JP2012167326A - 耐黒変性に優れる亜鉛系めっき鋼材 - Google Patents

耐黒変性に優れる亜鉛系めっき鋼材 Download PDF

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Abstract

【課題】耐食性を劣化させることなく、耐黒変性を向上させることのできる亜鉛系めっき鋼材を提供する。
【解決手段】被処理鋼材の表面に亜鉛系めっき層を有し、該亜鉛系めっき層の表面にクロメートフリーの化成皮膜を有し、該化成皮膜が、Si、P、As、S、Fe、Co、B、Ge、Mn、CuおよびZnから選択される少なくとも1種の第1元素と、Mo、W、VおよびNbから選択される少なくとも1種の第2元素を含有し、かつ、前記化成皮膜中に含有する第2元素がヘテロポリ酸として0.40×10-5 mol/m2以上の付着量で存在することを特徴とする亜鉛系めっき鋼材。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐黒変性に優れる亜鉛系めっき鋼材に関する。
亜鉛(Zn)系めっき鋼材は優れた耐食性を有することから、自動車用材料や建材、電気製品などに広く用いられている。亜鉛系めっき鋼材では、コイル状態で長期に保管した場合、特に、高温多湿環境中で保管した場合、経時的にめっき表面の光沢がなくなり黒く変色する、いわゆる黒変現象が不可避的に発生する問題がある。黒く変色した亜鉛系めっき鋼材は、外観的に商品価値が低下することになる。また、亜鉛系めっき鋼材には、亜鉛系めっきの白錆を抑制する目的で、クロメート処理やクロメートフリー処理などの化成処理を施すのが一般的である。ところが、化成処理を施した場合、Zn系めっきは黒変現象が生じやすくなる傾向がある。
また、近年、化成処理は、環境負荷の大きなクロメート処理から、クロメートフリーの化成処理への切り替えが進んでいる。
Zn系めっき鋼板の耐黒変性を向上させる技術としては、例えば特許文献1に記載されているように、Znを主成分とする電気めっき層中に、Ni、CoまたはInから選ばれる1種以上の金属元素を含有させる方法が挙げられる。しかしながら、特許文献1に記載された技術は、めっき中不純物を抑制しなければならず、また、Ni、Co、Inなどの高価な元素を添加しなければならないことなどもあって、製造コスト上の問題がある。
また、特許文献2には、亜鉛−アルミニウム系合金の溶融めっき層の表面に、コバルト塩または鉄塩あるいは両者を含有する水溶液を吹き付けて、塩を熱分解することによりコバルトまたは鉄あるいは両者の酸化物皮膜を形成した溶融めっき鋼板が記載されている。しかしながら、特許文献2に記載された技術は、Znよりも貴な金属がめっき層表面に存在することから、耐食性が低下してしまう。さらに、コバルト塩や鉄塩を用いることでコスト高になることや、前記金属イオンを含有する処理液が劣化した場合の廃棄コストが問題となる。
さらに、特許文献3には、連続式溶融Znめっきラインにおいて、めっき浴温度が410〜470℃のめっき浴を用いてめっきした後、該めっき鋼板を冷却する際、板温が400℃から380℃に低下する間で冷却速度を15〜100℃/秒とする溶融Zn−Alめっき鋼板の製造方法が記載され、また、特許文献4には、めっきを行った後、ダルスキンパス圧延を行い、その後、酸化性雰囲気中で熱処理を施してめっき表面に酸化皮膜を形成させる溶融Zn-Al系合金めっき鋼板の製造方法が記載されている。しかしながら、特許文献3および4の技術は、いずれも黒変抑制効果が小さく、また、特許文献3および4は、いずれもクロメート処理を施したときの黒変性を改善したものであって、クロメートフリーの化成皮膜を形成した亜鉛系めっき鋼板の黒変抑制効果については何ら考慮されていない。
さらにまた、特許文献5には、めっき層中のAlとPbの含有量を限定し、Znめっき鋼板のめっき層を再溶融した後、直ちに20℃/s以上の冷却速度で急冷する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が記載されている。しかしながら、特許文献5に記載の方法は、化成皮膜を形成しない亜鉛めっき鋼板での耐黒変性について評価しているものであって、特に、クロメートフリーの化成皮膜を形成した亜鉛系めっき鋼板での黒変抑制効果については何ら考慮されていない。
特開平2000−355790号公報 特開平1−129978号公報 特開平5−125515号公報 特開平9−20974号公報 特開平8−27557号公報
本発明の目的は、上記の現状に鑑み開発されたもので、亜鉛系めっき層の表面にクロメートフリーの化成皮膜を有する亜鉛系めっき鋼材、特に良好な耐食性を維持しつつ、耐黒変性に優れる亜鉛系めっき鋼材を提供することにある。
本発明者らは、クロメートフリーの化成皮膜中に、特定の元素を含有させ、かつ化成皮膜中に含有する特定の元素をヘテロポリ酸として所定量以上存在させることで、クロメートフリー化成処理を施した亜鉛系めっき鋼板の耐食性を劣化させることなく、耐黒変性を格段に向上させることができることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたものであって、その要旨構成は以下の通りである。
(1)被処理鋼材の表面に亜鉛系めっき層を有し、該亜鉛系めっき層の表面にクロメートフリーの化成皮膜を有し、該化成皮膜が、Si、P、As、S、Fe、Co、B、Ge、Mn、CuおよびZnから選択される少なくとも1種の第1元素と、Mo、W、VおよびNbから選択される少なくとも1種の第2元素を含有し、かつ、前記化成皮膜中に含有する第2元素がヘテロポリ酸として0.40×10-5 mol/m2以上の付着量で存在することを特徴とする亜鉛系めっき鋼材。
本発明によれば、亜鉛系めっき層の表面にクロメートフリーの化成皮膜を有する亜鉛系めっき鋼材、特に良好な耐食性を維持しつつ、耐黒変性に優れる亜鉛系めっき鋼材を提供することが可能になった。
次に、本発明の実施形態について以下で詳細に説明する。
本発明の亜鉛系めっき鋼材を構成する亜鉛系めっき層としては、例えば、Al:20質量%以下、Ni:20質量%以下、Si:10質量%以下、Fe:15質量%以下、Mg:10質量%以下、Cr:20質量%以下、Co:2質量%以下およびMn:40質量%以下(いずれの成分とも、含有量が0質量%の場合を含む。)を満たし、残部がZnである成分組成を有し、この亜鉛系めっき層を、電気めっき法(電解法)、溶融めっき法(溶融めっきをした後に合金化処理した合金化めっきする場合も含む。)、気相法等によって被めっき処理鋼材の表面に形成することによって、本発明の亜鉛系めっき鋼材を製造することができる。なお、亜鉛系めっき鋼材の母材となる被めっき処理鋼材については、特に限定はしない。
ベースとなる亜鉛系めっき鋼材(鋼板)としては、亜鉛めっき鋼板、Zn−Niめっき鋼板、Zn−Feめっき鋼板(電気めっき、合金化溶融亜鉛めっき)、Zn−Crめっき鋼板、Zn−Mnめっき鋼板、Zn−Coめっき鋼板、Zn−Co−Cr合金めっき鋼板、Zn−Cr−Niめっき鋼板、Zn−Cr−Feめっき鋼板、Zn−Alめっき鋼板(例えば、Zn−5%Al合金めっき鋼板、Zn−55%Al合金めっき鋼板)、さらにはこれらのめっきに金属酸化物、ポリマーなどを分散した亜鉛系複合めっき鋼板(例えば、Zn−SiO2分散めっき)を用いることができる。また、上記のようなめっきのうち、同種または異種のものを二層以上めっきした複層めっき鋼板を用いることができる。
そして、本発明の亜鉛系めっき鋼材は、被めっき処理鋼材の表面に亜鉛系めっき層を有し、該亜鉛系めっき層の表面にクロメートフリーの化成皮膜を有し、該化成皮膜が、Si、P、As、S、Fe、Co、B、Ge、Mn、CuおよびZnから選択される少なくとも1種の第1元素Xと、Mo、W、VおよびNbから選択される少なくとも1種の第2元素Mを含有し、かつ、前記化成皮膜中に含有する第2元素がヘテロポリ酸として0.40×10-5 mol/m2以上の付着量で存在することを特徴とする。
亜鉛系めっき層の付着量は、0.5〜1000g/m2の範囲であることが好ましい。亜鉛系めっき層の付着量が0.5 g/m2未満だと、良好な耐食性を維持することが難しくなる傾向があるからであり、また、亜鉛系メッキ層の付着量が1000g/m2超えにしても、めっきコストの上昇を招くだけにすぎないからである。
本発明では、化成皮膜は、Si、P、As、S、Fe、Co、B、Ge、Mn、CuおよびZnから選択される少なくとも1種の第1元素(ヘテロ元素)Xと、Mo、W、VおよびNbから選択される少なくとも1種の第2元素(ポリ元素)Mを含有し、かつ、前記化成皮膜中に含有する第2元素がヘテロポリ酸として0.40×10-5 mol/m2以上の付着量で存在するようにすることが、耐食性を劣化させることなく、耐黒変性を格段に向上させる点で必要である。
なお、化成皮膜中に、第2元素がヘテロポリ酸として0.40×10-5 mol/m2以上の付着量で存在することにより耐黒変性が向上されるメカニズムは定かではないが、我々の調査の結果、上記の付着量以上のヘテロポリ酸が存在する場合、黒変環境下において、1)黒変の原因物質とされるZnOの生成が抑制されること、2)ヘテロポリ酸は還元されるとともにめっき金属イオンと共にめっき表面に濃化すること、が分かった。以上のことから、化成皮膜中にヘテロポリ酸が存在する場合、1)めっき金属のイオン化に伴うカソード反応が、酸素還元反応からヘテロポリ酸の還元反応に変化する、2)イオン化しためっき金属とヘテロポリ酸は化合してめっき表面に濃化する、と推測される。以上より、1)酸素の還元反応が抑制される結果、ZnO生成の原因物質となるOH-イオンの生成が抑制されるためZnOの生成が抑制される、2)めっき金属イオンとヘテロポリ酸の化合物がめっき表面に濃化することで不動態化作用を発現しZnOの生成を抑制する、などの機構が推察される。
また、前記化成皮膜中に第2元素がヘテロポリ酸として0.40×10-5 mol/m2以上の付着量で存在することに限定した理由は、
ヘテロポリ酸として存在する第2元素の付着量が、0.40×10-5 mol/m2未満だと、上記作用が十分に発現しない結果、耐黒変性を十分に向上させることができないからである。
化成皮膜中の第1元素Xは、単一成分として含有しても、2以上の複数成分として含有してもよい。化成皮膜中の第1元素Xの付着量は、0.6×10-5 mol/m2以上であることが好ましい。化成皮膜中の第1元素Xの付着量が0.6×10-5 mol/m2未満だと、元素Mと十分な量のヘテロポリ酸を形成しない問題がある。第1元素Xの付着量の上限は特に無いが、種々の必要特性に影響を及ぼさない範囲で付着していればよい。
また、化成皮膜中の第2元素Mは、単一成分として含有しても、2以上の複数成分として含有してもよい。化成皮膜中の第2元素Mの付着量は、1.2×10-5 mol/m2以上含有することが好ましい。化成皮膜中の第2元素Mの付着量が1.2×10-5molm-2未満だと、黒変抑制に十分な量のヘテロポリ酸が生成しない問題がある。第2元素Mの付着量の上限は特に無いが、種々の必要特性に影響を及ぼさない範囲で添加すれば良い。
なお、化成皮膜へ直接ヘテロポリ酸を添加する場合には、ポリ元素である第2元素M換算の付着量が0.4×10-5 mol/m2以上であれば良い。これ未満の付着量では黒変抑制が十分でなくなる。
なお、ヘテロポリ酸として存在する第2元素Mの付着量は、X線吸収スペクトルのX線吸収端近傍構造(XANES:X-ray Absorption Near Edge Structure)を利用して決定する。具体的には、以下3種の物質中に存在する第2元素MのXANESスペクトルを測定する。
1)化成皮膜(以降「C」として言及する)。
2)化成皮膜処理液に原料として添加する、第2元素Mの供給源となる化合物(以降「G1」として言及する)。一般的には元素Mのオキソ酸化合物である。
3)元素Mを含有するヘテロポリ酸を構成するMの酸化物(以降「G2」として言及する)。例えば[XM12O40]n-で表される最も基本的なヘテロポリ酸であるKeggin構造を例にとると、前記物質を構成する酸化物単位で標記した場合、[XO4・12MO3]n-となることから、MO3のXANESスペクトルを測定する。
次に、CのXAMESスペクトルをG1とG2のXANESスペクトルでフィッティングすることで、Cに含有される元素Mのうち、G1の状態で存在する元素MとG2の状態で存在する元素Mの割合が求まる。Cに含まれる元素Mの付着量は既知であることから、G2の状態で存在する元素Mの付着量が求まる。ここでは、G2の状態で存在する元素Mの付着量を、ヘテロポリ酸として存在する元素Mの付着量とした。
なお、ヘテロポリ酸を、ヘテロポリ酸粉末やヘテロポリ酸水溶液などとして直接添加する場合は、既知の添加量から元素Mの付着量を算出する。
また、化成皮膜中にヘテロポリ酸を存在させる手段としては、クロメートフリー処理液に、例えば、ヘテロポリ酸粉末やヘテロポリ酸水溶液などを直接添加した混合液を用いるか、あるいは、第1元素Xのオキソ酸と、第2元素Mのオキソ酸を添加した混合液を用い、この混合液を、亜鉛系めっき層の表面に塗布した後、加熱乾燥を行う方法が挙げられる。
ヘテロポリ酸としては、例えば、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、リンモリブデン酸、リンバナドモリブデン酸、リンタングストモリブデン酸、リンタングステン酸水溶液、リンモリブデン酸水溶液、ケイタングステン酸水溶液などを挙げることができる。
第1元素Xのオキソ酸源としては、下記に示すような化合物を例として挙げることができる。下記に示す化合物以外でも、第1元素を含有する化合物であれば、オキソ酸源として用いることができる。

Si:シランカップリング剤、ケイ酸、ケイ酸塩
P:リン酸、リン酸塩
As:ヒ酸、ヒ酸塩
S:硫酸、硫酸塩
Fe:鉄酸化物、塩化鉄
Co:硫酸コバルト、ミョウバン
B:ホウ酸、ホウ酸塩
Ge:オルトゲルマニウム酸ナトリウム
Mn:過マンガン酸カリウム
Cu:硫酸銅、塩化銅、硝酸銅
Zn:塩化亜鉛、硫酸亜鉛
第2元素のオキソ酸源としては、下記に示すような化合物を例として挙げることができる。下記に示す化合物以外でも、第2元素のオキソ酸を含有する化合物であれば、オキソ酸源として用いることができる。

Mo:モリブデン酸塩
W:タングステン酸塩
V:バナジン酸塩
Nb:ニオブ酸塩
化成皮膜のベース材料としては、特に限定はしないが、水分散性シリカとアルキド樹脂とトリアルコキシシラン化合物とを含む水溶液、ヒドロキシピロン化合物誘導体からなる水溶性樹脂、水系樹脂とコロイダルシリカとバナジン酸アンモニウムからなる処理剤、有機樹脂とチオカルボニル基含有化合物とを含む処理剤、ケイ酸リチウム水溶液に有機樹脂、シランカップリング剤、固体潤滑剤を含有させた処理剤、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂とエチレン−不飽和カルボン酸共重合体水分散液とシリカ粒子とシランカップリング剤とを特定比率で含む樹脂水性液、ウレタン系樹脂、潤滑剤、無機コロイド化合物とシランカップリング剤からなる処理剤、シランカップリング剤とウレタン樹脂を混合し、pH2.5〜4.5に調整した表面処理液、水性分散樹脂とシリカ粒子と有機チタネートを特定の割合で含む処理剤、水性のエポキシ樹脂分散体とウレタン樹脂分散体とシランカップリング剤とリン酸および/またはリン酸化合物と1分子中にフッ素を1〜5個有する化合物を含有する処理剤等が挙げられる。
化成皮膜を形成するための化成処理の基剤となるクロメートフリー処理液は、特に制限はないが、化成処理方法としては、処理液を亜鉛系めっき層の表面に、例えば、塗布法、浸漬法、スプレー法により、亜鉛系めっき鋼板表面を処理液で処理した後、加熱乾燥を行う、いわゆる塗布型処理法が望ましい。塗布法としては、ロールコーター(例えば、3ロール方式、2ロール方式など)、スクイズコーター、バーコーター、スプレーコーターなどいずれの方法でもよい。また、スクイズコーターなどによる塗布処理、あるいは浸漬処理、スプレー処理の後に、エアーナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行ってもよい。加熱乾燥を行う加熱手段としては、特に制限はないが、ドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉などを用いることができる。加熱乾燥の温度は、到達板温で50〜250℃とすることが好ましい。一般的に、250℃を超えると化成皮膜にクラックが入り、耐食性が低下する傾向がある。一方、50℃より低い温度では化成皮膜中の水分残存が多くなり、やはり耐食性が低下する傾向がある。このような観点から、加熱乾燥の温度は50〜250℃の範囲とするのが好ましく、より好ましくは60〜200℃の範囲、特に好ましくは60〜180℃の範囲である。
上述したところは、この発明の実施形態の例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
次に、本発明の実施例について以下で説明する。
亜鉛系めっき鋼材としては、溶融Zn-5mass%Al-0.5mass%Mg合金めっき鋼板(板厚0.8mmの冷延鋼板、両面めっき、片面あたりのめっき付着量:90g/m)、および電気亜鉛めっき鋼板(板厚0.8mmの冷延鋼板、両面めっき、片面あたりのめっき付着量:20g/m)の2種類を用いた。これらの亜鉛系めっき鋼板をアルカリ脱脂処理し、水洗および乾燥した後、表1に示すベース液、および表2に示すベース液と添加剤1〜3の割合で混合した混合液をスターラーで撹拌しながら作製した化成処理液をバーコーターで塗布し、その後、直ちに鋼板表面温度が数秒〜十数秒で140℃になるように誘導加熱方式で加熱した後、5秒間保持して乾燥し、亜鉛系めっき鋼板の表面に、表3に示す組成を有するクロメートフリーの化成皮膜を形成した。この化成皮膜の膜厚(付着量)は水系表面処理液の濃度により調整し、化成皮膜中のPの付着量を蛍光X線分析装置にて定量し、これより皮膜付着量を算出した。ヘテロポリ酸として存在する元素Mの付着量については、上述したX線吸収スペクトルのX線吸収端近傍構造(XANES:X-ray Absorption Near Edge Structure)を利用して求めた。表4に、表2に示す処理液No.21〜32に用いた添加剤2(ヘテロポリ酸源)の種類を示す。
以上のようにして得られた供試材(亜鉛系めっき鋼板)について評価を行った。評価方法を以下に示し、評価結果を表3に示す。
(評価方法)
(1)耐食性
耐食性は、各供試材について、平板の状態で塩水噴霧試験(JIS−Z−2371)を、下地が溶融Zn-5mass%Al-0.5mass%Mg合金めっき鋼板の場合には120時間、電気亜鉛めっき鋼板の場合は48時間実施し、供試材の表面に発生した白錆の面積率が5%以下に保たれる場合を合格レベルであるとして評価し、表3では、白錆の面積率が5%以下に保たれる場合を「○」とし、白錆の面積率が5%超えの場合を「×」として示す。
(2)耐黒変性
耐黒変性は、各供試材を80℃、98%RHで24時間保持した前後の色差△L(JIS−Z−8729に規定する、L、a、b表示系における二つの物体色のCIE1976明度Lの差)を測定して評価した。評価基準は以下のとおりである。
化成皮膜を形成した亜鉛系めっき鋼板が溶融Zn-5mass%Al-0.5mass%Mg合金めっき鋼板の場合には、
◎:−9<△L
○:−12<△L≦−9
×:ΔL≦−12
のように評価した。
化成皮膜を形成した亜鉛系めっき鋼板が電気亜鉛めっき鋼板の場合には、
◎:−2<△L
○:−3<△L≦−2
×:ΔL≦−3
のように評価した。
Figure 2012167326
Figure 2012167326
Figure 2012167326
Figure 2012167326
Figure 2012167326
表3に示す評価結果から、発明例は、比較例に比べて、耐食性が同等レベルを確保しつつ、耐黒変性に優れていることがわかる。
本発明によれば、亜鉛系めっき層の表面にクロメートフリーの化成皮膜を有する亜鉛系めっき鋼材、特に良好な耐食性を維持しつつ、耐黒変性に優れる亜鉛系めっき鋼材を提供することが可能になった。

Claims (1)

  1. 被処理鋼材の表面に亜鉛系めっき層を有し、該亜鉛系めっき層の表面にクロメートフリーの化成皮膜を有し、該化成皮膜が、Si、P、As、S、Fe、Co、B、Ge、Mn、CuおよびZnから選択される少なくとも1種の第1元素と、Mo、W、VおよびNbから選択される少なくとも1種の第2元素を含有し、かつ、前記化成皮膜中に含有する第2元素がヘテロポリ酸として0.40×10-5 mol/m2以上の付着量で存在することを特徴とする亜鉛系めっき鋼材。
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