JP2012162607A - 潤滑油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】極圧性に優れた潤滑油組成物を提供する。
【解決手段】ポリ−α−オレフィンを必須とし、アルキルナフタレンを含んでもよい組成からなり、ポリ−α−オレフィン100質量部に対し、アルキルナフタレンを0〜150質量部含有する基油を20〜75質量%、過塩基性カルシウムスルホネートを20〜60質量%、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を5〜20質量%含有する潤滑油組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、極圧性及び耐摩耗性に優れた潤滑油組成物に関する。
従来より、自動車用潤滑油、二輪車用潤滑油、工業用潤滑油、ギヤ油、金属加工油等に含ませる極圧添加剤として、塩素化パラフィンが使用されている。
しかしながら、塩素化パラフィンは発がん性があり、安全性に問題があった。また、塩素化パラフィンを含んだ廃油を燃焼すると、ダイオキシン類が発生するので、地球環境への影響が懸念される。そこで、塩素化パラフィンを使用しない潤滑油組成物の開発が進められている。
特許文献1には、潤滑油基油と、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を該潤滑油組成物の全量に対する亜鉛量換算で0.07〜0.15質量と、過塩基性カルシウムスルホネート及び過塩基性カルシウムフェネートから選ばれる1種類以上の金属型清浄剤を該潤滑油組成物の全量に対するカルシウム量換算で0.1〜0.7質量%と、平均分子量800〜2600のポリアルケニル基を有するコハク酸イミド及びそのホウ素誘導体から選ばれる1種類以上を該潤滑油組成物の全量に対する窒素濃度換算で0.005〜0.06質量%とを含有する農業機械用潤滑油組成物が開示されている。
特開2009−144098号公報
しかしながら、過塩基性カルシウムスルホネートやジアルキルジチオリン酸亜鉛は、高度に精製して芳香族成分がゼロに近い潤滑油基油への溶解性が低く、過塩基性カルシウムスルホネートやジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量をたかめることはできなかった。このため、特許文献1に開示された潤滑油組成物であっても、苛酷な潤滑条件下における極圧性や耐摩耗性は十分満足できるものではなかった。
したがって、本発明の目的は、非常に苛酷な潤滑条件下においても極圧性及び耐摩耗性に優れた潤滑油組成物を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の潤滑油組成物は、ポリ−α−オレフィンを必須とし、アルキルナフタレンを含んでもよい組成からなり、ポリ−α−オレフィン100質量部に対し、アルキルナフタレンを0〜150質量部含有する基油を20〜75質量%、過塩基性カルシウムスルホネートを20〜60質量%、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を5〜20質量%含有することを特徴とする。
本発明の潤滑油組成物の前記基油は、ポリ−α−オレフィン100質量部に対し、アルキルナフタレンを5〜150質量部含有することが好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、前記過塩基性カルシウムスルホネート10質量部に対し、前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛を1〜5質量部含有することが好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、塩基価が150〜350mgKOH/gであることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、自動車用潤滑油、二輪車用潤滑油、工業用潤滑油、ギヤ油及び金属加工油から選ばれる一種以上として用いられることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、基油が、ポリ−α−オレフィンを必須とし、アルキルナフタレンを含んでもよい組成からなる。この基油は、酸化安定性が良く、流動点が低く、過塩基性カルシウムスルホネートやジアルキルジチオリン酸亜鉛との相溶性に優れるので、過塩基性カルシウムスルホネートやジアルキルジチオリン酸亜鉛を大量に含有させても、沈殿が生じ難い。なかでも、ポリ−α−オレフィン100質量部に対し、アルキルナフタレンを5〜150質量部含有してなる組成の基油は、過塩基性カルシウムスルホネートやジアルキルジチオリン酸亜鉛との相溶性がより良好である。そして、過塩基性カルシウムスルホネートを20〜60質量%、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を5〜20質量%含有するので、極圧性、耐摩耗性に優れた潤滑油組成物とすることができる。
本発明の潤滑油組成物は、基油を20〜75質量%含有する。基油の含有量は、30〜70質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましい。基油の含有量が20質量%未満であると、過塩基性カルシウムスルホネートやジアルキルジチオリン酸亜鉛が完全に溶解せず、沈殿物が生じる。75質量%を超えると、過塩基性カルシウムスルホネートやジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量が低下するので、極圧性及び耐摩耗性に優れた潤滑油組成物が得られない。
本発明の潤滑油組成物で用いる基油は、ポリ−α−オレフィンを必須とし、アルキルナフタレンを含んでもよい組成からなる。基油は、ポリ−α−オレフィン100質量部に対し、アルキルナフタレンを0〜150質量部含有し、好ましくは5〜150質量部含有し、より好ましくは5〜50質量部含有する。すなわち、基油は、ポリ−α−オレフィン単独又は、ポリ−α−オレフィンとアルキルナフタレンとの2成分系からなる。ポリ−α−オレフィンは、流動点が−40℃以下であり、酸化安定性が良く、流動点が低く、過塩基性カルシウムスルホネートやジアルキルジチオリン酸亜鉛との相溶性に優れる。なかでも、ポリ−α−オレフィンと、アルキルナフタレンとを併用することで、過塩基性カルシウムスルホネートやジアルキルジチオリン酸亜鉛との相溶性をより向上できる。
ポリ−α−オレフィンの数平均分子量は、230〜500が好ましく、300〜400がより好ましい。数平均分子量が230未満であると、粘度が低く、潤滑油としての所望の特性が得られにくい。数平均分子量が500を超えると粘度が高くなりすぎて、潤滑性が劣る。
アルキルナフタレンの数平均分子量は、460〜560が好ましく、460〜500がより好ましい。数平均分子量が460未満であると、粘度が低く、潤滑油としての所望の特性が得られにくい。数平均分子量が560を超えると粘度が高くなりすぎて、潤滑性が劣る。
なお、基油として、アルキルナフタレンを単独で使用した場合は、過塩基性カルシウムスルホネートやジアルキルジチオリン酸亜鉛との相溶性が不十分であり、保存中に過塩基性カルシウムスルホネートやジアルキルジチオリン酸亜鉛が析出して沈殿物となり易い。
また、基油として、ポリオールエステル、ポリグリコールエステル、二塩基酸エステルなどのエステル系油を併用すると、極圧性に優れた潤滑油組成物が得られ難い。この理由としては、おそらく、エステル系油は、金属等の基材に対する吸着力が、過塩基性カルシウムスルホネートやジアルキルジチオリン酸亜鉛よりも強いため、基材表面がエステル系油で優先的に被覆され易くなるためであると考えられる。また、基油として、溶剤精製油や水素化精製油等の鉱物油を併用すると、流動点が高くなり、粘度指数が限定されてくる。
本発明の潤滑油組成物は、過塩基性カルシウムスルホネートを20〜60質量%含有する。過塩基性カルシウムスルホネートは、過塩基性カルシウムスルホネート中の硫黄成分が、鉄基材と反応して強靭な硫化鉄(FeS)が形成されるので、鉄基材の表面をより強靭なものにできる。そして、過塩基性カルシウムスルホネートに含まれる微細な炭酸カルシウム(CaCO)が、固体潤滑剤として作用するため、優れた極圧性や耐摩耗性をもたらすことができる。過塩基性カルシウムスルホネートの含有量は、30〜50質量%が好ましく、35〜45質量%がより好ましい。過塩基性カルシウムスルホネートの含有量が20質量%未満であると、充分な極圧性を発揮できない。60質量%を超えても、極圧性はほぼ高い値で一定となるので経済的に無駄である。
本発明の潤滑油組成物で用いる過塩基性カルシウムスルホネートは、塩基価が400〜500mgKOH/gであるものが好ましい。なお、本発明において、塩基価は、JIS K2501の過塩素酸法によって測定される塩基価の値のことである。
過塩基性カルシウムスルホネートの具体例としては、例えば、下記式(1)で表わされるもの等が挙げられる。
式(1)において、R、Rは、水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基であり、nは1〜30の整数である。
本発明の潤滑油組成物は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を5〜20質量%含有する。ジアルキルジチオリン酸亜鉛は、過塩基性カルシウムスルホネート中の硫黄成分と、鉄基材と反応して形成される硫化鉄層の表層に、硫化亜鉛やリン化亜鉛等の被膜を形成して、耐摩耗性が高められる。更には、酸化防止機能、さび止め機能等を付与することもできる。ジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量は、7〜15質量%が好ましく、8〜12質量%がより好ましい。ジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量が5質量%未満であると、極圧性や耐摩耗性が不十分であり、20質量%を超えても、極圧性や耐摩耗性は変化しないので、経済的ではない。
また、潤滑油組成物中における過塩基性カルシウムスルホネートとジアルキルジチオリン酸亜鉛との割合は、過塩基性カルシウムスルホネート10質量部に対し、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を好ましくは1〜5質量部、より好ましくは1〜3質量部とする。
本発明の潤滑油組成物で用いるジアルキルジチオリン酸亜鉛は、下記式(2)で表わされる化合物が好ましく用いられる。
式(2)において、R〜Rは、炭素数8〜24の1級アルキル基である。
本発明の潤滑油組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、摩擦調整剤、錆止め剤、消泡剤等の各種添加剤を含有させてもよい。酸化防止剤としては、2,6−ジターシャリ−ブチル−4−メチルフェノール等のフェノール系酸化防止剤、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン等のアミン系酸化防止剤が挙げられる。摩擦調整剤としては、トリクレジルフォスフェート、モリブデンジチオカーバメイト等が挙げられる。これらの各種添加剤の含有量は、合計で2質量%以下が好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、塩基価が150〜350mgKOH/gであることが好ましく、200〜300mgKOH/gであることがより好ましい。塩基価が150mgKOH/g未満であると極圧性や耐摩耗性が低下する傾向にあり、350mgKOH/gを超えても、極圧性や耐摩耗性は殆ど変化しないのでこれ以上は経済的に無駄である。
本発明の潤滑油組成物は、そのまま使用してもよく、現在使用中の各潤滑油に対し、5〜10質量%の割合で添加して使用してもよい。高荷重の厳しい極圧条件下などの特に条件の厳しい潤滑箇所での使用においては、本発明の潤滑油組成物は、そのまま使用することが好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、極圧性、耐摩耗性に優れ、曽田式四球試験機を用い、JIS K 2519に準拠して測定した耐荷重性試験結果が15kg/cm以上(好ましくは15〜20kg/cm)であり、チムケン試験機を用い、JIS K2519に準拠して測定した耐荷重性試験結果が500kg/cm以上(好ましくは500〜800kg/cm、より好ましくは700〜800kg/cm)であり、ファレックス試験機を用い、ASTM D 3233に準拠して測定した耐荷重性試験結果が2000〜3500lbs(好ましくは2500lbs以上)である。
本発明の潤滑油組成物は、自動車用潤滑油、二輪車用潤滑油、工業用潤滑油、ギヤ油、金属加工油等の用途に好ましく用いることができる。工業用潤滑油としては、軸受油、歯車油、圧延油、線伸油等が挙げられる。金属加工油としては、切削油、プレス油、圧延油等が挙げられる。
本発明の潤滑油組成物は、特に、歯車油、軸受油、圧延油、切削油、工業用潤滑油、内燃機関用潤滑油などの特に条件の厳しい潤滑箇所での用途において特に好ましく用いることができる。
以下、本発明の効果について、実施例を用いて説明する。
ポリ−α−オレフィンと、アルキルナフタレンと、過塩基性カルシウムスルホネートと、ジアルキルジチオリン酸亜鉛とを、それぞれ表1に示す割合で混合し、例1〜5の潤滑油組成物を製造した。得られた各潤滑油組成物について、曽田式四球試験機、チムケン試験機及びファレックス試験機を用い、耐荷重性試験を行った。なお、曽田式四球試験機及びチムケン試験機では、JIS K 2519に準拠して耐荷重性試験を行った。また、ファレックス試験機では、ASTM D 3233に準拠して耐荷重性試験を行った。結果を表1にまとめて記す。
表1に示すように、アルキルナフタレンのみを基油として用いた例5の潤滑油組成物は、極圧性が著しく劣るものであった。
これに対し、例1〜4の潤滑油組成物は、極圧性に優れていた。なかでも、ポリ−α−オレフィンとアルキルナフタレンとを併用した例2〜4の潤滑油組成物は、透明な性状で、過塩基性カルシウムスルホネートやジアルキルジチオリン酸亜鉛が良好に溶解しており、優れた極圧性を示した。

Claims (5)

  1. ポリ−α−オレフィンを必須とし、アルキルナフタレンを含んでもよい組成からなり、ポリ−α−オレフィン100質量部に対し、アルキルナフタレンを0〜150質量部含有する基油を20〜75質量%、過塩基性カルシウムスルホネートを20〜60質量%、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を5〜20質量%含有することを特徴とする潤滑油組成物。
  2. 前記基油は、ポリ−α−オレフィン100質量部に対し、アルキルナフタレンを5〜150質量部含有する、請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. 前記過塩基性カルシウムスルホネート10質量部に対し、前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛を1〜5質量部含有する、請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
  4. 塩基価が150〜350mgKOH/gである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  5. 自動車用潤滑油、二輪車用潤滑油、工業用潤滑油、ギヤ油及び金属加工油から選ばれる一種以上として用いられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
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