JP2012157886A - 球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法及び低温鋳造装置 - Google Patents
球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法及び低温鋳造装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2012157886A JP2012157886A JP2011019116A JP2011019116A JP2012157886A JP 2012157886 A JP2012157886 A JP 2012157886A JP 2011019116 A JP2011019116 A JP 2011019116A JP 2011019116 A JP2011019116 A JP 2011019116A JP 2012157886 A JP2012157886 A JP 2012157886A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cast iron
- temperature
- mold
- molten metal
- spheroidal graphite
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
Abstract
【解決手段】球状化処理された球状黒鉛鋳鉄の溶湯12を真空処理装置2に収容して所定の真空度に所定時間保つ真空処理工程と、真空処理工程を経た1350°C〜液相温度の温度範囲の溶湯を瞬間的に金型5に注入する注湯工程と、溶湯の注入後に加圧装置4を用いて金型5のキャビティC全体を加圧する加圧工程と、を備える。真空処理により球状黒鉛鋳鉄の溶湯が改質されるため、半凝固温度域を含む低温域の鋳鉄溶湯を金型内で加圧及び急速冷却することにより、微細な組織で高強度の球状黒鉛鋳鉄の鋳造品を得ることができる。
【選択図】図1
Description
例えば、亜共晶鋳鉄よりなる溶湯の冷却・凝固過程における半凝固状態で攪拌を加え、その際に晶出する初晶黒鉛および共晶組織を粉砕、分散させるとともに、この攪拌を、溶湯のFe−C−Si3元共晶温度域又はそれより若干高い温度まで継続して行い、その後ただちに冷却する鋳鉄の製造方法が開示されている(特許文献1を参照)。この製造方法によって、機械的強度、耐摩耗性に優れた亜共晶鋳鉄が得られるとされている。
鋳鉄のうち、鋳鉄組織中に黒鉛を球状に析出させるようにする球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄)は、引張り強さや伸びに優れ、鋼に匹敵する強度及び靱性を実現することができるため、自動車部品などに使用されている。この球状黒鉛鋳鉄は、よく知られているように、鋳鉄の溶湯中にマグネシウムMg又はMg合金を添加する等の処理(以下、「球状化処理」という。)によって製造され、添加されたMg等によって球状黒鉛の生成が促進される。
しかし、この球状黒鉛鋳鉄の高強度化を目的に、鋳鉄に特殊な金属等を添加(合金化)することは、省資源・省コストとならない。また、合金化するためには高温で溶解させる必要があり、そのエネルギー原単位も高い。したがって、特殊な金属等を使用することなく、球状黒鉛及び基地組織を微細化し、均一な分布を得ることが求められている。
とくに、鋳鉄は、半凝固温度範囲(固液共存域)が狭く、高い温度域での処理であるので、温度の制御及び半凝固状態での固相の均一な分散の制御が困難である。したがって、鋳型の素材及び構造を含み、造形加工時の温度及び粒状化が均一な分布となるように制御することが、安定した鋳物作りには重要な課題であった。
なお、砂型を使用し、低温注湯と減圧を行う前記従来例の消失模型鋳造法(特許文献3を参照)では、加圧により強制冷却しても解枠まで長時間を要するという問題がある。また、砂型を用いた鋳造と同様の解決手段を、本発明が目指す金型を用いた精密鋳造に適用することはできない。砂型の場合に比べて、金型に注湯した溶湯の冷却速度は数十倍速く、半凝固状態にある時間は著しく短い等という相違があるからである。
1.球状黒鉛鋳鉄の溶湯を所定の真空度に所定時間保つ真空処理工程と、前記真空処理工程を行った後に、1350°C〜液相温度の温度範囲の前記溶湯を所定時間内に金型に注入する注湯工程と、前記溶湯の注入後に前記金型のキャビティ全体を加圧する加圧工程と、を備えることを特徴とする球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
2.前記真空処理工程は、前記溶湯を10−3MPa〜10−1MPaの真空度において30秒〜150秒間保つ前記1.記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
3.前記真空処理工程を行った後、前記溶湯に接種材を0.001〜0.05質量%付加する接種工程を更に備える前記1.又は2.に記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
4.前記加圧工程は、前記キャビティの内面に接する前記溶湯の温度が液相温度以下の所定温度となったときに加圧を開始する前記1.乃至3.のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
5.前記加圧工程において前記金型の可動部の押圧による変位量を計測し、該変位量に対応して該押圧の荷重を変化させる前記1.乃至4.のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
6.前記加圧工程において前記キャビティ内の溶湯を20°C/秒以上の冷却速度で高速急冷させる前記1.乃至5.のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
8.前記真空処理装置は、前記溶湯を10−3MPa〜10−1MPaの真空度において30秒〜150秒間保つ前記7.記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造装置。
9.前記加圧装置は、前記キャビティの内面に接する前記溶湯の温度が液相温度以下の所定温度となったときに加圧を開始する前記7.又は8.に記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造装置。
10.前記加圧装置は、前記金型の可動部の押圧による変位量を計測し、該変位量に対応して該押圧の荷重を変化させる前記7.乃至9.のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造装置。
11.前記金型の前記キャビティを構成する部位に銅又は銅合金を用いる前記7.乃至10.のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造装置。
前記加圧工程において前記金型の可動部の押圧による変位量を計測し、該変位量に対応して該押圧の荷重を変化させる場合には、キャビティ内の溶湯の凝固が進んだときには押圧荷重を減少させるように制御をすることができるため、加圧装置の負担を減らし、小型・低荷重の加圧装置を使用することができる。
前記加圧工程において前記キャビティ内の溶湯を20°C/秒以上の冷却速度で高速急冷させる場合には、その高速急冷効果により、従来の半凝固鋳造法に匹敵する高強度化を図ることが可能になる。前記金型のキャビティを構成する部位に銅又は銅合金を用いることにより、充分な高速急冷効果を得ることができる。
黒鉛球状化処理済みの鋳鉄溶湯に真空処理を施すことによって、溶湯の改質を図ることができる。すなわち、溶湯が脱酸されるとともに酸化物が除去され、球状黒鉛と基地組織が均一化及び微細化される。このように真空処理された球状黒鉛鋳鉄の溶湯は、液相温度付近まで湯流れ性が良好なので、低温度域での鋳造が可能になる。
半凝固鋳造を行うための球状黒鉛鋳鉄の温度域は、鉄−炭素−珪素系金属状態図の上で、液相温度から共晶凝固完了温度(共晶温度)までで推定される。実測例では、液相温度1185℃、共晶温度1111℃であり、その間の74℃の温度域で固液共存状態となる。その液相温度から共晶温度に向かって、凝固相の割合(固相率)は0%から100%へ増えていく。
一般に凝固相の割合はシャイル式に基づいて近似計算することができる。上記の例では、固相率30%となる温度は1141℃と計算される。そうすると、目標固相率を30%として半凝固鋳造を行うためには、液相温度1185℃から1141℃までの44℃の狭い温度域で、均一な温度に制御することが求められることとなり、従来その制御が極めて困難であった。
また、以上の鋳造方法により、従来の半凝固温度域の溶湯を用いる半凝固鋳造よりもはるかに広い温度範囲で球状黒鉛鋳鉄の鋳造を行うことが可能になるため、鋳造時の溶湯の温度制御・管理を容易化することができる。
(真空処理工程)
既に黒鉛の球状化処理がされた球状黒鉛鋳鉄の高温(例えば、1400°C以上)の溶湯12は、取鍋21に入れられている。真空処理工程は、その取鍋21を真空容器22内に収容し、真空容器22内の空気を排出(A)して減圧する。真空処理工程は、上記球状黒鉛鋳鉄の溶湯12を所定の真空度に所定時間保つ工程である。真空容器22内の到達真空度は、10−3MPa〜10−1MPaの範囲とすることが好ましい(更に好ましくは、10−3MPa〜10−2MPa)。到達真空度を10−3MPaよりも高い真空度とすることは装置が大がかりとなるばかりでなく生産性を損なうこととなる。一方、10−1MPaよりも低い真空度とすると、目的とする溶湯の改質が十分に達成されないからである。真空度はとくに厳密である必要はない。
上記到達真空度において、鋳鉄溶湯12を30秒〜150秒間保つ。例えば、真空度が10−3MPaの場合には30〜60秒間(好ましくは、60秒間)、真空度が10−1MPaの場合には150秒間程度保つようにすればよい。
上記バブリングを発生させるガスは、主として、1100°Cで気化するMgの気体と考えられる。このバブリングを効果的に発生させるため、真空処理工程に導入される球状黒鉛鋳鉄の溶湯には、Mgが0.035質量%以上含まれていることが好ましい。その場合、バブリングにより、真空処理後の溶湯に含まれるMgは、0.030質量%以下とすることができる。
本低温鋳造方法においても、上記真空処理後の溶湯に接種材を付加する接種工程を備えることにより、鋳鉄組織の均一化・微細化を図ることができる。ここで、本鋳造方法の場合には前記真空処理によって溶湯の性状が改善されているため、接種工程で使用する接種材の量を0.001〜0.05質量%とすることができる。すなわち、接種量を従来に比べて1/10〜1/100程度に減らすことができる。例えば、取鍋接種において0.01〜0.05質量%、湯口接種において0.001〜0.005質量%の接種材を使用するだけでよい。また、この接種の回数は2回に限らず、1回とすることもできる。
上記真空処理後の球状黒鉛鋳鉄の溶湯13は、小型取鍋31に受湯される。注湯工程は、上記真空処理後の鋳鉄溶湯13を液相温度に近い低温度で、金型5のキャビティ内に瞬間的に注入する工程である。鋳鉄溶湯13は真空処理を経ているため、通常の球状黒鉛鋳鉄の溶湯に見られる酸化膜が少なくなるとともに、湯流れ性がよくなっている。この湯流れ性の改善によって、金型への注湯時の溶湯温度を低くすることができる(例えば、1350℃以下)。また、注湯工程における金型への注湯時間をより短くし、キャビティ内で鋳鉄溶湯の均一な分布を得ることができ、鋳造品の外部欠陥及び内部欠陥の発生を防止することが可能になる。
具体的には、例えば、高温(1000℃程度)に予熱した小型取鍋31に、真空容器22内に収容されていた取鍋21から金型1枠分の溶湯を計量して受湯し、温度計により鋳鉄溶湯13の温度を計測する。上記所定温度は、溶湯量、金型の素材や予熱温度、鋳造方案、鋳造条件等によって適宜に設定することができる(例えば、1300±10℃)。
注湯時の溶湯の温度降下を防ぐため、金型5の湯口型54は、断熱砂型等で構成されることが好ましい。また、加圧時の急冷効果を高めるために、金型5のキャビティを構成する部位は、とくに熱伝導率の高い金属素材(例えば、銅又は銅合金等)を用いて形成されることが好ましい。
加圧工程は、前記注湯工程により金型5に球状黒鉛鋳鉄の溶湯が注入された後、金型5のキャビティCに充填された鋳鉄溶湯の全体を加圧する工程である。
従来、鋳造品の引け巣等の欠陥が生じるのを防止するため、湯口部をピンで押圧する等の方法が用いられている。しかし、比較的高温である湯口部を押圧しても、圧力は押圧面から浅い範囲(数mm程度)にしか作用しない。また、固相率が高くなる(30%程度を超える)と、一部を押圧しても溶湯は動かなくなる。その結果、加圧が不均一となり、鋳物に巣が生じるという問題があった。
本鋳造方法では、前記注湯工程により湯流れ性のよい低温の鋳鉄溶湯が注入されるため、キャビティC内の鋳鉄は均一性の高い半凝固組織となる。そして、本加圧工程では、キャビティCの全面、すなわちキャビティC内に充填された半凝固状態の鋳鉄全体に対して圧力を加える。この加圧によって、球状黒鉛鋳鉄の基地組織が更に微細化されるとともに、金型によって冷却される。通常、鋳鉄の凝固相は長く方向性を持つデンドライトを形成するが、前記のとおり、半凝固状態における加圧及び高速急冷効果によって、デンドライトは破壊され短くなる。これによって、高強度で、且つ巣等の欠陥のない鋳造品を形成することができる。
したがって、加圧は、上記半凝固状態に応じたタイミングにより行う必要がある。この半凝固温度域において均一に加圧するために最適なタイミングは、前記注湯工程における瞬間注湯の開始時からの時間等に基づいて制御が可能である。最適な加圧タイミングは、溶湯量、金型の素材や予熱温度、鋳造方案、鋳造条件等によって異なるが、試作鋳造品の欠陥や組織の分析等により決定することができる。例えば、注湯開始後0.3〜2.5秒の範囲であらかじめ定めたタイミングにより、加圧を開始するように制御することが可能である。
なお、砂型を使用した場合には、半凝固状態にある時間(th)は、金型を使用する場合に比べて大幅に長い(実測例では、70〜160秒程度)。
上記押圧のために加える荷重は、金型の可動部の荷重による変位量(例えば、上型51の下方への変位量)を計測し、その変位量又は変位速度に応じて変化させるようにしてもよい。図3は、金型の可動部の変位量(横軸)に対して押圧荷重(縦軸)を変化させる例を示す。変位量は、荷重を加える前の位置を基準として計測することができる。このように押圧荷重を制御すれば、キャビティ内の鋳鉄の固相率が低い状態で最大荷重をかけ、固相率の上昇に伴って荷重を減少させることができるため、小型の加圧装置を使用し、小さな最大荷重により効果的に加圧することが可能となる。
また、加圧により、球状黒鉛鋳鉄に特有なマッシイ(かゆ状)凝固に対してはマスフィーディング(質量補給)作用が生じ、その引け巣防止効果で、鋳物の内部欠陥の発生を抑制することができる。
以上のように、加圧工程における加圧及び急冷の効果として、高強度でかつ欠陥のない球状黒鉛鋳鉄の鋳物製造が可能になる。
本発明の低温鋳造装置は、以上に説明した低温鋳造方法を行うために好適かつ実用的な装置を実現するものである。本低温鋳造装置は、例えば図1に示すように、球状黒鉛鋳鉄の溶湯を所定の真空度に所定時間保つ真空処理装置2と、真空処理装置2から受湯した鋳鉄溶湯を、1350°C以下かつ液相温度以上の温度範囲で所定時間内に金型5に注入する注湯装置3と、鋳鉄溶湯の注入後、金型5のキャビティC全体を加圧する加圧装置4と、を備える。
注湯装置3は、例えば金型1枠分の溶湯を計量して真空処理用取鍋21から小型取鍋31に受湯し、その溶湯13が所定の温度となったことが計測されたとき、所定時間内に金型5のキャビティC内に注入(瞬間注湯)するように構成される。このため、注湯装置3は、所定時間内に金型に溶湯を注入するように、小型取鍋31を金型の湯口に向かって傾動させる構造とすることができる。この注湯装置3により、前記注湯工程が行われる。
加圧装置4は、上記注湯の開始時からの時間に基づいて、金型5のキャビティ内に充填された鋳鉄溶湯の全体に所定の圧力を加えるように構成される。加圧装置4により、前記加圧工程が行われる。
下型520は、台座43上に配置される熱間工具鋼製(例えば、SDK61製等)の本体型520aと、この本体型520a上に設けられた複数の入れ子型520bとから構成されている。更に、入れ子型520bは、図5に示すように、銅合金製(例えば、クロム鋼製等)の内側分割型521と、この内側分割型521に上下方向に嵌合される熱間工具鋼製(例えば、SDK61製等)の外側分割型522とから構成されている。内側分割型521と外側分割型522との嵌合部位の間には、ガス抜き用に0.2mm程度の隙間(図示せず)を設けておくことができる。
中間型530は、熱間工具鋼製(例えば、SDK61製等)とすることができる。中間型530は、図4及び図5に示すように、下型520の入れ子型520bに上下方向に嵌合される孔部531を有している。この中間型530と下型520の入れ子型520bとの嵌合部位には、ガス抜き用に隙間を設けておくことができる。また、中間型530は、キャビティC内に充填された鋳鉄溶湯を加圧し得るように、上型510及び下型520の間で上下方向に移動可能とされている。中間型530は、台座43に支持される浮上用シリンダ44によって、下型520に対して0.3〜2mm程度浮上される。この中間型530と下型520の入れ子型520bとの嵌合部位には、ガス抜き用に隙間を設けておくことができる。
次いで、小型取鍋(31)を用いて鋳鉄溶湯をキャビティC内に所定時間内(例えば、0.6秒以内)に注湯する前記注湯工程を行う。図6は、鋳鉄溶湯がキャビティC内に充填された状態を表わしている。
その後、押圧用シリンダ45による湯口型540の押圧を解除してから、下型520に対して上型510を離間させて型開き状態とし、上型510に付いた鋳造品Dを取り外す。加圧後、鋳造品取り出しまでの時間は、20〜60秒程度とすることができる。
なお、上型510及び下型520を型開き状態とすると、浮上用シリンダ44の作用で中間型530が再び浮上される。以降、上述の作用が繰り返されて鋳造品Dが量産されることとなる。
使用した球状黒鉛鋳鉄の溶湯は、1510℃でMgを添加することにより、予め黒鉛球状化処理が施されている。真空処理は、上記球状化処理がされた温度1400℃以上の鋳鉄溶湯約110kgを取鍋21に受湯し、真空容器22に収容した。そして真空ポンプにより真空容器22内を減圧し、真空度9.6×10−3MPaにおいて90秒間保持した。
上記真空処理後の鋳鉄の成分を、表1に示す。CEメータによる分析から、上記鋳鉄の液相温度(初晶温度)は1185℃、共晶温度は1111℃と推定された。
注湯を開始してから0.6秒後に、金型を45tの荷重で押圧し、キャビティ内に充填されている鋳鉄溶湯の全体を加圧した。そして、加圧開始から25〜35秒経過後、上型を上昇させた。
比較例として、真空処理をしなかった場合の鋳造品のミクロ組織を図10に示す。前図と同様に、(a)は組織中に分布する球状黒鉛を表わし、(b)はエッチング処理後の組織を表わしている。図9と比べると、球状黒鉛及び基地組織が微細化されておらず、且つ不均一となっている。図9及び図10に示された結果から、主として真空処理による球状黒鉛鋳鉄組織の微細化の効果が大きいことが分かる。
以上のように、本低温鋳造方法における真空処理、低温溶湯を用いた瞬間注湯、及び加圧・高速急冷の総合的な効果によって、欠陥がなく、微細な組織で高強度な鋳造品を製造することができた。
Claims (11)
- 球状黒鉛鋳鉄の溶湯を所定の真空度に所定時間保つ真空処理工程と、
前記真空処理工程を行った後に、1350°C〜液相温度の温度範囲の前記溶湯を所定時間内に金型に注入する注湯工程と、
前記溶湯の注入後に前記金型のキャビティ全体を加圧する加圧工程と、
を備えることを特徴とする球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。 - 前記真空処理工程は、前記溶湯を10−3MPa〜10−1MPaの真空度において30秒〜150秒間保つ請求項1記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
- 前記真空処理工程を行った後、前記溶湯に接種材を0.001〜0.05質量%付加する接種工程を更に備える請求項1又は2に記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
- 前記加圧工程は、前記キャビティの内面に接する前記溶湯の温度が液相温度以下の所定温度となったときに加圧を開始する請求項1乃至3のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
- 前記加圧工程において前記金型の可動部の押圧による変位量を計測し、該変位量に対応して該押圧の荷重を変化させる請求項1乃至4のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
- 前記加圧工程において前記キャビティ内の溶湯を20°C/秒以上の冷却速度で高速急冷させる請求項1乃至5のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
- 球状黒鉛鋳鉄の溶湯を所定の真空度に所定時間保つ真空処理装置と、
前記真空処理装置から受湯した前記溶湯を、1350°C〜液相温度の温度範囲の前記溶湯を所定時間内に金型に注入する注湯装置と、
前記溶湯の注入後に前記金型のキャビティ全体を加圧する加圧装置と、
を備えることを特徴とする球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造装置。 - 前記真空処理装置は、前記溶湯を10−3MPa〜10−1MPaの真空度において30秒〜150秒間保つ請求項7記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造装置。
- 前記加圧装置は、前記キャビティの内面に接する前記溶湯の温度が液相温度以下の所定温度となったときに加圧を開始する請求項7又は8に記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造装置。
- 前記加圧装置は、前記金型の可動部の押圧による変位量を計測し、該変位量に対応して該押圧の荷重を変化させる請求項7乃至9のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造装置。
- 前記金型の前記キャビティを構成する部位に銅又は銅合金を用いる請求項7乃至10のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011019116A JP5756643B2 (ja) | 2011-01-31 | 2011-01-31 | 球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法及び低温鋳造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011019116A JP5756643B2 (ja) | 2011-01-31 | 2011-01-31 | 球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法及び低温鋳造装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012157886A true JP2012157886A (ja) | 2012-08-23 |
JP5756643B2 JP5756643B2 (ja) | 2015-07-29 |
Family
ID=46838869
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011019116A Active JP5756643B2 (ja) | 2011-01-31 | 2011-01-31 | 球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法及び低温鋳造装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5756643B2 (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101418923B1 (ko) * | 2013-10-11 | 2014-07-11 | 주식회사 디알액시온 | 중력 주조용 금형 |
CN106180660A (zh) * | 2016-08-15 | 2016-12-07 | 哈尔滨理工大学 | 铸钢件用冒口发热保温剂及其制备方法 |
KR101877511B1 (ko) * | 2017-09-29 | 2018-07-11 | 주식회사동방금속 | 공작기계용 합금주철 및 그 제조방법 |
WO2018191111A1 (en) * | 2017-04-10 | 2018-10-18 | Arconic Inc. | Pressure quench casting and forming apparatus and method |
US20220275467A1 (en) * | 2016-09-04 | 2022-09-01 | Tohoku University | Spherical graphite cast iron semi-solid casting method and semi-solid cast product |
CN115740360A (zh) * | 2022-11-30 | 2023-03-07 | 南京航空航天大学 | 冷冻砂型绿色铸造工业级高柔性模具快速制冷方法与装置 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106111949A (zh) * | 2016-08-15 | 2016-11-16 | 哈尔滨理工大学 | 一种铸造用发热保温剂 |
Citations (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61137665A (ja) * | 1984-12-08 | 1986-06-25 | Ngk Insulators Ltd | 成形用金型の加圧鋳造方法 |
JPS63104772A (ja) * | 1986-10-21 | 1988-05-10 | Kawasaki Steel Corp | 厚肉球状黒鉛鋳鉄の製造方法 |
JPH06246415A (ja) * | 1993-02-25 | 1994-09-06 | Kubota Corp | 強靱性ダクタイル鋳鉄管の遠心力鋳造法 |
JPH09174227A (ja) * | 1995-12-26 | 1997-07-08 | Kougi Kk | 球状黒鉛鋳鉄の成形方法 |
JP2000288716A (ja) * | 1999-04-06 | 2000-10-17 | Honda Motor Co Ltd | 耐熱性鉄系部品の金型鋳造方法 |
JP2001276962A (ja) * | 2000-03-29 | 2001-10-09 | Univ Nagoya | 耐摩耗性に優れた高強度過共晶鋳鉄の製造方法 |
JP2005232479A (ja) * | 2004-02-17 | 2005-09-02 | Nippon Steel Corp | 圧延鋳鉄およびその製造方法 |
JP2006045620A (ja) * | 2004-08-05 | 2006-02-16 | Muroran Institute Of Technology | 球状黒鉛鋳鉄の製造方法 |
JP2006122971A (ja) * | 2004-10-29 | 2006-05-18 | Nagoya Industrial Science Research Inst | 鋳鉄の鋳造方法 |
JP2006175492A (ja) * | 2004-12-24 | 2006-07-06 | Mie Katan Kogyo Kk | 消失模型鋳造法による鋳物の製造方法 |
-
2011
- 2011-01-31 JP JP2011019116A patent/JP5756643B2/ja active Active
Patent Citations (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61137665A (ja) * | 1984-12-08 | 1986-06-25 | Ngk Insulators Ltd | 成形用金型の加圧鋳造方法 |
JPS63104772A (ja) * | 1986-10-21 | 1988-05-10 | Kawasaki Steel Corp | 厚肉球状黒鉛鋳鉄の製造方法 |
JPH06246415A (ja) * | 1993-02-25 | 1994-09-06 | Kubota Corp | 強靱性ダクタイル鋳鉄管の遠心力鋳造法 |
JPH09174227A (ja) * | 1995-12-26 | 1997-07-08 | Kougi Kk | 球状黒鉛鋳鉄の成形方法 |
JP2000288716A (ja) * | 1999-04-06 | 2000-10-17 | Honda Motor Co Ltd | 耐熱性鉄系部品の金型鋳造方法 |
JP2001276962A (ja) * | 2000-03-29 | 2001-10-09 | Univ Nagoya | 耐摩耗性に優れた高強度過共晶鋳鉄の製造方法 |
JP2005232479A (ja) * | 2004-02-17 | 2005-09-02 | Nippon Steel Corp | 圧延鋳鉄およびその製造方法 |
JP2006045620A (ja) * | 2004-08-05 | 2006-02-16 | Muroran Institute Of Technology | 球状黒鉛鋳鉄の製造方法 |
JP2006122971A (ja) * | 2004-10-29 | 2006-05-18 | Nagoya Industrial Science Research Inst | 鋳鉄の鋳造方法 |
JP2006175492A (ja) * | 2004-12-24 | 2006-07-06 | Mie Katan Kogyo Kk | 消失模型鋳造法による鋳物の製造方法 |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101418923B1 (ko) * | 2013-10-11 | 2014-07-11 | 주식회사 디알액시온 | 중력 주조용 금형 |
CN106180660A (zh) * | 2016-08-15 | 2016-12-07 | 哈尔滨理工大学 | 铸钢件用冒口发热保温剂及其制备方法 |
CN106180660B (zh) * | 2016-08-15 | 2018-10-12 | 哈尔滨理工大学 | 铸钢件用冒口发热保温剂及其制备方法 |
US20220275467A1 (en) * | 2016-09-04 | 2022-09-01 | Tohoku University | Spherical graphite cast iron semi-solid casting method and semi-solid cast product |
US11920205B2 (en) * | 2016-09-04 | 2024-03-05 | Tohoku University | Spherical graphite cast iron semi-solid casting method and semi-solid cast product |
WO2018191111A1 (en) * | 2017-04-10 | 2018-10-18 | Arconic Inc. | Pressure quench casting and forming apparatus and method |
KR101877511B1 (ko) * | 2017-09-29 | 2018-07-11 | 주식회사동방금속 | 공작기계용 합금주철 및 그 제조방법 |
CN115740360A (zh) * | 2022-11-30 | 2023-03-07 | 南京航空航天大学 | 冷冻砂型绿色铸造工业级高柔性模具快速制冷方法与装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5756643B2 (ja) | 2015-07-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5756643B2 (ja) | 球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法及び低温鋳造装置 | |
JP6284048B2 (ja) | 半凝固溶湯鋳鍛造法 | |
US8486329B2 (en) | Process for production of semisolidified slurry of iron-base alloy and process for production of cast iron castings by using a semisolidified slurry | |
Maleki et al. | Effects of squeeze casting parameters on density, macrostructure and hardness of LM13 alloy | |
CN107150116B (zh) | 一种电磁调控自孕育处理制造大型铸锭的方法 | |
CN103691887B (zh) | 一种铸态使用的高锰钢衬板的铸造工艺 | |
WO2012083671A1 (zh) | 一种提高厚大断面铸坯自补缩能力的方法 | |
CN113399642B (zh) | 一种匀加速压室孕育半固态流变的压铸方法 | |
JP2010149129A (ja) | ダイカスト金型用ホルダー及びその製造方法 | |
JP3487315B2 (ja) | ダイカスト鋳造方法 | |
US20020170697A1 (en) | Method of manufacturing lightweight high-strength member | |
Wang et al. | Semisolid casting of AlSi7Mg0. 35 alloy produced by low-temperature pouring | |
TW201410359A (zh) | 鑄造的冷卻方法及其冷卻系統 | |
Midson et al. | A comparison of Thixocasting and Rheocasting | |
CN103866073B (zh) | 一种制造球化剂合金锭的成型模具和球化剂合金锭的制造方法 | |
JP2003126950A (ja) | 半溶融金属の成形方法 | |
JP7220428B2 (ja) | 球状黒鉛鋳鉄の鋳造品の製造方法 | |
KR100869525B1 (ko) | 응고제어에 의한 반응고 슬러리 제조방법 | |
CN104399939B (zh) | 一种大型环形钢坯的近固态压力成形方法 | |
RU2742544C1 (ru) | Способ получения высококачественных отливок из серого чугуна | |
Cardoso Legoretta et al. | Cooling slope casting to obtain thixotropic feedstock | |
JP3339333B2 (ja) | 溶融金属の成形方法 | |
WO2018043685A1 (ja) | 球状黒鉛鋳鉄の半凝固鋳造方法及び半凝固鋳造品 | |
JP3904335B2 (ja) | チクソキャスティング用Fe系合金材料およびそれを用いた鋳造方法 | |
Wang et al. | Research on semi-solid thixoforming process of AZ91D magnesium alloy brackets for generators in JH70-type motorbikes |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20121109 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140120 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140311 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140414 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20140617 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20141216 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150106 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150306 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150512 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150601 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5756643 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |