JP2012168264A - 定着ベルト用基材、定着ベルト、定着装置、及び、画像形成装置 - Google Patents

定着ベルト用基材、定着ベルト、定着装置、及び、画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】厚さや硬さを部分的に変化させることなしに端部が強化されて耐久性の高い定着ベルトを可能とする定着ベルト用基材を提供する。
【解決手段】電鋳法により形成される定着ベルト用基材において、前記定着ベルト用基材が、りんを含有するニッケルにより構成され、前記定着ベルト用基材の両端部のりん含有量が、該定着ベルト用基材の中央部のりん含有量よりも高くされ、かつ、前記中央部から前記両端部に向かってりん含有量が増加するりん含有量の勾配が設けられていることを特徴とする定着ベルト用基材。
【選択図】図5

Description

本発明は、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリなどに用いられ、未定着トナー画像を定着させる定着装置において用いられる定着ベルト用の基材に関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真方式を採用する画像形成装置では、無端ベルトとして形成された定着ベルトを用いる。
このような定着ベルトを形成する基材は、定着装置で画像定着の際に必要とされる温度に対して充分な耐熱性を有することが求められ、このために電鋳によって形成されたニッケルを主成分とする無端ベルトが用いられてきた。
このような電鋳法による定着ベルト用基材として、充分な耐熱性、及び、電鋳終了時に形成された定着ベルト用基材を電鋳母型から脱型する際の脱型容易性(脱型性)が求められる。
ここで、特許第4414839号公報(特許文献1)では、ニッケルからなる基材中にりん、硫黄、及び、炭素を含有させることにより耐熱性と脱型性とを改善する方法が提案されている。
しかしながら、この方法で作成された基材を定着ベルトに用いた場合、耐久性が充分でなく、端部から切断してしまうと云う問題があった。
これに対して、特開2004−302390号公報(特許文献2)では、ベルトの端部肉厚を中央部の肉厚に比べ増加させることにより、端部の耐久性を改善するという技術が提案されている。しかしながら、スリーブを厚くすることにより、スリーブの長手方向の負荷に対しては強化されるものの、ニップ形成のためのスリーブ曲げ耐性については厚みがあるほうが負荷が大きく、実際には耐久性の向上効果は得られなかった。
また、特開2004−333750号公報(特許文献3)では、ベルト基材の端部の硬さを増加させることにより端部の強化を図る技術が提案されている。しかしながら、このように硬くされた端部は脆性破壊しやすく、実際には耐久性の向上効果は得られなかった。
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、厚さや硬さを部分的に変化させることなしに両端部が強化されて耐久性の高い定着ベルトを可能とする定着ベルト用基材を提供することを目的とする。
さらに充分な脱型性を有しながら、厚さや硬さを部分的に変化させることなしに両端部が強化されて耐久性の高い定着ベルトを可能とする定着ベルト用基材を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の定着装置用ローラは、上記課題を解決するために、請求項1に記載の通り、電鋳法により形成される定着ベルト用基材において、前記定着ベルト用基材が、りんを含有するニッケルにより構成され、前記定着ベルト用基材の幅方向両端部のりん含有量が、中央部のりん含有量よりも高くされ、かつ、前記中央部から前記両端部に向かってりん含有量が増加するりん含有量の勾配が設けられていることを特徴とする定着ベルト用基材である。
本発明の定着ベルト用基材の製造方法は、請求項2に記載の通り、請求項1に記載の定着ベルト用基材の製造方法であって、請求項1に記載の定着ベルト用基材の製造方法であって、周囲に定着ベルト用基材が形成される電鋳母型に対して、含りん成分が添加されたニッケル電鋳液を供給する電鋳液供給手段が電鋳槽に設けられ、かつ、該電鋳液供給手段による前記電鋳母型長さ当たりの前記ニッケル電鋳液の供給量が、該電鋳母型の中央部に対する供給量よりも両端部に対する供給量が多くされていることを特徴とする定着ベルト用基材の製造方法である。
本発明の定着ベルトは、請求項3に記載の通り、請求項1に記載の定着ベルト用基材を有することを特徴とする定着ベルトである。
本発明の定着装置は、請求項4に記載の通り、請求項3に記載の定着ベルトを有することを特徴とする定着装置である。
本発明の画像形成装置は、請求項5に記載の通り、請求項4に記載の定着装置を有することを特徴とする画像形成装置である。
本発明の定着ベルト用基材は前記定着ベルト用基材が、りんを含有するニッケルにより構成され、前記定着ベルト用基材の幅方向両端部(定着ベルト用基材の円筒の軸に交差する端部)のりん含有量が、中央部のりん含有量よりも高くされ、かつ、前記中央部から前記両端部に向かってりん含有量が増加するりん含有量の勾配が設けられているために厚さや硬さを部分的に変化させることなしに端部が強化され、耐久性の高い定着ベルトとなる。
さらに、本発明に係る定着ベルト用基材の製造方法は、周囲に定着ベルト用基材が形成される電鋳母型に対して、含りん成分が添加されたニッケル電鋳液を供給する電鋳液供給手段が電鋳槽に設けられ、かつ、該電鋳液供給手段による前記電鋳母型長さ当たりの前記ニッケル電鋳液の供給量が、該電鋳母型の中央部に対する供給量よりも両端部に対する供給量が多くされているために、上記定着ベルト用基材を、電鋳母型からの脱型性を満足しながら製造することができる。
本発明の定着ベルトは上記定着ベルト用基材により構成されているために、耐久性が高い。
本発明の定着装置は、上記定着ベルトを有しているために耐久性が高く、メンテナンスフリーの定着装置となる。
本発明の画像形成装置は、上記の定着装置を有しているので、メンテナンスフリーの、耐久性の高い画像形成装置となる。
本発明の定着装置用ローラを応用する画像形成装置の一例を示すモデル図である。 本発明に係る定着装置の一例をモデル的に示す図である。 定着装置用ローラの一例の断面を示すモデル図である。 りんを含有するニッケル電鋳膜において、りんの含有量を変化させたときの引裂強度への影響を調べた結果を示す図である。 本発明に係る定着ベルト用基材の製造に用いる電鋳槽の一例のモデル上面図である。 りん含有量とスリーブの内径との関係を示すグラフである。 実施例・比較例の定着ベルト用基材の幅方向のりん含有量を示すグラフである。 中央部と端部とのりん含有量と脱型性とを示す図である。
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。図1は、画像形成装置(プリンタ)全体の構成・動作について説明する。
このプリンタは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像をそれぞれ対応した感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bk(像担持体)の表面上に形成するために電子写真方式の4組の画像形成部10Y、10M、10C、10Bk(像形成手段)を備えている。
これら画像形成部10Y、10M、10C、10Bkの下方には、各画像形成部を通して用紙(記録材)を搬送するための搬送ベルト20が張架されている。
各画像形成部10Y、10M、10C、10Bkの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkは、搬送ベルト20にそれぞれ転接配置され,用紙(記録材)は搬送ベルト20の表面に静電的に吸着される。
4組の画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、略同じ構造を有する。よって、ここでは用紙の搬送方向最上流側に配設されたイエロー用の画像形成部10Yについて代表して説明し、他の色用の画像形成部10M、10C、10Bkについては同一符号を付して詳細な説明を省略する。
画像形成部10Yは、その略中央位置に搬送ベルト20に転接された感光体ドラム1Yを有する。感光体ドラム1Yの周囲には、感光体ドラム1Yの表面を所定の電位に帯電させる帯電装置2Y、帯電されたドラム表面を色分解された画像信号に基づいて露光し、ドラム表面上に静電潜像を形成する露光装置3Y、ドラム表面上に形成された静電潜像にイエロートナーを供給して現像する現像装置4Y、現像したトナー像を搬送ベルト20を介して搬送される用紙上に転写する転写ローラ5Y(転写装置)、転写されずにドラム表面に残留した残留トナーを除去するクリーナ6Y、および図示しないドラム表面に残留した電荷を除去する除電ランプが、感光体ドラム1Yの回転方向に沿って順に配設されている。
搬送ベルト20の図中右下方には、用紙を搬送ベルト20上に給紙するための給紙機構30が配設されている。
搬送ベルト20の図中左側には、後述する本発明の実施の形態に係る定着装置40が配設されている(この図中では、励磁コイルなどは省略)。搬送ベルト20によって搬送された用紙は、搬送ベルト20から連続して定着装置40を通って延びた搬送路を搬送され、定着装置40を通過する。
定着装置40は、搬送された用紙、すなわちその表面上に各色のトナー像が転写された状態の用紙を加熱および加圧する。そして、各色のトナー像を溶融して用紙に浸透させて定着させる。また、定着装置40の搬送経路下流側に排紙ローラを介して排紙する。
次に、本発明に係る定着装置を図2にて説明する。
この定着装置40は、加圧ローラ駆動、定着ベルト従動タイプの定着装置であり、ベルト部材として定着ベルト3、固定部材2a、加熱部材1、補強部材2b、ヒータ5、加圧回転体として本発明に係る定着装置用ローラからなる加圧ローラ4から構成されている。
定着装置40の通常時の動作は以下のようになっている。
定着装置40本体の電源スイッチが投入されるとヒータ5に電力が供給されるとともに、加圧ローラ4が図示しない付勢機構により定着ベルト3側に付勢されてニップが形成され、図示しない駆動機構により回転駆動が開始される。これにより、加圧ローラ3との摩擦力によって定着ベルト3も従動回転する。
定着ベルトは基材の上に弾性層、離型層が順次積層されており、その全体の厚さは本例では1mm以下となっている。また、その直径は15〜120mm程度になるように設定されており、本実施の形態では30mm程度に設定されている。
定着ベルトの基材は定着ベルトを構成したときの耐久性、柔軟性、及び、定着温度での使用に耐え得る耐熱性が挙げられる。本発明では基材としては、後述のように、ニッケルを主成分とした電鋳法によって形成された金属製ベルト基材により構成されている。厚さは定着ベルトを構成したときの要求される熱容量、強度の関係から20μm以上200μm以下であることが望ましい。
弾性層は光沢むらのない均一な画像を得るために、ベルト表面に柔軟性を与える目的で形成され、ゴム硬度は5〜50°(JIS−A)、厚さは50〜500μmが望ましい。また、定着温度における耐熱性から、材質としてはシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等が用いられる。
離型層に使用される材料として、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、および、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)などのフッ素樹脂、もしくは、これらの樹脂の混合物、耐熱性樹脂にこれらフッ素系樹脂を分散させたものが挙げられる。
弾性層を離型層が被覆すると、シリコーンオイル等を使用しなくともトナー離型性、紙粉固着防止が可能になる(オイルレス化)。しかし、これらの離型性を有する樹脂は一般にゴム材料のような弾性を持たないことから、弾性層上に離型層を厚く形成するとベルト表面の柔軟性を損ない、形成される画像に光沢むらが発生してしまう。離型性と柔軟性とを両立させるためには、離型層の膜厚として5μm以上50μm以下、望ましくは10μm以上30μm以下とすることが好ましい。
また、必要に応じて、各層間にプライマー層を設けても良く、また、基材の内面に摺動時の耐久性を向上させる層、例えば、フッ素樹脂のPFAやPTFEからなる層を設けても良い。
加熱部材1は肉厚が0.1mmのパイプ状部材である。加熱部材1はヒータ5の輻射熱により加熱されて定着ベルト3を加熱する。すなわち、定着ベルト3は加熱パイプを介して間接的に加熱される。加熱部材1の材料としてはアルミニウム、鉄、ステンレスなどの熱伝導率の良い金属材料を用いることができ、ヒータ5としてハロゲンヒータやカーボンヒータを用いることができる。加熱部材1の肉厚を0.2mm以下に設定することで、定着ベルト3の加熱効率を上げることが可能となる。
補強部材2bはニップ部を形成する固定部材2aを補強・支持するためのもので、固定部材2aが加圧ローラ4の加圧力を受けて大きく変形することを抑止している。補強部材2bはこのような機能を満たすためにステンレスや鉄などの機械強度の大きい金属材料で形成することが望ましい。
固定部材2aは前述したとおり加圧ローラ4との圧接によってニップを形成するためのものであり、金属材料からなる剛体部、ゴム材料からなる弾性部、剛体部及び弾性部を覆う潤滑シート等で構成される。剛体部はニップ部での加圧に耐えうるように、高剛性の金属、セラミックなどで形成される。弾性部は加圧ローラ4側の面が加圧ローラ4の曲率にならうように凹状に形成されている。
ニップ部で定着ベルトの外周面に当接する加圧回転体としての加圧ローラ4は直径が20〜30mm程度であって内周側から芯金、弾性断熱層、及び、離型層がこの順で積層されて構成されており、さらにローラ(胴部の)両端部の通紙領域外に定着ベルトを従動させるため摩擦力確保を目的としたグリップ層を設けている。
図4にモデル的に断面を示す加圧ローラ4は、金属製の円筒部材からなる芯金41上に、連続気泡を有する発泡弾性層42、ソリッド弾性層43、離型層45の順にそれぞれ積層された構造を有しており、ベルト3を介して固定部材2aを押圧して定着ニップ部を形成している。加圧ローラ4の外径は一般的に30〜40mm程度である。
連続気泡を有する発泡弾性体からなる発泡弾性層42は断熱性に優れているために、ニップ部を加熱する際に必要な時間を短縮する効果が大きい。
連続気泡を有する発泡弾性体からなる発泡弾性層42は発泡シリコーンゴム(シリコーンエラストマー)を使用し、例えばシリコーンコンパウンドに発泡剤、架橋剤、連通化剤を練り、発泡加硫させて得る。または、液状シリコーンゴムに水、吸水ポリマー、硬化触媒を添加攪拌し、金型内で硬化させて得る。上記のような発泡シリコーンゴムにおいて、発泡倍率が1.5〜3.0であれば、低熱容量と充分な強度とを確保できるので好ましい。
ここで上記における後者の、水、アルコール類などの沸点が室温より高い液状化合物を配した発泡性シリコーン組成物を発泡されて得る、いわゆる水発泡シリコーンとして特開2003−96223号公報等で提案された技術によって形成されていると、気泡が微細となり、かつ、連続気泡となるので、加熱時の熱膨張によるローラ外径の増加や破泡による硬化低下を防止でき、耐久性が向上するので好ましい。
上記連続気泡を有する発泡弾性層42の上にソリッド弾性層43を形成する。このソリッド弾性層43厚さを0.2mm以上2.0mm以下にすることにより、芯金近傍の耐破泡性と高い接着強度とを得ることができる。材質は耐熱性を考慮し、シリコーンゴムとする。
離型層45は耐熱性とトナーの付着防止とを考慮し、フッ素樹脂等を用いる。例えば、PFAやPTFEが一般的である。厚さは表面硬度が上がるのを抑えるために、0.1mm以下とすることが好ましい。
ここで、本発明に係る定着ベルト用基材について具体的に説明する。
本発明に係る定着ベルト用基材は定着ベルト用基材が、りんを含有するニッケルにより構成され、定着ベルト用基材の両端部のりん含有量が、定着ベルト用基材の中央部のりん含有量よりも高くされ、かつ、中央部から前記両端部に向かってりん含有量が増加するりん含有量の勾配が設けられている。
ここで中央部はりん含有量の変化が少なく、かつ、りん含有量が少ないことが製造時の型抜きが容易となるので好ましい。このような中央部は最大通紙範囲と同等程度の範囲とすることが好ましい。
すなわち、画像形成装置では様々な大きさの紙に対して画像を形成するが、通常、最大A3版の大きさの紙まで対応する、あるいは、最大A4版の大きさの紙まで対応する画像形成装置が一般的であり、このような画像形成装置に用いられる定着装置の定着ベルトも、A3版の縦の幅(297mm)、あるいは、A4版の縦の幅(210mm)が最大通紙範囲となる(これら以外の大きさの紙に対応する画像形成装置であっても扱える最大の紙の幅がその装置の定着ベルトの同様に最大通紙範囲となる)。
通常、定着ベルトは、両端部において加圧ロールの食い込み量が中心部に対して大きくなり、ニップ面積が不均一になるため(言い換えると、通紙領域で均一なニップ面積をえるため)に、上記最大通紙範囲よりも幅が広いものとなっている。本発明においてはこの最大通紙範囲の両端側に設けられた両端部におけるりん含有量が高くなるようにりん含有量の勾配が設けられている。ここで、このようにりんを含有するニッケル電鋳膜において、りんの含有量を変化させたときの引裂強度への影響を調べた結果を図4に示す。このときの電鋳膜の厚さは30μmであり、引裂強度はJIS K7128−3の直角形引裂法に準拠して、電鋳膜を規格の直角形状に切り抜き、両端に引張り荷重を与え試料が引き裂かれたときの最大荷重を引裂強度とした値である。
図4より理解できるようにりん含有量が0〜1.28重量%の範囲でりん含有量の増加とともに引裂強度が向上する。
ここで、定着ベルトは定着装置内で複数のローラに懸架され、テンションが付与された状態で回転駆動されるが、長期間の使用中には定着ベルトがローラに対するわずかなずれが繰り返し生じる。その際には応力が、引裂力として定着ベルトの両端部に集中する。
本発明の定着ベルト用基材を用いた定着ベルトでは上記応力の集中する両端部のりん含有量が高くなっていることによりこの両端部分の引裂強度が高いので、結果として、耐久性の高い定着ベルトとなる。
このような本発明に係る定着ベルト用基材は例えば次のようにして得ることができる。
図5に本発明に係る定着ベルト用基材の製造に用いる電鋳槽の一例のモデル上面図を示す。
図中符号50は電鋳槽であり、液槽51内には含りん成分が添加されたニッケル電鋳液52が容れられている。
液槽51底部にはアノード電極53が配置され、その上方には円筒状の電鋳母型54(カソード電極兼用)が配置されている。電鋳母型54は電鋳される定着ベルト用基材の全体の厚さが均一となるように円筒の中心を軸として回転可能となっていて、電鋳中は回転駆動させる。
電鋳槽50にはさらに電鋳液噴出パイプ55が、その長手方向が電鋳母型54の軸と平行になるように配置され、電鋳液噴出パイプ55には配管56からニッケル電鋳液52が供給される。電鋳液噴出パイプ55に供給されるニッケル電鋳液52は電鋳液噴出パイプ55の電鋳母型54側に設けられたノズル孔55a及び55bから噴出され、電鋳母型54に対して供給される。なお、液槽51にはオーバーフロー部51aが形成されており、図示しない液送ポンプを介して配管56に接続されており、ニッケル電鋳液52は液層51、オーバーフロー部51a、液送ポンプ、配管56、及び、ノズル孔55aあるいは55bを繰り返し循環している。
この電鋳槽50で形成される定着ベルト用基材はA3版対応の画像形成装置用の定着ベルト用基材であり、この定着ベルト用基材により構成される定着ベルトの最大通紙範囲となる中央部の297mmに相当する電鋳母型53の範囲部分に対しては電鋳液噴出パイプ55の小径のノズル孔55aが、最大通紙範囲に相当する範囲の両側部分の電鋳母型54の端部に対しては大径のノズル孔55bが、それぞれ電鋳液52を供給するように形成されており、この構成により、電鋳液供給手段による前記電鋳母型長さ当たりの前記ニッケル電鋳液の供給量が、該電鋳母型の中央部に対する供給量よりも電鋳母型の両端部に対する供給量が多くなる。
なお、ノズル孔55a及び55bは電鋳液噴出パイプ55の太さ、長さ、図示しない液送ポンプの容量等に応じて適宜調整する。
このような電鋳槽50を用いて、含りん成分を有するニッケル電鋳液により電鋳を行うことで本発明に係る定着ベルト用基材を得る。
ニッケル電鋳液としては、当該分野で既知の各種電鋳液を用いることができるが、スルファミン酸ニッケル電鋳液を用いることが好ましい。スルファミン酸ニッケル電鋳液としては、スルファミン酸ニッケル四水塩300〜600g/L、塩化ニッケル0〜30g/L、ホウ酸20〜40g/L、適量の一次光沢剤、二次光沢剤等を含有するものを挙げることができる。電鋳浴のpHは、好ましくは3.5〜4.5である。スルファミン酸浴は、ホウ酸、ギ酸、酢酸ニッケル等のpH緩衝剤、さらには、平滑化、ピット防止、結晶微細化、残留応力の低減等を目的として、例えば、光沢剤、ピット防止剤、内部応力減少剤等を含有することができる。
本発明において、ニッケル電鋳ベルト基体に含まれるりんの供給源として、例えば次亜りん酸ナトリウムのような水溶性りん含有酸の塩を含りん成分としてニッケル電鋳液に添加する。添加量は、あらかじめ検討して決定するが、次亜りん酸ナトリウムを用いる場合、これを例えば40〜200mg/Lの濃度でスルファミン酸浴中に添加することができる。
電鋳により形成される電析体が本発明に係る定着ベルト用基材が必要な厚さになったら、電鋳を終了し、得られた電析体を電鋳母型ごと取り出し、水洗後、両端の端部の不要部を除去し、次いで電析体を有する電鋳母型を水中に浸漬して電析体を母型から遊離させ、電鋳母型から引き抜いて、本発明に係る定着ベルト用基材を得る。
このようにして得た本発明に係る定着ベルト用基材を用いて公知の方法により定着ベルトを作製する。
以下に本発明の実施例について説明する。
<りん含有量と引裂強度との関係:基礎検討1>
初期検討として、りん含有量と引裂強度との関係を調べた。
図5に示す電鋳槽を用いて、ただし、ニッケル電鋳液を循環させずに、胴部の太さ30mm、長さが350mmのステンレス製の電鋳母型を用いて、ニッケル電鋳液(57℃)としてスルファミン酸ニッケル電鋳液を用い、かつ、このニッケル電鋳液に含りん成分として次亜りん酸ナトリウムの添加量を変えて、電流密度4A/dm2で、40分間の電鋳を行い、いずれも厚さが30μmの、りん含有量の異なる6種類のスリーブ状電鋳膜を得た。
これら電鋳膜のりん含有量と引裂強度との関係を図5に示した。図5より0〜1.28重量%の範囲でりん含有量の増加とともに引裂強度が向上することが理解される。なお、りん含有量はグロー放電発光分光分析(GDOES)で行った(以下同じ)。
<りん含有量と形成されるスリーブ状電鋳膜の内径との関係:基礎検討2>
上記で得られたスリーブ状電鋳膜の内径をマイクロメータにて測定し、その内径とりん含有量との関係を調べた。結果を図6に示す。
図6より、同じ厚さのスリーブであってもりん含有量が増加するとスリーブの内径が小さくなることが理解される。ここでスリーブの内径が30.025mm以下となるとA3版対応の定着ベルト用基材の脱型が困難となる。
<りん含有量の勾配形成の検討 その1>
上記同様に、ただし、ニッケル電鋳液への次亜りん酸ナトリウム添加を行って、定着ベルト用基材(比較例1(符号「P均一(A)」)を形成した。次いで、この比較例1と同様に、ただし電鋳槽の液送ポンプを稼働させて、定着ベルト用基材(実施例1(符号「P分布(1)」)を形成した。
次いで、上記比較例1及び実施例1同様に、ただしニッケル電鋳液中への次亜りん酸ナトリウム添加量を増やして、それぞれ比較例2(符号「P均一(B)」)及び実施例2(符号「P分布(2)」)の定着ベルト用基材を得た。
これら定着ベルト用基材について、A3版対応画像形成装置の定着ベルトとする部分について、一方の端からの距離とりん含有量との関係を調べた。結果を図7に示す。図7により、実施例1及び実施例2に係る定着ベルト用基材では定着ベルト用基材の定着ベルトとされたときの最大通紙範囲部分(一方の端からの距離が25mm〜325mmの範囲)内におけるりん含有量に比べて、該定着ベルト用基材の両端部におけるりん含有量が高くなるようにりん含有量の勾配が設けられていることがわかる。これら実施例1及び実施例2に係る定着ベルト用基材において軸方向の厚さは30μmで一定であった。
なお、上記比較例2の定着ベルト用基材は脱型できなかった。
<脱型性の検討>
実施例1、実施例2同様に、ただし、含りん成分のニッケル電鋳液への添加量、及び、送液ポンプの出力を変化させて、中央部及び端部におけるりん含有量の異なる様々な定着ベルト用基材(この例では厚さが30μm)を作製し、それらが脱型可能かどうか評価した。
その結果を図8に示した。図中、「○」は脱型可能であった場合を、「×」は脱型できなかった場合を、それぞれ示す。この例では端部のりん含有量をm(質量%)、中央部のりん含有量をn(質量%)としたときに、0≦m≦1.15、0≦n≦0.55、かつ、0≦m+n≦1.6を満足するときに脱型可能であることが判る。
従って、これらの例では上記3つの式を満足しながら、端部のりん含有量が高い組合せを採用することで耐久性の高く、かつ、実生産可能な定着ベルト用基材となることが理解される。
上記実施例1、実施例2、及び、比較例1、さらに比較例1同様にただし含りん成分のニッケル電鋳液への添加を行わずに作製した定着ベルト用基材をそれぞれ用いて図4にモデル的に示す定着装置の定着ベルトを作製し、図2にモデル的に示す定着装置に組み込み、図1にモデル的に示す画像形成装置で画像形成テストを行った。
その結果、実施例1及び実施例2はA4紙24万枚以上画像形成しても問題なかったのに対し、比較例1では9万3千枚で定着スリーブに端部破壊が起きた。
この結果より、本発明に係る定着ベルト用基材を用いて得られた定着ベルトの耐久性の向上効果が確認された。
3 定着ベルト
31 定着ベルト用基材
32 弾性層
33 離型層
50 電鋳槽
51 液槽
51a オーバーフロー部
52 ニッケル電鋳液
53 アノード電極
54 電鋳母型
55 電鋳液噴出パイプ
55a、55b ノズル孔
56 配管
特許第4414839号公報 特開2004−302390号公報 特開2004−333750号公報

Claims (5)

  1. 電鋳法により形成される定着ベルト用基材において、
    前記定着ベルト用基材が、りんを含有するニッケルにより構成され、
    前記定着ベルト用基材の幅方向両端部のりん含有量が、中央部のりん含有量よりも高くされ、かつ、
    前記中央部から前記両端部に向かってりん含有量が増加するりん含有量の勾配が設けられていることを特徴とする定着ベルト用基材。
  2. 請求項1に記載の定着ベルト用基材の製造方法であって、
    周囲に定着ベルト用基材が形成される電鋳母型に対して、含りん成分が添加されたニッケル電鋳液を供給する電鋳液供給手段が電鋳槽に設けられ、かつ、
    該電鋳液供給手段による前記電鋳母型長さ当たりの前記ニッケル電鋳液の供給量が、該電鋳母型の中央部に対する供給量よりも両端部に対する供給量が多くされている
    ことを特徴とする定着ベルト用基材の製造方法。
  3. 請求項1に記載の定着ベルト用基材を有することを特徴とする定着ベルト。
  4. 請求項3に記載の定着ベルトを有することを特徴とする定着装置。
  5. 請求項4に記載の定着装置を有することを特徴とする画像形成装置。
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