JP7273296B2 - 鋼板 - Google Patents

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本発明は、鋼板に関するものである。
鋼に含まれるMnは、オーステナイトを安定化させ、焼入れ性を高める効果を発現する。また、Mnは、比較的、安価な元素であり、従来から、同様の効果を発現する比較的高価なNiの代替としてMnを含有させた鋼が提案されている(例えば、特許文献1~3、参照)。特許文献1~3には、室温における強度及び低温における靭性に優れた鋼板が開示されている。
特表2014-501848号公報 特開平5-195156号公報 特開平4-346636号公報
特許文献1には、低温靭性に優れた鋼板が開示されているが、鋼板の薄手化等の観点から、さらに引張強度を高めることが望ましい。一方、特許文献2及び3には、引張強度に優れた鋼板が開示されているが、用途の拡大等の観点から、低温における靭性をさらに向上させることが望ましい。本発明は、このような実情に鑑み、強度及び低温靭性に優れた鋼板の提供を課題とするものである。
本発明者らの検討の結果、6.0%以上のMnを含有する鋼板の製造工程において、熱間圧延後にそのまま加速冷却を施す加工熱処理(以下、直接焼入れということがある。)を採用すると、鋼板の低温靭性が向上するという知見が得られた。一方、熱間圧延後に空冷して再加熱及び焼入れを施す再加熱焼入れの場合、再加熱焼入れの際の加熱時に結晶粒が成長し、結果として結晶粒界が脆化することがわかった。次に、熱間圧延では、オーステナイトの再結晶が抑制される温度域、いわゆる未再結晶温度域における圧延(以下、制御圧延ということがある。)によって低温靭性がさらに改善されることがわかった。これは、主に、制御圧延によって負荷された応力又は導入された歪みが、εマルテンサイトからα’マルテンサイトへの変態進行を促進する効果によるものと推定される。さらに、熱間圧延では、仕上圧延前の粗圧延の圧下率を確保することによって金属組織が微細化され、強度及び低温靭性に優れた鋼板が得られることがわかった。また、Niの含有量を高めることにより、低温靭性が顕著に向上するという知見が得られた。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1] 質量%で、
C:0.03%以上、0.12%以下、
Mn:6.0%以上、13.0%以下、
Ni:1.00%超、5.00%以下、
Si:0%以上、1.50%以下、
Al:0%以上、0.30%以下、
Cu:0%以上、2.00%以下、
Co:0%以上、2.00%以下、
Cr:0%以上、2.00%以下、
Mo:0%以上、2.00%以下、
W:0%以上、2.00%以下、
B:0%以上、0.0100%以下、
Nb:0%以上、0.100%以下、
V:0%以上、0.100%以下、
Ti:0%以上、0.100%以下、
Zr:0%以上、0.100%以下、
Hf:0%以上、0.100%以下、
Ta:0%以上、0.100%以下、
Mg:0%以上、0.0100%以下、
Ca:0%以上、0.0100%以下、及び
REM:0%以上、0.0100%以下
を含有し、
P:0.010%以下、
S:0.0050%以下、
N:0.0100%以下、及び
O:0.0050%以下
であり、残部がFe及び不純物からなり、
金属組織が、体積%で、80%以上のα’マルテンサイト、10%以上、20%以下の残留オーステナイトを含み、残部組織が、存在する場合は、体積%で、5%以下のベイナイト、5%以下のフェライト、10%以下のεマルテンサイトからなり、
前記α’マルテンサイトの円相当直径は0.1μm以上、5.0μm以下であり、
前記残留オーステナイトの円相当直径は0.01μm以上、2.50μm以下であり、
旧オーステナイトの円相当直径は200μm以下であり、かつ、旧オーステナイトのアスペクト比は1以上、50以下であり、
前記残留オーステナイトによる前記旧オーステナイトの粒界占積率は40%以上、100%以下である、鋼板。
[2] 前記旧オーステナイトのアスペクト比が4以上、50以下である、上記[1]に記載の鋼板。
[3] 質量%で、
Cu:0.10%以上、2.00%以下、
Co:0.10%以上、2.00%以下、
Cr:0.10%以上、2.00%以下、
Mo:0.10%以上、2.00%以下、
W:0.10%以上、2.00%以下、
B:0.0002%以上、0.0100%以下、
Nb:0.005%以上、0.100%以下、
V:0.005%以上、0.100%以下、
Ti:0.005%以上、0.100%以下、
Zr:0.005%以上、0.100%以下、
Hf:0.005%以上、0.100%以下、及び
Ta:0.005%以上、0.100%以下
のうち1種又は2種以上を含有する、上記[1]又は[2]に記載の鋼板。
[4] 質量%で、
Mg:0.0001%以上、0.0100%以下、
Ca:0.0001%以上、0.0100%以下、及び
REM:0.0001%以上、0.0100%以下
のうち1種又は2種以上を含有する、上記[1]~[3]のいずれかに記載の鋼板。
本発明によれば、強度及び低温靭性に優れた鋼板を提供することができる。
一般に、鋼は、高温に加熱されると、結晶粒界が移動し、結晶粒径が大きくなる。高温で結晶粒界が移動する現象は粒界移動と称され、結晶粒径が大きくなる現象は粒成長と称される。本発明者らの検討の結果、6.0%以上のMnを含有する鋼(以下、中Mn鋼ということがある。)は、高温に加熱されると、結晶粒界が移動する際に結晶粒界へのMnの濃化が促進されるという知見が得られた。さらに、結晶粒径が大きくなると、結晶粒界におけるMnの濃度が平均的な含有量よりも高くなり、粒界破壊が発生して低温靭性を低下させることがわかった。したがって、中Mn鋼の低温靭性の低下の抑制という観点から、製造工程として、熱間圧延後、高温に再加熱される再加熱焼入れよりも、再加熱を行わず熱間圧延後に焼入れを行う直接焼入れを採用することが望ましいと考えられる。
さらに、熱間圧延において、粒界移動の抑制という観点から、仕上圧延では、未再結晶温度域での圧延(制御圧延)を採用することが好ましい。また、本発明者らは、制御圧延によって、εマルテンサイトの生成が顕著に抑制されることを見出した。εマルテンサイトは、六方最密充填構造(hcp構造)を有しており、延性が低く、鋼の靭性に悪影響を及ぼす。そのため、鋼板の低温靭性は、εマルテンサイトの生成の抑制によって顕著に改善される。このような制御圧延の効果は、圧延によって負荷された応力又は導入された歪が、中Mn鋼の変態挙動に影響を及ぼした結果であると考えられる。詳細は不明であるが、制御圧延によって、εマルテンサイトからα’マルテンサイトへの変態が促進される可能性がある。ここで、α’マルテンサイトは体心正方構造(bct構造)を有するマルテンサイトである。
また、制御圧延によって、残留オーステナイトが増加していることを知見した。残留オーステナイトは、熱間圧延後の加速冷却によって他の相に変態せず、室温まで冷却された後に鋼中に残存しているオーステナイトであり、以下では残留γと称する場合がある。残留オーステナイトも、鋼板の低温靭性を改善させると考えられる。一般に、残留オーステナイトの生成は、オーステナイトを安定化させる元素の濃化に起因している。上述のように、中Mn鋼のオーステナイトの結晶粒界のMn濃度は高くなり、炭素原子もオーステナイトの結晶粒界に濃化しやすくなると考えられる。そして、熱間圧延を低温で行うと、オーステナイトの結晶粒界のMn及び炭素の濃度が高くなり、オーステナイトが安定化した状態で冷却され、その結果、残留オーステナイトの生成が促進されると考えられる。
さらに、金属組織の微細化は、鋼板の強度及び靭性を高めるために、極めて有効であり、旧オーステナイトの微細化が望ましい。この理由は以下の知見に基づいている。旧オーステナイトは、熱間圧延後の加速冷却によって他の相に変態する前のオーステナイトであり、以下では旧γと称する場合がある。中Mn鋼では、オーステナイトからεマルテンサイト、εマルテンサイトからα’マルテンサイトへと変態が進行する。このとき、Mnの含有量を一定の範囲に制御することで、α’マルテンサイトのブロックが顕著に微細化することがわかった。また、α’マルテンサイトのブロックの微細化には、変態前のオーステナイト、いわゆる旧オーステナイトの細粒化が有効である。したがって、旧オーステナイトの微細化により、α’マルテンサイトのブロックが微細になり、低温靭性が向上する。粗圧延の圧延条件の制御により、制御圧延前のオーステナイトの再結晶が促進されて、旧オーステナイトの結晶粒径が微細になる。
<化学成分>
以下、本実施形態に係る鋼板について詳細に説明する。なお、本実施形態において「鋼板」とは、板厚が3mm以上、例えば、5mm以上、10mm以上、15mm以上、18mm以上、20mm以上、25mm以上、30mm以上、又は50mm以上であって、熱間圧延によって製造された圧延鋼板である。まず、本実施形態に係る鋼板に含まれる化学成分について説明する。なお、元素の含有量に関する「%」は、特に断りがない限り、「質量%」を意味する。
[C:0.03%以上、0.12%以下]
Cは、鋼の強度を高める元素であり、一方で、過剰に含有させると低温靭性が悪化する。本実施形態において、強度を確保するために、Cの含有量は0.03%以上である。Cの含有量は、好ましくは0.04%以上であり、より好ましくは0.05%以上である。一方、低温靭性を確保するために、本実施形態において、Cの含有量は0.12%以下である。Cの含有量は、好ましくは0.10%以下であり、より好ましくは0.08%以下である。
[Mn:6.0%以上、13.0%以下]
Mnは、オーステナイトを安定化させ、鋼の焼入れ性を高める元素である。本実施形態に係る中Mn鋼においては、Mnはα’マルテンサイトのブロックのサイズや粒界脆化に影響を及ぼす極めて重要な元素である。本実施形態では、α’マルテンサイトの体積率を高めて強度を向上させるとともに、α’マルテンサイトのブロックを微細化して低温靭性を確保するためにMnを含有させる。このような効果を得るために必要とされるMnの含有量は、本実施形態では、6.0%以上である。Mnの含有量は、好ましくは7.0%以上、より好ましくは8.0%以上である。一方、Mnによる粒界脆化を抑制し、マルテンサイトのブロックを微細化して低温靭性を確保するために、本実施形態では、Mnの含有量は13.0%以下である。Mnの含有量は、好ましくは12.0%以下であり、より好ましくは11.0%以下である。
[Ni:1.00%超、5.00%以下]
Niは、オーステナイトを安定化させ、靭性を向上させる元素であり、残留オーステナイトの生成を促進し、低温靭性を向上させるために含有させる。本実施形態では、Niの含有量は1.00%超であり、好ましくは1.50%以上、より好ましくは2.00%以上である。製造コストの観点から、本実施形態では、Niの含有量は5.00%以下である。Niの含有量は、好ましくは4.00%以下、より好ましくは3.50%以下である。
[Si:0%以上、1.50%以下]
Siは脱酸元素である。ただし、Al、Tiなどの脱酸元素を含有させてもよく、本実施形態では、Siの含有量は0%以上であってよい。固溶強化や炭化物の生成の抑制や、残留γの増加という観点から、Siの含有量は、好ましくは0.01%以上である。Siの含有量は、より好ましくは0.10%以上である。一方、粗大な介在物の生成の抑制や、低温靭性の確保という観点から、本実施形態では、Siの含有量は1.50%以下である。Siの含有量は、好ましくは1.20%以下、より好ましくは0.50%以下である。
[Al:0%以上、0.30%以下]
Alは脱酸元素である。ただし、Si、Tiなどの脱酸元素を含有させてもよく、本実施形態では、Alの含有量は0%以上であってよい。脱酸を確実に行うために、Alの含有量は、好ましくは0.01%以上である。また、炭化物の生成の抑制や、残留γを増加させるという観点から、Alの含有量は、より好ましくは0.03%以上である。一方、粗大な介在物の生成の抑制や、低温靭性の確保という観点から、本実施形態では、Alの含有量は0.30%以下である。Alの含有量は、好ましくは0.10%以下であり、より好ましくは0.05%以下である。
[P:0.010%以下]
Pは、不純物であり、粒界に偏析して靭性を低下させる。低温靭性を確保するために、本実施形態では、Pの含有量は0.010%以下である。Pの含有量は、好ましくは0.008%以下であり、より好ましくは0.006%以下である。Pの含有量は少ないほど好ましいが、製造コストの観点から、0.001%以上であってもよい。
[S:0.0050%以下]
Sは、不純物であり、MnSを生成して、延性や靭性を低下させる。低温靭性を確保するために、本実施形態では、Sの含有量は、0.0050%以下である。Sの含有量は、好ましくは0.0030%以下であり、より好ましくは0.0010%以下である。Sの含有量は少ないほど好ましいが、製造コストの観点から、0.0001%以上であってもよい。
[N:0.0100%以下]
Nは、一般に不純物として含有されるが、本実施形態に係る中Mn鋼においては、オーステナイトを安定化させ、強度を向上させる元素であるので、積極的に含有させてもよい。ただし、Nの効果はCと同等であり、必ずしも含有させる必要はないため、Nの含有量の下限は限定されない。製造コストの観点から、Nの含有量は0.0010%以上であってもよい。また、Nは、窒化物を形成する元素であり、鋼中に分散した微細な窒化物は、組織の粗大化の抑制に有効である。本実施形態においては、残留オーステナイトの確保や旧オースナイトの微細化、さらに強度の向上という観点から、Nの含有量は、好ましくは0.0020%以上、より好ましくは0.0030%以上である。一方、鋼中に固溶したN原子が転位と結合し、時効硬化を発現すると、靭性が低下する場合がある。したがって、本実施形態では、低温靭性の確保という観点から、Nの含有量は0.0100%以下である。Nの含有量は、好ましくは0.0080%以下であり、より好ましくは0.0060%以下である。
[O:0.0050%以下]
Oは、不純物であり、酸化物を形成する。粗大な酸化物の生成を抑制し、靭性を確保するために、本実施形態では、Oの含有量は0.0050%以下である。Oの含有量は、好ましくは0.0040%以下であり、より好ましくは0.0030%以下である。Oの含有量は少ないほど好ましいが、製造コストの観点から、0.0005%以上であってもよい。
本実施形態に係る鋼板において、機械特性を向上させるために、必要に応じて、Cu:0%以上、2.00%以下、Co:0%以上、2.00%以下、Cr:0%以上、2.00%以下、Mo:0%以上、2.00%以下、W:0%以上、2.00%以下、B:0%以上、0.0100%以下、Nb:0%以上、0.100%以下、V:0%以上、0.100%以下、Ti:0%以上、0.100%以下、Zr:0%以上、0.100%以下、Hf:0%以上、0.100%以下、及びTa:0%以上、0.100%以下のうち、1種又は2種以上が含有される。
[Cu:0%以上、2.00%以下]
Cuは、オーステナイトを安定化させる元素であり、残留オーステナイトの生成を促進して低温靭性を向上させるために必要に応じて含有される。本実施形態では、Cuの含有量は0%以上であり、好ましくは0.10%以上、より好ましくは0.20%以上である。製造コストの観点から、本実施形態では、Cuの含有量は2.00%以下である。Cuの含有量は、好ましくは1.00%以下、より好ましくは0.50%以下である。
[Co:0%以上、2.00%以下]
Coは、オーステナイトを安定化させる元素であり、残留オーステナイトの生成を促進して低温靭性を向上させるために必要に応じて含有される。本実施形態では、Coの含有量は0%以上であり、好ましくは0.10%以上、より好ましくは0.20%以上である。製造コストの観点から、本実施形態では、Coの含有量は2.00%以下である。Coの含有量は、好ましくは1.00%以下、より好ましくは0.50%以下である。
[Cr:0%以上、2.00%以下]
Crは、鋼の焼入れ性を高める元素であり、炭化物を形成して強度を向上させるために、必要に応じて含有される。本実施形態では、Crの含有量は0%以上であり、好ましくは0.10%以上、より好ましくは0.20%以上である。一方、強度の上昇に伴って靭性が劣化することから、低温靭性を向上させるために、本実施形態では、Crの含有量は2.00%以下である。Crの含有量は、好ましくは1.00%以下、より好ましくは0.50%以下である。
[Mo:0%以上、2.00%以下]
Moは、鋼の焼入れ性を高める元素であり、強度を向上させるために、必要に応じて含有される。本実施形態では、Moの含有量は0%以上であり、好ましくは0.10%以上、より好ましくは0.20%以上である。一方、製造コストの観点から、本実施形態では、Moの含有量は2.00%以下である。Moの含有量は、好ましくは1.00%以下、より好ましくは0.50%以下である。
[W:0%以上、2.00%以下]
Wは、鋼の焼入れ性を高める元素であり、強度を向上させるために、必要に応じて含有される。本実施形態では、Wの含有量は0%以上であり、好ましくは0.10%以上、より好ましくは0.20%以上である。一方、製造コストの観点から、本実施形態では、Wの含有量は2.00%以下である。Wの含有量は、好ましくは1.00%以下、より好ましくは0.50%以下である。
[B:0%以上、0.0100%以下]
Bは、鋼の焼入れ性を顕著に高める元素であり、また、オーステナイトの結晶粒界に偏析して粒界破壊を抑制する元素でもある。Bは、必要に応じて含有され、本実施形態では、Bの含有量は0%以上である。特に、低温靭性を向上させるという観点から、Bの含有量は好ましくは0.0002%以上、より好ましくは0.0005%以上である。一方、Bは窒化物や炭硼化物を形成する元素でもあり、低温靭性の確保という観点から、Bの含有量は0.0100%以下である。Bの含有量は、好ましくは0.0050%以下、より好ましくは0.0030%以下である。
[Nb:0%以上、0.100%以下]
Nbは、炭化物や窒化物などの析出物を生成する元素である。Nbは、結晶粒径の微細化や析出強化によって強度及び靭性を向上させるために、必要に応じて含有される。本実施形態では、Nbの含有量は、0%以上であり、好ましくは0.005%以上、より好ましくは0.010%以上である。一方、析出物の粗大化を抑制し、低温靭性を確保するために、本実施形態では、Nbの含有量は0.100%以下である。Nbの含有量は、好ましくは0.050%以下、より好ましくは0.040%以下である。
[V:0%以上、0.100%以下]
Vは、炭化物や窒化物などの析出物を生成する元素である。Vは、結晶粒径の微細化や析出強化によって強度及び靭性を向上させるために、必要に応じて含有される。本実施形態では、Vの含有量は、0%以上であり、好ましくは0.005%以上、より好ましくは0.010%以上である。一方、析出物の粗大化を抑制し、低温靭性を確保するために、本実施形態では、Vの含有量は0.100%以下である。Vの含有量は、好ましくは0.050%以下、より好ましくは0.040%以下である。
[Ti:0%以上、0.100%以下]
Tiは、炭化物や窒化物などの析出物を生成する元素である。Tiは、結晶粒径の微細化や析出強化によって強度及び靭性を向上させるために、必要に応じて含有される。本実施形態では、Tiの含有量は、0%以上であり、好ましくは0.005%以上、より好ましくは0.010%以上である。一方、析出物の粗大化を抑制し、低温靭性を確保するために、本実施形態では、Tiの含有量は0.100%以下である。Tiの含有量は、好ましくは0.050%以下、より好ましくは0.040%以下である。
[Zr:0%以上、0.100%以下]
Zrは、炭化物や窒化物などの析出物を生成する元素である。Zrは、結晶粒径の微細化や析出強化によって強度及び靭性を向上させるために、必要に応じて含有される。本実施形態では、Zrの含有量は、0%以上であり、好ましくは0.005%以上、より好ましくは0.010%以上である。一方、析出物の粗大化を抑制し、低温靭性を確保するために、本実施形態では、Zrの含有量は0.100%以下である。Zrの含有量は、好ましくは0.050%以下、より好ましくは0.040%以下である。
[Hf:0%以上、0.100%以下]
Hfは、炭化物や窒化物などの析出物を生成する元素である。Hfは、結晶粒径の微細化や析出強化によって強度及び靭性を向上させるために、必要に応じて含有される。本実施形態では、Hfの含有量は、0%以上であり、好ましくは0.005%以上、より好ましくは0.010%以上である。一方、析出物の粗大化を抑制し、低温靭性を確保するために、本実施形態では、Hfの含有量は0.100%以下である。Hfの含有量は、好ましくは0.050%以下、より好ましくは0.040%以下である。
[Ta:0%以上、0.100%以下]
Taは、炭化物や窒化物などの析出物を生成する元素である。Taは、結晶粒径の微細化や析出強化によって強度及び靭性を向上させるために、必要に応じて含有される。本実施形態では、Taの含有量は、0%以上であり、好ましくは0.005%以上、より好ましくは0.010%以上である。一方、析出物の粗大化を抑制し、低温靭性を確保するために、本実施形態では、Taの含有量は0.100%以下である。Taの含有量は、好ましくは0.050%以下、より好ましくは0.040%以下である。
本実施形態に係る鋼板において、介在物の形態を制御するために、必要に応じて、Mg:0%以上、0.0100%以下、Ca:0%以上、0.0100%以下、及びREM:0%以上、0.0100%以下のうち、1種又は2種以上が含有される。
[Mg:0%以上、0.0100%以下]
Mgは、酸化物や硫化物を形成する元素である。Mgは、微細な酸化物や硫化物により、結晶粒径を微細化するために、必要に応じて含有される。本実施形態では、Mgの含有量は、0%以上であり、好ましくは0.0001%以上、より好ましくは0.0005%以上である。一方、介在物の粗大化を抑制し、低温靭性を確保するために、本実施形態では、Mgの含有量は0.0100%以下である。Mgの含有量は、好ましくは0.0050%以下、より好ましくは0.0040%以下である。
[Ca:0%以上、0.0100%以下]
Caは、酸化物や硫化物を形成する元素である。Caは、MnSの圧延方向への延伸化を防止し、靭性を向上させるために、必要に応じて含有される。本実施形態では、Caの含有量は、0%以上であり、好ましくは0.0001%以上、より好ましくは0.0005%以上である。一方、介在物の粗大化を抑制し、低温靭性を確保するために、本実施形態では、Caの含有量は0.0100%以下である。Caの含有量は、好ましくは0.0050%以下、より好ましくは0.0040%以下である。
[REM:0%以上、0.0100%以下]
REM(希土類元素)とは、Sc、Yの2元素と、La、CeやNdなどのランタノイド15元素の総称を意味する。本実施形態でいうREMとは、これら希土類元素から選択される1種以上で構成されるものであり、以下に説明するREMの含有量とは、希土類元素の合計量である。
REMは、酸化物や硫化物を形成する元素である。REMは、MnSの圧延方向への延伸化を防止し、靭性を向上させるために、必要に応じて含有される。本実施形態では、REMの含有量は、0%以上であり、好ましくは0.0001%以上、より好ましくは0.0005%以上である。一方、介在物の粗大化を抑制し、低温靭性を確保するために、本実施形態では、REMの含有量は0.0100%以下である。REMの含有量は、好ましくは0.0050%以下、より好ましくは0.0040%以下である。
本実施形態に係る鋼板において、上記化学成分以外の残部は、Fe及び不純物からなる。ここで、不純物とは、鋼板を工業的に製造する際に、鉱石やスクラップ等のような原料を始めとして、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本実施形態に係る鋼板の特性に悪影響を与えない範囲での含有が許容されるものを意味する。
<金属組織>
次に、本実施形態に係る鋼板の金属組織について説明する。本実施形態に係る鋼板の金属組織は、α’マルテンサイト及び残留オーステナイトを含み、その残部組織は、存在する場合は、ベイナイト、フェライト、εマルテンサイトの1種又は2種以上で構成される。あるいは、金属組織は、α’マルテンサイト及び残留オーステナイトのみで構成される。なお、α’マルテンサイト、残留オーステナイト、ベイナイト、フェライト、εマルテンサイトの体積率に関する「%」は、特に断りがない限り、「体積%」を意味する。ここで、α’マルテンサイト、残留オーステナイト、ベイナイト、フェライト及びεマルテンサイトの体積率は、鋼板の表面から板厚の1/4の位置において、電子線後方散乱回折法(Electron BackScatter Diffraction、EBSD)によって測定した各相の面積率とする。α’マルテンサイト及び残留オーステナイトの円相当直径は、EBSDによって測定した各相の面積及び個数から算出する。
[α’マルテンサイト:80%以上]
α’マルテンサイトは、本実施形態に係る鋼板において、最も体積率が大きい主体組織である。α’マルテンサイトは、熱間圧延後の加速冷却によって生成する低温変態組織であり、転位密度が高く、鋼の強度を顕著に向上させる。α’マルテンサイトの体積率は、強度を確保するために、本実施形態では、80%以上である。α’マルテンサイトの体積率は、好ましくは83%以上であり、より好ましくは85%以上である。α’マルテンサイトの体積率は、高いほど好ましいが、本実施形態では、残留オーステナイトの体積率が10%以上であることから、α’マルテンサイトの体積率は90%以下である。
[α’マルテンサイトの円相当直径:0.1μm以上、5.0μm以下]
α’マルテンサイトの円相当直径は、α’マルテンサイトのブロックの円相当直径であり、EBSDによって測定することができる。α’マルテンサイトの円相当直径が小さくなると、鋼の靭性が高くなる。低温靭性の確保という観点から、本実施形態では、α’マルテンサイトの円相当直径は5.0μm以下である。α’マルテンサイトの円相当直径は、好ましくは4.0μm以下であり、より好ましくは3.0μm以下である。α’マルテンサイトの円相当直径は、小さいことが望ましいが、本実施形態では、0.1μm以上である。α’マルテンサイトの円相当直径は、0.5μm以上であってもよい。α’マルテンサイトの円相当直径は、鋼の焼入れ性を高めること、加速冷却の冷却速度を高めること、旧オーステナイトを微細化すること、などによって微細にすることができる。
[残留オーステナイト:10%以上、20%以下]
残留オーステナイトは、熱間圧延後の加速冷却によって変態せずに、冷却後の鋼板に残存するオーステナイトであり、鋼の低温靭性を顕著に向上させる。残留オーステナイトの体積率は、低温靭性を確保するために、本実施形態では、10%以上である。残留オーステナイトの体積率は、好ましくは12%以上であり、より好ましくは14%以上である。一方、残留オーステナイトの体積率が増加すると、残留オーステナイトに含まれる炭素の濃度が低下する。炭素濃度が低下した残留オーステナイトは、低温に冷却され、さらに変形が加えられると、α’マルテンサイトに変態しやすくなり、靭性を低下させる可能性がある。このような観点から、低温靭性を確保するために、残留オーステナイトの体積率は、本実施形態では、20%以下である。残留オーステナイトの体積率は、好ましくは18%以下であり、より好ましくは16%以下である。
[残留オーステナイトの円相当直径:0.01μm以上、2.50μm以下]
残留オーステナイトは、低温靭性を向上させるものの、粗大な残留オーステナイトは、低温に冷却され、さらに変形が加えられると、α’マルテンサイトに変態しやすい。したがって、低温靭性の確保という観点から、残留オーステナイトの円相当直径は2.50μm以下である。残留オーステナイトの円相当直径は、好ましくは2.00μm以下であり、より好ましくは1.50μm以下である。残留オーステナイトの円相当直径は、小さいことが望ましいが、本実施形態では、0.01μm以上である。残留オーステナイトの円相当直径は、0.50μm以上であってもよい。残留オーステナイトの円相当直径は、加速冷却の冷却速度を高めること、旧オーステナイトを微細化すること、などによって微細にすることができる。
[ベイナイト:0%以上、5%以下]
ベイナイトは、ラス状の低温変態組織であるが、セメンタイトが析出しており、α’マルテンサイトに比べると結晶粒径が大きい。ベイナイトは、α’マルテンサイトに比べると軟質な組織で、破壊の起点になりやすく、鋼の強度及び低温靭性を確保するために、ベイナイトの体積率は少ないほど好ましい。本実施形態では、ベイナイトの体積率は、0%以上、5%以下である。ベイナイトの体積率は、好ましくは3%以下であり、より好ましくは0%である。
[フェライト:0%以上、5%以下]
フェライトは、低温変態組織に比べると軟質な組織であり、結晶粒径が大きい。本実施形態では、鋼の強度及び低温靭性を確保するために、フェライトの体積率は少ないほど好ましい。本実施形態では、フェライトの体積率は、0%以上、5%以下である。フェライトの体積率は、好ましくは3%以下であり、より好ましくは0%である。
[εマルテンサイト:0%以上、10%以下]
本実施形態に係る中Mn鋼は、Mnが積層欠陥エネルギーを低下させるため、εマルテンサイトが生成されることがある。オーステナイトからα’マルテンサイトへの変態の過程でεマルテンサイトが生成すると、金属組織が微細になる。しかし、εマルテンサイトは延性が低いため、α’マルテンサイトに再変態させることが望ましく、本実施形態では、εマルテンサイトの体積率は、0%以上である。εマルテンサイトは、破壊の起点となって鋼の靭性を低下させる場合があることから、低温靭性を確保するために、本実施形態では、εマルテンサイトの体積率は、10%以下である。εマルテンサイトの体積率は、好ましくは5%以下であり、より好ましくは1%以下である。εマルテンサイトの体積率は、0%が望ましい。
金属組織の体積率及び円相当直径の測定には、鋼板の圧延幅方向に垂直断面を観察面、板厚方向で表面から板厚の1/4の位置を観察部位の中心とする試料が使用される。観察面には電解研磨が施される。フェライトの体積率は、EBSDによって、周囲の測定点との局所的な方位の粒内平均値(Grain Average Misorientation、GAM)が1゜以下の領域の面積率として算出される。残留オーステナイト及びεマルテンサイトの体積率は、EBSDによって、300×300μmの領域を0.1μmステップで測定し、結晶構造の相違から各相を同定して、その面積率から求められる。なお、体積率と面積率とは、定量金属組織学の観点から同一である。残留オーステナイトの円相当直径は、EBSDによって残留オーステナイトであると判定された領域を0.02μmステップで測定し、求められた残留オーステナイトの面積及び個数から算出される。残留オーステナイト同士が隣接する場合は、15°方位差のある境界を粒界として結晶粒の個数が測定される。
EBSDによって、フェライト、残留オーステナイト及びεマルテンサイトと判定された領域を除いた部分がα’マルテンサイト及びベイナイトである。さらに、EBSDによる判別が行われた視野を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察し、α’マルテンサイトとベイナイトとの判別が行われる。SEMによって5000倍に拡大して撮影された、ラス構造を呈する20視野の写真において、セメンタイトの長軸方向がブロック内に2方向以上配向している部分がα’マルテンサイト、それ以外の部分がベイナイトと判別され、それぞれの面積が算出される。さらに、α’マルテンサイトの円相当直径は、15°方位差のある境界を粒界として測定された結晶粒の個数及び面積から算出される。
[旧オーステナイトの円相当直径:200μm以下]
旧オースナイトは、熱間圧延後、加速冷却前のオーステナイトである。本実施形態の鋼板は、α’マルテンサイトの体積率が80%以上であることから、旧オーステナイトの円相当直径は、鋼板の表面から板厚の1/4の位置において、研磨及びエッチングを施した試料を光学顕微鏡で観察し、撮影された写真を用いて測定される。上述したα’マルテンサイトのブロックサイズは、結晶方位差が数度以内でほぼ同じ領域であり、旧オーステナイトの円相当直径が小さくなると、α’マルテンサイトのブロックサイズも小さくなる。したがって、旧オーステナイトの円相当直径は、低温靭性を確保するために小さい方が好ましく、本実施形態では、200μm以下である。旧オーステナイトの円相当直径は、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは50μm以下である。旧オーステナイトの円相当直径の下限は限定されないが、10μm以上であってよく、20μm以上であってもよい。旧オーステナイトの円相当直径を小さくするために、熱間圧延の粗圧延における圧下率を確保し、制御圧延前のオーステナイトを微細にすることが推奨される。
[旧オーステナイトのアスペクト比:1以上、50以下]
旧オーステナイトのアスペクト比は、研磨及びエッチングによって現出する金属組織の形状から、長径に対する短径の比率として測定される。仕上圧延において、未再結晶温度域における圧下率が大きいほど、α’マルテンサイトの結晶粒径が微細になり鋼の強度及び靭性が改善される。粗圧延の圧下率は、粗圧延前の鋼片の厚さ及び粗圧延終了後の鋼片の厚さから求められる。粗圧延終了後の鋼片の厚さは、粗圧延から仕上圧延に移送される鋼片の厚さであり、移送厚と称される。粗圧延前の鋼片の厚さは鋼片厚と称される場合がある。
粗圧延の圧下率=[(粗圧延前の鋼片の厚さ-移送厚)/粗圧延前の鋼片の厚さ]×100
本実施形態では、旧オーステナイトのアスペクト比は、1以上でよいが、鋼の強度及び低温靭性を向上させるという観点から、旧オーステナイトのアスペクト比は、1超が好ましい。仕上圧延において、未再結晶温度域で圧延が施されると、旧オーステナイトのアスペクト比は1超になる。旧オーステナイトのアスペクト比は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上である。未再結晶温度域における圧延の圧下比を2以上とすることより、旧オーステナイトのアスペクト比が4以上の鋼板を製造することができる。一方、旧オーステナイトのアスペクト比を増加させると、機械特性の異方性が顕著になる。鋼板の機械特性は等方的であることが望ましく、このような観点から、旧オーステナイトのアスペクト比は50以下である。旧オーステナイトのアスペクト比は、好ましくは40以下であり、より好ましくは30以下である。
[残留オーステナイトによる旧オーステナイトの粒界占積率:40%以上、100%以下]
残留オーステナイトが旧オーステナイトの粒界に生成していると、粒界破壊が抑制され、低温靭性が向上する。残留オーステナイトによる旧オーステナイト粒界の占積率(以下、残留γ占積率という場合がある。)は、旧オーステナイトの粒界において残留オーステナイトが占める割合である。低温靭性を向上させるために必要とされる、残留オーステナイトによる旧オーステナイトの粒界占積率は、40%以上である。残留オーステナイトによる旧オーステナイトの粒界占積率は、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上である。残留オーステナイトによる旧オーステナイトの粒界占積率は、大きいほど低温靭性が向上し、100%以下であってよい。
旧オーステナイトの円相当直径及びアスペクト比は、鋼板の表面から板厚の1/4の位置において、光学顕微鏡によって測定される。鋼板の圧延幅方向に垂直な面が観察面とされ、アルミナ研磨後にナイタールによる腐食が施される。試料の観察面において、1mm角の視野が光学顕微鏡によって100倍に拡大され、旧オーステナイトの結晶粒の個数と面積が測定される。このとき、フェライトと判別された領域は除外される。旧オーステナイトの円相当直径は、結晶粒の個数及び面積から算出される。次に、旧オーステナイトのアスペクト比は、各結晶粒の長径及び短径を測定し、長径を短径で除した比率として求める。ここで、長径とは旧オーステナイトの圧延方向長さであり、短径とは旧オーステナイトの板厚方向長さである。圧延方向が不明な場合は、旧オーステナイトの結晶粒が延伸している方向の長さが長径であり、長径と直交する方向の長さが短径である。残留γ占積率は、鋼板の表面から板厚の1/4の位置において、SEMとEBSDとを併用して測定される。EBSDによる残留オーステナイトの位置の特定に使用された試料にナイタールによる腐食が施され、SEMによる観察及び写真撮影が行われる。SEMによって特定された旧オーステナイトの粒界の位置と、EBSDによって特定された残留オーステナイトの位置とを照合し、総長5mm以上の旧オーステナイトの粒界長さに対し残留オーステナイトが占める割合として残留γ占積率が測定される。
次に、本実施形態に係る鋼板の製造方法の例を説明する。以下の説明は、本発明の鋼板を製造するための方法の例示を意図するものであって、本発明の鋼板を以下に説明するような製造方法によって製造されるものに限定することを意図するものではない。
本実施形態に係る鋼板は、鋼を溶製し、鋳造して鋼片を製造し、得られた鋼片に熱間圧延を施して製造される。鋼片の製造方法は限定されず、公知の方法で製造すればよい。例えば、鋼片は、転炉、電気炉等の通常の精錬プロセスで溶製した後、連続鋳造法、造塊-分塊法等の方法で製造される。例えば、鋼片は、100~300mmの厚さであればよい。鋼片は、熱間圧延を施された後、そのまま水冷等の制御冷却を施される。さらに、機械特性を調整するために、熱処理が施される場合がある。
以下、本実施形態に係る鋼板の好ましい製造条件について説明する。
[加熱]
上述した化学成分から構成され、連続鋳造法によって製造された厚み200mm以上の鋼片は、一旦、400℃以下に冷却されるとよい。その後、鋼片は、好ましくは、Ac3変態点以上、1250℃以下に加熱される。鋼片の金属組織をオースナイト単相の組織とするために、加熱温度は、Ac3変態点以上であるとよい。加熱前の鋼片に存在する炭化物を鋼中に固溶させるという観点から、加熱温度は、より好ましくは1000℃以上であり、さらに好ましくは1050℃以上である。一方、鋼片の表面の酸化やオーステナイトの粗大化の抑制という観点から、加熱温度は1250℃以下であるとよい。加熱温度は、好ましくは1200℃以下であり、より好ましくは1100℃以下である。なお、Ac3変態点は、昇温によってオーステナイトへの変態が完了する温度であり、加熱時の体積変化から求めることができる。
[粗圧延]
熱間圧延工程は、粗圧延と、これに続く仕上圧延とからなる。粗圧延は、オーステナイトの再結晶温度以上の温度域で行われ、粗圧延の開始温度及び圧下率によって本実施形態に係る鋼板の旧オーステナイトの結晶粒径が制御される。旧オーステナイトの結晶粒径を微細にするために、粗圧延の開始温度は、低い方が好ましい。粗圧延の開始温度は、鋼片の加熱温度を超えることはなく、好ましくは1100℃以下である。粗圧延の開始温度は、例えば900℃以上であってよい。また、旧オーステナイトの結晶粒径を微細にするために、粗圧延の圧下率は20%以上とする。粗圧延の圧下率は、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上である。また、粗圧延の圧下率は、仕上圧延の圧下率を確保するという観点から、好ましくは90%以下であり、より好ましくは80%以下、さらに好ましくは70%以下である。
[仕上圧延]
粗圧延に続いて仕上圧延が施される。仕上圧延の開始温度は、粗圧延の終了温度を超えることはなく、α’マルテンサイトの結晶粒径の微細化及び、残留オーステナイトの確保という観点から、低い方が好ましい。仕上圧延の開始温度は、好ましくは1000℃以下である。仕上圧延の開始温度は、未再結晶温度域における圧延が施されるという観点から、より好ましくは900℃以下である。仕上圧延の開始温度は、例えば700℃以上であってよい。一方、仕上圧延の終了温度は、鋼板の機械特性の異方性の抑制という観点から、Ar3変態点以上である。仕上圧延の終了温度は、好ましくは700℃以上である。ただし、仕上圧延の終了温度は、α’マルテンサイトの結晶粒径の微細化及びεマルテンサイトの生成の抑制、残留オーステナイトの確保という観点から、低い方が望ましい。仕上圧延の終了温度が900℃以上である場合は、旧オーステナイトのアスペクト比は1に近くなり、仕上圧延の終了温度が低下すると、アスペクト比が大きくなるため、900℃未満であると好ましい。Ar3変態点は、降温によってオーステナイトからフェライトへの変態が開始する温度であり、加熱後の降温時の体積変化から求めることができる。
仕上圧延の圧下率は、α’マルテンサイトの結晶粒径の微細化及びεマルテンサイトの生成の抑制、残留オーステナイトの確保という観点から、30%以上であることが好ましい。仕上圧延の圧下率は、より好ましくは40%以上である。また、仕上圧延の圧下率は、鋼片の厚さや製品の板厚による制限や、粗圧延の圧下率の確保という観点から、好ましくは90%以下であり、より好ましくは80%以下、さらに好ましくは70%以下である。一方、未再結晶温度域における圧下率が大きくなると、旧オーステナイトのアスペクト比が大きくなる。大まかな目安として、仕上圧延の開始温度が900℃以下であり、圧下率が50%程度であるとき、旧オーステナイトのアスペクト比は4程度である。仕上圧延の圧下率は、仕上圧延前の中間体の厚さ及び仕上圧延終了後の鋼板の板厚から求められる。仕上圧延前の中間体の厚さは、移送厚と同義である。
仕上圧延の圧下率=[(移送厚-鋼板の板厚)/移送厚]×100
[直接焼入れ]
熱間圧延の終了後、速やかに水冷による直接焼入れが施される。直接焼入れによって、オーステナイトからα’マルテンサイトへの変態を促進させることができる。直接焼入れの開始温度は、フェライトの生成の抑制という観点から、Ar3変態点以上である。直接焼入れの開始温度は、好ましくは600℃以上、より好ましくは650℃以上である。一方、直接焼入れの開始温度は、例えば、1000℃以下、又は950℃以下である。また、直接焼入れの終了温度は、α’マルテンサイトへの変態が開始するMs点以下であることが望ましい。直接焼入れの終了温度は、本実施形態では、350℃以下である。直接焼入れの終了温度は、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは100℃以下である。直接焼入れの終了温度は室温であってもよい。また、冷却速度は、鋼板の板厚を考慮し、冷却水の水量密度によって制御され、100℃/秒以下であってもよい。直接焼入れの冷却速度は、ベイナイトやフェライトの生成の抑制という観点から、3℃/秒以上である。直接焼入れの冷却速度は、より好ましくは5℃/秒以上であり、さらに好ましくは10℃/秒以上である。なお、Ms点は、加熱後の急冷によってオーステナイトからマルテンサイトへの変態が開始する温度であり、体積変化から求めることができる。
[中間熱処理]
鋼板の機械特性を改善するために、直接焼入れ後に熱処理を施し、残留オーステナイトの体積率や安定性、機械特性を調整することができる。具体的には、Ac1変態点以上、Ac3変態点未満の二相域温度で実施する中間熱処理と、焼戻し処理である。中間熱処理後の冷却は、ベイナイトやフェライトの生成を抑制するため、水冷が好ましく、冷却速度は3℃/秒以上、100℃/秒以下であってよい。中間熱処理の冷却速度は、より好ましくは5℃/秒以上であり、さらに好ましくは10℃/秒以上である。また、中間熱処理の冷却停止温度は、α’マルテンサイトへの変態が開始するMs点以下であることが望ましい。中間熱処理の冷却停止温度は、本実施形態では、好ましくは350℃以下である。中間熱処理の冷却停止温度は、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは100℃以下である。中間熱処理の冷却停止温度は室温であってもよい。なお、Ac1変態点は、昇温によってオーステナイトへの変態が開始する温度であり、加熱時の体積変化から求めることができる。
[焼戻し処理]
直接焼入れ又は中間熱処理の後に、焼戻し処理を施すことができる。焼戻し処理によって、鋼板の機械特性が調整される。焼戻し処理の温度は、効果を得るために、好ましくは100℃以上である。焼戻し処理の温度は、より好ましくは400℃以上である。一方、焼戻し処理の加熱によって相変態が生じると特性の変化が大きくなるため、焼戻し処理の温度は、好ましくはAc1未満である。焼戻し処理の温度は、より好ましくは550℃以下である。
次に、本実施形態に係る鋼板が有する機械特性について説明する。
[降伏強度(YS)]
本実施形態に係る鋼板は、構造物等に要求される強度を確保するために、降伏強度が700N/mm2以上であると好ましい。降伏強度は、より好ましくは750N/mm2以上、さらに好ましくは800N/mm2以上である。降伏強度の上限は特に限定されないが、優れた低温靭性を得るために、降伏強度は1100N/mm2以下であることが好ましい。
[引張強度(TS)]
本実施形態に係る鋼板は、構造物等に要求される強度を確保するために、引張強度が800N/mm2以上であると好ましい。引張強度は、より好ましくは900N/mm2以上、さらに好ましくは1000N/mm2以上である。引張強度の上限は特に限定されないが、優れた低温靭性を得るために、引張強度は1500N/mm2以下であることが好ましい。
[伸び(EL)]
本実施形態に係る鋼板は、加工性の観点から、十分な延性を確保するために、伸びが35%以上であると好ましい。伸びは、より好ましくは38%以上、さらに好ましくは40%以上である。伸びの上限は特に限定されないが、例えば、伸びは60%以下であってよい。
[吸収エネルギー(KV2)]
本実施形態に係る鋼板は、液体燃料のタンク等の低温用途に要求される低温靭性を確保するために、-196℃におけるシャルピー吸収エネルギーが100J以上であると好ましい。-196℃におけるシャルピー吸収エネルギーは、より好ましくは150J以上、さらに好ましくは200J以上である。-196℃におけるシャルピー吸収エネルギーの上限は特に限定されないが、例えば、500J以下であってよい。
以下に本発明の実施例を示すが、以下に示す実施例は本発明の一例であり、本発明は以下に説明する実施例に制限されるものではない。
転炉による鋼の溶製、連続鋳造によって製造された鋼片は、室温まで冷却され、再加熱されて、熱間圧延が施された。表1に示される化学成分は、鋼板から採取された試料を用いて化学分析を行い、求められたものである。また、表1に示されるAr3変態点、Ac1変態点、Ac3変態点、Ms点は鋼板から採取された試料を用いて、加熱及び冷却による体積変化から求められた。Ac1変態点及びAc3変態点は、加熱速度を10℃/sとし、1100℃まで加熱する条件で測定された。1100℃で600s保持した後、Ar3変態点の測定は、冷却速度を5℃/sとして行われた。Ms点の測定は、1100℃で600s保持した後、冷却速度を50℃/sとして行われた。表2には製造条件が示されている。表2及び表3において、「直接焼入」と記載される場合は、熱間圧延後にそのまま加速冷却を施したことを意味し、「再加熱焼入」と記載される場合は、熱間圧延後に一旦空冷して室温まで冷却した後に再加熱及び焼入れを施したことを意味する。
金属組織の体積率及び円相当直径の測定には、鋼板の圧延幅方向に垂直断面を観察面、板厚方向で表面から板厚の1/4の位置を観察部位の中心とする試料が使用された。観察面には電解研磨が施され、EBSDによって、フェライト、残留オーステナイト及びεマルテンサイトの体積率が、各相の面積率から求められた。残留オーステナイトの円相当直径は、EBSDによって求められた残留オーステナイトの面積及び個数から算出された。α’マルテンサイト及びベイナイトは、フェライト、残留オーステナイト及びεマルテンサイトの残部である。α’マルテンサイトとベイナイトとの判別にはSEMが用いられ、各相の面積率から、α’マルテンサイト及びベイナイトの体積率が求められた。さらに、α’マルテンサイトの円相当直径は、15°方位差のある境界を粒界として測定された結晶粒の個数及び面積から求めた。旧オーステナイトの円相当直径及びアスペクト比は、鋼板の表面から板厚の1/4の位置において、鋼板の圧延の幅方向に垂直な面を観察面とし、観察面にアルミナ研磨及びナイタールによる腐食が施された試料を用いて測定された。旧オーステナイトの円相当直径及びアスベクト比は、上述のようにして光学顕微鏡の観察によって測定された。残留γによる旧γ粒界の占積率は、鋼板の表面から板厚の1/4の位置において、SEMとEBSDとを併用し、上述のようにして測定された。
[引張試験]
鋼板の引張特性を評価する引張試験は、JIS Z 2241:2011に準拠し、鋼板の板幅方向を長手方向とし、鋼板の表面から板厚方向に板厚の1/2の部位から採取された、2本の4号試験片を用いて行われた。降伏強度(YS)、引張強度(TS)及び伸び(EL)は、それぞれ、2本の試験片の平均値(相加平均)である。
[シャルピー衝撃試験]
シャルピー衝撃試験は、JIS Z 2242:2018に準拠し、3本のVノッチ試験片を用いて行われ、吸収エネルギーが測定された。試験片は、鋼板の表面から板厚方向に板厚の1/2の位置において、圧延方向を長手方向とし、板幅方向に亀裂が伝播するようにVノッチを入れた。試験温度は-196℃である。吸収エネルギー(KV2)は、このようにして測定された3本の試験片の吸収エネルギーの平均値(相加平均)である。
Figure 0007273296000001
Figure 0007273296000002
Figure 0007273296000003
発明例の鋼は、引張強度が800N/mm2以上であり、-196℃におけるシャルピー吸収エネルギーは100J以上である。
本発明は化学組成と金属組織とを適切に制御することによって、強度と靭性に優れた鋼板を提供するものである。鋼板としては、3mm程度から200mm程度までの多様な板厚で幅5m程度、長さ50m程度に製造することが可能であり、極めて大型の構造部材として用いることができる。本発明の高強度かつ高靭性の低温用厚鋼板は、陸上のLNG貯蔵タンク、船舶用のLNG貯蔵タンク、液体水素やエタン、ブタン、LPGなどの極低温燃料等の貯蔵タンクに利用できる。また、同様な特性を持つ鋼管、形鋼を製造することもできる。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.03%以上、0.12%以下、
    Mn:6.0%以上、13.0%以下、
    Ni:1.00%超、5.00%以下、
    Si:0%以上、1.50%以下、
    Al:0%以上、0.30%以下、
    Cu:0%以上、2.00%以下、
    Co:0%以上、2.00%以下、
    Cr:0%以上、2.00%以下、
    Mo:0%以上、2.00%以下、
    W:0%以上、2.00%以下、
    B:0%以上、0.0100%以下、
    Nb:0%以上、0.100%以下、
    V:0%以上、0.100%以下、
    Ti:0%以上、0.100%以下、
    Zr:0%以上、0.100%以下、
    Hf:0%以上、0.100%以下、
    Ta:0%以上、0.100%以下、
    Mg:0%以上、0.0100%以下、
    Ca:0%以上、0.0100%以下、及び
    REM:0%以上、0.0100%以下
    を含有し、
    P:0.010%以下、
    S:0.0050%以下、
    N:0.0100%以下、及び
    O:0.0050%以下
    であり、残部がFe及び不純物からなり、
    金属組織が、体積%で、80%以上のα’マルテンサイト、10%以上、20%以下の残留オーステナイトを含み、残部組織が、存在する場合は、体積%で、5%以下のベイナイト、5%以下のフェライト、10%以下のεマルテンサイトからなり、
    前記α’マルテンサイトの円相当直径は0.1μm以上、5.0μm以下であり、
    前記残留オーステナイトの円相当直径は0.01μm以上、2.50μm以下であり、
    旧オーステナイトの円相当直径は200μm以下であり、かつ、旧オーステナイトのアスペクト比は1以上、50以下であり、
    前記残留オーステナイトによる前記旧オーステナイトの粒界占積率は40%以上、100%以下である、鋼板。
  2. 前記旧オーステナイトのアスペクト比が4以上、50以下である、請求項1に記載の鋼板。
  3. 質量%で、
    Cu:0.10%以上、2.00%以下、
    Co:0.10%以上、2.00%以下、
    Cr:0.10%以上、2.00%以下、
    Mo:0.10%以上、2.00%以下、
    W:0.10%以上、2.00%以下、
    B:0.0002%以上、0.0100%以下、
    Nb:0.005%以上、0.100%以下、
    V:0.005%以上、0.100%以下、
    Ti:0.005%以上、0.100%以下、
    Zr:0.005%以上、0.100%以下、
    Hf:0.005%以上、0.100%以下、及び
    Ta:0.005%以上、0.100%以下
    のうち1種又は2種以上を含有する、請求項1又は請求項2に記載の鋼板。
  4. 質量%で、
    Mg:0.0001%以上、0.0100%以下、
    Ca:0.0001%以上、0.0100%以下、及び
    REM:0.0001%以上、0.0100%以下
    のうち1種又は2種以上を含有する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の鋼板。
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