JP2012153991A - 繊維用糊剤およびその応用 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の繊維用糊剤は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル系単量体および(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル系単量体を含有する重合性成分を共重合して得られる共重合体の中和物と、水とを必須成分として含む。
【選択図】 なし
Description
また最近、経糸のデニール数(デシテックス数)が小さくなってきている(細デニール化)ため、今まで以上のモノフィラメントを集束させる接着性が要求されるようになった。さらに、経糸と筬および綜絖との擦過等により、経糸が受ける損傷がより大きくなって、落糊(糊皮膜の脱落)が脱落し、その落糊が細い経糸を損傷させ、織物品位の低下が発生しやすくなっており、改善が望まれている。
すなわち、本発明の繊維用糊剤は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル系単量体および(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル系単量体を含有する重合性成分を共重合して得られる共重合体の中和物と、水とを必須成分として含むものである。
前記共重合体の中和物の重量平均分子量は、5万〜35万であることが好ましい。
前記繊維用糊剤に含まれる固形分の重量濃度を1%に調整した水溶液のpHは7〜10の範囲にあることが好ましい。
本発明の糊付糸を用いた場合は、製織後の後加工工程において精練性に優れる。また、製織時の経糸切れが抑制され、製織時の落糊の発生が抑制される。
本発明の織物の製造方法では、後加工工程において精練性に優れる織物が得られる。また、製織時の経糸切れが抑制され、製織時の落糊の発生が抑制される。
本発明の繊維用糊剤は、共重合体の中和物(以下では、糊成分Aということもある。)と水とを必須成分として含む。糊成分Aは、繊維用糊剤を繊維に適用した際に接着性および抱合性を付与する成分、いわゆる糊成分として作用する。
このような糊成分Aと水とを含む液を、以下では糊成分液ということとする。糊成分液は一般には粘度が高い。pHメーターを用いて、糊成分液のpHをそのまま測定する場合、測定後のpHメーター洗浄等に支障があることがあるので、糊成分液に含まれる固形分の重量濃度を1%に調整した水溶液のpHを20℃で測定した値を、糊成分液のpHと定義することにする。同様に、繊維用糊剤のpHは、繊維用糊剤に含まれる固形分の重量濃度を1%に調整した水溶液のpHを20℃で測定した値を意味することにする。重量濃度を1%に調整する方法については、特に限定はないが、糊成分液や繊維用糊剤に対して、蒸留水やイオン交換水を添加したりする方法や、加熱および/または乾燥を行って、水や親水性溶剤等の揮発性成分を除いたりする方法等が挙げられる。
糊成分液や繊維用糊剤の粘度についても、上記で詳しく説明したpHと同様に、糊成分液や繊維用糊剤のそれぞれに含まれる固形分の重量濃度を20%に調整した水溶液の粘度を20℃で測定した値を意味することにする。重量濃度を20%に調整する方法も上記と同様である。
共重合体は、たとえば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル系単量体および(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル系単量体を含有する重合性成分を含有し、必要に応じてその他の単量体を含有することがある重合性成分(以下では、この重合性成分を重合性成分aということがある。)を水存在下で共重合する共重合工程によって製造される。さらに、共重合後に共重合体を含む水分散体にアルカリ性物質を添加して中和する中和工程を経て本発明の繊維用糊剤に含まれる糊成分Aを製造できる。得られた糊成分Aは、通常、水と共存しているので、糊成分Aと水とを含む混合物は本発明の繊維用糊剤である。
(メタ)アクリル酸中に占めるメタクリル酸の重量割合は、好ましくは20〜100重量%、さらに好ましくは50〜95重量%、特に好ましくは60〜90重量%である。メタクリル酸の重量割合が少なすぎる場合、重合性成分a中に含まれることがある他のモノマーとの相溶性が低下し、均一な重合物を得ることが難しくなる。また、メタクリル酸の重量割合が多すぎる場合は、繊維用糊剤の水溶性が低くなることがある。
その他の単量体としては、たとえば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、n−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン等のスチレン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル等のニトリル系単量体;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル等のハロゲン化ビニル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル系単量体;(メタ)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド等のN−モノ置換(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジ置換(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系単量体が挙げられる。
これらのその他の単量体は、1種または2種以上を併用してもよい。その他の単量体のうちでも、スチレン系単量体が好ましい。
重合性成分aに占めるスチレン系単量体の重量割合は、好ましくは1〜25重量%、さらに好ましくは2〜15重量%、特に好ましくは3〜10重量%である。スチレン系単量体が1重量%未満であると、繊維用糊剤をポリエステル繊維に用いた場合にポリエステルとの接着性および抱合性が劣る傾向が見られる。一方、スチレン系単量体が25重量%超であると、糊成分Aのガラス転移点(Tg)が高くなり、接着性および抱合性が劣る傾向が見られる。
溶剤の重量割合については特に限定はないが、好ましくは重合性成分aに対して2〜70重量%、さらに好ましくは6〜65重量%、特に好ましくは8〜60重量%である。溶剤の重量割合が2重量%未満であると、共重合時の溶解安定性が悪くなる傾向が見られ、さらに、共重合体の分子量が上昇することで、高粘度化物が生成し、後加工工程における精練において、劣る傾向が見られるために好ましくない。一方、溶剤の重量割合が70重量%超であると、共重合体の分子量が低下し、繊維用糊剤の接着性および抱合性が劣る傾向が見られる。
重合開始剤の重量割合については特に限定はないが、好ましくは重合性成分aに対して0.1〜3重量%、さらに好ましくは0.3〜2.5重量%、特に好ましくは0.5〜2重量%である。重合開始剤の重量割合が0.1重量%未満であると、共重合体の分子量が上昇することで、高粘度化物が生成し、後加工工程における精練において、劣る傾向が見られるために好ましくない。一方、重合開始剤の重量割合が3重量%超であると、共重合体の分子量が低下し、繊維用糊剤の接着性および抱合性が劣る傾向が見られる。
連鎖移動剤を使用する場合の連鎖移動剤の重量割合は、好ましくは重合性成分aに対して0.8重量%以下であり、さらに好ましくは0.6重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。連鎖移動剤の重量割合が0.8重量%超であると、共重合体の分子量が低下し、繊維用糊剤の接着性および抱合性が劣る傾向が見られる。
性界面活性剤は、1種または2種以上を併用してもよい。
反応性界面活性剤を使用する場合の反応性界面活性剤の重量割合は、好ましくは重合性成分aに対して10重量%以下であり、さらに好ましくは8重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。
アルカリ性物質としては、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム等の金属水酸化物;アンモニア;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等の有機アミン類等が挙げられる。これらのアルカリ性物質は水に溶解させた水溶液として滴下することが好ましく、たとえば、濃度10〜30重量%のアルカリ性物質の水溶液を調製し、10〜30分間かけて共重合体を含む水分散体に滴下するとよい。アルカリ性物質の滴下の終点は、たとえば、共重合体を含む水分散体が透明感のある状態に変化することで判断できる。
本発明の糊付糸は、上記で説明した繊維用糊剤を糸条にサイジングして得られる。
糸条は、フィラメント糸、紡績糸(スパン糸)のいずれでもよい。糸条を構成する糸種には特に限定はなく、綿;レーヨン;アセテート;麻;羊毛;アクリル;ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートおよびポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等のポリエステル繊維;ポリ−ε−カプラミドおよびポリヘキサメチレンジアミンアジパミド等の脂肪族ポリアミド繊維(ナイロン繊維);ポリメタフェニレンイソフタラミドおよびコポリパラフェニレン−3,4−オキシジフェニレンテレフタラミド等の芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)等が挙げられる。糸条は、単独の糸種から構成されていてもよく、複数の糸種から構成された混繊糸、混紡糸やマルチフィラメント糸であってもよい。
糸条が、ポリエステルまたはポリアミドから構成されるフィラメント糸であると、繊維用糊剤との接着性および抱合性が良いために好ましい。
3〜15重量%、特に好ましくは4〜13重量%である。繊維用糊剤の付着量の測定条件等は以下に詳述する。
本発明の織物の製造方法は、上記糊付糸からなる経糸と、緯糸とを製織機を用いて製織する工程を含む方法である。
経糸は、上記糊付糸を糊付ビームに巻取ることによって得られる。また、緯糸は、糸条に処理を施してもよいが、通常は特段の処理をすることなく、原糸をそのまま用いるのが一般的である。
一定量(通常1.0〜2.0g)の試料(重量:M1)について、赤外線水分計装置((株)Kett科学研究所、乾燥減量法、FD230)を用いて固形分の重量濃度を測定する。
固形分の重量濃度は、赤外線水分計装置を用いれば自動で計算されるが、その測定の原理は、上記M1と、試料を赤外線水分計装置で乾燥し恒量に達した重量(M2)とから、固形分の重量濃度を次式で計算するものである。M2は固形分の重量である。
固形分の重量濃度(%)=(M2/M1)×100
ガラス電極pH測定装置((株)堀場製作所製、navihF−51)を使用して、20℃で測定する。
B型回転粘度計(BROOK FIELD社製)を使用して、ローターNo.62で30回転にて、20℃で測定する。
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー法(GPC)で標準物質ポリスチレン(東ソー(株))による検量線を用いて測定した。
(測定条件)
使用機器:高速液体クロマトグラフィHLC−8020(東ソー(株))
カラム:TSKgelGMHXL×2(東ソー(株))
溶剤:THF(テトラヒドロフラン)(和光純薬工業(株)、液体高速クロマトグラフィ用)
測定温度:40℃
流量:1.0ml/min.
検出器:示差屈折計
注入量:20μl
サイジング後の糊付糸(約2g)をサンプルとし、110℃で30分間乾燥後秤量(W1)し、100倍量の精練浴(炭酸ソーダ:2g/L,POE10モル付加ノニルフェノールエーテル:2g/L)中で、90℃で30分間浸漬させ、湯洗する。サンプルをさらに水洗後、1時間乾燥した後、サンプルを秤量(W2)し、次式より付着量を求めた。
付着量(%)=[(W1−W2)/W2]×100
TM式抱合力試験機にて抱合力を測定する。20本の糊付糸を引き揃え、下記に示す糸張力をかけながら張り、左右が150°、中央が120°の角度で3列に配置したコーム間(コーム:20針×3列;コームの間隔:30mm;コームの往復運動距離:27mm)を往復運動(コームの運動速さ:150回/min)させ、糊付糸を摩擦する。20回摩擦して、糊付糸の割れ具合を目視にて観察し、下記に示す評価基準(1〜5級)にしたがって評価する。この評価基準では、5級が最も優れ、1級が最も劣る。
糸張力:一本当たり0.2〜0.6g/デシテックス
(ポリエステルフィラメント糸33デシテックス24フィラメントでは180g/20本(=9g/本)、56デシテックス24フィラメントでは200g/20本(=10g/本)、ポリアミドフィラメント糸78デシテックス52フィラメントでは300g/20本(=15g/本)で測定)
上記乾式抱合力の測定において、往復運動によって摩擦される糊付糸の部分にイオン交換水を0.1g/sの速度で添加する以外は、乾式抱合力の測定と同様に湿式抱合力を評価する。
5級:糸割れなし
4級:糸割れ少しあり
3級:糸割れあり
2級:糸割れ多数あり
1級:全体的に糸割れあり
1000mの糊付糸1本を下記に示す糸張力をかけながら、左右が150°で、中央が120°の角度で屈曲したコームの間(コーム:20針×3列;コームの間隔:100mm)を50m/minの糊付糸送り速度で走らせ、糊付糸を摩擦する。脱落した落糊量、コームに付着した落糊を観察し、下記に示す評価基準(1〜5級)にしたがって評価する。この評価基準では、5級が最も優れ、1級が最も劣る。
糸張力:一本当たり0.2〜0.6g/デシテックス
(ポリエステルフィラメント糸33デシテックス24フィラメントでは6g、56デシテックス24フィラメントでは10g、ポリアミドフィラメント糸では78デシテックス52フィラメント15gで測定)
上記乾式落糊性の測定において、摩擦される糊付糸の部分にイオン交換水を0.1g/sの速度で添加する以外は、乾式落糊性の測定と同様に湿式落糊性を評価する。
5級:糊の脱落、コームに落糊付着なし
4級:糊の脱落、コームに落糊付着少しあり
3級:糊の脱落、コームに落糊付着あり
2級:糊の脱落、コームに落糊付着少し多い
1級:糊の脱落、コームに落糊付着多い
実機を用いた製織時の筬付着落糊性(筬に付着する脱落糊の程度)を目視で観察し、下記に示す評価基準(1〜5級)にしたがって評価する。この評価基準では、5級が最も優れ、1級が最も劣る。
5級:筬に落糊付着なし
4級:筬に落糊付着少しあり
3級:筬に落糊付着あり
2級:筬に落糊付着少し多い
1級:筬に落糊付着多い
繊維用糊剤にイオン交換水を添加して、固形分の重量濃度を10%に調整した液に、ポリステルタフタおよびポリアミドタフタ(10cm×10cm四角)をそれぞれ浸漬し、ローラーで絞って乾燥する。乾燥して得られたタフタについて、下記に示す2種類の精練条件でそれぞれ30秒間精練を行い、水洗する。その後、ポリエステルタフタについてはローダミン染色(和光純薬工業(株))液、ポリアミドタフタについてはボーケンシュタイン染色液(日本紡績協会)に15分間浸漬し、再度水洗し、乾燥する。乾燥して得られた染色されたタフタを目視にて観察し、下記に示す評価基準(1〜5級)にしたがって色調を評価する。この評価基準では、5級が最も優れ、1級が最も劣る。
精練液:炭酸ソーダ(和光純薬工業(株))0.5g/L、POE10モル付加ノニルフェノールエーテル(和光純薬工業(株))0.5g/L
精練温度:85℃
浴比:100倍
(精練条件2)
精練液:苛性ソーダ(和光純薬工業(株))2g/L、POE10モル付加ノニルフェノールエーテル(和光純薬工業(株))1g/L
精練温度:90℃
浴比:100倍
<精練性の評価基準>
5級:呈色なし
4級:微妙に赤い
3級:少し赤い
2級:やや赤い
1級:赤い
(共重合工程)
重合性成分(表1に種類および量を示す)、連鎖移動剤としてのn-ドデシルメルカプタン0.4g、イオン交換水100gおよび溶剤としてのエタノール40g、i−プロパノール60gを撹拌混合し、混合物を得て、滴下ロートに移した。滴下ロート、温度計、撹拌機、コンデンサーおよび窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコにイオン交換水1500g、乳化剤としてラウリル硫酸ソーダ10gを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、78℃に昇温した。次に、撹拌しながら、さらに過硫酸アンモニウム5gを4つ口フラスコに加えて、82℃にて90分間かけて混合物を滴下ロートから4つ口フラスコに滴下した。滴下終了後、1時間共重合し、さらに、過硫酸アンモニウム0.5gを加え、後重合熟成を1時間行い、共重合体を含む反応混合物を得た。
(中和工程)
共重合後、濃度16%のアンモニア水61gを反応混合物に徐々に加えて共重合体を中和(pH7〜10)し、室温に冷却した。その後、糊成分液に含まれる固形分の重量濃度が20%になるように、イオン交換水を加えて調整して、共重合体の中和物からなる糊成分A1を含む糊成分液A1を得た。
糊成分液A1に含まれる固形分の重量濃度20%に調整した水溶液の粘度(糊成分液1−1の粘度)は114mPa・sであった。また、糊成分液A1に含まれる固形分の重量濃度を1%に調整した水溶液のpH(糊成分液A1のpH)は、8.0であった。pH測定のための希釈には、粘度測定時と同様にイオン交換水を用いた。また、糊成分液A1を自然乾燥した後、濃度が0.5mg/mlになるようTHF(テトラヒドロフラン)(和光純薬工業(株)、液体高速クロマトグラフィ用)に溶解し、糊成分A1の重量平均分子量を測定した。
表1に示した種類および量の重合性成分と軟水と溶剤を上記糊成分A1の製造例で用いた4つ口フラスコに加えた。次いで、表1に示した重合開始剤ベンゾイルパーオキサイドを4つ口フラスコにさらに加え、撹拌混合し、82℃にて5時間共重合を行い、共重合体を含む反応混合物を得た。
共重合後、濃度16%のアンモニア水表1に示した量を反応混合物に徐々に加え中和し、室温に冷却し、イオン交換水を加えて、糊成分A2〜A6を含む糊成分液A2〜A6を得た。糊成分液A2〜A6に含まれる固形分の重量濃度は20%であった。
糊成分A1の製造例と同様にして測定した糊成分液A2〜A6の粘度、pHおよび糊成分A2〜A6の重量平均分子量をそれぞれ表1に示す。
表1に示した種類および量の重合性成分と軟水と溶剤を上記糊成分A1の製造例で用いた4つ口フラスコに加えた。次いで、表1に示した重合開始剤ベンゾイルパーオキサイドを4つ口フラスコにさらに加え、撹拌混合し、82℃にて5時間共重合を行い、共重合体を含む反応混合物を得た。
共重合後、濃度16%のアンモニア水表1に示した量を反応混合物に徐々に加え中和し、室温に冷却し、イオン交換水を加えて、糊成分B1、B2を含む糊成分液B1、B2をそれぞれ得た。糊成分液B1、B2に含まれる固形分の重量濃度は20%であった。
実施例1−1と同様にして測定した糊成分液B1、B2の粘度、pHおよび糊成分B1、B2の重量平均分子量をそれぞれ表1に示す。
〔実施例1−1〕
上記製造例で得た糊成分A1を含む糊成分液A1と、パラフィンワックスおよびエステルワックスを非イオン界面活性剤で乳化したワックスの水系分散体(サイジングワックスK−2、松本油脂製薬(株))とを混合し、それぞれの重量比率が、糊成分A1/ワックス/界面活性剤=96/3.5/0.5となる繊維用糊剤aを調製した。
繊維用糊剤aに含まれる固形分の重量濃度を1%に調整した水溶液のpH(繊維用糊剤1のpH)を測定し、その結果を表2に示す。
繊維用糊剤aを調製してから12時間以内に、ポリエステルフィラメント糸(33デシテックス24フィラメント)、ポリエステルフィラメント糸(56デシテックス24フィラメント)およびポリアミドフィラメント糸78デシテックス52フィラメントのそれぞれの糸状に対して、下記に示すサイジング条件でサイジングマシーンを用いて繊維用糊剤aを付着させて糊付糸aを得た。なお、糊付糸aにおける繊維用糊剤aの付着量は、ポリエステルフィラメント糸では5%、ポリアミドフィラメント糸では8%であった。
ビームトゥービーム方式
糊付け速度:80m/min
ノンタッチホットエアー乾燥温度:130℃(ポリエステル糸)、110℃(ポリアミド糸)
タッチシリンダー乾燥温度:100℃
タッチシリンダー数:7本
得られた糊付糸aについて、乾式および湿式における抱合力および落糊性を評価した。繊維用糊剤aの精練性はポリステルタフタおよびポリアミドタフタを用いて評価した。その結果を表2に示した。
実施例1−1において、使用する糊成分の種類や、糊成分とワックスと界面活性剤との重量比率等をそれぞれ表2に示すものに変更する以外は実施例1−1と同様にして、繊維用糊剤b〜iをそれぞれ調製し、実施例1−1と同様にして、そのpHを測定した。次いで、実施例1−1と同様にして、繊維用糊剤を調製してから12時間以内にサイジングをそれぞれ行い、糊付糸b〜iをそれぞれ得た。なお、それぞれの糊付糸b〜iにおける繊維用糊剤b〜iの付着量は、ポリエステルフィラメント糸では5%、ポリアミドフィラメント糸では8%であった。得られた糊付糸b〜iについて、実施例1−1と同様にして、乾式および湿式における抱合力、落糊性および精練性をそれぞれ評価した。その結果を表2に示した。
乾式抱合力および湿式抱合力については、実施例の繊維用糊剤a〜gにおいて満足できる。しかし、糊成分B1、B2から作成された比較例の繊維用糊剤h、iでは劣っている。
また、乾式落糊性および湿式落糊性については、実施例の繊維用糊剤a〜gにおいて満足できる。特に湿式落糊性については、実施例の繊維用糊剤a〜gでは、糊の脱落、コームに落糊付着しないので優れている。
したがって、糊成分A1〜A6からそれぞれ作成された実施例の繊維用糊剤a〜gを用いてウォータージェットルーム製織を行った場合、落糊のない優れた結果も得られる。
下記に示すサイジング条件でサイジング装置(津田駒工業(株)製サイザーKS−200)を用いて、実施例1−1で調製した繊維用糊剤aを、56デシテックス24フィラメントポリエステル糸にサイジングして得られた糊付糸を経糸として準備した。また、56デシテックス36フィラメントポリエステル糸を緯糸として準備した。実施例2−1ではウォータージェットルーム(津田駒工業(株)製ウォータージェットルーム;織機回転数650rpm;経糸:8000本;織り幅:173cm)を用いて、これらの経糸および緯糸をそれぞれ製織して、200疋のポリエステルタフタを製造した。
ビームトゥービーム方式
糊付け速度:100m/min
ノンタッチホットエアー乾燥温度:130℃
タッチシリンダー乾燥温度:100℃
タッチシリンダー数:3本
次に、製織後のポリエステルタフタ10cm×10cm四角を準備し、上記精練性の測定方法の精練条件1で精練を行い、精練性を評価した。
また、製織機の稼働率(製織に要した全時間から、製織中にトラブル等の理由で製織機が停滞した時間を差し引いて、その時間を製織に要した全時間で割った値の%表示)を算出した。これらの結果を表3に示した。
実施例2−1において、繊維用糊剤aを表3に示す繊維用糊剤に変更する以外は実施例2−1と同様にして、それぞれ製織して、ポリエステルタフタを製造、評価した。その結果を表3に示した。
Claims (11)
- (メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル系単量体および(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル系単量体を含有する重合性成分を共重合して得られる共重合体の中和物と、水とを必須成分として含む、繊維用糊剤。
- 前記重合性成分に占める前記(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル系単量体の重量割合が0.1〜10重量%である、請求項1に記載の繊維用糊剤。
- 前記重合性成分に占める(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(メタ)およびアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル系単量体の合計の重量割合が90重量%以上である、請求項1または2に記載の繊維用糊剤。
- 前記重合性成分が、スチレン系単量体をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維用糊剤。
- 前記共重合体の中和物の重量平均分子量が5万〜35万である、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維用糊剤。
- ワックスをさらに含む、請求項1〜5のいずれかに記載の繊維用糊剤。
- 前記繊維用糊剤に含まれる固形分の重量濃度を1%に調整した水溶液のpHが7〜10の範囲にある、請求項1〜6のいずれかに記載の繊維用糊剤。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の繊維用糊剤を糸条にサイジングしてなる、糊付糸。
- 前記糸条がポリアミドまたはポリエステルから構成されるフィラメント糸である、請求項8に記載の糊付糸。
- 請求項8または9に記載の糊付糸からなる経糸と、緯糸とを製織機を用いて製織する工程を含む、織物の製造方法。
- 前記製織機がウォータージェットルームである、請求項10に記載の織物の製造方法。
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