JP2010181840A - 像加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ニップ形成部材と加圧部材の両端の付勢状態を変化させて加熱ニップ部の加圧力を低下させた際に、加熱ニップ部の長手方向の両端部の圧抜けが発生しにくい像加熱装置を提供する。
【解決手段】加圧部材5及び加熱部材4によって内側面を支持された定着ベルト1に昇降可能な加圧ローラ2を圧接させて、総圧300Nの加圧と総圧150Nの加圧とを切り替え可能な記録材の加熱ニップ部Nを形成する。加熱部材4の上面4aに中央部が下方へ850μ突出した円弧状の補正形状を形成し、下面4bに中央部が下方へ150μ窪んだ円弧状の補正形状を形成する。加圧部材5よりも曲げ抵抗の小さい加熱部材4が加圧部材5との隙間側へ逃げて中央部の圧力上昇を抑制する一方で、加熱部材4の両端部が加圧ローラ2へ向かって付勢されるので、隙間が無い場合に比較して両端部の圧力が高まる。
【選択図】図2

Description

本発明は、加熱部材で支持されたベルトにニップ形成部材を圧接して記録材の加熱ニップ部を形成する像加熱装置、詳しくは加熱ニップ部の加圧力を低下させた際に長手方向の端部で圧抜けしにくい構造に関する。
トナー像を記録材に転写した後に、像加熱装置の加熱ニップ部で記録材を挟持搬送して加熱加圧することにより、フルカラー又は白黒の画像を記録材に定着させる画像形成装置が広く用いられている。像加熱装置は、未定着トナー像を記録材に定着させる他に、半定着又は定着済みトナー像を担持した記録材を加熱加圧して画像面の仕上がりを調整する用途にも使用される。
特許文献1には、加熱部材で内側面を支持された無端状のベルトに対して、柔軟な弾性層を軸部材の外側に設けたニップ形成部材を圧接して記録材の加熱ニップ部を形成する像加熱装置が示される。このような方式では、ベルトは熱容量が少ないため加熱ニップ部の温度の立ち上がりが早くなり、スタンバイ時に電力供給する必要が無くなるので、ローラ加熱方式に比較して総合的な消費電力を低く抑えることができる。
特許文献2には、ベルトとニップ形成部材とで記録材の加熱ニップ部を形成する同様な像加熱装置が示される。ここでは、加熱ヒータを表面に配置した加熱部材がベルトの内側面に摺擦しており、ベルトを貫通して梁状に配置された加圧部材が、加熱部材の背面をニップ形成部材に向かって長手方向に一様に押圧している。
特許文献3には、ベルトとニップ形成部材とで記録材の加熱ニップ部を形成する同様な像加熱装置が示される。ここでは、ニップ形成部材と加圧部材の両端の付勢状態を変化させる加圧機構によって、加熱ニップ部の加圧力を調整している。
特開平2−157878号公報 特開平4−44075号公報 特開平4−204980号公報
図2に示すように、加圧部材5及び加熱部材4に支持されたベルト1とニップ形成部材(2)とで記録材Pの加熱ニップ部を形成する像加熱装置では、機構の小型軽量化、低コスト化、省スペース化が望まれている。このため、ベルト1の小径化に伴ってベルト1の内側に配置される加圧部材5及び加熱部材4の断面積が不足して細長くなり、加圧部材5及び加熱部材4は、剛性(曲げ抵抗)が不足して曲がり易くなっている。また、ニップ形成部材(2)の軸部材(3)の小径化又やパイプ化に伴って、ニップ形成部材(2)の軸部材(3)も剛性(曲げ抵抗)が不足して曲がり易くなっている。
このため、図3に示すようにニップ形成部材(2)と加圧部材5とを両持ち支持して圧接させる方向に加圧付勢すると、図5に示すようにニップ形成部材(2)と加圧部材5とが互いに外側へ撓んで、長手方向の中央部で加熱ニップ部のニップ圧力が圧抜けする。
そこで、図8に示すように、ニップ形成部材(2)と加圧部材5の撓み量に相当するだけ加熱部材4の長手方向の中央部を予め加圧方向に厚く形成して、ニップ形成部材(2)と加圧部材5とが外側に撓んだ状態で加熱ニップ部の長手方向のニップ圧力が一様になるようにしている。
ところで、近年、画像形成に供される記録材の種類が増えたため、像加熱装置の加熱ニップ部の加圧力を複数段階に切り替えることが求められている。厚紙やグロスコート紙では、記録材に吸収される熱量が多いため、トナー像の定着に必要な加熱を確保するために、加圧力を高めて回転方向の加熱ニップ部長さを増すことが好ましい。また、薄紙では、記録材しわの発生を防止するために加圧力を低下させることが好ましい。
しかし、図9に示すように、ニップ形成部材(2)と加圧部材5の両端の付勢力を低下させて加熱ニップ部の加圧力を低下させると、低下前には一様なニップ圧力分布だった加熱ニップ部の長手方向の両端部で圧抜けが発生してしまう。加熱ニップ部の加圧力を低下させると、ニップ形成部材(2)と加圧部材5の撓み量が減って、大きな加圧力を想定して加熱部材4の長手方向の中央部に付与した厚みの割り増し量が過剰になって、中央部に圧力が集中するからである。
本発明は、ニップ形成部材(2)と加圧部材5の両端の付勢状態を変化させて加熱ニップ部の加圧力を変化させた際に、加熱ニップ部の長手方向で部分的な圧抜けが発生しにくい像加熱装置を提供することを目的としている。
本発明の像加熱装置は、記録材上のトナー像を加熱ニップ部で加熱しながら回転するベルトと、前記ベルトに接触して前記加熱ニップ部を形成するニップ形成部材と、前記加熱ニップ部を前記ベルトの内側から加熱する加熱部材と、前記加熱部材を前記加熱ニップ部に向けて加圧するために前記ベルトの長手方向に沿って設けられる加圧部材と、前記加圧部材の前記長手方向の両端部を加圧する加圧機構と、前記加熱部材が前記加圧部材から受ける圧力を変更する圧力変更手段とを有するものである。そして、前記加熱部材は、前記加圧部材の加圧方向の厚みが前記長手方向の端部よりも中央にて厚く、前記加熱ニップ部に対向する面および前記加圧部材に対向する面が、前記加熱ニップ部へ向かって前記長手方向に湾曲している。
本発明の像加熱装置は、記録材上のトナー像を加熱ニップ部で加熱しながら回転するベルトと、前記ベルトに接触して前記加熱ニップ部を形成するニップ形成部材と、前記加熱ニップ部を前記ベルトの内側から加熱する加熱部材と、前記加熱部材を前記加熱ニップ部に向けて加圧するために前記ベルトの長手方向に沿って設けられる加圧部材と、前記加圧部材の前記長手方向の両端部を加圧する加圧機構と、前記加熱部材が前記加圧部材から受ける圧力を変更する圧力変更手段とを有するものである。そして、前記加熱部材は、前記加圧部材の加圧方向の厚みが前記長手方向の端部よりも中央にて厚く、前記加熱ニップ部に対向する面および前記加圧部材に対向する面が、前記加圧部材へ向かって前記長手方向に湾曲している。
本発明の像加熱装置は、記録材上のトナー像を加熱ニップ部で加熱しながら回転するベルトと、前記ベルトに接触して前記加熱ニップ部を形成するニップ形成部材と、前記加熱ニップ部を前記ベルトの内側から加熱する加熱部材と、前記加熱部材を前記加熱ニップ部に向けて加圧するために前記ベルトの長手方向に沿って設けられる加圧部材と、前記加圧部材の前記長手方向の両端部を加圧する加圧機構と、前記加熱部材が前記加圧部材から受ける圧力を変更する圧力変更手段とを有するものである。そして、前記加熱部材は、前記加圧部材の加圧方向の厚みが前記長手方向の端部よりも中央にて厚く、前記加熱ニップ部に対向する面が前記ニップ形成部材へ向かって前記長手方向に湾曲し、前記加圧部材は、前記加熱部材の前記長手方向の両端部を押す突起部を備える。
本発明の像加熱装置は、記録材上のトナー像を加熱ニップ部で加熱しながら回転するベルトと、前記ベルトに接触して前記加熱ニップ部を形成するニップ形成部材と、前記加熱ニップ部を前記ベルトの内側から加熱する加熱部材と、前記加熱部材を前記加熱ニップ部に向けて加圧するように前記ベルトの長手方向に沿って設けられる加圧部材と、前記加圧部材の前記長手方向の両端部を加圧する加圧機構と、前記加熱部材が前記加圧部材から受ける圧力を変更する圧力変更手段とを有するものである。そして、前記加熱部材は、前記加圧部材の加圧方向の厚みが前記長手方向の端部よりも中央にて厚く、前記加熱ニップ部に対向する面が前記ニップ形成部材へ向かって前記長手方向に湾曲し、前記加熱部材は、前記長手方向の両端部に、前記加圧部材に接触する突起部を備える。
本発明の像加熱装置では、圧力変更手段によって加圧力を減少させる過程では、加圧部材によって、加熱部材の両端部がニップ形成部材に向かって中央部よりも強く押圧された状態で加熱ニップ部全体の加圧力が減少する。このため、加圧力を低下させた際の加熱ニップ部の長手方向の端部における過剰な圧力低下が抑制される。
また、圧力変更手段によって加圧力を高めていく過程では、加熱部材の中央部が湾曲の隙間側へ逃げて中央部の圧力上昇が抑制される一方で、加熱部材の両端部がニップ形成部材側へ押圧される。このため、中央部よりも両端部に分配される加圧力が高まる。
従って、ニップ形成部材と加圧部材の両端の付勢状態を変化させて加熱ニップ部の加圧力を変化させた際に、加熱ニップ部の長手方向で部分的な圧抜けが発生しにくい。
画像形成装置の構成の説明図である。 定着装置の構成の説明図である。 定着装置の加圧機構の説明図である。 加圧力制御のフローチャートである。 比較例1の定着装置で総圧300Nの加圧を行った場合の各部材の撓み状態の説明図である。 加圧部材及び軸部材の撓み量と加圧力の関係の説明図である。 総圧300Nの加圧を行った場合の各部材の撓み量の説明図である。 比較例2の定着装置で総圧300Nの加圧を行った場合の各部材の撓み状態の説明図である。 総圧300Nの加圧を行った場合の各部材の撓み量の説明図である。 比較例2の定着装置で総圧150Nの加圧を行った場合の各部材の撓み状態の説明図である。 総圧150Nの加圧を行った場合の各部材の撓み量の説明図である。 比較例2で加圧力を切り替えた場合の長手方向のニップ圧力分布の変化の説明図である。 実施例1の定着装置の構成の説明図である。 加圧力を切り替えた場合のニップ圧力分布の変化の説明図である。 実施例2の定着装置の構成の説明図である。 実施例3の定着装置の構成の説明図である。 実施例3の定着装置の別の構成の説明図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、加圧されない状態で加熱部材の中央部に加圧方向の隙間が形成される限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
従って、ベルトに加圧ローラを圧接した像加熱装置に限らず、ベルトに加圧ベルトを圧接した像加熱装置でも実施できる。像加熱装置は、トナー像を記録材に定着する定着装置に限らず、定着済み又は半定着画像を加熱加圧する表面処理装置も含む。
像加熱装置が搭載される画像形成装置は、中間転写ベルトを用いる画像形成装置に限らず、記録材搬送ベルトを用いる画像形成装置や、記録材へ枚葉式にトナー像を転写する画像形成装置でも実施できる。複数の感光ドラムを配置したタンデム型に限らず、ベルトに沿って1個の感光ドラムを配置した1ドラム型でも実施できる。
本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
なお、特許文献1〜3に示される像加熱装置、画像形成装置の一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。
図1に示すように、第1実施形態の画像形成装置100は、中間転写ベルト21に沿って現像色が異なる画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを配置したタンデム型フルカラープリンタである。
画像形成部Paでは、感光ドラム11aにイエロートナー像が形成されて、中間転写ベルト21に一次転写される。画像形成部Pbでは、感光ドラム11bにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト21のイエロートナー像に重ねて一次転写される。画像形成部Pc、Pdでは、感光ドラム11c、11dにそれぞれシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて、同様に中間転写ベルト21のトナー像に重ねて順次一次転写される。
中間転写ベルト21に担持された四色のトナー像は、二次転写部T2で記録材Pへ一括二次転写される。二次転写部T2でトナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置30で加熱加圧を受けて、表面にトナー像を定着された後に外部へ排出される。
カセット25から1枚ずつ引き出された記録材Pは、レジストローラ28で待機し、中間転写ベルト21のトナー像にタイミングを合わせて、二次転写部T2へ送り出される。
画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、それぞれに付設された現像装置で用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、ほぼ同一に構成される。以下では、画像形成部Paについて説明し、他の画像形成部Pb、Pc、Pdについては、説明中の符号末尾のaを、b、c、dに読み替えて説明されるものとする。
画像形成部Paは、感光ドラム11aの周囲に、帯電ローラ12a、露光装置13a、現像装置14a、一次転写ローラ15aを配置している。
感光ドラム11aは、帯電極性が負極性の感光層を表面に形成した金属円筒で構成され、所定のプロセススピードで矢印方向に回転する。
帯電ローラ12aは、直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を印加されて、感光ドラム11aの表面を一様な負極性の電位に帯電させる。
露光装置13aは、画像データを展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを多面体ミラーで走査して、帯電した感光ドラム11aの表面に画像の静電像を書き込む。
現像装置14aは、負極性に帯電したトナーを現像スリーブに担持させて感光ドラム11aを摺擦し、負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を現像スリーブに印加して、感光ドラム11aの静電像を反転現像する。
一次転写ローラ15aは、中間転写ベルト21を介して感光ドラム11aに圧接して感光ドラム11aと中間転写ベルト21aとの間に一次転写部Taを形成する。一次転写ローラ15aに正極性の直流電圧を印加することにより、負極性に帯電して感光ドラム11aに担持されたトナー像が中間転写ベルト21に一次転写される。
二次転写ローラ24は、中間転写ベルト21を介して対向ローラ20に圧接して、中間転写ベルト21と二次転写ローラ24との間に二次転写部T2を形成する。二次転写部T2は、トナー像を担持した中間転写ベルト21に重ね合わせて記録材Pを挟持搬送し、二次転写ローラ24に正極性の直流電圧を印加することで、中間転写ベルト21から記録材Pへトナー像が二次転写される。
<定着装置>
図2は定着装置の構成の説明図、図3は定着装置の加圧機構の説明図、図4は加圧力制御のフローチャートである。
図2に示すように、定着装置30は、加熱部材4及び加圧部材5によって内側面を支持された定着ベルト1に下方から加圧ローラ2を圧接して、記録材Pの加熱ニップ部Nを形成する。記録材Pが加熱ニップ部Nを通過する過程で、加熱ヒータ6から定着ベルト1を介して記録材Pに熱が供給されることにより、未定着トナー像Tが加熱溶融して記録材Pの表面に定着される。
無端状のベルトの一例である定着ベルト1は、記録材の画像面に接して回転する。定着ベルト1は、加圧ローラ2の回転に従動回転して、加熱ヒータ6が配置された加熱面に密着して摺動しながら、搬送されてくる未定着トナー像Tを担持した記録材Pの搬送速度とほぼ同一の周速度で回転する。
定着ベルト1は、熱伝導率が高く引張り強度が高い金属層に重ねて熱伝導率の高いゴム材料の弾性層を形成し、表面にフッ素樹脂の離型層を形成して内径φ25mmの無端状に形成されている。金属層は、厚さ50μmのステンレス材料、弾性層は、熱伝導率が1.0W/m・Kのシリコンゴム、離型層は、厚さ30μmのPFAチューブである。
ニップ形成部材の一例である加圧ローラ2は、鉄、アルミ等の円筒材料で形成された軸部材3の外側に柔軟なゴム材料の弾性層7を形成している。加圧ローラ2は、弾性層7の表面をPFAチューブの離型層で覆って外径φ25mm形成されている。
軸部材3は、外径φ10mm、肉厚3mmのアルミ管を用い、弾性層7は、肉厚3mm、アスカー硬度64°のシリコンゴム、PFAチューブの厚みは50μmである。
加圧部材5は、幅10mm×高さ10mm×肉厚2.3mmのコの字断面の鋼材を用いて梁状に形成してある。
加熱部材4は、耐熱性があって弾性係数が高く、摩擦係数が低くて熱伝導性も低い液晶ポリマー等の合成樹脂材料を用いて梁状に形成され、定着ベルト1を長手方向に貫通した状態で定着ベルト1の内側面を摺擦する。加熱部材4は、加圧ローラ2側に形成された凹所に加熱ヒータ6を埋め込んで表面をガラス材料で封止している。加熱部材4は、加熱ヒータ6と加熱ヒータ6の支持部材とを一体的に構成したものである。
加熱ヒータ6は、電力供給により発熱する発熱源として抵抗発熱体を含み、抵抗発熱体の発熱により昇温する。加熱ヒータ6は、Al2O3基板上にAg・Pdペーストを厚膜印刷して焼成することで抵抗発熱体を形成している。
加熱ヒータ6の裏面に当接させて不図示の温度検知センサが配置されており、不図示の温度調整回路は、温度検知センサの出力が設定値に近付くように加熱ヒータ6に対する電力供給をON・OFF制御する。これにより、定着ベルト1の表面温度は、所定の温度範囲に保たれる。
複数プリント時は、一連のプリント動作が終了するまで定着ベルト1の温度の温調を行う。最後の記録材Pが加熱ニップ部Nを通過して定着ベルト1から分離されて排出されると、加圧ローラ2の回転駆動が停止されるとともに、加熱ヒータ6への通電も停止される。
なお、定着ベルト1の長手方向の長さは340mm、加熱ヒータ6の長手方向の長さは370mm、加熱部材4の長手方向の長さは374mm、加圧ローラ2の長手方向の長さは330mmである。
図3に示すように、加圧ローラ2は、加圧機構9によって両端を上方へ押圧されることにより、加熱部材4に内側面を支持された定着ベルト1に圧接して弾性層7を変形させ、図2に示す回転方向に連続した加熱ニップ部Nを形成する。
加圧部材5は、定着装置30のフレーム5aに両持ち梁として支持され、長手方向の下面を通じて加熱部材4を加圧ローラ2へ向かって付勢して、定着ベルト1と加圧ローラ2との間に加熱ニップ部Nを形成する。
加圧ローラ2は、軸部材3の両端がベアリング3aによって両持ち式かつ回転自在に支持されている。ベアリング3aは、定着装置30のフレーム5aに対して回動して回動端を昇降可能な回動アーム(9b:図1)に固定されている。
加圧機構9は、加熱ニップ部の加圧力を変更するようにニップ形成部材と加圧部材の両端部の付勢状態を変化させる。
加圧機構9は、駆動モータ9dを作動させてカム軸9aを回転させ、圧力変更手段の一例である一対の加圧カム9cを回転させて、回動アーム9bの回動端を昇降させる。これにより、ベアリング3aに支持された加圧ローラ2が昇降して、定着ベルト1に対する加圧力が変化する。なお、加圧機構9は、実際には、圧力変更手段の一例である加圧カム9cが不図示の加圧バネを介して回動アーム9bを昇降させるように構成されている。
図3を参照して図4に示すように、制御部10は、プリントジョブを受け付けると(S11)、駆動モータ9dを制御して、記録材の種類に応じた加熱ニップ部の加圧力を設定する。制御部10は、プリントジョブのデータから指定された記録材を判別する。
熱吸収量が大きい厚紙を定着処理する場合(S12のNO)、制御部10は、加圧ローラ2の両端に印加する付勢力を総圧300Nに高めた状態のまま(前回のS15)、画像形成を開始する(S13)。これにより、加熱ニップ部Nの加圧力が高まるとともに加熱ニップ部Nの回転方向の長さが長くなって、トナー像の加熱溶融に十分な温度と供給熱量を確保できる。
記録材しわが発生し易い薄紙又は封筒を定着処理する場合(S12のYES)、制御部10は、加圧ローラ2の両端に印加する付勢力を総圧150Nに下げる(S14)。これにより、加熱ニップ部の加圧力が低下するとともに加熱ニップ部Nの回転方向の長さが短くなって、記録材しわが発生しにくくなる。
<比較例1>
図5は比較例1の定着装置で総圧300Nの加圧を行った場合の各部材の撓み状態の説明図である。図6は加圧部材及び軸部材の撓み量と加圧力の関係の説明図、図7は総圧300Nの加圧を行った場合の各部材の撓み量の説明図である。
図5に示すように、比較例1の定着装置30Aは、加熱部材4が長手方向に厚みが一定で上下面が平坦な外観形状である。また、部材の軽量化に伴って加圧部材5の肉厚が薄く、加圧ローラ2の軸部材3が中空材料であるため、加圧部材5も軸部材3も従来の部材に比較して撓み量が大きく、加圧によって加熱ニップ部の長手方向の中央部が圧抜けし易くなっている。
加圧ローラ2の両端にそれぞれ150N(15kgf)が印加されて総荷重300N(30kgf)で上方へ付勢されると、加圧部材5及び加熱部材4で内側面を支持された定着ベルト1に加圧ローラ2が圧接する。
このとき、加圧部材5の両端部は加圧ローラ2に向かって円弧状に撓み、加圧ローラ2の両端部は加圧部材5に向かって円弧状に撓むため、加圧ニップの端部Nbに圧力が集中して、中央部Naで圧抜けが発生する。
図5を参照して図6に示すように、総荷重300Nの加圧力を印加した場合、加圧部材5は450μm撓み、加圧ローラ2の軸部材3は、250μm撓む。
図6に示すように、加圧部材5の両端は下方へ450μm撓むので、下方向を+とすると+450μmの撓み量となる。加圧ローラ2の軸部材3の両端は、上方へ荷重を受けて加圧部材5とは逆の円弧状に上方へ250μm撓むので、撓み量は−250μmである。
ここで、加熱部材4の断面二次モーメントは200mm、加圧部材5の断面二次モーメントは3000mmである。このように、加熱部材4の曲げ抵抗が加圧部材5の曲げ抵抗よりも低いため、加熱部材4は、加圧部材5に沿って変形する。ただし、図6では、理解を容易にするために、軸部材3及び加圧部材5の撓み量を誇張して図示する一方、加熱部材4及び定着ベルト1の撓みは図示されていない。
従って、加熱部材4に支持された定着ベルト1と加圧ローラ2との間の距離は、両端部に比べて中央部が700μm大きくなり、シリコンゴムの弾性層7の圧縮量は両端部に比べて中央部が700μm小さくなる。このため、長手方向の中央部でニップ圧力が低下して回転方向の加熱ニップ部の長さが短くなり、定着圧力も不足あるいは完全に圧抜けして、記録材上のトナー像に十分な加熱を及ぼせなくなる。
従って、加熱ニップ部の長手方向の中央部の圧抜けを軽減するには、図8に示すように、700μmの撓み量を埋め合わせるように、加熱部材4の長手方向の中央部の加圧方向の厚みを端部よりも700μm大きくすればよい。
<比較例2>
図8は比較例2の定着装置で総圧300Nの加圧を行った場合の各部材の撓み状態の説明図、図9は総圧300Nの加圧を行った場合の各部材の撓み量の説明図である。図10は比較例2の定着装置で総圧150Nの加圧を行った場合の各部材の撓み状態の説明図、図11は総圧150Nの加圧を行った場合の各部材の撓み量の説明図である。図12は比較例2で加圧力を切り替えた場合の長手方向のニップ圧力分布の変化の説明図である。
図8に示すように、比較例2の定着装置30Bの加熱部材4は、下面が凸な円弧状に形成されて長手方向の中央部の加圧方向の厚みが両端部よりも700μm大きい。
図8を参照して図9に示すように、比較例2の定着装置30Bで総圧300Nの加圧を行った場合、長手方向の中央部における加圧部材5と軸部材3の合計の撓み量700μmが加熱部材4の中央部の厚みの割り増し量700μmで相殺される。
従って、加圧ローラ2の弾性層1の圧縮量は、加熱ニップ部の長手方向の中央部Naと両端部Nbとでほぼ等しくなり、中央部Naでも両端部Nb並みのニップ圧力が確保されて回転方向の加熱ニップ部の長さも揃う。つまり、総圧300Nの加圧における中央部Naの圧抜けが解消され、中央部Naと両端部Nbとで加熱ニップ部の回転方向の長さが等しくなり、定着圧力も等しくなる。
しかし、比較例2の定着装置30Bでは、加圧力を総圧300N(30kgf)から総圧150N(15kgf)へ切り替えると、加熱部材4の長手方向の中央部の厚みの割り増し量700μmが過剰になって両端部で圧抜けが発生する。
図10に示すように、比較例2の定着装置30Bで総圧150Nの加圧を行った場合、長手方向の中央部における加圧部材5と軸部材3の合計の撓み量は、総圧300Nの場合より少ない300μmとなる。このため、加熱部材4の長手方向の端部よりも700μm厚みが大きい中央部に加熱ニップ部の圧力が集中する。
その結果、加熱部材4の長手方向の端部で圧力が不足して回転方向の加熱ニップ部の長さが短くなり、定着圧力も不足あるいは完全に圧抜けして、記録材上のトナー像に十分な加熱を及ぼせなくなる。
図6に示すように、加圧力150Nでは、加圧部材5の撓み量が200μm、加圧ローラ2の軸部材3の撓み量が100μmとなる。このため、総圧150Nの加圧を行う場合、加熱部材4の中央部の厚みの割り増し量は、長手方向の中央部における加圧部材5と軸部材3の合計の撓み量に等しい300μmとする必要がある。
図11は、中央部の厚みの割り増し量を300μとした加熱部材4を採用した場合の総圧150Nの加圧力における各部材の撓み量を示している。
図11に示すように、加熱部材4の中央部の厚みの割り増し量が300μであれば、図9を参照して説明したように、総圧150Nの加圧における加圧部材5と軸部材3の合計の撓み量300μmが相殺される。加熱部材4の加熱ニップ部側の面は、軸部材3と等間隔に湾曲して、長手方向の中央部Naでも両端部Nbでも圧抜けが発生しない。
しかし、比較例2では、図11に破線で示すように、加熱部材4の中央部の厚みの割り増し量が700μmであるため、加熱部材4の中央部は、加熱部材4の中央部の厚みの割り増し量によって400μmよけいに押し広げられる。400μmの過剰な撓み量に相当して中央部Naにニップ圧力が集中しただけ、加熱ニップ部の両端部Nbのニップ圧力が低下するので、加熱ニップ部の長手方向の両端部Nbで圧抜けが発生する。これにより、記録材の搬送性や端部の定着性が悪化してしまう。
従って、比較例2のように、加圧時における各部材の撓み量が大きい構成では、加圧力によって撓み量が変化するため、複数の加圧段階で加熱ニップ部の長手方向のニップ圧分布をフラットに保つのは非常に困難である。
図10を参照して図12に示すように、加圧力300Nでの加圧部材5及び軸部材3の撓み量700μmを基準にして加熱部材4の厚み分布に補正を設けた場合、加圧力150Nに切り替えたときに長手方向の両端部で圧抜けが発生する。
一方、加圧力150Nでの加圧部材5及び軸部材3の撓み量300μmを基準にして加熱部材4の厚み分布に補正を設けた場合、加圧力300Nに切り替えたときに長手方向の中央部で圧抜けが発生する。
このため、比較例2では、加圧力を切り替えた際に、加熱ニップ部の長手方向の中央部と両端部とで搬送速度が異なるため記録材の搬送性が悪化し、中央部と両端部とで熱伝達が異なるため局所的な定着不良が発生し易くなる。
以下の実施例1〜4では、加熱部材の形状及び支持構造を比較例2と異ならせることにより、加圧力を切り替えた際の加熱ニップ部の長手方向のニップ圧力分布の悪化を軽減している。
<実施例1>
図13は実施例1の定着装置の構成の説明図、図14は加圧力を切り替えた場合のニップ圧力分布の変化の説明図である。
図13に示すように、実施例1の定着装置30は、加熱部材4の上面及び下面を円弧状に形成して長手方向の中央部の加圧方向の厚みを両端部よりも700μm大きくしている。加熱部材4の加熱ニップ部側の面に正の円弧状の補正形状を形成して、長手方向の中央部を端部よりも850μm突出させる一方、加熱部材4の加圧部材5側の面に負の円弧状の補正形状を形成して中央部を端部よりも150μm後退させている。
図7に示すように、総圧300Nの加圧を行った場合に加熱部材4の中央部に必要な補正量が700μmであるため、加熱部材4の上下の補正形状を複合した中央部の補正量が700μmとなるようにしている。
上下の面に補正形状を形成した加熱部材4を組み込んだ実施例1の定着装置30で、比較例2と同様に、総圧300N及び150Nの加圧を行って加熱ニップ部の長手方向のニップ圧分布を測定した。
図14に示すように、実施例1の定着装置30では、総圧300Nを総圧150Nに切り替えても、図12に示す比較例2のような両端部での圧抜けが発生しなかった。総圧300Nの加圧と総圧150Nの加圧との両方で、良好な長手方向のニップ圧力分布が得られて記録材の搬送性や端部の定着性が十分良好に確保されていた。
図13に示すように、総圧300Nの加圧では、加圧部材5と軸部材3の合計の撓み量700μmに対して加熱部材4の補正量700μmが一致しているため、加熱ニップ部の長手方向のニップ圧力分布は均一になる。
そして、総圧300Nを総圧150Nまで低下させた場合には、加熱部材4は、加圧部材5によって両端部が中央部よりも加圧ローラ2に向かって強く押圧されているため、比較例2に比べて両端部のニップ圧力が低下しにくい。比較例2の構成において、加熱部材4の加圧部材5に接する上面に負の円弧状の補正形状を形成することで、総圧300Nの加圧と総圧150Nの加圧との両方で加熱ニップ部の良好な長手方向のニップ圧力分布が得られることが実験的に確認された。
総圧150Nの加圧において、加熱部材4の上面に負の円弧状の補正形状が無いと、図12の比較例2に示すように、加熱ニップ部の長手方向の中央部のニップ圧力が高く、両端部のニップ圧力が低くなることが実験的に確認された。
実施例1では、総圧150Nの加圧における長手方向の両端部のニップ圧力を嵩上げするため、加熱部材4の両端部に加圧部材5からの加圧力が中央部よりも多く分配されるように構成した。加熱部材4の加熱ニップ部側と加圧部材5側との両方に円弧状の補正形状を設けて、加熱部材4を、加圧部材5に沿って加圧方向へ弓状に反らせた外観形状に形成した。そして、実施例1の構成を採用することで、複数段階の加圧力に対して加熱ニップ部の長手方向のニップ圧力分布を比較例2よりも均一にできることが実験的に確認された。
すなわち、加熱部材4は、加圧部材5に比較して剛性が低いため、加圧力の変化に伴って加圧部材5の空間変形に倣うように変形する。加圧力の変化に応じて、加圧部材5と軸部材3の撓みによって生じる合計の撓み形状が連続的に変化し、これに伴って弾性層7に対する加熱部材4(定着ベルト1)の侵入量が変化して、加熱ニップ部のニップ圧力分布が連続的に変化する。そして、加熱部材4の上下面の補正形状を調整することで、加圧力が変化しても加熱ニップ部の長手方向のニップ圧力分布が均一になるように最適化できる。
実施例1では、比較例2と同様に、加圧機構による最大加圧力側で加熱ニップ部の長手方向のニップ圧力分布が一様になるように、長手方向の中央部の加圧方向の厚みを両端部よりも割り増してある。
しかし、実施例1では、比較例2とは異なり、加圧されない状態で長手方向の中央部で加圧部材5と加熱部材との間に隙間が形成され、少なくとも最大加圧力で加圧された状態では隙間が消滅する。
このため、隙間がある状態から加圧力を高めていく過程では、曲げ抵抗の小さい加熱部材4が加圧部材5との隙間側へ逃げて中央部の圧力上昇を抑制する一方で、加熱部材4の両端部だけが加圧ローラ2へ向かって付勢される。このため、長手方向の中央部で加圧部材5と加熱部材との間に隙間が無い比較例2の構成に比較して、中央部への加圧力の分配が少なくなる一方で両端部への加圧力の分配が増える。
従って、実施例1では、実施例2並みに総圧300Nにおける加熱ニップ部の長手方向のニップ圧力分布が均一であるとともに、総圧150Nの加圧では、実施例2ほどには両端部のニップ圧力が低下しない。
実施例1では、加熱部材4の弾性的な曲げ抵抗は、軸部材3の曲げ抵抗よりも小さく、加圧部材4と加熱部材とが重なった状態での弾性的な曲げ抵抗は、軸部材3の曲げ抵抗よりも大きい。
このため、加圧力の増加に伴って加熱部材4の背面の隙間が潰れるまで加熱ニップ部は加圧部材5側へ移動するが、加熱部材4の背面が加圧部材に密着した以降は、加熱ニップ部が加圧ローラ2側へ押し戻される。
従って、加圧力の増加に伴って加熱ニップ部が加圧部材側へ一方的に移動し続ける比較例2に比べて、総圧300Nの加圧と総圧150Nの加圧とにおける加熱ニップ部の撓み形状の変化が小さくなり、搬送性のばらつきが小さくて済む。
以上の実験結果から、加圧時の撓み量が大きい定着装置に異なる加圧力を設定したときでも、加熱ニップ部の長手方向のニップ圧力分布を均一に保つことが可能となる。加圧部材が中央部で厚くなっていること、長手方向に湾曲していること、の2つの条件が相まって、加熱ニップ部の圧力が切り替えられても、加熱ニップ部の回転軸方向の圧力が均一に近くなる。
ただし、以上に示した数値は、実験によって最適化されたものであるため、定着装置の構成に応じて最適値が異なり一意的に決まるものではない。
<実施例2>
図15は実施例2の定着装置の構成の説明図である。
図15に示すように、実施例2の定着装置30は、加熱部材4の上面及び下面を円弧状に形成して長手方向の中央部の加圧方向の厚みを端部よりも700μm大きくしている。加熱部材4の加熱ニップ部側の面に負の円弧状の補正形状を形成して、長手方向の中央部を端部よりも100μm後退させている。加熱部材4の加圧部材5側の面に正の円弧状の補正形状を形成して、長手方向の中央部を端部よりも800μm突出させている。
図7に示すように、総圧300Nの加圧を行った場合に加熱部材4の中央部に必要な補正量が700μmであるため、加熱部材4の上下の補正形状を複合した中央部の補正量が700μmとなるようにしている。
上下の面に補正形状を形成した加熱部材4を組み込んだ実施例1の定着装置30で、比較例2と同様に、総圧300N及び150Nの加圧を行って加熱ニップ部の長手方向のニップ圧分布を測定した。
その結果、図14を参照して説明した実施例1の場合と同様に、総圧300Nを総圧150Nに切り替えても、図12に示す比較例2のような両端部での圧抜けが発生しなかった。総圧300Nの加圧と総圧150Nの加圧との両方で、良好な長手方向のニップ圧力分布が得られて、記録材の搬送性や端部の定着性が十分良好に確保されていた。
図15に示すように、総圧300Nの加圧では、加圧部材5と軸部材3の合計の撓み量700μmに対して加熱部材4の補正量700μmが一致しているため、加熱ニップ部の長手方向のニップ圧力分布は均一になる。
そして、総圧300Nを総圧150Nまで低下させた場合には、加熱部材4は、加圧部材5に背面を押圧されて、両端部が中央部よりも加圧ローラ2に向かって強く押圧されているため、比較例2に比べて両端部のニップ圧力が低下しにくい。加熱部材4の曲げ抵抗の弾性力によって、比較例2の構成よりも加熱部材4の両端部が加圧ローラ2に強く押圧されるため、比較例2の構成に比べて両端部のニップ圧力低下が小さくなり、両端部で圧抜けしにくい。
実施例2では、総圧150Nの加圧における長手方向の両端部のニップ圧力を嵩上げするため、加熱部材4の両端部に加圧部材5からの加圧力が中央部よりも多く分配されるように構成した。加熱部材4の長手方向の両端部を加圧ローラ2側へ出っ張らせて、加圧ローラ2に対する加圧力が加熱部材4の両端部で中央部よりもかかり易くなるように構成した。
実施例2では、加熱部材4の加熱ニップ部側と加圧部材5側との両方に円弧状の補正形状を設けて、加熱部材4を、加圧部材5に沿って加圧方向へ弓状に反らせた外観形状に形成している。そして、実施例2の構成を採用することで、複数段階の加圧力に対して加熱ニップ部の長手方向のニップ圧力分布を比較例2よりも均一にできることが実験的に確認された。
実施例2では、加熱部材4の加熱ニップ部側に負の円弧状の補正形状、加圧部材5側に正の円弧状の補正形状を形成し、加圧されない状態では、最大画像幅の外側のみが加圧ローラ2に接触する。
図2に示すように、定着ベルト1はシリコンゴムの弾性層を有するため、加熱ニップ部Nが加圧状態のまま定着装置30が長時間停止すると、定着ベルト1の弾性層が部分的に潰れて永久変形し、定着不良が発生する可能性が高まる。そこで、長時間停止する際や出荷時は、図3に示す加圧機構9を制御して、定着装置30の加熱ニップ部Nを離間状態にして、定着ベルト1の弾性層の永久変形を回避することが望ましい。
しかし、加熱ヒータ6を加圧ローラ2から完全に離間させた状態にすると、加熱ニップ部Nへの異物混入の懸念や、定着装置30の高さ増大につながる。また、加熱ヒータ6が加熱部材4に固定されていない場合、離間状態にすると加圧ヒータ6が加熱部材4から抜け落ちる可能性がある。
そこで、実施例2では、長時間停止する際や出荷時は、少なくとも最大画像幅の範囲で加熱部材5が加圧ローラ2から離間するように、加熱部材5を加圧ローラ2に対して軽圧で接触させている。
図3に示すように、制御部10は、加圧機構9を制御して、加圧ローラ2を下降させて、加熱部材4の長手方向の両端部を定着ベルト1を介して加圧ローラ2に軽く圧接させて、加熱部材4の中央部の圧接を解除する。加圧力が非常に軽い時には、加熱部材4の下面の円弧形状の効果が先に出るため、長手方向の両端部のみを接触して中央部を離間させる状態が設定できる。
これにより、最大画像幅300mmより外側だけで加圧するため、最大画像幅300mmの内側では、定着ベルト1の弾性層の永久変形による画像不良を防止できる。加熱ヒータ6が加熱部材4に固定されていない場合でも、離間状態で加圧ヒータ6が加熱部材4から抜け落ちない。
加圧機構9による加圧力が高いときは、加熱部材4は加圧部材5に倣うため、結果として実施例1と同じ効果が得られる。
実施例2では、加熱部材4の弾性的な曲げ抵抗は、加圧部材4の曲げ抵抗よりも小さく、加圧ローラ2と加熱部材とが重なった状態での弾性的な曲げ抵抗は、加圧部材5の曲げ抵抗よりも大きい。
このため、加圧力の増加に伴って加熱部材4が軸部材3と一体に撓み始めるまで加熱ニップ部は加圧ローラ2側へ移動するが、加熱部材4が軸部材3と一体に撓み始めた以降は、加熱ニップ部が加圧部材5側へ押し戻される。
従って、加圧力の増加に伴って加熱ニップ部が加圧部材側へ一方的に移動し続ける比較例2に比べて、総圧300Nの加圧と総圧150Nの加圧とにおける加熱ニップ部の撓み形状の変化が小さくなり、搬送性のばらつきが小さくて済む。
<実施例3>
図16は実施例3の定着装置の構成の説明図、図7は実施例3の定着装置の別の構成の説明図である。
図16に示すように、実施例3の定着装置30は、図8に示す比較例2と同様に、加熱部材4の下面が中央で下方へ850μm膨らんだ円弧状で、上面が平坦な外観形状である。
そして、図13に示す実施例1の加熱部材4の上面の円弧状の補正形状の代わりに、加圧部材5の長手方向の両端部に突起部5pを形成して、加熱部材4の両端部を両持ち式に支持させた。ここで、突起部5pの直径は150μmとして、加熱部材4の加圧部材5側の面の中央部を、実質的に端部よりも150μm後退させている。
すなわち、加熱部材4は、加圧部材5の加圧方向の厚みが長手方向の端部よりも中央にて厚く、加熱ニップ部Nに対向する面がニップ形成部材(2)へ向かって長手方向に湾曲し、加圧部材5は、加熱部材4の長手方向の両端部を押す突起部5Pを備える。
また、図17に示すように、図16に示す直径150μmの突起部5pは、加熱部材4の両端部に設けてもよい。これにより、図13に示す実施例1と同様に、加熱部材4の加圧部材5側の面の中央部を、実質的に端部よりも150μm後退させることができる。
すなわち、加熱部材4は、加圧部材5の加圧方向の厚みが長手方向の端部よりも中央にて厚く、加熱ニップ部Nに対向する面が加圧部材5へ向かって長手方向に湾曲し、加熱部材4は、長手方向の両端部に、加圧部材5に接触する突起部5Pを備える。
以上説明したように、実施例1〜4の構成によれば、加圧力を低下させた際に加圧部材5の両端部に、比較例2よりも大きな加圧力が作用するため、比較例2ほどにはニップ圧力が低下しない。
このため、軸部材3及び加圧部材5が加圧時に大きく撓む定着装置30に異なる加圧力を設定したときでも、加熱ニップ部の長手方向のニップ圧力分布を均一に保つことが可能となる。これにより、加熱ニップ部の長手方向のニップ圧力分布が不均一になることによる定着性や搬送性の悪化を防止できる。
また、本発明によれば、加熱部材5の上下面に設定する補正形状の組み合わせによって、異なる加圧力において任意のニップ圧力分布を形成できる。例えば、長手方向に局所的な膨らみを形成して、加圧力を低下させた際に局所的な加圧の割り増し部分を形成する等、局所的なニップ圧力の切り替えも可能になる。
加熱ニップ部の加圧力を変更可能な定着装置、画像の表面処理装置、画像形成装置。
1 定着ベルト
2 加圧ローラ
3 軸部材
3a ベアリング
4 加熱部材
4a 上面
4b 下面
5 加圧部材
5a フレーム
6 加熱ヒータ
7 弾性層
9 加圧機構
9a カム軸
9b 回動アーム
9c 加圧カム
9d 駆動モータ
10 制御部
N 加熱ニップ部
Na 中央部
Nb 両端部

Claims (6)

  1. 記録材上のトナー像を加熱ニップ部で加熱しながら回転するベルトと、
    前記ベルトに接触して前記加熱ニップ部を形成するニップ形成部材と、
    前記加熱ニップ部を前記ベルトの内側から加熱する加熱部材と、
    前記加熱部材を前記加熱ニップ部に向けて加圧するために前記ベルトの長手方向に沿って設けられる加圧部材と、
    前記加圧部材の前記長手方向の両端部を加圧する加圧機構と、
    前記加熱部材が前記加圧部材から受ける圧力を変更する圧力変更手段と、を有する像加熱装置において、
    前記加熱部材は、前記加圧部材の加圧方向の厚みが前記長手方向の端部よりも中央にて厚く、前記加熱ニップ部に対向する面および前記加圧部材に対向する面が、前記加熱ニップ部へ向かって前記長手方向に湾曲していることを特徴とする像加熱装置。
  2. 記録材上のトナー像を加熱ニップ部で加熱しながら回転するベルトと、
    前記ベルトに接触して前記加熱ニップ部を形成するニップ形成部材と、
    前記加熱ニップ部を前記ベルトの内側から加熱する加熱部材と、
    前記加熱部材を前記加熱ニップ部に向けて加圧するために前記ベルトの長手方向に沿って設けられる加圧部材と、
    前記加圧部材の前記長手方向の両端部を加圧する加圧機構と、
    前記加熱部材が前記加圧部材から受ける圧力を変更する圧力変更手段と、を有する像加熱装置において、
    前記加熱部材は、前記加圧部材の加圧方向の厚みが前記長手方向の端部よりも中央にて厚く、前記加熱ニップ部に対向する面および前記加圧部材に対向する面が、前記加圧部材へ向かって前記長手方向に湾曲していることを特徴とする像加熱装置。
  3. 記録材上のトナー像を加熱ニップ部で加熱しながら回転するベルトと、
    前記ベルトに接触して前記加熱ニップ部を形成するニップ形成部材と、
    前記加熱ニップ部を前記ベルトの内側から加熱する加熱部材と、
    前記加熱部材を前記加熱ニップ部に向けて加圧するために前記ベルトの長手方向に沿って設けられる加圧部材と、
    前記加圧部材の前記長手方向の両端部を加圧する加圧機構と、
    前記加熱部材が前記加圧部材から受ける圧力を変更する圧力変更手段と、を有する像加熱装置において、
    前記加熱部材は、前記加圧部材の加圧方向の厚みが前記長手方向の端部よりも中央にて厚く、前記加熱ニップ部に対向する面が前記ニップ形成部材へ向かって前記長手方向に湾曲し、
    前記加圧部材は、前記加熱部材の前記長手方向の両端部を押す突起部を備えることを特徴とする像加熱装置。
  4. 記録材上のトナー像を加熱ニップ部で加熱しながら回転するベルトと、
    前記ベルトに接触して前記加熱ニップ部を形成するニップ形成部材と、
    前記加熱ニップ部を前記ベルトの内側から加熱する加熱部材と、
    前記加熱部材を前記加熱ニップ部に向けて加圧するように前記ベルトの長手方向に沿って設けられる加圧部材と、
    前記加圧部材の前記長手方向の両端部を加圧する加圧機構と、
    前記加熱部材が前記加圧部材から受ける圧力を変更する圧力変更手段と、を有する像加熱装置において、
    前記加熱部材は、前記加圧部材の加圧方向の厚みが前記長手方向の端部よりも中央にて厚く、前記加熱ニップ部に対向する面が前記ニップ形成部材へ向かって前記長手方向に湾曲し、
    前記加熱部材は、前記長手方向の両端部に、前記加圧部材に接触する突起部を備えることを特徴とする像加熱装置。
  5. 前記加熱部材は、発熱体を備えることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の像加熱装置。
  6. 前記加熱部材の断面二次モーメントは、前記加圧部材の断面二次モーメントよりも小さいことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の像加熱装置。
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