JP2012161293A - 酸化誘導性が向上した緑茶抽出液及びこれを含有してなる食品、飲料、洗浄剤及び抗菌剤 - Google Patents

酸化誘導性が向上した緑茶抽出液及びこれを含有してなる食品、飲料、洗浄剤及び抗菌剤 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化誘導性が向上した緑茶抽出液及び該抽出液又はその濃縮物を含有する物品を提供する。
【解決手段】緑茶抽出液をタンナーゼ酵素及び補酵素で処理することにより製造される、酸化誘導性が向上した緑茶抽出液及び該抽出液又はその濃縮物を含有する食品、飲料、洗浄剤及び抗菌剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸化誘導性が向上した緑茶抽出液及びこれを含有してなる食品、飲料、洗浄剤及び抗菌剤に関するものであり、詳細には、緑茶抽出液をタンナーゼ酵素及び補酵素で処理することにより製造される、酸化誘導性が向上した緑茶抽出液及び該抽出液又はその濃縮物を含有する食品、飲料、洗浄剤、抗菌剤等の物品に関する。
緑茶は、酸化促進と酸化防止という相反する性質を有することが知られている。
そのため、緑茶抽出液は、酸化促進に基づく殺菌効果を期待して、抗菌グッズ等に関する研究開発が盛んに行われる一方、酸化防止に基づく生体酸化予防(抗加齢)効果を期待して、健康食品や医薬品に関する研究開発も盛んに行われている。
しかし、緑茶における上記酸化促進と酸化防止という相反する性質が何に起因し、またどのようにすれば、この相反する性質のバランスを変化させ得るかに付いては、必ずしも十分な検討がなされていない。
本発明は、酸化誘導性が向上した緑茶抽出液及びこれを含有してなる食品、飲料、洗浄剤及び抗菌剤の提供を課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、緑茶抽出液をタンナーゼ酵素及び補酵素で処理すると、該緑茶抽出液の酸化誘導性が向上すると伴に、抗酸化能が抑制されて、酸化促進に特化されることを見出し、これにより、該緑茶抽出液又はこの濃縮物を含有する物品は、抗菌活性に優れる食品、飲料、洗浄剤、抗菌剤等の物品となり得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
(1)緑茶抽出液をタンナーゼ酵素及び補酵素で処理することにより製造される、酸化誘導性が向上した緑茶抽出液、
(2)前記(1)に記載の緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物を含有してなる食品、
(3)前記(1)に記載の緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物を含有してなる飲料、
(4)前記(1)に記載の緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物を含有してなる、固体、液体又は泡状の洗浄剤、
(5)前記(1)に記載の緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物を含有してなる抗菌剤、
に関する。
本発明により、酸化誘導性が向上した緑茶抽出液を容易に得ることが出来、これにより、抗菌効果に優れる食品、飲料、洗浄剤、抗菌剤等の物品を提供することができる。
超純水(PW(●))、緑茶抽出液(未処理)(緑茶(○))、緑茶抽出液(タンナーゼ酵素処理)(緑茶(Tase1)(△))及び緑茶抽出液(タンナーゼ酵素+補酵素処理)(緑茶(Tase2)(□))の、紫外線照射条件下での、dGから誘導された8OHdGの量(酸化誘導性の指標)を示すグラフである。 超純水(PW(●))、緑茶抽出液(未処理)(緑茶(○))、緑茶抽出液(タンナーゼ酵素処理)(緑茶(Tase1)(△))及び緑茶抽出液(タンナーゼ酵素+補酵素処理)(緑茶(Tase2)(□))の、紫外線照射条件下での、酸化剤(KBrO3)存在下におけるdGから誘導された8OHdGの量(抗酸化能:酸化剤によるdG酸化の抑制)を示すグラフである。
更に詳細に本発明を説明する。
本発明の酸化誘導性が向上した緑茶抽出液は、緑茶抽出液をタンナーゼ酵素及び補酵素で処理することにより製造される。
本発明に使用し得る緑茶抽出液としては、植物の抽出の際に一般的に用いられる方法によって容易に調製することができ、例えば、抽出原料である緑茶をそのまま、又は粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することによって調製され得る。
抽出原料である緑茶としては、特に制限されるものではなく、煎茶、玉露、かぶせ茶、てん茶、番茶、焙じ茶等の蒸し製茶、嬉野茶、青柳茶、各種中国茶等の釜炒り茶等を例示することができる。また、抽出に用いる緑茶の部位は、茶葉の他、茎、芽等を含み得る。
緑茶抽出に用いる抽出溶媒としては、水(熱水を含む)又はメタノール、エタノール、プロパノール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール等の低級脂肪族アルコール或いはこれらの混合物を用いることができる。抽出溶媒は、室温又は該抽出溶媒の沸点以下で用いることが好ましい。
上記抽出溶媒として使用し得る水としては、超純水、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等のほか、これらの水に各種処理を施したものを挙げることができる。該処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、滅菌、濾過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
緑茶の抽出処理は、特に限定されず、常法に従って行うことができ、室温ないし還流加熱下において任意の装置を使用することができる。
例えば、上記抽出溶媒を満たした容器に、抽出原料である緑茶を投入し、ときどき撹拌しながら可溶性成分を溶出させる。この際、抽出条件は、抽出原料である緑茶の種類や部位等に応じて適宜調整し得るが、抽出溶媒量は、通常、抽出原料の50〜200倍量、好ましくは、80〜120倍量(質量比)であり、抽出時間は、通常、沸騰水(100℃)の場合は、3分〜10分、好ましくは、4分〜8分程度、熱水の場合は70〜100℃で3分〜1時間程度、室温水の場合は1〜24時間程度、低級脂肪族アルコール、水と低級脂肪族アルコールとの混合物の場合は室温で10分〜2時間程度である。
抽出処理により緑茶可溶性成分を溶出させた後、必要に応じて、該抽出処理で得られた緑茶液を濾過あるいは遠心分離して抽出残渣を除去することによって、緑茶抽出液を調製することができるが、単に沈殿物のない上澄みをデカンテーション等の処理により得ることによっても調製することができる。
本発明に使用し得るタンナーゼ酵素としては、例えば、アスペルギルス属、ペニシリウム属、リゾプス属、ムコール属等に属するタンナーゼ生産菌を、これら糸状菌の培養に用いられる培地で、常法に従って固体培養又は液体培養し、得られる培養物又はその処理物を常法により精製処理したものを挙げることができる。
なお、市販されているタンナーゼ、例えば、タンナーゼキッコーマン(500U/g)、
タンナーゼキッコーマン(5000U/g)(以上、キッコーマン社製、商品名)、タンナーゼ三共(500U/g)(三共社製、商品名)等を用いることもできる。
タンナーゼの使用量は、各酵素の力価等により異なるため、一概には決定できないが、通常、本発明に使用する緑茶抽出液1mL当たり、0.05〜0.2mg、好ましくは、0.08〜0.12mgの使用量を例示することができる。
本発明に使用し得る補酵素としては、塩化マグネシウム、塩化カリウム、グルコース−6−リン酸、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)、リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4:Na2HPO4+NaH2PO4・2H2O)等の混合物が挙げられる。
上記補酵素としては、上記の試薬を混合して調製して使用することもできるが、市販のものを使用することもできる。
補酵素の具体例としては、例えば、下記成分を精製水10mLに溶解した溶液が挙げられる。
成分 質量 混合溶液中の濃度
塩化マグネシウム 16.3mg 8mmol/L
塩化カリウム 24.6mg 33mmol/L
グルコース−6−リン酸 17.0mg 5mmol/L
NADPH 36.2mg 4mmol/L
NADH 30.5mg 4mmol/L
リン酸ナトリウム緩衝液
(pH7.4) − 100mmol/L
Na2HPO4 119.6mg −
NaH2PO4・2H2O 24.7mg −
補酵素の使用量は特に制限されるものではないが、例えば、上記混合溶液を使用する場合、本発明に使用する緑茶抽出液1mL当たり、約100〜3000μL、より好ましくは約500〜2000μLの量で使用するのがよい。
緑茶抽出液のタンナーゼ酵素及び補酵素による処理は、本発明に使用する緑茶抽出液に、上記のタンナーゼ酵素及び補酵素を添加した後、25〜40℃、好ましくは35〜39℃で、30分〜2時間、好ましくは、45分〜1時間半反応させることにより達成される。
その後、45℃〜95℃、好ましくは75℃〜95℃まで昇温して、タンナーゼ酵素及び補酵素を失活させるのがよい。
また、酵素を失活させた後に、冷却、遠心分離、濾紙濾過等の適宜な分離手段によって緑茶抽出液中の不溶物を除去することもできる。
上記の処理方法により、本発明の酸化誘導性が向上した緑茶抽出液が製造される。
本発明の緑茶抽出液において、酸化誘導性が向上していることは、例えば、特開2001−272388号公報に記載の評価法により確認することができる。
特開2001−272388号公報に記載の評価法は、被験素材の溶液中に添加した2´−デオキシグアノシン(dG)が、8−ヒドロキシ−2´−デオキシグアノシン(8OHdG)にどれだけ変化したかを測定することで、酸化誘導率もしくは抗酸化能を評価する試験であるが、該評価法を利用するGO試験は、変異原性試験(Ames試験)との一致率が90.0%(P<0.01)、発がん性試験との一致率が72.0%(P<0.01)と、両試験において高い一致率を示す(例えば、食品と開発 VOL.45 NO.3 13−15頁 2010年参照。)。
従って、特開2001−272388号公報に記載の評価法は、信頼性の高い評価法と
考えられるものである。
本発明の酸化誘導性が向上した緑茶抽出液における酸化力は、特開2001−272388号公報に記載の実施例1の方法に準じ、本発明の緑茶抽出液を被験素材として、2´−デオキシグアノシン(dG)を添加し、また同時にdGの感受性を向上させるための紫外線照射(例えば、254nm、600〜900μW/cm2、好ましくは、600〜700μW/cm2)による光励起を併用して、8OHdGの生成量をHPLCを用いて定量し、同様にして測定された酵素処理されていない緑茶抽出液における8OHdGの生成量との比較により確認できる。
図1に示すグラフには、上記の方法により測定された、超純水(PW(●))、緑茶抽出液(未処理)(緑茶(○))、緑茶抽出液(タンナーゼ酵素処理)(緑茶(Tase1)(△))及び緑茶抽出液(タンナーゼ酵素+補酵素処理)(緑茶(Tase2)(□))の各被験素材における8OHdGの生成量が比較されているが、緑茶抽出液(タンナーゼ酵素+補酵素処理)(緑茶(Tase2)(□))が、緑茶抽出液(未処理)(緑茶(○))及び緑茶抽出液(タンナーゼ酵素処理)(緑茶(Tase1)(△))に比して高い酸化誘導性を維持しているのが判る。
また、本発明の酸化誘導性が向上した緑茶抽出液における抗酸化能は、特開2001−272388号公報に記載の実施例7の方法に準じて評価することができる。
即ち、dGを8OHdGに酸化することができる酸化剤(例えば、KBrO3)の存在下で、本発明の緑茶抽出液を被験素材として、dGを添加し、また同時にdGの感受性を向上させるための紫外線照射(例えば、254nm、600〜900μW/cm2、好ましくは、600〜700μW/cm2)による光励起を併用して、8OHdGの生成量をHPLCを用いて定量し、同様にして測定された酵素処理されていない緑茶抽出液における8OHdGの生成量との比較により確認できる。
図2に示すグラフには、上記の方法により測定された、超純水(PW(●))、緑茶抽出液(未処理)(緑茶(○))、緑茶抽出液(タンナーゼ酵素処理)(緑茶(Tase1)(△))及び緑茶抽出液(タンナーゼ酵素+補酵素処理)(緑茶(Tase2)(□))の各被験素材における8OHdGの生成量が比較されているが、緑茶抽出液(未処理)(緑茶(○))及び緑茶抽出液(タンナーゼ酵素処理)(緑茶(Tase1)(△))で示されている抗酸化能(酸化剤(KBrO3)による8OHdGの生成を抑制する能力)が、緑茶抽出液(タンナーゼ酵素+補酵素処理)(緑茶(Tase2)(□))において減弱しているのが判る。
上述のように、緑茶抽出液をタンナーゼ酵素及び補酵素で処理することにより製造される本発明の該緑茶抽出液は、酸化誘導性が向上すると伴に、抗酸化能が抑制されて、酸化促進に特化されるものであり、そのため、本発明の酸化誘導性が向上した緑茶抽出液は、抗菌効果に優れる食品、飲料、洗浄剤、抗菌剤等の物品において有利に使用することができる。
本発明はまた、前記酸化誘導性が向上した緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物を含有してなる食品にも関する。
前記抽出液の濃縮物を得るための濃縮方法としては、加熱により水を蒸発分離する方式が一般的である。
この場合、大気圧で蒸発させるには抽出液の沸点(100℃近傍)まで、加熱する必要があり製品の風味に悪影響が出る恐れがある。そこで、抽出液が入った容器を減圧することにより低温で沸騰する環境をつくるのが好ましい。また、必要とする成分が濾過されずに残留する口径を持つ膜を流通させることにより、濃縮する方法も用いることができる。
濃縮物としては、例えば、濃縮物中の水分を0〜10質量%、好ましくは2〜5質量%まで減少させ、必要に応じて、粉末状とするための乾燥を実施する場合も含む。該乾燥法として、凍結乾燥、噴霧乾燥等を選択することができる。噴霧乾燥は、大量の濃縮液を短時間で処理し、製品単位重量あたりに使用するエネルギーも他の方法に比べて少ないため好ましい。
本発明の緑茶抽出液及びその濃縮物の場合も含めて、その水分量が2〜96質量%、さらに2〜94質量%、特に2〜93質量%であることが好ましい。
前記緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物を含有してなる食品としては、例えば、菓子類(例えば、パン、ケーキ、クッキー、ビスケット等の焼菓子、チューインガム、チョコレート、キャンディー)、デザート類(例えば、ゼリー、ヨーグルト、アイスクリーム)、レトルト食品、調味料(例えば、ソース、スープ、ドレッシング、マヨネーズ、クリーム)が挙げられる。なお、飲食品の形態は特に限定されず、摂取しやすい形態であれば、固形、粉末、液体、ゲル状、スラリー状等のいずれであってもよい。
また、本発明の食品は、酸化誘導性が向上した緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物を含有するものであるため、優れた抗菌活性が期待でき、そのため、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品等に好適である。
上記食品(特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品)としては、例えば、錠剤、顆粒、トローチ、キャンディー(のど飴)等の形態が挙げられる。
本発明はまた、前記酸化誘導性が向上した緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物を含有してなる飲料にも関する。
前記抽出液の濃縮物としては、上記したものと同様の濃縮物を使用することができる。
前記緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物を含有してなる食飲料としては、例えば、茶飲料、非茶系飲料が挙げられる。茶飲料としては、例えば、緑茶飲料、野草類ブレンド茶飲料、烏龍茶飲料、紅茶飲料が挙げられる。また、非茶系飲料としては、清涼飲料(例えば、果汁ジュース、野菜ジュース、スポーツ飲料、アイソトニック飲料)、コーヒー飲料、栄養ドリンク剤、美容ドリンク剤等の非アルコール飲料、ビール、ワイン、清酒、梅酒、発泡酒、ウィスキー、ブランデー、焼酎、ラム、ジン、リキュール類等のアルコール飲料が挙げられる。
また、本発明の飲料は、酸化誘導性が向上した緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物を含有するものであるため、優れた抗菌活性が期待でき、そのため、健康飲料等に好適である。
上記健康飲料としては、例えば、健康茶等が挙げられる。
本発明はまた、前記酸化誘導性が向上した緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物を含有してなる、固体、液体又は泡状の洗浄剤にも関する。
固体の洗浄剤としては、所謂、石鹸が挙げられる。
該石鹸は、通常、前記酸化誘導性が向上した緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物を含む溶液と粉末の石鹸基材とを均一に混合し、該混合溶液に含まれる水や他の溶剤を除去した後、冷却固化することにより製造することができる。
石鹸に用いる石鹸基材は通常粉末状で使用され、具体的な石鹸基材としては、高級脂肪酸、樹脂酸、ナフテン酸等のナトリウムやカリウム等の金属塩等が挙げられる。
前記石鹸基材の使用量は、石鹸の質量に基づき60〜99.9質量%の範囲である。
前記酸化誘導性が向上した緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物と粉末の石鹸基材との混合比は、最終的に得られる石鹸中に含まれる前記酸化誘導性が向上した緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物の乾燥質量が、得られた石鹸の質量に基づき0.001〜10質量%の範囲となるような比率となる。
前記酸化誘導性が向上した緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物と粉末の石鹸基材との具体的な混合比は、例えば、質量に基づき、30:70〜70:30の範囲である。
前記酸化誘導性が向上した緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物と粉末の石鹸基材との混合は、室温ないし加熱条件下で数時間行うことにより達成できるが、好ましくは、30〜60℃で、1〜3時間攪拌することにより達成される。
水や他の溶剤の除去は、室温ないし加熱条件下で数時間ないし数日放置することにより達成できるが、好ましくは、30〜60℃で、1時間〜3日間放置することにより達成される。
また、最終的に得られる石鹸の含水率は、5〜20%程度とし、10〜18%程度とするのが好ましい。
尚、最終的に得られた前記酸化誘導性が向上した緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物の乾燥質量の含有量は、得られた石鹸の質量に基づき、0.001〜10質量%、好ましくは、0.01〜1質量%、また、0.15〜1質量%の範囲である。
液体の洗浄剤としては、所謂、液体石鹸が挙げられる。
該液体石鹸の成分としては、前記酸化誘導性が向上した緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物に加えて、例えば、ヤシ脂肪酸、パーム核脂肪酸、パーム脂肪酸、牛脂脂肪酸、及びラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の単蒸留した脂肪酸、オレイン酸、リノール酸等の飽和あるいは不飽和脂肪酸を単独または混合した脂肪酸と水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属、またはトリエタノールアミン、アミノメチルフェノール等のアルカノールアミンで適量中和したものが挙げられるが、これらのアルカリ金属塩およびアルカノールアミン塩は夫々単独あるいは併用してもよい。
前記成分を含む液体石鹸組成物中の石鹸の含有量は5〜30質量%が好ましく、含有量が5質量%に満たないと洗浄剤としての機能を果たさず、30質量%を上回ると粘度が高くなりすぎてゲル化し、液状を維持できなくなる。
上記液体石鹸組成物の粘度は25℃において500〜8000cpsであり、好ましくは、500〜3000cps、更に好ましくは600から1500cpsである。粘度が500cpsに満たないと、使用時に指の間からこぼれやすく使用に適さない。また、8000cpsを越えると使用時に水への分散性が劣り、起泡性が損なわれ不都合である。また液体石鹸組成物のpHは8.4〜10.0が好適である。また、この液体石鹸組成物はボディシャンプー、ハンドソープなどの身体用洗浄剤にも利用することができる。
最終的に得られた液体石鹸組成物における、前記酸化誘導性が向上した緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物の乾燥質量の含有量は、組成物の質量に基づき、0.001〜10質量%、好ましくは、0.01〜1質量%、また、0.15〜1質量%の範囲である。
尚、前記液体石鹸組成物は、上記成分に加え、公知のアニオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、湿潤剤、防腐剤、色素、保湿剤、キレート剤、紫外線吸収剤、薬効剤、着香剤等を適宜配合することができる。
泡状の洗浄剤は、通常、前記酸化誘導性が向上した緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物に加え、界面活性剤、アルコール、噴射剤、水等を含む。
前記酸化誘導性が向上した緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物の乾燥質量の含有量は、泡状の洗浄剤の質量に基づき、0.001〜10質量%、好ましくは、0.01〜1質量%、また、0.15〜1質量%の範囲である。
上記界面活性剤としては、特に限定されず、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤または非イオン界面活性剤の各種界面活性剤を使用することができる。
陰イオン界面活性剤としては、例えばカルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩、ホスホン酸塩等を用いることができ、具体的には、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられ、陽イオン界面活性剤としては、例えば4級アンモニウム塩等を用いることができ、具体的にはアルキルトリメチルアンモニウムハライド等が挙げられ、両性界面活性剤としては、例えば長鎖
アルキルアミノ酸等を用いることができ、具体的には、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルジエチレントリアミノ酢酸等が挙げられ、非イオン界面活性剤としては、例えば非イオン性の極性基を持つものを用いることができ、具体的には脂肪酸モノグリセリンエステル、脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸ポリグリセリンエステル、脂肪酸アルカノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシラノリンエーテル、ポリオキシエチレンコレステロール等が挙げられる。
以上のような界面活性剤は1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記界面活性剤の含有量は、泡状の洗浄剤の質量に基づき、0.3〜20質量%の範囲、好ましくは、0.4〜15質量%の範囲である。
上記アルコールとしては、特に限定されないが、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等、水と任意の割合で混合可能なものが好ましく、これらを1種または2種以上混合して用いてもよい。
上記アルコールの含有量は、泡状の洗浄剤の質量に基づき、0.1〜10質量%の範囲、好ましくは、0.5〜5質量%の範囲である。
上記噴射剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペタン、またはこれらを主成分とする石油液化ガス(LPG)、ジメチルエーテル、窒素ガス等を使用することができる。
上記噴射剤の含有量は、泡状の洗浄剤の質量に基づき、2〜70質量%の範囲、好ましくは、5〜70質量%の範囲である。
上記水は、泡状の洗浄剤の品質維持、成分安定性等を担保するべく、通常、蒸留水(精製水)が使用される。
上記水の含有量は、泡状の洗浄剤の質量に基づき、15〜50質量%の範囲、好ましくは、20〜40質量%の範囲である。
尚、前記液体石鹸組成物は、上記成分に加え、例えば、保湿剤、増泡剤、防腐剤、乳濁剤、殺菌剤、香料、着色料、パール剤、コンディショニング剤、増粘剤、pH調整剤等を適宜配合することができる。
本発明の固体、液体又は泡状の洗浄剤は、酸化誘導性が向上した緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物を含有するものであるため、優れた抗菌活性が期待でき、そのため、殺菌用洗浄剤等に好適である。
本発明はまた、前記酸化誘導性が向上した緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物を含有してなる抗菌剤にも関する。
本発明の抗菌剤は、大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)等に対する優れた抗菌活性が期待できる。
そのため、文房具等の日用雑貨、化粧品、トイレタリー用品、洗剤等のパーソナルケア製品、口腔ケア剤、皮膚ケア剤、うがい薬等のヘルスケア製品などに用いる抗菌剤として有利に使用し得る。
製造例1:緑茶抽出液の調製
緑茶(やぶきた F−0630)の乾燥茶葉1gを100mLの超純水に浸し、ガスバーナーで加温し、5分間煮沸した。
煮沸後速やかに常温まで冷やすことにより、緑茶抽出液を調製した。
尚、以降の試験では、上記緑茶抽出液の上澄み(沈殿物のない)を使用した。
製造例2:補酵素溶液の調製
以下の成分を10mLの精製水に溶解して0.45μmのフィルターでろ過して補酵素溶液を調製した。
成分 質量
塩化マグネシウム 16.3mg
塩化カリウム 24.6mg
グルコース−6−リン酸 17.0mg
NADPH 36.2mg
NADH 30.5mg
リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)
Na2HPO4 119.6mg
NaH2PO4・2H2O 24.7mg
実施例1:緑茶抽出液(タンナーゼ酵素+補酵素処理)の調製
製造例1で調製した緑茶1mLに、0.4%タンナーゼ水溶液25μL及び製造例2で調製した補酵素溶液965μLを添加し、37℃で1時間インキュベートすることにより、緑茶抽出液(タンナーゼ酵素+補酵素処理)を調製した。
また、比較のため、製造例1で調製した緑茶1mLに、0.4%タンナーゼ水溶液25μL及び超純水965μLを添加し、37℃で1時間インキュベートすることにより、緑茶抽出液(タンナーゼ酵素処理)を調製した。
試験例1:酸化誘導性評価
実施例1で調製した緑茶抽出液(タンナーゼ酵素+補酵素処理)、緑茶抽出液(タンナーゼ酵素処理)、緑茶抽出液(未処理)及び超純水の各々に、23mg/mLのdG(超純水に溶解)450μLを加え、紫外線照射箱中で紫外線(254nm、600−700μW/cm2)を照射し、照射開始時(0hr)、1時間後(1hr)及び2時間後(2hr)にサンプリングを行い、等量の20%グリセロール溶液と混和し、HPLC(使用カラム:CA−50DS(エイコム社製)、移動相溶液:0.1Mリン酸緩衝液、3〜10%メタノール、SOS90〜100mg)により、dGと8OHdGとを分離し、該HPLCに連結したUV検出器と電気化学的検出器により8OHdGを定量し、結果を図1に示した。尚、表中、PW(●)は、超純水を示し、緑茶(○)は、緑茶抽出液(未処理)を示し、緑茶(Tase1)(△)は、緑茶抽出液(タンナーゼ酵素処理)を示し、緑茶(Tase2)(□)は、緑茶抽出液(タンナーゼ酵素+補酵素処理)を示す。
図1より、緑茶抽出液+(タンナーゼ酵素+補酵素)処理の溶液(□:緑茶(Tase2))が、緑茶抽出液(○:緑茶)及び緑茶抽出液+タンナーゼ酵素処理の溶液(△:緑茶(Tase1))に比して高い酸化誘導性を維持しているのが判る。
試験例2:抗酸化能の評価
実施例1で調製した緑茶抽出液(タンナーゼ酵素+補酵素処理)、緑茶抽出液(タンナーゼ酵素処理)、緑茶抽出液(未処理)及び超純水の各々に、20mg/mLの臭素酸カリウム(KBrO3)溶液50μL及び23mg/mLのdG(超純水に溶解)400μLを加え、紫外線照射箱中で紫外線(254nm、600−700μW/cm2)を照射し、照射開始時(0hr)、1時間後(1hr)及び2時間後(2hr)にサンプリングを行い、等量の20%グリセロール溶液と混和し、HPLC(使用カラム:CA−50DS(エイコム社製)、移動相溶液:0.1Mリン酸緩衝液、3〜10%メタノール、SOS90〜100mg)により、dGと8OHdGとを分離し、該HPLCに連結したUV検出器と電気化学的検出器により8OHdGを定量し、結果を図2に示した。尚、表中、PW(●)は、超純水を示し、緑茶(○)は、緑茶抽出液(未処理)を示し、緑茶(Tase1)(△)は、緑茶抽出液(タンナーゼ酵素処理)を示し、緑茶(Tase2)(□)は、緑茶抽出液(タンナーゼ酵素+補酵素処理)を示す。
図2より、緑茶抽出液(未処理)(緑茶(○))及び緑茶抽出液(タンナーゼ酵素処理)(緑茶(Tase1)(△))で示されている抗酸化能(酸化剤(KBrO3)による8OHdGの生成を抑制する能力)が、緑茶抽出液(タンナーゼ酵素+補酵素処理)(緑
茶(Tase2)(□))において減弱しているのが判る。
実施例2:緑茶飲料の調製
実施例1と同様の操作で緑茶抽出液(タンナーゼ酵素+補酵素処理)を100mL調製し、80℃で10分間処理することにより、タンナーゼ酵素及び補酵素を失活させた後、以下の成分を添加することにより、緑茶飲料を調製した。
成分 量(g)
糖類 1.45g
塩類 0.32g
甘味料 0.01g
ビタミンC 0.05g
果汁 0.10g
香料 0,20g
実施例3:緑茶成分が配合されたキャンディーの調製
下記の成分を配合し、常法により、本発明の緑茶抽出液の濃縮物(緑茶抽出物)を含有するキャンディーを製造した。なお、緑茶抽出物は、実施例1と同様の操作で緑茶抽出液(タンナーゼ酵素+補酵素処理)を調製し、80℃で10分間処理することにより、タンナーゼ酵素及び補酵素を失活させた後、凍結乾燥することにより製造された粉末を意味する。
成分 質量部
砂糖 50
水飴 33
緑茶抽出物 4
水 13
実施例4:石鹸の製造
実施例1と同様の操作で緑茶抽出液(タンナーゼ酵素+補酵素処理)を200mL調製し、80℃で10分間処理することにより、タンナーゼ酵素及び補酵素を失活させた後、該抽出液と石鹸基材200gを均一になるまで45℃で1時間攪拌した。
この溶液を冷却固化し、切断後、含水率が15%になるまで乾燥して固形石鹸を得た。
実施例5:液体石鹸の製造
下記の成分を配合し、常法により、本発明の緑茶抽出液の濃縮物(緑茶抽出物)を含有する液体石鹸を製造した。なお、緑茶抽出物は、実施例1と同様の操作で緑茶抽出液(タンナーゼ酵素+補酵素処理)を調製し、80℃で10分間処理することにより、タンナーゼ酵素及び補酵素を失活させた後、凍結乾燥することにより製造された粉末を意味する。
成分 質量%
ラウリン酸 15.0
ミリスチン酸 5.0
ステアリン酸 1.0
緑茶抽出物 1.0
水酸化カリウム(pH9.6に調整) 適量
精製水 残部
実施例6:泡状の洗浄剤の製造
下記の成分を配合し、常法により、本発明の緑茶抽出液の濃縮物(緑茶抽出物)を含有する液体石鹸を製造した。なお、緑茶抽出物は、実施例1と同様の操作で緑茶抽出液(タンナーゼ酵素+補酵素処理)を調製し、80℃で10分間処理することにより、タンナーゼ酵素及び補酵素を失活させた後、凍結乾燥することにより製造された粉末を意味する。
成分 質量%
界面活性剤
(ポリエチレングリコールジラウレート) 1.17
緑茶抽出物 1.0
エタノール 3.0
水 25.8
香料 0.03
噴射剤(LPG) 69.0

Claims (5)

  1. 緑茶抽出液をタンナーゼ酵素及び補酵素で処理することにより製造される、酸化誘導性が向上した緑茶抽出液。
  2. 請求項1に記載の緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物を含有してなる食品。
  3. 請求項1に記載の緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物を含有してなる飲料。
  4. 請求項1に記載の緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物を含有してなる、固体、液体又は泡状の洗浄剤。
  5. 請求項1に記載の緑茶抽出液又は該抽出液の濃縮物を含有してなる抗菌剤。
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