JP2012152891A - 挿入キャリアおよび半導体ウェハの同時両面材料除去処理方法 - Google Patents

挿入キャリアおよび半導体ウェハの同時両面材料除去処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、ラッピング装置、研削装置、または研磨装置の2つの加工盤の間での両面処理のために1つまたは複数の半導体ウェハを受け入れるのに好適な挿入キャリアに関する。
【解決手段】この挿入キャリアは、第1および第2の表面を有する第1の材料から構成されるコアを含み、第1および第2の表面の各々は第2の材料から構成されるコーティングを有し、コーティングは第1および第2の表面を完全にまたは部分的に覆い、挿入キャリアはさらに半導体ウェハを受け入れるための少なくとも1つの開口部を含み、コーティングにおいてコアから離れた側の表面は、凸部と凹部とからなる構造を有し、構造の凸部および凹部の相関長は0.5mm〜25mmの範囲内であり、構造の縦横比は0.0004〜0.4の範囲内である。本発明はさらに、挿入キャリアが用いられる、半導体ウェハの同時両面材料除去処理のための方法にも関する。
【選択図】図5

Description

発明の主題
本発明は、ラッピング装置、研削装置、または研磨装置の2つの加工盤の間での半導体ウェハの両面処理のために1つまたは複数の半導体ウェハを受け入れるのに好適な挿入キャリアに関する。上記挿入キャリアは第1および第2の表面を有する第1の材料から構成されるコアを含み、第1および第2の表面の各々は第2の材料から構成されるコーティングを有し、上記コーティングは第1および第2の表面を完全にまたは部分的に覆う。挿入キャリアはさらに半導体ウェハを受け入れるための少なくとも1つの開口部を有する。コーティングにおいてこのコアから離れた側の表面は、凸部および凹部からなる構造を有する。
先行技術
電子技術、超小形電子技術、および超小形電気機械技術では、出発物質として、グローバルおよびローカルの平坦さ、片面基準の平坦さ(single-side referenced flatness)(ナノトポロジ)、粗さ、および清浄さからなる非常に高い要求がある半導体ウェハが必要とされる。半導体ウェハは、単体半導体(珪素、ゲルマニウム)、化合物半導体(たとえばアルミニウム、ガリウムもしくはインジウムといった周期表の第3族の元素および窒素、リンもしくはヒ素といった周期表の第5族の元素から構成される)、またはそれらの化合物(たとえばSi1−xGe、0<x<1)のような半導体材料から構成されるウェハである。
先行技術に従うと半導体ウェハは、
(a)通常、単結晶である半導体ロッドを製造することと、
(b)ロッドを個々のウェハにスライスすることと、
(c)機械的処理と、
(d)化学処理と、
(e)機械化学的処理と、
(f)適切な場合、層構造の付加的な製造
といった群に一般的に分類できる多数の連続的な処理ステップにより製造される。
「遊星パッド研削(planetary pad grinding)」(「PPG」、遊星運動によるパッド研削)と指定される方法は、機械的処理ステップの群のうちの特に有利な方法として公知である。この方法はたとえばDE102007013058A1に記載されており、当該方法に好適な装置はたとえばDE19937784A1に記載されている。PPGは複数の半導体ウェハの同時両面研磨のための方法である。PPGでは、各半導体ウェハは、ローリング装置によって回転させられる複数の走行盤(挿入キャリア)の1つにおける切欠部の中で自由に移動可能であり、これによりサイクロイド軌道上に移動されるように配される。半導体ウェハは、2つの回転する加工盤の間で材料除去の態様で処理される。各加工盤は結合砥粒を含む加工層を含む。この加工層は、接着的、磁気的に、固くロックする態様(たとえば面ファスナ)または真空を用いて加工盤上に固定される構造化された研削パッドの形態で示される。
「平面ホーニング(flat honing)」または「精密研削(fine grinding)」と呼ばれる同様の方法がある。この場合、PPGについて上述したように配置される複数の半導体ウェハが、2つの大きな回転する加工盤の間をローリング装置によって特徴的なサイクロイドパス上へとガイドされる。砥粒は、研削によって材料除去が行われるように加工盤へと固定的に結合される。平面ホーニングの場合、砥粒は加工盤の表面へと直接的に結合し得るか、または加工盤上に搭載される多数の個々の砥粒体、いわゆる「ペレット」により加工盤のエリア被覆部の形態で存在し得る(P.Beyerら、Industrie Diamanten Rundschau IDR 39 (2005) III、202頁)。
PPGおよびペレット研削の場合、加工盤はリング形状の態様で実施される。走行盤のためのローリング装置は、内側および外側ピンホイールから形成される。内側および外側ピンホイールは、加工盤の回転軸に対して同心状に配される。したがって、内側および外側ピンホイールは遊星歯車構成のサンギアおよび内歯歯車を形成する。これにより、走行盤が当該構成の中心軸の周りを遊星のように固有の回転により旋回する。そのため「走行盤」という名称が付されている。
最後に、PPG研削に類似したさらなる方法として、たとえばUS2009/0311863A1に記載される同時両面軌道研削(simultaneous double-side orbital grinding)がある。軌道研削の場合も、半導体ウェハは挿入キャリアの受入開口部に挿入される。挿入キャリアは処理中、回転する加工盤同士の間に半導体ウェハをガイドする。しかしながらPPGまたはペレット研削と対照的に、軌道研削装置は、加工盤全体を覆う単一の挿入キャリアしか有していない。加工盤はリング形状の態様で実施されておらず、円形の態様で実施されている。挿入キャリアは、加工盤の外側およびその周縁の周りに配される複数のガイドローラによってガイドされる。ガイドローラの回転スピンドルは偏心的に駆動スピンドルに接続される。この駆動スピンドルの回転の結果、ガイドローラは偏心移動を行い、これにより挿入キャリアのジャイロ移動または軌道移動を行う。したがって軌道研削の場合、挿入キャリアはその中心軸の周りを回転または加工盤の回転軸の周りを旋回するのではなく、加工盤のエリアに亘って小さい円の形で振動移動を行う。この軌道移動を特徴づける事実としては、空間的に固定された基準系において、挿入キャリアによってこのようにガイドされる各半導体ウェハの下には、この移動の間に半導体ウェハが上を通るエリア内に完全に連続して存在するそれぞれのエリアが常に存在するということがある。
PPGまたはペレット研削法を行うために、DE102007049811A1の教示では、PPGまたはペレット研削法によって処理される半導体ウェハの最終の厚さ以下の厚さの走行盤が用いられることが示されている。これは同じ理由から、軌道研削にも該当する。したがって、走行盤(PPG、ペレット研削)および挿入キャリア(軌道研削)は非常に薄く、たとえば典型的には直径が300mmであるシリコンウェハを処理する場合には0.8mm未満である。さらに、DE102007049811A1の教示では、走行盤および挿入キャリアが処理の間に作用する力に耐えるよう十分に堅い必要があるということと、処理の間に加工層と接触するそれらの表面が摩耗に対して特に抵抗を有している必要があるとともに、加工層が鈍くならないようにかつ加工層が望ましくない頻繁で複雑なトリミングによる修理調整(目立て)される必要がないように当該表面は加工層とほんの僅かにしか相互作用しないということとが示される。したがって、DE102007049811A1に従うと、PPG法を行うのに好適な走行盤はたとえば好ましくは、高い剛性を有する第1の材料から構成され、第2の材料で完全または部分的にコーティングされるコアと、半導体ウェハを受け入れるための少なくとも1つの開口部とを含む。好ましくはDE102007049811A1に従うと、ショア40Aとショア80Aとの間の硬度を有する熱硬化性ポリウレタンが第2の材料として用いられる。これは、用いられるのが好ましい研摩物質であるダイヤモンドに関連する摩耗に対して特に抵抗性があることが証明されている。
この場合、噴霧、浸漬、フラッディング、塗布、ローリングまたはブレードコーティングにより耐摩耗層が適用される。しかしながら当該先行技術では、前面および後面上へのコーティングのために空間を空けて中心に配置するように第1の材料を射出鋳型に挿入して成型を行うことによるコーティングが好ましい。代替的には、厚さが過剰である層にコーティングをし、その後で所望の目標厚さに戻す研削をすることも公知である。
DE102007049811A1は、当該先行技術において公知の耐摩耗層に非常に高い摩擦力が作用することを説明している。上記の力は材料除去によって半導体ウェハにかかる、チッピング容量(chipping capacity)による摩擦力よりもはるかに大きい。
この高い力のため、走行盤がそれでも十分に安定であるように、走行盤において剛性を与えるコアは非常に厚くなければならない。その結果、走行盤のコーティングに残るのは、ほんの少しの割合の厚さだけとなる。この厚さは最大でも100μmであるが実際にはそれよりも著しく小さい。これによりその耐用年数がかなり制限される。これは走行盤の摩耗部分について高コストとなることを意味する。
さらに、高い摩擦力には、処理の間に半導体ウェハが低い力および「浮遊」により所望のように可能な限り遠くに行くような態様では動かされないという影響がある。その結果、先行技術において公知の走行盤を用いて処理が行われた場合、半導体ウェハの高い平坦さに特につながる同時両面処理の利点が部分的に無効になる。
DE102007049811A1によると、小さい層厚さによる高い摩擦力によって、挿入キャリアのコア材料とコーティングとの間に特に有害な剥離力がもたらされることになる。上記の力により、層間剥離によるコーティングの早すぎる剥離の程度が増加することになる。半導体ウェハの破損および通常は同様に走行盤の破損につながる層剥離を妨げるために、WO2008/064158A2はたとえば、走行盤のコア材料と耐摩耗コーティングとの間に接着促進剤の付加的な層を使用することを記載している。しかしながらこれでも、著しく低い層の接着の問題は解決されない。なぜならば、先行技術において公知である耐摩耗コーティングがされた走行盤は、PPG法および関連する研削法を行うのに好適ではないためである。
最後に、DE102007049811A1およびWO2008/064158A1はさらに、コア材料が耐摩耗層に部分的にのみコーティングされる走行盤を記載している。しかしながら、これらは特に早すぎる層剥離を受けやすく、したがって同様に半導体ウェハの処理には好適ではない。
DE102007013058A1 DE19937784A1 US2009/0311863A1 DE102007049811A1 WO2008/064158A2
P.Beyerら、Industrie Diamanten Rundschau IDR 39 (2005) III、202頁
目的
したがって本発明は、PPGおよび関連する研削法において用いられる挿入キャリアの使用期間を長くすると同時に、挿入キャリアおよび半導体ウェハの破損の危険性のない半導体ウェハの浮遊処理を保証するという目的に基づいた。
発明の説明
この目的は、ラッピング装置、研削装置、または研磨装置の2つの加工盤の間での両面処理のために1つまたは複数の半導体ウェハを受け入れるのに好適な以下の挿入キャリアによって達成される。この挿入キャリアは、第1および第2の表面を有する第1の材料から構成されるコアを含み、上記第1および第2の表面の各々は第2の材料から構成されるコーティングを有し、上記コーティングは上記第1および第2の表面を完全にまたは部分的に覆い、上記挿入キャリアはさらに半導体ウェハを受け入れるための少なくとも1つの開口部を含み、上記コーティングにおいて上記コアから離れた側の表面は、凸部と凹部とからなる構造を有する。この挿入キャリアは、上記構造の上記凸部および凹部の相関長が0.5mm〜25mmの範囲内であり、上記構造の縦横比が0.0004〜0.4の範囲内であることを特徴としている。
本発明は、旋回する挿入キャリアを用いる処理方法(PPGもしくはペレット研磨法または両面ラッピング)の場合と、旋回しない挿入キャリアを用いる処理方法(軌道研削、軌道ペレット研削、または軌道ラッピング)の場合との両方に用いられ得る。したがって、単純さのため、以下「挿入キャリア」という用語は、「走行盤」(旋回;PPG、ペレット研削)および「挿入キャリア」(非旋回;軌道法)について同義的に用いられる。これらの方法は、上記の「先行技術」のセクションにおいてさらに記載されている。
本発明は、先行技術において利用可能な走行盤が高い摩擦を有するか、または当該走行盤ではコーティングの部分の早すぎる剥離が起こる傾向があるという観察に基づく。これらは両方とも非常に望ましくなく、たとえばPPG研削を行うことをより難しくするか、または不可能にする。特に、材料除去のみ(チッピング容量、チッピング摩擦)によっても、走行盤と半導体ウェハとの合計の摩擦力が、半導体ウェハの摩擦力よりも著しく大きくなると観察された。
さらに、この先行技術において公知の走行盤の高い摩擦によって走行盤に過負荷がかかる(走行盤の湾曲および破損)とともに、走行盤および半導体ウェハが非均一かつ非再生可能に移動する(「付着およびすべり」、がたつき、振動)ということが観察された。最後に、半導体ウェハに作用する力同士が互いに対して補償しない、すなわち半導体ウェハに対して、力のない(力を補償する)所望の大きく「浮遊の」処理が先行技術において公知の走行盤では行われ得ず、この方法で処理される半導体ウェハは、ワークピースがクランプされる、力を補償しない方法から知られるように、拘束力にさらされるということが認識された。
さらに、特に先行技術において利用可能な走行盤の高い摩擦によって、固定された耐摩耗コーティングが使用できなくなるということが観察された。これは、当該コーティングは処理の間、高い力の作用(特に剥離力)により全体的または部分的に剥離されるからである。特に、コーティングの全体の厚さ、すなわち、存在する有用層、接着中間層、およびプライマ層を適切な場合に含む全積層部が通常、支持部、すなわち走行盤のコアから剥離することが観察された。
表面層の剥がれた断片または走行盤の耐摩耗コーティングの剥がれた断片が、半導体ウェハ表面と加工層との間の加工間隙に入る。加工層(研削パッド、ペレット)の硬度が高いため、層の断片が半導体ウェハにかける点状の負荷は、加工層の弾性変形によって補償され得ない。したがって、半導体ウェハはすぐに壊れる。
具体的には、本発明は、特に、層が加工層上を摺動する際にさらされる摩擦と、走行盤のコーティングの縁部の全長とともに、早すぎる層剥離の確率が増加するという観察に基づく。
本発明者らは、第1の材料からなるコアにおける第2の材料を有するコーティングの表面に、本発明に従った凸部および凹部を設けると、摩耗に対して非常に抵抗が高くなるだけでなく、摺動摩擦が低くなるということを認識した。本発明に従った挿入キャリアの構造を以下に詳細に説明する。
上記の挿入キャリアは、挿入キャリアに必要な剛性を与える第1の材料から構成されるコアを含む。したがって、第1の材料は好ましくは高い剛性を有する。好ましくは、第1の材料は金属、特定的にはスチールである。なぜならば、後者は高い弾性係数(剛性)を有するからである。硬化スチールは、硬度および引張強さが高いので特に好ましい。そのため、走行盤は相対的に大きな屈曲の際でも塑性的に変形せず、その所望の平坦さを常に維持する。この場合、ロックウェル硬さがHRC30〜60であるのが特に好ましい。第1の材料からなるコアは2つの表面を有する。挿入キャリアの使用の間、これらの表面のうち第1の表面は両面処理装置の一方の加工層に面し、第2の表面は他方の加工層に面する。
第2の材料は好ましくは高い耐摩耗性を有する。ポリウレタンのようなプラスチックが好ましい。ショアAによる硬度が60〜95である熱硬化性ポリウレタンが特に好ましい。
第2の材料は、可能な限りもっとも高い接着強度を有するような態様、すなわち、第2の材料を第1の材料から分離するのに可能な限り高い力が必要とされるような態様で、第1の材料に接続される。この場合、第1の材料と第2の材料との間の界面での接着は、好ましくは第2の材料内の結合よりも大きい。接着は、第1の材料が界面に沿って第2の材料に接続される材料の付着力を乗り越えるよう消費される必要がある力を指す。結合は、材料の分子同士の間または分子の中において支配的であり、したがって材料の均一な材料結合をもたらす材料結束力を乗り越えるよう消費される必要がある力を指す。したがって、使用の最中に不可避である摩擦の結果発生した摩耗により発生するコーティングの材料の損失は、微視的に小さい量のコーティング材料自体の除去(結合破壊)によってなされるのが好ましく、挿入キャリアにおいて下に存在する第1の材料(コア)から界面に沿ってコーティング材料の連続領域が剥離(接着破壊)することによってなされるのは好ましくない。
固くロック接続をする(歯、切込)ことによってか、または付加的な接着促進用の第3の層を第1の材料と第2の材料との間に適用することによって、第2の材料との第1の材料の固有の接着作用により強い接着がなされ得る(ファンデルワールス力)。
第2の材料においてコアから離れた側の表面は、凸部および凹部からなる構造を有する。凸部は、挿入キャリアのコアから見て外方を向く表面を有する、高さがより大きい領域であり、半導体ウェハをラッピング、研削、または研磨するための装置の加工盤の1つと接触し得る。凹部は、挿入キャリアのコアから見て外方の表面を有する、高さがより小さい領域であり、当該表面は加工盤と係合し得ない。本発明に従うと、凸部および凹部はこの場合、常に連続層の形態で互いに接続される。
上記コーティングの全面積において上記凸部によって構成される面積割合は5%と80%との間であるのが好ましい。この示されるパーセンテージは、加工盤と接触する面積割合に関する。この面積割合はさらに、略して「パーセンテージ接触面積」とも称する。
構造化されたコーティングの縦横比および典型的な構造サイズは、当該構造が本発明に従って有効であるように、すなわち摩擦の低減が得られるとともにコーティング材料が挿入キャリアから剥離しないように、限られた範囲から選択される必要があるということが分かった。
したがって、コーティングが設けられる構造(凸部および凹部)の特徴的な横方向の範囲は、本発明に従って摺動摩擦の低減が得られるように、制限された範囲から選択される必要があるということが分かった。この場合、コーティングの構造が凸部の分布および範囲または凹部の分布および範囲によって示されるかどうかは実質的に重要ではないということが分かった。特徴的な長さはたとえば相関長λとして特定され得る。相関長は全体のコーティングの固有の特性を構成し、かつ凸部および凹部のパターンの局所的に選ばれた実施の形態の詳細から独立するという利点が相関長の特定にはある。相関長は以下の2次元自己相関関数から得られる。
Aは2次元積分が及ぶコーティングの全面積を指す。
は、無限小面積要素を指す。
したがって、この自己相関は、コーティングの要素、すなわち凸部または凹部が平均で、距離
にてある要素と相関する確率を示す。 この確率は、同一の要素同士が位置
に位置し、同時に位置
に位置する場合、値1(厳密な相関)を想定する。すなわち、各々の場合、凸部(1・1=1)または凹部((−1)・(−1)=1)である。正確に異なる要素が
に位置する場合は、値−1(反相関)である。すなわち、いずれかの凸部が
に位置し、同時に凹部が
に位置するか、または凹部が
に位置し、同時に凸部が
に位置する。最後に、
にある要素が平均で相関しない(凸部の場合もあり、凹部の場合もあり、「+1」および「−1」の均一に分布するインスタンスの合計は零になる)場合は、値0である。本質的に、恒等式x(0)=1は常に当てはまる。すべての
に対する積分および積分が行われるエリアでの除算により、平均が算出される。これにより、
は、コーティングされたエリア全体に亘って平均化された、距離
にて同一種類の要素同士が遭遇する確率を実際に示す。
相関長は好ましくは0.5mmと25mmとの間であり、特に好ましくは1mmと10mmとの間である。
構造の横方向の範囲に加えて、その縦横比もかなり重要である。縦横比は、凸部または凹部の横方向の範囲に対する凸部と凹部との間の高さの差の比を指す。本発明に従って縦横比を計算するために、この横方向の範囲は、構造の上記で規定した相関長と均等にされる。非常に大きな縦横比の場合、同様に非常に小さな縦横比の場合には、挿入キャリアのコーティングと処理装置の加工層との間の摩擦の低減が起こらないことが観察された。
コーティングが、短い横方向の距離内において大きな高さの変調を有する場合に、大きな縦横比が存在することになる。この高さの変調は、たとえば各々が高さは高いが横方向の範囲は小さい多くの小さな凸部が、当該凸部を取り囲む連続するネットワーク状の凹部によって互いに分離されるような形態である。このような凸部の「ピン」は、加工使用の間に作用する横方向の摩擦力によって大きく変形されるということが分かった。これにより、凸部の基部に特に材料ストレスがかかることになる。この基部にて、凸部は周りを取り囲む凹部の領域に接続される。コーティング材料はこの基部にて引裂かれ、凸部の部分が全体のコーティングの集合体から剥離し得る。これは、上述したように半導体ウェハの破損または損傷へとつながる。
コーティングの構造が逆にたとえば連続する凸部のネットワークによって取り囲まれる多数の個々の凹部(「止まり穴」)の形態で存在する場合、大きな縦横比が同様に存在する。これらの止まり穴のような凹部は、半導体ウェハの処理の材料除去処理の間に発生する研磨スラリーにより充填および詰まるということが分かった。そのため、この構造の効果は無効化される。
これとは対照的に、幅広い横方向の距離内においてコーティングの高さの変調が小さい場合、たとえば凸部と凹部との間の高さの差がほんの小さい幅広い凹部または広範囲の凸部の形態にある場合、小さな縦横比が存在する。著しく小さな縦横比の場合も、コーティングは以下に説明するように本発明に従って作用しない。
好適に構造化されたコーティングによって、コーティングと加工層との間に位置する供給された冷却潤滑剤(PPGの場合は好ましくは水)の膜の厚さが増加することにより、挿入キャリアのコーティングと処理装置の加工層との間の摺動摩擦の低減が明らかにもたらされる。挿入キャリアと加工層との間の相対運動の際、あるタイプの「アクアプレーニング」効果により挿入キャリアが浮遊し、その結果、摺動摩擦が低減される。これは、挿入キャリアが加工層の上を摺動する間に、相対運動による冷却潤滑剤の膜における剪断勾配の結果、凹部は明らかに冷却潤滑剤の供給されたものを取り上げ、それを再び解放するという事実によって説明される。この解放された冷却潤滑剤は、凸部上のフロー輸送によってのみ凹部を去り得る。凹部が小さすぎるまたは浅すぎ、かつ凸部の幅が広すぎる場合、流入した冷却潤滑剤の量は、摺動摩擦を低減させる効果が得られるように凸部の上の膜厚さを増加させるのには十分ではない。反対に、凹部が大きすぎかつ凸部が小さすぎる場合、周りを取り囲む凸部の膜形成の増加のために十分な冷却潤滑剤が得られるように凹部の貯槽部を充填するよう供給され得る冷却潤滑剤は十分ではない。この場合も太い膜は形成されず、摩擦を低減する、挿入キャリアの「浮遊」も同様に発生しない。
この構造において、0.0004と0.4との間の縦横比が好適であると証明されている。0.004と0.1との間の範囲が好ましい。
第2の材料は部分的または完全に第1の材料の第1および第2の表面を覆う。好ましくは、第1の材料のこれら2つの表面の各々は、第2の材料のちょうど1つの連続層を有する。したがって、本発明に従ったコーティングは好ましくは複数の非連続領域(「アイランド」)からなるのではなく、各表面につきちょうど1つの連続領域からなる。この場合、全体のエリアを包囲するちょうど1つの縁線が存在する場合、当該エリアはまさに「完全に連続的」であると指定される。
第2の材料から構成されるコーティングは、各々の場合に第2の材料の第1および第2の表面上にコーティングが占めるエリアの所与の内容について、「エリア」に対する「縁」の比が可能な限り小さい場合、第1の材料上にもっとも高い接着強度を有する、すなわち剥離する傾向がないということが分かった。より正確にはこれは、所与のエリアの内容について、第1の材料の第1および第2の表面のコーティングがそれぞれ占めるエリアの形が各々の場合好ましくは、当該エリアを完全に包囲するちょうど1つの縁線であるこれら2つの各々の長さが最小となるように選択されるべきであるということを意味する。したがって理想的には、2つのコーティングの各々は各々の場合、円形の線によってちょうど包囲される。
これは、不適当な接着強度を有する可能性があるコーティングの剥離がコーティングの縁部から、すなわち各々の場合にコーティングが占めるエリアをちょうど包囲する線から常に進むということが分かったことによるからである。閉鎖層の中心からの層の剥離は実質的に観察されなかった。したがって、コーティングが占めるエリアの境界を定めるすべての縁線の合計が可能な限り小さくなるように選ばれる形態のコーティングが特に好ましい。したがって、コーティングの境界を定める縁は付加的な隆起および切込みなしで可能なかぎり均一に曲がるように意図される。
第2の材料の表面の構造は以下のさまざまな態様で達成され得る。
(a)第1の材料が、第2の材料が覆う領域において均一の厚さを有し得る。この場合、第2の材料は、所望の表面構造を得るために非均一の厚さを有さなければならない。
(b)他方、第1の材料はさらに、第2の材料が覆う領域において非均一の厚さを有し得る。第2の材料は、固くロックする態様で第1の材料の厚さプロファイルに追随する均一な厚さを有する。この場合、凸部および凹部が第1の材料の厚さの構造によって予め定められる。
(c)第1および第2の材料の両方が非均一の厚さを有することも可能である。両方の材料の厚さプロファイルは互いに対して非相補的に実現される。この場合、表面構造は、第1および第2の材料の厚さの変動の合計から得られる。
第2の材料の厚さ変調(ケース(a)および(c))は好ましくは以下の方法により得られ得る。第1の材料が鋳型の2つの半分部分の間に中心に配置される態様で配される。第1の材料に面する、当該鋳型の2つの半分部分の両側は各々の場合、キャビティを含む。このキャビティの境界を定める上記鋳型の2つの半分部分の壁は、キャビティ、したがって第2の材料を用いる鋳型の非均一な幅がその後のステップにおいて得られるようにエンボシング、研削、彫込み、刻み目付け、溝付け、ミリング、ターニング、またはエッチングによって作られる構造を有する。次いで、これらのキャビティには第2の材料の流動性のある化学的前駆体が同時に充填される(射出成型)。この前駆体はその後、たとえば架橋または硬化により第2の材料へと変換され、鋳型の半分部分が取り除かれる。これにより、第2の材料でコーティングされたコアが取り出される。
同様に、第2の材料の厚さ変調は好ましくは以下の方法によっても得られ得る。すなわち、注入の準備がされた態様で希釈された、硬化されていない第2の材料の化学的前駆体で第1の材料が非常に均一にコーティングされる。このコーティングは噴霧法で行われ、代替的には浸漬、フラッディング、塗布、ブレードコーティング、またはスクリーン印刷によっても行われる。この場合、両面が同時にコーティングされ得る(浸漬、フラッディング)か、または連続的にコーティングされ得る(塗布、ブレードコーティング、印刷)。コーティングの後、この溶媒は、フラッシングオフ(蒸発)のための時間に置かれる。これにより化学的前駆体は薄膜に覆われるが、まだ完全には硬化しない。第2の材料として好ましい熱硬化性ポリウレタンのうち、特に摩擦抵抗があるタイプは一般的に、熱架橋性である。すなわち、適用される化学的前駆体は室温ではどうしても完全には硬化しない。次いで、走行盤が熱抵抗性のプラスチックから構成される2つのプレートの間にて、圧力をかけるとともに熱が供給された状態で押圧される。これらのプレートは好ましくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはシリコーンゴムといった自己解放材料からなる。代替的には、走行盤に面するプレートの表面はさらに事前に解放剤(ワックス、シリコーン)でコーティングされ得る。走行盤に面するプレートの表面には、研削、彫込み、ミリングなどにより、第2の材料の構造のために設けられたテクスチャと相補的な構造が設けられる。したがって、熱の作用を用いた押圧により、第2の材料のそれでもまだ可塑的に変形可能な化学的前駆体が所望の形状に変換され、その後で硬化する。これらの形状決めプレートを除去した後、第2の材料の表面は所望の形状を有して存在する。
第1の材料(ケース(b)および(c))の厚さ変調は、整形(エンボシング、彫込み、刻み目付け、溝付け、圧縮、深絞り)、チッピング除去(研削、ミリング、ターニング)、穿孔(型押し、ドリリング、研削、ミリング)、または化学処理(エッチング)によって得られ得る。
次いで、ケース(b)ではたとえば成型または噴霧により、第1の材料に第2の材料の適用が行われる。成型の場合、この目的のために、2つの鋳型の半分部分では、それぞれの鋳型の半分部分同士の間にクランプされる第2の材料において当該半分部分に面する表面の高さプロファイルは、各々の場合、正確にシミュレートされる必要があり、これにより各々の場合に両面上に均一なコーティング厚さが得られる。噴霧による適用によってコーティングを適用することは、さらなる膜の流れを防止するために、間にフラッシュオフ時間を挟んで非常に薄く噴霧される多数の個々の層から構成される両面コーティングを適用することを伴う。この場合、個々に適用される膜の各々は非常に薄いので、表面張力により外形の縁部、凸部、および凹部にて膜が縮み得ない。これにより非常に均一な厚さを有するとともにその下に存在する第1の材料の形状プロファイルに正確に追随する積層膜が全体的に生じる。
先行技術から公知である半導体ウェハを受け入れるための開口部の内張りは、以下のように第2の材料からなるコーティングと組み合され得る。当該内張りは、第1の材料の第1の表面から第1の材料内の開口部を通って第1の材料の第2の表面まで連続的に延在する第3の材料からなり得る。好ましくは、この第3の材料は半導体ウェハを受け入れるためのすべての開口部および第1の材料におけるすべての他の開口部のすべての壁領域を完全に覆う。
同様に、第3の材料は、第2の材料と同一であるとともに第2の材料と連続層を形成するのが好ましい。この連続層は第1の材料の第1および第2の表面ならびにすべての開口部の壁を概して完全に覆う。特に好ましくは、第3の材料と同一の第2の材料での完全なコーティングは1つの加工作業で作られる。このコーティングはたとえば、第2の材料の流動性のある化学的前駆体がコーティングのために設けられる第1の材料の領域全体の周りを流れるようにする鋳型部分同士の間において成型することによって、または1つの噴霧作業においてコーティングのために設けられたすべての領域の「周りを取り囲む(all-round)」ような噴霧コーティングによって作られる。
しかしながら、(たとえばPPG法について)走行盤の場合、外歯とさらに外歯に隣接する狭い縁部領域とには、第2および第3の材料がないままである。同様に、コーティングされたエリア内のさらなる領域にもこれらがないのが好ましくなり得るが、常に第1の材料(挿入キャリアのコア)上の点が処理装置の加工層に接触しないようにされる。処理の間、挿入キャリアは、挿入キャリア上に作用する力(駆動力、摩擦力)によって、たとえば垂直方向(ねじれ、曲率)にも弾性的に変形される。したがって、これらがないままのエリアは、この弾性変形の場合であっても挿入キャリアが加工層に接触しないようにサイズおよび位置に従って選ばれなければならない。
この変形は特に、旋回する走行盤の実施例に力が導入される外歯の領域において激しくなる。走行盤の非コーティング領域と接触することのない部分的なコーティングがたとえば以下のように達成され得る。
旋回する走行盤(PPG、ペレット研削、ラッピング、DSP)を用いる処理方法ではしばしば、この走行盤は、両面上の加工盤によってガイドされ得ない特に外歯の領域においてガイドされてこの領域での走行盤の湾曲を回避する。これはたとえば、湾曲を防止するように、走行盤が係合する溝を有するローリング装置のピンの上で特定のピンホイールスリーブを用いることによってなされる。歯面が上記溝の中に入る領域においてコーティングの摩耗を回避するために、少なくとも溝深さの、走行盤のコーティングされない狭い縁部領域を残すのがさらに好ましい。好ましくは、走行盤は、外歯の歯元円の半径から測定して0mmから2mmの幅に亘ってコーティングされないままである。
非旋回式の挿入キャリア(軌道研削、軌道研磨)を用いた処理方法の場合、挿入キャリアは安定したガイドリングにおいて概してその外周に沿って保持され、加工盤の外径の外側にガイドされ、これにより挿入キャリアが外側領域において加工層と接触するのを構造的に防止する。処理の間に影響を有する駆動力による隆起または湾曲の結果、挿入キャリアは内側領域のみにおいて加工層と接触し得る。したがって、非旋回式の挿入キャリアの実施例では、中心領域が完全にコーティングされたままにしておくのが好ましい。
本発明に従った挿入キャリアはさまざまな両面処理方法において用いられ得る。したがって、本発明はさらに、2つの回転する加工盤の間での少なくとも1つの半導体ウェハの同時両面材料除去処理のための以下の方法にも関する。この方法では、上記半導体ウェハは挿入キャリアの開口部内において自由に移動可能な態様で存在し、上記加工盤同士の間に形成された加工間隙に上記挿入キャリアによって圧力下で動かされ、本発明に従った挿入キャリアが用いられ、上記第2の材料の上記凸部が上記加工盤のうちの1つに接触し、上記第1の材料とさらに上記第2の材料の上記凹部とは上記加工盤の1つと接触しない。
本発明は好ましくは、加工盤の各々が、結合砥粒を含む加工層を含む方法において用いられる。この場合、砥粒を含まない冷却潤滑剤が加工間隙に供給される。このタイプの方法は研削法と称される。加工層は、連続的であるか、または個々のセグメントから構成され、かつ好ましくは剥脱動作により加工盤から取り除かれ得るパッド、膜または砥粒体の形態で存在し得る。
本発明は、遊星運動による両面処理方法と軌道方法との両方において用いられ得る。
軌道方法の場合、上記加工盤は円形であり、ちょうど1つの挿入キャリアが用いられ、上記挿入キャリアは、上記加工盤の全体を覆うとともに、上記加工盤の周縁部に配されるガイドローラを偏心的に回転させて、各半導体ウェハの下にはいかなる時も上記半導体ウェハによって完全に覆われるそれぞれの静的なエリアが常に存在するような態様で軌道移動が行われるように駆動される。
遊星運動を用いる方法の場合、加工盤はリング形状を有する。少なくとも1つの切欠部を各々が有する少なくとも3つの挿入キャリア(この場合、走行盤とも称する)が用いられる。上記挿入キャリアの各々は、ローリング装置と歯とによって両面処理装置の回転軸の周りを固有の回転にて旋回するように外歯を有し、上記ローリング装置は上記加工盤の回転軸に対して同心円状に配される内側および外側ピンホイールを含む。
異なる回転速度について主な駆動部のアイドリングトルクを示す図である。 PPG処理パスでのトルク、耐力、および残留物の除去を示す図である。 本発明に従っていない方法による、PPG処理パスの加工盤の力に関連する正味のトルクの比較例を示す図である。 本発明に従った方法による、PPG処理パスの加工盤の力に関連する正味のトルクの実施例を示す図である。 走行盤のコア(第1の材料)を平面図にて示す図である。 先行技術に従った、コーティングを有する走行盤の比較例を断面図にて示す図である。 本発明に従った方法による、コーティングを有する走行盤の実施例を断面図にて示す図である。 本発明に従った方法による、コーティングを有する走行盤の実施例を平面図にて示す図である。
実施例および比較例
先行技術において公知の走行盤について観察された問題の原因を理解するとともに解決策を詳述するために、形状、構成、および構造が異なったコーティングを用いた実験を行った。
この場合、本発明の成立に必須であると証明されたのは、走行盤が加工層に対して移動する間に発生する摩擦力の正確な測定である。走行盤の圧迫に関連する摩擦は、処理の間は湿式摺動摩擦であるので、処理の間に装置駆動部の実際の回転速度(運動)および実際の耐力(研削抵抗、研削圧力)により求められる必要があることが分かった。さらに、これは観察から、実際の研削条件の下では、発生する摩擦力は加工層(ダイヤモンド、充填剤)の摺動摩擦と、半導体ウェハの処理の間に解放された半導体材料の粒の摩耗でのころがり摩擦との混合によって決定されるということが明らかになった。これは、同時に半導体ウェハ材料を取除く処理のない実験室設定では示され得ない。
たとえばDE19937784A1に記載されているような、PPG研削法を行うのに好適な装置に対して調査を行った。Peter Wolters GmbHによるAC−2000タイプの両面処理装置を用いた。この装置は、外径が1935mmであり内径が563mmである2つのリング状の加工盤と、内側および外側ピンホイールとを有する。駆動部の定格出力Lは表1に示される。
内側および外側ピンホイールから形成されるローリング装置は5つの走行盤まで収容可能である。ちょうど5つの走行盤を各々の場合、実際にこの調査のために用いた。走行盤は内側および外側ピンホイールと係合する外歯を有する。当該外歯のピッチ円径は720mmである。したがって走行盤は、それぞれ直径が300mmである半導体ウェハを受け入れるための3つまでの開口部か、それぞれ直径が200mmである半導体ウェハを受け入れるための6つの開口部か、または直径が450mmである半導体ウェハを受け入れるためのただ1つの開口部を配することが可能な有用エリアを有する。この調査の場合、直径が300mmである3つの半導体ウェハのための3つの開口部を有する走行盤が調査全体において用いられた。
図5は実験に用いた走行盤を示す。当該走行盤は、半導体ウェハを受け入れるための開口部21と、外歯22と、走行盤のコアを形成する第1の材料(鋼)に半導体ウェハが直接接触するのを防止する内張り24(プラスチック挿入物)との固いロック接合を形成するためのダブテール形状の切欠部23と、処理の間に2つの加工盤同士の間に形成される加工間隙に加えられる冷却潤滑剤の通過または交換のための補償開口部25とを含む。調査のために、さらなる添加剤のない排他的に純粋な水が用いられた。この水は半導体ウェハの処理の最中に加工間隙へと28l/分といった定数の流量で供給された。(26は、用いられた走行盤を通る断面線を示す。さらに以下ではこの断面線に沿った断面図にて、図7が走行盤の実施例を示し、図6が走行盤の比較例を示す)。
PPG研削条件下での摩擦測定のために、加工盤は、3M社の研削パッドである「Trizact Diamond Tile」のタイプ677XAELで覆われた。この研削パッドは、固定的に結合された砥粒としてダイヤモンドを含む。各一連の実験のために、すべての実験について同一の出発状態(切削の鋭さ、切削能力)を保証するよう、研削パッドが各々の場合、たとえばT. Fletcherら、Optifab 2005、Rochester NY、2005年5月2日に記載されるような方法により新たにトリミング(平滑化)および目立てされた。
PPG処理装置の駆動部の、測定に用いられた(毎分回転数(RPM)での)回転速度を表1に示す。この場合、「abs.」は、駆動部(実験室系)の絶対的な回転速度を指す。「rel.」は、走行盤とともに付随的に動かされる基準系、すなわちいわゆる固有系における回転速度を指し、特に普遍的であるとともに工具によって変動しない、処理の運動の性情を提供する。n1、n2、n3、n4は、空間的に固定された(設置に関連した)基準系における上側および下側加工盤と内側および外側ピンホイールとについて選択された絶対的な回転速度を指す。Ωは、固有系において得られる、回転する走行盤の中間点に対する加工盤の平均回転速度を指す。ΔΩは、当該平均回転速度からの加工盤の個々の回転速度の偏差を指す。ωは、空間的に固定された基準系におけるそれらのそれぞれの中間点についての走行盤の固有の回転を指す。σは、空間的に固定された基準系における装置の中心についての走行盤の中間点の旋回の回転速度を指す。それぞれの基準系においてベクトル(n1、n2、n3、n4)および(Ω、ΔΩ、ω、σ)によって表されるとともに各々の場合完全に処理中の運動シーケンスを示すパラメータセット同士の間では、公知の遊星歯車の方程式を示す変換マトリクスによる乗算によって変換を行うことが可能である。
摩擦は、実際に出力された原動力(関連する駆動部のそれぞれの定格出力Lに対するパーセントで表される。表1参照。「%L」と短縮して表す)に基づき求められる。この目的のために、処理の間にその後決定される出力から除去される必要がある軸受摩擦損失および他の損失により、アイドリング力をまず求める必要がある。図1は、上側加工盤を上げ、挿入した走行盤および半導体ウェハがない状態で、対応する駆動部の回転速度n1、n2、n3およびn4の関数として、上側加工盤(1)、下側加工盤(2)、内側ピンホイール(3)、および外側ピンホイール(4)のアイドリング力M1、M2、M3、およびM4を示す。
図2は、(時間および分で表される;h:mm)時間Tに対してPPG処理パスの最中に求められた運転特性図を示す。この場合、図2(A)は、上側加工盤(5)および下側加工盤(6)のトルクまたは出力M1およびM2をそれぞれの駆動部のそれぞれの定格力Lのパーセント(%L)で示す。図2(B)は内側ピンホイール(7)および外側ピンホイール(8)のトルクM3およびM4を示す。図2(C)は、デカニュートン(daN)で表される上側加工盤9の耐力F(研削抵抗、研削圧力)と、半導体ウェハの選択された目標厚さに対して、マイクロメートル(μm)で示される残っている残留物の除去R(10)とのプロファイルを示す。直径が300mmである3×5=15の半導体ウェハの場合、主負荷段階の間の550daNの耐力は、5.2kPa(キロパスカル)、すなわち0.052バールの圧力に対応する。図2に例示目的で示されるように、処理パスの開始の際の負荷のビルドアップおよび駆動部の回転の開始から処理パスの終了の際の負荷減少および駆動部の回転の停止までの処理パスの合計期間が5分から7分の間になるように処理条件および材料除去を選択した。本実施例では、90μmの材料がこの目的のために取り除かれた。残留物の除去10の勾配は、ほぼ17μm/分(1分ごとのマイクロメートル)の主な除去ステップの間の平均材料除去速度となる。
実際の摩擦損失を求めるために、図1に従って求められたアイドリングトルクは、図2(A)および図2(B)の実施例により示される測定された駆動トルクM1、M2などから除去される。これにより、実際のトルクM1*、M2*などが得られる。後者は処理の間に影響を有する耐力Fに関連する。同じ研削パッド、同じトリミング条件、および同じ回転速度(加工層上でのワークピースの同じパス速度)が与えられた場合の材料除去速度(材料除去の速度)は耐力Fに比例するので、耐力に関連する正味のトルクM1*/F、M2*/F、などは処理の間に走行盤および半導体ウェハの全体が経験した摩擦の直接的な測定値である。加工盤が主に除去性能に寄与しているので、上側および下側加工盤の力に関連する正味のトルクM1*/FおよびM2*/Fのみが、実際の摩擦損失の十分な近似値であると考えられた。
比較例1
比較例1では、図6(A)に例示するように、全エリアに亘って厚さが均一にコーティングされた走行盤を用いた。図6(A)は、半導体ウェハを受け入れるための開口部21と、外歯22と、半導体ウェハの保護のために上記受入開口部を内張りするための「挿入物」24と、冷却潤滑剤の通過のための補償開口部25と、残っているスチールコア20の全エリアコーティング27とを有する走行盤を示す。
図3は、本発明に従っていない走行盤についての上側および下側加工盤の力に関連する正味のトルクM1*/FおよびM2*/Fの時間的な進展を示す。時間は、h:mmという形式で時間および分で示される。正味のトルクは定格出力のパーセント、すなわち%Lで示される。走行盤は、それぞれ両面上にショア固さSh80Aを有する100μmの厚さの熱硬化性ポリウレタンのコーティングを有する硬化高級スチールから構成される600μmの厚さのコアを含んだ。スチールコアおよびコーティングは厚さが非常に均一に実現され、コーティングは走行盤の外形の全体を覆った。外歯の領域のみ歯先から歯元円までコーティングされなかった。したがって、この走行盤は図6(A)における図に対応した。
この比較例1では、成型方法によりPUコーティングが適用された。この目的のために、均一な起伏および厚さから特定のレベルにまでラッピングによって処理されたスチールコアが鋳型の2つの半分部分同士の間の中心に配置された。これらの鋳型の2つの半分部分は、走行盤コアに面する自身の内側上に、計画しているコーティングに対応した形状を有するキャビティと、さらにスプルーおよびベントチャネルとを含む。当該鋳型はコーティング材料(非架橋のポリウレタン)の液状の化学的前駆体で充填され、鋳型内で硬化された(反応射出成型(reaction injection molding(RIM))。硬化の後、鋳型の半分部分が取り除かれ、これにより熱硬化性のPUでコーティングされた走行盤が得られた。
ミリングおよび研磨法による高い形状処理精度により、走行盤の全厚みの変動が800μmから±1.5μmとなった。コーティング(硬度ショア80A)の弾性により、処理の間に全コーティングが加工層(研削パッド)と接触すると考えられた。したがってコーティングはほぼ100%のパーセンテージ接触面積を有する。
力に関連する正味のトルクは、図3に示されるように先行技術に従った平滑な走行盤(図6(A))の比較例において平均で約0.135%L/daNである。非常に平滑な走行盤は、先行技術において好ましいものとして示される。その理由がたとえばDE10023002B4において説明される。先行技術では、技術的に可能な場合、可能である最良の巨視的な平坦さだけでなく特に小さい微視的な粗さも好ましいとされる。この理由はDE10250823B4において説明される。
実施例1
実施例1では、図7(A)において例示されるように、全体エリアに亘ってコーティングされた走行盤が使用された。走行盤は、PPG法が実行されている間に研削装置の加工層と接触する突出領域31(凸部)を有する。走行盤はさらに、加工層と接触しない窪み領域30(凹部)を有する。凸部および凹部は、本発明にかかる連続エリアを形成する。全エリアに亘って連続するこのようなコーティングの特徴的な機構は、走行盤のコアがいかなる点でも可視ではないことである。
図7(A)に示される全エリアのコーティングの場合、外歯の歯先から歯元円までの外歯22の領域のみが、コーティングの間にマスキングによって、コーティング材料がないままであった。これは特に、適切な場合に歯面に付着するコーティング材料が、処理装置の内側ピンホイールと外側ピンホイールとの間での走行盤のローリングの間に高い点負荷により剥離するということが発見されたので、有効であると証明された。剥離によって、半導体ウェハがすぐに破損していたであろう。
走行盤の両面上において、各々の場合、コーティングは、凸部のエリアでは層厚さが100μmであり、凹部の領域では約20μmである。パーセンテージ接触面積はほぼ40%であり、凸部および凹部の平均の横方向の範囲を示す相関長は約3mmでり、深さが平均30μmであった。したがって、縦横比は約0.01であった。
走行盤は、鋳型の2つの半分部分同士の間での射出成型法(RIM)により、比較例1の場合と同じポリウレタン(ショア80A)でコーティングされた。PUの成型のために設けられた鋳型のキャビティは、形状およびサイズについて、比較例1の鋳型のキャビティと同じとした。しかしながら比較例1とは対照的に、射出が行われるキャビティにおいて、中心に配されたスチールコアから見て外方にある壁は、研削装置の加工層とその後接触する成型部の表面を形状決めするよう彫込み法の補助により構造化された。この場合、粗さ深さは、層の成型部が連続的なままであるように、すなわち加工層とその後接触するコーティングのすべての突出する凸部が凹部によって中断されることなく、走行盤のコーティングされたコア材料が見え得るコーティングがないエリアを引き起こすことなく接続されるように選択された。これにより、走行盤は図7(A)の図に対応する。
他の点では、比較例1と比較して、試験手順において差異はなかった。
図3(比較例1)に類似した態様で、図4は、実施例1に従って走行盤を用いる場合に発生する力に関連する正味のトルクM1*/FおよびM2*/Fを示す。実施例1の場合、力に関連する正味のトルクは平均で0.051%L/daNだけであった。この値は、概して一定の摩擦条件での時間範囲(図4においてほぼ1/2分と6 1/2分の間)に亘ってM1*/FおよびM2*/Fを平均化することによって求められた。これは、耐摩耗層を有する走行盤の有効範囲を同じにし、コーティングを同じ材料にし、PPG処理条件(回転速度、力、冷却潤滑、パスの開始前にトリミングされた研削パッドなど)を同じにした状態で、比較例1において作りだされる摩擦の40%未満である。
このコーティングは非常に安定であると証明され、実験パスを繰り返した場合であっても、目に見える部分的な層剥離は起こらず、特に半導体ウェハの破損は起こらなかった。
実施例2−3および比較例2−4
表2は本発明に従った実施例2および3のさらなる結果と、本発明に従っていない比較例2、3、および4の結果とを示す。異なってコーティングされた走行盤を用いて、それ以外の点では実施例1および比較例1の条件と同じ条件で実験を行った。すべての場合において、走行盤コアは図5の例示に対応する。
表2について、両方の加工盤に対して、処理の間に得られた(1分当たりのマイクロメートル(μm/分)での)平均材料除去速度<dR/dt>に対する平均の正味の摩擦トルク<M*>(駆動定格出力のパーセント(%L))が求められる。これは、図2(A)および図2(B)ならびに図3にプロットされる研削力に関連する駆動トルクM*/Fよりも摩擦の正確な測定値である。なぜならば、実際に得られた除去速度を基準にして、(一定のパス速度での)力についての切削性能が変動し得るからである。力に関連する切削性能のこのような変動は、各実験の前に、加工層をトリミングすることにより、加工層の完全に同一の「切削能力」を作り出すことが可能でない場合に起こり得る。
除去速度は、時間に対する微分により、求められた残留物の除去から計算される。残留物の除去は、加工盤同士の間の距離から求められる。この方法に対しては間接的にシビアなノイズが重なるので、必要とされるマイクロメートルでの精度では、測定値の時間導関数はますます変動する。したがって、除去速度は、必要とされる精度を得るために、処理パスの期間全体に亘って平均化される必要がある。したがって、摩擦の特徴的な数値<M*>/<dR/dt>の場合、図3および図4でのような、パラメータM*/Fについて時間分解されたパスのレコードは利用可能ではなく、各々の場合、実験パスごとに特徴的な数値が1つだけ利用可能である。この1つだけの数値は、そのかわり、非常に正確である。これらは表2において、実施例2−3および比較例2−4についてまとめられている。
実施例2では、実施例1とコーティングの有効範囲が同じ走行盤が用いられた。このコーティングも、鋳型において彫込みが設けられた自由エリアを用いた成型(RIM)により作り出された。しかしながら、より高いパーセンテージ接触面積(約60%)と、より大きな凸部の平均寸法(ほぼ5mm)および凹部の平均寸法(約4mm)と、凹部の上の凸部の同様に増加された高さ(約70μm)が選択された。この実施例では、相関長は約4.7mmであった。したがって、コーティングの縦横比は約0.015であった。このコーティングも、図7(A)の例示に対応する。
実施例3の場合、熱硬化性ポリウレタン(PU)から構成されるコーティングが、手動の噴霧による適用(好適に希釈されるとともに架橋されていないPU液をスプレーガンを用いて高圧噴霧し、その後蒸発および硬化させること)により作り出された。手動の噴霧による適用が、1つまたはほんのいくつかの相対的に太い層の形態で行われる場合、一般的に手動の塗布の間の非均一性および縁部−外形に依存する表面張力(「縁部ビード」)により、層が非均一の厚さになる。結果得られるパーセンテージ接触面積は約30%であった(全体のコーティング形状およびエリアは比較例1および実施例1と同じ)。パーセンテージ接触面積は複数の処理パスの後で、加工層と接触する表面領域上で明らかになる摩擦の跡を測定することより求められた。しかしながら、噴霧による適用により、凸部および凹部の平均長は約20mmから30mmの相関長を有する図3および図4の実施例における平均長よりもかなり大きかった。凹部に対する凸部の平均高さもまた、マイクロメータねじゲージを用いて、走行盤のコーティングの領域における異なる点にてサンプリングする態様での測定により求められ、10μmと20μmとの間であった。したがって、縦横比は約0.0006であった。実施例2に対して実施例3におけるパーセンテージ接触面積が小さいにも関わらず、凸部および凹部の範囲が大きいことにより、摩擦が若干高くなった(冷却潤滑剤支持膜の破壊)。縦横比が約0.0006であるので、実施例3のコーティングもすでに好ましい範囲(0.0004から0.4)の限界に近い。この限界の近傍では、本発明に従ったまだ低い摩擦から本発明にもはや従っていない態様の高い摩擦への遷移が発生する。
比較例2では、高い厚み均一性(コーティングされたエリアの約90%のパーセンテージ接触面積)を有する全エリアに亘って構造化されていない態様でコーティングされた走行盤が用いられた。したがって、比較例2は図6(A)の例示に対応する。比較例2では比較例1と対照的に、走行盤は噴霧法によってコーティングされた。この噴霧法ではたとえば、多くの個々の非常に薄い層の適用および次の層の適用の前のそれぞれのフラッシュオフおよび硬化により層を実現し、これにより表面張力の結果、層の流れなしで厚さの均一性が高い層の積層物を得る。
比較例3では、比較例2と同じPU材料が用いられた。しかしながら、コーティング28の全面積が低減され、コーティング28がさらに4つの非連続領域に細分されたので、走行盤において著しく小さいエリア(図6(B)に対応)がコーティングされた。この小さい合計の接触面積により、摩擦は、比較例2に対して若干低減される。
実施例2および3ならびに比較例2および3は、パーセンテージ接触面積に加えて、特に凸部および凹部の実寸と、さらにその縦横比とが、最小限の湿式の摺動摩擦を示す走行盤の表面について必須であるということを示す。
比較例4では、走行盤は図6(C)に従って部分的にのみコーティングされた。図6(C)は非連続的な部分エリアコーティング29を有するコア20を示す。この部分的なコーティングは、たとえばWO2008/064158A1に記載されるように、先行技術に従った方法により、コーティング処理の間に複数の領域にマスキングをし、その後でこのマスキングを除去することによって実施された。これにより、多数の不継続の個々の領域の形態にある部分的なコーティングが得られる。このようにコーティングされた走行盤からの層剥離と、この方法で処理された半導体ウェハの破損とが最初の処理パスにおいてすでに発生したので、この実験を完了させることはできなかった。
層の破損(剥離)が好ましくは、走行盤コアと層、またはPU有用層と、適切な場合、さらなる接着促進中間層およびプライマ層とから構成される積層部との間の界面にて発生することが観察されているので、上記の剥離は、合計すると非常に長い不連続のコーティングセグメントの露出した縁線によって説明され得る。この縁線は多くの攻撃点(points of attack)を与える。小さいパーセンテージ接触面積でコーティングされた走行盤のこの比較例では、実施例2における走行盤と同等の除去速度に関連するトルク<M*>/<dR/dt>が得られたが、コーティングの不安定性とこのように処理された半導体ウェハへの持続的な損傷とにより、比較例4に従った走行盤はPPG処理法を実行するには好適ではない。
さらなる例示的な実施の形態
図7は、本発明に従った走行盤のさらなる例示的な実施の形態を示す。
図7(A)はすでに実施例1に関連して説明されている。
図7(B)は本発明に従った連続凸部31および凹部30を有する部分エリアコーティングを有する走行盤を示す。部分エリアコーティングにより、走行盤のコア20が見られる得るままであるが加工層と接触し得ない自由領域32が存在する。なぜならば、凸部31は加工層からある距離だけ離れるようコア20を維持するとともに、自由領域32は、走行盤コア20の厚さが小さくかつ剛性が有限であることにより存在する走行盤の弾性によって加工層まで自由領域32が変形し得るという事実を抑制するには十分小さいからである。凸部と凹部との間の関係により、コーティングの縁線が短くなり、本発明に従ったこのような走行盤は、部分的な剥離または半導体ウェハ破損がない非常に長寿命の層接着を有する。
図7(C)は、全エリアに亘って連続するコーティングを有する走行盤を示す。当該全エリアでは、前面および後面の層がさらに、半導体ウェハを受け入れるための開口部21と冷却潤滑剤の通過のための補償開口部25とを通って導かれて接続されたので連続的である。このような「周りを取り囲んだ」コーティングは、縁線が外歯の歯先と歯元円との間の省略された領域に沿ってのみ存在するので、特に長寿命の層の付着を有する。
さらに、走行盤の開口部の周りを通るようコーティングを導くとともに前面および後面の層を接続することにより、適切な実施の形態の場合、半導体ウェハが硬質材料の走行盤コア20と接触するのを防止する(たとえば縁部領域における材料の破砕といった機械的な作用の結果または半導体材料の金属汚染の結果起こる半導体ウェハへの損傷を回避する)「挿入物」24(たとえば図7(B)参照)をコーティング34(図7(C))と完全に置き換えることが可能になる。このような走行盤は特に単純な態様で構成され、したがって特に経済的に製造され得る。
最後に、図7(D)はパーセンテージ接触面積が特に小さい(いくつかの小さい凸部31が、幅の広い凹部30によって互いに分離される)、全エリアに亘って連続するコーティングを有する走行盤を示す。パーセンテージ接触面積が小さいにも関わらず、コーティングは、本発明に従って、連続するように(分離された部分的な層領域が存在しないように)実施される。
本発明に従ったさらなる実施の形態を図8に示す。
図8(A)は、走行盤コア20と、半導体ウェハを受け入れるための開口部21と、外歯22と、プラスチックの挿入物24およびコア20の固くロックされた接続のためのダブテール23と、冷却潤滑剤の通過のための補償開口部25と、連続的な全エリアコーティング(外歯22の省略された領域は除く)とを有する走行盤を平面図にて示す。連続的な全エリアコーティングは、半導体ウェハのための処理装置の加工層と接触しない凹部30と、当該加工層と接触する凸部31とを有する。示される例示的な実施の形態では、凸部は直径が8mmである環状のベースエリアを有し、六角形状に配される。隣接する凸部同士の最短距離(凹部の最小幅)は約3.4mmであり、相関長は5.2mmである。このようにコーティングされる表面のパーセンテージ接触面積は40%である。
少なくとも1つの300mmの半導体ウェハ(約820μmの研削の後の半導体ウェハの厚さ)を受け入れるためのこのような走行盤を実施する際、走行盤の合計の厚みは約800μmである。そのうちの少なくとも600μmが、硬化スチールから構成されるコアが十分な剛性を有するようにコアに割り当てられる。したがって、各面につき最大100μmがコーティングに割り当てられる。この100μmのうち、適切な場合は10μmが随意の接着性中間層に割り当てられ、したがって90μmから100μmが実際の有用層に割り当てられる。十分な接着強度および引裂抵抗を得るために、層の連続的な部分は、厚さが少なくとも10μmである。したがって、凹部の上の凸部の高さには最終的に、コーティングの面ごとに約70μmから80μmが割り当てられる。したがって、図8(A)に示される実施例に従ったコーティングの縦横比は約0.014である。したがって、層厚さが示され、図8は、縦横比(0.004から0.1)について特に好ましい範囲にあるコーティングの例示的な実施の形態を示す。
図8(B)は、図8(A)における断面線35に沿ったコーティングされた走行盤の拡大断面図を示す。
全エリアに亘っていないが本発明に従って連続しているコーティングを有する走行盤のさらなる例示的な実施の形態を図8(C)において平面図にて示す。走行盤コア20におけるすべての開口部(ダブテール23および挿入物24を有する、半導体ウェハのための受入開口部21ならびに冷却潤滑剤のための通過口25)の周りの領域32はコーティングされていない。外歯22の領域はさらにまた、コーティングがない状態であるのが常に好ましかった。凸部31は、凸部の最小幅が2.7mmである連続的な正方形の格子として提示される。凹部30は、縁の長さが約6.2mmであり、面積が約40mmである長方形の凹部であり、完全に凸部31に取り囲まれる。この場合、この相関長は約4.5mmである。コーティングのパーセンテージ接触面積は50%を若干上回る。縦横比は、図8(A)について説明したように凸部と凹部との間の層厚さの差を同じにした場合(約75μm)、約0.017である。したがって、層厚さが示され、図8(B)は同様に、縦横比(0.004から0.1)について特に好ましい範囲にあるコーティングの例示的な実施の形態を示す。
図8(D)は、図8(C)における断面線36に沿ったコーティングされた走行盤の拡大断面図を示す。
1 上側加工盤のアイドリングトルク
2 下側加工盤のアイドリングトルク
3 内側ピンホイールのアイドリングトルク
4 外側ピンホイールのアイドリングトルク
5 上側加工盤のトルク
6 下側加工盤のトルク
7 内側ピンホイールのトルク
8 外側ピンホイールのトルク
9 上側加工盤の耐力
10 残留物の除去
11 本発明に従っていない比較例の場合の上側加工盤の力に関連する正味のトルク
12 本発明に従っていない比較例の場合の下側加工盤の力に関連する正味のトルク
13 本発明に従った実施例の場合の上側加工盤の力に関連する正味のトルク
14 本発明に従った実施例の場合の下側加工盤の力に関連する正味のトルク
20 挿入キャリア(走行盤)のコア(第1の材料)
21 半導体ウェハを受け入れるための開口部
22 外歯
23 ダブテール歯部
24 裏張り(「挿入物」)
25 補償開口部(冷却潤滑剤通路)
26 走行盤を通る断面線
27 全エリアコーティング(比較例)
28 非連続的部分エリアコーティング
29 部分エリア、非連続的にセグメント化されたコーティング
30 連続的なコーティングの凹部
31 連続的なコーティングの凸部
32 連続的な部分エリアコーティングの自由エリア
33 前後面上に接合されるコーティング
34 開口部の内張りを置き換える、前後面上に接合されるコーティング(「挿入物」)
35 コーティングされる走行盤を通る断面線(タイプ1)
36 コーティングされる走行盤を通る断面線(タイプ2)
<dR/dt> 平均除去速度(時間に対する残留物の除去の平均化された導関数)
F 上側加工盤の耐力(研削抵抗)
L 主駆動部の定格力
M1 上側加工盤のトルク
M2 下側加工盤のトルク
M3 内側ピンホイールのトルク
M4 外側ピンホイールのトルク
M1 上側加工盤のアイドリングトルク
M2 下側加工盤のアイドリングトルク
M3 内側ピンホイールのアイドリングトルク
M4 外側ピンホイールのアイドリングトルク
<M*> 加工盤の平均正味のトルク
M1* 上側加工盤の正味のトルク
M2* 下側加工盤の正味のトルク
n1 上側加工盤の回転速度
n2 下側加工盤の回転速度
n3 内側ピンホイールの回転速度
n4 外側ピンホイールの回転速度
PU ポリウレタン
R 残留物の除去
RIM 反応射出成型(鋳型内での硬化を伴う成型)
RPM 1分あたりの回転(旋回)
T 時間
ΔΩ 平均回転速度からの加工盤回転速度の偏差
σ 空間的に固定された基準系において処理装置の中間点についての、走行盤中間点の旋回の回転速度
ω 空間的に固定された基準系においてそれぞれの中間点についての、走行盤の固有の回転の回転速度
Ω 旋回する走行盤の中間点に対する加工盤平均回転速度

Claims (13)

  1. ラッピング装置、研削装置、または研磨装置の2つの加工盤の間での両面処理のために1つまたは複数の半導体ウェハを受け入れるのに好適な挿入キャリアであって、第1および第2の表面を有する第1の材料から構成されるコアを含み、前記第1および第2の表面の各々は第2の材料から構成されるコーティングを有し、前記コーティングは前記第1および第2の表面を完全にまたは部分的に覆い、前記挿入キャリアはさらに半導体ウェハを受け入れるための少なくとも1つの開口部を含み、前記コーティングにおいて前記コアから離れた側の表面は、凸部と凹部とからなる構造を有し、前記構造の前記凸部および凹部の相関長は0.5mm〜25mmの範囲内であり、前記構造の縦横比は0.0004〜0.4の範囲内である、挿入キャリア。
  2. 前記第1の材料は金属であり、前記第2の材料はプラスチックである、請求項1に記載の挿入キャリア。
  3. 前記コーティングは完全にまたは部分的に、前記コアの前記第1および第2の表面を、各々の場合、ちょうど1つの連続層の形態で覆う、請求項1および2のいずれかに記載の挿入キャリア。
  4. 前記コーティングの全面積において前記凸部によって構成される面積割合は5%と80%との間である、請求項1〜3のいずれかに記載の挿入キャリア。
  5. 前記構造の前記凸部および凹部の相関長は1mm〜10mmの範囲内である、請求項1〜4のいずれかに記載の挿入キャリア。
  6. 前記構造の縦横比は0.004〜0.1の範囲内である、請求項1〜5のいずれかに記載の挿入キャリア。
  7. 前記コアの前記第1の表面から前記コアにおける少なくとも1つの開口部を通って前記コアの前記第2の表面まで連続的な態様で延在する第3の材料によって特徴付けられる、請求項1〜6のいずれかに記載の挿入キャリア。
  8. 前記第3の材料は前記コアの前記第1の表面から、半導体ウェハを受け入れるためのすべての開口部を通って前記コアの前記第2の表面まで延在するとともに、前記開口部の壁エリアを完全に内張りする、請求項7に記載の挿入キャリア。
  9. 前記第3の材料は前記第2の材料と同一であり、前記第2の材料と連続層を形成する、請求項8に記載の挿入キャリア。
  10. ラッピング装置、研削装置、または研磨装置の2つの回転する加工盤の間での少なくとも1つの半導体ウェハの同時両面材料除去処理のための方法であって、前記半導体ウェハは挿入キャリアの開口部内において自由に移動可能な態様で存在し、前記加工盤同士の間に形成された加工間隙に前記挿入キャリアによって圧力下で動かされ、請求項1に記載される挿入キャリアが用いられ、前記コーティングの前記凸部が前記加工盤のうちの1つに接触し、前記コアとさらに前記コーティングの前記凹部とは前記加工盤と接触しない、方法。
  11. 加工盤の各々は結合砥粒を含む加工層を含み、砥粒を含まない冷却潤滑剤が前記加工間隙に供給される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記加工盤は円形であり、ちょうど1つの挿入キャリアが用いられ、前記挿入キャリアは、前記加工盤の全体を覆うとともに、前記加工盤の周縁部に配されるガイドローラを偏心的に回転させて、各半導体ウェハの下にはいかなる時も前記半導体ウェハによって完全に覆われるそれぞれの静的なエリアが常に存在するような態様で軌道移動が行われるように駆動される、請求項10および11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記加工盤はリング形状であり、半導体ウェハを受け入れるための少なくとも1つの開口部を各々が有する少なくとも3つの挿入キャリアが用いられ、前記挿入キャリアの各々は、ローリング装置と歯とによって回転軸の周りを固有の回転にて旋回するように外歯を有し、前記ローリング装置は前記加工盤の回転軸に対して同心状に配される内側および外側ピンホイールを含む、請求項10および11のいずれかに記載の方法。
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