JP2012144829A - 消臭性布帛 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】改質しないセルロース繊維とポリウレタン繊維とを混用した消臭性布帛であって、洗濯50回後の、消臭加工繊維製品認定基準におけるノネナール減少率が75%以上であることを特徴とする消臭性布帛。
【選択図】なし
Description
消臭性能の中でも特に高齢化社会の進行により、中高年の人が発する独特の体臭である加齢臭に対する消臭機能が求められている。
一般に、加齢臭とは、アンモニア、酢酸、イソ吉草酸、ノネナールの各臭気成分に起因すると考えられており、加齢臭の消臭には、これら4つの成分を全て除去する機能が必要とされている。
しかしながら、これらの方法では、特定の臭気に対しては効果があるものの、上述の4つの臭気成分全てを除去することはできない。
しかしながら、セルロース繊維をグラフト共重合することで、強力低下や白度低下を起こし、布帛での破裂強度低下、耐摩耗性低下や、インナー、スポーツ衣料における色の鮮明性が得られないばかりか、セルロース繊維とポリエステル繊維やポリアミド繊維とを混用した場合、同色性が悪いという問題がある。
このように、現状では、セルロース繊維を改質しないで使用した布帛において、加齢臭に対する消臭性能に優れ、しなやかな風合を有し、染色性に優れた染色製品は得られていない。
すなわち本発明は、以下のとおりのものである。
本発明は、改質しないセルロース繊維と後述する特定のポリウレタン繊維から構成される布帛であり、加齢臭、特にノネナールに対する消臭性能に優れ、その洗濯耐久性を改良したものである。
本発明に係る布帛においては、セルロース繊維をセルロース分解酵素で処理し、繊維軸方向に特定の大きさの筋状溝を形成することができることを特徴とする。これにより、アンモニア等の塩基性ガス、酢酸やイソ吉草酸の酸性ガスの消臭効果が高まる。特に、再生セルロース繊維(長繊維)は、セルロース分解酵素で処理するにあたり、繊維軸方向に特定筋状溝の幅、長さのコントロールがし易いという面からも好ましい。
また繊維の形態は、長繊維でも短繊維でもよく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよい。そして、繊維が加工される糸条の形態としては、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸、エアジェット精紡糸等の紡績糸、甘撚糸〜強撚糸、仮撚加工糸、空気噴射加工糸、押し込み加工糸、ニットデニット加工糸等がある。
糸状形態としては、ポリウレタン繊維の裸糸(10〜500dtex)にセルロース繊維やポリエステルやナイロン等の他の繊維で被覆した糸状、例えば、いわゆるカバーリングヤーン(シングル及びダブルカバリング)、合撚糸、コアヤーン、交洛糸等、公知の被覆糸の形態が挙げられる。
本発明において、混用の形態については何ら制限されるものではなく、セルロース繊維とポリウレタン繊維が公知の混用手段によって混用されていればよい。
減量率が上記の範囲にあるとセルロース繊維表面に繊維軸長さ50μm当たり、幅0.05〜1.50μm、長さ3〜25μmの筋状溝が10個以上存在している。尚、筋状溝は、繊維軸方向に対し、ほぼ平行である必用はなく、45度まで傾いていてもよい。
このような筋状溝を有することで、繊維比表面積が増大し、アンモニア、酢酸、イソ吉草酸、ノネナールの各臭気成分の補足量が増大し、上述の3級窒素化合物含有ポリウレタン繊維による消臭効果が高まり、本発明でいう加齢臭の消臭効果の高いものが得られとともに、しなやかな風合が得られ、色の鮮明性も増す。
また、この筋状溝を有することで、汗をかいたときなど、水分をすばやく吸い取る力と水分を拡散させる力が発揮され、体に貼り付くことがなく、べたつき感を感じなく、すばやく乾燥させる効果や風合にしなやか性が強くなり、肌ざわり性も良好となり、着心地感のよさが向上するという効果も得られ、その効果は、繰り返し洗濯を行っても持続する。
一方、減量率が10%を超えると、セルロース繊維の強力低下が大きくなるという問題がある。
本発明でいうセルロース分解酵素とは、エキソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、セルビアーゼ、β−グルコシダーゼ、セロビアーゼ等のセルラーゼ類をいい、それぞれ単独で又は複数組み合わせて使用することができる。
処理後は酵素の失活処理を行うが、使用する酵素が失活する温度で処理すればよく、70〜100℃で、15分〜30分間が好ましい。また、処理浴にアルカリ剤を併用することは、酵素の脱着を促進するため、好ましい。
金属酸化物の使用量は、本発明の混用布帛に対する付着量が、好ましくは、0.5〜15重量%、より好ましくは1〜5重量%になるような量である。
また、金属酸化物は、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル−シリコーン共重合樹脂、ポリエステル樹脂、グリオキザール樹脂等のバインダーに担持して使用することができる。上記バインダーの使用量は、本発明の混用布帛に対する付着量が、好ましくは、0.1〜8重量%、より好ましくは1〜3重量%となるような量である。
また、仕上加工剤としては、セルロース繊維の風合耐久性維持の観点から、超分子化アミノ変性シリコーンを用いるのが好ましい。
本発明のポリウレタン繊維は、有機ポリイソシアネート、ポリアルキレンエーテルジオール及びイソシアネート基と反応する活性水素含有化合物を、それぞれ、下記(イ)、(ロ)、及び(ハ):
(イ)有機ポリイソシアネート:R4−(NCO)x{式中、R4は、有機残基であり、そしてxは、2以上の整数である。}、
(ロ)ポリアルキレンエーテルジオール:HO−R5−OH{式中、R5は、ポリアルキレンエーテルジオールの残基である。}、
(ハ)イソシアネート基と反応する活性水素含有化合物:H−R6−H及び/又はR7−H{式中、R6とR7は、活性水素含有化合物の残基である。}
で表した場合、基本的には、それらに由来する下記構造単位(A):
0.05≦(MD)/(MC+MD)≦0.50 ・・・(1)
{式中、MC、及びMDは、各々、当該ポリアルキレンエーテルジオール中に存在する構造単位(C)と(D)の総数であり、そして構造単位(C)と構造単位(D)は、当該ポリアルキレンエーテルジオール中にランダム状又はブロック状のどちらで存在してもよい。}で表される特定比率のアルキル基を有するものが好ましい。式(1)は、より好ましくは、0.10≦(MD)/(MC+MD)≦0.45である。
ポリアルキレンエーテルジオールの製造において、テトラヒドロフランと共に用いることができる低分子ジオール、環状低分子化合物としては、例えば、ネオペンチルグルコール、3,3−ジメチルオキセタン、1,1−ジヒドロオキシエチルシクロヘキサン、1,1−ジヒドロオキシエチルシクロペンタン等が挙げられ、なかでも、ネオペンチルグリコール、3,3−ジメチルオキセタンが好ましい。
ポリアルキレンエーテルジオールの分岐鎖を有する特定の構造単位(D)と構造単位(C)であるテトラメチレン単位は、ランダム状又はブロック状のいずれで分布していてもよい。ヘテロポリ酸触媒を用いた反応ではブロック状又はランダム状いずれにも分布させることができ、ジオールの結晶性を種々効果的に変えることができ、ポリウレタンの特性に合わせて各々の結晶性を持つジオールを製造することができる。本発明においては、弾性特性の点から、ランダム状であることが好ましい。
ポリアルキレンエーテルジオールの数平均分子量は、300〜30,000であることが好ましく、より好ましくは500〜5,000で、さらに好ましくは1,000〜4,000である。
他のジオールとしては、数平均分子量250〜20,000程度のジオール、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシペンタメチレングリコール、ポリオキシプロピレンテトラメチレングリコール等のポリエーテルジオール;アジピン酸、セバチン酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸、マロン酸等の二塩基酸の1種又は2種以上とエチレングリコール、1、2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、1,10−デカンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のグリコール類の1種又は2種以上とから得られたポリエステルジオール、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリバレロラクトン等のポリラクトンジオール、また、ポリエステルアミドジオール、ポリエーテル−エステルジオール、ポリカーボネートジオール等が挙げられる。
0.06≦(TD)/(TC+TD)≦0.70 ・・・(2)
{式中、TC、及びTDは、各々、当該ポリアルキレンエーテルジオールの末端に存在する構造単位(C)と(D)の総数である。}で表される特定比率のアルキル基末端を有することが好ましい。
構造単位(C)及び(D)の量が前記式(1)及び(2)の範囲内にあれば、乾熱セット性、耐湿熱性、及び弾性機能に優れるポリウレタン重合体が得られる。式(2)は、より好ましくは、0.12≦(TD)/(TC+TD)≦0.54である。
1.20≦{(TD)/(TC+TD)}/{(MD)/(MC+MD)}≦6.0 ・・・(3)
{式中、MC、MD、TC、及びTDは、式(1)と式(2)中で定義したものと同じである。}
を満足することが好ましい。
すなわち、ポリアルキレンエーテルジオールの末端における構造単位(D)の比率が、ポリアルキレンエーテルジオール全体における構造単位(D)の比率よりも大きいことが好ましい。末端基比率が前記式(3)を満足すると、乾熱セット性の良好なポリウレタンが得られ、また、製造工程において、有機ポリイソシアネート化合物の反応性が良好で、反応が比較的短時間、低温で進行するため、副反応が生じず、アルファネート架橋結合の生成によるゲル化も生じない。
有機ポリイソシアネート化合物としては、分子内に少なくとも2個以上のイソシアネート基を有する化合物、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシレンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ビス(3−メチル−4−イソシアナートフェニル)メタン、ビス(4−イソシアナートシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
前記の有機ポリイソシアネート化合物や活性水素含有化合物は、各々単独で用いてもよいが、必要に応じて予め混合して用いてもよい。
(イ)公知のポリウレタン化反応の技術、例えば、ポリアルキレンエーテルジオールと有機ポリイソシアネート化合物とを、1:1〜1:3.0(当量比)、好ましくは1:1.3〜1:2.0の割合で有機ポリイソシアネート化合物過剰の条件下で反応させ、ウレタンプレポリマーを合成した後、該プレポリマー中のイソシアネート基に対して、イソシアネート基と反応する活性水素含有化合物を添加して反応させる。
ウレタン化反応においては、必要に応じて、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン等の溶媒を用いてもよい。
3級窒素含有共重合ポリウレタンとは、例えば、下記[化5]:
さらに、(CH3)3−C−なる反復単位と、下記[化11]:
尚、3級窒素化合物をポリウレタン重合体に添加する方法は、特に限定されず、例えば、ポリウレタンの重合前、重合中又は重合後に混合することができる。
更に、上記試験における、アンモニアの減少率70%以上、酢酸の減少率80%以上、イソ吉草酸の減少率85%以上を同時に達成することが好ましい。より好ましくはアンモニアの減少率75%以上、酢酸の減少率85%以上、イソ吉草酸の減少率90%以上、特に好ましくはアンモニアの減少率80%以上、酢酸の減少率90%以上、イソ吉草酸の減少率93%以上である。
本発明の消臭性布帛は、繰り返し洗濯した後でも、上記試験における加齢臭消臭性能に優れることを特徴とする。具体的には、JIS−L−0217−103法による洗濯を50回繰り返した後の布帛でも、上記消臭性能を維持することができる。
本発明の消臭性布帛は上記消臭性能に加え、色の鮮明性に優れ、しなやかな風合を有し、かつ、堅牢度性能も良好であり、具体的には、JIS−L−0848 A法における汗アルカリ堅牢度が3級以上である商品価値の高い染色品である。
以下、実施例等で用いた特性値の測定法を示す。
臭気成分としてアンモニア、酢酸、イソ吉草酸、ノネナール(2−ノネナール;CAS番号463−53−8)の4成分を用いて消臭試験を行い、下記の方法により消臭性能を評価した。
<消臭性能評価>
JTETCが定める消臭加工繊維製品認証基準に従い、上記4成分について機器分析を行った。尚、洗濯はJIS−L−0217−103法に従い実施した。
機器分析試験:容器に臭気成分とサンプルを入れ、2時間放置後の臭気成分の残留濃度(2時間後の試料試験濃度)を測定した。臭気成分のみを入れた容器の残留濃度を空試験濃度として、下記式:
減少率(%)=(2時間後の空試験濃度−2時間後の試料試験濃度)/(2時間後の空試験濃度)×100
により、臭気成分の減少率を計算した。アンモニアと酢酸は検知管法により、イソ吉草酸とノネナールはガスクロマトグラフィー法により測定した。
判定は、アンモニアの減少率70%以上、酢酸の減少率80%以上、イソ吉草酸の減少率85%以上、ノネナールの減少率75%以上の条件を全て満足する場合を合格「(○」、それ以外を不合格「×」と判定した(以下、表2と表3を参照のこと)。
<官能試験>
判定者6名のうち、5名以上が下記基準により臭気を弱と判断した場合を合格とした(以下、表2と表3を参照のこと)。
臭気「強」:判定臭ガスより強い場合
臭気「弱」:判定臭ガスと比較して同等もしくはより弱い場合
走査型電子顕微鏡(日立製作所製、形式S−3500N)を用いて、試料のセルロース繊維表面を1800倍に拡大し、適宜に5ヶ所写真撮影し、スケールゲージと比較して、筋状溝の幅、長さ、及び数を測定し、繊維長50μmあたりの数(個)を算出して平均値を求めた。
JIS L−0217 103法に従って、50回行った。尚、洗剤は、花王製アタック 1g/Lを用いた。
検査者(30人)の感触によって染色品の洗濯10回後の布帛を、以下の評価基準に従って相対評価した。
○:しなやか感がよい
△:しなやか感はやや劣る
×:しなやか感がない
染色品について、JIS−L−0848−A法に準じて汗アルカリ人工汗液を用いて評価した。試験片の変褪色と添付白布片の汚染の程度を、それぞれ、変褪色用グレースケール、汚染用グレースケールと比較して判定した。
染色布帛を分光光度計(グレタグマクベス社製、形式;CE−7000A、D65光源)を用いて、Lab表色系におけるa値とb値を測定し、下記式:
彩度= √(a2 + b2)
により、彩度を計算した。この値が大きい程、彩度が高く、色が鮮明であり、値が小さい程、彩度が低く、色がくすんでいることを示す。
セルロース繊維とナイロン6繊維との明度差が少なく、色相差、彩度差、イラツキが少ないものを良好とし、以下の評価基準に従って5段階に判定した。
5級:良好
4級:やや良好
3級:普通
2級:やや劣る
1級:劣る
数平均分子量1800のポリテトラオキシメチレングリコールに4,4’−ジフェニルメタンイソシアネートを当量比1:1.6の割合で加え、乾燥窒素雰囲気下、80℃において3時間、攪拌下で反応させて、末端がイソシアネートでキャップされたポリウレタンプレポリマーを得た。これを室温まで冷却した後、N,N’−ジメチルアセトアミドを加え、溶解してポリウレタンプレポリマー溶液を得た。エチレンジアミン及びジエチルアミンをN,N’−ジメチルアセトアミドに溶解した溶液を用意し、これを前記プレポリマー溶液に室温下添加して、固形分濃度30%のポリウレタン溶液を得た。
100gのN,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−1,1−ジメチルプロピルアミン、79.3gのN−ブチル−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、198.7gのイソホロンジイソシアネート、及び378gのN,N−ジメチルアセトアミドの溶液を、乾燥窒素ガス中、室温で撹拌下、該溶液に、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.15gを添加し、1時間撹拌後、系内を70℃にし、さらに5時間反応させ、赤外スペクトルで反応溶液中に未反応のイソシアネート基の2270cm−1における吸収が消失したことを確認してから反応を終了させた。得られた共重合ポリウレタン化合物の溶解性パラメーターδは、10.86であった。
次に、84dtex/45fのキュプラ(旭化成せんい製ベンベルグ)と上記の33dtexのポリウレタン繊維を用い、常法により36ゲージにてベアー天竺丸編地を作製した。このときのポリウレタン繊維の混率は13wt%であった。
<染色条件>
反応染料:レマゾール ターコイズ ブルー G:1.2%omf
炭酸ナトリウム:10g/リットル
芒硝:30g/リットル
助剤:イマコール C2GL(浴中柔軟剤):4g/L
浴比: 1:20
染色温度:60℃
染色時間:60分
仕上げた染色布帛の消臭性能、風合、汗アルカリ堅牢度の評価結果を、以下の表2に、洗濯50回後の消臭性能、風合の評価結果を、以下の表3に示す。
尚、以下の表1に、実施例1〜6、及び比較例1〜2で得られた布帛の構成を示す。
比較例1として、実施例1で得られたポリウレタン(3級窒素化合物含有共重合ポリウレタンは未添加)を通常の乾式紡糸法により、33dtexのポリウレタン繊維を得た。
次に、84dtex/45fのキュプラと得られた33dtexのポリウレタン繊維を用い実施例1と同様に、ベアー天竺丸編地を作製し、同様の方法にて染色、仕上剤を付与し、同じ性量となるように仕上た。
得られた染色布帛の消臭性能、風合、汗アルカリ堅牢度の評価結果を、以下の表2に、洗濯50回後の消臭性能、風合の評価結果を、以下の表3に示す。
表2と表3中の結果から、本発明の実施例1で得られた染色布帛は、比較例1で得られた布帛に比べ、消臭性能の優れる商品価値の高い染色布帛であることが分かる。
実施例1で得られたベアー天竺丸編地をプレセット後、染色前に下記に示す酵素処理条件を用い、減量率が5.2%となるように液流染色機を用い処理時間を調整し、減量処理を行った。
<酵素処理条件>
酵素溶液:セルラーゼT(天野エンザイム社製、エンド+エキソ型セルラーゼ)8%omf
pH:4.5(酢酸と酢酸ナトリウムにて調整)
助剤:イマコール C2GL:4g/L
浴比:1:30
処理温度:45℃
得られた染色布帛の消臭性能、風合、鮮明性、汗アルカリ堅牢度の評価結果を以下の表2に、洗濯50回後の消臭性能、風合の評価結果を、以下の表3に示す。
表2と表3中の結果から、実施例2で得られた布帛は、消臭性能に優れ、かつしなやかな風合を有し、色の鮮明性が高く、商品価値の高い染色布帛であることがわかる。
実施例2で得られた染色布帛を超分子シリコンを付与する代わりに、下記の金属酸化物をパッディング法にて付与した後、150℃の乾熱セットにて、同様な性量となるように仕上げた。
<仕上剤処理条件>
ザオバタックNANO−20(大和化学製、平均粒子径500nmの酸化亜鉛化合物) 20g/L
バインダーU−30NP(大和化学製ポリウレタン樹脂) 10g/L
アクアインCAT−100(大和化学製エポキシ系架橋剤) 2g/L
(絞り率は90%)
得られた染色布帛の消臭性能、風合、鮮明性、汗アルカリ堅牢度の評価結果を、以下の表2に、洗濯50回後の消臭性能、風合の評価結果を、以下の表3に示す。
表2と表3中の結果から、実施例3で得られた布帛は、消臭性能に優れ、かつしなやかな風合を有し、色の鮮明性が高く、商品価値の高い染色布帛であることがわかる。
44dtex/44fのナイロン6繊維を常法により仮撚加工を行い、加工工程中に84dtex/45fのキュプラを挿入し、インターレース混繊し、複合糸を得た。
この複合糸と実施例1の3級窒素化合物含有の33dtexのポリウレタン繊維を用い、常法により28ゲージにて、ベアー天竺丸編地を作製した。この編地中のセルロース繊維の混用率は58%で、ナイロン6繊維の混用率は32%で、ポリウレタン繊維の混用率は10wt%であった。
<染色条件>
反応染料:カヤセロンリアクト イエロー CN−EX:0.017%omf
カヤセロンリアクト レッド CN−603:0.017%omf
酸性染料:アミニールイエロー FD−5GL:0.016%omf
アミニールレッド FD−3BL:0.034%omf
助剤:カヤクバッファP−7:1g/L
イマコール C2GL:4g/L
芒硝:10g/リットル
浴比:1:25
染色温度:100℃
染色時間:40分
仕上げた染色布帛の消臭性能、風合、汗アルカリ堅牢度の評価結果を、以下の表2に、洗濯50回後の消臭性能、風合の評価結果を、以下の表3に示す。
比較例2として、実施例1で得られた33dtexの3級窒素化合物を含有しないポリウレタン繊維を使用する以外は、実施例4と同様にして染色布帛を得た。
得られた染色布帛の消臭性能、風合、汗アルカリ堅牢度の評価結果を、以下の表2に、洗濯50回後の消臭性能、風合の評価結果を、以下の表3に示す。
表2と表3中の結果から、実施例4で得られた布帛は、比較例2で得られた布帛に比べ、消臭性能の優れた商品価値の高い染色布帛であることがわかる。
攪拌装置と還流冷却器とを付けた容器に、テトラヒドロフラン500gとネオペンチルグリコール48gを仕込み、340℃で3時間加熱して無水状態にした燐タングステンを500g加え、乾燥窒素ガス雰囲気下、60℃に保持して8時間撹拌下で反応させた後、ネオペンチルグリコール20gを追加して3時間攪拌下で反応させた。次に、これを室温で静置して二層に分離させた後、上層を分離し、未反応のテトラヒドロフラン、ネオペンチルグルコールを蒸留により除き、透明で粘性のあるポリアルキレンエーテルジオール145gを得た。得られたポリアルキレンエーテルジオールは、OH価の測定、及びNMR測定によって、数平均分子量1816、前記式(1)の(MD)/(MC+MD)=0.10、前記式(2)の(TD)/(TC+TD)=0.27であった。
数平均分子量1800のポリテトラオキシメチレングリコールの代わりに上記ポリアルキレンエーテルジオールを用いる以外は、実施例1と同様の方法で得られたポリウレタン繊維を用い、実施例4と同様にして染色布帛を得た。
得られた染色布帛の消臭性能、風合、汗アルカリ堅牢度の評価結果を、以下の表2に、洗濯50回後の消臭性能、風合の評価結果を、以下の表3に示す。
表2と表3中の結果から、実施例5で得られた布帛は、消臭性能に優れ、かつしなやかな風合を有し、色の鮮明性が高く、同色性に優れた商品価値の高い染色布帛であることがわかる。
実施例5で得られたベアー天竺丸編地をプレセット後、染色前に下記に示す酵素処理条件を用い、減量率が2.6%となるように液流染色機を用い処理時間を調整し、減量処理を行った。
<酵素処理条件>
酵素溶液:セルラーゼT(天野エンザイム社製、エンド+エキソ型セルラーゼ)8%omf
pH:4.5(酢酸と酢酸ナトリウムにて調整)
助剤:イマコール C2GL:4g/L
処理温度:45℃
得られた染色布帛を電子顕微鏡にて1800倍の倍率にて観察したとき、セルロース繊維表面には、幅0.2μm、長さ8.2μmの筋状溝が12本存在していた。
得られた染色布帛の消臭性能、風合、鮮明性、汗アルカリ堅牢度の評価結果を、以下の表2に、洗濯50回後の消臭性能、風合の評価結果を、以下の表3に示す。
表2と表3中の結果から、実施例6で得られた布帛は、消臭性能に優れ、かつしなやかな風合を有し、色の鮮明性が高く、同色性に優れた商品価値の高い染色布帛であることがわかる。
実施例6で得られた染色布帛に超分子シリコンを付与する代わりに、実施例3と同様に酸化亜鉛化合物を付与し、実施例5と同様な性量となるように仕上げた。
得られた染色布帛の消臭性能、風合、鮮明性、汗アルカリ堅牢度の評価結果を、以下の表2に、洗濯50回後の消臭性能、風合の評価結果を、以下の表3に示す。
表2と表3中の結果から、実施例7で得られた布帛は、消臭性能に優れ、かつしなやかな風合を有し、色の鮮明性が高く、同色性に優れた商品価値の高い染色布帛であることがわかる。
Claims (3)
- 改質しないセルロース繊維とポリウレタン繊維とを混用した消臭性布帛であって、洗濯50回後の、消臭加工繊維製品認定基準におけるノネナール減少率が75%以上であることを特徴とする消臭性布帛。
- セルロース分解酵素にて、60℃以下の温度で1.5〜10%減量処理されている、請求項1に記載の消臭性布帛。
- 金属酸化物が担持されている、請求項1又は2に記載の消臭性布帛。
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