JP2012155200A - 感放射線性組成物、硬化膜及びその形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】平坦性、透明性、耐熱性(耐熱透明性)、表面硬度及び耐擦傷性が優れると共に、ITO透明導電膜に対する密着性及び耐クラック性が高い保護膜及び層間絶縁膜を形成するために好適に用いられるポリシロキサン系ネガ型感放射線性組成物、その組成物から形成された保護膜及び層間絶縁膜、並びにその保護膜及び層間絶縁膜の形成方法を提供することである。
【解決手段】本発明は、[A]ポリシロキサン、[B]一般式(1)及び(2)でそれぞれ示される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物、並びに[C]アルコール溶剤、を含有する感放射線性組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、表示素子又はタッチパネル用の保護膜及び層間絶縁膜の形成材料として好適な感放射線性組成物に関する。さらに、その組成物から形成された保護膜及び層間絶縁膜としての硬化膜、並びにその硬化膜の形成方法に関する。
液晶表示素子等の表示素子は、その製造工程中に、溶媒、酸又はアルカリ溶液による浸漬処理が行なわれる。また、このような表示素子においては、スパッタリングにより配線電極層を形成する際に、表面が局部的に高温に曝される。そこで、このような溶媒等による浸漬処理や高温処理によって、表示素子が劣化又は損傷することを防止するために、これらの処理に対して耐性を有する保護膜を素子の表面に設けることが行われている。
このような保護膜は、その上下層に対して密着性が高いものであること、膜自体が平滑で強靭であること、透明性を有するものであること、耐熱性を有し高温条件下においても変色せず透明性を保持できるものであること、表面硬度が十分であること、耐擦傷性に優れていること等の性能が要求される。これらの諸特性を満たす保護膜を形成するための材料としては、例えばグリシジル基を有する重合体を含む組成物が知られている(特許文献1参照)。しかし、その組成物から形成される保護膜は、現在において要求される耐熱性、密着性等を十分に満たしているとは言えない。
そこで、保護膜を形成するための組成物の成分として、耐熱性及び透明性に優れたポリシロキサン系材料を用いる試みがなされている(特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。しかし、従来のポリシロキサン系材料はITO(インジウムすず酸化物)透明導電膜との密着性が十分でなく、硬化膜にクラック(ひび割れ)が発生しやすいため、保護膜としては不十分である。さらに、液晶表示素子中のモリブデン配線との密着性が不十分であり、モリブデン配線上を起点として、保護膜のクラックや剥がれが発生する場合がある。従って、耐熱性及び透明性に優れていると共に、ITO透明導電膜やモリブデン配線との密着性が改善されたポリシロキサン系感放射線性組成物の開発が望まれている。
一方、層間絶縁膜は、液晶表示素子等において、一般に層状に配置される配線の間を絶縁するために設けられている。この液晶表示素子の層間絶縁膜に対しては、配線用のコンタクトホールのパターン形成が必要である。現在コンタクトホール形成の優位性の観点から、液晶表示素子の層間絶縁膜を形成するためにポジ型感放射線性組成物が幅広く使用されているが(特許文献5参照)、コストがかかり過ぎるという不都合がある。そこでコスト的に有利なネガ型感放射線性組成物の開発が行われているが(特許文献6参照)、ネガ型組成物では、実用上使用できるレベルのホール径を有したコンタクトホールを形成することは困難である。
また、最近銀行等の自動現金支払機、自動販売機、携帯電話、携帯情報端末、デジタルオーディオプレーヤー等にタッチパネルと呼ばれる入力装置付き表示素子が広く使用されている。タッチパネルにおいては、画面上の表示に直接指で触れることで機器を操作することができ、これらには静電容量方式、抵抗膜方式等が採用されている。タッチパネルの内部にも素子を保護するための保護膜や、微細な配線の間を絶縁する絶縁性硬化膜が必要とされる。これらの硬化膜も同様の問題を有している。
ところで、このように液晶表示素子やタッチパネルの製造には、その目的及び工程に応じて、多様な感放射線性組成物が用いられているが、最近コスト削減の観点から、感放射線性組成物の種類の統一化が試みられており、耐熱性、透明性等の要求特性が重複する保護膜及び層間絶縁膜を1種類の感放射線性組成物で形成できることが望まれている。従って、保護膜の形成材料として要求される上記特性を全て満たすと同時に、層間絶縁膜の形成材料として必要なコンタクトホール形成能を備えた感放射線性組成物の開発が強く求められている。
具体的には、透明性、耐熱性、密着性、耐クラック性、放射線感度、屈折率、表面硬度及び耐擦傷性に優れた保護膜及び層間絶縁膜を簡便に形成できると共に、実用上使用可能な微細なコンタクトホールを形成可能な解像性を発現し、コスト面でも優れ、特にタッチパネル用硬化膜としても十分な密着性、耐熱性、耐擦傷性等を有するポリシロキサン系のネガ型感放射線性組成物の開発が強く望まれている。
特開平5−78453号公報 特開2000−001648号公報 特開2006−178436号公報 特開2008−248239号公報 特開2001−354822号公報 特開2000−162769号公報
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、平坦性、透明性、耐熱性(耐熱透明性)、表面硬度及び耐擦傷性が優れると共に、ITO透明導電膜に対する密着性及び耐クラック性が高い保護膜及び層間絶縁膜を形成するために好適に用いられるポリシロキサン系ネガ型感放射線性組成物、その組成物から形成された保護膜及び層間絶縁膜、並びにその保護膜及び層間絶縁膜の形成方法を提供することである。
上記課題を解決するためになされた発明は、
[A]ポリシロキサン、
[B]下記式(1)及び(2)でそれぞれ示される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物、並びに
[C]アルコール溶剤、を含有する感放射線性組成物を含有する感放射線性組成物である。
Figure 2012155200
Figure 2012155200
(式(1)中、Rは、それぞれ独立に、炭素数1から12の直鎖状アルキル基、炭素数1から12の分岐鎖状アルキル基、炭素数1から12のアルコキシ基を示す。nは0から4の整数を示す。
Xは1から20の整数、Yは0から20の整数、Zは0から20、Wは0から5の整数を示す。
式(2)中、Rまたは、Rは、それぞれ独立に炭素数1から12の直鎖状アルキル基、炭素数1から12の分岐鎖状アルキル基、炭素数1から12のアルコキシ基を示す。
は、水素原子、炭素数1から12の直鎖状アルキル基、炭素数1から12の分岐鎖状アルキル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基を示す。
mは0から4の整数を示し、lは0から5の整数を示す。Q-は、非求核性アニオンである。)
当該感放射線性組成物は、ネガ型の感放射線特性を有し、上記[A]及び[C]成分に加えて、1分子中に、2または3個のトリメトキシシリル基を有する化合物の[D]成分を含んでいることによって、平坦性、透明性、耐熱性(耐熱透明性)、表面硬度及び耐擦傷性という一般的な要求特性をバランス良く満たすと同時に、ITO透明導電膜に対する密着性及び耐クラック性が改善された液晶表示素子用保護膜及び層間絶縁膜を形成することができる。このように諸特性が優れているため、特に表示素子用、タッチパネル用として好適に用いられる。
当該感放射線性組成物の[A]ポリシロキサンは、下記式(3)で示される加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物であることが好ましい。
Figure 2012155200
(式(3)中、Rは炭素数が1〜20の非加水分解性の有機基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキル基であり、qは0〜3の整数である。)
当該感放射線性組成物において、[A]ポリシロキサンとして上記式(3)で示される加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物を用いることによって、形成される保護膜及び層間絶縁膜のITO透明導電膜に対する密着性及び耐クラック性が改善されると共に、より高い解像性を得ることができる。
当該感放射線性組成物は、[D]1分子中に、2または3個のトリメトキシシリル基を有する化合物をさらに加えることによって、形成される保護膜及び層間絶縁膜の透過率、耐熱透過率がさらに向上する。
当該感放射線性組成物は、[E]平均粒子径が5〜100nmである有機粒子、或いは金属酸化物粒子のいずれか一方、またはその両方を含有することによって、形成される保護膜及び層間絶縁膜のITO透明導電膜に対する密着性及び耐クラック性がさらに向上する。
また、本発明のタッチパネル用硬化膜の形成方法は、
(1)当該感放射線性組成物の塗膜を基板上に形成する工程、
(2)工程(1)で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
(3)工程(2)で放射線を照射された塗膜を現像する工程、及び
(4)工程(3)で現像された塗膜を加熱する工程
を含んでいる。
当該方法においては、優れた解像性を発現する上記感放射線性組成物を用い、感放射線性を利用した露光・現像によってパターンを形成することによって、容易に微細かつ精巧なパターンを有するタッチパネル用硬化膜を形成することができる。またこうして形成された硬化膜は、平坦性、透明性、耐熱性(耐熱透明性)、表面硬度及び耐擦傷性、並びにITO透明導電膜に対する密着性及び耐クラック性の全てが、バランス良く優れている。
以上説明したように、本発明の感放射線性組成物は、上記[A]、[B]及び[C]成分を含んでいることによって、平坦性、透明性、耐熱性、耐熱透明性、表面硬度及び耐擦傷性という一般的な要求特性をバランス良く満たし、さらにITO透明導電膜に対する密着性及び耐クラック性が改善されたタッチパネル用硬化膜を形成可能である。
本発明の感放射線性組成物は、[A]ポリシロキサン、[B]上記式(1)及び(2)でそれぞれ示される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、[C]アルコール溶剤、並びにその他の任意成分を含有する。
[A]成分:ポリシロキサン
[A]成分のポリシロキサンは、シロキサン結合を有する化合物のポリマーである限りは特に限定されるものではない。この[A]成分は、当該成分を含む感放射線性組成物に放射線を照射することにより、後述する[B]一般式(1)及び(2)でそれぞれ示される化合物から発生した酸(酸性活性種)を触媒として、硬化物を形成する。
[A]成分のポリシロキサンとしては、下記式(3)で示される加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物であることが好ましい。
Figure 2012155200
(式(3)中、Rは炭素数が1〜20の非加水分解性の有機基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキル基であり、qは0〜3の整数である。)
上記Rで表される炭素数が1〜20である非加水分解性の有機基としては、炭素数1〜12の無置換、もしくはビニル基、(メタ)アクリロイル基又はエポキシ基で1個以上置換されたアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基等が挙げられる。これらは、直鎖状、分岐状、又は環状であってよい。
上記Rで表される炭素数が1〜4のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基等が挙げられる。また、添え字qは0〜3の整数であるが、より好ましくは0〜2の整数であり、特に好ましくは0又は1であり、最も好ましくは1である。qが0〜2の整数である場合には、加水分解・縮合反応の進行がより容易となり、その結果、[A]成分の硬化反応の速度がさらに大きくなり、ひいては当該組成物の解像性及び形成される保護膜の基板に対する密着性を向上させることができる。
このような上記式(3)で表される加水分解性シラン化合物の具体例としては、
4個の加水分解性基で置換されたシラン化合物として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジロキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン等;
1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物として、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−i−プロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等;
2個の非加水分解性基と2個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物として、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン等;
3個の非加水分解性基と1個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物として、トリブチルメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリブチルエトキシシラン等をそれぞれ挙げることができる。
これらの上記式(3)で表される加水分解性シラン化合物のうち、4個の加水分解性基で置換されたシラン化合物、及び1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物が好ましく、1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物が特に好ましい。好ましい加水分解性シラン化合物の具体例としては、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。このような加水分解性シラン化合物は、1種単独で使用しても、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
してもよい。
上記式(3)で表される加水分解性シラン化合物を加水分解・縮合させる条件は、上記式(4)で表される加水分解性シラン化合物の少なくとも一部を加水分解して、加水分解性基をシラノール基に変換し、縮合反応を起こさせるものである限り、特に限定されるものではないが、一例として以下のように実施することができる。
上記式(3)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解・縮合に用いられる水は、逆浸透膜処理、イオン交換処理、蒸留等の方法により精製された水を使用することが好ましい。このような精製水を用いることによって、副反応を抑制し、加水分解の反応性を向上させることができる。
加水分解性シラン化合物の加水分解・縮合に使用することができる溶剤としては、特に限定されるものではないが、通常、後述する感放射線性組成物の調製に用いられる溶剤と同様のものを使用することができる。このような溶剤の好ましい例としては、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピオン酸エステル類が挙げられる。これらの溶剤の中でも、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート又は3−メトキシプロピオン酸メチルが、特に好ましい。
上記式(3)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解・縮合反応は、好ましくは酸触媒(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、蟻酸、シュウ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、リン酸、酸性イオン交換樹脂、各種ルイス酸)、塩基触媒(例えば、アンモニア、1級アミン類、2級アミン類、3級アミン類、ピリジンなどの含窒素化合物;塩基性イオン交換樹脂;水酸化ナトリウムなどの水酸化物;炭酸カリウムなどの炭酸塩;酢酸ナトリウムなどのカルボン酸塩;各種ルイス塩基)、又は、アルコキシド(例えば、ジルコニウムアルコキシド、チタニウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシド)等の触媒の存在下で行われる。
上記式(3)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解・縮合における反応温度及び反応時間は、適宜に設定される。例えば、下記の条件が採用できる。反応温度は、好ましくは40〜200℃、より好ましくは50〜150℃である。反応時間は、好ましくは30分〜24時間、より好ましくは1〜12時間である。
上記式(3)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物の分子量は、移動相にテトラヒドロフランを使用したGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、ポリスチレン換算の重量平均分子量として測定することができる。そして、加水分解縮合物の重量平均分子量は、通常500〜20000の範囲内の値とするのが好ましく、1000〜10000の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
[B]成分について、
[B]成分は、放射線を照射することにより、[A]成分のポリシロキサン(好ましくは上記式(3)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物)の硬化反応させる際の触媒として作用する酸性活性物質を放出することができる化合物と定義される。 なお、[B]成分を分解し、酸性活性物質のアニオン等を発生するために照射する放射線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等を挙げることができる。これらの放射線の中でも、一定のエネルギーレベルを有し、大きな硬化速度を達成可能であり、しかも照射装置が比較的安価かつ小型であることから、紫外線を使用することが好ましい。
[B]成分としては、下記式(1)または(2)で示される化合物である
Figure 2012155200
Figure 2012155200
(式(1)中、Rは、それぞれ独立に、炭素数1から12の直鎖状アルキル基、炭素数1から12の分岐鎖状アルキル基、炭素数1から12のアルコキシ基を示す。nは0から4の整数を示す。
Xは1から20の整数、Yは0から20の整数、Zは0から20、Wは0から5の整数を示す。
式(2)中、Rまたは、Rは、それぞれ独立に炭素数1から12の直鎖状アルキル基、炭素数1から12の分岐鎖状アルキル基、炭素数1から12のアルコキシ基を示す。
は、水素原子、炭素数1から12の直鎖状アルキル基、炭素数1から12の分岐鎖状アルキル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基を示す。
mは0から4の整数を示し、lは0から5の整数を示す。Q-は、非求核性アニオンである。)
式(1)において、Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等の分岐鎖状のアルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基を示す。
これらのうち、化合物の有機溶剤に対する溶解性、溶液中でも安定性の観点から、イソプロピル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基が好ましい。
また、式(1)中nは、0から4の整数を示す。nが0の時は、すべて水素原子であり、Rで示される置換基がないことを示す。nが1の時は、Rで示される置換基が1つあり、残りはすべて水素原子であることを示す。
式(1)中、それぞれ独立にXは1から20の整数、Yは0から20の整数、Zは0から20の整数、Wは0から5の整数を示す。以下に具体例を示す。
X=1、Y=0、Z=3、W=0の時、トリフルオロメチル基、
X=2、Y=0、Z=5、W=0の時、ペンタフルオロエチル基、
X=3、Y=0、Z=7、W=0の時、ペンチルフルオロプロピル基、
X=8、Y=17、Z=0、W=0の時、n−オクチル基、
X=3、Y=4、Z=3、W=0の時、2−トリフルオロメチルエチル基、
X=6、Y=5、Z=0、W=0の時、フェニル基、
X=7、Y=7、Z=0、W=0の時、トリル基、
X=10、Y=15、Z=0、W=0の時、4−ビニルフェニル基
X=10、Y=15、Z=0、W=1の時、d−ショウノウ基、
等を示す。
これらのうち、特にトリフルオロメチル基、トリル基、4−ビニルフェニル基、d−ショウノウ基、n−オクチル基などが、加水分解性シランポリマーの硬化反応を促進する点から好ましい。
式(2)中、RまたはRは、それぞれ独立に炭素数1から12の直鎖状または、分岐鎖状のアルキル基、炭素数1から12のアルコキシ基を示す。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等の分岐鎖状のアルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基を示す。
これらのうち、化合物の有機溶剤に対する溶解性、溶液中でも安定性の観点から、イソプロピル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
は、水素原子、炭素数1から12の直鎖状または、分岐鎖状のアルキル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基を示す。
また、式(2)中、mは、0から4の整数を示す。mが0の時は、すべて水素原子であり、Rで示される置換基がないことを示す。mが1の時は、Rで示される置換基が1つあり、残りはすべて水素原子であることを示す。
式(2)中、lは、0から5の整数を示す。lが0の時は、すべて水素原子であり、Rで示される置換基がないことを示す。lが1の時は、Rで示される置換基が1つあり、残りはすべて水素原子であることを示す。
式(2)中、Qは、非求核性アニオンを示し、具体的には、PF 、SbF 、BF 、B(C2t+1 、C2t+1SO 、及び[PF6−u(C2t+1]からなる群より選択されるアニオンであることが好ましい。但し、tは1〜8の整数であり、uは1〜5の整数である。
これらのうち、特にPF 、CFSO などが、加水分解性シランポリマーの硬化反応を促進する点から好ましい。
[B]成分としては、一般式(1)で示される化合物の具体例としては、下記(B−1)から(B−7)で示される化合物が特に好ましい。
Figure 2012155200
また、[B]成分としては、一般式(2)で示される化合物の具体例としては、下記(B−8)から(B−12)で示される化合物が特に好ましい。
Figure 2012155200
[B]成分は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。これらの[B]成分は公知の方法で製造することもできるが、市販品を使用することもできる。市販品としては、例えば、SIN−01、SIN−02、SIN−31、SIN−11、SIN−12(以上、三宝化学研究所)。当該ポジ型感放射線性組成物における[B]成分の含有量としては、[A]成分100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、1質量部〜5質量部がより好ましい。[B]成分の含有量が上記範囲にあると、当該感放射線性組成物の放射線感度を最適化できる。
[C]アルコール溶剤について、
[C]アルコール溶剤としては特に限定されないが、特にプロトン性溶剤であるアルコール溶剤を含有することが望ましい。アルコール溶剤を用いることで、各成分を均一に溶解又は分散することができ、これにより組成物溶液の大型基板への塗工性向上を可能にし、更に塗布ムラ(筋状ムラ、ピン跡ムラ、モヤムラ等)の発生を抑制し、膜厚均一性をより一層向上できる。
このようなアルコール溶剤としては、
1−ヘキサノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−ドデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール等の長鎖アルキルアルコール類;、
ベンジルアルコール等の芳香族アルコール類;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル類;
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類
等を挙げることができる。これらのアルコール系溶剤は、単独で又は2種以上併用して使用することができる。
これらアルコール系溶剤のうち、特に塗工性向上の観点から、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルが好ましい。
[C]成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。[C]成分の使用量は、[A]成分100質量部に対して、好ましくは5質量部〜300質量部、更に好ましくは10質量部〜200質量部である。[C]成分の使用量を上記範囲内とすることによって、ガラス基板等に対する塗工性向上を可能にし、更に塗布ムラ(筋状ムラ、ピン跡ムラ、モヤムラ等)の発生を抑制し、膜厚均一性をさらに向上できる。
本発明においては、アルコール溶剤と共に、他の溶剤、例えばエーテル類、ジエチレングリコールアルキルエーテル類、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート類、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類などを挙げることができる。
アルコール溶剤以外の溶剤としては、次のものが挙げられる。
エーテル類として、例えばテトラヒドロフラン等;
ジエチレングリコールアルキルエーテル類として、例えばジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等;
エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類として、例えばメチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等;
プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類として、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等;
プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート類として、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート等;
芳香族炭化水素類として、例えばトルエン、キシレン等;
ケトン類として、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等;
エステル類として、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸プロピル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸ブチル、プロポキシ酢酸メチル、プロポキシ酢酸エチル、プロポキシ酢酸プロピル、プロポキシ酢酸ブチル、ブトキシ酢酸メチル、ブトキシ酢酸エチル、ブトキシ酢酸プロピル、ブトキシ酢酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル等をそれぞれ挙げることができる。これらの溶剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明の感放射線性組成物は、更に次の成分を含有することができる。
[D]成分は、1分子中に2または3個のトリメトキシシリル基を有する化合物である。この[D]成分は、当該成分を含む感放射線性組成物に放射線を照射することにより、前述の[B]成分から発生した酸(酸性活性種)を触媒として、[A]成分のポリシロキサンと共に縮合し、[D]成分を加えることで、より耐熱性等諸物性に優れた硬化膜を形成することができる。
[D]成分は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。[D]成分は、1分子中に2または3個のトリメトキシシリル基を有する化合物であればよく、特に限定されないが、その中でも特に、イソシアヌル環を有するシラン化合物がより好ましい。このように一分子中に3個のトリアルコキシシリル基が結合したイソシアヌル環を有するシラン化合物を用いることによって、高い放射線感度を示す感放射線性組成物が得られると共に、その組成物から形成される保護膜及び層間絶縁膜の架橋度を向上させることができる。さらに、このようなイソシアヌル環含有シラン化合物を含む感放射線性組成物からは、平坦性が高くかつ密着性に優れ、表示素子に好適に用いられる保護膜及び層間絶縁膜を形成することが可能となる。
このような[D]成分の具体例としては、ビストリエトキシシリルエタン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス−1,2−(トリメトキシシリル)エタン、ビス−1,2−(トリエトキシシリル)エタン、ビス−1,6−(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス−1,6−(トリエトキシシリル)ヘキサン、ビス−1,4−(トリメトキシシリル)ベンゼン、ビス−1,4−(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリルメチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリルメチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリルエチル)ベンゼン、トリス−(3−トリメトキシシリルメチル)イソシアヌレート、トリス−(3−トリエトキシシリルメチル)イソシアヌレート、トリス−(3−トリメトキシシリルエチル)イソシアヌレート、トリス−(3−トリエトキシシリルエチル)イソシアヌレート、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス−(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。これらのうち、放射線感度、得られる保護膜及び層間絶縁膜の平坦性向上の観点から、1,4−ビス(トリメトキシシリルメチル)ベンゼン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、トリス−(3−トリメトキシシリルエチル)イソシアヌレート、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス−(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレートが特に好ましい。
当該感放射線性組成物中の[D]成分の使用量は、[A]成分100質量部に対して、好ましくは5質量部〜70質量部、更に好ましくは10質量部〜50質量部である。[D]成分の使用量を5質量部〜70質量部とすることによって、放射線感度、及び得られる保護膜及び層間絶縁膜の耐熱性がバランス良く優れた感放射線性組成物を得ることができる。
[E]成分は、有機粒子及び無機粒子から選択される少なくとも1種である。[E]成分を含有することにより、耐擦傷性、クラック耐性等を高めることができる。有機粒子及び無機粒子の平均粒径は、0.005〜0.5μmの範囲が好ましい。
[E]成分は、粉体状のものを直接、他の成分に添加・混合してもよいし、溶媒分散液としたものを他の成分に添加・混合して溶剤を留去してもよい。
有機粒子としては、アクリル系微粒子等の固体状のものが好適に用いられる。アクリル系微粒子としては、例えば、メタクリル酸メチル重合体、メタクリル酸とアルキル化合物の共重合体等が挙げられる。有機粒子の市販品としては、例えば、ゼフィアックF−320、F−301、F−340、F−325、F−351(以上、ガンツ化成社製)、アクリル系微粒子MP−300(綜研化学社製)等が挙げられる。
また、無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、タルク、モンモリロナイト等を主成分とする粒子が挙げられ、シリカ及びアルミナを主成分とする粒子が好ましい。
無機微粒子の形状は、球状、棒状、板状、繊維状、不定形状のいずれであってもよく、また、これらは、中実状、中空状、多孔質状であってもよい。
無機微粒子の市販品の例としては、例えば、アドマファインSO−E1、SO−E2、SO−E3、SO−E4、SO−E5、SE3200−SEJ((株)アドマテックス社製)、SS01、SS03、SS15、SS35(大阪化成(株)社製)等が挙げられる。このような無機微粒子の具体例としては、シリカ粒子として、メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL(日産化学工業(株)社製)、ジルコニア粒子としてHXU−110JC、HXU−210C、NZD−3101(住友大阪セメント(株)社製)、ID191(テイカ(株)社製)、ZRPMA15WT%−E05(シーアイ化成(株)社製)、酸化チタン粒子としてMT−05、MT−100W、MT−100SA、MT−100HD、MT−300HD、MT−150A、ND138、ND139、ND140、ND154,ND165、ND177、TS−063、TS−103、TS−159(テイカ(株)社製)等が挙げられる。
無機微粒子は、シランカップリング剤等によって表面処理されていてもよい。このような表面処理を行うことにより、他の成分との相溶性を向上させることができ、組成物中での分散性や機械的強度を向上させることができる。
[E]成分は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。[E]成分の使用量は、[A]成分100質量部に対して、好ましくは1質量部〜600質量部、更に好ましくは10質量部〜200質量部である。[E]成分の使用量を上記範囲内とすることにより、得られる保護膜及び層間絶縁膜の耐擦傷性等をより一層高めることができる。
本感放射線性組成物では、上記[D]成分及び[E]成分以外にも、必要に応じて
[B]成分以外の感放射線性酸発生剤、感放射線性塩基発生剤を使用することができる。具体的には、[B]成分以外の感放射線性酸発生剤として、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホン酸、1−(4,7−ジブトキシ−1−ナフタレニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホナート等が特に好ましく用いられる。
また、感放射線性塩基発生剤の例としては、2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、[〔(2,6−ジニトロベンジル)オキシ〕カルボニル]シクロヘキシルアミン、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、ビス[〔(2−ニトロベンジル)オキシ〕カルボニル]ヘキサン−1,6−ジアミン、トリフェニルメタノール、O−カルバモイルヒドロキシアミド、O−カルバモイルオキシム、4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、ヘキサアンミンコバルト(III)トリス(トリフェニルメチルボレート)等が挙げられる。
これらの感放射線性酸発生剤又は感放射線性塩基発生剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。使用量は、[A]成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜20質量部、更に好ましくは1質量部〜10質量部である。使用量を0.1質量部〜20質量部とすることによって、放射線感度、形成される保護膜及び層間絶縁膜の鉛筆硬度、及び耐熱性(耐熱透明性)がバランス良く優れた感放射線性組成物を得ることができる。
本感放射線性組成物においては、脱水剤を使用することができる。脱水剤は、水を化学反応により水以外の物質に変換することができるか、又は水を物理吸着もしくは包接によりトラップすることができる物質として定義される。当該感放射線性組成物に、任意に脱水剤を含有させることにより、環境から侵入する水分、又は後述する露光工程での放射線照射による[A]及び[B]成分の縮合の結果発生する水分を低減することができる。従って、脱水剤を用いることによって、組成物中の水分を低減することが可能であり、その結果、組成物の保存安定性を向上させることができる。さらに[A]及び[B]成分の縮合の反応性を高め、感放射線性組成物の放射線感度を向上させることができると考えられる。このような[D]脱水剤としては、カルボン酸エステル、アセタール類(ケタール類を含む)、及びカルボン酸無水物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物が好ましく使用できる。特に、オルトカルボン酸エステルが好ましく、特にオルト蟻酸メチル等のオルト蟻酸エステルが好ましい。脱水剤の使用する場合の量は、[A]成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜50質量部であり、さらに好ましくは0.5〜30質量部であり、特に好ましくは1〜10質量部である。
当該感放射線性組成物において、ラジカル重合開始剤(ラジカル発生剤)を配合してもよい。ラジカル重合開始剤は、放射線を受けることにより分解してラジカルを生じ、このラジカルによってラジカル重合性官能基の重合反応を開始させる機能を有する化合物である。例えば、[A]成分が式(1)において(メタ)アクリロイル基を含む化合物である場合、ラジカル重合開始剤を用いることによって、[A]成分同士の重合反応を促進し、硬化膜全体としての架橋度を向上させることができる。
このようなラジカル重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、アントラキノン、1−(4−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、カルバゾール、キサントン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン系化合物、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−2−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリ−メチルペンチルフォスフィンオキサイド、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、ミヒラーケトン、3−メチルアセトフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)等が挙げられる。このようなラジカル発生剤は、1種を単独で使用することもできるし、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ラジカル重合開始剤を使用する場合の量は、[A]成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20重量部である。感放射線性組成物におけるラジカル重合開始剤の使用量を0.1〜30質量部とすることによって表面硬度、密着性及び耐熱性が高いレベルでバランス良く優れた硬化膜を形成することができる。
当該感放射線性組成物において、界面活性剤も必要に応じて使用することができる。感放射線性組成物の塗布性の改善、塗布ムラの低減、放射線照射部の現像性を改良するために添加することができる。好ましい界面活性剤の例としては、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤を使用する場合の量は、[A]成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部である。界面活性剤の使用量を0.01〜10質量部とすることによって、感放射線性組成物の塗布性を最適化することができる。
感放射線性組成物を溶液又は分散液状態として調製する場合、液中に占める溶剤以外の成分(すなわち[A]、[B]及び[C]成分、並びにその他の任意成分の合計量)の割合は、使用目的や所望の膜厚等に応じて任意に設定することができるが、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは15〜35質量%である。
次に、上記の感放射線性組成物を用いて、基板上に硬化膜を形成する方法について説明する。当該方法は、以下の工程を以下の記載順で含む。
(1)本発明の感放射線性組成物の塗膜を基板上に形成する工程、
(2)工程(1)で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
(3)工程(2)で放射線を照射された塗膜を現像する工程、及び
(4)工程(3)で現像された塗膜を加熱する工程。
(1)感放射線性組成物の塗膜を基板上に形成する工程
上記(1)の工程において、基板上に本発明の感放射線性組成物の溶液又は分散液を塗布した後、好ましくは塗布面を加熱(プレベーク)することにより溶剤を除去して、塗膜を形成する。使用できる基板の例としては、ガラス、石英、シリコン、樹脂などを挙げることができる。樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、環状オレフィンの開環重合体及びその水素添加物などを挙げることができる。
組成物溶液又は分散液の塗布方法としては、特に限定されず、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法などの適宜の方法を採用することができる。これらの塗布方法の中でも、特にスピンコート法又はスリットダイ塗布法が好ましい。プレベークの条件は、各成分の種類、配合割合などによっても異なるが、好ましくは70〜120℃で1〜10分間程度とすることができる。
(2)塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程
上記(2)の工程では、形成された塗膜の少なくとも一部に露光する。この場合、塗膜の一部に露光する際には通常、所定のパターンを有するフォトマスクを介して露光する。露光に使用される放射線としては、例えば可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用できる。これらの放射線の中でも、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましく、特に365nmの紫外線を含む放射線が好ましい。
当該工程における露光量は、放射線の波長365nmにおける強度を照度計(OAI model356、OAI Optical Associates Inc.製)により測定した値として、好ましくは100〜10,000J/m2、より好ましくは500〜6,000J/m2である。
(3)現像工程
上記(3)の工程では、露光後の塗膜を現像することにより、不要な部分(放射線の非照射部分)を除去して、所定のパターンを形成する。現像工程に使用される現像液としては、アルカリ(塩基性化合物)の水溶液が好ましい。アルカリの例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩等を挙げることができる。
また、このようなアルカリ水溶液には、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、シャワー法等の適宜の方法を利用することができる。現像時間は、感放射線性組成物の組成によって異なるが、好ましくは10〜180秒間程度である。このような現像処理に続いて、例えば流水洗浄を30〜90秒間行った後、例えば圧縮空気や圧縮窒素で風乾させることによって、所望のパターンを形成することができる。
(4)加熱工程
上記(4)の工程では、ホットプレート、オーブン等の加熱装置を用い、パターニングされた薄膜を加熱することによって、上記[A]及び[B]成分の縮合反応を促進し、確実に硬化物を得ることができる。加熱温度は、例えば120〜250℃である。加熱時間は、加熱機器の種類により異なるが、例えば、ホットプレート上で加熱工程を行う場合には5〜30分間、オーブン中で加熱工程を行う場合には30〜90分間とすることができる。2回以上の加熱工程を行うステップベーク法等を用いることもできる。このようにして、目的とする硬化膜に対応するパターン状薄膜を基板の表面上に形成することができる。
このように形成された硬化膜の膜厚は、好ましくは0.1〜8μm、より好ましくは0.1〜6μm、さらに好ましくは0.1〜4μmである。
本発明の感放射線性組成物から形成された硬化膜は、下記の実施例からも明らかにされるように、基板に対するITO密着性、表面硬度、透明性、耐熱透明性、耐擦傷性、クラック耐性及び平坦性の諸特性が優れていると共に、高い解像性を有する感放射線性組成物から形成された精度の良いパターンを有する。そのため、当該硬化膜は、タッチパネル用として好適に用いられる。
以下に合成例、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の各合成例から得られた加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、下記の仕様によるゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
装置:GPC−101(昭和電工(株)製)
カラム:GPC−KF−801、GPC−KF−802、GPC−KF−803及びGPC−KF−804(昭和電工(株)製)を結合したもの
移動相:テトラヒドロフラン
[A]成分の加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物の合成例
[合成例1]
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル25質量部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン30質量部、フェニルトリメトキシシラン23質量部及びトリ−i−プロポキシアルミニウム0.1質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、イオン交換水18質量部を仕込み、75℃になるまで加熱し、3時間保持した。次いで脱水剤としてオルト蟻酸メチル28質量部を加え、1時間攪拌した。さらに溶液温度を40℃にし、温度を保ちながらエバポレーションすることで、イオン交換水及び加水分解縮合で発生したメタノールを除去した。以上により、ポリシロキサン(A−1)を得た。ポリシロキサン(A−1)の固形分濃度は40.5質量%であり、得られたポリシロキサンの重量平均分子量(Mw)は3,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
[合成例2]
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル25質量部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン18質量部、テトラエトキシシラン15質量部、フェニルトリメトキシシラン20質量部、及びトリ−i−プロポキシアルミニウム0.1質量部を仕込み、合成例1と同様の方法により、加水分解縮合物(A−2)を得た。ポリシロキサン(A−2)の固形分濃度は40.8質量%であり、得られたポリシロキサンの重量平均分子量(Mw)は2,400であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
[合成例3]
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル25質量部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン22質量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン12質量部、フェニルトリメトキシシラン20質量部、及びトリ−i−プロポキシアルミニウム0.1質量部を仕込み、合成例1と同様の方法により、ポリシロキサン(A−3)を得た。ポリシロキサン(A−3)の固形分濃度は39.8質量%であり、重量平均分子量(Mw)は3,200であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
[合成例4]
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル25質量部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン22質量部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン12質量部、フェニルトリメトキシシラン20質量部、及びトリ−i−プロポキシアルミニウム0.1質量部を仕込み、合成例1と同様の方法によりポリシロキサン(A−4)を得た。ポリシロキサン(A−4)の固形分濃度は39.8質量%であり、重量平均分子量(Mw)は2,400であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
[合成例5]
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル25質量部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン29質量部、テトラエトキシシラン30質量部、及びトリ−i−プロポキシアルミニウム0.1質量部を仕込み、合成例1と同様の方法により、ポリシロキサン(A−5)を得た。ポリシロキサン(A−5)の固形分濃度は40.8質量%であり、重量平均分子量(Mw)は3,200であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
[合成例6]
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル21質量部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン(MTMS)40質量部、テトラメトキシシシラン(TEOS)17質量部、デシルトリメトキシシラン(DTMS)5質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、ギ酸0.1質量部、イオン交換水22質量部を仕込み、75℃になるまで加熱し、2時間保持した。45℃に冷却後、脱水剤としてオルト蟻酸メチル33質量部を加え、1時間攪拌した。さらに溶液温度を40℃にし、温度を保ちながらエバポレーションすることで、イオン交換水及び加水分解縮合で発生したメタノール及びエタノールを除去した。以上により、ポリシロキサン(A−6)を得た。ポリシロキサン(A−6)は、固形分濃度が34質量%であり、重量平均分子量(Mw)は3,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
感放射線性組成物の調製及び硬化膜の形成
[実施例1]
合成例1で得られた加水分解縮合物(A−1)を含む溶液100質量部(固形分)に相当する量)に、[B]成分として(B−9)化合物2質量部、
[C]成分として(C−1)プロピレングリコールモノメチルエーテル80質量部、(C−2)n−ブチルセロソルブ20質量部を加え、固形分濃度が25質量%の感放射線性組成物を調製した。
次に、この感放射線性ポリシロキサン組成物を、スピンナーを用いてSiOディップガラス基板に塗布した後、ホットプレート上で90℃、2分間プレベークして塗膜を形成した(後述のITO密着性評価においてはITO付基板を用いた)。次いで、得られた塗膜に300mJ/cmの露光量で紫外線を露光した。続いて、0.4質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、25℃で60秒現像した後、純水で1分間洗浄し、更に230℃のオーブン中で60分間加熱することにより、膜厚2.0μmの保護膜を形成した。
物性評価
各実施例及び比較例で形成された硬化膜の透明性、耐熱透明性、鉛筆硬度、耐擦傷性、クラック、耐熱クラック、ITO密着性、感度を評価した。
(1)硬化膜の透明性の評価
各実施例及び比較例にて上記のように形成した硬化膜を有する基板について、分光光度計(日立製作所(株)製の150−20型ダブルビーム)を用い、波長400〜800nmの光線透過率(%)を測定した。波長400〜800nmの光線透過率(%)の最小値が95%以上であるとき、硬化膜の透明性は良好であると判断した。
(2)硬化膜の耐熱透明性の評価
各実施例及び比較例にて上記のように形成した硬化膜を有する基板について、クリーンオーブン中にて250℃で1時間加熱し、加熱前後の光線透過率を、上記(1)「硬化膜の透明性の評価」に記載した方法で測定した後、下記式(a)にしたがって耐熱透明性(%)を算出した。この値が4%以下のとき、硬化膜の耐熱透明性は良好であると判断した。
耐熱透明性(%)=加熱前の光線透過率(%)−加熱後の光線透過率(%) (a)
(3)保護膜の鉛筆硬度(表面硬度)の測定
各実施例及び比較例にて上記のように形成した硬化膜を有する基板について、「JIS K−5400−1990の8.4.1鉛筆引っかき試験」により硬化膜の鉛筆硬度(表面硬度)を測定した。この値が4H又はそれより大きいとき、硬化膜の表面硬度は良好であると判断した。
(4)硬化膜の耐擦傷性の評価
各実施例及び比較例にて上記のように形成した保護膜を有する基板について、学振型磨耗試験機を用い、スチールウール#0000の上に200gの荷重をかけて10往復させた。擦傷の状況を肉眼で以下の判定基準で評価した。評点が◎又は○であるとき、良好な耐擦傷性を有すると判断した。
判定基準
◎:全く傷がつかない
○:1〜3本の傷がつく
△:4〜10本の傷がつく
×:10本以上の傷がつく
(5)硬化膜のクラックの評価
各実施例及び比較例にて上記のように形成した硬化膜を有する基板について、23℃で24時間放置し、その硬化膜表面にクラックが発生しているか否かを以下の判定基準により、レーザー顕微鏡(キーエンス製VK−8500)を用いて確認した。評点が◎又は○であるとき、クラックの評価は良好であると判断した。
判定基準
◎:全くクラックがない
○:1〜3個のクラックがある
△:4〜10個のクラックがある
×:10個以上のクラックがある
(6)硬化膜の耐熱クラックの評価
各実施例及び比較例にて上記のように形成した硬化膜を有する基板について、300℃で30分追加焼成を行い、その後23℃で24時間放置し、その硬化膜表面にクラックが発生しているか否かを以下の判定基準により、レーザー顕微鏡(キーエンス製VK−8500)を用いて確認した。評点が◎又は○であるとき、耐熱クラックの評価は良好であると判断した。
判定基準
◎:全くクラックがない
○:1〜3個のクラックがある
△:4〜10個のクラックがある
×:10個以上のクラックがある
(7)硬化膜のITO(インジウムすず酸化物)密着性の評価
ITO付基板を用いた以外は、各実施例及び比較例にて上記のように硬化膜を形成し、プレッシャークッカー試験(120℃、湿度100%、4時間)を行った。その後、「JIS K−5400−1990の8.5.3付着性碁盤目テープ法」を行い、碁盤目100個中で残った碁盤目の数を求め、硬化膜のITO密着性を評価した。碁盤目100個中で残った碁盤目の数が80個以下の場合に、ITO密着性は不良と判断した。
(8)硬化膜の感度の評価
上記にて得られた塗膜に対し、(株)トプコン製露光機TME-400PRJを用い、10μm/30μmのライン・アンド・スペースのパターンを有するマスクを介して露光量を変化させて露光を行った後、0.4質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて25℃、60秒間、浸漬法で現像した。次いで、超純水で1分間流水洗浄を行い、乾燥させてガラス基板上にパターンを形成した。このとき、10μm/30μmのライン・アンド・スペースのパターンが剥離せず残るのに必要な最小露光量を測定した。この最小露光量を放射線感度として評価した。
[実施例2〜21及び比較例1〜3]
各配合成分の種類及び配合量を表1〜 に記載の通りとした他は、実施例1と同様にして感放射線性ポリシロキサン組成物を調製した。次いで、得られた感放射線性ポリシロキサン組成物を用いて、実施例1と同様にして硬化膜を形成した。なお、表1〜5中の各配合量は、質量部である。
実施例1〜7の評価結果を表1に、実施例8〜13の評価結果を表2に、実施例14〜20の評価結果を表3に、実施例21〜27の評価結果を表4に、比較例1〜6の評価結果を表5に、それぞれ示す。
なお、表1及び表2において、[B]成分、[C]成分、任意成分である[D]成分、[E]成分は、それぞれ以下のものを表す。
C−1:プロピレングリコールモノメチルエーテル
C−2:n−ブチルセロソルブ
D−1:1,4−ビス(トリメトキシシリルメチル)ベンゼン
D−2:ビス(トリエトキシシリル)エタン
D−3:トリス-(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート
E−1:ポリメタクリル酸メチル系微粒子(商品名 MP−300、綜研化学(株)社製)
E−2:オルガノシリカゾル(商品名 IPA−ST、日産化学工業(株)社製)E−3:ZrO2ゾル(商品名 ID191、テイカ(株)社製)
E−4:TiO2ゾル(商品名 TS−103、テイカ(株)社製)
比較例にもちいた化合物
b−1:トリフェニルスルフォニウム トリフルオロメタンスルホン酸
c−1:ジエチレングリコールジメチルエーテル
Figure 2012155200

Figure 2012155200
表1及び表2の結果から明らかなように、[A]、[B]及び[C]成分を含む実施例1〜21の感放射線性組成物から形成された硬化膜は、これらの成分のうちのいずれかを欠く比較例1〜3の感放射線性組成物から形成された硬化と比べて、透明性、耐熱透明性、鉛筆硬度、耐擦傷性、耐クラック性、ITO密着性及び平坦性能において、バランス良く優れていた。
本発明の感放射線性組成物は、上述のように、平坦性、透明性、耐熱性、耐熱透明性、表面硬度及び耐擦傷性がバランス良く優れており、さらにITO基板に対する密着性及びクラック性が改善された硬化膜を形成可能である。従って、当該感放射線性組成物は、表示素子やタッチパネル用の硬化膜を形成するために好適に用いられる。

Claims (6)

  1. [A]ポリシロキサン、
    [B]下記式(1)及び(2)でそれぞれ示される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物、並びに
    [C]アルコール溶剤を含有する感放射線性組成物。
    Figure 2012155200
    Figure 2012155200
    (式(1)中、Rは、それぞれ独立に、炭素数1から12の直鎖状アルキル基、炭素数1から12の分岐鎖状アルキル基、炭素数1から12のアルコキシ基を示す。nは0から4の整数を示す。
    Xは1から20の整数、Yは0から20の整数、Zは0から20、Wは0から5の整数を示す。
    式(2)中、Rまたは、Rは、それぞれ独立に炭素数1から12の直鎖状アルキル基、炭素数1から12の分岐鎖状アルキル基、炭素数1から12のアルコキシ基を示す。
    は、水素原子、炭素数1から12の直鎖状アルキル基、炭素数1から12の分岐鎖状アルキル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基を示す。
    mは0から4の整数を示し、lは0から5の整数を示す。
    -は、非求核性アニオンである。)
  2. [D]1分子中に、2または3個のトリメトキシシリル基を有する化合物を含む請求項1に記載の感放射線性組成物。
  3. [E]平均粒子径が5〜100nmである有機粒子、或いは金属酸化物粒子のいずれか一方、またはその両方を含有する請求項1または請求項2に記載の感放射線性組成物。
  4. タッチパネルの硬化膜を形成するために用いられる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の感放射線性組成物。
  5. (1)請求項4に記載の感放射線性組成物の塗膜を基板上に形成する工程、
    (2)工程(1)で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
    (3)工程(2)で放射線を照射された塗膜を現像する工程、及び
    (4)工程(3)で現像された塗膜を加熱する工程
    を含むタッチパネル用硬化膜の形成方法。
  6. 請求項5に記載の感放射線性組成物から形成されたタッチパネルの硬化膜。
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