JP2012152987A - 印刷物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材1と、上記基材上に形成され、樹脂インキ2を含むインキ層とを有する印刷物であって、上記印刷物の上記インキ層側の表面に、可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の凸部を備える微細凹凸3を有することを特徴とする印刷物。
【選択図】図1
Description
また、樹脂材料に微粒子や添加剤を添加し、これを硬化させたマット層を形成する場合には、樹脂材料中の微粒子や添加剤の凝集状態や分散状態は不安定であり、特に樹脂材料に硬化処理を施すに際して、これらの状態を制御することが困難であることから、微粒子や添加剤の凝集状態や分散状態が良好なマット層を安定的に得ることが困難であるといった問題があった。
また、表面張力の異なる2種類の樹脂材料を用いてマット層を形成する場合も、各々の樹脂材料の表面張力を制御することが困難であることから、良好なマット層を安定的に得ることが困難であった。
よって、上述したいずれの方法を用いた場合も、印刷物に付与された所望の光沢感や色彩を損なうことなく、かつ印刷物に所望の反射防止機能を低コストで安定的に付与することは困難であった。
また、上記微細凹凸を有することにより、本発明の印刷物は、従来のマット加工が施された印刷物に比べて、防汚性に優れ、また汚れが付着した際のふき取り性にも優れていることから、印刷物の微細凹凸表面に高い洗浄性を付与することができる。よって、上記微細凹凸を安定的に保持することができ、長期間にわたる視認性に優れた印刷物とすることができる。
まず、本発明の印刷物について説明する。
本発明の印刷物は、基材と、上記基材上に形成され、樹脂インキを含むインキ層とを有する印刷物であって、上記印刷物の上記インキ層側の最表面に、可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の凸部を備える微細凹凸を有することを特徴とするものである。
また、上記微細凹凸を有することにより、本発明の印刷物は、従来のマット加工が施された印刷物に比べて、防汚性に優れ、また汚れが付着した際のふき取り性にも優れていることから、上記印刷物の上記微細凹凸表面に高い洗浄性を付与することができる。よって、上記微細凹凸を安定的に保持することができ、長期間にわたる視認性に優れた印刷物とすることができる。
すなわち、上記微細凹凸は、可視光領域の波長以下の周期に制御されたものであることから、いわゆるモスアイ(moth eye(蛾の目))構造の原理を利用することが可能なものである。よって、上記印刷物の上記インキ層側の最表面に入射した光に対する屈折率を連続的に変化させ、屈折率の不連続界面を消失させることが可能となる。その結果、上記印刷物の最表面における外光の反射を防止することが可能になると考えられる。
以下、それぞれについて説明する。
まず、本発明の印刷物の第1態様について説明する。
本態様の印刷物は、微細凹凸が、透明樹脂を含み、かつ上記インキ層上に形成された透明樹脂層の表面に形成されているものである。具体的には、基材と、基材上に形成されたインキ層と、インキ層上に形成され、透明樹脂を含む透明樹脂層とを有し、透明樹脂層の表面に上述した微細凹凸が形成されているものである。
また、本態様においては、通常、透明樹脂層は印刷物のインキ層側の最表面に位置するものである。
まず、本態様における微細凹凸について説明する。
本態様における微細凹凸は、後述する透明樹脂層の表面に形成されるものであり、可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の凸部を備えるものである。
凸部の先端が曲面構造を有する場合は、凸部の先端が尖っている場合に比べて、凸部の先端部分の機械的強度が高く、割れを生じにくいからである。また、凸部の先端が曲面構造を有する場合は、凸部の先端が尖っている場合に比べて、後述する「B.印刷物の製造方法」の項で説明するように、金型等を用いて透明樹脂層の表面に微細凹凸を形成する際の、金型等からの型抜き性が良くなるため、高精細な微細凹凸を有する透明樹脂層を形成することが可能となる。
一方、凸部の先端が平坦である場合は、凸部の先端が尖っている場合に比べて、上述した凸部の先端部分の機械的強度や、金型等からの型抜き性は良好となると考えられるが、反射防止機能が低下してしまうことが懸念される。凸部の先端が曲面構造を有する場合は、反射防止機能の低下を抑制することが可能であるため、より好適に用いることができる。
なお、図3は、本態様の印刷物の製造方法の一例を示す概略断面図であり、説明していない符号については、図1と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
凸部の縦断面が基材に対してテーパー状に立ち上がる形状であることにより、良好な反射防止機能を示すことが可能となり、また凸部の機械的強度を向上させることができる。また、本態様の印刷物を金型等を用いて製造する際の金型等からの型抜き性についても良好なものとすることができる。
さらに、スティッキングを抑制することが可能となることから、微細凹凸を備える透明樹脂層表面を、例えば水やアルコール等の液体を用いて洗浄し、上記液体をふき取る際にスティッキングが発生して白濁し、反射防止機能が低下することを抑制することが可能となる。
以下、上記構成を有する凸部について説明する。
本態様に用いられる本体部は、基材に対してテーパー状に立ち上がる錐台形状であるものである。本態様においては、錐台形状の本体部を有しているため、良好な反射防止機能を有するとともに、本態様の印刷物を製造する際に用いる金型等から抜けやすくなる。金型等から抜けにくい場合、本体部を形成するための透明樹脂層の材料が金型等の微細孔の中に残留するようになる。残留部分に相当する部分が転写された透明樹脂層の表面は、反射防止機能を発現するための凹凸形状がない状態となり、反射防止機能を阻害する原因となる。また、本体部がテーパー状に立ち上がる錐台形状を有することで機械的強度も向上し、テーパーが小さい場合に比べ、スティッキングが発生しにくい。
本態様における上記テーパー角度とは、本体部の縦断面での側面が直線状の場合、上記側面を近似する直線と、基材表面に平行な直線とで形成される角度をいい、例えば、図4におけるθ1で表される角度である。
一方、本体部の縦断面での側面が曲線状の場合、本体部の頂面の外周上の点および本体部の底面の外周上の点を最短距離となるように選択して結んだ直線と、基材表面に平行な直線とで形成される角度をいい、例えば、図5におけるθ2で表される角度である。
なお、本体部の頂面は、微細凹凸における凸部の側面の曲率が大きく変化する部位の横断面からなる面とし、本体部の底面は、本体部と基底部とが接する面とする。
また、本態様における上記テーパー角度は、本体部の縦断面を電子顕微鏡により観察して10個分のテーパー角度を測定し、その測定値の平均値とする。
なお、図5は、本態様における透明樹脂層の他の例を示す概略断面図であり、図5における各符号については、図4と同様であるので、ここでの記載は省略する。
本態様における上記本体部の高さとは、基底部表面から、本体部の頂面までの距離をいい、例えば、図4および図5においてHで表される距離である。なお、本態様における上記本体部の高さは、上述した方法で決定した平均値とする。
N=1×(1−Vm)+Nm×Vm (1)
すなわち、擬似層aの屈折率は、空気と樹脂との、それぞれの体積と屈折率とを考慮した加重平均として与えられる。擬似層b以降も、同様である。擬似層a〜擬似層kへと基材Yに近づくにつれ、擬似層の屈折率は大きくなるが、図6(b)に例示するように、錐形状の屈折率の変化量が曲線的に変化するのに対して、釣鐘形状の屈折率の変化量はほぼ直線的に変化する。これは、モスアイ構造体Xが占める体積の割合は、擬似層aから擬似層kまでの断面積の変化ととらえることができ、この断面積の変化は錐形状の場合、曲線的に変化し、釣鐘形状の場合、ほぼ直線的に変化するからである。そのため、釣鐘形状のモスアイ構造体Xは、錐形状のモスアイ構造体Xに比べて、基材Y近傍の屈折率の変化率が小さいという特徴がある。基材Y近傍の屈折率の変化率が小さい方が、空気と樹脂との屈折率を小さくすることが擬似的に起こり、反射率を小さくすることが可能となる。また、本体部のテーパーが小さい場合、図6(b)に例示するように、擬似層kでの屈折率の変化量は小さいが、擬似層aからc部分での屈折率の変化量が大きくなるため、全体に白っぽくなる傾向がある。したがって、錐形状のモスアイ構造体Xおよびテーパーが小さい形状のモスアイ構造体Xよりも釣鐘形状のモスアイ構造体Xの方が、反射防止機能が優れている。
本態様においては、上記本体部のテーパー角度および上記先端部の曲率半径を適宜調整し、上記微細凹凸における凸部の釣鐘形状を規定することにより、上記擬似層の屈折率分布を最適化することができ、上記微細凹凸を光学的特性に優れたモスアイ構造とすることができる。
本態様に用いられる先端部は、上記本体部の頂面を覆うように形成された曲面構造を有するものである。本態様においては、上記先端部が曲面構造を有することにより、透明樹脂層における微細凹凸の凸部の最先端部が割れる等の不具合がなく、さらに、型抜き性に優れた微細凹凸とすることができる。なお、上記先端部の曲面構造は、透明樹脂層に微細凹凸を形成する際の圧力、透明樹脂層に用いられる透明樹脂層用組成物の粘度等で制御することが可能である。
なお、図7(a)〜(c)は、本態様における微細凹凸の先端部の一例を示す概略断面図である。
本態様に用いられる凸部は、上記先端部と上記本体部とから構成されるものであり、上記微細凹凸を有する透明樹脂層の反射防止機能は、上記凸部が形成された周期、高さ、間隔に依存する。
なお、上記凸部が形成された周期、高さ、および間隔は、それぞれ図8におけるP1、Q1、およびR1で示す通り、それぞれ隣接する凸部における先端部の頂部から先端部の頂部までの距離、凸部における先端部の頂部から本体部の底面までの距離、および隣接する凸部における本体部の底面の外周間の最短距離である。ここで、図8は本態様の印刷物における微細凹凸を特定するパラメータを説明する概略図であり、図8において説明していない符号については、図4と同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
なお、透明樹脂層の耐水性については、後述するため、ここでの説明は省略する。
また、上記凸部の360nm〜760nmの波長領域におけるヘイズ値は、0.1%〜50%の範囲内であることが好ましい。
本態様における透明樹脂層は、上記微細凹凸を有するものである。また、透明樹脂層は透明樹脂を含むものである。
本態様における透明樹脂層は、表面に上記微細凹凸を有するものであれば特に限定されるものではないが、通常は、図1に示すように、微細凹凸αを支持するための基底部βを有する。
微細凹凸および基底部が一体であることにより、後述する「B.印刷物の製造方法」の項で説明するように、簡便な方法で透明樹脂層の表面に微細凹凸を形成することが可能となるからである。
ここで、上記光の透過率は、例えば、株式会社日立ハイテクノロジーズ製分光光度計、U−4100により測定することができる。
ここで、本態様における「透明樹脂層の耐水性」とは、透明樹脂層に対する水の浸透速度として表すことができる。また上記浸透速度は、透明樹脂層表面における水との接触面積に比例するものである。
本態様においては、透明樹脂層が上記微細凹凸を有することから、透明樹脂層の微細凹凸面と水との接触面積を小さくすることができるため、微細凹凸に水が浸透していくことを抑制することが可能となる。また、本態様においては、上記微細凹凸の構造を調整することで、微細凹凸を有さない透明樹脂層に比べて、水の浸透速度を1/10以下程度に抑えることが可能となる。
透明樹脂層の親水性としては、透明樹脂層の防汚性やふき取り性を向上させることが可能であれば特に限定されないが、水に対する接触角が50°以下であることが好ましく、さらには30°以下であることが好ましい。
なお、透明樹脂層の水に対する接触角についてはJIS K2396 に則り評価した値である。
次に透明樹脂層の材料について説明する。
本態様における透明樹脂層は、透明樹脂を含むものである。
これら少なくとも3つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物のうち、塗膜強度、密着性の観点より、少なくとも6つの官能基を有するポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、ポリエポキシポリ(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレート類、分子内に4個以上のアクリロイル基を有する多官能のアクリレート類を好適に使用することができる。
ポリエポキシポリ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂のエポキシ基を(メタ)アクリル酸でエステル化し、官能基を(メタ)アクリロイル基としたものであり、ビスフェノールA型エポキシ樹脂への(メタ)アクリル酸付加物、ノボラック型エポキシ樹脂への(メタ)アクリル酸付加物等がある。
ポリウレタンポリ(メタ)アクリレートは、例えば、ジイソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリレート類と反応させて得られるもの、ポリオールとポリイソシアネートとをイソシアネート基過剰の条件下に反応させてなるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを、水酸基を有する(メタ)アクリレート類と反応させて得られるものがある。あるいは、ポリオールとポリイソシアネートとを水酸基過剰の条件下に反応させてなる水酸基含有ウレタンプレポリマーを、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート類と反応させて得ることもできる。
ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサントリオール、トリメリロールプロパン、ポリテトラメチレングリコール、アジピン酸とエチレングリコールとの縮重合物等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
水酸基をもつ(メタ)アクリレート類としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリテート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。
イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート類としては、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート等が挙げられる。
分子内に4個以上のアクリロイル基を有する多官能としては、具体的には、上述した多価アルコールとアクリル酸のエステル化合物が挙げられ、単独または2種以上の混合物が好ましい。
さらに、WO2007/040159に記載されている(メタ)アクリル系重合性組成物を用いることができる。
帯電防止剤(導電剤)を添加することにより、透明樹脂層の表面における塵埃付着を有効に防止することができる。帯電防止剤(導電剤)の具体例としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性化合物、スズおよびチタンのアルコキシドのような有機金属化合物およびそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられ、さらに上記に列記した化合物を高分子量化した化合物が挙げられる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、または金属キレート部を有し、かつ、電離放射線により重合可能なモノマーまたはオリゴマー、あるいは官能基を有するカップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物もまた帯電防止剤として使用できる。
屈折率調製剤を添加することにより、透明樹脂層の光学特性を調整することが可能となる。屈折率調製剤には、低屈折率剤、中屈折率剤、高屈折率剤等が挙げられる。
低屈折率剤を添加した透明樹脂層の屈折率は、1.5未満であり、好ましくは1.45以下で構成されてなるものが好ましい。低屈折率剤の好ましいものとしては、シリカ、フッ化マグネシウムなどの低屈折率無機超微粒子(多孔質、中空など全ての種類の微粒子)、および低屈折率樹脂であるフッ素系樹脂が挙げられる。フッ素系樹脂としては、少なくとも分子中にフッ素原子を含む重合性化合物またはその重合体を用いることができる。重合性化合物は、特に限定されないが、例えば、電離放射線で硬化する官能基、熱硬化する極性基等の硬化反応性の基を有するものが好ましい。また、これらの反応性の基を同時に併せ持つ化合物でもよい。この重合性化合物に対し、重合体とは、上記のような反応性基などを一切もたないものである。
高屈折率剤、中屈折率剤は、反射防止機能をさらに向上させるために用いられる。高屈折率剤、中屈折率剤の屈折率は1.55〜2.00の範囲内で設定されてよく、中屈折率剤は、その屈折率が1.55〜1.80の範囲内のものを意味し、高屈折率剤は、その屈折率が1.65〜2.00の範囲内のものを意味する。
レベリング剤は、透明樹脂層に、滑り性、防汚性および耐擦傷性の効果を付与することを可能とする。従って、レベリング剤は防汚染剤、撥水剤、撥油剤、指紋付着防止剤として機能するものである。レベリング剤の好ましいものとしては、フッ素系またはシリコーン系等が挙げられる。
防汚染剤は、透明樹脂層の最表面の汚れ防止を主目的とし、さらに透明樹脂層に耐擦傷性を付与することが可能となる。防汚染剤の具体例としては、撥水性、撥油性、指紋拭き取り性を発現するような添加剤が有効である。具体例としては、フッ素系化合物、ケイ素系化合物、またはこれらの混合化合物が挙げられる。より具体的には、2−パーフロロオクチルエチルトリアミノシラン等のフロロアルキル基を有するシランカップリング剤等が挙げられ、特に、アミノ基を有するものが好ましくは使用することができる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物等が挙げられる。また、赤外線吸収剤としては、ジインモニウム系化合物、フタロシアニン系化合物等が挙げられる。
高硬度化剤、硬度調製剤、および流動性調整剤は、通常、透明樹脂層で用いられるものであればいずれのものであってもよい。
親水性剤は、透明樹脂層の防汚性やふき取り性を向上させることが可能である。
親水性剤としては、具体的には末端に水酸基やカルボキシル基やアミン基を有する化合物を結合させたフッ素あるいはシリコーン化合物、あるいは界面活性剤等を挙げることができる。
また、界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤(エステル型、エーテル型、エステルエーテル型等)を挙げることができる。
本態様における透明樹脂層は、表面に上述した微細凹凸を有し、かつ印刷物のインキ層上に形成することが可能であれば特に限定されるものではなく、他にも必要な構成を適宜選択して追加することができる。以下、このような構成について説明する。
本態様においては、図9(a)、(b)に示すように、透明樹脂層3の微細凹凸α側とは反対側に光透過性基板4を有していてもよい。光透過性基板4を有することにより、透明樹脂層3を光透過性基板4上に形成した後、粘着層5を介して、インキ層2上に貼付して、本態様の印刷物10とすることができる。よって、インキ層2上に直接、透明樹脂層3を形成することが困難な場合に有効である。なお、粘着層5については後述する。
また、図9(b)に示すように、透明樹脂層3が後述する機能層6を有する場合は、光透過性基板4は機能層6よりもインキ層2側に配置される。
ここで、上記光の透過率は、例えば、株式会社日立ハイテクノロジーズ製分光光度計、U−4100により測定することができる。
本態様における透明樹脂層の屈折率と光透過性基板の屈折率の差としては、具体的には、0〜0.5の範囲内であることが好ましく、0〜0.2の範囲内であることがより好ましく、0〜0.1の範囲内であることがさらに好ましい。
なお、本態様に用いられる光透過性基板の屈折率の値は、上述した樹脂の屈折率との関係において決定されるものであるから、特に好ましい値はないが、通常、1.20〜2.40の範囲内とされる。
また、必要に応じて上述した透明樹脂層の材料の項で説明した機能性材料を含有していてもよい。
また、上記光透過性基板に、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂など、有機溶剤に可溶な樹脂が用いられている場合、透明樹脂層に用いられる樹脂を有機溶剤に希釈し、光透過性基板に積層する方法が一般的であるが、このとき、光透過性基板には使用される有機溶剤が浸透し、それに伴い、使用される透明樹脂層の樹脂の一部も浸透する浸透層が形成されることで、密着性の向上および透明樹脂層の機械強度の向上がなされてもよい。
本態様においては、図9(a)、(b)に示すように、透明樹脂層3が光透過性基板4を有する場合は、通常、光透過性基板4とインキ層2との間に粘着層5が形成される。
本態様に用いられる粘着層は、本態様の印刷物の用途に応じて所望の粘着剤からなるものであれば、特に限定されるものではない。上記粘着層に用いられる粘着剤としては、例えば、アクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマー、いわゆるゲルポリマー等を挙げることができる。
本態様においては、図9(b)、図10に示すように、透明樹脂層3の微細凹凸α側とは反対側に機能層6を有していてもよい。
また、ハードコート層またはプライマー層は、上記帯電防止層を兼ねることが可能である。
本態様におけるインキ層は、基材上に形成され、樹脂インキを含むものである。
また、本態様においては通常、複数色のインキ層が基材上に形成され、絵柄、写真、文字、数字、標章等の印刷画像を構成するために用いられる。
次に基材について説明する。
本態様に用いられる基材としては、上記インキ層を形成することが可能な程度の自己支持性を有するものであれば特に限定されるものではない。
本態様の印刷物は、上述した透明樹脂層、インキ層、および基材を有するものであれば特に限定されるものではなく、他にも必要な構成を適宜選択して追加することが可能である。
本態様においては、基材の透明樹脂層側とは反対側の面に印刷物用粘着層を有していてもよい。印刷物用粘着層を有することにより、本態様の印刷物を壁、看板等に容易に貼付することが可能となるからである。また、印刷物と、壁や看板等との間を印刷物用粘着層を用いて埋めることができることから、貼付された印刷物表面に不要な段差を生じないものとすることができる。
印刷物用粘着層の形成方法としては、公知の方法を用いることができる。
本態様においては、上述した印刷物用粘着層を有する場合、印刷物用粘着層上に剥離層を有していてもよい。印刷物用粘着層上に剥離層を有することにより、本態様の印刷物の取り扱いが容易になる。また、印刷物から剥離層を剥離するのみで、本態様の印刷物を壁、看板等に容易に貼付することが可能なる。
本態様の印刷物は、広告、ポスター、雑誌、書籍、カタログ、化粧板等に用いることができる。
本態様の印刷物の製造方法については、特に限定されないが、例えば後述する「B.印刷物の製造方法」の項で説明する製造方法により製造することができる。
次に、本発明の印刷物の第2態様について説明する。
本態様の印刷物は、微細凹凸が、上記インキ層の表面に形成されているものである。具体的に、基材と、基材上に形成されたインキ層とを有し、上記インキ層の表面に上述した微細凹凸が形成されているものである。
また、本態様においては、通常、インキ層は印刷物のインキ層側の最表面に位置するものである。また、本態様においては、通常、複数色のインキ層が基材上に形成され、絵柄、写真、文字、数字、標章等の印刷画像を構成するために用いられる。
本態様におけるインキ層は、基材上に形成され、樹脂インキを含み、可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の凸部を備える微細凹凸を有するものである。また、本態様におけるインキ層は、上述した印刷画像を構成するものである。
本態様のインキ層は、通常、上記微細凹凸を支持するためのインキ層用基底部を有するものである。
本態様におけるインキ層は樹脂インキを含むものである。
また、樹脂インキは通常、樹脂と着色剤とを含むものである。
樹脂インキとしては、具体的には、上述した第1態様の印刷物の項で記載した透明樹脂層と同様の材料に顔料や染料などの着色剤を添加したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、着色剤については、一般的な印刷物に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本態様の印刷物の製造方法については、特に限定されず、例えば後述する「B.印刷物の製造方法」の項で説明する製造方法を用いて製造することができる。
次に、本発明の印刷物の製造方法について説明する。
本発明の印刷物の製造方法は、基材と、上記基材上に形成され、樹脂インキを含むインキ層とを有し、上記印刷物の上記インキ層側の最表面に、可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の凸部を備える微細凹凸を有することを特徴とする印刷物の製造方法であり、具体的には、上述した「A.印刷物」の項で説明した第1態様の印刷物を製造する製造方法(第1実施態様)と、第2態様の印刷物を製造する製造方法(第2実施態様)とを有する。
以下、各実施態様について説明する。
まず、本発明の印刷物の製造方法の第1実施態様について説明する。
本実施態様の印刷物の製造方法は、上述した「A.印刷物」の項で説明した第1態様の印刷物を製造する製造方法である。
具体的に、本実施態様の印刷物の製造方法は、基材と、上記基材上に形成され、樹脂インキを含むインキ層と、上記インキ層上に形成され、透明樹脂を含み、かつ表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の凸部を備える微細凹凸が形成されている透明樹脂層とを有する印刷物の製造方法であって、上記インキ層が形成された上記基材上に上記透明樹脂を含む透明樹脂層形成用層を形成する透明樹脂層形成用層形成工程と、金属基体、および上記金属基体の表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の微細孔を備える金型または上記金型の複製型を準備し、上記透明樹脂層形成用層表面と上記金型または上記複製型の上記微細孔側とを接触させて配置し、圧力を負荷することにより、上記透明樹脂層形成用層の上記金型側表面または上記複製型側表面に上記微細凹凸を形成する賦型工程と、上記賦型工程後に、上記透明樹脂層形成用層を固化する工程、および上記透明樹脂層形成用層から上記金型または上記複製型を剥離する工程を順不同に行い、上記透明樹脂層を形成する固化・剥離工程とを有することを特徴とする製造方法である。
本実施態様における透明樹脂層形成用層形成工程は、上記インキ層が形成された上記基材上に上記透明樹脂を含む透明樹脂層形成用層を形成する工程である。
また、本工程においては、通常、透明樹脂を含む透明樹脂層用組成物を調製し、これをインキ層が形成された基材上に所定の厚みで塗布することにより、透明樹脂層形成用層が形成される。
また、透明樹脂層用組成物は、上述した「A.印刷物」に記載した機能性材料を含有していてもよい。
また、溶融型の樹脂の場合には、例えば、190℃におけるメルトフローインデックス(MFI)が、1.0g/10min以上であることが好ましく、3.0g/10min以上であることがより好ましく、5.0g/10min以上であることがさらに好ましい。
本実施態様における賦型工程は、金属基体、および上記金属基体の表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の微細孔を備える金型または上記金型の複製型を準備し、上記透明樹脂層形成用層表面と上記金型または上記複製型の微細孔側とを接触させて配置し、圧力を負荷することにより、上記透明樹脂層形成用層の上記金型側表面または上記複製型側表面に上記微細凹凸を形成する工程である。
本工程に用いられる金型について説明する。
本工程に用いられる金型は、金属基体、および上記金属基体の表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の微細孔を備えるものである。
本工程に用いられる金型について図を用いて説明する。図13は、本工程に用いられる金型の一例を示す概略断面図である。図13に示すように、本工程に用いられる金型20は、通常、金属基体21と、上記金属基体21の表面に形成され、所定の周期で形成された複数の微細孔を備える金属酸化膜21’とを有するものである。
本実施態様に用いられる金属基体としては、その表面に金属酸化被膜を形成することができる金属、いわゆるバルブ金属からなるものであれば、特に限定されるものではない。このような金属基体としては、アルミニウム、マグネシウム、チタン、シリコン等からなるものを挙げることができ、中でも、アルミニウムからなるものを好適に用いることができる。アルミニウムは酸化されやすく、陽極酸化法を用いてアルミニウム酸化膜を形成しやすいからである。本実施態様に用いられる金属基体としては、アルミニウム単体からなるものであってもよく、任意の基材上にアルミニウムからなる層がスパッタ法、蒸着法、メッキ法で最表層となるように形成された構成を有するものであってもよい。金属基体に用いられる基材としては、ゴム、樹脂、金属等からなるものを挙げることができる。
上記金属酸化膜は、金属基体の表面に形成され、複数の微細孔を有するものである。上記金属酸化膜は、通常、金属基体を陽極酸化することによって形成される。上記金属酸化膜の厚みとしては、特に限定されるものではなく、製造される印刷物に形成される透明樹脂層に応じて適宜選択される。
よって、本工程に用いられる金型における微細孔については、上述した凸部を有する微細凹凸を形成することができるような形状であることが好ましい。
ここで、微細孔の開口部におけるテーパー形状の深さとは、微細孔の開口表面からテーパー形状の最深部までの距離をいい、図13におけるDで表される距離のことである。微細孔の形状によっては、上記テーパー形状の深さと、微細孔の孔深さとが同一になる場合がある。なお、本実施態様における上記テーパー形状の深さは、微細孔の縦断面を電子顕微鏡により観察して10個分のテーパー形状の深さを測定し、その測定値の平均値とする。
ここで、微細孔の開口部の縦断面におけるテーパー角度とは、微細孔の縦断面での側壁が直線状の場合、上記側壁を近似する直線と、開口表面に平行な直線とで形成される角度をいい、例えば、図13におけるθ3で表される角度のことである。一方、微細孔の縦断面での側壁が曲線状の場合、微細孔の開口表面の外周上の点および微細孔におけるテーパー形状の最深部の横断面からなる面の外周上の点を最短距離となるように選択して結んだ直線と、開口表面に平行な直線とで形成される角度をいい、図14におけるθ4で表される角度のことである。なお、本実施態様における上記テーパー角度は、上述した方法で決定した平均値とする。また、図14は、本実施態様における金型の他の例を示す概略断面図であり、図14における各符号は、図13と同様であるので、ここでの記載は省略する。
本工程に用いられる金型の転写率としては、透明樹脂層形成用層に用いられる樹脂の粘度および圧力に応じて適宜調整されるものであるが、50%以上であればよい。すなわち、本工程に用いられる金型は、転写率が100%でなくとも、透明樹脂層に十分な反射防止機能を付与することが可能となる微細凹凸パターンが得られる程度に、微細孔の形状を透明樹脂層形成用層に賦型することができるものである。したがって、金型の微細孔に入り込んだ樹脂層の先端部分には、微細孔の底面、あるいは側壁、または底面および側壁と接触しない部分が発生する。ここで、転写率とは、微細孔の深さに対する樹脂層の入り込む深さの比率をいう。樹脂層の入り込む深さは、成型品の凸部の高さと同じであるため、転写率とは、微細孔の深さに対する成型品の凸部の高さの比率となる。
金型の形成方法については、後述の「5.その他」の項で詳しく説明するため、ここでの説明は省略する。
本工程に用いられる複製型は、上述した金型を用いて複製されたものである。
まず、微細凹凸を賦型可能な層に上述した金型を用いて微細凹凸を転写することにより微細凹凸型を形成する。次に微細孔を賦型可能な層に上述した微細凹凸型を用いて微細孔を転写することにより複製型を形成することができる。
本工程における金型または複製型の配置方法については、上記透明樹脂層形成用層表面と上記金型または複製型の微細孔側とを接触させて配置することが可能であれば特に限定されず、透明樹脂層形成用層の厚みや、金型または複製型の形状等により適宜調整される。
本工程に用いられる圧力負荷方法としては、透明樹脂層形成用層の表面に所望の微細凹凸を形成することが可能な程度の圧力を負荷することが可能であれば特に限定されるものではない。
ベルトプレス方式では、金型20と透明樹脂層形成用層3’との接触時間を長くすることができるため、透明樹脂層形成用層3’に所望の微細凹凸を安定して形成することが可能となる。
なお、図16(a)、(b)において説明していない符号については、図12(b)と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
ロールタッチ方式では、ロール30からの圧力により、金型20が変形するため、金型20と透明樹脂層形成用層3’との接触時間を長くすることができるため、透明樹脂層形成用層3’に所望の微細凹凸を安定して形成することが可能となる。
なお、図17において説明していない符号については、図7と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
フィルム方式では、フィルム形状の金型20を透明樹脂層形成用層3’の保護フィルムとして用いることができることから、印刷物の製造時に透明樹脂層形成用層3’が製造装置等と接触して損傷してしまうことを防止することが可能となる。
なお、図18において説明していない符号については、図16と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
なお、図19において説明していない符号については、図16と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本実施態様における固化・剥離工程は、上記賦型工程後に、上記透明樹脂層形成用層を固化する工程、および上記透明樹脂層形成用層から上記金型または上記複製型を剥離する工程を順不同に行い、上記透明樹脂層を形成する工程である。
本実施態様の印刷物の製造方法は、上述した透明樹脂層形成用層形成工程、賦型工程、および固化・剥離工程を有するものであれば特に限定されるものではなく、必要な工程を適宜選択して追加することができる。このような工程としては、例えば、基材上にインキ層を形成する工程や、上述した「A.印刷物」の項に記載した印刷物における任意の構成を形成する工程を行うことができる。
本実施態様において用いられる金型の形成方法について説明する。
上記金型の形成方法としては、所望の微細凹凸を形成可能な複数の微細孔を有する金型を形成することが可能な方法であれば特に限定されず、一般的な陽極酸化法を用いて金属基体表面に加工を施すことにより、形成することが可能である。
ここで、本実施態様においては、上述した金属酸化膜の項で説明したように、上記微細孔の開口部におけるテーパー形状の深さが所定の範囲内である複数の微細孔を備える金属酸化膜を有する金型を用いることが好ましい。
上述の微細孔を備える金属酸化膜を有する金型の形成方法としては、例えば、金属基体を用い、陽極酸化法によって上記金属基体の表面に複数の微細孔を有する金属酸化膜を形成する陽極酸化工程と、上記金属酸化膜をエッチングすることにより上記微細孔の開口部にテーパー形状を形成する第1エッチング工程と、上記金属酸化膜を上記第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより上記微細孔の孔径を拡大する第2エッチング工程とを順次実施し、必要に応じて繰り返し実施することによって、上記金属基体の表面に複数の微細孔を形成する微細孔形成工程を有する形成方法を挙げることができる。
ここで、上記微細孔形成工程は、金属基体21を用い(図20(a))、陽極酸化法によって金属基体21の表面に複数の微細孔を有する金属酸化膜21’を形成する陽極酸化工程(図20(b))と、金属酸化膜21’をエッチングすることにより微細孔の開口部にテーパー形状を形成する第1エッチング工程(図20(c))と、金属酸化膜21’を第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより微細孔の孔径を拡大する第2エッチング工程(図20(d))とを順次実施し、必要に応じて繰り返し実施することによって、金属基体21の表面に複数の微細孔を形成する。これにより金型20を形成することができる。
以下、本実施態様における金型の形成方法における各工程について説明する。
まず、本実施態様における微細孔形成工程について説明する。本実施態様における微細孔形成工程は、金属基体を用い、陽極酸化法によって上記金属基体の表面に複数の微細孔を有する金属酸化膜を形成する陽極酸化工程と、上記金属酸化膜をエッチングすることにより上記微細孔の開口部にテーパー形状を形成する第1エッチング工程と、上記金属酸化膜を上記第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより上記微細孔の孔径を拡大する第2エッチング工程とを順次実施し、必要に応じて繰り返し実施することによって、上記金属基体の表面に複数の微細孔を形成する工程である。
金属基体については、上述した「2.賦型工程」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本実施態様における陽極酸化工程は、陽極酸化法によって上記金属基体の表面に複数の微細孔を有する金属酸化膜を形成する工程である。
本実施態様における第1エッチング工程は、上記金属酸化膜をエッチングすることにより上記微細孔の開口部にテーパー形状を形成する工程である。
本工程に用いられる電解液としては、上記陽極酸化工程で用いられたものであるが、具体的には、硫酸水溶液、シュウ酸水溶液、リン酸水溶液、リン酸クロム水溶液およびこれらの混合液等の酸性電解液を挙げることができ、中でも、取り扱いや管理の面から、シュウ酸水溶液が好ましい。
また、本工程が、上記陽極酸化工程直後に、上記陽極酸化工程で用いられた電解液中で行われる時間、すなわち、上記陽極酸化工程により複数の微細孔を有する金属酸化膜が表面に形成された金属基体を、上記陽極酸化工程で用いられた電解液中にそのまま放置する時間としては、上記微細孔の開口部に所望のテーパー形状を形成することができれば特に限定されるものではないが、例えば、3秒以上であることが好ましく、10秒以上であることがより好ましく、60秒以上であることがさらに好ましい。
なお、本工程により上記微細孔の開口部にテーパー形状を形成することが可能な理由としては、以下のようなことが挙げられる。
<1>陽極酸化を行うと、酸化皮膜を形成しながらポーラス状の円柱形状の孔が形成される。
<2>この酸化皮膜が、化学的溶解を受けると、内部(すなわち下面)に比べ、外部(すなわち上面)の方が、エッチング液にさらされる時間が長くなる。これは、内部に浸入したエッチング液の交換速度が外部のエッチング液よりも遅いためである。
<3>この結果、外部の方がエッチングされる量が多くなり、テーパー形状となる。
本実施態様における第2エッチング工程は、上記金属酸化膜を上記第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより上記微細孔の孔径を拡大する工程である。本実施態様においては、通常、第2エッチング工程によって、上記微細孔の開口部にテーパー形状は形成されず、第1エッチング工程によって形成されたテーパー形状を有する孔の径を均等に大きくする。
また、上記エッチング液の濃度としては、本工程に用いられるエッチング液の種類、本発明に用いられる金属基体等に応じて適宜調整されるものであるが、例えば、0.005M〜2.0Mの範囲内であることが好ましく、0.01M〜1.5Mの範囲内であることがより好ましい。第2エッチング工程に用いられるエッチング液の濃度が上記範囲よりも高いと、第2エッチング工程により金属酸化膜をすべて除去してしまう場合があるからであり、第2エッチング工程に用いられるエッチング液の濃度が上記範囲よりも低いと、第2エッチング工程のエッチングレートが低下し、十分な孔径拡大処理ができないからである。
本工程におけるエッチング時間としては、本工程に用いられるエッチング液、本実施態様に用いられる金属基体、処理温度、濃度等に応じて適宜調整されるものであるが、例えば、1分間〜60分間の範囲内であることが好ましく、2分間〜30分間の範囲内であることがより好ましい。第2エッチング工程のエッチング時間が上記範囲よりも長いと、第2エッチング工程により金属酸化膜をすべて除去してしまい、孔と孔との間の壁が薄くなって強度が弱くなり、樹脂が入り込むと破損してしまう場合があるからであり、第2エッチング工程のエッチング時間が上記範囲よりも短いと、上記微細孔を十分に拡大することができず、所望の形状が得られない場合があるからである。
本工程において、上記陽極酸化工程と、上記第1エッチング工程と、上記第2エッチング工程とを順次実施し、必要に応じて実施する際の繰り返しの程度としては、金型として用いることが可能な程度に均一な微細孔ができるまで、複数回繰り返して行われる。本工程は、上記陽極酸化工程で終わってもよく、上記第2エッチング工程で終わってもよい。
本実施態様における金型の形成方法は、少なくとも上記微細孔形成工程を有するものであり、必要に応じて他の任意の工程を有していてもよいものである。このような工程としては、離型処理工程、水洗工程、乾燥工程等が挙げられる。
離型処理の方法としては、上記金型における金属酸化膜が有する微細孔を埋めない方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、離型剤を上記金型に塗布する方法、離型剤をスパッタ法で上記金型に積層する方法、フッ素ガスを表面に吹き付け表面にパーフルオロ基を形成する方法等を挙げることができる。また、離型剤としては、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、脂肪族アマイド系化合物、パラフィン系化合物等を挙げることができる。
金属基体の表面に大きなうねりを作る方法としては、金属基体の表面あるいは金属基体の支持体を粗化し、凹凸を形成する方法、金属基体の表面あるいは金属基体の支持体を粗化し、凹凸を形成した後、スパッタ法、メッキ法、蒸着法で金属基体を積層する方法、金属基体の表面あるいは金属基体の支持体を粗化し、凹凸を形成した後、樹脂を積層し、凹凸をなだらかにした後、スパッタ法、メッキ法、蒸着法で金属基体を積層する方法、金属基体の表面あるいは金属基体の支持体に樹脂を積層し、凹凸を形成した後、金属基体を積層する方法、表面にシリカ、金属または金属酸化物の粒子を含む樹脂を金属基体あるいは金属基体の支持体に積層し、凹凸を形成した後、金属基体を積層する方法等が挙げられる。
金属基体の表面あるいは金属基体の支持体を粗化する方法としては、機械的処理、電気化学的処理、陽極酸化、エンボス法、研磨法、エッチング法、湿式メッキ法、乾式メッキ法、溶射法、フォトリソグラフィ法、表面熱処理法、ゾルゲル法等を適宜単独または組み合わせながら処理する方法が挙げられる。
機械的処理法としては、サンド・ブラスト法、ショット・ブラスト法、グリット・ブラスト法、ガラスビーズ・ブラスト法等のブラスト法、ナイロン、ポリプロピレン、および塩化ビニル樹脂などの合成樹脂からなる合成樹脂毛、不織布、動物毛、スチールワイヤ等のブラシ毛(材)を用いるブラシグレイニング法、金属ワイヤーでひっかくワイヤーグレイニング法、研磨剤を含有するスラリー液を供給しながらブラシ研磨する方法(ブラシグレイン法)、ボールグレイン法、液体ホーニング法等のバフ研磨法、ショットピーニング法等が挙げられる。
電気化学的処理法としては、塩酸、硝酸または硫酸および塩化物イオンまたは硝酸塩イオンを含む電解液水溶液中で、直流または交流を用いて処理する方法がある。
エンボス法としては、大きなうねりとなる形状を表面に付与したロール型や枚葉プレス型を押圧し、その形状を50%以上転写するロールエンボス、枚葉プレス型エンボス等が挙げられる。
研磨法としては、回転型バレルや振動型バレルを用いたバレル研磨法、バフ研磨法、リューター研磨法、砥粒流動研磨法、電解研磨法、化学研磨法、化学複合研磨法、電解複合研磨法、化学機械研磨法、CMP研磨法等が挙げられる。
エッチング法としては、化学エッチング法、電解エッチング法、スパッタ法による乾式エッチング法等が挙げられる。
湿式メッキ法としては、電気メッキ法、無電解メッキ法、溶融亜鉛メッキ法、溶融アルミメッキ法、不溶解性アノード法等が挙げられる。
乾式メッキ法としては、真空蒸着メッキ、抵抗加熱、スパッタリング、イオンプレーティングなどの物理蒸着法(PVD)、常圧熱CVD・減圧熱CVD・プラズマCVDなどの化学蒸着法(CVD)等が挙げられる。
金属、セラミックス、プラスチック、サーメット、カーバイド、アブレイダブルを材料として用いる溶射法としては、溶線式フレーム溶射、粉末式フレーム溶射、溶棒式フレーム溶射、爆発溶射(Dガン)などのフレーム溶射法やアーク溶射、プラズマ溶射(減圧プラズマ式溶射・大気プラズマ式溶射・水プラズマ式溶射)、線爆溶射などの電気式溶射法、高速フレーム溶射法、コールドスプレー溶射法等が挙げられる。
表面熱処理法としては、表面に気泡を形成したり、ブラッシング化させたり、クレーター化させたり、亀裂化させたり、結晶成長処理をさせたり、バルク化させたり、対流散逸パターン化させたり、沈降散逸パターン化させたり、散逸パターン化させたり、粒子の凝集を起こさせたり、ナノバックリング形成させたりするなどの方法で形状を形成する方法が挙げられる。
また、プラズマを用いて表面にうねりを形成するプラズマアッシング方式なども用いることができる。
金属基体またはその支持体に樹脂を積層する方法としては、スプレー法、電着法、ディップ法、ディップコート法、ロールコート法、Tダイコート法、キャストコート法、ブレードコート法、スピンコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、キャスト法、LB法、静電塗装法、粉体塗装法、チューブやスリーブなどを被覆する方法などの公知の方法を用いることができる。塗工後、適宜乾燥工程や熱またはUVやEBによるハーフキュア工程を入れることができる。
使用される樹脂としては、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等の電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等があげられ、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチロール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、セルロース樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、スチレン−イソプレンゴム、フッ素樹脂等を挙げることができる。また、これらのエラストマーや酸変性物がある。
大きなうねりの形成は、上述した陽極酸化工程、第1エッチング工程、その後の第2エッチング工程を本処理工程とした場合、本処理工程の前処理として施してよく、また、本処理工程後に処理してもよい。または、本処理工程の前後で行ってもよい。さらには、本処理工程中の陽極酸化工程の後で行ってもよく、または第1エッチング工程の後で行ってもよく、さらに、これらの組み合わせで処理することができる。
本実施態様の製造方法により製造される印刷物については、上述した「A.印刷物」の項で説明した第1態様の印刷物と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
上述した「A.印刷物」の項で説明した第1態様の印刷物の製造方法としては、上述した第1実施態様の印刷物の製造方法の他にも例えば以下のような方法を挙げることができる。
また、例えば、上述した賦型工程に用いられる金型に透明樹脂層用組成物を充填し、金型に充填された透明樹脂層用組成物の表面と、インキ層が形成された基材のインキ層側とが接触するように配置して、所定の圧力を加えた後、上述した固化・剥離工程と同様の工程を行うことによっても上述した第1態様の印刷物を製造することができる。
本発明の印刷物の製造方法の第2実施態様について説明する。
本実施態様の印刷物の製造方法は、上述した「A.印刷物」の項で説明した第2態様の印刷物を製造する製造方法である。
具体的に、本実施態様の印刷物の製造方法は、基材と、上記基材上に形成され、樹脂インキを含み、かつ表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の凸部を備える微細凹凸が形成されているインキ層とを有する印刷物の製造方法であって、上記基材上に上記樹脂インキを含むインキ層形成用層を形成するインキ層形成用層形成工程と、金属基体、および上記金属基体の表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の微細孔を備える金型または上記金型の複製型を準備し、上記インキ層形成用層表面と上記金型または上記複製型の上記微細孔側とを接触させて配置し、圧力を負荷することにより、上記インキ層形成用層の上記金型側表面または上記複製型側表面に上記微細凹凸を形成する賦型工程と、上記賦型工程後に上記インキ層形成用層を固化する工程、および上記インキ層形成用層から上記金型または上記複製型を剥離する工程を順不同に行い、上記インキ層を形成する固化・剥離工程とを有することを特徴とする製造方法である。
本実施態様におけるインキ層形成用層形成工程は、上記基材上に上記樹脂インキを含むインキ層形成用層を形成する工程である。
本実施態様においては、通常、樹脂インキを含むインキ層用組成物を調製し、これを用いて基材上にインキ層形成用層が形成される。
本実施態様における賦型工程は、金属基体、および上記金属基体の表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の微細孔を備える金型または上記金型の複製型を準備し、上記インキ層形成用層表面と上記金型または上記複製型の微細孔側とを接触させて配置し、圧力を負荷することにより、上記インキ層形成用層の上記金型側表面または上記複製型側表面に上記微細凹凸を形成する工程である。
また、上述したインキ層形成用層形成工程と本工程とを同時に行う場合は、上記金型または複製型がインキ層を形成するために用いられるインキ層用型を兼ねることが好ましい。
本実施態様における固化・剥離工程は、上記賦型工程後に上記インキ層形成用層を固化する工程、および上記インキ層形成用層から上記金型を剥離する工程を順不同に行い、上記インキ層を形成する工程である。
本実施態様の印刷物の製造方法は、上述したインキ層形成用層形成工程、賦型工程、および固化・剥離工程を有するものであれば特に限定されず、他にも必要な工程を適宜選択して行うことができる。
このような工程については、第1実施態様の印刷物の製造方法の項で記載した工程と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本実施態様の製造方法により製造される印刷物については、上述した「A.印刷物」の項で説明した第2態様の印刷物と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
上述した「A.印刷物」の項で説明した第2態様の印刷物の製造方法としては、上述した第2実施態様の印刷物の製造方法の他にも例えば以下のような方法を挙げることができる。
(金属基体の作製)
まず、純度99%のアルミニウムからなり、押出しされた厚み20mmのアルミニウムパイプ表面に、第1平滑層として厚み10μmのイオウ含有ニッケルメッキ層を形成した。次に、第1平滑層上に第2平滑層として厚み40μmのクロムメッキ層(マイクロクラック密度180個/cm)を形成した。その後、第2平滑層の研磨を行い、小さいうねりとしてRz30nmとなるように仕上げた後、第2平滑層上に中間層として、スパッタ法により厚み500Åの酸化タンタル層を形成した。その後、スパッタ法により中間層上に厚み2μmの純度99.9%のアルミニウム薄膜を形成した。
上述した金属基体を用いて以下の手順で金型を作製した。
0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、化成電圧40V、20℃の条件にて120秒間、アルミニウム薄膜表面に陽極酸化を施した。次に、第1エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で60秒間エッチング処理を行った。続いて、第2エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で150秒間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム薄膜表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された微細孔を有する微細孔層を形成した。最後に、微細孔層にフッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、金型を得た。
透明樹脂基材上にグラビア印刷法を用いて以下のような絵柄を有するインキ層を形成した。なお、インキ層の各色については、DIC社製カラーコードを指定したものである。
インキ層の絵柄としては、背景がカラーコードNo.582の黒色インキ層から構成され、白抜き、カラーコードNo.582の黄色インキ層、カラーコードNo.564の赤色インキ層、カラーコードNo.649の緑色インキ層、カラーコードNo.578の青色インキ層を用いて大きさ20ptでアルファベットAからZまでが表示されているものである。
次に、透明樹脂基材のインキ層側表面に透明樹脂層用組成物として親水性フッ素化合物を添加した溶剤を含まない紫外線硬化性樹脂組成物(粘度100mPa・s)を印刷法で塗布した後、金型を配置して、ゴムローラーにより10N/cmの荷重で圧着した。金型全体に均一な紫外線硬化性樹脂組成物が塗布されたことを確認し、透明樹脂基材側から2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂組成物を光硬化させた。その後、金型から剥離することにより、微細凹凸を有する透明樹脂層が形成された印刷物を得た。
(金属基体の作製)
まず、純度99%のアルミニウムからなり、押出しされた厚み20mmのアルミニウムパイプ表面に、第1平滑層として厚み10μmのイオウ含有ニッケルメッキ層を形成した。次に、第1平滑層上に第2平滑層として厚み40μmのクロムメッキ層(マイクロクラック密度180個/cm)を形成した。その後、第2平滑層の研磨を行い、小さいうねりとしてRz30nmとなるように仕上げた後、第2平滑層上に中間層として、スパッタ法により厚み500Åの酸化タンタル層を形成した。その後、スパッタ法により中間層上に厚み2μmの純度99.9%のアルミニウム薄膜を形成した。
上述した金属基体を用いて以下の手順で金型を作製した。
0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、化成電圧40V、20℃の条件にて120秒間、アルミニウム薄膜表面に陽極酸化を施した。次に、第1エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で60秒間エッチング処理を行った。続いて、第2エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で150秒間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム薄膜表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された微細孔を有する微細孔層を形成した。最後に、微細孔層にフッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、金型を得た。
光透過性基板として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製、屈折率1.66)に、紫外線硬化性樹脂組成物(粘度100mPa・s)を厚さ10μmとなるように塗布した後、金型を配置して、ゴムローラーにより25N/cmの荷重で圧着した。金型全体に均一な紫外線硬化性樹脂組成物が塗布されたことを確認し、フィルム側から2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂組成物を光硬化させ、金型から剥離した後、最後にフッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで微細凹凸型を得た。
紙基材の上に実施例1−1と同様にしてインキ層を形成した。
次に、紙基材のインキ層側表面に、透明樹脂層用組成物として親水性フッ素化合物を添加した溶剤を含まない紫外線硬化性樹脂組成物(粘度100mPa・s)を印刷法で塗布し、ベルト状につないだ複製型と上記複製型に対峙するニッケル製ベルトとの間に10N/cmの荷重で挟んで圧着した。複製型全体に均一に紫外線硬化性樹脂組成物が塗布されたことを確認し、複製型側から2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂組成物を光硬化させた。その後、複製型から剥離することにより、微細凹凸を有する透明樹脂層が形成されている印刷物を得た。
(金属基体の作製)
まず、純度99%のアルミニウムからなり、押出しされた厚み20mmのアルミニウムパイプ表面に、第1平滑層として厚み10μmのイオウ含有ニッケルメッキ層を形成した。次に、第1平滑層上に第2平滑層として厚み40μmのクロムメッキ層(マイクロクラック密度180個/cm)を形成した。その後、第2平滑層の研磨を行い、小さいうねりとしてRz30nmとなるように仕上げた後、第2平滑層上に中間層として、スパッタ法により厚み500Åの酸化タンタル層を形成した。その後、スパッタ法により中間層上に厚み2μmの純度99.9%のアルミニウム薄膜を形成した。
上述した金属基体を用いて以下の手順で金型を作製した。
0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、化成電圧40V、20℃の条件にて120秒間、アルミニウム薄膜表面に陽極酸化を施した。次に、第1エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で60秒間エッチング処理を行った。続いて、第2エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で150秒間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム薄膜表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された微細孔を有する微細孔層を形成した。最後に、微細孔層にフッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、金型を得た。
紙基材の上に実施例1−1と同様にしてインキ層を形成した。
次に、紙基材のインキ層側表面に透明樹脂層用組成物として親水性フッ化物を添加した熱可塑性アクリル樹脂層を印刷法で塗布した。熱可塑性アクリル樹脂層が軟化する温度になるように上記ロール状の金型を加温した状態で、対峙するゴムロールの間に上記熱可塑性アクリル樹脂層表面が金型に一様に接触するように印刷物を挟み、50N/cmの荷重で加圧した。その後、上記熱可塑性アクリル樹脂層を冷却して固化させた後、金型から剥離することにより、微細凹凸を有する透明樹脂層が形成されている印刷物を得た。
(金属基体の作製)
まず、厚み150μmのニッケル製スリーブの表面に、平滑層として厚み80μmのクロムメッキ膜(マイクロクラック密度300個/cm)を形成した。その後、平滑層に研磨を行い、小さいうねりとしてRz80nmとなるように仕上げた後、平滑層上に中間層としてスパッタ法により500Åの酸化タンタル層を形成した。その後、スパッタ法により中間層上に厚み2μmの純度99.9%のアルミニウム薄膜を形成した。
上述した金属基体を用いて以下の手順で金型を作製した。
0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、化成電圧40V、20℃の条件にて120秒間、アルミニウム薄膜表面に陽極酸化を施した。次に、第1エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で60秒間エッチング処理を行った。続いて、第2エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で150秒間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム薄膜表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された微細孔を有する微細孔層を形成した。最後に、微細孔層にフッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、金型を得た。
紙基材の上に実施例1−1と同様にしてインキ層を形成した。
次に、紙基材のインキ層側表面に透明樹脂層用組成物として親水性フッ化物を添加した熱可塑性ポリエステル樹脂層を印刷法で塗布した。熱可塑性ポリエステル樹脂層が軟化する温度になるように、上記ベルト状の金型を加温した状態で、対峙するベルト状のニッケルベルト間に上記熱可塑性ポリエステル樹脂層表面が金型に一様に接触するように印刷物を挟み、100N/cmの荷重で加圧した。その後、上記熱可塑性ポリエステル樹脂層を冷却して固化させた後、金型から剥離することにより、微細凹凸を有する透明樹脂層が形成されている印刷物を得た。
(金属基体の作製)
まず、厚み200μmのニッケル製スリーブの表面を小さいうねりとしてRzが60nmになるように研磨した後、中間層として電着法により大きなうねりとして1.5μmとなるように、厚み10μmのアクリルメラミン層を形成し、さらに中間層上にスパッタ法により厚み2μmの純度99.9%のアルミニウム薄膜を形成した。
上述した金属基体を用いて以下の手順で金型を作製した。
0.03Mシュウ酸水溶液の電解液中で、化成電圧55V、20℃の条件にて20秒間、アルミニウム薄膜層表面に陽極酸化を施した。次に、第1エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で30秒間エッチング処理を行った。続いて、第2エッチング処理として、0.5Mリン酸水溶液で10分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計4回追加実施した。これにより、アルミニウム薄膜表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された微細孔を有する微細孔層を形成した。最後に、微細孔層にフッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、金型を得た。
まず、上述した金型を用いて以下の手順で反射防止フィルムを作製した。
光透過性基板として厚さ50μmのアクリルフィルム(住友化学製、屈折率1.49)に、透明樹脂層用組成物として、100質量部の親水性シリコーン樹脂を含有する紫外線硬化性樹脂組成物(粘度100mPa・s)に対し、アクリルに浸透する溶剤として、トルエン40質量部およびシクロヘキサノン10質量部を含む溶剤含有樹脂組成物を厚さ10μmとなるように塗布した後、溶剤を80℃で30秒間乾燥除去し、金型を配置した後、ゴムローラーにより25N/cmの荷重で圧着した。金型全体に均一な紫外線硬化性樹脂組成物が塗布されたことを確認し、フィルム側から2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂組成物を光硬化させた。その後、金型から剥離することにより、微細凹凸を有する反射防止フィルムを得た。この反射防止フィルムの紫外線硬化樹脂組成物側(微細凹凸側)とは反対面に厚み10μmのアクリル製粘着フィルムを貼合した後、紙基材の上に実施例1−1と同様の方法によりインキ層が形成された印刷物のインキ層側と上記反射防止フィルムの粘着面を空気が入らないように貼り合わせた。これにより、微細凹凸を有する透明樹脂層が形成されている印刷物を得た。
(金属基体の作製)
まず、厚み150μmのニッケル製スリーブの表面に、平滑層として厚み80μmのクロムメッキ膜(マイクロクラック密度300個/cm)を形成した。その後、平滑層に研磨を行い、小さいうねりとしてRz80nmとなるように仕上げた後、平滑層上に中間層としてスパッタ法により500Åの酸化タンタル層を形成した。その後、スパッタ法により中間層上に厚み2μmの純度99.9%のアルミニウム薄膜を形成した。
上述した金属基体を用いて以下の手順で金型を作製した。
0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、化成電圧40V、20℃の条件にて120秒間、アルミニウム薄膜表面に陽極酸化を施した。次に、第1エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で60秒間エッチング処理を行った。続いて、第2エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で150秒間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム薄膜表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された微細孔を有する微細孔層を形成した。最後に、微細孔層にフッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、金型を得た。
上述した金型を用いて以下の手順で反射防止フィルムを作製した。
金型の表面を覆い、厚さ500μmとなるように、200℃で加熱溶融したアクリル樹脂(溶融粘度6g/10min)を押し出し、金型に金属ベルトで50N/cmの荷重で2秒間圧着した。金型全体に均一なアクリル樹脂膜が形成されたことを確認し、表面から空冷で冷却してアクリル樹脂膜を硬化させた。その後、金型から剥離することにより微細凹凸を有する反射防止フィルムを得た。
この反射防止フィルムのアクリル樹脂膜側(微細凹凸側)とは反対面に厚み10μmのアクリル製粘着フィルムを貼合した後、紙基材の上にグラビア法で黒背景に白抜きの文字(大きさ20pt)が表示されるように印刷した印刷物のインキ面側と上記反射防止フィルムの粘着面を空気が入らないように貼り合わせた。これにより、微細凹凸を有する透明樹脂層が形成されている印刷物を得た。
(金属基体の作製)
まず、厚み150μmのニッケル製スリーブの表面に、平滑層として厚み80μmのクロムメッキ膜(マイクロクラック密度300個/cm)を形成した。その後、平滑層に研磨を行い、小さいうねりとしてRz80nmとなるように仕上げた後、平滑層上に中間層としてスパッタ法により500Åの酸化タンタル層を形成した。その後、スパッタ法により中間層上に厚み2μmの純度99.9%のアルミニウム薄膜を形成した。
上述した金属基体を用いて以下の手順で金型を作製した。
0.03Mシュウ酸水溶液の電解液中で、化成電圧55V、20℃の条件にて20秒間、アルミニウム薄膜層表面に陽極酸化を施した。次に、第1エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で30秒間エッチング処理を行った。続いて、第2エッチング処理として、0.5Mリン酸水溶液で10分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計4回追加実施した。これにより、アルミニウム薄膜表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された微細孔を有する微細孔層を形成した。最後に、微細孔層にフッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、金型を得た。
光透過性基板として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製、屈折率1.66)に、紫外線硬化性樹脂組成物(粘度100mPa・s)を厚さ10μmとなるように塗布した後、金型にゴムローラーにより25N/cmの荷重で圧着した。金型全体に均一な紫外線硬化性樹脂組成物が塗布されたことを確認し、フィルム側から2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂組成物を光硬化させ、金型から剥離した後、最後にフッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで微細凹凸型を得た。
さらに、光透過性基板として厚さ250μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製、屈折率1.66)に、紫外線硬化性樹脂組成物(粘度100mPa・s)を厚さ10μmとなるように塗布した後、金型にゴムローラーにより25N/cmの荷重で圧着した。金型全体に均一な紫外線硬化性樹脂組成物が塗布されたことを確認し、光透過性基板側から2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂組成物を光硬化させ、金型から剥離した後、最後にフッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで複製型を得た。なお、得られた複製型は透明性を有するものである。
紙基材上に紫外線硬化樹脂インキを用いグラビア法で実施例1−1と同様の絵柄でインキ層形成用層を形成した。次に、印刷物のインキ層形成用層表面にベルト状につないだ金型を空気が入らないように均一に接触させるとともに、対峙するステンレスベルトにより25N/cmの荷重で圧着しながら、複製型側から2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射してインキ層形成用層を光硬化させた。その後、金型からインキ層形成用層を剥離することにより、微細凹凸を有するインキ層が形成されている印刷物を得た。
(金型基体の作製)
まず、厚み20mmのステンレス製ベルトの表面を小さいうねりとしてRzが180nmとなるように研磨した後、中間層としてスパッタ法により厚み500Åの二酸化ケイ素層を形成した。その後、スパッタ法により中間層上に厚み2μmの純度99.9%のアルミニウム薄膜を形成した。
上述した金属基体を用いて以下の手順で金型を作製した。
0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、化成電圧40V、20℃の条件にて120秒間、アルミニウム薄膜表面に陽極酸化を施した。次に、第1エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で60秒間エッチング処理を行った。続いて、第2エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で150秒間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これによりアルミニウム薄膜表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された微細孔を有する微細孔層を形成した。最後に、微細孔層にフッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、金型を得た。
紙基材の上に活版印刷法で親水性フッ素化合物を添加した熱可塑性アクリル樹脂からなるインキで実施例1−1と同様の絵柄を有するインキ層形成用層を形成した。熱可塑性アクリル樹脂が軟化する温度になるように上記ベルト状の反射防止構造体製造金型を加温した状態で、対峙するベルト状のニッケルベルト間に上記インキ層形成用層が金型に一様に接触するように印刷物を挟み、50N/cmの荷重で加圧した。その後、冷却することによりインキ層形成用層を固化させ、金型から剥離することにより、微細凹凸を有するインキ層が形成されている印刷物を得た。
(金属基体の作製)
厚み150μmのニッケル製スリーブの表面に、平滑層として厚み80μmのクロムメッキ膜(マイクロクラック密度300個/cm)を形成した。その後、平滑層に研磨を行い、小さいうねりとしてRz80nmとなるように仕上げた後、平滑層上に中間層としてスパッタ法により500Åの酸化タンタル層を形成した。その後、スパッタ法により中間層上に厚み2μmの純度99.9%のアルミニウム薄膜を形成した。
上述した金属基体を用いて以下の手順で金型を作製した。
0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、化成電圧40V、20℃の条件にて120秒間、アルミニウム薄膜表面に陽極酸化を施した。次に、第1エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で60秒間エッチング処理を行った。続いて、第2エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で150秒間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム薄膜表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された微細孔を有する微細孔層を形成した。最後に、微細孔層にフッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、金型を得た。
紙基材上に親水性フッ素化合物を添加したポリエステル系樹脂とスチレンアクリル系樹脂からなるトナーを用い電子写真法で実施例1−1と同様の絵柄を有するインキ層形成用層を形成した。ポリエステル系樹脂とスチレンアクリル系樹脂が軟化する温度になるように金型を最外層に有する弾性ロールを加温した状態で、対峙する弾性ロール間に上記インキ層形成用層が金型に一様に接触するように印刷物を挟み、10N/cmの荷重で加圧した。その後、冷却することによりインキ層形成用層を固化させ、金型から剥離することにより、微細凹凸を有するインキ層が形成されている印刷物を得た。
紙基材上に実施例1−1と同様にしてインキ層を形成した。
紙基材上に実施例1−1と同様にしてインキ層を形成した。さらにその上に、紫外線硬化樹脂組成物をグラビア法で印刷した後、2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂組成物を光硬化させることにより、オーバーコート層を形成した。
紙基材上に実施例1−1と同様にしてインキ層を形成した。印刷面の上に粘着層がついたOPPフィルムを貼り合わせた。
紙基材上に実施例1−1と同様にしてインキ層を形成した。さらにその上に、硬化後表面がつや消し状態になるフィラーを含有した紫外線硬化樹脂組成物をグラビア法で印刷したのち2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂組成物を光硬化させて、マット層を形成した。
(走査型電子顕微鏡による金型断面または複製型断面の観察)
集束イオンビームにより金型または複製型を垂直に切断し、日立ハイテクノロジーズ製走査型電子顕微鏡S−4500を用いて、上記金型または複製型の断面を観察し、得られた画像から、微細孔の孔径、周期、深さ、および開口部の形状を測定した。
(走査型電子顕微鏡による印刷物の微細凹凸の表面および断面の観察)
日立ハイテクノロジーズ製走査型電子顕微鏡S−4500を用いて、印刷物の表面を観察した。また、ガラス切片で断面を製作し、日立ハイテクノロジーズ製走査型電子顕微鏡S−4500を用いて、上記印刷物の断面を観察し、得られた画像から、微細凹凸における凸部の周期、凸部の高さ、本体部および先端部の形状を計測した。
微細凹凸の反射率についての測定を行った。なお、微細凹凸の反射率については、上述した実施例1−1〜実施例8の金型または複製型を用いて、以下の方法により反射率測定用フィルムを形成し、反射率測定用フィルムの微細凹凸側とは反対側に黒色テープを貼り付け、島津製作所製自記分光光度計UV−3100を用いて、反射率測定用フィルム表面への5°正反射率を測定することにより評価した。
まず、光透過性基板として準備した厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製、屈折率1.48)に、100質量部の紫外線硬化性樹脂組成物(粘度500mPa・s)に対し、トリアセチルセルロースに浸透する溶剤として、メチルエチルケトン80質量部およびメチルイソブチルケトン20質量部を含む溶剤含有樹脂組成物を厚さ20μmとなるように塗布した後、溶剤を80℃で30秒間乾燥除去し、上述した金型または複製型にゴムローラーにより10N/cmの荷重で圧着した。金型または複製型全体に均一な紫外線硬化性樹脂組成物が塗布されたことを確認し、光透過性基板側から2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂組成物を光硬化させた。その後、金型または複製型から剥離することにより、反射率測定用フィルムを得た。
目視にて、文字のボケ状態の確認を行った。目視するとき、蛍光灯を印刷物表面に対して上面に設定し、机上に印刷物を置き、真上から斜め60度まで目視で確認を行った。また蛍光灯を印刷物表面から斜め30度に設置し、真上から斜め30度まで目視で確認した。
印刷物の微細凹凸側表面に指紋を付着させた後、水を湿らせたガーゼで拭き取り、24時間風乾させた。表面に水滴が残っていないことを確認し、洗浄性として指紋の残りを目視での確認と日立ハイテクノロジーズ製走査型電子顕微鏡S−4500を用いて、上記反射防止面の表面を観察した。得られた画像から、スティッキングの発生の有無を確認した。
印刷物を、ネルで50g/cm2の荷重で擦り、12時間放置後、日立ハイテクノロジーズ製走査型電子顕微鏡S−4500を用いて、上記フィルムの表面を観察した。得られた画像から、微細凹凸の凸部の損傷の発生の有無を確認した。
日立ハイテクノロジーズ製走査型電子顕微鏡S−4500を用いて、反射防止フィルムの表面を観察した。得られた画像から、上記フィルム表面の構造体の破損状態を観察した。
親水性の指標である濡れ性は水の接触角としてJIS K2396に則り評価した。
印刷物の反射防止面が40℃、90%の温湿度の環境に接するように保管し、上記温湿度の環境下に120時間放置後の、微細凹凸側表面の変化を目視で観察した。
印刷物の微細凹凸側表面に指紋を付着させた後、水を湿らせたガーゼで拭き取り、24時間風乾させた。表面に水滴が残っていないことを確認した。この作業を10回繰り返した後、洗浄性の耐久性評価として指紋の残りを目視での確認と日立ハイテクノロジーズ製走査型電子顕微鏡S−4500を用いて、上記反射防止面の表面を観察した。得られた画像から、スティッキングの発生の有無を確認した。
フナテック社製の干渉縞検査ランプ(Naランプ)を用いて、反射防止フィルムにおける干渉縞の有無を目視にて検査した。干渉縞の発生が全く見えないもの、あるいはぼんやり見えるものは問題ないと判断し、はっきり見えるものを不良と判断した。
また濡れ性は30度であった。耐水性も問題なかった。
また、指紋の残り、およびスティッキングの発生は観察されなかったことから、洗浄性には問題がないことが確認された。
また、洗浄処理に対する耐久性の評価においても、指紋の残り、およびスティッキングの発生は観察されなかったことから、洗浄処理に対する耐久性にも問題がないことが確認された。
外観も白くなく、印刷物の視認性は実用に耐え得るものであった。また、布拭きでも損傷は抑えられ、干渉縞の発生も抑えられており、実用上問題はなかった。
また濡れ性は28度であった。耐水性も問題なかった。
また、実施例1−1と同様に、洗浄性および洗浄処理に対する耐久性があることが確認された。
外観も白くなく、印刷物の視認性は実用に耐え得るものであった。また、布拭きでも損傷は抑えられ、干渉縞の発生も抑えられており、実用上問題はなかった。
また濡れ性は25度であった。耐水性も問題なかった。
また、実施例1−1と同様に、洗浄性および洗浄処理に対する耐久性があることが確認された。
外観も白くなく、印刷物の視認性は実用に耐え得るものであった。また、布拭きでも損傷は抑えられ、干渉縞の発生も抑えられており、実用上問題はなかった。
また濡れ性は20度であった。耐水性も問題なかった。
また、実施例1−1と同様に、洗浄性および洗浄処理に対する耐久性があることが確認された。
外観も白くなく、印刷物の視認性は実用に耐え得るものであった。また、布拭きでも損傷は抑えられ、干渉縞の発生も抑えられており、実用上問題はなかった。
また濡れ性は30度であった。耐水性も問題なかった。
また、実施例1−1と同様に、洗浄性および洗浄処理に対する耐久性があることが確認された。
外観も白くなく、印刷物の視認性は実用に耐え得るものであった。また、布拭きでも損傷は抑えられ、干渉縞の発生も抑えられており、実用上問題はなかった。
また濡れ性は32度であった。耐水性も問題なかった。
また、実施例1−1と同様に、洗浄性および洗浄処理に対する耐久性があることが確認された。
外観も白くなく、印刷物の視認性は実用に耐え得るものであった。また、布拭きでも損傷は抑えられ、干渉縞の発生も抑えられており、実用上問題はなかった。
また濡れ性は25度であった。耐水性も問題なかった。
また、実施例1−1と同様に、洗浄性および洗浄処理に対する耐久性があることが確認された。
外観も白くなく、印刷物の視認性は実用に耐え得るものであった。また、布拭きでも損傷は抑えられ、干渉縞の発生も抑えられており、実用上問題はなかった。
また濡れ性は8度であった。耐水性も問題なかった。
また、実施例1−1と同様に、洗浄性および洗浄処理に対する耐久性があることが確認された。
外観も白くなく、印刷物の視認性は実用に耐え得るものであった。また、布拭きでも損傷は抑えられ、干渉縞の発生も抑えられており、実用上問題はなかった。
また濡れ性は18度であった。耐水性も問題なかった。
また、実施例1−1と同様に、洗浄性および洗浄処理に対する耐久性があることが確認された。
外観も白くなく、印刷物の視認性は実用に耐え得るものであった。また、布拭きでも損傷は抑えられ、干渉縞の発生も抑えられており、実用上問題はなかった。
2 … インキ層
2’ … インキ層形成用層
3 … 透明樹脂層
3’ … 透明樹脂層形成用層
10 … 印刷物
20 … 金型
Claims (5)
- 基材と、
前記基材上に形成され、樹脂インキを含むインキ層とを有する印刷物であって、
前記印刷物の前記インキ層側の最表面に、可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の凸部を備える微細凹凸を有することを特徴とする印刷物。 - 前記微細凹凸が、透明樹脂を含み、かつ前記インキ層上に形成された透明樹脂層の表面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷物。
- 前記微細凹凸が、前記インキ層の表面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷物。
- 基材と、前記基材上に形成され、樹脂インキを含むインキ層と、前記インキ層上に形成され、透明樹脂を含み、かつ表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の凸部を備える微細凹凸が形成されている透明樹脂層とを有する印刷物の製造方法であって、
前記インキ層が形成された前記基材上に前記透明樹脂を含む透明樹脂層形成用層を形成する透明樹脂層形成用層形成工程と、
金属基体、および前記金属基体の表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の微細孔を備える金型または前記金型の複製型を準備し、前記透明樹脂層形成用層表面と前記金型または前記複製型の前記微細孔側とを接触させて配置し、圧力を負荷することにより、前記透明樹脂層形成用層の前記金型側表面または前記複製型側表面に前記微細凹凸を形成する賦型工程と、
前記賦型工程後に、前記透明樹脂層形成用層を固化する工程、および前記透明樹脂層形成用層から前記金型または前記複製型を剥離する工程を順不同に行い、前記透明樹脂層を形成する固化・剥離工程と
を有することを特徴とする印刷物の製造方法。 - 基材と、前記基材上に形成され、樹脂インキを含み、かつ表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の凸部を備える微細凹凸が形成されているインキ層とを有する印刷物の製造方法であって、
前記基材上に前記樹脂インキを含むインキ層形成用層を形成するインキ層形成用層形成工程と、
金属基体、および前記金属基体の表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の微細孔を備える金型または前記金型の複製型を準備し、前記インキ層形成用層表面と前記金型または前記複製型の前記微細孔側とを接触させて配置し、圧力を負荷することにより、前記インキ層形成用層の前記金型側表面または前記複製型側表面に前記微細凹凸を形成する賦型工程と、
前記賦型工程後に前記インキ層形成用層を固化する工程、および前記インキ層形成用層から前記金型または前記複製型を剥離する工程を順不同に行い、前記インキ層を形成する固化・剥離工程と
を有することを特徴とする印刷物の製造方法。
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