JP3164085U - 電子レンジ併用食器 - Google Patents

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昭司 舘
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千陶 千賀陶器株式会社
千陶 千賀陶器株式会社
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Abstract

【課題】電子レンジに使える食器で、食べ物が収容される食器本体の内面側を専ら発熱させるようにして、電子レンジによる効果的な食べ物の加熱調理を可能にし、また、食器本体の外側表面をできるだけ温度が上がらないよう保ち、使い勝手を良好にする電子レンジ併用食器を提供する。【解決手段】材料にペタライトを含有して、食べ物Fを収容する窪みHWがある器に成形された上面開口の陶磁器製食器本体1と、原料に鉄化合物を含有して、該食器本体の窪み表面1b側に膜状に形成される鉄分含有被膜層6と、を具備し、且つ焼成により該食器本体1に該鉄分含有被膜層6が一体化されて、電子レンジMRのマイクロ波で該鉄分含有被膜層6が発熱するようにした。【選択図】図2

Description

本考案は、電子レンジで加熱調理が可能な電子レンジ併用食器に関する。
電子レンジの普及に伴って電子レンジで加熱調理できる食器が登場している。ただ、陶磁器はそのまま電子レンジにかければ割れ易い問題があった。また電子レンジをかけて陶磁器自体が発熱し、加熱することもなかった。こうしたなか、陶磁器からなる食器で、電子レンジにかけることができ、且つ食器に発熱作用のある発明が提案されている(例えば特許文献1)。
特開平5−293028号公報
しかし、特許文献1は、段落0007の作用欄のごとく、「フェライトを主成分とした食器が電子レンジから放射される極超短波を吸収し、この吸収作用によりフェライト、食器が加熱」するが、請求項1のごとく「フェライトを主成分として成形したことを特徴とする電子レンジ用の食器」であるため、食器全体が熱くなって、電子レンジからの食器の取出しが難かった。食器に入れた食べ物を加熱調理するのが目的であるのにもかかわらず、食器全体が熱くなり、やけどの虞があり、使い勝手が悪い問題があった。さらに、食べ物の加熱に必要な窪み表面側を加熱すれば足りるところを、不必要な食器の外側部分まで加熱するエネルギロスの問題もあった。
本考案は上記問題点を解決するもので、電子レンジに使える食器で、食べ物が収容される食器本体の内面側を専ら発熱させるようにして、電子レンジによる効果的な食べ物の加熱調理を可能にし、また、食器本体の外側表面をできるだけ温度が上がらないよう保ち、使い勝手を良好にする電子レンジ併用食器を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の考案の要旨は、材料にペタライトを含有して、食べ物(F)を収容する窪み(HW)がある器に成形された上面開口の陶磁器製食器本体(1)と、原料に鉄化合物を含有して、該食器本体の窪み表面(1b)側に膜状に形成される鉄分含有被膜層(6)と、を具備し、且つ焼成により該食器本体(1)に該鉄分含有被膜層(6)が一体化されて、電子レンジ(MR)のマイクロ波で該鉄分含有被膜層(6)が発熱するようにしたことを特徴とする電子レンジ併用食器にある。
請求項2の電子レンジ併用食器は、請求項1で、鉄分含有被膜層(6)が、前記鉄化合物の粉末に、これよりも少ない重量の接着剤材料を加えて泥漿にした原料を、前記食器本体の窪み表面(1b)側に塗布して膜状に形成されることを特徴とする。請求項3の電子レンジ併用食器は、請求項2で、食器本体(1)と前記鉄分含有被膜層(6)との間に介在させて、該食器本体の窪み表面(1b)側に釉薬で膜状に設けられる連結層(5)を、さらに具備し、焼成により、該連結層(5)を介して該食器本体(1)に、該鉄分含有被膜層(6)が、その被膜層厚みを0.1mm〜3mmの範囲にして一体化されてなることを特徴とする。
請求項4の電子レンジ併用食器は、請求項2又は3で、原料の主成分がフェライトであり、前記接着剤材料がCMC糊の糊剤とペタライトとを含有することを特徴とする。請求項5の電子レンジ併用食器は、請求項2〜4で、原料に係る鉄化合物の粉末に砂鉄が用いられてなることを特徴とする。請求項6の電子レンジ併用食器は、請求項5で、砂鉄が30〜80重量部で、これに酸化第一鉄粉末と酸化第二鉄粉末と前記接着剤材料とを加えて100重量部とし、さらに水を添加して泥漿にした前記原料を、前記食器本体の窪み表面(1b)側に塗布して、鉄分含有被膜層(6)が膜状に形成されることを特徴とする。請求項7の電子レンジ併用食器は、請求項2〜6で、鉄分含有被膜層(6)の表面に、釉薬で膜状に設けられるコーティング層(7)をさらに具備し、焼成により、該鉄分含有被膜層(6)に該コーティング層(7)が被覆一体化してなることを特徴とする。請求項8の電子レンジ併用食器は、請求項7で、連結層(5)用釉薬及びコーティング層(7)用釉薬がペタライト含有の耐熱釉薬であることを特徴とする。
本考案の電子レンジ併用食器は、電子レンジにかけると、食べ物が収容される食器本体の窪み表面側に設けられた鉄分含有被膜層が発熱して効率的な加熱調理を可能にし、一方、食器本体に係る窪み表面以外の外側表面には鉄分含有被膜層等が存在しないことから、内面側に比べると温度がさほど上がらず、電子レンジからの食器の取出しが楽になり、火傷の危険も少なくなるなど優れた効果を発揮する。
実施形態1における電子レンジ併用食器の全体斜視図である。 図1のII-II線矢視図である。 図2の右側コーナ部の拡大図である。 図3に代わる他態様の拡大図である。 実施形態2で、電子レンジ併用食器の縦断面図である。 図5の右側コーナ部の拡大図である。 図6に代わる他態様の拡大図である。 対比試験に用いた別態様の電子レンジ併用食器の概略縦断面図である。 対比試験に用いた従来の食器の概略縦断面図である。
以下、本考案に係る電子レンジ併用食器について詳述する。
(1)実施形態1
図1〜図4は本考案の電子レンジ併用食器の一形態で、図1はその全体斜視図、図2は図1のII-II線矢視図、図3は図2の右側コーナ部の拡大図、図4は図3に代わる他態様の拡大図である。尚、図面を判り易くするため、図2〜図4は鉄分含有被膜層6とコーティング層7とを強調して、それらの厚みを大きく描く。また、図2は底壁部21と側壁部22がつながるコーナ部CRに屈曲点を設けて簡略図示するが、実際はなだらかな曲線になっている。
電子レンジ併用食器Aは、食器本体1と鉄分含有被膜層6とコーティング層7とを具備する。
食器本体1は、食べ物Fを収容する窪みHWがある器に成形された上面開口の容器主部で、材料にペタライトを含有して成形された陶磁器製の器である。食器本体1が陶磁器素地を形成する。食器本体1は、リチウム鉱物のペタライトを用いたリチア系(LiO−Al−Si系)耐熱陶器になっている。ペタライトとはリチウムを含む鉱物の一種で、和名は葉長石という。理論組成は、HO・Al・8SiOである。本実施形態は、材料にペタライトを含有して、図1,図2のような陶器製食器本体1の形状に成形される。例えば粘土約45%にペタライト約40%、さらにカオリンまたは蝋石約15%程度の原料配合割合で、所望の食器本体1の形状に成形される。ペタライトを含有するこれらの配合割合で湿式混合し、練り土状にした材料を、石膏型などを用いて食器本体1に成形する。優れた耐熱衝撃性を有するペタライト含有の食器本体1は、電子レンジに使用しても割れなくなり、電子レンジ併用食器Aとなるだけでなく、直火使用が可能な容器ができる。
ここでの食器本体1は、図1のごとく、皿状主要部2と高台3と把手4を備える。食器本体1が、底壁部21の周縁から側壁部22が上方に延在して窪みHWを設けた皿状の主要部2と、該主要部に係る底壁部21の外側裏面に設けられる高台3と、該主要部の上縁から水平外方へ延設される鍔状把手4と、を具備する。該把手には通孔42が形成され、さらに前記高台3には図示のごとくの切り込み部32が形成されている。電子レンジMRによる加熱調理で、把手4や高台3も、被加熱物たる食べ物Fからの熱伝導や把手4,高台3に微量に含有する磁性体によって多少温度上昇する場合がある。通孔42や切り込み部32の空所Sが、電子レンジによる加熱調理時での放熱を促進し、手で掴む所やテーブルに接する把手4,高台3の温度を速やかに下げる役目を担う。
鉄分含有被膜層6は、原料に鉄化合物(鉄元素)を含有する薄い層で、食器本体1の窪み表面1b側に膜状に設けられる。前記原料主成分にフェライトを含有する。フェライトとは、鉄酸化物の総称で、一般に金属イオンをMとして、「MO・Feの組成で表すことができる。磁性に特徴を有し、化合する金属によって磁性特性が変化する。食べ物Fを収容する窪みHWがある器の内面に、すなわち窪み表面1b側に鉄分含有被膜層6が設けられる。材料に鉄元素を含むことで、電子レンジのマイクロ波で鉄分含有被膜層6が発熱するようになっている。電子レンジにかけた時に、鉄分含有被膜層6に発熱作用が働く。
電子レンジでは、マイクロ波の照射により、食べ物Fの内部の分子にエネルギを与えて加熱する。マイクロ波を照射すると、極性のある水分子を繋ぐ振動子がマイクロ波を吸収して振動,回転し、温度が上がる。電磁波が透過する陶磁器は直接的に加熱されることはない。ここで、本考案者は、金属について鋭意研究し、食器本体1に係る窪み表面1b側への被膜層で、材料主成分に鉄元素、フェライトを含有する鉄分含有被膜層6が堅牢に形成され、且つ電子レンジにかけた時に有効に発熱することを見い出し、本考案に辿り着いた。原料の主成分がフェライトであり、さらに、鉄分含有被膜層6の原料に砂鉄を用いることが有効であることを突き止めた。砂鉄は岩石中の磁鉄鉱やチタン鉄鉱などが岩石の崩壊によって流され、河床,湖底,海底などに堆積したものとされる。砂鉄とは、鉄や酸化鉄が砂状,粉末状になったものをいうが、本考案の砂鉄は粉末状(例えば200メッシュ)のものをいう。磁鉄鉱を含むため磁石に吸い付く。鉄元素のなかでも砂鉄が特に有効である理由は定かでないが、本考案者は種々の実験によってこれを確認している。砂鉄が30〜80重量部で、その他が酸化第一鉄粉末と酸化第二鉄粉末と接着剤である材料を用いて、鉄分含有被膜層6が膜状に設けられると、特に有効であることを確かめた。
また、鉄分含有被膜層6が、前記鉄化合物の粉末(砂鉄,フェライト粉末)に、これよりも少ない重量の接着剤材料を加えて泥漿にした原料が好ましくなることを、実験確認した。焼成により食器本体1への鉄分含有被膜層6の結合が、接着剤材料の働きで一体強化が図られると考えられる。鉄分含有被膜層6に、砂鉄が30〜80重量部で、これに酸化第一鉄粉末と酸化第二鉄粉末と前記接着剤材料とを加えて100重量部とし、さらに水を添加して泥漿にした原料が用いられると、接着剤材料,水の存在で、鉄分含有被膜層6の作製も容易になり一層好ましくなる。焼成により用機本体1への鉄分含有被膜層6が一体強化され、被膜層の鉄分含有率が高くても品質的に安定した鉄分含有被膜層6が得られる。
前記接着剤材料は、既述のごとく、食器本体1への鉄分含有被膜層6の形成のために、さらに鉄分含有被膜層6中の鉄化合物と陶磁器製食器本体1とを焼成により一体化させるために使われる材料である。接着剤材料の接着剤には、シリカ系接着剤や珪酸ナトリウムなどの無機系接着剤や、天然系接着剤と合成接着剤とに分けられる有機系接着剤がある。天然系接着剤には膠やデンプン系接着剤等があり、合成系接着剤にはアクリル樹脂系接着剤やエポキシ樹脂系接着剤等がある。鉄化合物の粉末に接着剤材料を加えた本考案の原料用接着剤材料には、CMC(カルボキシメチルセルロース)糊の糊剤とペタライトとを含有するのが好ましい。接着剤材料にCMC糊が含まれることによって、鉄分含有被膜層6中の鉄化合物比率が高くなっても、焼成による食器本体1への該鉄分含有被膜層6の一体化を容易にする。鉄分含有被膜層6の厚みを3mm近くに厚くしても、鉄分含有被膜層6を食器本体1に確実に固定一体化できるようになる。CMC糊が鉄化合物と陶磁器製食器本体1との焼成一体化に優れ、さらに、ペタライトを含有することによって、鉄分含有被膜層6の耐熱性を向上させ、高温使用される鉄分含有被膜層6が安定保持されるようになる。
本実施形態の鉄分含有被膜層6は、食器本体1の窪み表面1b側に、具体的には底壁部21の内面21b及び側壁部22の内面22bに、例えば次のようにして形成される。砂鉄30〜80重量部、酸化第一鉄粉末0.1〜10重量部、酸化第二鉄粉末0.1〜10重量部の各粉体に接着剤材料を加えて、全体が100重量部になるようにして、これに水を加えてペースト状(泥漿)の鉄分含有被膜層6用原料とする。
ペースト状の該鉄分含有被膜層6用原料を、窪みHWのある前記陶磁器製食器本体1の窪み表面1b側に、0.1mm〜3mmの厚み範囲で膜状にスプレー塗布(又は刷毛塗り)等で塗布し乾燥させて、鉄分含有被膜層6が形成される。鉄分含有被膜層6を0.1mm〜3mmの厚み範囲で形成すると、電子レンジによる効率的な加熱調理が可能になる。ここで、本考案でいう「鉄分含有被膜層6を0.1mm〜3mmの厚み」に係る厚みは、焼成にかける前の鉄分含有被膜層6の厚みを指し、食器本体の窪み表面1b側に鉄分含有被膜層6が膜状に形成される膜厚をいう。
本実施形態はコーティング層7をさらに具備する。鉄分含有被膜層6に加え、この表面に、釉薬で膜状に設けられるコーティング層7をさらに備えて、焼成により、該鉄分含有被膜層6に該コーティング層7が被覆一体化するよう構成する。コーティング層7の被覆によって、鉄分含有被膜層6が保護され好適となる。鉄分含有被膜層6の表面に凹凸ができても、コーティング層7が覆って滑らかな平滑面を形成する。
釉薬は陶磁器素地の表面を覆うガラス質の材料をいい、成形された食器本体1等の焼き物にかけ、一般的には1000℃以上の温度で焼成することで、表面にガラス状のコーティングをするために液体である。コーティング層7に通常の釉薬を用いることができるが、ここではペタライト含有の耐熱釉薬で透明のものを用いている。ペタライト,粘土,石英,長石等が添加されたガラス質の溶液とする。勿論、公知のペタライト含有の耐熱釉薬を使用することもできる。前記陶磁器製食器本体1に前記鉄分含有被膜層6を塗布して乾燥させたその鉄分含有被膜層6の表面に、釉薬で膜状に設けられるコーティング層7がさらにスプレー等により施され、その後、焼成により、鉄分含有被膜層6にコーティング層7が被覆一体化する電子レンジ併用食器Aができる。焼成によって、釉薬のコーティング層7が鉄分含有被膜層6の表面に薄い膜をなし、食器本体1の吸水を防ぎ光沢を帯びる。
尚、コーティング層7による上述の作用効果は得られないが、コーティング層7を省くことができる。図4のごとく、鉄分含有被膜層6が塗布された陶磁器製食器本体1を乾燥させ、焼成により該食器本体1に鉄分含有被膜層6を一体化させて、電子レンジのマイクロ波で鉄分含有被膜層6が発熱する電子レンジ併用食器Aになる。
(2)実施形態2
本実施形態は、図5〜図9ごとくの電子レンジ併用食器Aで、図5は図2に対応する電子レンジ併用食器の縦断面図、図6は図5の右側コーナ部の拡大図、図7は図6に代わる他態様の拡大図、図8は対比試験に用いた別態様の電子レンジ併用食器の概略縦断面図、図9は対比試験に用いた従来形食器の概略縦断面図である。尚、図面を判り易くするため、連結層5,鉄分含有被膜層6,コーティング層7を強調して、それらの厚みを大きく描く。
電子レンジ併用食器Aは、食器本体1と連結層5と鉄分含有被膜層6とコーティング層7とを具備する。
食器本体1は、材料にペタライトを含有して、食べ物Fを収容する窪みHWがある器に成形された上面開口の容器主部になっている。その形状,構成は実施形態1と同じであり、その説明を省く。鉄分含有被膜層6とコーティング層7についても、その形状,構成は実施形態1と同じであり、その説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
連結層5は、食器本体1と鉄分含有被膜層6との間に介在させて、食器本体1の窪み表面1b側に釉薬で膜状に設けられる層である。連結用釉薬によって、食器本体1と鉄分含有被膜層6との接合強化が図られる。連結層5の釉薬はコーティング層7を形成する釉薬と同じものを用いることができる。本実施形態も実施形態1で述べたコーティング層7用釉薬を使用し、その詳細説明を省く。
本電子レンジ併用食器Aは、例えば次のようにして造られる。まず、材料にペタライトを含有して、食べ物Fを収容する窪みHWがある上面開口の陶磁器製食器本体1を成形する。次いで、食器本体1の窪み表面1b側に釉薬(好ましくはペタライト含有の耐熱釉薬)で膜状に連結層5を設けて、これを乾燥させる。食器本体1の窪み表面1bにスプレー塗布等で、所定厚みの連結層5が形成される。尚、図5は、食器本体1の窪み表面1b側だけでなく窪み表面1b以外の外側表面1aにも連結層5を形成するが、連結層5は食器本体1と鉄分含有被膜層6との接合強化させるために用いており、食器本体1と鉄分含有被膜層6との間に連結層5を介在させれば足りる。
続いて、食器本体1の窪み表面1b側で、連結層5に上重ねするように鉄分含有被膜層6を膜状に形成し、これを乾燥させる。その後、鉄分含有被膜層6の表面に、釉薬(好ましくはペタライト含有の耐熱釉薬)でコーティング層7を膜状に設ける。しかる後、焼成により、連結層5を介して食器本体1に鉄分含有被膜層6を一体化させ、且つ鉄分含有被膜層6にコーティング層7を被覆一体化させる。図5,図6ごとくの所望の電子レンジ併用食器Aが完成する。
斯かる電子レンジ併用食器Aは、食器本体1の窪み表面1bに連結層5が膜状に形成され、該連結層5上に鉄分含有被膜層6が膜状に形成され、さらに該鉄分含有被膜層6上にコーティング層7が形成されて、焼成により、食器本体1に連結層5を介して鉄分含有被膜層6が一体化し、且つ鉄分含有被膜層6にコーティング層7が被覆一体化する構成となっている。斯かる構成によって、鉄分含有被膜層6がマイクロ波を吸収して発熱し、電子レンジによる加熱調理ができる電子レンジ併用食器Aとなる。鉄分含有被膜層6の被膜層厚みが0.1mm〜3mmの範囲で設けられて、電子レンジによる効率的な加熱調理を可能とする。鉄分含有被膜層6は、通常、連結層5,コーティング層7に比べ、その厚みが厚く設けられる。他の構成は実施形態1と同様で、その説明を省く。
尚、コーティング層7による作用効果は得られないが、図7のごとく、陶磁器製食器本体1の窪み表面1に形成された連結層5に鉄分含有被膜層6を積層した段階にとめて、焼成により該食器本体1に該鉄分含有被膜層6を一体化させて、電子レンジのマイクロ波で鉄分含有被膜層6が発熱する電子レンジ併用食器Aとすることもできる。
(実施例)
次に、量産向け皿形状の食器本体1を用いて、鉄分含有被膜層6を形成した本考案品と、鉄分含有被膜層6の存在しない従来品9との対比試験を行った。
図8が本考案品で、図9が従来品9である。二枚の同じ皿形状からなるペタライト含有食器本体1の窪み表面1b側に釉薬の連結層5を形成した。そして、一つを連結層5がそのままコーティング層7を担う従来品9用とし、焼成により、食器本体1に該連結層5を一体化した。
別の一つは、連結層5の上に鉄分含有被膜層6を形成した。鉄分含有被膜層6は、鉄化合物の粉末(ここでは、砂鉄と酸化第一鉄粉末と酸化第二鉄粉末とを使用)に、これよりも少ない重量の接着剤材料を加えて泥漿にした原料を、連結層5上に塗布して膜状に形成した。接着剤材料はCMC糊の糊剤とペタライトとを含有し、鉄分含有被膜層6の膜厚(厚み)は2mm程とした。そうして、焼成により、連結層5を介して食器本体1に鉄分含有被膜層6を一体化し、本考案品を完成させた。
本考案品と従来品とを、同じ500W用電子レンジで4分間加熱し、食器本体1の窪み表面1bの温度を測定した。測定結果は、従来品が102℃であるのに対し、本考案品は289℃であった。本考案品の窪みHW以外の箇所にあたる底壁部21の外面温度は102℃であった。そして、両者とも電子レンジによる割れの発生はなかった。
(3)効果
こうように構成した電子レンジ併用食器Aは、原料に鉄化合物を含有して、鉄分含有被膜層6が食器本体1の窪み表面1b側に膜状に形成されるので、マイクロ波により鉄などの磁性体が発熱しやすいことから、電子レンジにかけると、鉄分含有被膜層6が発熱する。通常食器として使用できる他、電子レンジでの調理加熱用に使用できる。鉄分含有被膜層6は、食べ物Fが収容される食器本体1の窪み表面1b側に設けられているので、食べ物接触面Aが高温になり、効率的な加熱調理が可能になる。鉄分含有被膜層6に用いられる原料の主成分がフェライトであると、他の磁性材料に比べて、低コストで電子レンジ併用食器Aを造ることができる。また、原料に砂鉄が用いられると、低コストにして、鉄分含有被膜層6の被膜層が安定して得られるようになる。
食器本体1の窪み表面1b以外の外側表面1aには鉄分含有被膜層6が存在しないことから、内面側に比べると温度が上昇せず、熱くならない。電子レンジからの食器の取出しが楽になり、火傷しないようになる。電子レンジによる加熱調理が円滑に進むだけでなく、安全性にも優れる。不必要な電子レンジ併用食器Aの外側部分まで加熱するエネルギロスもない。
また、本電子レンジ併用食器Aは、焼成により食器本体1に一体化される鉄分含有被膜層6が電子レンジのマイクロ波で発熱するので、別体構成の鉄板等を食器本体1内に載置するのと違って、使い勝手が良くなる。陶磁器製食器本体1が材料にペタライトを含有して成形されるので、高温に強い耐熱食器になり、電子レンジの加熱調理だけでなく直火使用にも対応できる。
鉄分含有被膜層6が、鉄化合物の粉末(フェライト粉末,砂鉄)に、これよりも少ない重量の接着剤材料を加えた原料を、食器本体1の窪み表面1b側に塗布して膜状に形成されると、鉄分含有率の高い被膜層の形成が可能になるので、鉄分含有率が高い分、食べ物Fが収容される食器本体1の窪み表面1bをより高い温度に効果的に発熱させることができる。鉄化合物の粉末に接着剤材料を加えて泥漿にした原料を食器本体1に塗布して、鉄分含有被膜層6が形成されると、泥漿原料であることから鉄分含有被膜層6を膜状に形成するのが容易になり、且つ鉄化合物の粉末と接着剤材料とを均質混合でき、品質の高い鉄分含有被膜層6を形成できる。
さらに、上記原料の主成分がフェライトであり、上記接着剤材料がCMC糊の糊剤とペタライトとを含有すると、鉄分含有被膜層6中の鉄化合物比率が高くなっても、CMC糊で焼成による食器本体1への鉄分含有被膜層6の一体化を強固なものにする。鉄分含有被膜層6の厚みを3mm近くに厚くしても、鉄分含有被膜層6を食器本体1に固着一体化できる。また、接着剤材料にペタライトを含有することによって、鉄分含有被膜層6も耐熱仕様になり、高温使用される鉄分含有被膜層6の耐久性が高まる。
さらにいえば、砂鉄が30〜80重量部で、これに酸化第一鉄粉末と酸化第二鉄粉末と接着剤材料とを加えて100重量部とし、さらに水を添加して泥漿にした原料を、食器本体1の窪み表面1b側に塗布して、鉄分含有被膜層6が膜状に形成されると、鉄分含有被膜層6を膜状に形成するのがより一層容易になり、且つ高品質の鉄分含有被膜層6を安定製造できるようになる。
加えて、食器本体1と鉄分含有被膜層6との間に介在させて、食器本体1の窪み表面1b側に釉薬で膜状に設けられる連結層5を備え、焼成により、連結層5を介して食器本体1に鉄分含有被膜層6が一体化されると、連結層5が接合強化層になる。食器本体1に鉄分含有被膜層6を連結層5を介してより強固に結合一体化できるようになる。食器本体1からの鉄分含有被膜層6の剥がれを阻止し、電子レンジ併用食器Aの耐久性を一段と向上させることができる。釉薬に耐熱釉薬が用いられると、高温にも十分対応できる。
そして、接着剤材料や連結層5の存在で、鉄分含有被膜層6が3mmまで厚みを増しても食器本体1に円滑且つ確実に固定一体化できる。歩留りも向上にも役立つ。食器本体1に、該鉄分含有被膜層6が、その被膜層厚みを0.1mm〜3mmの範囲にして一体化できるようになり、厚みを変えることによって電子レンジによる加熱調理の上昇温度が多種多様の製品を提供できる。ある程度厚みのある鉄分含有被膜層6の電子レンジ併用食器Aとすれば、鉄分含有率が高く且つ厚みのある分、食器本体1の窪み表面1b側だけをより迅速に高温にでき、加熱調理の時間短縮につながり、料理に打ってつけの優れ物になる。
また、鉄分含有被膜層6の表面に、釉薬で膜状に設けられるコーティング層7をさらに具備し、焼成により、鉄分含有被膜層6にコーティング層7が被覆一体化すると、食器本体1からの鉄分含有被膜層6の剥離をコーティング層7が護る。コーティング層7が鉄分含有被膜層6を覆って食器本体1に合体するので、本電子レンジ併用食器Aの機械的強度を一層強くする。勿論、釉薬本来の特徴を生かし、鉄分含有被膜層6の表面に凹凸ができても、コーティング層7が滑らかに覆って表面を平滑にし、汚れを防ぐと共に外観の品質向上を果たす。水や化学的薬品に対する抵抗性を高める。
尚、本考案においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本考案の範囲で種々変更できる。食器本体1,連結層5,鉄分含有被膜層6,コーティング層7等の形状,大きさ,個数,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。例えば、実施形態は食器本体1を皿形状としたが、碗形状等とすることもできる。
1 食器本体
1b 窪み表面
5 連結層
6 鉄分含有被膜層
7 コーティング層
A 電子レンジ併用食器
F 食べ物
HW 窪み
MR 電子レンジ

Claims (8)

  1. 材料にペタライトを含有して、食べ物(F)を収容する窪み(HW)がある器に成形された上面開口の陶磁器製食器本体(1)と、原料に鉄化合物を含有して、該食器本体の窪み表面(1b)側に膜状に形成される鉄分含有被膜層(6)と、を具備し、且つ焼成により該食器本体(1)に該鉄分含有被膜層(6)が一体化されて、電子レンジ(MR)のマイクロ波で該鉄分含有被膜層(6)が発熱するようにしたことを特徴とする電子レンジ併用食器。
  2. 前記鉄分含有被膜層(6)が、前記鉄化合物の粉末に、これよりも少ない重量の接着剤材料を加えて泥漿にした原料を、前記食器本体の窪み表面(1b)側に塗布して膜状に形成される請求項1記載の電子レンジ併用食器。
  3. 前記食器本体(1)と前記鉄分含有被膜層(6)との間に介在させて、該食器本体の窪み表面(1b)側に釉薬で膜状に設けられる連結層(5)を、さらに具備し、焼成により、該連結層(5)を介して該食器本体(1)に、該鉄分含有被膜層(6)が、その被膜層厚みを0.1mm〜3mmの範囲にして一体化されてなる請求項2記載の電子レンジ併用食器。
  4. 前記原料の主成分がフェライトであり、前記接着剤材料がCMC糊の糊剤とペタライトとを含有する請求項2又は3に記載の電子レンジ併用食器。
  5. 前記原料に係る鉄化合物の粉末に砂鉄が用いられてなる請求項2乃至4のいずれか1項に記載の電子レンジ併用食器。
  6. 前記砂鉄が30〜80重量部で、これに酸化第一鉄粉末と酸化第二鉄粉末と前記接着剤材料とを加えて100重量部とし、さらに水を添加して泥漿にした前記原料を、前記食器本体の窪み表面(1b)側に塗布して、鉄分含有被膜層(6)が膜状に形成される請求項5記載の電子レンジ併用食器。
  7. 前記鉄分含有被膜層(6)の表面に、釉薬で膜状に設けられるコーティング層(7)をさらに具備し、焼成により、該鉄分含有被膜層(6)に該コーティング層(7)が被覆一体化してなる請求項2乃至6のいずれか1項に記載の電子レンジ併用食器。
  8. 前記連結層(5)用釉薬及び前記コーティング層(7)用釉薬がペタライト含有の耐熱釉薬である請求項7記載の電子レンジ併用食器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012228350A (ja) * 2011-04-26 2012-11-22 Gls:Kk 硝酸態窒素を除去する調理器類
JP2016521156A (ja) * 2013-04-05 2016-07-21 ホ パク,イン 電子レンジ用発熱陶磁器の製造方法及びマイクロ波用発熱陶磁器
KR20170121416A (ko) * 2016-04-25 2017-11-02 (주)펠리테크 마이크로파를 이용한 세라믹 발열 조리기

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