JP2017109350A - 光学積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学積層体をロール状に巻き取ってロール体として保管や搬送をしても、温度変化に伴うシワの発生や、経時変化による貼り付きを防止できる光学積層体を提供する。【解決手段】基材フィルムの一方の面上に、光学機能層が積層された光学積層体であって、上記光学機能層は、上記基材フィルムと反対側面上にナーリング部を有し、上記ナーリング部は、JIS B 0601(2001)で規定されるスキューネス(Rsk)が−1.0〜1.0、クルトシス(Rku)が2.0〜4.0であることを特徴とする光学積層体。【選択図】なし
Description
本発明は、光学積層体に関する。
液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機・無機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(LED)、電子ペーパー等の画像表示装置やタッチパネルにおける画像表示面には、通常、観察者および観察者の背景等の映り込みを抑制するために、反射防止層や、表面に凹凸形状を有する光学積層体が設けられている。
光学積層体は、通常、製造された後、ロール状に巻き取られロール体として保管や搬送がされる。
光学積層体のロール体を巻き取る際には、光学積層体と一緒にエアーが巻き込まれてしまい、保管時や搬送時において、温度変化に伴う光学積層体の収縮により、シワが発生するといった問題があった。また、経時変化によるフィルムの貼り付きが問題となることもあった。
このような問題に対して、光学積層体のロール体を断熱梱包して保管する方法や、恒温トラックを用いて搬送する方法が検討されていたが、海外に搬送する際には、上述した方法を行うことは困難であった。
光学積層体のロール体を巻き取る際には、光学積層体と一緒にエアーが巻き込まれてしまい、保管時や搬送時において、温度変化に伴う光学積層体の収縮により、シワが発生するといった問題があった。また、経時変化によるフィルムの貼り付きが問題となることもあった。
このような問題に対して、光学積層体のロール体を断熱梱包して保管する方法や、恒温トラックを用いて搬送する方法が検討されていたが、海外に搬送する際には、上述した方法を行うことは困難であった。
一方、このような巻き取る際に巻き込まれたエアー(以下、層間エアーともいう)を制御、若しくは、層間エアーの出入りに自由度を設けることによって、ロール体に発生するシワや、貼り付きを防止する方法も検討されている。
例えば、光学積層体の幅方向の端部にナーリング部(凸部)を設けて、ロール体におけるフィルム同士の接触を抑制し、凸部の隙間によって層間エアーの出入りに自由度を設ける方法が検討されている。
例えば、光学積層体の幅方向の端部にナーリング部(凸部)を設けて、ロール体におけるフィルム同士の接触を抑制し、凸部の隙間によって層間エアーの出入りに自由度を設ける方法が検討されている。
ナーリング部を形成する方法としては、例えば、特許文献1には、フィルムの幅方向の端部にエンボスロールを用いて加工をし、ナーリング部を形成する方法が提案されている。
また、例えば、特許文献2には、フィルムの幅方向の端部にレーザー照射を行い、ナーリング部を形成する方法が提案されている。
また、例えば、特許文献2には、フィルムの幅方向の端部にレーザー照射を行い、ナーリング部を形成する方法が提案されている。
しかしながら、エンボスロールを用いてナーリング部を形成する方法では、フィルムが溶けて糸引きが発生したり、フィルムにヨレやシワが発生したり、エンボスロール停止時に熱によりフィルムが溶けてしまったり、ナーリング部に高さが充分ではないといった課題があった。
また、レーザー照射によってナーリング部を形成する方法においても、ナーリング加工時に粉塵が発生し、ナーリング部に付着した粉塵を除去するのが困難であったり、ナーリング部(凸部)の面積が充分でないといった課題があった。
また、レーザー照射によってナーリング部を形成する方法においても、ナーリング加工時に粉塵が発生し、ナーリング部に付着した粉塵を除去するのが困難であったり、ナーリング部(凸部)の面積が充分でないといった課題があった。
また、特許文献1及び特許文献2に記載のものは、フィルムを巻き取ってロール体とする際に起こるフィルムの巻きズレ等を防止するためのものであり、上述したロール体の保管時や搬送時における課題については考慮されていなかった。
本発明は、上記現状に鑑みて、光学積層体をロール状に巻き取ってロール体として保管や搬送をしても、温度変化に伴うシワの発生や、経時変化による貼り付き(以下、ブロッキングともいう)を防止できる光学積層体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、基材フィルムの一方の面上に、光学機能層が積層された光学積層体において、上記光学機能層上に特定の形状を有するナーリング部を形成することにより、光学積層体をロール状に巻き取ってロール体としたときに光学積層体と一緒に層間エアーを制御することができ、該ロール体を保管や搬送をしても、温度変化に伴うシワの発生や、ブロッキングを防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、基材フィルムの一方の面上に、光学機能層が積層された光学積層体であって、上記光学機能層は、上記基材フィルムと反対側面上にナーリング部を有し、上記ナーリング部は、JIS B 0601(2001)で規定されるスキューネス(Rsk)が−1.0〜1.0、クルトシス(Rku)が2.0〜4.0であることを特徴とする光学積層体である。
また、本発明は、基材フィルムの一方の面上に、防眩層及び/又はハードコート層が積層された光学積層体であって、上記防眩層は、基材フィルムと反対側面上にナーリング部を有し、上記ナーリング部は、JIS B 0601(2001)で規定されるスキューネス(Rsk)が−1.0〜1.0、クルトシス(Rku)が2.0〜4.0であることを特徴とする光学積層体でもある。
上記ナーリング部の硬さは、100〜300N/mm2であることが好ましい。
上記ナーリング部の高さは、1μm〜10μmであることが好ましい。
また、上記光学積層体をロール状に巻き取ってロール体としたとき、ナーリング部の高さが、上記ロール体の外周側よりも巻芯側の方が高いことが好ましい。
上記ロール体のナーリング部の表面硬度は、50〜100であることが好ましい。
以下に、本発明を詳細に説明する。
上記ナーリング部の硬さは、100〜300N/mm2であることが好ましい。
上記ナーリング部の高さは、1μm〜10μmであることが好ましい。
また、上記光学積層体をロール状に巻き取ってロール体としたとき、ナーリング部の高さが、上記ロール体の外周側よりも巻芯側の方が高いことが好ましい。
上記ロール体のナーリング部の表面硬度は、50〜100であることが好ましい。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の光学積層体は、基材フィルムの一方の面上に、光学機能層が積層されており、該光学機能層の上記基材フィルムと反対側面上にナーリング部を有する。
本発明の光学積層体は、上記ナーリング部を有することにより、光学積層体をロール状に巻き取ってロール体としたときに光学積層体と一緒に巻き込まれたエアーを排除することができ、光学積層体をロール体として保管や搬送をしても、温度変化に伴うシワの発生や、貼り付きを防止できる。
本明細書において「ナーリング部」は、光学機能層表面に形成された凹凸構造をいう(本明細書においては多くの場合凸部を指す)。
本発明の光学積層体は、上記ナーリング部を有することにより、光学積層体をロール状に巻き取ってロール体としたときに光学積層体と一緒に巻き込まれたエアーを排除することができ、光学積層体をロール体として保管や搬送をしても、温度変化に伴うシワの発生や、貼り付きを防止できる。
本明細書において「ナーリング部」は、光学機能層表面に形成された凹凸構造をいう(本明細書においては多くの場合凸部を指す)。
上記ナーリング部は、JIS B 0601(2001)で規定されるスキューネス(Rsk)が、−1.0〜1.0である。
上記ナーリング部のRskが−1.0未満であると、凸部が大きく端部の隙間が小さくなるため、ロール体の端部で層間エアーの排除が不充分となり、上記ナーリング部のRskが1.0より大きいと、小さな凸部が多すぎて、ナーリング部が硬度不足となり、上述したロール体としたときのエアー排除が不充分となる。
上記ナーリング部のRskの好ましい下限は、−0.5であり、好ましい上限は、0.5である。
なお、上記ナーリング部のRskは、表面形状計測装置を用いて計測できる。該表面形状計測装置としては、例えば、白色干渉式光学顕微鏡(例えば、Zygo社製NewView6300型)、原子間力顕微鏡(例えば、島津製作所社製SPM−9500型)等が挙げられる。
上記ナーリング部のRskが−1.0未満であると、凸部が大きく端部の隙間が小さくなるため、ロール体の端部で層間エアーの排除が不充分となり、上記ナーリング部のRskが1.0より大きいと、小さな凸部が多すぎて、ナーリング部が硬度不足となり、上述したロール体としたときのエアー排除が不充分となる。
上記ナーリング部のRskの好ましい下限は、−0.5であり、好ましい上限は、0.5である。
なお、上記ナーリング部のRskは、表面形状計測装置を用いて計測できる。該表面形状計測装置としては、例えば、白色干渉式光学顕微鏡(例えば、Zygo社製NewView6300型)、原子間力顕微鏡(例えば、島津製作所社製SPM−9500型)等が挙げられる。
上記ナーリング部は、JIS B 0601(2001)で規定されるクルトシス(Rku)が、2.0〜4.0である。
上記ナーリング部のRkuが2.0未満であると、ナーリング部の形状が緩やかになり過ぎて充分な高さを出すのが困難となり、上記ナーリング部のRkuが4.0より大きいと、ナーリング部の形状が急峻になりすぎて、ナーリング部が硬度不足となり、上述したロール体としたときのエアー排除が不充分となる。
上記ナーリング部のRkuの好ましい下限は、2.5であり、好ましい上限は、3.0である。
なお、上記ナーリング部のRkuは、表面形状計測装置を用いて計測できる。該表面形状計測装置としては、例えば、白色干渉式光学顕微鏡(例えば、Zygo社製NewView6300型)、原子間力顕微鏡(例えば、島津製作所社製SPM−9500型)等が挙げられる。
上記ナーリング部のRkuが2.0未満であると、ナーリング部の形状が緩やかになり過ぎて充分な高さを出すのが困難となり、上記ナーリング部のRkuが4.0より大きいと、ナーリング部の形状が急峻になりすぎて、ナーリング部が硬度不足となり、上述したロール体としたときのエアー排除が不充分となる。
上記ナーリング部のRkuの好ましい下限は、2.5であり、好ましい上限は、3.0である。
なお、上記ナーリング部のRkuは、表面形状計測装置を用いて計測できる。該表面形状計測装置としては、例えば、白色干渉式光学顕微鏡(例えば、Zygo社製NewView6300型)、原子間力顕微鏡(例えば、島津製作所社製SPM−9500型)等が挙げられる。
上記ナーリング部の硬さは、100〜300N/mm2であることが好ましい。
上記ナーリング部の硬さが、100N/mm2未満であると、光学積層体をロール状に巻き取る際の巻き締りにより、ナーリング部が潰され、ブロッキングや温度変化に伴うシワが発生することがあり、300N/mm2を超えると、ロール体の端部に耳立ちが発生することがある。
上記ナーリング部の硬さのより好ましい下限は150N/mm2、より好ましい上限は250N/mm2である。
上記ナーリング部の硬さとは、H・フィッシャー社製表面被膜物性試験機(ピコデンター HM500)で測定した硬さを意味する。
上記ナーリング部の硬さが、100N/mm2未満であると、光学積層体をロール状に巻き取る際の巻き締りにより、ナーリング部が潰され、ブロッキングや温度変化に伴うシワが発生することがあり、300N/mm2を超えると、ロール体の端部に耳立ちが発生することがある。
上記ナーリング部の硬さのより好ましい下限は150N/mm2、より好ましい上限は250N/mm2である。
上記ナーリング部の硬さとは、H・フィッシャー社製表面被膜物性試験機(ピコデンター HM500)で測定した硬さを意味する。
上記ナーリング部の高さは、1μm〜10μmであることが好ましい。
上記ナーリング部の高さが、1μm未満であると、ブロッキングや温度変化に伴うシワが発生することがあり、10μmを超えると、ロール体の端部に耳立ちが発生することがある。
上記ナーリング部の高さのより好ましい下限は2μm、より好ましい上限は8μmである。
上記ナーリング部の高さとは、ナーリング部を含む光学積層体の総厚から、基材フィルム及び光学機能層の膜厚を除いた高さである。
上記ナーリング部の高さが、1μm未満であると、ブロッキングや温度変化に伴うシワが発生することがあり、10μmを超えると、ロール体の端部に耳立ちが発生することがある。
上記ナーリング部の高さのより好ましい下限は2μm、より好ましい上限は8μmである。
上記ナーリング部の高さとは、ナーリング部を含む光学積層体の総厚から、基材フィルム及び光学機能層の膜厚を除いた高さである。
上記ナーリング部の高さは、ロール状に巻き取ってロール体としたとき、上記ロール体の外周側よりも巻芯側の方が高いことが好ましい。
ロール体の巻芯に近いほど、光学積層体の巻き締りにより、ナーリング部が潰されることがあるからである。
上記「ロール体の外周側よりも巻芯側の方が高い」とは、巻芯側から30%までのナーリング部の高さが、残りの部分(残りの70%)よりも高いことを意味する。
ロール体の巻芯に近いほど、光学積層体の巻き締りにより、ナーリング部が潰されることがあるからである。
上記「ロール体の外周側よりも巻芯側の方が高い」とは、巻芯側から30%までのナーリング部の高さが、残りの部分(残りの70%)よりも高いことを意味する。
上記ナーリング部の配置は、ランダム状、直線状でもよく、種々なパターンのものが用いることができる。また、直線状にナーリング部を施した場合、一列直線状より複数列の直線状であることが好ましい。
上記ナーリング部が複数列の直線状である場合には、上記ナーリング部の高さは、光学積層体の幅方向における内側の列よりも外側の列の方が高いのが好ましい。
上記ナーリング部が複数列の直線状である場合には、上記ナーリング部の高さは、光学積層体の幅方向における内側の列よりも外側の列の方が高いのが好ましい。
上記ナーリング部は、通常、光学積層体の幅方向の両端部に10〜15mm程度の幅で形成されているが、光学積層体の幅方向の両端部に7〜8mmの幅で形成されていても本発明の効果を充分に発揮することができる。
上記ナーリング部は、本発明の効果が充分に発揮できる範囲であれば特に限定されないが、1cm2当たり10〜1000個となる間隔で形成されるのが好ましい。
上記ナーリング部は、インクジェット方式で形成されていることが好ましい。
上記ナーリング部は、耐ケン化性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、顔料、樹脂成分、及び、光重合開始剤を含有するナーリング用組成物を用いたインクジェット方式により形成されることが好ましい。
上記ナーリング部は、耐ケン化性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、顔料、樹脂成分、及び、光重合開始剤を含有するナーリング用組成物を用いたインクジェット方式により形成されることが好ましい。
上記顔料は、ナーリング用組成物の全質量に対して、0.1質量%以上、5.0質量%以下含有することが好ましい。上記顔料の含有量のより好ましい下限は1.0質量%である。
上記顔料としては、例えば、カーボンブラック、黒色酸化チタン、酸窒化チタン、窒化チタン、炭窒化チタン、銅、鉄、マンガン、バナジウム、ニッケル、コバルト、ジルコニウム等の複合酸化物、黒色酸化鉄や二酸化マンガン等の金属酸化物といった黒色無機顔料及びその混合物、アニリンブラック等の黒色有機顔料、ジアントラキノン、ハロゲン化銅フタロシアニン、銅フタロシアニン、その他のフタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ピラントロン系顔料等の多環キノン系顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ピロール系顔料、ピロロピロール系顔料、アゾ系顔料等の有機顔料が挙げられる。なかでも、銅及びその誘導体を用いるのが好ましい。
上記顔料の平均粒子径としては、0.001〜1μmの範囲で用いることが好ましい。
上記顔料の平均粒子径のより好ましい下限は0.01μm、より好ましい上限は0.5μmである。
また、種類、粒子径や屈折率の異なる2種以上の顔料を含有させてもよい。
上記顔料の平均粒子径のより好ましい下限は0.01μm、より好ましい上限は0.5μmである。
また、種類、粒子径や屈折率の異なる2種以上の顔料を含有させてもよい。
上記樹脂成分としては、例えば、アクリル系プレポリマー又はオリゴマー、多官能アクリレート系モノマーを含有するのが好ましい。上記アクリル系プレポリマー又はオリゴマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン系アクリレート等が挙げられる。
上記多官能アクリレート系モノマーとしては、例えば、2官能アクリレート系モノマーでは、エチレングリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、3官能以上のアクリレート系モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。また、本発明では、上記電離放射線硬化型樹脂として、上述した化合物をPO、EO等で変性したものも使用できる。
上記多官能アクリレート系モノマーとしては、例えば、2官能アクリレート系モノマーでは、エチレングリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、3官能以上のアクリレート系モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。また、本発明では、上記電離放射線硬化型樹脂として、上述した化合物をPO、EO等で変性したものも使用できる。
上記樹脂成分は、単独又は2種以上組み合わせて使用することができ、その配合割合は、ナーリング用組成物の全質量に対して、50質量%以上、95質量%以下含有することが好ましい。上記樹脂成分の含有量のより好ましい下限は70質量%であり、より好ましい上限は90質量%である。
上記光重合開始剤としては、公知のいずれのものを使用することもでき、例えば、アントラキノン、ベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビストリクロロメチルベンゾフェノン、ジブチルフェニルホスフィン、α,α−ジエトキシアセトフェノン、2−エチルアントラキノン、ベンゾインビスフェニル、クロロベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノンチオキサントン、メチルオルトベンゾイル安息香酸、パラジメチルアミノアセトフェノン等を例示することができるが、これらに限定されるわけではない。
上記光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて使用することができ、その配合割合は、ナーリング用組成物の全質量に対して、5〜15質量%が好ましい。
上記ナーリング用組成物は、物性を調整するための各種添加剤、例えば、界面活性剤等を含有させることができる。
上記ナーリング部には、インクジェットヘッドにより、上記ナーリング用組成物を塗布し、電離放射線により硬化することにより形成することができる。
上記インクジェットヘッドは従来公知のものを用いることができる。例えば、インク圧力室に圧電素子を備えた振動板を有しており、この振動板によるインク圧力室の圧力変化で塗布液を吐出させる剪断モード型(ピエゾ型)のヘッドであってもよい。
上記インクジェットヘッドは従来公知のものを用いることができる。例えば、インク圧力室に圧電素子を備えた振動板を有しており、この振動板によるインク圧力室の圧力変化で塗布液を吐出させる剪断モード型(ピエゾ型)のヘッドであってもよい。
上記ナーリング部は、後述する光学機能層用組成物を硬化させる前に、上記ナーリング用組成物を光学機能層用組成物の基材フィルムと反対側面上に塗付し、光学機能層用組成物の硬化と同時に硬化して形成されるのが好ましい。
上記ナーリング部を、上記光学機能層用組成物を硬化した後に形成すると、上記光学機能層と上記ナーリング部との密着性に劣ることがある。また、塗れ性の影響によって充分なナール高さを実現できないことがある。
上記ナーリング部を、上記光学機能層用組成物を硬化した後に形成すると、上記光学機能層と上記ナーリング部との密着性に劣ることがある。また、塗れ性の影響によって充分なナール高さを実現できないことがある。
上記ナーリング部の形状、高さ、配置、及び、間隔等は、インクジェットヘッドからの上記ナーリング用組成物の射出量等を調整することにより、制御することができる。
本発明の光学積層体は、基材フィルムの一方の面上に、光学機能層が積層された構成を有する。
上記基材フィルムを構成する樹脂成分としては特に限定されず、例えば、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル系樹脂が好適に用いられる。
上記基材フィルムを構成する樹脂成分としては特に限定されず、例えば、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル系樹脂が好適に用いられる。
上記(メタ)アクリル系樹脂からなる基材フィルム(以下、アクリル基材ともいう)は、有機微粒子を含有することが好ましい。
上記アクリル基材が有機微粒子を含有することで、アクリル基材の曲げ性が良好となり、また、溶媒等によりクラックが生じることも抑制される。
上記アクリル基材に含有される有機微粒子としては、ゴム弾性を示す層を含むゴム弾性体粒子が好ましく用いられる。このゴム弾性体粒子は、ゴム弾性を示す層のみからなる粒子であってもよいし、ゴム弾性を示す層とともに他の層を有する多層構造の粒子であってもよい。
また、上記アクリル基材に含有される有機微粒子としては、核及び殻からなるコアシェル構造のものが好ましく用いられる。
上記アクリル基材が有機微粒子を含有することで、アクリル基材の曲げ性が良好となり、また、溶媒等によりクラックが生じることも抑制される。
上記アクリル基材に含有される有機微粒子としては、ゴム弾性を示す層を含むゴム弾性体粒子が好ましく用いられる。このゴム弾性体粒子は、ゴム弾性を示す層のみからなる粒子であってもよいし、ゴム弾性を示す層とともに他の層を有する多層構造の粒子であってもよい。
また、上記アクリル基材に含有される有機微粒子としては、核及び殻からなるコアシェル構造のものが好ましく用いられる。
上記アクリル基材に含有される有機微粒子の材料としては、透明なものが好ましく、例えば、オレフィン系弾性重合体、ジエン系弾性重合体、スチレン−ジエン系弾性共重合体、アクリル系弾性重合体などが挙げられる。なかでも、光学積層体の表面硬度、耐光性、透明性の観点及び、温度に対する屈折率の変化がバインダーのアクリル樹脂と近しいので、広い温度範囲で透明性を有することができるとの観点から、アクリル系弾性重合体が好ましく用いられる。
上記アクリル系弾性重合体としては、(メタ)アクリル酸エステルを主体とする重合体が好ましい。これは、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、(メタ)アクリル酸エステル50質量%以上とそれ以外の単量体50質量%以下との共重合体であってもよい。(メタ)アクリル酸エステルとしては通常、アルキル基の炭素数が4〜8である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いられる。アクリル酸エステル以外の単量体を共重合させる場合、その例としては、スチレンやアルキルスチレンのようなスチレン系単量体、アクリロニトリルやメタクリロニトリルのような不飽和ニトリルなどの単官能単量体、また、(メタ)アクリル酸アリルや(メタ)アクリル酸メタリルのような不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、マレイン酸ジアリルのような二塩基酸のジアルケニルエステル、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなグリコール類の不飽和カルボン酸ジエステルなどの多官能単量体が挙げられる。
なお、後述する樹脂層中で有機微粒子を膨潤させる観点、及び、歪緩和作用を有させるとの観点からは、上記有機微粒子は、架橋密度を抑えて適度な弾性を有することが好ましい。また、アクリル基材に含有される有機微粒子はポリメタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、スチレン、アクリロニトリル、ベンゾアクリレート、アクリル酸及びメタアクリル酸の中から任意に選ばれるモノマーと共重合したアクリル弾性共重合体であることが好ましい。
上記アクリル系弾性重合体としては、(メタ)アクリル酸エステルを主体とする重合体が好ましい。これは、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、(メタ)アクリル酸エステル50質量%以上とそれ以外の単量体50質量%以下との共重合体であってもよい。(メタ)アクリル酸エステルとしては通常、アルキル基の炭素数が4〜8である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いられる。アクリル酸エステル以外の単量体を共重合させる場合、その例としては、スチレンやアルキルスチレンのようなスチレン系単量体、アクリロニトリルやメタクリロニトリルのような不飽和ニトリルなどの単官能単量体、また、(メタ)アクリル酸アリルや(メタ)アクリル酸メタリルのような不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、マレイン酸ジアリルのような二塩基酸のジアルケニルエステル、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなグリコール類の不飽和カルボン酸ジエステルなどの多官能単量体が挙げられる。
なお、後述する樹脂層中で有機微粒子を膨潤させる観点、及び、歪緩和作用を有させるとの観点からは、上記有機微粒子は、架橋密度を抑えて適度な弾性を有することが好ましい。また、アクリル基材に含有される有機微粒子はポリメタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、スチレン、アクリロニトリル、ベンゾアクリレート、アクリル酸及びメタアクリル酸の中から任意に選ばれるモノマーと共重合したアクリル弾性共重合体であることが好ましい。
上記アクリル基材に含有される有機微粒子としては、平均粒子径が10〜400nmのものが好ましく、50〜300nmのものがより好ましい。平均粒子径を10nm以上とすることにより、(メタ)アクリル系樹脂に発生するマイクロクラックの伝播を効果的に抑止することができ、400nm以下とすることにより、ヘイズの上昇を抑えることができる。また、上記有機微粒子は、アクリル基材中において凝集体を形成していないことが好ましい。
上記有機微粒子の平均粒径の測定においては、光学積層体の断面を透過型電子顕微鏡(STEM)で、倍率1万倍から3万倍で撮像した画面において、無作為に10個の有機微粒子を抽出し、各々の粒子径を算出した後、その数平均値を平均粒径とする。各粒子の直径は、粒子の断面において、最も長い径と最も短い径との平均値とする。同じ光学積層体の断面にて、同じ測定をn3で行い、3回分の平均値を最終的な平均粒径とする。
上記有機微粒子の平均粒径の測定においては、光学積層体の断面を透過型電子顕微鏡(STEM)で、倍率1万倍から3万倍で撮像した画面において、無作為に10個の有機微粒子を抽出し、各々の粒子径を算出した後、その数平均値を平均粒径とする。各粒子の直径は、粒子の断面において、最も長い径と最も短い径との平均値とする。同じ光学積層体の断面にて、同じ測定をn3で行い、3回分の平均値を最終的な平均粒径とする。
上記アクリル基材に含有される有機微粒子の含有量は、有機微粒子及び(メタ)アクリル系樹脂の合計量を基準に、25〜45質量%の割合であることが好ましい。有機微粒子をこの割合で配合することにより、上記(メタ)アクリル系樹脂に発生するマイクロクラックの伝播を抑止することができるとともに、フィルム加工適正を保り、ヘイズの上昇を抑えることができる。
その他、上記基材フィルムとしては、脂環構造を有した非晶質オレフィンポリマー(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)フィルムを挙げられる。これは、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体等が用いられる基材フィルムで、例えば、日本ゼオン社製のゼオネックスやゼオノア(ノルボルネン系樹脂)、住友ベークライト社製のスミライトFS−1700、JSR社製のアートン(変性ノルボルネン系樹脂)、三井化学社製のアペル(環状オレフィン共重合体)、Ticona社製のTopas(環状オレフィン共重合体)、日立化成社製のオプトレッツOZ−1000シリーズ(脂環式アクリル樹脂)等が挙げられる。
また、トリアセチルセルロースの代替基材として旭化成ケミカルズ社製のFVシリーズ(低複屈折率、低光弾性率フィルム)も挙げられる。
また、トリアセチルセルロースの代替基材として旭化成ケミカルズ社製のFVシリーズ(低複屈折率、低光弾性率フィルム)も挙げられる。
上記基材フィルムの厚さとしては、5〜100μmであることが好ましい。5μm未満であると、本発明の積層体の機械的強度が不足し、ガラス代替用途として本発明の積層体を用いることができないこと上がり、100μmを超えると、本発明の積層体の可撓性が不充分となることがある。上記基材フィルムの厚みは、より好ましい下限は20μm、より好ましい上限は80μmであり、更に好ましい下限は40μm、更に好ましい上限は60μmである。
上記基材フィルムは、表面に予めスパッタリング、コロナ放電、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化等のエッチング処理や下塗り処理が施されていてもよい。これらの処理が予め施されていることで、上記基材フィルム上に形成される光学機能層との密着性を向上させることができる。また、光学機能層を形成する前に、必要に応じて溶剤洗浄や超音波洗浄等により、基材フィルム表面は、除塵、清浄化されていてもよい。
上記光学機能層としては、特に限定されず、例えば、ハードコート層、防眩層、帯電防止層、低屈折率層等が挙げられる。
上記光学機能層は、一層であっても良いし、二層以上の構成であっても良い。
上記光学機能層がハードコート層である場合、上記ハードコート層を構成する材料としては透明性のものが好ましく、例えば、紫外線又は電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂が紫外線又は電子線の照射により硬化したものであることが好ましい。
上記電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、アクリレート系等の官能基を有する化合物等の1又は2以上の不飽和結合を有する化合物が挙げられる。1の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等を挙げることができる。2以上の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能化合物等を挙げることができる。なかでも、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)及びペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)が好適に用いられる。
上記光学機能層は、一層であっても良いし、二層以上の構成であっても良い。
上記光学機能層がハードコート層である場合、上記ハードコート層を構成する材料としては透明性のものが好ましく、例えば、紫外線又は電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂が紫外線又は電子線の照射により硬化したものであることが好ましい。
上記電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、アクリレート系等の官能基を有する化合物等の1又は2以上の不飽和結合を有する化合物が挙げられる。1の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等を挙げることができる。2以上の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能化合物等を挙げることができる。なかでも、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)及びペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)が好適に用いられる。
上記化合物のほかに、不飽和二重結合を有する比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も上記電離放射線硬化型樹脂として使用することができる。
上記電離放射線硬化型樹脂は、溶剤乾燥型樹脂(熱可塑性樹脂等、塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂)と併用して使用することもできる。溶剤乾燥型樹脂を併用することによって、上記ハードコート層を形成する際に、塗液の塗布面の被膜欠陥を有効に防止することができる。
上記電離放射線硬化型樹脂と併用して使用することができる溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。上記熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
上記電離放射線硬化型樹脂と併用して使用することができる溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。上記熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
また、上記ハードコート層は、熱硬化性樹脂を含有していてもよい。
上記熱硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を挙げることができる。
上記熱硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を挙げることができる。
上記ハードコート層は、上述した樹脂成分を含むハードコート層用組成物を用いて形成することができる。
上記ハードコート層用組成物は、溶剤が含まれていてもよく、該溶剤としては、例えば、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME、エチレングリコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
上記ハードコート層用組成物は、溶剤が含まれていてもよく、該溶剤としては、例えば、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME、エチレングリコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
上記ハードコート層用組成物は、更に光重合開始剤を含有することが好ましい。
上記光重合開始剤としては特に限定されず、公知のものを用いることができ、具体例には、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
上記光重合開始剤としては特に限定されず、公知のものを用いることができ、具体例には、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
上記光重合開始剤としては、上記ハードコート層用組成物に含まれる樹脂成分がラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることが好ましい。また、上記樹脂成分がカチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、上記光重合開始剤としては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることが好ましい。
上記ハードコート層用組成物における上記光重合開始剤の含有量は、上記樹脂成分100質量部に対して、0.5〜10.0質量部であることが好ましい。0.5質量部未満であると、形成するハードコート層の硬度が不充分となることがあり、10.0質量部を超えると、逆に硬化を阻害する可能性も出てくる。
上記ハードコート層用組成物は、コロイダルシリカを含有することが好ましい。
上記コロイダルシリカを含有することにより、ハードコート層の屈折率を好適に調整することができ、干渉縞の発生を防止することができる。更に、光学積層体の硬度(鉛筆硬度)を高めて、耐擦傷性を向上させることができる。また、表面に微細な凹凸が形成できるため、光学積層体同士の貼り付きを防止することもできる。
上記コロイダルシリカを含有することにより、ハードコート層の屈折率を好適に調整することができ、干渉縞の発生を防止することができる。更に、光学積層体の硬度(鉛筆硬度)を高めて、耐擦傷性を向上させることができる。また、表面に微細な凹凸が形成できるため、光学積層体同士の貼り付きを防止することもできる。
上記コロイダルシリカは、表面処理コロイダルシリカであることが好ましい。上記表面処理コロイダルシリカとしては、表面に紫外線反応性官能基を有するコロイダルシリカが挙げられる。上記紫外線反応性官能基としては特に限定されず、例えば、アクリレート基、メタクリレート基、エポキシ基等が挙げられる。
このような紫外線反応性官能基を表面に有するコロイダルシリカとしては、例えば、シリカ微粒子の表面に上記紫外線反応性官能基を有するシランカップリング剤を反応させる方法等により得ることができる。上記シランカップリング剤としては特に限定されず、公知のものを挙げることができ、例えば、KBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503(商品名、いずれも、信越化学工業社製)等が挙げられる。
このような紫外線反応性官能基を表面に有するコロイダルシリカとしては、例えば、シリカ微粒子の表面に上記紫外線反応性官能基を有するシランカップリング剤を反応させる方法等により得ることができる。上記シランカップリング剤としては特に限定されず、公知のものを挙げることができ、例えば、KBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503(商品名、いずれも、信越化学工業社製)等が挙げられる。
上記コロイダルシリカの平均粒子径は、5〜200nmであることが好ましい。5nm未満であると、均一な粒子径のコロイダルシリカの製造が困難となる。また粒子同士の凝集が大きくなるおそれもある。また、塗工液の粘度が高くなり塗工性が悪化するおそれがある。200nmを超えると、ヘイズが向上し光透過率も低下するため好ましくない。上記コロイダルシリカの平均粒子径のより好ましい下限は10nm、より好ましい上限は100nmである。
上記平均粒子径は、本発明の光学積層体の断面を電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)で観察し、測定して得られる値である。上記コロイダルシリカの平均粒子径は、ハードコート層用組成物中で分散した状態であっても、硬化後のハードコート層内においても、同じ数値を示すのである。
上記平均粒子径は、本発明の光学積層体の断面を電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)で観察し、測定して得られる値である。上記コロイダルシリカの平均粒子径は、ハードコート層用組成物中で分散した状態であっても、硬化後のハードコート層内においても、同じ数値を示すのである。
また、上記コロイダルシリカは、上記ハードコート層用組成物中で、単粒子状及び/又は異形粒子状であることが好ましい。
上記ハードコート層用組成物におけるコロイダルシリカの形態は、単粒子状、又は、異形粒子状のいずれかであってもよいが、形成するハードコート層のケン化耐性及び鉛筆硬度が良好になることから、より好ましくは異形粒子状である。
ここで、「異形粒子状」とは、3〜20個の球状のコロイダルシリカが無機の化学結合により結合した状態を意味する。このような異形粒子状のコロイダルシリカは、上述した表面処理コロイダルシリカであることで容易に形成することができる。
上記異形粒子状のコロイダルシリカは、球状のコロイダルシリカが無機の化学結合により結合した状態なため、鉛筆硬度試験等のような外部からの押込力がかかった際、つぶれにくい頑丈な性質を持っている。また、異形粒子状のコロイダルシリカは、表面面積が広く、またその形状から、上記ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート及び/又はジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートとの接着力が強くなる利点がある。そのため、異形粒子状のコロイダルシリカは、剥がれにくくケン化耐性等が向上する。更に、異形粒子状のコロイダルシリカは、該異形粒子状のコロイダルシリカ同士がランダムに絡み合うために、物理的にも頑丈になる。
また、単粒子状シリカでも、粒子径が大きくなると(例えば、平均粒子径が30nm以上)、鉛筆硬度試験等のような外部からの大きな押込力がかかった際、つぶれにくく頑丈となり、また、剥がれにくくなり、ケン化耐性も良好となる。
更に、単粒子状シリカの粒子径が小さくなった場合であっても(例えば、平均粒子径が30nm未満)、ハードコート層表面付近の硬度が増すため、耐SW性が良化する結果も得られる。
上記ハードコート層用組成物におけるコロイダルシリカの形態は、単粒子状、又は、異形粒子状のいずれかであってもよいが、形成するハードコート層のケン化耐性及び鉛筆硬度が良好になることから、より好ましくは異形粒子状である。
ここで、「異形粒子状」とは、3〜20個の球状のコロイダルシリカが無機の化学結合により結合した状態を意味する。このような異形粒子状のコロイダルシリカは、上述した表面処理コロイダルシリカであることで容易に形成することができる。
上記異形粒子状のコロイダルシリカは、球状のコロイダルシリカが無機の化学結合により結合した状態なため、鉛筆硬度試験等のような外部からの押込力がかかった際、つぶれにくい頑丈な性質を持っている。また、異形粒子状のコロイダルシリカは、表面面積が広く、またその形状から、上記ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート及び/又はジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートとの接着力が強くなる利点がある。そのため、異形粒子状のコロイダルシリカは、剥がれにくくケン化耐性等が向上する。更に、異形粒子状のコロイダルシリカは、該異形粒子状のコロイダルシリカ同士がランダムに絡み合うために、物理的にも頑丈になる。
また、単粒子状シリカでも、粒子径が大きくなると(例えば、平均粒子径が30nm以上)、鉛筆硬度試験等のような外部からの大きな押込力がかかった際、つぶれにくく頑丈となり、また、剥がれにくくなり、ケン化耐性も良好となる。
更に、単粒子状シリカの粒子径が小さくなった場合であっても(例えば、平均粒子径が30nm未満)、ハードコート層表面付近の硬度が増すため、耐SW性が良化する結果も得られる。
上記コロイダルシリカの市販品としては、例えば、IPAST、IPASTS、IPASTMS、IPASTL、IPASTZL、IPASTUP、MIBKSTD1、MIBKSTL、MIBKSTMS(いずれも、商品名、日産化学社製)等が挙げられる。
上記コロイダルシリカの配合量は、ハードコート層用組成物の樹脂固形分との合計100質量%に対して、30〜70質量%であることが好ましい。
また、上記ハードコート層用組成物は、後述する浸透性溶剤を用いなくてもよい。この場合、形成するハードコート層と基材フィルムとの界面において干渉縞が出やすい環境となる。しかしながら、上記コロイダルシリカの配合量を30質量%以上とすることで、形成するハードコート層の屈折率と基材フィルムの屈折率との差を小さくすることができ、基材フィルムとハードコート層との界面における干渉縞の発生を好適に防止することができる。また、ハードコート層の硬度の低下も好適に防止することができる。一方、上記配合量が70質量%を超えると、相対的にハードコート層中のバインダー樹脂量が不足し、形成するハードコート層の基材フィルムに対する密着性が低下するおそれがある。上記コロイダルシリカの配合量のより好ましい範囲は、35〜60質量%である。
また、上記ハードコート層用組成物は、後述する浸透性溶剤を用いなくてもよい。この場合、形成するハードコート層と基材フィルムとの界面において干渉縞が出やすい環境となる。しかしながら、上記コロイダルシリカの配合量を30質量%以上とすることで、形成するハードコート層の屈折率と基材フィルムの屈折率との差を小さくすることができ、基材フィルムとハードコート層との界面における干渉縞の発生を好適に防止することができる。また、ハードコート層の硬度の低下も好適に防止することができる。一方、上記配合量が70質量%を超えると、相対的にハードコート層中のバインダー樹脂量が不足し、形成するハードコート層の基材フィルムに対する密着性が低下するおそれがある。上記コロイダルシリカの配合量のより好ましい範囲は、35〜60質量%である。
上記ハードコート層用組成物は、上記コロイダルシリカを含有する場合、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及び/又はジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。上記ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及び/又はジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートを含むことにより、基材フィルムに浸透しない溶剤を使用した場合であっても基材とハードコート層との密着性を良好にすることができる。また、硬度が高い光学積層体とすることができる。
上記ハードコート層用組成物は、上記コロイダルシリカを含有する場合、上記基材フィルムに対して浸透性を有しない溶剤(以下、「非浸透性溶剤」という。)を用いてもよい。
上記非浸透性溶剤とは、その溶剤を含む組成物を塗工する基材フィルムに対して、浸透せず、湿潤性や膨潤性を発現しない溶剤である。上述のように、非浸透性溶剤を用いてハードコート層を形成することにより、基材フィルムを溶解又は膨潤させることなく、干渉縞の発生を防ぎ、基材フィルムとハードコート層の密着性を高めることができる。
ただし、上記非浸透性溶剤を用いたとしても、厳密には非浸透性溶剤を含む組成物が基材フィルムに僅かに浸透した層(以下、「浸透層」という。)が形成されることもある。上記浸透層が形成される場合、該浸透層の厚さは、0.70μm以下であることが好ましい。0.70μmを超えると、鉛筆硬度が低下することがある。
なお、従来、干渉縞の発生を防ぐことを目的に用いられていた浸透性溶剤を用いた場合、上記浸透層の厚さは1.0μmを超えるものとなる。
上記非浸透性溶剤とは、その溶剤を含む組成物を塗工する基材フィルムに対して、浸透せず、湿潤性や膨潤性を発現しない溶剤である。上述のように、非浸透性溶剤を用いてハードコート層を形成することにより、基材フィルムを溶解又は膨潤させることなく、干渉縞の発生を防ぎ、基材フィルムとハードコート層の密着性を高めることができる。
ただし、上記非浸透性溶剤を用いたとしても、厳密には非浸透性溶剤を含む組成物が基材フィルムに僅かに浸透した層(以下、「浸透層」という。)が形成されることもある。上記浸透層が形成される場合、該浸透層の厚さは、0.70μm以下であることが好ましい。0.70μmを超えると、鉛筆硬度が低下することがある。
なお、従来、干渉縞の発生を防ぐことを目的に用いられていた浸透性溶剤を用いた場合、上記浸透層の厚さは1.0μmを超えるものとなる。
上記非浸透性溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びメチルイソブチルケトンからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
なお、上記プロパノールとしては、例えば、ノルマルプロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
また、上記ブタノールとしては、例えば、ノルマルブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール等が挙げられる。
なお、上記プロパノールとしては、例えば、ノルマルプロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
また、上記ブタノールとしては、例えば、ノルマルブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール等が挙げられる。
上記非浸透性溶剤の配合量は、ハードコート層用組成物中樹脂固形分100質量部に対して、50〜300質量部であることが好ましい。50質量部未満であると、樹脂の粘度が高くなり、塗工性が悪化するおそれがある。300質量部を超えると、所定の膜厚が得られなくなり、硬度が低下するおそれがある。
上記コロイダルシリカを含有するハードコート層を有する光学積層体では、JIS K5600−5−4(1999)による鉛筆硬度試験(荷重4.9N)において、2H以上であることが好ましく、3H以上であることがより好ましく、4H以上であることが更に好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
上記ハードコート層用組成物は、帯電防止性能を付与する観点から、帯電防止剤を含有することが好ましい。
上記帯電防止剤としては、4級アンモニウム塩を含むことが好ましい。上記帯電防止剤が4級アンモニウム塩を含むことにより、ハードコート層に特に好適な帯電防止性を付与することができる。
上記帯電防止剤としては、4級アンモニウム塩を含むことが好ましい。上記帯電防止剤が4級アンモニウム塩を含むことにより、ハードコート層に特に好適な帯電防止性を付与することができる。
上記4級アンモニウム塩は、重量平均分子量が1000〜5万であることが好ましい。1000未満であると、帯電防止剤自身が基材フィルム中へ浸透してしまい、効率良くハードコート層の表面に存在しなくなり、帯電防止性(特に、表面抵抗)が満足できないものとなることがある。5万を超えると、上記ハードコート層用組成物の粘度が高くなり塗工性が悪化することがある。上記重量平均分子量のより好ましい下限は1500であり、より好ましい上限は3万である。
なお、上記4級アンモニウム塩の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算により求めることができる。GPC移動相の溶剤には、テトラヒドロフランやクロロホルムを使用することができる。測定用カラムは、テトラヒドロフラン用又はクロロホルム用のカラムの市販品カラムを組み合わせて使用するとよい。上記市販品カラムとしては、例えば、Shodex GPC KF−801、GPC KF−802、GPC KF−803、GPC KF−804、GPC KF−805 GPC−KF800D(いずれも、商品名、昭和電工社製)等を挙げることができる。検出器には、RI(示差屈折率)検出器及びUV検出器を使用するとよい。このような溶剤、カラム、検出器を使用して、例えば、Shodex GPC−101(昭和電工社製)等のGPCシステムにより、上記重量平均分子量を適宜測定することができる。
上記4級アンモニウム塩は、光反応性不飽和結合を有する化合物であることが好ましい。上記光反応性不飽和結合を有することにより、形成するハードコート層を高硬度とすることが可能となる。上記光反応性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル基を有する化合物等が挙げられる。
上記4級アンモニウム塩としては市販品を用いることもできる。上記4級アンモニウム塩の市販品としては、例えば、H6100、H6100M、H0600X(商品名、三菱化学社製)、ユニレジンAS−10/M、ユニレジンAS−12/M、ユニレジンAS−15/M、ユニレジンASH26(商品名、新中村化学社製)等が挙げられる。
上記ハードコート層用組成物における上記4級アンモニウム塩の含有量としては、全固形分中1〜20質量%であることが好ましい。1質量%未満であると、所望の帯電防止性やアンチブロッキング性が発現されないおそれがある。20質量%を超えると、ヘイズが上昇して光透過率が低下するおそれがある。また、コストの面でも好ましくない。上記4級アンモニウム塩の含有量のより好ましい下限は1質量%であり、より好ましい上限は10質量%である。
上記ハードコート層用組成物中における原料の含有割合(固形分)としては特に限定されないが、通常は5〜70質量%、特に25〜60質量%とすることが好ましい。
上記ハードコート層は、例えば、上述した電離放射線硬化型樹脂のモノマー成分及び溶剤を含有するハードコート層用組成物を、上記基材フィルム上に塗布し、乾燥させて形成した塗膜を電離放射線照射等により硬化させることで形成することができる。
上記ハードコート層用組成物には、ハードコート層の硬度を高くする、硬化収縮を抑える、屈折率を制御する等の目的に応じて、従来公知の分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤等を添加していてもよい。
上記レベリング剤としては、例えば、シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤等が、ハードコート層がベナードセル構造となることを回避することから好ましい。溶剤を含む樹脂組成物を塗工し、乾燥する場合、塗膜内において塗膜表面と内面とに表面張力差等を生じ、それによって塗膜内に多数の対流が引き起こされる。この対流により生じる構造はベナードセル構造と呼ばれ、形成するハードコート層にゆず肌や塗工欠陥といった問題の原因となる。
上記レベリング剤としては、例えば、シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤等が、ハードコート層がベナードセル構造となることを回避することから好ましい。溶剤を含む樹脂組成物を塗工し、乾燥する場合、塗膜内において塗膜表面と内面とに表面張力差等を生じ、それによって塗膜内に多数の対流が引き起こされる。この対流により生じる構造はベナードセル構造と呼ばれ、形成するハードコート層にゆず肌や塗工欠陥といった問題の原因となる。
上記ハードコート層用組成物の調製方法としては各成分を均一に混合できれば特に限定されず、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー、ミキサー等の公知の装置を使用して行うことができる。
上記ハードコート層用組成物を基材フィルム上に塗布する方法としては特に限定されず、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の公知の方法を挙げることができる。
また、上記乾燥後の塗膜を硬化させる際の電離放射線の照射方法としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯等の光源を用いる方法が挙げられる。
また、紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
また、紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
ハードコート層は、耐ブロッキング性を有することが好ましい。
また、上記ハードコート層用組成物は、粒子表面に反応性官能基を有し、平均1次粒子径が10〜100nmの反応性シリカ微粒子、平均1次粒子径が100〜300nmの易滑剤、平均2次粒子径が500nm〜2000nmの2次粒子、1分子中に上記反応性シリカ微粒子の反応性官能基との架橋反応性を有する反応性官能基を2個以上有し、分子量が1000以下である多官能モノマー、及び、溶剤、を含み、平均2次粒子径が2000nmよりも大きい2次粒子を含まず、かつ、上記反応性シリカ微粒子、及び、上記多官能モノマーの合計質量に対して当該易滑剤を0.2〜8質量%含むことが好ましい。
上記構成により、高硬度で、充分な耐ブロッキング性を有しながら、ヘイズが低く、全光線透過率も高い光学積層体を得ることができる。
また、上記ハードコート層用組成物は、粒子表面に反応性官能基を有し、平均1次粒子径が10〜100nmの反応性シリカ微粒子、平均1次粒子径が100〜300nmの易滑剤、平均2次粒子径が500nm〜2000nmの2次粒子、1分子中に上記反応性シリカ微粒子の反応性官能基との架橋反応性を有する反応性官能基を2個以上有し、分子量が1000以下である多官能モノマー、及び、溶剤、を含み、平均2次粒子径が2000nmよりも大きい2次粒子を含まず、かつ、上記反応性シリカ微粒子、及び、上記多官能モノマーの合計質量に対して当該易滑剤を0.2〜8質量%含むことが好ましい。
上記構成により、高硬度で、充分な耐ブロッキング性を有しながら、ヘイズが低く、全光線透過率も高い光学積層体を得ることができる。
上記反応性シリカ微粒子は、ハードコート層に硬度を付与する成分であり、ハードコート層用組成物が紫外線等の光によって硬化する際に、その粒子表面の反応性官能基が後述する上記多官能モノマーの反応性官能基と重合、及び/又は、架橋反応し得る。
上記反応性シリカ微粒子の有する反応性官能基は、光によって上記多官能モノマーの反応性官能基と反応し得る基であれば良い。反応性官能基は、重合性不飽和基であることが好ましく、より好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合及びエポキシ基等が挙げられる。反応性官能基は、メタクリロイル基又はメタクリロイルオキシ基が好ましい。
上記反応性シリカ微粒子としては、従来公知のものを用いて良く、例えば、特開2008−165040号公報記載の反応性シリカ微粒子を用いることができる。具体的には、例えば、日産化学工業社製のMIBK−SD(平均1次粒子径12nm)、MIBK−SDMS(平均1次粒子径20nm)、MIBK−SDUP(平均1次粒子径9−15nm、鎖状)、日揮触媒化成社製のELCOM DP1116SIV(平均1次粒子径12nm)、ELCOM DP1129SIV(平均1次粒子径7nm)、ELCOM DP1061SIV(平均1次粒子径12nm)、ELCOM DP1050SIV(平均1次粒子径12nm、フッ素コート)、ELCOM DP1037SIV(平均1次粒子径12nm)、ELCOM DP1026SIV(平均1次粒子径12nm、アルミナコート)、荒川化学工業社製のビームセットLB1(平均1次粒子径20nm)、ビームセット904(平均1次粒子径20nm)、ビームセット907(平均1次粒子径20nm)、商品名MIBK−SDL、日産化学工業社製、平均1次粒子径44nm等が挙げられる。これらの中でも、好ましい反応性官能基を有している日産化学工業社製のMIBK−SD(平均1次粒子径12nm)やMIBK−SDL(平均1次粒子径44nm)、日揮触媒化成社製のELCOM DP1129SIV(平均1次粒子径7nm)、ELCOM DP1050SIV(平均1次粒子径12nm、フッ素コート)、ELCOM DP1026SIV(平均1次粒子径12nm、アルミナコート)、ELCOM DP1116SIV(平均1次粒子径12nm)、ELCOM DP−1119SIV平均1次粒子径が100nmが好適に用いられる。
上記反応性シリカ微粒子の形状は、例えば、真球、略球状、楕円形状又は不定形等が挙げられる。
上記反応性シリカ微粒子の形状は、例えば、真球、略球状、楕円形状又は不定形等が挙げられる。
上記反応性シリカ微粒子の平均1次粒子径は、10〜100nmである。10nm未満ではハードコート層に十分な硬度を付与できないおそれがあり、100nmを超えるとハードコート層のヘイズが上昇し、透明性が低下する。
上記反応性シリカ微粒子は、平均1次粒子径が10〜100nmであれば、単一の平均1次粒子径のものを単独で用いても良いし、異なる平均1次粒子径のものを2種以上を組み合わせて用いても良い。また、上記反応性シリカ微粒子の反応性官能基、形状等は同じであっても良いし、異なっていても良い。
上記反応性シリカ微粒子の含有割合は、後述する上記多官能モノマーとの合計質量に対して、30〜70質量%であることが好ましく、40〜60質量%が更に好ましい。上記反応性シリカ微粒子の含有割合が少ない場合は高い硬度のハードコートフィルムが得られず、多い場合はハードコートフィルムがもろくなる。
また、上記反応性シリカ微粒子は後述するように、上記2次粒子に含まれて、上記易滑剤よりも粒径が大きくなり、高い耐ブロッキング性を発現する3種凝集2次粒子の形成に寄与する。
また、上記反応性シリカ微粒子は後述するように、上記2次粒子に含まれて、上記易滑剤よりも粒径が大きくなり、高い耐ブロッキング性を発現する3種凝集2次粒子の形成に寄与する。
上記易滑剤は、耐ブロッキング性を発現するためのハードコート層表面の微細な凹凸形状の形成に寄与する平均1次粒子径100〜300nmの粒子である。
また、上記易滑剤は後述するように、上記2次粒子に含まれて、当該易滑剤よりも粒径が大きくなり、高い耐ブロッキング性を発現する3種凝集2次粒子の形成に寄与する。
上記易滑剤の平均1次粒子径が、100nm未満では、上記易滑剤が上記反応性シリカ微粒子の粒子群内に埋没し、凝集しにくいため、充分な耐ブロッキング性が発現せず、300nmより大きくなるとハードコート層の透明性が低下し、ヘイズが上昇する。
また、上記易滑剤は後述するように、上記2次粒子に含まれて、当該易滑剤よりも粒径が大きくなり、高い耐ブロッキング性を発現する3種凝集2次粒子の形成に寄与する。
上記易滑剤の平均1次粒子径が、100nm未満では、上記易滑剤が上記反応性シリカ微粒子の粒子群内に埋没し、凝集しにくいため、充分な耐ブロッキング性が発現せず、300nmより大きくなるとハードコート層の透明性が低下し、ヘイズが上昇する。
上記易滑剤としては、例えば、平均1次粒子径が300nm以下の有機シリコーン微粒子や、平均1次粒子径が100〜300nmの親水性微粒子(シリカ微粒子)を用いることができる。有機シリコーン微粒子とは、シロキサン結合を骨格とし有機基を有する高分子化合物(ポリマー微粒子)等を表す。有機基としては、異種原子を含む又は含まない炭化水素基のほかポリエーテル基、ポリエステル基、アクリル基、ウレタン基、及びエポキシ基等を例示できる。有機シリコーン微粒子の形状は、略球状、例えば真球状、回転楕円体状等であってもよく、真球状であることがより好ましい。親水性微粒子(シリカ微粒子)の形状は、特に限定はないが、楕円形等の略球状や新球状であると、反射光等が拡散するきっかけとなる角ばった部分がないのでヘイズになりにくく、好ましい。
上記易滑剤は親水性であるものか、表面処理剤で親水性が付与されているものを用いることが好ましい。親水性の易滑剤が、疎水性であるハードコート樹脂中に存在すると、水分が存在する空気界面、つまりハードコート層表面に浮きやすくなり、また、2次粒子を効率的に作ることができる。しかし、親水性の易滑剤が偏在すると、疎水性のハードコート樹脂や疎水処理された反応性シリカと共に後述する3種凝集2次粒子は形成されず、易滑剤単独の2次粒子ばかりが形成され、好ましい耐ブロッキング性は得られない。そこで、親水性の易滑剤を、疎水性のハードコート樹脂中に分散させ、かつ、3種凝集2次粒子をつくるために、分散剤を添加する。
好ましい分散剤としては、溶剤系、電離放射線硬化型バインダーに用いられるものであれば特に限定されない。
好ましい分散剤としては、溶剤系、電離放射線硬化型バインダーに用いられるものであれば特に限定されない。
例えば、アニオン性分散剤(アニオン性界面活性剤)としては、N−アシル−N−アルキルタウリン塩、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アニオン性スルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。これらアニオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
カチオン性分散剤(カチオン性界面活性剤)には、四級アンモニウム塩、アルコキシル化ポリアミン、脂肪族アミンポリグリコールエーテル、脂肪族アミン、脂肪族アミンと脂肪族アルコールから誘導されるジアミンおよびポリアミン、脂肪酸から誘導されるイミダゾリンおよびこれらのカチオン性物質の塩が含まれる。これらカチオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
両イオン性分散剤は、上記アニオン性分散剤が分子内に有するアニオン基部分とカチオン性分散剤が分子内に有するカチオン基部分を共に分子内に有する分散剤である。
ノニオン性分散剤(ノニオン性界面活性剤)としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル等を挙げることができる。これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルが好ましい。これらノニオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記分散剤は、バインダーとしては働かないので添加しすぎると硬化を妨害してしまうことがある。また、あまり高分子であるとバインダーとの相溶性が得にくい。よって好ましい分散剤としては、数平均分子量が2000から2万の化合物であり、少量の添加で効果のあるものが好適に用いられる。その具体例としては、アニオン性分散剤のビックケミー・ジャパン株式会社製DISPERBYK−163、DISPERBYK−170、DISPERBYK−183等が挙げられる。
上記親水性処理された有機シリコーン微粒子の市販品としては、例えば、竹本油脂社製の商品名パイオニンシリーズ等が挙げられる。
上記親水性微粒子の市販品としては、例えば、CIKナノテック社製の商品名SIRMEK−E03、日産化学工業社製の商品名IPA−ST−ZL等が挙げられる。
上記親水性微粒子の市販品としては、例えば、CIKナノテック社製の商品名SIRMEK−E03、日産化学工業社製の商品名IPA−ST−ZL等が挙げられる。
上記易滑剤は、平均1次粒子径が100〜300nmであれば、単一の平均1次粒子径のものを単独で用いても良いし、異なる平均1次粒子径のものを2種以上組み合わせて用いても良い。また、上記易滑剤を2種以上組み合わせて用いる場合、その材質、形状等は同じであっても良いし、異なっていても良い。
上記易滑剤の含有割合は、上記反応性シリカ微粒子及び上記多官能モノマーの合計質量に対して、0.2〜8質量%であるが、1〜5質量%であることがより好ましい。
上記2次粒子は、ハードコート層用組成物が硬化する際に、ハードコート層表面における微細な小突起形状の形成、すなわちハードコート層への耐ブロッキング性の付与に寄与する成分である。
上記2次粒子は、少なくとも上記易滑剤を含有し、平均2次粒子径が500nm〜2000nmである。上記2次粒子の平均2次粒子径が、500nm未満ではハードコート層に十分な耐ブロッキング性を付与することができないおそれがあり、2000nmを超えると凝集が不安定になり、ハードコート層の透明性が損なわれる。
上記2次粒子は、少なくとも上記易滑剤を含有し、平均2次粒子径が500nm〜2000nmである。上記2次粒子の平均2次粒子径が、500nm未満ではハードコート層に十分な耐ブロッキング性を付与することができないおそれがあり、2000nmを超えると凝集が不安定になり、ハードコート層の透明性が損なわれる。
上記2次粒子は、上記易滑剤同士が凝集した2次粒子であっても良いし、当該易滑剤と上記反応性シリカ微粒子と上記多官能モノマーが凝集した3種凝集2次粒子であっても良い。そのため、2次粒子の粒子径は単一の粒径である場合もあれば、異なる複数の粒径である場合もある。
上記2次粒子を形成しなければならない理由は、例えば、反応性シリカ微粒子のみでは、分散性が良いため製膜時に反応性シリカ微粒子が均一に分散し、易滑性が発現されるほどの小突起が形成されないが、上記易滑剤を入れて2次粒子を作ることで、易滑性が発現可能な小突起をハードコート層の表面に作り出せるようになるからである。
上記反応性シリカ微粒子と上記易滑剤が存在する場合、上記反応性シリカ微粒子と上記易滑剤からなる2次粒子は当然出来上がることが推測され、実際にそれらを混合するとそのような2次粒子が確認される。しかし、そのような2次粒子だけでは低へイズ、高透明でかつ耐ブロッキング性のあるハードコートフィルムは得られない。反応性シリカ微粒子と上記易滑剤と上記多官能モノマーが凝集した3種凝集2次粒子が、適当な量でハードコート層の表面に存在することが重要である。
また、上記2次粒子の平均2次粒子径が重要である。反応性シリカ微粒子と上記易滑剤がそれぞれの平均1次粒子径の範囲内でないと、できあがる3種凝集2次粒子が最適な粒径とならないだけではなく、最適な形状とならない。例えば、反応性シリカ微粒子及び/又は易滑剤の平均1次粒子径が過剰に大きい場合は、3種凝集2次粒子が一見好ましい大きさであっても、凝集体の形状が角度成分が多い状態になりやすく、ヘイズの上昇、及び透過率低下の原因になる。尚、ここで角度成分とは、2個の大粒子が隣り合わせで密着して凝集体を形成した場合に、凝集体の表面に出来上がる凸凹のうち、凸となる鋭角部分等を意味する。
小さな粒子が凝集体をつくると、空間を埋めるように凝集体の全体に小粒子が埋まり、その結果、凝集体自身が丸い形状になるので角度成分は少ないが、大きな粒子が上記小さな粒子による凝集体と同じ粒径の凝集体になると、空間を埋めるように凝集体の全体に大粒子は埋まらず、うまく丸い形状にまとまることができず、どこかしら粒子がはみ出したような形状(凝集体の表面が凸凹状態)になる。凝集体の輪郭がほぼ丸いと、光が拡散するきっかけは少ないが、凹凸形状であると、鋭角部が多いため、反射光や入射光が拡散する角度が大きくなり、ヘイズ上昇、透過率低下の原因となる。
また、例えば、上記2次粒子や3種凝集2次粒子と同じ大きさかつ、バインダーと同じ屈折率の大粒子を入れても、耐ブロッキング性は得られるが、光学特性は悪化する。したがって、ハードコート層の表面の小突起の形状が同じ高さであっても、小突起の形が急峻であるため、光拡散性が大きくなって白化してしまう。
2次粒子の形成の際には、上記易滑剤の粒径や添加量で平均2次粒子径を制御する。上記易滑剤の量を多くするほど2次粒子の粒径が大きくなる。
粒子が凝集するメカニズムは、以下のとおりに推測される。一般的に、親水処理をした粒子である易滑剤は、疎水性のバインダーマトリックス中では凝集しやすく、かつ、空気中の水分が存在するハードコート層の表面方向に浮きやすい。親水処理をした易滑剤は、分散剤によって疎水性樹脂(ハードコートマトリックス成分)にも適切に分散できるようになる。反応性シリカ微粒子は、反応性基が疎水性であるため、ハードコートマトリックス成分と混合しやすく、結合しやすい。また、シリカ自身は親水性であるため、親水処理された易滑剤の周りにも集合しやすい。この時、反応性シリカは既にマトリックス樹脂と一緒になった状態で、易滑剤と凝集することになる。更に、易滑剤の周りに存在する分散剤が疎水性であることにより、層内に多量に存在している反応性シリカ(A)や疎水性バインダー成分ともうまくなじむので、反応性シリカ微粒子、易滑剤、マトリックス樹脂とが凝集すると同時に、層内でゲル化することなく、ハードコート表面付近で分散することになる。これらの反応が総合した結果、耐ブロッキング性を効果的に発揮することができる3種凝集2次粒子が形成されると考えられる。
ハードコート層用組成物における上記2次粒子の形成は、例えば、大塚電子社製の商品名FPAR−1000を用いて、動的光散乱法により、ハードコート層用組成物(後述するインキ1及びインキ2を含む)中の粒子の粒径分布を測定することにより確認することができる。すなわち、ハードコート層用組成物に含まれる微粒子は、平均1次粒子径が10〜100nmの反応性シリカ微粒子と平均1次粒子径が100〜300nmの上記易滑剤であることから、上記動的光散乱法により得られる粒径値と散乱強度分布のグラフにおいて平均粒径が300nmより大きい微粒子が観測されることにより、上記2次粒子の形成が確認できる。
上記2次粒子は、好ましくは反応性シリカ、易滑剤、多官能モノマーを含有する凝集体である、すなわち、粒子と粒子の間にバインダー樹脂が存在しているような凝集粒子であるため、凝集体自身に柔軟性がある。この凝集体によって形成される小突起の形状は、当該2次粒子と同じ粒径の易滑剤の1次粒子に比べて、ハードコート層表面が滑らかになり、突出部起因の傷がつきにくく、硬度が良好に保たれ、かつ、形状が滑らかであるのでヘイズの原因にもなりにくく、ハードコート層のヘイズの上昇を抑え、全光線透過率を高めることができる。また、粒径が100nmを超える無機物質のみからなる粒子を含むとヘイズの原因になりやすいが、2次粒子が樹脂を含んだ凝集体であるためヘイズになりにくいという利点もある。
上記多官能モノマーは、反応性官能基を2個以上有し、ハードコート層用組成物の硬化時にその反応性官能基により、上記反応性シリカ微粒子の反応性官能基と重合、及び/又は、架橋反応し、網目構造を形成してハードコート層のマトリクスとなる成分である。
上記多官能モノマーの反応性官能基は、上記反応性シリカ微粒子の反応性官能基と反応可能なものであれば良く、例えば、重合性不飽和基であることが好ましく、より好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合及びエポキシ基等が挙げられる。反応性官能基は、アクリロイル基又はアクリロイルオキシ基であることが好ましい。
上記多官能モノマーの反応性官能基の数は、2個以上であるが、架橋密度を高めてハードコート層の硬度を高める観点から、3〜12個が好ましい。
上記多官能モノマーの分子量は1000以下であり、好ましくは、100〜800である。分子量が1000以下であることで、ハードコート層用組成物の硬化時に微細な凹凸形状を形成しやすい。又、基材がトリアセチルセルロースの場合、浸透性溶剤とともに、多官能モノマーも基材内部へ浸透し干渉縞防止効果が得られる。
上記多官能モノマーとしては、上述したハードコート層用組成物と同様のものを用いることができる。
上記多官能モノマーとしては、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)及びジペンタエリスリトールテトラアクリレート(DPHA)が好ましい。
上記多官能モノマーとしては、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)及びジペンタエリスリトールテトラアクリレート(DPHA)が好ましい。
上記多官能モノマーの含有割合は、上記反応性シリカ微粒子、及び、上記多官能モノマーの合計質量に対して、30〜70質量%であることが好ましい。
上記多官能モノマーは、上述したものを1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
また、より高硬度にするためには、カチオン重合性よりもラジカル重合性の化合物が理由は不明だが、架橋密度が高くなりやすく好ましい。
上記多官能モノマーは、上述したものを1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
また、より高硬度にするためには、カチオン重合性よりもラジカル重合性の化合物が理由は不明だが、架橋密度が高くなりやすく好ましい。
上記溶剤は、ハードコート層用組成物の粘度を調整し、ハードコート層用組成物に塗工性を付与する成分である。
上記溶剤としては、上述したハードコート層用組成物と同様のものを用いることができる。
上記溶剤としては、上述したハードコート層用組成物と同様のものを用いることができる。
上記溶剤は、基材フィルムに対する浸透性を有する浸透性溶剤であることが好ましく、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
浸透性溶剤を用いることで、表面に耐ブロッキング性を発現するための微細な凹凸形状を形成しやすいからである。
浸透性溶剤を用いることで、表面に耐ブロッキング性を発現するための微細な凹凸形状を形成しやすいからである。
なお、浸透とは、基材フィルムを溶解、膨潤又は湿潤させる性質をいう。
溶剤は、上述したものを1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記溶剤は、所望の塗工性等に応じて適宜用いれば良いが、ハードコート層用組成物の固形分が20〜60質量%になるように用いるのが好ましく、30〜50質量%となるように用いることがより好ましい。
溶剤は、上述したものを1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記溶剤は、所望の塗工性等に応じて適宜用いれば良いが、ハードコート層用組成物の固形分が20〜60質量%になるように用いるのが好ましく、30〜50質量%となるように用いることがより好ましい。
上記ハードコート層の厚みは特に限定されないが、1〜20μmであることが好ましい。
上記ハードコート層の厚みは5〜15μmであることがより好ましい。
上記ハードコート層の厚みは5〜15μmであることがより好ましい。
また、他の態様としては、上記光学機能層が、上記基材フィルムの一方の面上に上述した耐ブロッキング性を有するハードコート層(以下、ハードコート層(A)ともいう)と、上記基材フィルムの他方の面上にハードコート層(以下、ハードコート層(B)ともいう)とを有し、上記ハードコート層(A)は、反応性官能基を有するレベリング剤及びバインダー樹脂を含有するハードコート層(A)用組成物を用いて形成された層であり、上記ハードコート層(B)は、反応性官能基を有さないレベリング剤、易滑剤及びバインダー樹脂を含有するハードコート層(B)用組成物を用いて形成された層であることが好ましい。
上記構成により、互いに貼り付くのを防止することができ、かつ、後加工印刷時の塗工性にも優れたものとすることができる。
上記構成により、互いに貼り付くのを防止することができ、かつ、後加工印刷時の塗工性にも優れたものとすることができる。
上記ハードコート層(A)は、反応性官能基を有するレベリング剤及びバインダー樹脂を含有するハードコート層(A)用組成物を用いて形成されるのが好ましい。
ここで、一般に、レベリング剤は、乾燥過程の塗膜表面に配向して、塗膜の表面張力を均一化し、浮きまだらやハジキを防止し、被塗物への濡れを改良し得るものである。ハードコート層(A)が反応性官能基を有するレベリング剤を含有することが好ましい。このようなレベリング剤を含有することにより、上記ハードコート層(A)を有する光学積層体をロールで巻き取る際に裏移りを防ぐことができる。また、防汚性能を長期間維持することができる。
上記反応性官能基を有するレベリング剤としては、アクリレート系の官能基を有するフッ素系レベリング剤、ケイ素系レベリング剤、及び、アクリル系レベリング剤等を挙げることができる。なかでも、指紋及び油性インキ等の汚れをはじき、簡単に拭き取りができる点で、アクリレート系の官能基を有するフッ素系レベリング剤、及び、ケイ素系レベリング剤であることが好ましい。
上記反応性官能基を有するレベリング剤の市販品としては、ダイキン工業社製のオプツールDAC、DIC社製のメガファックRSシリーズ(RS71、RS101、RS102、RS201、RS401及びRS701)、DIC社製のディフェンサシリーズ(TF3000、TF3001、TF3002、TF3025及びTF3026)等の反応性官能基を有するフッ素系レベリング剤;信越化学工業社製のX22−163A、ビックケミー・ジャパン社製のBYKUV3500、BYKUV3510及びBYKUV3570等の反応性基を有するケイ素系レベリング剤等を挙げることができる。を挙げることができる。なかでも、汚れをはじき、拭き取り性が良好な点で、DIC社製RS71が好ましい。
上記反応性官能基を有するレベリング剤は、上記ハードコート層(A)用組成物における含有量がバインダー樹脂固形分100質量部に対して0.05〜5質量部であることが好ましい。0.05質量部未満であると、平滑な膜面が得られなく、また期待する滑り性、防汚性能が得られないおそれがある。5質量部を超えると、上記組成物が泡立ったり、形成された塗膜において、表面硬度が低下したり、相分離したりするおそれがある。
上記ハードコート層(A)用組成物に含有されるバインダー樹脂としては、上述したハードコート層用組成物と同様のものを用いることができる。
上記ハードコート層(A)のバインダー樹脂は、重量平均分子量1000以下のアクリルモノマー又はオリゴマーと、重量平均分子量1万〜4万であるアクリルポリマーとを含有することが好ましい。
上記重量平均分子量は、THF溶剤におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値であり、分子量分布を有しない場合には、化合物そのものの分子量を意味するものである。
上記重量平均分子量は、THF溶剤におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値であり、分子量分布を有しない場合には、化合物そのものの分子量を意味するものである。
更に、上記バインダー樹脂としては、ペン摺動性を高めることができる点で、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジ及びトリ(メタ)アクリレート、並びに、ポリメチル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
上記ペン摺動性とは、光学積層体が、指先やスタイラス(ペン先)等の接触体により繰返押圧されたときに損傷しないような機械的強度をいう。
上記バインダー樹脂としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジ及びトリ(メタ)アクリレート、並びに、ポリメチル(メタ)アクリレートの3種を含有することがより好ましい。
上記ペン摺動性とは、光学積層体が、指先やスタイラス(ペン先)等の接触体により繰返押圧されたときに損傷しないような機械的強度をいう。
上記バインダー樹脂としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジ及びトリ(メタ)アクリレート、並びに、ポリメチル(メタ)アクリレートの3種を含有することがより好ましい。
上記ハードコート層(A)用組成物は、上述した成分の他に、必要に応じて、他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、反応性微粒子、光重合開始剤、帯電防止剤、防眩剤、架橋剤、硬化剤、重合促進剤、粘度調整剤、防指紋剤等を挙げることができる。
なお、ハードコート層(A)用組成物は、後述する易滑剤を含有さないことが好ましい。易滑剤を含有するとペン摺動性又は鉛筆硬度が低下するおそれがある。
なお、ハードコート層(A)用組成物は、後述する易滑剤を含有さないことが好ましい。易滑剤を含有するとペン摺動性又は鉛筆硬度が低下するおそれがある。
上記ハードコート層(A)用組成物は、上述した反応性官能基を有するレベリング剤、
バインダー樹脂、及び、任意の他の成分を溶剤と混合して分散させることにより調製することができる。
上記溶剤としては、上述したハードコート層用組成物と同様のものを用いることができる。
バインダー樹脂、及び、任意の他の成分を溶剤と混合して分散させることにより調製することができる。
上記溶剤としては、上述したハードコート層用組成物と同様のものを用いることができる。
上記ハードコート層(A)は、上記ハードコート層(A)用組成物を用いて形成する。
すなわち、上記基材フィルムの片面に上記ハードコート層(A)用組成物を塗布して塗膜を形成し、必要に応じて乾燥させた後、上記塗膜を硬化させることによりハードコート層(A)を形成させることができる。
上記塗布、乾燥、及び、硬化は、上述したハードコート層と同様の方法を用いることができる。
すなわち、上記基材フィルムの片面に上記ハードコート層(A)用組成物を塗布して塗膜を形成し、必要に応じて乾燥させた後、上記塗膜を硬化させることによりハードコート層(A)を形成させることができる。
上記塗布、乾燥、及び、硬化は、上述したハードコート層と同様の方法を用いることができる。
上記ハードコート層(A)の層厚みは、3〜20μmであることが好ましい。3μm未満であると、塗工斑、干渉ムラが出て外観が悪くなるだけでなく、充分な硬度にならないおそれがある。20μmを超えると、光学積層体自身にクラックが入ったり、巻き取りも困難なだけでなく、コスト的にも高くなってしまうおそれがある。また光学特性が低下するおそれがある。
上記層厚みは、4〜8μmであることがより好ましい。
上記層厚みは、断面を電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)で観察し、測定して得られる値である。
上記層厚みは、4〜8μmであることがより好ましい。
上記層厚みは、断面を電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)で観察し、測定して得られる値である。
上記ハードコート層(A)がある基材フィルムの面とは別の面上にハードコート層(B)を更に有することが好ましい。
上記ハードコート層(B)は、バインダー樹脂、反応性官能基を有さないレベリング剤及び易滑剤を含有するハードコート層(B)用組成物を用いて形成された層であることが好ましい。
上記ハードコート層(B)は、バインダー樹脂、反応性官能基を有さないレベリング剤及び易滑剤を含有するハードコート層(B)用組成物を用いて形成された層であることが好ましい。
上記反応性官能基を有さないレベリング剤とは、上述したハードコート層(A)用組成物において使用するレベリング剤が有する反応性官能基を有さないレベリング剤であることが好ましい。
上記ハードコート層(B)が反応性官能基を有さないレベリング剤を含有する組成物を用いて形成されることにより、上記ハードコート層(B)を加飾フィルムの裏面として使用した場合に、後加工印刷時の塗工性に優れたものとすることができる。
上記反応性官能基を有さないレベリング剤としては、撥水親油性のものが挙げられ、上述した反応性官能基を有さない、フッ素系レベリング剤、アクリル系レベリング剤等を挙げることができる。
上記ハードコート層(B)が反応性官能基を有さないレベリング剤を含有する組成物を用いて形成されることにより、上記ハードコート層(B)を加飾フィルムの裏面として使用した場合に、後加工印刷時の塗工性に優れたものとすることができる。
上記反応性官能基を有さないレベリング剤としては、撥水親油性のものが挙げられ、上述した反応性官能基を有さない、フッ素系レベリング剤、アクリル系レベリング剤等を挙げることができる。
上記反応性官能基を有さないレベリング剤の市販品としては、例えば、DIC社製のメガファックシリーズ(MCF350−5、F444、F445、F470、F482及びF486)等を挙げることができる。
上記反応性官能基を有さないレベリング剤は、上記ハードコート層(B)用組成物における含有量がバインダー樹脂固形分100質量部に対して0.05〜2質量部であることが好ましい。0.05質量部未満であると、平滑な膜面が得られなくなるおそれがある。2質量部を超えると、後加工印刷時において塗工性が不充分となったり、印刷層が好適に形成されなかったり、上記組成物が泡立ったり、得られた塗膜の表面硬度が低下したり、相分離したり、裏移りしてしまうといったおそれがある。
上記バインダー樹脂としては、上述したハードコート層(A)に使用し得るバインダー樹脂と同様のものを挙げることができる。
なかでも、ハードコート層(B)用組成物に使用するバインダー樹脂としては、後工程製造加工時の熱収縮による光学積層体のカールを防止することができる点で、ハードコート層(A)用組成物のバインダー樹脂の樹脂組成と同様の樹脂組成であることが好ましい。
なかでも、ハードコート層(B)用組成物に使用するバインダー樹脂としては、後工程製造加工時の熱収縮による光学積層体のカールを防止することができる点で、ハードコート層(A)用組成物のバインダー樹脂の樹脂組成と同様の樹脂組成であることが好ましい。
上記ハードコート層(B)用組成物は、更に、易滑剤を含有することが好ましい。
上記易滑剤を含有することにより、光学積層体をロール状に巻き取った際、光学積層体同士が互いに貼り付くのを好適に防止することができる。
上記易滑剤を含有することにより、光学積層体をロール状に巻き取った際、光学積層体同士が互いに貼り付くのを好適に防止することができる。
上記易滑剤としては、無機化合物の微粒子及び有機化合物の微粒子からなる群より選択される少なくとも1種からなる粒子を挙げることができる。また、上記易滑剤としては、シリカ、シリコーン、高密度ポリエチレン、ポリスチレン、及び、ポリスチレンアクリルからなる群より選択される少なくとも1種の微粒子であることが好ましい。
更に、上記易滑剤は、耐熱性が高く、安価で、入手しやすい等の点で、シリカ粒子であることがより好ましい。
更に、上記易滑剤は、耐熱性が高く、安価で、入手しやすい等の点で、シリカ粒子であることがより好ましい。
上記易滑剤は、平均粒子径が100〜800nmであることが好ましい。100nm未満であると、易滑性が発現しないおそれがある。800nmを超えると、光学特性が悪化するおそれがある。
上記易滑剤の平均粒子径は、より好ましい下限が100nmであり、より好ましい上限が500nmである。
なお、上記平均粒子径は、レーザー回析散乱式の方法により測定して得られた値である。
また、ニュートンリング発生防止効果を付与する場合は、上記易滑剤の平均粒子径は4〜25μmであることが好ましい。
上記易滑剤の平均粒子径は、より好ましい下限が100nmであり、より好ましい上限が500nmである。
なお、上記平均粒子径は、レーザー回析散乱式の方法により測定して得られた値である。
また、ニュートンリング発生防止効果を付与する場合は、上記易滑剤の平均粒子径は4〜25μmであることが好ましい。
上記易滑剤は、ハードコート層(B)用組成物中の含有量が、バインダー樹脂固形分100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましい。
1質量部未満であると、貼り付き防止効果が発現しないおそれがある。10質量部を超えると、光学特性が低下するおそれがある。
上記易滑剤の含有量は、3〜6質量部であることがより好ましい。
1質量部未満であると、貼り付き防止効果が発現しないおそれがある。10質量部を超えると、光学特性が低下するおそれがある。
上記易滑剤の含有量は、3〜6質量部であることがより好ましい。
上記ハードコート層(B)用組成物は、上述したハードコート層(A)と同様に、その他の成分を含んでいてもよい。
上記その他の成分としては、上述したハードコート層(A)で使用し得るその他の成分と同様のものを挙げることができる。
上記その他の成分としては、上述したハードコート層(A)で使用し得るその他の成分と同様のものを挙げることができる。
上記ハードコート層(B)用組成物の調製及びハードコート層(B)の形成は、上述したハードコート層(A)用組成物の調製及びハードコート層(A)の形成と同様の方法で行うことができる。
上記ハードコート層(B)の層厚みは、3〜20μmであることが好ましい。3μm未満であると、塗工斑、干渉ムラが出て外観が悪くなるだけでなく、充分な硬度にならないおそれがある。20μmを超えると、光学積層体自身にクラックが入ったり、巻き取りも困難なだけでなく、コスト的にも高くなってしまうおそれがある。また光学特性が低下するおそれがある。
上記層厚みは、4〜8μmであることがより好ましい。
また、光学積層体における、加工時の熱収縮によるカールの発生を防止できる点で、上記ハードコート層(B)の層厚みは、上記ハードコート層(A)の層厚みと同一であることが更に好ましい。
上記層厚みは、断面を電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)で観察し、測定して得られる値である。
上記層厚みは、4〜8μmであることがより好ましい。
また、光学積層体における、加工時の熱収縮によるカールの発生を防止できる点で、上記ハードコート層(B)の層厚みは、上記ハードコート層(A)の層厚みと同一であることが更に好ましい。
上記層厚みは、断面を電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)で観察し、測定して得られる値である。
上述したように、上記基材フィルムの両面にそれぞれ特定の成分からなるハードコート層(A)及び(B)を有するものである。このため、光学積層体同士が互いに貼り付くのを防ぐことができる。また、熱収縮により光学積層体がカールするのを防ぐことができる。
更に、上記ハードコート層(A)を表面とし、上記ハードコート層(B)を裏面とする場合、すなわち、ハードコート層(A)が最表面となるように表示パネルに設置する際、ペン摺動性や防指紋性、後加工印刷時における塗工性にも優れたものである。
更に、上記ハードコート層(A)を表面とし、上記ハードコート層(B)を裏面とする場合、すなわち、ハードコート層(A)が最表面となるように表示パネルに設置する際、ペン摺動性や防指紋性、後加工印刷時における塗工性にも優れたものである。
上記光学機能層が防眩層である場合、上記防眩層は、外光による反射や、画面のぎらつきを防ぐ等の視認性を向上させる観点から、上記基材フィルム側と反対側表面に凹凸形状を有する。
なお、このような光学機能層が防眩層である光学積層体もまた、本発明の一つである。
上記防眩層の凹凸形状は、該防眩層の上記基材フィルム側と反対側表面の凹凸の平均間隔をSmとし、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸の算術平均粗さをRaとした場合に、下記式を満たすことが好ましい。
30μm<Sm<90μm、
2<θa<15、
0.5μm<Ra<1.5μm
上記Sm、θa及びRaは、JIS B 0601−1994に準拠する方法で得られる値であり、例えば、表面粗さ測定器:SE−3400/小坂研究所製等により測定して求めることができる。
なお、このような光学機能層が防眩層である光学積層体もまた、本発明の一つである。
上記防眩層の凹凸形状は、該防眩層の上記基材フィルム側と反対側表面の凹凸の平均間隔をSmとし、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸の算術平均粗さをRaとした場合に、下記式を満たすことが好ましい。
30μm<Sm<90μm、
2<θa<15、
0.5μm<Ra<1.5μm
上記Sm、θa及びRaは、JIS B 0601−1994に準拠する方法で得られる値であり、例えば、表面粗さ測定器:SE−3400/小坂研究所製等により測定して求めることができる。
上記防眩層の上記基材フィルム側と反対側表面の凹凸形状は、凹凸の平均間隔をSmとし、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸の算術平均粗さをRaとした場合に、下記式を満たすことが好ましい。
Sm:好ましくは30μm<Sm<600μm、より好ましくは30μm<Sm<90μm
θa:好ましくは0.1<θa<1.2、より好ましくは0.1<θa<0.5
Ra:好ましくは0.02μm<Ra<1.0μm、より好ましくは0.02μm<Ra<0.20μm
上記Sm、θa及びRaは、JIS B 0601−1994に準拠する方法で得られる値であり、例えば、表面粗さ測定器:SE−3400/小坂研究所製等により測定して求めることができる。
Sm:好ましくは30μm<Sm<600μm、より好ましくは30μm<Sm<90μm
θa:好ましくは0.1<θa<1.2、より好ましくは0.1<θa<0.5
Ra:好ましくは0.02μm<Ra<1.0μm、より好ましくは0.02μm<Ra<0.20μm
上記Sm、θa及びRaは、JIS B 0601−1994に準拠する方法で得られる値であり、例えば、表面粗さ測定器:SE−3400/小坂研究所製等により測定して求めることができる。
上記防眩層の上記基材フィルム側と反対側表面の凹凸形状は、防眩剤を含む組成物により形成したもの、樹脂の相分離により形成したもの、エンボス加工により形成したものであってもよい。
なかでも、上記防眩層の上記基材フィルム側と反対側表面の凹凸形状は、上述したハードコート層用組成物に防眩剤を含有させた防眩層用組成物により形成したものであることが好ましい。
上記防眩剤は微粒子であり、形状は、真球状、楕円状、不定形等、特に限定されない。また、上記防眩剤として、無機系、有機系の微粒子を使用することができ、好ましくは透明性の微粒子がよい。
有機系微粒子の具体例としては、プラスチックビーズを挙げることができる。プラスチックビーズとしては、ポリスチレンビーズ(屈折率1.60)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49〜1.53)、アクリル−スチレン共重合体ビーズ(屈折率1.54〜1.58)、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物ビーズ(屈折率1.66)、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物(屈折率1.66)、ポリカーボネートビーズ(屈折率1.57)、ポリエチレンビーズ(屈折率1.50)、等が挙げられる。上記プラスチックビーズは、その表面に疎水性基を有することが好ましく、例えば、ポリスチレンビーズを挙げることができる。
無機系微粒子としては、不定形シリカ、球状等、ある特定形状を持った無機シリカビーズ等を挙げることができる。
なかでも、上記防眩剤として、アクリル−スチレン共重合体ビーズ及び/又は不定形シリカを使用することが好ましい。
なかでも、上記防眩層の上記基材フィルム側と反対側表面の凹凸形状は、上述したハードコート層用組成物に防眩剤を含有させた防眩層用組成物により形成したものであることが好ましい。
上記防眩剤は微粒子であり、形状は、真球状、楕円状、不定形等、特に限定されない。また、上記防眩剤として、無機系、有機系の微粒子を使用することができ、好ましくは透明性の微粒子がよい。
有機系微粒子の具体例としては、プラスチックビーズを挙げることができる。プラスチックビーズとしては、ポリスチレンビーズ(屈折率1.60)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49〜1.53)、アクリル−スチレン共重合体ビーズ(屈折率1.54〜1.58)、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物ビーズ(屈折率1.66)、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物(屈折率1.66)、ポリカーボネートビーズ(屈折率1.57)、ポリエチレンビーズ(屈折率1.50)、等が挙げられる。上記プラスチックビーズは、その表面に疎水性基を有することが好ましく、例えば、ポリスチレンビーズを挙げることができる。
無機系微粒子としては、不定形シリカ、球状等、ある特定形状を持った無機シリカビーズ等を挙げることができる。
なかでも、上記防眩剤として、アクリル−スチレン共重合体ビーズ及び/又は不定形シリカを使用することが好ましい。
上記防眩剤の平均粒子径は、1〜10μmであることが好ましく、3〜8μmであることがより好ましい。上記平均粒子径は、トルエン5質量%分散液の状態で、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置により測定して得られた値である。
上記防眩剤の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して1〜40質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。
上記平均粒子径は、本発明の光学積層体の断面を電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)で観察し、測定して得られる値である。
上記防眩剤の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して1〜40質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。
上記平均粒子径は、本発明の光学積層体の断面を電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)で観察し、測定して得られる値である。
また、上記防眩層は、更に内部散乱粒子を含有するものであることが好ましい。上記内部散乱粒子は、内部ヘイズを付与し、面ギラ(シンチレーション)等を抑制し得るものである。
上記内部散乱粒子としては、上記防眩層を構成する樹脂成分との屈折率の差が比較的大きい有機粒子が挙げられ、例えば、アクリル−スチレン共重合体ビーズ(屈折率1.54〜1.58)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、ポリスチレンビーズ(屈折率1.60)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物ビーズ(屈折率1.66)、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物(屈折率1.66)、等のプラスチックビーズを挙げることができる。
これらの粒子は、上記防眩剤としての性質と内部散乱粒子としての性質を兼ね備えたものを使用してもよい。
上記内部散乱粒子としては、上記防眩層を構成する樹脂成分との屈折率の差が比較的大きい有機粒子が挙げられ、例えば、アクリル−スチレン共重合体ビーズ(屈折率1.54〜1.58)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、ポリスチレンビーズ(屈折率1.60)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物ビーズ(屈折率1.66)、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物(屈折率1.66)、等のプラスチックビーズを挙げることができる。
これらの粒子は、上記防眩剤としての性質と内部散乱粒子としての性質を兼ね備えたものを使用してもよい。
上記内部散乱粒子の平均粒子径は、0.5〜10μmであることが好ましく、1〜8μmであることがより好ましい。上記平均粒子径は、トルエン5質量%分散液の状態で、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置により測定して得られた値である。
上記内部散乱粒子の添加量は、樹脂固形分100質量部に対して0.1〜40質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましい。
上記内部散乱粒子の添加量は、樹脂固形分100質量部に対して0.1〜40質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましい。
また、別の態様としては、上記防眩層は、シリカ微粒子、有機微粒子及びバインダー樹脂を含有しており、防眩層の基材フィルムと反対側表面の凹凸形状は、後述するシリカ微粒子の凝集体と有機微粒子とにより形成されていることが好ましい。
上記防眩層の基材フィルムと反対側表面に形成された凹凸形状が、単一の微粒子(例えば、有機微粒子等)又は単一粒子の凝集体(例えば、シリカ微粒子の凝集体)により防眩層の表面に形成された凹凸形状と比較して、凸部の傾斜が緩やかとなり滑らかな形状となる。これは、後述するように、上記シリカ微粒子と有機微粒子とが防眩層中で特定の状態で分布しているためであると推測される。
上記防眩層の基材フィルムと反対側表面に形成された凹凸形状が、単一の微粒子(例えば、有機微粒子等)又は単一粒子の凝集体(例えば、シリカ微粒子の凝集体)により防眩層の表面に形成された凹凸形状と比較して、凸部の傾斜が緩やかとなり滑らかな形状となる。これは、後述するように、上記シリカ微粒子と有機微粒子とが防眩層中で特定の状態で分布しているためであると推測される。
上記シリカ微粒子は、凝集体を形成して上記防眩層中に粗密に含有されたものを有する。上記シリカ微粒子の凝集体が防眩層中で粗密に分布していることで、該防眩層の表面に滑らかな凹凸形状が形成されることとなる。
上記「防眩層中で粗密に分布している」とは、上記防眩層には、上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している領域と、上記シリカ微粒子の凝集体が粗に分布している領域とが複数存在していることを意味する。すなわち、上記防眩層中に、上記シリカ微粒子の凝集体は、不均一に分散している。
なお、本明細書において、電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の任意の断面を観察したときの1画面内において、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が5%以上である領域を「シリカ微粒子の凝集体が密に分布している領域」と定義し、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が1%未満である領域を「シリカ微粒子の凝集体が粗に分布している領域」と定義する。
また、上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している領域、又は、シリカ微粒子の凝集体が粗に分布している領域、すなわち、上記電子顕微鏡にて倍率1万倍の条件で観察する領域は、例えば、3000倍程度の倍率の低い条件で、防眩層の厚み方向の断面のシリカ微粒子の分布状態を電子顕微鏡観察することで、選び出すことができる。
なお、このようなシリカ微粒子の凝集体の分布は、上記防眩層の厚み方向の断面電子顕微鏡観察にて容易に判別することができる。また、上記シリカ微粒子の凝集体の面積割合は、例えば、画像解析ソフトを用いて算出することができる。
上記「防眩層中で粗密に分布している」とは、上記防眩層には、上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している領域と、上記シリカ微粒子の凝集体が粗に分布している領域とが複数存在していることを意味する。すなわち、上記防眩層中に、上記シリカ微粒子の凝集体は、不均一に分散している。
なお、本明細書において、電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率1万倍の条件で防眩層の厚み方向の任意の断面を観察したときの1画面内において、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が5%以上である領域を「シリカ微粒子の凝集体が密に分布している領域」と定義し、2μm四方の観察領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が1%未満である領域を「シリカ微粒子の凝集体が粗に分布している領域」と定義する。
また、上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している領域、又は、シリカ微粒子の凝集体が粗に分布している領域、すなわち、上記電子顕微鏡にて倍率1万倍の条件で観察する領域は、例えば、3000倍程度の倍率の低い条件で、防眩層の厚み方向の断面のシリカ微粒子の分布状態を電子顕微鏡観察することで、選び出すことができる。
なお、このようなシリカ微粒子の凝集体の分布は、上記防眩層の厚み方向の断面電子顕微鏡観察にて容易に判別することができる。また、上記シリカ微粒子の凝集体の面積割合は、例えば、画像解析ソフトを用いて算出することができる。
上記シリカ微粒子は、表面処理されていることが好ましい。上記シリカ微粒子が表面処理されていることで、該シリカ微粒子の凝集体の上記防眩層中での粗密に分布する程度を好適に制御することができ、また、有機微粒子の周囲に密に分布する効果を適度な範囲に制御できる。また、シリカ微粒子自体の耐薬品性及び耐ケン化性の向上を図ることもできる。
上記表面処理としては、疎水化処理であることが好ましく、例えば、上記シリカ微粒子を、アルキル基を有するシラン化合物等の疎水化剤で処理する方法等が挙げられる。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられ、上記アルキル基を有するシラン化合物としては、例えば、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルシラノール、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ここで、通常、上記シリカ微粒子の表面には水酸基(シラノール基)が存在しているが、上記表面処理がされることで上記シリカ微粒子表面の水酸基が少なくなり、上記シリカ微粒子のBET法により測定される比表面積が小さくなるとともに、上記シリカ微粒子が過度に凝集することを防止でき、上述した効果が発揮される。
また、上記疎水化剤の種類により上記シリカ微粒子表面の疎水化度を調整して、上記シリカ微粒子の凝集を制御することも好ましく、例えば、アルキル基を有するシラン化合物のアルキル鎖を長くすることで、該アルキル基を有するシラン化合物による立体障害の影響が大きくなり、その結果、上記シリカ微粒子表面の疎水化度を下げることができる。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられ、上記アルキル基を有するシラン化合物としては、例えば、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルシラノール、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ここで、通常、上記シリカ微粒子の表面には水酸基(シラノール基)が存在しているが、上記表面処理がされることで上記シリカ微粒子表面の水酸基が少なくなり、上記シリカ微粒子のBET法により測定される比表面積が小さくなるとともに、上記シリカ微粒子が過度に凝集することを防止でき、上述した効果が発揮される。
また、上記疎水化剤の種類により上記シリカ微粒子表面の疎水化度を調整して、上記シリカ微粒子の凝集を制御することも好ましく、例えば、アルキル基を有するシラン化合物のアルキル鎖を長くすることで、該アルキル基を有するシラン化合物による立体障害の影響が大きくなり、その結果、上記シリカ微粒子表面の疎水化度を下げることができる。
また、上記シリカ微粒子は、非晶質シリカからなることが好ましい。上記シリカ微粒子が結晶性シリカからなる場合、その結晶構造中に含まれる格子欠陥により、シリカ微粒子のルイス酸性が強くなってしまい、上述したシリカ微粒子の過度の凝集を制御できなくなることがある。
このようなシリカ微粒子としては、それ自身が凝集しやすく後述する凝集体を形成しやすいことから、例えば、フュームドシリカが好適に用いられる。ここで、上記フュームドシリカとは、乾式法で作製された200nm以下の粒径を有する非晶質のシリカをいい、ケイ素を含む揮発性化合物を気相で反応させることにより得られる。具体的には、例えば、ケイ素化合物、例えば、SiCl4を酸素と水素の炎中で加水分解して生成されたもの等が挙げられる。具体的には、例えば、AEROSIL R805(日本アエロジル社製)等が挙げられる。
上記シリカ微粒子の含有量としては特に限定されないが、上記防眩層中0.1〜5.0質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、上述した有機微粒子の周囲に密な分布を充分に形成できないことがあり、5.0質量%を超えると、凝集体が過度に生じ、内部拡散及び/又は防眩層に大きな表面凹凸が生じるため、白ぼけの問題が生じることがある。より好ましい下限は0.5質量%、より好ましい上限は3.0質量%である。
上記シリカ微粒子は、平均1次粒子径が1〜100nmであることが好ましい。1nm未満であると、有機微粒子の周囲に密な分布を充分に形成できないことがあり、100nmを超えると、上記有機微粒子の周囲に密な分布を充分に形成できないことがあるほか、シリカ微粒子により光が拡散され、画像表示装置の暗室コントラストが劣ることがある。より好ましい下限は5nm、より好ましい上限は50nmである。
なお、上記シリカ微粒子の平均1次粒子径は、断面電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型で倍率は5万倍以上が好ましい)の画像から、画像処理ソフトウェアーを用いて測定される値である。
なお、上記シリカ微粒子の平均1次粒子径は、断面電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型で倍率は5万倍以上が好ましい)の画像から、画像処理ソフトウェアーを用いて測定される値である。
また、上記シリカ微粒子の凝集体は、上記防眩層中で上述したシリカ微粒子が数珠状(真珠のネックレス状)に連なった構造を形成している。
上記防眩層中で上記シリカ微粒子が数珠状に連なった凝集体を形成していることで、後述するように好適に上記防眩層の表面凹凸形状を滑らかな形状とすることができる。
なお、上記シリカ微粒子が数珠状に連なった構造とは、例えば、上記シリカ微粒子が直線状に連続して連なった構造(直鎖構造)、該直鎖構造が複数絡み合った構造、上記直鎖構造にシリカ微粒子が複数連続して形成された側鎖を1又は2以上有する分岐構造等、任意の構造が挙げられる。
上記防眩層中で上記シリカ微粒子が数珠状に連なった凝集体を形成していることで、後述するように好適に上記防眩層の表面凹凸形状を滑らかな形状とすることができる。
なお、上記シリカ微粒子が数珠状に連なった構造とは、例えば、上記シリカ微粒子が直線状に連続して連なった構造(直鎖構造)、該直鎖構造が複数絡み合った構造、上記直鎖構造にシリカ微粒子が複数連続して形成された側鎖を1又は2以上有する分岐構造等、任意の構造が挙げられる。
また、上記シリカ微粒子の凝集体は、平均粒子径が100nm〜1μmであることが好ましい。100nm未満であると、有機微粒子の周囲に密な分布を充分に形成できず、後述する硬化収縮による凝集体の凹凸形成の緩衝作用が充分に発揮できないことがあり、1μmを超えると、上記有機微粒子の周囲に密な分布を充分に形成できないことがあるほか、シリカ微粒子の凝集体により光が拡散されたり、凝集体により生じる表面凹凸が大きくなり過ぎることで、画像表示装置の暗室コントラストが劣ることがある。上記凝集体の平均粒子径のより好ましい下限は200nm、より好ましい上限は800nmである。
なお、上記シリカ微粒子の凝集体の平均粒子径は、断面電子顕微鏡による観察(1万〜2万倍程度)からシリカ微粒子の凝集体が多く含まれる5μm四方の領域を選び、その領域中のシリカ微粒子の凝集体の粒子径を測定し、上位10個のシリカ微粒子の凝集体の粒子径を平均したものである。なお、上記「シリカ微粒子の凝集体の粒子径」は、シリカ微粒子の凝集体の断面を任意の平行な2本の直線で挟んだとき、該2本の直線間距離が最大となるような2本の直線の組み合わせにおける直線間距離として測定される。また、上記シリカ微粒子の凝集体の粒子径は、画像解析ソフトを用いて算出してもよい。
なお、上記シリカ微粒子の凝集体の平均粒子径は、断面電子顕微鏡による観察(1万〜2万倍程度)からシリカ微粒子の凝集体が多く含まれる5μm四方の領域を選び、その領域中のシリカ微粒子の凝集体の粒子径を測定し、上位10個のシリカ微粒子の凝集体の粒子径を平均したものである。なお、上記「シリカ微粒子の凝集体の粒子径」は、シリカ微粒子の凝集体の断面を任意の平行な2本の直線で挟んだとき、該2本の直線間距離が最大となるような2本の直線の組み合わせにおける直線間距離として測定される。また、上記シリカ微粒子の凝集体の粒子径は、画像解析ソフトを用いて算出してもよい。
また、上記防眩層中に有機微粒子を含有し、該有機微粒子の周囲に上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布していることが好ましい。
なお、上記シリカ微粒子の凝集体は、上述したように、上記防眩層中で粗密に含有されているため、上記防眩層には、上記有機微粒子の周囲に多数のシリカ微粒子の凝集体が存在している領域と、上記シリカ微粒子の凝集体のみが密に分布している領域とが形成されている。
ここで、上記防眩層の断面を電子顕微鏡観察した場合、上記有機微粒子の周囲に密に分布したシリカ微粒子の凝集体は、有機微粒子の中心を通る断面だけではなく、該有機微粒子の中心からずれた断面においても密に分布している状態が観察される。
なお、上記「有機微粒子の周囲に上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している」とは、電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率2万倍の条件で防眩層の厚み方向の上記有機微粒子が観察される断面を顕微鏡観察したときに、上記有機微粒子から200nm外側の円周内でかつ上記有機微粒子を除いた領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が10%以上である状態を意味する。
なお、上記シリカ微粒子の凝集体は、上述したように、上記防眩層中で粗密に含有されているため、上記防眩層には、上記有機微粒子の周囲に多数のシリカ微粒子の凝集体が存在している領域と、上記シリカ微粒子の凝集体のみが密に分布している領域とが形成されている。
ここで、上記防眩層の断面を電子顕微鏡観察した場合、上記有機微粒子の周囲に密に分布したシリカ微粒子の凝集体は、有機微粒子の中心を通る断面だけではなく、該有機微粒子の中心からずれた断面においても密に分布している状態が観察される。
なお、上記「有機微粒子の周囲に上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布している」とは、電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率2万倍の条件で防眩層の厚み方向の上記有機微粒子が観察される断面を顕微鏡観察したときに、上記有機微粒子から200nm外側の円周内でかつ上記有機微粒子を除いた領域に占めるシリカ微粒子の凝集体の面積割合が10%以上である状態を意味する。
また、上記有機微粒子の周囲に密に分布したシリカ微粒子の凝集体は、上記有機微粒子の表面に付着及び/又は上記凝集体を構成するシリカ微粒子のうちの一部が内部に含浸していることが好ましい(なお、以下、このようなシリカ微粒子の凝集体は、有機微粒子の表面に付着等しているとも言うこととする)。上記シリカ微粒子の凝集体が上記有機微粒子の表面に付着等していることで、異なる有機微粒子の表面に付着等したシリカ微粒子の凝集体の間に働く凝集力を利用して、該異なる有機微粒子同士を集まらせることができる。このため、有機微粒子の添加量が少なくても、充分な防眩性を有する凹凸形状を形成させることができる。
なお、有機微粒子を集まらせるとは、有機微粒子同士が完全に密着しているのではなく、防眩層の断面観察した折に最も近接する有機微粒子間距離が、その粒子の平均粒子径よりも小さい場合、又は、有機微粒子間を上記シリカ微粒子の凝集体が複数連続して連なっている場合を意味する。
なお、有機微粒子を集まらせるとは、有機微粒子同士が完全に密着しているのではなく、防眩層の断面観察した折に最も近接する有機微粒子間距離が、その粒子の平均粒子径よりも小さい場合、又は、有機微粒子間を上記シリカ微粒子の凝集体が複数連続して連なっている場合を意味する。
上記有機微粒子の表面に上記シリカ微粒子の凝集体を付着させる方法としては、例えば、シリカ微粒子と有機微粒子との親疎水の程度を調整する方法が挙げられ、親疎水の程度を調整する方法としては、前述の如くシリカ微粒子の疎水化処理剤の選定や処理の程度、有機微粒子を構成する材料の選定や、後述するように、有機微粒子の表面を親水化処理する方法等が挙げられる。
また、上記有機微粒子の表面から内部に上記シリカ微粒子の凝集体を構成するシリカ微粒子のうちの一部を含浸させる方法としては、例えば、防眩層を形成する際に、有機微粒子の架橋度を下げる方法や、有機微粒子を膨潤させることができる溶剤を防眩層用組成物の中に用いる方法等が挙げられる。
上記有機微粒子は、そのほぼ全表面で均等に上記シリカ微粒子の凝集体の付着等があることが好ましい。
上記有機微粒子の周囲に密に分布したシリカ微粒子の凝集体に占める、上記有機微粒子の表面に付着等しているシリカ微粒子の凝集体の割合は、電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率2万倍の条件で防眩層の厚み方向の上記有機微粒子が観察される断面を顕微鏡観察したときに、上記有機微粒子から200nm外側の円周内でかつ上記有機微粒子を除いた領域のシリカ微粒子の凝集体のうち、面積割合で50%以上であることが好ましい。50%未満であると、防眩層中で有機微粒子同士を集まらせる効果が不充分となり、充分な防眩性能及び干渉縞防止性能を有するだけの凹凸を形成できなくなることがある。
また、上記有機微粒子の表面から内部に上記シリカ微粒子の凝集体を構成するシリカ微粒子のうちの一部を含浸させる方法としては、例えば、防眩層を形成する際に、有機微粒子の架橋度を下げる方法や、有機微粒子を膨潤させることができる溶剤を防眩層用組成物の中に用いる方法等が挙げられる。
上記有機微粒子は、そのほぼ全表面で均等に上記シリカ微粒子の凝集体の付着等があることが好ましい。
上記有機微粒子の周囲に密に分布したシリカ微粒子の凝集体に占める、上記有機微粒子の表面に付着等しているシリカ微粒子の凝集体の割合は、電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)にて倍率2万倍の条件で防眩層の厚み方向の上記有機微粒子が観察される断面を顕微鏡観察したときに、上記有機微粒子から200nm外側の円周内でかつ上記有機微粒子を除いた領域のシリカ微粒子の凝集体のうち、面積割合で50%以上であることが好ましい。50%未満であると、防眩層中で有機微粒子同士を集まらせる効果が不充分となり、充分な防眩性能及び干渉縞防止性能を有するだけの凹凸を形成できなくなることがある。
また、上記有機微粒子の表面に上記シリカ微粒子の凝集体を構成するシリカ微粒子のうちの一部が含浸している場合、該シリカ微粒子の凝集体は、上記有機微粒子の表面から500nmまで含浸していることが好ましい。500nmを超えてシリカ微粒子の凝集体を構成するシリカ微粒子を有機微粒子の表面から含浸させるには、有機微粒子を過度に膨潤させる必要があるため、防眩層用組成物の粘度が上がったり、ゲル化したりするため、均一な塗膜が得られないことがある。また、後述の緩やかな凹凸形状を、防眩層の表面に形成できないことがある。
このような特定の状態でシリカ微粒子の数珠状に連なった凝集体と有機微粒子とが防眩層に含有されていることで、単一の微粒子又はその凝集体により形成された凹凸形状よりも、凸部の傾斜が緩やかとなり滑らかな形状となる。この結果、防眩性及び干渉縞防止性能を維持しつつ明室及び暗室コントラストを向上させることができる。上記防眩層の表面に形成される凹凸形状の凸部の傾斜が緩やかとなり滑らかな形状を有することで、上記防眩層の表面に映り込んだ映像のエッジ部分のみ鮮明に見えなくすることができるため防眩性が担保される。また、上記防眩層の表面で反射した光と該防眩層の透明基材側の界面で反射した光とで生ずる干渉光の光路差をつけることができるため干渉縞防止性も担保される。更に、このような凹凸形状を有する防眩層は、大きな拡散を無くすことができるため迷光発生を防ぐことができるとともに、正透過する部分を適度に持たせることもできるため、輝きを持つ映像で、かつ、明室及び暗室でのコントラストに優れた(黒彩感を有する)ものとすることができる。
これは、以下に挙げる理由によるものと推測される。
すなわち、防眩層用組成物を塗布後、乾燥して溶剤が蒸発する際、粘度が低いとバインダー樹脂が有機微粒子の形状に追随した状態になりやすい。更に、バインダー樹脂は硬化するときに体積が収縮するが、有機微粒子は収縮することが無いため、バインダー樹脂のみが収縮することにより、有機微粒子に対応する位置の表面に形成される凸部が急峻な傾斜になりやすい。
しかしながら、有機微粒子の周りにシリカ微粒子の凝集体が密に分布することにより、上記防眩層用組成物の有機微粒子周りの粘度が上昇し、溶剤が蒸発する際、バインダー樹脂が有機微粒子の形状に追随し難く、また、その部分のバインダー(バインダー樹脂とシリカ微粒子からなる)は硬化収縮し難くなり、更には、シリカ微粒子は数珠状に連なった凝集体であり、バインダー樹脂を含んで疎に凝集しているため、硬化収縮に対する緩衝作用をも有しているので、結果として、有機微粒子に対応する位置の表面に形成される凸部はなだらかな傾斜となりやすくなる。
このため、上記有機微粒子により防眩層の表面に形成される凹凸形状(凸部)の傾斜角が、微粒子単体で形成される凹凸形状(凸部)の傾斜角よりも緩やかなものになると推測される。
これは、以下に挙げる理由によるものと推測される。
すなわち、防眩層用組成物を塗布後、乾燥して溶剤が蒸発する際、粘度が低いとバインダー樹脂が有機微粒子の形状に追随した状態になりやすい。更に、バインダー樹脂は硬化するときに体積が収縮するが、有機微粒子は収縮することが無いため、バインダー樹脂のみが収縮することにより、有機微粒子に対応する位置の表面に形成される凸部が急峻な傾斜になりやすい。
しかしながら、有機微粒子の周りにシリカ微粒子の凝集体が密に分布することにより、上記防眩層用組成物の有機微粒子周りの粘度が上昇し、溶剤が蒸発する際、バインダー樹脂が有機微粒子の形状に追随し難く、また、その部分のバインダー(バインダー樹脂とシリカ微粒子からなる)は硬化収縮し難くなり、更には、シリカ微粒子は数珠状に連なった凝集体であり、バインダー樹脂を含んで疎に凝集しているため、硬化収縮に対する緩衝作用をも有しているので、結果として、有機微粒子に対応する位置の表面に形成される凸部はなだらかな傾斜となりやすくなる。
このため、上記有機微粒子により防眩層の表面に形成される凹凸形状(凸部)の傾斜角が、微粒子単体で形成される凹凸形状(凸部)の傾斜角よりも緩やかなものになると推測される。
また、上記有機微粒子は、主として防眩層の表面に凹凸形状を形成する粒子径が比較的揃った微粒子であることが好ましく、上記シリカ微粒子の凝集体は、上述のように防眩層中で粗密に分布しており、防眩層中では粒子径のバラツキが比較的大きい凝集体であることが好ましい。上記防眩層がこのような粒子径の関係を有する2種の微粒子を含有することで、上記防眩層中で粒子径の揃った有機微粒子の間に粒子径のバラツキが大きいシリカ微粒子の凝集体が入り込んだ構造を構成しやすく、上述した滑らかな凹凸形状を防眩層表面に好適に形成することができる。
ここで、上記「粒子径が比較的揃った微粒子」とは、重量平均による微粒子の平均粒径をMV、累積25%径をd25、累積75%径をd75としたとき、(d75−d25)/MVが0.25以下である場合を意味し、上記「粒子径のバラツキが比較的大きい凝集体」とは、上記(d75−d25)/MVが0.25を超える場合を意味する。なお、累積25%径とは、粒径分布における粒径の小さい粒子からカウントして、25質量%となったときの粒子径をいい、累積75%径とは、同様にカウントして75質量%となったときの粒子径をいう。なお、上記重量平均による微粒子の平均粒径、累積25%径及び累積75%径は、コールターカウンター法による重量平均径として計測することができる。
ここで、上記「粒子径が比較的揃った微粒子」とは、重量平均による微粒子の平均粒径をMV、累積25%径をd25、累積75%径をd75としたとき、(d75−d25)/MVが0.25以下である場合を意味し、上記「粒子径のバラツキが比較的大きい凝集体」とは、上記(d75−d25)/MVが0.25を超える場合を意味する。なお、累積25%径とは、粒径分布における粒径の小さい粒子からカウントして、25質量%となったときの粒子径をいい、累積75%径とは、同様にカウントして75質量%となったときの粒子径をいう。なお、上記重量平均による微粒子の平均粒径、累積25%径及び累積75%径は、コールターカウンター法による重量平均径として計測することができる。
また、上記防眩層において、上記有機微粒子及びシリカ微粒子は、単粒子状態での形状が球状であることが好ましい。上記有機微粒子及びシリカ微粒子の単粒子がこのような球状であることで、画像表示装置に適用した場合、高コントラストの表示画像を得ることができる。
なお、上記「球状」とは、例えば、真球状、楕円球状等が挙げられ、いわゆる不定形を除く意味である。
なお、上記「球状」とは、例えば、真球状、楕円球状等が挙げられ、いわゆる不定形を除く意味である。
上記有機微粒子は、主に防眩層の表面凹凸形状を形成する微粒子であり、屈折率や粒径の制御が容易な微粒子である。このような有機微粒子を含むことで、防眩層に形成される凹凸形状の大きさや防眩層の屈折率の制御が容易となる。また、上記有機微粒子とバインダー樹脂との屈折率差の制御が容易であるため、過度な拡散を生じることなく、防眩性及び干渉縞防止性の制御並びに面ギラ及び白ぼけの発生を抑制することができる。
上記有機微粒子としては、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂及びポリフッ化エチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の材料からなる微粒子であることが好ましい。なかでも、スチレン−アクリル共重合体微粒子が好適に用いられる。スチレンは屈折率及び疎水性の程度が高く、アクリルは屈折率が低く親水性の程度が高いので、スチレンとアクリルの比率を変えることで容易にスチレン−アクリル共重合体微粒子の屈折率や親疎水性の程度を変えることができるからである。
上記有機微粒子は、表面親水化処理されていることが好ましい。上記有機微粒子が表面親水化処理されていることで、上記シリカ微粒子との親和性が高まり、上記シリカ微粒子の凝集体が上記有機微粒子の表面に付着等させることができるようになる。また、有機微粒子の周囲に上記シリカ微粒子の凝集体を密に分布させることが容易となる。
上記親水化処理としては特に限定されず公知の方法が挙げられるが、例えば、カルボン酸基や水酸基等の官能基を有するモノマーを上記有機微粒子の表面に共重合させる方法等が挙げられる。
なお、通常、表面親水化処理された有機微粒子は、防眩層中でゆるやかに集まらせることができないため、防眩層の表面に充分な凹凸形状を形成することができず防眩性能及び干渉縞防止性能が劣ることとなる。しかしながら、上記シリカ微粒子が凝集体を形成して防眩層中で粗密に含有され、更に上記有機微粒子の周囲に上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布しているため、表面親水化処理された有機微粒子を含有する防眩層であっても所望の凹凸形状を形成することができる。
上記親水化処理としては特に限定されず公知の方法が挙げられるが、例えば、カルボン酸基や水酸基等の官能基を有するモノマーを上記有機微粒子の表面に共重合させる方法等が挙げられる。
なお、通常、表面親水化処理された有機微粒子は、防眩層中でゆるやかに集まらせることができないため、防眩層の表面に充分な凹凸形状を形成することができず防眩性能及び干渉縞防止性能が劣ることとなる。しかしながら、上記シリカ微粒子が凝集体を形成して防眩層中で粗密に含有され、更に上記有機微粒子の周囲に上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布しているため、表面親水化処理された有機微粒子を含有する防眩層であっても所望の凹凸形状を形成することができる。
上記有機微粒子の含有量としては、上記防眩層中0.5〜10.0質量%であることが好ましい。0.5質量%未満であると、防眩性能及び干渉縞防止性能が不充分となることがあり、10.0質量%を超えると、白ぼけの問題が生じることがあり、また、画像表示装置に用いた場合に表示画像のコントラストに劣ることがある。より好ましい下限は1.0質量%、より好ましい上限は8.0質量%である。
また、上記有機微粒子の大きさは、防眩層の厚さ等に合わせて適宜決定されるが、例えば、平均粒子径が0.3〜5.0μmであることが好ましい。0.3μm未満であると、有機微粒子の分散性が制御できなくなる恐れがあり、5.0μmを超えると、防眩層表面の凹凸形状が大きくなって、面ギラの問題が生じることがある。より好ましい下限は1.0μm、より好ましい上限は3.0μmである。
また、上記有機微粒子の平均粒子径は、防眩層の厚さに対して20〜60%であることが好ましい。60%を超えると、有機微粒子は塗膜層最表面に突出し、また有機微粒子により生じる凹凸が急峻なものとなる恐れがある。20%未満であると、充分な凹凸形状を防眩層表面に形成できなくなって、防眩性能及び干渉縞防止性能が不充分となることがある。
なお、上記有機微粒子の平均粒子径は、有機微粒子単独で測定する場合、コールターカウンター法による重量平均径として計測できる。一方、防眩層中の有機微粒子の平均粒径は、防眩層の透過光学顕微鏡観察において、10個の粒子の最大径を平均した値として求められる。もしくはそれが不適な場合は、粒子中心近傍を通る断面の電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)観察において、任意の同じ種類で、ほぼ同じ位の粒径として観察される拡散粒子30個選択して(粒子のどの部位の断面であるか不明であるためn数を増やしている)その断面の最大粒径を測定し、その平均値として算出される値である。いずれも画像から判断するため、画像解析ソフトにて算出してもよい。
また、上記有機微粒子の平均粒子径は、防眩層の厚さに対して20〜60%であることが好ましい。60%を超えると、有機微粒子は塗膜層最表面に突出し、また有機微粒子により生じる凹凸が急峻なものとなる恐れがある。20%未満であると、充分な凹凸形状を防眩層表面に形成できなくなって、防眩性能及び干渉縞防止性能が不充分となることがある。
なお、上記有機微粒子の平均粒子径は、有機微粒子単独で測定する場合、コールターカウンター法による重量平均径として計測できる。一方、防眩層中の有機微粒子の平均粒径は、防眩層の透過光学顕微鏡観察において、10個の粒子の最大径を平均した値として求められる。もしくはそれが不適な場合は、粒子中心近傍を通る断面の電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型が好ましい)観察において、任意の同じ種類で、ほぼ同じ位の粒径として観察される拡散粒子30個選択して(粒子のどの部位の断面であるか不明であるためn数を増やしている)その断面の最大粒径を測定し、その平均値として算出される値である。いずれも画像から判断するため、画像解析ソフトにて算出してもよい。
上記防眩層は、上記シリカ微粒子及び有機微粒子がバインダー樹脂中に分散されている。上記バインダー樹脂としては、分子中に水酸基を含まない多官能アクリレートモノマーを主材料とすることが好ましい。上記「分子中に水酸基を含まない多官能アクリレートモノマーを主材料とする」とは、上記バインダー樹脂の原料モノマー中、分子中に水酸基を含まない多官能アクリレートモノマーの含有量が最も多いことを意味する。上記分子中に水酸基を含まない多官能アクリレートモノマーは、疎水性モノマーであるため、上記防眩層を構成するバインダー樹脂は、疎水性樹脂であることが好ましい。バインダー樹脂が水酸基を持つような親水性の樹脂が主体となると、後述する極性の高い溶剤(例えば、イソプロピルアルコール)が蒸発しにくくなり上記シリカ微粒子が有機微粒子に付着及び/又は含浸し難くなる。そのため、その後にシリカ微粒子のみで凝集が進んでしまい、防眩層の表面に面ギラを悪化させるような凸部を形成してしまう恐れがある。なお、分子中に水酸基を含まない多官能アクリレートモノマーと水酸基を有する多官能アクリレートモノマーの比率を変えることでシリカ微粒子が有機微粒子に付着及び/又は含浸する程度を調整することも可能である。
上記分子中に水酸基を含まない多官能アクリレートモノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、PO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。なかでも、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)が好適に用いられる。
また、その他のバインダー樹脂としては、透明性のものが好ましく、例えば、紫外線又は電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂が紫外線又は電子線の照射により硬化したものであることが好ましい。
上記電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、上述したハードコート層を構成する材料において説明したものと同様のものが挙げられる。
上記シリカ微粒子、有機微粒子及びバインダー樹脂を含有する防眩層は、例えば、上述したシリカ微粒子、有機微粒子、バインダー樹脂のモノマー成分及び溶剤を含有する防眩層用組成物を、ポリエステル基材上に塗布し、乾燥させて形成した塗膜を電離放射線照射等により硬化させることで形成することができる。
上記防眩層用組成物において、上記シリカ微粒子は、該組成物中では上述した凝集体を形成しているが均一に分散した状態であることが好ましく、上記塗膜を乾燥させたときに粗密に分布し、更に、上記有機微粒子の周囲に密に分布することが好ましい。上記防眩層用組成物中で上記シリカ微粒子の凝集体が均一に分散した状態でないと、上記防眩層用組成物中で凝集が過度に進んでしまい、上記シリカ微粒子の巨大な凝集体となって、上述した滑らかな凹凸形状を有する防眩層を形成することができなくなるからである。
ここで、上記シリカ微粒子は、上記防眩層用組成物を増粘させることができる材料であるため、上記シリカ微粒子を含有することで、防眩層用組成物に含まれる有機微粒子の沈降を抑制できる。すなわち、上記シリカ微粒子は、上述した有機微粒子とシリカ微粒子の凝集体との所定の分布の形成促進機能とともに、防眩層用組成物のポットライフの向上機能も有すると推測される。
ここで、上記シリカ微粒子は、上記防眩層用組成物を増粘させることができる材料であるため、上記シリカ微粒子を含有することで、防眩層用組成物に含まれる有機微粒子の沈降を抑制できる。すなわち、上記シリカ微粒子は、上述した有機微粒子とシリカ微粒子の凝集体との所定の分布の形成促進機能とともに、防眩層用組成物のポットライフの向上機能も有すると推測される。
また、上記シリカ微粒子が、上記防眩層用組成物中では凝集体として均一に分散させて、かつ、上記塗膜中で上記シリカ微粒子の凝集体が粗密な状態、及び、上記有機微粒子の周囲に密に分布させる方法としては、例えば、上記防眩層用組成物に添加する溶剤として、極性が高く、かつ、揮発速度が速い溶剤を所定量含有させる方法が挙げられる。このような極性が高く、揮発速度が速い溶剤を含有することで、上記防眩層用組成物中でシリカ微粒子の凝集体が過度に凝集することを防止できる。一方で、上記ポリエステル基材上に塗布し乾燥させて塗膜を形成する際、上記極性が高く、揮発速度が速い溶剤は、他の溶剤よりも先に揮発するため、塗膜形成時の組成が変性し、その結果、該塗膜中で上記有機微粒子の周囲に上記シリカ微粒子の凝集体が寄り集まるとともに、シリカ微粒子の凝集体同士も寄り集まって、シリカ微粒子の凝集体が粗密な状態、及び、上記有機微粒子の周囲に密に分布した状態を形成することができる。
なお、本明細書において、「極性が高い溶剤」とは、溶解度パラメーターが10[(cal/cm3)1/2]以上の溶剤を意味し、「揮発速度が速い溶剤」とは、相対蒸発速度が150以上の溶剤を意味する。従って、上記「極性が高くかつ揮発速度が速い溶剤」とは、上記「極性が高い溶剤」及び「揮発速度が速い溶剤」の両方の要件を充足する溶剤を意味する。
本明細書において、上記溶解度パラメーターは、Fedorsの方法で計算される。Fedorsの方法は、例えば「SP値 基礎・応用と計算方法」(山本秀樹著 株式会社情報機構発行、2005年)に記載されている。Fedorsの方法において、溶解度パラメーターは下記式より算出される。
溶解度パラメーター=[ΣEcoh/ΣV]2
上記式中、Ecohは凝集エネルギー密度、Vはモル分子容である。原子団ごとに決められたEcoh及びVに基づき、Ecoh及びVの総和であるΣEcoh及びΣVを求めることによって、溶解度パラメーターを算出することができる。
また、本明細書において、上記相対蒸発速度とは、n−酢酸ブチルの蒸発速度を100とした時の相対蒸発速度をいい、ASTM D3539−87に準拠して測定される蒸発速度で、下記式により算出される。具体的には、25℃、乾燥空気下におけるn−酢酸ブチルの蒸発時間と各溶剤の蒸発時間を測定し算出する。
相対蒸発速度=(n−酢酸ブチル90重量%が蒸発するのに要する時間)/(測定溶剤の90重量%が蒸発するのに要する時間)×100
なお、本明細書において、「極性が高い溶剤」とは、溶解度パラメーターが10[(cal/cm3)1/2]以上の溶剤を意味し、「揮発速度が速い溶剤」とは、相対蒸発速度が150以上の溶剤を意味する。従って、上記「極性が高くかつ揮発速度が速い溶剤」とは、上記「極性が高い溶剤」及び「揮発速度が速い溶剤」の両方の要件を充足する溶剤を意味する。
本明細書において、上記溶解度パラメーターは、Fedorsの方法で計算される。Fedorsの方法は、例えば「SP値 基礎・応用と計算方法」(山本秀樹著 株式会社情報機構発行、2005年)に記載されている。Fedorsの方法において、溶解度パラメーターは下記式より算出される。
溶解度パラメーター=[ΣEcoh/ΣV]2
上記式中、Ecohは凝集エネルギー密度、Vはモル分子容である。原子団ごとに決められたEcoh及びVに基づき、Ecoh及びVの総和であるΣEcoh及びΣVを求めることによって、溶解度パラメーターを算出することができる。
また、本明細書において、上記相対蒸発速度とは、n−酢酸ブチルの蒸発速度を100とした時の相対蒸発速度をいい、ASTM D3539−87に準拠して測定される蒸発速度で、下記式により算出される。具体的には、25℃、乾燥空気下におけるn−酢酸ブチルの蒸発時間と各溶剤の蒸発時間を測定し算出する。
相対蒸発速度=(n−酢酸ブチル90重量%が蒸発するのに要する時間)/(測定溶剤の90重量%が蒸発するのに要する時間)×100
上記極性が高く、かつ、揮発速度が速い溶剤としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられるが、その中でも、イソプロピルアルコールが好適に用いられる。
また、上記溶剤におけるイソプロピルアルコールの含有量は、全溶剤中20質量%以上であることが好ましい。20質量%未満であると、防眩層用組成物中でシリカ微粒子の凝集体が生じてしまうことがある。上記イソプロピルアルコールの含有量は、40質量%以下であることがより好ましい。なお、極性及び揮発速度の異なる2種以上の溶剤の比率を変えた混合溶剤を用いることで凝集の程度を制御することも可能である。
また、上記溶剤におけるイソプロピルアルコールの含有量は、全溶剤中20質量%以上であることが好ましい。20質量%未満であると、防眩層用組成物中でシリカ微粒子の凝集体が生じてしまうことがある。上記イソプロピルアルコールの含有量は、40質量%以下であることがより好ましい。なお、極性及び揮発速度の異なる2種以上の溶剤の比率を変えた混合溶剤を用いることで凝集の程度を制御することも可能である。
上記防眩層用組成物に含まれるその他の溶剤としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール類(ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
上記防眩層の厚みは特に限定されないが、2.0〜7.0μmであることが好ましい。2.0μm未満であると、防眩層表面が傷付きやすくなることがあり、7.0μmを超えると、防眩層が割れやすくなることがある。上記防眩層の厚さのより好ましい範囲は2.0〜5.0μmである。なお、上記防眩層の厚さは、断面顕微鏡観察により測定することができるし、簡易的に接触式の厚み計で測定することもできる。
上記光学機能層は、上記ハードコート層、防眩層上に低屈折率層を設けた構成であってもよい。
上記低屈折率層としては、好ましくは、シリカ又はフッ化マグネシウム等の低屈折率無機微粒子を含有する樹脂、低屈折率樹脂であるフッ素系樹脂、シリカ又はフッ化マグネシウム等の低屈折率無機微粒子を含有するフッ素系樹脂、シリカ又はフッ化マグネシウム等の低屈折率無機薄膜等のいずれかを含む低屈折率層用組成物を用いて形成する。フッ素系樹脂以外の樹脂については、上述したアクリル樹脂と同様の樹脂を用いることができる。
上記低屈折率層は、その屈折率が1.47以下、特に1.42以下であることが好ましい。また、低屈折率層の厚みは限定されないが、通常は10nm〜1μm程度の範囲内から適宜設定すれば良い。
上記低屈折率層としては、好ましくは、シリカ又はフッ化マグネシウム等の低屈折率無機微粒子を含有する樹脂、低屈折率樹脂であるフッ素系樹脂、シリカ又はフッ化マグネシウム等の低屈折率無機微粒子を含有するフッ素系樹脂、シリカ又はフッ化マグネシウム等の低屈折率無機薄膜等のいずれかを含む低屈折率層用組成物を用いて形成する。フッ素系樹脂以外の樹脂については、上述したアクリル樹脂と同様の樹脂を用いることができる。
上記低屈折率層は、その屈折率が1.47以下、特に1.42以下であることが好ましい。また、低屈折率層の厚みは限定されないが、通常は10nm〜1μm程度の範囲内から適宜設定すれば良い。
上記フッ素系樹脂としては、少なくとも分子中にフッ素原子を含む重合性化合物又はその重合体を用いることができる。重合性化合物としては特に限定されないが、例えば、電離放射線で硬化する官能基、熱硬化する極性基等の硬化反応性の基を有するものが好ましい。また、これらの反応性の基を同時に併せ持つ化合物でもよい。この重合性化合物に対し、重合体とは、上記のような反応性基等を一切もたないものである。
上記電離放射線で硬化する官能基を有する重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有するフッ素含有モノマーを広く用いることができる。より具体的には、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロブタジエン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)を例示することができる。(メタ)アクリロイルオキシ基を有するものとしては、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、α−トリフルオロメタクリル酸メチル、α−トリフルオロメタクリル酸エチルのような、分子中にフッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物;分子中に、フッ素原子を少なくとも3個持つ炭素数1〜14のフルオロアルキル基、フルオロシクロアルキル基又はフルオロアルキレン基と、少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステル化合物等もある。
上記熱硬化する極性基として好ましいのは、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の水素結合形成基である。これらは、塗膜との密着性だけでなく、シリカ等の無機超微粒子との親和性にも優れている。熱硬化性極性基を持つ重合性化合物としては、例えば、4−フルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体;フルオロエチレン−炭化水素系ビニルエーテル共重合体;エポキシ、ポリウレタン、セルロース、フェノール、ポリイミド等の各樹脂のフッ素変性品等が挙げられる。
上記電離放射線で硬化する官能基と熱硬化する極性基とを併せ持つ重合性化合物としては、アクリル又はメタクリル酸の部分及び完全フッ素化アルキル、アルケニル、アリールエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類、完全又は部分フッ素化ビニルエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルケトン類等を例示することができる。
上記電離放射線で硬化する官能基と熱硬化する極性基とを併せ持つ重合性化合物としては、アクリル又はメタクリル酸の部分及び完全フッ素化アルキル、アルケニル、アリールエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類、完全又は部分フッ素化ビニルエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルケトン類等を例示することができる。
また、フッ素系樹脂としては、例えば、次のようなものを挙げることができる。
上記電離放射線硬化性基を有する重合性化合物の含フッ素(メタ)アクリレート化合物を少なくとも1種類含むモノマー又はモノマー混合物の重合体;上記含フッ素(メタ)アクリレート化合物の少なくとも1種類と、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートの如き分子中にフッ素原子を含まない(メタ)アクリレート化合物との共重合体;フルオロエチレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンのような含フッ素モノマーの単独重合体又は共重合体等。これらの共重合体にシリコーン成分を含有させたシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体も用いることができる。この場合のシリコーン成分としては、(ポリ)ジメチルシロキサン、(ポリ)ジエチルシロキサン、(ポリ)ジフェニルシロキサン、(ポリ)メチルフェニルシロキサン、アルキル変性(ポリ)ジメチルシロキサン、アゾ基含有(ポリ)ジメチルシロキサン、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、アルキル・アラルキル変性シリコーン、フルオロシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、メチル水素シリコーン、シラノール基含有シリコーン、アルコキシ基含有シリコーン、フェノール基含有シリコーン、メタクリル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が例示される。なかでも、ジメチルシロキサン構造を有するものが好ましい。
上記電離放射線硬化性基を有する重合性化合物の含フッ素(メタ)アクリレート化合物を少なくとも1種類含むモノマー又はモノマー混合物の重合体;上記含フッ素(メタ)アクリレート化合物の少なくとも1種類と、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートの如き分子中にフッ素原子を含まない(メタ)アクリレート化合物との共重合体;フルオロエチレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンのような含フッ素モノマーの単独重合体又は共重合体等。これらの共重合体にシリコーン成分を含有させたシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体も用いることができる。この場合のシリコーン成分としては、(ポリ)ジメチルシロキサン、(ポリ)ジエチルシロキサン、(ポリ)ジフェニルシロキサン、(ポリ)メチルフェニルシロキサン、アルキル変性(ポリ)ジメチルシロキサン、アゾ基含有(ポリ)ジメチルシロキサン、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、アルキル・アラルキル変性シリコーン、フルオロシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、メチル水素シリコーン、シラノール基含有シリコーン、アルコキシ基含有シリコーン、フェノール基含有シリコーン、メタクリル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が例示される。なかでも、ジメチルシロキサン構造を有するものが好ましい。
更には、以下のような化合物からなる非重合体又は重合体も、フッ素系樹脂として用いることができる。すなわち、分子中に少なくとも1個のイソシアナト基を有する含フッ素化合物と、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基のようなイソシアナト基と反応する官能基を分子中に少なくとも1個有する化合物とを反応させて得られる化合物;フッ素含有ポリエーテルポリオール、フッ素含有アルキルポリオール、フッ素含有ポリエステルポリオール、フッ素含有ε−カプロラクトン変性ポリオールのようなフッ素含有ポリオールと、イソシアナト基を有する化合物とを反応させて得られる化合物等を用いることができる。
また、低屈折率層用組成物は、上記したフッ素原子を持つ重合性化合物や重合体とともに、上記に記載したような各熱可塑性樹脂を含有してもよい。更に、反応性基等を硬化させるための硬化剤、塗工性を向上させたり、防汚性を付与させたりするために、各種添加剤、溶剤を適宜使用することができる。
上記低屈折率層の形成においては、上記低屈折率層用組成物の粘度を好ましい塗布性が得られる0.5〜5mPa・s(25℃)、好ましくは0.7〜3mPa・s(25℃)の範囲のものとすることが好ましい。可視光線の優れた反射防止層を実現でき、かつ、均一で塗布ムラのない薄膜を形成することができ、かつ、密着性に特に優れた低屈折率層を形成することができる。
樹脂の硬化手段は、前述のハードコート層における硬化手段と同様であってよい。硬化処理のために加熱手段が利用される場合には、加熱により、例えばラジカルを発生して重合性化合物の重合を開始させる熱重合開始剤が低屈折率層用組成物に添加されることが好ましい。
上記低屈折率層は、表面に従来の防眩層と比較して、凹凸の高さが低く、凹凸部の傾斜角度がよりなだらかな凹凸形状が形成されていることが好ましい。
上記凹凸形状は、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸のクルトシスをKrとしたとき、上記θa及びKrが以下の式を満たすことが好ましい。
0.01°≦θa≦0.10°
1≦Kr≦3
このような凹凸形状を有するので、従来の防眩性フィルムのような防眩性は得られない。一方で、防眩性フィルムで問題となる外光による白濁感の発生が生じず、コントラストに優れた映像を提供する光学積層体を得ることができる。
上記凹凸形状は、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸のクルトシスをKrとしたとき、上記θa及びKrが以下の式を満たすことが好ましい。
0.01°≦θa≦0.10°
1≦Kr≦3
このような凹凸形状を有するので、従来の防眩性フィルムのような防眩性は得られない。一方で、防眩性フィルムで問題となる外光による白濁感の発生が生じず、コントラストに優れた映像を提供する光学積層体を得ることができる。
上記低屈折率層の表面に形成された凹凸形状により、干渉縞が防止できる理由は、光学機能層表面で反射する光が拡散し、非干渉性の光となるためである。光を拡散させるためには凹凸表面に傾斜があることが必要であり、その指標が平均傾斜角θaである。
上記凹凸部の平均傾斜角θaの下限は0.01°である。0.01°未満であると、傾斜が充分でなく、干渉縞を防止することができない。より好ましい下限は0.03°であり、更に好ましい下限は0.04°である。また、上記凹凸部の平均傾斜角θaの上限は0.10°である。0.10°を超えると、上記凹凸部の傾斜角度が過度に大きいため、外光の拡散反射による白濁感の問題が生じる。より好ましい上限は0.09°であり、更に好ましい上限は0.08°である。
上記凹凸部の平均傾斜角θaの下限は0.01°である。0.01°未満であると、傾斜が充分でなく、干渉縞を防止することができない。より好ましい下限は0.03°であり、更に好ましい下限は0.04°である。また、上記凹凸部の平均傾斜角θaの上限は0.10°である。0.10°を超えると、上記凹凸部の傾斜角度が過度に大きいため、外光の拡散反射による白濁感の問題が生じる。より好ましい上限は0.09°であり、更に好ましい上限は0.08°である。
また、上記凹凸のクルトシスKrが1以上3以下であることが好ましい。上記クルトシスKrは、トガリとも言い、その値が大きいほど、凸部又は凹部が急峻な形状となることを表す。これは、平均傾斜角が上記範囲を満たしていても、その傾斜角分布に偏りが生じていることを示している。すなわち、局所的には傾斜角が大きいが、その他の部分では傾斜角が小さいことを表している。このような場合、局所的に傾斜角が大きい部分では、光の拡散が過度に大きくなり白濁感の問題が生じる恐れがある一方、傾斜角が小さい部分では、好適に干渉縞が防止できない恐れがある。Krが3以下であれば、傾斜角度分布の偏りが適度に抑えられ、干渉縞を好適に防止することができると同時に白濁感も抑えることができる。また、Krの値は、定義上、最小値は1である。
また、凹凸の算術平均粗さをRaとしたとき、以下の式を満たすことが好ましい。
0.02μm≦Ra≦0.10μm
凹凸形状の各凸部の大きさ(高さ)を制御することが好ましいが、その指標が算術平均粗さRaである。
上記凹凸の算術平均粗さRaの下限は0.02μmである。上記Raが0.02μm未満であると、光の波長に対し各凸部の大きさ(高さ)が小さすぎることになり、拡散効果が得られないことがある。より好ましい下限は0.03μmであり、更に好ましい下限は0.04μmである。また、上記Raの上限は0.10μmである。Raが0.10μm超過であると、各凸部が大きくなりすぎ、透過光をゆがませるため、鮮明な画像が得られなくなることがある。より好ましい上限は0.09μmであり、更に好ましい上限は0.08μmである。
0.02μm≦Ra≦0.10μm
凹凸形状の各凸部の大きさ(高さ)を制御することが好ましいが、その指標が算術平均粗さRaである。
上記凹凸の算術平均粗さRaの下限は0.02μmである。上記Raが0.02μm未満であると、光の波長に対し各凸部の大きさ(高さ)が小さすぎることになり、拡散効果が得られないことがある。より好ましい下限は0.03μmであり、更に好ましい下限は0.04μmである。また、上記Raの上限は0.10μmである。Raが0.10μm超過であると、各凸部が大きくなりすぎ、透過光をゆがませるため、鮮明な画像が得られなくなることがある。より好ましい上限は0.09μmであり、更に好ましい上限は0.08μmである。
また、λa=2π×(Ra/tan(θa))で表される平均波長λaが200μm以上800μm以下であることが好ましい。
上記平均波長λaは、凹凸の平均的な間隔を示すパラメータである。平均波長λaが200μm未満であると、凹凸が小さすぎて干渉縞が防止できないか、あるいは、凹凸平面での傾斜角の変化が大きすぎて、白濁感が見られる恐れがある。平均波長λaが800μm超過であると、凹凸平面での傾斜角の変化が少なくなり、好適に干渉縞を防止できない恐れがある。上記平均波長λaのより好ましい下限は300μm、より好ましい上限は600μmである。
上記平均波長λaは、凹凸の平均的な間隔を示すパラメータである。平均波長λaが200μm未満であると、凹凸が小さすぎて干渉縞が防止できないか、あるいは、凹凸平面での傾斜角の変化が大きすぎて、白濁感が見られる恐れがある。平均波長λaが800μm超過であると、凹凸平面での傾斜角の変化が少なくなり、好適に干渉縞を防止できない恐れがある。上記平均波長λaのより好ましい下限は300μm、より好ましい上限は600μmである。
また、上記低屈折率層の表面に形成された凹凸形状の十点平均粗さ(Rz)は、0.5μm未満であることが好ましく、より好ましい上限は0.3μmである。上記Rzが0.5μm以上であると、凹凸が大きすぎて白濁感が見られる恐れがある。上記Rzの下限は特に限定されず、拡散効果が得られる範囲で適宜調整される。
上記低屈折率層表面の凹凸形状は、ハードコート層の基材フィルムと反対側表面、又は、防眩層の基材フィルムと反対側表面に形成された凹凸形状に追随して形成されたものである。したがって、ハードコート層の基材フィルムと反対側表面、又は、防眩層の基材フィルムと反対側表面に形成された凹凸形状は、その上に形成される低屈折率層の表面の凹凸形状が上記範囲となるよう適宜調整されているのが好ましい。
上記低屈折率層の厚みは限定されないが、30nm〜1μm程度の範囲内から適宜設定すれば良い。
上記基材フィルムとしてアクリル基材を用いる場合には、基材フィルムと、上記ハードコート層等との間に樹脂層を有することが好ましい。
アクリル基材は、従来よく用いられているセルロースエステルフィルムやポリエステル系フィルムと比較し、一般に使用できる溶剤全てが基材を膨潤する力があり、むしろ溶剤によっては基材が膨潤の影響を強く受けやすく、加工時に基材自身が切れる等の問題があり、従来の透明プラスチック基材で知られている技術は、そのままアクリル基材には用いることが出来ないという問題があるからである。
アクリル基材は、従来よく用いられているセルロースエステルフィルムやポリエステル系フィルムと比較し、一般に使用できる溶剤全てが基材を膨潤する力があり、むしろ溶剤によっては基材が膨潤の影響を強く受けやすく、加工時に基材自身が切れる等の問題があり、従来の透明プラスチック基材で知られている技術は、そのままアクリル基材には用いることが出来ないという問題があるからである。
上記樹脂層は、バインダー樹脂を含有することが好ましい。
上記樹脂層におけるバインダー樹脂としては特に限定されないが、例えば、一官能〜三官能(メタ)アクリレートを含み、特に、二官能(メタ)アクリレートを含む樹脂層用組成物の硬化物が好ましい。一官能または三官能(メタ)アクリレートを用いる場合は、二官能(メタ)アクリレートと混合して用いることが好ましい。
二官能(メタ)アクリレートの具体例としては、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートや、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。特に、二官能(メタ)アクリレートの中でも、樹脂層用組成物による基材破断を抑え、上述の表面凹凸の制御が容易であるとの観点からは特に、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートが最も好ましい。
また、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びジブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記樹脂層におけるバインダー樹脂としては特に限定されないが、例えば、一官能〜三官能(メタ)アクリレートを含み、特に、二官能(メタ)アクリレートを含む樹脂層用組成物の硬化物が好ましい。一官能または三官能(メタ)アクリレートを用いる場合は、二官能(メタ)アクリレートと混合して用いることが好ましい。
二官能(メタ)アクリレートの具体例としては、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートや、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。特に、二官能(メタ)アクリレートの中でも、樹脂層用組成物による基材破断を抑え、上述の表面凹凸の制御が容易であるとの観点からは特に、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートが最も好ましい。
また、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びジブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記一官能(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等)またはポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等)が挙げられ、アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
上記三官能(メタ)アクリレートの具体例としては、イソシアヌル酸トリアクリレート、ポリアルキレングリコールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
尚、上記一官能、二官能、三官能の各化合物のPO(ポリエチレンオキサイド)変性品、EO(エチレンオキサイド)変性品も好ましい。
上記樹脂層用組成物が、二官能(メタ)アクリレートと、一官能(メタ)アクリレートや三官能(メタ)アクリレートとを含有する場合には、二官能(メタ)アクリレートの質量比が一官能(メタ)アクリレート及び三官能(メタ)アクリレートの合計の質量比よりも大きいことが好ましい。
上記樹脂層用組成物は、更に一官能〜三官能(メタ)アクリレート以外の光重合性モノマー、光重合性オリゴマー、光重合性ポリマー等を含有していてもよく、紫外線硬化性樹脂組成物である場合には開始剤を含有する。
上記三官能(メタ)アクリレートの具体例としては、イソシアヌル酸トリアクリレート、ポリアルキレングリコールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
尚、上記一官能、二官能、三官能の各化合物のPO(ポリエチレンオキサイド)変性品、EO(エチレンオキサイド)変性品も好ましい。
上記樹脂層用組成物が、二官能(メタ)アクリレートと、一官能(メタ)アクリレートや三官能(メタ)アクリレートとを含有する場合には、二官能(メタ)アクリレートの質量比が一官能(メタ)アクリレート及び三官能(メタ)アクリレートの合計の質量比よりも大きいことが好ましい。
上記樹脂層用組成物は、更に一官能〜三官能(メタ)アクリレート以外の光重合性モノマー、光重合性オリゴマー、光重合性ポリマー等を含有していてもよく、紫外線硬化性樹脂組成物である場合には開始剤を含有する。
上記二官能(メタ)アクリレートは、分子量180〜1000のものが好ましく、分子量200〜750のものがより好ましく、分子量220〜450のものが特に好ましい。二官能(メタ)アクリレートの分子量が上記範囲内であると、上述の基準長さ30μmにおける稜線の長さ、基準高さと基準深さとの高低差、平均傾斜角θaを満たすものが容易に得られ、密着性や干渉縞防止性が優れる。
樹脂層用組成物における二官能(メタ)アクリレートの配合量は、固形分量で、50〜100質量%であることがより好ましく、70〜100質量%であることが特に好ましい。二官能(メタ)アクリレートに対して一官能(メタ)アクリレート及び/又は三官能(メタ)アクリレートを併用する場合、樹脂層用組成物における一官能(メタ)アクリレート及び/又は三官能(メタ)アクリレートの配合量は、上記二官能(メタ)アクリレートの配合量の残部とすることが好ましい。
なお、樹脂層に屈折率調整材料や帯電防止材料等の他の機能性成分が添加されている場合、機能性成分が樹脂層の下部には存在せず、上部に偏在密集することから、後述する溶剤が揮発する動きとともに溶解したアクリル基材の材料成分が樹脂層中に流出してアクリル基材−樹脂層界面の凹凸を形成するものと推認される。なお、このことによって適度な凹凸が界面に生じ、密着性が良好となるとともに干渉縞防止性も良好となるばかりでなく、目的とする機能(帯電防止性や高屈折率性、低屈折率性等)を良好に発生させることができるためにも好ましい。
樹脂層用組成物における二官能(メタ)アクリレートの配合量は、固形分量で、50〜100質量%であることがより好ましく、70〜100質量%であることが特に好ましい。二官能(メタ)アクリレートに対して一官能(メタ)アクリレート及び/又は三官能(メタ)アクリレートを併用する場合、樹脂層用組成物における一官能(メタ)アクリレート及び/又は三官能(メタ)アクリレートの配合量は、上記二官能(メタ)アクリレートの配合量の残部とすることが好ましい。
なお、樹脂層に屈折率調整材料や帯電防止材料等の他の機能性成分が添加されている場合、機能性成分が樹脂層の下部には存在せず、上部に偏在密集することから、後述する溶剤が揮発する動きとともに溶解したアクリル基材の材料成分が樹脂層中に流出してアクリル基材−樹脂層界面の凹凸を形成するものと推認される。なお、このことによって適度な凹凸が界面に生じ、密着性が良好となるとともに干渉縞防止性も良好となるばかりでなく、目的とする機能(帯電防止性や高屈折率性、低屈折率性等)を良好に発生させることができるためにも好ましい。
上記光重合性ポリマーとしては、官能基として(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましく、官能基数が10〜250個のものが好ましく、10〜100個のものがより好ましく、10〜50個のものが更に好ましい。
光重合性ポリマーの重量平均分子量は、1万〜10万であることが好ましく、12000〜4万であることがより好ましい。
樹脂層用組成物における光重合性ポリマーの配合量は、固形分量で、0〜40質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがより好ましい。
光重合性ポリマーの重量平均分子量は、1万〜10万であることが好ましく、12000〜4万であることがより好ましい。
樹脂層用組成物における光重合性ポリマーの配合量は、固形分量で、0〜40質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがより好ましい。
上記光重合性オリゴマーとしては、2官能以上のものが用いられ、官能基として(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましく、官能基数が2〜30個のものが好ましく、2〜20個のものがより好ましく、3〜15個のものが更に好ましい。
光重合性オリゴマーの重量平均分子量は、1000〜1万であることが好ましく、1,500〜1万であることがより好ましい。
樹脂層用組成物における光重合性オリゴマーの配合量は、固形分量で、0〜40質量%であることが好ましく0〜30質量%であることがより好ましい。
光重合性オリゴマーの重量平均分子量は、1000〜1万であることが好ましく、1,500〜1万であることがより好ましい。
樹脂層用組成物における光重合性オリゴマーの配合量は、固形分量で、0〜40質量%であることが好ましく0〜30質量%であることがより好ましい。
一官能〜三官能(メタ)アクリレート以外の光重合性モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物等の1又は2以上の不飽和結合を有するものを挙げることができる。1の不飽和結合を有する単官能モノマーとしては、例えば、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等を挙げることができる。2以上の不飽和結合を有する多官能モノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等及びこれらをエチレンオキサイド(EО)等で変性した多官能化合物等を挙げることができる。
単官能モノマーを用いることで、屈折率調整が容易となり、より屈折率の高い樹脂層を形成することができ、一方、多官能モノマーを用いると、硬度が良好となる。
上記光重合性モノマーの分子量は、200〜1000であることが好ましく、250〜750であることがより好ましい。
樹脂層用組成物における一官能〜三官能(メタ)アクリレート以外の光重合性モノマーの配合量は、固形分量で、0〜40質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがより好ましい。
単官能モノマーを用いることで、屈折率調整が容易となり、より屈折率の高い樹脂層を形成することができ、一方、多官能モノマーを用いると、硬度が良好となる。
上記光重合性モノマーの分子量は、200〜1000であることが好ましく、250〜750であることがより好ましい。
樹脂層用組成物における一官能〜三官能(メタ)アクリレート以外の光重合性モノマーの配合量は、固形分量で、0〜40質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがより好ましい。
上記樹脂層用組成物は、更に溶媒を含有していることが好ましい。
この溶媒は、アクリル基材を適度に膨潤させるものを選択することが好ましい。ただし、アクリル基材は、従来よく用いられている基材フィルムとは異なり、ほぼあらゆる種類の溶剤で膨潤する。よって溶剤による影響が強く、膨潤度が強すぎると割れる場合もあるため、以下の溶剤を選択することで、適度に膨潤させることができ、基材を構成する樹脂成分と樹脂層を構成する樹脂成分とが移動するバランスが適度になり、界面において好ましい稜線を得ることができる。
更に、上記溶媒は、使用する樹脂成分の種類及び溶解性に応じて選択して使用することができる。このような溶媒としては、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール)が好ましく、その他の各溶剤種類においては炭素数がより多いものが良好な傾向があり、その中でも蒸発速度が速いものが良好な傾向がある。例えば、ケトン類であれば、メチルイソブチルケトン、芳香族炭化水素類であればトルエン、グリコール類であればプロピレングリコールモノメチルエーテル等が例示でき、これらの混合溶媒であってもよい。
特に、樹脂との相溶性、塗工性に優れ、また、アクリル基材−樹脂層界面に本願の特異な凹凸形状が形成され、更には加工時に基材が切れる不具合が出ない、という理由から、とりわけメチルイソブチルケトン、イソプロパノール及び1−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルから選択される一種以上を含むものが好ましい。これらの溶剤であると、アクリル基材が割れることなく適度に膨潤できる。
逆に、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等)や、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール)、セロソルブ類、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、脂肪族炭化水素類 (ヘキサン等)、芳香族炭化水素類(キシレン)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)は、アクリル基材を過剰に膨潤させる場合があるため基材にテンションがかかる場合には使用しないことが好ましい。
この溶媒は、アクリル基材を適度に膨潤させるものを選択することが好ましい。ただし、アクリル基材は、従来よく用いられている基材フィルムとは異なり、ほぼあらゆる種類の溶剤で膨潤する。よって溶剤による影響が強く、膨潤度が強すぎると割れる場合もあるため、以下の溶剤を選択することで、適度に膨潤させることができ、基材を構成する樹脂成分と樹脂層を構成する樹脂成分とが移動するバランスが適度になり、界面において好ましい稜線を得ることができる。
更に、上記溶媒は、使用する樹脂成分の種類及び溶解性に応じて選択して使用することができる。このような溶媒としては、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール)が好ましく、その他の各溶剤種類においては炭素数がより多いものが良好な傾向があり、その中でも蒸発速度が速いものが良好な傾向がある。例えば、ケトン類であれば、メチルイソブチルケトン、芳香族炭化水素類であればトルエン、グリコール類であればプロピレングリコールモノメチルエーテル等が例示でき、これらの混合溶媒であってもよい。
特に、樹脂との相溶性、塗工性に優れ、また、アクリル基材−樹脂層界面に本願の特異な凹凸形状が形成され、更には加工時に基材が切れる不具合が出ない、という理由から、とりわけメチルイソブチルケトン、イソプロパノール及び1−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルから選択される一種以上を含むものが好ましい。これらの溶剤であると、アクリル基材が割れることなく適度に膨潤できる。
逆に、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等)や、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール)、セロソルブ類、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、脂肪族炭化水素類 (ヘキサン等)、芳香族炭化水素類(キシレン)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)は、アクリル基材を過剰に膨潤させる場合があるため基材にテンションがかかる場合には使用しないことが好ましい。
上記樹脂層用組成物中における溶媒の含有割合としては特に限定されないが、例えば上述の好ましい溶媒については、樹脂層用組成物の固形分100質量部に対して、30〜300質量部が好ましく、100〜220質量部であることがより好ましい。溶媒の含有割合が上記範囲以内であると、上述の基準長さ30μmにおける稜線の長さ、基準高さと基準深さとの高低差、平均傾斜角θaを満たすものが容易に得られる。樹脂層用組成物の固形分100質量部に対して、溶媒の含有割合が30質量部以上であると、上述の基準長さ30μmにおける稜線の長さ、基準高さと基準深さとの高低差、平均傾斜角θaが大きくなり、300質量部以下であると、これらが小さくなる。上記アクリル基材−樹脂層界面が、山部及び谷部を有する稜線は、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレートを含む樹脂層用組成物と上記好ましい溶媒との組み合わせによって効果的に得られる。例えば、溶媒によってアクリル基材が適度に膨潤し、それに伴って適度な分子量を有する二官能(メタ)アクリレート等が、アクリル基材に浸透していく。また、樹脂層の成分がアクリル基材に浸透するときに、逆にアクリル基材の材料成分が樹脂層方向に押し出されたり、溶媒がアクリル基材から樹脂層の空気面方向に揮発する等により、膨潤したアクリル基材の材料成分も樹脂層中に浸透していく。このように上部から下部へ、下部から上部へ各成分が動くことによって適度な山部及び谷部を有する稜線が界面に生じ、密着性が良好となるとともに干渉縞防止性も良好となると考えられる。これらの稜線の構造や平均傾斜角は、好ましい樹脂層の成分や溶媒の種類、そして乾燥温度の制御によって調整できる。
上記アクリル基材−樹脂層界面が、上記所定の稜線構造となるための好ましい製造方法の1例としては;
(第一工程)
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等の二官能ジ(メタ)アクリレートを主成分とし、また溶媒を含む樹脂層用組成物をアクリル基材に塗布する、
(第二工程)
アクリル基材が、樹脂層用組成物中の溶媒、モノマー等によって膨潤する、
(第三工程)
適切な乾燥温度で溶媒を乾燥しながら、アクリル基材が膨潤するとともに、アクリル基材の材料成分と樹脂層用組成物の成分とが互いに移動しあうことによってアクリル基材/樹脂層界面に山谷状の最適な稜線を形成する、
(第四工程)
電離放射線を照射して樹脂層用組成物を硬化して樹脂層を形成する、
という方法があるが、上記所定の稜線がつくられる条件であれば、光学積層体の製造方法は、これに限らない。
樹脂層に屈折率調整材料や帯電防止材料等の他の機能性成分が添加されている場合は、このアクリル基材の材料成分の逆流によって、機能性成分が樹脂層の上部に偏在させることができ、各機能成分が光学積層体の表面側に密集するために、目的とする機能(帯電防止性や高屈折率性、低屈折率性等)を良好に発生させることができるため好ましい。
(第一工程)
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等の二官能ジ(メタ)アクリレートを主成分とし、また溶媒を含む樹脂層用組成物をアクリル基材に塗布する、
(第二工程)
アクリル基材が、樹脂層用組成物中の溶媒、モノマー等によって膨潤する、
(第三工程)
適切な乾燥温度で溶媒を乾燥しながら、アクリル基材が膨潤するとともに、アクリル基材の材料成分と樹脂層用組成物の成分とが互いに移動しあうことによってアクリル基材/樹脂層界面に山谷状の最適な稜線を形成する、
(第四工程)
電離放射線を照射して樹脂層用組成物を硬化して樹脂層を形成する、
という方法があるが、上記所定の稜線がつくられる条件であれば、光学積層体の製造方法は、これに限らない。
樹脂層に屈折率調整材料や帯電防止材料等の他の機能性成分が添加されている場合は、このアクリル基材の材料成分の逆流によって、機能性成分が樹脂層の上部に偏在させることができ、各機能成分が光学積層体の表面側に密集するために、目的とする機能(帯電防止性や高屈折率性、低屈折率性等)を良好に発生させることができるため好ましい。
上記樹脂層用組成物は、更に溶剤乾燥型樹脂を含有していてもよい。溶剤乾燥型樹脂を併用することによって、塗布面の被膜欠陥を有効に防止することができる。なお、上記溶剤乾燥型樹脂とは、熱可塑性樹脂等、塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂をいう。
上記溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。上記熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、製膜性、透明性や耐候性の観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
上記溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。上記熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、製膜性、透明性や耐候性の観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
上記開始剤としては特に限定されず、公知のものを用いることができ、例えば、光重合開始剤としては、具体例には、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
上記光重合開始剤としては、上記光重合性モノマー/オリゴマー/ポリマーがラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることが好ましく、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンが、電離放射線硬化型樹脂との相溶性、及び、黄変も少ないという理由から特に好ましい。また、上記光重合性モノマー/オリゴマー/ポリマーがカチオン重合性官能基を有する場合は、上記光重合開始剤としては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることが好ましい。
上記紫外線硬化性樹脂組成物における上記開始剤の含有量は、上記光重合性モノマー、光重合性オリゴマー及び光重合性ポリマーの合計量100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましい。開始剤の含有量が1質量部以上であると、光学積層体における樹脂層の硬度の観点から好ましく、10質量部以下であると、開始剤が過剰に残留することによる樹脂劣化を抑えると共にコストアップを防止でき、目標である樹脂層や後述するハードコート層の表面の鉛筆硬度が得られる。
上記開始剤の含有量のより好ましい下限は、上記光重合性モノマー、光重合性オリゴマー及び光重合性ポリマーの合計量100質量部に対して2質量部であり、より好ましい上限は8質量部である。上記開始剤の含有量がこの範囲にあることで、上記硬化をより確実にする。
上記開始剤の含有量のより好ましい下限は、上記光重合性モノマー、光重合性オリゴマー及び光重合性ポリマーの合計量100質量部に対して2質量部であり、より好ましい上限は8質量部である。上記開始剤の含有量がこの範囲にあることで、上記硬化をより確実にする。
上記樹脂層用組成物中に機能性成分を含有させることで、樹脂層に更に機能を賦与することができる。
機能性成分としては、帯電防止剤、屈折率調整剤、防汚剤、スリップ剤、防眩剤、ハードコート性付与剤等、通常の光学シートに用いられるものが挙げられる。
機能性成分としては、帯電防止剤、屈折率調整剤、防汚剤、スリップ剤、防眩剤、ハードコート性付与剤等、通常の光学シートに用いられるものが挙げられる。
上記樹脂層用組成物は、帯電防止剤を含有していてもよい。
帯電防止剤としては有機系のものが好ましく、より具体的には、リチウムイオン塩、4級アンモニウム塩、イオン性液体等のイオン性のものや、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の電子伝導性のものが挙げられる。
更に、上記樹脂層用組成物は、フッ素、シリコーン等の防汚剤を含有していてもよい。
上記機能性成分を用いる場合、その含有量は、樹脂層用組成物中の全固形分の合計質量に対して1〜30質量%であることが好ましい。
なお、帯電防止剤を含む樹脂層用組成物を用いて樹脂層を形成した場合(すなわち、樹脂層が帯電防止剤を含有する場合)、上述の二官能(メタ)アクリレートとの組合せにより、上記理由により、帯電防止剤が樹脂層の上面に偏在化するので、帯電防止性能が更に向上する。また、シリカ、アルミナ等の超微粒子をハードコート性付与剤として含む樹脂層用組成物を用いて樹脂層を形成した場合(すなわち、樹脂層がハードコート性付与剤を含有する場合)、上述のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとの組合せにより、上記理由により、ハードコート性付与剤が樹脂層の上面に偏在化するので、ハードコート性能が更に向上する。
帯電防止剤としては有機系のものが好ましく、より具体的には、リチウムイオン塩、4級アンモニウム塩、イオン性液体等のイオン性のものや、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の電子伝導性のものが挙げられる。
更に、上記樹脂層用組成物は、フッ素、シリコーン等の防汚剤を含有していてもよい。
上記機能性成分を用いる場合、その含有量は、樹脂層用組成物中の全固形分の合計質量に対して1〜30質量%であることが好ましい。
なお、帯電防止剤を含む樹脂層用組成物を用いて樹脂層を形成した場合(すなわち、樹脂層が帯電防止剤を含有する場合)、上述の二官能(メタ)アクリレートとの組合せにより、上記理由により、帯電防止剤が樹脂層の上面に偏在化するので、帯電防止性能が更に向上する。また、シリカ、アルミナ等の超微粒子をハードコート性付与剤として含む樹脂層用組成物を用いて樹脂層を形成した場合(すなわち、樹脂層がハードコート性付与剤を含有する場合)、上述のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとの組合せにより、上記理由により、ハードコート性付与剤が樹脂層の上面に偏在化するので、ハードコート性能が更に向上する。
また、上記アクリル基材が有機微粒子を含有する場合、上記樹脂層用組成物は有機微粒子を含有するのが好ましい(以下、樹脂層中の有機微粒子ともいう)。
上記樹脂層中の有機微粒子は、上記アクリル基材に含有される有機微粒子と同様のものが好ましい。
上記樹脂層中の有機微粒子の屈折率は、アクリル基材に内部へイズの発生が無いようにするため、基本的には上述の樹脂層用組成物の樹脂成分と屈折率はほぼ同じであることが好ましい。具体的には、上記樹脂層中の有機微粒子と樹脂層用組成物の樹脂成分との屈折率差は、0.00〜0.03であることが好ましい。
また、上記樹脂層中の有機微粒子の屈折率と、樹脂層のバインダー樹脂との屈折率が異なっていても、樹脂層用組成物をアクリル基材に塗布した際に有機微粒子中に樹脂層用組成物中のモノマー等のバインダー成分の少なくとも一部成分が含浸することで、樹脂層中に含まれる有機微粒子(アクリル基材側から樹脂層に移行した有機微粒子)は、樹脂層との屈折率差が小さくなり、新たな内部ヘイズの発生が抑制される。このような2種類の屈折率の異なる材料を用いた場合に、片方の成分を他方に含浸させる方法は、2種類の材料の界面部分において屈折率をグラデーションで変化させたり、2種類の材料の中間の屈折率とすることが出来、内部へイズ抑制に有効である。
したがって、樹脂層中の有機微粒子の平均粒子径(Db)は、樹脂層用組成物を吸収してアクリル基材に含有される有機微粒子の平均粒子径(Da)よりも大きくなる程度が好ましい。具体的には、アクリル基材に含有される有機微粒子の平均粒子径(Da)に対し、樹脂層中の有機微粒子の平均粒子径(Db)の比[Db/Da]が1.05倍以上となる程度であると、樹脂層中の有機微粒子と樹脂層の屈折率差による内部ヘイズの低下が発現するため好ましく、また1.80倍以下であると、樹脂層中の有機微粒子があまりに大粒径となることが抑えられ、樹脂層表面の凹凸発現による新たな表面ヘイズの発生を抑制することができるため好ましい。同様に、Db/Daは1.05〜1.80倍であることがより好ましく、1.10〜1.60倍であることがさらに好ましい。
上記樹脂層中の有機微粒子は、上記アクリル基材に含有される有機微粒子と同様のものが好ましい。
上記樹脂層中の有機微粒子の屈折率は、アクリル基材に内部へイズの発生が無いようにするため、基本的には上述の樹脂層用組成物の樹脂成分と屈折率はほぼ同じであることが好ましい。具体的には、上記樹脂層中の有機微粒子と樹脂層用組成物の樹脂成分との屈折率差は、0.00〜0.03であることが好ましい。
また、上記樹脂層中の有機微粒子の屈折率と、樹脂層のバインダー樹脂との屈折率が異なっていても、樹脂層用組成物をアクリル基材に塗布した際に有機微粒子中に樹脂層用組成物中のモノマー等のバインダー成分の少なくとも一部成分が含浸することで、樹脂層中に含まれる有機微粒子(アクリル基材側から樹脂層に移行した有機微粒子)は、樹脂層との屈折率差が小さくなり、新たな内部ヘイズの発生が抑制される。このような2種類の屈折率の異なる材料を用いた場合に、片方の成分を他方に含浸させる方法は、2種類の材料の界面部分において屈折率をグラデーションで変化させたり、2種類の材料の中間の屈折率とすることが出来、内部へイズ抑制に有効である。
したがって、樹脂層中の有機微粒子の平均粒子径(Db)は、樹脂層用組成物を吸収してアクリル基材に含有される有機微粒子の平均粒子径(Da)よりも大きくなる程度が好ましい。具体的には、アクリル基材に含有される有機微粒子の平均粒子径(Da)に対し、樹脂層中の有機微粒子の平均粒子径(Db)の比[Db/Da]が1.05倍以上となる程度であると、樹脂層中の有機微粒子と樹脂層の屈折率差による内部ヘイズの低下が発現するため好ましく、また1.80倍以下であると、樹脂層中の有機微粒子があまりに大粒径となることが抑えられ、樹脂層表面の凹凸発現による新たな表面ヘイズの発生を抑制することができるため好ましい。同様に、Db/Daは1.05〜1.80倍であることがより好ましく、1.10〜1.60倍であることがさらに好ましい。
なお、樹脂層中の有機微粒子について平均粒子径を測定する方法は、上述のアクリル基材に含有される有機微粒子におけるものと同様である。
また、樹脂層中の有機微粒子は、樹脂層最表面に露出していても、露出していなくてもよいが、光学積層体表面が凹凸となることを効果的に防止でき、解像度、コントラスト等に優れた光学積層体が得られることから、樹脂層最表面に露出していないことが好ましい。なお、樹脂層中の有機微粒子に樹脂層の少なくとも一部の成分が含浸することで、内部ヘイズの発生を防ぐばかりでなく、樹脂層中の有機微粒子と樹脂層の接着性向上にも寄与している。
また、アクリル基材に含有される有機微粒子は架橋密度が低く適度な弾力性を有しているので、硬化収縮して樹脂層が形成されるとき、収縮応力を緩和する作用を有することで表面凹凸形成を抑制すると共に、樹脂層の応力歪を減少することで接着性を担保する。
また、樹脂層中の有機微粒子は、樹脂層最表面に露出していても、露出していなくてもよいが、光学積層体表面が凹凸となることを効果的に防止でき、解像度、コントラスト等に優れた光学積層体が得られることから、樹脂層最表面に露出していないことが好ましい。なお、樹脂層中の有機微粒子に樹脂層の少なくとも一部の成分が含浸することで、内部ヘイズの発生を防ぐばかりでなく、樹脂層中の有機微粒子と樹脂層の接着性向上にも寄与している。
また、アクリル基材に含有される有機微粒子は架橋密度が低く適度な弾力性を有しているので、硬化収縮して樹脂層が形成されるとき、収縮応力を緩和する作用を有することで表面凹凸形成を抑制すると共に、樹脂層の応力歪を減少することで接着性を担保する。
上述したように、樹脂層中の有機微粒子が樹脂層最表面に露出していないことが好ましい。また、樹脂層の表面付近の樹脂層中の有機微粒子の存在率が、樹脂層の内部の樹脂層中の有機微粒子の存在率よりも低いことがより好ましい。具体的には、光学積層体の厚さ方向の断面において、樹脂層内の領域Sにおける樹脂層中の有機微粒子の個数に対し、該領域Sのアクリル基材側とは反対側の表面から10%の厚みの領域Tにおける樹脂層中の有機微粒子の個数が3%以下であることが好ましい。樹脂層中の有機微粒子の存在率をこのような範囲とすることにより、樹脂層の硬度の低下を防止することができる。
上記樹脂層用組成物の調製方法としては各成分を均一に混合できれば特に限定されず、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー、ミキサー等の公知の装置を使用して行うことができる。
また、上記樹脂層用組成物を上記アクリル基材上に塗布する方法としては特に限定されず、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の公知の方法を挙げることができる。
上記アクリル基材上に上記樹脂層用組成物を塗布して形成した塗膜は、必要に応じて加熱及び/又は乾燥し、活性エネルギー線照射等により硬化させることが好ましい。
乾燥工程における乾燥時間は、好ましくは20秒〜2分であり、より好ましくは30秒〜1分である。また、乾燥工程における乾燥温度は、好ましくは40〜90℃であり、より好ましくは50〜80℃である。乾燥温度が100℃を超えると、アクリルへの膨潤性が好ましい溶媒を選択していても、溶媒の浸透力等がアップし、基材が割れる場合があるため、乾燥温度は、どの溶媒を用いる場合でも基本的に90℃以下であることが好ましい。例えば、好ましい溶媒としてメチルイソブチルケトンがあるが、この溶媒であっても乾燥温度が100℃であると張力をかけた場合、アクリル基材が切れる場合がある。
最低温度は、溶媒が乾燥できる程度であればよく50℃以上が好ましい。例えば、メチルイソブチルケトンで乾燥温度が30℃であった場合は、乾燥不十分のまま紫外線等で硬化することになり、その場合は硬化がうまくいかず、未硬化部分も生じる。このときは、密着性が低下することがある。
乾燥工程における乾燥時間は、好ましくは20秒〜2分であり、より好ましくは30秒〜1分である。また、乾燥工程における乾燥温度は、好ましくは40〜90℃であり、より好ましくは50〜80℃である。乾燥温度が100℃を超えると、アクリルへの膨潤性が好ましい溶媒を選択していても、溶媒の浸透力等がアップし、基材が割れる場合があるため、乾燥温度は、どの溶媒を用いる場合でも基本的に90℃以下であることが好ましい。例えば、好ましい溶媒としてメチルイソブチルケトンがあるが、この溶媒であっても乾燥温度が100℃であると張力をかけた場合、アクリル基材が切れる場合がある。
最低温度は、溶媒が乾燥できる程度であればよく50℃以上が好ましい。例えば、メチルイソブチルケトンで乾燥温度が30℃であった場合は、乾燥不十分のまま紫外線等で硬化することになり、その場合は硬化がうまくいかず、未硬化部分も生じる。このときは、密着性が低下することがある。
上記活性エネルギー線照射としては、紫外線又は電子線による照射が挙げられる。
上記紫外線照射における紫外線源の具体例としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯等の光源が挙げられる。また、紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。
上記電子線照射における電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
上記紫外線照射における紫外線源の具体例としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯等の光源が挙げられる。また、紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。
上記電子線照射における電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
なお、上記樹脂層の好ましい膜厚(硬化時)は0.5〜100μm、より好ましくは0.8〜20μmであり、よりアクリル基材/樹脂層界面に山谷状の最適な稜線を形成しやすく、また、カール防止性やクラック防止性が特に優れるので、もっとも好ましくは3.5〜13μmの範囲である。
また、密着性を向上させるためには、樹脂層の膜厚は0.8μm以上3μm未満であることが好ましい。樹脂層の膜厚0.8μmは、山谷状の最適な稜線を形成するために最低限必要な膜厚でもある。樹脂層の膜厚が0.8μm以上3μm未満である場合、上述した基準高さと基準深さとの高低差は、0.3〜1.5μmであることが好ましい。
なお、上記高低差は、樹脂層の膜厚がいかなる値をとる場合であっても、樹脂層膜厚>高低差の関係を満たすものとする。
上記樹脂層の膜厚は、断面を電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)で観察し、任意の10点を測定した平均値(μm)である。
また、密着性を向上させるためには、樹脂層の膜厚は0.8μm以上3μm未満であることが好ましい。樹脂層の膜厚0.8μmは、山谷状の最適な稜線を形成するために最低限必要な膜厚でもある。樹脂層の膜厚が0.8μm以上3μm未満である場合、上述した基準高さと基準深さとの高低差は、0.3〜1.5μmであることが好ましい。
なお、上記高低差は、樹脂層の膜厚がいかなる値をとる場合であっても、樹脂層膜厚>高低差の関係を満たすものとする。
上記樹脂層の膜厚は、断面を電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)で観察し、任意の10点を測定した平均値(μm)である。
本発明の光学積層体は、ロール状に巻き取られてロール体として保管や搬送がされることが好ましい。
上記ロール体としたときの光学積層体の巻長さや幅は、本発明の課題であるシワが発生する範囲であれば特に限定されないが、光学積層体の巻長さが500m〜10000m、光学積層体の幅が700mm〜3000mmであることが好ましい。
上記ロール体における巻芯の径は、特に限定されないが、100mm〜250mm程度であることが好ましい。
上記ロール体としたときの光学積層体の巻長さや幅は、本発明の課題であるシワが発生する範囲であれば特に限定されないが、光学積層体の巻長さが500m〜10000m、光学積層体の幅が700mm〜3000mmであることが好ましい。
上記ロール体における巻芯の径は、特に限定されないが、100mm〜250mm程度であることが好ましい。
上記ロール体のナーリング部が形成された位置において測定した表面硬度は、50〜100であることが好ましい。
上記ロール体の表面硬度が50未満であると、巻き取り不良の原因となることがあり、100を超えると、ブロッキング等の不良の原因となることがある。
上記ロール体の表面硬度のより好ましい下限は60、より好ましい上限は80である。
上記ロール体の表面硬度は、硬度計(tapio社製 RQP)を用いて、測定ヘッドの小型ハンマーをロール表面に毎秒20回打ち付け、そのハンマーの減速度(マイナスの加速度)を測定することにより得た値である。
上記ロール体の表面硬度が50未満であると、巻き取り不良の原因となることがあり、100を超えると、ブロッキング等の不良の原因となることがある。
上記ロール体の表面硬度のより好ましい下限は60、より好ましい上限は80である。
上記ロール体の表面硬度は、硬度計(tapio社製 RQP)を用いて、測定ヘッドの小型ハンマーをロール表面に毎秒20回打ち付け、そのハンマーの減速度(マイナスの加速度)を測定することにより得た値である。
本発明の光学積層体は、該光学積層体をロール状に巻き取ってロール体として保管や搬送をしても、温度変化に伴うシワの発生や、経時変化による貼り付きを防止することができる。
以下に実施例及び比較例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例及び比較例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
基材フィルムとして、厚み80μmのアクリルフィルム(DS20SW(AU80−1340)、DS20SW(KU80−1960)、住友化学、東友ファインケム社製)の一方の面上に、下記組成の防眩層用組成物1を塗布し、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させた。その後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を酸素濃度が200ppm以下の条件下にて積算光量が200mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させることにより、厚さ4μmの防眩層を形成した。その上に、下記組成のハードコート層用組成物1を塗布し、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させた。
次いで、剪断モード型(ピエゾ型)のヘッドを用いて、上記塗膜の幅方向の両端部から2mmの位置に、1.5mmの間隔で10mm幅、表1のスキューネス、クルトシス、及び、高さとなるように制御して、ナーリング用組成物(製品名:KIS−CYAN 101、DNPファインケミカル社製)を塗付した。その後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を酸素濃度が200ppm以下の条件下にて積算光量が200mJ/cm2になるように照射して塗膜、及び、ナーリング用組成物を硬化させることにより、厚さ4μmのハードコート層、及び、ナーリング部を形成し、光学積層体を得た。
このようにして得られた長さ3900m、幅1330mmの光学積層体を、巻芯の径167mmで巻き取り、ロール体とした。
基材フィルムとして、厚み80μmのアクリルフィルム(DS20SW(AU80−1340)、DS20SW(KU80−1960)、住友化学、東友ファインケム社製)の一方の面上に、下記組成の防眩層用組成物1を塗布し、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させた。その後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を酸素濃度が200ppm以下の条件下にて積算光量が200mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させることにより、厚さ4μmの防眩層を形成した。その上に、下記組成のハードコート層用組成物1を塗布し、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させた。
次いで、剪断モード型(ピエゾ型)のヘッドを用いて、上記塗膜の幅方向の両端部から2mmの位置に、1.5mmの間隔で10mm幅、表1のスキューネス、クルトシス、及び、高さとなるように制御して、ナーリング用組成物(製品名:KIS−CYAN 101、DNPファインケミカル社製)を塗付した。その後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を酸素濃度が200ppm以下の条件下にて積算光量が200mJ/cm2になるように照射して塗膜、及び、ナーリング用組成物を硬化させることにより、厚さ4μmのハードコート層、及び、ナーリング部を形成し、光学積層体を得た。
このようにして得られた長さ3900m、幅1330mmの光学積層体を、巻芯の径167mmで巻き取り、ロール体とした。
(防眩層用組成物1)
紫外線硬化型アクリル樹脂(DAM−S5B、荒川化学工業社製)20質量部
紫外線硬化型アクリル樹脂(EMS−381、DIC社製)10質量部
光重合開始剤(ESACURE ONE、DNPファインケミカル社製)5質量部
レベリング剤(シリコン10−28(TL)、DNPファインケミカル社製)0.3質量部
防眩剤(DSマット(B50)、DNPファインケミカル社製)5質量部
防眩剤(DSマット(E60)、DNPファインケミカル社製)20質量部
溶剤(トルエン)40質量部
溶剤(シクロヘキサノン)5質量部
紫外線硬化型アクリル樹脂(DAM−S5B、荒川化学工業社製)20質量部
紫外線硬化型アクリル樹脂(EMS−381、DIC社製)10質量部
光重合開始剤(ESACURE ONE、DNPファインケミカル社製)5質量部
レベリング剤(シリコン10−28(TL)、DNPファインケミカル社製)0.3質量部
防眩剤(DSマット(B50)、DNPファインケミカル社製)5質量部
防眩剤(DSマット(E60)、DNPファインケミカル社製)20質量部
溶剤(トルエン)40質量部
溶剤(シクロヘキサノン)5質量部
(ハードコート層用組成物1)
紫外線硬化型アクリル樹脂(GN−10、荒川化学工業社製)40質量部
レベリング剤(シリコン10−28(MB)、大日精化工業社製)0.3質量部
溶剤(MIBK)40質量部
溶剤(エチレングリコール)10質量部
溶剤(MEK)10質量部
紫外線硬化型アクリル樹脂(GN−10、荒川化学工業社製)40質量部
レベリング剤(シリコン10−28(MB)、大日精化工業社製)0.3質量部
溶剤(MIBK)40質量部
溶剤(エチレングリコール)10質量部
溶剤(MEK)10質量部
(ナーリング用組成物)
アクリル系紫外線硬化樹脂(KIS−CYAN 101、DNPファインケミカル社製)
アクリル系紫外線硬化樹脂(KIS−CYAN 101、DNPファインケミカル社製)
(実施例2)
表1のスキューネス、クルトシス、及び、高さとなるように制御して、ナーリング部を形成した以外は、実施例1と同様の方法により光学積層体を得た。
このようにして得られた長さ3900m、幅1330mmの光学積層体を、巻芯の径167mmで巻き取り、ロール体とした。
表1のスキューネス、クルトシス、及び、高さとなるように制御して、ナーリング部を形成した以外は、実施例1と同様の方法により光学積層体を得た。
このようにして得られた長さ3900m、幅1330mmの光学積層体を、巻芯の径167mmで巻き取り、ロール体とした。
(実施例3)
表1のスキューネス、クルトシス、及び、高さとなるように制御して、ナーリング部を形成した以外は、実施例1と同様の方法により光学積層体を得た。
このようにして得られた長さ3900m、幅1330mmの光学積層体を、巻芯の径167mmで巻き取り、ロール体とした。
表1のスキューネス、クルトシス、及び、高さとなるように制御して、ナーリング部を形成した以外は、実施例1と同様の方法により光学積層体を得た。
このようにして得られた長さ3900m、幅1330mmの光学積層体を、巻芯の径167mmで巻き取り、ロール体とした。
(実施例4)
基材フィルムとして、厚み40μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD80UL、フジフイルム社製)の一方の面上に、下記組成のハードコート層用組成物2を塗布し、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させた。次いで、剪断モード型(ピエゾ型)のヘッドを用いて、上記塗膜の幅方向の両端部から3mmの位置に、1.5μmの間隔で10mm幅、表1のスキューネス、クルトシス、及び、高さとなるように制御して、ナーリング用組成物(KIS−CYAN 101、DNPファインケミカル社製)を塗布した。
その後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を酸素濃度が200ppm以下の条件下にて積算光量が200mJ/cm2になるように照射して塗膜、及び、ナーリング用組成物を硬化させることにより、厚さ8μmのハードコート層、及び、ナーリング部を形成し、光学積層体を得た。
このようにして得られた長さ3900m、幅1490mmの光学積層体を、巻芯の径167mmで巻き取り、ロール体とした。
基材フィルムとして、厚み40μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD80UL、フジフイルム社製)の一方の面上に、下記組成のハードコート層用組成物2を塗布し、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させた。次いで、剪断モード型(ピエゾ型)のヘッドを用いて、上記塗膜の幅方向の両端部から3mmの位置に、1.5μmの間隔で10mm幅、表1のスキューネス、クルトシス、及び、高さとなるように制御して、ナーリング用組成物(KIS−CYAN 101、DNPファインケミカル社製)を塗布した。
その後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を酸素濃度が200ppm以下の条件下にて積算光量が200mJ/cm2になるように照射して塗膜、及び、ナーリング用組成物を硬化させることにより、厚さ8μmのハードコート層、及び、ナーリング部を形成し、光学積層体を得た。
このようにして得られた長さ3900m、幅1490mmの光学積層体を、巻芯の径167mmで巻き取り、ロール体とした。
(ハードコート層用組成物2)
紫外線硬化型アクリル樹脂(PET−30、日本化薬社製)50質量部
光重合開始剤(Irg184)4重量部
フッ素系レベリング剤(F568、DIC社製)0.2重量部
溶剤(MIBK)55質量部
紫外線硬化型アクリル樹脂(PET−30、日本化薬社製)50質量部
光重合開始剤(Irg184)4重量部
フッ素系レベリング剤(F568、DIC社製)0.2重量部
溶剤(MIBK)55質量部
(実施例5)
表1のスキューネス、クルトシス、及び、高さとなるように制御して、ナーリング部を形成した以外は、実施例4と同様の方法により光学積層体を得た。
このようにして得られた長さ3900m、幅1490mmの光学積層体を、巻芯の径167mmで巻き取り、ロール体とした。
表1のスキューネス、クルトシス、及び、高さとなるように制御して、ナーリング部を形成した以外は、実施例4と同様の方法により光学積層体を得た。
このようにして得られた長さ3900m、幅1490mmの光学積層体を、巻芯の径167mmで巻き取り、ロール体とした。
(実施例6)
表1のスキューネス、クルトシス、及び、高さとなるように制御して、ナーリング部を形成した以外は、実施例1と同様の方法により光学積層体を得た。
このようにして得られた長さ3900m、幅1330mmの光学積層体を、巻芯の径167mmで巻き取り、ロール体とした。
表1のスキューネス、クルトシス、及び、高さとなるように制御して、ナーリング部を形成した以外は、実施例1と同様の方法により光学積層体を得た。
このようにして得られた長さ3900m、幅1330mmの光学積層体を、巻芯の径167mmで巻き取り、ロール体とした。
(実施例7)
表1のスキューネス、クルトシス、及び、高さとなるように制御し、ロール体の外周側よりも巻芯側の方が高いナーリング部を形成した以外は、実施例1と同様の方法により光学積層体を得た。
なお、巻内とは、巻芯側から30%までを意味し、巻外とは、残りの部分(残りの70%)を意味する。
このようにして得られた長さ3900m、幅1330mmの光学積層体を、巻芯の径167mmで巻き取り、ロール体とした。
表1のスキューネス、クルトシス、及び、高さとなるように制御し、ロール体の外周側よりも巻芯側の方が高いナーリング部を形成した以外は、実施例1と同様の方法により光学積層体を得た。
なお、巻内とは、巻芯側から30%までを意味し、巻外とは、残りの部分(残りの70%)を意味する。
このようにして得られた長さ3900m、幅1330mmの光学積層体を、巻芯の径167mmで巻き取り、ロール体とした。
(比較例1)
基材フィルムとして、厚み80μmのアクリルフィルム(DS20SW(AU80−1340)、DS20SW(KU80−1960)、住友化学、東友ファインケム社製)の幅方向の両端部から3mmの位置に、1.5μmの間隔で10mm幅、表1のスキューネス、クルトシス、及び、高さとなるように制御して熱エンボス(エンボス版温度は280℃、押し圧0.5MPaの条件)によりナーリング部を形成し、一方の面上に上記組成の防眩層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を酸素濃度が200ppm以下の条件下にて積算光量が200mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させた。その上に、ハードコート層用組成物1を塗布し、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させた。その後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を酸素濃度が200ppm以下の条件下にて積算光量が200mJ/cm2になるように照射して塗膜、及び、ナーリング用組成物を硬化させることにより、厚さ8μmのハードコート層、及び、ナーリング部を形成し、光学積層体を得た。このようにして得られた長さ3900m、幅1330mmの光学積層体を、巻芯の径167mmで巻き取り、ロール体とした。
基材フィルムとして、厚み80μmのアクリルフィルム(DS20SW(AU80−1340)、DS20SW(KU80−1960)、住友化学、東友ファインケム社製)の幅方向の両端部から3mmの位置に、1.5μmの間隔で10mm幅、表1のスキューネス、クルトシス、及び、高さとなるように制御して熱エンボス(エンボス版温度は280℃、押し圧0.5MPaの条件)によりナーリング部を形成し、一方の面上に上記組成の防眩層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を酸素濃度が200ppm以下の条件下にて積算光量が200mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させた。その上に、ハードコート層用組成物1を塗布し、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させた。その後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を酸素濃度が200ppm以下の条件下にて積算光量が200mJ/cm2になるように照射して塗膜、及び、ナーリング用組成物を硬化させることにより、厚さ8μmのハードコート層、及び、ナーリング部を形成し、光学積層体を得た。このようにして得られた長さ3900m、幅1330mmの光学積層体を、巻芯の径167mmで巻き取り、ロール体とした。
(比較例2)
表1のスキューネス、クルトシス、及び、高さとなるように制御して、ナーリング部を形成した以外は、比較例1と同様の方法により光学積層体を得た。このようにして得られた長さ3900m、幅1330mmの光学積層体を、巻芯の径167mmで巻き取り、ロール体とした。
表1のスキューネス、クルトシス、及び、高さとなるように制御して、ナーリング部を形成した以外は、比較例1と同様の方法により光学積層体を得た。このようにして得られた長さ3900m、幅1330mmの光学積層体を、巻芯の径167mmで巻き取り、ロール体とした。
(比較例3)
基材フィルムとして、厚み40μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD80UL、フジフイルム社製)の幅方向の両端部から3mmの位置に、1.5μmの間隔で10mm幅、表1のスキューネス、クルトシス、及び、高さとなるように制御して熱エンボス(エンボス版温度は280℃、押し圧0.5MPaの条件)によりナーリング部を形成し、一方の面上にハードコート層用組成物1を塗布し、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させた。その後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を酸素濃度が200ppm以下の条件下にて積算光量が200mJ/cm2になるように照射して塗膜、及び、ナーリング用組成物を硬化させることにより、厚さ8μmのハードコート層、及び、ナーリング部を形成し、光学積層体を得た。
基材フィルムとして、厚み40μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD80UL、フジフイルム社製)の幅方向の両端部から3mmの位置に、1.5μmの間隔で10mm幅、表1のスキューネス、クルトシス、及び、高さとなるように制御して熱エンボス(エンボス版温度は280℃、押し圧0.5MPaの条件)によりナーリング部を形成し、一方の面上にハードコート層用組成物1を塗布し、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させた。その後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を酸素濃度が200ppm以下の条件下にて積算光量が200mJ/cm2になるように照射して塗膜、及び、ナーリング用組成物を硬化させることにより、厚さ8μmのハードコート層、及び、ナーリング部を形成し、光学積層体を得た。
(参考例1)
表1のスキューネス、クルトシス、及び、高さとなるように制御して、ナーリング部を形成した以外は、比較例3と同様の方法により光学積層体を得た。このようにして得られた長さ3900m、幅1490mmの光学積層体を、巻芯の径167mmで巻き取り、ロール体とした。
表1のスキューネス、クルトシス、及び、高さとなるように制御して、ナーリング部を形成した以外は、比較例3と同様の方法により光学積層体を得た。このようにして得られた長さ3900m、幅1490mmの光学積層体を、巻芯の径167mmで巻き取り、ロール体とした。
(評価)
実施例、比較例、及び、参考例で得られた光学積層体について、下記に示す方法で各評価した。結果を表1に示す。
実施例、比較例、及び、参考例で得られた光学積層体について、下記に示す方法で各評価した。結果を表1に示す。
(ナーリング部のスキューネス及びクルトシス)
ナーリング部のスキューネス(Rsk)及びクルトシス(Rku)は、Zygo社製白色干渉式光学顕微鏡NewView6300型を用い、以下の条件で測定した。
観察視野:0.55mm□
対物レンズ:10倍
Zoomレンズ:2倍
ナーリング部のスキューネス(Rsk)及びクルトシス(Rku)は、Zygo社製白色干渉式光学顕微鏡NewView6300型を用い、以下の条件で測定した。
観察視野:0.55mm□
対物レンズ:10倍
Zoomレンズ:2倍
(ナーリング部の硬さ)
ナーリング部の硬さは、H・フィッシャー社製表面被膜物性試験機(ピコデンター HM500)を用い、以下の条件で測定した。
最大試験荷重:10mN
最大押し込み深さ:0.3μm
荷重アプリケーション時間:10s
ナーリング部の硬さは、H・フィッシャー社製表面被膜物性試験機(ピコデンター HM500)を用い、以下の条件で測定した。
最大試験荷重:10mN
最大押し込み深さ:0.3μm
荷重アプリケーション時間:10s
(ナーリング部の高さ)
ナーリング部の高さは、ナーリング部を含む光学積層体の総厚から、基材フィルム及び光学機能層(ハードコート層、又は、防眩層)の膜厚を除いた値とした。
ナーリング部の高さは、ナーリング部を含む光学積層体の総厚から、基材フィルム及び光学機能層(ハードコート層、又は、防眩層)の膜厚を除いた値とした。
(耳立ち評価)
実施例、比較例、及び、参考例で得られた光学積層体を巻き取ってロール体とした際の状態を、以下の基準で評価した。
○:ロール体の端部で耳立ちが発生しなかった
×:ロール体の端部で耳立ちの発生が認められた
実施例、比較例、及び、参考例で得られた光学積層体を巻き取ってロール体とした際の状態を、以下の基準で評価した。
○:ロール体の端部で耳立ちが発生しなかった
×:ロール体の端部で耳立ちの発生が認められた
(低温変形評価)
実施例、比較例、及び、参考例で得られた光学積層体を巻き取ってロール体とした後、5℃の環境で24時間静置し、以下の基準で評価した。
◎:シワの発生が全く認められなかった
○:シワの発生が僅かに認められたが、実用上問題ない程度であった
×:シワの発生が認められた
実施例、比較例、及び、参考例で得られた光学積層体を巻き取ってロール体とした後、5℃の環境で24時間静置し、以下の基準で評価した。
◎:シワの発生が全く認められなかった
○:シワの発生が僅かに認められたが、実用上問題ない程度であった
×:シワの発生が認められた
(ブロッキング評価)
実施例、比較例、及び、参考例で得られた光学積層体を巻き取ってロール体とした後、室温環境で24時間静置し、以下の基準で評価した。
◎:接着部の発生が認められず、剥離音の発生もない
○:1〜5箇所で接着部の発生が認められ、弱い剥離音の発生があった
×:接着部に起因した光学積層体の破断が生じた
実施例、比較例、及び、参考例で得られた光学積層体を巻き取ってロール体とした後、室温環境で24時間静置し、以下の基準で評価した。
◎:接着部の発生が認められず、剥離音の発生もない
○:1〜5箇所で接着部の発生が認められ、弱い剥離音の発生があった
×:接着部に起因した光学積層体の破断が生じた
(ロール体巻硬さ評価)
実施例、比較例、及び、参考例で得られた光学積層体を巻き取ってロール体とした後、ナーリング部の巻き硬さを、硬度計(tapio社製 RQP)を用いて評価した。
実施例、比較例、及び、参考例で得られた光学積層体を巻き取ってロール体とした後、ナーリング部の巻き硬さを、硬度計(tapio社製 RQP)を用いて評価した。
実施例に係る光学積層体では、ロール体にして低温変形が生じず、ブロッキングも発生しなかった。
また、ナーリング部の高さが10μm以上の場合(実施例2)、ナーリング部の硬度が300N/mm2以上の場合(実施例3及び5)では、ロール体の端部で耳立ちが発生した。
一方、比較例1に係る光学積層体では、ナーリング部の形状が緩やかになり過ぎて充分な高さを出すことができず、層間エアーの自由な出入りができず、ロール体の積層フィルムが接触するため、低温変形が生じ、ブロッキングも発生した。
また、比較例2、3では、ナーリング部の形状が急峻になりすぎて硬度が不足し、光学積層体を巻き取った際にナーリング部が潰れてしまい、層間エアーの自由な出入りができないことによって低温変形の発生や、ロール体における光学積層体同士の接触によってブロッキングが発生した。
また、参考例1では、ナーリング部の高さが不足していたため、ロール体における光学積層体同士の接触によってブロッキングが発生した。
また、比較例1〜3、参考例1はロール体におけるナーリング部巻硬さが50未満であるため、光学積層体を巻き取った際にナーリング部が潰れており、層間エアーの自由な出入りができないことによって低温変形が発生し、ロール体における光学積層体同士の接触によってブロッキングも発生した。
また、実施例6と7との比較からナーリング部の高さをロール体の巻外側よりも巻内側の方を高くすることによって、巻芯部分でのナーリングの潰れを抑制でき、低温変形が生じず、ブロッキングも発生しにくくなった。
また、ナーリング部の高さが10μm以上の場合(実施例2)、ナーリング部の硬度が300N/mm2以上の場合(実施例3及び5)では、ロール体の端部で耳立ちが発生した。
一方、比較例1に係る光学積層体では、ナーリング部の形状が緩やかになり過ぎて充分な高さを出すことができず、層間エアーの自由な出入りができず、ロール体の積層フィルムが接触するため、低温変形が生じ、ブロッキングも発生した。
また、比較例2、3では、ナーリング部の形状が急峻になりすぎて硬度が不足し、光学積層体を巻き取った際にナーリング部が潰れてしまい、層間エアーの自由な出入りができないことによって低温変形の発生や、ロール体における光学積層体同士の接触によってブロッキングが発生した。
また、参考例1では、ナーリング部の高さが不足していたため、ロール体における光学積層体同士の接触によってブロッキングが発生した。
また、比較例1〜3、参考例1はロール体におけるナーリング部巻硬さが50未満であるため、光学積層体を巻き取った際にナーリング部が潰れており、層間エアーの自由な出入りができないことによって低温変形が発生し、ロール体における光学積層体同士の接触によってブロッキングも発生した。
また、実施例6と7との比較からナーリング部の高さをロール体の巻外側よりも巻内側の方を高くすることによって、巻芯部分でのナーリングの潰れを抑制でき、低温変形が生じず、ブロッキングも発生しにくくなった。
本発明の光学積層体は、ロール状に巻き取ってロール体として保管や搬送をしても、温度変化に伴うシワの発生や、貼り付きを防止することができ、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機・無機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(LED)、電子ペーパー等の画像表示装置やタッチパネルにおける画像表示面に用いることができる。
Claims (6)
- 基材フィルムの一方の面上に、光学機能層が積層された光学積層体であって、
前記光学機能層は、前記基材フィルムと反対側面上にナーリング部を有し、
前記ナーリング部は、JIS B 0601(2001)で規定されるスキューネス(Rsk)が−1.0〜1.0、クルトシス(Rku)が2.0〜4.0である
ことを特徴とする光学積層体。 - 基材フィルムの一方の面上に、防眩層及び/又はハードコート層が積層された光学積層体であって、
前記防眩層は、基材フィルムと反対側面上にナーリング部を有し、
前記ナーリング部は、JIS B 0601(2001)で規定されるスキューネス(Rsk)が−1.0〜1.0、クルトシス(Rku)が2.0〜4.0である
ことを特徴とする光学積層体。 - ナーリング部の硬さが、100〜300N/mm2である請求項1又は2記載の光学積層体。
- ナーリング部の高さが1μm〜10μmである請求項1、2又は3記載の光学積層体。
- ロール状に巻き取ってロール体としたとき、ナーリング部の高さが、前記ロール体の外周側よりも巻芯側の方が高い請求項1、2、3又は4記載の光学積層体。
- ロール体のナーリング部の表面硬度が、50〜100である請求項5記載の光学積層体。
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-
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- 2015-12-15 JP JP2015244454A patent/JP2017109350A/ja active Pending
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