JP2012143220A - 培養装置および培養方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】組織・細胞のような生体材料を生体外で培養する際に、培養液中に含まれる増殖因子を、好適な含有量に保つことができる培養装置およびかかる培養装置を用いた培養方法を提供すること。
【解決手段】本発明の培養装置は、生体材料を培養するのに用いられ、側壁および底部を有し、一端側が開口している第1容器と、前記第1容器内に配置され、側壁および底部を有する第2容器とを有し、前記第2容器が、該第2容器の側壁の底部と反対側の部位に、前記第1容器の側壁に係止可能な係止部を有し、該係止部により前記第2容器との底部と前記第1容器の底部とが一定距離を保ち離隔され配置されており、前記第2容器の底部に、細胞内において産生され、増殖因子と、該増殖因子を包み込んだ外殻タンパク質とで構成されるタンパク質複合体が担持されていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、培養装置および培養方法に関する。
組織または細胞を生体外で培養する代表的な培養方法は、ガラスまたはプラスチックのシャーレ、プレートまたはフラスコの底面に組織・細胞を接着させ、上方に組織または細胞生存に必要な栄養素を含む培養液に浸す方法である(例えば、特許文献1参照。)。
このような生体外での培養方法は、例えば、色素細胞(メラノサイト)と角化細胞(ケラチノサイト)とを培養することで得られるメラニン産生可能な生体外モデル(皮膚モデル)にも適用される。
ここで、この生体外モデルは、UV照射によりメラニンの産生が増強されるものであり、このものに日焼け防止剤等を添加することによるメラニン産生の抑制効果や作用機序等を評価するために用いられる。
なお、このような生体外モデルとして市販されている3次元皮膚モデルなどは、培養が難しく、このため実験再現性が乏しい。
ここで、実験再現性を高くするには、各生体外モデルにおいて、色素細胞の増殖とその活性が再現よく、制御されていることが必要である。すなわち、これらを制御する増殖因子の量とその安定化が重要である。
このような条件で、メラニン色素細胞と角化細胞とを培養させるには、生体外モデルを得るための培養系において、培養液中に増殖因子が添加され、かかる増殖因子が必要時に、メラニン色素細胞および角化細胞に十分量供給されることが求められる。
しかしながら、増殖因子は、37℃以上の高温下や、培養液中における含水量が高い環境下においては不安定なタンパク質であるため、かかる条件下に増殖因子が晒されることにより、その生理活性が急激に低下するという問題が生じる。
かかる問題点は、頻繁に培養液を交換して、培養液中における生理活性を有する増殖因子の含有量を一定に保つことにより回避することが可能であるが、この場合、増殖因子が高価であることや、培養液を交換するための作業にコストが生じること等に起因して、コストが非常に高くなるという新たな問題が生じる。
特許3081241号公報
本発明の目的は、組織・細胞のような生体材料を生体外で培養する際に、培養液中に含まれる増殖因子を、好適な含有量に保つことができる培養装置およびかかる培養装置を用いた培養方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(11)に記載の本発明により達成される。
(1) 生体材料を培養するのに用いる培養装置であって、
側壁および底部を有し、一端側が開口している第1容器と、
前記第1容器内に配置され、側壁および底部を有する第2容器とを有し、
前記第2容器が、該第2容器の側壁の底部と反対側の部位に、前記第1容器の側壁に係止可能な係止部を有し、該係止部により前記第2容器との底部と前記第1容器の底部とが一定距離を保ち離隔され配置され、
前記第1容器および前記第2容器のいずれか一方の底部に、細胞内において産生され、増殖因子と、該増殖因子を包み込んだ外殻タンパク質とで構成されるタンパク質複合体が担持されていることを特徴とする培養装置。
(2) 前記係止部は、前記第2容器の側壁の底部と反対側の部位に設けられた拡径部である上記(1)に記載の培養装置。
(3) 前記係止部は、前記第2容器の側壁の底部と反対側の部位に設けられた突起部である上記(1)に記載の培養装置。
(4) 前記離隔距離が、10mm以下である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の培養装置。
(5) 前記第2容器の底部には、フィルム状のフィルター部が設けられているものである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の培養装置。
(6) 前記フィルター部の孔径が、0.2〜5μmである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の培養装置。
(7) 前記複合タンパク質は、前記外殻タンパク質が結晶化する際に、前記増殖因子を結晶状態で取り込んで産生されたものである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の培養装置。
(8) 前記外殻タンパク質は、カイコ細胞質多角体タンパク質である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の培養装置。
(9) 前記生体材料は、角化細胞およびメラニン細胞であり、これらが他方の前記底部において共培養される上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の培養装置。
(10) 前記細胞は、昆虫細胞である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の培養装置。
(11) 上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の培養装置を用いた培養方法であって、
前記第1容器および前記第2容器の他方の底部に前記生体材料を播種し、
前記第1容器に前記第2容器を係止して、前記第2容器の底部と前記第1容器の底部とを離隔させて、前記生体材料を培養することを特徴とする培養方法。
本発明によれば、組織・細胞のような生体材料を生体外で培養する際に、第1容器の底部に保持されたタンパク質複合体から増殖因子を徐放することで、培養液中に含まれる増殖因子を、好適な含有量に保つことができるようになる。
さらに、培養液中に徐放されるまでの間、すなわち、タンパク質複合体が有する外殻タンパク質に増殖因子が包み込まれている間、培養液中における含水量や培養液の温度等の外的な環境変化にかかわらず、増殖因子の生理活性(機能)を低下させることなく、安定的に増殖因子を保護することが可能となる。
本発明の培養装置の第1実施形態を示す模式的な縦断面図である。 第1実施形態の培養装置が備える第2容器を示す模式的な縦断面図(a)、平面図(b)である。 第1実施形態の培養装置が備える第2容器の縦断面における模式的な分解図である。 第2実施形態の培養装置が備える第2容器を示す模式的な縦断面図(a)、平面図(b)である。 第3実施形態の培養装置が備える第2容器を示す模式的な縦断面図である。 実施例および各比較例の培養装置において培養された細胞の細胞数と、紫外線照射強度との関係を示す図である。 実施例および各比較例の培養装置において培養された細胞について求められた吸光度/細胞数と、紫外線照射強度との関係を示す図である。 比較例2の培養装置において培養された細胞の写真である。
以下、本発明の培養装置および培養方法を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<培養装置>
まず、本発明の培養装置について説明する。
本発明の培養装置は、生体材料を培養するのに用いられ、側壁および底部を有し、一端側が開口している第1容器と、前記第1容器内に配置され、側壁および底部を有する第2容器とを有し、前記第2容器が、該第2容器の側壁の底部と反対側の部位に、前記第1容器の側壁に係止可能な係止部を有し、該係止部により前記第2容器との底部と前記第1容器の底部とが一定距離を保ち離隔され配置され、前記第1容器の底部または前記第2容器の底部に、細胞内において産生され、増殖因子と、該増殖因子を包み込んだ外殻タンパク質とで構成されるタンパク質複合体が担持されていることを特徴とするものである。
培養装置をかかる構成とすることで、組織・細胞のような生体材料を培養装置内で培養する際に、第1容器の底部に保持されたタンパク質複合体から増殖因子を徐放することで、培養液中に含まれる増殖因子を、好適な含有量に保つことができるようになる。
さらに、培養液中に徐放されるまでの間、すなわち、タンパク質複合体が有する外殻タンパク質に増殖因子が包み込まれている間、培養液中における含水量や培養液の温度等の外的な環境変化にかかわらず、増殖因子の生理活性(機能)を低下させることなく、安定的に増殖因子を保護することが可能となる。
以下、かかる構成の培養装置について詳述するが、以下では、第2容器の底部にタンパク質複合体を担持させ、第1容器の底部において、組織および細胞のような生体材料を培養する場合を一例に説明する。
<<第1実施形態>>
図1は、本発明の培養装置の第1実施形態を示す模式的な縦断面図、図2は、第1実施形態の培養装置が備える第2容器を示す模式的な縦断面図(a)、平面図(b)、図3は、第1実施形態の培養装置が備える第2容器の縦断面における模式的な分解図である。なお、以下の説明では、図1〜3中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示すように、本実施形態では、培養装置1は、組織または細胞のような生体材料を培養するための第1容器(外側容器)11と、第1容器11の内側に装着させることの可能な第2容器(内側容器)10からなる。
第1容器(外側容器)11は、図1に示すように、その全体形状が円柱状をなす底面(底部)32と側面(側壁)33とで構成される穴31を備えている。すなわち、第1容器11は、その上側の端部(端面)で開口している有底の穴31を備えている。かかる構成の穴31の底面32において、生体材料としての組織(培養組織)または細胞(培養細胞)が培養される。
第1容器11の具体的な形態としては、例えば、マルチウェルプレートおよびシャーレ(ディッシュ)等の容器類が挙げられる。これらの中でも、細胞形態観察や機能測定においてある程度の細胞数を確保し、測定のn数も併せて確保することが可能な6〜96穴のマルチウェルプレートの形状が好ましく、特に好ましくは、24〜96穴のマルチウェルプレートである。これにより、一般的な培養装置や測定装置の使用が可能となり、研究の効率、精度を向上させることができる。
また、通常、培養装置は、培養器内面を、落下生菌等から保護するためにカバーを付けているが、本発明においても、同様のカバーは必要である。カバーに関しては特に形状、材質を限定するものではないが、第1容器11本体との間にガス交換が可能な空間を有し、かつ、培養液の蒸発を極力押さえるように設計することが通常である。
第1容器11およびカバーは、各種樹脂製の材料で成形することができる。この樹脂材料は、培養装置1をディスポーザルタイプにすることができるのに加え、種々の形状を容易に成形することができる。
また、第1容器11中において、培養中の組織・細胞を観察する必要もあるので、透明樹脂で成形することが好ましい。
なお、底面32の表面には、培養される組織・細胞との親和性を向上させる表面処理が施されているのが好ましい。これにより、底面32と組織・細胞との密着性が向上するため、底面32における組織・細胞の培養効率の向上が図られる。
この表面処理としては、特に限定されないが、一般的に底面32の表面が親水性になるような処理が適用され、もっとも一般的な方法としては、低温プラズマ処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、放射線照射処理等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これにより、底面32の表面を酸化させることができ、その親水性を向上させることができる。
さらに、組織・細胞との親和性を高めるには、上記処理だけでは十分ではない場合も認められることから、この場合、細胞に対して親和性の高い細胞外マトリックスを底面32の表面に固定化することで組織・細胞との親和性を高める方法を取ることができる。使用する細胞外マトリックスには、1型コラーゲン、4型コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、フィブリン等が使用でき、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
底面32の表面への細胞外マトリックスの固定方法は、底面32を細胞外マトリックス溶液と接触させてコーティングする方法が最も簡便である。
例えば、1型コラーゲンの3%溶液(pH3塩酸酸性溶液)をリン酸緩衝液(PBS)(pH7.4)で10〜100倍希釈した溶液を準備し、そのコラーゲン希釈溶液を底面32と1〜4時間接触させ、その後、PBSで3回洗浄し、底面32の表面をコラーゲンコーティングができる。
また、100〜1000倍希釈したコラーゲン溶液を底面32に接触させた後、水分を蒸発させ、十分に乾燥させた後(乾燥時間:1時間〜一晩)にPBSを短時間接触させて洗浄する方法でコーティングできる。
なお、4型コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン等も同じ方法でコーティングすることが可能である。
また、底面32の基材表面に水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基やアミノ基官能基を導入し架橋剤を用いて共有結合によって細胞外マトリックスを固定化する方法が使用できる。
例えば、低温酸素プラズマ処理により底面32の表面にカルボキシル基を導入、水溶性カルボジイミドやヒドロキシスクシンイミド等の活性エステル剤、グルタルアルデヒド等の二官能性カップリング剤を用いて細胞外マトリックスを共有結合にて底面32の表面に固定化することが可能である。
また、細胞外マトリックスそのものでなく、細胞外マトリックス中の組織・細胞との相互作用部分のペプチド分子を使用することもできる。例えば、組織・細胞接着に関連するRGDSペプチドや該ペプチドを含有するペプチド分子を、前述の共有結合方法で底面32の表面に固定化することが可能である。
また、細胞接着にかかわるペプチドを側鎖に有する水溶性ポリマーを底面32の表面にコーティングすることも可能である。
なお、より組織・細胞との親和性を高める方法としては、底面32上に細胞外マトリックスの層を構築する方法がある。具体的には、細胞培養に適した素材で透過膜フィルムを形成することである。
フィルムの形成させるための材質としては、先にも示したように細胞外マトリックス成分が好適である。例えば細胞外マトリックスでゲルを作製し、そのまま蒸発乾固させキャスティングによるフィルムを作製することが可能である。
この場合、フィルムに強度を持たせるために、フィルムの中に強度補強ためのメッシュ構造体を入れてもよい。中に入れるメッシュ構造体のものは特に限定するものではないが、例えば、繊維を格子状に編んだものや、格子状のプラスチック成形品を使用することができる。
また、市販のコラーゲン膜やビトリゲル膜を使用することも可能である。この際に、コラーゲン膜、ビトリゲル膜下にメッシュ構造体を補強のために配位してもよい。
第2容器(内側)10は、図1、図2に示すように、その中心部に上下方向(鉛直方向)に設けられた、底面(底部)22と側面(側壁)とを備える穴21を有し、その全体形状が有底筒状をなしている。
本実施形態では、この第2容器10は、その側面の上側の端部、すなわち底面22と反対側の部位において、その外側に円周状に張り出した拡径部16を有している。
このような拡径部16を第2容器10が備えることで、図1に示すように、第2容器10を第1容器11内に装着(配置)した際に、第1容器11の開口縁部(側面33の上側端部)に拡径部16が当接し、これにより、底面22と底面32とが互いに接触することなく、距離Xが保たれ、第1空間20と第2空間30とが画成された状態で、第2容器10が第1容器11に係止される。
すなわち、拡径部16は、第2容器上部に突起となるように設けられた係止部として機能し、これにより、第2容器が第1容器11の上端に引っ掛けて係止可能となり保持されることから、底面22と底面32との離間距離が距離X(一定距離)に保たれる。
なお、拡径部16の直径は、第1容器11に係止し得るように、第1容器11の穴31の直径より大きく設定される。
ここで、第2容器(内側容器)10は、その底面22に設けられた、後述するフィルター13にタンパク質複合体が担持されており、このタンパク質複合体から培養液中に徐放される増殖因子を、第1容器11の底面32に播種された組織または細胞に、培養液中に拡散により供給するためのものである。
すなわち、第2容器10は、徐放される増殖因子が第2容器10より、第1容器11に播種された組織または細胞へ拡散により移動させるためのものである。
ところで、第2容器10は、第1容器11に装着して使用するが、その際に、第2容器10が第1容器11の内面、特に底部の培養面である底面32に接触すると、その接触により、底面32上に接着し培養している組織または細胞に接触することになり、それにより組織または細胞の剥離を生じることとなる。それを防ぐために、第2容器10は第1容器11の底面32から浮かした状態で保持することが必要となり、そのための第2容器10を係止することが必要である。
なお、第2容器10の下部に突起を設けそれを脚として第1容器11内に自立させることにより、底面22と底面32との間に距離を保つことも可能であるが、この場合は、前述のように、脚の接地箇所において組織および細胞の剥離を少量ながらも発生させるのでできれば避けるべきである。
また、第2容器10の底面22に設けられたフィルター13に担持されたタンパク質複合体から増殖因子を徐放させるには、底面22は、培養液中に存在する必要がある。
したがって、第2容器10の底面22の位置が第1容器11の底面32に対して高すぎると、その分だけ培養液が必要になり、必要以上に培養液を要し、その分のロスを生じることとなる。さらには、この距離が長くなると増殖因子が組織または細胞に作用するのに要する時間が長くなる、または培養液中に拡散してしまい、細胞に作用する量が低減してしまう。
そのため、第1容器11の底面32と第2容器10の底面22との距離Xが、好ましい範囲内に規定されているのが好ましい。
具体的には、第1容器11に第2容器10を係止した状態で、底面32と底面22との距離Xは、好ましくは10mm以下、より好ましくは0.1〜5mm程度に設定される。この距離は、第1容器11の底面32に組織または細胞を接着培養した際に、組織または細胞を安定して培養するために必要考えられる距離である。
以上のような、拡径部16を備える第1容器11は、本実施形態では、図3に示すように、全体形状が筒状をなす第2容器本体12と、有底筒状をなすフィルター13と、筒状をなすフィルター保持具14とを有している。
ここで、第2容器本体12とフィルター保持具14とは、ともにその底部に、筒体から内側に突出する突出部を有し、さらに、第2容器本体12の内径とフィルター保持具14の外径とがほぼ等しく設定されている。これにより、第2容器本体12内にフィルター保持具14を装着することが可能となり、図3に示すように、第2容器本体12の内側にフィルター13をセットした後、フィルター保持具14をはめ込むことで、フィルター13が第2容器本体12とフィルター保持具14との間に保持され、その結果、第2容器10の底面22がフィルム状をなすフィルター(フィルター部)13で構成される。
さらに、本実施形態では、第2容器本体12の側壁内側において、フィルター保持具14の高さに相当する箇所に、その内側に突出するリブ15を立てておく構成とした。これにより、フィルター保持具14を第2容器本体12にはめ込んだ際に、リブ15がストッパーとなり、フィルター保持具14ならびにフィルター13が第2容器本体12から外れにくくなるという効果が得られる。
第2容器本体12、フィルター保持具14の材質は、特に限定するものではないが、培養液中に浸漬しておくことになるので、溶出物が少ないものが好ましい。また、形状に関しては、加工性の高いものが使いやすく、その点で最も優れているのはプラスチックである。
使用するプラスチックには、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂または環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等のメタクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリアクリロニトリル等のアクリル系樹脂、プロピオネート樹脂等の繊維素系樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのプラスチックを求める形状にするには射出成形や、ブロー成形を用いることができる。また、プラスチック樹脂を切削加工して成形することも可能である。
また、第2容器10は、培養液中に浸漬しておくのでタンパク質等の吸着性が低いものが良いが、ポリエチレングリコールやホスホリルコリン基を有する親水性ポリマーを容器に塗布することによって基材の親水性化し、積極的な吸着抑制処理を行うことが好ましい。
吸着抑制処理としては、特に限定するものではなく、基材表面の親水性処理や疎水性処理が利用できるが、特に親水性処理が好ましい。例えば、側鎖に硬化させるための官能基を有する水溶性樹脂で基材表面をコーティングする方法が挙げられる。この方法による表面処理方法が、最も簡便で効果が高い。
なお、前記官能基としては、互いに反応して硬化する機能を有するものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、アジド基、アミノ基、カルボキシル基、スルホニル基等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、その他の方法としては、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−ブチルメタクリレートからなるMPCポリマーのエタノール溶液を調製し、その溶液でコーティングする方法や、ポリ−2−ヒドロシキエチルメタクリレート(HEMA)のエタノール溶液でコーティングする方法が挙げられる。
なお、HEMAのエタノール溶液を用いる場合、ポリ−HEMAの2%エタノール溶液を調製し、基材を浸漬した後、引き上げて風乾しすることで、基材の表面をポリ−HEMAコーティングすることができる。
また、本実施形態では、第2容器本体12の側壁外側において、拡径部16の下側に、その全体形状が筒状をなすガイド部18を設ける構成とした。
このガイド部18は、その内径が第2容器本体12の外径とほぼ同様に設定されている。一方、その外径は、上端から下端に向かってほぼ一定であり、第1容器11の穴31の内径とほぼ同様に設定されているが、途中から下端に向かって漸減し、ガイド部18の下端ではその幅が実質的に「0」となっており、この幅が漸減する部分によりテーパ部が構成される。
かかる構成のガイド部18を、第2容器10に設ける構成とすることで、テーパ部によりガイド部18を穴31内に誘導することができ、さらに、テーパ部より上側の部分により第2容器10を穴31の中心部に確実に固定することができる。
フィルター13は、タンパク質複合体を保持するとともに、第1空間20と第2空間30との間での各種物質の透過を許容する機能を有するものである。
このように、フィルター13にタンパク質複合体を保持する構成とすることで、タンパク質複合体が第2容器10の底面22に担持されることとなる。
さらに、第2容器10の底面22をフィルター13で構成することにより、フィルター13を介した、第1空間20と第2空間30との間での、培養液中に含まれる各種物質および酸素、さらにはタンパク質複合体から徐放された増殖因子等の透過を円滑に行うことが可能となる。
かかる観点から、フィルター13が備える細孔の孔径は、好ましくは0.2〜5μm程度、より好ましくは0.5〜2μm程度に設定される。これにより、前記各種成分を確実に透過させることができるとともに、タンパク質複合体自体の透過は許容されなくなる。
フィルター13の素材としては特に限定するものではないが、通常良く用いられる多孔性フィルムや、不織布等が挙げられる。また、材質としては、セルロースエステルフィルムや親水性フッ化ビニリデンフィルム、ポリカーボネート、ナイロン等が挙げられる。
なお、タンパク質複合体は、フィルター13の上側の面および下側の面のいずれの面に保持されていてもよい。ただし、フィルター13の上側の面に保持させることにより、たとえタンパク質複合体がフィルター13から脱離したとしても、第1容器11の底面32への脱落が確実に防止され、また、フィルター13の下側の面に保持させることにより、タンパク質複合体から徐放される増殖因子の底面32への拡散をより円滑に行うことができるようになる。
かかる構成のフィルター13上に、本実施形態では、タンパク質複合体を固定することから、当該タンパク質複合体から徐放したタンパク質がフィルターに吸着してしまうと、細胞への作用効率が低下するため、タンパク質のフィルター素材への吸着を抑制する表面処理がなされていることが好ましい。
この表面処理としては、特に限定されるものではなく、基材表面の親水性処理や疎水性処理が利用できるが、特に親水性処理が好ましい。
この親水性処理としては、第2容器10を親水性処理する場合に挙げたのと同様の方法を用いることができ、特に、側鎖に硬化させるための官能基を有する水溶性樹脂で基材表面をコーティングする方法を用いるのが好ましい。この方法による表面処理方法が、最も簡便で効果が高い。
タンパク質複合体は、フィルター13に保持(担持)され、その外形状が多角体をなすものである。
なお、本明細書中では、このタンパク質複合体とは、昆虫細胞(タンパク質複合体産生細胞)内において産生された、増殖因子(目的タンパク質)を外殻タンパク質(多角体タンパク質)で包み込んだ構造のタンパク質のことを言うこととする。
なお、タンパク質複合体を、フィルター13に保持させる方法としては、特に限定されないが、例えば、熱や超音波振動による溶着、有機溶媒等の各種溶剤を用いた固着法等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。通常、物の接着では、接着剤を用いる場合が多く、本構造体においても使用可能であるが、培養装置1の使用目的が組織または細胞の培養であるので、極力、接着剤や有機溶剤等の使用は避けることが望ましい。また、細胞外マトリックスを主成分とするフィルター13では同じ細胞外マトリックスを接着剤として用いることができる。例えば、ゼラチンや1型コラーゲン等が好適に用いることができる。
タンパク質複合体の最大径は、特に限定されないが、1〜10μm程度であるのが好ましく、1〜6μm程度であるのがより好ましい。これにより、フィルター13の上側の面にタンパク質複合体を保持させた場合、たとえタンパク質複合体がフィルター13から脱離したとしても、フィルター13の細孔を介したタンパク質複合体の透過が許容されることはない。
なお、本明細書中において最大径とは、多角体の1つの頂点から最も離れた頂点までの距離を言うこととする。
増殖因子(細胞増殖因子)としては、培養すべき組織・細胞の増殖に作用する生理活性を有するタンパク質であり、好ましくは結晶状態で存在する。具体的には、本容器を用いて培養する細胞種としては、例えば、角化細胞、色素細胞、腸管上皮細胞であり、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)、インシュリン様成長因子(IGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)および角化細胞増殖因子(KGF)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
外殻タンパク質は、増殖因子を包み込み、多角体をなすタンパク質複合体の外形を規定するものである。
このような外殻タンパク質に包み込まれることにより、増殖因子は、培養液中において、その生理活性が低下することなく、安定的に保護されることとなる。
外殻タンパク質は、より具体的には、ウイルスによってコードされた外殻タンパク質であり、このウイルスがコードする外殻タンパク質は、昆虫の多角体病ウイルスによってコードされた多角体タンパク質である。例えば、昆虫の細胞質多角体病ウイルスコート外殻タンパク質としては、カイコ細胞質多角体病ウイルス(Bombyx mori polyhedrosis virus,BmCPV)の外殻タンパク質(細胞質多角体タンパク質)が例示される。
ここで、細胞質多角体病ウイルスはレオウイルス科(Reoviridae)のサイボウイルス属(Cypovirus)に分類される。このウイルスは昆虫の中腸皮膜組織の円筒細胞に感染し、感染した細胞の細胞質に多角体(外殻タンパク質)と呼ばれる大きなタンパク質の結晶を産生するという特徴を有している。この多角体には、多数のウイルス粒子が包埋されている。また、多角体は、ウイルスがコードする多角体タンパク質がウイルスの感染後期に発現され、結晶化したものである。
かかる構成の多角体の機能の1つに、ウイルス病の水平感染において外界からウイルス自身の感染力を保護することが知られている。すなわち、多角体は、非イオン性やイオン性の界面活性剤、酸性や中性のpHの溶液にも全く溶解しない。また、紫外線照射を受けても、包埋されたウイルスには影響がおよぼされない。さらに、細菌による腐敗によっても多角体は溶解しないため、その中のウイルスは保護される。
さらに、もう1つの機能として、ウイルスを目的の場所(ウイルスが感染し、増殖できる細胞)まで確実に運ぶということが知られている。すなわち、昆虫に摂食された多角体は強アルカリ性の消化液により溶解し、ウイルス粒子が放出され感染が生じると言うことが知られている。
ここで、カイコ細胞質多角体病ウイルス(Bombyx mori polyhedrosis virus,BmCPV)のウイルスゲノムは10本に分節された二本鎖RNAである(セグメント1からセグメント10でそれぞれS1からS10と表記する)。多角体を構成するポリヘドリン、polyhedrinは、ここで記載する外殻タンパク質(細胞質多角体タンパク質分子)のことであり、そのうちの最も小さいS10にコードされており、分子量は30kDaである。BmCPVのウイルス粒子はVP1(151kDa)、VP2(142kDa)、VP3(130kDa)、VP4(67kDa)およびVP5(33kDa)の5種類のタンパク質から構成されている(Lewandowski et al.(1972)J.Virol.10,1053−1070参照。)。これは、ウサギの網状赤血球を用いたin vitro translation実験が行われ、このウイルスの外層を構成するタンパク質であるVP1とVP3とはそれぞれS1とS4とにコードされているものと推定された(McCrae and Mertens(1983)in Double−Stranded RNA Viruses,Elsevier Biomedicals,35−41参照。)。
このBmCPVの外層を構成するタンパク質の1つであるVP3をコードしているS4の解析によって、S4の全長3,259塩基で、14番目から16番目までの開始コドン(ATG)と、3,185番目から3,187番目までの終了コドン(TAA)を持つ1つの大きなopen reading frame(ORF)持つことがわかった。このORFは1,057個のアミノ酸から構成されており、VP3の分子量は約130kDaであると推定される。
このようなタンパク質複合体は、例えば、以下のような調製方法(製造方法)を用いて調製される。
まず、外殻タンパク質(細胞質多角体タンパク質分子)を組み込んだウイルスベクター、および、増殖因子(目的タンパク質)を組み込んだウイルスベクターの調製方法について説明する。
なお、以下では、外殻タンパク質(細胞質多角体タンパク質分子)を組み込んだウイルスベクター、および、増殖因子(目的タンパク質)を組み込んだウイルスベクターの調製方法を、細胞質多角体病ウイルスとして、カイコ細胞質多角体病ウイルス(Bombyx mori cytoplasmic polyhedrosis virus)を用いた場合について説明する。
外殻タンパク質を組み込んだウイルスベクターの調製は、例えばオートグラファ・キャリホルニカ・核多角体病ウイルス(Autographa californica nucleopolyhedrovirus)由来のバキュロウイルスベクターに、公知の方法[例えば、「ジャーナル・オブ・ジェネラル・ビロロジー(J.Gen.Virol.)」,第74巻,第99〜102ページ参照。]を用いて、外殻タンパク質(細胞質多角体タンパク質分子)遺伝子を組み込むことによって行うことができる。
他方、増殖因子を組み込んだウイルスベクターの調製は、例えば、先ずカイコ細胞質多角体病ウイルス(BmCPV)の外層構成タンパク質の1つであるVP3と増殖因子とを連結した融合タンパク質をコードするキメラ遺伝子を作製し、次いで前記のオートグラファ・キャリホルニカ・核多角体病ウイルス由来のバキュロウイルスベクターに導入することによって行うことができる。
さらに、BmCPVの外殻タンパク質(細胞質多角体タンパク質分子)と増殖因子を連結した融合タンパク質をコードするキメラ遺伝子を作製し、次いで上記のオートグラファ・キャリホルニカ・核多角体病ウイルス由来のバキュロウイルスベクターに導入することによっても行うことができる。
次に、このように調製した2種のウイルスベクターを昆虫の組織細胞に感染させる。この組織細胞への感染は、例えば、これら2種のウイルス(一つはVP3あるいは外殻タンパク質と増殖因子を連結した融合タンパク質をコードするキメラ遺伝子を組み込んだウイルスであり、他方は外殻タンパク質を組み込んだウイルス)を液体状で同時に昆虫細胞に接種し、次いで、室温で0.5〜3時間放置して、ウイルスベクターを細胞に十分に吸着させたのち、ウイルスベクター液を除去し、仔ウシ胎児血清を含む培養液を加え、20〜30℃の温度で2〜10日間培養することによって行うことができる。
次いで、この培養液から感染細胞を分離し、冷却下に摩砕し、摩砕液からろ過または遠心分離により多角体を含む固形分を回収すれば、所望の増殖因子が外殻タンパク質に包み込まれたタンパク質複合体の結晶体が得られる。なお、このようにして得られるタンパク質複合体は、必要に応じ、さらに密度勾配法による分画、緩衝液による洗浄等を行って精製することができる。
このようにして、増殖因子結晶が外殻タンパク質結晶で包み込まれたタンパク質複合体結晶が得られる。なお、この際、タンパク質複合体は、通常、外殻タンパク質結晶に対し、増殖因子結晶が、質量比で1/10〜1/1000の範囲で含まれるものとなる。
なお、この場合、増殖因子のN末端またはC末端に細胞質多角体病ウイルスの外層を構成するタンパク質であるVP3ないしは外殻タンパク質(細胞質多角体タンパク質分子)のアミノ酸配列を導入し、この融合タンパク質をバキュロウイルスベクターで発現させるが、この際、細胞質多角体病ウイルスの多角体を発現するウイルスとともに、昆虫細胞に感染させることにより、多角体中に融合タンパク質が包理される。このために、バキュロウイルスベクターで発現させた外来タンパク質、すなわち増殖因子が、細胞質多角体病ウイルスの構成タンパク質あるいは外殻タンパク質のN末端またはC末端に挿入されるように、細胞質多角体病ウイルスの構成タンパク質をコードするcDNAと外来タンパク質(増殖因子)遺伝子とを結合させる必要がある。この際、構成タンパク質と外来タンパク質遺伝子のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームがインフレームになるようにすることが重要であり、このようにして細胞質多角体病ウイルスの構成タンパク質と外来タンパク質を1つの融合タンパク質として発現させる組み換えバキュロウイルスが形成される。
ここで、以上のような方法で調整されたタンパク質複合体は、増殖因子が外殻タンパク質(細胞質多角体タンパク質結晶)の中に分散状態で含まれる結晶体である。
すなわち、細胞内において、外殻タンパク質が結晶化する際に、増殖因子(目的タンパク質)を取り込んで、好ましくは結晶状態で取り込んで、粒子状で産生されたものであり、増殖因子の微結晶は、外殻タンパク質結晶中に分散した状態で含まれているのが好ましい。
昆虫においてタンパク質複合体(結晶体)を産生させる場合、タンパク質複合結晶体は、前述したように、例えば、外殻タンパク質を組み込んだウイルスベクターと、増殖因子を組み込んだウイルスベクターとを別々に調製し、次いでこの2種のウイルスベクターを昆虫の組織細胞に同時に感染させ、この2種のウイルスに感染した昆虫細胞中で多角体を生成させたのち、この多角体を結晶として取り出すことによって製造することができる。このように、細胞質多角体病ウイルスと増殖因子をコードしたウイルスとを同時に感染させることにより、一挙(一時)に増殖因子微結晶を内部に分散含有する多角体タンパク質結晶が得られる。
上記の2種のウイルスベクターを感染させるために用いる昆虫は、ウイルスに感染できる細胞であれば特に制限されるものではないが、一般に、鱗翅目(Lepidoptera)に属するもの、特にシヤクガ科(Geometridae)、ヤママユガ(Salurniidae)、カイコガ科(Bombycidae)、ヒトリガ科(Arctiidae)、ヤガ科(Noetuidae)に属するものが用いられる。入手が容易で取り扱いやすい点で、カイコ(Bombyx mori L)、ムガサン(Antheraea assamensis Helfer)、ネキリムシ(Peridroma sp.)、アワヨトウ(Leucania unipunctata Howorth)等が通常用いられる。
ここで、VP3をコードしているS4の1358番目と2711番目に存在する制限酵素サイトXbaI間を欠落させたVP3/GFPのキメラ遺伝子(VP3(XbaI)/GFP)を作製する。次に、Autographa californica nucleopolyhedrovirus(AcNPV)由来のバキュロウイルスベクターに導入し、このVP3(XbaI)とGFPの融合タンパク質を昆虫細胞Spodoptera Frugiperda由来のIPLB−Sf21−AE(Sf21)で発現させた。その際、BmCPVの立方体の多角体を形成するために、ポリヘドリン遺伝子を組み込んだ組み換えAcNPV(AcCP−H)(Mori et al.(1993)J.Gen.Virol.74,99−102参照。)も同時にSf21細胞に接種した。2つのウイルスベクターに感染したSf21細胞から多角体を精製し、この融合タンパク質が多角体の中に包埋されアルカリ条件下において多角体が溶解するのと同時に放出されるかどうかを緑色蛍光を用いて調べた。その結果、VP3(XbaI)とGFPから成る融合タンパク質はVP3とGFPから成る融合タンパク質の発現の場合と同様に、多角体の溶解に伴って放出された。以上のことから、この融合タンパク質は多角体の中に特異的に取り込まれていることがわかった。これにより、多角体と呼ばれる粒子内に、緑色蛍光タンパク質(GFP)に代えて、目的とする増殖因子のキメラ遺伝子を作製することで、目的とする増殖因子を取り込ませる方法、および、増殖因子をポリヘドリンと呼ばれるタンパク質で包み込んだ粒子を作製する方法においてVP3を短くすることが可能であることが示された。
なお、本実施形態では、フィルター13を、第2容器10の底面22に保持する方法として、第2容器本体12とフィルター保持具14との間にフィルター13を挾持する場合について説明したが、かかる場合に限定されず、例えば、貫通孔が形成された第2容器10の底面22に、熱や超音波振動による溶着、有機溶媒等の各種溶剤を用いた固着等種々の方法を用いて保持するようにしてもよい。
これらの方法は、フィルター13の基材がプラスチック製のもので有効な手段である。通常、物の接着では、接着剤を用いる場合が多く、本構造体においても使用可能であるが、培養装置1の使用目的が組織または細胞の培養であるので、極力、接着剤や有機溶剤等の使用は避けることが望ましい。また、細胞外マトリックスを主成分とするフィルター13では同じ細胞外マトリックスを接着剤として用いることができる。例えば、ゼラチンや1型コラーゲン等が好適に用いることができる。
また、第2容器本体12とフィルター13、フィルター保持具14を熱溶着や、有機溶剤または接着剤を用いて接着して固定化することも可能である。
なお、培養装置1の必須条件である滅菌に関しては、例えば、エチレンオキサイドガス滅菌、感熱滅菌、蒸気滅菌、放射線滅菌等が挙げられるが、γ線あるいは電子線を用いた放射線滅菌が好ましく、大量生産を行う場合は放射線透過性の点でγ線滅菌が特に好ましい。また、放射線の吸収線量については特に限定するものではないが、吸収線量が低すぎると滅菌性は確保されず、高すぎると細胞培養装置が劣化してしまう場合がある。
また、本実施形態では、第2容器10の底面22にタンパク質複合体を担持させ、第1容器11の底面32に組織・細胞を培養する場合について説明したが、これとは逆に、第1容器11の底面32にタンパク質複合体を担持させ、第2容器10の底面22に組織・細胞を培養するようにしても良い。ただし、本実施形態の構成として、フィルター13上で細胞を培養することによって、薬剤透過性試験用器材としての用途ともなる。
<<第2実施形態>>
次に、本発明の培養装置の第2実施形態について説明する。
図4は、第2実施形態の培養装置が備える第2容器を示す模式的な縦断面図(a)、平面図(b)である。
以下、図4に示す第2容器10について説明するが、図1〜図3に示す第2容器10との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図4に示す第2容器10では、このものに設けられた係止部の構成が異なること以外は、図1〜3に示した第2容器10と同様である。
すなわち、本実施形態では、第2容器10の上側の端部を拡径部16で構成するのに代えて、第2容器10の上側の端部において、第2容器10の側壁から外側に飛び出した4つの突起部17により係止部が構成されている。係止部を、このような突起部17とすることによっても、前記第1実施形態の拡径部16と同様の効果が得られる。
なお、突起部17の数は、図4(b)では、4個である場合を示しているが、第2容器10が第1容器11に確実に保持できればよく、特に限定されず、2〜8個、好ましくは3〜6個、より好ましくは3〜4個に設定される。
また、突起部17の形状は、縦断面形状が図4(a)に示した直角三角形状に限定されるものではなく、第2容器10が第1容器11に係止できるものであればどのような形でもよく、正方形状、長方形状および台形状をなすものであってもよい。
<<第3実施形態>>
次に、本発明の培養装置の第3実施形態について説明する。
図5は、第3実施形態の培養装置が備える第2容器を示す模式的な縦断面図である。
以下、図5に示す第2容器10について説明するが、図1〜図3に示す第2容器10との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図5に示す第2容器10では、第1容器11の底面32と第2容器10の底面22との間の距離Xの大きさを調節する距離調節手段を有すること以外は、図1〜3に示した第2容器10と同様である。
本実施形態では、第2容器本体12において、拡径部16と接触するように、ガイド部18に全体形状が筒状をなすリング体19を2つ設けることとした。このようなリング体19を設ける構成とすることで、リング体19の数および幅を適宜設定することにより、距離Xを所望の大きさのものに設定することが可能となる。すなわち、このリング体19が、距離Xの大きさを調節する距離調節手段としての機能を発揮する。
なお、各実施形態では、フィルター13を、第2容器本体12とフィルター保持具14とで挾持することで固定することとしたが、かかる構成に限定されず、円盤状をなすフィルター13を用意し、このフィルター13を第2容器本体12の底部に接着剤等を用いて固定する構成としてもよい。
<培養方法>
次に、培養装置1を用いた組織または細胞の培養方法(本発明の培養方法)について説明する。
なお、培養される組織および細胞は、如何なるものであってもよいが、以下では、一次培養された細胞を二次培養する場合を一例に説明する。
[1] まず、一次培養した細胞を、例えば、トリプシンのようなタンパク質分解酵素等を用いた処理を行うことで、細胞を、一次培養させた容器から遊離(剥離)させた後、第1容器11の底面に播種する。
ここで、播種する細胞としては、特に限定されないが、例えば、上皮細胞、角化細胞、色素細胞(メラニン細胞)、血管内皮細胞、神経細胞、胚性幹細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞のような機能細胞、および、線維芽細胞、脂肪細胞、軟骨細胞、マクロファージ、象牙芽細胞、間質細胞のような結合組織細胞等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、培養装置1を用いた本発明の培養方法では、播種する細胞として、角化細胞および色素細胞の2種を選択し、これらを播種して共培養するのが好ましい。本発明の培養方法では、次工程[2]において説明するように、培養された細胞の数に応じて、培養液中に含まれる増殖因子を、好適な含有量に保つことができるため、角化細胞と色素細胞とを、ある一定の比率を維持した状態で培養させることが可能となる。したがって、本発明の培養方法で共培養された角化細胞および色素細胞を生体外モデルに適用すれば、かかる生体外モデルは、実験再現性に特に優れたものとなる。
[2] 次に、培地を含む培養液を調製し、この培養液を第1容器11の穴31内に供給したのち、穴31内に第2容器10を装着させる。
この際、第1容器11に第2容器10を係止して、第2容器10の底面22と第1容器11の底面32との離間距離を距離Xの大きさに保持する。
なお、この際、第2容器10の底面22が培養液中に存在するように、穴31内に供給する培養液の供給量を調整する。
培養液に含まれる培地としては、培養する細胞の種類等により適宜選択され、特に限定されないが、例えば、無血清培地(DK−SFM培地)、MCDB−104培地、MEM培地、ダルベッコMEM培地等が挙げられる。
また、培養液中には、必要に応じて、例えば、各種ビタミン類、各種アミノ酸、塩類等の添加剤を添加してもよい。
そして、穴31内に第2容器10を装着させた状態で、培養装置1を所定の条件下で放置することにより、細胞が二次培養(培養)される。
培養温度は、培養する細胞の種類等に応じて適宜設定され、特に限定されないが、通常、36〜38℃程度とされる。
さて、このような培養方法において、底面32に播種された細胞に培養液が接触し、この培養液を介して細胞上に、フィルター13に担持されたタンパク質複合体が位置することとなる。
ここで、タンパク質複合体は、前述したように、増殖因子(目的タンパク質)DNAを組み込んだウイルスベクターを、細胞質多角体病ウイルスの細胞質多角体タンパク質DNAを組み込んだウイルスベクターとともに、昆虫細胞、植物細胞のような細胞に感染させたのち、この細胞を培養して、その中で増殖因子結晶とこの増殖因子結晶を包理した外殻タンパク質結晶とからなるタンパク質複合結晶体を生成させ、精製したものである。
このようなタンパク質複合体において、増殖因子は、外殻タンパク質に包み込まれることにより、水分を含む培養液に長時間晒されたり、37℃以上の高温下に晒されたとしても、その生理活性が失活することなく安定的に保持(保護)されることとなる。
また、タンパク質複合体の外殻タンパク質(多角体)は、培養液に対して安定であるが、細胞から分泌(放出)されるマトリックスメタロプロテアーゼなどの分泌物に対して溶解するものと推察される。そのため、細胞の増殖により培養液中における分泌物濃度が上昇し、これにしたがって、外殻タンパク質が溶解することに起因して、培養液中に生理活性を有する増殖因子が徐放される。そして、この増殖因子が細胞に接触することで、細胞の増殖(培養)がより効率よく行われる。以上のことから、細胞からの分泌物の分泌と、タンパク質複合体からの増殖因子の分泌とが相乗的に行われるため、細胞の培養を効率的に行うことが可能となる。
すなわち、培養された細胞の数に応じて、培養液中に含まれる増殖因子を、好適な含有量に保つことができる。
なお、タンパク質複合体が培養すべき細胞に直接接触すると、細胞の増殖が抑制される傾向を示すことが判っているが、培養装置1のように、第1容器11の底面32と、第2容器10の底面22とを離間する構成とすることで、かかる問題点も解消される。
また、タンパク質複合体は、フィルター13の第1空間20側の面および第2空間30側の面の双方またはいずれか一方に保持されていればよい。ただし、第1空間20側の面にタンパク質複合体が保持される構成とすることで、タンパク質複合体がフィルター13から離脱したとしても、フィルター13の細孔により捕捉されるため、第2空間30側すなわち底面32に脱落することが的確に抑制または防止される。また、第2空間30側の面にタンパク質複合体が保持される構成とすることで、フィルター13を透過させることなく、第2空間30側すなわち底面32に増殖因子を供給することができるため、増殖因子の培養すべき細胞への接触効率の向上が図られる。
以上、本発明の培養装置および培養方法を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の培養装置は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することができる。
また、本発明の培養方法には、必要に応じて任意の工程が追加されてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
1.タンパク質複合体の調製
タンパク質複合体は、増殖因子、ウイルスベクターおよび昆虫細胞としてそれぞれ以下に示すものを用意し、「Ijiri, H., Coulibaly, F., Nishimura, G., Nakai, D., Chiu, E., Takenaka, C., Ikeda, K., Nakazawa, H., Hamada, N., Kotani, E., Metcalf, P., Kawamata, S., Mori, H. (2009) Structure-based targeting of bioactive proteins into cypovirus polyhedra and application to immobilized-cytokines for mammalian cell culture. Biomaterials 30, 4297-4308.」に従って調製した。
なお、増殖因子としては、IGF−1およびKGF(FGF−7)を、ウイルスベクターとしては、カイコ細胞質多角体病ウイルス(BmCPV)のH株の多角体タンパク質のみを発現するように構築されたリコンビナントウイルスAcCP−Hを、昆虫細胞としては、Spodoptera Frugiperda由来のIPLB−Sf21−AE(Sf21)を、10%仔ウシ胎児血清を含むTC−100(GIBCO BRL)培地で継代したものをそれぞれ用意した。
2.培養装置の作製
(実施例)
図1に示した第1容器11(6穴マルチウェルプレート)と、図2に示した第2容器10とを用意し、第2容器10が備えるフィルター13に、前記1.で調製したタンパク質複合体の水分散液を分注し、かかる水分散液を蒸発乾固させることによってタンパク質複合体を担持させた。なお、タンパク質複合体を担持させる面は、第1容器11に第2容器10を装着した際に、上側(第1容器11と反対側)になる面とした。
以上のようにして、図1に示した培養装置1を作製した。
(比較例1)
図1に示した第1容器11(6穴マルチウェルプレート)を比較例1の培養装置とした。
(比較例2)
図1に示した第1容器11(6穴マルチウェルプレート)を用意し、この第1容器11の底面の外周部に、前記1.で調製したタンパク質複合体の水分散液を分注し、かかる水分散液を蒸発乾固させることによってタンパク質複合体を担持させた。このものを比較例2の培養装置として用いることとした。
(比較例3)
図1に示した第1容器11(6穴マルチウェルプレート)と、第1容器11のウェル内に挿入可能な、円盤状をなすポリプロピレン樹脂板(直径32mm)とを用意し、このポリプロピレン樹脂板の一方の面に、前記1.で調製したタンパク質複合体のゼラチン分散液を分注し、かかるゼラチン分散液を蒸発乾固させることによってタンパク質複合体を担持させた。これらのものを比較例3の培養装置として用いることとした。
3.細胞の培養
<1> まず、異なるフラスコ内で、正常ヒト表皮メラニン細胞(倉敷紡績社製、初期播種密度:5000個/cm)および正常ヒト角化細胞(倉敷紡績社製、初期播種密度:2500個/cm)を、それぞれ、低血清表皮メラニン細胞(倉敷紡績社製、「Medium254」+倉敷紡績社製、「HMGS」)および無血清角化細胞増殖用培地(倉敷紡績社製、「HuMedia−KG2」)に播種したのち一次培養した。
<2> 次いで、培養された正常ヒト表皮メラニン細胞および正常ヒト角化細胞を、それぞれ、トリプシン処理したのち、剥離した細胞を培養液中に混合して細胞分散液を調製した。
なお、培養液には、無血清培地(DK−SFM培地)を用い、各細胞分散液の濃度は、正常ヒト表皮メラニン細胞および正常ヒト角化細胞が、それぞれ、10×10個/0.75mLとなるように調製した。
<3> 次いで、実施例および各比較例の培養装置を用意し、第1容器11が備えるウェル内に、正常人表皮メラニン細胞および正常ヒト角化細胞をそれぞれ10×10個ずつ播種したのち、無血清培地(DK−SFM培地)0.5mLを供給した。
その後、実施例については第2容器10をウェル内に装着させ、比較例3についてはポリプロピレン樹脂板をタンパク質複合体が担持された面を下側にしてウェル内に装着した。
<4> 次いで、実施例および各比較例の培養装置に播種された、正常人表皮メラニン細胞および正常ヒト角化細胞を、5vol/vol%炭酸ガスの雰囲気下、37℃の条件下で5日間静置することにより培養(二次培養)した。なお、途中、実施例および各比較例の培養装置ともに細胞播種2日後に培地交換を行った。
<5> 次いで、実施例および各比較例の培養装置において、培養液を除去し、PBS(−)で2回細胞を洗浄後、UVランプ(三共電気社製、「GL−15E」)を備える紫外線照射装置(東芝ライテック社製)で紫外線を照射した。なお、紫外線の照射強度は、ウェル毎に、0、6.25または12.5mJ/cmとした。
その後、無血清培地(DK−SFM培地)0.5mLを加えて、前記工程<4>と同様の条件下で、さらに5日間静置することにより培養(後培養)した。なお、実施例および各比較例の培養装置ともに、培地交換を2日おきに実施した。
4.評価
実施例および各比較例の培養装置を用いて培養された各ウェル内の細胞について、それぞれ、紫外線の照射強度に応じて、生細胞の数、1細胞あたりのメラニン産生量を以下の方法により測定または評価した。
(生細胞数の測定)
ウェルをPBS(−)で洗浄し、0.05%トリプシン/EDTAを0.2mL加えて37℃で8分間酵素反応させウェルから細胞を剥離させた。10%牛胎児血清(インビトロジェン社製)添加のダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、インビトロジェン社製)を0.2mL加えて細胞を回収した。
次いで、トリパンブルー試薬にて死細胞を染色して、ウェル内における生細胞数を血球系計算板で計数した。
(メラニン産生量の算出)
次に、前記生細胞数の測定で回収された各ウェル内の細胞を遠心分離した後、PBS(−)で2回遠心操作(1500rpm、3分)により洗浄した。
そして、洗浄後、PBS(−)を除去し、遠沈管の蓋を開放して細胞を乾燥した。乾燥後、10%のヂメチルスルホキシド(DMSO)含有2N NaOH溶液を120μL添加し、その後、80℃で1時間加熱して、細胞膜を溶解させた。
次いで、前記細胞溶解液100μLを96穴マルチウェルプレートに分注して、405nmにおける吸光度を測定した。
そして、ウェル(紫外線の照射強度)毎に、測定され吸光度を、前記生細胞数の測定で測定された生細胞数で除した値を、1細胞あたりのメラニン産生量とした。
その結果を表1、表2および図6、7に示す。
Figure 2012143220
Figure 2012143220
表1、表2および図6の紫外線の照射強度が0mJ/cmのデータから明らかなように、実施例の培養装置では、各比較例の培養装置と比較して、細胞を効率よく培養させることができた。
また、表1、表2および図7のデータから明らかなように、実施例の培養装置では、紫外線の照射強度が強くなるにしたがって、1細胞あたりのメラニン産生量が多くなっているのに対して、各比較例の培養装置では、紫外線の照射強度と、1細胞あたりのメラニン産生量との間で明確な相関関係は認められなかった。
また、比較例2の培養装置のウェル内における細胞を観察したところ、図8に示したように、ビーズ近傍には、細胞が寄り付かなかった。このことは、ビーズを細胞から一定距離隔離する必要があることを示唆する。
1 培養装置
10 第2容器
11 第1容器
12 第2容器本体
13 フィルター
14 フィルター保持具
15 リブ
16 拡径部
17 突起部
18 ガイド部
19 リング体
20 第1空間
21 穴
22 底面
30 第2空間
31 穴
32 底面
33 側面

Claims (11)

  1. 生体材料を培養するのに用いる培養装置であって、
    側壁および底部を有し、一端側が開口している第1容器と、
    前記第1容器内に配置され、側壁および底部を有する第2容器とを有し、
    前記第2容器が、該第2容器の側壁の底部と反対側の部位に、前記第1容器の側壁に係止可能な係止部を有し、該係止部により前記第2容器との底部と前記第1容器の底部とが一定距離を保ち離隔され配置され、
    前記第1容器および前記第2容器のいずれか一方の底部に、細胞内において産生され、増殖因子と、該増殖因子を包み込んだ外殻タンパク質とで構成されるタンパク質複合体が担持されていることを特徴とする培養装置。
  2. 前記係止部は、前記第2容器の側壁の底部と反対側の部位に設けられた拡径部である請求項1に記載の培養装置。
  3. 前記係止部は、前記第2容器の側壁の底部と反対側の部位に設けられた突起部である請求項1に記載の培養装置。
  4. 前記離隔距離が、10mm以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の培養装置。
  5. 前記第2容器の底部には、フィルム状のフィルター部が設けられているものである請求項1ないし4のいずれかに記載の培養装置。
  6. 前記フィルター部の孔径が、0.2〜5μmである請求項1ないし5のいずれかに記載の培養装置。
  7. 前記複合タンパク質は、前記外殻タンパク質が結晶化する際に、前記増殖因子を結晶状態で取り込んで産生されたものである請求項1ないし6のいずれかに記載の培養装置。
  8. 前記外殻タンパク質は、カイコ細胞質多角体タンパク質である請求項1ないし7のいずれかに記載の培養装置。
  9. 前記生体材料は、角化細胞およびメラニン細胞であり、これらが他方の前記底部において共培養される請求項1ないし8のいずれかに記載の培養装置。
  10. 前記細胞は、昆虫細胞である請求項1ないし9のいずれかに記載の培養装置。
  11. 請求項1ないし10のいずれかに記載の培養装置を用いた培養方法であって、
    前記第1容器および前記第2容器の他方の底部に前記生体材料を播種し、
    前記第1容器に前記第2容器を係止して、前記第2容器の底部と前記第1容器の底部とを離隔させて、前記生体材料を培養することを特徴とする培養方法。
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