JP2012167229A - プリプレグの製造方法 - Google Patents
プリプレグの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2012167229A JP2012167229A JP2011030945A JP2011030945A JP2012167229A JP 2012167229 A JP2012167229 A JP 2012167229A JP 2011030945 A JP2011030945 A JP 2011030945A JP 2011030945 A JP2011030945 A JP 2011030945A JP 2012167229 A JP2012167229 A JP 2012167229A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fiber
- fiber base
- prepreg
- base material
- resin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Reinforced Plastic Materials (AREA)
Abstract
【解決手段】連続繊維からなる、第一の繊維基材(A1)および第二の繊維基材(A2)で、液状の樹脂組成物が付着した、連続繊維からなる第三の繊維基材(A3)を挟み、該第三の繊維基材(A3)に付着した樹脂組成物を第一の繊維基材(A1)および第二の繊維基材(A2)に含浸させる、プリプレグの製造方法。
【選択図】なし
Description
このプリプレグに要求される性能としては、硬化後(すなわち、繊維強化複合材料となったとき)の強度等の物性に優れることはもちろんであるが、その取り扱い性に優れること、つまりドレープ性(柔軟性)を有することである。
しかし、この方法では、溶剤を十分に除去できず、プリプレグ中に残存する溶剤が成形中に気化し、繊維強化複合材料中に空隙が生じるといった問題があった。溶剤を十分に除去するために乾燥温度を上げると、プリプレグの段階で熱硬化性樹脂が硬化してしまうので、この段階で溶剤を十分に除去することは困難であった。
厚みがあるプリプレグを得るには繊維基材を厚くすればよい。しかし、上述したホットメルトフィルム法では、連続繊維を引き揃えた繊維基材の片面に樹脂フィルムを貼り付け、外側から加圧して熱硬化性樹脂を含浸させるため、繊維基材の目付けが大きくなると、すなわち繊維基材が厚くなると、片側からでは熱硬化性樹脂を十分に含浸させることができない。よって、ホットメルトフィルム法では、その含浸原理から、厚みがあり、かつ熱硬化性樹脂が十分に含浸したプリプレグを作製するのは困難であった。
しかしながら、繊維基材が樹脂フィルムで挟まれているため、繊維基材中の空気が抜けにくく、熱硬化性樹脂が十分に含浸されにくかった。その結果、繊維基材中の空気がプリプレグ中に残りやすかった。これは、繊維基材の目付けが大きくなるほど、すなわち繊維基材が厚くなるほど顕著であった。
プリプレグ中の残存空気はプリプレグ中の空隙であり、この空隙は該プリプレグを積層・硬化させた繊維強化複合材料の欠陥となる。
さらに、ホットメルトフィルム法は、樹脂フィルムを別工程で作製する必要がある。加えて、工程の加工費、樹脂フィルムを担持する離型紙、樹脂フィルムを保護する保護フィルム等の材料費がかかるため、プリプレグの製造コストが高くなりやすかった。
また、前記第一の繊維基材(A1)、第二の繊維基材(A2)および第三の繊維基材(A3)の形態が、連続繊維を一方向に引き揃えた形態、または所定の間隔をおいて連続繊維を一方向に引き揃えた形態であることが好ましい。
さらに、前記樹脂組成物がエポキシ樹脂を含むことが好ましい。
本発明のプリプレグの製造方法は、連続繊維からなる、第一の繊維基材(A1)(以下、「繊維基材(A1)」という。)および第二の繊維基材(A2)(以下、「繊維基材(A2)」という。)で、液状の樹脂組成物が付着した、連続繊維からなる第三の繊維基材(A3)(以下、「繊維基材(A3)」という。)を挟み、繊維基材(A3)に付着した樹脂組成物を繊維基材(A1)および繊維基材(A2)に含浸させることを特徴とする。
繊維基材(A1)〜(A3)を構成する連続繊維は強化繊維であり、繊維強化複合材料の使用目的に応じた様々なものが使用できる。
本発明に用いる連続繊維の具体例としては、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、タングステンカーバイド繊維、ガラス繊維などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
炭素繊維や黒鉛繊維としては、用途に応じてあらゆる種類の炭素繊維や黒鉛繊維を用いることが可能であるが、引張伸度1.5%以上の高強度炭素繊維が繊維強化複合材料の強度発現のため適している。中でも、引張強度4.4GPa以上、引張伸度1.7%以上の高強度高伸度炭素繊維がより好ましく、さらに引張伸度1.9%以上の高強度高伸度炭素繊維が最も適している。また、炭素繊維や黒鉛繊維は他の強化繊維を混合して用いてもよい。
繊維基材(A1)〜(A3)は、全てが同じ形態でもよいし、異なる形態でもよいが、全てが同じ形態であることが好ましい。
本発明に用いる樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む。
樹脂組成物の粘度は特に限定されないが、含浸性の観点からは低い方が好ましく、具体的には30℃における粘度が1〜1×105Pa・secであることが好ましい。
なお、樹脂組成物は、繊維基材(A3)に付着する際、ならびに繊維基材(A1)および繊維基材(A2)に含浸する際に液状であればよく、加熱により液状になれば、室温では固体の状態であってもよい。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラニン樹脂、ビスマレイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂(BT樹脂)、シアネートエステル樹脂、トリアジン樹脂等が挙げられる。中でも、強度、耐熱性、成形性に優れる点で、エポキシ樹脂が好ましい。
これら熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上の混合物として使用してもよい。また、単体では固体の樹脂でも、混合物としたときに液状であれば使用できる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、「EPON825」、「jER826」、「jER827」、「jER828」、「jER1001」(以上、三菱化学株式会社製)、「エピクロン850」(DIC株式会社製)、「エポトートYD−128」(新日鐵化学株式会社製)、「DER−331」、「DER−332」(以上、ダウケミカル社製)、「Bakelite EPR154」、「Bakelite EPR162」、「Bakelite EPR172」、「Bakelite EPR173」、「Bakelite EPR174」(以上、Bakelite AG社製)などが挙げられる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、「jER806」、「jER807」、「jER1750」(以上、三菱化学株式会社製)、「エピクロン830」(DIC株式会社製)、「エポトートYD−170」、「エポトートYD−175」(以上、新日鐵化学株式会社製)、「Bakelite EPR169」(Bakelite AG社製)、「GY281」、「GY282」、「GY285」(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製)などが挙げられる。
レゾルシノール型エポキシ樹脂の市販品としては、「デナコールEX−201」(ナガセケムテックス株式会社製)などが挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、「jER152」、「jER154」(以上、三菱化学株式会社製)、「エピクロン740」(DIC株式会社製)、「EPN179」、「EPN180」(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製)などが挙げられる。
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン類の市販品としては、「スミエポキシELM434」(住友化学株式会社製)、「アラルダイトMY720」、「アラルダイトMY721」、「アラルダイトMY9512」、「アラルダイトMY9612」、「アラルダイトMY9634」、「アラルダイトMY9663」(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製)、「jER604」(三菱化学株式会社製)、「Bakelite EPR494」、「Bakelite EPR495」、「Bakelite EPR496」、「Bakelite EPR497」(以上、Bakelite AG社製)などが挙げられる。
アミノフェノールやアミノクレゾールのグリシジル化合物類の市販品としては、「jER630」(三菱化学株式会社製)、「アラルダイトMY0500」、「アラルダイトMY0510」、「アラルダイトMY0600」(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製)、「スミエポキシELM120」、「スミエポキシELM100」(以上、住友化学株式会社製)などが挙げられる。
グリシジルアニリン類の市販品としては、「GAN、GOT」(日本化薬株式会社製)、「Bakelite EPR493」(Bakelite AG社製)などが挙げられる。
キシレンジアミンのグリシジル化合物としては、「TETRAD−X」(三菱ガス化学化学株式会社製)が挙げられる。
フタル酸ジグリシジルエステルの市販品としては、「エポミックR508」(三井化学株式会社製)、「デナコールEX−721」(ナガセケムテックス株式会社製)などが挙げられる。
ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルの市販品としては、「エポミックR540」(三井化学株式会社製)、「AK−601」(日本化薬株式会社製)などが挙げられる。
ダイマー酸ジグリシジルエステルの市販品としては、「jER871」(三菱化学株式会社製)、「エポトートYD−171」(新日鐵化学株式会社製)などが挙げられる。
オキサゾリン環含有エポキシ樹脂としては、市販品を用いることができる。例えば「アラルダイトAER4152」(旭化成イーマテリアルズ株式会社製)などが挙げられる。
これらエポキシ樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、含浸性の観点からは、エポキシ樹脂の粘度は低い方が好ましい。
硬化剤としては、アミン、酸無水物(カルボン酸無水物等)、フェノール(ノボラック樹脂等)、メルカプタン、ルイス酸アミン錯体、オニウム塩、イミダゾールなどが挙げられるが、上述した熱硬化性樹脂を硬化させうるものであればどのような構造のものでもよい。これらの中でも、アミン型の硬化剤が好ましい。
これら硬化剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、単体では固体の硬化剤でも、樹脂組成物としたときに液状であれば使用できる。
本発明に用いる樹脂組成物には、添加剤として、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーおよびエラストマーからなる群から選ばれた1種以上の樹脂を含有させることができる。これら添加剤には、マトリックス樹脂(熱硬化性樹脂)の靭性を向上させ、かつ、粘弾性を変化させて、粘度、貯蔵弾性率およびチキソトロープ性を適正化する役割がある。
これら添加剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、添加剤は、単体では固体であっても、樹脂組成物としたときに液状であれば使用できる。
これら添加剤は、熱硬化性樹脂中に溶解して配合されてもよく、微粒子、長繊維、短繊維、織物、不織布、メッシュ、パルプなどの形状でプリプレグの表層に配置されてもよい。
このような熱可塑性樹脂としては、例えばポリアクリレート、ポリアミド、ポリアラミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホンおよびポリエーテルスルホンのようなエンジニアリングプラスチックに属する熱可塑性樹脂の一群がより好ましく用いられる。これらの中でも、耐熱性に優れる点で、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホンおよびポリエーテルスルホンが特に好ましい。
また、熱可塑性樹脂は、靭性向上および熱硬化性樹脂の耐環境性維持の観点から、熱硬化性樹脂との反応性官能基を有することが好ましい。反応性官能基としては、カルボキシル基、アミノ基および水酸基などが挙げられる。
本発明では、まず繊維基材(A1)および繊維基材(A2)で、樹脂組成物が付着した繊維基材(A3)を挟み、ついで繊維基材(A3)に付着した樹脂組成物を繊維基材(A1)および繊維基材(A2)に含浸させる。
繊維基材(A3)へ樹脂組成物を付着させる方法としては特に限定されず、公知の方法を使用できる。具体的には、タッチロール方式、ディップ方式、ダイ方式、ディスペンサー方式などが挙げられる。
また、繊維基材(A3)への樹脂組成物の付着量についても特に制限されないが、通常は30〜40質量%程度である。
含浸させる際の温度は10〜120℃が好ましい。また、加圧によって含浸させる際の圧力は950N〜20kNが好ましい。
また、樹脂組成物が繊維基材(A1)および繊維基材(A2)に含浸する際は、必然的に繊維基材(A3)の内部まで浸み込むことになる。
なお、ホットメルトフィルム法でも、樹脂フィルムを繊維基材の片面のみに貼り付ければ、繊維基材の他方の面から空気が抜けるため、空気による樹脂組成物の含浸の妨げは抑制されるが、繊維基材の目付けが大きくなると、すなわち繊維基材が厚くなると、片側からでは樹脂組成物を十分に含浸させることが困難となる。
一方、繊維基材に樹脂組成物が過剰に含浸すると、得られるプリプレグが剛直になりやすく、ドレープ性が低下しやすくなる。
従って、本発明はホットメルトフィルム法に比べて樹脂組成物の含浸性が良好であり、プリプレグの目付けが大きくなっても、すなわち厚みがあるプリプレグを製造する場合でも、繊維基材に樹脂組成物を過剰にならない程度に十分に含浸でき、ドレープ性に優れるプリプレグが得られる。
本発明では、ホットメルトフィルム法では使用が困難な低粘度領域の樹脂組成物を使用することができる。従って、低粘度の樹脂組成物を用いれば、より効果的に繊維基材に含浸できるので、厚みがあるプリプレグを製造する場合でも樹脂組成物の含浸性が向上し、ドレープ性に優れるプリプレグが得られる。
特に、厚みがあるプリプレグを用いれば、繊維強化複合材料を作製するに際して、積層回数を削減できる。また、本発明により得られるプリプレグはドレープ性を有するため、取り扱い性が良好であり、積層時間も短縮できる。
従って、本発明は、厚みがある繊維強化複合材料を作製する場合に、特に好適である。
各例で使用した樹脂組成物、繊維強化複合材料の製造方法、および評価方法を以下に示す。
樹脂組成物に用いた原料は以下の通りである。
・エポキシ樹脂A:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、「jER828」)
・エポキシ樹脂B:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、「jER1001」)
・エポキシ樹脂C:オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂(旭化成イーマテリアルズ株式会社製、「アラルダイトAER4152」)
・エポキシエステル樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂のアクリル酸付加物(二官能アクリル酸エステル)(共栄社化学株式会社製、「エポキシエステル3000A」)
・硬化剤:ジシアンジアミド(三菱化学株式会社製、「DICY15」)
・硬化助剤:3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(保土谷化学工業株式会社製、「DCMU99」)
表1に示す配合組成に従って、エポキシ樹脂A、硬化剤、および硬化助剤を攪拌・混合し、得られた混合物を三本ロールミルにてさらに細かく混合し、硬化剤マスターバッチ1、2を得た。
表2に示す配合組成に従い、ガラスフラスコにエポキシ樹脂Aを66.4質量部とエポキシ樹脂Bを20質量部採取し、オイルバスを用いて130℃に加熱し混合した。その後60℃程度まで冷却し、60℃ウォーターバスを用いて硬化剤マスターバッチ1を25質量部添加し、攪拌・混合して樹脂組成物1を得た。
得られた樹脂組成物1の30℃における粘度を以下の測定条件により測定したところ、9×102Pa・secであった。
(測定条件)
・装置:示差走査熱量計(レオメトリクス社製、「DSR−200」)
・使用プレート:40φパラレルプレート
・プレートギャップ:0.5mm
・測定周波数:10rad/sec
・昇温速度:2℃/min
・応力:3000dyne/cm2
表2に示す配合組成に従い、ガラスフラスコにエポキシ樹脂Aを49.8質量部とエポキシ樹脂Bを15質量部採取し、オイルバスを用いて130℃に加熱し混合した。その後60℃程度まで冷却した。これに、エポキシエステル樹脂25質量部と硬化剤マスターバッチ1を18.7質量部添加し、ハイブリッドミキサー(株式会社キーエンス製、「HM−500」)にて攪拌・混合して樹脂組成物2を得た。
得られた樹脂組成物2の30℃における粘度を以下の測定条件により測定したところ、6×101Pa・secであった。
(測定条件)
・装置:粘弾性測定装置(Reologica Instruments A.B.社製、「VAR−100」)
・使用プレート:40φパラレルプレート
・プレートギャップ:0.5mm
・測定周波数:1.59Hz
・昇温速度:2℃/min
・応力:300Pa
表2に示す配合組成に従い、ガラスフラスコにエポキシ樹脂Aを75.7質量部とエポキシ樹脂Cを16質量部採取し、オイルバスを用いて130℃に加熱し混合した。その後60℃程度まで冷却した。これに、硬化剤マスターバッチ2を13.4質量部添加し、攪拌・混合して樹脂組成物3を得た。
得られた樹脂組成物3の30℃における粘度を、樹脂組成物2の場合と同じ測定条件で測定したところ、5×101Pa・secであった。
<オートクレーブ硬化>
一方向プリプレグの繊維方向を揃え、所定の数だけ積層しバギングした。バッグ内を真空ポンプで減圧した後、これをオートクレーブ内に入れた。釜内を昇温速度2℃/minで昇温し、80℃で1時間保持した。次いで、昇温速度2℃/minで昇温し、130℃で1.5時間保持し硬化させ、繊維強化複合材料を得た。その際、オートクレーブ内圧力は、80℃で1時間保持した後で加圧し、6.0kg/cm2とした。また、真空ポンプはオートクレーブ内圧力が1.4kg/cm2の時点で停止し、バッグ内を大気開放した。
一方向プリプレグの繊維方向を揃え、所定の数だけ積層しバギングした。バッグ内を真空ポンプで減圧した後、これをオーブンに入れた。オーブン内を昇温速度0.5℃/minで昇温し、90℃で2時間保持した。次いで、昇温速度0.17℃/minで昇温し、110℃で4時間保持し硬化させ、繊維強化複合材料を得た。
<0°圧縮特性の評価>
プリプレグを2プライ積層しバギングした。バッグ内を真空ポンプで減圧した後、オートクレーブ硬化または真空バッグ硬化により、幅12.7mm、厚み1.3mmの繊維強化複合材料(試験片)を6個作製した。
得られた試験片について、SACMA SRM 1Rに準拠し、100kNロードセルを備えたINSTRON 5882測定機を用い、温度23℃、湿度50%RHの環境下、クロスヘッドスピード1.27mm/minの条件で、圧縮強度および圧縮弾性率を測定し、測定値をVf(繊維体積含有率)60%に換算した。6個の試験片について同様に測定し、平均値を求めた。
なお、測定には、同じ板から切り出したタブを各試験片に接着して行った。
プリプレグを4プライ積層しバギングした。バッグ内を真空ポンプで減圧した後、オートクレーブ硬化または真空バッグ硬化により、幅12.7mm、長さ100mm、厚み2.7mmの繊維強化複合材料(試験片)を6個作製した。
得られた試験片について、ASTM D790に準拠し、5kNロードセルを備えたINSTRON 4465測定機を用い、温度23℃、湿度50%RHの環境下、クロスヘッドスピード7.14mm/min、圧子R=5.0R、サポートR=3.2R、L/D=40の条件で、曲げ強度、曲げ弾性率、および曲げ破断歪を測定した。なお、曲げ強度および曲げ弾性率については、測定値をVf60%に換算した。6個の試験片について同様に測定し、平均値を求めた。
プリプレグを4プライ積層しバギングした。バッグ内を真空ポンプで減圧した後、オートクレーブ硬化または真空バッグ硬化により、幅6.3mm、長さ20mm、厚み2.6mmの繊維強化複合材料(試験片)を6個作製した。
得られた試験片について、ASTM D 2344に準拠し、5kNロードセルを備えたINSTRON 4465測定機を用い、温度23℃、湿度50%RHの環境下、クロスヘッドスピード1.27mm/min、圧子R=3.2R、サポートR=1.6R、L/D=4の条件で、ILSS強度(層間剪断強度)を測定した。
円周2mのドラムが設置されたドラムワインドマシンに離型紙を巻きつけた。この上に、連続繊維として炭素繊維1(三菱レイヨン株式会社製、フィラメント数:60000本、引張強度:4.90GPa、引張弾性率:250GPa、目付け:3.2g/m)のトウをFAW(目付け)200g/m2の設定で巻きつけ、繊維基材(A1)とした。
別途、レジンバス内の樹脂温度を40℃〜50℃に維持し、ドクターブレードのクリアランスを300〜400μmに設定したタッチロールを用いて、炭素繊維1のトウ一本に樹脂組成物1を付着させた。引き続き、予めドラムに巻きつけた繊維基材(A1)上に、樹脂組成物1が付着したトウをドラム周速2m/min、FAW200g/m2の設定で巻きつけ、樹脂組成物1が付着した繊維基材(A3)とした。
さらに、樹脂組成物1が付着した繊維基材(A3)上に、炭素繊維1のトウをFAW200g/m2の設定で巻きつけ、繊維基材(A2)とした。
そして、繊維基材(A2)上に離型紙を貼り付け、これらをドラムから外した。
ついで、これらを加熱せずに、圧力0.2MPa、送り速度0.9m/minの条件でフュージングプレス(アサヒ繊維機械工業株式会社、「JR−600S」、処理長1340mm、圧力はシリンダー圧)に3回通し、プリプレグを得た。
また、得られたプリプレグを用い、所定の数だけ積層し、オートクレーブ硬化により繊維強化複合材料を作製し、各評価を行った。結果を表3に示す。
繊維基材(A1)〜(A3)を構成する連続繊維として、炭素繊維2(三菱レイヨン株式会社製、「TR50S 15L」、フィラメント数:15000本、引張強度:4.90GPa、引張弾性率:240GPa、目付け:1g/m)のトウを用い、樹脂組成物1の代わりに樹脂組成物2を用いた以外は、実施例1と同様にしてプリプレグを製造した。
得られたプリプレグについて、溶剤法により目付けを測定したところ、FAW603g/m2、樹脂含有率32%であった。
また、得られたプリプレグを用い、所定の数だけ積層し、オートクレーブ硬化により繊維強化複合材料を作製し、各評価を行った。結果を表3に示す。
図1に示す装置を用い、プリプレグを製造した。
図1に示すプリプレグ製造装置10は、繊維基材(A3)11cに樹脂組成物を付着させる付着手段12と、繊維基材(A3)11cに付着した樹脂組成物を繊維基材(A1)11aおよび繊維基材(A2)11bに含浸させる2組の含浸手段13と、離型紙を繰り出す繰り出し手段14と、駆動ロール15と、プリプレグ16を巻き取るロール状の巻き取り手段17とを具備して構成される。
付着手段12は、樹脂組成物を貯蔵するレジンバス12aと、タッチロール12bを備える。
含浸手段13は、1対の含浸ロール13a、13bを備える。
まず、付着手段12のレジンバス12aに樹脂組成物3を貯蔵し、レジンバス内の樹脂温度を50℃に維持した。また、ドクターブレード(図示略)のクリアランスを530μmに設定した。また、繊維基材(A1)〜(A3)として、間隔なく炭素繊維1(三菱レイヨン株式会社製、フィラメント数:60000本、引張強度:4.90GPa、引張弾性率:250GPa、目付け:3.2g/m)のトウを一方向に引き揃えたシート状の繊維基材を用いた。
そして、駆動ロール15により引き取り速度6.0m/minの条件で、繊維基材(A1)11a、繊維基材(A2)11b、繊維基材(A3)11cを引き取り、付着手段12により繊維基材(A3)11cに樹脂組成物3を付着させた後、この繊維基材(A3)11cを繊維基材(A1)11aおよび繊維基材(A2)11bで挟むと共に、繰り出し手段14から離型紙14a、14bを繰り出して、これら繊維基材を離型紙14a、14bでさらに挟み込んだ。
引き続き、含浸手段13により含浸ロール13a、13bの押し付け力19.6×103Nの条件で、繊維基材(A3)11cに付着した樹脂組成物3を繊維基材(A1)11aおよび繊維基材(A2)11bに含浸させ、得られたプリプレグ16を巻き取り手段17にて巻き取った。
また、得られたプリプレグを用い、所定の数だけ積層し、真空バッグ硬化により繊維強化複合材料を作製し、各評価を行った。結果を表3に示す。
まず、樹脂組成物2をコンマコーター(株式会社ヒラノテクシード製、「M−500」)により、30℃の条件で離型紙上に塗布し、樹脂フィルムを形成した。該樹脂フィルム上にポリエチレンフィルムを保護フィルムとして貼り付け、樹脂目付け148g/m2のホットメルトフィルムを作製した。
得られたホットメルトフィルムの保護フィルムを23℃にて、手で剥がそうとしたが剥がれなかった。保護フィルムが剥がれないので定法のホットメルトフィルム法でのプリプレグの製造はできないと判断した。
また、各評価にて作製した繊維強化複合材料を縦に切断し、その断面を研磨した後、顕微鏡(750倍)にて観察したところ、ボイドは見られなかった。
従って、本発明であれば、繊維基材に樹脂を十分に含浸でき、ドレープ性を有するプリプレグを製造できることが示された。また、本発明により得られたプリプレグを用いた繊維強化複合材料は、内部に欠陥が生じにくいため、良好な機械特性を有することが示された。
11a:繊維基材(A1)
11b:繊維基材(A2)
11c:繊維基材(A3)
12:付着手段
12a:レジンバス
12b:タッチロール
13:含浸手段
13a、13b:含浸ロール
14:繰り出し手段
14a、14b:離型紙
15:駆動ロール
16:プリプレグ
17:巻き取り手段
Claims (4)
- 連続繊維からなる、第一の繊維基材(A1)および第二の繊維基材(A2)で、液状の樹脂組成物が付着した、連続繊維からなる第三の繊維基材(A3)を挟み、該第三の繊維基材(A3)に付着した樹脂組成物を第一の繊維基材(A1)および第二の繊維基材(A2)に含浸させる、プリプレグの製造方法。
- 前記第一の繊維基材(A1)、第二の繊維基材(A2)および第三の繊維基材(A3)の形態が、連続繊維を一方向に引き揃えた形態である、請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
- 前記第一の繊維基材(A1)、第二の繊維基材(A2)および第三の繊維基材(A3)の形態が、所定の間隔をおいて連続繊維を一方向に引き揃えた形態である、請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
- 前記樹脂組成物がエポキシ樹脂を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリプレグの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011030945A JP5750927B2 (ja) | 2011-02-16 | 2011-02-16 | プリプレグの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011030945A JP5750927B2 (ja) | 2011-02-16 | 2011-02-16 | プリプレグの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012167229A true JP2012167229A (ja) | 2012-09-06 |
JP5750927B2 JP5750927B2 (ja) | 2015-07-22 |
Family
ID=46971677
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011030945A Active JP5750927B2 (ja) | 2011-02-16 | 2011-02-16 | プリプレグの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5750927B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018199154A1 (ja) | 2017-04-25 | 2018-11-01 | 三菱ケミカル株式会社 | 繊維強化樹脂成形材料及びその製造方法、並びに繊維強化樹脂成形品 |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03155908A (ja) * | 1989-11-14 | 1991-07-03 | Toray Ind Inc | プリプレグの製造方法 |
JPH04290730A (ja) * | 1991-03-19 | 1992-10-15 | Sekisui Chem Co Ltd | 繊維強化合成樹脂複合体の成形方法 |
JPH05269871A (ja) * | 1992-03-30 | 1993-10-19 | Sekisui Chem Co Ltd | 平滑な表面層を有する引抜成形品及びその製造方法 |
JP2003236868A (ja) * | 2002-02-19 | 2003-08-26 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | コンポジット積層板の製造方法 |
JP2004292604A (ja) * | 2003-03-26 | 2004-10-21 | Toho Tenax Co Ltd | ストランドプリプレグの連続製造方法 |
WO2007119371A1 (ja) * | 2006-03-15 | 2007-10-25 | Toray Industries, Inc. | プリフォームの製造方法および製造装置 |
JP2008195745A (ja) * | 2007-02-08 | 2008-08-28 | Shimizu Corp | 光硬化型プリプレグ |
JP2008207522A (ja) * | 2007-02-28 | 2008-09-11 | Toray Ind Inc | 炭素繊維強化プラスチック製支持バーおよびその成形方法 |
-
2011
- 2011-02-16 JP JP2011030945A patent/JP5750927B2/ja active Active
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03155908A (ja) * | 1989-11-14 | 1991-07-03 | Toray Ind Inc | プリプレグの製造方法 |
JPH04290730A (ja) * | 1991-03-19 | 1992-10-15 | Sekisui Chem Co Ltd | 繊維強化合成樹脂複合体の成形方法 |
JPH05269871A (ja) * | 1992-03-30 | 1993-10-19 | Sekisui Chem Co Ltd | 平滑な表面層を有する引抜成形品及びその製造方法 |
JP2003236868A (ja) * | 2002-02-19 | 2003-08-26 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | コンポジット積層板の製造方法 |
JP2004292604A (ja) * | 2003-03-26 | 2004-10-21 | Toho Tenax Co Ltd | ストランドプリプレグの連続製造方法 |
WO2007119371A1 (ja) * | 2006-03-15 | 2007-10-25 | Toray Industries, Inc. | プリフォームの製造方法および製造装置 |
JP2008195745A (ja) * | 2007-02-08 | 2008-08-28 | Shimizu Corp | 光硬化型プリプレグ |
JP2008207522A (ja) * | 2007-02-28 | 2008-09-11 | Toray Ind Inc | 炭素繊維強化プラスチック製支持バーおよびその成形方法 |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018199154A1 (ja) | 2017-04-25 | 2018-11-01 | 三菱ケミカル株式会社 | 繊維強化樹脂成形材料及びその製造方法、並びに繊維強化樹脂成形品 |
EP3616870A4 (en) * | 2017-04-25 | 2021-02-24 | Mitsubishi Chemical Corporation | FIBER REINFORCED RESIN MOLDED MATERIAL AND METHOD OF MANUFACTURING THEREOF AND MOLDED BODY FROM FIBER REINFORCED RESIN |
US20210331428A1 (en) * | 2017-04-25 | 2021-10-28 | Mitsubishi Chemical Corporation | Fiber-reinforced resin molding material and method for manufacturing same, and fiber-reinforced resin molded article |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5750927B2 (ja) | 2015-07-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101775756B1 (ko) | 매트릭스 수지 조성물, 프리프레그와 그의 제조 방법, 및 섬유 강화 복합 재료 | |
JP5739361B2 (ja) | 繊維強化複合材料 | |
JP5785112B2 (ja) | 繊維強化複合材料 | |
JP5761366B2 (ja) | エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いたフィルム、プリプレグ、繊維強化プラスチック | |
JP5768893B2 (ja) | エポキシ樹脂組成物及びこれを用いたフィルム、プリプレグ、繊維強化プラスチック | |
KR20170129098A (ko) | 에폭시 수지 조성물, 프리프레그, 및 탄소섬유 강화 복합재료 | |
US11292874B2 (en) | Thermosetting resin composition, prepreg, fiber-reinforced plastic molded body and method for producing same | |
JP5785111B2 (ja) | 繊維強化複合材料 | |
KR20110120314A (ko) | 벤조옥사진 수지 조성물 | |
JP6776649B2 (ja) | エポキシ樹脂組成物、並びにこれを用いたフィルム、プリプレグ及び繊維強化プラスチック | |
CN105073852B (zh) | 预浸料、纤维强化复合材料和含有颗粒的树脂组合物 | |
JP2017203108A (ja) | 成形材料および繊維強化複合材料 | |
WO2016104314A1 (ja) | エポキシ樹脂組成物、並びにこれを用いたフィルム、プリプレグ及び繊維強化プラスチック | |
JP2017203107A (ja) | 成形材料および繊維強化複合材料 | |
JP5912922B2 (ja) | 繊維強化複合材料 | |
JP5912920B2 (ja) | 繊維強化複合材料 | |
JP5750927B2 (ja) | プリプレグの製造方法 | |
JP2013060515A (ja) | プリプレグの製造方法 | |
JP5750928B2 (ja) | プリプレグの製造方法 | |
JP2012192726A (ja) | プリフォーム及び同プリフォームの製造方法並びに同プリフォームを用いた繊維強化樹脂成形品の製造方法 | |
JP2016216657A (ja) | エポキシ樹脂組成物、並びにこれを用いた繊維強化複合材料前駆体及び繊維強化複合材料 | |
JP5800178B2 (ja) | プリプレグの製造方法 | |
JP2006274110A (ja) | プリプレグおよび繊維強化複合材料 | |
CN105073853B (zh) | 预浸料、纤维强化复合材料和含有颗粒的树脂组合物 | |
JP5912921B2 (ja) | 繊維強化複合材料 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140204 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20141212 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20141219 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150213 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150421 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150504 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5750927 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |