JP2012146746A - 結晶性薄膜又は結晶性構造体の製造方法、及び結晶性構造体 - Google Patents

結晶性薄膜又は結晶性構造体の製造方法、及び結晶性構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】シンプルな製造工程により界面状態の良好な結晶性薄膜を立体形状を含む所望のパターンに形成可能であり、結晶化に要する熱処理温度を低減させることが可能な結晶性薄膜又は結晶性構造体の製造方法、及び当該製造方法により形成された結晶性薄膜を備えた構造体を提供する。
【解決手段】結晶性薄膜又は結晶性構造体の製造方法においては、蒸着・結晶化促進工程において、スパッタリング法による金属酸化物の蒸着、及びレーザー光照射による金属酸化物の結晶化促進が同時に行われる。蒸着・結晶化促進工程を経た基板34は、所定の温度条件下においてアニールされる。これにより、金属酸化物が完全に結晶化された状態になる。
【選択図】図1

Description

本発明は、結晶性薄膜又は結晶性構造体の製造方法、及び当該製造方法により製造された結晶性構造体に関する。
従来、下記特許文献1及び特許文献2等に開示されているような結晶性薄膜の製造方法が提供されている。特許文献1に開示されている強誘電体薄膜及び常誘電体薄膜の形成方法においては、強誘電体薄膜及び常誘電体薄膜を成膜した後、パルスUVレーザー光を照射することにより結晶化させることが可能とされている。また、特許文献2に開示されている強誘電体の製造方法においては、強誘電体を成膜した後、CW可視光あるいはレーザー光を照射することにより強誘電体を結晶化させることが可能とされている。
特開2009−238842号公報 特開2009−81446号公報
しかしながら、上述した結晶性薄膜の製造方法においては、先ず基板等の上に非晶質の薄膜を形成した後、レーザー光を照射することにより結晶化を促進するという2段階の工程が少なくとも必要とされるため、製造工程が煩雑であり、製造に時間を要するという問題がある。
また、非晶質の薄膜形成工程、及び結晶化工程を別々に行うと、良好な界面状態の結晶が得にくいという問題がある。具体的には、非晶質の薄膜形成と結晶化工程を複数回繰り返すことにより多層膜とする場合、先に結晶化させた膜の表面が平坦でないと次に形成される非晶質の薄膜との間に非連続面が生じることがある。このようにして形成される非連続面の上下においては、特性についても非連続となってしまう場合がある。従って、従来技術の製造方法では、構造面及び特性面において連続的な3次元構造体を得ることが困難であると想定される。
また、ビスマス−鉄系複合酸化物(BiFeO)のように結晶構造中に酸素欠陥を有する化合物においては、酸素欠陥の分布が不均一であると特性が低下するという問題がある。例えば、ビスマス−鉄系複合酸化物においては、酸素欠陥に起因して大きなリーク電流が発生すること、及びこのような酸素欠陥が粒子同士の界面(粒界)が乱れているところに多く発生することが知られている。従って、前述したような化合物において特性の向上を図るためには、良好な界面状態の結晶が得られるように結晶性薄膜を形成することが可能な結晶性薄膜の製造方法の提供が求められている。
また、従来技術において提供されているシート状で二次元的な結晶性薄膜に加えて、三次元的な結晶性構造体の提供が求められている。しかしながら、上述した従来技術においては、結晶性の金属酸化物を三次元的な構造物の形態で提供することが困難であった。
そこで、本発明は、シンプルな製造工程により界面状態の良好な金属酸化物の結晶を薄膜状あるいは結晶立体形状を含む所望のパターンに形成可能であり、結晶化に要する熱処理温度を低減させることが可能な結晶性薄膜又は結晶性構造体の製造方法、及び当該製造方法により形成された結晶性薄膜を備えた結晶性構造体の提供を目的とした。
上述した課題を解決すべく本発明者らが鋭意検討したところ、スパッタリング法による蒸着及びレーザー光の照射を同時に行うことにより、製造工程のシンプル化、及び製造時間の短縮を図ると共に、界面状態の良好な結晶性薄膜及び結晶性構造体を得ることができるとの知見に至った。これに加えて、結晶化をさらに促進させるための熱処理を行う場合に、その熱処理温度を低下させることができることが判明した。さらに、従来技術の製造方法においては事実上不可能であった螺旋状等の複雑な立体形状の結晶性構造体の形成が可能となることが判明した。
(1) かかる知見に基づいて提供される本発明の結晶性薄膜又は結晶性構造体の製造方法は、スパッタリング法による金属酸化物の蒸着、及びレーザー光照射による金属酸化物の結晶化促進を同時に行う蒸着・結晶化促進工程と、前記蒸着・結晶化促進工程において得られた基板を所定の温度条件下においてアニールするアニール工程とを有することを特徴とするものである。
上記(1)の構成によれば、蒸着・結晶化促進工程においてスパッタリングによる金属酸化物の蒸着、及びレーザー光照射による結晶化の促進を同時に行うことが可能となり、製造工程のシンプル化を図り、製造時間を短縮することが可能となる。また、上記(1)の製造方法によれば、粒子間の界面状態の良好な結晶性薄膜又は結晶性構造体を得ることができる。さらに、蒸着・結晶化促進工程においてレーザー光の照射によるエネルギーが付与されているため、結晶化をさらに促進させるための熱処理を行う場合に、その熱処理温度を低下させることができる。さらに、レーザー光の照射方向、強度、照射回数、照射する箇所などを調整すれば、螺旋状等の複雑な立体形状の結晶性構造体を形成することも可能となる。
また、上記(1)のように、蒸着・結晶化促進工程の後、アニール工程において基板を所定の温度条件下においてアニールすることとすれば、高温雰囲気下において揮発しやすい元素を含む金属酸化物であっても目的とする金属酸化物の結晶性薄膜又は結晶性構造体を得ることができる。
(2) 上述した本発明の結晶性薄膜又は結晶性構造体の製造方法においては、前記金属酸化物が、前記蒸着・結晶化促進工程において照射されるレーザー光を吸収可能な化合物であることが望ましい。
上記(2)の構成によれば、レーザー光を照射することにより金属酸化物を確実に結晶化させ結晶性薄膜又は結晶性構造体を得ることが可能となる。
(3) 上述した本発明の結晶性薄膜又は結晶性構造体の製造方法においては、前記金属酸化物が、結晶構造中に酸素欠陥を有するものであることが望ましい。
上記(3)の構成によれば、粒子間において良好な界面状態を有する金属酸化物の結晶性薄膜又は結晶性構造体が得られるため、粒界の乱れに起因して結晶構造中における酸素欠陥の分布が不均一になること、及び酸素欠陥の不均一化に起因する特性低下を防止することが可能となる。特に、ビスマス−鉄系複合酸化物、及び当該酸化物におけるビスマスあるいは鉄の一部を他元素によって置換した金属酸化物においては、酸素欠陥に起因するリーク電流の発生を最小限に抑制することが可能となる。
(4) 上述した本発明の結晶性薄膜又は結晶性構造体の製造方法においては、前記基板に対するレーザー光の入射角が、30度〜90度の範囲内であることが望ましい。
上記(4)の構成によれば、基板に対して照射されるレーザー光の照射面積を絞り、エネルギー密度を向上させることが可能となり、より一層スムーズかつ確実に金属酸化物を結晶化させることが可能となる。また、上記(4)の条件下において結晶性薄膜又は結晶性構造体を製造することにより、金属酸化物の結晶の界面状態を良好なものとし、熱処理温度をより一層低下させることが可能となる。
(5) 上述した本発明の結晶性薄膜又は結晶性構造体の製造方法は、前記蒸着・結晶化促進工程において、レーザー光が予め規定されている結晶性薄膜又は結晶性構造体の形成パターンに則って照射されることが好ましい。
上記(5)の構成によれば、容易かつ精度良く所望のパターンにより結晶性薄膜又は結晶性構造体を形成することが可能となる。また、レーザー光の照射パターンを立体的に変化させることにより、螺旋状等の複雑な立体形状を有する結晶性薄膜又は結晶性構造体を形成することが可能となる。
(6) 上述した本発明の結晶性薄膜又は結晶性構造体の製造方法においては、前記基板上に形成された非晶質の金属酸化物を溶剤により除去する非晶質部除去工程を有することが望ましい。
上記(6)の構成によれば、従来一般的に行われているスクリーン印刷法等により結晶性薄膜又は結晶性構造体をパターン状に形成する場合に比べて、製造工程が極めて簡略化されると共に、十分なパターン精度が得られる。
(7) 本発明の結晶性構造体は、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法により金属酸化物を結晶化させたものであることを特徴としている。
本発明の結晶性構造体は、上述した本発明の製造方法により製造されたものであるため、金属酸化物の結晶粒界の状態が良好である。また、本発明の結晶性構造体においては、立体形状を含む所望のパターンに金属酸化物の結晶を形成することが可能である。さらに、本発明の結晶性構造体は、金属酸化物を結晶化させる際の熱処理温度が低いため、揮発性の高い元素を含んだものとすることが可能である。
本発明によれば、シンプルな製造工程により界面状態の良好な金属酸化物の結晶を薄膜状あるいは結晶立体形状を含む所望のパターンに形成可能であり、結晶化に要する熱処理温度を低減させることが可能な結晶性薄膜又は結晶性構造体の製造方法、及び当該製造方法により形成された結晶性薄膜を備えた結晶性構造体を提供できる。
本発明の結晶性薄膜を備えた構造体を製造するための製造装置の一例を示す装置構成図である。 (a)は結晶性薄膜の製造工程において蒸着・結晶化工程を完了した状態における構造体の断面図、(b)は非晶質部除去工程を完了した状態における構造体の断面図である。 図1に示す製造装置の変形例を概念的に示した説明図である。 実施例1に係る実験結果を示すSPM画像であり、(a)は比較例に係る構造体の表面状態を示し、(b)は本発明の製造方法により製造した構造体の表面状態を示す。 実施例2に係る実験結果を示すX線回折パターンである。
続いて、本発明の一実施形態に係る結晶性薄膜を備えた構造体10、及びこの構造体10の製造方法について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は構造体10の製造装置20を示す概略構成図である。製造装置20は、ターボ分子ポンプ、ロータリーポンプ等からなる真空排気系22に接続された真空容器21を装備し、この真空容器21には酸素ガスを導入するための導入口23と、真空計24とが取り付けられ、さらにレーザー光を導入するための2つの透過窓25,26が設けられている。
真空容器21内にはターゲット33と基板34とが対向状態で保持されている。このターゲット33は、回転構造を有するターゲットホルダー32に固定されており、レーザースパッタによってターゲットの表面に生じる穴の位置を変え、堆積速度を一定に保つことができるようになっている。また、基板34は基板ホルダー35に固定されている。
上記真空容器21の外にはレーザー光源27が配設されており、このレーザー光源27より射出されたレーザー光はビームスプリッター28によって2本のレーザー光、具体的にはスパッタリング用レーザー光29とアシスト用パルス紫外レーザー光30とに分けられる。この際、ビームスプリッター28を時計回りに回転させることによって、スパッタリング用レーザー光29の強度を増加し、逆にアシスト用パルス紫外レーザー光30の強度を減少することができ、一方、ビームスプリッター28を反時計回りに回転させることによって、スパッタリング用レーザー光29の強度を減少し、逆にアシスト用パルス紫外レーザー光30の強度を増加することができる。このように、ビームスプリッター28の角度を変えることによってスパッタリング用レーザー光29とアシスト用パルス紫外レーザー光30の強度比を調整することができる。
スパッタリング用レーザー光29は、集光レンズ31を介して透過窓25を通り、ターゲット33に照射される。一方、アシスト用パルス紫外レーザー光30は、2つの平面鏡36,37によって反射され、集光レンズ38を介して透過窓26を通り、真空容器21内の基板34を照射するようになっている。
レーザー光源27としては、強力なパルス型の紫外線レーザーであるArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、YAGレーザー、Nd:YAGレーザー等を用いることが可能である。本実施形態では、レーザー光源27としてNd:YAGレーザーの第4高調波であって、波長が266nmの紫外光が用いられている。また、レーザー光源27のパルス幅は略5[ナノ秒]とされており、毎秒10回の頻度でレーザー光を発振できる。
レーザー光源27から基板34に照射するレーザー光のエネルギー密度は、基板34上に成膜する金属酸化物に応じて適宜調整することができる。具体的には、ビスマス−鉄−チタン−マグネシウム系複合金属酸化物の場合は、最低限10[mJ/cm2]のエネルギー密度を有するレーザー光である必要があり、十分結晶化をさせるためには50[mJ/cm2]のエネルギー密度を有するレーザー光である必要がある。
また、レーザー光源27から基板34に対して照射するレーザー光の照射方向(入射角)は、基板34に対して垂直であることが最も望ましく、基板34に対して30度〜90度の範囲であることが望ましい。本実施形態における結晶性薄膜を備えた構造体10の製造方法においては、金属酸化物の成膜及びレーザー光照射を同時に行う必要があるため、基板34に対して45度程度、あるいはこれ以上の入射角で基板34に対してレーザー光を照射することが望ましい。基板34に対するレーザー光の入射角をこのように調整することにより、レーザー光の照射面積を最小限に抑制し、レーザー光全体の照射エネルギーを過度に大きくしなくても金属酸化物を結晶化させるために十分なエネルギー密度を得ることが可能となる。
続いて、上述した製造装置20を用いて基板34上に金属酸化物の成膜し、結晶化させることにより構造体10を製造する方法について説明する。なお、金属酸化物としては、ビスマス−鉄系複合金属酸化物(BiFeO)、BiFeOのFeサイトの一部をScで置換したビスマス−鉄−スカンジウム系複合金属酸化物、ビスマス−鉄−チタン−マグネシウム系複合金属酸化物等、種々のものを採用することが可能である。
本実施形態の構造体10の製造方法は、基板34に対して金属酸化物の蒸着及び結晶化の促進を同時に行う蒸着・結晶化促進工程と、基板34を所定の温度条件下においてアニールするアニール工程と、非晶質の金属酸化物を溶剤により除去する非晶質部除去工程とを有する。蒸着・結晶化促進工程においては、先ず、真空容器21内を真空排気系22によって排気する。その後、酸素ガス導入口23から酸素ガスを流入させ、真空容器21内が所定の圧力に保持されるように酸素ガスの流入量を調整する。
上述したようにして真空容器21内の雰囲気調整が完了すると、続いてレーザー光源27から強力なパルス型の紫外線レーザー光を射出させる。ここで射出される紫外線レーザー光29は、ターゲット33にセットされる金属酸化物が吸収可能なものが選定される。具体的には、ビスマス−鉄−チタン−マグネシウム系複合金属酸化物がターゲット33にセットされた場合には、レーザー光29として前記金属酸化物が吸収可能なNd:YAGレーザーの第4高調波が選択される。レーザー光29は、波長が266nmの紫外光であり、パルス幅が略5[ナノ秒]とされ、毎秒10回の頻度でレーザー光源27から射出される。
レーザー光29が射出されると、ターゲット33の表面にスパッタリング用レーザー光29が照射され、ビスマス−鉄系複合金属酸化物(BiFeO)、ビスマス−鉄−スカンジウム系複合金属酸化物、ビスマス−鉄−チタン−マグネシウム系複合金属酸化物等の金属酸化物がスパッタリングによって蒸発された状態になる。これにより粒子化された金属酸化物(スパッタリング粒子)は、真空容器21内においてターゲット33と対向する位置に保持されている基板34の表面に到達する。これにより、基板34の表面に金属酸化物膜40が成膜される。
また、レーザー光29の射出と略同時に、ビームスプリッター28によって分割されたアシスト用パルス紫外レーザー光30が集光レンズ38によって基板34の表面に集光され、照射される。この際、アシスト用パルス紫外レーザー光30は、予め規定されている結晶性薄膜の形成パターンに則って照射される。これにより、図2(a)に示すように、基板34上に堆積されつつある金属酸化物膜40に対してエネルギーが供給され、前述した形成パターンに該当する部分に結晶化が促進された部分(以下、「結晶部41」とも称す)が形成される。
上述したようにして金属酸化物膜40の蒸着及びレーザー光照射による結晶化の促進を行う蒸着・結晶化促進工程が完了すると、製造工程がアニール工程に進む。アニール工程においては、金属酸化物膜40の蒸着及び結晶部41の形成がなされた基板34を大気中において電気炉等を用いて加熱することにより実施される。本実施形態では、雰囲気温度を室温から400℃まで60分で昇温し、400℃において30分間に亘って保持した後、自然放冷することによりアニール工程が実施される。これにより、蒸着・結晶化促進工程において基板34上に蒸着されている金属酸化物(結晶部41)の結晶化がさらに促進される。
上述したアニール工程が完了すると、製造工程が非晶質部除去工程に進行する。非晶質部除去工程においては、基板34上に形成された金属酸化物膜40のうち結晶化されていない部分、すなわち非晶質の部分(以下、「非晶質部42」とも称す)が溶剤により選択的に除去される。本工程において用いられる溶剤は、非晶質部42における金属酸化物を選択的に溶解することが可能なものであればいかなるものであっても良いが、例えば塩酸等を好適に用いることができる。本実施形態では、1規定の塩酸が溶剤として用いられる。非晶質部除去工程が完了すると、図2(b)に示すように基板34上に結晶部41のみが残存した状態になり、構造体10の製造が完了する。
本実施形態において示した製造方法によれば、蒸着・結晶化促進工程においてスパッタリングによる金属酸化物膜40の蒸着、及びアシスト用パルス紫外レーザー光30の照射による結晶化の促進を同時に行うことが可能である。これにより、構造体10の製造工程をシンプル化し、製造時間を短縮することが可能となる。また、本実施形態において示した製造方法によれば、金属酸化物の結晶性薄膜を界面状態の良好な状態で得ることができる。
また、本実施形態において示した製造方法によれば、蒸着・結晶化促進工程においてアシスト用パルス紫外レーザー光30を照射することによりエネルギーが付与されているため、アニール工程における熱処理温度を低下させることができる。これにより、高温雰囲気下においてアニールすることにより揮発すると想定される元素を含む金属酸化物であっても、結晶性薄膜を所望のパターンで形成することが可能となる。
また、本実施形態において示した製造方法によれば、アシスト用パルス紫外レーザー光30の照射パターンに則って金属酸化物を結晶化させることができる。そのため、アシスト用パルス紫外レーザー光30を例えば螺旋状等の複雑な形状に照射することにより、金属酸化物の結晶を螺旋状等の立体形状に形成することが可能となる。すなわち、上述したように基板34上に金属酸化物を二次元的に形成することにより結晶性薄膜を形成するだけでなく、金属酸化物を三次元的に形成することにより結晶性構造体を形成することも可能である。また、本実施形態では、アシスト用パルス紫外レーザー光30を1本のみ照射する構成を例示したが、複数本照射することが可能な構成とすることにより、より一層複雑なパターンによりアシスト用パルス紫外レーザー光30を照射することが可能となり、結晶部41を所望の形状に結晶化させることが可能となる。
本実施形態において説明した製造方法は、良好な界面状態を有する金属酸化物の結晶(結晶部41)が得られるため、例えばビスマス−鉄系複合金属酸化物、ビスマス−鉄−スカンジウム系複合金属酸化物、ビスマス−鉄−チタン−マグネシウム系複合金属酸化物等のように結晶構造中に酸素欠陥を有する金属酸化物を結晶化するために好適である。具体的には、ビスマス−鉄−チタン−マグネシウム系複合金属酸化物においては、結晶構造中に含まれている酸素欠陥が局所に集中するような分布状態にならず、酸素欠陥に起因するリーク電流の発生を最小限に抑制することが可能となる。
上述したように、本実施形態においては、アシスト用パルス紫外レーザー光30が概ね45度の入射角で基板34に入射されるため、アシスト用パルス紫外レーザー光30の照射面積を最小限に絞り、エネルギー密度を向上させることが可能である。これにより、スパッタリング用レーザー光29の出力を最小限に抑制しつつ、スムーズかつ確実に金属酸化物を結晶化させることが可能となる。
なお、上述した製造装置20においては、各構成部材の配置等の都合から、基板34に対するアシスト用パルス紫外レーザー光30の入射角が45度程度とされていたが、より一層アシスト用パルス紫外レーザー光30の照射面積を絞り、エネルギー密度を向上させるためには、入射角を可能な限り90度に近づけることが望ましい。
具体的には、例えば基板34に対して対向する位置からアシスト用パルス紫外レーザー光30を照射可能とすることにより、基板34に対するアシスト用パルス紫外レーザー光30の入射角を約90度とすることが可能である。また、図3に示すように、アシスト用パルス紫外レーザー光30の光源(図示せず)と基板34との間に所定のパターンでスリット51が形成されたスリット板50を設けることが可能である。スリット板50を設けることにより、スリット51のパターンに則って金属酸化物を基板34上において結晶化させることが可能となる。
(実施例1)
上述した製造方法によりビスマス−鉄−チタン−マグネシウム系複合金属酸化物の薄膜を形成した構造体10、及びアシスト用パルス紫外レーザー光30を照射せずに形成した構造体100について行った金属酸化物膜の表面状態に関する比較実験の結果を示す。なお、構造体100は、アシスト用パルス紫外レーザー光30を金属酸化物の成膜時に照射しなかったこと以外は、構造体10と同様の条件により製造したものである。
蒸着時にアシスト用パルス紫外レーザー光30を照射せずに作成した構造体100の表面粗さは、RMS値が5.870nmであった。これに対し、蒸着・結晶化促進工程においてアシスト用パルス紫外レーザー光30を照射して製造された構造体10の表面粗さは、RMS値(Root Mean Square)が1.416[nm]であり、構造体100の場合の約1/4であった。
また、構造体10及び構造体100について、走査型プローブ顕微鏡(SPM)により表面状態を確認した。その結果、図4(a)に示すように、アシスト用パルス紫外レーザー光30を照射せずに形成した構造体100は、金属酸化物膜を形成する粒子が不揃いであり、穴状の部位が点在していた。これに対し、図4(b)に示すように、アシスト用パルス紫外レーザー光30を照射した構造体10は、金属酸化物膜を形成する粒子が揃っており、金属酸化物膜全体が緻密な構造であることが判明した。ビスマス−鉄−チタン−マグネシウム系複合金属酸化物において、結晶構造中に含まれる酸素欠陥に起因するリーク電流が発生すること、及び酸素欠陥が粒界が乱れているところに発生しやすいことを考慮すると、図4(a)に示す構造体100に比べて図4(b)に示す構造体10においてはリーク電流の発生を抑制できるものであると想定される。
(実施例2)
上述した製造方法によりビスマス−鉄−チタン−マグネシウム系複合金属酸化物の薄膜を形成した構造体10、及びアシスト用パルス紫外レーザー光30を照射せずに形成した構造体100について行ったX線結晶構造解析の結果を比較しつつ示す。なお、構造体100は、アシスト用パルス紫外レーザー光30を金属酸化物の成膜時に照射しなかったこと以外は、構造体10と同様の条件により製造したものである。
図5に構造体10及び構造体100を構成する金属酸化膜についてのX線回折パターンを示す。図5左側のグラフに示すように、室温において前記金属酸化物の成膜を行った場合は、蒸着時にアシスト用パルス紫外レーザー光30を照射した場合、及び照射しなかった場合のいずれについても結晶質の金属酸化物膜は得られなかった。これに対し、蒸着後の構造体10及び構造体100を400℃の雰囲気温度下において熱処理を行ったところ、図5右側のグラフに示すように、アシスト用パルス紫外レーザー光30を照射した構造体10のみ金属酸化物の結晶を示すピークが出現し、結晶化したことが確認できた。
上述した比較実験の結果、ビスマス−鉄−チタン−マグネシウム系複合金属酸化物の薄膜形成時にアシスト用パルス紫外レーザー光30を照射した場合は、金属酸化物を結晶化させるための温度を低温化させることが可能であることが判明した。
本発明は、超音波診断用の圧電素子、MEMS等の作成に好適に利用することができる。
10 構造体
20 製造装置
30 アシスト用パルス紫外レーザー光
34 基板
40 金属酸化物膜
41 結晶部(結晶性薄膜,結晶性構造体)
42 非晶質部

Claims (7)

  1. スパッタリング法による基板への金属酸化物の蒸着、及びレーザー光照射による金属酸化物の結晶化促進を同時に行う蒸着・結晶化促進工程と、
    前記蒸着・結晶化促進工程において得られた基板を所定の温度条件下においてアニールするアニール工程とを有することを特徴とする結晶性薄膜又は結晶性構造体の製造方
  2. 前記金属酸化物が、前記蒸着・結晶化促進工程において照射されるレーザー光を吸収可能な化合物であることを特徴とする請求項1に記載の結晶性薄膜又は結晶性構造体の製造方法。
  3. 前記金属酸化物が、結晶構造中に酸素欠陥を有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の結晶性薄膜又は結晶性構造体の製造方法。
  4. 前記基板に対するレーザー光の入射角が、30度〜90度の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の結晶性薄膜又は結晶性構造体の製造方法。
  5. 前記蒸着・結晶化促進工程において、レーザー光が予め規定されている結晶性薄膜又は結晶性構造体の形成パターンに則って照射されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の結晶性薄膜又は結晶性構造体の製造方法。
  6. 前記基板上に形成された非晶質の金属酸化物を溶剤により除去する非晶質部除去工程を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の結晶性薄膜又は結晶性構造体の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により金属酸化物を結晶化させたものであることを特徴とする結晶性構造体。
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Title
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