JP4364314B2 - 薄膜トランジスタの作製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【従来の技術】
本明細書で開示する発明は、絶縁表面を有する基板上に結晶性を有する珪素薄膜を形成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス基板上に形成された珪素膜を用いて薄膜トランジスタを構成する技術が知られている。このガラス基板上に形成された薄膜トランジスタは、アクティブマトリクス型の液晶表示装置やその他薄膜集積回路に利用される。現状における薄膜トランジスタとしては、プラズマCVD法でガラス基板上に形成された非晶質珪素膜(アモルファスシリコン膜)を用いたものが実用化されている。
【0003】
しかし非晶質珪素膜では、得られる薄膜トランジスタの特性が低く、さらに高い特性が求められているのが現状である。また非晶質珪素膜を用いた薄膜トランジスタでは、その特性の低さからPチャネル型の薄膜トランジスタを作製することができず(Nチャネル型に比較して著しくその特性が低く実用にならない)、CMOS回路を構成することが事実上不可能であった。従って、非晶質珪素膜を用いた場合には、薄膜トランジスタでCMOS回路を利用した構成を実現することができず、その応用上の大きな制限となっていた。
【0004】
単結晶ウエハーや石英基板を用いた場合には、1000℃以上の熱アニールが可能となるので、非晶質珪素膜を熱アニールにより結晶化させて必要とする特性を有する結晶性珪素膜を得ることが可能である。しかし、可視光線を透過しない単結晶ウエハーは液晶表示装置を構成する基板として利用することができない。また石英基板は高価であり、液晶表示装置の大面積化を計る上でコストの面から都合が悪い。
【0005】
このような状況において必要とれる技術は、ガラス基板上にプラズマCVD法や減圧熱CVD法で非晶質珪素膜を成膜し、さらに何らかの処理を行うことにより結晶性珪素膜を得る技術である。この何らかの処理としては、加熱による方法、レーザー光の照射による方法等が知られている。
【0006】
加熱による方法としては、600℃以上の温度で数十時間以上の熱処理を行うことで、非晶質珪素膜を結晶化させる方法が知られている。しかし一般に液晶表示装置の基板として、多用されるコーニング7059ガラス基板の歪点は593℃であり、600℃以上の温度雰囲気下に数十時間も曝すことは、ガラス基板の変形や縮が顕著になり、デバイスの作製に大きな影響がでてしまう。例えば、ガラス基板が変形することでマスク合わせが困難になってしまう。また液晶表示装置を構成する場合に、ガラス基板間の間隔を均一にできなくなり、表示不良が発生してしまう。このような問題は、特に大面積化を計る場合に顕著になる。そしてこのこは、他のガラス基板を用いた場合も同様な問題として認められることである。
【0007】
一方、レーザー光の照射による方法を採用した場合、ガラス基板に熱的なダメージを与えることなく非晶質珪素膜を結晶化させることができる。しかしながら、高出力で大面積のレーザー光を利用することが技術的な点、及びコストの点から困難であり、実用性が低いという問題がある。
【0008】
このような問題を解決する技術手段として、本出願人の出願による特開平6─232059号公報に記載された技術がある。この公報に記載された技術は、珪素の結晶化を助長する金属元素(例えばNi)をプラズマ処理によってガラス基板上に成膜された非晶質珪素膜の表面に接して保持させ、さらに550℃程度の加熱処理を数時間施すことにより、結晶性珪素膜を得る技術である。
【0009】
550℃、数時間の加熱処理であれば、コーニング7059ガラス基板を利用した場合であっても、基板の変形や縮はそれほど問題とならない。従って、結晶性珪素膜を利用した薄膜トランジスタを得る技術としては、極めて有用な方法といえる。この方法は、コーニング7059ガラス基板以外のガラス基板を利用する場合でも非常に有用な方法である。しかしながら、特開平6─232059号公報に記載された技術では、プラズマ処理の条件が微妙であり、その実施に当たり、必要以上の金属元素を珪素膜中に導入してしまうことが問題となる。
【0010】
例えば、最終的に珪素膜中に残留するNi元素の濃度が1×1019原子cm-3以上となった場合には、珪素膜中におけるNiシリサイド成分の影響が目立ってしまい、半導体としての特性が損なわれてしまう。この問題を解決するには、金属元素の導入量を正確に制御する手段が必要とされるが、先にも述べたように特開昭6─232059号公報に記載された技術では珪素膜中に導入される金属元素の濃度を制御することは困難である。
【0011】
〔発明に至る過程〕
上記特開平6─232059号公報に記載された技術の問題点を解決すべき技術を鋭意研究した結果、本発明者らは以下のような方法を採用するに至った。これは、珪素の結晶化を助長する金属元素(例えばNi)を含んだ溶液(例えば酢酸ニッケル塩溶液)を非晶質珪素膜の表面にスピンコート法等によって塗布し、しかる後に加熱処理を施すことにより結晶性珪素膜を得る方法である。
【0012】
この方法を採用した場合、溶液中における金属元素の濃度を調整することで最終的に珪素膜中に残留する金属元素の濃度を容易に制御することができる。この方法を実施する場合の1例を以下に示す。
【0013】
まず図2(A)に示すように、基板101として、コーニング7059ガラス基板またはコーニング1737ガラス基板を用意する。そして、その表面にスパッタ法によって下地膜102として酸化珪素膜を3000Åの厚さに成膜する。次に非晶質珪素膜103をプラズマCVD法または減圧熱CVD法で500Åの厚さに成膜する。
【0014】
さらに酸化性雰囲気中においてUV光を照射し、極薄い酸化膜201を形成する。この酸化膜201は、後に塗布される溶液の濡れ性を向上させるためのものである。この酸化膜201の厚さは数Å程度であると考えられる。
【0015】
そして図2(B)に示すようにスピナー100の上に基板を配置し、酢酸ニッケル塩溶液を塗布し水膜202を形成する。この後スピンドライを行い、非晶質珪素膜103の表面にニッケル原子が接して保持された状態を得る。酢酸ニッケル塩溶液中のニッケル原子の濃度は、得られた結晶性珪素膜中のニッケル濃度が1×1015〜1×1019原子cm-3となるように調整する必要がある。この調整は、条件出しの為の実験を行って決定すればよい。
【0016】
非晶質珪素膜103の表面にニッケル元素を接して保持させた状態において、加熱処理を行い結晶性珪素膜を得る。この加熱処理は、550℃、4時間の条件で行えば必要とする結晶性を有する結晶性珪素膜を得ることができる。こうしてガラス基板101上に結晶性珪素膜106を得ることができる。(図2(C))
【0017】
この結晶性珪素膜106を用いて薄膜トランジスタを作製することで、高い特性を有する薄膜トランジスタを得ることができる。しかしながら、本発明者らの実験によれば、得られる薄膜トランジスタは、確かに高い特性(非晶質珪素膜を用いたものに比較して数十〜数百倍の速度で動作する)を有しているが、その特性に大きなバラツキが存在することが判明している。また、その特性の劣化が激しいことも判明している。さらに作製される薄膜トランジスタのOFF電流特性が極めて悪いことも判明している。
【0018】
OFF電流とは、トランジスタがOFFの状態において、ソース/ドレイン間に流れてしまう電流のことをいう。液晶表示装置の画素電極に配置される薄膜トランジスタは、画素電極に出入りする電荷を制御するためのもので、所定の時間の間において電荷を画素電極に保持する特性が要求される。しかし、OFF電流が大きい(即ちOFF電流特性が悪い)と、画素電極に保持されるべき電荷が徐々にOFF電流として流出してしまい、必要とする時間において表示を行うことが困難になってしまう。このような状態では、表示がちらついたり不鮮明になってしまう。従って、画素電極に配置される薄膜トランジスタでは、極力OFF電流が小さいことが要求される。
【0019】
本発明者らは、このようなトランジスタとしての特性のバラツキや劣化の問題、さらにはOFF電流特性の悪さについて鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。上述した図2に示すような工程に従って作製された結晶性珪素膜を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察すると、局所的にNiシリサイドと認められる部分の偏析が観察された。そしてこの偏析が大きく、かつジャンクション部分に当たった場合に前述の様な特性の以上が発生することが判明した。
【0020】
Niシリサイドは、珪素の2p軌道とNiの3d軌道が結合して得られるが、余ったNiの3d電子が自由電子として振る舞うために金属的な挙動を示し、そこに電流のパスが発生することが上記異常の原因であると考えられる。
【0021】
しかしながら、偏析現象は結晶化に伴う本質的な問題であり、それを全くゼロにすることは原理的に無理がある。そこで偏析の量を最小限にすべく、偏析しているニッケル量の定量化及びその発生に至る経緯を詳細に検討した。そして、偏析したNi量と、核発生したNiシリサイドとの比較から、これら偏析Niの内の大部分は直接は結晶化に寄与しなかった余剰分(Niシリサイドを形成しなかった分)であることが判明した。この理由を図3を用いて説明する。
【0022】
Ni化合物501を非晶質珪素502に接して保持させた状態で加熱処理を行うと、その両者からシリサイドが生成するが、全てがシリサイドとなれる訳ではなく、非晶質珪素中に単に固溶しているNiの方が多くなる。シリサイド化したニッケルは効果的に結晶化を進め、結晶性珪素503を得るが、その際非晶質珪素膜502に拡散していってしまい結晶化に直接寄与しないニッケル504が存在するのである。この拡散したニッケル504も、ニッケルという材料の偏析係数の小ささから最終的な結晶性珪素膜中には存在できないため、シリサイドと同様に偏析することとなる。
【0023】
従って、添加したNiを全てシリサイドの生成に用いることができれば、更に少ないNi量で結晶化は可能であり、かつOFF電流に悪影響を与える様な大きな偏析を防ぐことが可能となる。
【0024】
そこで偏析を最小として、素子のバラツキを最小限とする方法について鋭意努力した結果、以下に示すような方法を発明するに至った。
【0025】
まず、Ni塩、例えば酢酸ニッケルからなる溶液を用いて非晶質珪素膜上にニッケル化合物を塗布する。この際、塗れ性改善の為に表面に極薄酸化膜を形成することは有効であるが、厚過ぎるとシリサイド形成のバリヤ─となってしまうので注意が必要である。極薄酸化膜の形成方法としては、紫外線を用いたオゾン酸化あるいはオゾン水を用いて表面のみに酸化膜を形成する方法等が制御性に優れていて望ましい。
【0026】
また、極薄酸化膜を用いない場合には、イソプロピルアルコ─ル(IPA)あるいは界面活性剤の如き材料を混合させて、非晶質珪素膜表面との濡れ性を確保することが重要である。
【0027】
そして、この状態で加熱結晶化を行う前に、熱以外のエネルギ─、代表的には低エネルギ─イオン照射あるいは、紫外線照射によって表面のニッケルと珪素を反応させ、シリサイドを形成する。
【0028】
ここで熱エネルギーを用いないのは、ニッケル元素の珪素膜中への拡散を防ぐためである。このニッケルの拡散を防ぐためには、シリサイドを形成したい非晶質珪素膜の表面のみにエネルギーを与える手段を利用すればよい。この手段として、低エネルギ─イオン照射や紫外線の照射がある。
【0029】
そしてその後硝酸等の金属Niをエッチングするがシリサイドをエッチングしないエッチャントを用いて選択的に余剰分のニッケルを除去し、結晶化に寄与するニッケルのみをシリサイドの形で残存させる。こうした処理を行った非晶質珪素膜に加熱結晶化を施すことにより、偏析Ni量の非常に少ない所望の結晶性珪素薄膜を得ることが可能となる。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
本明細書で開示する発明は、珪素の結晶化を助長する金属元素を用いた結晶性珪素膜の作製において、珪素膜中に当該金属元素が局所的に集中して存在し、素子特性に悪影響を与えてしまう状態とならない技術を提供することを課題とする。
【0031】
さらに薄膜トランジスタを構成した場合に特性のバラツキや劣化がなく、またOFF電流特性の良好なものが得られる結晶性珪素膜の作製技術を提供することを課題とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】
本明細書で開示する発明の一つは、
非晶質珪素膜に直接、あるいは間接的に結晶化を助長する金属元素からなる薄膜を接しせしめる工程と、
前記非晶質珪素膜及びそれに接して設けられた結晶化を助長する金属元素からなる薄膜に熱以外のエネルギ─を与えて前記2つの膜の界面においてシリサイドを形成せしめる工程と、
未反応の結晶化を助長する金属元素からなる薄膜をエッチングして除去する工程と、
前記非晶質珪素及びその表面に設けられたシリサイドとを同時に加熱して結晶化せしめる工程と
を有することを特徴とする。
【0033】
上記構成において、熱以外のエネルギ─を与える方法として、光エネルギーを照射する方法、振動エネルギーを与える方法、イオンを照射する方法から選ばれた一種または複数種類の方法を用いることができる。
【0034】
また、結晶化を行うための加熱と同時にレーザー光または強光の照射を行うことは有効である。また結晶化のための加熱の後にレーザー光または強光の照射を行うことは有効である。
【0035】
他の発明の構成は、
非晶質珪素膜に直接、あるいは間接的に結晶化を助長する金属元素からなる薄膜を接しせしめる工程と、
前記非晶質珪素膜及びそれに接して設けられた結晶化を助長する金属元素からなる薄膜にイオン照射を行い、前記2つの膜の界面においてシリサイドを形成せしめる工程と、
未反応の結晶化を助長する金属元素からなる薄膜をエッチングして除去する工程と、
前記非晶質珪素及びその表面に設けられたシリサイドとを同時に加熱して結晶化せしめる工程と
を有することを特徴とする。
【0036】
上記構成において、イオン照射としては、XeまたはArをイオン化したものを照射することが好ましい。特にXeを用いることが望ましい。
【0037】
他の発明の構成は、
酸化珪素膜上に形成された結晶性珪素膜の作製方法であって、
非晶質珪素膜に直接、あるいは間接的に結晶化を助長する金属元素からなる薄膜を接しせしめる工程と、
前記非晶質珪素膜及びそれに接して設けられた結晶化を助長する金属元素からなる薄膜に紫外光照射を行い、前記2つの膜の界面においてシリサイドを形成せしめる工程と、
未反応の結晶化を助長する金属元素からなる薄膜をエッチングして除去する工程と、
前記非晶質珪素及びその表面に設けられたシリサイドとを同時に加熱して結晶化せしめる工程と
を有することを特徴とする。
【0038】
上記構成において、紫外光照射として、エキシマレーザーの照射を用いることができる。
【0039】
他の発明の構成は、
非晶質珪素膜に直接、あるいは間接的に結晶化を助長する金属元素からなる薄膜を接しせしめる工程と、
前記非晶質珪素膜及びそれに接して設けられた結晶化を助長する金属元素からなる薄膜に熱以外のエネルギ─を与えて前記2つの膜の界面においてシリサイドを形成せしめる工程と、
未反応の結晶化を助長する金属元素からなる薄膜をエッチングして除去する工程と、
前記非晶質珪素及びその表面に設けられたシリサイドとを同時に加熱して結晶化せしめる工程と
を有し、
前記結晶化を助長する金属元素からなる薄膜を接しせしめる工程は、
前記金属元素を含む溶液を非晶質珪素膜上に塗布することで行い、
かつ前記溶液を塗布する際に高周波振動を与えつつ塗布を行うことを特徴とする。
【0040】
上記構成において、高周波振動を与える方法として、溶液に直接与える方法を採ることができる。これは、振動子を内蔵したノズルを用い、この振動子を振動させながら、ノズルから溶液を散布する方法である。
【0041】
また、高周波振動は、非晶質珪素膜が形成されている基板に直接あたえてもよい。また上記2つの方法を併用してもよい。
【0042】
上記高周波振動の周波数は、100KHz〜10MHz、好ましくは、500KHz〜2MHzとすればよい。
【0043】
他の発明の構成は、
酸化珪素膜上に形成された結晶性珪素膜の作製方法であって、
非晶質珪素膜に直接、あるいは間接的に結晶化を助長する金属元素からなる薄膜を接しせしめる工程と、
前記非晶質珪素膜及びそれに接して設けられた結晶化を助長する金属元素からなる薄膜にイオン照射を行い、前記2つの膜の界面においてシリサイドを形成せしめる工程と、
未反応の結晶化を助長する金属元素からなる薄膜をエッチングして除去する工程と、
前記非晶質珪素及びその表面に設けられたシリサイドとを同時に加熱して結晶化せしめる工程と
を有し、
前記結晶化を助長する金属元素からなる薄膜を接しせしめる工程は、
前記金属元素を含む溶液を非晶質珪素膜上に塗布することで行い、
かつ前記溶液を塗布する際に高周波振動を与えつつ塗布を行うことを特徴とする。
【0044】
他の発明の構成は、
酸化珪素膜上に形成された結晶性珪素膜の作製方法であって、
非晶質珪素膜に直接、あるいは間接的に結晶化を助長する金属元素からなる薄膜を接しせしめる工程と、
前記非晶質珪素膜及びそれに接して設けられた結晶化を助長する金属元素からなる薄膜に紫外光照射を行い、前記2つの膜の界面においてシリサイドを形成せしめる工程と、
未反応の結晶化を助長する金属元素からなる薄膜をエッチングして除去する工程と、
前記非晶質珪素及びその表面に設けられたシリサイドとを同時に加熱して結晶化せしめる工程と
を有し、
前記結晶化を助長する金属元素からなる薄膜を接しせしめる工程は、
前記金属元素を含む溶液を非晶質珪素膜上に塗布することで行い、
かつ前記溶液を塗布する際に高周波振動を与えつつ塗布を行うことを特徴とする。
【0045】
以上の構成において、珪素の結晶化を助長する金属元素としては、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Auから選ばれた一種または複数種類の元素が用いるととができる。特にニッケル(Ni)を用いた場合に高い再現性と効果を得ることができる。
【0046】
半導体としての特性を有している結晶性珪素膜は、例えば薄膜トランジスタの活性層を構成するので、その膜中における当該金属元素の濃度は、1×1015原子cm-3〜1×1019原子cm-3である必要がある。これは、この濃度範囲以下では、結晶化の作用が得られず、この濃度範囲以上では、半導体としての特性が失われてしまうからである。なお、本明細書中における濃度というのは、SIMS(2次イオン分析方法)で得られる最大値として定義される。
【0047】
上記構成において、金属元素を含む溶液を塗布する前に300℃〜500℃の温度で加熱処理を行い非晶質珪素膜中の水素を脱離させることは有効である。その理由としては、非晶質珪素膜は水素によって安定化されており、その水素を脱離させることにより自由エネルギ─の高い状態、即ち活性な状態とすることが可能で、結果としてシリサイド化反応をおこさせる際の活性化エネルギ─を低下させることが可能だからである。この工程によって、非晶質珪素膜中の水素濃度を0.001 〜5原子%とすることが望ましい。
【0048】
上記構成において、基板としてガラス基板を用いた場合には、加熱処理の温度を450℃以上の温度であって、かつガラス基板の歪点以下の温度で行うことが望ましい。これは、加熱処理に従う結晶化を行う温度の下限が450℃程度であり、またガラス基板の変形を防ぐためにその歪点以下の温度で加熱処理を行う必要があるからである。また、一般には、この加熱処理によって、シリサイドからのヘテロエピタキシャルの如き成長によって非晶質珪素膜は結晶化される。しかし、その加熱温度が低く(概ね500℃以下)、かつ加熱時間が短い場合には、結晶化が十分には行われないことになる。なお、このような場合は、さらに別工程で加熱を行ったり、レーザー光や強光を照射して、非晶質珪素膜の結晶化や結晶化の助長を行う必要がある。
【0049】
以下に各種金属元素を導入するために利用される溶液の種類を示す。
【0050】
まず溶媒であるが、基本的には水系の材料がその後の加熱時等における汚染の観点からは望ましいと考えられる。また、非水系溶媒では、その後比較的低温において気化蒸発してしまう材料が望ましく、そのような溶媒としては低級アルコ─ルあるいはケトン類、アルデヒド類、またはトルエンの如き材料を用いることができる。発明者らの実験の結果では、低級アルコ─ル、中でもイソプロピルアルコ─ル(IPA)が非晶質珪素表面への濡れ性及び不純物濃度の観点から優れていた。
【0051】
溶質としては基本的に触媒金属の塩であって、上記溶媒に可溶のものであれば用いることが可能である。以下にその例を挙げる。
【0052】
触媒金属としてNi(ニッケル)を用いる場合には、ニッケル化合物として、臭化ニッケル、酢酸ニッケル、蓚酸ニッケル、炭酸ニッケル、塩化ニッケル、ヨウ化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、蟻酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトネ─ト、4−シクロヘキシル酪酸ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケルから選ばれたものを用いることができる。
【0053】
触媒金属としてFe(鉄)を用いる場合には、その化合物として鉄塩として知られている材料、例えば臭化第1鉄(FeBr2 6H2 O)、臭化第2鉄(FeBr3 6H2 O)、酢酸第2鉄(Fe(C232)3xH2 O)、塩化第1鉄(FeCl2 4H2 O)、塩化第2鉄(FeCl3 6H2 O)、フッ化第2鉄(FeF3 3H2 O)、硝酸第2鉄(Fe(NO3)3 9H2 O)、リン酸第1鉄(Fe3 (PO4)2 8H2 O)、リン酸第2鉄(FePO4 2H2 O)から選ばれたものを用いることができる。
【0054】
触媒金属としてCo(コバルト)を用いる場合には、その化合物としてコバルト塩として知られている材料、例えば臭化コバルト(CoBr6H2 O)、酢酸コバルト(Co(C232)2 4H2 O)、塩化コバルト(CoCl2 6H2 O)、フッ化コバルト(CoF2 xH2 O)、硝酸コバルト(Co(No3)2 6H2 O)から選ばれたものを用いることができる。
【0055】
触媒金属としてRu(ルテニウム)を用いる場合には、その化合物としてルテニウム塩として知られている材料、例えば塩化ルテニウム(RuCl32 O)を用いることができる。
【0056】
触媒金属してRh(ロジウム)を用いる場合には、その化合物としてロジウム塩として知られている材料、例えば塩化ロジウム(RhCl3 3H2 O)を用いることができる。
【0057】
触媒金属としてPd(パラジウム)を用いる場合には、その化合物としてパラジウム塩として知られている材料、例えば塩化パラジウム(PdCl2 2H2 O)を用いることができる。
【0058】
触媒金属としてOs(オスミウム)を用いる場合には、その化合物としてオスニウム塩として知られている材料、例えば塩化オスミウム(OsCl3 )を用いることができる。
【0059】
触媒金属としてIr(イリジウム)を用いる場合には、その化合物としてイリジウム塩として知られている材料、例えば三塩化イリジウム(IrCl3 3H2 O)、四塩化イリジウム(IrCl4 )から選ばれた材料を用いることができる。
【0060】
触媒金属としてPt(白金)を用いる場合には、その化合物として白金塩として知られている材料、例えば塩化第二白金(PtCl4 5H2 O)を用いることができる。
【0061】
触媒金属としてCu(銅)を用いる場合には、その化合物として酢酸第二銅(Cu(CH3 COO)2 )、塩化第二銅(CuCl2 2H2 O)、硝酸第二銅(Cu(NO3)2 3H2 O)から選ばれた材料を用いることができる。
【0062】
触媒金属として金を用いる場合には、その化合物として三塩化金(AuCl3 xH2 O)、塩化金塩(AuHCl4 4H2 O)、から選ばれた材料を用いることができる。
【0063】
また、溶媒として水溶液の如き極性溶媒を用いた場合、界面活性剤を添加することは有効である。ただしスピン乾燥後に界面活性剤が残存し、そのまま真空チャンバ─あるいは拡散炉等に投入された場合、これらの材料中の炭素等がコンタミの原因になる恐れがあるため、これらを取り除く前処理例えばアッシングを行うか、あるいは比較的低温で気化蒸発する界面活性剤を選択するかが望ましい。下記の〔表1〕〜〔表3〕に本明細書で開示する発明において利用することができる界面活性剤の一例を示す。これらは一般的に界面活性剤と呼ばれている材料であるが、これ以外にも界面の濡れ性を改善できる材料、例えば酢酸等も同様に使用できる。
【0064】
【表1】
Figure 0004364314
【0065】
【表2】
Figure 0004364314
【0066】
【表3】
Figure 0004364314
【0067】
これら溶媒、溶質及び必要に応じて界面活性剤を添加した溶液(以下溶液と省略)を用いて、非晶質珪素膜上に金属を添加する場合、以下の点に注意が必要である。
【0068】
まず、完全に溶解していることが重要である。これが単に分散している場合、非晶質珪素膜表面にこれらが特異吸着し、その部分の特性を劣化させる可能性があるからである。
【0069】
また、非晶質珪素膜表面に異物等が存在する場合、そこだけ吸着が増加、あるいは低下し、ばらつきの原因となるため、均質な表面を形成しておくことが重要である。
【0070】
また、塗布時に均一な塗布を行わせるためには、基板に超音波領域の振動を与える、あるいは塗布液自身に超音波を重ねることは有用であった。また、その振動数は吸着させたいイオン種の大きさを鑑みて決められるものであるが、おおよそ100KHz〜10MHz、一般的には1〜5MHz程度の通常メガソニックとよばれている領域が望ましい。
【0071】
次に、上記材料を用いて金属を非晶質珪素膜上に塗布、乾燥後に、これら金属の拡散を行わせずにシリサイドを形成する技術に関し、説明を加える。この工程においては、金属の拡散を起こさせずにシリサイド層を形成する技術が重要となる。
【0072】
まずは低エネルギ─イオン照射によって行う例を示す。本発明で使用した装置の模式図を図4に示す。まず装置は大きく分けて、処理室301とロ─ドアンロ─ド室302とからなり、間がゲ─トバルブ303で仕切られたマルチチャンバ─の構成となっている。また、図示はしていないが、それぞれ高真空まで真空引き可能な構成となっている。基板304は、真空中で搬送ロボット(図示せず)により処理室301に枚葉に搬送される。そして所定の真空度まで到達後、アルゴン(Ar)あるいはキセノン(Xe)を導入し、RF電源307からの高周波によりプラズマを発生させる。この際の圧力は0.1〜100Pa例えば20Paにおいて行う。この状態で、上部電極305と下部電極308の間にDCバイアスを印加し、加速したイオンを基板表面に衝突させ、そのエネルギ─でシリサイドの形成を行う。また、306がコイルであり、プラズマの拡散を防ぐための磁場を発生する。このシリサイドの形成過程を図5を用いて説明する。
【0073】
まず図5(a)において、金属化合物501(ここではニッケル化合物とする)が非晶質珪素膜502に接した状態において、低エネルギ─イオン照射(ここではキセノンを用いた例)を行う。そして有効なエネルギ─を持ったキセノンイオン505が基板表面に到達するとそこでイオンのエネルギ─をもらったニッケル化合物が非晶質珪素と反応してニッケルシリサイド506を形成する。このでキセノン(Xe)を用いる理由は、珪素に比較して原子半径が大きく、非晶質珪素膜の表面において、それだけエネルギーを与えやすいからである。この意味で、ArよりXeを用いた方がより好ましい。またKrを用いることも考えられる。(図5(b))
【0074】
このとき全てがシリサイド化できるとは限らず、ニッケル化合物として残存するもの508も存在する。また、図にはキセノンイオン505が衝突した場合、その場でシリサイド化が起こる様に示されているが、当然表面におけるマイグレ─ションも発生する。
【0075】
加速電圧としては1〜1000V、例えば100V程度を用いる。これは非晶質珪素膜表面に極薄酸化膜が存在するか等の条件で変化し、絶対的なものではない。ただし、必要以上に大きなエネルギ─を与えることは、非晶質珪素膜表面にダメ─ジを与えるため注意が必要である。また上記イオン照射は数分程度の処理で十分な効果がある。
【0076】
図4に示した装置は、発明者らが用いた物であり、それ以外の構成でも可能であることは言うまでもない。また、チャンバ─外壁からの金属汚染があった場合、その濃度が添加している結晶化のための金属濃度を上回ってしまう。従って、石英ベルジャ─を用いた誘導結合型のプラズマを用いることは望ましい。
【0077】
次に、紫外光照射でシリサイドを形成する方法について説明する。この方法は、前記低エネルギ─照射の様な高真空設備を必要としないというメリットを有する。
【0078】
紫外光光源としては、一般的な高圧水銀ランプ等を用いる方法でも良い。雰囲気は不活性雰囲気、あるいは設備が許せば真空において行うことが望ましい。酸化雰囲気において行っても良いが、添加した金属の酸化が起こる可能性があり、前述の様に不活性雰囲気あるいは真空中が望ましい。
【0079】
照射する波長は、反応を表面だけに限定したいという観点から、可能な限り短波長が望ましい(吸収係数及びエネルギ─の関係より)。これは、金属の拡散を防ぎ、表面のみにおいて反応を進行させるためである。
【0080】
そして、短波長の紫外光を照射できる理想的なものとして、エキシマレ─ザ─を挙げることができる。本発明において、従来の技術でレ─ザ─技術がまだ未成熟であることを示したが、それは結晶化工程、即ちエネルギ─密度として凡そ200mJ/cm2 以上必要とするプロセスにおいての話であり、今回の様に低エネルギ─(200mJ/cm2 以下、条件にもよるが下は100mJ/cm2 以下でも可能である)の場合には十分有効である。また、その波長から考えると、最も望ましいのは短波長であるArFエキシマレ─ザ─であり、以下、KrF、XeCl等が続く。
【0081】
ここでは、結晶化用に開発したKrFエキシマ線状ビ─ムレ─ザ─を用いた例を図6を用いて示す。
【0082】
基板601上には非晶質珪素膜602成膜されており、その上に図では示していないがニッケル化合物が塗布されている。ここに低エネルギ─(結晶化に必要なエネルギ─に比較しての意味)のKrFエキシマレ─ザ─光603を照射する。このレーザー光603は、光学系により線状にビーム加工されており、照射と同時にステ─ジ604を移動させることによって、非晶質珪素膜302の表面全体にレーザー光を照射することができる。
【0083】
このような構成とすることにより、用意に全面に表面でのシリサイド化反応を起こさせることが可能となる。このようにエキシマレ─ザ─を用いた場合の注意点は2つある。一つは前述の様にレ─ザ─パワ─をあまり上げないことであり、できるだけ最表面における反応に留め、内部まで加熱させないことが当該金属元素の拡散を防ぐ意味で重要である。
【0084】
もう一つは、基板加熱を行わないことである。これは、当該金属元素の拡散を防ぐ意味で非常に重要な技術となる。
【0085】
上述のプロセスまでで、非晶質珪素膜の表面に金属のシリサイドを前記金属の不必要な拡散なしに形成することが可能となる。次に、図5(C)に示すように不要な金属部分を選択的にエッチングして、シリサイドのみを残す。
【0086】
一概にシリサイドといっても、何によってエッチングされるかは金属の種類によって異なる。例えば、最も効果が高いニッケルシリサイドにおいては、HFを含む溶液以外ではエッチングされない為、金属ニッケルのみをエッチングするエッチャントとしては塩酸、硝酸の如きエッチャントが使用できる。これがパラジウムを用いた場合には、シリサイドも硝酸に可溶であるため、選択エッチャントとして使用できない。このように選択する金属によって異なるが、概ね塩酸系あるいは硝酸系のエッチャントを用いてエッチングすることにより、金属成分のみをエッチングすることが可能である。また、これらの選択エッチャントは、同時にガラスをもエッチングする傾向が強いため、スピンエッチング(膜面を上にして回転させながら上部よりエッチング液を塗出、エッチングする方法)によってガラス基板にエッチャントが触れない構成とすることが望ましい。
【0087】
次に表面にシリサイドが形成された非晶質珪素膜を加熱して結晶化せしめる。これは図5(d)に対応し、シリサイド506を核として結晶性珪素507が得られる。ただし、金属部分を選択的にエッチングしなかったものに比較すると、選択エッチングを施したものは若干結晶成長が遅い傾向が観測された。これは、残存した金属成分がその後ある程度はシリサイド化して結晶成長に寄与したか、あるいは拡散した金属成分は何らかの触媒的な効果をもっているためであると推測される。
【0088】
しかしながら、本発明のように選択的にエッチングをした場合でも、ガラスの歪点以下、例えばガラスとしてコ─ニングの7059ガラスを用いた場合、550℃程度の温度であっても、4時間程で十分に結晶化せしめることが可能である。また、必要に応じてこのように結晶化せしめた結晶性珪素膜にレ─ザ─光を照射して、結晶性を向上させることは有効である。また、レーザー光の照射の後にさらに加熱処理を加えろ、膜中の欠陥を減少させることができる。
【0089】
加熱処理による結晶化の終了後びレーザー光の照射は、前述の紫外光照射に用いたエキシマレ─ザ─を用いればよい。この場合、予め結晶化している珪素膜にレ─ザ─を照射することになるため、レ─ザ─パワ─の不安定性の影響があまり現れず、均一性の高い結晶性珪素膜を得ることが可能となる。
【0090】
【作用】
珪素の結晶化を助長する金属元素を用いて非晶質珪素膜を結晶化せしめる方法において、非晶質珪素膜の表面およびその近傍において、当該金属元素のシリサイドを形成し、この際、非晶質珪素膜中に当該金属元素が拡散しないようにすることによって、添加した金属を全てを結晶化に寄与せしめることが可能となり、その結果従来よりも少ない量で同程度の低温結晶化の効果を得ることができる。
【0091】
特に、当該金属元素と非晶質珪素膜とのシリサイド層を形成する際に、熱ネネルギーを用いずに、光エネルギーを利用することにより、当該金属元素の拡散を抑制することができる。
【0092】
そして、素子特性に悪影響を及ぼす偏析したシリサイドの頻度及びそのサイズを飛躍的に低下させることが可能となり、基板内のバラツキを激減させることが可能となる。例を示すと、本発明人による特願平H05−294633及びそれに付随する技術を用いた場合に観測される偏析したシリサイドの大きさは概ね〜数百Å程度の粒径を持つのに対し、それよりも平均して一桁小さな数Å〜数十Åの偏析に留めることが可能となる。この位のサイズの場合、それが仮に薄膜トランジスタのジャンクション部分にあったとしても、素子サイズが数μmル─ルの場合には全く問題とならない。
【0093】
【実施例】
〔実施例1〕
ここでは本明細書で開示する発明を用いた結晶性珪素膜の作製方法の基本的なものを示す。図1を用いて本実施例の各工程を説明する。まずガラス基板101としてコーニング7059ガラス基板またはコーニング1737ガラス基板を用意する。そしてこのガラス基板101上に下地膜102として酸化珪素膜をスパッタ法またはTEOSガスを用いたプラズマCVD法で3000Åの厚さに成膜する。この下地の酸化珪素膜102は、シランガスと酸素ガスを用いた熱CVD法を用いて成膜してもよい。この酸化珪素膜は、ガラス基板101から不純物が拡散しないようにするためのバリア層としても機能する。またガラス基板101と珪素膜との間に働く応力を緩和する機能も有する。
【0094】
次にプラズマCVD法または減圧熱CVD法により、非晶質珪素膜103を必要とする厚さに成膜する。ここでは、500Åの厚さに成膜する。こうして図1(A)に示す状態を得る。この状態においては、非晶質珪素膜103の表面は露出しているので、その表面には自然酸化膜が形成されている。
【0095】
次に、後の工程において均一な結晶化を促進させるために、非晶質珪素膜の結晶化が顕著になる温度より、低い温度で加熱処理を加え、膜中の水素を出来うるだけ脱離させる。この温度は、概ね500℃以下の温度、好ましくは、300℃〜500℃、さらに好ましくは450℃〜500℃の温度とする。加熱時間は1時間程度とすればよい。この加熱処理により、膜中の水素が離脱し、珪素の不対結合手が多量に存在した状態とすることができる。このような状態は、結晶化のための活性化エネルギーが低くなった状態であり、また均一な結晶状態が進行し易い状態である。なお、この加熱処理工程は不活性雰囲気中において行うことが望ましい。
【0096】
さらに非晶質珪素膜の表面に形成された自然酸化膜をバッファーフッ酸によって除去する。
【0097】
ここでニッケル酢酸塩溶液に界面活性剤を加えたものを用意する。この溶液は、ニッケル元素を重量換算で10ppm含有したニッケル酢酸塩溶液中に界面活性剤を1wt%添加したものである。
【0098】
ここで、図1(A)に示す状態の試料をスピナー100に乗せ、上記溶液を塗布する。この状態で溶液の水膜401が形成される。そしてスピナーを回転させ、余分な溶液を飛ばす。この際、界面活性剤の作用により、酸化膜が除去された非晶質珪素膜の表面にニッケル元素が一様に分散される。こうして、ニッケル元素が非晶質珪素膜103の表面に一様に分散して接した状態が得られる。
【0099】
この後、図4に示された低エネルギ─イオン照射装置を用いて、表面にキセノンイオンを照射し、ニッケルのシリサイド化を行う。条件は、圧力15Pa、加速電圧150V、プラズマ励起周波数100MHzとする。処理時間は10分間とする。この上程でNiシリサイド層109が形成される。
【0100】
次に、スピンエッチング装置(図示せず)を用いて、0.1 N(0.1 mol /l)硝酸溶液で3分間のスピンエッチングを行う。このスピンエッチングによって、シリサイド化しなかったNi成分を除去する。エッチング後は十分に水洗を行い、振り切り乾燥後、縦型炉による加熱結晶化を行う。
【0101】
ここで、ガラス基板101がコーニング7059ガラスである場合には、結晶化温度は550℃程度とする。この際の加熱時間は4時間とすればよい。この結果、全面結晶化が可能となる。また、同1737ガラスの場合には、600℃程度で2時間程度の加熱で十分に結晶化が可能である。この工程においては、シリサイド層109から105で示されるような結晶化が進行する。
【0102】
次に、バッファフッ酸を用いたウエットエッチングにより、結晶性珪素膜の表面のシリサイド層109を取り除く。この層109は、結晶性珪素膜103と外部が接する領域という意味で粒界と同様にシリサイドあるいは金属ニッケルの偏析サイトとなる。その為これを取り除くことによって、ニッケルシリサイドの影響を極力排除した結晶性珪素膜を得ることができる。(図1(C))
【0103】
さらにレーザー光の照射を行い、珪素膜103の結晶化を助長させる。この際、試料を450℃〜基板の歪点以下の温度に加熱することは有効である。この加熱は、赤外線による方法や基板ステージに内蔵されたヒーターによって行えばよい。
【0104】
〔実施例2〕
ここでは本明細書で開示する発明を用いた結晶性珪素膜の作製方法の基本的なももう一つの方法を示す。ここで、非晶質珪素膜の成膜までは実施例1と同様であるために割愛する。
【0105】
ここでニッケル酢酸塩水溶液とIPAを容量比で50:50とした溶液を用いてニッケルを表面に添加する。溶液中のニッケル濃度は、実施例1と同様にニッケル元素を重量換算で10ppm含有とする。
【0106】
ここで、図1(A)に示す状態の試料をスピナー100に乗せ、上記溶液を塗布する。この状態で溶液の水膜401が形成される。そしてスピナーを回転させ、余分な溶液を飛ばす。IPAを用いた場合には、保持時間が長過ぎるとIPA成分の揮発による溶液濃度の濃縮が起こるため注意が必要である。こうしてニッケル元素が非晶質珪素膜103の表面に一様に分散して接した状態が得られる。
【0107】
この後、図6に示されたエキシマレ─ザ─アニ─ル装置を用いて、表面にKrFエキシマレ─ザ─を照射してニッケルのシリサイド化を行う。条件は、大気雰囲気、レ─ザ─パワ─150mJ/cm2 、基板温度室温で行った。この際に、KrFの248nmの波長は非晶質珪素において表面で吸収され、その部分のみのシリサイド化が起こる。
【0108】
次に、スピンエッチング装置(図示せず)を用いて、0.1N硝酸溶液で3分間のスピンエッチングを行う。エッチング後は十分に水洗を行い、振り切り乾燥後、縦型炉による加熱結晶化を行った。
この後の工程は実施例1とほぼ同様であるが、結晶化の直前に水素出し工程を入れたところが若干異なる。
結果として、実施例1と同様に偏析の非常に少ない結晶性珪素薄膜を得ることができる。
【0109】
〔実施例3〕
実施例3は、実施例2においてニッケル溶液の塗布工程においてメガソニックを用いる例である。周波数としては1.3MHzを用い、塗布する水溶液/IPAに超音波を重ねることによって、塗布される溶液に直接高周波振動を与える。
【0110】
具体的には、振動子を内蔵したノズルを用いて溶液を塗布する際に、振動子を高周波で振動させることによって、塗布される溶液に高周波振動を与える。
【0111】
得られる珪素薄膜は実施例2と同様に偏析の少ない(小さい)良質なものとなる。尚、今回の主たる発明であるシリサイドのみを残して結晶化させるという構成でも、それだけで十分な効果を有するが、本実施例の方法を併用することにより、特に異常に大きな偏析(はじめから巨大金属粒であった可能性もある)を防止することができる。
【0112】
〔実施例4〕
本実施例は、実施例2に示した方法で得られた結晶性珪素膜を用いてNチャネル型の薄膜トランジスタを作製する例を示す。図7に本実施例で示す薄膜トランジスタの作製工程を示す。まず、図7(A)に示すように、実施例2に示した方法により、ガラス基板101上に結晶性珪素膜106を形成する。102は下地膜として機能する厚さ3000Åの酸化珪素膜である。
【0113】
図7(A)に示す状態を得たら、結晶性珪素膜106をパターニングして、薄膜トランジスタの活性層501を得る。さらにゲイト絶縁膜502をスパッタ法により1000Åの厚さに成膜する。さらにアルミニウムを主成分とする膜を6000Åの厚さに電子ビーム蒸着法で成膜し、パターニングを施すことにより、ゲイト電極503を形成する。ゲイト電極503を形成したら、このゲイト電極を陽極として電解溶液中において陽極酸化を行い、酸化物層504を形成する。この酸化物層は2000Å程度の厚さに成長させる。こうして図7(B)に示す状態を得る。
【0114】
さらにP(リン)イオンをイオン注入法またはプラズマドーピング法で加速注入する。この工程においては、ゲイト電極503とその周囲の酸化物層504とがマスクとなり、Pイオンの注入が行われる。こうして、ソース領域505、オフセットゲイト領域506、チャネル形成領域507、ソース領域508が自己整合的に形成される。(図7(C))
【0115】
図7(C)に示す状態を得たら、層間絶縁膜509として酸化珪素膜を6000Åの厚さにプラズマCVD法で成膜する。さらにコンタクトホールの形成を行った後、チタンとアルミニウムとの積層体でなるソース電極510とドレイン電極511とを形成する。最後に350℃の水素雰囲気中で加熱処理を施すことにより、図7(D)に示すような薄膜トランジスタを完成させる。
【0116】
〔実施例5〕
本実施例は、Nチャネル型の薄膜トランジスタにおいて、チャネル形成領域にB(ボロン)イオンをドーピングし、Vth(しきい値電圧)を制御した薄膜トランジスタの構成に関する。Nチャネル型の薄膜トランジスタのVthを制御するには、チャネル形成領域にBイオンをプラズマドーピング法またはイオン注入法により、1×1015〜1×1018原子cm-3の濃度となるように加速注入すればよい。
【0117】
【発明の効果】
本明細書に開示する技術を用いることで、珪素の結晶化を助長する金属元素を用いた結晶性珪素膜の作製において、珪素膜中に当該金属元素が局所的に集中して存在してまう問題を解決することができる。
【0118】
また、薄膜トランジスタを構成した場合に特性のバラツキや劣化がなく、またOFF電流特性の良好なものが得られる結晶性珪素膜を得ることができる。
【0119】
また、特性のバラツキや劣化がなく、またOFF電流特性の良好な薄膜トランジスタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 結晶化が行われる状態を示す図。
【図2】 ニッケル酢酸塩溶液を用いて非晶質珪素膜を結晶化させる工程を示す図。
【図3】 結晶化の進行状況を示す図
【図4】 イオン照射を行う装置を示す図。
【図5】 イオン照射を用いてシリサイドを形成する工程を示す図。
【図6】 レーザー光の照射によりシリサイドを形成する工程を示す図。
【図7】 実施例の薄膜トランジスタの作製工程を示す図。
【符号の説明】
100 スピナー
101 ガラス基板
102 下地膜(酸化珪素膜)
103 珪素膜
401 ニッケル酢酸塩溶液の水膜
109 ニッケルシリサイド層
201 酸化膜
106 結晶性珪素膜
501 Ni化合物
502 非晶質珪素
503 結晶性珪素503
504 拡散するニッケル元素
301 処理室
302 ロ─ドアンロ─ド室
303 ゲートバルブ
304 基板
305 上部電極
308 下部電極
306 コイル
307 RF電源
505 キセノンイオン
506 ニッケルシリサイド
508 残存したニッケル化合物
507 結晶性珪素
601 基板
602 非晶質珪素膜
603 KrFエキシマレ─ザ─光
604 ステ─ジ
501 活性層
502 ゲイト絶縁膜(酸化珪素膜)
503 アルミニウムを主成分とするゲイト電極
504 陽極酸化物層
505 ソース領域
506 オフセットゲイト領域
507 チャネル形成領域
508 ドレイン領域
509 層間絶縁膜(酸化珪素膜)
510 ソース電極
511 ドレイン電極

Claims (3)

  1. 少なくともチャネル形成領域と、ソース領域と、ドレイン領域と、を有する活性層を有する薄膜トランジスタの作製方法であって、
    非晶質珪素膜に直接あるいは間接的に結晶化を助長する金属元素が一様に分散して接するように、前記金属元素を有する薄膜を塗布法により形成し、
    前記非晶質珪素膜及び前記薄膜にイオン照射を行うことによって、前記非晶質珪素膜の表面のみにエネルギーを与え、前記非晶質珪素膜及び前記薄膜の界面において一様に分散したシリサイドを形成し、
    前記薄膜のシリサイド化しなかった部分をエッチングして除去し、
    前記非晶質珪素膜と前記シリサイドとを同時に加熱することで結晶性珪素膜を形成し、
    前記結晶性珪素膜をパターニングすることにより活性層を形成し、
    前記活性層上にゲイト絶縁膜を形成し、
    前記ゲイト絶縁膜上及び前記チャネル形成領域の上方にゲイト電極を形成し、
    前記イオン照射は、XeイオンまたはArイオンを照射することを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
  2. 請求項1において、
    前記結晶化を助長する金属元素として、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、CuまたはAuから選ばれた一種または複数種の元素を用いることを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記加熱と同時または前記加熱の後に、レーザー光または強光の照射を行うことを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
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