JP2012148488A - 樹脂発泡成形品の製造方法、及び、樹脂発泡成形品の製造設備 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】帯状の樹脂発泡シートの表面に樹脂フィルムを熱ラミネートして積層発泡シートを作製しつつ得られた積層発泡シートを熱成形装置で熱成形して樹脂発泡成形品を作製する樹脂発泡成形品の製造方法であって、樹脂フィルムが熱ラミネートされる樹脂発泡シートの前記表面を前記熱ラミネート前に加熱する予備加熱工程を実施することを特徴とする樹脂発泡成形品の製造方法などを提供する。
【選択図】 図1
Description
例えば、発泡トレーの製造方法においては、発泡シートに製品形状を形成させるための成形型などを備えた熱成形装置と、形成された製品形状の輪郭に沿って発泡シートを打抜き刃型で切断して発泡シートから製品を取り出すための打抜き装置などを備えた製造ラインに前記原反ロールから発泡シートを繰り出させて連続供給し、前記成形型で発泡シートの先端側から順に発泡トレー形状を形成させるとともに形成された発泡トレーを前記打抜き刃型で順に打抜いて発泡シートから取り出すような生産方法が採用されている。
このような容器を形成させる際には、樹脂フィルムを積層させた発泡シートを一旦作製して、この樹脂フィルムが積層された発泡シートを熱成形装置で成形加工する方法が採用されている。(以下、「発泡シート」との用語は、特段の断りがない限りにおいて樹脂フィルムの積層されていないもののみを意図して用い、上記のような樹脂フィルムの積層された発泡シートには「積層発泡シート」との用語を用いる。)
また他には、別々に作製した帯状の発泡シートと樹脂フィルムとを重ね合わせた状態にして所定温度に加熱された加熱ロールを樹脂フィルム側に当接させつつ回転させて樹脂フィルムとの当接位置を樹脂フィルムの長さ方向に移動させることにより樹脂フィルムを発泡シートに順に加熱圧着させる熱ラミネートと呼ばれる方法などが知られている(下記特許文献1参照)。
このような問題に対して、加熱ローラの回転数を増大させるなどして熱ラミネートの時間短縮を図ろうとすると樹脂フィルムが発泡シートに十分接着されずに熱成形時に樹脂フィルムにシワが形成されたりするおそれを有する。
また、一方で、加熱ロールの温度を上昇させて熱ラミネートに要する時間を短縮させることも考え得るが、その場合には、何等かのトラブルによってラインが停止した際には樹脂フィルムが加熱ロールに接触した状態で停止するため樹脂フィルムが溶断されるおそれを有する。
従って、加熱された発泡シートに樹脂フィルムが重ね合わされた時点で前記発泡シートの熱を樹脂フィルムが受け取ることになり熱ラミネート時における樹脂フィルムの温度上昇を発泡シートから受ける熱で促進させることができる。
すなわち、樹脂フィルムと発泡シートとの接着力不足を招くおそれを抑制しつつ熱ラミネートに要する時間を短縮させることができ、品質に優れた樹脂発泡成形品を効率良く製造することができる。
図1は、発泡トレーの製造方法に使用する設備の構成を示す図で、正面視左側から右側に向けた方向が製造ラインの流れ方向となっている。
なお、図1(a)は平面図であり、(b)は正面図である。
図2は、図1(b)において「X」で示されている領域を拡大した図であり、(a)は発泡トレーを製造する前の様子を示すもので、(b)は発泡トレー製造中の様子を示すものである。
また、符号3は、前記原反ロール1から繰り出される発泡シート11と、前記フィルムロール2から繰り出される樹脂フィルム21とを熱ラミネートさせるためのラミネート装置であり、符号4は、前記ラミネート装置3で作製された積層発泡シート12を熱成形するための熱成形装置である。
なお、本実施形態に係る発泡トレーの製造設備には、前記原反ロール1から繰り出された発泡シート11を加熱するための予備加熱装置5が、前記ラミネート装置3の上流側に備えられている。
さらに、本実施形態に係る発泡トレーの製造設備には、前記熱成形装置4で熱成形された積層発泡シート12を熱成形装置4での一回の熱成形分ごとに切断する切断装置6と、該切断装置6で切断された積層発泡シート12を打抜いて発泡トレー10を切り出す打抜き装置7と、該打抜き装置7で切り出された発泡トレー10を搬送するための搬送装置8と、前記発泡トレー10が切り出された後の端材(トリミングロス)を破砕する破砕装置9とが備えられている。
具体的には、本実施形態に係る発泡トレーの製造設備には、ライン流れ方向上流側から下流側にかけて、予備加熱装置5、ラミネート装置3、熱成形装置4、切断装置6、打抜き装置7、搬送装置8の順に配置されており、当該製造設備は、前記予備加熱装置5よりもさらに上流側に前記原反ロール1をセットし得るように構成されている。
該原反ロール1は、後述するラミネート装置3によって発泡シート11が引取られることによって回転して発泡シート11が自動的に繰り出され得るようにセットされており、前記ラミネート装置3に向けて発泡シート11を略水平に送り出し得るように配置されている。
この2本のローラの内、上方のローラは、その表面温度を調整可能な金属ローラ31(以下「加熱ローラ31」ともいう)であり、下方のローラは、金属ローラの表面に薄い弾性体層を形成させたローラ32(以下「ニップローラ32」ともいう)である。
この加熱ローラ31とニップローラ32とは、いずれも前記発泡シート11の長さ方向に対してその中心軸を直交させて配されており、前記発泡シート11や樹脂フィルム21の幅よりも長さが長くこれらを全幅にわたって挟み込み得るように備えられている。
前記押さえローラ33は、その下端部を、前記加熱ローラ31と前記ニップローラ32とによる発泡シート11のニップ位置よりも僅かに下方に位置させて、前記加熱ローラ31の上流側に配置されており、樹脂フィルム21を上方から発泡シート11に押し付け得るように備えられている。
前記原反ロール1よりも下流側、且つ、前記ラミネート装置3よりも上流側には、樹脂フィルム21が熱ラミネートされる表面11aを上方に向けて前記発泡シート11が搬送される区間が設けられており、前記輻射加熱ヒーター51は、発泡シート11の前記表面11aと対面するように熱放射面51aを下面側に向けて前記発泡シート11の搬送位置よりも上方に配されている。
当該ガイドローラ52は、通常、前記加熱ローラ31とニップローラ32とによるニップ位置と略同じ高さ位置に設けられており、発泡シート11をラミネート装置3との間で略水平に保持し得るように配されている。
即ち、予備加熱装置5には、ライン流れ方向に向けて先上りするような傾斜を熱放射面51aに持たせて前記輻射加熱ヒーター51が配されている。
従って、輻射加熱ヒーター51は、ライン流れ方向下流側に移動するに従って前記熱放射面51aと発泡シート11の表面11aとの距離が広がるように配置されている。
より具体的には、前記シート位置調整機構53は、前記ガイドローラ52とは対照的に輻射加熱ヒーター51の下流側に配されており、前記発泡シート11が通過する位置よりも下側に配されている。
そして、ガイドローラ52が予備加熱装置5への発泡シート11の導入位置を垂直方向において規定するものであったのに対して前記シート位置調整機構53は、予備加熱装置5からの発泡シート11の排出位置を垂直方向において規定するものである。
前記アーム53bは、垂直方向に延びる棒状体で構成されており、その上端部において前記保持ローラ53aを軸支しており、下端部が前記基台53cに固定されている。
しかも、前記シート位置調整機構53は、前記アーム53bの基台53cへの固定位置を上下させることによって前記保持ローラ53aを上下させ得るように構成されており、前記発泡シート11の表面11aと、前記輻射加熱ヒーター51の熱放射面51aとが略平行する状態まで発泡シート11を持ち上げ得るように構成されている。
そのため押さえローラ33では、シート位置調整機構53で発泡シート11が持ち上げられることによって該発泡シート11が巻き掛けられる区間が長くなり、前記輻射加熱ヒーター51から発泡シート11が受けた熱が樹脂フィルム21により伝達されやすくなる。
すなわち、本実施形態においては、積層発泡シート12が熱成形装置4でのワンショットの熱成形に必要な長さ熱成形装置4に引き込まれる動作と、熱成形装置4での熱成形の間(及び、積層発泡シートが打抜かれる間)積層発泡シート12が停止する動作とが交互に繰り返されて発泡トレー10が作製されるように構成された製造設備が用いられている。
このときシート位置調整機構53の保持ローラ53aは下げた状態にしておいて、輻射加熱ヒーター51を発泡シート11から遠ざけておく。
また、ラミネート装置3の加熱ローラ31とニップローラ32との間もあけた状態にしておき、熱成形装置4の加熱ゾーンに設けられたヒーターの電源、並びに、加熱ローラ31と輻射加熱ヒーター51の電源を入れ、それぞれが所定の温度となるまで待機する。
このことによって発泡シート11と樹脂フィルム21とを引取らせ一定のスピードで加熱ローラ31の下流側に積層発泡シート12を形成させることができる。
なお、スムーズな生産を行う上においては、ラミネート装置3で単位時間あたりに形成させる積層発泡シート12の長さを、熱成形装置4に間欠送りされる積層発泡シート12の平均スピードに基づいて調整する必要があり、通常、ラミネート装置3からの積層発泡シート12の排出スピードと間欠送りされる積層発泡シート12の平均スピードが同じスピードとなるように調整する必要がある。
また、このとき前記シート位置調整機構53の保持ローラ53aを上昇させることにより、予備加熱装置内における発泡シート11の位置を輻射加熱ヒーター51の熱放射面51aに接近させ、前記予備加熱装置5によって樹脂フィルム21がラミネートされる発泡シート11の表面11aを熱ラミネート前に加熱する工程(以下「予備加熱工程」ともいう)を実施させることが熱ラミネートのスピードアップ、即ち、発泡トレー10の生産効率アップにとって重要となる。
その後、この樹脂フィルム21と発泡シート11とが重ね合わせられた積層体を加熱ローラ31とニップローラ32の間を通過させて熱ラミネートを実施し積層発泡シート12を形成させることができる。
得られた積層発泡シート12は、熱成形装置4に間欠送りされ、前記加熱ゾーンにおいて加熱、軟化され、前記成形ゾーン42でトレー形状が形成されることになる。
また、成形ゾーン42を通過した積層発泡シートは、続けて、熱成形装置4でのワンショット分の長さに切断装置6で切断された後、打抜き装置7においてトレー形状が形成された箇所が前記打抜き刃型71で打抜かれ、端材12wとなって前記破砕装置9で破砕処理される。
一方で、打抜かれた発泡トレー10は、搬送装置8で製品検査、梱包といった次段の工程が行われる箇所へと搬送される。
従って、熱ラミネート時における樹脂フィルム21の温度上昇を発泡シート11から受ける熱で促進させることができ加熱ローラ31の表面温度を従来と同程度の設定温度にしつつもその周速を従来以上に増大させても熱ラミネートのコンディションを従来と同様のものとすることができる。
即ち、加熱ローラ31とニップローラ32との間を通過する際の発泡シート11の反発力を増大させることができ、この反発力を熱ラミネートに有効に利用することができる。
このような効果を生じさせるための予備加熱工程における発泡シートの加熱温度は、発泡シートや、該発泡シートにラミネートする樹脂フィルムの材料や厚み等によって適宜選択すればよい。
例えば、前記シート位置調整機構53が設けられていない予備加熱装置を採用することも可能である。
ただし、発泡トレー10を作製する準備を行う段階においては、通常、発泡シート11を静止させていることから、この段階で通電状態の輻射加熱ヒーター51を発泡シート11に接近させたのでは発泡シート11が過度に温度上昇してしまうおそれを有する。
一方で、発泡シート11の温度上昇を回避すべく、発泡トレー10の製造が開始され、発泡シート11が移動されるまで輻射加熱ヒーター51を通電させずにおくと、所定の温度に輻射加熱ヒーター51の温度が上昇するまでの間、良好な製品が得られないことになり発泡シートや樹脂フィルムなどの原材料を無駄に消費させることになる。
このような点においては本実施形態において示すように輻射加熱ヒーターとの距離を調整可能なシート位置調整機構53を設けた予備加熱装置を採用することが好ましい。
発泡シートの表面を加熱するための輻射加熱ヒーターを発泡シート11の下面側に配するような態様は、輻射加熱ヒーターから発せられる輻射熱だけでなく、輻射加熱ヒーターが周囲の空気を加熱することによって生じる対流による熱伝動を発泡シートの予備加熱に有効活用させやすい点において優れているといえる。
ただし、対流による熱伝導は、周囲の気流などの影響を受けやすいために、本実施形態における態様のように発泡シートの上方から輻射加熱を実施した方が、発泡シートの表面温度がより精度良くコントロールされ得る。
さらには、本実施形態においては、樹脂発泡成形品として発泡トレーを例示しているが、本発明においては、製造する樹脂発泡成形品を発泡トレーに限定するものでもない。
また、ここでは詳述しないが、樹脂発泡成形品の製造方法や製造設備に関して従来公知の事項については、本発明の効果が著しく損なわれない範囲において、本発明の樹脂発泡成形品の製造方法や製造設備にも採用が可能なものである。
Claims (4)
- 帯状の樹脂発泡シートの表面に樹脂フィルムを熱ラミネートして積層発泡シートを作製しつつ得られた積層発泡シートを熱成形装置で熱成形して樹脂発泡成形品を作製する樹脂発泡成形品の製造方法であって、
樹脂フィルムが熱ラミネートされる樹脂発泡シートの前記表面を前記熱ラミネート前に加熱する予備加熱工程を実施することを特徴とする樹脂発泡成形品の製造方法。 - 帯状の樹脂発泡シートの表面に樹脂フィルムを熱ラミネートして積層発泡シートを作製するラミネート装置と、前記積層発泡シートを熱成形する熱成形装置とが備えられており、前記ラミネート装置で前記積層発泡シートを作製しつつ該積層発泡シートを前記熱成形装置で熱成形して樹脂発泡成形品を作製し得るように前記ラミネート装置と前記熱成形装置とが配置されている樹脂発泡成形品の製造設備であって、
樹脂フィルムが熱ラミネートされる樹脂発泡シートの前記表面を前記熱ラミネート前に加熱するための予備加熱装置がさらに備えられていることを特徴とする樹脂発泡成形品の製造設備。 - 前記ラミネート装置よりも上流側には前記樹脂発泡シートが前記表面を上方に向けて搬送される区間が設けられており、前記予備加熱装置には前記表面を加熱するための輻射加熱ヒーターが備えられ、該輻射加熱ヒーターは、前記区間において樹脂発泡シートの前記表面を加熱させ得るように該樹脂発泡シートよりも上方に配置されている請求項2記載の樹脂発泡成形品の製造設備。
- 前記予備加熱装置には、加熱される樹脂発泡シートと前記輻射加熱ヒーターとの距離を調整可能なシート位置調整機構がさらに備えられている請求項3記載の樹脂発泡成形品の製造設備。
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