JP2012153953A - 合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度、衝撃特性、耐食性に優れる溶体化熱処理を省略した安価で使用エネルギーが少なく環境面でも優れた合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材を得ること。
【解決手段】質量%で、C:0.03%以下、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.5〜7.0%、P:0.05%以下、S:0.010%以下、Ni:0.1〜5.0%、Cr:18.0〜25.0%、N:0.05〜0.30%、Al:0.001〜0.05%、を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなり、熱間圧延中におけるクロム窒化物の析出に関する指標となるクロム窒化物析出温度TNが960℃以下であって、溶体化熱処理を施した熱延鋼材よりも降伏強度が50MPa以上高い、熱間圧延ままの溶体化熱処理を省略した合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材。
【選択図】なし

Description

本発明は、溶体化熱処理を省略した安価な合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材およびその製造方法に係わり、特に、海水淡水化機器、輸送船のタンク類、各種容器等として使用可能な高強度二相ステンレス熱延鋼材およびその製造方法に関する。
二相ステンレス鋼は、Cr、Mo、Ni、Nを多量に含有し、金属間化合物、窒化物が析出しやすいため1000℃以上の溶体化熱処理を加えて析出物を固溶させ、熱間圧延鋼材として製造されていた。
ところが最近、Ni、Mo等を節減した合金元素節減型二相ステンレス鋼が開発され、金属間化合物の析出感受性が大きく低下した実用鋼が使用されるに至っている。
これらの合金元素節減型二相ステンレス鋼の材質に対して、主に影響する析出物はクロム窒化物である。
クロム窒化物は、CrとNが結合した析出物であり、二相ステンレス鋼においては立方晶のCrNまたは六方晶のCrNが、フェライト粒内もしくはフェライト粒界に析出することが多い。これらのクロム窒化物が生成すると、衝撃特性を低下させるとともに、析出にともなって生成するクロム欠乏層により耐食性が低下する。
本発明者らは、クロム窒化物の析出と成分組成との関係を明らかにし、成分組成を制御してクロム窒化物の析出を抑制するという考え方にもとづいた材質設計により、耐食性や衝撃特性が良好な合金元素節減型二相ステンレス鋼種を発明し、開示している(特許文献1)。特に、Mn含有量を増加することでクロム窒化物の析出を抑制するという手法を、新しい合金元素節減型二相ステンレス鋼の成分設計に反映させている。そして、このような合金元素節減型二相ステンレス鋼は、コストが低く耐食性などの特性面でも優れていることから、既に各分野において使用されつつある。
合金元素節減型二相ステンレス鋼には、熱延鋼板としての用途も期待されている。熱延鋼板は、冷間圧延を施さないので一般に板厚が厚く、特に強度や靭性が求められる用途に使用されている。例えば、海水淡水化機器、輸送船のタンク類等が挙げられ、従来その多くはオーステナイト系ステンレス鋼が用いられてきた。
しかし、二相ステンレス鋼は、一般的にオーステナイト系ステンレス鋼よりも強度が高く、必要強度を維持しながら薄肉化できるというメリットがあり、また、高価な元素の使用量も少ないためコストも低い。これらの理由から、上記用途の一部で既に二相ステンレス熱延鋼材が用いられつつある。
一方、二相ステンレス熱延鋼材を用いる際に問題となるのが、靭性の問題である。即ち、二相ステンレス鋼は、一般に脆性破壊を起こさないとされるオーステナイト相に加えフェライト相を有することから、衝撃靭性においてフェライト系ステンレス鋼と同様に延性−脆性遷移を示し、オーステナイト系ステンレス鋼に比べて靭性が乏しいのである。
この問題に対しては従来から多くの研究がなされており、本発明者らも特許文献2において二相ステンレス熱延鋼板の鋼組織と靭性の関係を明らかにし、化学組成と熱処理方法を制御することで靭性を改善できることを開示している。
ところで、特許文献2をはじめとする従来の二相ステンレス熱延鋼板の製造では、溶体化熱処理が欠かせないものとなっている。前記したように二相ステンレス鋼において問題となるクロム窒化物や靭性の問題を解消するのに必要なためである。特に、本発明が対象とする合金元素節減型二相ステンレス鋼は、熱間加工の温度域で窒化物が析出しやすい性質を持っており、熱間圧延を終了した状態でクロム窒化物が鋼材中に分散することで衝撃特性や耐食性が低下する。
溶体化熱処理を施すことによりクロム窒化物を消失させることが可能であるが、溶体化熱処理を施すと強度が下がってしまうため、上記熱延鋼板の用途から言えば好ましくない処理であるとも言える。また、更なるコスト低減への要求や、近年の使用エネルギー削減の要求からも、溶体化熱処理を省略して製造コストや製造に要するエネルギーを低減することが望まれている。
WO2009−119895号公報 特開2010−84220号公報
本発明者らは、上記の合金元素節減型二相ステンレス鋼の成分設計に加えて、熱間圧延ままでも強度、衝撃特性、耐食性を維持する熱間圧延鋼材の研究を重ねることにより、溶体化熱処理を省略した安価で使用エネルギーが少なく環境面でも優れた合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材を得ることを発明の課題とした。
本発明者らは上記課題を解決するために、合金元素節減型二相ステンレス鋼について溶体化熱処理を省略した熱延鋼材の化学組成、熱間加工条件とクロム窒化物の析出量等を含む金属組織の状態、さらに鋼材の衝撃特性、耐食性の関係などについての知見を得ることが必要であると考え、以下の実験をおこなった。
熱間圧延中におけるクロム窒化物の析出に関する指標として、新たにクロム窒化物析出温度TNを設定し、このクロム窒化物析出温度TNが異なる鋼材を用いて、熱間圧延の加熱温度を1150〜1250℃、熱間圧延の最終仕上圧延パスの入側温度TFと、熱間圧延終了後の加速冷却開始温度TCをそれぞれ変更し、板厚6mmから35mmの熱間圧延鋼材を得た。そして、得られた熱延鋼材および溶体化熱処理を施した鋼材について強度、衝撃特性、耐食性を評価した。
以上の実験を通じて、溶体化熱処理を省略した安価な合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材について明示した本発明の完成に至った。
すなわち、本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1)質量%で、
C :0.03%以下、 Si:0.05〜1.0%、
Mn:0.5〜7.0%、 P :0.05%以下、
S :0.010%以下、 Ni:0.1〜5.0%、
Cr:18.0〜25.0%、 N :0.05〜0.30%、
Al:0.001〜0.05%、
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなり、
熱間圧延中におけるクロム窒化物の析出に関する指標となるクロム窒化物析出温度TNが960℃以下であって、
溶体化熱処理を施した熱延鋼材よりも降伏強度が50MPa以上高い、熱間圧延ままの溶体化熱処理を省略した合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材。
(2)質量%で、
C :0.03%以下、 Si:0.05〜1.0%、
Mn:0.5〜7.0%、 P :0.05%以下、
S :0.010%以下、 Ni:0.1〜5.0%、
Cr:18.0〜25.0%、 N :0.05〜0.30%、
Al:0.001〜0.05%、
を含有し、更に、
V :0.05〜0.5%、 Nb:0.01〜0.20%、
Ti:0.003〜0.05%
から選ばれる1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなり、
熱間圧延中におけるクロム窒化物の析出に関する第二の指標となるクロム窒化物析出温度TN2が960℃以下であって、
溶体化熱処理を施した熱延鋼材よりも降伏強度が50MPa以上高い、熱間圧延ままの溶体化熱処理を省略した合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材。
(3)更に、
Mo:1.5%以下、 Cu:2.0%以下、
W :1.0%以下、 Co:2.0%以下
から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の熱間圧延ままの溶体化熱処理を省略した合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材。
(4)更に、
B :0.0050%以下、 Ca:0.0050%以下、
Mg:0.0030%以下、 REM:0.10%以下
から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の熱間圧延ままの溶体化熱処理を省略した合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の熱間圧延ままの溶体化熱処理を省略した合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材の製造方法であって、
選択的成分であるV、Nb、Tiを含有しない鋼材については下記(1)式に従って、前記選択的成分を含有する鋼材については下記(2)式に従って、熱間圧延の最終仕上圧延パスの入側温度TFから600℃までの温度域を5分以下の時間で冷却することを特徴とする合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材の製造方法。
TF ≧ TN −30 ・・・ (1)
TF ≧ TN2−30 ・・・ (2)
(6)選択的成分であるV、Nb、Tiを含有しない板厚20mm超の鋼材については下記(3)式に従って、前記選択的成分を含有する板厚20mm超の鋼材については下記(4)式に従って、熱間圧延終了後の加速冷却開始温度TCから加速冷却を開始することにより、熱間圧延の最終仕上圧延パスの入側温度TFから600℃までの温度域を5分以下の時間で冷却することを特徴とする前記(5)に記載の合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材の製造方法。
TN −200 ≦ TC ≦ TN +50 (但し、TF≧TC)・・・ (3)
TN2−200 ≦ TC ≦ TN2+50 (但し、TF≧TC)・・・ (4)
本発明に係る合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材は、海水淡水化機器、輸送船のタンク類、各種容器等として従来の鋼材より薄肉化して用いることができ、かつ安価で製造に使用するエネルギーが少ない鋼材であるなど産業面、環境面に寄与するところは極めて大である。
以下に、先ず、本発明の請求項1記載の限定理由について説明する。単位%は、質量%である。請求項1に係る二相ステンレス熱延鋼材は、C,Si,Mn,P,S,Ni,Cr,N,Alを含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる。
Cは、ステンレス鋼の耐食性を確保するために0.03%以下の含有量に制限する。0.03%を越えて含有させると熱間圧延時にCr炭化物が生成して、耐食性、靱性が劣化する。
Siは、脱酸のため0.05%以上添加する。しかしながら、1.0%を超えて添加すると靱性が劣化する。そのため、上限を1.0%に限定する。好ましい範囲は0.2〜0.7%である。
Mnは、オーステナイト相を増加させ靭性を改善する効果を有する。また、クロム窒化物析出温度TNを低下させる効果を有するため、本発明鋼材では積極的に添加することが好ましい。母材および溶接部の靱性のため0.5%以上添加する。しかしながら、7.0%を超えて添加すると耐食性および靭性が劣化する。そのため、上限を7.0%に限定する。好ましい含有量は1.0〜6.0%であり、さらに好ましくは2.0〜5.0%である。
Pは、原料から不可避に混入する元素であり、熱間加工性および靱性を劣化させるため0.05%以下に限定する。好ましくは0.03%以下である。
Sは、原料から不可避に混入する元素であり、熱間加工性、靱性および耐食性をも劣化させるため0.010%以下に限定する。好ましくは0.0020%以下である。
Niは、オーステナイト組織を安定にし、各種酸に対する耐食性、さらに靭性を改善するため0.1%以上含有させる。Ni含有量を増加することにより窒化物析出温度を低下させることが可能になる。一方、高価な合金であり、合金元素節減型二相ステンレス鋼を対象とした本発明鋼ではコストの観点より5.0%以下の含有量に制限する。好ましい含有量は1.0〜4.0%であり、さらに好ましくは1.5〜3.0%である。
Crは、基本的な耐食性を確保するため18.0%以上含有させる。一方25.0%を超えて含有させるとフェライト相分率が増加し、靭性および溶接部の耐食性を阻害する。このため、Crの含有量を18.0%以上25.0%以下とした。好ましい含有量は19.0〜23.0%である。
Nは、オーステナイト相に固溶して強度、耐食性を高める有効な元素である。このために0.05%以上含有させる。固溶限度はCr含有量に応じて高くなるが、本発明鋼においては0.30%を越えて含有させるとCr窒化物を析出して靭性および耐食性を阻害するようになるため含有量の上限を0.30%とした。好ましい含有量は0.10〜0.25%である。
Alは、鋼の脱酸のための重要な元素であり、鋼中の酸素を低減するためにSiとあわせて含有させる。Si含有量が0.3%を越える場合は添加しなくて良い場合もあるが、酸素量の低減は靭性確保のために必須であり、このために0.001%以上の含有が必要である。一方でAlはNとの親和力が比較的大きな元素であり、過剰に添加するとAlNを生じてステンレス鋼の靭性を阻害する。その程度はN含有量にも依存するが、Alが0.05%を越えると靭性低下が著しくなるため、その含有量の上限を0.05%と定めた。好ましくは0.03%以下である。
Oは、不可避的不純物であり、その上限を特に定めなかったが、非金属介在物の代表である酸化物を構成する重要な元素であり、過剰な含有は靭性を阻害する。また、粗大なクラスター状酸化物が生成すると表面疵の原因となる。好ましくは0.010%以下である。
請求項1の中の残りの項目についての限定理由を説明する。
熱間圧延中におけるクロム窒化物の析出に関する指標となるクロム窒化物析出温度TNは、実験的に求められる特性値である。溶体化熱処理された鋼材を800〜1000℃で20分間の均熱処理後、5秒以内に水冷に供し、冷却後の鋼材についてクロム窒化物の析出量を実施例で詳述する非金属介在物の電解抽出残渣分析法によって求め、Cr残渣量が0.01%以下となる均熱処理温度のうちの最低温度と規定する。
TNが低いほどクロム窒化物の析出する温度域が低温側に限定されるため、クロム窒化物の析出速度や析出量が抑制され、熱間圧延ままの溶体化熱処理を省略した状態で衝撃特性と耐食性が維持される。
ここで、均熱処理温度を800〜1000℃に規定するのは、一般的な熱間圧延温度域だからである。本発明では、一般的に行われる熱間圧延中にクロム窒化物を析出させないようにするため、当該温度域でもって規定する。
また、クロム窒化物が十分に平衡する時間として均熱処理温度を20分間に規定する。20分未満では析出量の変化が激しい区域に該当して測定の再現性が得られにくくなり、20分超で規定すると測定に長時間を要する。したがって、クロム窒化物を十分に平衡させて再現性を確保する観点からいえば、均熱処理温度を20分超としても構わない。
均熱処理後においては、水冷に供するまでに長時間を要すると徐々に鋼材温度が低下してクロム窒化物が析出してしまい、そうすると測定したかった温度でのクロム窒化物量とは異なる値が得られてしまう。したがって、均熱処理後5秒以内に水冷に供することとする。
また、Cr残渣量が0.01%以下となる温度のうちの最低温度と規定したのは、実験によって残渣量0.01%以下が耐食性や靭性に悪影響を及ぼさない析出量であることを確認したことによる。
熱間圧延ままの溶体化熱処理を省略した合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材について、耐食性と靭性を確保するためには、TNを960℃以下に設計することが必要であることが実験的に求められた。したがって、TNが960℃以下になるような成分組成を設計することが必要である。TNが960℃を越えると熱間圧延中にクロム窒化物が析出してしまい、孔食電位差や衝撃特性が劣化する。好ましくは930℃以下である。
また、TNは、N含有量を低下させることにより低下するが、本発明鋼では耐食性を高めるためにNを0.05%以上含有させており、この場合にTNを800℃未満にすることは困難である。そのため、TNの下限を800℃とした。
なお、TNを低下させるにはN量の低減が有効であるが、N量の極端な低下はオーステナイト相比率の低下と溶接部耐食性の低下とをもたらす。このため、オーステナイト相の生成元素であるNi、Mn、Cuの含有量とN含有量を適切に設計することが必要である。
本発明に係る熱間圧延ままの溶体化熱処理を省略した合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材は、溶体化熱処理を施した熱延鋼材よりも降伏強度が50MPa以上高い。一般に溶体化熱処理を行うと強度が低下するところ、本発明では熱間圧延ままで歪みを残留させ、高い強度を得るためである。すなわち、溶体化熱処理を省略することで強度を低下させないようにしているためである。一般に圧延仕上温度を高温にし、溶体化熱処理温度に近づけると強度は低下する。本発明鋼では後述するように圧延仕上温度を低下し、強度の上昇が可能なようにクロム窒化物の析出温度を低下させ、容易に高強度が得られるようにしている。
次に請求項2の規定内容について説明する。請求項2に係る二相ステンレス熱延鋼材は、C,Si,Mn,P,S,Ni,Cr,N,Alを含有し、更に、V,Nb,Tiから選ばれる1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる。
本発明者らは、V、Nb、Tiから選ばれる1種または2種以上を含有する鋼の場合には、従来知見と異なる挙動を示すことを見出した。
即ち、クロム窒化物量が増加すると耐食性が悪化するのが一般的な従来知見であったが、V、Nb、Tiを微量に含有させた場合には、意外にもクロム窒化物の析出量がある程度増加しても耐食性が向上する傾向を有することが明らかとなった。この知見を請求項2に規定した。
上記のように、V、Nb、Tiを微量に含有させる場合は、クロム窒化物の許容量が増加する。そのため、選択的成分であるV、Nb、Tiを含有する鋼材については、熱間圧延中におけるクロム窒化物の析出に関する第二の指標としてクロム窒化物析出温度TN2を新たに規定し、Cr残渣量が0.03%以下となる均熱処理温度のうちの最低温度とした。
なお、請求項1で説明したクロム窒化物析出温度TNは、選択的成分であるV、Nb、Tiを含有しない鋼材における熱間圧延中におけるクロム窒化物の析出に関する指標であることは言うまでもない。
請求項2においては、このCr窒化物量が緩和されたTN2が960℃以下であれば、本発明の課題を解決することができる。好ましくは930℃以下である。また、TN2を実験的に求める手段、TN2を減少させるための方法は、TNと同様である。なお、TN2においては、Cr残渣量が0.03%以下となる温度のうちの最低温度と規定したのは、実験によって残渣量0.03%以下が耐食性や靭性に悪影響を及ぼさない析出量であることを確認したことによる。
クロム窒化物の析出温度TNは、第一にクロム濃度、窒素濃度の低減により減少するものであるが、オーステナイト安定化元素を添加することにより減少させることができる。請求項2ではクロムよりも強力な窒化物生成元素であるV、Nb、Tiを微量に含有させることでクロム窒化物の析出を制御し、熱間圧延鋼材の耐食性を向上させたものである。
すなわち、本発明者らの研究の中で、合金元素節減型二相ステンレス鋼中へのV、Nb、Tiの微量の含有によりクロムの一部に置換した窒化物を構成し、窒化物の析出温度をわずかに高める効果を有するが、意外にもクロム窒化物の析出量が増加しても耐食性が向上する傾向を有することが明らかとなった。請求項2は、このような付加的な微量元素添加効果も含めて発明として開示したものである。
Vが形成する窒化物、炭化物は、熱間加工および鋼材の冷却過程で生成し、耐食性を高める作用を有する。この理由として十分な確認はなされていないが、700℃以下でのクロム窒化物の生成速度を抑制する可能性が考えられる。この耐食性の改善のためにVを0.05%以上含有させる。0.5%を超えて含有させると粗大なV系炭窒化物が生成し、靱性が劣化する。そのため、上限を0.5%に限定する。添加する場合の好ましい含有量は0.1〜0.3%の範囲である。
Nbが形成する窒化物、炭化物は、熱間加工および鋼材の冷却過程で生成し、耐食性を高める作用を有する。この理由として十分な確認はなされていないが、700℃以下でのクロム窒化物の生成速度を抑制する可能性が考えられる。この耐食性の改善のためにNbを0.01%以上含有させる。一方、過剰な添加は、熱間圧延前の加熱時に未固溶析出物として析出するようになって靭性を阻害するようになるため、その含有量の上限を0.20%と定めた。添加する場合の好ましい含有率範囲は0.03%〜0.10%である。
Tiは、極微量で酸化物、窒化物、硫化物を形成し、鋼の凝固および高温加熱組織の結晶粒を微細化する元素である。またV、Nbと同様にクロム窒化物のクロムの一部に置換する性質も有する。0.003%以上の含有によりTiの析出物が形成されるようになる。一方0.05%を越えて二相ステンレス鋼に含有させると粗大なTiNが生成して鋼の靭性を阻害するようになる。このためその含有量の上限を0.05%と定めた。Tiの好適な含有率は0.005〜0.020%である。
請求項3では、耐食性を付加的に高める元素について規定した。選択的元素であるMo,Cu,W,Coから選ばれる1種または2種以上を更に含有する請求項3に係る発明の限定理由について説明する。
Moは、ステンレス鋼の耐食性を付加的に高める非常に有効な元素であり、必要に応じて含有させることができる。耐食性改善のためには0.2%以上含有させることが好ましい。一方で金属間化合物析出を促進する元素であり、本発明鋼では熱間圧延時の析出を抑制する観点より1.5%の含有量を上限とする。
Cuは、ステンレス鋼の酸に対する耐食性を付加的に高める元素であり、かつ靭性を改善する作用を有するため0.3%以上含有させることが推奨される。2.0%を越えて含有させると熱間圧延時に固溶度を超えてεCuが析出し脆化を発生するので上限を2.0%とした。Cuを含有させる場合の好ましい含有量は0.3〜1.5%である。
Wは、Moと同様にステンレス鋼の耐食性を付加的に向上させる元素である。本発明鋼において耐食性を高める目的のためには1.0%を上限に含有させる。好ましい含有量は0.05〜0.5%である。
Coは、鋼の靭性と耐食性を高めるために有効な元素であり、選択的に添加される。その含有量は0.03%以上が好ましい。2.0%を越えて含有させると高価な元素であるためにコストに見合った効果が発揮されないようになるため上限を2.0%と定めた。添加する場合の好ましい含有量は0.03〜1.0%である。
請求項4では、熱間加工性の向上を図るために必要に応じて選択的に含有させるB、Ca、Mg、REMを下記の通り限定する。
B、Ca、Mg、REMは、いずれも鋼の熱間加工性を改善する元素であり、その目的で1種または2種以上添加される。B、Ca、Mg、REMいずれも過剰な添加は、逆に熱間加工性および靭性を低下するため、その含有量の上限を次のように定めた。
BとCaについては0.0050%、Mgについては0.0030%、REMについては0.10%である。好ましい含有量はそれぞれBとCa:0.0005〜0.0030%、Mg:0.0001〜0.0015%、REM:0.005〜0.05%である。ここでREMはLaやCe等のランタノイド系希土類元素の含有量の総和とする。
ついで本発明の請求項5記載の限定理由について説明する。
熱間圧延の最終仕上圧延パスの入側温度TFは、熱延鋼材の強度を支配する重要な因子であり、これが低下するほど高い強度が得られる。一方、低下しすぎると熱間圧延中にクロム窒化物の析出量が増加し、靱性と耐食性を損なうようになる。また、TFが高すぎると、溶体化熱処理を施したのと変わらなくなり強度が低下して、溶体化熱処理を省略する本発明の目的を達成できない。
本発明者らの実験において、TFがクロム窒化物析出温度より30℃を超えて下回ると、靱性と耐食性の低下が限度を超えるようになったため、TFの下限をクロム窒化物析出温度−30(℃)と定めた。
すなわち、選択的成分であるV、Nb、Tiを含有しない鋼材については下記(1)式に従う、前記選択的成分を含有する鋼材については下記(2)式に従う、熱間圧延の最終仕上圧延パスの入側温度TFを定めた。
TF ≧ TN −30 ・・・ (1)
TF ≧ TN2−30 ・・・ (2)
また、TFの上限について特に定めないが、溶体化熱処理を施した熱延鋼材よりも降伏強度が50MPa以上高い、熱間圧延ままの溶体化熱処理を省略した合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材を得るためには、1000℃未満とすることが必要である。溶体化熱処理温度は鋼の組成によりいくらか上下し、本発明鋼の場合、溶体化熱処理は950〜1050℃×5分であるが、実施例での降伏強度差の確認は1000℃×5分で行った。
TFから600℃までの温度域の冷却時には、クロム窒化物の析出が進行する。この析出を抑制するには鋼材を速く冷却することが必要である。クロム窒化物の析出速度は、クロム窒化物析出温度が高い鋼種ほど大きくなる。クロム窒化物析出温度を960℃以下に制限した本発明において、TFから600℃までの冷却時間が5分を超えるとクロム窒化物の析出量が増加し、靱性と耐食性を損なうようになる。
このため、本発明に係る合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材の製造方法においては、熱間圧延の最終仕上圧延パスの入側温度TFから600℃までの温度域を5分以下の時間で冷却することとした。板厚20mm以下の鋼材であれば空冷することで、この制限をほぼ満たすことが可能である。
請求項6では、本発明に係る合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材の熱間圧延終了後の加速冷却について定めた。
熱間圧延終了後の加速冷却は、圧延終了後の鋼材中へのクロム窒化物析出を抑制するために実施する。熱間圧延後の鋼材中への析出は過冷却状態で進行するが、600〜800℃の中で析出速度が極大値を示す。その極大値はクロム窒化物析出温度からの過冷却度に応じて増加することから、仕上圧延後すみやかに冷却する必要がある。
したがって、板厚20mm超の鋼材については加速冷却を実施することが好ましく、本発明者らの実験結果にもとづき、その加速冷却開始温度TCをクロム窒化物析出温度−200(℃)以上とすることを規定する。
すなわち、選択的成分であるV、Nb、Tiを含有しない板厚20mm超の鋼材については下記(3)式に従う、前記選択的成分を含有する板厚20mm超の鋼材については下記(4)式に従う、熱間圧延終了後の加速冷却開始温度TCを定めた。
TN −200 ≦ TC ≦ TN +50 (但し、TF≧TC)・・・ (3)
TN2−200 ≦ TC ≦ TN2+50 (但し、TF≧TC)・・・ (4)
そして、本発明に係る板厚20mm超の合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材の製造方法においては、熱間圧延終了後の加速冷却開始温度TCから加速冷却を開始することにより、熱間圧延の最終仕上圧延パスの入側温度TFから600℃までの温度域を5分以下の時間で冷却することとした。
なお、本発明の目的は、あくまでもTFから600℃までの温度域を5分以下で冷却してクロム窒化物の析出を抑制し、これにより靱性と耐食性に優れた合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材を得ることにあるので、板厚20mm以下の鋼材はもちろんのこと板厚20mm超の鋼材についても、TFから600℃までの温度域を5分以下で冷却できる場合については、加速冷却が必ずしも必要であるということではない。例えば、TFから600℃までを空冷や放冷でもって5分以下で冷却できる場合については、必ずしも加速冷却を実施する必要はない。TFからの冷却の途中において、あるいはTFからの冷却の開始とともに加速冷却を行う趣旨は、板厚20mm超の鋼材についてはTFから600℃までを5分以下で冷却できない場合があることから、これを避けるために最適温度であるTCから加速冷却を開始することとしたものである。
また、加速冷却開始温度TCを極端に高くすると逆に耐食性を低下する場合があるため、TCの上限をクロム窒化物析出温度+50(℃)以下とした。クロム窒化物析出温度−150℃からクロム窒化物析出温度までの範囲でTCを設定することが望ましい。
なお、加速冷却の媒体は水または気水混合でおこなうことが設備コストの観点より合理的である。
以下に実施例について記載する。表1に供試鋼の化学組成を示す。
なお、表1に示した成分について含有量が記載されていない部分は不純物レベルであることを示し、REMはランタノイド系希土類元素を意味し、含有量はそれら元素の合計を示している。また、Oは不可避的不純物である。
表中のクロム窒化物析出温度は、以下の手順で求めた。
(1) 10mm厚の供試鋼を後述する条件で溶体化熱処理する。
(2) 800〜1000℃の任意の温度で20分間均熱処理を行い、その後5秒以内に水冷を行う。
(3) 冷却後の供試鋼表層を#500研磨する。
(4) 3g試料を分取し、非水溶液中(3%マレイン酸+1%テトラメチルアンモニウムクロライド+残部メタノール)で電解(100mV定電圧)してマトリックスを溶解する。
(5) 0.2μm穴径のフィルターで残渣(=析出物)を濾過し、析出物を抽出する。
(6) 残渣の化学組成を分析し、そのクロム含有量を求める。この残渣中のクロム含有量をクロム窒化物の析出量の指標とする。
(7) (2)の均熱処理温度を種々変化させ、残渣中のクロム含有量が0.01%以下となる均熱処理温度のうちの最低温度をTNとする。また、V、Ti、Nbのいずれか1種以上を含有する場合は、クロム含有量が0.03%以下となる均熱処理温度のうちの最低温度をTN2とする。
いずれの鋼も厚さが140mmの鋼片を熱間圧延素材とした。
熱間圧延は、1150〜1250℃の所定の温度に加熱した後、実験室の2段圧延機により実施し、圧下を繰り返し、780〜1080℃で最終仕上圧延を実施し、最終板厚が6〜35mmになるように圧延した。
この熱延鋼材を半割し、片方の鋼材に溶体化熱処理を施した。溶体化熱処理は1000℃に設定した熱処理炉に鋼材を挿入し、5分の均熱時間を取った後に抽出し、その後常温まで水冷を実施した。
熱延鋼材の引張試験は、板厚が6mmの材料についてはASTM13B形状の板状試験片を、板厚10mmの材料については平行部が8mm径の丸棒引張試験片を、板厚20、30、35mmの材料については10mm径の丸棒引張試験片を圧延直角方向に採取した。なお、板厚30、35mmの材料については板厚1/4部を中心として採取した。溶体化熱処理を施す前後での降伏強度差を表2、3に示した。
熱延鋼材の孔食電位測定は、鋼材の表皮下1mmの面に対してJISG0577に定められた方法にて電流密度が100μA/cmに対応する電位(VC’100)を溶体化熱処理を施す前後の鋼材についてそれぞれn=4で測定し、平均値を求めた。その平均値の差を表2、3に示した。
熱延鋼材の衝撃靭性は、2mmV機械加工ノッチを圧延方向に加工したJIS4号シャルピー試験片により破面が圧延方向に平行に伝播する向きに各2本採取した。
なお、6mmの材料では1/2サイズの、10mmの材料では3/4サイズのシャルピー試験片にて、20mmの板厚の材料では板厚中央部のフルサイズシャルピー試験片にて、板厚30mm、35mmの材料は板厚1/4部を中心として採取したフルサイズシャルピー試験片にて評価した。
試験温度は−20℃とし、最大エネルギー500J仕様の試験機にて衝撃試験を実施した。表2と表3に各3本の衝撃値の平均値(J/cm)の結果を示した。
表2に示す実施例は、表1に示した鋼を、TF(熱間圧延最終仕上温度)を930℃として板厚10mmに仕上げ、その後空冷した熱延鋼材の特性を示している。
クロム窒化物析出温度を960℃以下に低下した鋼材において溶体化熱処理を省略した状態で、溶体化熱処理材との強度差が50MPa以上であり、孔食電位が0.05V以下の低下量にとどまる。また−20℃における衝撃値が50J/cm以上を示す。このように請求項1、2に開示した本発明の熱延鋼材は、強度、耐食性、衝撃特性に優れることが明らかである。
表3に示す実施例は、表1に示した鋼の一部を用いて、種々の熱間圧延条件にて6〜35mmの板厚の熱延鋼材とし、強度、耐食性、衝撃特性を評価した結果を示している。
本発明例では、溶体化熱処理材との強度差が50MPa以上であり、孔食電位が0.05V以下の低下量にとどまる。また−20℃における衝撃値が50J/cm以上を示す。このように請求項3、4に開示した条件で製造された本発明熱延鋼材は、強度、耐食性、衝撃特性に優れることが明らかである。
なお、比較例42では、TFが溶体化処理温度を超える非常な高温であり、このため強度が低く目的の強度に達していない。
以上の実施例からわかるように本発明により溶体化熱処理を省略した高強度二相ステンレス熱延鋼材が得られることが明確となった。
Figure 2012153953
Figure 2012153953
Figure 2012153953
本発明により、強度が高く合金元素節減型の経済的な高強度二相ステンレス鋼材を提供することが可能となり、海水淡水化機器、輸送船のタンク類、各種容器等として使用できるなど産業上寄与するところは極めて大である。

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C :0.03%以下、
    Si:0.05〜1.0%、
    Mn:0.5〜7.0%、
    P :0.05%以下、
    S :0.010%以下、
    Ni:0.1〜5.0%、
    Cr:18.0〜25.0%、
    N :0.05〜0.30%、
    Al:0.001〜0.05%、
    を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなり、
    熱間圧延中におけるクロム窒化物の析出に関する指標となるクロム窒化物析出温度TNが960℃以下であって、
    溶体化熱処理を施した熱延鋼材よりも降伏強度が50MPa以上高い、熱間圧延ままの溶体化熱処理を省略した合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材。
  2. 質量%で、
    C :0.03%以下、
    Si:0.05〜1.0%、
    Mn:0.5〜7.0%、
    P :0.05%以下、
    S :0.010%以下、
    Ni:0.1〜5.0%、
    Cr:18.0〜25.0%、
    N :0.05〜0.30%、
    Al:0.001〜0.05%、
    を含有し、更に、
    V :0.05〜0.5%、
    Nb:0.01〜0.20%、
    Ti:0.003〜0.05%
    から選ばれる1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなり、
    熱間圧延中におけるクロム窒化物の析出に関する第二の指標となるクロム窒化物析出温度TN2が960℃以下であって、
    溶体化熱処理を施した熱延鋼材よりも降伏強度が50MPa以上高い、熱間圧延ままの溶体化熱処理を省略した合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材。
  3. 更に、
    Mo:1.5%以下、
    Cu:2.0%以下、
    W :1.0%以下、
    Co:2.0%以下
    から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱間圧延ままの溶体化熱処理を省略した合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材。
  4. 更に、
    B :0.0050%以下、
    Ca:0.0050%以下、
    Mg:0.0030%以下、
    REM:0.10%以下
    から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱間圧延ままの溶体化熱処理を省略した合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱間圧延ままの溶体化熱処理を省略した合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材の製造方法であって、
    選択的成分であるV、Nb、Tiを含有しない鋼材については下記(1)式に従って、前記選択的成分を含有する鋼材については下記(2)式に従って、熱間圧延の最終仕上圧延パスの入側温度TFから600℃までの温度域を5分以下の時間で冷却することを特徴とする合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材の製造方法。
    TF ≧ TN −30 ・・・ (1)
    TF ≧ TN2−30 ・・・ (2)
  6. 選択的成分であるV、Nb、Tiを含有しない板厚20mm超の鋼材については下記(3)式に従って、前記選択的成分を含有する板厚20mm超の鋼材については下記(4)式に従って、熱間圧延終了後の加速冷却開始温度TCから加速冷却を開始することにより、熱間圧延の最終仕上圧延パスの入側温度TFから600℃までの温度域を5分以下の時間で冷却することを特徴とする請求項5に記載の合金元素節減型二相ステンレス熱延鋼材の製造方法。
    TN −200 ≦ TC ≦ TN +50 (但し、TF≧TC)・・・ (3)
    TN2−200 ≦ TC ≦ TN2+50 (但し、TF≧TC)・・・ (4)
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