JP2012160551A - 光電変換素子の製造方法および光電変換素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 結晶性を向上させることが可能な光電変換素子の製造方法および光電変換素子。
【解決手段】 本発明の光電変換素子の製造方法は、p型シリコン基板2上に、ガリウムヒ素を含む第1半導体層3を成長させる工程と、第1半導体層3を成長させたp型シリコン基板2を、リンを含む第1ガスの雰囲気内において第1温度で加熱することにより、第1半導体層3を経由させてp型シリコン基板2内にリンを拡散させる工程と、第1半導体層3上に、格子定数が、シリコンよりもガリウムヒ素に近い第2半導体層4を成長させる工程とを有する。そのため、p型シリコン基板内にリンを拡散させるとともに、第1半導体層の表面に成長させる半導体層の結晶性を向上させることができる。
【選択図】 図2
【解決手段】 本発明の光電変換素子の製造方法は、p型シリコン基板2上に、ガリウムヒ素を含む第1半導体層3を成長させる工程と、第1半導体層3を成長させたp型シリコン基板2を、リンを含む第1ガスの雰囲気内において第1温度で加熱することにより、第1半導体層3を経由させてp型シリコン基板2内にリンを拡散させる工程と、第1半導体層3上に、格子定数が、シリコンよりもガリウムヒ素に近い第2半導体層4を成長させる工程とを有する。そのため、p型シリコン基板内にリンを拡散させるとともに、第1半導体層の表面に成長させる半導体層の結晶性を向上させることができる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、光電変換素子の製造方法および光電変換素子に関するものである。
現在、光から電気へ変換する光電変換素子として、例えば複数の光電変換層を積層した積層型の光電変換素子がある。複数の光電変換層は、それぞれ異なるバンドギャップを有するように設定されている。このような光電変換素子の研究開発において、光電変換層を積層するための基板自体を光電変換層の1つである光電変換基板として用いることが提案されており、そのような基板としてシリコンを用いることが試みられている。
そこで、シリコンからなる基板自体を光電変換基板として用いる技術として、p型シリコン基板内に添加物を拡散させることにより、p型シリコン基板内にn型領域を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
一方、複数の光電変換素子を積層させる場合、p型シリコンからなる基板で吸収される光の波長を考慮して、p型シリコン基板上に積層する半導体層を選択する必要があった。
しかしながら、p型シリコン基板にヒ素を拡散させてn型領域を形成した場合には、ヒ素がシリコン材料内で拡散しにくいことから、p型シリコン基板内に十分なn型領域を形成することが難しかった。一方、p型シリコン基板にリンを拡散させてn型領域を形成した場合には、リンを拡散させたp型シリコン基板上に、結晶性良くガリウムヒ素を含む半導体層を成長させることが困難だった。そのため、ガリウムヒ素を含む半導体層上に光電変換素子として用いる半導体層をさらに成長させることが難しかった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、p型シリコン基板上に成長させる半導体層の結晶性を向上させることが可能な光電変換素子の製造方法および光電変換素子を提供することにある。
本発明の光電変換素子の製造方法は、p型シリコン基板上に、ガリウムヒ素を含む第1半導体層を成長させる工程と、前記第1半導体層を成長させたp型シリコン基板を、リンを含む第1ガスの雰囲気内において第1温度で加熱することにより、前記第1半導体層を経由させて前記p型シリコン基板内にリンを拡散させる工程と、前記第1半導体層上に、格子定数が、シリコンよりもガリウムヒ素に近い第2半導体層を成長させる工程とを有する。
また、本発明の光電変換素子は、主面にリンを含むn型領域を有するp型シリコン基板と、該p型シリコン基板の前記主面に積層された、該主面から遠ざかるにつれてリンの濃度が増加する、リンおよびガリウムヒ素を含む第1半導体層と、該第1半導体層上に積層された、格子定数が、シリコンよりもガリウムヒ素に近い第2半導体層とを有する。
本発明の光電変換素子の製造方法によれば、第1半導体層を成長させたp型シリコン基板内にリンを拡散させた後、第1半導体層上に第2半導体層をさらに成長させる。そのため、第2半導体層をp型シリコン基板上に直接成長させた場合と比較して、第2半導体層の結晶性を向上させることができる。
また、本発明の光電変換素子によれば、n型領域を有するp型シリコン基板の主面に、該主面から遠ざかるにつれてリンの濃度が増加する第1半導体層を有していることから、p型シリコン基板との熱応力を緩和しつつ、p型シリコン基板で吸収されやすい波長の光が第1半導体層で吸収されることを抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態の例について図を参照しながら説明する。
なお、本発明は以下の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を施すことができる。
<光電変換素子>
図1は本発明の光電変換素子の実施の形態の一例を示す斜視図であり、図2は図1に示す光電変換素子1のA−A’線で切断した断面図である。
図1は本発明の光電変換素子の実施の形態の一例を示す斜視図であり、図2は図1に示す光電変換素子1のA−A’線で切断した断面図である。
本例の光電変換素子1は、図1および図2に示すように、p型シリコン基板2、p型シリコン基板2上に積層された第1半導体層3、ならびに第1半導体層3上に積層された第2半導体層4を有している。なお、光電変換素子1に入射する光は、p型シリコン基板2の主面2A側から入射するように設定される。
このような本例の光電変換素子1は、レンズなどを用いて集光させた光を電気へ変換する光電変換素子である、集光型光電変換素子などに用いることができるものである。
光電変換素子1は、図1および図2に示すように、p型シリコン基板2を有している。p型シリコン基板2は、シリコン材料に、III族元素を添加物として少量加えることによ
り、シリコン材料にp型の導電型を付与したものを用いることができる。III族元素とし
ては、例えばホウ素、アルミニウム、インジウムまたはガリウムなどを用いることができ
る。
り、シリコン材料にp型の導電型を付与したものを用いることができる。III族元素とし
ては、例えばホウ素、アルミニウム、インジウムまたはガリウムなどを用いることができ
る。
p型シリコン基板2は、平面視形状が例えば四角形状などの多角形状または円形状などに設定されている。光電変換素子1にレンズ等を用いて集光させた光を入射させる場合には、p型シリコン基板2の平面視形状としては、集光させた光の平面視形状に合わせたものを用いればよい。p型シリコン基板2は、厚みh2が、例えば1μm以上500μm以下
に設定されている。
に設定されている。
p型シリコン基板2の主面2Aは平坦なものを用いることができる。p型シリコン基板2の上面2Aの平坦性は、表面粗さが例えば10nm以下に設定されている。なお、p型シリコン基板2としては、p型シリコン基板2の主面2Aを研磨したものを用いてもよい。
p型シリコン基板2は、リンを含むn型領域5が設けられている。IV族元素のシリコンで構成されるp型シリコン基板2内に設けられるn型領域5は、リンが拡散することによりn型の導電型が付与されている。そのため、当該n型領域5と、p型シリコン基板2のn型領域5以外の残余の部分との境界において、pn接合が形成されている。n型領域5は、p型シリコン基板2の主面2Aから深さ方向に、例えば10nm以上500nm以下の深
さに渡って設けることができる。p型シリコン基板2に拡散されたリンは、主面2Aから遠ざかるにつれて、濃度が小さくなるように設定されている。
さに渡って設けることができる。p型シリコン基板2に拡散されたリンは、主面2Aから遠ざかるにつれて、濃度が小さくなるように設定されている。
p型シリコン基板2の主面2Aには、第1半導体層3を成長させている。第1半導体層3は、ガリウムヒ素を含む化合物半導体から構成されている。ガリウムヒ素を含む化合物半導体としては、例えば、ガリウムおよびヒ素からなる混晶、もしくはインジウム、アルミニウムのうち少なくとも1つを含むガリウムおよびヒ素からなる混晶などを用いることができる。
第1半導体層3である、ガリウムヒ素の化合物半導体の組成比は、p型シリコン基板2のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有するように設定される。第1半導体層3を、p型シリコン基板2のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有するように設定することにより、p型シリコン基板2で吸収されやすい波長領域の光が、第1半導体層3で吸収されにくくすることができる。第1半導体層3のバンドギャップは、具体的には、p型シリコン基板2のバンドギャップが、例えば1.05eV以上1.15eV以下であることから、例えば1.35eV以上に設定される。なお、第1半導体層3は、厚みh1が、例えば0.01μm以上20μm以下となるように設定される。
第1半導体層3は、図3に示すように、p型シリコン基板2の主面2Aから遠ざかるにつれてリンの濃度が増加するようになっている。第1半導体層3内におけるリンの濃度は、p型シリコン基板2の主面2Aから遠ざかるにつれて増加するように設定されている。換言すると、第1半導体層3内におけるリンの濃度は、p型シリコン基板2の主面2Aに近づくにつれて減少するように設定されている。
第1半導体層3内におけるリンの濃度は、例えば、段階的に濃度が変化したり、滑らかに変化したりするように設定されていればよい。なお、図3は、横軸に第1半導体層3の表面3Aからの距離を、縦軸にリンの濃度(濃度%)を示し、光電変換素子1内におけるリンの濃度分布を模式的に表したものである。
第1半導体層3上には、第2半導体層4が積層されている。第2半導体層4としては、格子定数が、シリコンよりもガリウムヒ素に近い材料を用いることができる。すなわち、シリコンの格子定数が例えば5.41以上5.44以下であり、ガリウムヒ素の格子定数が例えば5.6以上5.7以下であることから、第2半導体層4としては、例えば5.5以上の格子定数を
持つ材料を用いることができる。
持つ材料を用いることができる。
また、第2半導体層4としては、p型シリコン基板2のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有する材料によって設けられている。具体的に、第2半導体層4としては、例えば、ガリウム、アルミニウム、インジウム、ヒ素またはリンの少なくとも2つを含む、III−V族化合物半導体から成る混晶などを用いることができる。第2半導体層4は
、厚みが、例えば1μm以上20μm以下となるように設定されている。
、厚みが、例えば1μm以上20μm以下となるように設定されている。
本例において、光電変換素子1は、p型シリコン基板2と第2半導体層4との間に、p型シリコン基板2の主面2Aから遠ざかるにつれてリンの濃度が増加する第1半導体層3が設けられている。このように第1半導体層3は、ガリウムヒ素系の化合物半導体にリンが混入していることにより、バンドギャップをガリウムヒ素のバンドギャップよりも大きくすることができる。そのため、第1半導体層3内において、p型シリコン基板2で光起電力に変換される波長範囲の光が、第1半導体層3内の電子をバンドギャップ以上に励起することが困難になることから、第1半導体層3をリンが混入していないガリウムヒ素で形成した場合と比較して、その光を吸収されにくくすることができる。
また、第1半導体層3内におけるリンの濃度は、p型シリコン基板2の主面2Aから近づくにつれて小さくなるように設定されている。そのため、ガリウムヒ素系の化合物半導体からなる第1半導体層3は、p型シリコン基板2との界面付近においてリンの濃度を小さくすることができ、p型シリコン基板2との界面付近においてヤング率が大きくなることを抑制することができる。その結果、第1半導体層3は、p型シリコン基板2との界面付近において、p型シリコン基板2との熱応力が増加することを抑制することができる。
このように本例の光電変換素子1では、第1半導体層3がp型シリコン基板2の主面2Aから遠ざかるにつれてリンの濃度が大きくなるように設定されていることから、第1半導体層3内での光の吸収を抑制するとともに、p型シリコン基板2との熱応力が大きくなるのを抑制することができる。その結果、p型シリコン基板2での光電変換される電力の低下を抑えることができる。
(光電変換素子の変形例)
本例の光電変換素子1は、複数の光電変換素子を有していてもよい。具体的には、図4に示すように、光電変換素子1は、第1光電変換層、第2光電変換層6および第3光電変換層7から構成される3つの光電変換層を有していてもよい。これらの光電変換層は、それぞれの光電変換層が吸収しやすい光の波長領域が異なるように設定されている。なお、本例の光電変換素子1において、第1光電変換層は、p型シリコン基板2となるように設定されていることから、以下の説明において、p型シリコン基板2を、適宜、第1光電変換層2と称することがある。
本例の光電変換素子1は、複数の光電変換素子を有していてもよい。具体的には、図4に示すように、光電変換素子1は、第1光電変換層、第2光電変換層6および第3光電変換層7から構成される3つの光電変換層を有していてもよい。これらの光電変換層は、それぞれの光電変換層が吸収しやすい光の波長領域が異なるように設定されている。なお、本例の光電変換素子1において、第1光電変換層は、p型シリコン基板2となるように設定されていることから、以下の説明において、p型シリコン基板2を、適宜、第1光電変換層2と称することがある。
光電変換素子1に入射する光は、第3光電変換層7側から厚み方向に入射するように設定される。すなわち、光電変換素子1に入射した光は、第3光電変換層7、第2光電変換層6および第1光電変換層2の順に通過するようになる。このことから、入射した光が短波長領域側から吸収されやすくするために、それぞれの光電変換層のバンドギャップは、第3光電変換層7、第2光電変換層6および第1光電変換層2の順に小さくなるように設定されている。
第2光電変換層6は、第1光電変換層2のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを持ち、かつ第1半導体層3の格子定数と近い格子定数を持つ材料から選択される。p型シリコン基板2のバンドギャップが、例えば1.05eV以上1.15eV以下であることから、第2光電変換層6はバンドギャップが例えば1.5eV以上1.7eV以下の材料を用いること
ができる。第2光電変換層6としては、具体的に、アルミニウム、ガリウムおよびヒ素からなる混晶、もしくはガリウム、ヒ素およびリンからなる混晶を用いることができる。
ができる。第2光電変換層6としては、具体的に、アルミニウム、ガリウムおよびヒ素からなる混晶、もしくはガリウム、ヒ素およびリンからなる混晶を用いることができる。
このような第2光電変換層6上には、さらに第3光電変換層7が形成されている。第3光電変換層7は、第2光電変換層6のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを持ち、かつ第2光電変換層6の格子定数と近い格子定数を持つ材料から選択される。第3光電変換層7としては、具体的に、アルミニウム、ガリウムおよびヒ素からなる混晶、もしくはインジウム、ガリウムおよびリンからなる混晶を用いることができる。
このように、第2半導体層4上に、第2光電変換層6と第3光電変換層7が順次積層されることにより、光電変換素子1が形成される。そのため、第2半導体層4と第2光電変換層6との間に緩衝層を設けてもよい。緩衝層としては、格子定数がp型シリコン基板2よりも第2光電変換層6の格子定数に近い材料を選択してもよい。このように格子定数がp型シリコン基板2よりも第2光電変換層6の格子定数に近い材料を選択することにより、第2光電変換層6を成長させる際に、転位の発生を抑制することができる。
第1光電変換層2と第2光電変換層6との間、または第2光電変換層6と第3光電変換層7との間に、トンネル接合層を設けてもよい。トンネル接合層は、光電変換層同士を電気的に接続するために、不純物を高濃度添加したpn接合層であり、少なくとも一対のp+層およびn+層を含んでいる。
<光電変換素子の製造方法>
図5−図9は、それぞれ光電変換素子1の製造工程を示す断面図であり、いずれも図1のA−A’線で切断したときの断面に相当する。上述した光電変換素子1と重複する部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
図5−図9は、それぞれ光電変換素子1の製造工程を示す断面図であり、いずれも図1のA−A’線で切断したときの断面に相当する。上述した光電変換素子1と重複する部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
続いて、本発明の光電変換素子1の製造方法の実施の形態の一例を説明する。本例の光電変換素子1の製造方法は、p型シリコン基板2上に第1半導体層3を成長せる工程と、p型シリコン基板2にリンを拡散させる工程と、第2半導体層4を成長させる工程とを有している。
(第1半導体層を成長させる工程)
p型シリコン基板2に、第1半導体層3を成長させる方法について、図5を参照しつつ説明する。p型シリコン基板2としては、例えばp型の導電型が付与されたシリコン基板を準備すればよい。このようなp型シリコン基板2の表面2Aは、この表面2Aに半導体層3を結晶成長させることから平坦であってもよい。p型シリコン基板2の表面2Aは、シリコンの(001)面となるように設定されている。p型シリコン基板2は、厚みh2が、例えば1μm以上500μm以下に設定されている。
p型シリコン基板2に、第1半導体層3を成長させる方法について、図5を参照しつつ説明する。p型シリコン基板2としては、例えばp型の導電型が付与されたシリコン基板を準備すればよい。このようなp型シリコン基板2の表面2Aは、この表面2Aに半導体層3を結晶成長させることから平坦であってもよい。p型シリコン基板2の表面2Aは、シリコンの(001)面となるように設定されている。p型シリコン基板2は、厚みh2が、例えば1μm以上500μm以下に設定されている。
第1半導体層3としては、例えばガリウムヒ素を含むIII−V族半導体を用いることが
できる。半導体層3に用いることができる半導体としては、例えば、アルミニウム、リンおよびインジウムのうち少なくとも1つの元素を含むガリウムヒ素からなる半導体もしくはガリウムヒ素のみからなる半導体の混晶を用いることができる。
できる。半導体層3に用いることができる半導体としては、例えば、アルミニウム、リンおよびインジウムのうち少なくとも1つの元素を含むガリウムヒ素からなる半導体もしくはガリウムヒ素のみからなる半導体の混晶を用いることができる。
第1半導体層3をp型シリコン基板2上に結晶成長させる方法としては、例えば分子線エピタキシャル法、有機金属気相成長法、ハイドライド気相成長法またはパルスレーザデポジション法などを用いることができる。
第1半導体層3としてIII−V族半導体を用いることから、III族半導体の原料ガスとして、トリメチルガリウム((CH3)3Ga)、トリメチルアルミニウム((CH3)3
Al)またはトリメチルインジウム((CH3)3In)などの有機金属化合物が、水素(H2)をキャリアガスとして成長装置内に供給される。V族の原料ガスとして、リン化水素(ホスフィン:PH3)、ヒ化水素(アルシン:AsH3)またはチッ化水素(アンモニア:NH3)などが水素をキャリアガスとして成長装置内に供給される。
Al)またはトリメチルインジウム((CH3)3In)などの有機金属化合物が、水素(H2)をキャリアガスとして成長装置内に供給される。V族の原料ガスとして、リン化水素(ホスフィン:PH3)、ヒ化水素(アルシン:AsH3)またはチッ化水素(アンモニア:NH3)などが水素をキャリアガスとして成長装置内に供給される。
このようにp型シリコン基板2を第1温度に設定し、第1半導体層3の原料ガスを成長装置内に供給することにより、p型シリコン基板2の表面2Aに、ガリウムヒ素からなる第1半導体層3の結晶成長させることができる。第1半導体層3を成長させる際の圧力は、例えば5Torr以上400Torr以下に設定することができる。第1半導体層3は、
厚みh1が、例えば0.01μm以上20μm以下となるように設定されている。
厚みh1が、例えば0.01μm以上20μm以下となるように設定されている。
ここで、第1温度としては、p型シリコン基板2の基板温度を用いればよい。p型シリコン基板2の基板温度は、例えば、p型シリコン基板2の基板温度を制御するヒーター温度、およびp型シリコン基板2の基板温度を測定するサセプター温度について、p型シリコン基板2にレーザを照射して、反射した光を測定することにより基板温度を測定する照射温度計の温度を用いることができる。なお、サセプターは、p型シリコン基板2の表面2A以外の面と接するように配置すればよい。
一方、第1温度として、半導体層3を結晶成長させるための密封された成長装置内の温度を用いてもよい。成長装置内における温度を測定する方法としては、例えば、成長装置内に配置された熱電対で測定する方法または成長容器外から照射温度計で測定する方法などを用いることができる。
(リンを拡散させる工程)
p型シリコン基板2に、リンを拡散させる方法について、図6を参照しつつ説明する。
p型シリコン基板2に、リンを拡散させる方法について、図6を参照しつつ説明する。
第1半導体層3を成長させたp型シリコン基板2を、リンを含む第1ガスの雰囲気内に配置する。具体的には、p型シリコン基板2を成長装置内に配置するとともに、リンを含む第1ガスを成長装置内に流入させることにより、p型シリコン基板2を第1ガスの雰囲気内に配置することができる。
リンを含む第1ガスとしては、例えばリン化水素(ホスフィン:PH3)からなるガスなどを用いることができる。雰囲気内の圧力は、例えば5Torr以上400Torr以下
となるように設定することができる。
となるように設定することができる。
このような雰囲気中で、p型シリコン基板2を第1温度で加熱することにより、雰囲気内に存在するリンを第1半導体層3の表面3Aから第1半導体層3内を経由してp型シリコン基板2内まで拡散させることができる。p型シリコン基板2を加熱する第1温度は、例えば40℃以上1000℃以下に設定される。第1温度、加熱時間、雰囲気中のリン濃度等を調整することにより、第1半導体層3およびp型シリコン基板2内に拡散したリンの量および第1半導体層3の表面3Aからの深さ、およびp型シリコン基板2の表面2Aからの深さ方向に拡散するリンの量を調整することができる。
このように第1半導体層3の表面3Aからリンを拡散させることにより、第1半導体層3内を経由させて、p型シリコン基板2内にリンを拡散させることができる。このようにp型シリコン基板2内にリンを拡散させることにより、リンが拡散したn型領域5をp型シリコン基板2内に形成することができる。p型シリコン基板2内にリンを拡散させて設けられるn型領域5は、p型シリコン基板2の表面2Aから深さ方向に、例えば10nm以上500nm以下に設定することができる。
(第2半導体層を成長させる工程)
次に、第1半導体層3上に第2半導体層4を成長させる工程について、図7を参照しつつ説明する。第2半導体層4は、格子定数が、シリコンよりもガリウムヒ素に近い材料を用いることができ、例えば、アルミニウム、ガリウム、リン、ヒ素またはインジウムのうち少なくとも1つを含むIII−V族半導体の混晶を用いることができる。第2半導体層4
としては、シリコンよりもバンドギャップが高い材料を用いることができる。
次に、第1半導体層3上に第2半導体層4を成長させる工程について、図7を参照しつつ説明する。第2半導体層4は、格子定数が、シリコンよりもガリウムヒ素に近い材料を用いることができ、例えば、アルミニウム、ガリウム、リン、ヒ素またはインジウムのうち少なくとも1つを含むIII−V族半導体の混晶を用いることができる。第2半導体層4
としては、シリコンよりもバンドギャップが高い材料を用いることができる。
第2半導体層4は、第1半導体層3をp型シリコン基板2上に成長させた方法と同じ方法を用いて第1半導体層3の表面3Aに成長させることができる。第2半導体層4は、厚みが、例えば0.5μm以上15μm以下となるように設定される。
本例の光電変換素子の製造方法は、p型シリコン基板2に第1半導体層3を成長させた後、第1半導体層3を経由させてp型シリコン基板2内にリンを拡散させて、第1半導体層3上に第2半導体層4を成長させる。そのため、p型シリコン基板2上に成長させた第1半導体層3の結晶性を維持しつつ、p型シリコン基板2内にn型領域4を形成することができる。その結果、第1半導体層3上に成長させる第2半導体層5の結晶性を向上させることができる。
ここで、ガリウムヒ素からなる第1半導体層3は、第1半導体層3内にリンが拡散することにより、ガリウムヒ素の熱膨張係数よりも小さい熱膨張係数になるとともに、p型シリコン基板2との間ではヤング率が大きくなることから熱応力が大きくなる。
これに対して、本例の光電変換素子の製造方法は、p型シリコン基板2に第1半導体層3を成長させた後、第1半導体層3の表面3Aからリンを拡散させることから、第1半導体層3は、p型シリコン基板2の主面2Aから遠ざかるにつれてリンの濃度が増加するようになっている。
そのため、p型シリコン基板2との熱応力の増加を抑制することができる。また、それとともに、第1半導体層3の表面3付近ではリンの濃度が高くなっていることから、p型シリコン基板2上に直接第2半導体層3を成長させた場合と比較して、第2半導体層4を成長させる際に、第1半導体層3と第2半導体層4との間で熱応力に起因して発生する転位を少なくすることができる。その結果、第1半導体層3の表面3A上に成長させる第2半導体層4の結晶性を向上させることができる。
(光電変換素子の製造方法の変形例1)
リンを拡散させる工程と、第2半導体層4を成長させる工程との間で、第1半導体層3を成長させたp型シリコン基板2を加熱してもよい。第1半導体層3を成長させたp型シリコン基板2を加熱する温度は、例えば400℃以上1000℃以下となるように設定すること
ができる。なお、第1半導体層3を成長させたp型シリコン基板2を加熱する温度は、例えばp型シリコン基板2の基板温度を用いることができる。
リンを拡散させる工程と、第2半導体層4を成長させる工程との間で、第1半導体層3を成長させたp型シリコン基板2を加熱してもよい。第1半導体層3を成長させたp型シリコン基板2を加熱する温度は、例えば400℃以上1000℃以下となるように設定すること
ができる。なお、第1半導体層3を成長させたp型シリコン基板2を加熱する温度は、例えばp型シリコン基板2の基板温度を用いることができる。
このようにリンを拡散させる工程と第2半導体層4を成長させる工程との間で、第1半導体層3を成長させたp型シリコン基板2を加熱することにより、p型シリコン基板2内に拡散したリンをp型シリコン基板2の主面2Aから遠ざかる方向に移動または拡散させることができる。また、このように加熱することにより、第1半導体層3内に拡散したリンをp型シリコン基板2内に移動または拡散させることができる。その結果、p型シリコン基板2内に形成されるn型領域4のリンの濃度を、深さ方向に対して一定に近づけることができ、p型シリコン基板2にpn接合を高い信頼性で形成することができる。
また、当該工程は、リンを含む第2ガスの供給を停止した状態で行なってもよい。この
ようにリンを含む第1ガスの供給を停止した状態で第1半導体層3を成長させたp型シリコン基板2を加熱することにより、図8に示すように、第1半導体層3に内在するリンをp型シリコン基板2内に拡散させることができる。このように、第1半導体層3に内在するリンを少なくしつつ、p型シリコン基板2のリンの濃度を増加させることができる。その結果、第1半導体層3とp型シリコン基板2との間で熱応力に起因して発生する転位を少なくすることができる。
ようにリンを含む第1ガスの供給を停止した状態で第1半導体層3を成長させたp型シリコン基板2を加熱することにより、図8に示すように、第1半導体層3に内在するリンをp型シリコン基板2内に拡散させることができる。このように、第1半導体層3に内在するリンを少なくしつつ、p型シリコン基板2のリンの濃度を増加させることができる。その結果、第1半導体層3とp型シリコン基板2との間で熱応力に起因して発生する転位を少なくすることができる。
(光電変換素子の製造方法の変形例2)
リンを拡散させる工程と、第2半導体層4を成長させる工程との間で、第1半導体層3を成長させたp型シリコン基板2を、ヒ素を含む第2ガスの雰囲気において、第1温度以上の高い第2温度で加熱してもよい。このようにリンを拡散させる工程と第2半導体層4を成長させる工程との間で、第1半導体層3を成長させたp型シリコン基板2を、第2ガスの雰囲気中で加熱することにより、第1半導体層を経由させてp型シリコン基板2内にヒ素を拡散させることができる。
リンを拡散させる工程と、第2半導体層4を成長させる工程との間で、第1半導体層3を成長させたp型シリコン基板2を、ヒ素を含む第2ガスの雰囲気において、第1温度以上の高い第2温度で加熱してもよい。このようにリンを拡散させる工程と第2半導体層4を成長させる工程との間で、第1半導体層3を成長させたp型シリコン基板2を、第2ガスの雰囲気中で加熱することにより、第1半導体層を経由させてp型シリコン基板2内にヒ素を拡散させることができる。
p型シリコン基板2にリンを拡散させた後、p型シリコン基板2の主面2A側からヒ素を拡散させることにより、p型シリコン基板2内に拡散したリンが第1半導体層3内に移動または拡散することを抑制することができる。その結果、p型シリコン基板2内のn型領域5を一定に保つことができ、p型シリコン基板2内のpn接合を維持することができることから、光起電力の変化を抑制することができる。
その後、p型シリコン基板2内でヒ素は、リンよりも拡散する速度が遅いため、リンを拡散させる第1温度よりも高い第3温度で、第1半導体層3を成長させたp型シリコン基板2をさらに加熱する工程を有してもよい。本工程は、ヒ素を含む第2ガスの供給を止めた状態でも行なうことができる。第1半導体層3を成長させたp型シリコン基板2を加熱する第3温度は、例えば400℃以上1000℃以下に設定することができる。このように第1
温度よりも高い第3温度でヒ素を拡散させることにより、ヒ素がp型シリコン基板2内で拡散する速度を早くすることができ、本工程に係る時間を短縮することができる。
温度よりも高い第3温度でヒ素を拡散させることにより、ヒ素がp型シリコン基板2内で拡散する速度を早くすることができ、本工程に係る時間を短縮することができる。
(光電変換素子の製造方法の変形例3)
第1半導体層3は、第1半導体層3を構成する化合物半導体の結晶がアモルファス状態となっている、いわゆる低温バッファ層であってもよい。このような低温バッファ層は、例えば、300℃以上450℃以下の温度でガリウムヒ素を含む第1半導体層3を成長させればよい。第1半導体層3を低温バッファ層として形成した場合には、第1半導体層3がアモルファス状態であることから、リンを拡散しやすくすることができる。
第1半導体層3は、第1半導体層3を構成する化合物半導体の結晶がアモルファス状態となっている、いわゆる低温バッファ層であってもよい。このような低温バッファ層は、例えば、300℃以上450℃以下の温度でガリウムヒ素を含む第1半導体層3を成長させればよい。第1半導体層3を低温バッファ層として形成した場合には、第1半導体層3がアモルファス状態であることから、リンを拡散しやすくすることができる。
そのため、リンを拡散させる工程の工程時間を短縮することができる。また、第1半導体層3がアモルファス状である場合、当該第1半導体層3には応力がかかりにくくなるため、第1半導体層3上に成長させる第2半導体層4とp型シリコン基板2との熱膨張係数の違いに起因して発生する熱応力を抑制することができる。
1 光電変換素子
2 p型シリコン基板(第1光電変換層)
2A 主面(表面)
3 半導体層
3A 表面
4 n型領域
5 第2光電変換層
6 第3光電変換層
2 p型シリコン基板(第1光電変換層)
2A 主面(表面)
3 半導体層
3A 表面
4 n型領域
5 第2光電変換層
6 第3光電変換層
Claims (4)
- p型シリコン基板上に、ガリウムヒ素を含む第1半導体層を成長させる工程と、
前記第1半導体層を成長させたp型シリコン基板を、リンを含む第1ガスの雰囲気内において第1温度で加熱することにより、前記第1半導体層を経由させて前記p型シリコン基板内にリンを拡散させる工程と、
前記第1半導体層上に、格子定数が、シリコンよりもガリウムヒ素に近い第2半導体層を成長させる工程と
を有する光電変換素子の製造方法。 - 前記リンを拡散させる工程と前記第2半導体層を成長させる工程との間で、前記第1半導体層を成長させた前記p型シリコン基板を加熱する請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記リンを拡散させる工程と前記第2半導体層を成長させる工程との間で、前記第1半導体層を成長させた前記p型シリコン基板を、ヒ素を含む第2ガスの雰囲気において、前記第1温度以上の温度で加熱することにより、前記第1半導体層を経由させて前記p型シリコン基板内にヒ素を拡散させる請求項1または2に記載の光電変換素子の製造方法。
- 主面にリンを含むn型領域を有するp型シリコン基板と、
該p型シリコン基板の前記主面に積層された、該主面から遠ざかるにつれてリンの濃度が増加する、リンおよびガリウムヒ素を含む第1半導体層と、
該第1半導体層上に積層された、格子定数が、シリコンよりもガリウムヒ素に近い第2半導体層と
を有する光電変換素子。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011018687A JP2012160551A (ja) | 2011-01-31 | 2011-01-31 | 光電変換素子の製造方法および光電変換素子 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2011018687A Pending JP2012160551A (ja) | 2011-01-31 | 2011-01-31 | 光電変換素子の製造方法および光電変換素子 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20220019302A (ko) * | 2020-08-07 | 2022-02-16 | 고려대학교 세종산학협력단 | 비소화규소 나노시트 및 이의 제조방법 |
-
2011
- 2011-01-31 JP JP2011018687A patent/JP2012160551A/ja active Pending
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KR20220019302A (ko) * | 2020-08-07 | 2022-02-16 | 고려대학교 세종산학협력단 | 비소화규소 나노시트 및 이의 제조방법 |
KR102602180B1 (ko) | 2020-08-07 | 2023-11-13 | 고려대학교 세종산학협력단 | 비소화규소 나노시트 및 이의 제조방법 |
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