以下、図を参照しながら、この発明のシステム、装置、方法、プログラムの一実施の形態について説明する。この発明は、気象警報、交通機関の事故、遅延情報、道路の事故、渋滞情報など、緊急に配信した方が好ましい種々の速報(情報)を配信する場合に適用することができるものである。しかし、以下においては、説明を簡単にするため、既に気象庁からの提供が開始されている緊急地震速報を配信するシステムに、この発明を適用した場合を例にして説明する。
[緊急速報配信システムの概要]
まず、以下に説明する実施の形態の緊急速報配信システムの全体構成について説明する。図1は、この実施の形態の緊急速報配信システムを説明するためのブロック図である。図1において、無線LAN(Local Area Network)システムA、Bが、この実施の形態の緊急速報配信システムの一実施の形態が適用されたものである。この実施の形態において、無線LANシステムA、Bのそれぞれは、異なる会社(事業所)などに電話システムとして構成されるものである。
無線LANシステムAは、図1に示すように、主装置1Aと、アクセスポイント装置(図1においてはAPと記載。)2A(1)、2A(2)、…と、無線通信端末3A(1)、3A(2)、…とからなっている。主装置1Aは、ネットワーク5からの複数の通信回線を収容する。また、主装置1Aには、有線LAN4Aを通じてアクセスポイント装置2A(1)、2A(2)、…が接続され、これらアクセスポイント装置2A(1)、2A(2)、…を通じて、無線通信端末3A(1)、3A(2)、…が接続される構成となっている。
そして、主装置1Aは、ネットワーク5上の外部の通信端末と配下の無線通信端末3A(1)、3A(2)、…との間(外線−内線間)の通信回線を接続したり、配下の無線通信端末3A(1)、3A(2)、…間(内線間)の通信回線を接続したりする。また、主装置1Aは、利用中の通信回線を管理し、通信回線の接続要求がきた場合に、これを空いている通信回線に振り分けたりするなどの機能を有するものである。
アクセスポイント装置2A(1)、2A(2)、…のそれぞれは、主装置1Aに対して有線LAN4Aを通じて接続されたものである。そして、アクセスポイント装置2A(1)、2A(2)、…のそれぞれは、ネットワーク5からの通信回線が収容される主装置1Aと、配下の無線通信端末3A(1)、3A(2)、…との間の情報の送受(通信)を中継する機能を実現する。すなわち、アクセスポイント装置2A(1)、2A(2)、…を通じて、無線通信端末3A(1)、3A(2)、…のそれぞれが、主装置1Aに対して接続することができるようにされる。なお、図1に示したように、主装置1Aの性能等に応じて、主装置1Aに対して複数のアクセスポイント装置2A(1)、2A(2)、…が接続可能にされている。
そして、無線通信端末3A(1)、3A(2)、…のそれぞれは、上述したように、主装置1Aを介して、ネットワーク5に接続された外部の通信機器や有線LAN4Aに接続された通信端末との間に通信回線を接続し、それらとの間で通話を行うことができるようにするものである。なお、以下に説明する実施の形態において、無線通信端末3A(1)、3A(2)、…のそれぞれは、図1に示したように、携帯電話端末のように持ち運んで利用することが可能なものである。しかし、無線通信端末3A(1)、3A(2)、…は、設置型のものとして構成することもできる。また、無線通信端末3A(1)、3A(2)、…は、無線LAN接続機能を備えたパーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)などと呼ばれる個人用情報端末などにヘッドセット等を接続した構成として実現するなどのことも可能である。
また、無線LANシステムBも、上述した無線LANシステムAと同様に構成されたものである。すなわち、無線LANシステムBの主装置1Bは、上述した無線LANシステムAの主装置1Aと同様の機能を実現する。また、無線LANシステムBのアクセスポイント装置(図1においてはAPと記載。)2B(1)、2B(2)、…のそれぞれは、上述した無線LANシステムAのアクセスポイント装置2A(1)、2A(2)、…のそれぞれと同様の機能を実現する。また、無線LANシステムBの無線通信端末3B(1)、3B(2)、…のそれぞれは、上述した無線LANシステムAの無線通信端末3A(1)、3A(2)、…のそれぞれと同様の機能を実現する。
したがって、無線LANシステムBにおいて、無線通信端末3B(1)、3B(2)、…のそれぞれは、主装置1Bを介して、ネットワーク5に接続された外部の通信機器や有線LAN4Bに接続された通信端末との間に通話路を接続し、それらとの間で通話を行うことができるようにされる。
そして、図1において点線の円によって示したように、無線LANシステムAは、アクセスポイント装置2A(1)、2A(2)、…と、無線通信端末3A(1)、3A(2)、…との間で通信が可能な通信エリアArAを形成する。したがって、無線通信端末3A(1)、3A(2)、…が、通信エリアArAの外に移動した場合には圏外となり、アクセスポイント装置2A(1)、2A(2)、…に対して接続できなくなるので、通信を行うことができなくなる。
同様に、無線LANシステムBは、アクセスポイント装置2B(1)、2B(2)、…と、無線通信端末3B(1)、3B(2)、…との間で通信が可能な通信エリアArBを形成する。したがって、無線通信端末3B(1)、3B(2)、…が、通信エリアArBの外に移動した場合には圏外となり、アクセスポイント装置2B(1)、2B(2)、…に対して接続できなくなるので、通信を行うことができなくなる。
そして、一般に、無線LANシステムにおいては、秘匿性を高くして情報の漏洩を防止し、セキュリティの高いシステムを実現するために、アクセスポイント装置と無線通信端末間においてはSSID隠蔽機能や暗号化機能が用いられる。SSID(Service Set Identifier)隠蔽機能は、SSIDステルスなどともよばれ、ビーコン信号にSSIDを付加しないようにすることによって、SSIDが既に登録されている無線通信端末しか所定のアクセスポイント装置に対して接続できないようにするものである。
もちろん、SSIDを含むビーコン信号をアクセスポイント装置が送信する場合であっても、通常は、そのビーコン信号を送信するアクセスポイント装置に対しては、同じSSIDが事前に設定された無線通信端末だけしか接続することができないようにされる。また、暗号化処理には、WPA(Wi-Fi Protected Access)やWPA2などの種々の暗号化方式のものが用いられ、一般に所定の暗号化情報を有する機器間においてだけ、正常に復号化することができるようにして秘匿性を高くすることができるようにしている。
このため、図1に示したように、無線LANシステムBの無線通信端末3B(1)が、無線LANシステムAが形成する通信エリアArA内に入ってきても、無線LANシステムAのアクセスポイント装置2A(1)、2A(2)、…には接続できない。無線LANシステムBの無線通信端末3B(1)は、無線LANシステムAのアクセスポイント装置2A(1)、2A(2)、…のSSIDや暗号化情報は知らない(設定されていない)ためである。
そして、図1に示したように、無線LANシステムA、Bのそれぞれは、ネットワーク5を通じて、緊急地震速報サーバ6に対して接続可能にされている。この実施の形態において、ネットワーク5は、IP網や電話網などの種々の広域通信網を含むものである。ここで、IP網は、IP(Internet Protocol)を用いて通信を行うネットワークを意味し、具体的にはインターネットである。また、電話網は、PSTN(Public Switched Telephone Network)などと呼ばれるアナログ方式の公衆交換電話網やISDN(Integrated Services Digital Network)などと呼ばれるデジタル回線網、さらには携帯電話網などを含むものである。
緊急地震速報サーバ6は、気象庁からの緊急地震速報データを受信した場合に、これをUDP(User Datagram Protocol)パケットにして、予め登録されているビジネスホンシステムの主装置や無線LANシステムの主装置に対して配信するものである。この実施の形態において、無線LANシステムA、Bの主装置1A、1Bは、緊急地震速報データの送信先として、緊急地震速報サーバ6に予め登録されているものである。
緊急地震速報サーバ6から緊急地震速報データが配信された無線LANシステムAの主装置1Aは、自機に有線LAN4A通じて接続されているアクセスポイント装置2A(1)、2A(2)、…を通じて、配下の無線通信端末3A(1)、3A(2)、…を制御する。具体的には、当該無線通信端末のそれぞれにおいて、画面へのメッセージ表示、LED(Light Emitting Diode)などのランプの点灯、点滅、消灯、さらには音声出力(アラーム音や音声メッセージ)により、緊急地震速報がユーザに報知(通知)される。また、緊急地震速報サーバ6から緊急地震速報データが配信された無線LANシステムBにおいても、無線LANシステムAの場合と同様の緊急地震速報データに応じた緊急地震速報の報知処理が行われる。
しかし、上述もしたように、無線LANシステムの場合には、自システム(自グループ)のセキュリティを高く維持するため、SSID隠蔽機能や暗号化機能により、他システム(他グループ)の無線通信端末の接続を排除する。したがって、図1において点線矢印で示したように、無線LANシステムBの無線通信端末3B(1)が、自システムの通信エリアArBから出て、無線LANシステムAの通信エリアArAに入った場合には、主装置1A、1Bのいずれからの制御も受けることができない。このため、通信エリアArA内に位置する無線通信端末3B(1)は、緊急地震速報が発生しても緊急地震速報をユーザに報知することができなくなる。
そこで、この実施の形態の無線LANシステムAにおいては、主装置1Aから緊急地震速報データの提供を受けたアクセスポイント装置2A(1)、2A(2)、…のそれぞれは、他システムの無線通信端末にも緊急地震速報データを配信(送信)できるようにしている。すなわち、緊急地震速報データの提供を受けたアクセスポイント装置2A(1)、2A(2)、…のそれぞれは、他システムの無線通信端末も受信して認識可能にした緊急地震速報に関する情報を形成し、これを自機の周辺に存在する不特定多数の無線通信端末に送信する。
そして、無線通信端末は、近隣のアクセスポイント装置から緊急地震速報に関する情報を受信した場合には、緊急地震速報に関する処理を実行し、ユーザに緊急地震速報を報知することができるようにしている。なお、ここでは説明を簡単にするため、無線LANシステムAのアクセスポイント装置2A(1)、2A(2)、…のそれぞれが行う処理として説明した。しかし、無線LANシステムBのアクセスポイント装置2B(1)、2B(2)、…のそれぞれも、無線LANシステムAのアクセスポイント装置2A(1)、2A(2)、…と同様に機能することができるようにしている。
これにより、無線LANシステムの無線通信端末が、自システムの圏外になっていても、近隣に他システムのアクセスポイント装置があり、そこからの情報を受信できれば、他システムから緊急地震速報データを得て、ユーザに緊急地震速報を報知することができるようにしている。
次に、この実施の形態の緊急速報配信システムの一実施の形態が適用された無線LANシステムA、Bを構成する各機器の基本的な構成例について説明する。なお、この実施の形態においては、上述もしたように無線LANシステムA、Bにおいて対応する機器同士は同様の機能を実現する。このため、無線LANシステムA、Bにおいて対応する機器同士の基本的な構成は同様のものである。
そこで、特に区別して示す場合を除き、主装置1A、1Bは、主装置1と称し、アクセスポイント装置2A(1)、2A(2)、…、2B(1)、2B(2)、…は、アクセスポイント装置2と称する。また、特に区別して示す場合を除き、無線通信端末3A(1)、3A(2)、…、3B(1)、3B(2)、…は、無線通信端末3と称し、無線LANシステムA、Bで用いられている有線LAN4A、4Bについても、有線LAN4と称する。
[主装置1の構成と動作概要]
まず、主装置1の構成例と動作について説明する。上述もしたように、主装置1にはIP網も接続される。このため、主装置1は、SIP(Session Initiation Protocol)サーバ機能をも備えたものである。すなわち、主装置1は、自機に収容される通信回線の接続管理を行うことができると共に、通信回線を接続する端末間のアドレス解決をするものである。このため、上述もしたように、無線LANシステムA、Bの無線通信端末3のそれぞれは、内線、外線を問わず、主装置1を介して通信回線が生成され、通話などの通信を行うことができるようにされる。このように、主装置1は、通信回線の交換、接続を行う交換装置としての機能を実現するものである。
図2は、この実施の形態の緊急速報配信システムで用いられる主装置1を説明するためのブロック図である。図2に示すように、主装置1は、IP網への接続端子101と、IP網インターフェース(以下、IP網I/Fと略称する。)102と、パケット分解/生成部103とを備えている。また、主装置1は、電話網インターフェース(以下、電話網I/Fと略称する。)104と、電話網への接続端子105と、アドレス管理データベース(以下、アドレス管理DBと略称する。)106とを備えている。さらに、主装置1は、LANインターフェース(以下、LANI/Fと略称する。)107と、有線LAN4への接続端子108と、制御部110とを備えている。
制御部110は、この実施の形態の主装置1の各部を制御するものであり、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)113がシステムバス114を通じて接続されて構成されたマイクロコンピュータである。ここで、CPU111は、ROM112に記憶保持されているプログラムを実行することにより、各部を制御するための制御信号を生成して各部に供給したり、各部からの情報を処理したりするものである。ROM112は、上述のように、CPU111で実行される種々のプログラムや処理に必要となる種々のデータを記憶保持しているものである。
また、RAM113は、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に、作業領域として用いられるものである。なお、図示しないが、例えば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)やフラッシュメモリーなどのいわゆる不揮発性メモリを備え、電源が落とされても保持しておくべきデータ、例えば、種々の設定パラメータや機能アップのために提供された新たなプログラムなどについても記憶保持することができるようにされている。
接続端子101は、IP網への接続端部を構成するものである。IP網I/F102は、IP網との間でデータを送受するようにするためのものである。すなわち、IP網I/F102は、IP網を通じて供給されるパケットを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のパケットに変換して制御部110に供給する。また、IP網I/F102は、制御部110を通じて供給される送信すべきパケットを送信用の形式のパケットに変換して、これをIP網に送出する。
接続端子105は電話網への接続端部を構成するものである。電話網I/F104は、電話網との間でデータを送受するようにするためのものである。電話網I/F104は、電話網を通じて供給されるデータを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のデータに変換して制御部110に供給する。また、電話網I/F104は、制御部110を通じて供給される送信すべきデータを送信用の形式のデータに変換して、これを電話網に送出する。
接続端子108は有線LAN4への接続端部を構成するものである。LANI/F107は、有線LAN4との間でデータを送受するようにするためのものである。LANI/F107は、有線LAN4を通じて供給されるパケットを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のパケットに変換して制御部110に供給する。また、LANI/F107は、制御部110を通じて供給される送信すべきパケットを送信用の形式のパケットに変換して、これを有線LAN4に送出する。
そして、パケット分解/生成部103は、パケットの分解や生成を行うものである。具体的には、アクセスポイント装置2を通じて主装置1に対して接続される無線通信端末3からの電話網に接続された端末装置に送信すべきパケットは、接続端子108、LANI/F107を通じて制御部110に受け付けられる。当該パケットは、制御部110からパケット分解/生成部103に供給され、ここでパケット分解された後に、電話網I/F104、接続端子105を通じて電話網に送出され、目的とする相手先に送信するようにされる。
また、電話網に接続された端末装置からのアクセスポイント装置2を通じて接続される配下の無線通信端末3へのデータは、接続端子105、電話網I/F104を通じて制御部110に受け付けられる。当該データは、制御部110からパケット分解/生成部103に供給され、ここで所定の形式のパケットとされた後に、LANI/F107、接続端子108を通じて、有線LAN4に送出されて、アクセスポイント装置2を通じて目的とする無線通信端末3に送信するようにされる。
なお、IP網に接続された端末と、主装置1にアクセスポイント装置2を通じて接続される無線通信端末3等との間では、パケットが送受される。このため、パケット分解/生成部103において、パケットの分解や生成は行われることはなく、IP網I/F102、LANI/F107において、データ形式が整えられてそのまま送受するようにされる。同様に、主装置1にアクセスポイント装置2を通じて接続される無線通信端末間においても、パケットが送受されるため、パケット分解/生成部103において、パケットの分解や生成は行われることはなく、LANI/F107を通じてパケットが送受するようにされる。
そして、アドレス管理DB106は、レジストラ・サーバ機能を実現するために、IP網やアクセスポイント装置2を通じて有線LAN4に接続され、この主装置1を通じて呼び出す可能性のある端末装置についてのアドレス情報を記憶保持するものである。具体的には、主装置1の制御部110は、IP網I/F102やLANI/F107を通じて、これらに接続されている種々の端末装置からの登録要求(レジスタ・リクエスト)を受信する。この場合に、制御部110は、受信した要求に含まれるURI(Uniform Resource Identifier)やIPアドレスなどのアドレス情報を抽出する。そして、制御部110は、抽出したアドレス情報をアドレス管理DB106に登録したり、抽出アドレス情報を用いてアドレス管理DB106の登録情報を更新したりする。
このようにして、アドレス管理DB106に登録されて管理される情報が参照され、自機にアクセスポイント装置2を通じて接続される無線通信端末3などから要求のあった通信先を確実に特定する。そして、その特定した相手先に送信すべき情報(パケットデータ)を転送するようにするプロキシ・サーバとしての機能を実現するようにしている。また、アドレス管理DB106に登録されて管理される情報は、自機にアクセスポイント装置2を通じて接続される無線通信端末3などへの着信の判別などにも用いられる。
また、制御部110は、IP網I/F102、電話網I/F104、LANI/F107を通じて、使用中の通信回線や空いている通信回線を把握し、上述もしたように、適切に回線交換を行うこともできるようにしている。また、制御部110は、把握した通信回線の使用状態等に応じて、アクセスポイント装置2を通じて接続される無線通信端末3毎に供給すべきLED等の点灯、消灯を制御するための制御情報を形成する。当該制御情報は、LANI/F107、接続端子108を通じて有線LAN4に送出され、アクセスポイント装置2を通じて各無線通信端末3に送信される。
さらに、制御部110は、IP網などであるネットワーク5を通じて緊急地震速報サーバ6から緊急地震速報データを受信したときには、これに応じてアクセスポイント装置2に送信すべきアクセスポイント装置用の緊急地震速報データを形成する。そして、制御部110は、当該アクセスポイント装置用の緊急地震速報データを、LANI/F107、接続端子108を通じて有線LAN4に送出する。これにより、当該アクセスポイント装置用の緊急地震速報データが、アクセスポイント装置2に送信される。なお、受信したパケットの分解や、送信データのパケット化は、制御部110の制御により、パケット分解/生成部103において行われる。
このように、この実施の形態の主装置1は、外線−内線間の接続や内線間の接続を行ったり、通信回線の使用状況を配下の無線通信端末に通知したりすることができるものである。さらに、この実施の形態の主装置1は、緊急地震速報データを受信した場合に、アクセスポイント装置2用の緊急地震速報データを形成して、これをアクセスポイント装置2に提供することもできるものである。
なお、図2において、パケット分解/生成部103は、独立した回路部分として示しているが、これに限るものではない。パケット分解/生成部103は、制御部110において実行されるプログラムにより、制御部110の機能として実現することももちろん可能である。
[アクセスポイント装置2の構成と動作概要]
次に、アクセスポイント装置2の構成例と動作について説明する。アクセスポイント装置2は、上述もしたように、主装置1と無線通信端末3との間の情報の送受を中継する中継装置としての機能を実現するものである。
図3は、この実施の形態の緊急速報配信システムで用いられるアクセスポイント装置2を説明するためのブロック図である。図3に示すように、この実施の形態のアクセスポイント装置2は、有線LAN4への接続端子201と、有線LANインターフェース(以下、有線LANI/Fと略称する。)202と、送信用処理回路203と、受信用処理回路204と、送信アンプ205と、受信アンプ206と、アンテナ共用器207と、送受信アンテナ208と、制御部210とを備えている。
接続端子201は有線LAN4への接続端部を構成するものである。有線LANI/F202は、有線LAN4を通じて供給され、接続端子201を通じて受け付けた自機宛ての信号を、自機において処理可能な形式の信号に変換し、これを制御部210に供給する。また、有線LANI/F202には、制御部210から供給される送信すべき信号を、有線LAN4に送出する形式の信号に変換し、これを有線LAN4に送出する。
送受信アンテナ208は、無線接続される無線通信端末3との間でパケットの送受を行なうためのものである。また、アンテナ共用器207は、自機から送信する信号と自機が受信する信号とが影響を及ぼし合うことがないようにするためのものである。受信アンプ206は、受信したパケットを所定のレベルにまで増幅し、これを受信用処理回路204に供給するものである。受信用処理回路204は、受信したパケットを自機において処理可能な形式のパケットに変換し、これを制御部210に供給するものである。また、送信用処理回路203は、制御部210からのパケットから実際に送信する形式の送信用パケットを形成する。送信アンプ205は、送信用パケットを所定のレベルにまで増幅するものである。
アクセスポイント装置2では、接続端子201および有線LANI/F202を通じて得た主装置1からの送信用パケットを、制御部210の制御に応じて送信系が機能し、無線通信端末3に対して無線送信する。ここで、送信系は、送信用処理回路203、送信アンプ205、アンテナ共用器207、送受信アンテナ208からなる部分である。
また、無線通信端末3からの信号は、このアクセスポイント装置2の受信系を通じて受信され、制御部210に供給される。ここで、受信系は、送受信アンテナ208、アンテナ共用器207、受信アンプ206、受信用処理回路204からなる部分である。制御部210は、受信したパケットを、有線LANI/F202及び接続端子201を通じて有線LAN4に送出し、主装置1に送信する。
制御部210は、マイクロコンピュータにより構成されるもので、例えば、図3に示すような構成とされる。すなわち、システムバス211を介して、CPU212に対し、ROM213と、RAM214と、EEPROM215と、パケット分解/生成部216と、無線端末情報管理部217と、緊急時無線制御部218と、緊急地震速報制御部219と、ビーコン生成部220とが接続されている。
ここで、CPU212は、ROM213に記憶保持されているプログラムを実行することにより、各部を制御するための制御信号を生成して各部に供給したり、各部からの情報を処理したりするものである。ROM213は、上述のように、CPU212で実行される種々のプログラムや処理に必要となる種々のデータを記憶保持しているものである。
また、RAM214は、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に、作業領域として用いられるものである。また、EEPROM215は、いわゆる不揮発性メモリであり、電源が落とされても保持しておくべきデータ、例えば、種々の設定パラメータや機能アップのために提供された新たなプログラムなどについても記憶保持することができるようにされている。なお、通常使用するSSIDや後述もする緊急地震速報用のSSID、さらに、暗号化や復号化に必要となる情報等も、EEPROM215に記憶保持される。これらの情報は、変更することもできるようにされる。
パケット分解/生成部216は、接続端子201および有線LANI/F202を通じて受信したパケットを分解して、緊急地震速報制御部219に転送する機能と、送信するデータをパケット化して送出するパケットを生成する機能を有する。
無線端末情報管理部217は、無線接続される配下の無線通信端末3のアドレス情報やポート番号を記憶して管理する。
緊急時無線制御部218は、後述の緊急地震速報制御部219の制御に応じて、緊急地震速報用のSSIDを用いて接続してきた無線通信端末との接続処理を行う。この場合、上述もしたように、他の無線LANシステムの無線通信端末の接続も認めることになるので、当該他の無線LANシステムの無線通信端末との間では、通常のデータ通信等は行わないように、例えば、緊急時無線制御部218が管理することができるようにされる。
緊急地震速報制御部219は、上述したように、主装置1からの緊急地震速報データが制御部210を通じて供給された場合に、緊急時無線制御部218を制御し、他システムの無線通信端末の接続を可能にする。また、緊急地震速報制御部219は、緊急地震速報用のSSIDを用いたビーコン信号を生成するように、後述するビーコン生成部220を制御する。また、緊急地震速報制御部219は、緊急地震速報用のSSIDを用いたビーコン信号を、送信系を通じて送信する制御も行う。
また、緊急地震速報制御部219は、無線通信端末3に送信する緊急地震速報データを形成し、これを無線通信端末3に送信するようにする制御をも行う。なお、緊急地震速報データの送信時において、緊急地震速報制御部219は、暗号化を無効化して、他システムの無線通信端末3も受信して認識可能な緊急地震速報データを送出するように制御する。
ビーコン生成部220は、主として、配下の携帯通信端末3が接続可能なアクセスポイント装置2をサーチし、自装置をアクセスポイント装置2に接続するために用いられる特定の電波、すなわち、ビーコン信号を、一定周期、例えば100ミリ秒周期で生成する。当該ビーコン信号は、通常用いられるSSIDを含むものである。そして、生成されたビーコン信号は、パケット分解/生成部216でパケット化され、送信系を通じて、無線通信端末3に対して送信するようにされる。
また、ビーコン生成部220は、上述もしたように、緊急地震速報制御部219により制御され、当該アクセスポイント装置2が緊急地震速報データを受信した場合に、緊急地震速報用のSSIDを用いたビーコン信号を生成する。当該ビーコン信号もまた、パケット分解/生成部216でパケット化され、送信系を通じて、他システムの無線通信端末3等に対して送信するようにされる。このように、ビーコン生成部220は、通常のSSIDを含む通常のビーコン信号を生成したり、緊急地震速報制御部219の制御に応じて、緊急地震速報用のSSIDを用いたビーコン信号を生成したりすることができるものである。
なお、SSID隠蔽機能が有効にされている場合には、ビーコン生成部220は、情報要素としてSSIDの情報も存在するが、SSIDの値としては何も入っていない(有効なSSIDの情報が入っていない)ビーコン信号を生成する。しかし、緊急地震速報データ受信時には、例えSSID隠蔽機能が有効にされていても、緊急地震速報制御部219の制御により、緊急地震速報用のSSIDを用いたビーコン信号を生成して、これを送信するように機能する。
その他の機能として、制御部210は、受信したパケットがマルチキャストか、ユニキャストかを判別したり、受信したパケットの種別(音声情報、データ、制御情報等)を判別したりするなどのこともできるようにされる。
このように、この実施の形態のアクセスポイント装置2は、通常時は、主装置1と配下の無線通信端末3との間の通信を中継する機能を実現する。さらに、アクセスポイント装置2は、主装置1から緊急地震速報データを受信したときには、上述した緊急地震速報制御部219とビーコン生成部220との機能により、緊急地震速報用のSSIDを用い、自配下以外の他の無線LANシステムの無線通信端末3も受信して認識可能なビーコン信号を生成して送信することができるものである。
そして、他の無線LANシステムの無線通信端末が、緊急地震速報用のSSIDを用いて接続を要求してきた場合には、緊急時無線制御部218の機能により、当該接続要求に応じて自機への接続を許可する。そして、当該接続が許可された他の無線通信システムの携帯通信端末3に対して、緊急地震速報制御部219の機能により生成された無線通信端末3用の緊急地震速報データを配信することができるようにしている。
なお、アクセスポイント装置2は、自システム内の配下の携帯通信端末3に対しては、受信系を通じて通常通り接続を受け付ける。したがって、主装置1が緊急地震速報データを受信した場合には、後述もするが、アクセスポイント装置2を通じて、主装置1が配下の無線通信端末3を制御して、緊急地震速報をユーザに報知することができるようにされる。
[無線通信端末3の構成と動作概要]
次に、無線通信端末3の構成例と動作について説明する。図4は、この実施の形態の緊急速報配信システムで用いられる無線通信端末3を説明するためのブロック図である。図4に示すように、この実施の形態の無線通信端末3は、アクセスポイント装置2との間で通信を行う部分として、送受信アンテナ301、アンテナ共用器302、受信アンプ303、受信用処理回路304、送信用処理回路305、送信アンプ306を備えている。
ここで、アンテナ共用器302は、自機から送信する信号と自機が受信する信号とが影響を及ぼし合うことがないようにするためのものである。受信アンプ303は、受信したパケットを所定のレベルにまで増幅し、これを受信用処理回路304に供給するものである。受信用処理回路304は、受信したパケットを自機において処理可能な形式のパケットに変換し、これを制御部320に供給するものである。また、送信用処理回路305は、制御部320からのパケットから実際に送信する形式の送信用パケットを形成する。送信アンプ306は、送信用パケットを所定のレベルにまで増幅するものである。
また、無線通信端末3は、ユーザが通話を行う部分として、音声データ入出力インターフェース(以下、音声データ入出力I/Fと略称する。)307、受話アンプ308、受話器(スピーカ)309、送話器(マイクロホン)310、送話アンプ311を備えている。
さらに、無線通信端末3は、制御部320を備えている。制御部320は、マイクロコンピュータにより構成されるもので、例えば、図4に示すような構成とされる。すなわち、システムバス321を介して、CPU322に対し、ROM323と、RAM324と、EEPROM325と、パケット分解/生成部326と、緊急時無線制御部327と、緊急地震速報制御部328とが接続されている。
CPU322は、ROM323に記憶保持されているプログラムを実行することにより、各部を制御するための制御信号を生成して各部に供給したり、各部からの情報を処理したりするものである。ROM323は、上述のように、CPU322で実行される種々のプログラムや処理に必要となる種々のデータを記憶保持しているものである。また、RAM324は、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に、作業領域として用いられるものである。
EEPROM325は、いわゆる不揮発性メモリであり、電源が落とされても保持しておくべきデータ、例えば、種々の設定パラメータや機能アップのために提供された新たなプログラムなどについても記憶保持することができるようにされている。また、EEPROM325には、自機が接続可能にされているアクセスポイント装置2のSSID、緊急地震速報用のSSID、暗号化や複合化に必要となる情報等も予め登録されている。これらの情報は、変更することもできるようにされる。
また、制御部320には、ユーザインターフェイスを構成する部分として、キー操作部331、LED(Light Emitting Diode)制御部332、LCD(Liquid Crystal Display)制御部334、音声処理部336が接続されている。そして、LED制御部332にはLED群333が、LCD制御部334にはLCD335が、また、音声処理部336にはスピーカ337が接続されている。
ここで、キー操作部331は、いわゆるテンキー(数字キー)や複数のファンクションキーなどを備え、ユーザからの操作入力を受け付けるものである。LED群333は、複数のLEDを備え、LED制御部332の制御に応じて、オフフック状態、主装置1に収容された外線の利用状態、その他の種々の状態を示すためのものである。LCD335は、LCD制御部334の制御に応じて、着信時に相手先の電話番号を表示したり、発信時に相手先の電話番号を表示したり、通話時間を表示したりする。また、LCD335は、LCD制御部334の制御に応じて、待ち受け状態にある場合には、図示しない時計回路が提供する現在時刻を表示するなど、種々の情報を表示するものである。スピーカ337は、音声処理部336で処理されたアナログ音声信号の供給を受けて、これに応じた音声(着信音やアラーム音)を放音するなどのことができるものである。
そして、アクセスポイント装置2からのパケットは、送受信アンテナ301、アンテナ共用器302、受信アンプ303、受信用処理回路304を通じて制御部320に供給される。制御部320は、アクセスポイント装置2からのパケットをパケット分解/生成部326において分解し、その内容を把握する。アクセスポイント装置2からのパケットが通信の相手先からの音声データである場合には、制御部320は、これを音声データ入出力I/F307に供給する。
音声データ入出力I/F307は、これに供給された音声データからアナログ音声信号を形成し、これを受話アンプ308を通じてスピーカ309に供給する。これにより、相手先からの音声データに応じた音声がスピーカ309から放音され、無線通信端末3のユーザがこれを聴取することができるようにされる。
一方、無線通信端末3のユーザが発する音声は、マイクロホン310により集音され、これがアナログ音声信号として、送話アンプ311を通じて音声データ入出力I/Fに供給される。音声データ入出力I/F307は、これに供給されたアナログ音声信号をデジタル音声データに変換して、これを制御部320に供給する。
制御部320は、音声データ入出力I/F307からの音声データをパケット分解/生成部326においてパケット化し、これを送信用処理回路305、送信アンプ306、アンテナ共用器302、送受信アンテナ301を通じてアクセスポイント装置2に送信する。これにより、当該音声パケットは、アクセスポイント装置2から主装置1に送信され、主装置1を通じて通話の相手先に送信される。
また、上述したように、自機において受信され、制御部320のパケット分解/生成部326において分解されたパケットが、自機宛ての制御情報である場合には、制御部320は、当該制御情報に応じて各部を制御する。例えば、アクセスポイント装置2からの当該制御情報が、主装置1の外線の使用状況の通知である場合には、制御部320は、LED制御部332を制御し、使用されている外線に対応するLEDを点灯させるなどの処理を行う。また、アクセスポイント装置2からの当該制御情報が、自機への着信を通知するものである場合には、制御部320は、LCD制御部334を制御して、LCD335に発呼元の電話番号を表示したり、音声処理部336に着信音データを供給して、スピーカ337から着信音を放音させたりする。
そして、自機に着信がある場合に、ユーザがキー操作部331を通じてオフフック操作した時には、制御部320は、応答メッセージを形成する。この応答メッセージは、パケット分解/生成部326において、パケット化され、これが、送信用処理回路305、送信アンプ306、アンテナ共用器302、送受信アンテナ301を通じてアクセスポイント装置2に送信される。そして、当該応答メッセージは、アクセスポイント装置2から主装置1に送信され、主装置1から発信元の端末に送信されて、通信回線が接続するようにされ、上述したように、音声パケットの送受が行われて通話が行うようにされる。
また、キー操作部331を通じて相手先の電話番号を入力し、自機から発呼を行うようにした場合には、制御部320は、当該相手先の電話番号を含む発呼メッセージを生成する。この発呼メッセージは、パケット分解/生成部326において、パケット化され、これが、送信用処理回路305、送信アンプ306、アンテナ共用器302、送受信アンテナ301を通じてアクセスポイント装置2に送信される。
当該発呼メッセージは、アクセスポイント装置2から主装置1に送信され、主装置1から目的とする相手先の端末に送信される。そして、相手先のユーザがオフフック操作を行って着信に応答するようにしたときには、応答メッセージが送信されてくるので、これに応じて、無線通信端末3及びアクセスポイント装置2は通信回線を接続するようにする。これにより、上述したように、音声パケットの送受が行われて通話が行うようにされる。
このように、制御部320は、自機の状態を管理して、通話や発着信などを制御する端末状態管理部としての機能と、LED(ランプ)制御、LCDへの表示制御、アラーム音や音声メッセージの出力制御などを行う端末制御部としての機能をも実現している。
そして、この実施の形態の無線通信端末3において、緊急時無線制御部327は、緊急地震速報時において、通信可能な他の無線LANシステムのアクセスポイント装置2に対して接続可能にする機能を実現する。すなわち、当該無線通信端末3が、自機が属する無線LANシステムのアクセスポイント装置2と接続されておらず、接続先となるアクセスポイント装置2を探している(スキャニングしている)状態にあるとする。この場合に、自機が属さない他の無線LANシステムのアクセスポイント装置2から送信された緊急地震速報用のSSIDを用いたビーコン信号を受信したとする。
この場合に、緊急時無線制御部327は、受信したビーコン信号の送信元のアクセスポイント装置2に接続する処理を行うように制御部320を含む各部を制御する。すなわち、緊急時無線制御部327は、他の無線LANシステムのアクセスポイント装置2との間で所定の通信を行って当該アクセスポイント装置2に接続し、当該アクセスポイント装置2から緊急地震速報を受信できるようにようにする。
そして、緊急地震速報制御部328は、上述したように自機が接続した他の無線LANシステムのアクセスポイント装置2からの緊急地震速報データを受信した場合に、当該緊急地震速報データに応じて、緊急地震速報を無線通信端末3のユーザに通知する処理を行う。具体的に緊急地震速報制御部328は、LED制御部332を制御して、LED群333の所定のLEDを点灯させたり、点滅させたり、また、LCD制御部334を制御して、緊急地震速報データに応じた緊急地震速報メッセージをLCD335に表示したりする。また、緊急地震速報制御部328は、緊急地震速報データに応じた音声メッセージを形成し、これを音声処理部336を通じてスピーカ337に供給し、当該音声メッセージを放音させたりする。
このようにして、この実施の形態の無線通信端末3は、自機が属する無線LANシステムのアクセスポイント装置2と通信できない圏外の状態にあっても、近隣の他の無線LANシステムのアクセスポイント装置2に緊急的に接続できるようにされる。そして、当該無線通信端末3は、緊急的に接続した他の無線LANシステムのアクセスポイント装置2からの緊急地震速報データを受信し、これに応じた緊急地震速報を当該携帯通信端末3のユーザに報知することができるようにしている。
なお、この実施の形態の無線通信端末3が、自機が属する無線LANシステムのアクセスポイント装置2に対して接続している場合に、緊急地震速報データが当該無線LANシステムの主装置1に配信されたとする。この場合、当該主装置1は、自機の配下の無線通信端末3に対しては、緊急地震速報に応じたランプ制御情報、表示メッセージの表示制御情報、音声メッセージの放音制御情報を、アクセスポイント装置2を通じて送信する。したがって、配下の無線通信端末3は、自機が属する無線LANシステムのアクセスポイント装置2からそれらの制御信号を受信したときには、制御部320が、LED制御部332、LCD制御部334、音声処理部336を制御し、緊急地震速報をユーザに通知する処理を行うことができるようにされている。
[緊急速報配信システムの処理(動作)の具体例]
次に、上述した構成を有する主装置1と、アクセスポイント装置2と、無線通信端末3とにより構成される緊急速報配信システムの実施の形態について具体的に説明する。以下においては、図1を用いて説明したように、無線LANシステムBに属する無線通信端末3B(1)が、無線LANシステムBの通信エリアArBの外に出て(圏外となり)、近隣の無線LANシステムAの通信エリアArAに入ってきた状態にある場合を例にして説明する。
なお、以下においては、無線LANシステムAに属するアクセスポイント装置2A(1)、2A(2)、…のそれぞれを総称してアクセスポイント2Aと呼ぶこととする。また、無線LANシステムAに属する無線通信端末3A(1)、3A(2)、…のそれぞれを総称して無線通信端末3Aと呼ぶこととする。また、無線LANシステムBに属する無線通信端末3B(1)、3B(2)、…のそれぞれを総称して無線通信端末3Bと呼ぶこととする。
[第1の実施の形態]
まず、無線LANシステムAのアクセスポイント装置2Aが、自システムの通信エリアArA内に位置する他システムの無線通信端末3Bとの間に通信路を接続し、緊急地震速報データを配信する第1の実施の形態について説明する。
図5は、この第1の実施の形態の緊急速報配信システムにおいて行われる処理を説明するためのシーケンス図である。図5に示すように、無線LANシステムAのアクセスポイント装置2Aは、通常時は所定のタイミングで自機に接続可能な無線通信端末3Aのために通常のSSIDを用いたビーコン(Beacon)信号を生成して送信している。
この場合、図1に示したように、無線LANシステムAの通信エリアArA内に入ってきた無線LANシステムBの無線通信端末3Bは、他システムのアクセスポイント2Aからのビーコン信号を受信することは可能である。しかし、無線通信端末3BのEEPROM325に設定されているSSIDと、アクセスポイント装置2Aからのビーコン信号に含まれるSSIDとは異なっている。このため、無線通信端末3Bは、アクセスポイント装置2Aに対して接続要求を行うことはできない。すなわち、無線LANシステムBの無線通信端末3Bは、無線LANシステムAのアクセスポイント装置2Aとの間に通信路を接続することはできない。
このような状況下において、図5に示すように、緊急地震速報サーバ6が気象庁からの緊急地震速報データを受信したとする。この場合、緊急地震速報サーバ6は、自機に予め登録されている配信先である主装置1A等に、受信した緊急地震速報データをUDPパケット化して配信する。緊急地震速報データを受信した主装置1Aは、上述もしたように、受信した緊急地震速報データからアクセスポイント装置通知用(図においてはAP通知用と記載。)の緊急地震速報データを形成する。
そして、主装置1Aは、形成したAP通知用の緊急地震速報データを、有線LAN4Aを通じて、自システムのアクセスポイント装置2Aに送信する。この場合の緊急地震速報データの送信は、ブロードキャストまたはマルチキャストにより、迅速に多数のアクセスポイント装置2に対して送信するようにされる。なお、緊急地震速報サーバ6からの緊急地震速報データには、震度や到達時間のどの種々の情報が含まれている。
アクセスポイント装置2Aは、主装置1AからのAP通知用の緊急地震速報データを受信すると、上述もしたように、緊急地震速報制御部219が、ビーコン生成部215を制御して、SSIDを緊急地震速報用のSSIDに変更したビーコン信号を生成する。そして、緊急地震速報制御部219は、SSID隠蔽機能が有効にされている場合には、これを解除し、当該ビーコン信号をパケット分解/生成部216でパケット化して、これを送信系を通じて周囲の無線通信端末に対して無線送信する。
無線LANシステムAの通信エリアArAに入った無線LANシステムBの無線通信端末3Bは、自機が接続可能なアクセスポイント装置を見つけるために検索処理(スキャン処理)を行う。そして、無線通信端末3Bがスキャン処理中にアクセスポイント2Aからの緊急地震速報用のSSIDを用いたビーコン信号を受信したとする。無線通信端末3Bは、自己のEEPROM325にも緊急地震速報用のSSIDを保持しているので、当該ビーコン信号が緊急地震速報の発生を示すものであることを認識することができる。したがって、無線通信端末3Bは、即座に、送信元のアクセスポイント装置2Aに対して接続要求を行う。
この場合、無線通信端末3Bでは、緊急時無線制御部327が機能し、一方、アクセスポイント装置2Aでは緊急時無線制御部218が機能して、無線通信端末3Bとアクセスポイント装置2Aとの間に通信路を接続する処理を行う。
具体的には、図5に示すように、まず、無線通信端末3Bが、ビーコン信号の送信元であるアクセスポイント装置2Aに対して認証(Authentication)要求を送信する。当該認証要求を受信したアクセスポイント装置2Aは、当該認証要求の送信元の無線通信端末3Bに対して認証(Authentication)応答を送信する。このようにして認証が取られた後、今度は、無線通信端末3Bが、アソシエーション要求(Association Request)をアクセスポイント装置2Aに送信する。当該アソシエーション要求を受信したアクセスポイント2Aは、アソシエーション要求元の携帯通信端末3Bに対してアソシエーション応答(Association Response)を送信する。このような一連の接続手順を経て、無線通信端末3Bとアクセスポイント装置2Aとの間に通信路が接続される。
この後、アクセスポイント装置2Aは、緊急地震速報制御部219の機能により、無線通信端末に配信すべき緊急地震速報データを形成し、これをパケット分解/生成部216でパケット化し、送信系を通じて、通信路を接続した無線通信端末3Bに対して送信する。この場合、緊急地震速報制御部219は、本来の通信時に用いている暗号化処理は行わずに、どの無線通信端末においても認識可能にした緊急地震速報データを形成して送信する。なお、緊急地震速報データについては、アクセスポイント装置2Aと無線通信端末3Bとの間に通信路が接続された後に、主装置1Aがアクセスポイント装置2Aを通じて無線通信端末3Bに提供する構成とするなどのことも可能である。
無線通信端末3Bは、アクセスポイント装置2Aからの緊急地震速報データを受信すると、これに応じて、緊急地震速報制御部328がLED制御部332、LCD制御部334、音声処理部336を制御し、ユーザに緊急地震速報を報知する。すなわち、LED群333の所定のLEDの点灯や点滅、LCD335の表示画面への表示メッセージの表示、スピーカ337からの報知音(アラーム音)や報知音声メッセージの放音などが行うようにされ、緊急地震速報がユーザに報知される。
なお、緊急地震速報用のSSIDを用いてアクセスポイント装置2との間に通信路を接続した無線通信端末3は、自システムのものであるか、他システムのものであるかを問わず、緊急地震速報データの受信のみを可能する。したがって、この場合、無線通信端末3においては、発信操作は制限(禁止)し、着信にはビジー応答するようにする。このようにすることによって、無線LANシステムBの無線通信端末3Bが、無線LANシステムAのアクセスポイント2A、主装置1Aを通じて目的とする通信端末との間に通信回線を接続し、通話ができるようになる等といった不都合を回避することができる。
この場合、無線通信端末3においては、緊急地震速報用のSSIDを用いてアクセスポイント装置2との間に通信路を接続した場合にはオンとなり、これ以外の場合にはオフとなるフラグ情報を持つようにする。これにより、無線通信端末3がアクセスポイント装置2に対して接続可能になった状況を把握し、適切な制御を行うことができるようにされる。もちろん、無線通信端末3側の機能だけでなく、アクセスポイント装置2側で、通信路を接続した無線通信端末3との接続の状況を把握し、これに応じて無線通信端末3の主装置1への接続を制限するようにすることも可能である。
[自システム内の接続済み端末への影響について]
また、上述したように、緊急地震速報データが配信されたアクセスポイント装置2Aからは、通常のSSIDに替えて緊急地震速報用のSSIDを含むビーコン信号が送信される。このため、アクセスポイント装置2Aとの間で既に通信路が接続されている無線LANシステムAに属する無線通信端末3Aへの影響が懸念される。
しかし、SSIDは通信路を接続する場合に必要な情報であるため、自システム内のアクセスポイント装置2Aとの間で通信路が接続済みの無線通信端末3Aにおいては、通信路を接続したアクセスポイント装置2Aからのビーコン信号が受信できれば問題はない。実際、SSID隠蔽機能が有効にされているときには、上述もしたように、ビーコン信号にはSSIDの値としては何も入っていないが(有効なSSIDの情報が入っていないが)、通信路を接続した無線通信端末が圏外になることはない。なお、この場合、に通信路を接続しているアクセスポイント装置2Aからのビーコン信号か否かは、ビーコン信号に含まれるMACアドレス(Media Access Control address)により識別することが可能である。
このように、ビーコン信号に付加されるSSIDが、緊急地震速報用のSSIDに替わっても、アクセスポイント装置との間に通信路を接続している無線通信端末に対して影響を及ぼすことはない。したがって、既にアクセスポイント装置との間に通信路を接続している無線通信端末がある場合に、主装置1Aが緊急地震速報データを受信した場合には、詳しくは後述するが、主装置1がアクセスポイント装置2Aを通じて接続中の無線通信端末3Aを制御し、緊急地震速報をユーザに対して報知することになる。
また、無線LANシステムAに属する無線通信端末3Aであっても、アクセスポイント装置2Aとの間に通信路が接続されておらず、アクセスポイント装置のスキャニング中に緊急地震速報用のSSIDを含むビーコン信号を受信したとする。この場合には、上述した無線通信端末3Bの場合と同様に、当該無線通信端末3Aは、当該緊急地震速報用のSSIDを用いてアクセスポイント装置2Aとの間に通信路を接続し、緊急地震速報データの配信を受けることができるようにされる。
[第1の実施の形態のアクセスポイント装置2Aの処理]
次に、この第1の実施の形態のアクセスポイント装置2Aにおいて行われる処理の一例について説明する。図6は、この第1の実施の形態のアクセスポイント装置2Aにおいて行われる処理の一例を説明するためのフローチャートである。この図6に示す処理は、アクセスポイント装置2Aの制御部210において実行される処理である。
アクセスポイント2Aの制御部210では、所定のタイミング毎に図6に示す処理を実行する。そして、アクセスポイント装置2Aの制御部210は、主装置1Aからの緊急地震速報データを受信中か否かを判別する(ステップS101)。
気象庁からの緊急地震速報は、地震を検知してから数秒〜1分程度の間に数回(5〜10回程度)配信される。第1報は迅速性を優先し、その後提供する情報の精度は徐々に高くなっていく。ほぼ精度が安定したと考えられる時点で最終報が発表され、その地震に対する緊急地震速報の提供が終了される。また、観測の結果、地震ではなくノイズなどであることが判明した場合には、キャンセル報が送信される。
このため、ステップS101において、制御部210は、最初の緊急地震速報データを受信してから、キャンセル報が提供されるか、最終報が提供されるか、あるいは、前回の緊急地震速報を受信してから所定時間(例えば、1分)経過するまでは、緊急地震速報データを受信中であると判別する。
ステップS101の判別処理において、緊急地震速報データの受信中ではないと判断したときには、制御部210は、通常処理を行う(ステップS102)。ステップS102の通常処理は、通常のSSIDを用いたビーコン信号を形成して、これを送信し、接続を要求してきた自システムの無線通信端末3Aとの間に通信路を接続するようにする処理である。なお、当該アクセスポイント装置2Aにおいて、SSID隠蔽機能が有効にされている場合には、ビーコン信号にSSIDが含められることはないようにされる。このステップS102の処理の後、制御部210は、この図6に示す処理を終了し、次の実行タイミングを待つことになる。
ステップS101の判別処理において、緊急地震速報データの受信中であると判断したときには、制御部210は、緊急地震速報用のSSIDを用いたビーコン信号を生成して、これをパケット化し、送信系を通じて送信する(ステップS103)。このステップS103の処理は、緊急地震速報制御部219によりビーコン生成部220が制御されて実効される。なお、ステップS103の処理においては、当該アクセスポイント装置2AにおいてSSID隠蔽機能が有効にされている場合には、これを解除して、緊急地震速報用のSSIDを含むビーコン信号を送信する。
そして、緊急地震速報用のSSIDを含むビーコン信号を受信した無線通信端末3B等から接続要求が送信されてきたときには、アクセスポイント装置2Aは、当該無線通信端末3B等との間に通信路を接続する処理を行う(ステップS104)。このステップS104の処理は、制御部210の緊急時無線制御部218の機能により行われる。
この後、アクセスポイント装置2Aの制御部210は、緊急地震速報制御部219の機能により、通信路をした無線通信端末3B等に対して緊急地震速報データを送信する(ステップS105)。これにより、当該無線通信端末3B等において、緊急地震速報をユーザに報知する処理が行うようにされる。そして、ステップS105の処理の後においては、制御部210は、この図6に示す処理を終了し、次の実行タイミングを待つことになる。
[第1の実施の形態の無線通信端末3Bの処理]
次に、この第1の実施の形態の無線通信端末3Bにおいて行われる処理の一例について説明する。図7は、この第1の実施の形態の無線通信端末3Bにおいて行われるスキャン処理の一例を説明するためのフローチャートである。この図7に示す処理は、無線通信端末3Bの制御部320において実行される処理である。
無線通信端末3Bは、自機が属する無線LANシステムBのアクセスポイント装置2Bとの間に通信路を接続していない場合に、図7に示すスキャン処理を実行し、接続先のアクセスポイント装置2Bを探す処理を行う。まず、制御部320は、受信用処理回路304を制御し、受信する信号の周波数を設定する(ステップS201)。
そして、無線通信端末3Bの制御部320は、受信系を通じてビーコン信号を受信するようにし(ステップS202)、緊急地震速報用のSSIDのビーコン信号を送信しているアクセスポイント装置(AP)を発見したか否かを判別する(ステップS203)。すなわち、このステップS203の判別処理は、緊急地震速報用のSSIDを用いたビーコン信号を受信したか否かを判別する処理である。より具体的には、受信したビーコン信号に含まれるSSIDと、自機が保持する緊急地震速報用のSSIDとを比較することにより判別することができる。
ステップS203の判別処理において、緊急地震速報用のSSIDのビーコン信号を送信しているアクセスポイント装置(AP)を発見したと判別したとする。この場合、制御部320は、緊急時無線制御部327の機能により、即座に当該ビーコン信号の送信元のアクセスポイント装置(AP)との間に通信路を接続する処理を行う(ステップS204)。この後、当該アクセスポイント装置からの緊急地震速報データに応じた緊急地震速報の報知処理を実行し(ステップS205)、この図7に示した処理を終了する。
また、ステップS203の判別処理において、緊急地震速報用のSSIDのビーコン信号を送信しているアクセスポイント装置(AP)は発見していないと判別したとする。この場合、制御部320は、自機が属する無線LANシステムの接続可能なアクセスポイント装置(AP)を発見したか否かを判別する(ステップS206)。このステップS206の判別処理は、自機に設定されているSSIDと同じSSIDのビーコン信号を送信しているアクセスポイント装置が見つけられたか否かを判別する処理である。
ステップS206の判別処理において、自機が属する無線LANシステムの接続可能なアクセスポイント装置(AP)を発見したと判別したとする。この場合、制御部320は、制御部320の通常の機能により、通常のSSIDによって接続可能と判別された当該アクセスポイント装置(AP)との間に通信路を接続する処理を行う(ステップS207)。この後、当該アクセスポイント装置との間で通常の通信処理を行うようにし(ステップS208)、この図7に示した処理を終了する。
また、ステップS206の判別処理において、自機が属する無線LANシステムの接続可能なアクセスポイント装置(AP)を発見していないと判別したとする。この場合には、制御部320は、受信用処理回路304を制御して、受信する信号の周波数を変更し(ステップS209)、ステップS202からの処理を繰り返すようにする。
[緊急地震速報の報知処理]
図8は、図7に示したスキャン処理のステップS205において実行される緊急地震速報の報知処理の一例を説明するためのフローチャートである。図8に示した緊急地震速報の報知処理では、無線通信端末3Bの制御部320は、まず、通信路を接続した当該アクセスポイント装置からの緊急地震速報データを受信する(ステップS301)。そして、無線通信端末3Bの制御部320は、緊急地震速報制御部328の機能により、LED制御部332、LCD制御部334、音声処理部336を制御して、緊急地震速報を出力する処理を開始させ(ステップS302)、当該携帯電話端末3Bのユーザに緊急地震速報を報知するようにする。
この後、無線通信端末3Bの制御部320は、接続先のアクセスポイント装置からのビーコン信号を受信するようにし(ステップS303)、緊急地震速報用のSSIDを有するビーコン信号を受信したか否かを判別する(ステップS304)。このステップS304の判別処理もまた、受信したビーコン信号に含まれるSSIDと、自機が保持する緊急地震速報用のSSIDとを比較することにより判別することができる。ステップS304の判別処理において、緊急地震速報用のSSIDを有するビーコン信号を受信したと判別したときには、緊急地震速報の送信が継続されているので、ステップS303からの処理を繰り返し、緊急地震速報の報知を継続する。
ステップS304の判別処理において、緊急地震速報用のSSIDを有するビーコン信号を受信していないと判別したとする。この場合には、緊急地震速報の送信が終了した判別することができるので、制御部320は、緊急地震速報制御部328を制御して、緊急地震速報の出力を終了させる(ステップS305)。そして、制御部320は、通信路を接続しているアクセスポイント装置との間の当該通信路を解放(切断)するようにし(ステップS306)、この図8に示す処理を終了する。この場合、図7に示したスキャン処理に戻り、スキャン処理が繰り返すようにされる。
[通常の通信処理]
図9は、図7に示したスキャン処理のステップS208において実行される通常の通信処理の一例を説明するためのフローチャートである。図9に示した通常の通信処理では、無線通信端末3Bの制御部320は、まず、通信路を接続した当該アクセスポイント装置から自機宛ての情報を受信するようにする(ステップS401)。そして、制御部320は、自機宛ての情報を受信したか否かを判別する(ステップS402)。
ステップS402の判別処理において、自機宛ての情報を受信したと判別したときには、制御部320は、当該受信情報に応じた処理を実行する(ステップS403)。ステップS403において行われる処理の一例を挙げれば、例えば、受信した情報が自機宛の着信通知である場合には、着信音を放音するなどの着信通知処理が実行される。また、受信した情報が主装置からのLEDに対する制御情報であるときには、これに応じてLED制御部332を通じてLED群333を制御する処理が実行される。
そして、ステップS402の判別処理において、自機宛ての情報は受信していないと判別した場合、あるいは、ステップS403の処理の後においては、制御部320は、キー操作部331を通じてユーザからの操作入力を受け付ける(ステップS404)。そして、制御部320は、ユーザからの操作入力を受け付けたか否かを判別する(ステップS405)。
ステップS405の判別処理において、ユーザからの操作入力を受け付けたと判別したときには、制御部320は、受け付けたユーザからの操作入力に応じた処理を実行する(ステップS406)。ステップS406において行われる処理の一例を挙げれば、例えば、受け付けた操作入力が発呼操作である場合には、目的とする相手先に発呼する処理が実行される。また、受け付けた操作入力が、無線通信端末3Bに対する種々のパラメータの設定操作であるときには、これに応じて目的とするパラメータをEEPROM325に設定する処理が実行される。
そして、ステップS405の判別処理において、ユーザからの操作を受け付けていないと判別した場合、あるいは、ステップS406の処理の後においては、制御部320は、通信路を接続しているアクセスポイント装置からのビーコン信号を受信する処理を実行する(ステップS407)。このステップS407の処理は、予め決められた所定時間の間に、接続中のアクセスポイント装置からのビーコン信号を受信する処理である。
この後、制御部320は、所定時間の間に接続中のアクセスポイント装置からビーコン信号を受信できたか否かを判別する(ステップS408)。ステップS408の判別処理において、接続中のアクセスポイント装置からのビーコン信号を受信できたと判別したときには、ステップS401からの処理を繰り返すようにする。
ステップS408の判別処理において、接続中のアクセスポイント装置からのビーコン信号を受信していないと判別したときには、自機が圏外に至ったと判別し、接続していたアクセスポイント装置との間の接続情報をクリアする(ステップS409)。そして、この図9に示す処理を終了する。この場合、図7に示したスキャン処理に戻り、スキャン処理が繰り返すようにされる。
図5〜図9を用いて説明したように、アクセスポイント2Aにおいては、通常時の処理と緊急地震速報データの受信中の処理が行うようにされる。そして、緊急地震速報データの受信中においては、緊急地震速報用のSSIDを用いたビーコン信号を送信することにより、通常の状態であれば接続が許可されない他システムの無線通信端末3の接続を可能に、緊急地震速報データの配信をできるようにしている。
一方、無線通信端末3Bは、自機が属する無線LANシステムBの通信エリアの圏外に位置することになっても、近隣の無線LANシステムAのアクセスポイント装置2Aからのビーコン信号の受信が可能である場合には、当該アクセスポイント装置2Aに接続して、緊急地震速報データの配信を受けることができるようにされる。これにより、当該携帯通信端末3Bのユーザに対して、確実に緊急地震速報を報知することができるようにされる。
[第2の実施の形態]
次に、無線LANシステムAのアクセスポイント装置2Aが、緊急地震速報データの配信時に、緊急地震速報用のSSIDと緊急地震速報データとを付加したビーコン信号を送信する第2の実施の形態について説明する。なお、この第2の実施の形態の緊急速報配信システムにおいては、以下に詳述するが、アクセスポイント装置2Aと他システムの無線通信端末3Bとの間にコネクションを取り合って通信路を接続する必要はない。このため、アクセスポイント装置2Aの緊急無線制御部218と無線通信端末3Bの緊急時無線制御部327とは、両者の間の接続に関する制御は行わない構成とされる。
図10は、この第2の実施の形態の緊急速報配信システムにおいて行われる処理を説明するためのシーケンス図である。図10に示すように、この第2の実施の形態の緊急速報配信システムにおいても、緊急地震速報が発生していない通常時においては、アクセスポイント装置2Aからは所定のタイミング毎に通常のSSIDを含むビーコン信号が形成されて送信される。
そして、気象庁から緊急地震速報データが緊急地震速報サーバ6に配信されると、緊急地震速報サーバ6から主装置1Aへ、また、主装置1Aからアクセスポイント2Aへ、緊急地震速報データが送信される。これらの処理は、図5のシーケンス図を用いて説明した第1の実施の形態の緊急速報配信システムの場合と同様に行われる。
そして、この第2の実施の形態の緊急速報配信システムにおいては、緊急地震速報データを受信したアクセスポイント装置2Aにおける処理が、第1の実施の形態のアクセスポイント装置2Aにおける処理とは異なる。この第2の実施の形態の緊急速報配信システムにおけるアクセスポイント装置2Aは、緊急地震速報データを受信すると、ビーコン信号のSSIDを緊急地震速報用のSSIDに変更し、SSID隠蔽機能を解除し、さらに緊急地震速報データを付加したビーコン信号を生成して送信する。このように、この第2の実施の形態の緊急速報配信システムにおけるアクセスポイント装置2Aは、緊急地震速報用のSSIDを用い、緊急地震速報データを付加したビーコン信号を形成してこれを送出する。
図11は、ビーコン信号によって送受される要素(Element)について説明するための図である。ビーコン信号は、エレメントID(Element ID)によって特定される情報要素(Information Element)を送信する。すなわち、図11Aに示すように、0番から255番までのエレメントIDに対応して情報要素が特定される。図11Aに示したように、例えば、エレメントIDが「0」に対応する情報要素は「SSID」であり、エレメントIDが「1」に対応する情報要素は「対応データ速度(Supported rates)」である。同様に、各エレメントIDに対応して、それぞれの情報要素が特定するようにされている。
そして、図11Aに示すように、エレメントIDが「7」〜「15」までと、エレメントIDが「32」〜「255」までは、予備(Reserved)として残されている。そこで、この第2の実施の形態の緊急速報配信システムのアクセスポイント装置2Aでは、図11Bに示すように、予備として残されているエレメントIDの内の例えば「200」を用いて緊急地震速報データを送信する。具体的には、図11Bに示すように、エレメントIDが「200」の情報エレメントとして、データ長(Length)が4バイトで、震度(2バイト)、到達時間(2バイト)からなる緊急地震速報データをビーコン信号に含めて送信する。
すなわち、この第2の実施の形態の緊急速報配信システムのアクセスポイント装置2Aは、エレメントIDが「0」のSSIDとして、緊急地震速報用のSSIDをビーコン信号に含めると共に、エレメントIDが「200」として、図11Bに示した緊急地震速報データを含めたビーコン信号を生成して送信する。
そして、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、無線LANシステムAの通信エリアArAに移動してきたために、無線通信システムBの通信エリアArBの圏外になった無線通信端末3Bが、通信可能なアクセスポイント装置をスキャニングしていたとする。この場合に、無線通信端末3Bが、アクセスポイント装置2Aからのビーコン信号を受信すると、図10に示すように、当該ビーコン信号に付加されている緊急地震速報データを取得し、これに応じて緊急地震速報をユーザに報知する。具体的に、無線通信端末3Bは、緊急地震速報用のSSIDと緊急地震速報データが付加されたビーコン信号を受信すると、緊急地震速報制御部328がLED制御部332、LCD制御部334、音声処理部336を制御して、緊急地震速報をユーザに報知する。
これにより、圏外となった無線LANシステムBの無線通信端末3Bは、無線LANシステムAのアクセスポイント装置2Aからのビーコン信号の緊急地震速報データに応じて、迅速に緊急地震速報をユーザに報知することができるようにされる。そして、この第2の実施の形態の緊急速報配信システムにおいては、無線通信端末3Bとアクセスポイント2Aとの間に通信路を接続することもないので、より迅速に緊急地震速報データの配信を受けて、緊急地震速報を無線通信端末3Bのユーザに対して報知することができる。
[第2の実施の形態のアクセスポイント装置2Aの処理]
この第2の実施の形態のアクセスポイント装置2Aにおいても、基本的な処理の流れは、図6を用いて説明した第1の実施の形態の緊急速報配信システムのアクセスポイント2Aと同様のものとなる。しかし、この第2の実施の形態の緊急速報配信システムのアクセスポイント2Aの場合には、図6に示したフローチャートのステップS103〜ステップS105の処理に替えて、ビーコン信号のSSIDを緊急地震速報用のSSIDに変更し、SSID隠蔽機能を解除し、さらに緊急地震速報データを付加したビーコン信号を生成して送信する処理を行うことになる。
このようにして、この第2の実施の形態の緊急速報配信システムのアクセスポイント装置2Aの場合には、緊急地震速報データを受信した場合には、緊急地震速報用のSSIDと緊急地震速報データを付加したビーコン信号を送信する処理を行う。しかし、第1の実施の形態の緊急速報配信システムのアクセスポイント装置2Aのように、無線通信端末3B等と通信路を接続することはなく、ビーコン信号によって、緊急地震速報データまで配信してしまう構成を有している。
[第2の実施の形態の無線通信端末3Bの処理]
また、この第2の実施の形態の無線通信端末3Bにおいても、基本的な処理の流れは、図7を用いて説明した第1の実施の形態の緊急速報配信システムの無線通信端末3Bと同様のものとなる。しかし、この第2の実施の形態の緊急速報配信システムの無線通信端末3Bの場合には、図7に示したフローチャートのステップS204〜ステップS205の処理に替えて、受信したビーコン信号に付加されている緊急地震速報データに基づいて、緊急地震速報の報知処理を実行する。
具体的には、緊急地震速報制御部328が、LED制御部332、LCD制御部334、音声処理部336を制御して、緊急地震速報を報知する。すなわち、LED群333の所定のLEDの点灯や点滅、LCD335への表示メッセージの表示、スピーカ337を通じてのアラーム音や音声メッセージの放音などにより、緊急地震速報が報知するようにされる。
図10〜図11を用いて説明したように、この第2の実施の形態の緊急速報配信システムにおいては、主装置1Aから緊急地震速報データの配信を受けるアクセスポイント装置2Aは、緊急地震速報用のSSIDと緊急地震速報データを付加したビーコン信号を生成して送信する。
したがって、当該主装置1Aが属する無線LANシステムAに属さない無線通信端末3Bは、当該主装置1Aが属する無線LANシステムAのアクセスポイント装置2Aからのビーコン信号に含まれる緊急地震速報データに応じて、緊急地震速報を報知することができる。この場合、当該無線通信端末3は、他のシステムのアクセスポイント装置2に対して通信路を接続することもないので、迅速に緊急地震速報データを得て、これに応じて緊急地震速報の報知を行うことができるようにされる。
[第3の実施の形態]
次に、アクセスポイント装置2Aと通信が可能な範囲に、当該アクセスポイント装置2Aに対して通信路が接続された無線LANシステムAの無線通信端末3Aと、通常は通信路の接続ができない無線LANシステムBの無線通信端末3Bが存在する第3の実施の形態について説明する。
図12、図13は、この第3の実施の形態の緊急速報配信システムにおいて行われる処理を説明するためのシーケンス図である。図12、図13に示すように、この第3の実施の形態においては、アクセスポイント装置2Aと通信が可能な範囲に、当該アクセスポイント装置2Aに対して通信路が接続された無線LANシステムAの無線通信端末3Aが存在している。さらに、アクセスポイント装置2Aと通信が可能な範囲に、通常は通信路の接続ができない無線LANシステムBの無線通信端末3Bが存在している。
そして、図12に示すように、アクセスポイント装置2Aから通常のSSIDを用いたビーコン信号が所定のタイミング毎に送信される。この場合、無線通信端末3Bはアクセスポイント装置2Aからのビーコン信号に含まれるSSIDとは異なるSSIDを有しているものであるので、アクセスポイント装置2Aとの間に通信路を接続することができない。
このような状態にあるときに、図12に示すように、気象庁から緊急地震速報が緊急地震速報サーバ6に配信され、緊急地震速報サーバ6が、自機に登録されている配信先である主装置1A等に緊急地震速報データを配信したとする。主装置1Aは、上述した第1、第2の実施の形態の場合と同様に、受信した緊急地震速報からアクセスポイント装置用の緊急地震速報データを形成し、これを配下のアクセスポイント装置2Aに送信する。
同時に、主装置1Aは、図12に示すように、配下の無線通信端末3Aに対して送信する緊急地震速報に基づく報知を行うための制御データである、地震速報表示データ、地震速報ランプデータ、地震速報音データを形成する。これらの各制御データは、主装置1Aから配下のアクセスポイント装置2Aを通じて、当該アクセスポイント装置2Aと通信路を接続している無線通信端末3Aに配信される。
これらの制御データを受信した無線通信端末3Aにおいては、主装置1Aからの制御データに応じて、緊急地震速報を報知する表示や鳴動を行うようにする。具体的には、制御部320が、地震速報ランプデータに基づいて、LED制御部332を制御し、LED群333の所定のLEDの点灯、点滅、消灯を制御し、LEDを通じて緊急地震速報を報知する。
同様に、制御部320が、地震速報表示データに基づいて、LCD制御部334を制御し、LCDに表示メッセージを表示するようにして緊急地震速報を報知する。また、制御部320が、地震速報音データに基づいて、音声処理部336を制御して、スピーカ337からアラーム音や音声メッセージを放音するようにして、緊急地震速報を報知する。このようにして、アクセスポイント装置2Aとの間に通信路を接続している無線通信端末3Aに対しては、主装置1Aからの制御データが供給され、これに応じて緊急地震速報が携帯通信端末3Aのユーザに対して報知するようにされる。
さらに、主装置1Aからの緊急地震速報データを受信したアクセスポイント装置2Aは、図13に示すように、SSIDを緊急地震速報用のSSIDに替えたビーコン信号を生成し、これを送信する。当該緊急地震速報用のSSIDを用いたビーコン信号の生成及び送信処理は、上述した第1の実施の形態の場合と同様に行われるものである。そして、この第3の実施の形態のアクセスポイント装置2Aは、図13に示すように、自機との間に通信路が既に接続されている無線通信端末3Aに対して緊急地震速報データを送信する。これにより、無線通信端末3Aにおいては、当該緊急地震速報データに応じた報知処理やその制御処理等を独自に行うこともできるようにされる。
そして、この第3の実施の形態のアクセスポイント2Aは、他システムの無線通信端末3Bとの間においては、図13に示すように、図5を用いて上述した第1の実施の形態のアクセスポイント2Aと無線通信端末3Bとの間で行われた処理と同様の処理が行われる。すなわち、アクセスポイント装置2Aと他システムの無線通信端末3Bとの間にも、緊急地震速報の配信時においてのみ通信路を接続する。そして、当該アクセスポイント装置2Aから当該無線通信端末3Bに対して緊急地震速報データを配信する。当該無線通信端末3Bにおいては、アクセスポイント装置2Aからの緊急地震速報データに応じて、LED制御部332、LCD制御部334、音声処理部336を制御して、緊急地震速報をユーザに報知するようにする。
このように、この第3の実施の形態の緊急速報配信システムにおいては、アクセスポイント装置2Aに対して通信路が接続されている無線通信端末3Aを通じても緊急地震速報を報知することができる。また、アクセスポイント装置2Aを通じて他システムの無線通信端末3Bに緊急地震速報データを配信し、当該無線通信端末3Bを通じても緊急地震速報を報知することができる。
なお、この第3の実施の形態においては、アクセスポイント装置2Aと他システムの無線通信端末3Bとの間の処理は、第1の実施の形態の緊急速報配信システムの場合と同様の処理を行うようにしたが、これに限るものではない。アクセスポイント装置2Aと他システムの無線通信端末3Bとの間の処理については、第2の実施の形態の緊急速報配信システムの場合と同様の処理を行うようにすることもできる。この場合、アクセスポイント装置2Aと通信路を接続している無線通信端末3Aに対しては、ビーコン信号によって、これに付加される緊急地震速報データを配信することができるようにされる。
[第4の実施の形態]
次に、通話状態や発信状態にある無線通信端末3Aが、自システムのアクセスポイント装置2Aから緊急地震速報データの提供を受けた場合の処理について説明する。図14は、この第4の実施の形態の緊急速報配信システムにおいて行われる処理を説明するためのシーケンス図である。
図14に示すように、無線LANシステムAの無線通信端末3Aが、スキャン処理を行って、自システムのアクセスポイント装置2Aとの間に通信路を接続したとする。この後、図14に示すように、当該無線通信端末3Aから発信して、アクセスポイント装置2A及び主装置1Aを通じて、目的とする相手先との間に通信回線を接続して通話中か、あるいは、通信回線を接続するために発信中(呼び出し中)であったとする。
この場合においても、アクセスポイント装置2Aは、緊急地震速報が発生していない通常時は、通常のSSIDを用いたビーコン信号を生成し、これを送出する。そして、気象庁から緊急地震速報が配信されたとする。図14に示すように、この第4の実施の形態の緊急速報配信システムにおいても、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、緊急地震速報サーバ6から主装置1Aへ、また、主装置1Aからアクセスポイント装置2Aへと緊急地震速報データが配信される。
そして、緊急地震速報データが配信されたアクセスポイント装置2Aは、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、SSIDを緊急地震速報用のSSIDに替えたビーコン信号を生成し、これを送信する。この後、アクセスポイント装置2Aは、自機との間に通信路を接続している自システムの無線通信端末3Aに対して、緊急地震速報データを送信する。
そして、この第4の実施の形態において、緊急地震速報データを受信した無線通信端末3Aは、例えば、以下に説明する実施例1と実施例2との2つの対応を取り得る。
[実施例1の対応]
まず、図14において、無線通信端末3Aの処理として示した実施例1について説明する。この場合、電話会社が提供するキャッチホン(登録商標)サービスを受けるときにように、無線通信端末3Aの制御部320は、音声データ入出力I/F307を通じて受話器309から通知音を放音するようにし、緊急地震速報があることを通知する。もちろん、「緊急地震速報あり。」などの音声メッセージを放音させるようにしてもよい。
そして、制御部320は、LED制御部332、LCD制御部334、音声処理部336を制御し、LED群333のLEDの点灯、点滅、消灯や、LCD335への表示メッセージの表示や、スピーカ337からのアラーム音や音声メッセージの放音により、緊急地震速報を報知する。このように、緊急地震速報データの提供を受けた無線通信端末3Aは、通話状態や発信状態から、緊急地震速報を報知する状態に遷移する。
この場合に、緊急地震速報が解除されると、すなわち、緊急地震速報用のSSIDを用いたビーコン信号の送信が停止され、通常のSSIDを用いたビーコン信号の送信に戻ると、当該無線通信端末3Aも、スピーカ337からのアラーム音の放音等を停止させ、LED群333やLCD335の表示状態を、元の状態である通話状態あるいは発信状態に戻す。
なお、通話中に緊急地震速報が発生した場合には、上述した緊急地震速報の報知処理を行うが、通話状態は維持され、通話を行うことはできるようにされる。また、無線通信端末3Aが発信中の状態にあると共に、緊急地震速報を報知している状態である場合に、発信先が応答した場合には、そのまま通話中になり通話を行うことができるようにされる。
これにより、この第4の実施の形態における実施例1の場合には、通話中や発信中であっても、緊急地震速報の報知を行うことができると共に、通話状態の場合には、その状態を維持することもできるようにされる。したがって、ユーザの判断により、通話状態を終了させ、非難するなどの対応を取るなど、柔軟な対応が可能となる。
[実施例2の対応]
次に、図14において、無線通信端末3Aの処理として示した実施例2について説明する。この実施例2の場合、無線通信端末3Aは、まず、自機の現在の状態である通話中あるいは発信中の状態を強制的に解除(切断)する。その上で、上述した実施例1の場合と同様に、受信したアクセスポイント装置2Aからの緊急地震速報データに応じて、LED制御部332、LCD制御部334、音声処理部336を制御して、LED群333、LCD335、スピーカ337を通じて緊急地震速報を報知する処理を行う。
これにより、緊急地震速報の報知を優先的に行うことにより、迅速かつ確実に緊急地震速報の発生を無線通信端末3Aのユーザに通知し、避難等ン緊急措置を迅速に取ることができるようにされる。
なお、無線通信端末3Aが通話中である場合に、突然に通信回線を切断してしまうと、通話の相手先に対して不安を与えてしまう可能性がある。そこで、無線通信端末3Aにおいては、接続中の通信回線を切断する前に、「緊急地震速報が発せられました。一旦、通信を終了します。」などの音声メッセージを、通信の相手先に送信すると共に、自機からも放音するようにする。このようにすることによって、通話中の相手先に対しても、緊急地震速報の発生を通知することができ、不安を与えないようにして、接続中の通信回線を切断することができるようにされる。
この場合、制御部320は、自機のEEPROM325などに予め用意されているメッセージ情報を用いて、通信の相手先に送信すべき上述したような音声メッセージを形成する。そして、制御部320は、形成した音声メッセージをパケット分解/生成部326においてパケット化した後に、送信用処理回路305などからなる送信系を通じて、通信の相手先に送信する。また、制御部320は、当該音声メッセージを音声処理部336にも供給して、当該音声メッセージに応じた音声をスピーカ337から放音させるようにする。この後、制御部320は、回線の切断要求を送信するようにして、接続中の通信回線を切断するようにする。
なお、上述した音声メッセージの出力処理と同時に、LED制御部332、LCD制御部334を制御し、LED群333、LED335を通じて、緊急地震速報の報知を行うようにしてもよい。もちろん、音声メッセージを送信後、通信回線を切断した後に、LED群333やLED335を通じての緊急地震速報の報知を行うようにしてもよい。
[実施例1の場合の無線通信端末3Aの処理]
次に、この第4の実施の形態の上述した実施例1の場合の無線通信端末3Aの処理の一例について具体的に説明する。図15は、この第4の実施の形態の上述した実施例1の場合の無線通信端末3Aにおいて行われる処理の一例を説明するためのフローチャートである。この図15に示す処理は、無線通信端末3Aの制御部320において実行される処理である。
なお、この第4の実施の形態においても、アクセスポイント装置2Aは、上述した第1の実施の形態あるいは上述した第3の実施の形態の場合のアクセスポイント2Aと同様の処理を行うことになる。このため、アクセスポイント装置2Aの処理の説明は重複するので省略する。
この第4の実施の形態において、無線通信端末3Aが、自機への着信に応答し、あるいは、自機からの発信に相手先が応答し、あるいは、自機から発信して相手先の応答を待っているとする。この場合、制御部320は、各部を制御し、通信回線を接続して通話状態にしたり、あるいは、発信状態を維持したりする(ステップS501)。そして、制御部320は、受信系を通じてアクセスポイント装置2Aからのビーコン信号を受信するようにし(ステップS502)、緊急地震速報用のSSIDを有するビーコン信号を受信したか否かを判別する(ステップS503)。このステップS503の判別処理は、受信したビーコン信号に含まれるSSIDと、自機が保持する緊急地震速報用のSSIDとを比較することにより判別することができる。
ステップS503の判別処理において、緊急地震速報用のSSIDを用いたビーコン信号を受信していないと判別したときには、制御部320は、通話状態や発信状態が終了するようにされたか否かを判別する(ステップS504)。このステップS504の処理においては、キー操作部331を通じてオンフック操作されたり、相手先から通信回線の切断要求が送信されてきたりした場合に、通話状態や発信状態が終了するようにされたと判別することができる。
ステップS504の判別処理において、通話状態や発信状態が終了するようにされたと判別したときには、オフフック状態を終了させるようにして通信回線を解放するようにし(ステップS505)、この図15に示す処理を終了するようにする。また、ステップS504の判別処理において、通話状態や発信状態が終了するようにされていないと判別したときには、制御部320は、ステップS502からの処理を繰り返すようにする。
また、ステップS503の判別処理において、緊急地震速報用のSSIDを用いたビーコン信号を受信したと判別したときには、制御部320は、アクセスポイント装置2Aからの緊急地震速報データを受信系を通じて受信する(ステップS506)。そして、制御部320は、受信した緊急地震速報データに応じて、図14を用いて説明した実施例1の場合の緊急地震速報の報知を行う(ステップS507)。具体的には、制御部320が、音声データ入出力I/F307を通じてキャッチホン(登録商標)サービスの場合と同様の通知音を受話器309から放音する。また、制御部320が、LED制御部332、LCD制御部334、音声処理部336を制御し、LED群333、LCD335、スピーカ337を通じて緊急地震速報を報知する処理を行う。
この後、制御部320は、アクセスポイント装置2Aからのビーコン信号を受信するようにし(ステップS508)、通常のビーコン信号を受信したか否かを判別する(ステップS509)。ステップS509の判別処理において、通常のビーコン信号を受信したと判別したときには、緊急地震速報の配信は終了したと判別することができる。このため、制御部320は、LED制御部332、LCD334を制御して、LED群333、LCD335の表示状態を自機の状態に応じて通話状態あるいは発信状態に戻す(ステップS510)。なお、スピーカ337を通じて音声メッセージ等を放音するようにしている場合には、制御部320は音声処理部336を制御し、当該音声メッセージ等の放音も終了させる。
また、ステップS509の判別処理において、通常のビーコン信号を受信していないと判別したときには、緊急地震速報の配信は終了していないと判別することができるので、緊急地震速報の報知処理は続行し、通話状態や発信状態が終了するようにされたか否かを判別する(ステップS511)。ステップS511の判別処理において、通話状態や発信状態が終了するようにされていないと判別したときには、ステップS508からの処理を繰り返すようにする。
また、ステップS511の判別処理において、通話状態や発信状態が終了するようにされたと判別したときには、オフフック状態を終了させるようにして通信回線を解放するようにする(ステップS512)。この後、通常のビーコン信号の受信を待って、LED群333の表示やLCD335の表示を自機の状態に応じた表示に戻すようにすると共に、音声メッセージ等を放音している場合にはこれを終了させるようにする報知状態の復旧処理を行う(ステップS513)。そして、この図15に示す処理を終了する。
[実施例2の場合の無線通信端末3Aの処理]
次に、この第4の実施の形態の上述した実施例2の場合の無線通信端末3Aの処理について具体的に説明する。図16は、この第4の実施の形態の上述した実施例2の場合の無線通信端末3Aにおいて行われる処理を説明するためのフローチャートである。この図16に示す処理は、無線通信端末3Aの制御部320において実行される処理である。
図16に示すフローチャートにおいて、図15に示したフローチャートと同じ参照符号を付したステップS501〜ステップS506の各処理は、図15に示したフローチャートの対応する処理と同様に行われる処理である。したがって、この実施例2の場合の無線通信端末3Aにおいても、ステップS503の判別処理において、緊急地震速報用のSSIDを用いたビーコン信号を受信したと判別すると、ステップS506において、アクセスポイント装置2Aからの緊急地震速報データを受信する。
この後、制御部320は、上述もしたように、自機が通話状態にあるときには、まず、通話の相手先に対して、緊急地震速報の発生により、通信回線を切断することの音声メッセージを送信する(ステップS601)。なお、このステップS601の音声メッセージの送信処理は必須の処理ではなく、緊急地震速報の報知を優先する場合には、行わないようにすることもできる。
そして、無線通信端末3Aの制御部320は、通信回線を切断するようにする(ステップS602)。この後、制御部320は、緊急地震速報の報知を行う(ステップS603)。具体的には、制御部320が、LED制御部332、LCD制御部334、音声処理部336を制御し、LED群333、LCD335、スピーカ337を通じて緊急地震速報を報知する処理を行う。
この後、通常のビーコン信号の受信を待って、LED群333の表示やLCD335の表示を自機の状態に応じた表示に戻すようにすると共に、音声メッセージ等を放音している場合にはこれを終了させるようにする報知状態の復旧処理を行う(ステップS604)。そして、この図16に示す処理を終了する。
このように、この第4の実施の形態の場合には、通話状態や発信状態にある無線通信端末3Aに対しても、同じ無線LANシステム内のアクセスポイント装置2Aを通じて適切に緊急地震速報データを配信し、緊急地震速報をユーザに報知することができる。したがって、通話中や呼び出し中であるために、緊急地震速報の配信に気付くのに遅れるなどといった不都合を防止することができる。
[第5の実施の形態]
次に、着信状態にある無線通信端末3Aが、自システムのアクセスポイント装置2Aから緊急地震速報データの提供を受けた場合の処理について説明する。図17は、この第5の実施の形態の緊急速報配信システムにおいて行われる処理を説明するためのシーケンス図である。
図17に示すように、無線LANシステムAの無線通信端末3Aが、スキャン処理を行って、自システムのアクセスポイント装置2Aとの間に通信路を接続したとする。この後、当該無線通信端末3Aに着信が発生し、当該無線通信端末3Aが着信音を放音するなどして着信があることをユーザに通知する着信状態になったとする。
この場合においても、図17に示すように、アクセスポイント装置2Aは、緊急地震速報が発生していない通常時は、通常のSSIDを用いたビーコン信号を生成し、これを送出する。そして、気象庁から緊急地震速報が配信されたとする。この第5の実施の形態の緊急速報配信システムにおいても、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、緊急地震速報サーバ6から主装置1Aへ、また、主装置1Aからアクセスポイント装置2Aへと緊急地震速報データが配信される。
そして、緊急地震速報データが配信されたアクセスポイント装置2Aは、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、SSIDを緊急地震速報用のSSIDに替えたビーコン信号を生成し、これを送信する。この後、アクセスポイント装置2Aは、自機との間に通信路を接続している自システムの無線通信端末3Aに対して、緊急地震速報データを送信する。
緊急地震速報データを受信した無線通信端末3Aは、例えば、以下に説明する実施例1と実施例2との2つの対応を取り得る。
[実施例1の対応]
まず、図17において、無線通信端末3Aの処理として示した実施例1について説明する。
この実施例1の場合、無線通信端末3Aの制御部320は、LED制御部332、LCD制御部334、音声処理部336を制御し、LED群333のLEDの点灯、点滅、消灯や、LCD335への表示メッセージの表示や、スピーカ337からのアラーム音や音声メッセージの放音により、緊急地震速報を報知する。すなわち、着信状態から、緊急地震速報を報知する状態に無線通信端末3Aが遷移する。
この場合に、緊急地震速報が解除されると、すなわち、緊急地震速報用のSSIDを用いたビーコン信号の送信が停止され、通常のSSIDを用いたビーコン信号の送信に戻ると、当該無線通信端末3Aも、スピーカ337からのアラーム音の放音等を停止させ、LED群333やLCD335の表示状態を、元の状態である着信状態に戻す。
なお、無線通信端末3Aが着信中の状態にあると共に、緊急地震速報を報知している状態である場合に、当該着信にユーザが応答するようにした場合には、そのまま通話中になり通話を行うことができるようにされる。
これにより、この実施例1の場合には、着信中であっても、緊急地震速報の報知を行うことができると共に、着信に応答した場合には、通話ができるように通信回線を接続することもできるようにされる。したがって、ユーザの判断により、通話状態を終了させ、非難するなどの対応を取るなど、柔軟な対応が可能となる。
[実施例2の対応]
次に、図17において、無線通信端末3Aの処理として示した実施例2について説明する。この実施例2の場合、無線通信端末3Aは、まず、自機の現在の状態である着信中の状態を強制的に解除(着信拒否)する。その上で、上述した実施例1の場合と同様に、受信したアクセスポイント装置2Aからの緊急地震速報データに応じて、LED制御部332、LCD制御部334、音声処理部336を制御して、LED群333、LCD335、スピーカ337を通じて緊急地震速報を報知する処理を行う。
これにより、緊急地震速報の報知を優先的に行うことにより、迅速かつ確実に緊急地震速報の発生を無線通信端末3Aのユーザに通知し、避難等の緊急措置を迅速に取ることができるようにされる。
[実施例1の場合の無線通信端末3Aの処理]
次に、この第5の実施の形態の上述した実施例1の場合の無線通信端末3Aの処理の一例について具体的に説明する。図18〜図20は、この第5の実施の形態の上述した実施例1の場合の無線通信端末3Aにおいて行われる処理の一例を説明するためのフローチャートである。この図18〜図20に示す処理は、無線通信端末3Aの制御部320において実行される処理である。
なお、この第5の実施の形態においても、アクセスポイント装置2Aは、上述した第1の実施の形態あるいは上述した第3の実施の形態の場合のアクセスポイント2Aと同様の処理を行うことになる。このため、アクセスポイント装置2Aの処理の説明は重複するので省略する。
そして、自機に着信が発生したとする。この場合、制御部320は、図18〜図20に示す処理を実行して、各部を制御し、着信音を放音するなどして、自機を着信状態にする(ステップS701)。そして、制御部320は、受信系を通じてアクセスポイント装置2Aからのビーコン信号を受信するようにし(ステップS702)、緊急地震速報用のSSIDを有するビーコン信号を受信したか否かを判別する(ステップS703)。このステップS703の判別処理は、受信したビーコン信号に含まれるSSIDと、自機が保持する緊急地震速報用のSSIDとを比較することにより判別することができる。
また、ステップS703の判別処理において、緊急地震速報用のSSIDを用いたビーコン信号を受信したと判別したときには、制御部320は、アクセスポイント装置2Aからの緊急地震速報データを受信系を通じて受信する(ステップS704)。そして、制御部320は、受信した緊急地震速報データに応じて、図17を用いて説明した実施例1の場合の緊急地震速報の報知を行う(ステップS705)。具体的には、制御部320が、LED制御部332、LCD制御部334、音声処理部336を制御し、LED群333、LCD335、スピーカ337を通じて緊急地震速報を報知する処理を行う。また、継続して、着信音の放音も行うようにする。
この後、制御部320は、キー操作部331を通じて応答操作(オフフック操作)を受け付けたか否かを判別する(ステップS706)。ステップS706の判別処理において、応答操作を受け付けたと判別したときには、制御部320は、通信回線を接続し、通話をできるようにする(ステップS707)。具体的に、制御部320は、着信応答を形成して、これをパケット分解/生成部326でパケット化し、送信系を通じて送信するなどの一連の処理を行うことによって、通信回線を接続する。
この後、制御部320は、アクセスポイント装置2Aからのビーコン信号を受信するようにし(ステップS708)、通常のビーコン信号を受信したか否かを判別する(ステップS709)。ステップS709の判別処理において、通常のビーコン信号を受信したと判別したときには、緊急地震速報の配信は終了したと判別することができる。このため、制御部320は、LED制御部332、LCD334を制御して、LED群333、LCD335の表示状態を自機の状態に応じて通話状態に戻す(ステップS710)。なお、スピーカ337を通じて音声メッセージ等を放音するようにしている場合には、制御部320は音声処理部336を制御し、当該音声メッセージ等の放音も終了させる。
そして、無線通信端末3Aは、通常の通話状態になったので、制御部320は、図15を用いて説明した通話状態であるときの処理を行うようにし(ステップS711)、この図18〜図20に示す処理を終了する。
また、ステップS709の判別処理において、通常のビーコン信号を受信していないと判別したときには、緊急地震速報の配信は終了していないと判別することができるので、緊急地震速報の報知処理は続行し、通話状態が終了するようにされたか否かを判別する(ステップS712)。ステップS712の判別処理において、通話状態が終了するようにされていないと判別したときには、ステップS708からの処理を繰り返すようにする。
また、ステップS712の判別処理において、通話状態が終了するようにされたと判別したときには、オフフック状態を終了させるようにして通信回線を解放するようにする(ステップS713)。この後、通常のビーコン信号の受信を待って、LED群333の表示やLCD335の表示を自機の状態に応じた表示に戻すようにすると共に、音声メッセージ等を放音している場合にはこれを終了させるようにする報知状態の復旧処理を行う(ステップS714)。そして、この図18〜図20に示す処理を終了する。
また、ステップS703の判別処理において、緊急地震速報用のSSIDを用いたビーコン信号を受信していないと判別したときには、図19の処理に進み、制御部320は、応答操作が行われたか否かを判別する(ステップS715)。このステップS715の処理においては、キー操作部331を通じてオフフック操作された場合に、応答操作が行われたと判別することができる。
ステップS715の判別処理において、応答操作が行われたと判別したときには、上述したステップS707の処理と同様にして、通信回線を接続し(ステップS716)、通話を行えるようにする。この場合、無線通信端末3Aは、通常の通話状態になったので、制御部320は、上述したステップS711の処理と同様に、図15を用いて説明した通話状態であるときの処理を行うようにし(ステップS717)、この図18〜図20に示す処理を終了する。
また、ステップS715の判別処理において、応答操作は行われていないと判別したときには、制御部320は、自機への着信が終了したか否かを判別する(ステップS718)。すなわち、ステップS718の判別処理は、発信先がオフフックするなどのことにより、自機への着信がなくなったか否かを判別するものである。ステップS718の判別処理において、自機への着信が終了したと判別したときには、いわゆる待ち受け状態に遷移し、この図18〜図20の処理を終了する。また、ステップS718の判別処理において、自機への着信は終了していないと判別したときには、着信状態は継続しているので、図18に示したステップS702からの処理を繰り返すようにする。
また、図18に示したステップS706の判別処理において、応答操作は行われていないと判別したときには、制御部320は、図20の処理に進む。この場合、制御部320は、アクセスポイント装置2Aからのビーコン信号を受信するようにし(ステップS719)、通常のビーコン信号を受信したか否かを判別する(ステップS720)。
ステップS720の判別処理において、通常のビーコン信号を受信したと判別したときには、緊急地震速報の配信は終了したと判別することができる。このため、制御部320は、LED制御部332、LCD334を制御して、LED群333、LCD335の表示状態を自機の状態に応じて着信状態に戻す(ステップS721)。なお、スピーカ337を通じて音声メッセージ等を放音するようにしている場合には、制御部320は音声処理部336を制御し、当該音声メッセージ等の放音も終了させる。この後、制御部320は、図18に示したステップS702からの処理を繰り返すようにする。
また、ステップS720の判別処理において、通常のビーコン信号を受信していないと判別したときには、緊急地震速報の配信は終了していないと判別することができるので、緊急地震速報の報知処理は続行し、図18のステップS706からの処理を繰り返すようにする。このようにして、第5の実施の形態の実施例1の場合には、無線通信端末3Aが動作する。
なお、この実施例1の場合には、緊急地震速報データが配信された場合に、無線通信端末3Aにおいては、着信音の放音と緊急地震速報を報知するための音声メッセージの放音とを行うことができるものとして説明した。しかしこれに限るものではない。着信音の放音を行っている場合には、緊急地震速報を報知するための音声メッセージの放音は行わないようにすることもできる。もちろん、着信音とは異なる態様のアラーム音により、緊急地震速報の報知を行うようにすることもできる。
[実施例2の場合の無線通信端末3Aの処理]
次に、この第5の実施の形態の上述した実施例2の場合の無線通信端末3Aの処理の一例について具体的に説明する。図21は、この第5の実施の形態の上述した実施例2の場合の無線通信端末3Aにおいて行われる処理の一例を説明するためのフローチャートである。この図21に示す処理は、無線通信端末3Aの制御部320において実行される処理である。
図21に示すフローチャートにおいて、図18及び図19に示したフローチャートと同じ参照符号を付したステップS701〜ステップS704の各処理、及び、ステップS715〜ステップS718の各処理は、図18及び図19に示したフローチャートの対応する処理と同様に行われる処理である。そして、この実施例2の場合の無線通信端末3Aにおいても、ステップS703の判別処理において、緊急地震速報用のSSIDを用いたビーコン信号を受信したと判別すると、ステップS704において、アクセスポイント装置2Aからの緊急地震速報データを受信する。
この後、制御部320は、上述もしたように、まず、着信状態を解除(着信拒否)し(ステップS801)、この後、制御部320は、緊急地震速報の報知を行う(ステップS802)。具体的には、制御部320が、LED制御部332、LCD制御部334、音声処理部336を制御し、LED群333、LCD335、スピーカ337を通じて緊急地震速報を報知する処理を行う。
この後、制御部320は、通常のビーコン信号の受信を待って、LED群333の表示やLCD335の表示を自機の状態に応じた表示に戻すようにすると共に、音声メッセージ等を放音している場合にはこれを終了させるようにする報知状態の復旧処理を行う(ステップS803)。そして、この図21に示す処理を終了する。
このように、この第5の実施の形態の場合には、着信状態にある無線通信端末3Aに対しても、同じ無線LANシステム内のアクセスポイント装置2Aを通じて適切に緊急地震速報データを配信し、緊急地震速報をユーザに報知することができる。したがって、着信中であるために、緊急地震速報の配信に気付くのに遅れるなどといった不都合を防止することができる。
[他の装置への適用]
なお、上述した第1〜第5の実施の形態においては、図1に示したように、無線LANシステムAの通信エリアArA内に、無線LANシステムBの無線通信端末3Bが移動してきた場合を例にして説明した。このため、上述したように、主装置1A、アクセスポイント装置2A、無線通信端末3Bまたは無線通信端末3Aにおいて行われる処理として説明した。しかし、これに限るものではない。
主装置1Aにおいて行われる処理は、主装置1B等の同様の状態にある他のシステムの主装置においても同様に行われる。また、アクセスポイント装置2Aにおいて行われる処理は、アクセスポイント装置2B等の他のシステムの同様の状態にあるアクセスポイント装置においても同様に行われる。また、無線通信端末3Bにおいて行われる処理は、無線通信端末3A等の同様の状態にある他のシステムの無線通信端末においても同様に行われるし、逆に、無線通信端末3Aにおいて行われる処理は、無線通信端末3B等の同様の状態にある他のシステムのア無線通信端末においても同様に行われる。
[適用範囲の拡張]
また、上述した実施の形態においては、この発明を無線通信LANシステムに適用した場合を例にして説明したが、これに限るものではない。この発明は、例えば、携帯電話会社(キャリア)が提供する携帯電話システムにも適用することができる。
すなわち、上述した実施の形態の主装置1A、1Bは、上述もしたように、小型の交換装置としての機能を有するものであり、携帯電話システムにおける携帯電話会社側の交換装置に対応する。また、上述した実施の形態のアクセスポイント装置2A(1)、2A(2)、…、2B(1)、2B(2)、…等は、携帯電話会社側の基地局に対応する。さらに、上述した実施の形態の無線通信端末3A(1)、3A(2)、…、3B(1)、3B(2)、…は、各ユーザが携帯する携帯電話端末に対応する。
そして、携帯電話会社の基地局は、当該基地局は、通常は同じ携帯電話会社の携帯電話端末しか認識できないバースト信号を送信し、通信可能な携帯電話端末との間で通信を行って、携帯電話会社のサーバに位置登録を行うなどして、迅速の通信回線の接続を可能にする。しかし、緊急地震速報データが配信された場合には、どの携帯電話会社の基地局であっても、全ての携帯電話会社の加入携帯電話端末もが受信して認識可能な緊急地震速報が発生したことを示す情報を配信するようにする。
すなわち、携帯電話会社が提供する携帯電話システムにおいても、携帯電話会社側の交換装置が、例えば、緊急地震速報サーバ6などから緊急地震速報の配信を受けた場合に、これを自配下(同じ携帯電話会社)の基地局に送信する。当該基地局は、どの携帯電話会社の携帯電話端末であっても受信して認識可能なようにした緊急地震速報が発生したことを示す情報を配信する。これにより、各携帯電話端末は、自機が加入している携帯電話会社の基地局と通信不能な場所にあっても、他の携帯電話会社の基地局との間で通信が可能な状況にあれば、当該他の携帯電話会社の基地局から緊急地震速報が発生したことを示す情報の提供を受けて、これを報知することができる。
なお、この場合にも、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、携帯電話端末が基地局に接続してから緊急地震速報データの配信を受けるようにすることができる。また、上述した第2の実施の形態の場合のように、基地局から送信されるいわゆるバースト信号などに、緊急地震速報データを付加して配信したりすることが可能である。また、携帯電話システムに適用範囲を拡張した場合にも、上述した第3〜第5の実施の形態の場合と同様の処理を行うようにすることもできる。
このように、この発明を携帯電話会社の提供する携帯電話システムに適用することにより、広範囲にわたって、緊急地震速報を確実に配信して利用することができる環境を整えることができるようにされる。
[この発明の方法]
なお、上述した実施の形態において、図5〜図21のシーケンス図やフローチャートを用いて説明した無線LANシステムの処理や、無線LANシステムを構成する装置で行われる処理が、この発明による方法が適用されて実現されたものである。
[実施の形態の装置や回路部と、請求項の装置や手段との対応]
また、上述した実施の形態においては、主装置1、アクセスポイント装置2、無線通信端末3が、特許請求の範囲における、交換装置、中継装置、無線通信端末に相当する。また、実施の形態の緊急地震速報用のSSIDが、請求項における緊急時用の接続情報に相当する。
そして、アクセスポイント装置2の接続端子201及び有線LANI/F202が、中継装置の通信手段を構成している。また、アクセスポイント装置2の送信用処理回路203、受信用処理回路204、送信アンプ205、受信アンプ206、アンテナ共用器207、送受信アンテナ208が、中継装置の無線通信手段を構成している。また、アクセスポイント装置2の緊急地震速報制御部210及びビーコン生成部220が、中継装置の緊急時送信制御手段を構成している。
また、アクセスポイント装置2の緊急時無線制御部218が、中継装置の接続制御手段を構成し、アクセスポイント装置2の主に緊急地震速報制御部219が、中継装置の詳細送信制御手段を構成している。
また、無線通信端末3の送受信アンテナ301、アンテナ共用器302、受信アンプ303、受信用処理回路304、送信用処理回路305、送信アンプ306が、無線通信端末の端末無線通信手段を構成している。また、無線通信端末3の主に緊急時無線制御部327と緊急地震速報制御部328とが、無線通信端末の緊急速報制御手段を構成している。
また、無線通信端末3の緊急時無線制御部327が、無線通信端末の通信路接続制御手段を構成し、無線通信端末3の緊急地震速報制御部328と制御部320が協働して、無線通信端末の報知制御手段を構成している。
[その他]
なお、上述した実施の形態においては、緊急地震速報が配信される場合を例にして説明したが、これに限るものではない。この発明は、気象警報、交通機関の事故、遅延情報、道路の事故、渋滞情報など、緊急に配信した方が好ましい種々の速報(情報)を配信する場合に適用することができる。
また、無線通信端末3において行う緊急地震速報等の報知処理は、無線通信端末3毎にどのような報知処理を行うかを設定できるようにしておくことにより、無線通信端末3毎に異なる態様で緊急地震速報等の報知を行うようにすることができる。
また、上述した実施の形態においては、通常は1つのSSIDを用いるものとして説明し、通常は接続できないアクセスポイント装置に対して接続したり、緊急地震速報等の緊急速報の発生を通知したりするために緊急地震速報用のSSIDを用いるようにした。すなわち、緊急地震速報用のSSIDは、無線LANシステム毎のセキュリティを高く維持すると共に、必要な範囲においてのみ、通常は接続できないアクセスポイント装置に対して接続可能にする特別な接続情報と位置付けることができる。
そして、無線LANシステムにおいては、メインSSIDとサブSSIDとを複数個用いることができるようにし、SSID毎に異なる種類の認証や暗号化を同時に利用することが可能なマルチSSID対応のシステムもある。しかし、マルチSSID対応のシステムで用いられる複数のSSIDは、通常のSSIDである。そして、マルチSSID対応のシステムにおいても、この発明を適用するためには、特別な接続情報として、緊急地震速報用のSSIDをアクセスポイント装置と無線通信端末とに設定しておく必要がある。
また、この発明を広範囲に適用できるようにするためには、緊急地震速報用のSSID等の緊急時用の接続情報は、例えば、無線LANシステムや携帯電話システムなどの適用システムにおいて用いられる規格において、ユニバーサルな緊急時の接続情報として定義しておくことが望ましい。