JP3164085U - 電子レンジ併用食器 - Google Patents
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Description
請求項2の電子レンジ併用食器は、請求項1で、鉄分含有被膜層(6)が、前記鉄化合物の粉末に、これよりも少ない重量の接着剤材料を加えて泥漿にした原料を、前記食器本体の窪み表面(1b)側に塗布して膜状に形成されることを特徴とする。請求項3の電子レンジ併用食器は、請求項2で、食器本体(1)と前記鉄分含有被膜層(6)との間に介在させて、該食器本体の窪み表面(1b)側に釉薬で膜状に設けられる連結層(5)を、さらに具備し、焼成により、該連結層(5)を介して該食器本体(1)に、該鉄分含有被膜層(6)が、その被膜層厚みを0.1mm〜3mmの範囲にして一体化されてなることを特徴とする。
(1)実施形態1
図1〜図4は本考案の電子レンジ併用食器の一形態で、図1はその全体斜視図、図2は図1のII-II線矢視図、図3は図2の右側コーナ部の拡大図、図4は図3に代わる他態様の拡大図である。尚、図面を判り易くするため、図2〜図4は鉄分含有被膜層6とコーティング層7とを強調して、それらの厚みを大きく描く。また、図2は底壁部21と側壁部22がつながるコーナ部CRに屈曲点を設けて簡略図示するが、実際はなだらかな曲線になっている。
食器本体1は、食べ物Fを収容する窪みHWがある器に成形された上面開口の容器主部で、材料にペタライトを含有して成形された陶磁器製の器である。食器本体1が陶磁器素地を形成する。食器本体1は、リチウム鉱物のペタライトを用いたリチア系(Li2O−Al2O3−Si2系)耐熱陶器になっている。ペタライトとはリチウムを含む鉱物の一種で、和名は葉長石という。理論組成は、H2O・Al2O3・8SiO2である。本実施形態は、材料にペタライトを含有して、図1,図2のような陶器製食器本体1の形状に成形される。例えば粘土約45%にペタライト約40%、さらにカオリンまたは蝋石約15%程度の原料配合割合で、所望の食器本体1の形状に成形される。ペタライトを含有するこれらの配合割合で湿式混合し、練り土状にした材料を、石膏型などを用いて食器本体1に成形する。優れた耐熱衝撃性を有するペタライト含有の食器本体1は、電子レンジに使用しても割れなくなり、電子レンジ併用食器Aとなるだけでなく、直火使用が可能な容器ができる。
ここでの食器本体1は、図1のごとく、皿状主要部2と高台3と把手4を備える。食器本体1が、底壁部21の周縁から側壁部22が上方に延在して窪みHWを設けた皿状の主要部2と、該主要部に係る底壁部21の外側裏面に設けられる高台3と、該主要部の上縁から水平外方へ延設される鍔状把手4と、を具備する。該把手には通孔42が形成され、さらに前記高台3には図示のごとくの切り込み部32が形成されている。電子レンジMRによる加熱調理で、把手4や高台3も、被加熱物たる食べ物Fからの熱伝導や把手4,高台3に微量に含有する磁性体によって多少温度上昇する場合がある。通孔42や切り込み部32の空所Sが、電子レンジによる加熱調理時での放熱を促進し、手で掴む所やテーブルに接する把手4,高台3の温度を速やかに下げる役目を担う。
ペースト状の該鉄分含有被膜層6用原料を、窪みHWのある前記陶磁器製食器本体1の窪み表面1b側に、0.1mm〜3mmの厚み範囲で膜状にスプレー塗布(又は刷毛塗り)等で塗布し乾燥させて、鉄分含有被膜層6が形成される。鉄分含有被膜層6を0.1mm〜3mmの厚み範囲で形成すると、電子レンジによる効率的な加熱調理が可能になる。ここで、本考案でいう「鉄分含有被膜層6を0.1mm〜3mmの厚み」に係る厚みは、焼成にかける前の鉄分含有被膜層6の厚みを指し、食器本体の窪み表面1b側に鉄分含有被膜層6が膜状に形成される膜厚をいう。
尚、コーティング層7による上述の作用効果は得られないが、コーティング層7を省くことができる。図4のごとく、鉄分含有被膜層6が塗布された陶磁器製食器本体1を乾燥させ、焼成により該食器本体1に鉄分含有被膜層6を一体化させて、電子レンジのマイクロ波で鉄分含有被膜層6が発熱する電子レンジ併用食器Aになる。
本実施形態は、図5〜図9ごとくの電子レンジ併用食器Aで、図5は図2に対応する電子レンジ併用食器の縦断面図、図6は図5の右側コーナ部の拡大図、図7は図6に代わる他態様の拡大図、図8は対比試験に用いた別態様の電子レンジ併用食器の概略縦断面図、図9は対比試験に用いた従来形食器の概略縦断面図である。尚、図面を判り易くするため、連結層5,鉄分含有被膜層6,コーティング層7を強調して、それらの厚みを大きく描く。
食器本体1は、材料にペタライトを含有して、食べ物Fを収容する窪みHWがある器に成形された上面開口の容器主部になっている。その形状,構成は実施形態1と同じであり、その説明を省く。鉄分含有被膜層6とコーティング層7についても、その形状,構成は実施形態1と同じであり、その説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
続いて、食器本体1の窪み表面1b側で、連結層5に上重ねするように鉄分含有被膜層6を膜状に形成し、これを乾燥させる。その後、鉄分含有被膜層6の表面に、釉薬(好ましくはペタライト含有の耐熱釉薬)でコーティング層7を膜状に設ける。しかる後、焼成により、連結層5を介して食器本体1に鉄分含有被膜層6を一体化させ、且つ鉄分含有被膜層6にコーティング層7を被覆一体化させる。図5,図6ごとくの所望の電子レンジ併用食器Aが完成する。
次に、量産向け皿形状の食器本体1を用いて、鉄分含有被膜層6を形成した本考案品と、鉄分含有被膜層6の存在しない従来品9との対比試験を行った。
図8が本考案品で、図9が従来品9である。二枚の同じ皿形状からなるペタライト含有食器本体1の窪み表面1b側に釉薬の連結層5を形成した。そして、一つを連結層5がそのままコーティング層7を担う従来品9用とし、焼成により、食器本体1に該連結層5を一体化した。
別の一つは、連結層5の上に鉄分含有被膜層6を形成した。鉄分含有被膜層6は、鉄化合物の粉末(ここでは、砂鉄と酸化第一鉄粉末と酸化第二鉄粉末とを使用)に、これよりも少ない重量の接着剤材料を加えて泥漿にした原料を、連結層5上に塗布して膜状に形成した。接着剤材料はCMC糊の糊剤とペタライトとを含有し、鉄分含有被膜層6の膜厚(厚み)は2mm程とした。そうして、焼成により、連結層5を介して食器本体1に鉄分含有被膜層6を一体化し、本考案品を完成させた。
本考案品と従来品とを、同じ500W用電子レンジで4分間加熱し、食器本体1の窪み表面1bの温度を測定した。測定結果は、従来品が102℃であるのに対し、本考案品は289℃であった。本考案品の窪みHW以外の箇所にあたる底壁部21の外面温度は102℃であった。そして、両者とも電子レンジによる割れの発生はなかった。
こうように構成した電子レンジ併用食器Aは、原料に鉄化合物を含有して、鉄分含有被膜層6が食器本体1の窪み表面1b側に膜状に形成されるので、マイクロ波により鉄などの磁性体が発熱しやすいことから、電子レンジにかけると、鉄分含有被膜層6が発熱する。通常食器として使用できる他、電子レンジでの調理加熱用に使用できる。鉄分含有被膜層6は、食べ物Fが収容される食器本体1の窪み表面1b側に設けられているので、食べ物接触面A1が高温になり、効率的な加熱調理が可能になる。鉄分含有被膜層6に用いられる原料の主成分がフェライトであると、他の磁性材料に比べて、低コストで電子レンジ併用食器Aを造ることができる。また、原料に砂鉄が用いられると、低コストにして、鉄分含有被膜層6の被膜層が安定して得られるようになる。
食器本体1の窪み表面1b以外の外側表面1aには鉄分含有被膜層6が存在しないことから、内面側に比べると温度が上昇せず、熱くならない。電子レンジからの食器の取出しが楽になり、火傷しないようになる。電子レンジによる加熱調理が円滑に進むだけでなく、安全性にも優れる。不必要な電子レンジ併用食器Aの外側部分まで加熱するエネルギロスもない。
また、本電子レンジ併用食器Aは、焼成により食器本体1に一体化される鉄分含有被膜層6が電子レンジのマイクロ波で発熱するので、別体構成の鉄板等を食器本体1内に載置するのと違って、使い勝手が良くなる。陶磁器製食器本体1が材料にペタライトを含有して成形されるので、高温に強い耐熱食器になり、電子レンジの加熱調理だけでなく直火使用にも対応できる。
さらに、上記原料の主成分がフェライトであり、上記接着剤材料がCMC糊の糊剤とペタライトとを含有すると、鉄分含有被膜層6中の鉄化合物比率が高くなっても、CMC糊で焼成による食器本体1への鉄分含有被膜層6の一体化を強固なものにする。鉄分含有被膜層6の厚みを3mm近くに厚くしても、鉄分含有被膜層6を食器本体1に固着一体化できる。また、接着剤材料にペタライトを含有することによって、鉄分含有被膜層6も耐熱仕様になり、高温使用される鉄分含有被膜層6の耐久性が高まる。
そして、接着剤材料や連結層5の存在で、鉄分含有被膜層6が3mmまで厚みを増しても食器本体1に円滑且つ確実に固定一体化できる。歩留りも向上にも役立つ。食器本体1に、該鉄分含有被膜層6が、その被膜層厚みを0.1mm〜3mmの範囲にして一体化できるようになり、厚みを変えることによって電子レンジによる加熱調理の上昇温度が多種多様の製品を提供できる。ある程度厚みのある鉄分含有被膜層6の電子レンジ併用食器Aとすれば、鉄分含有率が高く且つ厚みのある分、食器本体1の窪み表面1b側だけをより迅速に高温にでき、加熱調理の時間短縮につながり、料理に打ってつけの優れ物になる。
1b 窪み表面
5 連結層
6 鉄分含有被膜層
7 コーティング層
A 電子レンジ併用食器
F 食べ物
HW 窪み
MR 電子レンジ
Claims (8)
- 材料にペタライトを含有して、食べ物(F)を収容する窪み(HW)がある器に成形された上面開口の陶磁器製食器本体(1)と、原料に鉄化合物を含有して、該食器本体の窪み表面(1b)側に膜状に形成される鉄分含有被膜層(6)と、を具備し、且つ焼成により該食器本体(1)に該鉄分含有被膜層(6)が一体化されて、電子レンジ(MR)のマイクロ波で該鉄分含有被膜層(6)が発熱するようにしたことを特徴とする電子レンジ併用食器。
- 前記鉄分含有被膜層(6)が、前記鉄化合物の粉末に、これよりも少ない重量の接着剤材料を加えて泥漿にした原料を、前記食器本体の窪み表面(1b)側に塗布して膜状に形成される請求項1記載の電子レンジ併用食器。
- 前記食器本体(1)と前記鉄分含有被膜層(6)との間に介在させて、該食器本体の窪み表面(1b)側に釉薬で膜状に設けられる連結層(5)を、さらに具備し、焼成により、該連結層(5)を介して該食器本体(1)に、該鉄分含有被膜層(6)が、その被膜層厚みを0.1mm〜3mmの範囲にして一体化されてなる請求項2記載の電子レンジ併用食器。
- 前記原料の主成分がフェライトであり、前記接着剤材料がCMC糊の糊剤とペタライトとを含有する請求項2又は3に記載の電子レンジ併用食器。
- 前記原料に係る鉄化合物の粉末に砂鉄が用いられてなる請求項2乃至4のいずれか1項に記載の電子レンジ併用食器。
- 前記砂鉄が30〜80重量部で、これに酸化第一鉄粉末と酸化第二鉄粉末と前記接着剤材料とを加えて100重量部とし、さらに水を添加して泥漿にした前記原料を、前記食器本体の窪み表面(1b)側に塗布して、鉄分含有被膜層(6)が膜状に形成される請求項5記載の電子レンジ併用食器。
- 前記鉄分含有被膜層(6)の表面に、釉薬で膜状に設けられるコーティング層(7)をさらに具備し、焼成により、該鉄分含有被膜層(6)に該コーティング層(7)が被覆一体化してなる請求項2乃至6のいずれか1項に記載の電子レンジ併用食器。
- 前記連結層(5)用釉薬及び前記コーティング層(7)用釉薬がペタライト含有の耐熱釉薬である請求項7記載の電子レンジ併用食器。
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JP2012228350A (ja) * | 2011-04-26 | 2012-11-22 | Gls:Kk | 硝酸態窒素を除去する調理器類 |
JP2016521156A (ja) * | 2013-04-05 | 2016-07-21 | ホ パク,イン | 電子レンジ用発熱陶磁器の製造方法及びマイクロ波用発熱陶磁器 |
KR20170121416A (ko) * | 2016-04-25 | 2017-11-02 | (주)펠리테크 | 마이크로파를 이용한 세라믹 발열 조리기 |
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2010
- 2010-09-01 JP JP2010005882U patent/JP3164085U/ja not_active Expired - Lifetime
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