JP2012149220A - インク組成物、インクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
Description
インクジェット記録方法には、ピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。これらのインクジェット記録用インクとしては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。これらのインクのうち、製造・取り扱い性・臭気・安全性等の点から水性インクが主流となっている。
既にインクジェット用として様々な染料や顔料が提案され、実際に使用されているが、未だに全ての要求を満足する着色剤は、発見されていないのが現状である。カラーインデックス(C.I.)番号が付与されているような、従来からよく知られている染料や顔料では、インクジェット記録用インクに要求される色相と堅牢性とを両立させることは難しい。
これまでの研究により、インクジェット記録用インクの性能の改善が行われてきている。特許文献1には、特定のピラゾリルアゾ色素により、インクジェット記録用インクに要求される良好な色相と堅牢性の高さを両立できることが開示されている。
しかしながら従来のインクジェット記録用インクは、十分満足できるものではなかった。
少なくとも、第1の色材、第2の色材、及びノニオン性界面活性剤を含有するを含有するインク組成物であって、
前記第1の色材が、下記一般式(Y)で表される化合物であり、前記第2の色材が、下記群Aから選択される少なくとも1種の化合物であり、前記第2の色材のインク組成物中における含有量(質量%)が、前記第1の色材のインク組成物中における含有量(質量%)に対して、質量比率で、0.001以上1.0以下であり、
前記ノニオン性界面活性剤の含有量が0.05〜50g/lである、インク組成物。
一般式(Y)
[2]
前記群Aより選択される化合物が、1、2、3及び8から選ばれる少なくとも1種である前記[1]に記載のインク組成物。
[3]
前記一般式(Y)で表される化合物において、Mの主成分がK+イオンであり、群Aより選択される化合物において、Mの主成分がK+イオンである前記[1]又は[2]に記載のインク組成物。
[4]
前記一般式(Y)で表される化合物及び群Aより選択される化合物におけるMが全てK+イオンである前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のインク組成物。
[5]
前記第1の色材の含有量が、インク組成物全質量を基準として、0.1〜20質量%である前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のインク組成物。
[6]
前記第2の色材のインク組成物中における含有量(質量%)が、前記第1の色材のインク組成物中における含有量(質量%)に対して、質量比率で、0.001以上0.2以下である前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載のインク組成物。
[7]
前記第2の色材のインク組成物中における含有量(質量%)が、前記第1の色材のインク組成物中における含有量(質量%)に対して、質量比率で、0.01以上0.2以下である前記[1]〜[6]のいずれか1項に記載のインク組成物。
[8]
前記ノニオン性界面活性剤が下記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物である、前記[1]〜[7]のいずれか1項に記載のインク組成物。
[9]
前記ノニオン性界面活性剤が下記一般式(I−1)で表される化合物である、前記[8]に記載のインク組成物。
[10]
前記ノニオン性界面活性剤が下記一般式(II−1)で表される化合物である、前記[8]に記載のインク組成物。
[11]
前記ノニオン性界面活性剤がアセチレングリコール系界面活性剤である、前記[1]〜[7]のいずれか1項に記載のインク組成物。
[12]
前記ノニオン性界面活性剤が下記一般式(III)で表される化合物である、前記[11]に記載のインク組成物。
ここで、m3=0のときR33は水素原子を表し、m4=0のときR36は水素原子を表す。またXが水素原子のときm3は1〜100を表す。
[13]
前記ノニオン性界面活性剤が下記一般式(III−1)で表される化合物である、前記[12]に記載のインク組成物。
[14]
下記一般式(3A)で表される化合物を含む防錆剤を含む、前記[1]〜[13]のいずれか1項に記載のインク組成物。
[15]
トリメチロールプロパン、ペンタエチレングリコール及び下記一般式(3B)で示される化合物よりなる群から選ばれる湿潤剤を含む、前記[1]〜[13]のいずれか1項に記載のインク組成物。
[16]
下記一般式(3C)で表される化合物を含む、前記[1]〜[13]のいずれか1項に記載のインク組成物。
一般式(3C):RC−(OCH2CH2)n−OH(一般式(3C)中、RCは炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜10の整数を表す。)
[17]
ポリグリセリン及び下記一般式(3D)で示される化合物から選ばれる多価アルコールを含む、前記[1]〜[13]のいずれか1項に記載のインク組成物。
[18]
下記一般式(IV)で表される化合物を含有する、前記[1]〜[17]のいずれか1項に記載のインク組成物。
[19]
一般式(3C)で表される化合物がトリエチレングリコールモノブチルエーテルである、前記[16]に記載のインク組成物。
[20]
前記[1]〜[19]のいずれか1項に記載のインク組成物を含有するインクジェット記録用インク。
[21]
前記[20]に記載のインクジェット記録用インクを用いる、インクジェット記録方法。
[22]
支持体上に白色無機顔料粒子を含有する受像層を有する受像材料にインク滴を記録信号に応じて吐出させ、受像材料上に画像を記録するインクジェット記録方法であって、インク滴が前記[20]に記載のインクジェット記録用インクからなる、インクジェット記録方法。
本発明のインク組成物(インクともいう)は、少なくとも、第1の色材、第2の色材、及びノニオン性界面活性剤を含有するを含有するインク組成物であって、前記第1の色材が、下記一般式(Y)で表される化合物であり、前記第2の色材が、下記群Aから選択される少なくとも1種の化合物であり、前記第2の色材のインク組成物中における含有量(質量%)が、前記第1の色材のインク組成物中における含有量(質量%)に対して、質量比率で、0.001以上1.0以下であり、前記ノニオン性界面活性剤の含有量が0.05〜50g/lであることにより、受像紙への浸透性、普通紙における光学濃度、即乾性に優れたインク組成物が提供される。
一般式(Y)
なお、本発明においては、化合物が塩である場合は、インク組成物及びそれを用いたインク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。式(Y−1)で表される化合物は新規なアゾ化合物であり、一般式(Y)で表される化合物、及び式(Y−1)で表される化合物は本発明のインク組成物に有用である。また、以下の記載において、第1の色材である、一般式(Y)で表される化合物、及び式(Y−1)で表される化合物は、それぞれ「一般式(Y)の化合物」、及び「式(Y−1)の化合物」と省略して記載することがある。また、第2の色材である、群Aから選択される少なくとも1種の化合物は、「群Aの化合物」と省略して記載することがある。
〔一般式(Y)で表される化合物〕
本発明のインク組成物において使用する第1の色材は、一般式(Y)で表される。以下に、一般式(Y)で表される化合物について説明する。一般式(Y)で表される化合物は水溶性アゾ染料(イエロー)である。また、一般式(Y)で表される化合物を「アゾ染料」と表記する場合がある。
一般式(Y)
一般式(Y)で表される染料において、少なくとも1つのMがK+イオンであることが好ましく、Mの主成分であるカウンターカチオンがK+イオンであることがより好ましく、全てのMがK+イオンであることが特に好ましい。
上記一般式(Y)の化合物の中でも特に、下記式(Y−1)の化合物を使用することが好ましい。
式(Y−1)
〔群A〕
本発明のインク組成物は、第1の色材として使用する上記で説明した前記一般式(Y)の化合物に加えて、インク組成物の貯蔵安定性、インクの着色性、印画物の画像堅牢性に優れるという特徴を有する第2の色材を特定の含有比率で含有することが必要である。本発明では、第2の色材として、下記群Aから選択される少なくとも1種の化合物を用いる。下記群Aから選択される少なくとも1種の化合物の中でも、特に化合物1、2、3、5、6又は8が好ましく、1、2、3、6又は8がより好ましく、1、2、3、又は8が更に好ましい。
群Aから選択される化合物は、一般的な合成法で合成することが可能であり、例えば特開2004−083903公報中に記載のジアゾ成分及びカップリング成分を変更、種々組み合わせることで一般式(Y)又は式(Y−1)と同様に合成することができる。
一般式(Y)で表される化合物及び群Aより選択される化合物のイオン性親水性基のカウンターカチオンMの主成分がK+イオンであれば、着色剤組成物又はインク溶液中の溶解性が高くなり、塩の形成・析出を抑制しインク組成物又はインク溶液の貯蔵安定性を大幅に向上することができるためである。
また、一般式(Y)で表される化合物及び群Aより選択される化合物におけるMが全てK+イオンであることがより好ましい。これによりインク組成物又はインク溶液の貯蔵安定性を大幅に向上することができるためである。
本発明においては、一般式(Y)で表される化合物において、Mの主成分がK+イオンであり、群Aより選択される化合物において、Mの主成分がK+イオンであることが特に好ましく、一般式(Y)で表される化合物及び群Aより選択される化合物におけるMが全てK+イオンであることが最も好ましい。
本発明で用いる色材がインク組成物及びインク中に含まれているか否かの検証には、液体クロマトグラフ質量分析(LC−MS)を用いた下記(1)〜(3)の検証方法が適用できる。
(1)ピークの保持時間
(2)(1)のピークについての最大吸収波長
(3)(1)のピークについてのマススペクトルのm/z(posi)、m/z(nega)
・装置:Agilent1100(アジレント・テクノロジー社製)
・カラム:YMC AM−312 内径 6.0 mm× 長さ 150 mm(ワイエムシー社製)
・溶離液:A液 超純水+0.1%酢酸、0.2%トリエチルアミン
B液 メタノール+0.1%酢酸、0.2%トリエチルアミン
・移動相及びグラジエント条件:(表1(表1中、B.Conc.はB液の濃度を意味する))
・装置:Applied BiosystemsTM QSTAR pulseri(ライフテクノロジー社製)
・イオン化法:ESI(posi)
・キャピラリ電圧:3.5kV
・脱溶媒ガス:300℃
・イオン源温度:120℃
・検出法:TOF−MS
・検出範囲:120〜1500
なお、Mは例えば、イオンクロマトグラフによる測定により検証することができる。
イオンクロマトグラフ測定条件:
装置:パーソナルイオンアナライザPIA−1000(島津製作所製)
カラム:カチオン分析用セミミクロカラムShim−pack IC−C3(S)(内径2mm × 長さ100mm)
移動相:2.5 mMシュウ酸水溶液
カラム温度:35℃
流速:0.2mL/分
〔色材の含有量〕
本発明のインク組成物は、インク原料として、着色剤を高い濃度で含む濃厚水溶液とすることができる。濃厚水溶液の着色剤濃度は15質量%以下、好ましくは12質量%以下であることが染料の経時安定性、取り扱いの容易さ(粘度)の点で好ましく、染料の経時安定性の向上や輸送コストの抑制の観点から、8質量%以上の濃度であることが好ましい。
また、本発明のインク組成物は、インクジェット用インクとすることもできる。インクジェット用インクの着色剤濃度はインク粘度や、印画物の濃度の点で、1〜12質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましく、3〜6質量%が特に好ましい。
インク組成物中の第2の色材[群Aから選択される少なくとも1種の化合物]の含有量(質量%)は、インク組成物全質量を基準として、0.001質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以上1.5質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以上1.1質量%以下であることが更に好ましく、0.05質量%以上0.8質量%以下であることが特に好ましい。
本発明のインク組成物は、少なくとも、第1の色材及び第2の色材の2つの色材と、少なくとも1種のノニオン性界面活性剤とを水性媒体中に含有するインク組成物であることが好ましい。
また本発明のインク組成物は、インクジェット記録用インクとして用いられることが好ましい。すなわち、本発明は本発明のインク組成物を含有するインクジェット記録用インクにも関する。インクジェット記録用インクにおける一般式(Y)で表される染料の含有量は、上記インク組成物中における含有量と同様である。
本発明のインクジェット記録用インクは、インクジェット記録用インクの原液を水等により希釈して調整することができる。一般式(Y)で表される染料のインクジェット記録用インク原液中への添加量は、広い範囲で使用可能であるが、インクジェット記録用インク原液全量に対し、好ましくは、1〜20質量%、より好ましくは、5〜15質量%である。また本発明のインクジェット記録用インクには、本発明のインク組成物が含有していてもよい後述の成分を同様に含ませることができる。
群A中の化合物2は、インク組成物全質量を基準として、0.003〜3.0質量%含まれることが好ましく、0.1〜3.0質量%含まれることがより好ましい。
群A中の化合物3は、インク組成物全質量を基準として、0.001〜1.0質量%含まれることが好ましく、0.01〜1.0質量%含まれることがより好ましい。
群A中の化合物4は、インク組成物全質量を基準として、0.00〜0.5質量%含まれることが好ましい。
群A中の化合物5は、インク組成物全質量を基準として、0.0〜0.5質量%含まれることが好ましい。
群A中の化合物6は、インク組成物全質量を基準として、0.0〜0.5質量%含まれることが好ましい。
群A中の化合物7は、インク組成物全質量を基準として、0.0〜0.5質量%含まれることが好ましい。
群A中の化合物8は、インク組成物全質量を基準として、0.002〜2.0質量%含まれることが好ましく、0.05〜2.0質量%含まれることがより好ましい。
また、ポリアゾ染料などのブラック染料も使用することができる。
C.I.ダイレクトレッド2、4、9、23、26、31、39、62、63、72、75、76、79、80、81、83、84、89、92、95、111、173、184、207、211、212、214、218、21、223、224、225、226、227、232、233、240、241、242、243、247
C.I.ダイレクトバイオレット7、9、47、48、51、66、90、93、94、95、98、100、101
C.I.ダイレクトイエロー8、9、11、12、27、28、29、33、35、39、41、44、50、53、58、59、68、86、87、93、95、96、98、100、106、108、109、110、130、132、142、144、161、163
C.I.ダイレクトブルー1、10、15、22、25、55、67、68、71、76、77、78、80、84、86、87、90、98、106、108、109、151、156、158、159、160、168、189、192、193、194、199、200、201、202、203、207、211、213、214、218、225、229、236、237、244、248、249、251、252、264、270、280、288、289、291
C.I.ダイレクトブラック9、17、19、22、32、51、56、62、69、77、80、91、94、97、108、112、113、114、117、118、121、122、125、132、146、154、166、168、173、199
C.I.アシッドレッド35、42、52、57、62、80、82、111、114、118、119、127、128、131、143、151、154、158、249、254、257、261、263、266、289、299、301、305、336、337、361、396、397
C.I.アシッドバイオレット5、34、43、47、48、90、103、126
C.I.アシッドイエロー17、19、23、25、39、40、42、44、49、50、61、64、76、79、110、127、135、143、151、159、169、174、190、195、196、197、199、218、219、222、227
C.I.アシッドブルー9、25、40、41、62、72、76、78、80、82、92、106、112、113、120、127:1、129、138、143、175、181、205、207、220、221、230、232、247、258、260、264、271、277、278、279、280、288、290、326
C.I.アシッドブラック7、24、29、48、52:1、172
C.I.リアクティブレッド3、13、17、19、21、22、23、24、29、35、37、40、41、43、45、49、55
C.I.リアクティブバイオレット1、3、4、5、6、7、8、9、16、17、22、23、24、26、27、33、34
C.I.リアクティブイエロー2、3、13、14、15、17、18、23、24、25、26、27、29、35、37、41、42
C.I.リアクティブブルー2、3、5、8、10、13、14、15、17、18、19、21、25、26、27、28、29、38
C.I.リアクティブブラック4、5、8、14、21、23、26、31、32、34C.I.ベーシックレッド12、13、14、15、18、22、23、24、25、27、29、35、36、38、39、45、46
C.I.ベーシックバイオレット1、2、3、7、10、15、16、20、21、25、27、28、35、37、39、40、48
C.I.ベーシックイエロー1、2、4、11、13、14、15、19、21、23、24、25、28、29、32、36、39、40
C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、22、26、41、45、46、47、54、57、60、62、65、66、69、71
C.I.ベーシックブラック8、等が挙げられる。
本技術に用いられる顔料としては、市販のものの他、各種文献に記載されている公知のものが利用できる。文献に関してはカラーインデックス(The Society of
Dyers and Colourists編)、「改訂新版顔料便覧」日本顔料技術協会編(1989年刊)、「最新顔料応用技術」CMC出版(1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版(1984年刊)、W.Herbst,K.Hunger共著によるIndustrial Organic Pigments (VCH Verlagsgesellschaft、1993年刊)等がある。具体的には、有機顔料ではアゾ顔料(アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料)、多環式顔料(フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等)、染付けレーキ顔料(酸性又は塩基性染料のレーキ顔料)、アジン顔料等があり、無機顔料では、黄色顔料のC.I.Pigment Yellow 34,37,42,53など、赤系顔料のC.I.Pigment Red 101,108など、青系顔料のC.I.Pigment Blue 27,29,17:1など、黒系顔料のC.I.Pigment Black 7,マグネタイトなど、白系顔料のC.I. Pigment White 4,6,18,21などを挙げることができる。
この他、オレンジ顔料(C.I.Pigment Orange 13,16など)や緑顔料(C.I.Pigment Green 7など)を使用してもよい。
(1) 金属石鹸の性質と応用(幸書房)
(2) 印刷インキ印刷(CMC出版 1984)
(3) 最新顔料応用技術(CMC出版 1986)
(4) 米国特許5,554,739号、同5,571,311号
(5)特開平9−151342号、同10−140065号、同10−292143号、同11−166145号
特に、上記(4)の米国特許に記載されたジアゾニウム塩をカーボンブラックに作用させて調製された自己分散性顔料や、上記(5)の日本特許に記載された方法で調製されたカプセル化顔料は、インク中に余分な分散剤を使用することなく分散安定性が得られるため特に有効である。
本技術に使用できる顔料の粒径は、分散後で0.01〜10μmの範囲であることが好ましく、0.05〜1μmであることが更に好ましい。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造時に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、縦型あるいは横型のアジテーターミル、アトライター、コロイドミル、ボールミル、3本ロールミル、パールミル、スーパーミル、インペラー、デスパーサー、KDミル、ダイナトロン、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986)に記載がある。
次に、本発明のインク組成物(好ましくはインクジェット記録用インク)が含有するノニオン性界面活性剤について説明する。一般的に、ノニオン性界面活性剤の含有により、表面張力等のインクの液物性を調整することで、インクの吐出安定性を向上させ、画像の耐水性の向上や印字したインクの滲みの防止などに優れた効果を有することが知られている。
R21で表されるアルキル基に置換可能な基としては、アリール基(例えばフェニル、o−トリル、p−トリル、p−t−ブチルフェニル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、n−ブトキシ等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)等を挙げることができる。
R24で表されるアルキル基に置換可能な基としては、アリール基(例えばフェニル、o−トリル、p−トリル、p−t−ブチルフェニル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、n−ブトキシ等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)等を挙げることができる。R24で表されるアルキル基の具体例としては、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−ペンタデシル、n−オクタデシル、2−エチルヘキシル、1−エチルペンチル、1−n−ブチルヘプチル、1−n−ヘキシルノニル、1−n−ヘプチルデシル、1−n−オクチルドデシル、1−n−デシルテトラデシル、6−メトキシヘキシル、2−フェニルエチル等を挙げることができる。
以下に、一般式(II)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
アセチレングリコール系界面活性剤は、他の界面活性剤と比較して、表面張力及び界面張力を適正に保つ能力に優れており、かつ起泡性がほとんどないという特性を有する。これにより、アセチレングリコール系界面活性剤を含有するインクは、表面張力やヘッドノズル面などインクと接触するプリンター部材との界面張力を適正に保つことができる。またアセチレングリコール系界面活性剤によって、インクの液物性をより好適に調整することもできる。更に、インクの加温保存安定性をより向上させることができる。
更に詳しく説明すると、R31、R32はそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル等)を表し、置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)等を挙げることができる。このうち、R31、R32としては炭素数1〜12の無置換の直鎖アルキル基若しくは無置換の分岐アルキル基が好ましく、その特に好ましい具体例としてはメチル、エチル、n−ブチル、2−メチルブチル、2,4−ジメチルペンチル等を挙げることができる。
一般式(3C):RC−(OCH2CH2)n−OH(一般式(3C)中、RCは炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜10の整数を表す。)
上記〔1〕〜〔4〕の添加剤の少なくともいずれかを含むことによりインク組成物のコゲーションが効果的に抑制される。また、このコゲーション抑制効果は、上記の界面活性剤としてアセチレングリコール系界面活性剤を使用した場合に、より顕著になる。
上記一般式(3A)で表される化合物は、理由は明確ではないが、インク組成物の分散を安定化させ、凝集を抑制するため、経時によるインクの粘度上昇や粒径増大を防止でき、コゲーション防止及びメンテナンス性に優れるインクが得られ、インクの保存安定性を向上させることができる。
一般式(3A)中、R31が表すアルキル基としては、炭素数8〜20のアルキル基が好ましく、炭素数8〜16のアルキル基がより好ましく、炭素数10〜14のアルキル基が更に好ましい。具体的には、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、セチル基などが挙げられる。
R32が表すアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基などが挙げられる。
R33及びR34が表すアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。
R32としては、メチル基、エチル基、プロピル基が特に好ましい。
R33及びR34としては、水素原子が特に好ましい。
理由は明確ではないが、発熱素子表面への堆積が抑制されるため、コゲーション防止及びメンテナンス性に優れる。また、分散性に優れていて、凝集が抑制されるため、インクの加温保存安定性に優れると考えられる。
これらの湿潤剤は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また本発明の効果の観点から、なかでも上記一般式(3B)で示される化合物(以下、「化合物(3B)」という場合がある。)を使用することが好ましい。
また市販品として、例えば、RB、RB′及びRB″が水素原子である化合物(3B)については、x+y+zが26の化合物は「Liponic EG−1(商品名)」(リポケミカルズ社製)として、x+y+zが7の化合物は「Liponic EG−7(商品名)」(リポケミカルズ社製)として、入手可能である。なお、化合物(3)は、アルキレンオキシドとグリセロールの低分子量付加物であるので、分子量は通常2000以下である。
一般式(3C):RC−(OCH2CH2)n−OH(一般式(3C)中、RCは炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜10の整数を表す。)
nは2〜10の整数を表し、好ましくは3〜8の整数であり、より好ましくは4〜6の整数である。
一般式(3C)で表される化合物の具体例としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられ、なかでも、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましく、トリエチレングリコールモノブチルエーテルが特に好ましい。
これらの多価アルコールは、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また効果の観点から、なかでも上記一般式(3D)で示される化合物(以下、「化合物(3D)」という場合がある。)を使用することが好ましい。
一般式(3D)において、RDで表されるアルキル基としては、炭素原子数1〜3のメチル基、エチル基又はプロピル基であることが好ましい。炭素原子数が6以上の化合物では、インクへの溶解が困難となる。
m、n、o及びpは、いずれも「CH2CHRDO」で示される構造単位の繰り返し数を示す整数である。m+n+o+pの合計値は、0〜200の範囲の整数であり、好ましくは0〜150の範囲、より好ましくは1〜130の範囲である。これらの合計値が200より大きい化合物では、インクの粘度が極めて高くなり、目詰まりを発生し易くなる。
一般式(3D)で表される化合物としては、例えば、SC−E450(RDが水素原子、m+n+o+pの合計値が約6)、SC−E750(RDが水素原子、m+n+o+pの合計値が約13)、SC−E1000、SC−E1500、SC−E2000、SC−P400(RDがメチル基、m+n+o+pの合計値が約4)、SC−P750、SC−P1000、SC−P1200、SC−P1600、SY−DP20、SY−DP14、SY−DP14T、SY−DP9、SY−DP4(以上全て商品名、坂本薬品社製)が市販品として入手可能である。
本発明のインク組成物は、水性媒体中に染料を溶解させ、更に特定量の界面活性剤を添加し、更に必要に応じて乾燥防止剤や浸透防止剤などの添加剤を添加することによって作製することができる。本発明における「水性媒体」とは、水又は水と少量の水混和性有機溶剤との混合物に、必要に応じて湿潤剤、安定剤、防腐剤等の添加剤を添加したものを意味する。
このときの溶解方法としては、攪拌による溶解、超音波照射による溶解、振とうによる溶解等種々の方法が使用可能である。なかでも特に攪拌法が好ましく使用される。攪拌を行う場合、当該分野では公知の流動攪拌や反転アジターやディゾルバを利用した剪断力を利用した攪拌など、種々の方式が利用可能である。一方では、磁気攪拌子のように、容器底面との剪断力を利用した攪拌法も好ましく利用できる。
本発明の染料はその構造によって溶解性に多少変動があるが、本発明のインクは、染料種によってその溶解度が10(g/100g溶剤)以下となるような水混和性有機溶剤を適宜選択することが好ましい。
本発明の染料の25℃における溶解度は、より好ましくは8(g/100g溶剤)以下であり、更に好ましくは5(g/100g溶剤)以下である。
また、該水混和性有機溶剤は、少なくとも1種がアルコール及び/又はその誘導体含む2種以上からなる混合物であることが好ましい。水混和性有機溶剤の添加量は1〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜50質量%である。この値とすることで、インクの安定性、吐出安定性、乾燥性が良好となる傾向にある。
アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングルコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、
用いられる高沸点有機溶媒の沸点は150℃以上であるが、好ましくは170℃以上である。
高沸点有機溶媒は油溶性染料に対して質量比で0.01〜3倍量、好ましくは0.01〜1.0倍量で使用できる。
これらの高沸点有機溶媒は単独で使用しても、数種の混合で使用してもよい。
乳化法としては水相中に油相を添加する方法が一般的であるが、油相中に水相を滴下して行く、いわゆる転相乳化法も好ましく用いることができる。
前記有機塩基としてはトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンなどが挙げられる。前記無機アルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなど)、炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど)、アンモニウムなどが挙げられる。また、前記有機酸としては酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、アルキルスルホン酸などが挙げられる。前記無機酸としては、塩酸,硫酸、リン酸などが挙げられる。
本発明では分散剤、分散安定剤として上述のカチオン、アニオン、ノニオン系の各種界面活性剤、消泡剤としてフッソ系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も必要に応じて使用することができる。
インク受容層は、顔料及び水性結着剤の他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、耐オゾン性向上剤、界面活性剤、その他の添加剤を含有することができる。
ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される
これらの具体的な化合物例としては、特開平10−182621号、特開2001−260519号、特開2000−260519号、特公平4−34953号、特公平4−34513号、特公平4−34512号、特開平11−170686号、特開昭60−67190号、特開平7−276808号、特開2000−94829号、特表平8−512258号、特開平11−321090号等に記載のものが挙げられる。
界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同62−135826号の各公報に記載がある。
本発明のインクはインクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用いられる。
インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
好ましい被記録材と記録方式の組み合わせは、支持体上に白色無機顔料粒子を含有する受像層を有する受像材料にインク滴を記録信号に応じて吐出させ、受像材料上に画像を記録するインクジェット記録方法である。
以下、実施例に本発明の染料混合物の合成法を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例において、λmaxは吸収極大波長であり、εmaxは吸収極大波長におけるモル吸光係数を意味する。
DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)450mLと1,2−ジクロロエタン24.75g中に、室温で化合物(a)(2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール(和光純薬工業(株)製/カタログ番号019−11125))76.5gを加え、炭酸カリウム79.5gを添加後に70℃まで昇温して同温度で30分間撹拌した。引き続き、80℃の温水375mLを上記反応液中に10分間かけて滴下し、内温25℃まで冷却した。析出した結晶をろ別し、イオン交換水250mL、引き続きメタノール150mLで洗浄後70℃にて一晩乾燥して化合物(b)65.1gを得た。
アミノイソフタル酸((和光純薬工業(株)製/カタログ番号322−26175))(A)181.2gをイオン交換水1000mlに懸濁後、濃塩酸257mLを添加し、氷浴で5℃に保った。そこへ亜硝酸ナトリウム69.7gの水溶液116mlを滴下した(反応液A)。亜硫酸ナトリウム378.1gの水溶液1300mlを内温25℃で攪拌し、そこへ上記反応液Aを注入した。この状態で30分攪拌した後、内温を30℃まで加熱して、60分攪拌した。この反応液に塩酸500mLを添加し、すぐに内温50℃まで昇温した(反応液B)。この状態で90分攪拌した後に、ピバロイルアセトニトリル(東京化成(株)製/カタログ番号P1112)125.2gとイソプロパノール(IPA)100mLを上記反応液Bに添加後、内温を93℃まで昇温し、240分間攪拌した。室温まで冷却後、析出した結晶(C)を吸引濾過し、結晶をイオン交換水1500mL、続いてイソプロパノール1000mLで洗浄後乾燥した。単離収率223.5g。収率73.7%。
メタンスルホン酸100mL、酢酸120mL、プロピオン酸180mL中に、室温で化合物(b)29.2gを添加し、内温を45℃まで昇温して均一溶液にした後に内温0℃まで冷却した。引き続き、NaNO214.7gとイオン交換水27mLの溶液を上記均一溶液中に内温0〜10℃を保ちながら滴下し、内温5℃で15分間撹拌して、ジアゾニウム塩を調製した。合成例2で作成したカプラー成分(C)60.6g、メタノール600mL、エチレングリコール600mLから予め作成した溶液に、内温0〜10℃を保つ速度で上記ジアゾニウム塩溶液を滴下した。引き続く、内温25℃で30分間撹拌した。析出した結晶をろ過し、メタノール250mLで洗浄後、粗結晶を650mLの水に分散し、その後内温80℃で30分間撹拌後室温まで冷却し、ろ過、水300mLで洗浄後、60℃で一晩乾燥して、64.47gの色素(D)を得た。
予め調製したKOH(錠剤)16.5gとイオン交換水414.9mLの溶液中に、内温20〜30℃で上記合成例3で作成した色素(D)46.1gを添加して溶解した。
引き続き、酢酸カリウム40.0gとメタノール200mLの溶液を上記色素水溶液中に内温25℃で滴下し、引き続き同温で10分間撹拌した。その後、IPA(イソプロピルアルコール)2488mLを滴下して造塩し、同温度で30分間撹拌後にろ過、IPA500mLで洗浄、70℃で一晩乾燥して、44gの色素(Y−1)の粗結晶を得た。
イオン交換水78.3mLに粗結晶(Y−1)8.7gを室温で溶解後、0.1N塩酸を用いて水溶液のpH値を8.5に調整し、0.2μmのメンブランフィルターでろ過後、ろ液中にIPA391.5mLを内温25℃で滴下した。析出した結晶をろ過、IPA100mLで洗浄後、80℃で一晩乾燥して、7.8gの色素(Y−1)の精結晶を得た。
{λmax:428nm(H2O)、εmax:4.20×104}
合成例4のKOHをNaOHに、酢酸カリウムを酢酸ナトリウムに変更した以外は、合成例4及び合成例5と同様の操作を行い、7.7gの色素{(Y−2):一般式(Y)中のM=Na+}の精結晶を得た。
合成例4のKOHをLiOHに、酢酸カリウムを酢酸リチウムに変更した以外は、合成例4及び合成例5と同様の操作を行い、7.4gの色素{(Y−3):一般式(Y)中のM=Li+}の精結晶を得た。
合成例4のKOHをNH4OHに、酢酸カリウムを酢酸アンモニウムに変更した以外は、合成例4及び合成例5と同様の操作を行い、7.3gの色素{(Y−4):一般式(Y)中のM=NH4 +}の精結晶を得た。
<実施例1:インク液1>
以下の成分に超純水を加え1000gとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間攪拌溶解した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧ろ過しイエローインクを調製した。
群A中の1(M=K+イオン)/2(M=K+イオン)/3(M=K+イオン)/8(M=K+イオン)=1/3/1/2(質量比)(第2の色材) 5g
グリセリン 90g
ジエチレングリコール 100g
2−ピロリドン 60g
エチレン尿素 50g
界面活性剤(オルフィンE1010 日信化学工業(株)製) 10g
界面活性剤としてオルフィンE1010を用いない以外は、インク液1と同様に比較用インク液1を調製した。
各インクジェット用インクを、インクジェットプリンター(インクジェットプリンター(EPSON(株)製;PM−700C(商品名))のイエロー用カートリッジに充填し、該プリンターで、普通紙(富士ゼロックス(株)製;C2(商品名))にイエローのベタ画像を記録した。画像について、下記の基準に従い浸透性の評価を行った。
○:殆ど浸透しない
△:僅かに浸透する
×:明らかにインクが裏面側に浸透する
各インクジェット用インクを、インクジェットプリンター(インクジェットプリンター(EPSON(株)製;PM−700C(商品名))のイエロー用カートリッジに充填し、該プリンターで、普通紙(富士ゼロックス(株)製;C2(商品名))にイエローのベタ画像を記録した。得られた画像の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)にて測定し、下記の通りに評価した。
○:反射濃度1.2以上
△:反射濃度1.0以上1.2未満
×:反射濃度1.0未満
各インクジェット用インクを、インクジェットプリンター(インクジェットプリンター(EPSON(株)製;PM−700C(商品名))のイエロー用カートリッジに充填し、該プリンターで、写真用紙(富士フイルム(株)製;画彩(商品名))にイエローのベタ画像を記録した。他の記録紙を画像の印字面に合わせてインク移りがなくなるまでの時間を調査して評価(表中の数値の単位は秒)を行った。
色材1及び色材2を、下記表6〜8に示すように変更した以外は、実施例6と同様にインク組成物を調製した。なお実施例25〜27は、色材2として、群A中の1/2/3/8=1/3/1/2(質量比)を表7に記載のカチオン種に変更した実施例であり、その総含有量を表7に記載した。
また、インク組成物中における第1の色材の含有量(質量%)に対する第2の色材の含有量(質量%)の質量比率(〔群Aから選択される少なくとも1種の化合物の含有量〕/〔一般式(Y)、又は式(Y−1)の化合物の含有量〕)を「色材2/色材1」として下記表6〜8に示した。
これらインク組成物を実施例1と同様に評価した結果を表9に示した。
上記実施例1のインク液1に下記表10に示す添加剤の下記表10に示す量を更に添加する以外は、インク液1と同様に実施例31〜35の各インクを調製した。但し、下記表10に示す添加剤の添加量と同量の超純水量を減らした。実施例31〜35についても実施例1と同様に評価した。
記録媒体(商品名:キヤノン写真用紙 光沢 プロ[プラチナグレード]PT−101;キヤノン製)に記録デューティを50%とした画像を形成して、画像を温度23℃、相対湿度55%で24時間自然乾燥した。このようにして得られた記録物の画像の部分について、光学濃度を測定した(「試験前の光学濃度」とする)。更に、この記録物を、スーパーキセノン試験機(商品名:SX−75;スガ試験機製)を用いて、照射強度100キロルクス、槽内温度24℃、相対湿度60%で72時間曝露した。その後、記録物の画像の部分について、光学濃度を測定した(「試験後の光学濃度」とする)。なお、光学濃度は、分光光度計(Spectorolino;Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件で測定した。得られた試験前の光学濃度及び試験後の光学濃度の各値から、下記式に基づいて光学濃度の残存率を算出して、耐光性の評価を行った。その結果、全ての実施例について優れた耐光性を示した。
Claims (22)
- 少なくとも、第1の色材、第2の色材、及びノニオン性界面活性剤を含有するを含有するインク組成物であって、
前記第1の色材が、下記一般式(Y)で表される化合物であり、前記第2の色材が、下記群Aから選択される少なくとも1種の化合物であり、前記第2の色材のインク組成物中における含有量(質量%)が、前記第1の色材のインク組成物中における含有量(質量%)に対して、質量比率で、0.001以上1.0以下であり、
前記ノニオン性界面活性剤の含有量が0.05〜50g/lである、インク組成物。
一般式(Y)
- 前記群Aより選択される化合物が、1、2、3及び8から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のインク組成物。
- 前記一般式(Y)で表される化合物において、Mの主成分がK+イオンであり、群Aより選択される化合物において、Mの主成分がK+イオンである請求項1又は2に記載のインク組成物。
- 前記一般式(Y)で表される化合物及び群Aより選択される化合物におけるMが全てK+イオンである請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記第1の色材の含有量が、インク組成物全質量を基準として、0.1〜20質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記第2の色材のインク組成物中における含有量(質量%)が、前記第1の色材のインク組成物中における含有量(質量%)に対して、質量比率で、0.001以上0.2以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記第2の色材のインク組成物中における含有量(質量%)が、前記第1の色材のインク組成物中における含有量(質量%)に対して、質量比率で、0.01以上0.2以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記ノニオン性界面活性剤がアセチレングリコール系界面活性剤である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記ノニオン性界面活性剤が下記一般式(III)で表される化合物である、請求項11に記載のインク組成物。
ここで、m3=0のときR33は水素原子を表し、m4=0のときR36は水素原子を表す。またXが水素原子のときm3は1〜100を表す。 - 下記一般式(3C)で表される化合物を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載のインク組成物。
一般式(3C):RC−(OCH2CH2)n−OH(一般式(3C)中、RCは炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜10の整数を表す。) - 一般式(3C)で表される化合物がトリエチレングリコールモノブチルエーテルである、請求項16に記載のインク組成物。
- 請求項1〜19のいずれか1項に記載のインク組成物を含有するインクジェット記録用インク。
- 請求項20に記載のインクジェット記録用インクを用いる、インクジェット記録方法。
- 支持体上に白色無機顔料粒子を含有する受像層を有する受像材料にインク滴を記録信号に応じて吐出させ、受像材料上に画像を記録するインクジェット記録方法であって、インク滴が請求項20に記載のインクジェット記録用インクからなる、インクジェット記録方法。
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