JP4224665B2 - 薄膜を結晶化させる処理方法 - Google Patents

薄膜を結晶化させる処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、基板上に形成された薄膜を結晶化させる処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラスやプラスチック等の基板は、時計等の各種の日用品に用いられるところであるが、一定の物理的な強度を求められることがある。即ち、時計の例であれば、その窓に用いられるガラスの基板は耐擦傷性等が高く強度の高いことが望ましい。かかるガラスの基板について、特殊な材質のガラスを用いると、強度を高めることはできるが、コスト高となる。
【0003】
そこで、ガラスやプラスチック等を基板として用いる場合において、その強度を高めたい場合、基板上に金属材等からなる薄膜を形成することがある。即ち、かかる薄膜を表面に形成することにより、基板を保護して強度を高め得るからである。そして、前記薄膜について、その組成が結晶質にされていると、より強度を高めることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、薄膜を結晶化させたい場合、従来においては、一般的に加熱炉によって数百度程度に加熱する処理が行われていた。しかし、かかる加熱炉によって処理したのでは、少なくとも数時間以上の処理時間を要し、結晶化させるまでに多くの時間を要していた。
【0005】
また、加熱炉による加熱によって結晶化させようとすると、薄膜がその上に形成される基板も含めて加熱炉中に設置しなければならないため、基板が溶けたり変形される等、基板が損傷を受けることがあった。そのため、薄膜部分を結晶化させ得たとしても、基板の損傷により商品として使いものにならなくなることがあった。
【0006】
そこで、本発明は、薄膜を結晶化させるにあたり、基板が損傷を受けることなく、かつ短時間の処理により結晶化させることができる、薄膜を結晶化させる処理方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、基板を保護する強固な膜を形成するために、基板上に形成された薄膜を結晶化させる処理方法であって、非晶質の状態にある前記薄膜に吸収率が90%以上である吸収域にある波長の光を照射することにより、該照射された領域を結晶質の状態に変化させる処理を行い、前記レーザ光を薄膜に照射するにあたって、該レーザ光を平行ビームとし、該平行ビームのビームスポットと同じサイズに形成されたスリットを有するマスクをとおしてレーザ光を照射するようになっており、該スリットの長手方向がX軸方向であり、該マスクの広がり面内でX軸方向に直行する方向がY軸方向であるときに、該マスクをY軸方向に振動させた状態で、前記平行ビームが該スリットを通過することにより、該平行ビームの外縁近傍における平行ビームの外縁とビームの中心側との間のレーザ光の強度の変化を緩和させる方法である
【0008】
これにより、本発明の処理方法によると、薄膜に対して上記吸収域にある波長の光を照射して結晶化させることができるので、前記光の照射を短時間行うことによって処理を完了させることができる。しかも、光源としてレーザ光を用いると、レーザ光は単位面積あたりのエネルギー密度の高いものを得やすい上、光の強度や導光等の制御を行い易いので、本発明にかかる処理を行うにあたり光源に対する条件の調整が容易となる。さらに、前記マスクを用いて前記平行ビームの外縁近傍におけるレーザ光の強度の変化を緩和させることによって、薄膜上のレーザ光を照射されビームスポットに晒された部分とレーザ光を照射されずビームスポットに晒されていない部分との境界部分即ちビームスポットの境界部分について、レーザ光の強度の変化を緩和させることができる。これにより、前記ビームスポットの境界部分において薄膜が損傷を受けることを防ぐことができる。
【0009】
これにより、結晶化させる処理を短時間内で能率良く行うことができる。また、処理される薄膜が形成される基板に対する影響が少なく、該基板が溶融されたり変形される等の損傷を受けることを防ぐことができる。
【0010】
そして、本発明にかかる薄膜を結晶化させる処理を行うにあたり、前記非晶質の状態にある薄膜に照射される光の波長を150nm以上200nm以下の範囲とすることができる。薄膜に照射する光の波長を上記範囲とすることにより、薄膜による光の吸収をより確実とすることができる。
【0012】
また、前記薄膜に照射されるレーザ光を150nm以上200nm以下の波長とし、該波長のレーザ光をエキシマレーザ光とすることができる。
【0013】
これにより、本発明の処理を行うにあたり薄膜による光の吸収をより確実とできるとともに、該光を薄膜に照射するための条件の調整を容易とすることもできる。
【0014】
前記エキシマレーザ光について、ArF又はKrFを増幅媒質とするレーザ光を用いることができる。ArF又はKrFを増幅媒質とするレーザ光を用いると、レーザ光をパルス状で照射する場合、パルス周波数を可変とすることができ、1パルス当たりのエネルギーを可変とすることができるので、本発明の処理を行うにあたり、レーザ光を照射する条件の調整を容易にできる。
【0017】
また、前記処理の対象となる薄膜を金属酸化物により形成することができる。薄膜を金属酸化物により形成することにより、基板を保護するための強固な膜を得ることができる。このとき、前記薄膜が厚さ1〜10μmの範囲で形成されることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図1乃至図8に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施に用いることができる処理装置の概略を示す図である。図1において、5は試料テーブルであり、4はレーザ発振器である。1は本発明にかかる処理の対象となる試料である。この図1において、左右方向をX軸方向とし、紙面に垂直な方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。
【0020】
試料1は、ガラス基板3と、基板3の上に形成された薄膜2とによって形成されている。基板3は、時計用の窓ガラスに用いられるガラス基板であり、略円形状をなしている。
【0021】
薄膜部分2は厚さ1〜10μmの範囲で形成されている。この薄膜部分2は、以下に説明する本発明による処理が行われる前には非晶質の状態にあり、本発明の処理によって結晶質の状態に変化される。
【0022】
薄膜2について、金属酸化物により形成することができる。金属酸化物によると強度の高いものを得ることができ、金属酸化物により形成された薄膜2により基板3の保護膜とすることができる。
【0023】
また、薄膜2を金属酸化物により形成するにあたり、酸化アルミニウム(Al23)や酸化チタン(TiO2)により形成することができる。酸化アルミニウムや酸化チタンにより薄膜2を形成すると、基板3に対する強固な保護膜を形成することができる。
【0024】
試料テーブル5は、試料1を固定して支持するためのものであり、レーザ発振器4より出力されたレーザ光を試料1に照射するにあたり、試料1上の所定の位置に位置決めできるようにされている。
【0025】
また、試料テーブル5は、試料1をY軸方向に沿って走査できるようにされている。そして、試料テーブル5は、試料1を走査させる速度について、任意の速度で走査できるようにされている。これにより、試料1をY軸方向に走査し、後に説明するように、試料1の表面に沿ってレーザ光8を相対的に走査できるようにされている。
【0026】
レーザ発振器4は、試料を処理するためのレーザ光を出力する光源であり、平行ビームとされたレーザ光7をZ軸方向に沿って出力する。このレーザ発振器4は、処理される前の薄膜2による吸収率が90%以上の吸収率を示す吸収域にある波長のレーザ光を出力する。
【0027】
レーザ発振器4より出力されたレーザ光7は、シリンドリカルレンズ11を通してビームのスポットが絞られた平行ビーム8とされて試料1に照射される。即ち、レーザ光7は、シリンドリカルレンズ11によってビームスポットが絞られ、単位面積あたりのレーザ光のエネルギー密度が高められた平行ビーム8とされて試料1に照射される。これにより、レーザ発振器4の出力に制約がある場合でも、所要のエネルギー密度として試料1に照射することができる。
【0028】
なお、シリンドリカルレンズ11によりレーザ光が吸収されることに伴う損失は、約1%未満であり殆ど無視しうる範囲内である。
【0029】
試料1に照射されるべきレーザ光のエネルギー密度に関して、試料1面上において、少なくとも1秒あたり1.0×104J/m2以上供給できることが必要である。また、薄膜2をより確実に結晶化させるためには、エネルギー密度が1.5×104J/m2以上2.0×104J/m2程度であることが望ましい。また、試料1への必要以上のエネルギーの供給を防ぐ観点から、エネルギー密度の上限として5.0×104J/m2以下程度とすることが望ましい。
【0030】
また、レーザ発振器4として、150nm以上200nm以下の波長の光を出力できるものを用いるのが望ましい。かかる波長の範囲の光を照射すると、非晶質からなる薄膜2による吸収率を90%以上とできるからである。そして、レーザ発振器4について、エキシマレーザ装置を用いるのが望ましい。かかるエキシマレーザ装置によると、150nm以上200nm以下の範囲にある波長のレーザ光を得るのが容易だからである。
【0031】
レーザ発振器4としてエキシマレーザ装置を用いるにあたり、各種の増幅媒質を用いることができる。即ち、レーザ発振器4には、150nm以上200nm以下の範囲にある波長の光を出力できるのであれば、増幅媒質として希ガスハライド系(ArF,ArCl,KrF,KrCl,XeBr,XeCl,XeF,Kr2F,Xe2Cl)、単一希ガス系(Xe2,Kr2,Ar2)、希ガス酸素系(ArO,KrO,XeO)、水銀ハライド系(HgCl,HgBr,HgI)等を用いることができる。
【0032】
レーザ発振器4に上記エキシマレーザ装置を用いる場合、特にArF,KrFを増幅媒質とするものを用いるのが望ましい。これにより、レーザ光をパルス状に照射する場合、パルス周波数を可変とすることができ、1パルス当たりのエネルギーを可変とすることができるので、本発明の処理を行うにあたり、レーザ光を照射する条件の調整を容易にできる。
【0033】
図2は、試料1にレーザ光を照射して薄膜部分2を結晶化させる処理を行う様子を示す図である。レーザ発振器4より出力されたレーザ光7のビームスポットB7は、図2に示されるように、スリット状とされている。レーザ光7のビームスポットB7は、X軸方向にw1のサイズを有し、Y軸方向にw2のサイズを有している。
【0034】
そして、ビームスポットB7を有するレーザ光7がシリンドリカルレンズ11を通ることにより、ビームスポットB8を有するレーザ光8とされる。ビームスポットB8は、X軸方向についてはB7と同様にw1のサイズを有し、Y軸方向にw3(<w2)のサイズを有している。これにより、ビームスポットB8はB7より小面積となっている。
【0035】
図3は、前記レーザ光7のビームスポットB7及びレーザ光8のビームスポットB8における、Y軸方向に沿った強度の分布を示す図である。図3(a)はレーザ光7の強度分布を表しており、図3(b)はレーザ光8の強度分布を表している。図3において、横軸はY軸に対応しており、縦軸はレーザ光の強度Iに対応している。レーザ光8は、そのビームスポットB8がビームスポットB7より小面積とされており、エネルギー密度がレーザ光7より大きくなっている。
【0036】
そして、レーザ光8を照射しつつ、図2において記号M1で示されるように、試料テーブル5を移動させることによって試料1をY軸方向に走査する。これにより、試料1の表面に対してレーザ光8のビームスポットB8を相対的にY軸方向に沿って順次に走査させることができ、薄膜部分2の全体にわたってレーザ光8を順次に照射することができる。これにより、レーザ光8により、薄膜部分2を処理することができる。
【0037】
試料テーブル5により試料1を移動させる条件について、即ちレーザ光8のビームスポットB8を試料1に対してY軸方向へ相対的に走査する条件について、薄膜部分2におけるビームスポットB8に晒される部分を結晶質に変化させるために十分なエネルギーを供給できるように考慮される。
【0038】
即ち、薄膜2上の一つの位置でビームスポットB8によりレーザ光を照射する時間や、次に処理を行うべき位置へビームスポットB8を走査して位置決めするためのビームスポットB8を相対的に走査させる距離及び走査速度等について、ビームスポットB8に晒される部分を順次に結晶質に変化させ得る十分なエネルギーを供給できるよう決定される。
【0039】
また、レーザ発振器4がパルス状にレーザ光を出力するものである場合には、ビームスポットB8により薄膜2上の一つの位置でレーザ光を照射する条件に関して、一つのレーザパルスのエネルギーに基づき必要なパルス数を照射するように決められる。
【0040】
ここで、ビームスポットB8を順次に走査して試料1上にレーザ光を照射するにあたり、平行ビーム8の外縁近傍について、ビームの中心側に対する強度の変化を緩和させて試料1に照射することができる。即ち、平行ビーム8の外縁とビームの中心側との間でレーザ光の強度が変化する変化率の大きさを、ビームの外縁近傍において減少させて試料1に照射することができる。
【0041】
図4には、強度分布が異なる二つのレーザ光の強度分布L1、L2が示されている。図4において、横軸はレーザ光の光軸に垂直をなす横方向Rに対応しており、縦軸はレーザ光の強度Iに対応している。
【0042】
図4において、強度分布L2で示されるレーザ光は、強度分布L1で示されるレーザ光に比べて、ビームの外縁近傍における強度の変化率が小さく、強度の変化が緩和されたものとなっている。
【0043】
そして、レーザ光の外縁近傍における強度の変化を緩和させると、試料1上に一つのビームスポットを照射するにあたって、ビームスポットに晒された部分と晒されていない非照射の部分との境界におけるレーザ光の強度の変化を緩和させ、試料1の前記境界部分における損傷を生じにくくすることができる。
【0044】
特に、レーザ発振器4がパルス状にレーザ光を出力するものであり、試料1にパルス状にレーザ光が照射される場合には前記ビームスポットの境界部分において損傷を受けやすいが、上記ビームの外縁近傍におけるレーザ光の強度の変化を緩和させることにより、前記ビームスポットの境界部分における損傷を防ぐことができる。
【0045】
上記レーザ光のビームの外縁近傍における強度の変化を緩和させるにあたり、図5に示されるマスク12を用いることができる。図5において、図5(a)はマスク12を斜め方向から眺めた斜視図であり、図5(b)はマスク12の平面図である。
【0046】
マスク12にはスリット13が形成されている。スリット13は、前記平行ビーム8のビームスポットB8と同じサイズに形成されており、X軸方向にw1、Y軸方向にw3のサイズに形成されている。
【0047】
そして、上記マスク12を用いることにより、試料1に向かって照射される平行ビーム8の外縁近傍における強度の変化を、以下のように緩和させることができる。図6は、マスク12を配置し、マスク12をとおしてレーザ光を照射する様子を示す図である。
【0048】
図6に示されるように、マスク12をシリンドリカルレンズ11と試料1との間にXY平面と平行となるように、かつスリット13の長手方向がX軸方向と平行となるように配置する。また、マスク12を静止させた状態において、スリット13が平行ビーム8のビームスポットB8と一致し、平行ビーム8を略そのままスリット13を通過させ得るように配置する。
【0049】
そして、マスク12即ちスリット13を、w3より十分に小さい振幅の範囲で、図6の矢印M2で示されるようにY軸方向に振動させる。これにより、スリット13に入射させた平行ビーム8の外縁近傍における強度の変化を緩和させた平行ビーム9を得ることができる。
【0050】
図7は、平行ビーム8、及び平行ビーム9のY軸方向に沿った強度分布を表す図である。図7において、横軸はY軸方向に対応しており、縦軸はレーザ光の強度Iに対応している。図7において、P8は平行ビーム8の強度分布であり、P9は平行ビーム9の強度分布を表している。また、図7には、平行ビーム8に対してY軸方向に振動するマスク12が併せて表示されている。
【0051】
平行ビーム8を振動するスリット13を通過させることによって、図7に示されるように、外縁近傍における強度の変化が緩和された平行ビーム9を得ることができる。
【0052】
なお、以上の説明では、スリット13をY軸方向に振動させる例を挙げて説明したが、スリット13を振動させる方向は一つの方向に限られない。即ち、一定サイズのビームスポットを順次に走査してレーザ光を照射するにあたり、ビームスポットを一つの位置から次に照射するべき位置へ走査させる場合に、その走査させる方向に沿ってスリット13を振動させることができる。これにより、ビームスポットの境界部分におけるレーザ光の強度の変化を緩和させ、試料1の前記境界部分における損傷を生じにくくすることができる。
【0053】
例えば、試料1に照射されるビームスポットのX軸方向のサイズが小さく、X軸方向にもビームスポットを走査させる場合に、X軸方向についてもスリットを振動させることができる。
【0054】
以上説明したように、本発明によると、薄膜2におけるレーザ光のビームスポットで照射された領域を非晶質の状態から結晶質の状態に変化させることができる。そして、薄膜2の全表面にわたってレーザ光のビームスポットを走査することにより、薄膜2の全体を結晶化させることができる。
【0055】
このように、薄膜2を結晶化させることができるので、薄膜2の強度を高めることができ、基板3に対する強固な保護膜とできる。例えば、薄膜2がAl23により形成される場合であれば、本発明の処理を行うことにより、薄膜2を非晶質の状態からγ・Al23結晶へ変化させることができる。これにより、試料1の硬度を1500Hv程度とすることができる。
【0056】
そして、本発明によると、非晶質の状態にある薄膜を結晶質の状態に変化させるにあたり、上記光の波長及び出力に関する所定の条件を満たすレーザ光を照射するのみの処理であるので、従来の加熱炉内で加熱する処理に比べて、極めて短時間内に処理を終えることができる。これにより、薄膜を結晶化させる処理を短時間内で能率良く行うことができる。また、基板に対する影響が少なく、基板が溶融される等の損傷を受けることを防ぐことができる。
【0057】
以上の説明では、光源としてレーザ発振器4を用いる例により説明したが、他の光源を用いることもできる。即ち、薄膜2による吸収率が90%以上の吸収率を示す波長であり、かつ試料1に1秒あたり1.5×104J/m2以上のエネルギー密度の光を照射できるのであれば、レーザ装置以外の光源を用いることもできる。
【0058】
また、波長150nm以上200nm以下の光を照射する場合について、光源として上記エネルギー密度の条件を備えるのであれば、エキシマランプを用いることもできる。
【0059】
エキシマランプを用いる場合、紫外光を発生させる媒質として、上記エキシマレーザについて説明したのと同様に、希ガスハライド系(ArF,ArCl,KrF,KrCl,XeBr,XeCl,XeF,Kr2F,Xe2Cl)、単一希ガス系(Xe2,Kr2,Ar2)、希ガス酸素系(ArO,KrO,XeO)、水銀ハライド系(HgCl,HgBr,HgI)等を用いることができる。
【0060】
また、以上の説明では、基板3について時計の窓に用いられるガラス基板の例を挙げて説明したが、基板は時計の窓に用いられるものに限られない。即ち、基板は、ここに形成される薄膜を結晶化させるため従来の加熱炉により加熱する処理を行うと、溶融したり変形される等するおそれのあるガラス基板やプラスチック基板が対象となる。また、基板は、その用途に関して、時計の窓として用いられるものに限られず、他の用途に用いられるものも含まれる。
【0061】
また、薄膜2の材質について、以上に例示した酸化アルミニウムや酸化チタン等の金属酸化物の他、処理される前の状態が非晶質であり、処理された後に結晶質の状態に変化されるものが含まれる。
【0062】
以上に説明した非晶質の薄膜2を基板3上に形成するにあたり、真空成膜により形成することができる。図8は、真空成膜により薄膜2を形成するための工程を実行できる真空成膜装置25の概略的な構成を示す図である。
【0063】
真空成膜装置25は、図示されない真空ポンプ等により内部が所要の真空雰囲気に排気される真空チャンバ21を有しており、真空チャンバ21内に蒸発源22及び基板ホルダ23が配置されている。
【0064】
そして、蒸発源22により膜の原料が真空チャンバ21内に蒸発され、該蒸発された膜の原料は、基板ホルダ23に保持される基板3上に最終的に膜2として析出されることにより成膜される。
【0065】
なお、真空成膜装置25について、各種の真空成膜の方式を適用することができる。即ち、真空蒸着やイオンプレーティング等、各種の真空成膜の方式を適用することができる。
【0066】
基板3に形成される薄膜2を真空成膜装置により形成すると、目標とする膜厚により精度良く成膜できることに加え、緻密に形成された薄膜2を得ることができる。これにより、本発明による処理によって薄膜2を結晶化させるにあたり、より強固な組織とされたものを得ることができる。真空成膜の方式として、特にイオンプレーティングを採用すると、特に緻密な膜を得ることができ好ましい。
【0067】
【実施例】
以下に、本発明の実施例について説明する。以下の説明において、試料1の硬度の評価については、マイクロビッカース硬度により評価を行った。
1.試料の作製
本発明による処理の対象となる試料1を以下のように作製した。
【0068】
試料1として、ガラス基板3上に、酸化アルミニウム(Al23)からなる薄膜2を形成した。ガラス基板3は、時計の窓ガラスに一般的に用いられるガラス基板であり、ガラス材(青板ガラス)により形成されたものを用いた。このガラス基板3の硬度は700Hvであった。
【0069】
薄膜2を基板3上に形成するにあたり、真空成膜装置を用いて成膜した。そして、真空成膜装置として、イオンプレーティングの方式に基づき成膜できるイオンプレーティング成膜装置を用いた。
【0070】
イオンプレーティング成膜装置により薄膜2を成膜するにあたり、基板ホルダに基板3をセットするとともに、蒸発源に酸化アルミニウムの粉末をセットして電子ビームにより加熱して蒸発させた。
【0071】
そして、前記蒸発された酸化アルミニウムを真空チャンバ内に形成された高周波電界により励起又はイオン化させ、基板3上に膜厚略5μmとなるように膜2を成膜した。そして、形成された薄膜2の組織について、X線回折により評価を行った。
【0072】
図9は、結晶化させる処理を行う前の薄膜2のX線回折による分析結果を表す図である。図9において、横軸はX線の回折角2θに対応しており、縦軸はX線の回折強度にあたる計数率に対応している。
【0073】
図9に示される結果から、結晶化させる処理を行う前の薄膜2は、非晶質の状態にあることが確認される。
【0074】
また、試料1の薄膜2が形成される部分の硬度を測定したところ、900Hvであった。
2.薄膜を結晶化させる処理
以上に作製した試料1について、前記薄膜部分2を結晶化させる処理を以下のように行った。以上の実施の形態において図1乃至図3により説明したのと同様に、試料1にレーザ光を照射した。レーザ発振器4として、エキシマレーザ装置を用いた。
【0075】
エキシマレーザ装置として、ArFを増幅媒質とし中心波長が193nmのレーザ光を出力する装置を用いた。また、エキシマレーザ装置4として、レーザ光をパルス状に出力するものを用いた。そして、パルス幅20nsecのレーザパルスを1秒間に1パルス出力するものを用いた。
【0076】
そして、レーザ発振器4よりスリット状のビームスポットB7を有する平行ビーム7を出力し、平行ビーム7をシリンドリカルレンズ11によって平行ビーム8に絞った。そして、ビームスポットB8を有する平行ビーム8を試料1に照射した。
【0077】
上記平行ビーム7のビームスポットB7のサイズは、w1=2.0×10-2m、w2=7×10-3mであった。また、平行ビーム8のビームスポットB8のサイズは、w1=2.0×10-2m、w2=5×10-3mであった。
【0078】
また、試料1に照射したレーザ光のエネルギーは、1パルスあたり180mJであった。そして、試料1の薄膜部分2に対して、合計80パルスの照射を行った。そして、この薄膜部分2の略全体の処理に要した時間は、略2分程度であった。
3.処理した後の試料の評価
以上の処理を行った試料1の薄膜部分2の組成について、X線回折により評価を行った。図10は、処理後における薄膜2についてのX線回折による分析結果を表す図である。図10において、横軸はX線の回折角2θに対応しており、縦軸はX線の回折強度にあたる計数率に対応している。
【0079】
この図10によると、ピークp1、p2が確認される。このピークp1、p2より、薄膜部分2がγ・Al23結晶となっていることを確認できる。
【0080】
また、試料1の薄膜2が形成される部分の硬度の測定を行ったところ、1500Hvであった。
【0081】
以上のことから、試料1の非晶質の状態にあった薄膜部分2について、本発明の処理によって結晶質の状態に変化させ得ることを確認できた。また、薄膜部分2を結晶化させることによって、硬度を高め得ることも確認できた。
【0082】
これらのことから、従来より薄膜の結晶化に用いられてきた加熱炉により加熱する処理に比べ、極めて短時間の処理で結晶化させ得ることを確認できた。そして、基板3について、従来の加熱炉により処理する場合に生じる変形等の損傷は見られなかった。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、基板上に形成された非晶質の薄膜を結晶質に変化させる処理を行うにあたり、きわめて短時間内に行うことができる。これにより、前記結晶化させる処理を短時間内に能率良く行うことができる。また、本発明によると、前記結晶化させる処理を行うにあたり、基板が溶融される等の損傷を受けることなく行えるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理に用いることができる装置の概略を示す図である。
【図2】試料にレーザ光を照射する様子を示す図である。
【図3】(a)シリンドリカルレンズへの入射前のレーザ光の強度分布である。
(b)シリンドリカルレンズ出射後のレーザ光の強度分布である。
【図4】レーザ光の異なる強度分布の例を示す図である。
【図5】(a)マスクの斜視図である。
(b)マスクの平面図である。
【図6】マスクをとおしてレーザ光を照射する様子を示す図である。
【図7】レーザ光の強度分布の変化を緩和させた例を示す図である。
【図8】真空成膜装置の概略を示す図である。
【図9】薄膜を本発明により処理する前のX線回折による分析結果を示す図である。
【図10】薄膜を本発明により処理した後のX線回折による分析結果を示す図である。
【符号の説明】
1 試料
2 薄膜
3 ガラス基板
4 レーザ発振器
5 試料テーブル
7 平行ビーム
8 平行ビーム
11 シリンドリカルレンズ
12 マスク
13 スリット
21 真空チャンバ
22 蒸発源
23 基板ホルダ
25 真空成膜装置

Claims (6)

  1. 基板を保護する強固な膜を形成するために、基板上に形成された薄膜を結晶化させる方法であって、
    非晶質の状態にある前記薄膜に吸収率が90%以上である吸収域にある波長のレーザ光を照射することにより、該照射された領域を結晶質の状態に変化させる処理を行い、
    前記レーザ光を薄膜に照射するにあたって、該レーザ光を平行ビームとし、該平行ビームのビームスポットと同じサイズに形成されたスリットを有するマスクをとおしてレーザ光を照射するようになっており、
    該スリットの長手方向がX軸方向であり、該マスクの広がり面内でX軸方向に直行する方向がY軸方向であるときに、該マスクをY軸方向に振動させた状態で、前記平行ビームが該スリットを通過することにより、該平行ビームの外縁近傍における平行ビームの外縁とビームの中心側との間のレーザ光の強度の変化を緩和させることを特徴とする、薄膜を結晶化させる処理方法。
  2. 前記非晶質の状態にある薄膜に照射されるレーザ光の波長が150nm以上200nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の薄膜を結晶化させる処理方法。
  3. 前記薄膜に照射されるレーザ光が150nm以上200nm以下の波長であり、該波長のレーザ光がエキシマレーザ光であることを特徴とする、請求項1または2に記載の薄膜を結晶化させる処理方法。
  4. 前記エキシマレーザ光がArF又はKrFを増幅媒質とするレーザ光であることを特徴とする、請求項に記載の薄膜を結晶化させる処理方法。
  5. 前記処理の対象となる薄膜が金属酸化物により形成されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の薄膜を結晶化させる処理方法。
  6. 前記薄膜が厚さ1〜10μmの範囲で形成されることを特徴とする、請求項5に記載の薄膜を結晶化させる処理方法。
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