JP2012167229A - プリプレグの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚みがあるプリプレグを製造する場合でも、繊維基材に樹脂を十分に含浸でき、ドレープ性を有するプリプレグを低コストで製造する方法を提供する。
【解決手段】連続繊維からなる、第一の繊維基材(A1)および第二の繊維基材(A2)で、液状の樹脂組成物が付着した、連続繊維からなる第三の繊維基材(A3)を挟み、該第三の繊維基材(A3)に付着した樹脂組成物を第一の繊維基材(A1)および第二の繊維基材(A2)に含浸させる、プリプレグの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、プリプレグの製造方法に関する。
繊維強化複合材料は、軽量かつ高強度の特性から様々な用途で用いられている。特に長繊維強化複合材料は、軽量かつ高強度に加え、高剛性の特性を有し、金属材料代替として飛行機、船舶、鉄道車両、自動車、ゴルフクラブ、テニスラケットなど、スポーツ・レジャー用途から自動車や航空機等の産業用途まで、幅広く用いられている。
繊維強化複合材料の多くは、性能発現性の高さから、炭素繊維などの強化繊維からなる繊維基材に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させたプレプレグを積層、硬化する方法により製造される。
このプリプレグに要求される性能としては、硬化後(すなわち、繊維強化複合材料となったとき)の強度等の物性に優れることはもちろんであるが、その取り扱い性に優れること、つまりドレープ性(柔軟性)を有することである。
強度等の物性に優れる繊維強化複合材料を得るためには、その内部に生じるボイド(空隙)をいかに低減できるかが重要である。プリプレグの繊維基材に熱硬化性樹脂の未含浸部分があると、その未含浸部分が空隙として成形品である繊維強化複合材料に残り、空隙が繊維強化複合材料中の欠陥となりその強度が低下する。
従来、繊維基材に熱硬化性樹脂を良好に含浸させる方法として、熱硬化性樹脂と溶剤を混合し、これを繊維基材に含浸させた後、溶剤を乾燥除去してプリプレグを得る、いわゆるラッカー法やワニス法が用いられていた。
しかし、この方法では、溶剤を十分に除去できず、プリプレグ中に残存する溶剤が成形中に気化し、繊維強化複合材料中に空隙が生じるといった問題があった。溶剤を十分に除去するために乾燥温度を上げると、プリプレグの段階で熱硬化性樹脂が硬化してしまうので、この段階で溶剤を十分に除去することは困難であった。
この問題を解決するために、近年、溶剤を用いず、加熱により熱硬化性樹脂の粘度を低下させて熱硬化性樹脂のフィルム(樹脂フィルム)を作製し、この樹脂フィルムを例えば連続繊維を一方向に引き揃えた繊維基材の片面に貼り付け、加熱および/または加圧することで熱硬化性樹脂を繊維基材に含浸させてプリプレグを得る、いわゆるホットメルトフィルム法が提案されている。
ところで、プリプレグを用いて繊維強化複合材料を成形するには、そのプリプレグを所望の厚みまで積層する必要がある。特に、船舶、鉄道車両、自動車等の移動体の構造部品は部品厚みが厚いため、繊維強化複合材料をこれらの用途に用いる場合にはプリプレグの積層数を増やす必要がある。そのため、厚みがあるプリプレグが求められていた。
厚みがあるプリプレグを得るには繊維基材を厚くすればよい。しかし、上述したホットメルトフィルム法では、連続繊維を引き揃えた繊維基材の片面に樹脂フィルムを貼り付け、外側から加圧して熱硬化性樹脂を含浸させるため、繊維基材の目付けが大きくなると、すなわち繊維基材が厚くなると、片側からでは熱硬化性樹脂を十分に含浸させることができない。よって、ホットメルトフィルム法では、その含浸原理から、厚みがあり、かつ熱硬化性樹脂が十分に含浸したプリプレグを作製するのは困難であった。
そこで、例えば特許文献1では、繊維基材の両面に樹脂フィルムを貼り付けて熱硬化性樹脂を含浸させる方法が開示されている。
特開昭63−170427号公報
特許文献1に記載のように、繊維基材の両面に樹脂フィルムを貼り付けて含浸させる方法では、繊維基材中の空気を熱硬化性樹脂と置換させながら、繊維基材の外に移動させる必要がある。
しかしながら、繊維基材が樹脂フィルムで挟まれているため、繊維基材中の空気が抜けにくく、熱硬化性樹脂が十分に含浸されにくかった。その結果、繊維基材中の空気がプリプレグ中に残りやすかった。これは、繊維基材の目付けが大きくなるほど、すなわち繊維基材が厚くなるほど顕著であった。
プリプレグ中の残存空気はプリプレグ中の空隙であり、この空隙は該プリプレグを積層・硬化させた繊維強化複合材料の欠陥となる。
逆に、繊維基材に熱硬化性樹脂が過剰に含浸すると、得られるプリプレグが剛直になりやすく、ドレープ性が低下しやすかった。特に、繊維基材の目付が大きくなるほど顕著であった。
さらに、ホットメルトフィルム法は、樹脂フィルムを別工程で作製する必要がある。加えて、工程の加工費、樹脂フィルムを担持する離型紙、樹脂フィルムを保護する保護フィルム等の材料費がかかるため、プリプレグの製造コストが高くなりやすかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、厚みがあるプリプレグを製造する場合でも、繊維基材に樹脂を十分に含浸でき、ドレープ性を有するプリプレグを低コストで製造する方法を提供することを目的とする。
本発明のプリプレグの製造方法は、連続繊維からなる、第一の繊維基材(A1)および第二の繊維基材(A2)で、液状の樹脂組成物が付着した、連続繊維からなる第三の繊維基材(A3)を挟み、該第三の繊維基材(A3)に付着した樹脂組成物を第一の繊維基材(A1)および第二の繊維基材(A2)に含浸させることを特徴とする。
また、前記第一の繊維基材(A1)、第二の繊維基材(A2)および第三の繊維基材(A3)の形態が、連続繊維を一方向に引き揃えた形態、または所定の間隔をおいて連続繊維を一方向に引き揃えた形態であることが好ましい。
さらに、前記樹脂組成物がエポキシ樹脂を含むことが好ましい。
本発明によれば、厚みがあるプリプレグを製造する場合でも、繊維基材に樹脂を十分に含浸でき、ドレープ性を有するプリプレグを低コストで製造できる。
実施例3で用いたプリプレグ製造装置を示す概略構成図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のプリプレグの製造方法は、連続繊維からなる、第一の繊維基材(A1)(以下、「繊維基材(A1)」という。)および第二の繊維基材(A2)(以下、「繊維基材(A2)」という。)で、液状の樹脂組成物が付着した、連続繊維からなる第三の繊維基材(A3)(以下、「繊維基材(A3)」という。)を挟み、繊維基材(A3)に付着した樹脂組成物を繊維基材(A1)および繊維基材(A2)に含浸させることを特徴とする。
[繊維基材]
繊維基材(A1)〜(A3)を構成する連続繊維は強化繊維であり、繊維強化複合材料の使用目的に応じた様々なものが使用できる。
本発明に用いる連続繊維の具体例としては、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、タングステンカーバイド繊維、ガラス繊維などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
連続繊維としては、上述した中でも比強度、比弾性率に優れる点で、炭素繊維や黒鉛繊維が好適である。
炭素繊維や黒鉛繊維としては、用途に応じてあらゆる種類の炭素繊維や黒鉛繊維を用いることが可能であるが、引張伸度1.5%以上の高強度炭素繊維が繊維強化複合材料の強度発現のため適している。中でも、引張強度4.4GPa以上、引張伸度1.7%以上の高強度高伸度炭素繊維がより好ましく、さらに引張伸度1.9%以上の高強度高伸度炭素繊維が最も適している。また、炭素繊維や黒鉛繊維は他の強化繊維を混合して用いてもよい。
繊維基材(A1)〜(A3)の形態としては、連続繊維を一方向に引き揃えた形態、トウの形態、織物の形態、またノンクリンプファブリックの形態などが挙げられる。中でも硬化物の強度発現の点で、連続繊維を一方向に引き揃えた形態が好ましい。また、繊維基材(A1)〜(A3)は、間隔なく連続繊維を一方向に引き揃えた形態でもよいし、所定の間隔をおいて連続繊維を一方向に引き揃えた形態でもよい。
繊維基材(A1)〜(A3)は、全てが同じ形態でもよいし、異なる形態でもよいが、全てが同じ形態であることが好ましい。
繊維基材(A1)〜(A3)の繊維目付けは、繊維強化複合材料の使用目的に応じて自由に設定できる。
[樹脂組成物]
本発明に用いる樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む。
樹脂組成物の粘度は特に限定されないが、含浸性の観点からは低い方が好ましく、具体的には30℃における粘度が1〜1×10Pa・secであることが好ましい。
なお、樹脂組成物は、繊維基材(A3)に付着する際、ならびに繊維基材(A1)および繊維基材(A2)に含浸する際に液状であればよく、加熱により液状になれば、室温では固体の状態であってもよい。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラニン樹脂、ビスマレイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂(BT樹脂)、シアネートエステル樹脂、トリアジン樹脂等が挙げられる。中でも、強度、耐熱性、成形性に優れる点で、エポキシ樹脂が好ましい。
これら熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上の混合物として使用してもよい。また、単体では固体の樹脂でも、混合物としたときに液状であれば使用できる。
エポキシ樹脂としては、例えば分子内に水酸基を有する化合物とエピクロロヒドリンから得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、分子内にアミノ基を有する化合物とエピクロロヒドリンから得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、分子内にカルボキシル基を有する化合物とエピクロロヒドリンから得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、分子内に二重結合を有する化合物を酸化することから得られる脂環式エポキシ樹脂、イソシアネートとエポキシから脱アルコールすることで得られるオキサゾリン環含有エポキシ樹脂、またはこれらから選ばれる2種類以上のタイプの基が分子内に混在するエポキシ樹脂などが用いられる。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンの反応により得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFとエピクロロヒドリンの反応により得られるビスフェノールF型エポキシ樹脂、レゾルシノールとエピクロロヒドリンの反応により得られるレゾルシノール型エポキシ樹脂、フェノールとエピクロロヒドリンの反応により得られるフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、およびこれらの位置異性体やアルキル基やハロゲンでの置換体などが挙げられる。
これらグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、市販品を用いることができる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、「EPON825」、「jER826」、「jER827」、「jER828」、「jER1001」(以上、三菱化学株式会社製)、「エピクロン850」(DIC株式会社製)、「エポトートYD−128」(新日鐵化学株式会社製)、「DER−331」、「DER−332」(以上、ダウケミカル社製)、「Bakelite EPR154」、「Bakelite EPR162」、「Bakelite EPR172」、「Bakelite EPR173」、「Bakelite EPR174」(以上、Bakelite AG社製)などが挙げられる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、「jER806」、「jER807」、「jER1750」(以上、三菱化学株式会社製)、「エピクロン830」(DIC株式会社製)、「エポトートYD−170」、「エポトートYD−175」(以上、新日鐵化学株式会社製)、「Bakelite EPR169」(Bakelite AG社製)、「GY281」、「GY282」、「GY285」(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製)などが挙げられる。
レゾルシノール型エポキシ樹脂の市販品としては、「デナコールEX−201」(ナガセケムテックス株式会社製)などが挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、「jER152」、「jER154」(以上、三菱化学株式会社製)、「エピクロン740」(DIC株式会社製)、「EPN179」、「EPN180」(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製)などが挙げられる。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂の具体例としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン類、アミノフェノールやアミノクレゾールのグリシジル化合物類、グリシジルアニリン類、キシレンジアミンのグリシジル化合物などが挙げられる。
これらグリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、市販品を用いることができる。
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン類の市販品としては、「スミエポキシELM434」(住友化学株式会社製)、「アラルダイトMY720」、「アラルダイトMY721」、「アラルダイトMY9512」、「アラルダイトMY9612」、「アラルダイトMY9634」、「アラルダイトMY9663」(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製)、「jER604」(三菱化学株式会社製)、「Bakelite EPR494」、「Bakelite EPR495」、「Bakelite EPR496」、「Bakelite EPR497」(以上、Bakelite AG社製)などが挙げられる。
アミノフェノールやアミノクレゾールのグリシジル化合物類の市販品としては、「jER630」(三菱化学株式会社製)、「アラルダイトMY0500」、「アラルダイトMY0510」、「アラルダイトMY0600」(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製)、「スミエポキシELM120」、「スミエポキシELM100」(以上、住友化学株式会社製)などが挙げられる。
グリシジルアニリン類の市販品としては、「GAN、GOT」(日本化薬株式会社製)、「Bakelite EPR493」(Bakelite AG社製)などが挙げられる。
キシレンジアミンのグリシジル化合物としては、「TETRAD−X」(三菱ガス化学化学株式会社製)が挙げられる。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂の具体例としては、フタル酸ジグリシジルエステルや、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル、およびこれらの異性体などが挙げられる。
これらグリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、市販品を用いることができる。
フタル酸ジグリシジルエステルの市販品としては、「エポミックR508」(三井化学株式会社製)、「デナコールEX−721」(ナガセケムテックス株式会社製)などが挙げられる。
ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルの市販品としては、「エポミックR540」(三井化学株式会社製)、「AK−601」(日本化薬株式会社製)などが挙げられる。
ダイマー酸ジグリシジルエステルの市販品としては、「jER871」(三菱化学株式会社製)、「エポトートYD−171」(新日鐵化学株式会社製)などが挙げられる。
脂環式エポキシ樹脂としては、市販品を用いることができる。例えば「セロキサイド2021P」、「セロキサイド2081」、「セロキサイド3000」(以上、ダイセル化学工業株式会社製)、「CY179」(ハンツマン・アドバンスド・マテリアル社製)などが挙げられる。
オキサゾリン環含有エポキシ樹脂としては、市販品を用いることができる。例えば「アラルダイトAER4152」(旭化成イーマテリアルズ株式会社製)などが挙げられる。
上述したエポキシ樹脂の中でも、耐熱性、靱性の点で、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が特に好ましい。
これらエポキシ樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、含浸性の観点からは、エポキシ樹脂の粘度は低い方が好ましい。
(硬化剤)
硬化剤としては、アミン、酸無水物(カルボン酸無水物等)、フェノール(ノボラック樹脂等)、メルカプタン、ルイス酸アミン錯体、オニウム塩、イミダゾールなどが挙げられるが、上述した熱硬化性樹脂を硬化させうるものであればどのような構造のものでもよい。これらの中でも、アミン型の硬化剤が好ましい。
これら硬化剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、単体では固体の硬化剤でも、樹脂組成物としたときに液状であれば使用できる。
アミン型の硬化剤としては、例えばジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンのような芳香族アミン、脂肪族アミン、イミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、およびこれらの異性体、変成体などが挙げられる。これらの中でも、プリプレグの保存性に優れる点で、ジシアンジアミドが特に好ましい。
これらの硬化剤には、硬化活性を高めるために、適当な硬化助剤を組み合わせることができる。好ましい組み合わせとしては、硬化剤としてジシアンジアミドと、硬化助剤として3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(DCMU)、3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチル尿素、2,4−ビス(3,3−ジメチルウレイド)トルエン等の尿素誘導体との組み合わせ、硬化剤としてカルボン酸無水物やノボラック樹脂と、硬化助剤として三級アミンとの組み合わせ、硬化剤としてジアミノジフェニルスルホンと、硬化助剤としてイミダゾール化合物、フェニルジメチルウレア(PDMU)等のウレア化合物や、三フッ化モノエチルアミン、三塩化アミン錯体等のアミン錯体との組み合わせなどが挙げられる。
(その他)
本発明に用いる樹脂組成物には、添加剤として、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーおよびエラストマーからなる群から選ばれた1種以上の樹脂を含有させることができる。これら添加剤には、マトリックス樹脂(熱硬化性樹脂)の靭性を向上させ、かつ、粘弾性を変化させて、粘度、貯蔵弾性率およびチキソトロープ性を適正化する役割がある。
これら添加剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、添加剤は、単体では固体であっても、樹脂組成物としたときに液状であれば使用できる。
これら添加剤は、熱硬化性樹脂中に溶解して配合されてもよく、微粒子、長繊維、短繊維、織物、不織布、メッシュ、パルプなどの形状でプリプレグの表層に配置されてもよい。
熱可塑性樹脂としては、主鎖に、炭素−炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、尿素結合、チオエーテル結合、スルホン結合、イミダゾール結合およびカルボニル結合からなる群から選ばれた1種以上の結合を有する熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。
このような熱可塑性樹脂としては、例えばポリアクリレート、ポリアミド、ポリアラミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホンおよびポリエーテルスルホンのようなエンジニアリングプラスチックに属する熱可塑性樹脂の一群がより好ましく用いられる。これらの中でも、耐熱性に優れる点で、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホンおよびポリエーテルスルホンが特に好ましい。
また、熱可塑性樹脂は、靭性向上および熱硬化性樹脂の耐環境性維持の観点から、熱硬化性樹脂との反応性官能基を有することが好ましい。反応性官能基としては、カルボキシル基、アミノ基および水酸基などが挙げられる。
[プリプレグの製造]
本発明では、まず繊維基材(A1)および繊維基材(A2)で、樹脂組成物が付着した繊維基材(A3)を挟み、ついで繊維基材(A3)に付着した樹脂組成物を繊維基材(A1)および繊維基材(A2)に含浸させる。
繊維基材(A3)へ樹脂組成物を付着させる方法としては特に限定されず、公知の方法を使用できる。具体的には、タッチロール方式、ディップ方式、ダイ方式、ディスペンサー方式などが挙げられる。
また、繊維基材(A3)への樹脂組成物の付着量についても特に制限されないが、通常は30〜40質量%程度である。
繊維基材(A3)に付着した樹脂組成物を繊維基材(A1)および繊維基材(A2)に含浸させる方法としては特に限定されず、公知の方法を使用できる。具体的には、繊維基材(A1)および繊維基材(A2)で樹脂組成物が付着した繊維基材(A3)を挟み、これを何組かの含浸ロールに挟み込んで加圧および/または加熱して含浸させる方法、何本かの含浸ロールに抱かせて含浸させる方法などが挙げられる。
含浸させる際の温度は10〜120℃が好ましい。また、加圧によって含浸させる際の圧力は950N〜20kNが好ましい。
なお、本発明に用いる樹脂組成物は、繊維基材(A3)に付着する際、ならびに繊維基材(A1)および繊維基材(A2)に含浸する際は液状である。従って、樹脂組成物は繊維基材(A3)に付着したときに基材の内部まで浸み込みやすい。そのため、例えば連続繊維を一方向に引き揃えたシート状の繊維基材(A3)の片面に樹脂組成物を付着させても、他方の面にまで樹脂組成物が行渡りやすい。これは繊維基材(A3)の目付けが小さいほど顕著である。
また、樹脂組成物が繊維基材(A1)および繊維基材(A2)に含浸する際は、必然的に繊維基材(A3)の内部まで浸み込むことになる。
ところで、ホットメルトフィルム法により樹脂組成物を含浸させる場合、樹脂フィルムで繊維基材を挟み込むため、繊維基材の面垂直方向(積層方向)における繊維基材中の空気の逃げ道がない。そのため、この空気によって繊維基材への樹脂組成物の進行が妨げられ、十分に含浸しにくく、プリプレグ中に空気が残存しやすかった。
なお、ホットメルトフィルム法でも、樹脂フィルムを繊維基材の片面のみに貼り付ければ、繊維基材の他方の面から空気が抜けるため、空気による樹脂組成物の含浸の妨げは抑制されるが、繊維基材の目付けが大きくなると、すなわち繊維基材が厚くなると、片側からでは樹脂組成物を十分に含浸させることが困難となる。
一方、繊維基材に樹脂組成物が過剰に含浸すると、得られるプリプレグが剛直になりやすく、ドレープ性が低下しやすくなる。
さらに、ホットメルトフィルム法の場合、離型紙上に樹脂フィルムを形成させたり、樹脂フィルムを保護するための保護フィルムを樹脂フィルムに貼り付けたりする必要がある。そのため、樹脂組成物はある程度の粘度を維持する必要がある。樹脂組成物の粘度が低すぎると、プリプレグの製造時に樹脂フィルムから保護フィルムが剥がれにくくなる。樹脂組成物の粘度がさらに低くなると、離型紙上に樹脂フィルムを形成することすら困難となる。
しかし、本発明であれば、繊維基材(A3)に付着した樹脂組成物が繊維基材(A1)および繊維基材(A2)に含浸する際は、これら繊維基材(A1)および繊維基材(A2)の面垂直方向(積層方向)において、繊維の隙間から各繊維基材中の空気が抜けやすい。従って、樹脂組成物はその進行を妨げられることなく、繊維基材(A1)および繊維基材(A2)に、過剰にならない程度に十分に含浸する。また、樹脂組成物の進行に伴い、各繊維基材中の空気が押出されるため、得られるプリプレグ中に空気が残りにくい。
また、本発明であれば、各繊維基材の目付けを容易に変更できる。従って、例えば各繊維基材の目付けを、所望とするプリプレグの目付けの1/3に設定すれば、繊維基材(A3)に付着した樹脂組成物が繊維基材(A1)および繊維基材(A2)へ含浸するときの、面垂直方向の移動距離は、ホットメルトフィルム法において繊維基材の片面のみに樹脂フィルムを貼り付けて含浸させる場合の約1/3と見積もられる。
従って、本発明はホットメルトフィルム法に比べて樹脂組成物の含浸性が良好であり、プリプレグの目付けが大きくなっても、すなわち厚みがあるプリプレグを製造する場合でも、繊維基材に樹脂組成物を過剰にならない程度に十分に含浸でき、ドレープ性に優れるプリプレグが得られる。
さらに、本発明では、用いる樹脂組成物についてホットメルトフィルム法のような粘度の制約がなく、粘度が低い樹脂組成物を用いることができる。樹脂組成物は粘度が低いほど含浸性に優れるため、各繊維基材への含浸がより良好なものとなる。
本発明では、ホットメルトフィルム法では使用が困難な低粘度領域の樹脂組成物を使用することができる。従って、低粘度の樹脂組成物を用いれば、より効果的に繊維基材に含浸できるので、厚みがあるプリプレグを製造する場合でも樹脂組成物の含浸性が向上し、ドレープ性に優れるプリプレグが得られる。
以上説明したように、本発明によれば、繊維基材に樹脂を過剰にならない程度に十分に含浸できるので、厚みがある場合でもドレープ性を有するプリプレグを製造できる。また、ホットメルトフィルム法のように樹脂フィルムを別工程で作製する必要がないため、工程の加工費や材料費がかからず、低コストでプリプレグを製造できる。
本発明により得られるプリプレグを用いれば、欠陥が少なく、高強度の繊維強化複合材料を作製することができる。
特に、厚みがあるプリプレグを用いれば、繊維強化複合材料を作製するに際して、積層回数を削減できる。また、本発明により得られるプリプレグはドレープ性を有するため、取り扱い性が良好であり、積層時間も短縮できる。
従って、本発明は、厚みがある繊維強化複合材料を作製する場合に、特に好適である。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
各例で使用した樹脂組成物、繊維強化複合材料の製造方法、および評価方法を以下に示す。
[樹脂組成物]
樹脂組成物に用いた原料は以下の通りである。
・エポキシ樹脂A:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、「jER828」)
・エポキシ樹脂B:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、「jER1001」)
・エポキシ樹脂C:オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂(旭化成イーマテリアルズ株式会社製、「アラルダイトAER4152」)
・エポキシエステル樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂のアクリル酸付加物(二官能アクリル酸エステル)(共栄社化学株式会社製、「エポキシエステル3000A」)
・硬化剤:ジシアンジアミド(三菱化学株式会社製、「DICY15」)
・硬化助剤:3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(保土谷化学工業株式会社製、「DCMU99」)
<硬化剤マスターバッチ1、2の調製>
表1に示す配合組成に従って、エポキシ樹脂A、硬化剤、および硬化助剤を攪拌・混合し、得られた混合物を三本ロールミルにてさらに細かく混合し、硬化剤マスターバッチ1、2を得た。
Figure 2012167229
<樹脂組成物1の調製>
表2に示す配合組成に従い、ガラスフラスコにエポキシ樹脂Aを66.4質量部とエポキシ樹脂Bを20質量部採取し、オイルバスを用いて130℃に加熱し混合した。その後60℃程度まで冷却し、60℃ウォーターバスを用いて硬化剤マスターバッチ1を25質量部添加し、攪拌・混合して樹脂組成物1を得た。
得られた樹脂組成物1の30℃における粘度を以下の測定条件により測定したところ、9×10Pa・secであった。
(測定条件)
・装置:示差走査熱量計(レオメトリクス社製、「DSR−200」)
・使用プレート:40φパラレルプレート
・プレートギャップ:0.5mm
・測定周波数:10rad/sec
・昇温速度:2℃/min
・応力:3000dyne/cm
<樹脂組成物2の調製>
表2に示す配合組成に従い、ガラスフラスコにエポキシ樹脂Aを49.8質量部とエポキシ樹脂Bを15質量部採取し、オイルバスを用いて130℃に加熱し混合した。その後60℃程度まで冷却した。これに、エポキシエステル樹脂25質量部と硬化剤マスターバッチ1を18.7質量部添加し、ハイブリッドミキサー(株式会社キーエンス製、「HM−500」)にて攪拌・混合して樹脂組成物2を得た。
得られた樹脂組成物2の30℃における粘度を以下の測定条件により測定したところ、6×10Pa・secであった。
(測定条件)
・装置:粘弾性測定装置(Reologica Instruments A.B.社製、「VAR−100」)
・使用プレート:40φパラレルプレート
・プレートギャップ:0.5mm
・測定周波数:1.59Hz
・昇温速度:2℃/min
・応力:300Pa
<樹脂組成物3の調製>
表2に示す配合組成に従い、ガラスフラスコにエポキシ樹脂Aを75.7質量部とエポキシ樹脂Cを16質量部採取し、オイルバスを用いて130℃に加熱し混合した。その後60℃程度まで冷却した。これに、硬化剤マスターバッチ2を13.4質量部添加し、攪拌・混合して樹脂組成物3を得た。
得られた樹脂組成物3の30℃における粘度を、樹脂組成物2の場合と同じ測定条件で測定したところ、5×10Pa・secであった。
Figure 2012167229
[繊維強化複合材料の作製]
<オートクレーブ硬化>
一方向プリプレグの繊維方向を揃え、所定の数だけ積層しバギングした。バッグ内を真空ポンプで減圧した後、これをオートクレーブ内に入れた。釜内を昇温速度2℃/minで昇温し、80℃で1時間保持した。次いで、昇温速度2℃/minで昇温し、130℃で1.5時間保持し硬化させ、繊維強化複合材料を得た。その際、オートクレーブ内圧力は、80℃で1時間保持した後で加圧し、6.0kg/cmとした。また、真空ポンプはオートクレーブ内圧力が1.4kg/cmの時点で停止し、バッグ内を大気開放した。
<真空バッグ硬化>
一方向プリプレグの繊維方向を揃え、所定の数だけ積層しバギングした。バッグ内を真空ポンプで減圧した後、これをオーブンに入れた。オーブン内を昇温速度0.5℃/minで昇温し、90℃で2時間保持した。次いで、昇温速度0.17℃/minで昇温し、110℃で4時間保持し硬化させ、繊維強化複合材料を得た。
[繊維強化複合材料の評価]
<0°圧縮特性の評価>
プリプレグを2プライ積層しバギングした。バッグ内を真空ポンプで減圧した後、オートクレーブ硬化または真空バッグ硬化により、幅12.7mm、厚み1.3mmの繊維強化複合材料(試験片)を6個作製した。
得られた試験片について、SACMA SRM 1Rに準拠し、100kNロードセルを備えたINSTRON 5882測定機を用い、温度23℃、湿度50%RHの環境下、クロスヘッドスピード1.27mm/minの条件で、圧縮強度および圧縮弾性率を測定し、測定値をVf(繊維体積含有率)60%に換算した。6個の試験片について同様に測定し、平均値を求めた。
なお、測定には、同じ板から切り出したタブを各試験片に接着して行った。
<0°曲げ特性の評価>
プリプレグを4プライ積層しバギングした。バッグ内を真空ポンプで減圧した後、オートクレーブ硬化または真空バッグ硬化により、幅12.7mm、長さ100mm、厚み2.7mmの繊維強化複合材料(試験片)を6個作製した。
得られた試験片について、ASTM D790に準拠し、5kNロードセルを備えたINSTRON 4465測定機を用い、温度23℃、湿度50%RHの環境下、クロスヘッドスピード7.14mm/min、圧子R=5.0R、サポートR=3.2R、L/D=40の条件で、曲げ強度、曲げ弾性率、および曲げ破断歪を測定した。なお、曲げ強度および曲げ弾性率については、測定値をVf60%に換算した。6個の試験片について同様に測定し、平均値を求めた。
<ILSS特性の評価>
プリプレグを4プライ積層しバギングした。バッグ内を真空ポンプで減圧した後、オートクレーブ硬化または真空バッグ硬化により、幅6.3mm、長さ20mm、厚み2.6mmの繊維強化複合材料(試験片)を6個作製した。
得られた試験片について、ASTM D 2344に準拠し、5kNロードセルを備えたINSTRON 4465測定機を用い、温度23℃、湿度50%RHの環境下、クロスヘッドスピード1.27mm/min、圧子R=3.2R、サポートR=1.6R、L/D=4の条件で、ILSS強度(層間剪断強度)を測定した。
[実施例1]
円周2mのドラムが設置されたドラムワインドマシンに離型紙を巻きつけた。この上に、連続繊維として炭素繊維1(三菱レイヨン株式会社製、フィラメント数:60000本、引張強度:4.90GPa、引張弾性率:250GPa、目付け:3.2g/m)のトウをFAW(目付け)200g/mの設定で巻きつけ、繊維基材(A1)とした。
別途、レジンバス内の樹脂温度を40℃〜50℃に維持し、ドクターブレードのクリアランスを300〜400μmに設定したタッチロールを用いて、炭素繊維1のトウ一本に樹脂組成物1を付着させた。引き続き、予めドラムに巻きつけた繊維基材(A1)上に、樹脂組成物1が付着したトウをドラム周速2m/min、FAW200g/mの設定で巻きつけ、樹脂組成物1が付着した繊維基材(A3)とした。
さらに、樹脂組成物1が付着した繊維基材(A3)上に、炭素繊維1のトウをFAW200g/mの設定で巻きつけ、繊維基材(A2)とした。
そして、繊維基材(A2)上に離型紙を貼り付け、これらをドラムから外した。
ついで、これらを加熱せずに、圧力0.2MPa、送り速度0.9m/minの条件でフュージングプレス(アサヒ繊維機械工業株式会社、「JR−600S」、処理長1340mm、圧力はシリンダー圧)に3回通し、プリプレグを得た。
得られたプリプレグについて、溶剤法により目付けを測定したところ、FAW609g/m、樹脂含有率40%であった。
また、得られたプリプレグを用い、所定の数だけ積層し、オートクレーブ硬化により繊維強化複合材料を作製し、各評価を行った。結果を表3に示す。
[実施例2]
繊維基材(A1)〜(A3)を構成する連続繊維として、炭素繊維2(三菱レイヨン株式会社製、「TR50S 15L」、フィラメント数:15000本、引張強度:4.90GPa、引張弾性率:240GPa、目付け:1g/m)のトウを用い、樹脂組成物1の代わりに樹脂組成物2を用いた以外は、実施例1と同様にしてプリプレグを製造した。
得られたプリプレグについて、溶剤法により目付けを測定したところ、FAW603g/m、樹脂含有率32%であった。
また、得られたプリプレグを用い、所定の数だけ積層し、オートクレーブ硬化により繊維強化複合材料を作製し、各評価を行った。結果を表3に示す。
[実施例3]
図1に示す装置を用い、プリプレグを製造した。
図1に示すプリプレグ製造装置10は、繊維基材(A3)11cに樹脂組成物を付着させる付着手段12と、繊維基材(A3)11cに付着した樹脂組成物を繊維基材(A1)11aおよび繊維基材(A2)11bに含浸させる2組の含浸手段13と、離型紙を繰り出す繰り出し手段14と、駆動ロール15と、プリプレグ16を巻き取るロール状の巻き取り手段17とを具備して構成される。
付着手段12は、樹脂組成物を貯蔵するレジンバス12aと、タッチロール12bを備える。
含浸手段13は、1対の含浸ロール13a、13bを備える。
図1に示すプリプレグ製造装置10を用い、以下のようにしてプリプレグを製造した。
まず、付着手段12のレジンバス12aに樹脂組成物3を貯蔵し、レジンバス内の樹脂温度を50℃に維持した。また、ドクターブレード(図示略)のクリアランスを530μmに設定した。また、繊維基材(A1)〜(A3)として、間隔なく炭素繊維1(三菱レイヨン株式会社製、フィラメント数:60000本、引張強度:4.90GPa、引張弾性率:250GPa、目付け:3.2g/m)のトウを一方向に引き揃えたシート状の繊維基材を用いた。
そして、駆動ロール15により引き取り速度6.0m/minの条件で、繊維基材(A1)11a、繊維基材(A2)11b、繊維基材(A3)11cを引き取り、付着手段12により繊維基材(A3)11cに樹脂組成物3を付着させた後、この繊維基材(A3)11cを繊維基材(A1)11aおよび繊維基材(A2)11bで挟むと共に、繰り出し手段14から離型紙14a、14bを繰り出して、これら繊維基材を離型紙14a、14bでさらに挟み込んだ。
引き続き、含浸手段13により含浸ロール13a、13bの押し付け力19.6×10Nの条件で、繊維基材(A3)11cに付着した樹脂組成物3を繊維基材(A1)11aおよび繊維基材(A2)11bに含浸させ、得られたプリプレグ16を巻き取り手段17にて巻き取った。
得られたプリプレグについて、溶剤法により目付けを測定したところ、FAW665g/m、樹脂含有率31%であった。
また、得られたプリプレグを用い、所定の数だけ積層し、真空バッグ硬化により繊維強化複合材料を作製し、各評価を行った。結果を表3に示す。
[比較例1]
まず、樹脂組成物2をコンマコーター(株式会社ヒラノテクシード製、「M−500」)により、30℃の条件で離型紙上に塗布し、樹脂フィルムを形成した。該樹脂フィルム上にポリエチレンフィルムを保護フィルムとして貼り付け、樹脂目付け148g/mのホットメルトフィルムを作製した。
得られたホットメルトフィルムの保護フィルムを23℃にて、手で剥がそうとしたが剥がれなかった。保護フィルムが剥がれないので定法のホットメルトフィルム法でのプリプレグの製造はできないと判断した。
Figure 2012167229
実施例1〜3で得られたプリプレグについて、それぞれ指でほぐそうとしたところ、繊維基材同士が樹脂組成物でくっついており、ほぐせなかった。また、各プリプレグを目視にて観察したところ、樹脂組成物の未含浸部分は観察されず、良好な含浸状態であることを確認した。さらに、各プリプレグを指で折り曲げたところ、目付けが大きい(厚い)にもかかわらず、良好なドレープ性を示した。
また、表3から明らかなように、実施例1〜3で得られたプリプレグを用いて作製した繊維強化複合材料は、優れた圧縮特性および曲げ特性を有していた。
また、各評価にて作製した繊維強化複合材料を縦に切断し、その断面を研磨した後、顕微鏡(750倍)にて観察したところ、ボイドは見られなかった。
従って、本発明であれば、繊維基材に樹脂を十分に含浸でき、ドレープ性を有するプリプレグを製造できることが示された。また、本発明により得られたプリプレグを用いた繊維強化複合材料は、内部に欠陥が生じにくいため、良好な機械特性を有することが示された。
10:プリプレグ製造装置
11a:繊維基材(A1)
11b:繊維基材(A2)
11c:繊維基材(A3)
12:付着手段
12a:レジンバス
12b:タッチロール
13:含浸手段
13a、13b:含浸ロール
14:繰り出し手段
14a、14b:離型紙
15:駆動ロール
16:プリプレグ
17:巻き取り手段

Claims (4)

  1. 連続繊維からなる、第一の繊維基材(A1)および第二の繊維基材(A2)で、液状の樹脂組成物が付着した、連続繊維からなる第三の繊維基材(A3)を挟み、該第三の繊維基材(A3)に付着した樹脂組成物を第一の繊維基材(A1)および第二の繊維基材(A2)に含浸させる、プリプレグの製造方法。
  2. 前記第一の繊維基材(A1)、第二の繊維基材(A2)および第三の繊維基材(A3)の形態が、連続繊維を一方向に引き揃えた形態である、請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
  3. 前記第一の繊維基材(A1)、第二の繊維基材(A2)および第三の繊維基材(A3)の形態が、所定の間隔をおいて連続繊維を一方向に引き揃えた形態である、請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
  4. 前記樹脂組成物がエポキシ樹脂を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリプレグの製造方法。
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