JP2012142352A - 光電変換装置の製造方法および光電変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 熱応力の発生を抑制することが可能な光電変換装置の製造方法および光電変換装置。
【解決手段】 本発明の光電変換装置の製造方法は、シリコンからなる光電変換基板2上に、第1の温度でガリウムヒ素からなるバッファ層3を成長させるバッファ層成長工程と、バッファ層3上に、前記第1の温度よりも高い第2の温度で、インジウム、ガリウムおよびリンからなる半導体層4を成長させながら、半導体層4内に含まれるインジウムをバッファ層3内に拡散させる半導体層成長・拡散工程と、半導体層4上に光電変換層5を成長させる光電変換層成長工程とを有する。そのため、光電変換基板2上に、転位の発生を抑制した光電変換層5を形成することができる。
【選択図】 図2
【解決手段】 本発明の光電変換装置の製造方法は、シリコンからなる光電変換基板2上に、第1の温度でガリウムヒ素からなるバッファ層3を成長させるバッファ層成長工程と、バッファ層3上に、前記第1の温度よりも高い第2の温度で、インジウム、ガリウムおよびリンからなる半導体層4を成長させながら、半導体層4内に含まれるインジウムをバッファ層3内に拡散させる半導体層成長・拡散工程と、半導体層4上に光電変換層5を成長させる光電変換層成長工程とを有する。そのため、光電変換基板2上に、転位の発生を抑制した光電変換層5を形成することができる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、転位の発生を抑制した半導体層を積層して、光電変換効率を向上させることが可能な光電変換装置の製造方法および光電変換装置に関するものである。
現在、光から電気へ変換する光電変換装置として、複数の光電変換層を積層した積層型の光電変換装置がある。複数の光電変換層は、半導体層を複数積層することによって構成されており、それぞれ異なるバンドギャップを有するように設定されている。
このような光電変換装置の研究開発において、光電変換層を積層する基板自体を光電変換層の1つとして用いることが提案されており、そのような基板としてシリコンを用いることが試みられている(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、特許文献1に記載された光電変換装置によれば、シリコン基板上に成長させたガリウムヒ素からなるバッファ層および半導体層の熱膨張係数と、シリコン基板の熱膨張係数とが大きく異なっていた。このことから、バッファ層および半導体層は同じガリウムヒ素によって構成されているため、バッファ層とシリコン基板との間に熱応力が発生しやすかった。そのため、シリコン基板上に半導体層を高い温度で成長させた後、室温まで降温させる過程において、シリコン基板とバッファ層との間に応力が発生することから、バッファ層または半導体層の内部に転位が多く発生することがあった。その結果、半導体層からなる光電変換層において、結晶性を向上させることが難しく、光電変換層の光電変換効率を向上させることが困難であった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光電変換層の結晶性を向上させて光電変換効率を向上させることが可能な光電変換装置の製造方法および光電変換装置を提供することにある。
本発明の光電変換装置の製造方法は、シリコンからなる光電変換基板上に、第1の温度でガリウムヒ素からなるバッファ層を成長させるバッファ層成長工程と、前記バッファ層上に、前記第1の温度よりも高い第2の温度で、インジウム、ガリウムおよびリンからなる半導体層を成長させながら、該半導体層内に含まれるインジウムを前記バッファ層内に拡散させる半導体層成長・拡散工程と、前記半導体層上に光電変換層を成長させる光電変換層成長工程とを有する。
また、本発明の光電変換装置は、シリコンからなる光電変換基板と、該光電変換基板上に成長した、前記光電変換基板から遠ざかるにつれてインジウムの濃度が高くなっている、インジウムを含むガリウムヒ素からなるバッファ層と、該バッファ層上に成長した、インジウム、ガリウムおよびリンからなる半導体層と、該半導体層上に成長した、ガリウムヒ素からなる光電変換層とを有する。
本発明の光電変換装置の製造方法によれば、光電変換基板上に成長させたバッファ層内にインジウムを拡散させて、光電変換基板とバッファ層との熱膨張係数の差を小さくすることができる。そのため、光電変換基板とバッファ層との間に発生する熱応力を小さくすることができ、光電変換基板上に、転位の発生を抑制した光電変換層を形成することができる。
また、本発明の光電変換装置によれば、光電変換基板上に、光電変換基板から遠ざかるにつれてインジウムの濃度が高くなっているバッファ層と、バッファ層上に成長させたインジウムガリウムおよびリンからなる半導体層上に光電変換層を有していることから、光電変換層で発生した熱によって、光電変換基板とバッファ層との間に発生する熱応力を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態の例について図を参照しながら説明する。
なお、本発明は以下の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を施すことができる。
<光電変換装置>
図1は本発明の光電変換装置の実施の形態の一例を示す斜視図であり、図2は図1に示す光電変換装置1のA−A’線断面図である。
図1は本発明の光電変換装置の実施の形態の一例を示す斜視図であり、図2は図1に示す光電変換装置1のA−A’線断面図である。
本例の光電変換装置1は、図1および図2に示すように、シリコン(Si)からなり光電変換することが可能な光電変換基板2、ならびに光電変換基板2に順次積層された、バッファ層3、半導体層4および光電変換層5を有している。なお、光電変換装置1に入射する光は、光電変換基板2の主面2A側から入射するように設定される。
このような本例の光電変換装置1は、レンズなどを用いて集光させた光を電気へ変換する集光型光電変換装置などに用いることができるものである。
光電変換装置1は、図1および図2に示すように、光電変換することが可能な光電変換基板2を有している。光電変換基板2は、平面視した形状が例えば四角形状などの多角形状または円形状などに設定されている。本例において、光電変換装置1が長方形となるように設けられていることから、光電変換基板2は、長方形で設けられている。光電変換基板2の平面視形状が長方形で設けられている場合は、1辺の長さが、例えば1μm以上20cm以下となるように設定されている。
光電変換装置1にレンズ等を用いて集光させた光を入射させる場合には、光電変換基板2の平面視形状を、集光させた光の平面視形状に合わせたものを用いればよい。光電変換基板2は、厚みが、例えば1μm以上500μm以下となるように設定することができる。光電変換基板2は、平面視したときの面積が、例えば1μm2以上100cm2以下となるように設定することができる。
光電変換基板2は、光電変換することが可能であるように設定されている。すなわち、光電変換基板2は、n型の導電型を持つn型領域2aと、p型の導電型を持つp型領域2bとを有しており、n型領域2aとp型領域2bとはpn接合されている。
光電変換基板2にn型領域2aとp型領域2bとを設ける方法は、p型シリコン材料を光電変換基板2に用いて、n型の導電型を付与する元素を少量添加することによって光電変換基板2へ拡散させればよい。具体的に、光電変換基板2にp型シリコン材料を用いた場合であれば、n型の導電型を付与する元素としてV族元素を用いることができる。V族元素としては、例えば窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)またはビスマス(Bi)などを用いることができる。
光電変換基板2は、p型シリコン材料からなり、主面2A側にリン(P)を含むn型領域2aを有している。光電変換基板2の一部にn型領域2aを有していることから、光電変換基板2の内部でn型領域2aと光電変換基板2のn型領域2a以外の残余の部分との境界でpn接合が形成されている。n型領域2aは、光電変換基板2の主面2Aから深さ方向に、例えば10nm以上500nm以下の深さに渡って形成されている。
光電変換基板2の主面2Aは平坦なものを用いることができる。光電変換基板2の上面2Aの平坦性は、表面粗さが例えば10nm以下に設定されている。なお、光電変換基板2としては、主面2Aを研磨したものを用いてもよく、光電変換基板2の主面2Aの表面粗さとしては、JIS B0601−2001に準拠した最大高さ粗さRzを用いればよい。
光電変換基板2の主面2Aには、バッファ層3が積層されている。バッファ層3は、インジウム(In)を含むガリウムヒ素(GaAs)からなる化合物半導体によって構成されている。なお、ガリウムヒ素系の化合物半導体としては、例えば、ガリウムおよびヒ素(As)からなる混晶、もしくはインジウム、アルミニウムのうち少なくとも1つを含むガリウムおよびヒ素からなる混晶などを用いることができる。
バッファ層3としてガリウムヒ素系の化合物半導体を用いた場合には、ガリウムヒ素系の化合物半導体の組成比は、光電変換基板2のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有するように設定される。バッファ層3を、光電変換基板2のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有するように設定することにより、光電変換基板2で吸収されやすい波長領域の光が、バッファ層3で吸収されにくくすることができる。バッファ層3のバンドギャップは、具体的には、シリコンからなる光電変換基板2のバンドギャップが、例えば1.05eV以上1.15eV以下であることから、例えば1.35eV以上に設定すればよい。
次に、バッファ層3内に拡散しているインジウムについて、図3を参照しつつ説明する。図3は、横軸にバッファ層3の上面から光電変換基板2への距離を、縦軸にインジウムの濃度(濃度%)を示し、バッファ層3内におけるインジウムの濃度分布を模式的に表したものである。バッファ層3は、図3に示すように、バッファ層3の上面から光電変換基板2の主面2Aに近づくにつれて、インジウムの濃度が減少するようになっている。換言すると、光電変換基板2の主面2Aから遠ざかるにつれて、インジウムの濃度が増加する
ようになっている。
ようになっている。
バッファ層3内におけるインジウムの濃度は、バッファ層3の上面から光電変換基板2の主面2Aに近づくにつれて、例えば、階段状に減少したり、滑らかに減少したりするように設定されていればよい。バッファ層3は、厚みhが、例えば1nm以上450nm以下となるように設定されている。
半導体層4は、バッファ層3上に積層されている。半導体層4は、インジウム、ガリウムおよびリンからなる混晶から構成されている。なお、半導体層4の混晶には、アルミニウムを含んでもよく、例えばアルミニウム、インジウムおよびリンからなる混晶を用いることができる。半導体層4としてアルミニウムを含む混晶を用いた場合、格子定数の変動を抑制しつつ、バンドギャップを大きくすることができ、光電変換基板2で光電変換される波長領域の光の吸収を抑制することができる。半導体層4は、厚みが、例えば0.1μm以上20μm以下となるように設定されている。半導体層4のバンドギャップは、バッファ層3のバンドギャップよりも大きく設定されていてもよく、例えば1.5eV以上に設定することができる。
半導体層4上には、光電変換層5が積層されている。光電変換層5は、光電変換が可能な光電変換基板2とは、吸収されやすい光の波長領域が異なるように設定されている。そのため、シリコンからなる光電変換基板2のバンドギャップが例えば1.05eV以上1.15eV以下であることから、光電変換層5はバンドギャップを例えば1.4eV以上1.7eV以下に設定することができる。
光電変換層5は、ガリウムヒ素からなる半導体によって構成されている。光電変換層5としては、リン、ガリウム、ヒ素、インジウムおよびアルミニウムの少なくとも2つ以上を含む混晶を用いることができる。具体的に、光電変換層5としては、例えば、アルミニウム、ガリウムおよびヒ素からなる混晶またはガリウム、ヒ素およびリンからなる混晶などを用いることができる。光電変換層5は、厚みが例えば0.3μm以上30μm以下となるように設定されている。また、光電変換層5のバンドギャップは、半導体層4のバンドギャップと同じ以上に大きくなるよう設定すればよく、例えば1.4eV以上に設定されている。
本例の光電変換装置1は、上述した通り、ガリウムヒ素系の化合物半導体からなるバッファ層3には、インジウムが含まれている。このように、ガリウムヒ素からなる化合物半導体にインジウムが混入していることにより、熱膨張係数を、ガリウムヒ素の熱膨張係数よりも小さくすることができる。具体的には、ガリウムヒ素の熱膨張係数が例えば6.9×10−61/Kよりも大きいのに対して、インジウムを含むガリウムヒ素の熱膨張係数は例えば4.5×10−61/K以上6.9×10−61/K以下とすることができる。
このようにバッファ層3の熱膨張係数を小さくすることにより、バッファ層3と光電変換基板2との熱膨張係数の差を小さくすることができる。そのため、光電変換装置1に電極を付ける工程、または光電変換装置1に集光させた光を入射する場合などにおいて、半導体層4、光電変換層5およびバッファ層3で熱が発生したとしても、バッファ層3と光電変換基板2との間で発生する熱応力を小さくすることができる。
そのため、光電変換基板2と光電変換層5との間に、バッファ層3および半導体層4を有することにより、光電変換基板2の内部と光電変換層5の内部に発生する応力を小さくすることができる。
このことから、光電変換装置1に光が入射して、光電変換基板2、バッファ層3、半導
体層4または光電変換層5で熱が発生することにより、それぞれの層が昇温と降温とを繰り返したとしても、光電変換基板2とバッファ層3との間で転位が発生することを抑制することができる。また、光電変換基板2の内部と光電変換層5の内部に発生する応力を小さくすることができることから、光電変換基板2と光電変換層5との特性が劣化することを抑制することができる。
体層4または光電変換層5で熱が発生することにより、それぞれの層が昇温と降温とを繰り返したとしても、光電変換基板2とバッファ層3との間で転位が発生することを抑制することができる。また、光電変換基板2の内部と光電変換層5の内部に発生する応力を小さくすることができることから、光電変換基板2と光電変換層5との特性が劣化することを抑制することができる。
また、バッファ層3内におけるインジウムの濃度が光電変換基板2から遠ざかるにつれて高くなるように設定されている。そのため、光電変換基板2とバッファ層3との界面において、シリコンからなる光電変換基板2の格子定数と、ガリウムヒ素からなるバッファ層3の格子定数との差が大きくなることを抑制することができる。その結果、光電変換基板2とバッファ層3との間で格子定数の差から、バッファ層3、半導体層4および光電変換層5の結晶がひずむことによって発生する転位の増加を抑制することができる。
このように本例の光電変換装置1では、バッファ層3が光電変換基板2の主面2Aから遠ざかるにつれてインジウムの濃度が大きくなるように設定されている。そのため、光電変換基板2とバッファ層3との間で、格子定数の差が大きくなることを抑制するとともに、熱膨張係数の差を小さくすることができ、光電変換層5の光電変換率の低下を抑制することができる。
(光電変換装置の変形例)
バッファ層3は、アモルファス状態の結晶によって構成されていてもよい。アモルファス状態のバッファ層3は、厚みが例えば1nm以上100nm以下となるように設定されている。ここでアモルファス状態の結晶とは、結晶内に多くの転位を含む状態、または多数の単結晶の粒子からなる多結晶状態を指す。バッファ層3がアモルファス状態の結晶によって構成されており、バッファ層3と光電変換基板2との間で熱応力が発生したとしても、バッファ層3が変形することによって光電変換基板2との熱応力を緩和することができる。
バッファ層3は、アモルファス状態の結晶によって構成されていてもよい。アモルファス状態のバッファ層3は、厚みが例えば1nm以上100nm以下となるように設定されている。ここでアモルファス状態の結晶とは、結晶内に多くの転位を含む状態、または多数の単結晶の粒子からなる多結晶状態を指す。バッファ層3がアモルファス状態の結晶によって構成されており、バッファ層3と光電変換基板2との間で熱応力が発生したとしても、バッファ層3が変形することによって光電変換基板2との熱応力を緩和することができる。
さらに、本例の光電変換装置1は、熱膨張係数を小さくした半導体層4が直接バッファ層3上に設けられていることから、半導体層4または光電変換層5で発生した熱がバッファ層3に伝わりにくくなっている。また、応力を緩和することが可能なバッファ層3上に直接半導体層4が設けられていることから、半導体層4と光電変換基板2との熱膨張係数の差によって起因する熱応力を緩和することができる。
また、光電変換基板2と光電変換層5との間にトンネル接合層を設けてもよい。トンネル接合層は、光電変換層同士を電気的に接続するために、不純物を高濃度添加したpn接合層であり、少なくとも一対のp+層およびn+層を含んでいる。
<光電変換装置の製造方法>
図4−図6は、それぞれ光電変換装置1の製造工程を示す断面図であり、いずれも図1のA−A’線で切断したときの断面に相当する。上述した光電変換装置1と重複する部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
図4−図6は、それぞれ光電変換装置1の製造工程を示す断面図であり、いずれも図1のA−A’線で切断したときの断面に相当する。上述した光電変換装置1と重複する部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
続いて、本発明の光電変換装置1の製造方法の実施の形態の一例を説明する。本例の光電変換装置1の製造方法は、主に、バッファ層成長工程、半導体層成長・拡散工程、および光電変換層成長工程を有している。
(バッファ層成長工程)
光電変換基板2上に、バッファ層3を成長させる方法について、図4を参照しつつ説明する。
光電変換基板2上に、バッファ層3を成長させる方法について、図4を参照しつつ説明する。
光電変換基板2としては、例えばp型の導電型が付与されたシリコン材料から構成されている。このような光電変換基板2の主面2Aは、この主面2Aにバッファ層3を結晶成長させることから平坦であってもよい。また、光電変換基板2の主面2Aは、シリコンの(001)面となるように設定されている。
バッファ層3としては、ガリウムヒ素を用いることができる。このようなガリウムヒ素からなるバッファ層3には、例えば、アルミニウムまたはリンの少なくとも1つの元素を含む混晶を用いることができ、バッファ層3としてアルミニウムまたはリンを含むガリウムヒ素を用いた場合は、ガリウムヒ素のバンドギャップよりも大きくすることができる。なお、バッファ層3は、インジウムを含んでいてもよい。
バッファ層3を光電変換基板2上に結晶成長させる方法としては、例えば分子線エピタキシャル法、有機金属気相成長法、ハイドライド気相成長法またはパルスレーザデポジション法などを用いることができる。
バッファ層3としてガリウムヒ素を用いることから、ガリウムの原料ガスとして、例えばトリメチルガリウム((CH3)3Ga)などの有機金属化合物が、成長装置内に、水素(H2)をキャリアガスとして供給される。また、ヒ素の原料ガスとして、例えばヒ化水素(アルシン:AsH3)などが水素をキャリアガスとして成長装置内に供給される。なお、アルミニウムの原料ガスとしては、例えばトリメチルアルミニウム((CH3)3Al)を用いることができ、インジウムの原料ガスとしては、例えばトリメチルインジウム((CH3)3In)を用いることができる。さらに、リンの原料ガスとしては、例えばリン化水素(ホスフィン:PH3)などを用いることができる。
バッファ層3は、光電変換基板2上に、例えば300℃以上700℃以下の第1の温度(以下、第1温度という)によって成長させる。ここで、第1温度としては、光電変換基板2の基板温度を用いればよい。光電変換基板2の基板温度は、例えば、光電変換基板2の基板温度を制御するヒーター温度、および光電変換基板2の基板温度を測定するサセプター温度について、光電変換基板2にレーザを照射して、反射した光を測定することにより基板温度を測定する照射温度計の温度を用いることができる。なお、サセプターは、光電変換基板2の主面2A以外の面と接するように配置すればよい。
一方、第1温度として、バッファ層3を結晶成長させるための密封された成長装置内の温度を用いてもよい。成長装置内における温度を測定する方法としては、例えば、成長装置内に熱電対を配置して測定する方法または成長容器外から照射温度計で測定する方法などを用いることができる。
光電変換基板2を第1温度に設定し、バッファ層3の原料ガスを成長装置内に供給することにより、光電変換基板2の主面2Aに、ガリウムヒ素からなるバッファ層3の結晶成長させることができる。バッファ層3を成長させる際の圧力は、例えば5Torr以上760Torr以下に設定することができる。バッファ層3は、厚みが、例えば1nm以上450nm以下となるように設定されている。
バッファ層3は、バッファ層3を構成する化合物半導体の結晶がアモルファス状態となっている、いわゆる低温バッファ層であってもよい。バッファ層3を低温バッファ層として形成した場合には、バッファ層3がアモルファス状態であることから、バッファ層3上に成長させる半導体層と光電変換基板2との熱膨張係数の違いに起因して発生する熱応力を緩和することができる。そのため、半導体層4上の半導体層の結晶性を向上させることができる。
(半導体層成長・拡散工程)
次に、バッファ層3上に、半導体層4を成長させる工程について、図5を参照しつつ説明する。
次に、バッファ層3上に、半導体層4を成長させる工程について、図5を参照しつつ説明する。
半導体層4としては、インジウム、ガリウムおよびリンからなる混晶を用いることができる。半導体層4は、アルミニウムまたはヒ素のうち少なくとも1つの元素を含む混晶であってもよい。半導体層4は、シリコンからなる光電変換基板2のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを持つように設定されている。具体的に、半導体層4は、バンドギャップが例えば1.4eV以上となるように、組成比等が設定される。
半導体層4としては、ガリウムおよびインジウムの原料ガスとしてトリメチルガリウムおよびトリメチルインジウムなどの有機金属化合物を用いることができ、水素をキャリアガスとして成長装置内に供給される。また、リンの原料ガスとしては、リン化水素(ホスフィン)などを用いることができ、水素をキャリアガスとして成長装置内に供給される。
半導体層4は、バッファ層3上に、第1温度よりも高い第2の温度(以下、第2温度という)で成長させる。具体的に、半導体層4を成長させる第2温度は、第1温度よりも高い、例えば500℃以上850℃以下に設定されている。半導体層4は、厚みが、例えば、0.05μm以上20μm以下となるように設定されている。半導体層4を成長させる際の圧力は、例えば5Torr以上760Torr以下となるように設定されている。
半導体層4は、バッファ層3上に第1温度よりも高い第2温度で成長させることから、半導体層4内に含まれるインジウムをバッファ層3内により多く拡散させることができる。バッファ層3内にインジウムが拡散することにより、バッファ層3を構成するガリウムヒ素の組成がインジウムガリウムヒ素に近づくようになる。そのため、バッファ層3は、ガリウムヒ素のみからなる場合と比較して、熱膨張係数を小さくすることができる。
その後、半導体層4上に、光電変換層5を成長させる。この際、光電変換層5は、光電変換基板2の温度としては、例えば第1温度以上の高い温度により成長させることができる。光電変換層5は、半導体層4と格子定数が近いとともに、光電変換基板2のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有する材料により設けられる。光電変換層5は、具体的に、ガリウム、ヒ素およびリンからなる混晶、アルミニウム、ガリウムおよびヒ素からなる混晶、もしくはインジウム、ガリウムおよびヒ素からなる混晶などを用いることができる。このようにして、光電変換装置1を設けることができる。
本例の光電変換装置の製造方法は、上述の通り、光電変換基板2上にバッファ層3を成長させた後、インジウム、ガリウムおよびリンからなる半導体層を成長させることにより、半導体層4内に含まれるインジウムをバッファ層3に拡散させる。そのため、半導体層4と光電変換基板2との熱膨張係数の差を小さくすることができ、光電変換基板2とバッファ層3との光電変換層5を半導体層4上に成長させた後、光電変換装置1の温度を降下させる際に、半導体層4と光電変換基板2との間に発生する熱応力を抑制させることができる。その結果、半導体層4または光電変換層5の内部に発生する転位が増加することを抑制することができる。
(光電変換装置の製造方法の変形例1)
半導体層成長・拡散工程の後であって、光電変換層成長工程の前に、半導体層4を第2温度以上の第3の温度(以下、第3温度という)で加熱する工程をさらに有していてもよい。半導体層4を加熱する第3温度は、第2温度以上であればよく、例えば500℃以上900℃以下となるように設定することができる。なお、半導体層4を加熱する第3温度は、光
電変換基板2の基板温度を用いればよい。これは、バッファ層3および半導体層4の厚みが光電変換基板2の厚みに対して十分小さいためである。
半導体層成長・拡散工程の後であって、光電変換層成長工程の前に、半導体層4を第2温度以上の第3の温度(以下、第3温度という)で加熱する工程をさらに有していてもよい。半導体層4を加熱する第3温度は、第2温度以上であればよく、例えば500℃以上900℃以下となるように設定することができる。なお、半導体層4を加熱する第3温度は、光
電変換基板2の基板温度を用いればよい。これは、バッファ層3および半導体層4の厚みが光電変換基板2の厚みに対して十分小さいためである。
半導体層4を第2温度以上の温度で加熱することにより、半導体層4内に含まれるインジウムの運動エネルギーを増加することができるため、半導体層4からバッファ層3へ拡散するインジウムの量を増やすことができる。
また、半導体層4を加熱することにより、半導体層4内に含まれるリンを、バッファ層3を経由して光電変換基板2へ拡散させることができる。このようにリンを光電変換基板2内に拡散させることにより、n型領域2aをさらに拡大させることができる。そのため、インジウムの拡散する工程とn型領域2aを拡大する工程とを同時に行なうことができることから、工程数を減らすことができ、生産性を向上させることができる。
一方、半導体層4を第2温度以上の温度で加熱する工程における雰囲気の圧力を、半導体層成長・拡散工程における雰囲気の圧力よりも高くしてもよい。このような圧力は、半導体層成長・拡散工程における雰囲気の圧力よりも高ければよく、例えば30Torr以上760Torr以下となるように設定することができる。
このように半導体層成長・拡散工程における雰囲気の圧力よりも高い圧力で、半導体層4を加熱することにより、バッファ層3の上面または成長途中の半導体層4にインジウムが付着した後、離散しにくくなるため半導体層4の成長速度が早くなり、半導体層4内に含まれるインジウムをバッファ層3へさらに拡散されやすくすることができる。その結果、バッファ層3内のインジウムの密度をさらに高くすることができる。換言すると、半導体成長・拡散工程における雰囲気の圧力で半導体層4を加熱した場合と比較して、高い圧力で半導体層4を加熱した場合にはかかる工程の時間を短縮することができる。
(光電変換装置の製造方法の変形例2)
光電変換層成長工程において、半導体層4上にガリウムヒ素からなる光電変換層5を、第1温度以上の第4の温度(以下、第4温度という)で成長させた後、第2温度よりも高い第5の温度(以下、第5温度という)で半導体層4を加熱する工程を有していてもよい。このように、光電変換層5を成長させた後、第2温度よりも高い第5温度で半導体層4を加熱することにより、半導体層4内に含まれるインジウムを、ガリウムヒ素からなる光電変換層5内に拡散させることができる。
光電変換層成長工程において、半導体層4上にガリウムヒ素からなる光電変換層5を、第1温度以上の第4の温度(以下、第4温度という)で成長させた後、第2温度よりも高い第5の温度(以下、第5温度という)で半導体層4を加熱する工程を有していてもよい。このように、光電変換層5を成長させた後、第2温度よりも高い第5温度で半導体層4を加熱することにより、半導体層4内に含まれるインジウムを、ガリウムヒ素からなる光電変換層5内に拡散させることができる。
光電変換層5を成長させる第4温度は、第1温度以上であればよく、例えば500℃以上850℃以下に設定される。また、第5温度は、第2温度以上であればよく、例えば600℃以上1300℃以下に設定される。なお、第5温度は、第4温度以上の温度であればよく、例えば700℃以上950℃以上に設定することにより、光電変換層5の成長の際に与える運動エネルギーよりも大きい運動エネルギーを半導体層4内のインジウムに与えることができ、光電変換層5の成長の際に拡散するインジウムの量よりも多く拡散させることができる。
そのため、光電変換層5の半導体層4側の領域を、インジウムを含むガリウムヒ素となるため、かかる領域の熱膨張係数を小さくすることができる。その結果、光電変換層5と半導体層4との界面で発生する熱応力を抑制することができ、半導体層4または光電変換層5の内部の転位の増加を抑制することができる。
(光電変換装置の製造方法の変形例3)
半導体層成長・拡散工程において、インジウム、ガリウムおよびリンからなる半導体層4を結晶成長させる際に、インジウムの原料ガスを、インジウムを拡散させる前の半導体層4の所望の組成比の比率よりも高くして供給してもよい。半導体層4をインジウム、ガ
リウムおよびリンからなる混晶で形成した場合に、インジウムの原料ガスの流量を、ガリウムおよびリンの原料ガスの流量よりも高く設定すればよい。
半導体層成長・拡散工程において、インジウム、ガリウムおよびリンからなる半導体層4を結晶成長させる際に、インジウムの原料ガスを、インジウムを拡散させる前の半導体層4の所望の組成比の比率よりも高くして供給してもよい。半導体層4をインジウム、ガ
リウムおよびリンからなる混晶で形成した場合に、インジウムの原料ガスの流量を、ガリウムおよびリンの原料ガスの流量よりも高く設定すればよい。
このように、インジウムの原料ガスの流量を、ガリウムおよびリンの原料ガスの通常の流量よりも高く設定することにより、半導体層4内のインジウムがバッファ層3内に拡散して減少しても、半導体層4の所望の組成に近づけることができる。なお、通常の流量とは、所望の第2半導体層4の組成比を成長させるための原料ガスの流量を指す。すなわち、半導体層4内においてインジウムがガリウムよりも多い状態になっているため、バッファ層3内に拡散しやすくなっている。
また、インジウムの原料ガスの流量を、ガリウムおよびリンの原料ガスの流量よりも高く設定して、半導体層4を成長させる際に、光電変換基板2を通常の成長温度よりも加熱してもよい。インジウムの原料ガスの流量を高く設定して、半導体層4を成長する際に、光電変換基板2をさらに加熱してバッファ層3の熱エネルギーを高くすることにより、バッファ層3にインジウムをさらに拡散させることができる。
1 光電変換装置
2 基板
2a n型領域
2b p型領域
2A 主面
3 バッファ層
4 半導体層
5 光電変換層
2 基板
2a n型領域
2b p型領域
2A 主面
3 バッファ層
4 半導体層
5 光電変換層
Claims (4)
- シリコンからなる光電変換基板上に、第1の温度でガリウムヒ素からなるバッファ層を成長させるバッファ層成長工程と、
前記バッファ層上に、前記第1の温度よりも高い第2の温度で、インジウム、ガリウムおよびリンからなる半導体層を成長させながら、該半導体層内に含まれるインジウムを前記バッファ層内に拡散させる半導体層成長・拡散工程と、
前記半導体層上に光電変換層を成長させる光電変換層成長工程と
を含む光電変換装置の製造方法。 - 前記半導体層成長・拡散工程の後、前記光電変換層成長工程の前に、前記第2の温度よりも高い第3の温度で前記半導体層を加熱することにより、前記半導体層内に含まれるインジウムをさらに前記バッファ層内に拡散させるバッファ層拡散工程を含む請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
- 前記光電変換層成長工程において前記半導体層上にガリウムヒ素からなる前記光電変換層を前記第1の温度以上の第4の温度で成長させた後、前記第2の温度よりも高い第5の温度で前記半導体層を加熱することにより、前記半導体層内に含まれるインジウムを前記光電変換層内に拡散させる光電変換層拡散工程を含む請求項1または2に記載の光電変換装置の製造方法。
- シリコンからなる光電変換基板と、
該光電変換基板上に成長した、前記光電変換基板から遠ざかるにつれてインジウムの濃度が高くなっている、インジウムを含むガリウムヒ素からなるバッファ層と、
該バッファ層上に成長した、インジウム、ガリウムおよびリンからなる半導体層と、
該半導体層上に成長した、ガリウムヒ素からなる光電変換層と
を有する光電変換装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010292485A JP2012142352A (ja) | 2010-12-28 | 2010-12-28 | 光電変換装置の製造方法および光電変換装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2010292485A JP2012142352A (ja) | 2010-12-28 | 2010-12-28 | 光電変換装置の製造方法および光電変換装置 |
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JP2012142352A true JP2012142352A (ja) | 2012-07-26 |
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ID=46678358
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2010292485A Pending JP2012142352A (ja) | 2010-12-28 | 2010-12-28 | 光電変換装置の製造方法および光電変換装置 |
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JP (1) | JP2012142352A (ja) |
-
2010
- 2010-12-28 JP JP2010292485A patent/JP2012142352A/ja active Pending
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