JP6357074B2 - 極性基含有オレフィン系重合体の製造方法 - Google Patents

極性基含有オレフィン系重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、オレフィン系重合体及び極性基含有オレフィン系重合体の製造方法に関する。
オレフィン系樹脂は、機械強度と成形性に優れ、かつ耐薬品性や耐腐食性などに優れるために、産業資材として重用され、例えば、射出成形、押出成形、吹込成形などにより、フィルム、積層体、容器、ブロー瓶などに成形され、広範囲な産業用途に資する材料である。オレフィン系樹脂は非極性であることから、極性基の付与による樹脂改質は、印刷特性や、他の合成樹脂、金属、木材などの異種材料への接着性改善など、オレフィン系樹脂の産業資材としての有用性を高めることが期待される。
これまでにエチレン系では、高圧ラジカル重合プロセスを利用した、極性基を有するビニルモノマー(極性基を有するオレフィン)との共重合体が広く知られている。この場合、重合プロセスが高圧ラジカル法である為、得られた極性基含有オレフィン共重合体は多くの長鎖分岐及び短鎖分岐を不規則に持つ分子構造となる。この為に、低弾性率かつ機械物性の低い極性基含有オレフィン共重合体しか得られず、高強度が要求される用途への応用範囲は限定的であった(特許文献1及び特許文献2参照)。
1990年代以降、中〜低圧条件での、後周期遷移金属錯体触媒を用いた極性基を有するオレフィン共重合が精力的に研究されており、例えば、ブルックハルト(Brookhart)らによる(α−ジイミン)パラジウム錯体や、グラッブス(Grubbs)らによる(サリチルアミジナート)ニッケル触媒、さらに、いわゆるSHOP系触媒と呼ばれる(フォスファニルフェノラート)ニッケル触媒が知られている。これらの触媒では、連鎖移動を抑制するために重合温度は低めに設定されており、コポリマーの生産性は低く、分子量も低かった(非特許文献1参照)。
2002年、ピュー(Pugh)らは、特定構造のホスフィンスルホナート配位子をパラジウム化合物と組み合わせて触媒成分として用いると、高温(80℃)でも共重合可能なことを報告した(特許文献3及び非特許文献2参照)。このホスフィンスルホナート配位子はキレート性または潜在的キレート性であると予想され、野崎らは、触媒活性成分として(ホスフィンスルホナート)パラジウム錯体を単離し、その共重合触媒としての有用性を報告している(特許文献4及び非特許文献3参照)。これらの方法によれば、高圧ラジカル法プロセスで得られる分岐状構造のオレフィン共重合体とは異なり、実質的に直鎖構造を持つオレフィン共重合体を製造可能なことが報告されている。
一方、これらのエチレン系での技術発展に対して、αオレフィン、例えばプロピレン系での極性基の付与は、その報告例が限られる。例えば、ポリプロピレン末端への極性官能基修飾や、ポリプロピレン側鎖にグラフト重合させる例が報告されているが、これらの極性基の導入率は極めて低いという問題を有している(特許文献5〜8参照)。そこで、有機アルミニウムなどのルイス酸を予め極性基を有するオレフィンと反応させ、プロピレンと極性基を有するオレフィンを共重合させる例が報告されている(特許文献9〜11参照)。しかし、この手法では添加ルイス酸由来の残渣が発生し、大量の脱灰に伴うコスト上昇を避けることができない。したがって、ルイス酸の添加を必要とせず、プロピレンと極性コモノマーとの共重合が可能な、後周期遷移金属錯体の開発が精力的に進められている。しかしながら、プロピレン重合では連鎖移動が頻発し、プロピレンホモ重合であってもオリゴマー程度の低分子量にとどまることから、ポリオレフィン重合触媒としてのさらなる性能改良が求められている。
特許第2792982号公報 特開平3−229713号公報 特開2007−77395号公報 特開2007−117991号公報 特開昭63−113002号公報 特開2008−214628号公報 特開2008−214629号公報 特開2008−214630号公報 特開昭55−098208号公報 特開2003−231710号公報 特開2010−159357号公報
S.Mecking etal., J. Am. Chem.Soc., 1998年, 120巻, p888 E.Drent etal., Chem. Commun., 2002年, p744 K.Nozaki etal., Dalton TRANSACTIONS, 2006年, p25
本発明の課題は、炭素原子数3以上のαオレフィンにおいて高分子量の重合体を得ることであり、また、炭素原子数3以上のαオレフィンと極性オレフィンとの共重合体の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題の解決を目指して種々探索した結果、特定構造部位に置換基を有する新規金属錯体が、特異的な化学的かつ立体的及び電子的な環境の構築を成し、上記の目的に適う重合用触媒の成分として機能することを見出し、本発明を創出するに至った。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[9]のαオレフィンの重合体、またはαオレフィンと極性基を有するオレフィンとの共重合体の製造方法である。
[1] 一般式(C1)
Figure 0006357074
(式中、Mは周期律表第10族の金属原子を表し、Xはリン原子(P)または砒素原子(As)を表し、Y1は、少なくとも1つのシリル基で置換され、かつ水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のエステル基、及びハロゲン原子から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜70の2価の炭化水素基を表し、Qは、Y1[−S(=O)2−O−]M、Y1[−C(=O)−O−]M、Y1[−P(=O)(−OH)−O−]MまたはY1[−S−]Mの「[ ]」の中に示される2価の基を表し(ただし、両側のY1、Mは基の結合方向を示すために記載している。)、R5は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜30の炭化水素基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基で置換された炭素原子数2〜30の炭化水素基、炭素原子数6〜20のアリーロキシ基で置換された炭素原子数7〜30の炭化水素基、炭素原子数2〜10のアミド基で置換された炭素原子数3〜30の炭化水素基、炭素原子数1〜30のアルコキシ基、炭素原子数6〜30のアリーロキシ基、及び炭素原子数2〜10のアシロキシ基からなる群より選ばれる置換基を表し、R6及びR7はそれぞれ独立して、水素原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル基、アミノ基、またはハロゲン原子、アルコキシ基及びアリールオキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜120の炭化水素基を表し、R6及びR7の少なくとも一方が、炭素原子数1〜10のアルキル基または炭素原子数4〜106のシクロアルキル基である。また、R6またはR7はY1と結合して環構造を形成してもよい。Lは電子供与性配位子を表し、qは0、1/2、1または2である。)で示される金属錯体を重合触媒として使用することを特徴とする炭素原子数3以上のαオレフィンの重合体、または炭素原子数3以上のαオレフィンと極性基を有するオレフィンとの共重合体の製造方法。
[2] 前記極性基を有するオレフィンが、一般式(1)
Figure 0006357074
(式中、R1は、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリーロキシ基、炭素原子数2〜10のアシル基、炭素原子数2〜10のエステル基、炭素原子数2〜10のアシロキシ基、アミノ基、炭素原子数1〜12の置換アミノ基、炭素原子数2〜12の置換アミド基、炭素原子数5〜10の置換ピリジル基、炭素原子数4〜10の置換ピロリジル基、炭素原子数5〜10の置換ピペリジル基、炭素原子数4〜10の置換ハイドロフリル基、炭素原子数4〜10の置換イミダゾリル基、メルカプト基、炭素原子数1〜10のアルキルチオ基、炭素原子数6〜10のアリールチオ基、エポキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を示す。nは、0及び1〜6より選ばれる任意の整数である。)
で示される前項1に記載の共重合体の製造方法。
[3] 一般式(C1)において、Qが−S(=O)2−O−である(ただし、SはY1に結合し、OはMに結合する。)前項1または2に記載の重合体の製造方法。
[4] 一般式(C1)で示される金属錯体が、一般式(C2)
Figure 0006357074
(式中、R12〜R15は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、シリル基またはハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜20の炭化水素基を表す。ただし、R12〜R15の少なくとも1つはシリル基である。M、X、R5、R6、R7、L及びqは一般式(C1)の記載と同じ意味を表す。)
で示される前項3に記載の重合体の製造方法。
[5] 一般式(C2)中、R12がシリル基である一般式(C3)
Figure 0006357074
(式中、3つのR16はそれぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜8の炭化水素を表し、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。M、X、R5、R6、R7、R13、R14、R15、L及びqは一般式(C2)の記載と同じ意味を表す。)
で示される前項4に記載の重合体の製造方法。
[6] 一般式(C3)中、R16がすべてメチル基である前項5に記載の重合体の製造方法。
[7] 一般式(C3)のR13が水素原子または炭素原子数1〜6の炭化水素基である前項5または6に記載の重合体の製造方法。
[8] 一般式(C3)のR13が水素原子、イソプロピル基またはフェニル基である前項5〜7のいずれかに記載の重合体の製造方法。
[9] 一般式(C3)のR14、R15が共に水素原子である前項5〜8のいずれかに記載の重合体の製造方法。
本発明による金属錯体を重合触媒に用いることにより、炭素原子数3以上のαオレフィンにおいて高分子量の重合体が製造可能となる。また、本発明の方法により、炭素原子数3以上のαオレフィンと極性基を有するオレフィンを共重合において、従来困難であった共重合体が製造可能となる。
[触媒]
本発明で使用する周期表第10族金属錯体からなる触媒(の構造)は、一般式(C1)で示される。
Figure 0006357074
式中、Mは周期律表第10族の金属原子を表し、Xはリン原子(P)または砒素原子(As)を表し、Y1は、少なくとも1つのシリル基で置換され、かつ水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のエステル基及びハロゲン原子から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜70の2価の炭化水素基を表し、Qは、Y1[−S(=O)2−O−]M、Y1[−C(=O)−O−]M、Y1[−P(=O)(−OH)−O−]MまたはY1[−S−]Mの「[ ]」の中に示される2価の基を表す(ただし、両側のY1、Mは基の結合方向を示すために記載している。)。
5は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜30の炭化水素基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基で置換された炭素原子数2〜30の炭化水素基、炭素原子数6〜20のアリーロキシ基で置換された炭素原子数7〜30の炭化水素基、炭素原子数2〜10のアミド基で置換された炭素原子数3〜30の炭化水素基、炭素原子数1〜30のアルコキシ基、炭素原子数1〜30のアリーロキシ基、及び炭素原子数2〜10のアシロキシ基からなる群より選ばれる置換基を表す。
6及びR7はそれぞれ独立して、水素原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル基、アミノ基、またはハロゲン原子、アルコキシ基及びアリールオキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜120の炭化水素基を表し、R6及びR7のうち少なくとも一方が、炭素原子数1〜10のアルキル基または炭素原子数4〜106のシクロアルキル基である。また、R6またはR7はY1と結合して環構造を形成してもよい。
Lは電子供与性配位子を表し、qは0、1/2、1または2である。
なお、本明細書では、「炭化水素」は飽和、不飽和の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素を含む。
以下、一般式(C1)の構造について説明する。
Mは周期律表第10族の元素を表す。周期律表第10族の元素としては、Ni、Pd、Ptが挙げられるが、触媒活性や得られる重合体の分子量の観点からNi及びPdが好ましく、Pdがより好ましい。
Xはリン原子(P)または砒素原子(As)であり、中心金属Mに2電子配位している。Xとしては、入手が容易であることと触媒コストの面からPが好ましい。
5は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜30の炭化水素基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基で置換された炭素原子数2〜30の炭化水素基、炭素原子数6〜20のアリーロキシ基で置換された炭素原子数7〜30の炭化水素基、炭素原子数2〜10のアミド基で置換された炭素原子数3〜30の炭化水素基、炭素原子数1〜30のアルコキシ基、炭素原子数1〜30のアリーロキシ基、または炭素原子数2〜10のアシロキシ基からなる群より選ばれた置換基を表す。
5が表すハロゲン原子の好ましい具体例は、フッ素、塩素、臭素である。これらの中で、さらに好ましい置換基は、塩素である。
5が表す炭素原子数1〜30の炭化水素基は、好ましくは炭素原子数1〜13の炭化水素基であり、アルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基である。
好ましい具体例は、メチル基、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、1−ノニル基、1−デシル基、t−ブチル基、トリシクロヘキシルメチル基、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル基、イソプロピル基、1−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、イソブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、4−ヘプチル基、2−プロピルヘプチル基、2−オクチル基、3−ノニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、エキソ−ノルボルニル基、エンド−ノルボニル基、2−ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ノピニル基、デカヒドロナフチル基、メンチル基、ネオメンチル基、ネオペンチル基、5−デシル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、及びp−エチルフェニル基などが挙げられる。
これらの中で、さらに好ましい置換基としては、メチル基、ベンジル基であり、特に好ましくはメチル基である。
5が表すハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜30の炭化水素基は、好ましくは前述の炭素原子数1〜30の炭化水素基をフッ素、塩素、または臭素で置換した置換基であり、具体的に好ましい例として、トリフルオロメチル基、またはペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
5が表すアルコキシ基で置換された炭素原子数2〜10の炭化水素基は、好ましくは前述の炭素原子数1〜30の炭化水素基をメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、1−プロポキシ基、1−ブトキシ基、またはt−ブトキシ基で置換した置換基である。さらに好ましくはメトキシ基またはエトキシ基で置換された炭素原子数2〜6の炭化水素基であり、具体的には、1−(メトキシメチル)エチル基、1−(エトキシメチル)エチル基、1−(フェノキシメチル)エチル基、1−(メトキシエチル)エチル基、1−(エトキシエチル)エチル基、ジ(メトキシメチル)メチル基、ジ(エトキシメチル)メチル基、ジ(フェノキシメチル)メチル基が挙げられる。特に好ましくは、1−(メトキシメチル)エチル基、1−(エトキシメチル)エチル基である。
5が表すアルコキシ基は、好ましくは炭素原子数1〜6のアルコキシ基であり、好ましい具体例は、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、1−プロポキシ基、1−ブトキシ基、及びt−ブトキシ基などである。これらの中で、さらに好ましい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、またはイソプロポキシ基であり、特に好ましくは、メトキシ基である。
5が表す炭素原子数6〜20のアリーロキシ基で置換された炭素原子数7〜30の炭化水素基は、好ましくは、前述の炭素原子数1〜30の炭化水素基をフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジーt−ブチルフェノキシ基で置換した置換基である。さらに好ましくはフェノキシ基または2,6−ジメチルフェノキシ基で置換された炭素原子数1〜6の炭化水素基であり、特に好ましくは、1−(フェノキシメチル)エチル基、または1−(2,6−ジメチルフェノキシ基メチル)エチル基である。
5が表す炭素原子数2〜10のアミド基で置換された炭素原子数3〜30の炭化水素基は、好ましくは、前述の炭素原子数1〜30の炭化水素基をアセトアミド基、プロピオニルアミノ基、ブチリルアミノ基、イソブチリルアミノ基、ヴァレリルアミノ基、イソヴァレリルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基で置換した置換基である。さらに好ましくは2−アセトアミドフェニル基、2−プロピオニルアミノフェニル基、2−ヴァレリルアミノフェニル基、2−ベンゾイルフェニル基であり、特に好ましくは、2−アセトアミドフェニル基である。
5が表す炭素原子数6〜30のアリールオキシ基は、好ましくは炭素原子数6〜12のアリールオキシ基であり、好ましい具体例は、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、及び2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ基が挙げられる。これらの中で、さらに好ましい置換基としては、フェノキシ基、または2,6−ジメチルフェノキシ基であり、特に好ましくは、フェノキシ基である。
5が表す炭素原子数2〜10のアシロキシ基は、好ましくは炭素原子数2〜8のアシルオキシ基であり、好ましい具体例は、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ヴァレリルオキシ基、イソヴァレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基が挙げられる。
これらの中で、さらに好ましい置換基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基であり、特に好ましくは、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基である。
これらのR5として好ましい群のうち、さらに好ましくは、炭素原子数1〜20の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素原子数2〜30の炭化水素基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基であり、特に好ましい具体例は、メチル基、ベンジル基、メトキシ基、2−アセトアミドフェニル基、アセチルオキシ基が挙げられる。
6及びR7はそれぞれ独立して、水素原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル基、アミノ基、またはハロゲン原子、アルコキシ基及びアリールオキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基を表す。ただし、R6及びR7の少なくとも一方は、炭素原子数1〜10のアルキル基または炭素原子数4〜106のシクロアルキル基である。また、R6またはR7は、Y1と結合して環構造を形成してもよい。
6及びR7が表すアルコキシ基としては、炭素原子数1〜20のものが好ましく、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基などが挙げられる。R6及びR7が表すアリールオキシ基としては炭素原子数6〜24のものが好ましく、フェノキシ基などが挙げられる。R6及びR7が表すシリル基としてはトリメチルシリル基、アミノ基としてはアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基などが挙げられる。R6及びR7が表すハロゲン原子、アルコキシ基及びアリールオキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜120の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、4−ヘプチル基、2−メチル−4−ヘプチル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチル基、3−メチル−4−ヘプチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1−アダマンチル基、トリフルオロメチル基、ベンジル基、2’−メトキシベンジル基、3’−メトキシベンジル基、4’−メトキシベンジル基、4’−トリフルオロメチルベンジル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、2,4,6−トリイソプロピルフェニル基、2−t−ブチルフェニル基、2−シクロヘキシルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、2,4,6−トリメトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−フリル基、2−ビフェニル基、2’,6’−ジメトキシ−2−ビフェニル基、2’−メチル−2−ビフェニル基、2’,4’,6’−トリイソプロピル−2−ビフェニル基などが挙げられる。
また、R6とR7は同じでも、異なっていてもよい。また、R6とR7は結合して環構造を形成してもよい。R6及び/またはR7はY1と結合して環構造を形成してもよい。
なお、R6及びR7の少なくとも一方は、炭素原子数1〜10のアルキル基または炭素原子数4〜106のシクロアルキル基を表す。炭素原子数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基が好ましい。炭素原子数4〜106のシクロアルキル基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、等が挙げられるが、以下の一般式(5)で示されるシクロアルキル基が特に好ましい。
Figure 0006357074
式中、Rは置換基を有してもよい炭素原子数1〜14のアルキレン基を表し、R9、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル基、アミノ基、またはハロゲン原子、アルコキシ基及びアリールオキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、R9及びR10の少なくとも一方は、水素原子ではなく、R9、R10、R11及び前記アルキレン基Rは、それぞれで結合して、環構造を形成してもよい。なお、式中では、炭素原子と一般式(C1)におけるXとの結合も表記している。
さらに、R6及びR7は、合成の容易さから双方とも前記一般式(5)で示されるシクロアルキル基であることが好ましい。
一般式(5)において、Rは置換基を有してもよい炭素原子数1〜14のアルキレン基を表す。R9、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル基、アミノ基、またはハロゲン原子、アルコキシ基及びアリールオキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、R9及びR10の少なくとも一方は水素原子でない。この水素原子でない置換基R9またはR10が、重合反応中のβ−水素脱離によるポリマーの連鎖移動を抑制して、得られる重合体の分子量を向上させると考えられる。R9、R10及びR11が表すアルコキシ基、アリールオキシ基、シリル基、アミノ基、またはハロゲン原子、アルコキシ基及びアリールオキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基の具体例として、前記のR6及びR7の具体例と同様のものが挙げられる。R9、R10及びR11は同じでも異なっていてもよい。R9、R10、R11及び前記アルキレン基Rは、それぞれで結合して、環構造を形成してもよい。前記アルキレン基Rとしては、炭素原子数が2〜6であるものが好ましく、炭素原子数が4であるものがより好ましい。
9及びR10の少なくとも一方は、炭素原子数1〜6のアルキル基または炭素原子数3〜8のシクロアルキル基であることが好ましい。さらにR9及びR10は少なくとも一方がイソプロピル基であることが好ましい。
以下、R6またはR7が一般式(5)で示される基を表す場合のX−R6またはX−R7部位の具体例を挙げる。なお、Meはメチル基を表し、XとM、XとY1との結合は省略している。
Figure 0006357074
Figure 0006357074
Figure 0006357074
Figure 0006357074
Figure 0006357074
Figure 0006357074
Figure 0006357074
これらの中で、R6及びR7は下記式で示される2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル基(メンチル基)であることが好ましい。さらにR6及びR7は双方ともメンチル基であることがより好ましい。
Figure 0006357074
一般式(C1)において、Qは−S(=O)2−O−、−C(=O)−O−、−P(=O)(−OH)−O−、または−S−で示される2価の基を表し、Mに1電子配位する部位である。前記各式の左側がY1に結合し、右側がMに結合している。これらの中でも触媒活性の面から−S(=O)2−O−が特に好ましい。
1−Q部位では、電気陰性度の大きい酸素原子または硫黄原子が金属原子Mに1電子配位している。Y1−Q−M間の結合電子は、形式上、Y1−Qをアニオン状態、Mをカチオン状態で表記することも可能である。
一般式(C1)中、Y1は少なくとも1つのシリル基で置換され、かつハロゲン原子、シリル基、アルコキシ基及びアリールオキシ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい炭素原子数1〜70の2価の炭化水素基を表す。Y1上の置換基であるハロゲン原子、アルコキシ基及びアリールオキシ基の具体例はR6及びR7で説明したものと同様である。Y1上の置換基であるシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリブチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基などが挙げられ、特にトリメチルシリル基、トリエチルシリル基が好ましい。炭素原子数1〜70の炭化水素基としては、アルキレン基、アリーレン基等が挙げられ、特にアリーレン基が好ましい。
1はXとQ部位を結合する架橋部位である。XをP原子で示したY1の具体例を以下に示す。ここで、複数のR4は、同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、シリル基またはハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜20の炭化水素基を表す。ただし、Y1としての炭素原子数の上限は70であり、R4の少なくとも1つはシリル基である。
Figure 0006357074
4が表すハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基及びシリル基の具体例はY1で説明したものと同様である。R4が表す炭素原子数1〜20の炭化水素基及びハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、エキソ−ノルボニル基、エンド−ノルボニル基、メンチル基、ネオメンチル基、トリフルオロメチル基、ベンジル基、4’−トリフルオロメチルベンジル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、2,4,6−トリイソプロピルフェニル基、2−t−ブチルフェニル基、2−シクロヘキシルフェニル基、4−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−フリル基、2−ビフェニル基、2’−メチル−2−ビフェニル基、2’,4’,6’−トリイソプロピル−2−ビフェニル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基、シンナミル基、スチリル基、アントラセニル基、フルオレニル基などが挙げられる。
置換基R6またはR7は、Y1部位と結合して環構造を形成してもよい。具体的には以下に示す構造が挙げられる。なお、以下の例は、置換基R6とY1部位が結合して環構造を形成している場合を示している。
Figure 0006357074
一般式(C1)で示される金属錯体の中でも、特に以下の一般式(C2)で示されるものが好ましい。
Figure 0006357074
一般式(C2)中、R12〜R15は水素原子、ハロゲン原子、シリル基、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、シリル基またはハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜20の炭化水素基を表す。これらの具体例はR4で説明したものと同様である。ただし、R12〜R15の少なくとも1つはシリル基である。M、X、R5、R6、R7、L及びqは一般式(C1)の記載と同じ意味を表す。
一般式(C2)においては、R12がシリル基である以下の一般式(C3)で示されるものが好ましい。
Figure 0006357074
式中、それぞれ独立した3つのR16は同じでも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜8の炭化水素基を表す。M、X、R5、R6、R7、R13、R14、R15、L及びqは一般式(C2)の記載と同じ意味を表す。
一般式(C3)において、R16は炭素原子数1〜4の炭化水素基が好ましく、3つのR16がすべてメチル基であることが特に好ましい。R13は水素原子または炭素原子数1〜6の炭化水素基であることが好ましく、水素原子、イソプロピル基、またはフェニル基であることが特に好ましい。R14及びR15は水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基が好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
一般式(C1)で示される触媒の金属錯体は、公知の文献(例えば、J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 8948)に記載の方法と同様の方法で、合成することができる。すなわち、0価あるいは2価のMソースと一般式(C1)中の配位子とを反応させて金属錯体を合成する。
一般式(C2)及び一般式(C3)で示される化合物は、一般式(C1)中のY1及びQを、一般式(C2)及び一般式(C3)に対応する特定の基にすることにより合成することができる。
0価のMソースは、パラジウムソースとして、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムが挙げられ、ニッケルソースとして、テトラカルボニルニッケル(0):Ni(CO)4、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルが挙げられる。
2価のMソースは、パラジウムソースとして、(1,5−シクロオクタジエン)(メチル)塩化パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム:PdCl2(CH3CN)2、ビス(ベンゾニトリル)ジクロロパラジウム:PdCl2(PhCN)2、(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)ジクロロパラジウム(II):PdCl2(TMEDA)、(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)ジメチルパラジウム(II):PdMe2(TMEDA)、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム(II):Pd(acac)2(acac=アセチルアセトナト)、(トリフルオロメタンスルホン酸パラジウム(II):Pd(OSO2CF32が、ニッケルソースとして、(アリル)塩化ニッケル、(アリル)臭化ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、ビス(アセチルアセトナト)ニッケル(II):Ni(acac)2、(1,2−ジメトキシエタン)ジクロロニッケル(II):NiCl2(DME)、トリフルオロメタンスルホン酸ニッケル(II):Ni(OSO2CF32が挙げられる。
一般式(C1)で示される金属錯体は、単離して使用することができるが、錯体を単離することなくMを含む金属ソースと配位子前駆体を反応系中で接触させて、これをそのまま(in situ)重合に供することもできる。特に一般式(C1)中のR5が水素原子の場合、0価のMを含む金属ソースと配位子前駆体とを反応させた後、錯体を単離することなくそのまま重合に供することが好ましい。
この場合の配位子前駆体は、一般式(C1)の場合、
Figure 0006357074
(式中の記号は前記と同じ意味を表す。)
で示される。
一般式(C1)におけるMソース(M)と配位子前駆体(C1−1)(C1配位子)との比率((C1配位子)/M)は、0.5〜2.0の範囲で、さらには、1.0〜1.5の範囲で選択することが好ましい。
一般式(C1)の金属錯体を単離する場合、予め電子供与性配位子(L)を配位させて安定化させたものを用いることもできる。この場合、qは1/2、1または2となる。qが1/2とは一つの2価の電子供与性配位子が2つの金属錯体に配位していることを意味する。qは金属錯体触媒を安定化する意味で1/2または1が好ましい。なお、qが0の場合は配位子がないことを意味する。
電子供与性配位子(L)とは、電子供与性基を有し、金属原子Mに配位して金属錯体を安定化させることのできる化合物である。
電子供与性配位子(L)としては、硫黄原子を有するものとしてジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。窒素原子を有するものとして、アルキル基の炭素原子数1〜10のトリアルキルアミン、アルキル基の炭素原子数1〜10のジアルキルアミン、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン(別名:2,6−ルチジン)、アニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、アセトニトリル、ベンゾニトリル、キノリン、2−メチルキノリンなどが挙げられる。酸素原子を有するものとして、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンが挙げられる。金属錯体の安定性及び触媒活性の観点から、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン(別名:2,6−ルチジン)、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)が好ましく、ジメチルスルホキシド(DMSO)、2,6−ジメチルピリジン(別名:2,6−ルチジン)がより好ましい。
一般式(C1)、一般式(C2)、一般式(C3)で示される金属錯体は、担体に担持して重合に使用することもできる。この場合の担体は、特に限定されないが、シリカゲル、アルミナなどの無機担体、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの有機担体などを挙げることができる。金属錯体の担持法としては、金属錯体の溶液を担体に含浸させて乾燥する物理的な吸着方法や、金属錯体と担体とを化学的に結合させて担持する方法などが挙げられる。
[モノマー]
本発明の重合体の製造方法では、以下に説明する、(a)炭素原子数3以上のαオレフィン、(b)極性基を有するオレフィンが挙げられる。それぞれのモノマー成分は、単独で使用してもよいし、複数を併用してもよい。
(a)炭素原子数3以上のαオレフィン
本発明に用いられる炭素原子数3以上のαオレフィンは、炭素原子数3〜20のαオレフィンである。中でも、好ましい(a)成分として、炭素原子数3〜10のα−オレフィンが挙げられる。さらに好ましい(a)成分としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンが挙げられ、特に好ましい(a)成分としては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンが挙げられる。
(b)極性基を有するオレフィン
本発明に用いられる極性基を有するオレフィンは、一般式(1)で示される。
Figure 0006357074
式中、R1は、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリーロキシ基、炭素原子数2〜10のアシル基、炭素原子数2〜10のエステル基、炭素原子数2〜10のアシロキシ基、アミノ基、炭素原子数1〜12の置換アミノ基、炭素原子数2〜12の置換アミド基、炭素原子数5〜10の置換ピリジル基、炭素原子数4〜10の置換ピロリジル基、炭素原子数5〜10の置換ピペリジル基、炭素原子数4〜10の置換ハイドロフリル基、炭素原子数4〜10の置換イミダゾリル基、メルカプト基、炭素原子数1〜10のアルキルチオ基、炭素原子数6〜10のアリールチオ基、エポキシ基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を表す。nは、0及び1〜6より選ばれる任意の整数を示す。
炭素原子数1〜10のアルコキシ基であるR1は、好ましくは、炭素原子数1〜4のアルコキシ基であり、好ましい具体例は、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、1−プロポキシ基、1−ブトキシ基、及びt−ブトキシ基などである。
これらの中で、さらに好ましい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基またはイソプロポキシ基であり、特に好ましくは、メトキシ基である。
炭素原子数6〜20のアリーロキシ基であるR1は、好ましくは、炭素原子数6〜12のアリーロキシ基であり、好ましい具体例は、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジ−t−ブチルフェノキシ基及び2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ基が挙げられる。
これらの中で、さらに好ましい置換基としては、フェノキシ基、3,5−ジ−t−ブチルフェノキシ基または2,6−ジメチルフェノキシ基であり、特に好ましくは、フェノキシ基、3,5−ジ−t−ブチルフェノキシ基である。
炭素原子数2〜10のアシル基であるR1は、好ましくは、炭素原子数2〜8のアシル基であり、好ましい具体例は、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ヴァレリル基、イソヴァレリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基が挙げられる。
これらの中で、さらに好ましい置換基としては、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基であり、特に好ましくは、ベンゾイル基である。
炭素原子数2〜10のエステル基であるR1は、好ましくは、炭素原子数2〜8のエステル基であり、好ましい具体例は、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、(4−ヒドロキシブトキシ)カルボニル基、(4−グリシジルブトキシ)カルボニル基、フェノキシカルボニル基が挙げられる。
これらの中で、さらに好ましい置換基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、(4−ヒドロキシブトキシ)カルボニル基が挙げられ、特に好ましくは、メトキシカルボニル基である。
炭素原子数2〜10のアシロキシ基であるR1は、好ましくは、炭素原子数2〜8のアシルオキシ基であり、好ましい具体例は、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ヴァレリルオキシ基、イソヴァレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基が挙げられる。
これらの中で、さらに好ましい置換基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基であり、特に好ましくは、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ基である。
炭素原子数1〜12の置換アミノ基であるR1の好ましい具体例は、モノメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、モノエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モノイソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、モノフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(トリメチルシリル)アミノ基、モルホリニル基が挙げられる。
これらの中で、さらに好ましい置換基は、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基である。
炭素原子数1〜12の置換アミド基であるR1の好ましい具体例は、アセトアミド基、プロピオニルアミノ基、ブチリルアミノ基、イソブチリルアミノ基、ヴァレリルアミノ基、イソヴァレリルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基が挙げられる。
これらの中で、さらに好ましい置換基としては、アセトアミド基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基であり、特に好ましくは、アセトアミド基である。
炭素原子数5〜10の置換ピリジル基であるR1の好ましい具体例は、2−ピリジル基、3−ピリジル基、2−(3−メチル)ピリジル基、2−(4−メチル)ピリジル基、3−(2−メチル)ピリジル基、3−(4−メチル)ピリジル基、2−(4−クロロメチル)ピリジル基、3−(4−クロロメチル)ピリジル基が挙げられる。
これらの中で、さらに好ましい置換基としては、2−ピリジル基、3−ピリジル基、2−(4−メチル)ピリジル基が挙げられ、特に好ましくは、2−ピリジル基である。
炭素原子数4〜10の置換ピロリジル基であるR1の好ましい具体例は、2−ピロリジル基、3−ピロリジル基、2−(1−メチル)ピロリジル基、2−(1−ブチル)ピロリジル基、2−(1−シクロペンテニル)ピロリジル基、2−(4−メトキシカルボニル)ピロリジル基、2−(5−メトキシカルボニル)ピロリジル基、2−(6−メトキシカルボニル)ピロリジル基が挙げられる。
これらの中で、さらに好ましい置換基としては、2−ピロリジル基、3−ピロリジル基、2−(1−メチル)ピロリジル基、2−(6−メトキシカルボニル)ピロリジル基が挙げられ、特に好ましくは、2−ピロリジル基である。
炭素原子数5〜10の置換ピペリジル基であるR1の好ましい具体例は、2−ピペリジル基、3−ピペリジル基、2−(1,2,3,6−テトラヒドロ)ピペリジル基、2−(1−メチル)ピペリジル基、2−(1−エチル)ピペリジル基、2−(4−メチル)ピペリジル基、2−(5−メチル)ピペリジル基、2−(6−メチル)ピペリジル基が挙げられる。
これらの中で、さらに好ましい置換基としては、2−ピペリジル基、3−ピペリジル基、2−(1,2,3,6−テトラヒドロ)ピペリジル基、2−(6−メチル)ピペリジル基が挙げられ、特に好ましくは、2−ピペリジル基、2−(1,2,3,6−テトラヒドロ)ピペリジル基である。
炭素原子数4〜10の置換ハイドロフリル基であるR1の好ましい具体例は、2−テトラハイドロフリル基、3−テトラハイドロフリル基、2−(5−メチル)テトラハイドロフリル基、2−(5−イソプロピル)テトラハイドロフリル基、2−(5−エチル)テトラハイドロフリル基、2−(5−メトキシ)テトラハイドロフリル基、2−(5−アセチル)テトラハイドロフリル基、2−(4,5−ベンゾ)テトラハイドロフリル基が挙げられる。
これらの中で、さらに好ましい置換基としては、2−テトラハイドロフリル基、3−テトラハイドロフリル基、2−(5−メチル)テトラハイドロフリル基、2−(5−イソプロピル)テトラハイドロフリル基、2−(4,5−ベンゾ)テトラハイドロフリル基が挙げられ、特に好ましくは、2−テトラハイドロフリル基、2−(5−メチル)テトラハイドロフリル基、2−(5−イソプロピル)テトラハイドロフリル基である。
炭素原子数4〜10の置換イミダゾリル基であるR1の好ましい具体例は、2−イミダゾリル基、2−(1−メチル)イミダゾリル基、2−(1−ベンジル)イミダゾリル基、2−(1−アセチル)イミダゾリル基、2−(4,5−ベンゾ)イミダゾリル基、2−(1−メチル−4,5−ベンゾ)イミダゾリル基が挙げられる。
これらの中で、さらに好ましい置換基としては、2−イミダゾリル基、2−(1−メチル)イミダゾリル基、2−(4,5−ベンゾ)イミダゾリル基が挙げられ、特に好ましくは、2−(1−メチル)イミダゾリル基、2−(4,5−ベンゾ)イミダゾリル基である。
炭素原子数1〜10のアルキルチオ基であるR1の好ましい具体例は、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、t−ブチルチオ基であり、炭素原子数6〜10のアリールチオ基であるR1の好ましい具体例は、フェニルチオ基である。
これらの中で、さらに好ましい置換基としては、メチルチオ基、t−ブチルチオ基、フェニルチオ基が挙げられ、特に好ましくは、メチルチオ基、フェニルチオ基である。
ハロゲン原子であるR1の好ましい具体例は、フッ素、塩素、臭素である。これらの中で、さらに好ましい置換基は塩素である。
これらのR1として好ましい群のうち、さらに好ましくは、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のエステル基、炭素原子数2〜10のアシロキシ基であり、一般式(1)で表される特に好ましい極性コモノマーの具体例は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、酢酸アリル、アリルメチルエーテルが挙げられる。
一般式(1)で示される極性基を有するオレフィンの含有量(モル%=(極性基を有するオレフィンのモル数/共重合体中の総モノマーモル数)×100)に関しては、特に制限はないが、好ましくは、0.1%以上、50%以下である。さらに好ましくは、0.1%以上、10%以下であり、特に好ましくは、0.1%以上、5%以下である。
nは、0及び1〜6より選ばれる任意の整数であり、好ましくは0及び1〜4より選ばれる任意の整数であり、さらに好ましくは、0または1である。
本発明の製造方法に係る炭素原子数3以上のαオレフィンの重合体は、単独重合体もしくは共重合体に関わらず、エチレンを含んでいてもよく、重合体中に含まれるプロピレンとエチレンの合計に対するエチレンの比率が60mol%未満である。
そのような共重合体の具体例として、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ブテン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・プロピレン・酢酸アリル共重合体、エチレン・プロピレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・プロピレン・アクリル酸エチル共重合体が挙げられる。中でも好ましい具体例として、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・酢酸アリル共重合体、エチレン・プロピレン・アクリル酸メチル共重合体が挙げられる。さらに好ましい具体例として、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・酢酸アリル共重合体、エチレン・プロピレン・アクリル酸メチル共重合体が挙げられる。
[重合方法]
本発明の金属錯体を触媒として使用して、炭素原子数3以上のαオレフィンの重合体または炭素原子数3以上のαオレフィンと一般式(1)で示される極性基を有するオレフィンの重合体を製造する方法は特に制限されるものではなく、一般に使用される方法で重合可能である。すなわち、溶液重合法、懸濁重合法、気相重合法などのプロセス法が可能であるが、特に溶液重合法、懸濁重合法が好ましい。また重合様式は、バッチ様式でも連続様式でも可能である。また、一段重合でも、多段重合でも行うこともできる。
本発明で用いられる金属錯体触媒は2種類以上を混合して重合反応に使用してもよい。混合して使用することで重合体の分子量、分子量分布、一般式(1)のモノマーに由来するモノマーユニットの含有量を制御することが可能であり、所望の用途に適した重合体を得ることができる。金属錯体触媒総量とモノマーの総量のモル比は、モノマー/金属錯体の比で、1〜10,000,000の範囲、好ましくは10〜1,000,000の範囲、より好ましくは100〜100,000の範囲が用いられる。
重合温度は、特に限定されない。通常−30〜400℃の範囲で行われ、好ましくは0〜180℃、より好ましくは20〜150℃の範囲で行われる。
プロピレン圧が内部圧力の大半を占める重合圧力については、常圧から100MPaの範囲内で行われ、好ましくは常圧から20MPa、より好ましくは常圧から10MPaの範囲内で行われる。
重合時間は、プロセス様式や触媒の重合活性などにより適宜調整することができ、数分の短い時間も、数千時間の長い反応時間も可能である。
重合系中の雰囲気は触媒の活性低下を防ぐため、モノマー以外の空気、酸素、水分などが混入しないように窒素ガスやアルゴンなどの不活性ガスで満たすことが好ましい。また溶液重合の場合、モノマー以外に不活性溶媒を使用することが可能である。不活性溶媒は、特に限定されないが、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチルなどの脂肪族エステル、安息香酸メチル、安息香酸エチルなどの芳香族エステルなどが挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
[重合体の構造の解析方法]
1.極性基を有するオレフィンの含量
実施例で得た(共)重合体の構造は、ブルカー(BRUKER)社製ASCEND 500を用いた各種NMR解析により決定した。極性基を有するオレフィンに由来するモノマーユニットの含有率は、溶媒として1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2を使用した120℃における1H−NMR測定により、極性基を有するオレフィン由来のピークに対する主鎖(0.8〜1.8ppm)の積分比をもとに算出した。
2.分子量
数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、東ソー(株)製,TSKgel(登録商標) GMHHR−H(S)HTカラム(7.8mmI.D.×30cmを2本直列)を備えた東ソー(株)製高温GPC装置、HLC−8121GPC/HTを用い、ポリスチレンを分子量の標準物質とするサイズ排除クロマトグラフィー(溶媒:1,2−ジクロロベンゼン、温度:145℃)により算出した。
[金属錯体1Aの合成]
下記の反応スキームに従って金属錯体触媒1Aを合成した。
Figure 0006357074
(a)塩化メンチル(化合物1a)の合成
文献(J. Org. Chem., 17, 1116. (1952))記載の手法で、塩化メンチル(化合物1a)の合成を行った。すなわち、塩化亜鉛(77g、0.56mol)の37%塩酸(52mL、0.63mol)溶液に、(−)−メントール(27g、0.17mol)を加え、35℃に加熱しながら、5時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応液にヘキサン(50mL)を加え、分液漏斗を使用して、有機層と水層を分離した。有機層は水(30mL×1)で洗浄後、さらに濃硫酸(10mL×5)及び水(30mL×5)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行い、塩化メンチル(化合物1a)を無色の油状物質として得た。収量は27g(収率91%)であった。
(b)塩化ジメンチルホスフィン(化合物1c)の合成
文献(Journal fur Praktische Chemie, 322, 485. (1980))記載の手法で、塩化ジメンチルホスフィン(化合物1c)の合成を行った。すなわち、アルゴン雰囲気下、塩化メンチル(化合物1a;2.6g、15mmol)とマグネシウム(0.63g、26mmol)をテトラヒドロフラン(THF)(30mL)中で、70℃に加熱しながら反応させて得られた塩化メンチルマグネシウム(化合物1b)の溶液を、三塩化リン(0.63mL、7.2mmol)のTHF(30mL)溶液に−78℃で加えた。室温まで昇温後、70℃に加熱しながら2時間撹拌した。溶媒を減圧留去した後、蒸留精製を行い、塩化ジメンチルホスフィン(化合物1c)を得た。収量は、0.62g(収率25%)であった。
31P−NMR(162MHz,THF):δ 123.9.
(c)2−(ジメンチルホスフィノ)ベンゼンスルホン酸(化合物1d)の合成
ベンゼンスルホン酸(13.2g,83.5mmol)のテトラヒドロフラン溶液(150mL)に、n−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液,66.8mL,167mmol)を0℃で加え、10℃で1時間撹拌した。反応容器を−78℃に冷却した後に、塩化ジメンチルホスフィン(化合物1c;11.5g,33.4mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液を−78℃で加え、室温で16時間撹拌した。反応液にトリフルオロ酢酸(9.52g,83.5mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液を0℃で加えて反応停止した後に、溶媒を減圧留去した。ジクロロメタン(100mL×4回)で抽出した後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒留去後、シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=10/1)で精製し、酢酸エチルで洗浄することにより、2−(ジメンチルホスフィノ)ベンゼンスルホン酸(化合物1d)を白色粉末として得た。収量は5.0g(収率32%)であった。
(d)2−(ジメンチルホスフィノ)−6−(トリメチルシリル)−ベンゼンスルホン酸(化合物1e)の合成
2−(ジメンチルホスフィノ)ベンゼンスルホン酸(化合物1d;2.50g,5.4mmol)のTHF溶液(40mL)に、n−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液,12.9mL,32.2mmol)を−78℃で加え、10℃で4時間撹拌した。反応容器を−78℃に冷却した後に、トリメチルシリルクロリド(4.05mL,32.2mmol)を−78℃で加え、10℃で16時間撹拌した。反応液を氷水(50mL)に注いで反応停止した後に、酢酸エチル(100mL×3回)にて抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、酢酸エチル(15mL)にて洗浄することにより、2−(ジメンチルホスフィノ)−6−(トリメチルシリル)−ベンゼンスルホン酸(化合物1e)を白色粉末として得た。収量は2.10g(収率73%)であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.99 (d, J = 7.2 Hz, 1 H), 7.57 (dd, J = 7.2, 16.0 Hz, 1 H), 7.47 (m, 1 H), 5.30 (d, J = 339.2 Hz, 1 H), 3.57 (dd, J = 12.4, 27.6 Hz, 1 H), 2.71 (br s, 2 H), 2.03 (br s, 1 H), 1.74 (br s, 6 H), 1.60 (br s, 1 H), 1.41 (br s, 2 H), 1.28 (m, 1 H), 1.09 (m, 6 H), 0.94-0.67 (m, 15 H), 0.46 (s, 9 H), 0.22 (d, J = 6.4 Hz, 3 H).
(e)金属錯体触媒1Aの合成
アルゴン雰囲気下、2−(ジメンチルホスフィノ)−6−(トリメチルシリル)−ベンゼンスルホン酸(化合物1e;2.04g,3.79mmol)とN,N−ジイソプロピルエチルアミン(3.20mL,18.4mmol)の塩化メチレン溶液(30mL)に、(cod)PdMeCl(cod=1,5−シクロオクタジエン、1.00g,3.77mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。溶液を濃縮した後に、残渣を塩化メチレン(10mL)に溶解させ、この溶液を、炭酸カリウム(5.20g,37.6mmol)と2,6−ルチジン(4.40mL,37.8mmol)の塩化メチレン懸濁液(20mL)に加え、室温で1時間撹拌した。この反応液をセライト(乾燥珪藻土)及びフロリジル(ケイ酸マグネシウム)でろ過した後に、溶媒を濃縮し、減圧下乾燥を行った。ヘキサン(5mL×3回)で洗浄することにより、金属錯体触媒1Aを得た。収量は、2.32g(収率80%)であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 7.80 (d, J = 7.5 Hz, 1 H), 7.77 (t, J = 8.0 Hz, 1 H), 7.54 (t, J = 7.7 Hz, 1 H), 7.36 (dd, J = 7.7, 7.6 Hz, 1 H), 7.10 (d, J = 7.7 Hz, 1 H), 7.05 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 3.70 (m, 1 H), 3.24 (s, 3 H), 3.16 (s, 3 H), 2.5-0.7 (m, 19 H), 0.96 (d, J = 6.4 Hz, 3 H), 0.95 (d, J = 6.4 Hz, 3 H), 0.83 (d, J = 6.6 Hz, 3 H), 0.76 (d, J = 6.7 Hz, 3 H), 0.50 (d, J = 6.6 Hz, 3 H), 0.37 (s, 9 H), 0.36 (m, 3 H), 0.15 (d, J = 6.7 Hz, 3 H).
[金属錯体1Bの合成]
Figure 0006357074
アルゴン雰囲気下、2−(ジメンチルホスフィノ)−6−(トリメチルシリル)−ベンゼンスルホン酸(化合物1e;269.2mg,0.5mmol)及び,炭酸銀(84.7mg,0.5mmol)、炭酸カリウム(692mg,5.0mmol)、ジ−μ−クロロビス(2−アセトアミノフェニル−C,O)二パラジウム(II)(138mg,0.5mmol)に塩化メチレン(6mL)を加え、室温で終夜撹拌した。この反応液をセライト(乾燥珪藻土)及びフロリジル(ケイ酸マグネシウム)でろ過した後に、溶媒を濃縮した。得られた残渣を少量の塩化メチレンに溶解させ、ジエチルエーテルを加え,錯体を析出させた。沈殿を回収し減圧乾燥することにより金属錯体触媒1Bを得た。収量は、174mg(収率45%)であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ9.17 (br s, 1H), 7.81 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.71 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.40-7.36 (m, 2H), 6.97 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 6.89 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 6.83 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 3.20 (br s, 1H), 2.69 (t, J = 9.8 Hz, 1H), 2.47 (s, 3H), 2.32 (dd, J = 22.3, 10.1 Hz, 1H), 2.07-2.06 (m, 1H), 1.97 (br s, 1H), 1.77-1.69 (br m, 5H), 1.65-1.30 (br m, 5H), 1.10 (dd, J = 21.7, 12.1 Hz, 1H), 0.96-0.73 (m, 10H), 0.68 (3H, d, J = 6.8 Hz), 0.42 (9H, s), 0.37 (3H, d, J = 6.6 Hz), 0.31 (3H, d, J = 6.4 Hz), 0.20 (3H, d, J = 6.8 Hz).;31P−NMR(162MHz,CDCl3):δ 31.7.
[金属錯体2Aの合成]
下記の反応スキームに従って金属錯体2Aを合成した。
Figure 0006357074
(f)2−(ジメンチルホスフィノ)−5−イソプロピル−ベンゼンスルホン酸(化合物2d)の合成
5−イソプロピル−ベンゼンスルホン酸イソプロピルエステル(15.0g,62.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液(120mL)に、n−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液,24.8mL,62.0mmol)を−78℃で加え、−78℃で1時間撹拌した。塩化ジメンチルホスフィン(化合物1c;9.5g,27.5mmol)のテトラヒドロフラン(60mL)溶液を−78℃で加え、室温で16時間撹拌した。反応液に氷水(100mL)を加えて反応停止した後に、酢酸エチル(100mL×3回)で抽出した後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、溶媒留去後、そのまま次の反応に用いた。
2−(ジメンチルホスフィノ)−5−イソプロピル−ベンゼンスルホン酸イソプロピルエステル(36.3mmol)のテトラヒドロフラン溶液(80mL)に、メタノール(100mL)、水酸化ナトリウム(8.7g,218mmol)、水(40mL)を加え、80℃で16時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒留去し、塩化メチレン(200mL)、水(200mL)を加えた。さらにトリフルオロ酢酸を加えてpH4〜5にした後、ジクロロメタン(100mL×2回)で抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒留去後、シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=30/1)で精製し、2−(ジメンチルホスフィノ)−5−イソプロピル−ベンゼンスルホン酸(化合物2d)を白色粉末として得た。収量は6.0g(収率42%)であった。
(g)2−(ジメンチルホスフィノ)−5−イソプロピル−6−(トリメチルシリル)−ベンゼンスルホン酸(化合物2e)の合成
2−(ジメンチルホスフィノ)−5−イソプロピル−ベンゼンスルホン酸(化合物2d;2.0g,3.94mmol)のTHF溶液(40mL)に、n−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液,9.5mL,23.6mmol)を−40℃で加え、10℃で6時間撹拌した。反応容器を−78℃に冷却した後に、トリメチルシリルクロリド(3.0mL,23.6mmol)を−78℃で加え、室温で1時間撹拌した。反応液を氷水(50mL)に注いで反応停止した後に、酢酸エチル(50mL×3回)にて抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=50/1)で精製することにより、2−(ジメンチルホスフィノ)−5−イソプロピル−6−(トリメチルシリル)−ベンゼンスルホン酸(化合物2e)を白色粉末として得た。収量は0.88g(収率38%)であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 7.5-7.4 (m, 2 H), 5.22 (d, J = 329.2 Hz, 1 H), 3.56 (m, 2 H), 2.67 (br, 2 H), 1.95 (br, 1 H), 1.8-1.6 (br, 7 H), 1.4-1.3 (br, 9 H), 1.2-1.1 (br, 9 H), 1.0-0.8 (br, 12 H), 0.73 (br, 3 H), 0.55 (s, 9 H).
(h)金属錯体触媒2Aの合成
アルゴン雰囲気下、2−(ジメンチルホスフィノ)−5−イソプロピル−6−(トリメチルシリル)−ベンゼンスルホン酸(化合物2e;1.10g,1.89mmol)とN,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.60mL,9.19mmol)の塩化メチレン溶液(10mL)に、(cod)PdMeCl(cod=1,5−シクロオクタジエン、0.47g,1.84mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。溶液を濃縮した後に、残渣を塩化メチレン(10mL)に溶解させ、この溶液を、炭酸カリウム(2.70g,19.5mmol)と2,6−ルチジン(2.3mL,19.7mmol)の塩化メチレン懸濁液(10mL)に加え、室温で1時間撹拌した。この反応液をセライト(乾燥珪藻土)及びフロリジル(ケイ酸マグネシウム)でろ過した後に、溶媒を濃縮し、減圧下乾燥を行った。ヘキサン(10mL)に溶解させ、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製することにより、金属錯体触媒2Aを得た。収量は、0.58g(収率39%)であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 7.63 (t, J = 8.2 Hz, 1 H), 7.53 (t, J = 7.7 Hz, 1 H), 7.29 (d, J = 8.2 Hz, 1 H), 7.10 (d, J = 7.8 Hz, 1 H), 7.04 (d, J = 7.3 Hz, 1 H), 3.88 (m, 2 H), 3.48 (m, 1 H), 3.24 (s, 3 H), 3.14 (s, 3 H), 2.6-1.4 (brm, 18 H), 1.38 (d, J = 6.6 Hz, 3 H), 1.04 (d, J = 6.7 Hz, 3 H), 0.96 (d, J = 6.3 Hz, 3 H), 0.94 (d, J = 6.2 Hz, 3 H), 0.84 (d, J = 6.7 Hz, 3 H), 0.74 (d, J = 6.6 Hz, 6 H), 0.46 (s, 9 H), 0.34 (d, J = 1.1 Hz, 3 H), 0.23 (d, J = 6.6 Hz, 3 H).
[金属錯体2Bの合成]
Figure 0006357074
アルゴン雰囲気下、2−(ジメンチルホスフィノ)−5−イソプロピル−6−(トリメチルシリル)−ベンゼンスルホン酸(化合物2e;290.0mg,0.5mmol)及び,炭酸銀(82.5mg,0.5mmol)、炭酸カリウム(684mg,0.5mmol)、ジ−μ−クロロビス(2−アセトアミノフェニル−C,O)二パラジウム(II)(138mg,0.5mmol)に塩化メチレン(6mL)を加え、室温で終夜撹拌した。この反応液をセライト(乾燥珪藻土)及びフロリジル(ケイ酸マグネシウム)でろ過した後に、溶媒を濃縮した。得られた残渣を少量の塩化メチレンに溶解させ、ジエチルエーテルを加えた。沈殿を回収し減圧乾燥することにより金属錯体触媒2Bを得た。収量は、180mg(収率44%)であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ9.50-9.25 (br s, 1H), 7.59 (t, J = 8.4 Hz, 1H), 7.42-7.40 (m, 1H), 7.30 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.93-6.91 (m, 1H), 6.84-6.82 (m, 2H), 3.51-3.47 (m, 2H), 3.39 (br s, 1H), 2.67 (t, J = 10.8 Hz, 1H), 2.30 (dd, J = 22.0, 10.6 Hz, 1H), 2.09 (dd, J = 17.5, 9.2 Hz, 1H), 1.93-1.90 (m, 1H), 1.70-1.60 (m, 4H), 1.48-1.28 (m, 8H), 1.21 (t, J = 7.0 Hz,2H), 1.11 (d, J = 6.2 Hz, 3H), 0.94 (d, J = 5.8 Hz, 3H), 0.81-0.71 (m, 6H), 0.63 (d, J = 6.2 Hz, 3H), 0.56-0.48 (m, 12H), 0.42-0.36 (m, 3H), 0.20 (d, J = 6.2 Hz, 3H).31P−NMR(162MHz,CDCl3):δ 30.2.
[比較金属錯体3Aの合成]
下記式
Figure 0006357074
で示される比較金属錯体3Aは、特許文献1;特開2011−68881号公報に従って合成した。
[比較金属錯体4Aの合成]
Figure 0006357074
アルゴン雰囲気下、2−(ジメンチルホスフィノ)ベンゼンスルホン酸(化合物1d;0.14g,0.30mmol)とN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.26mL,1.5mmol)の塩化メチレン溶液(10mL)に、(cod)PdMeClを加え、室温で1時間撹拌した。溶液を濃縮した後に、残渣を塩化メチレン(10mL)に溶解させ、この溶液を、炭酸カリウム(0.42g,3.0mmol)と2,6−ルチジン(0.35mL,3.0mmol)の塩化メチレン懸濁液(2mL)に加え、室温で1時間撹拌した。この反応液をセライト(乾燥珪藻土)及びフロリジル(ケイ酸マグネシウム)でろ過した後に、溶媒を濃縮し、減圧下乾燥を行い、金属錯体触媒1を得た。収量は、0.17g(収率80%)であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 8.26 (ddd, J = 7.8, 3.9, 1.4 Hz, 1H), 7.81 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 7.56 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.49 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.43 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.13 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.08 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 3.75 (s, 1H), 3.24 (s, 3H), 3.17 (s, 3H), 2.59 (s, 1H), 2.49-2.39 (m, 2H), 2.29-2.27 (m, 1H), 2.05-1.96 (m, 1H), 1.89-1.37 (m, 12H), 1.21-1.11 (m, 2H), 0.98 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 0.95 (d, J = 6.2 Hz, 3H), 0.84 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 0.78 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 0.58 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 0.41 (d, J = 2.3 Hz, 3H), 0.08 (d, J = 6.6 Hz, 3H). 31P−NMR(162MHz,CDCl3):δ 16.6.
[重合体の合成]
上記の方法で合成した金属錯体を使用して、オレフィンの(共)重合を行った。重合条件及び重合結果をそれぞれ表に示す。
なお、触媒濃度及び触媒活性は次の式により計算した。
Figure 0006357074
Figure 0006357074
実施例1〜3:プロピレンの単独重合
アルゴン雰囲気下、所定の金属錯体(0.02mmol)を含む50mLオートクレーブ中に、トルエン(10mL)を加えた。所定量のプロピレンを充填した後、オートクレーブを50℃で21時間撹拌した。室温に冷却後、オートクレーブ内の反応液を濃縮し,メタノールを加え、重合体を析出させた。生じた重合体をろ過によって回収し、メタノールで洗浄した後に減圧下乾燥して、重合体を得た。重合条件と結果をそれぞれ表1に示す。
比較例1〜2:プロピレンの単独重合
アルゴン雰囲気下、所定の金属錯体(0.02mmol)を含む50mLオートクレーブ中に、トルエン(10mL)を加えた。所定量のプロピレンを充填した後、オートクレーブを50℃で21時間撹拌した。室温に冷却後、オートクレーブ内の反応液を濃縮した後、減圧下乾燥して、重合体を得た。重合条件と結果をそれぞれ表1に示した。
Figure 0006357074
実施例4、5:プロピレンとアクリル酸メチル(MA)の共重合
アルゴン雰囲気下、所定の金属錯体(0.02mmol)を含む50mLオートクレーブ中に、アクリル酸メチル(0.5mL)を加えた。所定量のプロピレンを充填した後、オートクレーブを50℃で20時間撹拌した。室温に冷却後、オートクレーブ内の反応液を留去し,残留物を回収した。減圧下乾燥して、重合体を得た。重合条件と結果をそれぞれ表2に示した。
Figure 0006357074
実施例6,7:プロピレンと酢酸アリル(AAc)の共重合
アルゴン雰囲気下、所定の金属錯体(0.02mmol)を含む50mLオートクレーブ中に、酢酸アリル(0.5mL)を加えた。所定量のプロピレンを充填した後、オートクレーブを50℃で20時間撹拌した。室温に冷却後、オートクレーブ内の反応液を留去し,残留物を回収した。減圧下乾燥して、重合体を得た。重合条件と結果をそれぞれ表3に示した。
Figure 0006357074
表1に示すように、本発明の金属錯体を触媒として使用した実施例1〜3では、これまでの触媒を用いた比較例1、2よりも重量平均分子量Mwが高くなり、重量平均分子量Mwが三万以上の高分子量体を得ることが可能であった。これは生成物の性状に顕著に影響し、本実施例においてゴム状の固体として取扱が可能となった。
また、表2及び3に示すように、本発明の金属錯体を触媒として使用することにより、実施例4〜7においてアクリル酸メチルや酢酸アリルといった極性コポリマーとの共重合が可能であることが示された。これらの実施例により、本発明による金属錯体のオレフィン重合触媒としての合理性と有意性、及び従来技術に対する卓越性が明示されている。

Claims (2)

  1. 一般式(C3)
    Figure 0006357074
    (式中、MはPd原子を表し、Xはリン原子(P)を表し、 13 〜R15は水素原子を表し、5炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、R 6 及びR 7 はメンチル基を表し、R 16 はメチル基を表し、Lは2,6-ジメチルピリジンを表し、qは1である。)
    で示される金属錯体を重合触媒として使用することを特徴とする炭素原子数3以上のαオレフィンの重合体、または炭素原子数3以上のαオレフィンと極性基を有するオレフィンとの共重合体の製造方法。
  2. 前記極性基を有するオレフィンが、一般式(1)
    Figure 0006357074
    (式中、R1は、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリーロキシ基、炭素原子数2〜10のアシル基、炭素原子数2〜10のエステル基、炭素原子数2〜10のアシロキシ基、アミノ基、炭素原子数1〜12の置換アミノ基、炭素原子数2〜12の置換アミド基、炭素原子数5〜10の置換ピリジル基、炭素原子数4〜10の置換ピロリジル基、炭素原子数5〜10の置換ピペリジル基、炭素原子数4〜10の置換ハイドロフリル基、炭素原子数4〜10の置換イミダゾリル基、メルカプト基、炭素原子数1〜10のアルキルチオ基、炭素原子数6〜10のアリールチオ基、エポキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を示す。nは、0及び1〜6より選ばれる任意の整数である。)
    で示される請求項1に記載の共重合体の製造方法。
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