JP2012152253A - 電子レンジ用発熱皿およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】少量のマイクロ波吸収発熱材で効果的に発熱させることができ低廉かつ容易に作製できると共に直火焼き可能で、さらに陶磁製基体全体が高温に発熱することもなく発熱後の取り扱いが容易で、かつ自由に彩色できる電子レンジ用発熱皿およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の電子レンジ用発熱皿1は、皿状に成形され焼成された低膨張陶磁製基体2と、低膨張陶磁製基体2に施釉された釉薬層3と、低膨張陶磁製基体2と釉薬層3との間に設けられ低膨張陶磁製基体2に塗布されて形成されたマイクロ波吸収発熱材含有層4とを有し、マイクロ波吸収発熱材含有層4は低膨張陶磁製基体2の底部上面5に設けられている。
【選択図】図4
【解決手段】本発明の電子レンジ用発熱皿1は、皿状に成形され焼成された低膨張陶磁製基体2と、低膨張陶磁製基体2に施釉された釉薬層3と、低膨張陶磁製基体2と釉薬層3との間に設けられ低膨張陶磁製基体2に塗布されて形成されたマイクロ波吸収発熱材含有層4とを有し、マイクロ波吸収発熱材含有層4は低膨張陶磁製基体2の底部上面5に設けられている。
【選択図】図4
Description
本発明は、電子レンジで発熱して魚等を焼くことができる電子レンジ用発熱皿およびその製造方法に関するものである。
近年、電子レンジで焼き魚等の調理を可能とする電子レンジ用発熱皿が種々提案されている。例えばそのようなものとして、陶磁製基体中にマイクロ波吸収発熱材を含有させて焼成したもの(特許第3650373号の電子レンジ用耐熱皿)や釉薬中にマイクロ波吸収発熱材を含有させて陶磁製基材中に施釉し焼成したもの(特許第4273227号のマイクロ波発熱体の製造方法)がある。
しかし、前者のものは陶磁製基体全体にマイクロ波吸収発熱材を配するため多量のマイクロ波吸収発熱材を要しコスト高になると共に直火焼きができず、さらに、陶磁製基体全体が高温に発熱するため発熱後の取り扱いに難がある。他方、後者のものはマイクロ波吸収発熱材の色彩が施釉層の色彩に影響するため自由な施色ができないという問題があった。
そこで、本発明の課題は、少量のマイクロ波吸収発熱材で効果的に発熱させることができ低廉かつ容易に作製できると共に直火焼き可能で、さらに陶磁製基体全体が高温に発熱することもなく発熱後の取り扱いが容易で、かつ自由に彩色できる電子レンジ用発熱皿およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するものは、皿状に成形され焼成された低膨張陶磁製基体と、該低膨張陶磁製基体に施釉された釉薬層と、前記低膨張陶磁製基体と前記釉薬層との間に設けられ前記低膨張陶磁製基体に塗布されて形成されたマイクロ波吸収発熱材含有層とを有し、該マイクロ波吸収発熱材含有層は、前記低膨張陶磁製基体の底部上面に設けられていることを特徴とする電子レンジ用発熱皿である。
前記マイクロ波吸収発熱材含有層は、前記低膨張陶磁製基体の底部下面にも設けられていてもよい。前記電子レンジ用発熱皿は、蓋体を有し、該蓋体の内面にも前記マイクロ波吸収発熱材含有層が設けられていることが好ましい。前記蓋体の外面にも前記マイクロ波吸収発熱材含有層が設けられていてもよい。前記マイクロ波吸収発熱材含有層を形成する泥漿には、炭化珪素およびフェライトからなるマイクロ波吸収発熱材が含有されていることが好ましい。前記釉薬層を形成する釉薬にはペタライトが含有されていることが好ましい。
また上記課題を解決するものは、低膨張陶磁原料を皿状に成形し素焼きして低膨張陶磁製基体を形成する工程と、前記低膨張陶磁製基体の底部上面または/および下面にマイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布する工程と、前記マイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布した前記低膨張陶磁製基体に施釉する工程と、施釉した前記低膨張陶磁製基体を本焼成して前記低膨張陶磁製基体にマイクロ波吸収発熱材含有層および釉薬層を形成する工程とを有していることを特徴とする電子レンジ用発熱皿の製造方法である。
低膨張陶磁原料を成形し素焼きして蓋体を形成する工程と、前記蓋体の内面または/および外面にマイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布する工程と、前記マイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布した前記蓋体に施釉する工程と、施釉した蓋体を本焼成して前記蓋体にマイクロ波吸収発熱材含有層および釉薬層を形成する工程とを有していることが好ましい。
マイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布する工程は、前記泥漿を刷毛塗り、スプレー噴霧またはパット印刷により塗布するものであることが好ましい。
請求項1または2に記載した電子レンジ用発熱皿によれば、少量のマイクロ波吸収発熱材で効果的に発熱させることができ低廉かつ容易に作製できると共に直火焼き可能で、さらに陶磁製基体全体が高温に発熱することなく発熱後の取り扱いが容易で、かつ自由に彩色できる。
請求項3または4に記載した電子レンジ用発熱皿によれば、被調理物を両面焼き可能な電子レンジ用発熱皿を構成できる。
請求項5に記載した電子レンジ用発熱皿によれば、より少量のマイクロ波吸収発熱材で効果的に発熱するマイクロ波吸収発熱材含有層を構成できる。
請求項6に記載した電子レンジ用発熱皿によれば、電子レンジ用発熱皿の表面が平滑になって焦げつきのない電子レンジ用発熱皿を構成できる。
請求項7または8に記載した電子レンジ用発熱皿の製造方法によれば、少量のマイクロ波吸収発熱材で効果的に発熱させることができ低廉かつ容易に作製できると共に、陶磁製基体全体が高温に発熱することなく発熱後の取り扱いが容易で、かつ自由に彩色できる電子レンジ用発熱皿を作製できる。
請求項9に記載した電子レンジ用発熱皿の製造方法によれば、マイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を容易に塗布できる。
請求項3または4に記載した電子レンジ用発熱皿によれば、被調理物を両面焼き可能な電子レンジ用発熱皿を構成できる。
請求項5に記載した電子レンジ用発熱皿によれば、より少量のマイクロ波吸収発熱材で効果的に発熱するマイクロ波吸収発熱材含有層を構成できる。
請求項6に記載した電子レンジ用発熱皿によれば、電子レンジ用発熱皿の表面が平滑になって焦げつきのない電子レンジ用発熱皿を構成できる。
請求項7または8に記載した電子レンジ用発熱皿の製造方法によれば、少量のマイクロ波吸収発熱材で効果的に発熱させることができ低廉かつ容易に作製できると共に、陶磁製基体全体が高温に発熱することなく発熱後の取り扱いが容易で、かつ自由に彩色できる電子レンジ用発熱皿を作製できる。
請求項9に記載した電子レンジ用発熱皿の製造方法によれば、マイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を容易に塗布できる。
本発明では、低膨張陶磁製基体2と釉薬層3との間で、かつ底部上面5に、低膨張陶磁製基体2に塗布して形成したマイクロ波吸収発熱材含有層4を配したことによって、少量のマイクロ波吸収発熱材で効果的に発熱させることができ低廉かつ容易に作製できると共に、陶磁製基体2全体が高温に発熱することなく発熱後の取り扱いが容易で、かつ自由に彩色できる電子レンジ用発熱皿およびその製造方法を実現した。
本発明の電子レンジ用発熱皿を図1ないし図4に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例の電子レンジ用発熱皿1は、図4に示すように、皿状に成形され焼成された低膨張陶磁製基体2と、低膨張陶磁製基体2に施釉された釉薬層3と、低膨張陶磁製基体2と釉薬層3との間に設けられ低膨張陶磁製基体2に塗布されて形成されたマイクロ波吸収発熱材含有層4とを有し、マイクロ波吸収発熱材含有層4は低膨張陶磁製基体2の底部上面5および底部下面6に設けられている。以下、各構成について順次詳述する。
この実施例の電子レンジ用発熱皿1は、図4に示すように、皿状に成形され焼成された低膨張陶磁製基体2と、低膨張陶磁製基体2に施釉された釉薬層3と、低膨張陶磁製基体2と釉薬層3との間に設けられ低膨張陶磁製基体2に塗布されて形成されたマイクロ波吸収発熱材含有層4とを有し、マイクロ波吸収発熱材含有層4は低膨張陶磁製基体2の底部上面5および底部下面6に設けられている。以下、各構成について順次詳述する。
低膨張陶磁製基体2は、低膨張陶磁原料を図3に示すような凹状皿に成形し乾燥させた後、約800℃で素焼き後、約1200℃まで昇温して本焼成することにより形成されている。
低膨張陶磁製基体2を構成する陶磁原料としては、ペタライト、コーディエライトおよび粘土を主原料とする耐熱・耐熱衝撃性に優れた低膨張陶磁原料が使用されている。
釉薬層3は、低膨張陶磁製基体2に彩色を施す部位であり、長石、粘土、顔料等ケイ酸塩鉱物を含む釉薬原料が塗布され焼成されて形成されている。なお、釉薬には、ペタライトが含有されていることが好ましく、これにより、低膨張陶磁製基体2との膨張係数を調整してクラックの発生を防止できると共に、表面が円滑となって焦げつきのない電子レンジ用発熱皿を構成できる。
マイクロ波吸収発熱材含有層4は、電子レンジ内でマイクロ波を照射されると発熱する部位であり、マイクロ波吸収発熱材を含有している。マイクロ波吸収発熱材含有層4は、粘土および水にマイクロ波吸収発熱材として炭化珪素およびフェライトを含有させた泥漿を低膨張陶磁製基体2の表面に塗布して形成されている。
マイクロ波吸収発熱材含有層4の形成部位としては、図1、図2または図4に示すように、低膨張陶磁製基体2と釉薬層3との間であって、低膨張陶磁製基体2の底部上面5および底部下面6にそれぞれ設けられている。より具体的には、この実施例では、低膨張陶磁製基体2の底部上面5にはマイクロ波吸収発熱材含有層4aが設けられ、低膨張陶磁製基体2の底部下面6にはマイクロ波吸収発熱材含有層4bがそれぞれ平面視円形に形成されている。特に低膨張陶磁製基体2の底部上面5が被調理物を載置する部位に近接した部位であるため、マイクロ波吸収発熱材含有層4aを形成することが最も効果的であるが、低膨張陶磁製基体2の底部下面6にもマイクロ波吸収発熱材含有層4bを形成したものも本発明の範疇に包含される。
このように、本発明の電子レンジ用発熱皿1は、低膨張陶磁製基体2と釉薬層3との間で、かつ底部上面5にマイクロ波吸収発熱材含有層4が配されているため、少量のマイクロ波吸収発熱材で効果的に発熱させることができ低廉かつ容易に作製できると共に、陶磁製基体2全体が高温に発熱することなく発熱後の取り扱いも容易で、かつ所望の釉薬層3をマイクロ波吸収発熱材含有層4の表面に被覆するように形成することで自由に彩色できる。
なお、マイクロ波吸収発熱材含有層4の形成方法としては、轆轤に低膨張陶磁製基体2を載置して回転させながら前記泥漿を刷毛塗りする方法、スプレー噴霧による方法またはパット印刷により塗布する方法などが好適に使用できるが、この実施例では、刷毛塗りにてマイクロ波吸収発熱材含有層4が塗布されている。
また、低膨張陶磁製基体2の底部上面5には、図1または図4に示すように、同心円状に複数の環状凹部9が設けられていることが好ましい。これにより、被調理物の油脂分を環状凹部9内に落とすことができると共に、縞状の焦げ目を被調理物に付すことができる。
つぎに、図5ないし図7に示した本発明の他の実施例の電子レンジ用発熱皿10について説明する。
この実施例の電子レンジ用発熱皿10と前述した電子レンジ用発熱皿1との相違は、電子レンジ用発熱皿10が蓋体7を有し、蓋体7の内面8にもマイクロ波吸収発熱材含有層4cが設けられている点のみである。電子レンジ用発熱皿1と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
この実施例の電子レンジ用発熱皿10と前述した電子レンジ用発熱皿1との相違は、電子レンジ用発熱皿10が蓋体7を有し、蓋体7の内面8にもマイクロ波吸収発熱材含有層4cが設けられている点のみである。電子レンジ用発熱皿1と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
このように、電子レンジ用発熱皿10が蓋体7を有し、蓋体7の内面8にもマイクロ波吸収発熱材含有層4cが設けられることにより、少量のマイクロ波吸収発熱材にて両面焼きの電子レンジ用発熱皿を構成できる。
さらに、図8に示した本発明の他の実施例の電子レンジ用発熱皿20について説明する。
この実施例の電子レンジ用発熱皿20と前述した電子レンジ用発熱皿10との相違は、電子レンジ用発熱皿20が蓋体7の外面にマイクロ波吸収発熱材含有層4dを有している点のみである。電子レンジ用発熱皿10と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。このように、蓋体の外面にもマイクロ波吸収発熱材含有層を設けたものも本発明の範疇に包含される。
この実施例の電子レンジ用発熱皿20と前述した電子レンジ用発熱皿10との相違は、電子レンジ用発熱皿20が蓋体7の外面にマイクロ波吸収発熱材含有層4dを有している点のみである。電子レンジ用発熱皿10と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。このように、蓋体の外面にもマイクロ波吸収発熱材含有層を設けたものも本発明の範疇に包含される。
つぎに、本発明の電子レンジ用発熱皿10の製造方法について説明する。
電子レンジ用発熱皿10は、低膨張陶磁原料を皿状に成形し素焼きして低膨張陶磁製基体2を形成する工程と、低膨張陶磁製基体2の底部上面5および下面6にマイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布する工程と、マイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布した低膨張陶磁製基体2に施釉する工程と、施釉した低膨張陶磁製基体2を本焼成して低膨張陶磁製基体2にマイクロ波吸収発熱材含有層4および釉薬層3を形成する工程とを経て製造方法される。また、電子レンジ用発熱皿10の蓋体7は、低膨張陶磁原料を成形し素焼きして蓋体7を形成する工程と、蓋体7の内面8にマイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布する工程と、マイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布した蓋体7に施釉する工程と、施釉した蓋体7を本焼成して蓋体7にマイクロ波吸収発熱材含有層4および釉薬層3を形成する工程を経て製造される。以下、各工程について順次詳述する。
電子レンジ用発熱皿10は、低膨張陶磁原料を皿状に成形し素焼きして低膨張陶磁製基体2を形成する工程と、低膨張陶磁製基体2の底部上面5および下面6にマイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布する工程と、マイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布した低膨張陶磁製基体2に施釉する工程と、施釉した低膨張陶磁製基体2を本焼成して低膨張陶磁製基体2にマイクロ波吸収発熱材含有層4および釉薬層3を形成する工程とを経て製造方法される。また、電子レンジ用発熱皿10の蓋体7は、低膨張陶磁原料を成形し素焼きして蓋体7を形成する工程と、蓋体7の内面8にマイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布する工程と、マイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布した蓋体7に施釉する工程と、施釉した蓋体7を本焼成して蓋体7にマイクロ波吸収発熱材含有層4および釉薬層3を形成する工程を経て製造される。以下、各工程について順次詳述する。
低膨張陶磁原料を皿状に成形し素焼きして低膨張陶磁製基体2を形成する工程では、低膨張陶磁原料を図3に示すような凹状皿に成形し乾燥させた後、約800℃で素焼きして低膨張陶磁製基体2の仮焼成体を形成する。
低膨張陶磁製基体2を構成する陶磁原料としては、ペタライト、コーディエライトおよび粘土などを主原料とする耐熱・耐熱衝撃性に優れた低膨張陶磁原料が使用されている。この実施例では、ペタライト45重量%、長石および粘土が55重量%の陶磁原料にて低膨張陶磁製基体2が形成されている。
低膨張陶磁製基体2の底部上面5および下面6にマイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布する工程では、粘土および水にマイクロ波吸収発熱材として炭化珪素およびフェライトを含有させた泥漿を作製し、低膨張陶磁製基体2の表面に塗布してマイクロ波吸収発熱材含有層4a,4bを形成する。
炭化珪素およびフェライトを含有させた泥漿は、炭化珪素0.01〜0.5重量%、フェライト35〜75重量%および粘土25〜65重量%からなる組成物1Kgに対して1lの水を混合して調製される。
なお、炭化珪素はマイクロ波吸収発熱材含有層4を少量で効果的に発熱させるために必要であり、0.01重量%未満であるとその発熱促進効果がなく、0.5重量%を越えると焼成時に発泡してしまうため、0.5重量%以内で添加することが好ましい。
他方、フェライトは35重量%未満であると十分な発熱効果が得られず、75重量%を越えると泥漿中で沈殿してしまうため好ましくない。粘土は25重量%未満であると少量すぎてフェライトが泥漿中で沈殿してしまうため好ましくなく、65重量%を越えると粘性がありすぎて塗布後の乾燥に時間を要すると共に発熱を阻害する。このように、マイクロ波吸収発熱材としては炭化珪素とフェライトを双方使用すると、効果的に発熱するマイクロ波吸収発熱材含有層4を形成できる。
マイクロ波吸収発熱材含有層4の形成方法としては、轆轤に低膨張陶磁製基体2を載置して回転させながら前記泥漿を刷毛塗りする方法、スプレー噴霧による方法またはパット印刷により塗布する方法などが好適に使用できるが、この実施例では、刷毛塗りにてマイクロ波吸収発熱材含有層4が塗布されている。
マイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布した低膨張陶磁製基体2に施釉する工程では、マイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を乾燥させた後、その表面を被覆するように釉薬を塗布する。
前記釉薬としては、長石、粘土、顔料等ケイ酸塩鉱物を含む公知の釉薬が使用される。なお、釉薬には、ペタライトが含有されていることが好ましく、これにより、低膨張陶磁製基体2との膨張係数を調整してクラックを防止できると共に、表面が円滑となって焦げつきのない電子レンジ用発熱皿を構成できる。
施釉した低膨張陶磁製基体2を本焼成して低膨張陶磁製基体2にマイクロ波吸収発熱材含有層4および釉薬層3を形成する工程では、釉薬層3を乾燥させた後、約1200℃まで昇温させて焼成する。
他方、電子レンジ用発熱皿10の蓋体7も、前記低膨張陶磁製基体2と同様に低膨張陶磁原料を所要の蓋体形状に成形し乾燥後素焼きして形成する。
蓋体7の内面8にマイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布する工程は、前述した低膨張陶磁製基体2の底部上面5および下面6にマイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布する工程と同様にして行う。
マイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布した蓋体7に施釉する工程は、前述したマイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布した低膨張陶磁製基体2に施釉する工程と同様にして行う。
施釉した蓋体7を本焼成して蓋体7にマイクロ波吸収発熱材含有層4および釉薬層3を形成する工程は、前述したマイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布した低膨張陶磁製基体2に施釉する工程と同様にして行う。
さらに、本発明の電子レンジ用発熱皿10の作用を、被調理物として魚を用いて焼魚を調理した使用例と共に説明する。
電子レンジ用発熱皿10の低膨張陶磁製基体2の底部上面5に被調理物(魚)を載置した後、蓋体7を低膨張陶磁製基体2の上部に取り付けた。
電子レンジ用発熱皿10を電子レンジ内に配して、500Wで5分間、マイクロ波を照射した。
電子レンジ用発熱皿10の低膨張陶磁製基体2の底部上面5に被調理物(魚)を載置した後、蓋体7を低膨張陶磁製基体2の上部に取り付けた。
電子レンジ用発熱皿10を電子レンジ内に配して、500Wで5分間、マイクロ波を照射した。
電子レンジから電子レンジ用発熱皿10を取り出して蓋体7を外し、魚の両面を目視したところ、両面にキツネ色の焦げ目がつくと共に内部も十分に加熱されていた。この両面の焦げ目はマイクロ波吸収発熱材含有層4a,4cからの遠赤外線によるもので、内部の加熱はマイクロ波照射とマイクロ波吸収発熱材含有層4a,4b,4cからの遠赤外線によるものと考えられる。
また、電子レンジから電子レンジ用発熱皿10を取り出す際には、低膨張陶磁製基体2の上端の両側に設けられたフランジを素手で把持して取り出すことができ、蓋体7を外す際にも、蓋体7の中央上部に設けられた把手を素手で把持して外すことができ、発熱後の取り扱いも容易で、そのまま食器として使用することもできた。
1 電子レンジ用発熱皿
2 低膨張陶磁製基体
3 釉薬層
4 マイクロ波吸収発熱材含有層
5 低膨張陶磁製基体の底部上面
6 低膨張陶磁製基体の底部下面
7 蓋体
8 蓋体の内面
9 環状凹部
2 低膨張陶磁製基体
3 釉薬層
4 マイクロ波吸収発熱材含有層
5 低膨張陶磁製基体の底部上面
6 低膨張陶磁製基体の底部下面
7 蓋体
8 蓋体の内面
9 環状凹部
Claims (9)
- 皿状に成形され焼成された低膨張陶磁製基体と、該低膨張陶磁製基体に施釉された釉薬層と、前記低膨張陶磁製基体と前記釉薬層との間に設けられ前記低膨張陶磁製基体に塗布されて形成されたマイクロ波吸収発熱材含有層とを有し、該マイクロ波吸収発熱材含有層は、前記低膨張陶磁製基体の底部上面に設けられていることを特徴とする電子レンジ用発熱皿。
- 前記マイクロ波吸収発熱材含有層は、前記低膨張陶磁製基体の底部下面にも設けられている請求項1に記載の電子レンジ用発熱皿。
- 前記電子レンジ用発熱皿は、蓋体を有し、該蓋体の内面にも前記マイクロ波吸収発熱材含有層が設けられている請求項1または2に記載の電子レンジ用発熱皿。
- 前記蓋体の外面にも前記マイクロ波吸収発熱材含有層が設けられている請求項3に記載の電子レンジ用発熱皿。
- 前記マイクロ波吸収発熱材含有層を形成する泥漿には、炭化珪素およびフェライトからなるマイクロ波吸収発熱材が含有されている請求項1ないし4のいずれかに記載の電子レンジ用発熱皿。
- 前記釉薬層を形成する釉薬にはペタライトが含有されている請求項1ないし5のいずれかに記載の電子レンジ用発熱皿。
- 低膨張陶磁原料を皿状に成形し素焼きして低膨張陶磁製基体を形成する工程と、前記低膨張陶磁製基体の底部上面または/および下面にマイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布する工程と、前記マイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布した前記低膨張陶磁製基体に施釉する工程と、施釉した前記低膨張陶磁製基体を本焼成して前記低膨張陶磁製基体にマイクロ波吸収発熱材含有層および釉薬層を形成する工程とを有していることを特徴とする電子レンジ用発熱皿の製造方法。
- 低膨張陶磁原料を成形し素焼きして蓋体を形成する工程と、前記蓋体の内面または/および外面にマイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布する工程と、前記マイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布した前記蓋体に施釉する工程と、施釉した蓋体を本焼成して前記蓋体にマイクロ波吸収発熱材含有層および釉薬層を形成する工程とを有している請求項7に記載の電子レンジ用発熱皿の製造方法。
- マイクロ波吸収発熱材を含有した泥漿を塗布する工程は、前記泥漿を刷毛塗り、スプレー塗布またはパット印刷により塗布するものである請求項7または8に記載の電子レンジ用発熱皿の製造方法。
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