JP2015224367A - 優れた耐食性と塗料密着性を有する溶融Sn−Znめっき鋼板とその製造方法 - Google Patents

優れた耐食性と塗料密着性を有する溶融Sn−Znめっき鋼板とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】6価クロムを含まない皮膜を有し、環境に対する負荷が著しく小さく、かつ、優れた燃料タンク内面耐食性と塗料密着性を備える、溶融Sn−Znめっき鋼板とその製造方法を提供する。【解決手段】めっき中のSnが50質量%以上の溶融Sn−Znめっき鋼板の表面に、少なくとも、W、Si、及び、Pを含む皮膜が形成されていて、該皮膜中、SiとWの質量比Si/Wが0.005〜10で、PとWの質量比P/Wが0.05〜1.0であり、かつ、皮膜付着量が、片面当り、金属W換算で10〜500mg/m2であることを特徴とする優れた耐食性と塗料密着性を有する溶融Sn−Znめっき鋼板。【選択図】なし

Description

本発明は、優れた耐食性と塗料密着性を兼備し、自動車燃料タンク材料として6価クロムを含まない表面処理を施したフラックス方式の溶融Sn−Zn鋼板とその水系処理液に関するものである。
従来、自動車燃料タンク材料として耐食性、加工性、半田性(溶接性)等に優れるPb−Sn系めっき鋼板が長らく使用されてきたが、近年のPbに対する環境規制強化により使用が困難となってきている。代替材料として多彩な鋼板が提案されているが、中でも、Sn−Znめっき鋼板は、耐食性、加工性、経済性に優れるため適用が拡大している。
しかし、最近では、品質管理強化を背景にして、特に、燃料タンク内面耐食性の向上が求められている。燃料タンク内面の腐食は、燃料であるガソリンの酸化劣化により生成するギ酸、酢酸等の有機酸が、昼夜の温度差により生成した結露水中に抽出されて生じる、弱酸水溶液中での腐食である。
市場不具合である燃料タンクの内面腐食によるガソリン供給管取組口フィルター詰りによるエンジンストップ防止のために、過酷な腐食環境(蟻酸200ppm、酢酸400ppmの水溶液)中で良好な耐食性を示すことが必要となってきた。
Sn−Znめっきの製造法としては、冷延板に焼鈍−溶融めっきを一連で施すゼンジマー法や、焼鈍板に、塩化亜鉛や塩化アンモンなどの水溶液をフラックスとして溶融めっき直前に塗布するフラックス法などがある。
フラックス法は、低コストであるが、溶融めっき過程で鋼板表面から脱離すべきフラックスが一部残存し、その部分がめっき欠陥となるため、耐食性としては不利になる。浴温度を上げることで減少することは可能であるが、該めっき欠陥をゼロにするのは困難である。
さらに、最近の環境負荷低減のために、粉体塗料が使用されるようになってきた。この塗料は、塗膜の密着性がこれまでの溶剤系や水系塗料に比較して弱いために、従来以上に高度な塗料密着性が必要となっている。
従来技術において、3価のクロムと有機酸の組合せで、液安定性が良好な処理液を得る方法が特許文献1に開示されているが、フラックス法で製造した溶融Sn−Znめっき鋼板の燃料タンク内面耐食性評価での赤錆発生抑制については、必ずしも十分とは言えない。
国際公開第08/029953号
本発明は、6価クロムを含まない皮膜を有し、環境に対する負荷が著しく小さく、かつ、優れた燃料タンク内面耐食性と塗料密着性を備える、溶融Sn−Znめっき鋼板とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、従来技術が抱える課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、タングステン酸、シリカ、及び、りん酸を主成分として、その組成を制御した処理皮膜をフラックス法にて製造した溶融Sn−Znめっき鋼板の表面に形成すると、フラックスが残存しためっき欠陥からの発錆を抑制できるとともに、優れた粉体塗装密着性を達成できることを見出した。
フラックス法で製造したSn−Znめっき鋼板の燃料タンク内面腐食環境で発錆する原因は、溶融めっき直前に鋼板表面に塗布するフラックス液の脱離残りに起因するめっき欠陥である。めっき後に3価クロムを含む薬剤を塗布、乾燥しても、その部分は十分な皮膜が形成されず、腐食起点となる。
しかし、本発明者らは、タングステン酸とりん酸を主成分とする皮膜を形成すると、フラックス液の残存成分である塩化物と反応して、タングステン酸、りん酸、及び、塩化物が沈殿した沈殿皮膜が形成されることを知見した。さらに、この沈殿皮膜は、絶縁性で緻密であり、地鉄露出部を覆うことで発錆を抑制できることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
(1)めっき中のSnが50質量%以上の溶融Sn−Znめっき鋼板の表面に、少なくとも、W、Si、及び、Pを含む皮膜が形成されていて、該皮膜中、SiとWの質量比Si/Wが0.005〜10で、PとWの質量比P/Wが0.05〜1.0であり、かつ、皮膜付着量が、片面当り、金属W換算で10〜500mg/m2であることを特徴とする優れた耐食性と塗料密着性を有する溶融Sn−Znめっき鋼板。
(2)前記皮膜が、さらに、Co、Ni、Zr、及び、Tiの1種又は2種以上の金属化合物を含有し、かつ、上記1種又は2種以上の金属とWの質量比金属/Wが0.01〜0.5であることを特徴とする請求項1に記載の優れた耐食性と塗料密着性を有する溶融Sn−Znめっき鋼板。
(3)めっき中のSnが50質量%以上の溶融Sn−Znめっき鋼板の表面に、少なくとも、水溶性タングステン酸塩(A)、水分散性シリカ(B)、及び、りん酸とりん酸化合物(C)を含有し、金属換算で、質量比Si/Wが0.005〜10、質量比P/Wが0.05〜1.0、pHが8〜11の水系処理液を、片面当り、金属W換算で10〜500mg/m2塗布して乾燥することを特徴とする優れた耐食性と塗料密着性を有する溶融Sn−Znめっき鋼板の製造方法。
(4)前記水系処理液が、さらに、Co、Ni、Zr、及び、Tiの1種又は2種以上の金属塩(D)を含有し、かつ、上記1種又は2種以上の金属とWの質量比金属/Wが0.01〜0.5であることを特徴とする前記(3)に記載の優れた耐食性と塗料密着性を有する溶融Sn−Znめっき鋼板の製造方法。
本発明によれば、表面に、人体及び環境に有害な6価クロムを実質的に含まない水系処理液を塗布して形成した皮膜を有し、優れた耐食性と塗料密着性を備える溶融Sn−Znめっき鋼板を提供することができる。
本発明の優れた耐食性と塗料密着性を有する溶融Sn−Znめっき鋼板(以下「本発明めっき鋼板」ということがある。)は、
めっき中のSnが50質量%以上の溶融Sn−Znめっき鋼板の表面に、少なくとも、W、Si、及び、Pからなる皮膜が施され、該皮膜中、SiとWの質量比Si/Wが0.005〜10で、PとWの質量比P/Wが0.05〜1.0であり、かつ、皮膜付着量が片面当りの金属W換算で10〜500mg/m2である
ことを特徴とする。
本発明の優れた耐食性と塗料密着性を有する溶融Sn−Znめっき鋼板の製造方法(以下「本発明製造方法」ということがある。)は、
めっき中のSnが50質量%以上の溶融Sn−Znめっき鋼板の表面に、少なくとも、水溶性タングステン酸塩(A)、水分散性シリカ(B)、及び、りん酸とりん酸化合物(C)を含有し、金属換算で、質量比Si/Wが0.005〜10、質量比P/Wが0.05〜1.0、pHが8〜11の水系処理液を、片面当り、金属W換算で10〜500mg/m2塗布して乾燥する
ことを特徴とする。
まず、本発明めっき鋼板と、本発明めっき鋼板の表面に皮膜を形成するために塗布する水系処理液について説明する。
本発明めっき鋼板の溶融Sn−Znめっきは、塩化亜鉛や塩化アンモニウムの混合水溶液をフラックス液として用いるフラックス法で形成したもので、Snを50質量%以上含有するSn−Znめっきである。
Snは、腐食環境下において、地鉄に対し電気化学的に貴な金属であり、地鉄表面を覆うことで、プロテクト型の防食を期待できる元素である。Snが50質量%未満では、Snの防食効果が十分に得られないので、めっき中のSnは50質量%以上とする。
残部はZnである。Znは、めっき層へ、犠牲防食作用と、Zn腐食生成物沈殿による保護作用を付与する元素である。
即ち、Sn−Znめっきは、電気化学的に貴な金属であるSn(標準電位:E0=−0.14V)による鋼板保護を主体とし、電気化学的に卑な金属であるZn(標準電位:E0=−1.245V)による犠牲防食能を備えるめっきである。Sn−Znめっきの好ましい組成例は、Sn:91.2〜99.0質量%、Zn:1.0〜8.8質量%である。
Znが1.0質量%未満では、犠牲防食作用が十分に得られないので、1.0質量%以上が好ましい。一方、Zn量が増大するとZnの白錆が多く発生し、共晶点の8.8質量%を超えると、白錆発生が顕著になるので、Znは8.8質量%以下が好ましい。
Sn−Znめっきは、めっきの防食機能が阻害されない範囲で、微量のFe、Ni、Co、Pb等を含有してもよい。Mgの含有で耐食性の向上効果が得られるので、Sn−Znめっきは、Mgを、めっき特性を阻害しない範囲で含有してもよい。更に、Sn−Znめっきは、必要に応じ、Al、ミッシュメタル、Sb等を、めっき特性を阻害しない範囲で含有してもよい。
溶融Sn−Znめっきにおいて、良好なめっき外観を得るため、鋼板に、Ni系又はCo系のプレめっきを施すことが好ましい。鋼板にプレめっきを施すことにより、不めっきのない、外観が良好なSn−Znめっきを施すことができる。特に、Ni−Feプレめっきを施すと、Sn−Znめっきのスパングル粒界へのZnの濃化が抑制されて、Snデンドライト組織が形成されるので、優れためっき外観の他、優れた耐食性を得ることができる。
鋼板に、Ni系又はCo系のプレめっきを施すと、Sn−Znめっきと素地の界面に、Ni又はCoとFeのめっき層、Ni又はCoとFeと、Sn、Zn、Mgの金属間化合物層、又は、両層を含む混合層が生成する。この混合層の厚みは、特に限定しないが、通常、1μm以下である。
溶融Sn−Znめっきの付着量は、めっき特性及び製造コストに影響する。所要の耐食性を確保するためには、付着量は多い方が好ましいが、製造コストの点では少ない方が好ましい。耐食性と製造コストを考慮すると、付着量は、片面10〜100g/m2程度が好ましい。
溶融Sn−Znめっき、必要に応じ、Ni系又はCo系のプレめっきを施す鋼板は、特定の製造方法、特定の鋼種、及び/又は、特定の成分組成の鋼板に限定されない。用途に応じた所要の機械特性を備える鋼板、例えば、自動車用燃料タンク材料としての所要の機械特性を備える鋼板であればよい。
なお、鋼種としては、例えば、Ti、Nb、B等を添加したIF鋼、Al−k鋼、Cr添加鋼、ステンレス鋼、ハイテン(高張力鋼)等が挙げられる。特に、自動車用燃料タンク材料のように深絞り性や耐二次加工割れ性が必要な用途には、IF鋼やB添鋼が好ましい。
本発明めっき鋼板においては、溶融Sn−Znめっきの上に、少なくとも、W、Si、及び、Pを含む皮膜(以下「本発明皮膜」ということがある。)が形成されている。この点が、本発明めっき鋼板の特徴である。
本発明皮膜は、溶融Sn−Znめっき中のSnの腐食カソード反応を継続的に抑制する。また、本発明皮膜は、腐食環境下で、皮膜から溶出した成分とフラックス液の残存成分が反応して、W化合物、P化合物、塩化物を含む沈殿皮膜を形成する。この沈殿皮膜は、絶縁性で、かつ、緻密であり、地鉄露出部を覆って発錆を抑制する。このことを、本発明者らは知見した。
本発明皮膜において、皮膜中、SiとWの質量比Si/Wは0.005〜10とし、PとWの質量比P/Wは0.05〜1.0とする。
質量比Si/Wが0.005未満では、皮膜の均一性が乏しくなるとともに、W(又は、タングステン酸)の溶出量が増加し、耐食性が向上しても塗料密着性が劣化するので、質量比Si/Wは0.005以上とする。
一方、質量比Si/Wが10を超えると、W(又は、タングステン酸)の溶出量が少なくなり、フラックス液の残存成分との反応で生成する沈殿皮膜の生成が不十分となって、耐食性が劣化するので、質量比Si/Wは10以下とする。
WとSiの測定方法は、特に限定しないが、蛍光X線分析法での検量線法で測定することができる。
皮膜中、PとWの質量比P/Wが0.05未満では、P(又は、りん化合物)の溶出量が少なく、フラックス液の残存成分との反応で生成する沈殿皮膜の生成が不十分となって、耐食性が劣化するので、質量比P/Wは0.05以上とする。一方、質量比P/Wが1を超えると、P(又は、りん酸化合物)の溶出量が増加し、塗料密着性が劣化するので、質量比P/Wは1.0以下とする。
Pの測定方法は、特に限定しないが、蛍光X線分析法での検量線法で測定することができる。
本発明皮膜の付着量は、片面当り、金属W換算で10〜500mg/m2とする。付着量が10mg/m2未満では、耐食性の向上効果が得られないので、10mg/m2以上とする。好ましくは40mg/m2以上である。
一方、付着量が500mg/m2を超えると、皮膜自体にクラックが生じ易く、塗装密着性が低下するので、500mg/m2以下とする。好ましくは100mg/m2以下である。
本発明皮膜は、耐食性のより向上を目的とし、Co、Ni、Zr、Tiの1種又は2種以上の金属化合物(金属イオン)を含有してもよい。この場合、上記1種又は2種以上の金属とWの質量比金属/Wは0.01〜0.5が好ましい。質量比金属/Wが0.01未満では、耐食性の向上効果がないので、0.01以上が好ましい。より好ましくは0.05以上である。質量比金属/Wが0.5を超えると、金属イオン溶出量が増加して塗料密着性が低下するので、0.5以下が好ましい。より好ましくは0.3以下である。
上記金属化合物(金属イオン)の測定方法は特に限定しないが、皮膜を硝酸水溶液中に溶解し、ICP−MS(Inductively Coupled Plasma-Mass Spectrometry)法にて測定することができる。
本発明皮膜を形成するために鋼板表面に塗布する水系処理液は、水溶性タングステン酸塩(A)、水分散性シリカ(B)、りん酸及びりん酸化合物(C)含有し、6価クロムを含まず、pHが8〜11である。pHが8未満では、タングステン酸が不安定となり液安定性が低下するので、pHは8以上とする。
一方、pHが11を超えると、Sn−Znめっき中のZnが処理液塗布時に溶出して、バリア性が低下し耐食性が劣化するのでpHは11以下とする。
水系処理液中の水溶性タングステン酸塩(A)と水分散性シリカ(B)の金属換算質量比Si/Wを0.005〜10とする。質量比Si/Wが0.005未満では、皮膜の均一性が乏しくなるとともに、W(タングステン酸)の溶出量が増加し、耐食性が向上しても塗料密着性が劣化するので、質量比Si/Wは0.005以上とする。好ましくは0.150以上である。
一方、質量比Si/Wが10を超えると、W(タングステン酸)の溶出量が少なくなり、フラックス液の残存成分との反応で生成する沈殿皮膜の生成が不十分となって、耐食性が低下するので、質量比Si/Wは10以下とする。好ましくは4以下である。
水系処理液中の水溶性タングステン酸塩(A)とりん酸とりん酸化合物(C)の金属換算質量比P/Wを0.05〜1.0とする。質量比P/Wが0.05未満では、P(又は、りん酸化合物)の溶出量が少なく、フラックス液の残存成分との反応で生成する沈殿皮膜の生成が不十分となって、耐食性が劣化するので、質量比P/Wは0.05以上とする。
一方、質量比P/Wが1.0を超えると、P(りん酸化合物)の溶出量が増加し、塗料密着性が劣化するので、質量比P/Wは1.0以下とする。
水系処理液には、耐食性のより向上を目的とし、Co、Ni、Zr、Tiの1種又は2種以上の金属塩(D)を含有してもよい。この場合、上記1種又は2種以上の金属とWの質量比金属/Wは0.01〜0.5が好ましい。
質量比金属/Wが0.01未満では、耐食性の向上効果がないので、0.01以上が好ましい。より好ましくは0.05以上である。質量比金属/Wが0.5を超えると、金属イオン溶出量が増加して塗料密着性が低下するので、0.5以下が好ましい。より好ましくは0.3以下である。
水溶性タングステン酸塩(A)は、特に特定のタングステン酸塩に限定するものではないが、タングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸カルシウム、ケイタングステン酸、リンタングステン酸、イコサタングステン酸、デカタングステン酸、ヘキサタングステン酸、メタタングステン酸などが好ましい。これらの中からいくつか選択して使用してもよい。
溶出成分の溶出量を制御し耐食性を向上させる水分散性シリカ(B)は、特に特定の水分散性シリカに限定するものではないが、例えば、球状シリカとして、スノーテックスC、スノーテックスCS、スノーテックスCM、スノーテックスO、スノーテックスOS、スノーテックスOM、スノーテックスNS、スノーテックスN、スノーテックスNM、スノーテックスS、スノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックス40などがあり、また、鎖状シリカとして、スノーテックスUP、スノーテックスOUP、スノーテックスPS−S、スノーテックスPS−SO、スノーテックスPS−M、スノーテックスPS−MO、スノーテックスPS−L、スノーテックスPS−LOなどがあり、これらが好ましい。なお、気相シリカは、水系処理液中で沈殿を生じ易いので、好ましくない。
りん酸とりん酸化合物(C)は、特に特定のりん酸又はりん酸化合物に限定するものではないが、例えば、オルトりん酸、メタりん酸、ピロりん酸、及び、これらのアンモニウム塩、アミン塩などが好ましい。
水系処理液を使用した処理方法について説明する。水系処理液を、溶融Sn−Znめっき鋼板の表面に塗布し、その後、加熱して乾燥する。塗布方法及び乾燥方法は、特に制限はない。ロール転写で塗布するロールコート法、又は、シャワーや浸漬により鋼板表面を濡らした後、ロール絞りやエアーナイフで余分な処理液を除去して塗布量を調整する方法を用いることができる。水系処理液の塗布時の温度は、特に限定されないが、5〜60℃が好ましい。
水系処理液を塗布した後の乾燥は、最高到達板温度を50〜200℃として乾燥することが好ましい。加熱方法は特に限定されない。熱風、直火、誘導加熱、赤外、近赤外、電気炉等のいずれの方法を用いてもよい。
次に、本発明皮膜の作用について説明する。
本発明皮膜の重要な作用は、フラックス法の溶融めっきで鋼板表面に残存するフラックス液の成分に起因して耐食性が低下するのを防止することである。本発明皮膜中の水溶性タングステン酸塩(A)及び“りん酸とリン酸化合物(C)”と、フラックス液の残存成分の反応で、強固な沈殿防錆皮膜を形成する。
ただし、水溶性タングステン酸塩(A)と“りん酸とリン酸化合物(C)”のみでは溶出量が過剰となり、粉体塗料との塗料密着性が低下するので、水分散性シリカ(B)を組み合せて、水溶性タングステン酸塩(A)と“りん酸とリン酸化合物(C)”の溶出量を制御する。この制御により、本発明めっき鋼板は、例えば、自動車燃料タンク材料として優れた性能を得ることができる。
さらに、本発明皮膜に、Co、Ni、Zr、Tiの1種又は2種以上の金属化合物を添加することで、沈殿防錆皮膜の緻密度を高めて、防錆期間を延長することができる。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例)
「試験鋼板の作製」
(1)試験鋼板の製造
表1に示す成分組成の鋼を通常の転炉−真空脱ガス処理により溶製し、鋼片とした後、通常の条件で熱間圧延、冷間圧延、連続焼鈍を施して、焼鈍鋼板(板厚0.8mm)を得た。
Figure 2015224367
この鋼板の一部にFe−Niめっきを0.2g/m2施した後、フラックス法でSn−Znめっきを施した。Fe−Ni合金めっき浴は、Niめっきのワット浴に硫酸鉄を30〜200g/L添加したものを使用した。フラックスとしてZnCl2水溶液を用い、ロールで焼鈍鋼板に塗布した。めっき浴のZnは、0〜70wt%の範囲で変化させた。
浴温は、Sn−Zn合金の融点+60℃とし、めっき後、ガスワイピングでめっき付着量を調整した。このように製造しためっき鋼板を、種々の粗度を有するロールで調質圧延し、表面粗度を調節した。
(2)脱脂処理
上記(1)で準備した試験鋼板を、シリケート系のアルカリ脱脂剤(例えば、ファインクリーナー4336[登録商標:日本パーカライジング(株)製])で脱脂処理(濃度20g/L、温度60℃、20秒間スプレー)した後、水道水で洗浄した。
(3)水系処理液の調整
表2に水溶性タングステン酸塩を、表3に水分散性シリカを、表4にりん酸とりん酸化合物を、表5に金属塩を、それぞれ示す。
Figure 2015224367
Figure 2015224367
Figure 2015224367
Figure 2015224367
表6及び表7に示す組成になるように水系処理液を調製した。硝酸とアンモニア水を使用してpHを調整した。水分散性シリカは、pH調整後に加え、Wが1質量量%になるように純水で調整して、水系処理液とした。
Figure 2015224367
Figure 2015224367
表6に示し実施例1〜23、及び、表7に示す比較例31〜34において、水系処理液は、実質的に6価クロムを含まないことを確認した。
(4)水系処理液の塗布
調製した水系処理液を、バーコーターで試験鋼板に塗布し、240℃の雰囲気温度で、到達板温度が60℃になるまで加熱して乾燥した。なお、水系処理液の付着量の調整は、水系処理液の固形分濃度を適宜調整して行った。Wの付着量(mg/m2)は、蛍光X線分析でΦ30mmエリアを分析し、分析値の平均を付着量とした。
「性能評価項目及び評価方法」
(1)塗装密着性
表8及び表9に示す条件で作製した試験鋼板に、静電粉体塗装装置でポリエステル系粉体塗料を塗布し、180℃で10分間加熱乾燥して、60μmの焼付け塗膜を形成した。続いて、沸騰水中に60分浸漬し、取り出した後、24時間、自然放置した。その後、塗膜に、カッターナイフで、1mm、100マスの碁盤目加工を施し、テープ剥離試験を行い、塗膜剥離数を計数した。
塗装密着性の評価基準を以下に示す。試験の個体数は2とし、2つの平均値で評価した。塗膜剥離数0個が最良で。30個以下を合格とした。
評価結果を表8及び表9に併せて示す。
(2)燃料タンク内面耐食性
表8及び表9に示す条件で作製した試験鋼板に、50mmΦポンチで円筒深絞り加工を施し、ツバ付きカップを作製した。ガソリンと、10質量%の水溶液(水溶液中、蟻酸:200ppm、酢酸:400ppm、NaCl:165ppmの総量50ml)を上記ツバ付きカップ内に封入し、45℃の恒温槽中で1000時間放置した。
放置後、ツバ付きカップを目視で観察し、該カップの底面に発生した赤錆の面積率を測定した。赤錆面積率0%が最良で30%以下を合格とした。
評価結果を表8及び表9に併せて示す。
Figure 2015224367
Figure 2015224367
表6及び表8に示すように、本発明皮膜を施した溶融Sn−Znめっき鋼板は、優れた塗料密着性と燃料タンク内面耐食性を有している。これに対し、表7及び表9に示すように、本発明範囲を外れる皮膜を施した溶融Sn−Znめっき鋼板においては、塗料密着性と燃料タンク内面耐食性がバランス良く得られていない。
前述したように、本発明によれば、表面に、人体及び環境に有害な6価クロムを実質的に含まない水系処理液を塗布して形成した皮膜を有し、優れた耐食性と塗料密着性を備える溶融Sn−Znめっき鋼板を提供することができる。本発明の溶融Sn−Znめっき鋼板は、自動車用燃料タンク材料の他、人体及び環境に優しい材料として使用できるので、産業上の利用可能性が大きいものである。

Claims (6)

  1. めっき中のSnが50質量%以上の溶融Sn−Znめっき鋼板の表面に、少なくとも、W、Si、及び、Pを含む皮膜が形成されていて、該皮膜中、SiとWの質量比Si/Wが0.005〜10で、PとWの質量比P/Wが0.05〜1.0であり、かつ、皮膜付着量が、片面当り、金属W換算で10〜500mg/m2であることを特徴とする優れた耐食性と塗料密着性を有する溶融Sn−Znめっき鋼板。
  2. 前記皮膜が、さらに、Co、Ni、Zr、及び、Tiの1種又は2種以上の金属化合物を含有し、かつ、上記1種又は2種以上の金属とWの質量比金属/Wが0.01〜0.5であることを特徴とする請求項1に記載の優れた耐食性と塗料密着性を有する溶融Sn−Znめっき鋼板。
  3. 前記溶融Sn−Znめっき鋼板が、フラックス法でめっきした鋼板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の優れた耐食性と塗料密着性を有する溶融Sn−Znめっき鋼板。
  4. めっき中のSnが50質量%以上の溶融Sn−Znめっき鋼板の表面に、少なくとも、水溶性タングステン酸塩(A)、水分散性シリカ(B)、及び、りん酸とりん酸化合物(C)を含有し、金属換算で、質量比Si/Wが0.005〜10、質量比P/Wが0.05〜1.0、pHが8〜11の水系処理液を、片面当り、金属W換算で10〜500mg/m2塗布して乾燥することを特徴とする優れた耐食性と塗料密着性を有する溶融Sn−Znめっき鋼板の製造方法。
  5. 前記水系処理液が、さらに、Co、Ni、Zr、及び、Tiの1種又は2種以上の金属塩(D)を含有し、かつ、上記1種又は2種以上の金属とWの質量比金属/Wが0.01〜0.5であることを特徴とする請求項3に記載の優れた耐食性と塗料密着性を有する溶融Sn−Znめっき鋼板の製造方法。
  6. 前記溶融Sn−Znめっき鋼板が、フラックス法でめっきした鋼板であることを特徴とする請求項4又は5に記載の優れた耐食性と塗料密着性を有する溶融Sn−Znめっき鋼板の製造方法。
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