JP2012154996A - 画像加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】全周を均一に加熱し非常に早いウォームアップを経て画像加熱を行うことができる画像加熱装置を提供する。
【解決手段】第1の回転体と第2の回転体に関し、ウォームアップ時には離間状態で全周的に加熱する抵抗発熱層に給電がなされ、画像加熱時には当接状態でヒータに給電がなされ、第2の回転体が回転駆動される。
【選択図】図1
【解決手段】第1の回転体と第2の回転体に関し、ウォームアップ時には離間状態で全周的に加熱する抵抗発熱層に給電がなされ、画像加熱時には当接状態でヒータに給電がなされ、第2の回転体が回転駆動される。
【選択図】図1
Description
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等、電子写真方式・静電記録方式等の作像プロセスを採用した画像形成装置に使用される画像加熱装置に関する。画像加熱装置としては、記録材上に形成した未定着トナー画像を固着画像として加熱定着する定着装置や、記録材に定着された画像を加熱することにより画像の光沢度を増大させる光沢度増大装置等を挙げることができる。
近年、電子写真方式を用いた画像形成装置では省エネルギー化の観点から、熱容量が小さな定着装置が提案され、実用化されている。定着装置の低熱容量化の具体的な施策として、ベルト状のエンドレスベルト(以下定着ベルトと称す)を定着部材として用いるベルト定着方式があり、以下の構成が提案されている。
特許文献1には、発熱体としてのセラミックヒータを定着部材と加圧部材とで形成するニップ部に配置し、定着ベルトを介してヒータの熱を与えながら定着領域の加圧力で未定着トナー画像を記録材面に定着させるベルト定着方式が記載されている。この定着方式は、ヒータ及び定着部材の熱容量が小さいため画像形成装置の電源オンから画像形成実行可能状態までの待ち時間が短く(クイックスタート性)、スタンバイ時の消費電力も大幅に小さい(省電力)等の利点がある。
しかしながら、特許文献1のベルト定着装置では定着ベルトを介して加圧ローラとのニップ部を局所加熱(ベルト周方向の一部加熱)する構成であるため、定着ベルト全周を加熱するために回転駆動を行いながらウォームアップをする必要がある。そのため、必要以上にウォームアップ時間が長くなってしまうという問題があった。この問題を解決する手段として、定着ベルトに抵抗発熱層を設ける定着装置が提案されている。即ち、特許文献2には、通電により発熱する物質からなる抵抗発熱層が全周的に形成された定着ベルトが回転されるように構成されている。このタイプの定着ベルトは全周を加熱することが可能なため、非常に早いウォームアップが可能である。
しかしながら、定着ベルトは厚みが0.5mm程度と薄いため非常に熱容量が低い。そして、ウォームアップ時のベルト停止時に当接部材(例えば、未定着トナー像を加圧加熱するためのニップ部部を形成するために定着ベルトと当接している加圧ローラ)があると、当接部材の位置だけベルトの温度が上がり難くなる。そのため、ベルトの周方向に温度ムラが生じてしまう。この温度ムラは画像の光沢ムラや、酷い時は未定着トナーを定着できないなどの画像不良につながる。逆に温度ムラを馴染ませるために、加圧ローラと当接したままたベルトを空回転すると加圧部材の熱容量が定着ベルトに比べて大きいため、ウォームアップ時間が大幅に伸びてしまう。
本発明の目的は、全周を均一に加熱し非常に早いウォームアップを経て画像加熱を行うことができる画像加熱装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本出願に係る発明は、第1の回転体と、前記第1の回転体とニップ部を形成する第2の回転体と、前記第1の回転体の一部を加熱する加熱源と、前記第2の回転体を回転駆動する駆動手段と、を有し、前記第1の回転体と前記第2の回転体とが前記ニップ部を形成した状態において前記第2の回転体を回転させることによって前記第1の回転体を従動回転させ画像を担持した記録材を前記ニップ部で挟持搬送して加熱する画像加熱装置において、前記第1の回転体と前記第2の回転体を当接させて前記ニップ部を形成させた当接状態と前記第1の回転体と前記第2の回転体を離間させた離間状態とを互いに転換する転換手段を有し、前記第1の回転体は給電により発熱して前記第1の回転体を全周的に加熱する抵抗発熱層を備え、ウォームアップ時に、前記第1の回転体と前記第2の回転体とが前記転換手段により離間状態に転換されている状態において前記抵抗発熱層に給電がなされて前記第1の回転体が加熱される第1加熱モードと、画像加熱時に、前記第1の回転体と前記第2の回転体とが前記転換手段により当接状態に転換されている状態において前記第2の回転体が前記駆動手段により回転駆動され、前記加熱源により前記第1の回転体が加熱される第2加熱モードと、を有することを特徴とする。
本発明によれば、第1の回転体を全周的・局部的に加熱する異なる加熱手段を、第1の回転体に対する第2の回転体の離間・当接と組み合わせることで、全周を均一に加熱し非常に早いウォームアップを経て画像加熱を行うことができる。
《第1の実施形態》
(画像形成装置)
図2は、本実施形態の画像加熱装置を搭載した画像形成装置の一例であるカラー電子写真プリンタの記録材の搬送方向に沿った断面図である。以下、カラー電子写真プリンタを単に「プリンタ」という。また記録材とは、トナー像が形成されるものである。記録材の具体例として、普通紙、普通紙の代用品である樹脂製の記録材状のもの、厚紙、オーバーヘッドプロジェクター用などがある。
(画像形成装置)
図2は、本実施形態の画像加熱装置を搭載した画像形成装置の一例であるカラー電子写真プリンタの記録材の搬送方向に沿った断面図である。以下、カラー電子写真プリンタを単に「プリンタ」という。また記録材とは、トナー像が形成されるものである。記録材の具体例として、普通紙、普通紙の代用品である樹脂製の記録材状のもの、厚紙、オーバーヘッドプロジェクター用などがある。
図2に示すプリンタは、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の各色の画像形成部10を備えている。感光ドラム11は、帯電器12によって予め帯電される。その後、感光ドラム11は、レーザスキャナ13によって、潜像が形成される。潜像は、現像器14によってトナー像になる。感光ドラム11のトナー像は、一次転写ブレード17によって、像担持体である例えば中間転写ベルト31に順次転写される。転写後、感光ドラム11に残ったトナーは、クリーナ15によって除去される。この結果、感光ドラム11の表面は、清浄になり、次の画像形成に備える。
一方、記録材Pは、給紙カセット20、又はマルチ給紙トレイ25から、1枚ずつ送り出されてレジストローラ対23に送り込まれる。レジストローラ対23は、記録材Pを一旦受け止めて、記録材Pが斜行している場合、真っ直ぐに直す。そして、レジストローラ対23は、中間転写ベルト31上のトナー像と同期を取って、記録材Pを中間転写ベルト31と二次転写ローラ35との間に送り込む。中間転写ベルト31上のカラーのトナー像は、転写体である例えば二次転写ローラ35によって記録材Pに転写される。その後、記録材Pの未定着トナー像Tは、記録材Pが定着器40によって、加熱加圧されることで記録材Pに定着される。
記録材Pの片面だけにトナー像Tを形成する場合、切り換えフラッパ61の切り換えにより記録材Pを排紙ローラ63を介して記録材Pを画像形成装置1の側面に配置されている排紙トレイ64に排出する。あるいは、画像形成装置1の上面に配置されている排紙トレイ65に排出する。切り換えフラッパ61が破線の位置にある場合には、記録材Pはフェイスアップ(トナー像Tが上側)で排紙トレイ64上に排出される。また、切り換えフラッパ61が実線の位置にある場合には、記録材Pは、フェイスダウン(トナー像Tが下側)で排紙トレイ65に排出される。
記録材Pの両面に未定着トナー像Tを形成する場合、定着器40によって未定着トナー像Tを定着された記録材Pは、実線の位置にいるフラッパ61によって上方へ案内される。そして、後端が反転ポイントRに達したとき、搬送路73によってスイッチバック搬送されて表裏反転される。その後、記録材Pは、両面搬送路70を搬送されて、片面画像形成と同様の過程をへて他方の面に未定着トナー像Tを形成されて、排紙トレイ64または排紙トレイ65上に排出される。フラッパ61、スイッチバック搬送路73等で構成される部分は、反転手段の一例である。
(画像加熱装置)
次に、画像加熱装置の一例として、未定着トナー像Tが転写された記録材Pを定着する定着装置40(図2)について説明する。図1は定着装置40の記録材搬送方向と直交する方向(長手方向)から眺めた概略構成図、図3は画像加熱時における定着装置40の記録材長手方向の概略構成図である。100は定着ベルト(エンドレスベルト)で後に詳述する全周的に設けられる抵抗発熱層を備える。バックアップ部材としてのニップ部形成部材113を介して定着ベルト100が加圧ローラ110の上面に対して所定の押圧力で加圧され、所定幅の定着ニップ部Nが形成される。
次に、画像加熱装置の一例として、未定着トナー像Tが転写された記録材Pを定着する定着装置40(図2)について説明する。図1は定着装置40の記録材搬送方向と直交する方向(長手方向)から眺めた概略構成図、図3は画像加熱時における定着装置40の記録材長手方向の概略構成図である。100は定着ベルト(エンドレスベルト)で後に詳述する全周的に設けられる抵抗発熱層を備える。バックアップ部材としてのニップ部形成部材113を介して定着ベルト100が加圧ローラ110の上面に対して所定の押圧力で加圧され、所定幅の定着ニップ部Nが形成される。
112は定着ベルト100の内部に配置された支持ステーであり、定着ベルト100を加圧ローラ110方向へ加圧付勢するバックアップ部材113を支持する。116はセラミックヒータ(以下、ヒータと記す)で、画像加熱時の加熱手段であって回転可能な定着ベルトの周方向の一部を加熱する加熱源である。ヒータ116は定着ベルト100の内側であって加圧ローラ110と対向する位置に設けられる。
加圧ローラ110が回転駆動され、それに伴って円筒状の定着ベルト100が従動回転すると、ヒータ116の抵抗発熱層に通電が行われる。そして、定着ベルト100の温度が設定温度に立ち上がると、定着ニップ部Nに未定着トナー像Tを担持した記録材Pが導入される。定着ニップ部Nにおいて、記録材Pのトナー像担持面側が定着ベルト100の外面に密着し、記録材Pが定着ベルト100と共に移動する。定着ニップ部Nでの挟持搬送過程において、ヒータ116の抵抗発熱層で発生した熱が記録材Pに付与され、未定着トナー像Tが記録材P上に溶融定着される。定着ニップ部Nを通過した記録材Pは定着ベルト100から曲率分離され、定着装置40から排出される。
加圧ローラ110は、ステンレス製の芯金上に、厚み約3mmのシリコーンゴム層、さらに厚み約50μmのPFA樹脂チューブが順に積層された多層構造とされている。図4に示すように、加圧ローラ110の芯金の両端部が装置フレームの奥側と手前側の側板間に回転可能に軸受保持されている。本実施形態に於ける加圧力は一端側が156.8N、総加圧力が313.6N(32kgf)である。支持ステー112は、高い圧力を掛けられても撓みにくい材質であることが望ましく、本実施形態においてはSUS304を用いている。
111(図3、図4)は、定着ベルト100の長手方向移動および周方向の形状を規制する規制部材としての左右の定着フランジである。そして、後述する定着ベルトと加圧ローラ110との当接・離間に関して、左右の定着フランジ111と加圧アーム114(カム119の回転により上下方向に変位)との間に加圧バネ115を縮設する。
ヒータ116の支持部材の面には、画像加熱時の温度検知手段としての不図示の画像加熱用のサーミスタが設けられる。図2の118は、後述するウォームアップ時の温度検知手段としてのウォームアップ用のサーミスタである。
(A:画像加熱時における加熱モード)
A−1)加熱手段
画像加熱前のウォームアップ時における第1加熱モードに対し、画像加熱時における加熱モードを第2加熱モードとする。第2加熱モードに関し、116は画像加熱時に回転可能な定着ベルト100の周方向の一部を加熱するヒータで、画像加熱時の加熱手段を構成する。このヒータ116は、紙面垂直方向である長手方向に細長い薄板状のセラミック基板と、この基板面に具備させた抵抗発熱層を基本構成とするもので、抵抗発熱層に対する通電により全体に急峻な立ち上がり特性で昇温する低熱容量のヒータである。本実施形態においては、厚み600μmのセラミック基板上に定着ベルト100の周方向の一部を加熱する抵抗発熱層を形成させている。
A−1)加熱手段
画像加熱前のウォームアップ時における第1加熱モードに対し、画像加熱時における加熱モードを第2加熱モードとする。第2加熱モードに関し、116は画像加熱時に回転可能な定着ベルト100の周方向の一部を加熱するヒータで、画像加熱時の加熱手段を構成する。このヒータ116は、紙面垂直方向である長手方向に細長い薄板状のセラミック基板と、この基板面に具備させた抵抗発熱層を基本構成とするもので、抵抗発熱層に対する通電により全体に急峻な立ち上がり特性で昇温する低熱容量のヒータである。本実施形態においては、厚み600μmのセラミック基板上に定着ベルト100の周方向の一部を加熱する抵抗発熱層を形成させている。
ヒータ116を固定支持させたニップ部形成部材113は横断面略半円弧状樋型で、紙面垂直方向を長手方向とする耐熱性樹脂等の断熱性部材である。省エネルギーの観点から支持ステー112への熱伝導の少ない材料を用いるのが望ましく、例えば、耐熱ガラスや、ポリカーボネート、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂が用いられる。本実施形態では住友化学(株)製のスミカスーパーE5204Lを用いた。ヒータ116はこのニップ部形成部材113の下面に長手方向に沿って形成具備させた溝部にヒータ表面側を下向きに露呈させて嵌め入れて耐熱性接着剤等により固定して配設してある。
A−2)加熱手段の給電部
ヒータ116の長手方向(図1の紙面に垂直方向)の両端部に給電部が設けられ、ヒータ116の抵抗発熱層に通電してヒータ116を加熱する(画像加熱時に回転可能な定着ベルト100の周方向の一部を加熱)。
ヒータ116の長手方向(図1の紙面に垂直方向)の両端部に給電部が設けられ、ヒータ116の抵抗発熱層に通電してヒータ116を加熱する(画像加熱時に回転可能な定着ベルト100の周方向の一部を加熱)。
A−3)加圧ローラとの当接
画像加熱時においては図3に示すように、定着装置40はカム119の回転動作によってカム119が加圧アーム114に当接し、加圧アーム114により加圧バネ115を介して支持される定着フランジ112が下降する。これにより、定着ベルト100は加圧ローラ110に当接した状態となる。これらの部材は、第1の回転体としての定着ベルト100と第2の回転体としての加圧ローラ110に関し、離間状態と当接状態とを互いに転換する転換手段を構成する。
画像加熱時においては図3に示すように、定着装置40はカム119の回転動作によってカム119が加圧アーム114に当接し、加圧アーム114により加圧バネ115を介して支持される定着フランジ112が下降する。これにより、定着ベルト100は加圧ローラ110に当接した状態となる。これらの部材は、第1の回転体としての定着ベルト100と第2の回転体としての加圧ローラ110に関し、離間状態と当接状態とを互いに転換する転換手段を構成する。
図1で画像加熱時に加圧ローラ110は矢印の方向に所定の周速度で回転駆動され、加圧ローラ110と当接した定着ベルト100は加圧ローラ110によって従動回転し所定の速度で回転する。定着ベルト100の内面にはグリスが塗布され、バックアップ部材としてのニップ部形成部材113と定着ベルト100内面との摩擦に起因して発生する、定着ベルト100の内面の磨耗を低減する。
A−4)加熱制御
ヒータ116の支持部材の面には、前述したように画像加熱時の温度検知手段としての不図示の画像加熱用のサーミスタが定着ニップ部Nの真上に設けられる。この画像加熱用のサーミスタは図示しないA/Dコンバータを介して制御手段としての制御回路部(CPU)に接続される。この制御回路部はサーミスタからの出力を所定の周期でサンプリングしており、得られた温度情報をヒータ116への通電制御に反映させる。つまり、制御回路部は、画像加熱用のサーミスタの出力をもとに、ヒータ116への通電制御内容を決定し、電源部から給電部材を介してヒータ116へ供給する通電を制御する。
ヒータ116の支持部材の面には、前述したように画像加熱時の温度検知手段としての不図示の画像加熱用のサーミスタが定着ニップ部Nの真上に設けられる。この画像加熱用のサーミスタは図示しないA/Dコンバータを介して制御手段としての制御回路部(CPU)に接続される。この制御回路部はサーミスタからの出力を所定の周期でサンプリングしており、得られた温度情報をヒータ116への通電制御に反映させる。つまり、制御回路部は、画像加熱用のサーミスタの出力をもとに、ヒータ116への通電制御内容を決定し、電源部から給電部材を介してヒータ116へ供給する通電を制御する。
(B:画像加熱前のウォーミングアップ時における加熱モード)
ここでウォームアップとは、プリンタが待機状態や電源OFF状態などで、定着ベルト110が設定温度に満たない場合に、定着ベルト110の温度を設定温度まで加熱することで、定着装置40をプリント可能な状態にすることである。
ここでウォームアップとは、プリンタが待機状態や電源OFF状態などで、定着ベルト110が設定温度に満たない場合に、定着ベルト110の温度を設定温度まで加熱することで、定着装置40をプリント可能な状態にすることである。
B−1)加熱手段
画像加熱前のウォーミングアップ時に全周的に加熱する抵抗発熱層を備えた定着ベルト100の構成を、図5(a)を用いて詳細に説明する。図5(a)は全周的に設けられる定着ベルトの径方向に積層された層構成の模式図であり、矢印A方向が径方向で外側から内側に向かう方向である。本実施形態における定着ベルト100は、内周側から外周側へ順に、基層101、抵抗発熱層102、弾性層103、離型層104の4層複合構造である。
画像加熱前のウォーミングアップ時に全周的に加熱する抵抗発熱層を備えた定着ベルト100の構成を、図5(a)を用いて詳細に説明する。図5(a)は全周的に設けられる定着ベルトの径方向に積層された層構成の模式図であり、矢印A方向が径方向で外側から内側に向かう方向である。本実施形態における定着ベルト100は、内周側から外周側へ順に、基層101、抵抗発熱層102、弾性層103、離型層104の4層複合構造である。
基層101は熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、厚さとして100μm以下、好ましくは50μm以下20μm以上の耐熱性材料を使用できる。例えば、ポリイミド、ポリイミドアミド、PEEK、PTFE、PFA、FEP等の樹脂ベルト、更にはSUS、ニッケルなどの金属ベルトを使用できる。本実施形態では、厚さが30μm、直径が25mmの円筒状ポリイミドベルトを用いた。尚、基層20aとして導電性を有する材料を用いる場合は、基層101と抵抗発熱層102との間にポリイミドなどの絶縁層を設ける必要がある。
弾性層103は、ゴム硬度10度(JIS−A)、熱伝導率1.3W/m・K、厚さ300μmのシリコーンゴムを用いた。離型層104は厚さ20μmのPFAチューブを用いた。離型層としてはPFAコートを用いても良く、必要な厚さ、機械的及び電気的強度に応じてPFAチューブとPFAコートを使い分けることが出来る。また、離型層104はシリコーン樹脂から成る接着剤により弾性層103と接着されている。
抵抗発熱層102は、導電粒子としてのカーボンを含有したポリイミド樹脂を均一な厚さで基層101上に塗布した、定着ベルト100を全周的に加熱する抵抗発熱体である。発熱層の総抵抗値は10.0Ωである。従って、電圧が100Vの交流電源を通電する際に発生する電力は1000Wである。尚、この抵抗値は定着装置として必要な発熱量によって適宜決定すればよく、カーボンの混合比率により適宜調整することができる。
本実施形態では、ウォーミングアップ時に、定着ベルト100は自重でヒータ116から離間する構成となり、定着ベルト100は加圧ローラ100からも離間している。このため、定着ベルト100は当接部材がある場合に当接部材に熱が奪われることがなく、急峻な立上げを行うことができる。
B−2)加熱手段の給電部
図5(a)に示すように、定着ベルト100の長手方向の両端部には給電電極部105が形成されており、給電電極部105は抵抗発熱層102の両端と電気的に接続される。給電電極部105は銀・パラジウムを含んだ導電特性を有する材料を用いていて、不図示の電源より適宜電力が供給される。
図5(a)に示すように、定着ベルト100の長手方向の両端部には給電電極部105が形成されており、給電電極部105は抵抗発熱層102の両端と電気的に接続される。給電電極部105は銀・パラジウムを含んだ導電特性を有する材料を用いていて、不図示の電源より適宜電力が供給される。
一般に、ベルト部材に配した抵抗発熱層を加熱させる方式では、ベルト自体が回転体である場合に固定支持された図5(a)に示す長手方向の両端部における給電部105との摺擦が起こる。特にベルトが高速駆動時には、回転するベルトの抵抗発熱層に安定的に電力を供給する事が困難である。このため、抵抗発熱層への給電は定着ベルトが回転しないときにのみ行っている。しかし、図5(b)のように給電部105が定着フランジの回転軸部まで伸びていて回転軸部で給電されるような構成の場合、定着ベルトが回転しているときでも抵抗発熱層102への給電は可能となる。
B−3)加圧ローラからの相対的離間
ウォームアップ時においては図4に示すように、定着装置40はカム119の回転動作によってカム119と加圧アーム114との当接が解除され、加圧アーム114により加圧バネ115を介して支持される定着フランジ112が自重に抗して持ち上がる。これにより、定着ベルト100は加圧ローラ110から相対的に離間した状態となる。本実施形態では、加圧ローラ110に対して定着ベルト100が重力方向に逆らって上方に離間したが、加圧ローラ110が定着ベルト100に対し重力方向に下がって離間状態を形成する構成であっても良い。
ウォームアップ時においては図4に示すように、定着装置40はカム119の回転動作によってカム119と加圧アーム114との当接が解除され、加圧アーム114により加圧バネ115を介して支持される定着フランジ112が自重に抗して持ち上がる。これにより、定着ベルト100は加圧ローラ110から相対的に離間した状態となる。本実施形態では、加圧ローラ110に対して定着ベルト100が重力方向に逆らって上方に離間したが、加圧ローラ110が定着ベルト100に対し重力方向に下がって離間状態を形成する構成であっても良い。
なお、初期状態では定着ベルト100の給電電極部105およびヒータ116には電力が供給されておらず、加圧ローラ110も停止した状態である。
B−4)加熱制御
定着装置40のウォームアップ時の動作について、図6のフローチャートに示す。ウォームアップ動作は図9のブロック図に示す制御部によって逐次制御される。待機状態で、プリンタが操作部などの入力装置からプリント開始命令を受けると(STEP1)、定着ベルト110へ電源供給部から電力が供給される(STEP2)。即ち、第1の回転体としての定着ベルト100と第2の回転体としての加圧ローラ110とが離間状態で定着ベルト100の抵抗発熱層102に給電する。
定着装置40のウォームアップ時の動作について、図6のフローチャートに示す。ウォームアップ動作は図9のブロック図に示す制御部によって逐次制御される。待機状態で、プリンタが操作部などの入力装置からプリント開始命令を受けると(STEP1)、定着ベルト110へ電源供給部から電力が供給される(STEP2)。即ち、第1の回転体としての定着ベルト100と第2の回転体としての加圧ローラ110とが離間状態で定着ベルト100の抵抗発熱層102に給電する。
次のステップとして、所定時間経過後(STEP3)に、ヒータ116への電力供給を開始しヒータ116による加熱を開始する(STEP4)。STEP3で所定時間とは、後述のSTEP6で定着ベルト100とヒータ116が当接したときに定着ベルト100の温度に対して、ヒータ116の温度が±10℃程度に収まるように、適宜決める事が望ましい。これによって、ヒータ116が定着ベルト100の温度と違う事によって、STEP6で定着ベルト100とヒータ116が当接した時に発生する定着ベルト100の周方向の温度ムラを抑える事ができる。
そして、サーミスタ118の検知する定着ベルト100の温度が立上目標温度に達したら(STEP5)、定着ベルト100への電源供給部からの給電を停止する(STEP6)。
次の第3のステップとして、カム119の回転動作により定着フランジ112を加圧バネ115によって第1の回転体としての定着ベルト100と第2の回転体としての加圧ローラ110を当接状態に転換する(定着ベルト100の離間解除:STEP6)。そして、加圧駆動部により加圧ローラ110の駆動を開始する(STEP7)。以上のステップで定着装置40のウォームアップが終了し、未定着トナー像を担持した記録材への定着動作が可能な状態へ移行する。
図7に示すグラフが、前述のフローチャートで定着装置40をウォームアップした時の定着ベルト100とヒータ116の温度推移を示したものである。なお、図7においてヒータ温調温度と定着ベルト温調温度が異なっているのは、図1で示すようにニップ部Nとサーミスタ118の位相が異なっているためであり、ニップ部Nにおいてはヒータ116と定着ベルト100の温度はほぼ等しい。本実施形態における構成において、待機状態から定着可能状態に移行するまでの時間は、十分な電力供給が可能であれば、3秒で移行する事が可能であり定着ベルト100の周方向温度ムラも発生しない。
しかし、比較例1(図8)として本実施形態と同じ構成で、ウォームアップ時の加熱手段としてヒータ116を用い定着ベルトの発熱を行わず、かつ定着ベルトと加圧ローラの離間を行わなずに加圧ローラを駆動した場合は、立上時間は20秒かかってしまう。さらに、比較例2(図8)として本実施形態と同じ構成で、ウォームアップ時の加熱手段としてベルトおよびヒータ116を用い、かつ定着ベルトと加圧ローラの離間を行わないで加圧ローラを駆動しない場合は、以下の問題を生ずる。即ち、サーミスタ検知温度は3秒以下で目標温度に達するが、ニップ部Nでの定着ベルト温度が保証できず、定着ベルトもしくは加圧ローラの周方向に温度ムラが生じ、温度ムラに起因する画像不良や、紙搬送不良が発生してしまう(図8)。
温度制御に関してサーミスタ118は図示しないA/Dコンバータを介して制御手段としての制御回路部(CPU)に接続される。この制御回路部はサーミスタ118からの出力を所定の周期でサンプリングしており、得られた温度情報を発熱体への通電制御に反映させる。
つまり、制御回路部は、サーミスタ118の出力をもとに、発熱体への通電制御内容を決定し、電源部から給電部材を介して発熱体へ供給する通電を制御する。尚、本実施形態の定着装置での上記制御は、記録材Pにトナー像を定着するための温度を鑑みて、サーミスタ118の検知温度が160℃で一定となるように制御する。
以上、本実施形態により、定着ベルトが停止中は低熱容量な定着ベルトに設けた抵抗発熱層を用いることで、ヒータ加熱のみの場合に比べて、ウォームアップ時間が20秒から3秒へ短縮される。更に、ウォームアップ中に定着ベルトに比べ熱容量の大きい加圧ローラを当接させないことで、定着ベルトが停止したままでも定着ベルトの周方向温度ムラが安定的に10℃以内に抑える事が可能な定着装置を提供することができる。更には、定着ベルト100がヒータ116にも当接させないように構成できる。
なお、上記実施形態で説明した画像加熱装置は、未定着画像が転写された記録材を定着する定着装置に関してであったが、既に定着処理済みの記録材を再加熱して光沢度を上げる光沢度増大装置にも適用可能であることは言うまでもない。
《第2の実施形態》
図10で第2の実施形態を説明する。定着ベルト100はローラR1、R2に懸架され、画像加熱時には図10(b)に示すように加圧ローラ110とヒータ116に当接して加圧ローラ110が回転駆動することで従動回転される。ウォームアップ時には,図10(a)に示すように加圧ローラ110を下方に離間させ、定着ベルト100を回転させずに全周的に加熱する定着ベルトの抵抗発熱層に給電することで定着ベルト100自体を高速に定着目標温度まで加熱する。
図10で第2の実施形態を説明する。定着ベルト100はローラR1、R2に懸架され、画像加熱時には図10(b)に示すように加圧ローラ110とヒータ116に当接して加圧ローラ110が回転駆動することで従動回転される。ウォームアップ時には,図10(a)に示すように加圧ローラ110を下方に離間させ、定着ベルト100を回転させずに全周的に加熱する定着ベルトの抵抗発熱層に給電することで定着ベルト100自体を高速に定着目標温度まで加熱する。
本実施形態では、ウォームアップ時に定着ベルトに当接する部材(ローラR1、R2、ヒータ116)があるため、高速立上げに関しては第1の実施形態に比べ遅くなる。
(変形例)
上述した実施形態においては、ウォームアップ時に定着ベルト100が加圧ローラ110と離間し、更にヒータ116とも離間して当接部材が無いことでより高速の立上げができる構成とした。しかし、熱容量の大きさからウォームアップ時に定着ベルト100が加圧ローラ110と離間すれば良く、熱容量が小さいヒータ116と当接する構成としても良い。
上述した実施形態においては、ウォームアップ時に定着ベルト100が加圧ローラ110と離間し、更にヒータ116とも離間して当接部材が無いことでより高速の立上げができる構成とした。しかし、熱容量の大きさからウォームアップ時に定着ベルト100が加圧ローラ110と離間すれば良く、熱容量が小さいヒータ116と当接する構成としても良い。
100・・定着ベルト、101・・基層、102・・抵抗発熱体層、104・・離形層、105・・給電部、110・・加圧ローラ、111・・定着フランジ、112・・支持ステー、113・・ニップ部形成部材、114・・加圧アーム、115・・加圧カム、116・・ヒータ、119・・カム、N・・定着ニップ部、P・・記録材、T・・未定着トナー像
Claims (6)
- 第1の回転体と、前記第1の回転体とニップ部を形成する第2の回転体と、前記第1の回転体の一部を加熱する加熱源と、前記第2の回転体を回転駆動する駆動手段と、を有し、前記第1の回転体と前記第2の回転体とが前記ニップ部を形成した状態において前記第2の回転体を回転させることによって前記第1の回転体を従動回転させ画像を担持した記録材を前記ニップ部で挟持搬送して加熱する画像加熱装置において、
前記第1の回転体と前記第2の回転体を当接させて前記ニップ部を形成させた当接状態と前記第1の回転体と前記第2の回転体を離間させた離間状態とを互いに転換する転換手段を有し、
前記第1の回転体は給電により発熱して前記第1の回転体を全周的に加熱する抵抗発熱層を備え、
ウォームアップ時に、前記第1の回転体と前記第2の回転体とが前記転換手段により離間状態に転換されている状態において前記抵抗発熱層に給電がなされて前記第1の回転体が加熱される第1加熱モードと、
画像加熱時に、前記第1の回転体と前記第2の回転体とが前記転換手段により当接状態に転換されている状態において前記第2の回転体が前記駆動手段により回転駆動され、前記加熱源により前記第1の回転体が加熱される第2加熱モードと、
を有することを特徴とする画像加熱装置。 - 前記第1加熱モードでは、前記抵抗発熱層に給電がなされて所定時間経過後に、前記加熱源による加熱を開始することを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
- 前記第1加熱モードでは、第1のステップとして前記第1の回転体と前記第2の回転体とが離間状態で前記抵抗発熱層に給電する、次の第2のステップとして所定時間経過後に前記加熱源による加熱を開始する、次の第3のステップとして前記抵抗発熱層への給電を停止し、前記第1の回転体と前記第2の回転体を当接状態に転換するという各ステップを備えることを特徴とする請求項2に記載の画像加熱装置。
- 前記第2加熱モードでは、前記抵抗発熱層への給電が停止されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
- 前記加熱源は前記第1の回転体の内側であって前記第2の回転体と対向する位置に設けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
- 前記第1加熱モードでは、前記第1の回転体と前記加熱源とが離間状態となることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
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