JP2012160319A - セラミックメタルハライドランプ - Google Patents

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Abstract

【課題】本質的に水銀を含まないセラミックメタルハライドランプを垂直点灯した場合に、封入物質の対流によりアークが不安定になり、発光管上部の過熱と、発光管上下における温度差の上昇から発光管にクラックが発生するおそれがある。
【解決手段】無水銀セラミックメタルハライドランプ(1)には、Zn、Al、Ga、In、Snのいずれかのハロゲン化物が封入され、電極間中心を発光部中心よりも下側に配置することにより、発光管表面温度の上部温度と下部温度の差を200℃以下に抑制する。
【選択図】図2

Description

本発明は、本質的に水銀を含まないセラミックメタルハライドランプに関する。
近年、環境問題への意識の高まりから、本質的に水銀を含まない無水銀高圧放電ランプが開発されている(特許文献1参照)。この高圧放電ランプは、石英ガラス製の放電容器を備え、1気圧以上の希ガスを封入したり、水銀の代わりに亜鉛などの蒸気圧の高いハロゲン化物を封入することにより、発光管内の蒸気圧を高め、ランプ電圧を確保し、発光特性の向上を図っている。この石英ガラス製放電容器を使用した無水銀高圧放電ランプは、自動車用前照灯などにおいて実用化されている。
一方、透光性セラミックス製放電容器を使用したセラミックメタルハライドランプが、長寿命、高効率などの特長を有しているため、道路、工場、スポーツ施設等の照明として広く利用されている。透光性セラミックス(多結晶アルミナなど)は、石英ガラスに比べ、耐食性、耐熱性に優れているため、種々の金属ハロゲン化物を封入物として利用できるため、高効率、高演色などの利点がある。
特開平11−238488号公報
これらの無水銀ランプにおいては、点灯するためのランプ電圧を確保する必要があるため、水銀の代わりに蒸気圧の高い金属ハロゲン化物を封入する。蒸気圧の高い金属ハロゲン化物としては、Zn、Al、Ga、In、Snのハロゲン化物がある。しかしながら、放電容器に透光性セラミックスを使用し、水銀を含まず水銀の代替としてZn、Al、Ga、In、Snのハロゲン化物を封入したセラミックメタルハライドランプを垂直点灯した場合においては、以下のような問題が発生した。
Zn、Al、Ga、In、Snのハロゲン化物を封入したランプにおいては、アーク長に対するランプ電圧を十分に確保できるものの、水銀封入ランプに比べ発光管内の対流が激しくなるため、アークは不安定になり、このためアークの上方が太くなり、アークの曲がりなども見られるようになった。このようにアーク上方が太くなる現象や、アーク曲がりが生じると、アークがセラミック放電容器に近くなるため、アークの近くなった管壁は過熱され、放電容器上部での温度が上昇し、放電容器内の上下において大きな温度差が生じる。透光性セラミックは、石英ガラスに比べ耐食性、耐熱性においては優れているものの、このような発光管上部の過熱や発光管における大きな温度差が生じた場合に、放電容器にクラックが発生しやすい問題がある。
そこで本発明は、Zn、Al、Ga、In、Snのハロゲン化物を封入し水銀を含まないセラミックメタルハライドランプを垂直点灯した場合において、放電容器の上部が過熱されることによる、放電容器内の大きな温度差の発生を抑え、寿命中におけるクラックの発生を抑制することを技術的課題としている。
上記課題を解決するために本発明の請求項1記載の発明は、Zn、Al、Ga、In、Snのいずれかのハロゲン化物を封入し、水銀を含まないセラミックメタルハライドランプにおいて、発光部の長さをLとしたとき、垂直点灯姿勢における電極間中心を発光部中心よりも下側に配置することにより、発光部中心からL/3の距離における発光管表面温度の上部温度と下部温度の温度差を200℃以下にしたことを特徴とする。これにより、水銀を含まないセラミックメタルハライドランプにおいても、Zn、Al、Ga、In、Snのハロゲン化物の高い蒸気圧を利用することにより、点灯維持可能なランプ電圧を確保でき、垂直点灯姿勢における電極間中心を発光部中心よりも下側に配置することにより、発光部上側温度の低下が図られるため、発光部の上下温度差が低減され、発光管上部の過熱や発光管における温度差による発光管クラックの発生を抑制することが可能となる。
また、本発明の請求項2記載のセラミックメタルハライドランプは、請求項1記載のセラミックメタルハライドランプにおいて、垂直点灯姿勢における上側電極と発光部管壁との最短距離をD1〔mm〕、下側電極と発光部管壁との最短距離をD2〔mm〕、点灯電力をP〔W〕としたとき、数式1及び数式2を満たすことを特徴とする。
本発明の無水銀セラミックメタルハライドランプを示す断面図。 本発明の無水銀セラミックメタルハライドランプの発光部を拡大した断面図。
図1は、本発明の無水銀セラミックメタルハライドランプを示す断面図である。
セラミックメタルハライドランプ1は、発光部2と両端に細管部3a、3bを備えている。細管部3a、3bには電極マウント4a、4bが挿入され、ガラスフリットにより封じられている。電極マウント4a、4bはタングステン製の電極5a、5b、モリブデン製のロッドにモリブデン製のコイルを巻き回した中間材6a、6b、導電性サーメットロッド7a、7b、モリブデン製の外部リード8a、8b、ニオブ製のストッパー9a、9bからなる。ストッパー9a、9bは、細管部の端部に電極マウント4a、4bを係止するためのもので、導電性サーメットロッド7a、7bにそれぞれ溶接されている。また導電性サーメットロッド7a、7bと外部リード8a、8bの周囲には、この部分が折損しないための補強部材としてアルミナ製の補強リング10a、10bが固着されている。また、発光部2は上下対称の略楕円形状をしており、内径8mm、内容積は0.35ccである。発光部2の内部には、ZnI5mgと希土類ハロゲン化物が封入されており、点灯電力70Wで点灯される。
図2はセラミックメタルハライドランプ1の発光部2を拡大した断面図である。ここで、垂直点灯姿勢における上側電極5aの先端と発光部管壁までの最短距離をD1〔mm〕、下側電極5bの先端と発光部管壁までの最短距離をD2〔mm〕とする。
表1は電極間距離を6mmとしたときの、D1及びD2を変化させた場合の発光部表面温度とクラックの発生の有無を調査した結果である。発光部表面温度は、図2に示すとおり、発光部中心から発光部長さに対して1/3である上部温度測定点11と下部温度測定点12の表面温度を、放射温度計を用いて測定した。発光部の長さLは12mmであり、上部温度測定点11は発光部中心から上方に4mm、下部温度測定点12は発光部中心から下方に4mmの位置である。
電極間の中心と発光部の中心を一致させた仕様1のランプのうちの1本は、発光部表面の上部温度と下部温度の温度差が288℃であり、寿命試験中にクラックが発生し、不点灯になった。
電極間中心を発光部中心よりも下に配置した仕様2以下のランプでは、発光部表面の上部温度と下部温度の温度差が200℃以下になり、クラックは発生しなかった。具体的には、D1が2.44mm以上のランプ及び、D2が1.7mm以下のランプである。また、この距離D1、D2は電力の大きなランプほど大きくする必要がある。
尚、両方の電極を下側に移動するほど(D1を大きく、D2を小さく)発光管上部温度は低減し発光部表面温度の上下温度差は小さくなるので、クラックの発生を抑制可能であるが、下側電極と発光部管壁の最短距離D2が小さくなりすぎると、管壁にアークが接触するおそれがあるので、D2は一定以上の間隔を維持しなければならない。このアーク接触による不具合の発生する確率も、ランプの点灯電力と関係があるため、点灯電力の大きいランプほど、D2の最小値を大きくする(P/100<D2)必要がある。
以上の結果より、P〔W〕とD1〔mm〕、D2〔mm〕の関係が、P/30<D1かつP/100<D2<P/35の関係を満たすことにより、発光管上部の温度と上下温度差を低減することが可能となり、クラックの発生が抑えられることが判明した。
1 セラミックメタルハライドランプ
2 発光部
3a,3b 細管部
4a,4b 電極マウント
5a,5b 電極
6a,6b 中間材
7a,7b 導電性サーメットロッド
8a,8b 外部リード
9a,9b ストッパー
10a,10b 補強リング
11 上部温度測定点
12 下部温度測定点

Claims (2)

  1. Zn、Al、Ga、In、Snのいずれかのハロゲン化物を封入し、水銀を含まないセラミックメタルハライドランプにおいて、発光部の長さをLとしたとき、垂直点灯姿勢における電極間中心を発光部中心よりも下側に配置することにより、発光部中心からL/3の距離における発光管表面温度の上部温度と下部温度の温度差を200℃以下にしたことを特徴とする、セラミックメタルハライドランプ。
  2. 垂直点灯姿勢における上側電極と発光部管壁との最短距離をD1〔mm〕、下側電極と発光部管壁との最短距離をD2〔mm〕、点灯電力をP〔W〕としたとき、数式1及び数式2を満たす、請求項1記載のセラミックメタルハライドランプ。
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