以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、鉄骨ラーメン構造によるユニット式建物に本発明を具体化しており、そのユニット式建物は、周知のとおり複数の建物ユニットを結合させて構築されるものとなっている。これらの建物ユニットは、それぞれ工場にてあらかじめ製造され、その後、建築現場にトラック等により運搬されて当該建築現場において結合される。建物ユニットについて簡単に説明すると、建物ユニットは、各々長方形状に組み付けられる四辺の床大梁及び天井大梁と、床大梁及び天井大梁を四隅で連結する柱とを有しており、これらにより直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。
かかるユニット式建物におけるその水切構造とその周辺部分等を含む構成について、図1を参照しながら説明する。なお、図1は建物の水切構造とその周辺部を示す縦断面図である。
図1に示すように、地盤部分には基礎11が設けられ、同基礎11の上には、建物一階部分を形成する建物ユニットの床大梁12が設置されている。床大梁12は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が屋内側を向くようにして設置されている。
床大梁12のウエブ部12aには、外壁パネル13が取り付けられている。外壁パネル13は、断面コ字状の軽量形綱(軽溝形綱)よりなる下地フレーム14と、その下地フレーム14に固定される矩形平板状の外壁材(窯業系サイディング板等)15とを備え、それら下地フレーム14と外壁材15とがタッピングネジ等により接合固定されている。下地フレーム14の下枠部14aは相対向する内側フランジ部F1及び外側フランジ部F2を有しており、内側フランジ部F1を床大梁12のウエブ部12aに当接させた状態で両者がボルト17及びナット18により接合固定されている。なお、図面上には現れていないが、下地フレーム14の上枠部は天井大梁のウエブ部に対してこれと同様に固定されている。したがって、このように下地フレーム14が床大梁12及び天井大梁に固定されることにより、外壁パネル13が建物ユニットに固定されている。
ちなみに、ユニット式建物では、複数の外壁パネル13が横並びの状態で組み付けられている。隣接する外壁パネル13がその下地フレーム14同士で接合され、ボルト及びナット等の締結具により互いに連結固定されるようになっている。
外壁パネル13の外壁材15の下方には、土台水切20が設けられている。以下、この土台水切20の設置構成にについて図1に加え図2を参照しつつ説明する。図2は、土台水切20を建物側から取り外した状態を示す斜視図である。
図1及び図2に示すように、土台水切20は、外壁パネル13の横幅方向(換言すると下地フレーム14の下枠部14aの長手方向)に沿った長尺状とされており、例えばアルミニウム製の押し出し成形品からなる。土台水切20は、上下方向に延びる縦板部28と、縦板部28の上端部から屋内側に向かって上方傾斜する傾斜板部29とを備える。縦板部28は、外壁材15(詳しくはその外壁面)よりも屋外側に位置しており、その外側面が外壁材15の外壁面と略平行とされた水切面33となっている。また、縦板部28は、その下端部によって基礎11の上端部が隠れるように、基礎11の天端35よりも下方まで延びている。より詳しくは、縦板部28は、上下方向の途中に設けられた段差部32により上側板部28aと下側板部28bとに分けられており、上側板部28aが下側板部28bよりも屋外側に位置している。なお、縦板部28及び傾斜板部29により水切板部が構成されている。
また、縦板部28の水切面33は、必ずしも外壁材15の外壁面と平行とする必要はなく、縦板部28を鉛直方向に対し所定角度傾斜させることで、水切面33を外壁面に対し傾斜させてもよい。
傾斜板部29は、その屋内側の端部が外壁材15の外壁面よりも屋内側に位置している。この場合、外壁材15の外壁面を伝って流下した水はまず土台水切20において傾斜板部29上に落ち、その後傾斜板部29の表面を伝って縦板部28の水切面33に導かれる。これにより、土台水切20により外壁材15を伝って流下した雨水等が基礎11よりも屋外側に排出されるようになっている。
一方、下地フレーム14の下枠部14a(詳細には外側フランジ部F2)において外壁材15よりも下方にはみ出した部分(以下、はみ出し部19という)には、その屋外側面に、土台水切20を着脱自在に取り付けるためのブラケット21が固定されている。ブラケット21は、ステンレス等の鋼板が折り曲げ形成されてなり、下地フレーム14の下枠部14aの長手方向に沿って所定の間隔で複数取り付けられている。
ブラケット21は、下枠部14aのはみ出し部19と平行な板面を有する鉛直板部23と、鉛直板部23の下端部から屋外側に延びる底板部24と、底板部24の屋外側端部から上方に立ち上がる立ち上がり板部25とを有する。ブラケット21において、各板部23〜25により囲まれた内側部分は上方に開口された溝部26となっている。
ブラケット21の鉛直板部23は、下枠部14aのはみ出し部19にビス41により取り付けられている。なお、このビス41は、鉛直板部23に形成された挿通孔59を通じてはみ出し部19に打ち付けられている。また、詳細には、鉛直板部23は、後述する水受け部材51(詳しくはその取付板部52)を下枠部14aのはみ出し部19との間に介在させた状態ではみ出し部19に取り付けられている。
続いて、ブラケット21に土台水切20を取り付けるための取付構成について説明する。
土台水切20において、傾斜板部29の屋内側端部(上端部でもある)には、ブラケット21に支持される被支持部37が設けられている。被支持部37は、傾斜板部29から下方(すなわち、縦板部28が水切先端に延びる方向と同方向)に突出して設けられており、土台水切20の長手方向に延びる長尺状とされている。詳しくは、被支持部37は、土台水切20の長手方向全域に亘って形成されている。被支持部37は、縦長となる略楕円形の断面形状を有し、かつ、中空状(換言すると略筒状)をなしている。
被支持部37は、その一部(この部分を以下、挿入部38という)がブラケット21の溝部26に挿入されて引っ掛けられており、その引っ掛け状態においてブラケット21により支持されている。そして、かかる被支持部37の支持状態において、土台水切20はブラケット21に対して装着されている。土台水切20は、かかる装着状態において、ブラケット21及び水受け部材51(さらにはビス41)を屋外側から覆い隠しており、これにより、建物の美観が損なわれるのが防止されている。
続いて、被支持部37周辺の構成について詳細に説明する。被支持部37(詳細には挿入部38)は、溝部26に挿入された状態において鉛直板部23と立ち上がり板部25とにより挟み込まれて設けられている。より詳しくは、この被支持部37の挿入状態において、立ち上がり板部25が若干屋外側に撓んだ状態となっており、それ故被支持部37は鉛直板部23と立ち上がり板部25とにより押圧された状態で設けられている。また、被支持部37の挿入部38は、立ち上がり板部25に対して係合された状態とされている。そのため、挿入部38は屋外側への移動が規制されており、ひいては土台水切20の屋外側への回動が規制されている。この場合、挿入部38が、係合位置決め部に相当する。
被支持部37の外周面には、屋外側に開口された凹部39が設けられている。この凹部39には、ブラケット21の立ち上がり板部25の上端部が入り込んでいる。この点について詳しくは、立ち上がり板部25は、高さ方向の途中で折り曲げられて、折り曲げ部分よりも下側部分25aが屋外側に向けて上方傾斜している一方、上側部分25bが屋内側に向けて上方傾斜している。そして、その上方傾斜した上側部分25bの上端が凹部39に入り込んだ状態となっている。なお、立ち上がり板部25は、折り曲げ形状を有していることから、比較的容易に上下に撓ませる(詳しくは立ち上がり高さを小さくするように撓ませる)ことが可能となっている。
また、土台水切20のブラケット21への装着状態において、被支持部37の上下長さL1(以下、第1寸法L1ともいう)は、ブラケット21の立ち上がり板部25の上端と外壁材15の下端との間の隙間H(以下、単に隙間Hという)よりも大きくなっている。そのため、被支持部37をそのまま(詳しくは土台水切20の水切面33を外壁面と平行としたまま)隙間Hを通じて屋外側に引き出すことが不能となっている。なお、上記隙間Hが、案内通路部に相当する。
それに対し、土台水切20をブラケット21に対して着脱させる場合には、後述するように、装着状態での土台水切20の角度(姿勢)に対して土台水切20が角度α(以下、傾斜角度αともいう)だけ傾けられるようになっている(図3(b)参照)。ここで、被支持部37において、水平方向に対し上記の角度αをなして傾斜する(詳細にはその傾斜は屋内側へ向かっての上方傾斜)方向の長さL2(以下、第2寸法L2ともいう。この第2寸法L2は第1寸法L1よりも小さい寸法となっている。)は、上記隙間Hよりも若干大きくなっており、土台水切20を傾斜角度αだけ回動した場合には、その第2寸法L2が被支持部37の上下長さとなる。すなわち、かかる傾け状態では、上記装着状態と同様に、被支持部37の上下高さが隙間Hよりも大きくなる。しかしながら、この場合には、被支持部37を屋内外方向に移動させることで、被支持部37により立ち上がり板部25を撓ませることができ、その結果上記隙間Hを第2寸法L2よりも大きくできる。そのため、被支持部37(詳細には挿入部38)を隙間Hを通じて挿通させることが可能となり、ひいては被支持部37をブラケット21に対して着脱することが可能となる。
なお、被支持部37の第2寸法L2は隙間Hよりも小さい寸法としてもよく、その場合、被支持部37を隙間Hに挿通させる際、立ち上がり板部25を撓ませることなく挿通させることが可能となる。そのため、かかる挿通作業をし易くすることができる。また、上記傾斜角度αは90°よりも小さい角度に設定されており、本実施形態では約50°となっている。
土台水切20には、縦板部28の下端部付近に、屋内側に短く延びる鼠返し取付部61が設けられている。鼠返し取付部61は、その端部と基礎11との隙間において床下換気が行える程度の長さ寸法(奥行寸法)に設定されている。鼠返し取付部61には、土台水切20に沿って長尺状に形成された鋼板製の鼠返し板部62が取り付けられている。これにより、土台水切20は、鼠返し板部62と一体化されている。また、鼠返し板部62には、外壁パネル13の横幅方向に所定の間隔で矩形形状の通気孔63が複数形成されている。これにより、鼠返し板部62が設けられているにもかかわらず、床下の湿った空気が通気孔63を通って屋外へ排出され好適な床下換気が行われるようになっている。
外壁材15の下方には、上述した土台水切20の他に、水受け部材51が取り付けられている。水受け部材51は、ステンレス等の鋼板からなる。水受け部材51は、下地フレーム14の下枠部14aに沿って長尺状に形成されており、外壁材15の下方において複数の外壁材15に跨って設けられている。
水受け部材51は、下枠部14aの外側フランジ部F2のはみ出し部19への取付板部52と、取付板部52の下端部から屋外側に延びる水平板部53とを備える。水受け部材51は、取付板部52がはみ出し部19とブラケット21の鉛直板部23との間に挟み込まれた状態で、かつ、水平板部53がブラケット21(底板部24)の下面に下側から重ね合わせられた状態で設けられている。水受け部材51の取付板部52は、その上端部が外壁材15の下端部に当接された状態で、はみ出し部19に対しビス41により取り付けられている。詳しくは、ビス41は、ブラケット21の挿通孔59及び取付板部52の挿通孔66に挿通された状態ではみ出し部19に打ち付けられており、これによりブラケット21及び水受け部材51がはみ出し部19に固定されている。
なお、本実施形態では、水受け部材51と各ブラケット21とが予め溶接等により一体化されており、これら両部材21,51をはみ出し部19にビス41で取り付ける作業がし易くなっている。但し、必ずしも両部材21,51を予め一体化する必要はなく、別体状態の各部材21,51をビス41で固定するようにしてもよい。
水平板部53は、水受け面57を有しており、ブラケット21の下方において、当該ブラケット21よりも屋外側まで延びている。なおこの場合、水平板部53の屋外側端部は基礎11よりも屋外側に位置している。具体的には、水平板部53は、ブラケット21の底板部24の下面に当接されており、これにより、底板部24の下方への変位(撓み)が規制されている。この場合、土台水切20の自重等により底板部24が下方に撓み上記隙間Hが広がるのを抑制できるため、隙間Hの広がりに伴い土台水切20が脱落し易くなるのを抑制できる。また、水平板部53の屋外側端部には、当該端部から垂下された垂下板部54が設けられている。
ここで、雨水等の水は外壁材15において外壁面を伝って流下するだけでなく、隣接する外壁材15の間の目地56を通じて流下することもある。目地56を伝って水が流下した場合、土台水切20をブラケット21に着脱自在に取り付けた上記の構成では、土台水切20の被支持部37とはみ出し部19との間を通じて水が土台水切20の屋内側に入り込む可能性がある。この点、上記水受け部材51を設けた構成では、その入り込んだ水を水受け面57により受け、基礎11の屋外側に排出することができる。
なお、水受け部材51は、必ずしも長尺状とする必要はなく短尺状としてもよい。その場合でも、水受け部材を外壁材15の目地56の下方位置にそれぞれ配置すれば、目地56を通じて流下した水を基礎11の屋外側に排出できる。
また、水受け部材51の取付板部52と下枠部14aの外側フランジ部F2との間に、塩化ビニル樹脂等からなる防水シートを介在させてもよい。そうすれば、水受け部材51と下枠部14aとの間を通じて水が浸入するのを確実に防止できる。
次に、土台水切20をブラケット21に対して着脱する際の作業手順を説明する。まず、土台水切20をブラケット21に装着する際の作業手順を図3に基づいて説明する。なお、図3は、土台水切20の装着手順を説明する説明図である。
図3(a)には、ブラケット21と水受け部材51とが下地フレーム14の下枠部14aのはみ出し部19に取り付けられた(先付けされた)状態を示している。この状態において、まず図3(b)に示すように、土台水切20(鼠返し板部62を含む)の被支持部37を、外壁材15の下端とブラケット21の立ち上がり板部25との間の隙間Hに挿入する作業を行う。この作業では、まず土台水切20の縦板部28の水切面33を外壁材15の外壁面(換言すると、土台水切20の装着状態における水切面33)に対して傾斜角度αだけ下方に傾けた状態とする。詳細には、水切面33が屋内側に向かって下方傾斜する向きに傾ける(以下、土台水切20のかかる状態を傾け状態という)。この傾け状態では、被支持部37の上下高さが、隙間Hよりも若干大きい第2寸法L2となる。
そして、この傾け状態で、被支持部37を隙間Hに挿入する。被支持部37が隙間Hに挿入されるとブラケット21の立ち上がり板部25が撓み、隙間Hが第2寸法L2よりも大きくなるため、かかる隙間Hへの挿入が可能となる。これにより、被支持部37の挿入部38がブラケット21の溝部26上に配置され、被支持部37の凹部39にブラケット21の立ち上がり板部25の上端部が入り込んだ状態となる。そして、この状態で被支持部37は、ブラケット21により支持される。
続いて、図3(c)に示すように、被支持部37がブラケット21に支持された状態で、土台水切20を、被支持部37を回動中心として屋外側に傾斜角度αだけ回動させる。これにより、被支持部37(詳細には挿入部38)がブラケット21の溝部26に挿入され、土台水切20がブラケット21に対して装着される。ここで、土台水切20の回動は、凹部39に立ち上がり板部25の上端が入り込んだ(引っ掛かった)状態で行われる。すなわち、凹部39において立ち上がり板部25が入り込んだ部分を回動中心として土台水切20の回動が行われるため、被支持部37が自ずと溝部26の側へ導かれ、被支持部37の溝部26への挿入がし易くなっている。
また、土台水切20の回動は挿入部38が立ち上がり板部25に係合されるまで行う。土台水切20をかかる係合位置まで回動させると、その水切面33が、外壁材15の外壁面と略平行となり、土台水切20がブラケット21に装着される状態となる。したがって、この場合、土台水切20を回動し過ぎて所定の回動位置を越えてしまうといった不都合を防止でき、土台水切20をブラケット21に装着する作業を好適に行うことができる。また、水切面33が所定の角度(つまり外壁面と略平行となる角度)とは異なる角度状態で土台水切20が装着されて、水切機能が損なわれる等の不都合が生ずるのを回避できる。
以上をもって、土台水切20のブラケット21に対する装着作業が終了する。
次に、土台水切20をブラケット21から取り外す場合の手順を説明する。土台水切20の取り外し手順は、基本的に上述した装着手順と逆の手順となる。
取り外しに際してはまず、ブラケット21に装着されている土台水切20を、被支持部37を回動中心として屋内側に傾斜角度αだけ回動させる。これにより、被支持部37(詳細には挿入部38)がブラケット21の溝部26から外れ、土台水切20が傾け状態(図3(b)に示す状態)となる。なお、この回動に際しても、上述した土台水切20の装着時における回動と同様、凹部39にブラケット21の立ち上がり板部25上端が入り込んだ状態で回動が行われるため、土台水切20を所定の回動方向に導き易い。
また、土台水切20の傾け状態では、被支持部37の凹部39に立ち上がり板部25上端が入り込んでおり、被支持部37が立ち上がり板部25上端に引っ掛けられた状態となっている。したがって、仮に、外壁近くにいる人の脚等が土台水切20に接触し、土台水切20が傾け状態となるまで回動したとしても、土台水切20が容易にブラケット21から脱落するのが防止されている。
次に、土台水切20を屋外側に移動させて、被支持部37をブラケット21から取り外す作業を行う。この取り外し作業は、土台水切20を傾け状態としたまま行う。具体的には、土台水切20を若干上方に持ち上げ、凹部39に対する立ち上がり板部25の引っ掛かりを解除した状態で、土台水切20を屋外側に移動させる。これにより、土台水切20の被支持部37が隙間Hを通過し、土台水切20がブラケット21から取り外される。なお、上述した土台水切20の装着の場合と同様、被支持部37を隙間Hに通過させる際には、被支持部37により立ち上がり板部25を撓ませ隙間Hを拡げながら行う。以上をもって、土台水切20の取り外し作業が終了する。
このように、上述した土台水切20の着脱構成では、土台水切20の回動と被支持部37のブラケット21からの取り外しという2つの動作を経て、土台水切20がブラケット21から取り外されるため、土台水切20を着脱自在としながらも、土台水切20が接触等によりブラケット21から脱落するのを抑制できる、
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
被支持部37を、土台水切20の装着状態において縦長となる略楕円形の断面形状を有して形成した。この場合、被支持部37の外周面が曲面状をなしており、そのため、被支持部37を回動中心として土台水切20を回動させるに際し、被支持部37の外周面がブラケット21に引っ掛かるのを抑制できる。これにより、土台水切20の着脱作業を好適に実施できる。また、土台水切20の装着状態では、被支持部37の断面が縦長となるため、被支持部37について上下方向の圧縮に対する強度を高めることができ、被支持部37が上下につぶれる等の変形を抑制できる。このため、土台水切20を安定した状態でブラケット21に装着できる。
土台水切20をブラケット21に対して着脱自在に取り付ける構成としたため、土台水切20が劣化したり破損したり場合でも、容易に新品と交換できる。また、外壁パネル13をリフォームにより取り替えたりする際等、土台水切20を一旦取り外す必要がある場合にも容易に取り外せるため都合がよい。
さらに、外壁材15の下端と基礎11(天端35)との間から床下空間を点検する場合があるが、この場合にも土台水切20を着脱自在とした上記の構成は便利である。また、土台水切20の上端部(被支持部37)をブラケット21に引っ掛け支持する上記構成では、外壁材15の下方に配置されるブラケット21の上下長さを比較的短くできるため、外壁材15の下方空間を広く確保でき、床下空間の点検を好適に行うことが可能となる。
土台水切20に、鼠返し板部62を一体に設けた。この場合、土台水切20に、水切機能に加えて、床下等への小動物の侵入を阻止する小動物侵入阻止機能を付加できる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)図4に示すように、水切部材70の被支持部71をゴム材により形成し、土台水切20の装着状態において、被支持部71をブラケット21における鉛直板部23と立ち上がり板部25との間に圧縮状態で挟み込むようにしてもよい。この場合、被支持部71をブラケット21に対してある程度の強度で結合でき、水切部材70の脱落をより一層抑制することができる。なお、被支持部71をゴム材に代えて、弾性を有する樹脂材料等その他の変形可能な材料により形成してもよい。
(2)支持部材により水切部材の被支持部を引っ掛け支持するための構成を変更してもよい。例えば、上記実施形態では、被支持部37を凸状、ブラケット21(支持部材)を凹状(すなわち溝部26)とし、被支持部37をブラケット21の溝部26に挿入することで、被支持部37を引っ掛け支持する構成としたが、これを変更して、支持部材側を凸状、被支持部側を凹状として、被支持部側の凹部を支持部材側の凸部に引っ掛けることで、被支持部を引っ掛け支持する構成としてもよい。その一例を図5に示す。図5(a)の構成では、下地フレーム14の下枠部14aのはみ出し部19に、土台水切80を引っ掛け支持する支持部材81が設けられている。支持部材81は、下枠部14aの長手方向に沿って延びる棒状をなしており、図示しない複数の固定金具を介してはみ出し部19に固定されている。支持部材81は、上下方向の長さD1よりも屋内外方向の長さD2が長い縦断面形状を有している。
一方、土台水切80において傾斜板部29の屋内側端部には、支持部材81に引っ掛け支持される被支持部83が設けられている。被支持部83は、土台水切80の長手方向ほぼ全域に形成されている。但し、被支持部83は、上述した支持部材81の固定金具に対応する部位には形成されておらず、当該固定金具との干渉が回避されている。被支持部83は、略U字状の縦断面を有しており、その開口を下向きにして設けられている。具体的には、被支持部83は、上下に延びるとともに、屋内外方向に対向して設けられた一対の対向板部84,85と、各対向板部84,85の上端部間を繋ぐ繋ぎ板部86とを備え、これら各板部84〜86により囲まれた内側は溝部89となっている。
各対向板部84,85には、上下方向の途中に段差部88が設けられており、この段差部88により各々の対向板部84,85は段差部88よりも下側部分84a,85aが上側部分84b,85bよりも内側に配置されている。したがって、各対向板部84,85の間の離間距離、すなわち溝部89の溝幅(屋内外方向の長さ)は、上側部分84b,85bよりも下側部分84a,85aで小さくなっている。具体的には、上側部分84b,85bにおいて、溝部89の溝幅L1は、支持部材81の屋内外方向の長さD2とほぼ同じ大きさとなっている。一方、下側部分84a,85aでは、溝部89の溝幅L2は、支持部材81の上下方向の長さD1よりも大きく、かつ、屋内外方向の長さD2よりも小さくなっている。
被支持部83は、その溝部89に支持部材81を挿入させた状態で、支持部材81に対して引っ掛け支持されており、これにより、土台水切80は支持部材81に装着されている。なお、この装着状態においても、上記実施形態と同様、土台水切80の水切面33は外壁材15の外壁面と略平行となっている。
次に、上記の構成において、土台水切80を支持部材81から取り外す際の作業手順を説明する。土台水切80を取り外す際には、まず、図5(b)に示すように、土台水切80を、被支持部83を回動中心として所定角度β屋内側に回動させる。なおここでは、所定角度βが90°となっている。これにより、被支持部83の溝部89の開口が屋内側を向いた状態となり、溝部89の開口側の溝幅L2(上下幅)が、支持部材81の上下高さD1よりも大きくなる。また、かかる場合における土台水切80の状態が傾け状態に相当する。
続いて、土台水切80を傾け状態のまま屋外側に移動させることにより、被支持部83を支持部材81から取り外す。この場合、支持部材81を溝部89の開口を通過させながら、土台水切80を移動させる。これにより、土台水切80が支持部材81から取り外され、これをもって取り外し作業が終了する。なお、土台水切80を支持部材81に装着する際の手順は、上記取り外し手順と逆の手順であるため、ここでは説明を割愛する。
上記の構成によれば、上記実施形態の場合と同様に、土台水切80の回動と被支持部83の取り外しという2段階の動作を経て、土台水切80を支持部材81から取り外す構成となっているため、土台水切80を着脱可能としつつも、土台水切80への接触により土台水切80が脱落するのを抑制できる。
また、上記の構成では、上記実施形態の場合とは異なり、土台水切80の傾き状態において土台水切80を着脱可能とする構成を外壁材15を用いずに構築しているため、外壁材15に対する支持部材81の設置高さに大きな配慮を払う必要がない。このため、支持部材81の建物側への取付作業を簡易なものとすることができる。
(3)上記(2)の構成において、装着状態での被支持部83の対向板部85の上下高さを外壁材15の下端と支持部材81との間の隙間hよりも大きくし、傾け状態での対向板部85の上下高さを上記隙間hより小さくしてもよい。この場合、装着状態では、対向板部85を隙間hに挿通させることが不可となり、その結果土台水切80を支持部材81から取り外し不能となる。それに対して、傾け状態では、対向板部85を隙間hに挿通可能となり、土台水切80を支持部材81から取り外し可能となる。したがって、土台水切80の傾け状態において被支持部83を着脱可能とする構成が外壁材15を用いて実現される。このため、被支持部83の対向板部84,85に段差部88を設けずに対向板部84,85を平板状としたり、支持部材81の断面を円形形状としたりする等、被支持部83周辺の構成を簡素化することが可能となる。
(4)上記実施形態では、土台水切20の被支持部37の断面形状を縦長の楕円形状としたが、これを変更し、縦長の四角形状等その他の形状としてもよい。また、被支持部を短尺状に形成してもよい。この場合、被支持部を、土台水切20において各ブラケット21の配置位置に合わせて設ければよい。
(5)土台水切20は上記実施形態のものに限定されることはない。例えば、土台水切20に、傾斜板部29に代えて、被支持部37から屋外側に向かって水平方向に延び縦板部28の上端部につながる水平板部を設けてもよい。
(6)上記実施形態では、土台水切20において凸状の挿入部38を係合位置決め部とした場合について説明したが、凹状の係合位置決め部としてもよい。その一例を図6に示す。図6では(a)が土台水切の傾け状態を示し、(b)が装着状態を示している。図6に示す土台水切90の被支持部92は、その断面形状が、円形形状の一部に平面部を有する形状をなしており、かつ、中空状をなしている。換言すると、被支持部92は、土台水切90の長手方向に沿って長尺状をなす平板部94と、平板部94の幅方向(短手方向)の端部同士を半円よりも大きい円弧状に繋ぐ円弧板部95とからなる。円弧板部95の中間には、上側に開口された凹部97が土台水切90の長手方向に沿って設けられている。被支持部92は、土台水切90の傾け状態では平板部94が被支持部92の底部において水平方向に延びる向きに配置され、その上下高さがH3となり、土台水切90の装着状態では平板部94が斜めに配置され、その上下高さがH3よりも大きいH4となる。
一方、支持部材91は、土台水切90の被支持部92を支持するとともに被支持部92の外周面(詳細にはその延長面を含む)に沿って形成された円弧支持部98と、円弧支持部98を下地フレーム14の下枠部14aのはみ出し部19に固定する固定部(図示略)とを備える。円弧支持部98は、屋外側に開口して設けられており、その開口高さが傾け状態での被支持部92の上下高さH3よりも大きく、かつ装着状態での被支持部92の上下高さH4よりも小さくなっている。円弧支持部98において、周方向の一端部(上端部でもある)には凸部99が設けられている。凸部99は、被支持部92の凹部97に入り込んでおり、これにより、凹部97が支持部材91に係合されている。
上記の構成において、土台水切90の被支持部92を支持部材91に装着する際には、まず図6(a)に示すように、土台水切90を傾け状態として被支持部92を支持部材91の円弧支持部98の内側に同支持部98の開口を通じて挿し入れ、円弧支持部98により支持される支持状態とする。次に、図6(b)に示すように、その支持状態において土台水切90を被支持部92を回動中心として屋外側に回動させ、土台水切90を装着状態とする。この場合、被支持部92の凹部97が円弧支持部98の凸部99に入り込んで係合されるまで土台水切90を回動させる。この係合される回動位置にて土台水切90が装着状態とされるため、かかる構成においても、所定の回動位置を越えて回動する等の不都合を防止できる。したがって、土台水切90を支持部材91に装着する作業を好適に行える。
(7)本発明を適用する建物は、ユニット式建物に限定することはなく、鉄骨軸組工法により構築される建物や、在来木造工法により構築される建物等、その他の建物であってもよい。要は、外壁材15の背面側に外壁下地が予め組み付けられてなる外壁パネル13を備える建物であればよい。したがって、外壁下地も上記実施形態のように溝形鋼の下地フレーム14でなくてもよく、木材からなる外壁下地などであってもよい。