JP2012149220A - インク組成物、インクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】受像紙への適切な浸透性を有し、普通紙における光学濃度が高く、かつ即乾性に優れたインク組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも、第1の色材、第2の色材、及びノニオン性界面活性剤を含有するインク組成物であって、前記第1の色材が、下記一般式で表される化合物であり、前記第2の色材が、Sおよび/またはNからなる複素環を含む化合物であり、前記第2の色材のインク組成物中における含有量(質量%)が、前記第1の色材のインク組成物中における含有量(質量%)に対して、質量比率で、0.001以上1.0以下であり、前記ノニオン性界面活性剤の含有量が0.05〜50g/lである、インク組成物。
Figure 2012149220

【選択図】なし

Description

本発明は、受像紙への浸透性、普通紙における光学濃度、即乾性に優れたインク組成物、並びに、これを用いたインクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法に関する。
近年、コンピューターの普及に伴いインクジェットプリンターがオフィスだけでなく家庭で紙、フィルム、布等に印字するために広く利用されている。
インクジェット記録方法には、ピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。これらのインクジェット記録用インクとしては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。これらのインクのうち、製造・取り扱い性・臭気・安全性等の点から水性インクが主流となっている。
これらのインクジェット記録用インクに用いられる着色剤に対しては、溶剤に対する溶解性が高いこと、高濃度記録が可能であること、色相が良好であること、光、熱、空気、水や薬品に対する堅牢性に優れていること、受像材料に対して定着性が良く滲みにくいこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性がないこと、純度が高いこと、更には、安価に入手できることが要求されている。しかしながら、これらの要求を高いレベルで満たす着色剤を捜し求めることは、極めて難しい。
既にインクジェット用として様々な染料や顔料が提案され、実際に使用されているが、未だに全ての要求を満足する着色剤は、発見されていないのが現状である。カラーインデックス(C.I.)番号が付与されているような、従来からよく知られている染料や顔料では、インクジェット記録用インクに要求される色相と堅牢性とを両立させることは難しい。
これまでの研究により、インクジェット記録用インクの性能の改善が行われてきている。特許文献1には、特定のピラゾリルアゾ色素により、インクジェット記録用インクに要求される良好な色相と堅牢性の高さを両立できることが開示されている。
またインクジェット記録用インクに界面活性剤を添加することが従来知られている。例えば特許文献2には、特定の染料と界面活性剤とを用いた、吐出安定性が高く、しかも得られる画像の色相が良好で、光、熱、オゾン等への耐性や耐水性などの画像保存性にも優れ、細線の滲みなど画質についての欠点が無く、過酷な条件下でも画像保存性が良好なインクジェット記録用インクが記載されている。また、特許文献3及び4にも特定のピラゾリルアゾ色素や界面活性剤について記載されている。
しかしながら従来のインクジェット記録用インクは、十分満足できるものではなかった。
特開2004−83903号公報 特許第4538228号公報 特開2007−224276号公報 特開2005−264085号公報
したがって、本発明は、上記要求を満足し得るインク組成物を得ることを目的とし、特に、上記従来の問題点も鑑み、受像紙への適切な浸透性を有し、普通紙における光学濃度が高く、かつ即乾性に優れたインク組成物を提供することを目的とする。また、本発明は該インク組成物を用いたインクジェット記録用インク、並びに、該インクジェット記録用インクを用いたインクジェット記録方法を提供することも目的とする。
上記課題は、以下の方法により解決された。即ち、本発明によれば下記のインク組成物、該インク組成物を用いたインクジェット記録用インク、並びに、該インクジェット記録用インクを用いたインクジェット記録方法が提供される。
[1]
少なくとも、第1の色材、第2の色材、及びノニオン性界面活性剤を含有するを含有するインク組成物であって、
前記第1の色材が、下記一般式(Y)で表される化合物であり、前記第2の色材が、下記群Aから選択される少なくとも1種の化合物であり、前記第2の色材のインク組成物中における含有量(質量%)が、前記第1の色材のインク組成物中における含有量(質量%)に対して、質量比率で、0.001以上1.0以下であり、
前記ノニオン性界面活性剤の含有量が0.05〜50g/lである、インク組成物。
一般式(Y)
Figure 2012149220
(一般式(Y)中、Mはそれぞれ独立に水素原子またはカチオンを表し、Mがカチオンを表す場合はLiイオン、Naイオン、KイオンまたはNH イオンを表す。)
Figure 2012149220
(群A中、Mはそれぞれ独立に水素原子またはカチオンを表し、Mがカチオンを表す場合はLiイオン、Naイオン、KイオンまたはNH イオンを表す。)
[2]
前記群Aより選択される化合物が、1、2、3及び8から選ばれる少なくとも1種である前記[1]に記載のインク組成物。
[3]
前記一般式(Y)で表される化合物において、Mの主成分がKイオンであり、群Aより選択される化合物において、Mの主成分がKイオンである前記[1]又は[2]に記載のインク組成物。
[4]
前記一般式(Y)で表される化合物及び群Aより選択される化合物におけるMが全てKイオンである前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のインク組成物。
[5]
前記第1の色材の含有量が、インク組成物全質量を基準として、0.1〜20質量%である前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のインク組成物。
[6]
前記第2の色材のインク組成物中における含有量(質量%)が、前記第1の色材のインク組成物中における含有量(質量%)に対して、質量比率で、0.001以上0.2以下である前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載のインク組成物。
[7]
前記第2の色材のインク組成物中における含有量(質量%)が、前記第1の色材のインク組成物中における含有量(質量%)に対して、質量比率で、0.01以上0.2以下である前記[1]〜[6]のいずれか1項に記載のインク組成物。
[8]
前記ノニオン性界面活性剤が下記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物である、前記[1]〜[7]のいずれか1項に記載のインク組成物。
Figure 2012149220
一般式(I)中、R21は炭素数5〜40のアルキル基を表す。mはエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、2〜40である。
Figure 2012149220
一般式(II)中、R24は炭素数5〜40のアルキル基を表す。mはエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、2〜40である。
[9]
前記ノニオン性界面活性剤が下記一般式(I−1)で表される化合物である、前記[8]に記載のインク組成物。
Figure 2012149220
一般式(I−1)中、R22、R23は各々炭素数4〜10の飽和炭化水素を表し、R22、R23の炭素数の合計が8〜18である。m11はエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、3〜20である。
[10]
前記ノニオン性界面活性剤が下記一般式(II−1)で表される化合物である、前記[8]に記載のインク組成物。
Figure 2012149220
一般式(II−1)中、R25、R26は各々炭素数2〜20の飽和炭化水素であり、m21はエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、2〜40である。
[11]
前記ノニオン性界面活性剤がアセチレングリコール系界面活性剤である、前記[1]〜[7]のいずれか1項に記載のインク組成物。
[12]
前記ノニオン性界面活性剤が下記一般式(III)で表される化合物である、前記[11]に記載のインク組成物。
Figure 2012149220
一般式(III)中、R31、R32はそれぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基を表す。R33は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基を表す。Xは水素原子、又は
Figure 2012149220
を表し、R34、R35はそれぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基を表す。R36は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基を表す。m、mはそれぞれエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、m+mは0〜100である。
ここで、m=0のときR33は水素原子を表し、m=0のときR36は水素原子を表す。またXが水素原子のときmは1〜100を表す。
[13]
前記ノニオン性界面活性剤が下記一般式(III−1)で表される化合物である、前記[12]に記載のインク組成物。
Figure 2012149220
一般式(III−1)中、R37、R38、R39及びR40はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を表し、m31とm41はそれぞれエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、m31+m41は0〜40である。
[14]
下記一般式(3A)で表される化合物を含む防錆剤を含む、前記[1]〜[13]のいずれか1項に記載のインク組成物。
Figure 2012149220
(一般式(3A)中、R31〜R34はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表す。Mは金属原子を表す。)
[15]
トリメチロールプロパン、ペンタエチレングリコール及び下記一般式(3B)で示される化合物よりなる群から選ばれる湿潤剤を含む、前記[1]〜[13]のいずれか1項に記載のインク組成物。
Figure 2012149220
(一般式(3B)中、R、R′及びR″は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、x、y及びzは1以上の整数を表し、かつ、x+y+zが6〜30の整数である。)
[16]
下記一般式(3C)で表される化合物を含む、前記[1]〜[13]のいずれか1項に記載のインク組成物。
一般式(3C):R−(OCHCH)n−OH(一般式(3C)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜10の整数を表す。)
[17]
ポリグリセリン及び下記一般式(3D)で示される化合物から選ばれる多価アルコールを含む、前記[1]〜[13]のいずれか1項に記載のインク組成物。
Figure 2012149220
(一般式(3D)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、m、n、o及びpは、いずれも整数であり、かつ、m+n+o+pは0〜200である。)
[18]
下記一般式(IV)で表される化合物を含有する、前記[1]〜[17]のいずれか1項に記載のインク組成物。
Figure 2012149220
一般式(IV)中、R41は炭素数1〜4のアルキル基、R42は炭素数3のアルキレン基、nは2〜5の整数を表す。
[19]
一般式(3C)で表される化合物がトリエチレングリコールモノブチルエーテルである、前記[16]に記載のインク組成物。
[20]
前記[1]〜[19]のいずれか1項に記載のインク組成物を含有するインクジェット記録用インク。
[21]
前記[20]に記載のインクジェット記録用インクを用いる、インクジェット記録方法。
[22]
支持体上に白色無機顔料粒子を含有する受像層を有する受像材料にインク滴を記録信号に応じて吐出させ、受像材料上に画像を記録するインクジェット記録方法であって、インク滴が前記[20]に記載のインクジェット記録用インクからなる、インクジェット記録方法。
本発明によれば、取り扱い性・臭気・安全性等の点から有利な水性インクであって、受像紙への適切な浸透性を有し、普通紙における光学濃度が高く、かつ即乾性に優れたインク組成物、該インク組成物を用いたインクジェット記録用インク、並びに、該インクジェット記録用インクを用いたインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明者らは、上述の従来技術の課題を踏まえて、イエローインクに用いる色材について、詳細な検討を行う必要があると考えた。
本発明者らは、色材として一般式(Y)の化合物のみを含有するインクを調製し、該インクを用いて形成した種々の画像、インクの受像紙への浸透性、普通紙における光学濃度、及び即乾性の検討を行った。その結果、色材として一般式(Y)の化合物のみを含有するインク組成物を用いて得られたインクジェット記録用インクは、ある一定以上の性能を有するものの、特にインクジェット記録用インクの受像紙への浸透性、普通紙における光学濃度、及び即乾性においては、近年の高い要求を満足させるのには未だ不十分であるとの結論に至った。特に、該インクをインクジェット記録装置に搭載した状態でインクジェット記録装置を使用せずに長期間放置させると、インクジェット記録装置によっては吐出性の低下や受像紙への浸透性、普通紙における光学濃度、及び即乾性の低下が起こることがわかった。
これらの現象について本発明者らが詳細に検討した結果、一般式(Y)の化合物の含有量が多いインクをインクジェット記録装置に搭載した状態でインクジェット記録装置を使用せずに長期間放置した後に、記録ヘッドを観察したところ、ノズル内部に異物が発生しているものがあった。この異物について検討した結果、着色剤の結晶析出に由来するものであることがわかった。このような異物が発生している記録ヘッドを使用すると、異物によって吐出性が低下することや、また、異物に起因してインクの保存安定性が低下することがわかった。
すなわち、一般式(Y)の化合物を含有するインク及び該インクを用いて形成した画像について、優れた受像紙への浸透性、普通紙における光学濃度、及び即乾性の全ての性能を満足させることは、従来の技術では不十分であった。
本発明者らは、上記の技術課題を解決するために検討を行い、本発明に至った。すなわち、本発明では、第1の色材である一般式(Y)で表される化合物と、第2の色材である下記A群から選択される少なくとも1種の化合物とを特定の質量比率で含有し、かつ一般式(2)で表される化合物を含有するインク組成物により、上記技術課題の解決を図る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のインク組成物(インクともいう)は、少なくとも、第1の色材、第2の色材、及びノニオン性界面活性剤を含有するを含有するインク組成物であって、前記第1の色材が、下記一般式(Y)で表される化合物であり、前記第2の色材が、下記群Aから選択される少なくとも1種の化合物であり、前記第2の色材のインク組成物中における含有量(質量%)が、前記第1の色材のインク組成物中における含有量(質量%)に対して、質量比率で、0.001以上1.0以下であり、前記ノニオン性界面活性剤の含有量が0.05〜50g/lであることにより、受像紙への浸透性、普通紙における光学濃度、即乾性に優れたインク組成物が提供される。
一般式(Y)
Figure 2012149220
(一般式(Y)中、Mはそれぞれ独立に水素原子またはカチオンを表し、Mがカチオンを表す場合はLiイオン、Naイオン、KイオンまたはNH イオンを表す。)
Figure 2012149220
(群A中、Mはそれぞれ独立に水素原子またはカチオンを表し、Mがカチオンを表す場合はLiイオン、Naイオン、KイオンまたはNH イオンを表す。)
インク組成物が、一般式(Y)で表される化合物と群Aから選択される少なくとも1種の化合物を前記特定範囲の比率で含有し、更にノニオン性界面活性剤を特定の含有量で含有することにより、受像紙への適切な浸透性を有し、普通紙における光学濃度が高く、かつ即乾性に優れるインク組成物が提供される。
なお、本発明においては、化合物が塩である場合は、インク組成物及びそれを用いたインク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。式(Y−1)で表される化合物は新規なアゾ化合物であり、一般式(Y)で表される化合物、及び式(Y−1)で表される化合物は本発明のインク組成物に有用である。また、以下の記載において、第1の色材である、一般式(Y)で表される化合物、及び式(Y−1)で表される化合物は、それぞれ「一般式(Y)の化合物」、及び「式(Y−1)の化合物」と省略して記載することがある。また、第2の色材である、群Aから選択される少なくとも1種の化合物は、「群Aの化合物」と省略して記載することがある。
(第1の色材)
〔一般式(Y)で表される化合物〕
本発明のインク組成物において使用する第1の色材は、一般式(Y)で表される。以下に、一般式(Y)で表される化合物について説明する。一般式(Y)で表される化合物は水溶性アゾ染料(イエロー)である。また、一般式(Y)で表される化合物を「アゾ染料」と表記する場合がある。
一般式(Y)
Figure 2012149220
一般式(Y)中、Mはそれぞれ独立に水素原子またはカチオンを表し、Mがカチオンを表す場合はLiイオン、Naイオン、KイオンまたはNH イオンを表す。
Mは、水素原子又はカチオンを表し、Mがカチオンを表す場合は、Liイオン、Naイオン、Kイオン、又はNH イオンを表す。Mは、Naイオン、Kイオン、又はNH イオンが好ましく、Naイオン又はKイオンがより好ましく、Kイオンが最も好ましい。
一般式(Y)で表される染料において、少なくとも1つのMがKイオンであることが好ましく、Mの主成分であるカウンターカチオンがKイオンであることがより好ましく、全てのMがKイオンであることが特に好ましい。
一般式(Y)で表される染料は複数種類のMが存在する混合塩の状態であってもよい。混合塩である場合、インク中に含まれる一般式(Y)で表される染料が有するMのうち、モル分率で好ましくは50〜100%、より好ましくは80〜100%、その中でも特に90〜100%のMがKイオンであることが好ましい。Kイオン以外のMとしては、Naイオン、NH イオンが好ましく、Naイオンがより好ましい。
また、混合塩ではなく、インク組成物中に含まれる全ての一般式(Y)で表される染料のMがKイオンであることも好ましい。一般的にカルボン酸の塩の水への溶解度は、K>Na>NHの序列である。したがって、K塩のモル比率が高いほうが好ましく、すべての塩がKであることが最も好ましい。
上記一般式(Y)の化合物の中でも特に、下記式(Y−1)の化合物を使用することが好ましい。
式(Y−1)
Figure 2012149220
一般式(Y)及び式(Y−1)で表される染料は、一般的な合成法で合成することが可能であり、例えば特開2004−083903号公報の[0066]及び[0067]の記載の方法と同様に合成することができる。
(第2の色材)
〔群A〕
本発明のインク組成物は、第1の色材として使用する上記で説明した前記一般式(Y)の化合物に加えて、インク組成物の貯蔵安定性、インクの着色性、印画物の画像堅牢性に優れるという特徴を有する第2の色材を特定の含有比率で含有することが必要である。本発明では、第2の色材として、下記群Aから選択される少なくとも1種の化合物を用いる。下記群Aから選択される少なくとも1種の化合物の中でも、特に化合物1、2、3、5、6又は8が好ましく、1、2、3、6又は8がより好ましく、1、2、3、又は8が更に好ましい。
第2の色材である群Aから選択される少なくとも1種の化合物は、単独でも、又は複数を組み合わせて使用してもよい。インク組成物には、前記群Aより選択される化合物として1、2、3及び8から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。第2の色材として、群Aのうち、1と2と3と5と6と8とを組み合わせて使用することが好ましく、1と2と3と6と8とを組み合わせて使用することがより好ましく、1と2と3と8とを組み合わせて使用することが更に好ましい。
また、下記群Aから選択される少なくとも1種の化合物は、前記一般式(Y)の化合物と組み合わせて用いることで相乗効果が発揮され、以下のような効果を得ることができる。すなわち、これらの色材を含有させることで、受像紙への適切な浸透性を有し、普通紙における光学濃度が高く、かつ即乾性に優れるインク組成物を提供することができる。
Figure 2012149220
群Aから選択される少なくとも1種の化合物におけるMは、水素原子、Liイオン、Naイオン、Kイオン、又はNH イオンを表し、Naイオン、Kイオン、NH イオン、が好ましく、更にNaイオン、Kイオンが好ましく、Kイオンがより好ましい。群Aから選択される少なくとも1種の化合物において、カウンターカチオンMの主成分がKイオンであることが好ましく、全てのMがKイオンであることがより好ましい。
群Aから選択される少なくとも1種の化合物は複数種類のMが存在する混合塩の状態であってもよい。混合塩である場合、インク組成物中に含まれる群Aから選択される化合物が有するMのうち、モル分率で好ましくは50〜100%、更に好ましくは80〜100%、より好ましくは90〜100%のMがKイオンであることが好ましい。Kイオン以外のMとしては、Naイオン、NH イオンが好ましく、Naイオンがより好ましい。
また、混合塩ではなく、インク組成物中に含まれる全ての群Aから選択される化合物のMがKであることが特に好ましい。全てのMがKイオンであることにより、水溶液又はインク溶液中に溶解した分子分散状態において、イオン性親水性基であるカルボキシ基又はその塩(−COM)が解離して−CO とMにイオン化した状態でカチオン種が交換することにより、より水溶液又はインク溶液に対して溶解性の低い塩の状態を形成して着色剤の塩の状態で析出することを抑制し易いといった効果が得られるためである。
群Aから選択される化合物は、一般的な合成法で合成することが可能であり、例えば特開2004−083903公報中に記載のジアゾ成分及びカップリング成分を変更、種々組み合わせることで一般式(Y)又は式(Y−1)と同様に合成することができる。
本発明においては、一般式(Y)で表される化合物において、カウンターカチオンMの主成分がKイオンであり、群Aより選択される化合物においても、カウンターカチオンMの主成分がKイオンであることが好ましい。ここで、カウンターカチオンMの主成分とは、全カウンターカチオンM中、80%以上を占めるイオン、好ましくは90%以上を占めるイオンを意味する。
一般式(Y)で表される化合物及び群Aより選択される化合物のイオン性親水性基のカウンターカチオンMの主成分がKイオンであれば、着色剤組成物又はインク溶液中の溶解性が高くなり、塩の形成・析出を抑制しインク組成物又はインク溶液の貯蔵安定性を大幅に向上することができるためである。
また、一般式(Y)で表される化合物及び群Aより選択される化合物におけるMが全てKイオンであることがより好ましい。これによりインク組成物又はインク溶液の貯蔵安定性を大幅に向上することができるためである。
本発明においては、一般式(Y)で表される化合物において、Mの主成分がKイオンであり、群Aより選択される化合物において、Mの主成分がKイオンであることが特に好ましく、一般式(Y)で表される化合物及び群Aより選択される化合物におけるMが全てKイオンであることが最も好ましい。
〔色材の検証方法〕
本発明で用いる色材がインク組成物及びインク中に含まれているか否かの検証には、液体クロマトグラフ質量分析(LC−MS)を用いた下記(1)〜(3)の検証方法が適用できる。
(1)ピークの保持時間
(2)(1)のピークについての最大吸収波長
(3)(1)のピークについてのマススペクトルのm/z(posi)、m/z(nega)
液体クロマトグラフ質量分析の分析条件は、以下に示す通りである。純水で約1,000倍に希釈した液体(インク)を測定用サンプルとした。そして、下記の条件で液体クロマトグラフ質量分析での分析を行い、ピークの保持時間(retention time)、及び、Mass実測値ピークを測定した。
<液体クロマトグラフ質量分析(LC−MS)測定条件>
・装置:Agilent1100(アジレント・テクノロジー社製)
・カラム:YMC AM−312 内径 6.0 mm× 長さ 150 mm(ワイエムシー社製)
・溶離液:A液 超純水+0.1%酢酸、0.2%トリエチルアミン
B液 メタノール+0.1%酢酸、0.2%トリエチルアミン
・移動相及びグラジエント条件:(表1(表1中、B.Conc.はB液の濃度を意味する))
Figure 2012149220
また、マススペクトルの分析条件は以下に示す通りである。得られたピークについて、下記の条件でマススペクトルを測定し、最も強く検出されたm/zをposi、negaそれぞれに対して測定する。
・装置:Applied BiosystemsTM QSTAR pulseri(ライフテクノロジー社製)
・イオン化法:ESI(posi)
・キャピラリ電圧:3.5kV
・脱溶媒ガス:300℃
・イオン源温度:120℃
・検出法:TOF−MS
・検出範囲:120〜1500
上記の方法及び条件下で、それぞれの色材の代表例として、第1の色材化合物(Y−1)、第2の色材の群A中の化合物1〜8(M=Kイオン)について測定を行った。その結果、得られた保持時間、Mass実測値{M/Z(posi)}を表2に示した。インク組成物及びインクについて、上記と同様の方法及び条件下で測定を行って、表2に示す値に該当する場合、本発明において用いる化合物に該当すると判断できる。
なお、Mは例えば、イオンクロマトグラフによる測定により検証することができる。
イオンクロマトグラフ測定条件:
装置:パーソナルイオンアナライザPIA−1000(島津製作所製)
カラム:カチオン分析用セミミクロカラムShim−pack IC−C3(S)(内径2mm × 長さ100mm)
移動相:2.5 mMシュウ酸水溶液
カラム温度:35℃
流速:0.2mL/分
Figure 2012149220
(インク組成物)
〔色材の含有量〕
本発明のインク組成物は、インク原料として、着色剤を高い濃度で含む濃厚水溶液とすることができる。濃厚水溶液の着色剤濃度は15質量%以下、好ましくは12質量%以下であることが染料の経時安定性、取り扱いの容易さ(粘度)の点で好ましく、染料の経時安定性の向上や輸送コストの抑制の観点から、8質量%以上の濃度であることが好ましい。
また、本発明のインク組成物は、インクジェット用インクとすることもできる。インクジェット用インクの着色剤濃度はインク粘度や、印画物の濃度の点で、1〜12質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましく、3〜6質量%が特に好ましい。
インク組成物中の第2の色材[群Aから選択される少なくとも1種の化合物]の含有量(質量%)は、インク組成物全質量を基準として、0.001質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以上1.5質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以上1.1質量%以下であることが更に好ましく、0.05質量%以上0.8質量%以下であることが特に好ましい。
なお、この場合の第2の色材の含有量は、他の色材との関連において、群Aから選択される少なくとも1種の化合物のいずれかを単独で用いる場合はその含有量が、また、これらから選ばれる2種以上を併用する場合はその合計含有量が、それぞれ上記の範囲を満足するように構成することがより好ましい。第1の色材及び/又は第2の色材の含有量を上記範囲とすることで、画像の耐光性と色調を満足させるだけではなく、保存安定性や記録耐久性といったインクの信頼性の点も満足させることが可能となる。
本発明のインク組成物においては、第2の色材の含有量(質量%)は、第1の色材の含有量(質量%)に対して、質量比率で、(第2の色材/第1の色材)=0.001以上1.0以下であることが必要である。(第2の色材/第1の色材)=0.001以上0.3以下であることがより好ましい。色材の含有量の質量比率を上記範囲となるように構成することで、第1の色材が有する溶解性・耐光性と第2の色材が有する溶解性・耐光性との組み合わせから予測される性能をはるかに上回る高いレベルの耐光性を有する画像を形成することができる。また、より好ましい色調の画像を得ることができる。第2の色材の含有量(質量%)は、第1の色材の含有量(質量%)に対して、質量比率で、(第2の色材/第1の色材)=0.001以上0.2以下であることが更に好ましく、0.01以上0.2以下であることが特に好ましく、0.02以上0.12以下であることが最も好ましい。色材の含有量の質量比率をこの範囲とすることで、上記の含有量の質量比率においても特に高いレベルの耐光性を有する画像を形成することができる。更には特に好ましい色調の画像を得ることができ、加えて、インクとしての信頼性も十分に満足することが可能となる。
(第2の色材/第1の色材)の質量比率が0.001以上であると、染料の析出が抑制され、インク溶液の保存安定性が向上し、1.0以下であれば、染料の経時分解が少なく、インク組成物の水溶液安定性に優れ、染料の析出、分解が抑制され、貯蔵安定性に優れる。色材の含有量の質量比率を上記範囲となるように構成することで、第1の色材が有する貯蔵安定性・画像堅牢性と、第2の色材が有する貯蔵安定性・画像堅牢性との組み合わせから予測される性能を上回る高いレベルのインク液貯蔵安定性・印画物の画像堅牢性を達成することができる。また、好ましい色調の画像が得られ、インクとしての信頼性も満足できる。
第1の色材と第2の色材とを特定の質量比率で用いることで、相乗効果が発揮され、予測を上回るインクの貯蔵安定性付与と印画物の画像堅牢化を両立できる理由を本発明者らは以下のように推測している。第1の色材は、もともと水性媒体に対する溶解性が低い傾向があるため、これらの化合物を含有するインク組成物を用いたインクを記録媒体に付与すると、その直後から速やかに色材の会合や凝集が起こる。会合や凝集は、画像を形成している記録媒体上の色材の堅牢性を向上させる傾向がある。しかし、その一方で、過度の会合や凝集は、水溶液及びインク溶液への溶解性を低下させる場合がある。これに対し、第1の色材と第2の色材とを共存させることで、記録媒体上で、第1の色材が耐光性に関して最適な会合や凝集の状態を形成し、これにより、画像の耐光性が向上したものと考えられる。
また、第1の色材と第2の色材とを特定の質量比率で用いることで、相乗効果が発揮され、インク組成物を用いたインクの信頼性が達成される理由を本発明者らは以下のように推測している。上記で述べた通り、インク中には、インクカートリッジやインク供給経路を構成する部材から溶出したと考えられる不純物が混入し、インク供給経路の目詰まりやインク供給特性の低下、インク保存安定性の低下の原因となる場合がある。本発明者らは検討の結果、第一の色材構造に類似の第二の色材をインク中に共存させることにより、インクの着色力を低下させること無く、第一の色材の結晶化抑制を付与することができ、インクの貯蔵安定性を大幅に向上させることができたと考えている。つまり、色材として第1の色材のみを使用することでは達成が困難であったインクの信頼性に関して、第2の色材を併用することにより、予想を上回る効果が得られ、十分な信頼性を達成することができるのである。
本発明のインク組成物において、一般式(Y)で表される化合物の含有量は、インク組成物全量に対し、好ましくは0.1〜20質量%含有し、より好ましくは0.2〜20質量%含有し、更に好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%含有する。前記添加量とすることで、受像紙への適切な浸透性を有し、普通紙における光学濃度が高く、かつ即乾性に優れるインク組成物とすることができる。更に、一般的なアゾ染料に比して、光、熱、空気、水、薬品等に対する堅牢性に優れるため、インク及び記録画像の保存安定性に寄与する。
本発明のインク組成物は、少なくとも、第1の色材及び第2の色材の2つの色材と、少なくとも1種のノニオン性界面活性剤とを水性媒体中に含有するインク組成物であることが好ましい。
また本発明のインク組成物は、インクジェット記録用インクとして用いられることが好ましい。すなわち、本発明は本発明のインク組成物を含有するインクジェット記録用インクにも関する。インクジェット記録用インクにおける一般式(Y)で表される染料の含有量は、上記インク組成物中における含有量と同様である。
本発明のインクジェット記録用インクは、インクジェット記録用インクの原液を水等により希釈して調整することができる。一般式(Y)で表される染料のインクジェット記録用インク原液中への添加量は、広い範囲で使用可能であるが、インクジェット記録用インク原液全量に対し、好ましくは、1〜20質量%、より好ましくは、5〜15質量%である。また本発明のインクジェット記録用インクには、本発明のインク組成物が含有していてもよい後述の成分を同様に含ませることができる。
本発明に用いられる上記イエロー染料は、優れたオゾンガスに対する強制褪色速度定数を有する。オゾンガスに対する強制褪色速度定数の測定は、当該インクのみを反射型受像媒体に印画して得られた画像の該インクの主分光吸収領域の色であってステータスAのフィルターを通して測定した反射濃度が0.90〜1.10の濃度の着色領域を初期濃度点として選択し、この初期濃度を開始濃度(=100%)とする。この画像を5mg/Lのオゾン濃度を常時維持するオゾン褪色試験機を用いて褪色させ、その濃度が初期濃度の80%となるまでの時間を測定し、この時間の逆数[hour−1]を求め、褪色濃度と時間関係が一次反応の速度式に従うとの仮定のもとに、褪色反応速度定数とする。したがって、求められる褪色速度定数は当該インクによって印画された着色領域の褪色速度定数であるが、本明細書では、この値をインクの褪色速度定数として用いる。
試験用の印画パッチは、JISコード2223の黒四角記号を印字したパッチ、マクベスチャートの階段状カラーパッチ、そのほか測定面積が得られる任意の階段濃度パッチを用いることができる。
測定用に印画される反射画像(階段状カラーパッチ)の反射濃度は、国際規格ISO5−4(反射濃度の幾何条件)を満たした濃度計によりステータスAフィルターを透した測定光で求められた濃度である。
オゾンガスに対する強制褪色速度定数測定用の試験チャンバーには、内部のオゾンガス濃度を定常的に5mg/Lに維持可能のオゾン発生装置(例えば乾燥空気に交流電圧を印可する高圧放電方式)が設けられ、曝気温度は25℃に調節される。
なお、この強制褪色速度定数は、光化学スモッグ、自動車排気、家具の塗装面や絨毯などからの有機蒸気、明室の額縁内の発生ガスなどの環境中の酸化性雰囲気による酸化の受け易さの指標であって、オゾンガスによってこれらの酸化性雰囲気を代表させた指標である。
本発明のインク組成物中の第2の色材[群Aから選択される少なくとも1種の化合物]の含有量は、以下のようにすることが好ましい。すなわち、第2の色材の含有量(質量%)は、インク組成物全質量を基準として、0.001質量%以上1.2質量%以下であることが好ましい。更には、0.001質量%以上1.0質量%以下、特には0.001質量%以上0.5質量%以下、最も好適には、0.005質量%以上0.3質量%以下となるようにする。なお、この場合の第2の色材の含有量は、他の色材との関連において、下記のようにすることが、より好ましい。群Aから選択される少なくとも1種の化合物のいずれかを単独で用いる場合はその含有量が、また、これらから選ばれる2種以上を併用する場合はその合計含有量が、それぞれ上記の範囲を満足するように構成することが好ましい。第1の色材及び/又は第2の色材の含有量を上記範囲とすることで、画像の耐光性と色調を満足させるだけではなく、保存安定性や記録耐久性といった、インク組成物を用いたインクの信頼性の点も満足させることが可能となる。
群A中の化合物1は、インク組成物全質量を基準として、0.001〜1.0質量%含まれることが好ましく、0.01〜1.0質量%含まれることがより好ましい。
群A中の化合物2は、インク組成物全質量を基準として、0.003〜3.0質量%含まれることが好ましく、0.1〜3.0質量%含まれることがより好ましい。
群A中の化合物3は、インク組成物全質量を基準として、0.001〜1.0質量%含まれることが好ましく、0.01〜1.0質量%含まれることがより好ましい。
群A中の化合物4は、インク組成物全質量を基準として、0.00〜0.5質量%含まれることが好ましい。
群A中の化合物5は、インク組成物全質量を基準として、0.0〜0.5質量%含まれることが好ましい。
群A中の化合物6は、インク組成物全質量を基準として、0.0〜0.5質量%含まれることが好ましい。
群A中の化合物7は、インク組成物全質量を基準として、0.0〜0.5質量%含まれることが好ましい。
群A中の化合物8は、インク組成物全質量を基準として、0.002〜2.0質量%含まれることが好ましく、0.05〜2.0質量%含まれることがより好ましい。
また、インク組成物中の第1の色材と、第2の色材との含有量の合計(質量%)が、インク組成物全質量を基準として、1.00質量%以上12.00質量%以下であることが好ましく、特に3.00質量%以上8.0質量%以下であることが好ましい。含有量の合計が1.00質量%以上であれば、耐光性及び発色性が十分に得られ、含有量の合計が12.00質量%以下であれば、インク中に不溶物の析出等が無くインクジェット吐出特性に優れる。
本発明においては更に、第2の色材の含有量(質量%)は、第1の色材の含有量(質量%)に対して、質量比率で、(第2の色材/第1の色材)=0.005以上0.3以下であることが好ましい。色材の含有量の質量比率を上記範囲となるように構成することで、第1の色材が有する溶解性・耐光性と第2の色材が有する溶解性・耐光性との組み合わせから予測される性能をはるかに上回る高いレベルの耐光性を有する画像を形成することができる。また、より好ましい色調の画像を得ることができる。特に、第2の色材の含有量(質量%)は、第1の色材の含有量(質量%)に対して、質量比率で、(第2の色材/第1の色材)=0.01以上0.3以下、中でも特に0.01以上0.2以下であることが好ましい。色材の含有量の質量比率をこの範囲とすることで、上記の含有量の質量比率においても特に高いレベルの耐光性を有する画像を形成することができる。更には特に好ましい色調の画像を得ることができ、加えて、インクとしての信頼性も十分に満足することが可能となる。
なお、本発明のインク組成物がインクジェット記録用インクのイエローインクである場合、イエローインクとして好ましい色調とは、以下の二つのことを意味する。すなわち、イエローインクのみを用いて形成した画像が赤味や緑味を帯びていないことを意味する。更に、これに加えて、イエローインクを用いて形成する2次色の画像、つまりレッドやグリーンの画像を形成する際に、レッド及びグリーンの色再現範囲をいずれも大きく損失することがない色調を有することを意味する。
本発明のインク組成物(好ましくはインクジェット記録用インク)には、第1の色材である前記一般式(Y)で表される水溶性アゾ染料、前記第2の色材である群Aから選ばれる少なくとも1種の化合物、及びノニオン性界面活性剤とともに色調を整えるためや性能のバランスをとるために他の染料を併用してもよい。また、フルカラーの画像を得る目的で、本発明のインク組成物とともに他の色素を含むインクを併用してもよい。併用することができる染料や色素の例としては以下を挙げることができる。
イエロー染料としては、例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などがあり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。これらの染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエローを呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、更にはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
マゼンタ染料としては、例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料、例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料、例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系染料等を挙げることができる。これらの染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてマゼンタを呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、更にはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
シアン染料としては、例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料のようなアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料、インジゴ・チオインジゴ染料を挙げることができる。これらの染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてシアンを呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、更にはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
また、ポリアゾ染料などのブラック染料も使用することができる。
水溶性染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料等が挙げられる。好ましいものとしては、
C.I.ダイレクトレッド2、4、9、23、26、31、39、62、63、72、75、76、79、80、81、83、84、89、92、95、111、173、184、207、211、212、214、218、21、223、224、225、226、227、232、233、240、241、242、243、247
C.I.ダイレクトバイオレット7、9、47、48、51、66、90、93、94、95、98、100、101
C.I.ダイレクトイエロー8、9、11、12、27、28、29、33、35、39、41、44、50、53、58、59、68、86、87、93、95、96、98、100、106、108、109、110、130、132、142、144、161、163
C.I.ダイレクトブルー1、10、15、22、25、55、67、68、71、76、77、78、80、84、86、87、90、98、106、108、109、151、156、158、159、160、168、189、192、193、194、199、200、201、202、203、207、211、213、214、218、225、229、236、237、244、248、249、251、252、264、270、280、288、289、291
C.I.ダイレクトブラック9、17、19、22、32、51、56、62、69、77、80、91、94、97、108、112、113、114、117、118、121、122、125、132、146、154、166、168、173、199
C.I.アシッドレッド35、42、52、57、62、80、82、111、114、118、119、127、128、131、143、151、154、158、249、254、257、261、263、266、289、299、301、305、336、337、361、396、397
C.I.アシッドバイオレット5、34、43、47、48、90、103、126
C.I.アシッドイエロー17、19、23、25、39、40、42、44、49、50、61、64、76、79、110、127、135、143、151、159、169、174、190、195、196、197、199、218、219、222、227
C.I.アシッドブルー9、25、40、41、62、72、76、78、80、82、92、106、112、113、120、127:1、129、138、143、175、181、205、207、220、221、230、232、247、258、260、264、271、277、278、279、280、288、290、326
C.I.アシッドブラック7、24、29、48、52:1、172
C.I.リアクティブレッド3、13、17、19、21、22、23、24、29、35、37、40、41、43、45、49、55
C.I.リアクティブバイオレット1、3、4、5、6、7、8、9、16、17、22、23、24、26、27、33、34
C.I.リアクティブイエロー2、3、13、14、15、17、18、23、24、25、26、27、29、35、37、41、42
C.I.リアクティブブルー2、3、5、8、10、13、14、15、17、18、19、21、25、26、27、28、29、38
C.I.リアクティブブラック4、5、8、14、21、23、26、31、32、34C.I.ベーシックレッド12、13、14、15、18、22、23、24、25、27、29、35、36、38、39、45、46
C.I.ベーシックバイオレット1、2、3、7、10、15、16、20、21、25、27、28、35、37、39、40、48
C.I.ベーシックイエロー1、2、4、11、13、14、15、19、21、23、24、25、28、29、32、36、39、40
C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、22、26、41、45、46、47、54、57、60、62、65、66、69、71
C.I.ベーシックブラック8、等が挙げられる。
更に本発明のインクには、顔料も併用し得る。
本技術に用いられる顔料としては、市販のものの他、各種文献に記載されている公知のものが利用できる。文献に関してはカラーインデックス(The Society of
Dyers and Colourists編)、「改訂新版顔料便覧」日本顔料技術協会編(1989年刊)、「最新顔料応用技術」CMC出版(1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版(1984年刊)、W.Herbst,K.Hunger共著によるIndustrial Organic Pigments (VCH Verlagsgesellschaft、1993年刊)等がある。具体的には、有機顔料ではアゾ顔料(アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料)、多環式顔料(フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等)、染付けレーキ顔料(酸性又は塩基性染料のレーキ顔料)、アジン顔料等があり、無機顔料では、黄色顔料のC.I.Pigment Yellow 34,37,42,53など、赤系顔料のC.I.Pigment Red 101,108など、青系顔料のC.I.Pigment Blue 27,29,17:1など、黒系顔料のC.I.Pigment Black 7,マグネタイトなど、白系顔料のC.I. Pigment White 4,6,18,21などを挙げることができる。
画像形成用に好ましい色調を持つ顔料としては、青ないしシアン顔料ではフタロシアニン顔料、アントラキノン系のインダントロン顔料(たとえばC.I.Pigment Blue 60など)、染め付けレーキ顔料系のトリアリールカルボニウム顔料が好ましく、特にフタロシアニン顔料(好ましい例としては、C.I.Pigment Blue 15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6などの銅フタロシアニン、モノクロロないし低塩素化銅フタロシアニン、アルニウムフタロシアニンでは欧州特許860475号に記載の顔料、C.I.Pigment Blue 16である無金属フタロシアニン、中心金属がZn、Ni、Tiであるフタロシアニンなど、中でも好ましいものはC.I.Pigment Blue 15:3、同15:4、アルミニウムフタロシアニン)が最も好ましい。
赤ないし紫色の顔料では、アゾ顔料(好ましい例としては、C.I.Pigment Red 3、同5、同11、同22、同38、同48:1、同48:2、同48:3、同48:4、同49:1、同52:1、同53:1、同57:1、同63:2、同144、同146、同184)など、中でも好ましいものはC.I.Pigment Red 57:1、同146、同184)、キナクリドン系顔料(好ましい例としてはC.I.Pigment Red 122、同192、同202、同207、同209、C.I.Pigment Violet 19、同42、なかでも好ましいものはC.I.Pigment Red 122)、染め付けレーキ顔料系のトリアリールカルボニウム顔料(好ましい例としてはキサンテン系のC.I.Pigment Red 81:1、C.I.Pigment Violet 1、同2、同3、同27、同39)、ジオキサジン系顔料(例えばC.I.Pigment Violet 23、同37)、ジケトピロロピロール系顔料(例えばC.I.Pigment Red 254)、ペリレン顔料(例えばC.I.Pigment Violet 29)、アントラキノン系顔料(例えばC.I.Pigment Violet 5:1、同31、同33)、チオインジゴ系(例えばC.I.Pigment Red 38、同88)が好ましく用いられる。
黄色顔料としては、アゾ顔料(好ましい例としてはモノアゾ顔料系のC.I.Pigment Yellow 1,3,74,98、ジスアゾ顔料系のC.I.PigmentYellow 12,13,14,16,17,83、総合アゾ系のC.I.Pigment Yellow 93,94,95,128,155、ベンズイミダゾロン系のC.I.Pigment Yellow 120,151,154,156,180など、なかでも好ましいものはベンジジン系化合物を原料に使用しないもの)、イソインドリン・イソインドリノン系顔料(好ましい例としてはC.I.Pigment Yellow 109,110,137,139など)、キノフタロン顔料(好ましい例としてはC.I.Pigment Yellow 138など)、フラパントロン顔料(例えばC.I.Pigment Yellow 24など)が好ましく用いられる。
黒顔料としては、無機顔料(好ましくは例としてはカーボンブラック、マグネタイト)やアニリンブラックを好ましいものとして挙げることができる。
この他、オレンジ顔料(C.I.Pigment Orange 13,16など)や緑顔料(C.I.Pigment Green 7など)を使用してもよい。
本技術に使用できる顔料は、上述の裸の顔料であっても良いし、表面処理を施された顔料でも良い。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート、ジアゾニウム塩から生じるラジカルなど)を顔料表面に結合させる方法などが考えられ、次の文献や特許に記載されている。
(1) 金属石鹸の性質と応用(幸書房)
(2) 印刷インキ印刷(CMC出版 1984)
(3) 最新顔料応用技術(CMC出版 1986)
(4) 米国特許5,554,739号、同5,571,311号
(5)特開平9−151342号、同10−140065号、同10−292143号、同11−166145号
特に、上記(4)の米国特許に記載されたジアゾニウム塩をカーボンブラックに作用させて調製された自己分散性顔料や、上記(5)の日本特許に記載された方法で調製されたカプセル化顔料は、インク中に余分な分散剤を使用することなく分散安定性が得られるため特に有効である。
本発明においては、顔料は更に分散剤を用いて分散されていてもよい。分散剤は、用いる顔料に合わせて公知の種々のもの、例えば界面活性剤型の低分子分散剤や高分子型分散剤を用いることが出来る。分散剤の例としては特開平3−69949号、欧州特許549486号等に記載のものを挙げることができる。また、分散剤を使用する際に分散剤の顔料への吸着を促進するためにシナジストと呼ばれる顔料誘導体を添加してもよい。
本技術に使用できる顔料の粒径は、分散後で0.01〜10μmの範囲であることが好ましく、0.05〜1μmであることが更に好ましい。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造時に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、縦型あるいは横型のアジテーターミル、アトライター、コロイドミル、ボールミル、3本ロールミル、パールミル、スーパーミル、インペラー、デスパーサー、KDミル、ダイナトロン、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986)に記載がある。
〔ノニオン性界面活性剤〕
次に、本発明のインク組成物(好ましくはインクジェット記録用インク)が含有するノニオン性界面活性剤について説明する。一般的に、ノニオン性界面活性剤の含有により、表面張力等のインクの液物性を調整することで、インクの吐出安定性を向上させ、画像の耐水性の向上や印字したインクの滲みの防止などに優れた効果を有することが知られている。
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、脂肪アミン塩、4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上を用いることができる。
特に、下記一般式(I)又は(II)で表される化合物あるいはアセチレングリコール系界面活性剤がより好ましい。
まず、一般式(I)で表される化合物について説明する。
Figure 2012149220
一般式(I)中、R21は炭素数5〜40、好ましくは炭素数8〜18のアルキル基を表し、直鎖であっても分岐であってもよく、また置換されていてもよい。
21で表されるアルキル基に置換可能な基としては、アリール基(例えばフェニル、o−トリル、p−トリル、p−t−ブチルフェニル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、n−ブトキシ等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)等を挙げることができる。
21で表されるアルキル基の具体例としては、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−ペンタデシル、n−オクタデシル、2−エチルヘキシル、1−エチルペンチル、1−n−ブチルペンチル、1−n−ペンチルヘキシル、1−n−ヘキシルヘプチル、1−n−ヘプチルオクチル、1−n−オクチルノニル、6−メトキシヘキシル、2−フェニルエチル等を挙げることができる。
はエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、2〜40であり、好ましくは3〜30であり、特に好ましくは3〜20である。
一般式(I)で表される化合物のうち、特に好ましいのは下記一般式(I−1)で表される化合物である。
Figure 2012149220
一般式(I−1)中、R22、R23は各々独立に炭素数4〜10の飽和炭化水素を表し、R22、R23の炭素数の合計が8〜18である。m11はエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、3〜20である。R22、R23で表される炭素数4〜10の飽和炭化水素としてはn−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル等を挙げることができる。R22とR23の炭素数の合計は8〜18であり、8〜16が更に好ましい。m11は3〜20であり、より好ましくは5〜20であり、更に好ましくは6〜18である。
以下に、一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2012149220
以下の表3に、一般式(I−1)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2012149220
次に一般式(II)で表される化合物について説明する。
Figure 2012149220
一般式(II)中、R24は炭素数5〜40、好ましくは炭素数5〜30のアルキル基を表し、直鎖であっても分岐であってもよく、また置換されていてもよい。
24で表されるアルキル基に置換可能な基としては、アリール基(例えばフェニル、o−トリル、p−トリル、p−t−ブチルフェニル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、n−ブトキシ等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)等を挙げることができる。R24で表されるアルキル基の具体例としては、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−ペンタデシル、n−オクタデシル、2−エチルヘキシル、1−エチルペンチル、1−n−ブチルヘプチル、1−n−ヘキシルノニル、1−n−ヘプチルデシル、1−n−オクチルドデシル、1−n−デシルテトラデシル、6−メトキシヘキシル、2−フェニルエチル等を挙げることができる。
はエチレンオキシドの平均付加数を表し、2〜40であり、好ましくは3〜30であり、特に好ましくは4〜20である。
一般式(II)で表される化合物のうち、特に好ましいのは下記一般式(II−1)で表される化合物である。
Figure 2012149220
一般式(II−1)中、R25、R26は各々炭素数2〜20の飽和炭化水素基であり、炭素数4〜13が好ましい。R25、R26で表される炭素数2〜20の飽和炭化水素基としてはエチル、n−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル等を挙げることができる。m21はエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、2〜40であり、3〜30が好ましい。
以下に、一般式(II)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2012149220
一般式(II−1)で表される化合物としては、例えば、2−ブチルオクタン酸のポリエチレンオキシドの片末端エステル、ウンデカン−6−オールのポリエチレンオキシド付加物などが挙げられる。以下の表4に、一般式(II−1)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2012149220
一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物は、公知の方法を用いて合成することが可能であり、例えば藤本武彦著 全訂版「新・界面活性剤入門」(1992年)94〜107頁等に記載の方法で得ることができる。
次にアセチレングリコール系界面活性剤(アセチレン系ポリオキシエチレンオキシドを含む)について説明する。
アセチレングリコール系界面活性剤は、他の界面活性剤と比較して、表面張力及び界面張力を適正に保つ能力に優れており、かつ起泡性がほとんどないという特性を有する。これにより、アセチレングリコール系界面活性剤を含有するインクは、表面張力やヘッドノズル面などインクと接触するプリンター部材との界面張力を適正に保つことができる。またアセチレングリコール系界面活性剤によって、インクの液物性をより好適に調整することもできる。更に、インクの加温保存安定性をより向上させることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オールなどが挙げられるが、その他にも、下記一般式(III)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2012149220
式中R31、R32はそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基を表す。
更に詳しく説明すると、R31、R32はそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル等)を表し、置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)等を挙げることができる。このうち、R31、R32としては炭素数1〜12の無置換の直鎖アルキル基若しくは無置換の分岐アルキル基が好ましく、その特に好ましい具体例としてはメチル、エチル、n−ブチル、2−メチルブチル、2,4−ジメチルペンチル等を挙げることができる。
33は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基を表し、アルキル基、フェニル基は置換されていてもよい。
33のアルキル基の置換基としては、アルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ等)、フェニル基を挙げることができる。R33のフェニル基の置換基としては、アルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)等を挙げることができる。R33のうち好ましいのは、水素原子あるいは炭素数1〜4のアルキル基であり、特に好ましいのは水素原子である。
Xは水素原子、又は
Figure 2012149220
を表し、R34、R35はそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基を表す。R34、R35の好ましい置換基や具体例は、上記のR31、R32と同じ群から選ばれる置換基や具体例である。R36は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基を表し、その好ましい具体例は上記のR33と同じ群から選ばれる置換基や具体例である。
、mはそれぞれエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、m+mは0〜100、好ましくは0〜50、特に好ましくは0〜40である。
ここで、m=0の時R33は水素原子を表し、m=0の時R36は水素原子を表す。 またXが水素原子を表す時、mは1〜100を表し、好ましくは1〜50、特に好ましくは1〜40を表す。
一般式(III)で表される化合物のうち、特に好ましいのは下記一般式(III−1)で表される化合物である。
Figure 2012149220
式中、R37、R38、R39及びR40は、それぞれ独立に、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を表す。m31とm41はそれぞれエチレンオキシドの付加モル数を表し、それらの和が0〜40、好ましくは2〜20となる数である。
以下に、一般式(III)又は一般式(III−1)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2012149220
Figure 2012149220
Figure 2012149220
一般式(III)又は一般式(III−1)で表される化合物は、公知の方法を用いて合成することが可能であり、例えば藤本武彦著 全訂版「新・界面活性剤入門」(1992年)94頁〜107頁等に記載の方法で得ることができる。
また、一般式(III)又は一般式(III−1)で表される化合物は市販品としても容易に入手することができ、その具体的な商品名としてはサーフィノール61,82,104,104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420,440,465,485,504、CT−111,CT−121,CT−131,CT−136,CT−141,CT−151,CT−171,CT−324,DF−37,DF−58,DF−75,DF−110D,DF−210,GA,OP−340,PSA−204,PSA−216,PSA−336,SE,SE−F,TG、GA、ダイノール604(以上、日信化学(株)及びAirProducts&Chemicals社)、オルフィンA,B,AK−02,CT−151W,E1004,E1010,P,SPC,STG,Y,32W、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、SK−14、AE−3(以上、日信化学(株))アセチレノールE00、E13T、E40、E60、E81、E100、E200(以上全て商品名、川研ファインケミカル(株)社製)等を挙げることができる。なかでもサーフィノール465、オルフィンE1010、アセチレノールE100、E200が好適である。
一般式(III−1)で表される化合物としては、例えば、アセチレン系ジオールのエチレンオキシド付加物(SURFYNOLシリーズ(AirProducts&Chemicals社))などが好ましく、なかでも分子量が200以上1000以下のものが好ましく、分子量300以上900以下のものが更に好ましく、分子量400以上900以下のものが特に好ましい。
本発明でインク組成物に含有させるノニオン性界面活性剤としては、インクからの析出や分離が起こりにくく、発泡性が少ないことが好ましく、この観点から、疎水性部位の中央付近に親水性基を有するノニオン性界面活性剤、更に疎水性部位が2本鎖若しくは疎水性部位が分岐しているノニオン性界面活性剤が好ましい。なかでも、疎水性部位が2本鎖若しくは疎水性部位が分岐しているノニオン性界面活性剤として一般式(I−1)又は一般式(II−1)で表される化合物、疎水性部位の中央付近に親水性基を有するノニオン性界面活性剤として一般式(III−1)で表される化合物が好ましい。特に、アセチレングリコール系界面活性剤に相当するものが好ましい。
本発明のインク組成物におけるノニオン性界面活性剤の含有量は、0.05〜50g/Lであり、好ましくは0.05〜30g/L、更に好ましくは0.1〜20g/Lである。インク組成物中の界面活性剤が0.05g/L以上であると、吐出安定性の低下、混色時の滲みの発生、ひげ発生などのように印字品質が著しく低下することを抑制する傾向がある。またインク組成物中のノニオン性界面活性剤が50g/L以下であると、吐出時、ハード表面へのインクの付着等により印字不良となることを抑制する傾向がある。この観点から、本発明のインクの静的表面張力は、25℃において20mN/m以上が好ましく、25mN/m以上がより好ましい。また、25℃において60mN/m以下が好ましく、50mN/m以下がより好ましく、40mN/m以下が特に好ましい。
本発明のインク組成物又はインクジェット記録用インクにおいて、一般式(Y)で表される染料の含有量に対するノニオン性界面活性剤の含有量の比(ノニオン性界面活性剤/一般式(Y)で表される染料)は、質量比で0.02〜1.5であることが好ましく、0.05〜1.2であることがより好ましく、0.1〜1.0であることが特に好ましい。
本発明のインク組成物は、更に、以下の〔1〕〜〔4〕の添加剤の少なくともいずれかを含むことが好ましい。〔1〕下記一般式(3A)で表される化合物を含む防錆剤。
Figure 2012149220
(一般式(3A)中、R31〜R34はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表す。Mは金属原子を表す。)
〔2〕トリメチロールプロパン、ペンタエチレングリコール及び下記一般式(3B)で示される化合物よりなる群から選ばれる湿潤剤。
Figure 2012149220
(一般式(3B)中、R、R′及びR″は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、x、y及びzは1以上の整数を表し、かつ、x+y+zが6〜30の整数である。)
〔3〕下記一般式(3C)で表される化合物。
一般式(3C):R−(OCHCH)n−OH(一般式(3C)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜10の整数を表す。)
〔4〕ポリグリセリン及び下記一般式(3D)で示される化合物から選ばれる多価アルコール。
Figure 2012149220
(一般式(3D)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、m、n、o及びpは、それぞれ独立に整数を表し、かつ、m+n+o+pは0〜200である。)
上記〔1〕〜〔4〕の添加剤の少なくともいずれかを含むことによりインク組成物のコゲーションが効果的に抑制される。また、このコゲーション抑制効果は、上記の界面活性剤としてアセチレングリコール系界面活性剤を使用した場合に、より顕著になる。
以下に、上記〔1〕〜〔4〕の添加剤(以下、コゲーション防止剤とも称する)について詳細に説明する。
〔1〕下記一般式(3A)で表される化合物を含む防錆剤。
Figure 2012149220
(一般式(3A)中、R31〜R34はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表す。Mは金属原子を表す。)
上記一般式(3A)で表される化合物は、理由は明確ではないが、インク組成物の分散を安定化させ、凝集を抑制するため、経時によるインクの粘度上昇や粒径増大を防止でき、コゲーション防止及びメンテナンス性に優れるインクが得られ、インクの保存安定性を向上させることができる。
一般式(3A)中、R31が表すアルキル基としては、炭素数8〜20のアルキル基が好ましく、炭素数8〜16のアルキル基がより好ましく、炭素数10〜14のアルキル基が更に好ましい。具体的には、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、セチル基などが挙げられる。
32が表すアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基などが挙げられる。
33及びR34が表すアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。
31としては、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基が特に好ましい。
32としては、メチル基、エチル基、プロピル基が特に好ましい。
33及びR34としては、水素原子が特に好ましい。
が表す金属原子としては、Li、Na、K、Mg、などが挙げられる。好ましくはLi、Na、Kであり、よりに好ましくはNaである。
以下、一般式(3A)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明は以下の具体例に制限されるものではない。
Figure 2012149220
一般式(3A)で表される化合物としては、例えば、サルコシネートLN−30(以上商品名、日本ケミカルス(株)製)が市販品としても入手可能である。
本発明における上記防錆剤の添加量は、インクの保存安定性、コゲーション防止、メンテナンス性の観点から、インク全量に対して質量基準で、0.01%〜10%の範囲が好ましく、0.05%〜10%の範囲がより好ましい。
〔2〕トリメチロールプロパン、ペンタエチレングリコール及び下記一般式(3B)で示される化合物よりなる群から選ばれる湿潤剤。
Figure 2012149220
(一般式(3B)中、R、R′及びR″は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、x、y及びzは1以上の整数を表し、かつ、x+y+zが6〜30の整数である。)
上記湿潤剤を使用することにより、コゲーション、加温インク保存性、メンテナンス性についての改善が認められる。
理由は明確ではないが、発熱素子表面への堆積が抑制されるため、コゲーション防止及びメンテナンス性に優れる。また、分散性に優れていて、凝集が抑制されるため、インクの加温保存安定性に優れると考えられる。
これらの湿潤剤は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また本発明の効果の観点から、なかでも上記一般式(3B)で示される化合物(以下、「化合物(3B)」という場合がある。)を使用することが好ましい。
これらの湿潤剤は、公知の合成方法により合成することができる。また市販品として、例えば、トリメチロールプロパンは、三菱ガス化学工業(株)から、ペンタエチレングリコールは、新成化学(有)から入手可能である。
化合物(3B)は、付加物を生成するのに好適な条件の下で、グリセロールに必要な量のアルキレンオキシド(すなわち、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はこれらの混合物)を添加することによって製造することができる。
また市販品として、例えば、R、R′及びR″が水素原子である化合物(3B)については、x+y+zが26の化合物は「Liponic EG−1(商品名)」(リポケミカルズ社製)として、x+y+zが7の化合物は「Liponic EG−7(商品名)」(リポケミカルズ社製)として、入手可能である。なお、化合物(3)は、アルキレンオキシドとグリセロールの低分子量付加物であるので、分子量は通常2000以下である。
本発明における上記湿潤剤の添加量は、インクの吐出精度、インクの加温保存安定性、コゲーション防止、メンテナンス性の観点から、インク全量に対して質量基準で、0.1%〜20%の範囲が好ましく、0.2%〜10%の範囲がより好ましい。
〔3〕下記一般式(3C)で表される化合物。
一般式(3C):R−(OCHCH)n−OH(一般式(3C)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜10の整数を表す。)
上記化合物を使用すると、理由は明確ではないが、発熱素子表面への堆積が抑制されるため、コゲーション、メンテナンス性が向上する。また、更に、特に、上記アセチレングリコール系界面活性剤との併用により、分散性に優れていて、凝集が抑制されるため、インクの保存安定性に優れると考えられる。
一般式(3)中、Rが表すアルキル基としては具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。好ましくは、n−プロピル基、n−ブチル基であり、より好ましくはn−ブチル基である。
nは2〜10の整数を表し、好ましくは3〜8の整数であり、より好ましくは4〜6の整数である。
一般式(3C)で表される化合物は、エチレンオキサイドを付加させていく方法により合成することができる。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等を出発材料として、これにエチレンオキサイドを付加させることによって合成することができる。より具体的には、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルに、触媒として水酸化カリウムを用いて加熱し、エチレンオキサイドを注入して合成できる。
一般式(3C)で表される化合物の具体例としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられ、なかでも、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましく、トリエチレングリコールモノブチルエーテルが特に好ましい。
本発明における一般式(3C)で表される化合物の添加量は、インクの保存安定性、コゲーション防止、メンテナンス性の観点から、インク全量に対して質量基準で、0.01%〜15%の範囲が好ましく、0.05%〜10%の範囲がより好ましい。
〔4〕ポリグリセリン及び下記一般式(3D)で示される化合物から選ばれる多価アルコール。
Figure 2012149220
(一般式(3D)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、m、n、o及びpは、いずれも整数であり、かつ、m+n+o+pは0〜200である。)
上記の多価アルコールを使用することにより、理由は明確ではないが、発熱素子表面への堆積が抑制され、分散性に優れていて、凝集が抑制されるため、コゲーション、加温インク保存性、メンテナンス性についての改善が認められる。
これらの多価アルコールは、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また効果の観点から、なかでも上記一般式(3D)で示される化合物(以下、「化合物(3D)」という場合がある。)を使用することが好ましい。
一般式(3D)において、Rで表されるアルキル基としては、炭素原子数1〜3のメチル基、エチル基又はプロピル基であることが好ましい。炭素原子数が6以上の化合物では、インクへの溶解が困難となる。
m、n、o及びpは、いずれも「CHCHRO」で示される構造単位の繰り返し数を示す整数である。m+n+o+pの合計値は、0〜200の範囲の整数であり、好ましくは0〜150の範囲、より好ましくは1〜130の範囲である。これらの合計値が200より大きい化合物では、インクの粘度が極めて高くなり、目詰まりを発生し易くなる。
一般式(3D)で表される化合物としては、例えば、SC−E450(Rが水素原子、m+n+o+pの合計値が約6)、SC−E750(Rが水素原子、m+n+o+pの合計値が約13)、SC−E1000、SC−E1500、SC−E2000、SC−P400(Rがメチル基、m+n+o+pの合計値が約4)、SC−P750、SC−P1000、SC−P1200、SC−P1600、SY−DP20、SY−DP14、SY−DP14T、SY−DP9、SY−DP4(以上全て商品名、坂本薬品社製)が市販品として入手可能である。
ポリグリセリンとしては、特に限定はされないが、重合度が2〜30(分子量:166〜2500)の範囲のものが好ましい。ポリグリセリンは公知の合成方法により合成することができるが、市販品として、例えば、坂本薬品工業株式会社のポリグリセリン#310、ポリグリセリン#500、ポリグリセリン#750(商品名)として入手することもできる。
本発明における多価アルコールの添加量は、インクの吐出精度、インクの加温保存安定性、コゲーション防止、メンテナンス性の観点から、インク全量に対して質量基準で、0.01%〜20%の範囲が好ましく、0.05%〜15%の範囲がより好ましい。
次に、乾燥防止剤、浸透防止剤について説明する。本発明のインク組成物には、インクの噴射口での乾操による目詰まりを防止するために乾燥防止剤やインクを紙によりよく浸透させたりするために浸透促進剤を用いることが好ましい。
乾燥防止剤としては水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50質量%含有することが好ましい。
浸透促進剤としてはエタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を用いることができる。これらは印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
本発明では、下記一般式(VI)で表される化合物を乾燥防止剤あるいは浸透促進剤として使用することが好ましい。
Figure 2012149220
一般式(VI)中、R41は炭素数1〜4のアルキル基、R42は炭素数3のアルキレン基、nは2〜5の整数を表す。
一般式(VI)で表される化合物は、具体的には、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。
一般式(VI)で表される化合物は、インク組成物(好ましくはインクジェット記録用インク)中に5〜50質量%含有させるのが好ましく、10〜40質量%含有させるのがより好ましい。
なお、上記多価アルコールのモノあるいはジアルキルエーテルは界面活性能を有するが、本発明では、これらは乾燥防止剤あるいは浸透促進剤とみなし、前記で説明した界面活性剤とはみなさない。
次に、本発明のインク組成物の作製方法等について説明する。
本発明のインク組成物は、水性媒体中に染料を溶解させ、更に特定量の界面活性剤を添加し、更に必要に応じて乾燥防止剤や浸透防止剤などの添加剤を添加することによって作製することができる。本発明における「水性媒体」とは、水又は水と少量の水混和性有機溶剤との混合物に、必要に応じて湿潤剤、安定剤、防腐剤等の添加剤を添加したものを意味する。
本発明のインク液を調液する際には、水溶性インクの場合、まず水に溶解することが好ましい。そのあと、各種溶剤や添加物を添加し、溶解、混合して均一なインク液とする。
このときの溶解方法としては、攪拌による溶解、超音波照射による溶解、振とうによる溶解等種々の方法が使用可能である。なかでも特に攪拌法が好ましく使用される。攪拌を行う場合、当該分野では公知の流動攪拌や反転アジターやディゾルバを利用した剪断力を利用した攪拌など、種々の方式が利用可能である。一方では、磁気攪拌子のように、容器底面との剪断力を利用した攪拌法も好ましく利用できる。
水性のインクジェット用インクの調製方法については、特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号、特開2002−020657号、特開2002−060663号の各公報に詳細が記載されていて、本発明のインクジェット記録用インクの調製にも利用できる。
本発明のインクは、一般式(Y)で表される少なくとも1種の水溶性染料を、水性媒体中に溶解してなり、更にノニオン性界面活性剤を0.05〜50g/l含有してなるものである。水性媒体中には水混和性有機溶剤を含有してもよく、水性媒体中に含まれる水混和性有機溶剤は、使用される染料の25℃における溶解度が10(g/100g溶剤)以下のものが好ましい。ここで溶解度とは溶剤100g中にある一定の温度で溶解可能な溶質の質量を表し、単位は「g/100g溶剤である。
本発明の染料はその構造によって溶解性に多少変動があるが、本発明のインクは、染料種によってその溶解度が10(g/100g溶剤)以下となるような水混和性有機溶剤を適宜選択することが好ましい。
本発明の染料の25℃における溶解度は、より好ましくは8(g/100g溶剤)以下であり、更に好ましくは5(g/100g溶剤)以下である。
また、該水混和性有機溶剤は、少なくとも1種がアルコール及び/又はその誘導体含む2種以上からなる混合物であることが好ましい。水混和性有機溶剤の添加量は1〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜50質量%である。この値とすることで、インクの安定性、吐出安定性、乾燥性が良好となる傾向にある。
前記水混和性有機溶剤の例は、以下のものが挙げられる。下記の中から本発明に適切な水混和性有機溶剤を選ぶことができる。
アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングルコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、
エチレングリコールジアセテート、エチレングルコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミンン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、エチレン尿素(2−イミダゾリジノン)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン、ジアセトンアルコール)。なお、前記水混和性有機溶剤は、二種類以上を併用してもよい。
本発明で併用する前記他の染料が油溶性染料の場合は、該油溶性染料を高沸点有機溶媒中に溶解させ、水性媒体中に乳化分散させることによって調製することができる。
用いられる高沸点有機溶媒の沸点は150℃以上であるが、好ましくは170℃以上である。
高沸点有機溶媒は油溶性染料に対して質量比で0.01〜3倍量、好ましくは0.01〜1.0倍量で使用できる。
これらの高沸点有機溶媒は単独で使用しても、数種の混合で使用してもよい。
本発明では油溶性性染料や高沸点有機溶媒は、水性媒体中に乳化分散して用いられる。乳化分散の際、乳化性の観点から場合によっては低沸点有機溶媒を用いることができる。低沸点有機溶媒としては、常圧で沸点約30℃以上150℃以下の有機溶媒である。
乳化分散は、高沸点有機溶媒と場合によっては低沸点有機溶媒の混合溶媒に染料を溶かした油相を、水を主体とした水相中に分散し、油相の微小油滴を作るために行われる。この際、水相、油相のいずれか又は両方に、前述したノニオン性以外の界面活性剤、湿潤剤、染料安定化剤、乳化安定剤、防腐剤、防黴剤等の添加剤を必要に応じて添加することができる。
乳化法としては水相中に油相を添加する方法が一般的であるが、油相中に水相を滴下して行く、いわゆる転相乳化法も好ましく用いることができる。
本発明では以上の化合物のほかにインクジェット用記録インクとして用いる場合には、インクを紙により浸透させるための浸透促進剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、分散剤、分散安定剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、キレート剤等の添加剤を適宜選択して適量使用することができる。
本発明に使用される浸透促進剤としてはエタノール、イソプロパノール、ブタノール,ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等も用いることができる。これらはインク中に10〜30質量%含有すれば充分な効果があり、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
本発明で画像の保存性を向上させるために使用される紫外線吸収剤としては特開昭58−185677号公報,同61−190537号公報,特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
本発明で画像の保存性を向上させるために使用される酸化防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
本発明に使用される防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜5.00質量%使用するのが好ましい。なお、これらの詳細については「防菌防黴辞典」(日本防菌防黴学会辞典編集委員会編)等に記載されている。又、防錆剤としては例えば、酸性亜鉛硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、4硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらはインク中の0.02〜5.00質量%使用するのが好ましい。
本発明に使用されるpH調整剤はpH調節、分散安定性付与などの点で好適に使用する事ができ、25℃でのインクのpHが8〜11に調整されているものである。pHが8未満である場合は染料の溶解性が低下してノズルが詰まりやすく、11を超えると耐水性が劣化する。pH調整剤としては、塩基性のものとして有機塩基、無機アルカリ等が、酸性のものとして有機酸、無機酸等が挙げられる。
前記有機塩基としてはトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンなどが挙げられる。前記無機アルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなど)、炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど)、アンモニウムなどが挙げられる。また、前記有機酸としては酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、アルキルスルホン酸などが挙げられる。前記無機酸としては、塩酸,硫酸、リン酸などが挙げられる。
本発明で用いるインクの表面張力は25℃において20〜50mN/m以下であることが好ましく、20〜40mN/m以下であることが更に好ましい。この値とすることで、吐出安定性、印字品質が良好となる傾向にあり、吐出時のノズル周辺部へのインクの付着等による印字不良を防止し易くなる。
本発明に用いられるインクの粘度は30mPa・s以下が好ましい。更に20mPa・s以下に調整することがより好ましいので、粘度を調整する目的で、粘度調整剤が使用されることがある。粘度調整剤としては、例えば、セルロース類、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーやノニオン系界面活性剤等が挙げられる。更に詳しくは、「粘度調整技術」(技術情報協会、1999年)第9章、及び「インクジェットプリンタ用ケミカルズ(98増補)−材料の開発動向・展望調査−」(シーエムシー、1997年)162〜174頁に記載されている。
更に本発明において、ポリマー微粒子分散物を用いることもできる。これらの詳細については特開2002−264490号公報に記載されている。
本発明では分散剤、分散安定剤として上述のカチオン、アニオン、ノニオン系の各種界面活性剤、消泡剤としてフッソ系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も必要に応じて使用することができる。
本発明のインクは公知の被記録材、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成するのに用いることができる。
以下に本発明のインクを用いてインクジェットプリントをするのに用いられる記録紙及び記録フィルムについて説明する。記録紙及び記録フィルムおける支持体はLBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等をからなり、必要に応じて従来の公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚み10〜250μm、坪量は10〜250g/mが望ましい。支持体には、そのままインク受容層及びバックコート層を設けてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、インク受容層及びバックコート層を設けてもよい。更に支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。本発明では支持体としては、両面をポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及びそれらのコポリマー)でラミネートした紙及びプラスチックフイルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィンポリオレフィン中に、白色顔料(例、酸化チタン、酸化亜鉛)又は色味付け色素(例、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
支持体上に設けられるインキ受容層には、顔料や水性バインダーが含有される。顔料としては、白色顔料がよく、白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の無機白色顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。インク受容層に含有される白色顔料としては、多孔性無機顔料がよく、特に細孔面積が大きい合成非晶質シリカ等が好適である。合成非晶質シリカは、乾式製造法(気相法)によって得られる無水珪酸及び湿式製造法によって得られる含水珪酸のいずれも使用可能であるが、特に含水珪酸を使用することが望ましい。これらの顔料は2種以上を併用しても良い。
上記顔料を受像層に含有する記録紙としては、具体的には、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同10−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号などに開示されたものを用いることができる。
インク受容層に含有される水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。これらの水性バインダーは単独又は2種以上併用して用いることができる。本発明においては、これらの中でも特にポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコールが顔料に対する付着性、インク受容層の耐剥離性の点で好適である。
インク受容層は、顔料及び水性結着剤の他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、耐オゾン性向上剤、界面活性剤、その他の添加剤を含有することができる。
インク受容層中に添加する媒染剤は、不動化されていることが好ましい。そのためには、ポリマー媒染剤が好ましく用いられる。
ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される
耐水化剤は、画像の耐水化に有効であり、これらの耐水化剤としては、特にカチオン樹脂が望ましい。このようなカチオン樹脂としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、ポリアミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、カチオンポリアクリルアミド等が挙げられる。これらのカチオン樹脂の含有量は、インク受容層の全固形分に対して1〜15質量%が好ましく、特に3〜10質量%であることが好ましい。
耐光性向上剤、耐ガス性向上剤としては、フェノール化合物、ヒンダードフェノール化合物、チオエーテル化合物、チオ尿素化合物、チオシアン酸化合物、アミン化合物、ヒンダードアミン化合物、TEMPO化合物、ヒドラジン化合物、ヒドラジド化合物、アミジン化合物、ビニル基含有化合物、エステル化合物、アミド化合物、エーテル化合物、アルコール化合物、スルフィン酸化合物、糖類、水溶性還元性化合物、有機酸、無機酸、ヒドロキシ基含有有機酸、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物、ヘテロ環化合物、水溶性金属塩、有機金属化合物、金属錯体等が挙げられる。
これらの具体的な化合物例としては、特開平10−182621号、特開2001−260519号、特開2000−260519号、特公平4−34953号、特公平4−34513号、特公平4−34512号、特開平11−170686号、特開昭60−67190号、特開平7−276808号、特開2000−94829号、特表平8−512258号、特開平11−321090号等に記載のものが挙げられる。
界面活性剤は、塗布助剤、剥離性改良剤、スベリ性改良剤あるいは帯電防止剤として機能する。界面活性剤については、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載がある。
界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同62−135826号の各公報に記載がある。
硬膜剤としては特開平1−161236号公報の222頁、特開平9−263036号、特開平10−119423号、特開2001−310547号、に記載されている材料等を用いることが出来る。
その他のインク受容層に添加される添加剤としては、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、pH調整剤、マット剤、硬膜剤等が挙げられる。なお、インク受容層は1層でも2層でもよい。
記録紙及び記録フィルムには、バックコート層を設けることもでき、この層に添加可能な成分としては、白色顔料、水性結着剤、その他の成分が挙げられる。バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に含有される水性バインダーとしては、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
インクジェット記録紙及び記録フィルムの構成層(バック層を含む)には、ポリマーラテックスを添加してもよい。ポリマーラテックスは、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマーラテックスについては、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマーラテックスを媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマーラテックスをバック層に添加しても、カールを防止できる。
本発明は、本発明に係るインクジェット記録用インクを用いるインクジェット記録方法にも関する。
本発明のインクはインクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用いられる。
インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
好ましい被記録材と記録方式の組み合わせは、支持体上に白色無機顔料粒子を含有する受像層を有する受像材料にインク滴を記録信号に応じて吐出させ、受像材料上に画像を記録するインクジェット記録方法である。
本発明のインクジェット記録用インクは、インクジェット記録以外の用途に使用することもできる。例えば、ディスプレイ画像用材料、室内装飾材料の画像形成材料及び屋外装飾材料の画像形成材料などに使用が可能である。
ディスプレイ画像用材料としては、ポスター、壁紙、装飾小物(置物や人形など)、商業宣伝用チラシ、包装紙、ラッピング材料、紙袋、ビニール袋、パッケージ材料、看板、交通機関(自動車、バス、電車など)の側面に描画や添付した画像、ロゴ入りの洋服、等各種の物を指す。本発明の染料をディスプレイ画像の形成材料とする場合、その画像とは狭義の画像の他、抽象的なデザイン、文字、幾何学的なパターンなど、人間が認知可能な染料によるパターンをすべて含む。
室内装飾材料としては、壁紙、装飾小物(置物や人形など)、照明器具の部材、家具の部材、床や天井のデザイン部材等各種の物を指す。本発明の染料を画像形成材料とする場合、その画像とは狭義の画像の他、抽象的なデザイン、文字、幾何学的なパターンなど、人間が認知可能な染料によるパターンをすべて含む。
屋外装飾材料としては、壁材、ルーフィング材、看板、ガーデニング材料屋外装飾小物(置物や人形など)、屋外照明器具の部材等各種の物を指す。本発明の染料を画像形成材料とする場合、その画像とは狭義の画像ののみならず、抽象的なデザイン、文字、幾何学的なパターンなど、人間が認知可能な染料によるパターンをすべて含む。
以上のような用途において、パターンが形成されるメディアとしては、紙、繊維、布(不織布も含む)、プラスチック、金属、セラミックス等種々の物を挙げることができる。染色形態としては、媒染、捺染、若しくは反応性基を導入した反応性染料の形で色素を固定化することもできる。この中で、好ましくは媒染形態で染色されることが好ましい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、これに限定されるものではない。(合成例)
以下、実施例に本発明の染料混合物の合成法を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
本発明の式(Y−1)で表される染料は、例えば下記合成ル−トから誘導することができる。
以下の実施例において、λmaxは吸収極大波長であり、εmaxは吸収極大波長におけるモル吸光係数を意味する。
Figure 2012149220
(合成例1)
DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)450mLと1,2−ジクロロエタン24.75g中に、室温で化合物(a)(2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール(和光純薬工業(株)製/カタログ番号019−11125))76.5gを加え、炭酸カリウム79.5gを添加後に70℃まで昇温して同温度で30分間撹拌した。引き続き、80℃の温水375mLを上記反応液中に10分間かけて滴下し、内温25℃まで冷却した。析出した結晶をろ別し、イオン交換水250mL、引き続きメタノール150mLで洗浄後70℃にて一晩乾燥して化合物(b)65.1gを得た。
(合成例2)
アミノイソフタル酸((和光純薬工業(株)製/カタログ番号322−26175))(A)181.2gをイオン交換水1000mlに懸濁後、濃塩酸257mLを添加し、氷浴で5℃に保った。そこへ亜硝酸ナトリウム69.7gの水溶液116mlを滴下した(反応液A)。亜硫酸ナトリウム378.1gの水溶液1300mlを内温25℃で攪拌し、そこへ上記反応液Aを注入した。この状態で30分攪拌した後、内温を30℃まで加熱して、60分攪拌した。この反応液に塩酸500mLを添加し、すぐに内温50℃まで昇温した(反応液B)。この状態で90分攪拌した後に、ピバロイルアセトニトリル(東京化成(株)製/カタログ番号P1112)125.2gとイソプロパノール(IPA)100mLを上記反応液Bに添加後、内温を93℃まで昇温し、240分間攪拌した。室温まで冷却後、析出した結晶(C)を吸引濾過し、結晶をイオン交換水1500mL、続いてイソプロパノール1000mLで洗浄後乾燥した。単離収率223.5g。収率73.7%。
(合成例3)
メタンスルホン酸100mL、酢酸120mL、プロピオン酸180mL中に、室温で化合物(b)29.2gを添加し、内温を45℃まで昇温して均一溶液にした後に内温0℃まで冷却した。引き続き、NaNO14.7gとイオン交換水27mLの溶液を上記均一溶液中に内温0〜10℃を保ちながら滴下し、内温5℃で15分間撹拌して、ジアゾニウム塩を調製した。合成例2で作成したカプラー成分(C)60.6g、メタノール600mL、エチレングリコール600mLから予め作成した溶液に、内温0〜10℃を保つ速度で上記ジアゾニウム塩溶液を滴下した。引き続く、内温25℃で30分間撹拌した。析出した結晶をろ過し、メタノール250mLで洗浄後、粗結晶を650mLの水に分散し、その後内温80℃で30分間撹拌後室温まで冷却し、ろ過、水300mLで洗浄後、60℃で一晩乾燥して、64.47gの色素(D)を得た。
(合成例4)
予め調製したKOH(錠剤)16.5gとイオン交換水414.9mLの溶液中に、内温20〜30℃で上記合成例3で作成した色素(D)46.1gを添加して溶解した。
引き続き、酢酸カリウム40.0gとメタノール200mLの溶液を上記色素水溶液中に内温25℃で滴下し、引き続き同温で10分間撹拌した。その後、IPA(イソプロピルアルコール)2488mLを滴下して造塩し、同温度で30分間撹拌後にろ過、IPA500mLで洗浄、70℃で一晩乾燥して、44gの色素(Y−1)の粗結晶を得た。
(合成例5)
イオン交換水78.3mLに粗結晶(Y−1)8.7gを室温で溶解後、0.1N塩酸を用いて水溶液のpH値を8.5に調整し、0.2μmのメンブランフィルターでろ過後、ろ液中にIPA391.5mLを内温25℃で滴下した。析出した結晶をろ過、IPA100mLで洗浄後、80℃で一晩乾燥して、7.8gの色素(Y−1)の精結晶を得た。
{λmax:428nm(HO)、εmax:4.20×10
(合成例6)
合成例4のKOHをNaOHに、酢酸カリウムを酢酸ナトリウムに変更した以外は、合成例4及び合成例5と同様の操作を行い、7.7gの色素{(Y−2):一般式(Y)中のM=Na}の精結晶を得た。
(合成例7)
合成例4のKOHをLiOHに、酢酸カリウムを酢酸リチウムに変更した以外は、合成例4及び合成例5と同様の操作を行い、7.4gの色素{(Y−3):一般式(Y)中のM=Li}の精結晶を得た。
(合成例8)
合成例4のKOHをNHOHに、酢酸カリウムを酢酸アンモニウムに変更した以外は、合成例4及び合成例5と同様の操作を行い、7.3gの色素{(Y−4):一般式(Y)中のM=NH }の精結晶を得た。
〔実施例1〜9及び比較例1〜3〕
<実施例1:インク液1>
以下の成分に超純水を加え1000gとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間攪拌溶解した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧ろ過しイエローインクを調製した。
式(Y−1)で表される水溶性染料(第1の色材) 50g
群A中の1(M=Kイオン)/2(M=Kイオン)/3(M=Kイオン)/8(M=Kイオン)=1/3/1/2(質量比)(第2の色材) 5g
グリセリン 90g
ジエチレングリコール 100g
2−ピロリドン 60g
エチレン尿素 50g
界面活性剤(オルフィンE1010 日信化学工業(株)製) 10g
なお、表5に記載の実施例1〜8及び比較例1〜3のインク組成物中における第1の色材の含有量(質量%)に対する第2の色材の含有量(質量%)の質量比率(〔群Aから選択される少なくとも1種の化合物の含有量〕/〔式(Y−1)の化合物の含有量〕)は0.100である。
<比較例1:比較用インク液1>
界面活性剤としてオルフィンE1010を用いない以外は、インク液1と同様に比較用インク液1を調製した。
色材、界面活性剤の種類及び含有量を下記表5に示すように変更した以外は実施例1と同様にして実施例2〜9、比較例2及び3のインクを調製した。
(受像紙への浸透性の評価)
各インクジェット用インクを、インクジェットプリンター(インクジェットプリンター(EPSON(株)製;PM−700C(商品名))のイエロー用カートリッジに充填し、該プリンターで、普通紙(富士ゼロックス(株)製;C(商品名))にイエローのベタ画像を記録した。画像について、下記の基準に従い浸透性の評価を行った。
○:殆ど浸透しない
△:僅かに浸透する
×:明らかにインクが裏面側に浸透する
(普通紙における光学濃度の評価)
各インクジェット用インクを、インクジェットプリンター(インクジェットプリンター(EPSON(株)製;PM−700C(商品名))のイエロー用カートリッジに充填し、該プリンターで、普通紙(富士ゼロックス(株)製;C(商品名))にイエローのベタ画像を記録した。得られた画像の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)にて測定し、下記の通りに評価した。
○:反射濃度1.2以上
△:反射濃度1.0以上1.2未満
×:反射濃度1.0未満
(即乾性の評価)
各インクジェット用インクを、インクジェットプリンター(インクジェットプリンター(EPSON(株)製;PM−700C(商品名))のイエロー用カートリッジに充填し、該プリンターで、写真用紙(富士フイルム(株)製;画彩(商品名))にイエローのベタ画像を記録した。他の記録紙を画像の印字面に合わせてインク移りがなくなるまでの時間を調査して評価(表中の数値の単位は秒)を行った。
Figure 2012149220
表5の結果から、実施例1〜9は一般式(Y)で表される第1の色材と、第2の色材と、ノニオン性界面活性剤とを含有し、かつノニオン性界面活性剤を0.05〜50g/lの範囲で含有することにより受像紙への適切な浸透性を有し、普通紙における光学濃度が高く、かつ即乾性に優れたインク組成物であった。
〔実施例10〜30及び比較例4、5〕
色材1及び色材2を、下記表6〜8に示すように変更した以外は、実施例6と同様にインク組成物を調製した。なお実施例25〜27は、色材2として、群A中の1/2/3/8=1/3/1/2(質量比)を表7に記載のカチオン種に変更した実施例であり、その総含有量を表7に記載した。
また、インク組成物中における第1の色材の含有量(質量%)に対する第2の色材の含有量(質量%)の質量比率(〔群Aから選択される少なくとも1種の化合物の含有量〕/〔一般式(Y)、又は式(Y−1)の化合物の含有量〕)を「色材2/色材1」として下記表6〜8に示した。
これらインク組成物を実施例1と同様に評価した結果を表9に示した。
Figure 2012149220
Figure 2012149220
Figure 2012149220
Figure 2012149220
〔実施例31〜35〕
上記実施例1のインク液1に下記表10に示す添加剤の下記表10に示す量を更に添加する以外は、インク液1と同様に実施例31〜35の各インクを調製した。但し、下記表10に示す添加剤の添加量と同量の超純水量を減らした。実施例31〜35についても実施例1と同様に評価した。
Figure 2012149220
上記の実施例31〜35のインク液は、受像紙への浸透性、普通紙における光学濃度、即乾性の全てにおいて優れるものであった。
また、実施例1〜35で使用したインクをそれぞれ、熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置(商品名:PIXUS iP8600;キヤノン製)に搭載した。記録条件を、温度23℃、相対湿度55%、記録密度2,400dpi×1,200dpi、吐出量2.5pLとした。
記録媒体(商品名:キヤノン写真用紙 光沢 プロ[プラチナグレード]PT−101;キヤノン製)に記録デューティを50%とした画像を形成して、画像を温度23℃、相対湿度55%で24時間自然乾燥した。このようにして得られた記録物の画像の部分について、光学濃度を測定した(「試験前の光学濃度」とする)。更に、この記録物を、スーパーキセノン試験機(商品名:SX−75;スガ試験機製)を用いて、照射強度100キロルクス、槽内温度24℃、相対湿度60%で72時間曝露した。その後、記録物の画像の部分について、光学濃度を測定した(「試験後の光学濃度」とする)。なお、光学濃度は、分光光度計(Spectorolino;Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件で測定した。得られた試験前の光学濃度及び試験後の光学濃度の各値から、下記式に基づいて光学濃度の残存率を算出して、耐光性の評価を行った。その結果、全ての実施例について優れた耐光性を示した。
Figure 2012149220

Claims (22)

  1. 少なくとも、第1の色材、第2の色材、及びノニオン性界面活性剤を含有するを含有するインク組成物であって、
    前記第1の色材が、下記一般式(Y)で表される化合物であり、前記第2の色材が、下記群Aから選択される少なくとも1種の化合物であり、前記第2の色材のインク組成物中における含有量(質量%)が、前記第1の色材のインク組成物中における含有量(質量%)に対して、質量比率で、0.001以上1.0以下であり、
    前記ノニオン性界面活性剤の含有量が0.05〜50g/lである、インク組成物。
    一般式(Y)
    Figure 2012149220
    (一般式(Y)中、Mはそれぞれ独立に水素原子またはカチオンを表し、Mがカチオンを表す場合はLiイオン、Naイオン、KイオンまたはNH イオンを表す。)
    Figure 2012149220
    (群A中、Mはそれぞれ独立に水素原子またはカチオンを表し、Mがカチオンを表す場合はLiイオン、Naイオン、KイオンまたはNH イオンを表す。)
  2. 前記群Aより選択される化合物が、1、2、3及び8から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記一般式(Y)で表される化合物において、Mの主成分がKイオンであり、群Aより選択される化合物において、Mの主成分がKイオンである請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. 前記一般式(Y)で表される化合物及び群Aより選択される化合物におけるMが全てKイオンである請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク組成物。
  5. 前記第1の色材の含有量が、インク組成物全質量を基準として、0.1〜20質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク組成物。
  6. 前記第2の色材のインク組成物中における含有量(質量%)が、前記第1の色材のインク組成物中における含有量(質量%)に対して、質量比率で、0.001以上0.2以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク組成物。
  7. 前記第2の色材のインク組成物中における含有量(質量%)が、前記第1の色材のインク組成物中における含有量(質量%)に対して、質量比率で、0.01以上0.2以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク組成物。
  8. 前記ノニオン性界面活性剤が下記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインク組成物。
    Figure 2012149220
    一般式(I)中、R21は炭素数5〜40のアルキル基を表す。mはエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、2〜40である。
    Figure 2012149220
    一般式(II)中、R24は炭素数5〜40のアルキル基を表す。mはエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、2〜40である。
  9. 前記ノニオン性界面活性剤が下記一般式(I−1)で表される化合物である、請求項8に記載のインク組成物。
    Figure 2012149220
    一般式(I−1)中、R22、R23は各々炭素数4〜10の飽和炭化水素を表し、R22、R23の炭素数の合計が8〜18である。m11はエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、3〜20である。
  10. 前記ノニオン性界面活性剤が下記一般式(II−1)で表される化合物である、請求項8に記載のインク組成物。
    Figure 2012149220
    一般式(II−1)中、R25、R26は各々炭素数2〜20の飽和炭化水素であり、m21はエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、2〜40である。
  11. 前記ノニオン性界面活性剤がアセチレングリコール系界面活性剤である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインク組成物。
  12. 前記ノニオン性界面活性剤が下記一般式(III)で表される化合物である、請求項11に記載のインク組成物。
    Figure 2012149220
    一般式(III)中、R31、R32はそれぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基を表す。R33は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基を表す。Xは水素原子、又は
    Figure 2012149220
    を表し、R34、R35はそれぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基を表す。R36は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基を表す。m、mはそれぞれエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、m+mは0〜100である。
    ここで、m=0のときR33は水素原子を表し、m=0のときR36は水素原子を表す。またXが水素原子のときmは1〜100を表す。
  13. 前記ノニオン性界面活性剤が下記一般式(III−1)で表される化合物である、請求項12に記載のインク組成物。
    Figure 2012149220
    一般式(III−1)中、R37、R38、R39及びR40はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を表し、m31とm41はそれぞれエチレンオキシドの平均付加モル数を表し、m31+m41は0〜40である。
  14. 下記一般式(3A)で表される化合物を含む防錆剤を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載のインク組成物。
    Figure 2012149220
    (一般式(3A)中、R31〜R34はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表す。Mは金属原子を表す。)
  15. トリメチロールプロパン、ペンタエチレングリコール及び下記一般式(3B)で示される化合物よりなる群から選ばれる湿潤剤を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載のインク組成物。
    Figure 2012149220
    (一般式(3B)中、R、R′及びR″は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、x、y及びzは1以上の整数を表し、かつ、x+y+zが6〜30の整数である。)
  16. 下記一般式(3C)で表される化合物を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載のインク組成物。
    一般式(3C):R−(OCHCH)n−OH(一般式(3C)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜10の整数を表す。)
  17. ポリグリセリン及び下記一般式(3D)で示される化合物から選ばれる多価アルコールを含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載のインク組成物。
    Figure 2012149220
    (一般式(3D)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、m、n、o及びpは、いずれも整数であり、かつ、m+n+o+pは0〜200である。)
  18. 下記一般式(IV)で表される化合物を含有する、請求項1〜17のいずれか1項に記載のインク組成物。
    Figure 2012149220
    一般式(IV)中、R41は炭素数1〜4のアルキル基、R42は炭素数3のアルキレン基、nは2〜5の整数を表す。
  19. 一般式(3C)で表される化合物がトリエチレングリコールモノブチルエーテルである、請求項16に記載のインク組成物。
  20. 請求項1〜19のいずれか1項に記載のインク組成物を含有するインクジェット記録用インク。
  21. 請求項20に記載のインクジェット記録用インクを用いる、インクジェット記録方法。
  22. 支持体上に白色無機顔料粒子を含有する受像層を有する受像材料にインク滴を記録信号に応じて吐出させ、受像材料上に画像を記録するインクジェット記録方法であって、インク滴が請求項20に記載のインクジェット記録用インクからなる、インクジェット記録方法。
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