JP2012162617A - カルボン酸エステルモノマーの重合方法 - Google Patents

カルボン酸エステルモノマーの重合方法 Download PDF

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Abstract

【課題】周期律表第10族の金属錯体触媒を用いたカルボン酸エステルモノマーを含む重合体の製造において、触媒の重合活性を飛躍的に向上させ、製造コストを大幅に低減できる重合体の製造方法を提供すること。
【解決手段】重合系内の液相に含まれる、(A)一般式(2)で示されるアルコール化合物の濃度が500wtppm以下、(B)一般式(3)で示されるカルボン酸化合物の濃度が200wtppm以下、(C)水の濃度が50wtppm以下である、前記条件(A)〜(C)の少なくとも1つを満足することを特徴とする重合体の製造方法。
Figure 2012162617

(式中の記号は、明細書に記載の通り)
【選択図】なし

Description

本発明は、カルボン酸エステルを含む重合体の製造方法に関する。さらに詳しく言えば、周期律表第10族の金属錯体を触媒として用いカルボン酸エステルモノマーの単独重合体または共重合体を製造する方法において、高度に精製されたカルボン酸エステルモノマーを用いることを特徴とする触媒の重合活性が低下しない重合体の製造方法に関する。
ポリマー工業の進展において、製造コスト低減と省資源・省エネルギー化は、プロセス開発おいて、重要な課題となってきた。製造コスト低減は高活性触媒の開発による時間当たりのポリマー生産量を飛躍的に上げることでなされてきた。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン製造における無脱灰プロセス、気相プロセスへの転換はその例である。
一方、近年、カルボン酸エステルモノマーなどの極性基含有モノマーを単独重合あるいはオレフィンと共重合可能な後周期遷移金属錯体触媒が注目されている。エチレン、プロピレンなどのα−オレフィンの重合において、極性基含有モノマーを共重合させて、無極性のポリエチレン、ポリプロピレンに染色性、接着性、エンジニアリングプラスティックとの相溶性など様々な機能を付加させる試みが行われている。
オレフィンと極性基含有モノマーを共重合できる重合触媒として、周期律表第10族の金属錯体触媒を使用したブルックハルト(Brookhalt)(J. Am. Chem. Soc., 118, 267(1996);非特許文献1)、野崎(J. Am. Chem. Soc., 131, 14606(2009);非特許文献2)らの例が知られている。しかしながら、従来の後周期金属触媒系では、低活性な上に、長時間重合すると重合活性が低下していくため、高価な後周期遷移金属を使用するにも拘わらず、重合体製造に多量の触媒を必要とする。また、重合体中に多量の金属が残留し、劣化、着色等の原因となるため重合後に脱灰を行なう必要があり、無脱灰プロセス化が困難であるという工業的な問題点があった。
J. Am. Chem. Soc., 118, 267(1996) J. Am. Chem. Soc., 131, 14606(2009)
本発明の課題は、周期律表第10族の金属錯体触媒を用いたカルボン酸エステルモノマーを含む重合体の製造において、触媒の重合活性を飛躍的に向上させ、製造コストを大幅に低減できる重合体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、カルボン酸エステルモノマーを含む重合反応において、高度に精製されたカルボン酸エステルモノマーを用いることにより触媒の重合活性が飛躍的に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[8]に関する。
[1] 一般式(C1)
Figure 2012162617
(式中、Mは周期律表第10族の金属原子を表し、Xはリン原子(P)または砒素原子(As)を表し、R5は(1)水素原子、(2)アシロキシ基、または(3)ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、およびアシロキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、Y、R6およびR7はそれぞれ独立して、(1)水素原子、(2)アルコキシ基、(3)アリールオキシ基、(4)シリル基、(5)アミノ基、または(6)ハロゲン原子、アルコキシ基、およびアリールオキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、R6とR7は結合して環構造を形成してもよく、QはZ[−S(=O)2−O−]M、Z[−C(=O)−O−]M、Z[−P(=O)(−OH)−O−]MまたはZ[−S−]Mの「[ ]」の中に示される2価の基を表し(ただし、両側のZ、Mは基の結合方向を示すために記載している。)、Zは(1)水素原子、または(2)ハロゲン原子、アルコキシ基、およびアリールオキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜40の炭化水素基を表し、YとZは結合して環構造を形成してもよく、R6および/またはR7はYと結合して環構造を形成してもよい。また、Lは電子供与性配位子を表し、qは0、1/2、1または2である。)
で示される金属錯体を触媒として使用し、一般式(1)
Figure 2012162617
(式中、2個のR1、R3は同じでも異なっていてもよく、R1、R2、R3はそれぞれ独立して水素原子または炭素原子数1〜5の飽和炭化水素基を表し、R4は炭素原子数1〜18の飽和炭化水素基を表し、nは0または1である。)
で示されるカルボン酸エステルモノマーを単独であるいは2種以上を組み合わせて重合するか、または前記一般式(1)で示されるカルボン酸エステルモノマーとオレフィンとを共重合する方法において、重合系内の液相に含まれる、(A)一般式(2)
Figure 2012162617
(式中、R1、R2、R3およびnは、一般式(1)と同じ意味を表す。)
で示されるアルコール化合物の濃度が500wtppm以下、(B)一般式(3)
Figure 2012162617
(式中、R4は、一般式(1)と同じ意味を表す。)
で示されるカルボン酸化合物の濃度が200wtppm以下、(C)水の濃度が50wtppm以下である、前記条件(A)〜(C)の少なくとも1つを満足することを特徴とする重合体の製造方法。
[2] 一般式(C1)で示される触媒が、一般式(C2)
Figure 2012162617
(式中、Y1はハロゲン原子、アルコキシ基、およびアリールオキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜70の2価の炭化水素基を表し、Q、M、X、R5、R6、R7、Lおよびqは前項[1]の記載と同じ意味を表す。)
で示される前項[1]に記載の重合体の製造方法。
[3] 一般式(C2)で示される触媒が、一般式(C3)
Figure 2012162617
(式中、4個のR8はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数6〜18のアリールオキシ基、またはハロゲン原子を表し、M、R5、R6、R7、Lおよびqは前項[1]の記載と同じ意味を表す。)
で示される前項[2]に記載の重合体の製造方法。
[4] 条件(A)を満足することを必須とする前項[1]〜[3]のいずれかに記載の重合体の製造方法。
[5] 条件(A)および(B)を満足することを必須とする前項[1]〜[3]のいずれかに記載の重合体の製造方法。
[6] 条件(A)、(B)および(C)のすべてを満足することを必須とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の重合体の製造方法。
[7] 蒸留または吸着剤による前処理により、前記一般式(2)で示されるアルコール化合物、前記一般式(3)で示されるカルボン酸化合物および水が除去された前記一般式(1)で示されるカルボン酸エステルモノマーを用いる前項[1]〜[6]のいずれかに記載の重合体の製造方法。
[8] 前記一般式(1)で示されるカルボン酸エステルモノマーが酢酸アリルまたは酢酸ビニルである前項[1]〜[7]のいずれかに記載の重合体の製造方法。
高度に精製されたカルボン酸エステルモノマーを用いる本発明の重合方法によれば、従来、重合活性が低下するため製造コストが高く、工業的に製造することが困難であった周期律表第10族の金属錯体触媒の重合活性を飛躍的に向上できるため、カルボン酸エステルを含むポリマーを低コストで製造することができる。
以下、本発明に係る重合体の製造方法について、その好ましい形態を具体的に説明する。なお、特許請求の範囲を含む本明細書において「重合」は「共重合」を包含し、「重合体」は「共重合体」を包含する。また、「炭化水素」は特に断らない限り、飽和、不飽和の脂肪族および脂環族炭化水素、芳香族炭化水素を含む。「オレフィン」は、極性基の有無に関わらず、炭素−炭素二重結合を有する化合物(ただし、一般式(1)で示されるモノマーを除く。)を表す。
1.モノマー
本発明の重合体の製造方法では、一般式(1)
Figure 2012162617
(式中、2個のR1、R3は同じでも異なっていてもよく、R1、R2、R3はそれぞれ独立して水素原子または炭素原子数1〜5の飽和炭化水素基を表し、R4は炭素原子数1〜18の飽和炭化水素基を表し、nは0または1である。)
で示される少なくとも1つのカルボン酸エステルモノマーを重合するか、または一般式(1)で示されるカルボン酸エステルモノマーとオレフィンを共重合する。
1、R2、R3は異なっていても、同一でもよい。水素原子または炭素原子数1〜5の飽和炭化水素基を表すR1、R2、R3としては水素原子または炭素数1または2のアルキル基が好ましい。炭素原子数1〜18の飽和炭化水素基を表すR4としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
一般式(1)で示されるモノマーの具体例としては、酢酸ビニル、酢酸アリルが挙げられる。これら一般式(1)で示されるモノマーは1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
一般式(1)で示されるモノマーと共重合させるオレフィンは炭素数2〜12の鎖状オレフィンが好ましい。その具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンが挙げられる。これらの中でも、特にエチレンおよびプロピレンが好ましい。これらは1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
オレフィンと一般式(1)で示されるモノマーの組み合わせとしては、エチレンと酢酸アリル、エチレンと酢酸ビニル、プロピレンと酢酸アリル、プロピレンと酢酸ビニルなどが挙げられる。
2.重合系内不純物
本発明においては、重合系の液相内に含まれる不純物が、下記(A)、(B)、および(C)の少なくとも1つを満足する必要がある。なお、各不純物の量は重合反応の開始時点での値である。
(A):一般式(2)
Figure 2012162617
(式中、R1、R2、R3およびnは、一般式(1)と同じ意味を表す。)
で示されるアルコール化合物の濃度が500wtppm以下である、
(B):一般式(3)
Figure 2012162617
(式中、R4は、一般式(1)と同じ意味を表す。)
で示されるカルボン酸化合物の濃度が200wtppm以下である、
(C):水の濃度が50wtppm以下である。
一般式(2)で示されるアルコール化合物の濃度が500wtppmを超え、一般式(3)で示されるカルボン酸化合物の濃度が200wtppmを超え、および水濃度が50wtppmを超える場合、触媒の重合活性が低い上に長時間、重合反応が継続しないため、重合体の製造に多量の触媒が必要となる。好ましくは、一般式(2)で示されるアルコール化合物の濃度は100wtppm以下、一般式(3)で示されるカルボン酸化合物の濃度は50wtppm以下、または水の濃度は20wtppm以下である。
また、前記(A)〜(C)のうち2つを満足することが好ましく、中でも(A)および(B)の2つの条件を満足することがより好ましく、(A)〜(C)の3条件のすべてを満足することがさらに好ましい。
3.モノマー中の不純物
本発明において、重合系内の一般式(2)で示されるアルコール化合物の濃度、一般式(3)で示されるカルボン酸化合物の濃度、または水の濃度を低くするには、一般式(1)で示されるカルボン酸エステルモノマー中の上記濃度が低いものを使用するとよい。
市販あるいは工業用原料として供給されている一般式(1)で示されるカルボン酸エステルモノマーは、種々の不純物を含んでいる。空気中で取り扱うとモノマー中の水分濃度が増加する可能性がある。水分が混入するとカルボン酸エステルモノマーの加水分解反応により、カルボン酸とアルコールが生成する可能性がある。これらカルボン酸エステルモノマーに含まれる不純物の中で、加水分解反応あるいは製造原料由来の不純物であるアルコール、カルボン酸と水は、本発明で使用する金属錯体触媒の重合活性を阻害する。また、触媒濃度の低い重合条件ではそれらの影響が大きくなる。
これらアルコール、カルボン酸および/または水を多量に含有したカルボン酸エステルモノマーを本発明で使用するには、これら不純物を除去するために精製する必要がある。
カルボン酸エステルモノマーの精製方法は、特に限定されるものではなく、種々の精製法を用いることができる。例えば、蒸留や吸着剤を利用する方法が挙げられる。吸着剤を使用して精製する場合、吸着剤として、ゼオライト、アルミナ、活性アルミナ、シリカ、活性炭、珪酸アルミニウム、珪藻土、活性白土等が挙げらる。吸着剤の性状等は特に制限されない。これらの吸着剤の中でも、ゼオライト、活性アルミナ、アルミナ、シリカが特に好ましい。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。カルボン酸エステルモノマーと吸着剤の接触処理条件は、種々の方法が利用できる。カルボン酸エステルモノマー中に吸着剤を投入して緩やかに撹拌あるいは静置する方法のほか、上記吸着剤をカラム等に充填し、これにカルボン酸エステルモノマーを通過させて行なうこともできる。
4.重合触媒
本発明で使用する重合触媒は、一般式(C1)で示される周期律表第10族の遷移金属錯体である。
一般式(C1)
Figure 2012162617
(式中、Mは周期律表第10族の金属原子を表し、Xはリン原子(P)または砒素原子(As)を表し、R5は(1)水素原子、(2)アシロキシ基、または(3)ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基およびアシロキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、Y、R6およびR7はそれぞれ独立して、(1)水素原子、(2)アルコキシ基、(3)アリールオキシ基、(4)シリル基、(5)アミノ基、または(6)ハロゲン原子、アルコキシ基、およびアリールオキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、R6とR7は結合して環構造を形成してもよく、QはZ[−S(=O)2−O−]M、Z[−C(=O)−O−]M、Z[−P(=O)(−OH)−O−]MまたはZ[−S−]Mの「[ ]」の中に示される2価の基を表し(ただし、両側のZ、Mは基の結合方向を示すために記載している。)、Zは(1)水素原子、または(2)ハロゲン原子、アルコキシ基、およびアリールオキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜40の炭化水素基を表し、YとZは結合して環構造を形成してもよく、R6および/またはR7はYと結合して環構造を形成してもよい。また、Lは電子供与性配位子を表し、qは0、1/2、1または2である。)
以下、一般式(C1)の構造について説明する。
Mは周期律表第10族の元素を表す。周期律表第10族の元素としては、Ni、Pd、Ptが挙げられるが、触媒活性や得られる分子量の観点からNiおよびPdが好ましく、Pdがより好ましい。
Xはリン原子(P)または砒素原子(As)であり、Mに2電子配位している。Xとしては入手が容易であることと触媒コストの面からリン原子(P)が好ましい。
5は、(1)水素原子、(2)アシロキシ基、または(3)ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、およびアシロキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基を表す。ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、およびアシロキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基において、炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましい。ハロゲン原子は塩素、臭素が好ましい。アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基が好ましい。アリールオキシ基としてはフェノキシ基が好ましい。アシロキシ基としてはアセトキシ基、ピバロキシ基が好ましい。R5の特に好ましい例として、水素原子、アセトキシ基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、メトキシメチル基、フェノキシメチル基、1−アセトキシフェニル基、1−ピバロキシプロピル基などが挙げられる。
Y、R6およびR7はそれぞれ独立して、(1)水素原子、(2)アルコキシ基、(3)アリールオキシ基、(4)シリル基、(5)アミノ基、または(6)ハロゲン原子、アルコキシ基、およびアリールオキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基を表す。アルコキシ基としては炭素原子数1〜20のものが好ましく、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基などが挙げられる。アリールオキシ基としては炭素原子数6〜24のものが好ましく、フェノキシ基などが挙げられる。シリル基としてはトリメチルシリル基、アミノ基としてはアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基などが挙げられる。また、R6とR7は同じでも、異なっていてもよい。また、R6とR7は結合して環構造を形成してもよい。R6および/またはR7はYと結合して環構造を形成してもよい。
Y、R6、およびR7が表すハロゲン原子、アルコキシ基、およびアリールオキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基における、炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、フリル基などが挙げられる。ハロゲン原子、アルコキシ基、およびアリールオキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基における、アルコキシ基、アリールオキシ基の具体例としては前記R5と同様のものが挙げられる。ハロゲン原子はフッ素が好ましい。特に触媒活性の観点から、アルキル基およびアリール基が好ましい。
以下、XがP(リン原子)の場合の、[Y−X(R7)−R6]部位、すなわち
Figure 2012162617
の具体例を挙げる。なお、PとMとの結合は省略している。
Figure 2012162617
Figure 2012162617
Figure 2012162617
Figure 2012162617
XがAs(砒素原子)の場合の、[Y−X(R7)−R6]部位、すなわち
Figure 2012162617
の具体例としては、
Figure 2012162617
が挙げられる。
Qは−S(=O)2−O−、−C(=O)−O−、−P(=O)(−OH)−O−、または−S−で示される2価の基を表し、Mに1電子配位する部位である。前記各式の左側がZに結合し、右側がMに結合している。これらの中でも触媒活性の面から−S(=O)2−O−が特に好ましい。
Zは(1)水素原子、または(2)ハロゲン原子、アルコキシ基、およびアリールオキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜40の炭化水素基を表す。YとZは結合して環構造を形成してもよい。「ハロゲン原子、アルコキシ基、およびアリールオキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜40の炭化水素基」におけるハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基の具体例としては、Y、R6、およびR7について述べたものが挙げられる。炭素原子数1〜40の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、フェニル基、2−i−プロピルフェニル基、2,6−ジ−i−プロピルフェニル基などが挙げられる。
Z−Q部位は電気陰性度の大きい酸素原子または硫黄原子で金属原子Mに1電子配位している。Z−Q−M間の結合電子は、MからZ−Qに移動しているため、形式上、Z−Qをアニオン状態、Mをカチオン状態で表記することも可能である。
一般式(C1)において、Y部位とZ部位は結合することができる。この場合、一般式(C1)は一般式(C2)で示される。一般式(C2)では、Y−Z部位を一体としてY1で示している。ここで、Y1はQとXとの間の架橋構造を表すことになる。
Figure 2012162617
(式中、Y1は、ハロゲン原子、アルコキシ基、およびアリールオキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜70の2価の炭化水素基を表し、Q、M、X、R5、R6、R7、Lおよびqは一般式(C1)と同じ意味を表す。)
1におけるハロゲン原子、アルコキシ基、およびアリールオキシ基の具体例はYで説明したものと同様である。炭素原子数1〜70の炭化水素基としてはアルキレン基、アリーレン基等が挙げられる。特にアリーレン基が好ましい。
XがP(リン原子)の場合、[(R6)(R7)P]部位としては、具体的に以下の構造が挙げられる。なお、下記の構造式ではPとMおよびY1との結合は省略している。
Figure 2012162617
Figure 2012162617
Figure 2012162617
架橋構造Y1はXとQ部位を結合する架橋部位である。XをP原子で示した架橋構造Y1の具体例を以下に示す。ここで、複数のR9は、同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子1〜20の炭化水素基、またはハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜20の炭化水素基を表す。
Figure 2012162617
置換基R6およびR7は、Y1部位と結合して環構造を形成してもよい。具体的には以下の構造が挙げられる。
Figure 2012162617
一般式(C2)で示される触媒の中でも、特に以下の一般式(C3)で示されるものが好ましい。
Figure 2012162617
(式中、4個のR8はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数6〜18のアリールオキシ基、またはハロゲン原子を表し、M、R5、R6、R7、Lおよびqは一般式(C1)と同じ意味を表す。)
一般式(C3)においては、R5は炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。R6およびR7は、ともにシクロヘキシル基、シクロペンチル基、またはイソプロピル基であることが好ましい。MはPdが好ましい。
一般式(C1)および(C2)で示される触媒の金属錯体は、公知の文献(例えば、J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 8948)に従って合成することができる。すなわち、0価あるいは2価のMソースと一般式(C1)または(C2)中の配位子とを反応させて合成することができる。
一般式(C3)で示される化合物は、一般式(C2)中のY1およびQを、一般式(C3)に対応する特定の基にすることにより合成することができる。
0価のMソースは、パラジウムソースとして、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムが挙げられ、ニッケルソースとして、テトラカルボニルニッケル(0):Ni(CO)4、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルが挙げられる。
2価のMソースは、パラジウムソースとして、(1,5−シクロオクタジエン)(メチル)塩化パラジウム、酢酸パラジウム、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム:PdCl2(CH3CN)2、ビス(ベンゾニトリル)ジクロロパラジウム:PdCl2(PhCN)2、(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)ジクロロパラジウム(II):PdCl2(TMEDA)、(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)ジメチルパラジウム(II):PdMe2(TMEDA)、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム(II):Pd(acac)2、トリフルオロメタンスルホン酸パラジウム(II):Pd(OCOCF32が、ニッケルソースとして、(アリル)塩化ニッケル、(アリル)臭化ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、ビス(アセチルアセトナト)ニッケル(II):Ni(acac)2、(1,2−ジメトキシエタン)ジクロロニッケル(II):NiCl2(DME)、トリフルオロメタンスルホン酸ニッケル(II):Ni(OSO2CF32が挙げられる。
一般式(C1)または一般式(C2)で示される金属錯体は、単離して使用することができるが、錯体を単離することなくMを含む金属ソースと配位子前駆体を反応系中で接触させて、これをそのまま重合(イン・サイチュ(in situ)重合)に供することもできる。特に一般式(C1)および(C2)中のR5が水素原子の場合、0価のMを含む金属ソースと配位子前駆体とを反応させた後、錯体を単離することなくそのまま重合に供することが好ましい。
この場合の配位子前駆体とは、一般式(C1)の場合、一般式(C1−1)
Figure 2012162617
(式中の記号は前記と同じ意味を表す。)、および一般式(C1−2)
Figure 2012162617
(式中の記号は前記と同じ意味を表す。)
で示される。
一般式(C2)の場合、一般式(C2−1)
Figure 2012162617
(式中の記号は前記と同じ意味を表す。)
で示される。
一般式(C1)におけるMソース(M)と配位子前駆体(C1−1)(X)あるいは配位子前駆体(C1−2)(Z)との比率(X/MあるいはZ/M)またはMソース(M)と配位子前駆体(C2−1)(C2配位子)との比率((C2配位子)/M)は、0.5〜2.0の範囲で、さらには1.0〜1.5の範囲で選択することが好ましい。
一般式(C1)あるいは一般式(C2)の金属錯体を単離する場合、予め電子供与性配位子(L)を配位させて安定化させたものを用いることもできる。この場合、qは1/2、1または2となる。qが1/2とは一つの2価の電子供与性配位子が2つの金属錯体に配位していることを意味する。qは金属錯体触媒を安定化する意味で1/2または1が好ましい。なお、qが0の場合は配位子がないことを意味する。
Lの電子供与性配位子とは、電子供与性を有し、金属原子Mに配位して金属錯体を安定化させることのできる化合物である。電子供与性配位子(L)としては、硫黄原子を有するものとしてジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。窒素原子を有するものとして、炭素原子数1〜10のトリアルキルアミン、炭素原子数1〜10のジアルキルアミン、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン(別名:ルチジン)、アニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、アセトニトリル、ベンゾニトリル、2−メチルキノリンなどが挙げられる。酸素原子を有するものとして、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンが挙げられる。
5.重合体の製造方法
本発明では、重合様式は特に制限されるものではなく、一般に使用される方法で重合可能である。すなわち、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法などのプロセス法が可能であるが、特に溶液重合法、バルク重合法が好ましい。また、バッチ式、連続式のどちらでも可能であり、一段重合でも多段重合でも行うこともできる。
一般式(C1)、(C2)または(C3)で示される金属錯体触媒とモノマーの総量のモル比は、モノマー/金属錯体の比で1〜10,000,000の範囲、好ましくは100〜1,000,000の範囲である。更に好ましくは1000〜100,000の範囲である。
重合温度は、特に限定されない。通常−30〜200℃の範囲で、好ましくは0〜180℃、より好ましくは20〜150℃の範囲である。
重合圧力については原料モノマーの性状によるが、常圧から20MPaの範囲、好ましくは常圧から10MPaの範囲である。更に好ましくは常圧から5MPaの範囲である。
重合時間は、バッチ式の場合、触媒の重合活性などにより適宜調整することができ、数分の短い時間も数百時間の長い反応時間も可能である。連続式の場合、滞留時間は数分の短い時間から数十時間の長い時間まで可能である。
重合は、触媒の活性低下を防ぐために不活性ガス雰囲気で行なうことが好ましい。また溶液重合の場合、モノマー以外に不活性溶媒を使用することが可能であるが、使用する場合はその不活性溶媒中の不純物にも注意する必要がある。一般式(2)で示されるアルコール、一般式(3)で示されるカルボン酸および/または水の濃度が高い不活性溶媒中を用いると、重合系内のそれらの濃度も高くなる。不活性溶媒の種類は特に限定されないが、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチルなどの脂肪族エステル、安息香酸メチル、安息香酸エチルなどの芳香族エステルなどが挙げられる。これらは1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合反応終了後、生成物である重合体は、公知の操作、処理方法(例えば、中和、溶媒抽出、水洗、分液、溶媒留去、再沈殿など)により後処理されて単離される。
重合体の単離法は特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。特に、溶液重合またはバルク重合の場合には、生成した重合体が少なくとも冷却時に重合溶媒やモノマーに溶解せず、析出すると単離が容易である。この場合にはろ過などの簡単な操作で重合体と触媒が溶解している液(回収液)を分離することができる。生成した重合体が溶液に溶解したままであると再沈殿や溶媒や未反応モノマーの蒸発など重合体の分離工程が必要となる。
以下、合成例、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
[不純物量の測定方法]
(1)アリルコールおよび酢酸
アジレント・テクノロジー(株)製Agilent6850ガスクロマトグラフにより測定した。
測定条件は以下の通りである。
キャリアーガス:ヘリウム(1.2mL/分)、
注入液量:1μL、
スプリット比:20、
カラム:DB−WAXETR(長さ30m、内径0.32mm、膜厚1.0μm)
カラム温度:40℃、10分→5℃/分→120℃、0分→10℃/分→220℃、24分、
検知器:FID。
内部標準を使用すると、内部標準自身やその不純物が試料中の成分と重なり、正確な定量が難しいので、反応に使用する酢酸アリルをそのまま測定した。不純物濃度は酢酸アリルの濃度を100%と仮定し、面積比に感度比を乗じて求めた。この方法で求めた不純物は、蒸留などでは酢酸アリルと分離しにくい異性体である、酢酸イソプロペニル、1−酢酸プロペニル(cis体及びtrans体)を含み、それらの濃度の合計は1%以下であった。
(2)水
三菱化学(株)製CA−200型微量水分測定装置を用い、試料を5mL注入し測定した。
[試薬]
酢酸アリル:東京化成工業(株)製試薬を更に蒸留精製し、表1実施例1に示す濃度しか不純物を含まない酢酸アリルを得た。ただし、比較例2では東京化成工業(株)製試薬をそのまま使用した。
アリルアルコール:和光純薬工業(株)製試薬を使用した。
酢酸:和光純薬工業(株)製試薬を使用した。
水:和光純薬工業(株)製の蒸留水を使用した。
[重合体の構造の解析方法]
重合体中の一般式(1)で示されるモノマーに由来するモノマーユニットの含有率は、日本電子(株)製JNM−EX400を用い、1H−NMRにより求めた。溶媒として重ベンゼンを用い、80℃において測定した。
平均分子量および重量平均分子量は、昭和電工(株)製,AT−806MSカラム(2本直列)を備えた東ソー(株)製高温GPC装置、HLC−8121GPC/HTを用い、ポリスチレンを分子量の標準物質とするサイズ排除クロマトグラフィー(溶離液:1,2−ジクロロベンゼン、温度:145℃)により算出した。
合成例1:
下記の反応スキームに従って金属錯体触媒1を合成した。
Figure 2012162617
[化合物1aの合成]
窒素雰囲気下、ベンゼンスルホン酸(Sigma−Aldrich社製、21.7g,137mmol)のテトラヒドロフラン(THF)溶液(400mL)に、n−ブチルリチウム(関東化学(株)製、1.57Mヘキサン溶液,174mL,274mmol)を0℃で加え、室温で3時間撹拌した。反応容器を−78℃に冷却した後にクロロジイソプロピルホスフィン(Sigma-Aldrich社製,19.0g,125mmol)を−78℃で加え、室温で2.5時間撹拌した。反応をトリフルオロ酢酸(東京化成工業(株)製、15.6g,137mmol)で停止した後に、生じた沈殿をろ過によって回収し減圧下乾燥すると、2−(ジイソプロピルホスフィノ)ベンゼンスルホン酸:1aが得られた。収量は26.8g(78%)であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 1.25 (d, J = 18.0 Hz, 6H), 1.53 (dd, J = 21.0, 6.6 Hz, 6H), 3.45 (br, 2H), 5.72 (br d, 1JPH = 380 Hz, 1H), 7.62-7.65 (m, 2H), 7.85 (br s, 1H), 8.29 (br s, 1H)。
[化合物1bの合成]
アルゴン雰囲気下、2−(ジイソプロピルホスフィノ)ベンゼンスルホン酸(2-(diisopropylphosphino)benzenesulfonic acid):1a(16.3g,59.3mmol)とジイソプロピルエチルアミン(和光純薬工業(株)製、38.3g,296mmol)の塩化メチレン溶液(200mL)に、(cod)PdMeCl(文献:Inorg. Chem., 1993, 32, 5769-5778に従って合成。cod=1,5−シクロオクタジエン、16.3g,61.5mmol)の塩化メチレン溶液(75mL)を加え、室温で2.5時間撹拌した。その後、溶液を濃縮した。1H−NMRスペクトルによりその残渣が化合物1bであると決定し、その質量は33.7g(>99%)であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 0.69 (s, 3H, PdCH3), 1.19-1.45 (m, 27H), 2.53(sept, J = 7.1 Hz, 2H), 3.18 (br., 2H, HNCH2CH3), 3.82 (br., 2H, HNCH(CH3)2), 7.42-7.59 (m, 3H), 8.22 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 9.37 (br s, 1H, NH)。
[金属錯体触媒1の合成]
窒素雰囲気下、炭酸カリウム(80.8g,585mmol)と2,6−ルチジン(東京化成工業(株)製、62.7g,585mmol)の塩化メチレン懸濁液(500mL)に、錯体1b(33.7g,58.5mmol)の塩化メチレン溶液(200mL)を加え、室温で2.5時間撹拌した。溶媒を減圧下留去して残った固体を塩化メチレンで抽出した。抽出液をセライト(乾燥珪藻土)でろ過し、ゆっくりとヘキサン(200mL)中に加えた。生じた金属錯体触媒1をろ過によって回収し、ヘキサンで洗浄した後に減圧下乾燥した。収量は27.6g(94%)であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 0.35 (s, 3H, PdCH3), 1.28 (dd, J = 14.8, 6.8 Hz, 6H), 1.36 (dd, J = 17.4, 6.6 Hz, 6H), 2.54-2.63 (m, 2H), 3.18 (s, 6H, CH3 of lutidine), 7.13 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 7.45-7.61 (m, 4H), 8.31 (m, 1H)。
実施例1:
表1に示した濃度の酢酸、アリルアルコール、水を含む酢酸アリルを用いて、エチレンとの共重合反応を行なった。
窒素雰囲気下、金属錯体触媒1(0.020mmol)を酢酸アリル(300mL,279g,2787mmol)に溶解し、容器内部を十分乾燥し、窒素雰囲気下にした500mLオートクレーブに投入した。オートクレーブを撹拌し、温度80℃で圧力が4.0MPaで安定するまでエチレンを充填した後、24時間共重合反応を行った。反応終了後、エチレンを脱圧し、重合反応液を室温まで冷却すると、重合体が反応液から析出した。重合体のスラリー溶液である反応液を、吸引ろ過することで、重合体を回収し、減圧下乾燥した。
重合体の収量は17.8g、触媒あたり、単位時間あたりの重合活性は、37.1g/(mmol−cat・h)であった。また、重合体の酢酸アリル含有率は4.4mol%であり、数平均分子量10,000、重量平均分子量21,000であった。
実施例2〜5:
実施例1で用いた酢酸アリルに試薬のアリルアルコール、酢酸および/または水を加え、表1に示した濃度の酢酸、アリルアルコール、水を含む酢酸アリルを用いたこと以外は、実施例1と同様にして酢酸アリルとエチレンとの共重合反応を行なった。結果を表1に示す。
実施例6:
実施例4で用いた、アリルアルコール、酢酸および水を含む酢酸アリル500mLにモレキュラシーブス13Xを50g加え、適宜撹拌しながら、9日間放置した。放置後のアリルアルコール、酢酸および水の酢酸アリル中の濃度を表1に示す。アリルアルコール濃度は変化無いが、酢酸と水の濃度は低下した。このようにして前処理した酢酸アリルを用いた以外は、実施例4と同じようにしてエチレンとの共重合反応を行なった。結果は表1に示す。モレキュラシーブス13Xにより前処理することにより、更に活性が高くなった。
比較例1:
実施例1で用いた酢酸アリルにアリルアルコール、酢酸および水をさらに加え、表1に示す濃度の酢酸、アリルアルコール、水を含む酢酸アリルを用いたこと以外は、実施例1と同じようにしてエチレンとの共重合反応を行なった。結果を表1に示す。
比較例2:
市販の酢酸アリル(東京化成工業(株)製,アリルアルコール、酢酸および水の濃度は表1に示す。)を用いたこと以外は、実施例1と同じようにしてエチレンとの共重合反応を行なった。結果を表1に示す。
Figure 2012162617

Claims (8)

  1. 一般式(C1)
    Figure 2012162617
    (式中、Mは周期律表第10族の金属原子を表し、Xはリン原子(P)または砒素原子(As)を表し、R5は(1)水素原子、(2)アシロキシ基、または(3)ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、およびアシロキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、Y、R6およびR7はそれぞれ独立して、(1)水素原子、(2)アルコキシ基、(3)アリールオキシ基、(4)シリル基、(5)アミノ基、または(6)ハロゲン原子、アルコキシ基、およびアリールオキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、R6とR7は結合して環構造を形成してもよく、QはZ[−S(=O)2−O−]M、Z[−C(=O)−O−]M、Z[−P(=O)(−OH)−O−]MまたはZ[−S−]Mの「[ ]」の中に示される2価の基を表し(ただし、両側のZ、Mは基の結合方向を示すために記載している。)、Zは(1)水素原子、または(2)ハロゲン原子、アルコキシ基、およびアリールオキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜40の炭化水素基を表し、YとZは結合して環構造を形成してもよく、R6および/またはR7はYと結合して環構造を形成してもよい。また、Lは電子供与性配位子を表し、qは0、1/2、1または2である。)
    で示される金属錯体を触媒として使用し、一般式(1)
    Figure 2012162617
    (式中、2個のR1、R3は同じでも異なっていてもよく、R1、R2、R3はそれぞれ独立して水素原子または炭素原子数1〜5の飽和炭化水素基を表し、R4は炭素原子数1〜18の飽和炭化水素基を表し、nは0または1である。)
    で示されるカルボン酸エステルモノマーを単独であるいは2種以上を組み合わせて重合するか、または前記一般式(1)で示されるカルボン酸エステルモノマーとオレフィンとを共重合する方法において、重合系内の液相に含まれる、(A)一般式(2)
    Figure 2012162617
    (式中、R1、R2、R3およびnは、一般式(1)と同じ意味を表す。)
    で示されるアルコール化合物の濃度が500wtppm以下、(B)一般式(3)
    Figure 2012162617
    (式中、R4は、一般式(1)と同じ意味を表す。)
    で示されるカルボン酸化合物の濃度が200wtppm以下、(C)水の濃度が50wtppm以下である、前記条件(A)〜(C)の少なくとも1つを満足することを特徴とする重合体の製造方法。
  2. 一般式(C1)で示される触媒が、一般式(C2)
    Figure 2012162617
    (式中、Y1はハロゲン原子、アルコキシ基、およびアリールオキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜70の2価の炭化水素基を表し、Q、M、X、R5、R6、R7、Lおよびqは請求項1の記載と同じ意味を表す。)
    で示される請求項1に記載の重合体の製造方法。
  3. 一般式(C2)で示される触媒が、一般式(C3)
    Figure 2012162617
    (式中、4個のR8はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数6〜18のアリールオキシ基、またはハロゲン原子を表し、M、R5、R6、R7、Lおよびqは請求項1の記載と同じ意味を表す。)
    で示される請求項2に記載の重合体の製造方法。
  4. 条件(A)を満足することを必須とする請求項1〜3のいずれかに記載の重合体の製造方法。
  5. 条件(A)および(B)を満足することを必須とする請求項1〜3のいずれかに記載の重合体の製造方法。
  6. 条件(A)、(B)および(C)のすべてを満足することを必須とする請求項1〜3のいずれかに記載の重合体の製造方法。
  7. 蒸留または吸着剤による前処理により、前記一般式(2)で示されるアルコール化合物、前記一般式(3)で示されるカルボン酸化合物および水が除去された前記一般式(1)で示されるカルボン酸エステルモノマーを用いる請求項1〜6のいずれかに記載の重合体の製造方法。
  8. 前記一般式(1)で示されるカルボン酸エステルモノマーが酢酸アリルまたは酢酸ビニルである請求項1〜7のいずれかに記載の重合体の製造方法。
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