JP2012144561A - ミルナシプラン製剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】変色のない安定なミルナシプラン製剤を提供すること。
【解決手段】ミルナシプランにD-マンニトールなど特定の添加剤を組み合わせることにより上記課題が解決できた。
【選択図】なし

Description

本発明は製剤劣化の改善された安定化されたミルナシプラン製剤に関する。
ミルナシプラン(化学名:(±)−シス−2−アミノメチル−N,N−ジエチル−1−
フェニルシクロプロパンカルボキサミド)は、セロトニンに加えてノルアドレナリンの再
取り込みを阻害することから、イミプラミンに代表される三環系抗うつ薬に匹敵する作用
を示すとともに、各種脳内神経伝達物質の受容体に対する親和性が極めて低いことから三
環系抗うつ薬の有する副作用(抗コリン作用、心・循環器に対する影響)を軽減したSN
RI(Serotonine Noradrenarine Selective Re
uptake Inhibitor)と称される新しい抗うつ薬として開発され、日本に
おいてはフィルムコーティング錠(商品名:トレドミン錠)として、また、海外において
はカプセル剤(商品名:IXEL)として販売されている。
ミルナシプランに関しては、その製造法は、特許文献1から3で報告されている。また
、非特許文献1ではトレドミン錠が高湿度の保存により錠剤硬度が低下することが報告さ
れており、ミルナシプランを含有する製剤については特許文献4および5で報告されてい
る。
特公昭63−23186号公報 特公平05−67136号公報 特許第2964041号公報 特表2000−516946号公報 特表2002−519370号公報
「Pharmavision」、株式会社ファーマビジョン、2003年6月、第7巻、第6号、P.24
本発明の課題は、従来知られているミルナシプラン製剤よりも安定なミルナシプラン製
剤及びミルナシプラン製剤の安定化方法を提供することにある。
本発明者らは、ミルナシプランを含有する各種製剤を製造し保管する等、取り扱う中で
該製剤が経時的に変色を起こしたり、高湿度下で保管された場合に製剤どうしの付着や包
装容器への付着が発生したりする等の、ミルナシプラン製剤において従来は知られていな
かった克服すべき新規な課題があることを見出した。
例えば、フィルムコーティング錠では付着に伴うフィルムコーティングのはがれが起こ
るとともに、錠剤が変形したり、破損するなどの製剤の劣化が起こりやすく、顆粒剤、散
剤などでは固結や凝集が発生しやすくなる。カプセル剤では溶出試験を行った場合、カプ
セルからのミルナシプランの溶出が著しく遅延することから、服用した際の薬効発現が危
惧されるとともに、やはり高湿度下で保管された場合、変形、破損、べとつき又は付着な
どが起こりやすくなる。また、糖衣錠では溶出試験を行った場合、糖衣錠からのミルナシ
プランの溶出が個々の糖衣錠ごとにばらつくことから、服用した際、薬効発現に差が現れ
る可能性もある。トレドミン錠(フィルムコーティング錠)は、高湿度下での安定性を配
慮して、薬学的に許容される添加剤の中で吸湿性の低い添加剤である無水リン酸水素カル
シウムを使用し、従来の方法により製剤化されている。しかし、高湿度下での保存による
製剤劣化を防止するには至っておらず、高湿度下での保存においても安定なミルナシプラ
ン製剤を得るに至っていない。
本発明者らは、さらに上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、意外にも、(1)
(i)無水リン酸水素カルシウム等の無機化合物であっても造粒やスプレードライ等の操
作により多孔質化されたもの(担体)に、溶媒に溶解したミルナシプランを吸着させ、こ
れを乾燥させたミルナシプラン含有組成物を用いることにより、製剤組成としては全く同
じ錠剤であっても高湿度下の保存によるべとつき又は付着を防止できること、(ii)カプ
セル剤では、多孔質担体にミルナシプランを吸着させたものをカプセルに充填することで
、溶出が遅延することがなく、高湿度下で保管された場合の変形、破損、べとつき又は付
着を防止できること、(2)ミルナシプランを含有する粉体をヒドロキシプロピルメチル
セルロース(HPMC)からなるカプセルに充填することで、高湿度下で保管された場合
の変形、破損、べとつき又は付着を防止できること、(3)糖衣錠では、多孔質にミルナ
シプランを吸着させたミルナシプラン含有組成物を用いて糖衣錠とすることで、錠剤ごと
の溶出のばらつきを防止できること、そして(4)ミルナシプランに、ミルナシプランと
経時的に相互作用を起こさないD-マンニトール等の添加剤とを組み合わせることにより
、ミルナシプラン含有組成物及び/又はミルナシプラン製剤の外観の変化又は変色が防止
されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下のものに関する。
〔1〕ミルナシプランまたはその塩が多孔質担体中に存在せしめられた、ミルナシプラン
製剤製造に用いるミルナシプラン含有組成物;
〔2〕ミルナシプランまたはその塩が、塩酸ミルナシプランである〔1〕に記載の組成物

〔3〕多孔質担体が、薬学的に許容される無機物からなる多孔質担体である、前記〔1〕
又は〔2〕に記載の組成物;
〔4〕多孔質担体が、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、カオリン、含
水二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸
アルミン酸マグネシウム、ケイソウ土、合成ケイ酸アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウ
ムゲル、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、ベントナイト、硫酸カルシ
ウム、活性炭又はメソポーラスシリカのいずれか1種類又は2種類以上を組み合わせたも
のである、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の組成物;
〔5〕多孔質担体が、無水リン酸水素カルシウム、含水二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム
、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、又はメタケイ酸アルミン酸マグネシウムのいず
れか1種類又は2種類以上を組み合わせたものである、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに
記載の組成物;
〔6〕多孔質担体が、無水リン酸水素カルシウムを含有する多孔質担体である、前記〔1
〕〜〔5〕に記載の組成物;
〔7〕多孔質担体が、薬学的に許容される有機物からなる多孔質担体である、前記〔1〕
又は〔2〕に記載の組成物;
〔8〕多孔質担体が、スターチ類およびその造粒物、結晶セルロースおよびその造粒物、
セルロース誘導体、デキストリン、乳糖又はメタクリル酸ラウリルである、前記〔1〕、
〔2〕、又は〔7〕に記載の組成物;
〔9〕ミルナシプランまたはその塩を多孔質担体に添加した後、乾燥することにより多孔
質担体中にミルナシプランまたはその塩が存在せしめられた、前記〔1〕〜〔8〕のいず
れかに記載の組成物;
〔10〕ミルナシプランまたはその塩、薬学的に許容される添加剤、及び薬学的に許容さ
れる結合剤を湿式造粒した後、乾燥することにより多孔質担体中及び/又は形成された多
孔質担体中にミルナシプランまたはその塩が存在せしめられたミルナシプラン含有組成物

〔11〕前記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載のミルナシプラン含有組成物を含有する
ことを特徴とする、安定化されたミルナシプラン製剤;
〔12〕前記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載のミルナシプラン含有組成物を含有する
ことを特徴とする、べとつきが改善されたミルナシプラン製剤;
〔13〕前記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載のミルナシプラン含有組成物を含有する
ことを特徴とするミルナシプラン製剤であって、該製剤全体に含まれるミルナシプラン又
はその塩の80%以上が、ミルナシプラン含有組成物中に存在することを特徴とするミル
ナシプラン製剤;
〔14〕ミルナシプラン製剤が糖衣錠である、前記〔11〕〜〔13〕のいずれかに記載
のミルナシプラン製剤;
〔15〕前記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載されたミルナシプラン含有組成物がカプ
セルに充填されたミルナシプラン製剤;
〔16〕前記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載されたミルナシプラン含有組成物がヒド
ロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルに充填されたミルナシプラン製剤

〔17〕薬学的に許容される添加剤及び薬学的に許容される結合剤を造粒して多孔質担体
を形成させ、続いてミルナシプラン溶液を添加した後乾燥することにより、多孔質担体中
にミルナシプラン又はその塩が存在せしめられたミルナシプラン含有組成物の製造方法;
〔18〕ミルナシプランまたはその塩が多孔質担体中に存在せしめられることを特徴とす
るミルナシプラン製剤の安定化方法;
〔19〕ミルナシプランまたはその塩が多孔質担体中に存在せしめられることを特徴とす
るミルナシプラン糖衣錠の溶出安定化方法;
〔20〕フィルムで被覆されたミルナシプラン製剤錠剤において、ミルナシプランまたは
その塩が多孔質担体中に存在せしめられることを特徴とする該ミルナシプラン製剤錠剤の
フィルム剥がれ抑止方法;
〔21〕ミルナシプランまたはその塩が多孔質担体中に存在せしめられることを特徴とす
るミルナシプラン製剤錠剤の付着性増大の抑止方法;
〔22〕粉末状であるミルナシプラン製剤の粉末の流動性低下の抑止方法であって、ミル
ナシプランまたはその塩が多孔質担体中に存在せしめられることを特徴とする方法;
〔23〕ミルナシプランまたはその塩が多孔質担体中に存在せしめられたミルナシプラン
含有組成物がカプセル中に充填されることを特徴とするミルナシプランカプセル製剤の表
面のべとつきの抑止方法;
〔24〕ミルナシプランまたはその塩が、塩酸ミルナシプランである前記〔18〕〜〔2
3〕に記載のミルナシプラン製剤の安定化方法;
〔25〕ミルナシプランまたはその塩を含有するミルナシプラン製剤の安定性を向上させ
るための多孔質担体の使用。
〔26〕ミルナシプランまたはその塩が、塩酸ミルナシプランである前記〔25〕に記載
の多孔質担体の使用;
〔27〕ミルナシプラン又はその塩と薬学的に許容される担体とを混合してできた粉体が
HPMCカプセルに充填されていることを特徴とするミルナシプラン製剤;
〔28〕前記〔14〕に記載のミルナシプラン糖衣錠の溶出試験方法において、日本薬局
方溶出試験第2法における撹拌時にベッセル底部中央にミルナシプラン糖衣錠を滞留させ
ないことを特徴とする方法;
〔29〕前記〔28〕に記載のミルナシプラン糖衣錠の溶出試験方法において、ベッセル
底部中央に凸部を有するベッセルを用いることを特徴とする方法;
〔30〕前記〔28〕に記載のミルナシプラン糖衣錠の溶出試験方法において、ベッセル
底部中央に、ディスクを静置させた容器を用いることを特徴とする方法;
〔31〕前記〔28〕〜〔30〕に記載のミルナシプラン糖衣錠の溶出試験方法において
、回転数75rpm以上を用いることを特徴とする方法;
〔32〕ミルナシプランまたはその塩と、D-マンニトール、コーンスターチ、部分アル
ファ化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセル
ロース、カルメロース、及びリン酸水素カルシウムからなる群より選ばれる物質を少なく
とも1種類以上含むミルナシプラン含有組成物。
本発明によれば、高湿度下の保存においてもミルナシプラン製剤のべとつき若しくは付
着、変形、変色、破損、固結、凝集等が防止でき、また、溶出の安定したミルナシプラン
製剤を提供することができる。
1.ミルナシプラン又はその塩が多孔質担体に存在せしめられた組成物を含有するミルナ
シプラン製剤
本発明において、ミルナシプランとは、F2207、TN−912、ダルシプラン、ミ
ダルシプラン、又はミダリプランの別名でも知られており、その化学名は、(±)−シス
−2−アミノメチル−N,N−ジエチル−1−フェニルシクロプロパンカルボキサミドで
ある。ミルナシプランは公知の方法により合成することができる(メルクインデックス第
12版、エントリー6281)。
また、ミルナシプランの塩としては、ミルナシプランと塩を形成する酸性物質との塩で
あれば特に限定されないが、薬学的に許容できる塩であることが好ましい。薬学的に許容
できる塩とは薬学的に許容される酸性物質と形成される塩であれば限定されないが、例え
ば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、
コハク酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、
p−トルエンスルホン酸塩や、樟脳スルホン酸塩、又はマンデル酸塩等が例示される。そ
の中でも塩酸塩が好ましい。該塩酸塩は塩酸ミルナシプラン又はミルナシプラン塩酸塩と
呼ばれることがある。
本発明において、多孔質担体はその表面及び内部に微細な空隙を有し、大きな比表面積
を有するものであるが、表面又は内部に物質を担持することができるものであれば特に限
定されない。
ミルナシプランまたはその塩が存在せしめられる多孔質担体としては特に限定されない
が、多孔質担体を形成する成分(薬学的に許容される添加剤)自体が多孔質であってもよ
いし、多孔質担体を形成する成分が凝集することで多孔質となったものでもよい。
多孔質担体を形成する成分(薬学的に許容される添加剤)としては薬学的に許容される
ものが好ましく、例えば、無機化合物としては無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カ
ルシウム、カオリン、含水二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、軽質
無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイソウ土、合成ケイ酸アルミニウム
、乾燥水酸化アルミニウムゲル、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、ベ
ントナイト、硫酸カルシウム、活性炭又はメソポーラスシリカなどが例示される。無水リ
ン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、含水二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、ケ
イ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、又はメタケイ酸アルミン酸マグネシウムがより好ま
しく、無水リン酸水素カルシウム又はリン酸水素カルシウムがさらに好ましく、無水リン
酸水素カルシウムが特に好ましい例として挙げられる。
また、多孔質担体を形成する成分は、該成分からなるミルナシプラン含有組成物につい
て一定条件下で保存した時に生成する分解物の量の少なさの観点から選択することもでき
、分解物の量が少なくなるような多孔質成分を選択することが好ましい。例えば、一定条
件下とは通常、貯蔵方法として示される環境と保存期間であり、25℃、相対湿度60%
で36ヶ月の保存が挙げられる。また、短期的には40℃、相対湿度75%で6ヶ月の保
存が挙げられ、さらに短期的には60℃、2週間での保存が挙げられる。
分解物量の測定方法は特に限定されないが、通常、紫外線吸光光度計等の検出器を用い
た液体クロマトグラフ法が例示される。International Conferen
ce on Harmonisation(ICH)の「新有効成分含有医薬品のうち製
剤の不純物に関するガイドラインについて」では、貯蔵方法として記載される保存条件で
行われた安定性試験において認められた分解生成物で、0.5%以上のものは安全性まで
も確認することが必要となっていることから、一定条件下で保存した時に生成する分解生
成物の量は0.5%未満であることが好ましい。無水リン酸水素カルシウムを多孔質担体
として用いた本発明のミルナシプラン製剤は、60℃で2週間の保存条件で分解生成物は
0.1%未満を示した。
有機物の多孔質担体を形成する成分(薬学的に許容される添加剤)としては、スターチ
類もしくはその造粒物、結晶セルロースもしくはその造粒物、セルロース誘導体、デキス
トリン、乳糖又はメタクリル酸ラウリルなどが例示される。
多孔質担体を形成する成分(薬学的に許容される添加剤)の最も好ましい例として、無
水リン酸水素カルシウムが例示される。無水リン酸水素カルシウムはスプレードライする
ことにより製造された多孔質のものがより好ましい。
本発明において、ミルナシプランを多孔質担体中に存在せしめる方法としては、得られ
たミルナシプラン含有組成物が安定化されていれば特に限定されない。例えば、直接多孔
質担体に吸着させる方法としては、後述する噴霧吸着法、混合吸着法、噴霧乾燥吸着法が
挙げられ、また、多孔質担体を形成させながら吸着する方法としては湿式造粒法等が挙げ
られる。
また本発明において「安定化された」とは製剤のべとつき、付着性、変色(外観上の変
化)の度合い、凝集の程度等が小さい状態が挙げられる。また、溶出試験の際に製剤から
のミルナシプランの溶出のばらつきが小さい状態も「安定化された」に包含される。
本発明のミルナシプラン含有組成物は、例えば、溶媒に溶解したミルナシプランを多孔
質担体に吸着させ、乾燥した後、常法により製造することができる。
ミルナシプランの多孔質担体への吸着においては、ミルナシプランの溶液を調整する必
要があるが、ミルナシプランを溶解する溶媒としては毒性が低いものが好ましく、薬学的
に許容される溶媒がさらに好ましい。この溶媒としては、例えば、水、エタノール、メタ
ノール、アセトンなどが挙げられ、好ましくは水である。また、これらの溶媒を2種類以
上混合して用いることも好適である。ミルナシプランを溶解する溶媒の量は、ミルナシプ
ランが溶解していればよく、特に限定されないが、例えば、ミルナシプラン1重量部に対
して、下限としては0.5重量部以上、好ましくは1.0重量部以上、さらに好ましくは
2.0重量部以上が例示される。また、上限としては、余りに溶媒の量を多量とすると製
造時間がかかるなどの支障をきたすことから、通常5重量部以下、好ましくは3重量部以
下が例示される。
ミルナシプランを多孔質担体に吸着させる際の多孔質担体の配合量は、適宜の量を選択
できる。製剤化するに当たり、有効成分であるミルナシプランの一製剤中の量は、適応症
、患者の症状により変更可能であるが、通常は10〜100mgである。この量のミルナ
シプランを吸着させる多孔質担体の量は一製剤中25〜250mgが例示される。一製剤
中に含有されるミルナシプランのさらに好ましい量は、15〜25mgであり、この量の
ミルナシプランを吸着させる多孔質担体の好ましい量は一製剤中40〜80mgである。
一製剤中に含有されるミルナシプランを吸着させる多孔質担体の種類は1種類でも構わな
いが、数種類を含有しても差し支えない。
ミルナシプランを直接多孔質担体に吸着させる方法は特に限定されないが、i)ミルナ
シプランの溶液、又はミルナシプランの溶液に薬学的に許容される担体を含有せしめた溶
液または懸濁液のいずれかを多孔質担体に噴霧吸着させ、その後、乾燥させるか(噴霧吸
着法)、ii)ミルナシプランの溶液を多孔質担体に添加し、混合機で混合することで吸着
させ、その後、乾燥させるか(混合吸着法)、もしくは、iii)ミルナシプランの溶液に
多孔質担体を添加した懸濁液を噴霧乾燥して、吸着する方法(噴霧乾燥吸着法)等が挙げ
られる。
噴霧吸着法としては、具体的には、流動層造粒機(ST−1型:パウレック製)内に多
孔質担体を入れ、流動層造粒機底部からの送風により多孔質担体を浮遊状態にしつつ流動
させ、これにミルナシプランの溶液をスプレーノズルにより噴霧し、吸着させ、そのまま
流動層造粒機内で乾燥する方法が挙げられる。多孔質担体を流動させ、ミルナシプランの
溶液を噴霧吸着させる時の送風給気温度は、特に限定されないが、通常20〜60℃であ
り、特に好ましくは30〜50℃である。また、乾燥する時の温度は、ミルナシプランが
分解など起こさない温度であれば特に限定されないが、通常70〜80℃である。
混合吸着法としては、具体的にはミルナシプランを含有せしめた溶液を多孔質担体に添
加し、V型混合機やロッキングミキサー等の通常製剤の製造で使用される混合機で混合し
、その後、流動層造粒機で乾燥する方法が挙げられる。
より詳細に説明すると、混合吸着法は、具体的には多孔質担体をV型混合機やロッキン
グミキサー等の通常製剤の製造で使用される混合機に投入し、これにミルナシプランを含
有せしめた溶液を添加し、混合機を回転させてミルナシプランを多孔質担体に混合吸着さ
せる方法である。混合吸着後はミルナシプランを吸着させた多孔質担体を乾燥させる必要
がある。乾燥は、流動層造粒機内で送風しながら浮遊状態にし、流動させることで乾燥す
る方法や、棚式乾燥機内で送風しながら乾燥させる方法が挙げられる。
乾燥する時の温度は、ミルナシプランが分解など起こさない温度であれば特に限定され
ないが、通常70〜80℃である。
噴霧乾燥吸着法としては、例えば、スプレードライヤー(OCA−8型:大川原化工機
製)で噴霧乾燥させる方法が挙げられる。
より詳細に説明すると、噴霧乾燥吸着法は、具体的にはミルナシプランを水に溶解させ
、この水溶液に多孔質担体を添加し、攪拌してスラリー状にしたものを、例えば、スプレ
ードライヤー(OCA−8型:大川原化工機製)を用いて高温の雰囲気中にスプレーし、
乾燥させてミルナシプランが吸着した多孔質担体粉末を得る方法である。
スプレーして乾燥させる時の温度はミルナシプランが分解など起こさない温度であれば
特に限定されないが、通常100〜200℃、好ましくは150〜180℃である。
また、多孔質を形成させながらミルナシプランを多孔質担体に存在せしめることもでき
る。その方法として、湿式造粒法が挙げられる。本発明における湿式造粒法としては、例
えば撹拌造粒法又は流動層造粒法が挙げられるがこれらに限定されることはない。
撹拌造粒法は、適当な薬学的に許容される添加剤、すなわち前述した多孔質担体を形成
する成分と適当な薬学的に許容される結合剤、例えばアルファ化デンプン、プルラン、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース、アラビアゴム等の溶液を添加して攪拌造粒してまず
多孔質担体を形成させ、それにミルナシプラン溶液を添加して撹拌後乾燥する方法である
。この場合、造粒工程で攪拌造粒機、乾燥工程で流動層造粒機といった2つの製造設備が
必要となる。
また、流動層造粒法は、流動層造粒機を用いて多孔質担体を形成する成分から多孔質担
体を形成させつつ、該多孔質担体を気流中で流動させながらミルナシプランを含有せしめ
た溶液を該多孔質担体に噴霧吸着しそのまま乾燥する方法であり、吸着から乾燥まで1つ
の製造設備で行うことができるようになることから、製造工程が簡略化できるとともに製
造コストの削減が可能となる。
多孔質担体が形成されたかどうかは、造粒物を取り出し、電子顕微鏡等により粒子の状
態を直接観察するか、又はガス吸着法や水銀圧入法等により、造粒物の比表面積を測定す
ることで確認することができる。
このようにして得られた本発明のミルナシプラン含有組成物は、そのまま、又はさらに
薬学的に許容される担体を添加して本発明のミルナシプラン製剤とすることができる。該
ミルナシプラン製剤は、べとつき若しくは付着、変形、破損、固結、又は凝集等の劣化が
防止された安定な製剤である。製剤の形態としては、例えば、顆粒剤、散剤、粉末、フィ
ルムコーティング錠、カプセル、糖衣錠等が挙げられるがこれらに限定されることはない
。該製剤は安定化されていれば特に限定されないが、該製剤全体に含まれるミルナシプラ
ン又はその塩の80%以上がミルナシプラン含有組成物中に存在することが好ましく、8
5%以上存在することがより好ましく、90%以上存在することがさらに好ましく、95
%以上存在することが特に好ましく、99%以上存在することが最も好ましい。
本発明のミルナシプラン含有組成物を錠剤にする場合には、上記の方法で製造したミル
ナシプラン含有組成物を常法により打錠してもよいが、常法によりミルナシプランの吸着
粉体と薬学的に許容される担体を均一に混合したのち、そのまま、または適宜造粒したの
ち打錠することで得ることもできる。
錠剤は服用に際して支障のない大きさであることが好ましく、この場合1錠の重量は通
常50〜300mgであり、好ましくは100〜200mgである。また、錠剤の大きさ
は通常直径5mm〜10mmであり、好ましくは6mm〜8mmである。
このようにして得られた錠剤は、適当なコーティング基剤などでフィルムコーティング
を施すことにより、フィルムコーティング錠としてもよいし、糖衣を施すことにより糖衣
錠としてもよい。
フィルムコーティングする方法としては、例えば廣川書店発行の医薬品の開発、第12
巻、製剤素材Ι、第2章、2.1.5コーティング剤の項に例示されているようなコーテ
ィング基剤を溶解した液を、ミルナシプランを含有する錠剤にスプレー等で噴霧し、乾燥
させる方法が好ましい例として挙げられる。これを行う装置としては、スプレーガン、パ
ンおよび送風機などからなるフィルムコーティング機を用いることが好ましく、例えばド
リアコーター(パウレック社製)などが例として挙げられる。
また、このフィルムコーティングに使用されるコーティング基剤には、その物性や目的
に合わせて、その他の物質を添加することができる。例えば、可塑剤、分散剤、着色剤な
どの薬学的に許容される物質を適宜選択して、前述のコーティング基剤と組み合わせてフ
ィルムコーティングするのに使用できる。フィルムコーティングする量としてはミルナシ
プランを含有する素錠の重量に対して、コーティング基剤の合計重量が1〜20%、好ま
しくは2〜10%の範囲であることが望ましい。
錠剤に糖衣を行う方法としては、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースナトリウム、ポリエチレング
リコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、プルラン、又はトラガントな
どの結合剤や沈降炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、結晶セルロース、乳酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム、又はベントナイトなどの固形分を含有するシロップ液を、ミルナシ
プランを含有する錠剤に滴下し、展延させ錠剤のエッジを埋め、丸みを持った形状にした
後、ショ糖、D−マンニトール、エリスリトール、又はマルチトール等のシロップ液を滴
下し、展延させ錠剤表面を滑らかにする一連の方法が例示される。
糖衣する量としてはミルナシプランを含有する素錠の重量に対して、糖衣部分の合計重
量が10〜150%、好ましくは20〜100%の範囲であることが望ましい。また、糖
衣層の厚さとしては0.1〜1.5mm、好ましくは0.4〜1.0mmの範囲であるこ
とが望ましいがこれらに限定されない。
糖衣を行う装置としては、パンおよび送風機などからなる糖衣機を用いることが好まし
い。また、フィルムコーティング同様ドリアコーター(パウレック社製)などでも製造が
可能である。
このようにして調製された糖衣錠は単にミルナシプランと薬学的に許容される担体と均
等混和したものから調製した錠剤に糖衣を施したものとくらべ、溶出試験において、個々
の錠剤からの溶出のばらつきを小さくすることができる。溶出のばらつきとは、溶出速度
のばらつきのことである。
本発明において「カプセル」は特に限定されないが、ゼラチンカプセル又はHPMCカ
プセル等が例示される。カプセル剤は、本発明のミルナシプランの多孔質担体吸着粉体と
薬学的に許容される担体とを均一に混合したものをゼラチンカプセルなどの硬カプセルに
充填することで得ることができる。カプセル剤は服用に際して支障のない大きさであるこ
とが好ましく、この場合1カプセル中に充填される粉体の量は通常50〜300mgであ
り、好ましくは100〜200mgである。また、硬カプセルの大きさは通常1号〜5号
であり、好ましくは2号〜4号である。
このようにして調製されたカプセル剤は溶出試験において、ミルナシプランと薬学的に
許容される多孔質でない担体とを均一に混合した粉体を、ゼラチンカプセル又はHPMC
カプセルなどの硬カプセルに充填することで得られたカプセル剤と比べ、より速やかな溶
出を示すので、ミルナシプランの多孔質担体吸着粉体を用いるほうが好ましい。また、ミ
ルナシプランの多孔質担体吸着粉体を含有する混合粉体をカプセルに充填することにより
、高湿度下で保存された場合でも付着性が低減された安定化されたミルナシプラン製剤を
得ることができる。カプセルとしては特に限定されないが、ゼラチンカプセル又はHPM
Cカプセル等が例示され、ゼラチンカプセルよりHPMCカプセルの方が安定性が良いの
で、HPMCカプセルがより好ましい。
本発明により、前記方法によりミルナシプランまたはその塩を多孔質担体中に存在せし
めることにより、ミルナシプラン製剤を安定化する方法が提供される。具体的には、多孔
質担体に存在せしめられたミルナシプランを含有するミルナシプラン製剤の、べとつき、
製剤どうしの付着、包装容器への付着を防止及び/又は改善することができ、該ミルナシ
プラン製剤がフィルムコーティング錠の場合、該錠剤のフィルム剥がれによる破損を抑止
することができる等、ミルナシプラン製剤の劣化を防ぐ及び/又は安定化することができ
る。
本発明により、べとつき又は付着性が改善されたミルナシプラン製剤が提供され、特に
好ましくは、べとつきが改善されたミルナシプラン製剤が提供される。本発明のミルナシ
プラン製剤は高湿度下でも安定に保存することができる。例えば本発明のミルナシプラン
製剤は相対湿度92%で1日間保存してもべとつきなどの製剤の劣化を起こさず安定に保
存可能であり、相対湿度86%では1週間保存してもべとつきなどの製剤の劣化を起こさ
ず安定に保存可能である。また、該ミルナシプラン製剤が顆粒、散剤、粉末である場合、
固結、凝集、又は流動性の低下を抑止することができ、さらにカプセル剤の場合には、該
カプセル剤のカプセル表面のべとつきを抑止することができる。カプセルとしては特に限
定されないが、ゼラチンカプセル又はHPMCカプセル等が例示され、HPMCカプセル
がより好ましい。
また、ミルナシプラン又はその塩を含有するミルナシプラン製剤の安定性を向上させる
ための多孔質担体の使用も本発明の範囲内である。多孔質担体としては、前記の多孔質担
体を形成する成分により形成されたものが好ましい。
ミルナシプランを含有する顆粒剤や散剤の製剤劣化の指標として流動性が挙げられる。
この流動性は顆粒剤や散剤の安息角を測定することで評価することができる。例えば高湿
度で顆粒剤や散剤を保存する前後でこの安息角を測定し、保存前より安息角が大きければ
流動性が悪化したということになる。安息角が大きい顆粒剤や散剤は、容器からの取り出
しが困難になり服用する際の障害になる。この安息角は特に限定されないが、三輪式円筒
回転法安息角測定器などを用いることにより計測することができる。
ミルナシプランを含有する錠剤及び/又はカプセル剤の製剤劣化の指標として付着性及
び/又はべとつきが挙げられる。この付着性及び/又はべとつきは凹凸の無い滑らかなガ
ラス板の上に錠剤を置き、これを徐々に傾けていき、錠剤及び/又はカプセル剤が滑り落
ちる角度を測定することで評価することができる。例えば高湿度で錠剤及び/又はカプセ
ル剤を保存する前後でこの錠剤及び/又はカプセル剤が滑り落ちる角度を測定し、保存前
より錠剤及び/又はカプセル剤が滑り落ちる角度が大きくなれば付着性が悪化したという
ことになる。付着性/又はべとつきが増した錠剤及び/又はカプセル剤は、容器や薬袋に
付着したりし、取り出しが困難になり、ひいては錠剤及び/又はカプセル剤の破損にもつ
ながる。
2.HPMCカプセルに充填されたミルナシプラン製剤
また、本発明によりミルナシプラン又はその塩と薬学的に許容される担体とを混合して
できた組成物がHPMCカプセルに充填されたミルナシプラン製剤も提供される。
「ミルナシプラン又はその塩と薬学的に許容される担体とを均一に混合してできた組成
物」は、前記1.に示したように多孔質担体中にミルナシプランが存在せしめられた組成
物であってもよく、又は多孔質担体を含有せずミルナシプラン又はその塩が多質担体中に
存在せしめられていない組成物であってもよく、HPMCカプセル中に充填されていれば
、充填されるミルナシプラン含有組成物は特に限定されないが、ミルナシプラン又はその
塩が多孔質担体中に存在せしめられていることが好ましい。また、ミルナシプラン又はそ
の塩が多孔質担体中に存在せしめられていないことが好ましい別の態様もある。このよう
にHPMCカプセルに充填されたミルナシプラン製剤は、高湿度下での安定性が高く、具
体的にはカプセル表面のべとつき又は付着が改善されている。
ミルナシプラン又はその塩と薬学的に許容される担体とを均一に混合する際に使用され
る装置は、通常製剤の製造に使用されるものであれば特に限定されないが、例えばV型混
合機やロッキングミキサーなどが例示される。また、前述のように均一混合された混合物
を、通常製剤の製造に使用される造粒機などを用いることにより適宜造粒したものをHP
MCカプセルに充填することもできる。HPMCカプセルに充填されたミルナシプランを
含有する粉体については、多孔質担体に存在せしめられたものに限定されることはなく、
ミルナシプラン又はその塩と薬学的に許容される担体とを均一に混合してできた粉体であ
ってもよい。
ミルナシプランを含有するカプセル剤の製剤劣化の指標として付着性及び/又はべとつ
きが挙げられる。この付着性及び/又はべとつきは凹凸の無い滑らかなガラス板の上にカ
プセル剤を置き、これを徐々に傾けていき、カプセル剤が滑り落ちる角度を測定すること
で評価することができる。例えば高湿度でカプセル剤を保存する前後でこのカプセル剤が
滑り落ちる角度を測定し、保存前よりカプセル剤が滑り落ちる角度が大きくなれば付着性
及び/又はべとつきが悪化したということになる。付着性及び/又はべとつきが増したカ
プセル剤は、容器や薬袋に付着したりし、取り出しが困難になり、ひいてはカプセル剤の
破損にもつながる。
3.ミルナシプラン又はその塩が多孔質担体に存在せしめられた組成物を含有するミルナ
シプラン糖衣錠の、溶出が安定化された溶出試験方法
本発明により、前記1.で示されたミルナシプラン又はその塩が多孔質担体に存在せし
められた組成物を含有するミルナシプラン糖衣錠は、溶出が安定化され、溶出速度にばら
つきがない。本発明では、ミルナシプラン糖衣錠の、溶出試験方法も提供される。
ミルナシプラン製剤の中で、糖衣錠に関しては溶出試験の際、パドルの回転軸の直下に
落下した場合、錠剤からのミルナシプランの溶出が顕著に遅くなる。また、落下位置の微
妙なずれが影響し、錠剤ごとの溶出にばらつきが生じる。溶出試験は、内用固形製剤の品
質を一定水準に確保するための評価を目的としていることから、このような落下位置の微
妙なずれが試験結果に影響を及ぼすことがあってはならない。通常、ミルナシプランを含
有する製剤の溶出試験は日本薬局方の一般試験方法に記載の溶出試験法第2法(パドル法
)にしたがい、試験液には37℃に保たれた水を用い、パドルの回転数は50rpmで実
施することができる。通常パドル法の場合、パドルの攪拌翼の先端付近ほど試験液の流速
は速く、回転軸に近づくほど流速は遅くなり、回転軸の直下の流速が最も遅いと考えられ
る。溶出試験の際、試験液の流速、つまりベッセル内における錠剤などの製剤の落下位置
がその製剤の崩壊に影響を与える場合、製剤からの薬物の溶出が遅くなると考えられる。
本発明の溶出試験方法により、前記1.で示されたミルナシプラン又はその塩が多孔質担
体に存在せしめられた組成物を含有するミルナシプラン糖衣錠の溶出を安定化することが
できる。
本発明の溶出試験について具体的に説明すると、ミルナシプラン含有糖衣錠の場合、溶
出試験の際、落下位置が影響することなく結果を評価できるパドルの回転数は下限として
は75rpm以上が好ましく、80rpm以上がより好ましく、85rpm以上がさらに
好ましい。上限としては特に限定されることはないが、200rpm以下が好ましく、1
50rpm以下がより好ましく、100rpm以下がさらに好ましい。また、ミルナシプ
ラン含有糖衣錠の溶出試験をする際に、パドル回転数50rpmで試験しなければならな
い場合には、パドルの回転軸の直下に糖衣錠が落下しないような、凸部を有するベッセル
であるピークベッセル(Vankel社製)を用いることで適切な溶出評価を行うことが
できる。ピークベッセルが使用できないような場合は、適当な大きさのディスクをベッセ
ルの最低部に設置することでピークベッセルを使用する時と同様な溶出評価を行うことが
できる。ディスクの大きさは特に限定されないが直径3〜20mm、高さ3〜15mmの
円形のものが例示され、直径5〜15mm、高さ3〜10mmの円形のものがより好まし
く、直径8〜12mm、高さ4〜6mmの円形のものがさらに好ましい。パドル回転数7
5rpm以上で試験する場合には、ピークベッセル又はディスクの存在は必要ないが、ピ
ークベッセル又はディスクの存在下で試験を行うこともできる。
このように本発明は、本発明の糖衣錠のミルナシプラン製剤の溶出を安定化させる溶出
試験方法を提供することができる。
4.変色が防止されたミルナシプラン含有組成物及び/又はミルナシプラン製剤
また、本発明により、保存中外観上の変化が防止されたミルナシプラン含有組成物及び
/又はミルナシプラン製剤が提供される。外観の変化又は変色が防止されたミルナシプラ
ン含有組成物及び/又はミルナシプラン製剤は、ミルナシプランと、薬学的に許容される
ものでミルナシプランと経時的に相互作用を起こさない添加剤とを組み合わせ、混合機等
で混合することにより得ることができる。例えば、顆粒剤、散剤や錠剤等の製剤にする場
合には他に添加剤を添加してもよく、それらは特に限定されないが、薬学的に許容される
ものでミルナシプランと経時的に相互作用を起こさない添加剤との組み合わせが好ましい
ミルナシプランと経時的に相互作用を起こさない好ましい添加剤としては、D-マンニ
トール、コーンスターチ、部分アルファ化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウ
ム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、又はリン酸水素カルシウム
が例示され、さらに好ましくはD-マンニトール、コーンスターチ、部分アルファ化デン
プン、カルボキシメチルスターチナトリウム、又はリン酸水素カルシウムが例示され、特
に好ましくはD-マンニトール又はリン酸水素カルシウムが例示される。これらのミルナ
シプランと経時的に相互作用を起こさない好ましい添加剤は、1種類で用いてもよいし、
2種類以上を組み合わせて用いることもできるが1種類であることが好ましい。また2種
類以上が好ましい別の態様もある。
「保存中外観上の変化が防止されたミルナシプラン含有組成物」における「ミルナシプ
ラン含有組成物」は、前記1.に示したように多孔質担体中にミルナシプランが存在せし
められた組成物であってもよく、又は多孔質担体を含有せずミルナシプラン又はその塩が
多孔質担体中に存在せしめられていない組成物であってもよく、ミルナシプラン又はその
塩が多孔質担体中に存在せしめられているか否かは特に限定されない。
外観上の変化としては変色が例示され、変色の度合いは色差計などを用いて色差(ΔE
)を測定することで求めることができる。NBS単位によればΔEが3.0を超えると感
知し得る色調の変化であるとされている。ミルナシプラン含有組成物の場合、60℃で2
週間保存した後のΔEが3.0以下であることが好ましい。
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実
施例に何ら限定されるものではない。
以下の[実施例1−1]から[実施例1−11]は、いずれも多孔質担体中にミルナシ
プラン塩が存在せしめられたミルナシプラン含有組成物を用いて製造されたミルナシプラ
ン製剤に関する。
[実施例1−1]
塩酸ミルナシプラン(ピエール・ファーブル製)150gを精製水84gに溶解し、こ
れをスプレードライ法により製造された多孔質の無水リン酸水素カルシウム375g(富
士化学工業製、商品名、フジカリン)に添加し、V型混合機で30分間混合吸着させた後
取り出し、50℃で15時間静置乾燥し、710μmのメッシュを通し吸着末を得た。こ
の吸着末437.5gにカルメロースカルシウム(五徳薬品製、商品名、ECG−505
)50g、軽質無水ケイ酸(フロイント産業製、商品名、アドゾリダ−101)2.5g
を加え、V型混合機で10分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム(太平化学製、
商品名、ステアリン酸マグネシウム)10gを加えて5分間混合し、打錠末を得た。これ
を直径6mm、8Rの臼杵を用いて打錠し、塩酸ミルナシプランを25mg含有する1錠
あたり100mgの錠剤(素錠)を得た。
[実施例1−2]
塩酸ミルナシプラン(ピエール・ファーブル製)150gを精製水84gに溶解し、こ
れをスプレードライ法により製造された多孔質の無水リン酸水素カルシウム375g(富
士化学工業製、商品名、フジカリン)に流動層造粒機を用いて給気温度40℃で噴霧し、
噴霧終了後、給気温度を70℃に上げ、排気温度が40℃になるまで乾燥した。その後粉
体を流動層造粒機から取り出し、710μmのメッシュを通し吸着末を得た。この吸着末
437.5gにカルメロースカルシウム(五徳薬品製、商品名、ECG−505)50g
、軽質無水ケイ酸(フロイント産業製、商品名、アドゾリダ−101)2.5gを加え、
V型混合機で10分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム(太平化学製、商品名、
ステアリン酸マグネシウム)10gを加えて5分間混合し、打錠末を得た。これを直径6
mm8Rの臼杵を用いて打錠し、塩酸ミルナシプランを25mg含有する1錠あたり10
0mgの錠剤(素錠)を得た。
[実施例1−3]
塩酸ミルナシプラン(ピエール・ファーブル製)25gを精製水14gに溶解し、これ
を多孔質のケイ酸マグネシウム62.5g(協和化学工業製、商品名、ケイ酸マグネシウ
ム)に添加し、V型混合機で30分間混合吸着させた後取り出し、50℃で12時間静置
乾燥し、710μmのメッシュを通し吸着末を得た。この吸着末に低置換度ヒドロキシプ
ロピルセルロース(信越化学工業製、商品名、LH−31)10.5gを加え、V型混合
機で10分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム(太平化学製、商品名、ステアリ
ン酸マグネシウム)2gを加えて5分間混合し、これを直径6mm、8Rの臼杵を用いて
打錠し、塩酸ミルナシプランを25mg含有する1錠あたり100mgの錠剤(素錠)を
得た。
[実施例1−4]
塩酸ミルナシプラン(ピエール・ファーブル製)25gを精製水14gに溶解し、これ
を多孔質のケイ酸カルシウム62.5g(エーザイ製、商品名、フローライトRE)に添
加し、V型混合機で30分間混合吸着させた後取り出し、50℃で12時間静置乾燥し、
710μmのメッシュを通し吸着末を得た。この吸着末に低置換度ヒドロキシプロピルセ
ルロース(信越化学工業製、商品名、LH−31)10.5gを加え、V型混合機で10
分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム(太平化学製、商品名、ステアリン酸マグ
ネシウム)2gを加えて5分間混合し、これを直径8mm、12Rの臼杵を用いて打錠し
、塩酸ミルナシプランを25mg含有する1錠あたり100mgの錠剤(素錠)を得た。
[実施例1−5]
精製水875mlにヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、商品名、TC
−5RW)67gを溶解し、タルク(林化成製)30g、酸化チタン(和光純薬製、商品名
、二酸化チタン)10g、エチルセルロース水分散液(旭化成製、商品名、アクアコート
)33.35g、クエン酸トリエチル(森村商事製、商品名、シトロフレックス2)8g
を分散させた液を、実施例1−1で得られた錠剤(素錠)に、コーティング機(パウレッ
ク製、ドリアコーターDRC−300)で5mgコーティングし、1錠105mgのフィ
ルムコーティング錠を得た。
[実施例1−6]
精製水875mlにヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、商品名、TC
−5RW)67gを溶解し、タルク(林化成製)30g、酸化チタン(和光純薬製、商品名
、二酸化チタン)10g、エチルセルロース水分散液(旭化成製、商品名、アクアコート
)33.35g、クエン酸トリエチル(森村商事製、商品名、シトロフレックス2)8g
を分散させた液を、実施例1−2で得られた錠剤(素錠)に、コーティング機(パウレッ
ク製、ドリアコーターDRC−300)で5mgコーティングし、1錠105mgのフィ
ルムコーティング錠を得た。
[実施例1−7]
塩酸ミルナシプラン(ピエール・ファーブル製)125gを精製水70gに溶解し、こ
れをスプレードライ法により製造された多孔質の無水リン酸水素カルシウム315g(富
士化学工業製、商品名、フジカリン)に流動層造粒機を用いて給気温度40℃で噴霧し、
噴霧終了後、給気温度を70℃に上げ、排気温度が40℃になるまで乾燥した。その後粉
体を流動層造粒機から取り出し、710μmのメッシュを通し散剤を得た。
[実施例1−8]
実施例1−1で得られた打錠末を4号ゼラチンカプセル(シオノギクオリカプス製、商
品名、Qualicapsゼラチン)に100mg充填し、1カプセル当たり塩酸ミルナ
シプラン25mgを含有するカプセル剤を得た。
[実施例1−9]
実施例1−1で得られた打錠末を4号HPMCカプセル(シオノギクオリカプス製、商
品名、QUALI−V)に100mg充填し、1カプセル当たり塩酸ミルナシプラン25
mgを含有するカプセル剤を得た。
[実施例1−10]
実施例1−2で得られた打錠末を3号ゼラチンカプセル(シオノギクオリカプス製、商
品名、Qualicapsゼラチン)に100mg充填し、1カプセル当たり塩酸ミルナ
シプラン25mgを含有するカプセル剤を得た。
[実施例1−11]
実施例1−2で得られた打錠末を3号HPMCカプセル(シオノギクオリカプス製、商
品名、QUALI−V)に100mg充填し、1カプセル当たり塩酸ミルナシプラン25
mgを含有するカプセル剤を得た。
[比較例1−1]
塩酸ミルナシプラン(ピエール・ファーブル製)125g、微粒子状の無水リン酸水素
カルシウム(協和化学製、商品名、無水リン酸水素カルシウムGS)312.5g、カル
メロースカルシウム(五徳薬品製、商品名、ECG−505)25gをハイスピードミキ
サー(深江パウテック製)に投入し、ブレード回転数670rpm、クロススクリュー回
転数2000rpmで3分間混合し、これに50%エタノール水溶液30gを添加し、ブ
レード回転数、クロススクリュー回転数とも混合時と同じ回転数で3分間攪拌造粒した。
これを流動層造粒機(パウレック製、LAB−1)に投入し、給気温度80℃で乾燥し
、排気温度が50℃になった時点で取り出し、目開き850μmのメッシュを通し整粒を
おこなった。この造粒粉体にカルメロースカルシウム(五徳薬品製、商品名、ECG−5
05)25g、軽質無水ケイ酸(フロイント産業製、商品名、アドゾリダ−101)2.
5gを加え、V型混合機で10分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム(太平化学
製、商品名、ステアリン酸マグネシウム)10gを加えて5分間混合し、打錠末を得た。
これを直径6mm、8Rの臼杵を用いて打錠し、塩酸ミルナシプランを25mg含有する
1錠あたり100mgの錠剤(素錠)を得た。
[比較例1−2]
比較例1−1で得られた錠剤(素錠)に、精製水1750mlにヒドロキシプロピルメ
チルセルロース(信越化学製、商品名、TC−5RW)134gを溶解し、タルク(林化成
製)60g、酸化チタン(東邦チタニウム製、商品名、二酸化チタン)20g、エチルセ
ルロース水分散液(旭化成製、商品名、アクアコート)66.7g、クエン酸トリエチル
(ファイザー製薬製、商品名、シトロフレックス)16gを分散させた液をコーティング
機(パウレック製、ドリアコーターDRC−300)で5mgコーティングし、1錠10
5mgのコーティング錠剤を得た。
[比較例1−3]
塩酸ミルナシプラン(ピエール・ファーブル製)125g、微粒子状の無水リン酸水素
カルシウム(協和化学製、商品名、無水リン酸水素カルシウムGS)315gをハイスピ
ードミキサー(深江パウテック製)に投入し、ブレード回転数670rpm、クロススク
リュー回転数2000rpmで3分間混合し、これに精製水30gを添加し、ブレード回
転数、クロススクリュー回転数とも混合時と同じ回転数で3分間攪拌造粒した。これを5
0℃で8時間静置乾燥し、710μmのメッシュを通し散剤を得た。
[比較例1−4]
塩酸ミルナシプラン(ピエール・ファーブル製)175g、微粒子状の無水リン酸水素
カルシウム(協和化学製、商品名、無水リン酸水素カルシウムGS)204.4g、カル
メロースカルシウム(五徳薬品製、商品名、ECG−505)16.1gをハイスピード
ミキサー(深江パウテック製)に投入し、ブレード回転数670rpm、クロススクリュ
ー回転数2000rpmで3分間混合し、これに50%エタノール水溶液30gを添加し
、ブレード回転数、クロススクリュー回転数とも混合時と同じ回転数で3分間攪拌造粒し
た。これを流動層造粒機(パウレック製、LAB−1)に投入し、給気温度80℃で乾燥
し、排気温度が50℃になった時点で取り出し、目開き850μmのメッシュを通し整粒
をおこなった。この造粒粉体にカルメロースカルシウム(五徳薬品製、商品名、ECG−
505)16.1g、軽質無水ケイ酸(フロイント産業製、商品名、アドゾリダ−101
)1.4gを加え、V型混合機で15分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム(太
平化学製、商品名、ステアリン酸マグネシウム)7gを加えて5分間混合してカプセル充
填末を得た。これを4号ゼラチンカプセル(シオノギクオリカプス製、商品名、Qual
icapsゼラチン)に100mg充填し、1カプセル当たり塩酸ミルナシプラン25m
gを含有するカプセル剤を得た。
[比較例1−5]
比較例1−4で得られたカプセル充填粉末を3号ゼラチンカプセル(シオノギクオリカ
プス製、商品名、Qualicapsゼラチン)に100mg充填し、1カプセル当たり
塩酸ミルナシプラン25mgを含有するカプセル剤を得た。
以下の実施例において、[実施例2−1]と[実施例2−2]は、多孔質でない担体と
の混合粉末をHPMCカプセルに充填した製剤、[実施例2−3]は、多孔質担体中にミ
ルナシプラン塩を存在せしめたミルナシプラン含有組成物をゼラチンカプセルに充填した
製剤、[実施例2−4]は多孔質担体中にミルナシプラン塩を存在せしめたミルナシプラ
ン含有組成物をHPMCカプセルに充填した製剤に関する。
[実施例2−1]
塩酸ミルナシプラン(ピエール・ファーブル製)175g、微粒子状の無水リン酸水素
カルシウム(協和化学製、商品名、無水リン酸水素カルシウムGS)204.4g、カル
メロースカルシウム(五徳薬品製、商品名、ECG−505)16.1gをハイスピード
ミキサー(深江パウテック製)に投入し、ブレード回転数670rpm、クロススクリュ
ー回転数2000rpmで3分間混合し、これに50%エタノール水溶液30gを添加し
、ブレード回転数、クロススクリュー回転数とも混合時と同じ回転数で3分間攪拌造粒し
た。これを流動層造粒機(パウレック製、LAB−1)に投入し、給気温度80℃で乾燥
し、排気温度が50℃になった時点で取り出し、目開き850μmのメッシュを通し整粒
をおこなった。この造粒粉体にカルメロースカルシウム(五徳薬品製、商品名、ECG−
505)16.1g、軽質無水ケイ酸(フロイント産業製、商品名、アドゾリダ−101
)1.4gを加え、V型混合機で15分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム(太
平化学製、商品名、ステアリン酸マグネシウム)7gを加えて5分間混合してカプセル充
填末を得た。これを4号HPMCカプセル(シオノギクオリカプス製、商品名、QUAL
I−V)に100mg充填し、1カプセル当たり塩酸ミルナシプラン25mgを含有する
カプセル剤を得た。
[実施例2−2]
実施例2−1で得られたカプセル充填末を3号HPMCカプセル(シオノギクオリカプ
ス製、商品名、QUALI−V)に100mg充填し、1カプセル当たり塩酸ミルナシプ
ラン25mgを含有するカプセル剤を得た。
[実施例2−3]
塩酸ミルナシプラン(ピエール・ファーブル製)150gを精製水84gに溶解し、こ
れをスプレードライ法により製造された多孔質の無水リン酸水素カルシウム375g(富
士化学工業製、商品名、フジカリン)に流動層造粒機を用いて給気温度40℃で噴霧し、
噴霧終了後、給気温度を70℃に上げ、排気温度が40℃になるまで乾燥した。その後粉
体を流動層造粒機から取り出し、710μmのメッシュを通し吸着末を得た。この吸着末
437.5gにカルメロースカルシウム(五徳薬品製、商品名、ECG−505)50g
、軽質無水ケイ酸(フロイント産業製、商品名、アドゾリダ−101)2.5gを加え、
V型混合機で10分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム(太平化学製、商品名、
ステアリン酸マグネシウム)10gを加えて5分間混合し、打錠末を得た。これを3号ゼ
ラチンカプセル(シオノギクオリカプス製、商品名、Qualicapsゼラチン)に1
00mg充填し、1カプセル当たり塩酸ミルナシプラン25mgを含有するカプセル剤を
得た。
[実施例2−4]
実施例2−3で得られた打錠末を3号HPMCカプセル(シオノギクオリカプス製、商
品名、QUALI−V)に100mg充填し、1カプセル当たり塩酸ミルナシプラン25
mgを含有するカプセル剤を得た。
[比較例2−1]
実施例2−1で得られたカプセル充填末を4号ゼラチンカプセル(シオノギクオリカプ
ス製、商品名、Qualicapsゼラチン)に100mg充填し、1カプセル当たり塩
酸ミルナシプラン25mgを含有するカプセル剤を得た。
[比較例2−2]
実施例2−1で得られたカプセル充填末を3号ゼラチンカプセル(シオノギクオリカプ
ス製、商品名、Qualicapsゼラチン)に100mg充填し、1カプセル当たり塩
酸ミルナシプラン25mgを含有するカプセル剤を得た。
以下の[実施例3−1]及び[実施例3−2]は、糖衣錠に関する。
[実施例3−1]
塩酸ミルナシプラン(ピエール・ファーブル製)240gを精製水134.4gに溶解
し、これをスプレードライ法により製造された多孔質の無水リン酸水素カルシウム280
.32g(富士化学工業製、商品名、フジカリン)に流動層造粒機を用いて給気温度40
℃で噴霧し、噴霧終了後、給気温度を70℃に上げ、排気温度が40℃になるまで乾燥し
た。その後粉体を流動層造粒機から取り出し、710μmのメッシュを通し吸着末を得た
。この吸着末433.6gにカルメロースカルシウム(五徳薬品製、商品名、ECG−5
05)36.8g、軽質無水ケイ酸(フロイント産業製、商品名、アドゾリダ−101)
1.6gを加え、V型混合機で10分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム(太平
化学製、商品名、ステアリン酸マグネシウム)8gを加えて5分間混合し、打錠末を得た
。これを直径5mm、3.5Rの臼杵を用いて打錠し、塩酸ミルナシプランを25mg含
有する1錠あたり60mgの錠剤(素錠)を得た。
得られた素錠326gをコーティング機(パウレック製、ドリアコーターDRC−30
0)に投入し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(信越化学工業製、商品名
、TC−5R)88g、を精製水1169.2gに溶解させた後に、酸化チタン(和光純
薬工業製、商品名、酸化チタン)22gを添加してホモミキサーで均一に分散させて調製
したフィルム溶液をフィルムコーティング機内で噴霧して、フィルム層重量10mgを有
する1錠あたりの錠剤重量が70mgのフィルム錠を得た。得られたフィルム錠に糖衣機
(菊水製作所製)内で糖衣液(ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208(信越化学
工業製、商品名、SB−4)に精製水1050mlを加えて溶解し、つぎに白糖(新三井
製糖製、商品名、AA)630gを加えて溶解させ、さらに沈降炭酸カルシウム(備北粉
化工業製、商品名、沈降炭酸カルシウム)350gを加え、十分攪拌して調製)を約3m
l/回で滴下し、糖衣液を均一にコーティングさせた。ついで給気(温度:60℃)を入
れ、3分間錠剤を乾燥させた。この操作を1錠あたり30mg増量するまで繰り返して糖
衣層を形成させた。ひきつづき糖液(白糖(新三井製糖製、商品名、AA)700gに精
製水470gを加えて溶解させ調製)を約3ml/回で滴下し、糖液を均一にコーティン
グさせた。ついで給気(温度:60℃)を入れ、3分間錠剤を乾燥させた。この操作を1
錠あたり20mg増量するまで繰り返し、1錠あたりの錠剤重量が120mgの糖衣錠を
得た。
[実施例3−2]
塩酸ミルナシプラン(ピエール・ファーブル製)360gを精製水201.6gに溶解
し、これをスプレードライ法により製造された多孔質の無水リン酸水素カルシウム907
.2g(富士化学工業製、商品名、フジカリン)に流動層造粒機を用いて給気温度40℃
で噴霧し、噴霧終了後、給気温度を70℃に上げ、排気温度が40℃になるまで乾燥した
。その後粉体を流動層造粒機から取り出し、710μmのメッシュを通し吸着末を得た。
この吸着末1056gにカルメロースカルシウム(五徳薬品製、商品名、ECG−505
)120gを加え、V型混合機で10分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム(太
平化学製、商品名、ステアリン酸マグネシウム)24gを加えて5分間混合し、打錠末を
得た。これを直径6mm、4.5Rの臼杵を用いて打錠し、塩酸ミルナシプランを25m
g含有する1錠あたり100mgの錠剤(素錠)を得た。
得られた素錠500gをコーティング機(パウレック製、ドリアコーターDRC−30
0)に投入し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(信越化学工業製、商品名
、TC−5R)40gを精製水531.6gに溶解させた後に、酸化チタン(和光純薬工
業製、商品名、酸化チタン)60gを添加してホモミキサーで均一に分散させて調製した
フィルム溶液をフィルムコーティング機内で噴霧して、フィルム層重量5mgを有する1
錠あたりの錠剤重量が105mgのフィルム錠を得た。
得られたフィルム錠にコーティング機(パウレック製、ドリアコーターDRC−300
)内で糖衣液(ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208(信越化学工業製、商品名
、SB−4)に精製水1050mlを加えて溶解し、つぎに白糖(新三井製糖製、商品名
、AA)630gを加えて溶解させ、さらに沈降炭酸カルシウム(備北粉化工業製、商品
名、沈降炭酸カルシウム)350gを加え、十分攪拌して調製)を約3ml/分で2分間
噴霧し、給気なしで糖衣液を均一にコーティングさせた。ついで給気(温度:70℃)を
入れ、3分間錠剤を乾燥させた。この操作を1錠あたり30mg増量するまで繰り返して
糖衣層を形成させた。ひきつづき糖液(白糖(新三井製糖製、商品名、AA)700gに
精製水470gを加えて溶解させ調製)を約3ml/分で2分間噴霧し、給気なしで糖液
を均一にコーティングさせた。ついで給気(温度:70℃)を入れ、3分間錠剤を乾燥さ
せた。この操作を1錠あたり20mg増量するまで繰り返し、1錠あたりの錠剤重量が1
55mgの糖衣錠を得た。
[比較例3−1]
塩酸ミルナシプラン(ピエール・ファーブル製)175g、微粒子状の無水リン酸水素
カルシウム(協和化学製、商品名、無水リン酸水素カルシウムGS)204.4g、カル
メロースカルシウム(五徳薬品製、商品名、ECG−505)16.1gをハイスピード
ミキサー(深江パウテック製)に投入し、ブレード回転数670rpm、クロススクリュ
ー回転数2000rpmで3分間混合し、これに50%エタノール水溶液30gを添加し
、ブレード回転数、クロススクリュー回転数とも混合時と同じ回転数で3分間攪拌造粒し
た。これを流動層造粒機(パウレック製、LAB−1)に投入し、給気温度80℃で乾燥
し、排気温度が50℃になった時点で取り出し、目開き850μmのメッシュを通し整粒
をおこなった。この造粒粉体にカルメロースカルシウム(五徳薬品製、商品名、ECG−
505)16.1g、軽質無水ケイ酸(フロイント産業製、商品名、アドゾリダ−101
)1.4gを加え、V型混合機で15分間混合し、さらにステアリン酸マグネシウム(太
平化学製、商品名、ステアリン酸マグネシウム)8gを加えて5分間混合し、打錠末を得
た。これを直径5mm、3.5Rの臼杵を用いて打錠し、塩酸ミルナシプランを25mg
含有する1錠あたり60mgの錠剤(素錠)を得た。
得られた素錠300gをコーティング機(パウレック製、ドリアコーターDRC−30
0)に投入し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(信越化学工業製、商品名
、TC−5R)60g、を精製水1050mlに溶解させた後に、酸化チタン(和光純薬
工業製、商品名、酸化チタン)15gを添加してホモミキサーで均一に分散させて調製し
たフィルム溶液をフィルムコーティング機内で噴霧して、フィルム層重量10mgを有す
る1錠あたりの錠剤重量が70mgのフィルム錠を得た。
得られたフィルム錠にコーティング機(パウレック製、ドリアコーターDRC−300
)内で糖衣液(ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208(信越化学工業製、商品名
、SB−4)に精製水1050mlを加えて溶解し、つぎに白糖(新三井製糖製、商品名
、AA)630gを加えて溶解させ、さらに沈降炭酸カルシウム(備北粉化工業製、商品
名、沈降炭酸カルシウム)350gを加え、十分攪拌して調製)を約3ml/分で2分間
噴霧し、給気なしで糖衣液を均一にコーティングさせた。ついで給気(温度:70℃)を
入れ、3分間錠剤を乾燥させた。この操作を1錠あたり30mg増量するまで繰り返して
糖衣層を形成させた。ひきつづき糖液(白糖(新三井製糖製、商品名、AA)700gに
精製水470gを加えて溶解させ調製)を約3ml/分で2分間噴霧し、給気なしで糖液
を均一にコーティングさせた。ついで給気(温度:70℃)を入れ、3分間錠剤を乾燥さ
せた。この操作を1錠あたり20mg増量するまで繰り返し、1錠あたりの錠剤重量が1
20mgの糖衣錠を得た。
[比較例3−2]
塩酸ミルナシプラン(ピエール・ファーブル製)175g、微粒子状の無水リン酸水素
カルシウム(協和化学製、商品名、無水リン酸水素カルシウムGS)441gをハイスピ
ードミキサー(深江パウテック製)に投入し、ブレード回転数670rpm、クロススク
リュー回転数2000rpmで3分間混合し、これに50%エタノール水溶液40gを添
加し、ブレード回転数、クロススクリュー回転数とも混合時と同じ回転数で3分間攪拌造
粒した。これを流動層造粒機(パウレック製、LAB−1)に投入し、給気温度80℃で
乾燥し、排気温度が50℃になった時点で取り出し、目開き850μmのメッシュを通し
整粒をおこなった。この造粒粉体にカルメロースカルシウム(五徳薬品製、商品名、EC
G−505)70gを加え、V型混合機で15分間混合し、さらにステアリン酸マグネシ
ウム(太平化学製、商品名、ステアリン酸マグネシウム)14gを加えて5分間混合し、
打錠末を得た。これを直径6mm、4.5Rの臼杵を用いて打錠し、塩酸ミルナシプラン
を25mg含有する1錠あたり100mgの錠剤(素錠)を得た。
得られた素錠550gをコーティング機(パウレック製、ドリアコーターDRC−30
0)に投入し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(信越化学工業製、商品名
、TC−5R)48gを精製水637.8gに溶解させた後に、酸化チタン(和光純薬工
業製、商品名、酸化チタン)72gを添加してホモミキサーで均一に分散させて調製した
フィルム溶液をフィルムコーティング機内で噴霧して、フィルム層重量5mgを有する1
錠あたりの錠剤重量が105mgのフィルム錠を得た。
得られたフィルム錠に糖衣機(菊水製作所製)内で糖衣液(ヒドロキシプロピルメチル
セルロース2208(信越化学工業製、商品名、SB−4)に精製水1050mlを加え
て溶解し、つぎに白糖(新三井製糖製、商品名、AA)630gを加えて溶解させ、さら
に沈降炭酸カルシウム(備北粉化工業製、商品名、沈降炭酸カルシウム)350gを加え
、十分攪拌して調製)を約3ml/回で滴下し、糖衣液を均一にコーティングさせた。つ
いで給気(温度:60℃)を入れ、3分間錠剤を乾燥させた。この操作を1錠あたり30
mg増量するまで繰り返して糖衣層を形成させた。ひきつづき糖液(白糖(新三井製糖製
、商品名、AA)700gに精製水470gを加えて溶解させ調製)を約3ml/回で滴
下し、糖液を均一にコーティングさせた。ついで給気(温度:60℃)を入れ、3分間錠
剤を乾燥させた。この操作を1錠あたり20mg増量するまで繰り返し、1錠あたりの錠
剤重量が155mgの糖衣錠を得た。
[実施例4−1]は、添加剤を添加することにより着色防止された製剤に関する。
[実施例4−1]
塩酸ミルナシプラン(ピエール・ファーブル製)10gと添加剤10gをケミカル粉砕
器で3分間混合し、散剤を得た。得られた散剤をガラスビンに1g入れ、蓋をして密閉状
態で60℃、2週間保存した後の外観の変化を表1に示す。
Figure 2012144561
表1に記載の添加剤と塩酸ミルナシプランからなる散剤1gを粉体測定用セルに入れ、
30mmコンデンサーレンズを装着した色差計(CLR−7100F;島津製作所製)を
用いて色差(ΔE)を測定したところ、保存後でのΔEはすべて3.0以下であり外観上
の変化を認めなかった。
[実験例1−1]
実施例1−1、実施例1−2、実施例1−3、実施例1−4および比較例1−1で得ら
れた錠剤を、硝酸カリウム飽和水溶液を入れた直径15cm、深さ15cmのガラス製デ
シケータ内において温度30℃で24時間保存した。このときのデシケータ内の相対湿度
は約92%である。
保存前後、錠剤を凹凸の無い滑らかなガラス板の上に置き、これを徐々に傾けていき、
錠剤が滑り落ちる角度を測定した。また、保存後の外観変化もあわせて観察した。この結
果を表2に示す。
表2の結果から明らかなように、比較例1−1の塩酸ミルナシプランを他の添加剤と混
合し、造粒した後打錠することにより得られた錠剤は、温度30℃、相対湿度92%での
保存後、測定に使用したガラス板にべとついて付着してしまい、ガラス板を水平から90
°まで傾けても滑り落ちることがなかった。
これに対し、スプレードライ法により製造された多孔質の無水リン酸水素カルシウムに
塩酸ミルナシプランを吸着させて錠剤とした実施例1−1、実施例1−2、多孔質のケイ
酸マグネシウムに塩酸ミルナシプランを吸着させて錠剤とした実施例1−3、及び多孔質
のケイ酸カルシウムに塩酸ミルナシプランを吸着させて錠剤とした実施例1−4は、比較
例1−1のように錠剤がガラス板に付着するという現象は見られず、いずれも傾斜角40
°以下で滑り落ちた。
さらに比較例1−1では保存後、錠剤がべとつくなどの外観変化が確認されたが、実施
例1−1、実施例1−2、実施例1−3、実施例1−4の錠剤では外観上の変化も確認さ
れなかった。
Figure 2012144561
[実験例1−2]
実施例1−5、実施例1−6および比較例1−2で得られたフィルムコーティング錠を
、硝酸カリウム飽和水溶液を入れた直径15cm、深さ15cmのガラス製デシケータ内
において温度30℃で24時間保存した。このときのデシケータ内の相対湿度は約92%
である。
保存前後、錠剤を凹凸の無い滑らかなガラス板の上に置き、これを徐々に傾けていき、
錠剤が滑り落ちる角度を測定した。また、保存後の外観変化もあわせて観察した。この結
果を表3に示す。
比較例1−2の塩酸ミルナシプランを他の添加剤と混合し、造粒したのち打錠すること
により得られた錠剤をフィルムコーティングした錠剤は、温度30℃、相対湿度92%で
の保存後、測定に使用したガラス板に付着してしまい、ガラス板を水平から90°まで傾
けても滑り落ちることがなかった。
これに対し、スプレードライ法により製造された多孔質の無水リン酸水素カルシウムに
塩酸ミルナシプランを吸着させてフィルムコーティング錠とした実施例1−5および実施
例1−6は、比較例1−2のように錠剤がべとついてガラス板に強く付着するという現象
は見られず、いずれも傾斜角50°以下で滑り落ちた。
さらに比較例1−2では保存後、錠剤がべとつき、指で持つとフィルムがはがれるなど
の外観変化が確認されたが、実施例1−5および実施例1−6のフィルムコーティング錠
では外観上の変化も確認されなかった。
Figure 2012144561
[実験例1−3]
実施例1−7および比較例1−3で得られた散剤を、硝酸カリウム飽和水溶液を入れた
直径15cm、深さ15cmのガラス製デシケータ内において温度30℃で2日間保存し
た。このときのデシケータ内の相対湿度は約92%である。保存前後、安息角を三輪式円
筒回転法安息角測定器により計測した。また、さらに保存された散剤の外観変化もあわせ
て観察した。この結果を表4に示す。
実施例1−7の散剤は温度30℃、相対湿度92%での保存前後で安息角に変化がない
のに対して、比較例1−3の散剤では、温度30℃、相対湿度92%での保存後、安息角
が明らかに増大し、流動性が悪化した。
また、実施例1−7においては外観上の変化が確認されなかったのに対し、比較例1−
3では凝集が確認された。
Figure 2012144561
[実験例1−4]
実施例1−8、実施例1−9、および比較例1−4で得られたカプセル剤を、硝酸カリ
ウム飽和水溶液を入れた直径15cm、深さ15cmのガラス製デシケータ内において温
度30℃で2日間保存した。このときのデシケータ内の相対湿度は約92%である。
保存前後、直径約6mmの金属製円盤を用い、カプセル剤の短径方向に5kgの圧力を
かけた時、カプセルに亀裂が生じるか否かを評価し、カプセル剤の破損率を求めた。また
、保存後の外観変化もあわせて観察した。この結果を表5に示す。実施例1−8、実施例
1−9では10カプセル中すべてのカプセルに破損は認められず、また外観上の変化が確
認されなかったのに対し、比較例1−4では10カプセル中すべてのカプセルが破損し、
カプセルのべとつきも確認された。
Figure 2012144561
[実験例1−5]
実施例1−10、実施例1−11および比較例1−5で得られたカプセル剤を、硝酸カ
リウム飽和水溶液を入れた直径15cm、深さ15cmのガラス製デシケータ内において
温度30℃で8日間保存した。このときのデシケータ内の相対湿度は約92%である。
保存前後、カプセル剤を凹凸の無い滑らかなガラス板の上に置き、これを徐々に傾けて
いき、カプセル剤が転がり落ちる角度を測定した。また、保存後の外観変化もあわせて観
察した。この結果を表6に示す。
Figure 2012144561
[実験例1−6]
実施例1−10、実施例1−11および比較例1−5で得られたカプセル剤を第14改
正日本薬局方・一般試験の溶出試験法(第2法)に従い、試験液に水900mlを用い、
パドル回転数:毎分50回転で溶出試験(シンカー使用)を実施した。この時の溶出率の
結果を表7に示す。
比較例1−5のカプセル剤に比べ、実施例1−10および実施例1−11のカプセル剤
は速やかに溶出した。
Figure 2012144561
[実験例2−1]
実施例2−1および比較例2−1で得られたカプセル剤を、硝酸カリウム飽和水溶液を
入れた直径15cm、深さ15cmのガラス製デシケータ内において温度30℃で2日間
保存した。このときのデシケータ内の相対湿度は約92%である。
保存前後、直径約6mmの金属製円盤を用い、カプセル剤の短径方向に5kgの圧力を
かけた時、カプセルに亀裂が生じるか否かを評価し、カプセル剤の破損率を求めた。また
、保存後の外観変化もあわせて観察した。この結果を表8に示す。実施例2−1では10
カプセル中すべてのカプセルに破損は認められず、また外観上の変化が確認されなかった
のに対し、比較例2−1では10カプセル中すべてのカプセルが破損し、カプセルのべと
つきも確認された。
Figure 2012144561
[実験例2−2]
実施例2−2および比較例2−2で得られたカプセル剤を、硝酸カリウム飽和水溶液を
入れた直径15cm、深さ15cmのガラス製デシケータ内において温度30℃で8日間
保存した。このときのデシケータ内の相対湿度は約92%である。
保存前後、カプセル剤を凹凸の無い滑らかなガラス板の上に置き、これを徐々に傾けて
いき、カプセル剤が転がり落ちる角度を測定した。また、保存後の外観変化もあわせて観
察した。この結果を表9に示す。
Figure 2012144561
[実験例3−1]
実施例3−1、実施例3−2、比較例3−1、及び比較例3−2で得られた各糖衣錠6
錠について、パドル法による溶出試験を行った。各ベッセルには直径約10mm、高さ約
6mm、重さ約1.5gのディスクをベッセルの半円球底部中央に沈め、試験液に水90
0mlを用い、パドル回転数:毎分50回転で溶出試験を実施した。この時の各時間の溶
出率の変動係数を表10に示す。
各時間の溶出率の変動係数は、各糖衣錠6錠の所定の時間における溶出率の標準偏差を
その時間の平均溶出率で除してパーセント表示したものであり、この値が大きいほど溶出
のばらつきの程度が大きいと言える。
実施例3−1および実施例3−2の糖衣錠は、比較例3−1および比較例3−2の糖衣
錠に比べ各時間の溶出率の変動係数が小さく、個々の錠剤間における溶出のばらつきが小
さい糖衣錠であった。
Figure 2012144561
[実験例3−2]
実施例3−1および実施例3−2で得られた各糖衣錠6錠について、第14改正日本薬
局方・一般試験の溶出試験法(第2法)に従い、試験液に水900mlを用い、パドル回
転数:毎分50回転と毎分75回転の2条件で溶出試験を実施した。この時の各時間の溶
出率の変動係数を表11に示す。
実施例3−1および実施例3−2の糖衣錠については、溶出試験の際、通常のパドル回
転数である毎分50回転では個々の錠剤からの溶出率が大きくばらついたが、パドル回転
数毎分75回転ではばらつきが小さくなった。試験条件としてはパドル回転数毎分75回
転を用いることで安定した溶出結果を得ることができる。
Figure 2012144561
本発明は高湿度下で保管された場合による劣化が改善され、かつ溶出が改善されたミル
ナシプラン製剤であり、安定な医薬品として使用が可能である。

Claims (7)

  1. ミルナシプランまたはその塩と、D−マンニトール、コーンスターチ、部分アルファ化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、及びリン酸水素カルシウムからなる群より選ばれる物質を少なくとも1種類以上含むミルナシプラン含有組成物。
  2. 固形製剤の形態である請求項1に記載のミルナシプラン含有組成物。
  3. ミルナシプランまたはその塩と、D−マンニトール、コーンスターチ、部分アルファ化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、及びリン酸水素カルシウムからなる群より選ばれる物質を少なくとも1種類以上含む、請求項1又は2に記載のミルナシプラン含有組成物。
  4. ミルナシプランまたはその塩と、D−マンニトール及びリン酸水素カルシウムからなる群より選ばれる物質を少なくとも1種類以上含む、請求項1〜3のいずれかに記載のミルナシプラン含有組成物。
  5. 錠剤の形態である請求項1〜4のいずれかに記載のミルナシプラン含有組成物。
  6. 散剤の形態である請求項1〜4のいずれかに記載のミルナシプラン含有組成物。
  7. ミルナシプランまたはその塩が、塩酸ミルナシプランである請求項1〜6のいずれかに記載のミルナシプラン含有組成物。
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