JP2012148682A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】空気入りタイヤ100は、プライ本体部5aとプライ折返し部5bとからなり、プライコードをゴム被覆してなるプライ5をもつカーカス6と、ビードフィラー7と、を有する。さらに、プライ折返し部5bとビードフィラー7との間に、タイヤ幅方向W内側から順に配設された、第1のコードをゴム被覆してなる第1補強層8および第2のコードをゴム被覆してなる第2補強層9と、プライ折返し部5bのタイヤ幅方向W外側に配設された、ゴムからなる第3補強層10と、を有する。そして、第1のコード、第2のコード、およびプライコードは、この順に大きい引張弾性率をもち、第3補強層を構成するゴムは、ビードフィラーを構成するゴムよりも小さい100%モジュラスをもつ。
【選択図】図1
Description
(1)一対のビードコア間にトロイド状に延在するプライ本体部と、該プライ本体部から延び前記ビードコアのそれぞれの周りにタイヤ幅方向内側から外側に折り返されたプライ折返し部と、からなり、プライコードをゴム被覆してなる少なくとも1枚のプライをもつカーカスと、
前記プライ本体部と前記プライ折返し部との間で前記ビードコア上からタイヤ径方向外側に向けて先細りに延びるビードフィラーと、
前記プライ折返し部と少なくとも前記ビードフィラーとの間に、タイヤ幅方向内側から順に配設された、第1のコードをゴム被覆してなる第1補強層および第2のコードをゴム被覆してなる第2補強層と、
前記プライ折返し部のタイヤ幅方向外側に配設された、ゴムからなる第3補強層と、を有し、
前記第1のコード、前記第2のコード、および前記プライコードは、この順に大きい引張弾性率をもち、
前記第3補強層を構成する前記ゴムは、前記ビードフィラーを構成するゴムよりも小さい100%モジュラスをもつことを特徴とする空気入りタイヤ。
前記カーカスを構成するプライのうち、少なくとも1枚のプライは、プライ折返し部の折返し端が前記ベルト層と前記カーカスのクラウン部との間に位置する構造を有する上記(1)または(2)に記載の空気入りタイヤ。
コードゴム被覆層である第1補強層8、第2補強層9、およびプライ折返し部5bについては、コードの引張弾性率が層全体としての剛性に大きく寄与する。空気入りタイヤ100では、第1補強層8に用いる第1のコード、第2補強層9に用いる第2のコード、およびプライ5に用いるプライコードが、この順に大きい引張弾性率をもつため、層全体としての剛性も、第1補強層8、第2補強層9、およびプライ折返し部5bの順番に高くなる。
本発明では、硬質ゴムからなるビードフィラー7に最も近接する部材を、第1補強層8、第2補強層9、およびプライ折返し部5bのうち最も層全体としての剛性の高い第1補強層8とし、その外側に順次第2補強層9、プライ折返し部5aを配置した。このため、ビードフィラー7のタイヤ幅方向外側では、内側から外側にかけて順次剛性の高い部材を配置することになり、部材間の剛性段差を最小限とすることができる。その結果、ビード部に生じるセパレーションを抑制することができるため、従来にない高い高速耐久性を実現することができる。また、タイヤ幅方向外側ほど剛性の低い層を配置する本発明の構成によれば、横方向の剛性があがり、横バネ性向上とともにセンター接地性も向上するため、操縦安定性をより向上させることも可能となる。
ここで、第3補強層10は、プライ折返し部5aのタイヤ幅方向外側に配設されている。よって、第3補強層10と隣接するのは、第1補強層8、第2補強層9、およびプライ折返し部5bのうち最も層全体としての剛性の低いプライ折返し部5aとなる。そのため、隣接するプライ折返し部5aと第3補強層10との間にも、大きな剛性段差は生じることはなく、この点も高い高速耐久性の実現に寄与する。また、カーカス5のタイヤ幅方向外側にさらに補強層を配置する本発明の構成によれば、より操縦安定性を向上させることにもなる。
第1補強層8に用いる第1のコードは、引張弾性率が3200N/mm2以上4000N/mm2以下であることが好ましい。コード材料は特に限定されず、金属コード、有機繊維コードなどを用いることができるが、第2のコードおよびプライコードよりも引張弾性率が大きいことから、第1のコードはスチールコードなどの金属コードとすることが好ましい。また、第1補強層8(ワイヤーインサート)は、複数本の第1のコードを互いに平行に配列したゴム被覆層とすることが好ましい。この場合、第1のコードのタイヤ径方向に対する角度θ1は、30°〜60°の範囲内とすることが好ましい。
第2補強層9に用いる第2のコードは、引張弾性率が170〜300cN/dtexであることが好ましい。コード材料は特に限定されず、金属コード、有機繊維コードなどを用いることができるが、引張弾性率が第1のコードより小さく、プライコードよりも大きいことから、第2のコードは比較的高弾性の有機繊維コードとすることが好ましい。具体的には例えば、芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)、ポリアリレート繊維等の全芳香族ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、炭素繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(PBO)繊維、リヨセル繊維等を挙げることができる。なお、リヨセル繊維は、原料のセルロースから溶剤紡糸法によって得られるセルロース繊維であり、例えば、特公昭60−28848号公報、特表平11−504995号公報に記載されているように、有機溶剤中に溶解されたセルロースと水等の非溶媒を含む溶液を、空気中または非沈殿性媒体中に紡糸し、その際、紡糸口金から出た繊維形成溶液を送り出す速度より早い速度で引張って、3倍以上の延伸倍率で延伸した後に、非溶媒で処理することによって得ることができる。第2のコードには、弾性率の異なる複数種の有機繊維を撚り合わせてなる複合コードを用いてもよい。この場合、組み合せる有機繊維としては、高弾性繊維に限らず、ナイロン繊維、ポリエステル繊維(但し、全芳香族ポリエステル繊維を除く)、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維等、ポリビニルアルコール繊維、脂肪族ポリケトン(PK)繊維等の比較的低弾性の有機繊維を含んでもよい。また、第2補強層9は、複数本の第2のコードを互いに平行に配列したゴム被覆層とすることが好ましい。この場合、第2のコードのタイヤ径方向に対する角度θ2は、0°〜45°の範囲内とすることが好ましい。
プライ5に用いるプライコードは、引張弾性率が4.7cN/dtex以上であることが好ましい。コード材料は特に限定されず、金属コード、有機繊維コードなどを用いることができるが、第1のコードおよび第2のコードおよびよりも引張弾性率が小さいことから、比較的低弾性の有機繊維コードとすることが好ましい。具体的な材料としては上述の低弾性繊維を用いることができ、弾性率の異なる複数種の有機繊維を撚り合わせてなる複合コードを用いてもよい点も同様である。
第3補強層10を構成するゴムは、ビードフィラー7を構成するゴムよりも小さい100%モジュラスをもつものであれば特に限定されないが、例えば、100%モジュラスが50〜150MPaのゴムから構成することが好ましい。
空気入りタイヤ100は、カーカス6を構成するプライ5のプライ折返し部5aの折返し端5cが、このベルト層11とカーカス6のクラウン部6aとの間に位置する、いわゆるエンベロープ構造を有する。エンベロープ構造によれば、2プライからなる1−1ハイターンナップ構造と同程度の操縦安定性を得ることができる。さらに、カーカスを1枚のプライで構成すれば、2プライの場合に比べて軽量化できる点で好ましい。
以下、補強層の好ましい配設範囲と配設位置関係について述べる。図1に示すように、第3補強層10のタイヤ径方向外側端部10a、第2補強層9のタイヤ径方向外側端部9a、第1補強層8のタイヤ径方向外側端部8a、およびビードフィラー7のタイヤ径方向外側端部7aは、タイヤ幅方向断面で見て、この順にタイヤ径方向外側に位置することが好ましい。補強層の上端部は、高速走行時の負荷転動によるタイヤのくり返し変形によって、歪みが集中する箇所であるが、このように、3つの補強層の上端部の高さを分散させることによって、ひずみの集中を抑制することができ、高速耐久性をより高めることができる。また、3つの補強層の上端部がタイヤ幅方向外側ほど高くなるように配置することによって、剛性の高い部材がタイヤの上端に集まり、実車性能を更に向上することが可能である。
図1に示すタイヤを実施例タイヤとした。タイヤサイズは265/50R19とした。タイヤの内部構造は、以下のとおりとした。
ビードフィラー:100%モジュラスが120MPaの硬質ゴムとした。端部7aのリム径ラインRLからの高さH7aは、リム径ラインからのタイヤ断面高さの34%に位置する。
第1補強層8:第1のコードとしてスチールコードを互いに平行に配列し、軟ゴムで被覆し、コードがタイヤ径方向に対し0°の角度となるように配置した。端部8a,8bのリム径ラインRLからの高さH8a,H8bは、リム径ラインからのタイヤ断面高さの40%,2%にそれぞれ位置する。
第2補強層9:第2のコードとして、ケブラー(登録商標)繊維コードを互いに平行に配列し、上記軟ゴムで被覆し、コードがタイヤ径方向に対し45°の角度となるように配置した。端部9aのリム径ラインRLからの高さH9aは、リム径ラインからのタイヤ断面高さの45%に位置し、第2補強層9の下部はビードコアの周りにタイヤ幅方向の外側から内側に折り返し、端部9bはビードフィラー7の下部周辺まで延在させた。
カーカス6:プライコードとして、レーヨンコードをラジアル配列し、上記軟ゴムで被覆し、1プライからなるエンベロープ構造のカーカスとした。
第3補強層10:100%モジュラスが100MPaの硬質ゴムとした。端部10a,10bのリム径ラインRLからの高さH10a,H10bは、リム径ラインからのタイヤ断面高さの50%,12%にそれぞれ位置する。
(比較例タイヤ1)
第1〜第3補強層を配置しない以外は実施例タイヤと同様のタイヤを比較例タイヤ1とした。
第3補強層を配置しない以外は実施例タイヤと同様のタイヤを比較例タイヤ2とした。
第1補強層と第2補強層の配置順序を入れ替えた以外は、実施例タイヤと同様のタイヤを比較例タイヤ3とした。
第2補強層とプライ折返し部の配置順序を入れ替えた以外は、実施例タイヤと同様のタイヤを比較例タイヤ4とした。
プライ折返し部と第3補強層の配置順序を入れ替えた以外は、実施例タイヤと同様のタイヤを比較例タイヤ5とした。
各タイヤを適用リムにリム組みし、内圧290kPaに調整してから速度220km/h走行を始め、20分ごとに速度を10km/hずつ段階的に加速し、故障が発生した際の速度を測定し、比較例1の故障発生速度を100として指数表示した。指数値が大きい程、耐久限界速度が高く、高速耐久性に優れることを示す。結果を表1に示す。
各タイヤを車両に装着し、テストコースを走行した際の旋回性やレーンチェンジ性などの操縦安定性をプロドライバーにて評価した。評価結果は、比較例1を100とする指数にて表示した。指数が大きいほど、操縦安定性に優れている。結果を表1に示す。
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 ビードコア
5 プライ
5a プライ本体部
5b プライ折返し部
5c プライ折返し端
6 カーカス
6a カーカスのクラウン部
7 ビードフィラー
8 第1補強層
9 第2補強層
10 第3補強層
11 交差ベルト(11a,11b ベルト層)
12 キャップ層
Claims (7)
- 一対のビードコア間にトロイド状に延在するプライ本体部と、該プライ本体部から延び前記ビードコアのそれぞれの周りにタイヤ幅方向内側から外側に折り返されたプライ折返し部と、からなり、プライコードをゴム被覆してなる少なくとも1枚のプライをもつカーカスと、
前記プライ本体部と前記プライ折返し部との間で前記ビードコア上からタイヤ径方向外側に向けて先細りに延びるビードフィラーと、
前記プライ折返し部と少なくとも前記ビードフィラーとの間に、タイヤ幅方向内側から順に配設された、第1のコードをゴム被覆してなる第1補強層および第2のコードをゴム被覆してなる第2補強層と、
前記プライ折返し部のタイヤ幅方向外側に配設された、ゴムからなる第3補強層と、を有し、
前記第1のコード、前記第2のコード、および前記プライコードは、この順に大きい引張弾性率をもち、
前記第3補強層を構成する前記ゴムは、前記ビードフィラーを構成するゴムよりも小さい100%モジュラスをもつことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記第1のコードは金属コードであり、前記第2のコードおよびプライコードは有機繊維コードである請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーカスのクラウン部外周側に位置し、コードをゴム被覆してなる少なくとも1層のベルト層をさらに有し、
前記カーカスを構成するプライのうち、少なくとも1枚のプライは、プライ折返し部の折返し端が前記ベルト層と前記カーカスのクラウン部との間に位置する構造を有する請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。 - 前記カーカスが1枚のプライで構成される請求項1乃至3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- タイヤ幅方向断面で見て、前記第3補強層、前記第2補強層、前記第1補強層、および前記ビードフィラーのタイヤ径方向外側端部は、この順にタイヤ径方向外側に位置する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第2の補強層は、前記ビードコアの周りにタイヤ幅方向外側から内側に折り返された折返し部を有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第1のコードはスチールコードであり、前記第2のコードは芳香族ポリアミド繊維コードであり、前記プライコードはレーヨンコードである請求項2乃至6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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