか、該数式に当てはめて計算するだけで、極めて簡単
に蛋白汚れを定量できる。次に標準検量線の作製例と、
この吸光度による定量検出法の信頼性評価試験を示す。
【0031】〔標準検量線の作製例〕牛血清アルブミン
をメンブランフィルター(Millipore 社製の商品名Type
HA)に各付着量で付着させ、その各々について、酢酸
−エタノール−水(容積比1:5:4)混合溶媒に0.
1W/V %のアミドブラック10Bを溶解させた呈色液で
着色し、1%酢酸水溶液にて完全に洗浄後、0.1N水
酸化ナトリウム水溶液でアミドブラック10Bを抽出
し、この抽出液を回収して620nmにおける吸光度を
測定したところ、表2で示す結果が得られた。図1に、
この測定結果をプロットして作製した標準検量線を示
す。
【0032】
【表2】
【0033】〔信頼性評価試験〕人為的に牛血清アルブ
ミンを各々異なる量で塗布したフッ素樹脂(テフロン)
チューブA〜Fについて、上記の標準検量線の作製例と
同様にして、アミドブラック10B呈色液による着色、
酢酸水溶液による洗浄、水酸化ナトリウム水溶液による
抽出、620nmにおける吸光度測定を行う操作を、各
々5回繰り返した。その各5回の吸光度の測定値とその
平均値を次の表3に示す。
【0034】
【表3】
【0035】図1に示す標準検量線は極めて直線的であ
ることから、アミドブラック10Bは蛋白質に対する定
量的結合性に優れることが判る。また、表3より、アミ
ドブラック10Bの吸光度測定は、蛋白質量の多少に関
わらず測定値の変動幅が非常に小さいことから、蛋白固
着物の定量検出手段として高い信頼性を持つことが明ら
かである。
【0036】一方、比色による蛋白汚れの検出・評価法
は、牛血清アルブミン等を蛋白質試料として適当な基材
に種々の付着量(ゼロを含む)で付着させ、その各々に
ついて、各液の使用量や接触時間等の条件を実際の検出
方法と同様にして、酸性色素溶液による着色、洗浄、希
アルカリ溶液による抽出を行い、回収した各抽出液の色
を正確に再現した蛋白質量毎(ゼロを含む)の色表示を
印刷やカラー写真にて紙面等に表して比色ゲージとし、
実際の検出方法にて得られた回収液(抽出液)の色を該
比色ゲージと比較して蛋白汚れの有無及び程度を判定す
るものであり、前者の吸光度による定量検出法よりも更
に簡易である。
【0037】本発明に係る蛋白固着物の検出キットの第
一は、上記の比色ゲージを利用した蛋白汚れの検出・評
価法を多忙な医療現場等においても容易に実施できるよ
うに、蛋白質が固着している可能性のある物品表面に接
触させるための酸性色素溶液からなる呈色液と、この接
触後の呈色液を洗い流すための洗浄液と、この洗浄後の
物品表面に固着した蛋白質に結合していた酸性色素を抽
出するためのアルカリ性抽出液と、呈色液に用いられる
酸性色素による蛋白質量−色合いの相関を表し、前記物
品表面への接触後に回収される抽出液の色合いを対比し
て蛋白固着物の有無ないし固着度合を判定するための比
色ゲージと、をワンセットにしたものである。また、同
検出キットの第二は、上記同様の呈色液、洗浄液、抽出
液を備えるが、第一の検出キットの比色ゲージの代わり
に、呈色液に用いられる酸性色素による蛋白質量−吸光
度の相関を表す標準検量線又は相関数式が表記され、物
品表面への接触後に回収される抽出液の吸光度の測定値
を対比して蛋白固着物を定量するための表示物を具備す
るものである。
【0038】しかして、上記第一及び第二の検出キット
としては、特に呈色液、洗浄液、抽出液の各々を収容し
た容器と、これら容器内の液を採取する多数本の合成樹
脂製スポイトとを具備するものが好適である。すなわ
ち、このような検出キットでは、特に検査対象が中空部
を有する医療器具である場合に、その中空部にスポイト
によって各液を簡単に注入でき、また医療機関で格別に
容器や注入器具等を準備する必要がないから、蛋白固着
物の検出がより容易となる。以下に、呈色液、洗浄液、
抽出液を各々収容した容器(図示省略)と、上記スポイ
トと、比色ゲージと、回収した抽出液を入れる透明性容
器と、比色ゲージとからなる検出キットを用いた医療器
具の蛋白汚れの検出及び評価法について、図2を参照し
て具体的に説明する。
【0039】図2(A)〜(D)において、1A〜1C
は略円筒状の胴部10の一端に細長い注入口11を設け
た半硬質合成樹脂製のスポイトであり、スポイト1Aに
は呈色液Aが、スポイト1Bには洗浄液Bが、スポイト
1Cには抽出液Cが、それぞれ各液を収容した容器(図
示省略)から検査1回分の使用分量で採取されている。
2は蛋白質量毎の色表示2a…を紙面に印刷した比色ゲ
ージ、3は試験管型の透明性容器である。4は検査対象
とする医療用管状器具の一例であるラパコレ鉗子であ
り、金属製の鉗子本体40の基端側の操作部40aと先
端側の開閉部40bとの間の長尺中間部に、ポリ塩化ビ
ニル等からなるチューブ41が套嵌され、該チューブ4
1の前記操作部40a側に近い位置に分岐状の洗浄ポー
ト41aを有している。しかして、このラパコレ鉗子4
は、腹腔鏡手術に使用したのち、所定の洗浄を施して乾
燥したものである。
【0040】ラパコレ鉗子4の蛋白汚れを検出・評価す
るには、まず図2(イ)に示すように、該鉗子4を開閉
部40b側が下になるように保持し、スポイト1Aの注
入口11を該鉗子4の洗浄ポート41aに液漏れのない
ように差し込み、該スポイト1Aを指でゆっくりと押圧
して内部の呈色液Aをチューブ41内に充満させる。次
いで同図(ロ)に示すように、スポイト1Aに代えてス
ポイト1Bの注入口11を差し込み、該スポイト1Bを
ゆっくりと押圧して内部の洗浄液Bをチューブ41内に
注入することにより、該洗浄液Bを先の呈色液Aと共に
チューブ41の下端から押し流し、この流出する液が完
全に無色透明なった段階で注入を止め、チューブ41の
内部に残った液をよく振り切る。しかるのち、同図
(ハ)に示すように、鉗子4の開閉部40b側を透明性
容器3で受けた状態で、スポイト1Cの注入口11を同
様にして該鉗子4の洗浄ポート4aに液漏れのないよう
に差し込み、該スポイト1Cをゆっくりと押圧して内部
の抽出液Cをチューブ41内に注入し、この抽出液Cの
全量を透明性容器3に回収し、この回収液C’の色を同
図(ニ)に示すように比色ゲージ2の色表示2a…と比
べることにより、蛋白汚れの有無と程度を判定する。
【0041】
【実施例】以下に、本発明に係る蛋白汚れ検出方法の実
施例を示す。
【0042】実施例1 耳鼻咽喉科の咽喉部検査に使用して洗浄後に乾燥した吸
引管(全長約15cm、内径約3mm)を一端側で鉗子
により保持し、上向きにした一端開口部に、酢酸−エタ
ノール−水(1:5:4)混合溶媒に0.1W/V %のア
ミドブラック10Bを溶解させた呈色液5mlを採取し
たスポイトの注入口を液漏れがないように挿嵌し、この
スポイトをゆっくりと押圧して呈色液を吸引管内に流し
込んで充満させ、次いで1%酢酸水溶液からなる洗浄液
15mlを封入したスポイトに付け替え、このスポイト
をゆっくりと押圧して洗浄液を管内に流し込み、下端開
口部から流出する液が完全に無色透明になったことを確
認して流し込みを停止し、外部の余分な付着液を拭き取
ると共に内部に残った液をよく振り切って除去した。し
かるのち、0.1N水酸化ナトリウム水溶液よりなる抽
出液5mlを封入したスポイトに付け替え、下端開口部
を透明性容器で受けた状態で、このスポイトをゆっくり
と押圧して抽出液の全量を管内に流し込んで透明性容器
に回収した。この回収液の620nmにおける吸光度を
測定したところ、0.113という値が得られた。この
値を図1の標準検量線に対比することにより、吸引管の
内部には28.4μgの蛋白汚れが存在することが判明
した。
【0043】実施例2 上部消化管内視鏡検査に使用して洗浄後に乾燥した軟性
内視鏡(鉗子チャンネル内径2.8mm、有効全長約1
m)の鉗子口(生検鉗子挿入口)に、光源コネクター方
向へ液が流れるのを防ぐために、2.8mm径のアダブ
ターを10cm程度差し込み、20mlシリンジに実施
例1と同様のアミドブラック10Bを溶解した呈色液5
ml及び空気15mlを採り込み、このシリンジを前記
アダプターに装着して呈色液をゆっくり流し込み、更に
シリンジ内の空気を送り込んで呈色液を流し切った。次
いで、別の20mlシリンジに実施例1と同様の希酢酸
溶液からなる洗浄液を採取し、このシリンジを前記アダ
プターに装着して洗浄液をゆっくりと流し込む操作を、
内視鏡挿入部先端から流出する液が無色透明になるまで
繰り返した。しかるのち、別の20mlシリンジに実施
例1と同様の希アルカリ溶液からなる抽出液5ml及び
空気15mlを採り込み、このシリンジを前記アダプタ
ーに装着すると共に、内視鏡挿入部先端に透明性容器を
当てがい、シリンジより抽出液をゆっくりと流し込み、
この抽出液の全量を透明性容器に回収した。この回収液
の620nmにおける吸光度を測定したところ、0.2
17という値が得られた。この値を図1の標準検量線に
対比することにより、内視鏡の鉗子チャンネル内部には
54.6μgの蛋白汚れが存在することが判明した。
【0044】
【発明の効果】請求項1の発明に係る蛋白固着物の検出
方法によれば、使用に伴って表面に蛋白質が固着する可
能性のある種々の物品について、使用後に洗浄及び殺菌
消毒を経て再使用する前に、該物品表面に酸性色素溶液
を接触させたのち、該酸性色素溶液を洗浄除去してアル
カリ性抽出液を注入し、この抽出液を回収して液中に溶
出する酸性色素により蛋白固着物の有無ないし固着度合
を検出することから、該物品表面の蛋白固着物が完全に
除去されているか否かを確実に且つ容易に判定できる。
従って、この検出方法の適用により、当該物品の再使用
に問題がないか否かが簡単に判ると共に、該物品の使用
後に施される洗浄手段の適否が判明するから、その結果
に基づいて洗浄手段の種々の条件設定や洗浄方法自体の
変更を行える。
【0045】請求項2の発明によれば、上記の検出方法
を医療器具に適用することから、検査や治療等に使用後
に洗浄及び殺菌消毒を経て再生使用する医療器具につい
て、その洗浄によって蛋白汚れが完全に除去されている
か否かを確実に且つ容易に判定でき、再生使用する医療
器具の安全性を確固たるものとできるから、医療器具の
汚染に起因した院内感染等の危険性を確実に排除して検
査治療の信頼性を著しく高め得ると共に、従来では再生
利用できなかった医療器具についても細菌汚染等の懸念
なく使用可能となり、省資源及びコスト低減に大きく貢
献できる。
【0046】請求項3の発明によれば、上記の検出方法
を例えば内視鏡、ラパコレ鉗子、生検鉗子、吸引管、カ
テーテル、シリンジ(注射器)、注射針等の中空部を有
する医療器具に適用することから、検査や治療に使用後
に洗浄を施しても外部から洗浄結果を確認できないこれ
ら医療器具の中空部について、その蛋白汚れ完全に除去
されているか否かを確実に且つ容易に判定でき、再生使
用する医療器具の安全性を確固たるものとできる。
【0047】請求項4の発明によれば、上記の検出方法
において、前記呈色液の酸性色素としてアミドブラック
10Bを使用することから、蛋白固着物の検出の信頼性
がより高くなると共に、材質による制約が少なく広範な
物品に本検出方法を適用できるという利点がある。。
【0048】請求項5の発明によれば、上記の検出方法
において、酸性色素溶液の接触後の洗浄を酸性水にて行
うから、この洗浄時に蛋白固着物に結合している酸性色
素の脱色や解離を生じることなく、余分な酸性色素を確
実に除去でき、もって蛋白固着物の検出の信頼性がより
高くなるという利点がある。
【0049】請求項6の発明によれば、上記の蛋白汚れ
検出方法において、アルカリ性抽出液として0.001
〜2Nの希アルカリ水溶液を用いることから、蛋白質に
結合した酸性色素をより確実に抽出でき、また抽出液の
取扱いを安全に行えると共に適用対象とする物品の材質
面の制約が少なくなるという利点がある。
【0050】請求項7の発明によれば、上記の検出方法
において、回収した抽出液の吸光度を測定し、予め求め
ておいた蛋白質量と吸光度との相関と比較して蛋白固着
物を定量検出することから、蛋白固着物の有無と固着度
合を簡単に且つ確実に判定でき、検出の信頼性がより高
くなると共に、この検出結果に基づいて使用後の物品に
施す洗浄の条件や具体的手法をより効果的に設定するこ
とが可能となる。
【0051】請求項8の発明によれば、上記の検出方法
において、回収した抽出液の色合いを、予め作成した蛋
白質量と色合いの関係を表す比色ゲージと対比すること
により、蛋白固着物の有無及び固着度合を判定すること
から、検出の信頼性がより高くなる上、判定を極めて簡
易に行え、また検出結果に基づいて使用後の物品に施す
洗浄の条件や具体的手法をより効果的に設定することが
可能となる。
【0052】請求項9の発明に係る蛋白固着物の検出キ
ットによれば、上記検出方法に用いる酸性色素溶液から
なる呈色液、洗浄液、アルカリ性抽出液と、前記比色ゲ
ージとがワンセットになり、蛋白固着物の検出に際して
薬液の調合や希釈、採液等の手間が不要であるから、時
間的及び人員的な余裕の少ない多忙な医療現場や食品あ
るいは医薬品の製造現場等においても無理なく前記検出
方法を採用でき、しかも蛋白固着物の有無及び固着度合
の判定を極めて簡単に行える。
【0053】請求項10の発明によれば、上記の検出キ
ットにおける比色ゲージの代わりに呈色液に用いられる
酸性色素による蛋白質量−吸光度の相関を表す標準検量
線又は相関数式を表記した表示物を具備するから、前記
同様に蛋白固着物の検出を行う際に薬液の調合や希釈等
の手間が不要であると共に、回収される抽出液の吸光度
を測定し、その測定値を前記標準検量線又は相関数式に
当てはめるだけで、蛋白固着物の確実な定量を行える。
【0054】請求項11の発明によれば、上記の傑出キ
ットにおいて、呈色液、洗浄液、抽出液の各々を収容し
た容器と、これら容器内の液を採取する多数本の合成樹
脂製スポイトとを具備するから、出液がそれぞれスポイ
トに封入されると共に、前記中空部へ注入した抽出液を
回収して比色ゲージとの色合いの対比を行うための透明
性容器を備えているから、特に検査対象が中空部を有す
る医療器具である場合に検出操作が容易であり、また医
療機関では格別に容器や注入器具等を準備する必要がな
いから前記検出方法検出をより採用し易くなるという利
点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の蛋白汚れ検出方法に使用するアミド
ブラック10Bによる蛋白質量−吸光度の標準検量線を
示すグラフである。
【図2】 本発明に係る蛋白汚れ簡易検出キットを用い
た検出方法の操作手順を示し、(ア)は呈色液の注入状
態、(ロ)は洗浄液による洗浄状態、(ハ)は抽出液の
注入及び回収状態、(ニ)は回収した抽出液の色合いを
比色ゲージと対する状態、をそれぞれ示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
A 呈色液 B 洗浄液 C 抽出液 1A〜1C スポイト 10 胴部 11 注入口 2 比色ゲージ 2a 色表示 3 透明性容器 4 ラパコレ鉗子 40 鉗子本体 41 チューブ 41a 洗浄ポート

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛋白質が固着している可能性のある物品
    表面に酸性色素溶液を接触させたのち、この酸性色素溶
    液を物品表面から洗浄除去し、洗浄後の物品表面に所定
    量のアルカリ性抽出液を接触させ、この抽出液を回収
    し、該抽出液中に溶出する酸性色素によって前記物品表
    面の蛋白固着物の有無ないし固着度合を検出することを
    特徴とする蛋白固着物の検出方法。
  2. 【請求項2】 蛋白質が固着している可能性のある物品
    は、検査又は治療に使用後に洗浄を施した医療器具であ
    る請求項1記載の蛋白固着物の検出方法。
  3. 【請求項3】 医療器具は内面に蛋白質が固着している
    可能性のある中空部を有するものであり、この中空部内
    の蛋白固着物の有無ないし固着度合を検出する請求項2
    記載の蛋白固着物の検出方法。
  4. 【請求項4】 酸性色素がアミドブラック10Bである
    請求項1〜3のいずれかに記載の蛋白固着物の検出方
    法。
  5. 【請求項5】 酸性色素溶液の接触後の洗浄除去を酸性
    水にて行う請求項1〜4のいずれかに記載の蛋白固着物
    の検出方法。
  6. 【請求項6】 アルカリ性抽出液が濃度0.001〜2
    Nの希アルカリ水溶液である請求項1〜5のいずれかに
    記載の蛋白固着物の検出方法。
  7. 【請求項7】 回収したアルカリ性抽出液の吸光度を測
    定し、この測定値を、同じ酸性色素によって予め測定し
    た蛋白質量−吸光度の相関と対比することにより、物品
    表面の蛋白固着物を定量する請求項1〜6のいずれかに
    記載の蛋白固着物の検出方法。
  8. 【請求項8】 回収したアルカリ性抽出液の色合いを、
    同じ酸性色素を用いて予め作成した蛋白質量−色合いの
    相関を表す比色ゲージと対比することにより、物品表面
    の蛋白固着物の固着度合を判定する請求項1〜6のいず
    れかに記載の蛋白固着物の検出方法。
  9. 【請求項9】 蛋白質が固着している可能性のある物品
    表面に接触させるための酸性色素溶液からなる呈色液
    と、この接触後の呈色液を洗い流すための洗浄液と、こ
    の洗浄後の物品表面に固着した蛋白質に結合していた酸
    性色素を抽出するためのアルカリ性抽出液と、呈色液に
    用いられる酸性色素による蛋白質量−色合いの相関を表
    し、前記物品表面への接触後に回収される抽出液の色合
    いを対比して蛋白固着物の有無ないし固着度合を判定す
    るための比色ゲージと、を具備してなる蛋白固着物の検
    出キット。
  10. 【請求項10】 蛋白質が固着している可能性のある物
    品表面に接触させるための酸性色素溶液からなる呈色液
    と、この接触後の呈色液を洗い流すための洗浄液と、こ
    の洗浄後の物品表面に固着した蛋白質に結合していた酸
    性色素を抽出するためのアルカリ性抽出液と、呈色液に
    用いられる酸性色素による蛋白質量−吸光度の相関を表
    す標準検量線又は相関数式が表記され、前記物品表面へ
    の接触後に回収される抽出液の吸光度の測定値を対比し
    て蛋白固着物を定量するための表示物とを備えてなる蛋
    白固着物の検出キット。
  11. 【請求項11】 呈色液、洗浄液、抽出液の各々を収容
    した容器と、これら容器内の液を採取する多数本の合成
    樹脂製スポイトとを具備してなる請求項9又は10に記
    載の蛋白固着物の検出キット。
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