JP2012157886A - 球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法及び低温鋳造装置 - Google Patents

球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法及び低温鋳造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】金型を使用した精密鋳造により、鍛造に匹敵する高強度をもち、外部・内部欠陥を生じない球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法及び低温鋳造装置を提供する。
【解決手段】球状化処理された球状黒鉛鋳鉄の溶湯12を真空処理装置2に収容して所定の真空度に所定時間保つ真空処理工程と、真空処理工程を経た1350°C〜液相温度の温度範囲の溶湯を瞬間的に金型5に注入する注湯工程と、溶湯の注入後に加圧装置4を用いて金型5のキャビティC全体を加圧する加圧工程と、を備える。真空処理により球状黒鉛鋳鉄の溶湯が改質されるため、半凝固温度域を含む低温域の鋳鉄溶湯を金型内で加圧及び急速冷却することにより、微細な組織で高強度の球状黒鉛鋳鉄の鋳造品を得ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法及び低温鋳造装置に関する。詳しくは、金型を使用した精密鋳造であって、半凝固状態を含む低温域で鋳造することにより高強度で且つ欠陥を生じない球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法及び低温鋳造装置に関する。
鋳鉄は黒鉛が含まれるために鋳造性、耐摩耗性等に優れるものの、その機械的強度は黒鉛の量や形状、分布状態等に支配される。従来、鋳鉄に含まれる黒鉛を微細化し、均一に分布させるために攪拌、合金の添加等の処理が行われ、鋳鉄の機械的強度の改善が図られてきた。
例えば、亜共晶鋳鉄よりなる溶湯の冷却・凝固過程における半凝固状態で攪拌を加え、その際に晶出する初晶黒鉛および共晶組織を粉砕、分散させるとともに、この攪拌を、溶湯のFe−C−Si3元共晶温度域又はそれより若干高い温度まで継続して行い、その後ただちに冷却する鋳鉄の製造方法が開示されている(特許文献1を参照)。この製造方法によって、機械的強度、耐摩耗性に優れた亜共晶鋳鉄が得られるとされている。
また、マグネシウム等の金属溶湯を攪拌しつつ冷却し、半凝固状態で鋳造する方法は、溶解状態から鋳造するよりも均一な微細組織が得られるため、レオキャスト法をはじめ種々の処理技術が提案されている。そのような半凝固鋳造法を鋳鉄に適用した例として、溶解鋳鉄を傾斜冷却板上に流して半凝固状態まで冷却し、それを金型に直接流し込んで鋳造することにより、引張強度に優れ、伸びのある鋳鉄鋳物を得る鋳造方法が開示されている(特許文献2を参照)。この鋳造方法によれば、傾斜冷却板による冷却と湯流れ運動により、微細な初晶の晶出核が多数発生して結晶の微細化が図られるとされている。そして、鋳込み直後に加圧することによって、冷却が促進されるとともに凝固中の結晶組織が破壊され、更に結晶の微細化を図ることができるとされている。
また、鋳鉄を半凝固状態で鋳型に注湯すれば、冷却の際の熱膨張による体積の収縮量を低減させ、ひけ等の欠陥の発生を抑制することが可能になることが知られている。しかし、低温の鋳鉄溶湯を使用する場合、鋳込み時に湯流れ性が低下するという問題がある。さらに、従来行われている消失模型を使用した鋳造方法の場合には、鋳込み時に消失模型の発泡樹脂が分解されて発生するガスにより、湯流れ性が損なわれるという問題もあった。これを解決するために、低温(1250℃〜1330℃)の溶湯を砂鋳型に注湯し、鋳型を減圧する製造方法が開示されている(特許文献3を参照)。減圧によって分解ガスが吸引されるとともに湯流れ性がよくなるため、消失模型鋳造法において注湯温度を下げ、欠陥のない鋳物を製造することができるとされている。また、鋳型を減圧した後に加圧することによって、加圧された空気が鋳型内部を流れるため、冷却速度を上げることができるとされている。
特開2001−276962号公報 特開2006−122971号公報 特開2006−175492号公報
前記のように、従来、鋳鉄の溶湯に金属等の添加や接種処理を行い、攪拌等を行うことによって鋳鉄溶湯を粒状化させる処理は多く行われている。また、鋳鉄の溶湯を凝固温度に近い液相線温度付近に保ち、半凝固状態で粒状化された均一な凝固核を均一に分散させることは、均一な当軸晶の生成につながり、鋳鉄の強度を増すことが学問的には知られている。
鋳鉄のうち、鋳鉄組織中に黒鉛を球状に析出させるようにする球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄)は、引張り強さや伸びに優れ、鋼に匹敵する強度及び靱性を実現することができるため、自動車部品などに使用されている。この球状黒鉛鋳鉄は、よく知られているように、鋳鉄の溶湯中にマグネシウムMg又はMg合金を添加する等の処理(以下、「球状化処理」という。)によって製造され、添加されたMg等によって球状黒鉛の生成が促進される。
しかし、この球状黒鉛鋳鉄の高強度化を目的に、鋳鉄に特殊な金属等を添加(合金化)することは、省資源・省コストとならない。また、合金化するためには高温で溶解させる必要があり、そのエネルギー原単位も高い。したがって、特殊な金属等を使用することなく、球状黒鉛及び基地組織を微細化し、均一な分布を得ることが求められている。
球状黒鉛鋳鉄の鋳造に際して、前記従来例のように、溶解状態から半凝固状態に至るまでの溶湯を攪拌(機械的攪拌又は電磁的攪拌等)する処理により微細化・均一化を図ることが可能となるが、そのまま連続して鋳造するためには、注湯時及び造形加工時の組織や温度の分布を制御する必要があった。また、傾斜冷却板を使用した処理を行おうとする場合であっても、鋳造ラインにおいて、鋳込みから造形加工時までの実用的な制御・管理は困難であった。球状黒鉛鋳鉄の高強度化のためには、鋳鉄の溶湯状態はもとより、鋳込みから冷却に至るまでの組織状態及び温度分布の総合的な制御が課題となる。
とくに、鋳鉄は、半凝固温度範囲(固液共存域)が狭く、高い温度域での処理であるので、温度の制御及び半凝固状態での固相の均一な分散の制御が困難である。したがって、鋳型の素材及び構造を含み、造形加工時の温度及び粒状化が均一な分布となるように制御することが、安定した鋳物作りには重要な課題であった。
また、鋳造は通常大気圧下で行われるので、巣の抑制や転写性にはおのずと限界がある。鋳鉄を低温で鋳型に注湯すれば、前記のとおり、ひけ等の欠陥の発生を抑制することができる。しかし、球状黒鉛鋳鉄の溶湯を低温度(例えば、1300℃以下)で鋳造しようとすると、湯流れ性の悪さから、湯回り不良やガス巣など、鋳物の外部・内部に欠陥が生じるという問題があった。このため、球状黒鉛鋳鉄を、半凝固状態を含む低温域で鋳造するには、湯流れ性の改善が重要な課題であった。
なお、砂型を使用し、低温注湯と減圧を行う前記従来例の消失模型鋳造法(特許文献3を参照)では、加圧により強制冷却しても解枠まで長時間を要するという問題がある。また、砂型を用いた鋳造と同様の解決手段を、本発明が目指す金型を用いた精密鋳造に適用することはできない。砂型の場合に比べて、金型に注湯した溶湯の冷却速度は数十倍速く、半凝固状態にある時間は著しく短い等という相違があるからである。
本発明は、前記現状に鑑みてなされたものであり、金型を使用した精密鋳造により、鍛造に匹敵する高強度をもち、欠陥を生じない球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法及び低温鋳造装置を提供することを目的とする。
本発明は以下の通りである。
1.球状黒鉛鋳鉄の溶湯を所定の真空度に所定時間保つ真空処理工程と、前記真空処理工程を行った後に、1350°C〜液相温度の温度範囲の前記溶湯を所定時間内に金型に注入する注湯工程と、前記溶湯の注入後に前記金型のキャビティ全体を加圧する加圧工程と、を備えることを特徴とする球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
2.前記真空処理工程は、前記溶湯を10−3MPa〜10−1MPaの真空度において30秒〜150秒間保つ前記1.記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
3.前記真空処理工程を行った後、前記溶湯に接種材を0.001〜0.05質量%付加する接種工程を更に備える前記1.又は2.に記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
4.前記加圧工程は、前記キャビティの内面に接する前記溶湯の温度が液相温度以下の所定温度となったときに加圧を開始する前記1.乃至3.のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
5.前記加圧工程において前記金型の可動部の押圧による変位量を計測し、該変位量に対応して該押圧の荷重を変化させる前記1.乃至4.のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
6.前記加圧工程において前記キャビティ内の溶湯を20°C/秒以上の冷却速度で高速急冷させる前記1.乃至5.のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
7.球状黒鉛鋳鉄の溶湯を所定の真空度に所定時間保つ真空処理装置と、前記真空処理装置から受湯した前記溶湯を、1350°C〜液相温度の温度範囲の前記溶湯を所定時間内に金型に注入する注湯装置と、前記溶湯の注入後に前記金型のキャビティ全体を加圧する加圧装置と、を備えることを特徴とする球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造装置。
8.前記真空処理装置は、前記溶湯を10−3MPa〜10−1MPaの真空度において30秒〜150秒間保つ前記7.記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造装置。
9.前記加圧装置は、前記キャビティの内面に接する前記溶湯の温度が液相温度以下の所定温度となったときに加圧を開始する前記7.又は8.に記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造装置。
10.前記加圧装置は、前記金型の可動部の押圧による変位量を計測し、該変位量に対応して該押圧の荷重を変化させる前記7.乃至9.のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造装置。
11.前記金型の前記キャビティを構成する部位に銅又は銅合金を用いる前記7.乃至10.のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造装置。
本発明の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法によれば、球状黒鉛鋳鉄の溶湯を所定の真空度に所定時間保つ真空処理工程を備えるため、溶湯中の球状黒鉛を均一に微細化することができ、溶湯を脱酸するとともに酸化物を除去することができる。これらによって、湯流れ性を高めることが可能になる。そして、真空処理工程を行った球状黒鉛鋳鉄の溶湯を、1350°C以下かつ液相温度以上の状態で所定時間内に金型に注入する注湯工程を備えるため、低温域の広い温度範囲に対応することができる。また、真空処理により湯流れ性が改善された溶湯が金型内に瞬間注湯されるため、キャビティ(鋳型空間)に充填された鋳鉄溶湯を、好ましい固相率で均一な分布とすることができる。更に、前記溶湯の注入後、前記金型のキャビティ全体を加圧する加圧工程を備えるため、キャビティ内で半凝固状態となった溶湯は加圧とともに急冷され、加圧及び高速急冷効果によって球状黒鉛鋳鉄組織を微細化させることができる。本低温鋳造方法は、以上の真空処理、瞬間注湯及び全体加圧プロセスを結合させているため、低温の球状黒鉛鋳鉄の溶湯を用いて、高強度で、外部欠陥や引け巣等内部欠陥がない鋳造品を形成することが可能になる。本発明により行う低温鋳造は、鋳鉄の鋳造を鍛造の技術分野につなげる精密鋳造である。
前記真空処理工程は、前記溶湯を10−3MPa〜10−1MPaの真空度において30秒〜150秒間保つ場合には、生産性を損なうことなく、鋳鉄溶湯の改質(粒状黒鉛の微細化・均一化、脱酸、酸化物の除去、湯流れ性の改善)を充分に達成することができる。
前記真空処理工程を行った後、前記溶湯に接種材を0.001〜0.05質量%付加する接種工程を更に備える場合には、前記真空処理により溶湯の改質がされているため、従来行われている接種よりも大幅に少ない接種材(1/10〜1/100程度)を用いるだけで、鋳鉄溶湯の組織の微細化・均一化を達成することができ、鋳造品の高強度化を図ることができる。
前記加圧工程は、前記キャビティの内面に接する前記溶湯の温度が液相温度以下の所定温度となったときに加圧を開始する場合には、キャビティ内の溶湯の冷却特性に応じて、好ましい固相率の状態となるタイミングで加圧することができる。
前記加圧工程において前記金型の可動部の押圧による変位量を計測し、該変位量に対応して該押圧の荷重を変化させる場合には、キャビティ内の溶湯の凝固が進んだときには押圧荷重を減少させるように制御をすることができるため、加圧装置の負担を減らし、小型・低荷重の加圧装置を使用することができる。
前記加圧工程において前記キャビティ内の溶湯を20°C/秒以上の冷却速度で高速急冷させる場合には、その高速急冷効果により、従来の半凝固鋳造法に匹敵する高強度化を図ることが可能になる。前記金型のキャビティを構成する部位に銅又は銅合金を用いることにより、充分な高速急冷効果を得ることができる。
本発明の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造装置によれば、上記の低温鋳造方法の効果を発揮させるに好適かつ実用的な低温鋳造装置を実現することができる。
球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法を行うための低温鋳造装置の構成例を表わす図である。 金型キャビティ内の鋳鉄の温度変化(冷却曲線)を示すグラフである。 加圧工程において金型の可動部の押圧による変位量を計測し、その変位量に対応して押圧のための荷重を変化させる例を表わすグラフである。 金型及び加圧装置の要部の構造を説明する縦断面図である。 金型を構成する上型、下型及び中間型の分解斜視図である。 金型のキャビティに鋳鉄溶湯が充填された状態を表わす断面図である。 実施例のキャップ部品の形状を示す画像である。 実施例のキャップ部品の断面のマクロ組織を表わす画像である。 実施例の鋳造品のミクロ組織を表わす画像であり、(a)は組織中の球状黒鉛の分布、(b)はエッチング後の組織である。 比較例の鋳造品のミクロ組織を表わす画像であり、(a)は組織中の球状黒鉛の分布、(b)はエッチング後の組織である。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
本発明の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法及び低温鋳造装置は、球状黒鉛鋳鉄溶湯の真空処理と、その真空処理後を行った低温度域の溶湯の金型への瞬間的な注湯と、金型のキャビティ内に充填された溶湯の加圧と、を結合させたプロセスにより、半凝固域を含む低温域の球状黒鉛鋳鉄の溶湯を使用して、高強度で、引け巣等欠陥がない鋳造品を製造するものである。
前記「球状黒鉛鋳鉄」は、鋳鉄組織中に黒鉛が球状になっているものであり、その球状化処理の方法は特に問わない。例えば、鋳鉄溶湯にマグネシウム(Mg)等を添加する公知の方法を用いることができる。本低温鋳造においては、この黒鉛球状化処理済みの鋳鉄溶湯に真空処理を施す。
黒鉛球状化処理済みの鋳鉄溶湯に真空処理を施すことによって、溶湯の改質を図ることができる。すなわち、溶湯が脱酸されるとともに酸化物が除去され、球状黒鉛と基地組織が均一化及び微細化される。このように真空処理された球状黒鉛鋳鉄の溶湯は、液相温度付近まで湯流れ性が良好なので、低温度域での鋳造が可能になる。
前記「低温鋳造」とは、液相温度以上で液相温度に近い温域域(例えば、1350℃以下かつ液相温度以上)の溶湯を金型に注入し、液相温度から共晶温度までの温度範囲にある球状黒鉛鋳鉄の成型を行うことを意図する。すなわち、ここでいう低温鋳造は、半凝固状態の温度範囲における鋳造(半凝固鋳造)を含む。半凝固状態とは、凝固相(固相)と液相との共存状態をいう。
半凝固鋳造を行うための球状黒鉛鋳鉄の温度域は、鉄−炭素−珪素系金属状態図の上で、液相温度から共晶凝固完了温度(共晶温度)までで推定される。実測例では、液相温度1185℃、共晶温度1111℃であり、その間の74℃の温度域で固液共存状態となる。その液相温度から共晶温度に向かって、凝固相の割合(固相率)は0%から100%へ増えていく。
一般に凝固相の割合はシャイル式に基づいて近似計算することができる。上記の例では、固相率30%となる温度は1141℃と計算される。そうすると、目標固相率を30%として半凝固鋳造を行うためには、液相温度1185℃から1141℃までの44℃の狭い温度域で、均一な温度に制御することが求められることとなり、従来その制御が極めて困難であった。
本低温鋳造においては、前記真空処理により球状黒鉛と基地組織が均一化及び微細化され、湯流れ性が改善されているため、比較的高い温度(例えば、1350℃)から液相温度付近までの広い温度範囲で、金型に瞬間注湯することによってキャビティ(鋳型空間)内に溶湯の均一な分布を得ることができる。そして、液相温度付近から固相率の高い共晶温度付近までの範囲の所定温度で、キャビティ内に充填された溶湯を加圧して成型することができる。例えば、目標固相率(例えば30%)となる状態を基準として加圧することにより、鋳鉄溶湯の液相中に、固液共存状態で粒状化された当軸晶と初晶デンドライトを細かく分断させた状態で晶出させることができる。この半凝固溶湯により、細かい当軸晶の分布と、分断された細かいデンドライトによって組織された高強度な鋳物が鋳造される。
金型のキャビティに充填された鋳鉄は、加圧と、熱伝導率の大きい金型とによって、急速に冷却されて凝固する。急速に冷却(例えば、冷却速度20℃/秒以上)することによって、通常の半凝固鋳造法に匹敵する鋳鉄の高強度化を図ることが可能であり、これを「高速急冷」効果と呼ぶ。したがって、本低温鋳造は、低温域の鋳鉄溶湯を使用し、加圧及び急速冷却により成型を行う高速急冷鋳造である。
また、以上の鋳造方法により、従来の半凝固温度域の溶湯を用いる半凝固鋳造よりもはるかに広い温度範囲で球状黒鉛鋳鉄の鋳造を行うことが可能になるため、鋳造時の溶湯の温度制御・管理を容易化することができる。
次に、本球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法の工程を具体的に説明する。本低温鋳造方法を行うための低温鋳造装置の概略構成を図1に示す。本低温鋳造装置1は、真空処理装置2、注湯装置3、金型5及び加圧装置4を備える。
(真空処理工程)
既に黒鉛の球状化処理がされた球状黒鉛鋳鉄の高温(例えば、1400°C以上)の溶湯12は、取鍋21に入れられている。真空処理工程は、その取鍋21を真空容器22内に収容し、真空容器22内の空気を排出(A)して減圧する。真空処理工程は、上記球状黒鉛鋳鉄の溶湯12を所定の真空度に所定時間保つ工程である。真空容器22内の到達真空度は、10−3MPa〜10−1MPaの範囲とすることが好ましい(更に好ましくは、10−3MPa〜10−2MPa)。到達真空度を10−3MPaよりも高い真空度とすることは装置が大がかりとなるばかりでなく生産性を損なうこととなる。一方、10−1MPaよりも低い真空度とすると、目的とする溶湯の改質が十分に達成されないからである。真空度はとくに厳密である必要はない。
上記到達真空度において、鋳鉄溶湯12を30秒〜150秒間保つ。例えば、真空度が10−3MPaの場合には30〜60秒間(好ましくは、60秒間)、真空度が10−1MPaの場合には150秒間程度保つようにすればよい。
従来、半凝固鋳造に供される溶湯は、組織を微細化・粒状化させるために機械攪拌や電磁攪拌等の処理がなされる場合があった。しかし、本低温鋳造方法では、上記真空処理において溶湯12にバブリングが発生するため、機械攪拌等を要しない。このバブリングは鋳鉄溶湯12中のガスが除去される際に発生するものであり、機械攪拌等をしなくても、バブリングによって溶湯12の攪拌、脱酸、及び酸化膜(SiO)の除去等がされる。また、鋳鉄溶湯12中の球状黒鉛の粒径が微細化され、低温(半凝固)鋳造に適した改質が促進される。
上記バブリングを発生させるガスは、主として、1100°Cで気化するMgの気体と考えられる。このバブリングを効果的に発生させるため、真空処理工程に導入される球状黒鉛鋳鉄の溶湯には、Mgが0.035質量%以上含まれていることが好ましい。その場合、バブリングにより、真空処理後の溶湯に含まれるMgは、0.030質量%以下とすることができる。
従来、鋳鉄組織の均一化・微細化を図るために、溶湯には公知の接種材(FeSi、CaSi等)が付加されている。通常、2回の接種を行う場合、1回目(取鍋接種)には0.1〜0.3質量%程度の接種材が投与され、2回目(湯口接種)には0.01〜0.05質量%程度の接種材が投与される。
本低温鋳造方法においても、上記真空処理後の溶湯に接種材を付加する接種工程を備えることにより、鋳鉄組織の均一化・微細化を図ることができる。ここで、本鋳造方法の場合には前記真空処理によって溶湯の性状が改善されているため、接種工程で使用する接種材の量を0.001〜0.05質量%とすることができる。すなわち、接種量を従来に比べて1/10〜1/100程度に減らすことができる。例えば、取鍋接種において0.01〜0.05質量%、湯口接種において0.001〜0.005質量%の接種材を使用するだけでよい。また、この接種の回数は2回に限らず、1回とすることもできる。
(注湯工程)
上記真空処理後の球状黒鉛鋳鉄の溶湯13は、小型取鍋31に受湯される。注湯工程は、上記真空処理後の鋳鉄溶湯13を液相温度に近い低温度で、金型5のキャビティ内に瞬間的に注入する工程である。鋳鉄溶湯13は真空処理を経ているため、通常の球状黒鉛鋳鉄の溶湯に見られる酸化膜が少なくなるとともに、湯流れ性がよくなっている。この湯流れ性の改善によって、金型への注湯時の溶湯温度を低くすることができる(例えば、1350℃以下)。また、注湯工程における金型への注湯時間をより短くし、キャビティ内で鋳鉄溶湯の均一な分布を得ることができ、鋳造品の外部欠陥及び内部欠陥の発生を防止することが可能になる。
真空処理の後、鋳鉄溶湯13は、1350°C以下かつ液相温度(例えば、1185℃)以上の温度範囲内において、所定温度とされる。この温度範囲は、半凝固温度域よりも広い温度範囲である。
具体的には、例えば、高温(1000℃程度)に予熱した小型取鍋31に、真空容器22内に収容されていた取鍋21から金型1枠分の溶湯を計量して受湯し、温度計により鋳鉄溶湯13の温度を計測する。上記所定温度は、溶湯量、金型の素材や予熱温度、鋳造方案、鋳造条件等によって適宜に設定することができる(例えば、1300±10℃)。
小型取鍋31の鋳鉄溶湯13は、上記所定温度となったときに金型5に注入される。このため、注湯装置3は、例えば湯口型54の湯口に向かって小型取鍋31を傾動可能な構造としておくことができる。鋳鉄溶湯13の金型5への注入は、所定時間内に行う。この注入時間は可能な限り短く、いわゆる瞬間注湯とすることが好ましい。鋳鉄溶湯13は、低温であっても、先の真空処理によって湯流れ性が改善されているため、瞬間注湯に好適である。上記注入時間は、溶湯量や金型構造など鋳造条件に合わせて、最短となるように設定することができる。例えば、2kg程度の湯量の場合、上記所定時間は0.5〜1秒(好ましくは、0.5〜0.6秒)程度とすることができる。
図1には、金型5が模式的に表わされている。金型5は、連絡部41を介して駆動装置(図示せず)によって互いに近接・離反可能とされる上型51及び下型52を備え、その間にキャビティCが形成される。そして、キャビティC内に充填された鋳鉄溶湯の全体を加圧することができるように、上型51と下型52との間で上下方向に移動可能とされる中間型53を備えている。
注湯時の溶湯の温度降下を防ぐため、金型5の湯口型54は、断熱砂型等で構成されることが好ましい。また、加圧時の急冷効果を高めるために、金型5のキャビティを構成する部位は、とくに熱伝導率の高い金属素材(例えば、銅又は銅合金等)を用いて形成されることが好ましい。
湯口から注入されキャビティCに充填された鋳鉄溶湯の温度及び組織の分布は、均一に近いことが好ましい。本注湯工程で注入される球状黒鉛鋳鉄の溶湯は、前記真空処理によって球状黒鉛及び組織の微細化・均一化が図られており、湯流れ性が向上している。そして、その溶湯が、所定温度で短時間に注湯されるため、キャビティCに充填された溶湯の温度及び組織の分布を均一に近付けることができ、均一な黒鉛粒径と均一なミクロ組織を得ることができる。
(加圧工程)
加圧工程は、前記注湯工程により金型5に球状黒鉛鋳鉄の溶湯が注入された後、金型5のキャビティCに充填された鋳鉄溶湯の全体を加圧する工程である。
従来、鋳造品の引け巣等の欠陥が生じるのを防止するため、湯口部をピンで押圧する等の方法が用いられている。しかし、比較的高温である湯口部を押圧しても、圧力は押圧面から浅い範囲(数mm程度)にしか作用しない。また、固相率が高くなる(30%程度を超える)と、一部を押圧しても溶湯は動かなくなる。その結果、加圧が不均一となり、鋳物に巣が生じるという問題があった。
本鋳造方法では、前記注湯工程により湯流れ性のよい低温の鋳鉄溶湯が注入されるため、キャビティC内の鋳鉄は均一性の高い半凝固組織となる。そして、本加圧工程では、キャビティCの全面、すなわちキャビティC内に充填された半凝固状態の鋳鉄全体に対して圧力を加える。この加圧によって、球状黒鉛鋳鉄の基地組織が更に微細化されるとともに、金型によって冷却される。通常、鋳鉄の凝固相は長く方向性を持つデンドライトを形成するが、前記のとおり、半凝固状態における加圧及び高速急冷効果によって、デンドライトは破壊され短くなる。これによって、高強度で、且つ巣等の欠陥のない鋳造品を形成することができる。
言うまでもなく、鋳鉄は液相温度(例えば1185℃)以上であれば圧力に応じて流動するが、共晶温度(例えば1111℃)まで下がると流動しない。このため、例えば、1300℃の鋳鉄溶湯がキャビティC内に注入された後、充填された鋳鉄溶湯が液相温度以下となったとき、すなわち半凝固状態となる温度範囲(例えば1185〜1111℃)の所定温度となったとき、キャビティ全体の加圧を開始するようにする。ここで、所定温度は、例えば固相率が30%となる温度を基準とし、鋳造方案や実測等に基づいて定めることができる。キャビティC内の溶湯の温度は、溶湯がキャビティ面に接する部位に温度センサを備えて計測するようにすることができる。
図2は、約1200℃の溶湯を、銅を使用して形成されたキャビティC内に注入したときの温度変化(冷却曲線)を測定した例を示している。グラフにおいて横軸は時間を表わし、縦軸はキャビティ内の鋳鉄の中心部の温度を表わしている。この冷却曲線から明らかなように、金型のキャビティに瞬間注入(注入時間0.6秒)された鋳鉄溶湯は、極めて短時間で温度が降下する。図2の場合、液相温度Tは1162℃、共晶温度Tは1096℃であり、半凝固状態にある時間tは2.7秒と著しく短い。
したがって、加圧は、上記半凝固状態に応じたタイミングにより行う必要がある。この半凝固温度域において均一に加圧するために最適なタイミングは、前記注湯工程における瞬間注湯の開始時からの時間等に基づいて制御が可能である。最適な加圧タイミングは、溶湯量、金型の素材や予熱温度、鋳造方案、鋳造条件等によって異なるが、試作鋳造品の欠陥や組織の分析等により決定することができる。例えば、注湯開始後0.3〜2.5秒の範囲であらかじめ定めたタイミングにより、加圧を開始するように制御することが可能である。
なお、砂型を使用した場合には、半凝固状態にある時間(t)は、金型を使用する場合に比べて大幅に長い(実測例では、70〜160秒程度)。
キャビティC内に充填された半凝固状態の鋳鉄全体に対する加圧は、例えば、図1に表わされた上型51を下型52方向に押圧(P)することによって行うことができる。加圧力は、18MPa未満とすることができる。この加圧のために上型51を押圧する構造は、特に限定されない。例えば、後述するように湯口型54を押圧し、その湯口型54を介して上型51を下型52方向に押圧する構造が挙げられる。この押圧をするための最適な荷重は、上記の加圧タイミングと同様、鋳造条件等によって決定することができる。例えば、後述の実施例の場合には、荷重を45tとしている。
上記押圧のために加える荷重は、金型の可動部の荷重による変位量(例えば、上型51の下方への変位量)を計測し、その変位量又は変位速度に応じて変化させるようにしてもよい。図3は、金型の可動部の変位量(横軸)に対して押圧荷重(縦軸)を変化させる例を示す。変位量は、荷重を加える前の位置を基準として計測することができる。このように押圧荷重を制御すれば、キャビティ内の鋳鉄の固相率が低い状態で最大荷重をかけ、固相率の上昇に伴って荷重を減少させることができるため、小型の加圧装置を使用し、小さな最大荷重により効果的に加圧することが可能となる。
また、キャビティ部は熱伝導性に優れた金属素材で形成されているため、キャビティの全面を加圧することによって半凝固状態の鋳鉄が急速に冷却され、高速急冷効果を得ることができる。図2に示した冷却曲線では、約20°C/秒の冷却速度である。半凝固状態の鋳鉄の凝固相は、長く方向性を持つデンドライトを形成するが、加圧及び高速急冷効果によってデンドライトは破壊されて短くなり、球状黒鉛鋳鉄組織はさらに微細化される。組織の微細化は、球状黒鉛鋳鉄の鋳物の高強度化につながる。
また、加圧により、球状黒鉛鋳鉄に特有なマッシイ(かゆ状)凝固に対してはマスフィーディング(質量補給)作用が生じ、その引け巣防止効果で、鋳物の内部欠陥の発生を抑制することができる。
以上のように、加圧工程における加圧及び急冷の効果として、高強度でかつ欠陥のない球状黒鉛鋳鉄の鋳物製造が可能になる。
(低温鋳造装置)
本発明の低温鋳造装置は、以上に説明した低温鋳造方法を行うために好適かつ実用的な装置を実現するものである。本低温鋳造装置は、例えば図1に示すように、球状黒鉛鋳鉄の溶湯を所定の真空度に所定時間保つ真空処理装置2と、真空処理装置2から受湯した鋳鉄溶湯を、1350°C以下かつ液相温度以上の温度範囲で所定時間内に金型5に注入する注湯装置3と、鋳鉄溶湯の注入後、金型5のキャビティC全体を加圧する加圧装置4と、を備える。
真空処理装置2は、真空容器22内に断熱構造の取鍋21を収容するように構成される。真空処理装置2は、前記溶湯を好ましくは10−3MPa〜10−1MPa(更に好ましくは、10−3MPa〜10−2MPa)の真空度において30秒〜150秒間保つように制御される。真空処理装置2により、前記真空処理工程が行われる。
注湯装置3は、例えば金型1枠分の溶湯を計量して真空処理用取鍋21から小型取鍋31に受湯し、その溶湯13が所定の温度となったことが計測されたとき、所定時間内に金型5のキャビティC内に注入(瞬間注湯)するように構成される。このため、注湯装置3は、所定時間内に金型に溶湯を注入するように、小型取鍋31を金型の湯口に向かって傾動させる構造とすることができる。この注湯装置3により、前記注湯工程が行われる。
加圧装置4は、上記注湯の開始時からの時間に基づいて、金型5のキャビティ内に充填された鋳鉄溶湯の全体に所定の圧力を加えるように構成される。加圧装置4により、前記加圧工程が行われる。
上記金型及び加圧装置は、例えば、図4〜6に示すような構造とすることができる。図4は、金型及び加圧装置の要部の構造を説明する断面図であり、図5は、金型の構成を説明する分解斜視図である。金型50は、上型510、下型520及び中間型530を備えており、これらの間にキャビティCが形成される。上型510は、連絡部41を介して図示しない駆動機構(例えば、流体圧シリンダ等)に連絡され、その駆動機構により下型520に対して近接・離反し得るようにされている。また、中間型530を下型520に対して浮上させる浮上用シリンダ44を備えている。この他、金型を予熱するためのヒータ等(図示せず)を備えることができる。
上型510は、剛性に優れた熱間工具鋼製(例えば、SDK61製等)とすることができる。
下型520は、台座43上に配置される熱間工具鋼製(例えば、SDK61製等)の本体型520aと、この本体型520a上に設けられた複数の入れ子型520bとから構成されている。更に、入れ子型520bは、図5に示すように、銅合金製(例えば、クロム鋼製等)の内側分割型521と、この内側分割型521に上下方向に嵌合される熱間工具鋼製(例えば、SDK61製等)の外側分割型522とから構成されている。内側分割型521と外側分割型522との嵌合部位の間には、ガス抜き用に0.2mm程度の隙間(図示せず)を設けておくことができる。
中間型530は、熱間工具鋼製(例えば、SDK61製等)とすることができる。中間型530は、図4及び図5に示すように、下型520の入れ子型520bに上下方向に嵌合される孔部531を有している。この中間型530と下型520の入れ子型520bとの嵌合部位には、ガス抜き用に隙間を設けておくことができる。また、中間型530は、キャビティC内に充填された鋳鉄溶湯を加圧し得るように、上型510及び下型520の間で上下方向に移動可能とされている。中間型530は、台座43に支持される浮上用シリンダ44によって、下型520に対して0.3〜2mm程度浮上される。この中間型530と下型520の入れ子型520bとの嵌合部位には、ガス抜き用に隙間を設けておくことができる。
前記加圧工程を中心に、上記金型及び加圧装置の作用を以下に説明する。図4に示した型開き状態において、上型510、下型520及び中間型530が前記ヒータによって予熱される。次に、下型520に対して上型510を近接させて上型510、下型520及び浮上用シリンダ44により浮上状態の中間型530の間にキャビティCを形成する。この状態で、図6に示すように、上型510の中心孔を介して中間型530上に湯口型540を載置し、湯口型540を押圧用シリンダ45で上型510に押圧して浮き上がりを防止する。押圧用シリンダ45は、加圧装置4の固定側(例えば、枠体等)に設けられており、湯口型540を下方に押圧するように荷重を加える。
次いで、小型取鍋(31)を用いて鋳鉄溶湯をキャビティC内に所定時間内(例えば、0.6秒以内)に注湯する前記注湯工程を行う。図6は、鋳鉄溶湯がキャビティC内に充填された状態を表わしている。
その後、図6に示すように、上記注湯開始後又は注湯完了後の所定のタイミング(例えば、注湯開始後0.5秒)で押圧用シリンダ45により荷重(例えば、45t)を加え、浮上用シリンダ44の浮上力に抗して下型520に対して上型510を更に近接させる。すると、上型510とともに中間型530が下方に移動して、キャビティC内の鋳鉄溶湯の全体が所定の圧力で加圧され、複数の鋳造品Dが成型される。前記のとおり、上型510の変位量を計測し、その変位量又は変位速度に応じて上記押圧の荷重を変化させるように制御してもよい。
その後、押圧用シリンダ45による湯口型540の押圧を解除してから、下型520に対して上型510を離間させて型開き状態とし、上型510に付いた鋳造品Dを取り外す。加圧後、鋳造品取り出しまでの時間は、20〜60秒程度とすることができる。
なお、上型510及び下型520を型開き状態とすると、浮上用シリンダ44の作用で中間型530が再び浮上される。以降、上述の作用が繰り返されて鋳造品Dが量産されることとなる。
以下に、本発明の実施例を説明する。本実施例の低温鋳造装置の全体は図1に示したように構成されており、図4〜6に示した金型及び加圧装置を使用した。実施例の鋳造は、図7に示すような外観のキャップ部品を2個取りするものである。1個のキャップ部品は、底面(図7において下方)が約73mm×73mm、高さが約46mmであり、底面に凹部が設けられている。質量は約1.0kgである。
使用した球状黒鉛鋳鉄の溶湯は、1510℃でMgを添加することにより、予め黒鉛球状化処理が施されている。真空処理は、上記球状化処理がされた温度1400℃以上の鋳鉄溶湯約110kgを取鍋21に受湯し、真空容器22に収容した。そして真空ポンプにより真空容器22内を減圧し、真空度9.6×10−3MPaにおいて90秒間保持した。
上記真空処理後の鋳鉄の成分を、表1に示す。CEメータによる分析から、上記鋳鉄の液相温度(初晶温度)は1185℃、共晶温度は1111℃と推定された。
次に、上記真空処理がされた鋳鉄溶湯1枠分(約2kg)を、約1000℃に保温された小型取鍋31に受湯し、溶湯が1300℃となったとき接種(0.05質量%)を行い、200℃程度に予熱された金型に瞬時に注入した。注湯時間は0.5秒である。
注湯を開始してから0.6秒後に、金型を45tの荷重で押圧し、キャビティ内に充填されている鋳鉄溶湯の全体を加圧した。そして、加圧開始から25〜35秒経過後、上型を上昇させた。
図8に、上記工程によって鋳造されたキャップ部品の断面のマクロ組織画像を示す。これから明らかなように、鋳造品の内部及び外部に欠陥は発見されない。真空処理による湯流れ性の改善、真空処理・瞬間注湯・加圧成型による組織の微細化及び均一化によって、鋳造品の外観不良や割れ、内部巣等の欠陥の発生を抑えることができた。
図9は、上記工程によって鋳造されたキャップ部品のミクロ組織の画像である。同図(a)は組織中に分布する球状黒鉛を表わし、(b)はエッチング処理後の組織を表わしている。この組織の球状化率は約90%、チル組織は約20%、デンドライト長は約100μであり、均一かつ微細な組織構造が実現されている。
比較例として、真空処理をしなかった場合の鋳造品のミクロ組織を図10に示す。前図と同様に、(a)は組織中に分布する球状黒鉛を表わし、(b)はエッチング処理後の組織を表わしている。図9と比べると、球状黒鉛及び基地組織が微細化されておらず、且つ不均一となっている。図9及び図10に示された結果から、主として真空処理による球状黒鉛鋳鉄組織の微細化の効果が大きいことが分かる。
上記鋳造品の強度を測定した結果は、表2に示すようになった。比較例として、砂型を使用して鋳造した従来の球状黒鉛鋳鉄の強度測定例を挙げる。いずれも、オーステンパー処理(恒温変態処理)後の強度を示している。従来の球状黒鉛鋳鉄と比較して、実施例の鋳造品は、伸びが約1.7倍となっており、靱性に優れていることが分かる。また、比較例に比べて硬度が7%程度低く、加工性において優れている。これらから、本球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法によって得られた鋳造品は、従来の球状黒鉛鋳鉄に比べて靱性に優れ、低合金鋼と同等の高い靱性を有しているといえる。また、硬度も低合金鋼と同等であるが、鋳鉄の特性を生かした切削性に優れた高強度材料であるといえる。
以上のように、本低温鋳造方法における真空処理、低温溶湯を用いた瞬間注湯、及び加圧・高速急冷の総合的な効果によって、欠陥がなく、微細な組織で高強度な鋳造品を製造することができた。
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。
1;低温鋳造装置、2;真空処理装置、21;取鍋、22:真空容器、3;注湯装置、31;小型取鍋、4;加圧装置、5;金型、51、510;上型、52、520;下型、53、530;中間金型、54;湯口型、C;キャビティ。

Claims (11)

  1. 球状黒鉛鋳鉄の溶湯を所定の真空度に所定時間保つ真空処理工程と、
    前記真空処理工程を行った後に、1350°C〜液相温度の温度範囲の前記溶湯を所定時間内に金型に注入する注湯工程と、
    前記溶湯の注入後に前記金型のキャビティ全体を加圧する加圧工程と、
    を備えることを特徴とする球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
  2. 前記真空処理工程は、前記溶湯を10−3MPa〜10−1MPaの真空度において30秒〜150秒間保つ請求項1記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
  3. 前記真空処理工程を行った後、前記溶湯に接種材を0.001〜0.05質量%付加する接種工程を更に備える請求項1又は2に記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
  4. 前記加圧工程は、前記キャビティの内面に接する前記溶湯の温度が液相温度以下の所定温度となったときに加圧を開始する請求項1乃至3のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
  5. 前記加圧工程において前記金型の可動部の押圧による変位量を計測し、該変位量に対応して該押圧の荷重を変化させる請求項1乃至4のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
  6. 前記加圧工程において前記キャビティ内の溶湯を20°C/秒以上の冷却速度で高速急冷させる請求項1乃至5のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造方法。
  7. 球状黒鉛鋳鉄の溶湯を所定の真空度に所定時間保つ真空処理装置と、
    前記真空処理装置から受湯した前記溶湯を、1350°C〜液相温度の温度範囲の前記溶湯を所定時間内に金型に注入する注湯装置と、
    前記溶湯の注入後に前記金型のキャビティ全体を加圧する加圧装置と、
    を備えることを特徴とする球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造装置。
  8. 前記真空処理装置は、前記溶湯を10−3MPa〜10−1MPaの真空度において30秒〜150秒間保つ請求項7記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造装置。
  9. 前記加圧装置は、前記キャビティの内面に接する前記溶湯の温度が液相温度以下の所定温度となったときに加圧を開始する請求項7又は8に記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造装置。
  10. 前記加圧装置は、前記金型の可動部の押圧による変位量を計測し、該変位量に対応して該押圧の荷重を変化させる請求項7乃至9のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造装置。
  11. 前記金型の前記キャビティを構成する部位に銅又は銅合金を用いる請求項7乃至10のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の低温鋳造装置。
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