JP2012140604A - ポリエステル樹脂及びその製造方法、ポリエステルフィルム、太陽電池用バックシート、並びに太陽電池モジュール - Google Patents

ポリエステル樹脂及びその製造方法、ポリエステルフィルム、太陽電池用バックシート、並びに太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】従来のポリエステル樹脂に比べ、耐加水分解性に優れており、ポリマー成分(例えば、太陽電池素子が設けられた電池側基板の太陽電池素子を封止する封止材)との密着性に優れたポリエステル樹脂及びその製造方法を提供する。
【解決手段】結晶化処理されたポリエステル樹脂を、筒状容器の一端から連続して導入し、他端に向けて前記筒状容器中を徐々に移動させると共に、該筒状容器内に温熱風を導入し、該筒状容器内を移動する前記ポリエステル樹脂の移動方向と直交する方向における、ポリエステル樹脂の温度分布を0.5%以上10%以下に制御して固相重合を行なう固相重合工程を有している。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル樹脂及びその製造方法、ポリエステルフィルム、太陽電池用バックシート、並びに太陽電池モジュールに関する。
ポリエステル樹脂は、その機械的特性、耐熱性、電気的特性の点から、各種分野に汎用されている。例えば、ポリエステル樹脂を用いたフィルムは、太陽電池発電モジュール、照明用フィルム、農業用シートなどの屋外用途に適用されており、このような適用形態においては、常に風雨に曝されるような環境に置かれることから、高い耐候性能を備えていることが必要とされる。
特に、近年では地球環境の保護の観点から、太陽光を電気に変換する太陽光発電が注目されている。この太陽光発電に用いられる太陽電池モジュールは、太陽光が入射するガラスの上に、(封止剤)/太陽電池素子/封止剤/バックシートがこの順に積層された構造を有するものが一般的である。
太陽電池モジュールは、風雨や直射日光に曝される過酷な使用環境下でも、数十年もの長期間に亘って発電効率などの電池性能を保持できるよう、高い耐候性能を備えていることが必要とされる。このような耐候性能を与えるためには、太陽電池発電モジュールを構成する支持基材や太陽光が入射する側と反対側に配される裏面保護シート(いわゆるバックシート)、太陽電池素子を封止する封止材などの諸材料も耐候性が求められる。
太陽電池モジュールを構成するバックシートには、一般にポリエステル樹脂などの樹脂材料が使用されている。ポリエステルは、一般に末端カルボキシル基が自己触媒として働き、水分が存在する環境では加水分解を起こしやすく、経時で劣化する傾向にある。そのため、屋外等の常に風雨に曝されるような環境に置かれる太陽電池モジュールに用いられるポリエステル樹脂には、その加水分解性が抑えられていることが求められる。
また、太陽電池発電モジュール用途以外の屋外用途に適用されるポリエステル樹脂についても同様、加水分解性が抑えられていることが求められる。
耐加水分解性を高めるため、末端カルボキシル基の量を抑えながら極限粘度を高める方法として、ポリエステル樹脂を固相重合する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、筒状の反応槽を用い、その槽の上方から樹脂を供給し一定時間熱処理を行なって下方から取り出す連続法により固相重合させる方法が開示されている(例えば、特許文献2〜3参照)。
特開2010−202837号公報 特開2000−219728号公報 特表2004−521982号公報
しかしながら、上記従来の方法で作製したポリエステル樹脂を用いてポリエステルフィルムとし、これを太陽電池用バックシートなどの屋外で使用される用途に適用した場合、優れた耐候性は得られない。
また、例えば太陽電池用バックシートの用途の場合、電池側基板の太陽電池素子を封止するために、例えばエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)等の封止材が設けられるが、このEVA等との間の密着性を高めるため、バックシートを構成するポリエステルフィルムには易接着性層が設けられている。ところが、この易接着性層は、ポリエステルフィルムとの間の密着も低下しやすく、長期経時で次第に易接着性層がポリエステルフィルムから剥離し、結果的に耐久性能を損なう一因となる。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、従来のポリエステル樹脂に比べて耐加水分解性に優れており、ポリマー成分との密着性(例えば、太陽電池素子が設けられた電池側基板の太陽電池素子を封止する封止材との密着性)に優れたポリエステル樹脂及びその製造方法、従来のポリエステルフィルムに比べて耐加水分解性に優れ、長期耐久性を具えたポリエステルフィルム及び太陽電池用バックシート、並びに、長期に亘り安定的な発電性能が得られる太陽電池モジュールを提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 結晶化処理されたポリエステル樹脂を、筒状容器の一端から連続的に導入し、該筒状容器内に温熱風を供給しながら、他端に向けて前記筒状容器中を移動させると共に、該筒状容器の軸心方向(ポリエステル樹脂の移動方向、すなわち筒状容器の筒の長さ方向)に直交する方向における、ポリエステル樹脂の温度分布を0.5%以上10%以下に制御して固相重合を行なう固相重合工程を有するポリエステル樹脂の製造方法である。
<2> 前記固相重合工程は、前記筒状容器の軸心方向に直交する方向における、前記筒状容器に導入されたポリエステル樹脂の移動速度分布を、0.1%以上10%以下に制御して固相重合を行なう前記<1>に記載のポリエステル樹脂の製造方法である。
<3> 下記式(1)及び下記式(2)を満足するように前記固相重合を行なう前記<1>又は前記<2>に記載のポリエステル樹脂の製造方法である。
0.004×W1.65≦S×V≦0.056×W1.65 ・・・(1)
400≦W≦40000 ・・・(2)
〔W:単位時間当たりの樹脂投入量[kg/hr]、S:筒状容器の軸心方向に直交する断面の断面積[m]、V:温熱風量[Nm/hr]〕
<4> 前記筒状容器中におけるポリエステル樹脂の充填率が、70%以上99%以下である前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載のポリエステル樹脂の製造方法である。
<5> 前記筒状容器へのポリエステル樹脂の導入前に予め、該ポリエステル樹脂を120℃以上180℃以下の温度に加熱して結晶化処理を行なう結晶化処理工程を更に有し、前記固相重合工程は、前記結晶化処理工程で加熱されたポリエステル樹脂が筒状容器に導入され、該筒状容器外からの加熱をせずに固相重合を行なう前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載のポリエステル樹脂の製造方法である。
<6> 前記筒状容器へのポリエステル樹脂の導入前に予め、該ポリエステル樹脂を加熱して結晶化処理を行なう結晶化処理工程を更に有し、前記結晶化処理工程は、筒状の結晶化槽として1以上10以下の数の連結槽中でポリエステル樹脂を加熱して結晶化処理する前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載のポリエステル樹脂の製造方法である。
<7>前記固相重合工程において前記筒状容器中におけるポリエステル樹脂の温度が180℃以上230℃以下の範囲であり、且つ該筒状容器中におけるポリエステル樹脂の滞留時間が12〜50時間である前記<1>〜前記<6>のいずれか1つに記載のポリエステル樹脂の製造方法である。
<8> 前記<1>〜前記<7>のいずれか1つに記載のポリエステル樹脂の製造方法により作製され、末端カルボン酸基の量(AV、単位eq/トン)が5以上20以下であり、前記AVのバラツキが1%以上20%以下であるポリエステル樹脂である。
<9> 固有粘度(IV、単位dl/g)が0.7以上0.9以下の範囲であり、前記IVのバラツキが1%以上20%以下である前記<8>に記載のポリエステル樹脂である。
<10> 前記<8>又は前記<9>に記載のポリエステル樹脂を含むポリエステルフィルムである。
<11> 前記<10>に記載のポリエステルフィルムを含む太陽電池用バックシートである。
<12> 太陽光が入射する透明性の基板と、前記基板の一方の側に配された太陽電池素子と、該太陽電池素子の前記基板が配された側と反対側に配された前記<11>に記載の太陽電池用バックシートと、を備えた太陽電池モジュールである。
本発明によれば、従来のポリエステル樹脂に比べ、耐加水分解性に優れており、ポリマー成分との密着性(例えば、太陽電池素子が設けられた電池側基板の太陽電池素子を封止する封止材との密着性)に優れたポリエステル樹脂及びその製造方法を提供することができる。また、
本発明によれば、従来のポリエステルフィルムに比べ、耐加水分解性に優れ、長期耐久性を具えたポリエステルフィルム及び太陽電池用バックシートを提供することができる。さらに、
本発明によれば、長期に亘り安定的な発電性能が得られる太陽電池モジュールを提供することができる。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法を実施するための固相重合装置の一実施形態を示す概略断面図である。 (a)は非接触でペレット樹脂を間接的に加熱することで乾燥及び結晶化処理を行なう間接加熱型の結晶化槽の構成例を示す断面図であり、(b)は加熱スクリューと接触させて直接的に加熱することで乾燥及び結晶化処理を行なう直接加熱型の結晶化槽の構成例を示す断面図である。 単位時間当たりの樹脂投入量Wと筒状容器の断面積S及び温熱風量Vの積との関係を示すグラフである。 筒状の3つの結晶化槽が繋ぎ合わされた連結槽の構成例を示す断面図である。 図1のA−A’線断面において筒状容器内のPETペレットの流速分布の測定方法を説明するための断面図である。
以下、本発明のポリエステル樹脂及びその製造方法、並びにこれを用いたポリエステルフィルム、太陽電池用バックシート、及び太陽電池モジュールについて、詳細に説明する。
<ポリエステル樹脂及びその製造方法>
本発明のポリエステル樹脂の製造方法は、結晶化処理されたポリエステル樹脂を筒状容器の一端から連続的に導入し、該筒状容器内に温熱風を供給しながら、他端に向けて前記筒状容器中を移動させると共に、該筒状容器の軸心方向に直交する方向における、前記ポリエステル樹脂の温度分布を0.5℃以上10℃以下に制御して固相重合を行なう固相重合工程を設けて構成されたものである。
本発明では、結晶化処理が施されたポリエステル樹脂を固相重合反応させる固相重合工程において、固相重合させるための筒状容器にその一端から連続的に導入されたポリエステル樹脂を、該筒状容器内に温熱風を導入しながら、他端に向けて筒状容器中を移動させて固相重合する場合に、筒状容器内を移動するポリエステル樹脂の移動方向、(すなわち筒状容器の軸心方向)に直交する方向において、ポリエステル樹脂の温度分布を0.5℃以上10℃以下に制御することで、「末端カルボキシル基量(AV)が高いものと低いものとを混在させて、樹脂の流れ方向に温度分布を形成する場合」に比べ、よりAVの分布が広がる、すなわちAVのバラツキが大きくなるので、他のポリマー成分(フィルム成形したときには隣接して設けられるポリマー層(例:太陽電池素子が配された電池側基板(特に太陽電池素子を封止する封止剤)との間の接着性を高める易接着性層))との密着と耐候性とが飛躍的に高められる。
耐候性の低下は、ポリエステル樹脂が加水分解して低分子量化することで起こる現象であり、耐候性の低下は「破断伸度」の低下をみて評価可能である。これは、破断伸度が分子量に支配されるためである。
ポリエステル樹脂のAVは、密着の点では高い方が好ましく、ポリエステル樹脂中に含まれる末端カルボン酸基が、該ポリエステル樹脂に隣接するポリマー成分(例:下塗り層や易接着性層)中の官能基との間で静電作用し、その静電力により密着力が高まる。一方、AVが高いと、末端カルボン酸基が触媒となって、ポリエステルのエステル結合の加水分解を促進し、耐候性を低下させる一因となるため、耐候性が低下しやすい欠点がある。そのため、AVの分布を広げることで、密着と耐候性との両立が図れる。さらに、極性の大きな高AV値の分子はフィルム表面に出やすく、効果的に密着力を高める一方、極性の小さな低AV分子は、フィルム内部に存在して耐候性を高める働きを担う。破断伸度のような力学強度には、フィルム表面より内部の分子が効くため、フィルム内部に耐候性の高い低AV分子が存在することは耐候性向上に有用である。そのため、従来のように、単純にAVの高いポリエステル樹脂(高AVポリエステル)とAVの低いポリエステル樹脂(低AVポリエステル)とを単に混ぜ合わせた組成では得られない、優れた密着と耐候性とが得られる。すなわち、別々の条件下で固相重合させて得られた高AVポリエステルと低AVポリエステルとを混合した場合より、単一の固相重合工程で高AVポリエステルと低AVポリエステルの混合組成を得ることにより、密着と耐候性との向上効果に優れる。これは、AVが連続的に変化するポリエステル樹脂が得られるためと推定される。
以上により、フィルム成形した場合に、フィルム中のAVを、表面から内部に向かって連続的に変化させることができる。これに対し、2つのAVの異なるポリエステル樹脂を混合した場合、製膜後のフィルム中のAV値は不連続に変化することになり、その界面強度が低下し、力学強度(破断伸度)が低下しやすくなるうえ、その界面が剥離界面となるために、密着性も低下しやすい。
以下、図1〜図3を参照して、本発明のポリエステル樹脂の製造方法を詳細に説明し、該説明を通じて本発明のポリエステル樹脂についても述べることとする。
図1は、本発明のポリエステル樹脂の製造方法を実施するための固相重合装置の一実施形態を示す図である。
図1に示すように、固相重合装置100は、ポリエステル樹脂の乾燥及び結晶化を行なう乾燥・結晶化槽10と、結晶化処理されたポリエステル樹脂を固相重合する固相重合槽40と、固相重合槽から排出されたポリエステル樹脂を冷却する冷却槽60とを備えている。冷却槽60で冷却されたポリエステル樹脂は、図示しない溶融押出機に供される。溶融押出機で所定条件にて溶融混練され、フィルム状に押出すことでポリエステルフィルムを成形することが可能である。
〜結晶化・乾燥〜
乾燥・結晶化槽10は、エステル化反応及び重縮合反応を設けてポリエステルを生成するエステル化工程を経て合成されたポリエステル樹脂を、加熱により乾燥させると共に結晶化する。なお、エステル化工程については、後述することとする。
ポリエステル樹脂の乾燥及び結晶化は、筒状の結晶化槽(容器)内に熱伝導性のスクリューが配されてスクリューに樹脂を直接接触させて熱交換することで乾燥、結晶化を行なう攪拌方式、あるいは筒状の結晶化槽(容器)内に温熱風を送り込み、ペレット状等の樹脂を温熱風で非接触で間接的に加熱して乾燥、結晶化を行なう非攪拌方式、等により行なうことができる。
中でも、本発明においては、加熱気体が導入された雰囲気中に樹脂ペレットを導入して加熱することにより、乾燥及び結晶化を行なう非攪拌方式による形態が好ましい。
前記非攪拌方式では、加熱された気体が被加熱体であるペレット状等の樹脂の表面で頻繁に入れ替わるために熱交換が速く、したがってポリエステル樹脂が槽内に留まる時間を不均一にすると、ペレット等間のIVのバラツキを形成しやすい。例えば図2−(a)に示すように、乾燥・結晶化槽10aは、筒状容器14の内部に複数の三角錐の邪魔板16を散在させた構造となっており、容器下方のペレット排出側に取り付けられたガス供給口18から加熱された窒素ガスが導入されるようになっている。窒素ガスが供給されると、ペレット導入口12から導入されたペレットは、邪魔板16と接触して時間をかけて筒内を通過し、通過中に窒素ガスと熱交換することで加熱される。この乾燥・結晶化槽10aは、筒状容器12がその軸心方向が重力方向と平行になるように配置され、筒状容器12の天部にある導入口から導入されたペレット等は内部を重力方向に邪魔板16に接触しながらペレット排出口19に向けて落下していく方式である。
なお、ここでの「重力方向と平行」とは、必ずしも平行な方向のみに限定するものではなく、ペレットを自重落下させ得る範囲で傾斜角を有することができる。具体的には、結晶化槽の筒状容器の軸心方向が、結晶化槽を配設する平面の垂線に対し、±40°以下の範囲で傾斜角を有してもよく、好ましくは±20°以下、さらに好ましくは±10°以下の範囲で傾斜して配設されていてもよい。
このとき、筒状の結晶化槽は、内部中空の筒状容器を複数連結して形成された連結槽を用い、連結槽を通して乾燥及び結晶化処理を行なう態様が好ましい。本発明における連結槽は、筒状構造を持つ容器が複数個繋ぎ合わされて構成された結晶化槽である。例えば図4に示すように、三角錐の邪魔板16が内部に配設された3つの結晶化槽32,34,36が3つ繋ぎ合わされた連結槽30を使用することができる。
このように、筒状構造を繋ぎ合わせた構造にすると、壁面の繋ぎ合わせの部分(図4中の破線で示された付近の内壁)に凹凸が発生し、そこでペレットが擦れ表面に傷が発生し易い。このように発生する傷のため、ペレット間の摩擦が増大し、後に送られる固相重合槽中での移動流速が低下する。一方、結晶化槽の直径方向の中央部(断面円形の円心部)では壁面と擦れることがなく、ペレットに傷が付きにくく、後に送られる固相重合槽でのペレットの流速は低下し難くなる。このように、結晶化槽の接合部が固相重合槽で処理されるペレットの流速に差異が生じ、IV分布が形成されやすくなる。
筒状容器を複数連結して形成された連結槽を用いる場合、連結槽は1以上10以下の数を用いるのが好ましく、より好ましくは2以上8以下であり、さらに好ましくは3以上6以下である。ここで、連結槽の数が1であるとは、再び接合することなく使用することをさし、1つでもそれが連結槽である場合は、接合部に凹凸を有しているため上記同様の効果が得られる。連結槽の数が前記範囲内であると、本発明に規定する範囲のIV分布が得られやすい。
筒状容器を複数連結した連結槽は、上記した接合部による働きと同様の機能を持たせるために、筒状構造の内壁近傍に樹脂の進行方向を遮るための妨害部材(例:邪魔板)を設けてもよい。妨害部材の形状は、錐状(円錐、多角錘)が好ましく、より好ましくは円錐形状である。錘状体にすることで、結晶化槽の上方に設けられたペレット導入口12から流れてくる樹脂の抵抗を低減できる上、錘状の先端、あるいは錘状の底辺のエッジの部分で樹脂に効率的に傷を付けることができる。
筒状容器中における錘状体の配置位置は、筒状容器の軸心(例えば、断面円形の筒状容器の場合は円形断面の円心を通る軸心)から半径長さの50%〜99%の範囲が好ましく、より好ましくは半径長さの60%〜95%の範囲、さらに好ましくは半径長さから70%〜93%の範囲である。配置は、ペレット等が通過できる程度に任意の間隔を空けて任意のパターンで設けることができる。また、妨害部材の配置数は、結晶化槽の筒状容器の単位体積(1m)あたりの数が1〜20の範囲であるのが好ましく、より好ましくは2〜15、さらに好ましくは3〜12である。
また、前記攪拌方式では、筒状の結晶化槽(容器)内に樹脂を加熱するための熱伝導性のスクリューが配され、このスクリューを回転し樹脂を移動させながらスクリューと接触することにより熱交換され、樹脂の乾燥、結晶化が行なわれる。例えば図2−(b)に示すように、乾燥・結晶化槽10bは、シリンダ22と、シリンダ22内に配置されたスクリュー24とを備えている。この場合、スクリュー24自体が樹脂の結晶化が行なえる温度に加熱されており、シリンダ内をスクリューで樹脂を送りながらスクリューとの接触により樹脂の結晶化が行なえるようになっている。この方式では、スクリューからの熱の付与によるため、結晶化速度は比較的遅く、また比較的均等に処理が進行するため、IV分布は狭くなる。
本発明においては、後述する固相重合に先立ち、樹脂(ペレット)の融着を防止するために結晶化するが、結晶化する際の好ましい結晶化温度としては、120℃以上180℃以下であり、より好ましくは125℃以上175℃以下であり、さらに好ましくは130℃以上170℃以下である。また、結晶化時間は、10分以上10時間未満が好ましく、より好ましくは20分以上8時間以下であり、さらに好ましくは40分以上7時間以下である。このとき、窒素等の不活性ガスを流すことが好ましい。
このように結晶化させる場合には結晶化に伴ない樹脂を乾燥させることができ、結晶化処理後の好ましい含水率は、100ppm以上5000ppm以下であり、より好ましくは200ppm以上3000ppm以下であり、さらに好ましくは300ppm以上1000ppm以下である。このように乾燥させることにより、次の固相重合中に発生する加水分解が抑制され、AVの上昇が抑制される。
〜固相重合〜
本発明における固相重合工程では、筒状容器の一端(例えば、軸心方向が重力方向と平行になるように配置された筒状容器の天部)から他端(例えば、該筒状容器の底部)に向けて樹脂を移動させると共に、該筒状容器内に温熱風を供給する。図1に示す一実施形態では、一端に設けられた導入口から自重により落下して筒内を移動するようになっている。
温熱風としては、ポリエステル樹脂のAVを上昇させない等、ポリエステル樹脂の性状の変化防止の観点から、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスが好ましい。また、供給する温熱風の温度としては、固相重合工程での固相重合を外部加熱せずに良好に行なわせる観点から、180℃以上230℃以下の温度範囲が好ましく、ポリエステル樹脂をこの温度範囲に加熱することが好ましい。温熱風の温度は、より好ましくは190〜220℃で、さらに好ましくは195℃以上210℃以下である。また、前記温度範囲に加熱されたポリエステル樹脂ペレット44を固相重合工程に送り、固相重合に供されることが好ましい。
固相重合槽40は、乾燥・結晶化槽10で結晶化処理されたポリエステル樹脂を固相重合反応させる。固相重合槽40は、断面円形で筒の軸心方向に長い筒状容器42を備えており、本実施形態では筒状容器42の外壁、すなわち器外から加熱を行なうための加熱器等は配置されていない。なお、断面形状は、円形に限られず任意の形状を選択することができる。固相重合槽40では、乾燥・結晶化槽10で加熱された樹脂が導入されるので、その熱で固相重合が進行し、樹脂が筒状容器内を通過する間は、器外からの加熱を行なわずに固相重合反応させるようになっている。
本実施形態の固相重合槽では、その重力方向における上方(固相重合槽の一端)で乾燥・結晶化槽10が接続され、この乾燥・結晶化槽から結晶化処理された樹脂が連続的に導入される。導入された樹脂は、器内を自重で落下して排出口に到達するまでの間に固相重合される。樹脂は、温熱風が供給されている筒状容器の軸心方向(長手方向)に移動し、このとき筒状容器の軸心方向に直交する方向、つまり筒状容器の円形断面の直径方向における、ポリエステル樹脂の温度分布を0.5%以上10%以下に制御する。ポリエステル樹脂の温度分布が0.5%未満であると、AVの分布(バラツキ)が1%以上20%以下の範囲の下限を下回り、密着及び耐候性の両立が難しい。ポリエステル樹脂の温度分布が10%を超えると、AVの分布(バラツキ)が1%以上20%以下の範囲の上限を上回り、極めて大きい或いは小さいAVの樹脂が存在するために耐候性の低下、密着の低下の要因となる。
ポリエステル樹脂の温度分布は、既述した乾燥・結晶化槽の撹拌方式、妨害部材等や、樹脂の供給量、固相重合時に筒状容器を外部加熱しない構成とすることによって達成される。このような温度分布は、固相重合槽に樹脂が供給された際に、固相重合槽の円形断面の直径方向を数等分(例えば5等分)し、各点を通る同心円に沿うように温度分布を与えることが重要であり、樹脂が筒の長手方向に流れる方向に温度ムラを形成した場合に比べ、密着及び耐候性の両立効果が飛躍的に向上する。
本発明においては、固相重合槽の筒状容器の軸心方向に直交する方向の、ポリエステル樹脂の温度分布としては、0.5%以上10%以下が好ましく、より好ましくは1%以上8%以下であり、さらに好ましくは2%以上7%以下である。
ポリエステル樹脂の温度分布は、筒状容器内に供給する温熱風の量、樹脂の供給量、固相重合槽を構成する筒状容器の軸心と直行する断面の断面積等により調整することができる。これらの詳細については後述する。
ポリエステル樹脂の温度分布を前記範囲にすることで、末端カルボン酸基の量(AV)が、平均値で5以上20以下の範囲であるポリエステル樹脂が得られる。AVは、樹脂(ペレットの場合は複数個)を任意にサンプリングして測定した平均値である。AVが5以上であることで、密着性が良好であり、またAVが20以下であることで、耐候性に優れる。中でも、AV(平均値)は、7以上18以下が好ましく、より好ましくは9以上16以下である。
また、作製されたポリエステル樹脂のAVのバラツキは、1%以上20%以下の範囲である。AVのバラツキが1%以上であることで、耐候性と密着の両立が発現し、20%以下であることで、極めて大きい或いは小さいAVの樹脂(例えばペレット)の存在が抑えられているので、耐候性、密着性の両立が図られる。
中でも、前記同様の理由から、ポリエステル樹脂のAVのバラツキは、2%以上18%以下がより好ましく、4%以上16%以下がさらに好ましい。
AV測定は、ポリエステル樹脂をベンジルアルコール/クロロホルム(=2/3;体積比)の混合溶液に完全溶解させ、指示薬としてフェノールレッドを用いて、これを基準液(0.025N KOH−メタノール混合溶液)で滴定し、その適定量から末端カルボン酸基の量(eq/トン;=末端COOH量)が求められる。なお、本明細書中において、「eq/トン」は1トン当たりのモル当量を表す。
固相重合工程では、筒状容器の軸心方向に直交する方向(例えば軸心方向と直行する断面が円形である場合の直径方向)におけるポリエステル樹脂の移動速度分布を、0.1%以上10%以下に制御して固相重合を行なうことが好ましい。
このような分布は、固相重合槽の軸心方向に直行する断面をみたときに、断面中央部を速くし器壁に向かって遅くなっていることが好ましい(直径方向における流速分布)。これにより、中央部と器壁との間にIVの分布(バラツキ)を形成することができる。これは、器壁に近くなるほど、中央部に比べて樹脂の移動速度(流速)が遅くなるために固相重合時間が長くなり、また器壁に近づくにつれ中央部に比べて温熱風の量が低下し易く、温度が低下しやすいためと推測される。このように、低温、長時間の固相重合が進行すると、ポリエステル樹脂の分子量(IV)が増加しやすくなる(即ち、固有粘度IVが増加しやすくなる)結果、IVの分布が形成される。
上記したポリエステル樹脂の流速分布は、後述するように充填率により達成できる。
上記のうち、ポリエステル樹脂の移動速度分布は、0.5%以上8%以下がより好ましく、さらに好ましくは1%以上6%以下である。
なお、通常の固相重合では、プラグフローを形成させて樹脂を流すため、流速分布は発生しない。
ポリエステル樹脂の流速分布を前記範囲にすることで、固有粘度(IV、単位dL/g)が、平均値で0.7以上0.9以下の範囲であるポリエステル樹脂が得られる。IVは、樹脂(ペレットの場合は複数個)を任意にサンプリングして測定した平均値である。IVが0.7以上であることで、耐候性がより良好になり、IVが0.9以下であることで、密着性がより良好になる。IVは、より好ましくは0.73以上0.87以下であり、さらに好ましくは0.76以上0.84以下である。
また、作製されたポリエステル樹脂のIVのバラツキは、1%以上20%以下であることが好ましく、より好ましくは2%以上18%以下であり、さらに好ましくは4%以上16%以下である。IVにバラツキが生じ、そのバラツキが1%以上に大きくなると、低分子量成分と高分子量成分とが混在することになり、密着及び耐候性の向上に有効である。また、IVが20%以下であることで、高分子量成分と低分子量成分の過度の増加が抑えられ、密着に優れる。
IVが小さいと、低分子量のポリエステルは粘性が増加し「糊」として作用するために密着に有効に働くので、低分子量成分(低IV)と高分子量成分(高IV)を混在させてIVに連続的なバラツキを付与することにより、密着性と耐候性とを両立することが可能になる。
本発明において、上記のAV分布、IV分布を有するポリエステル樹脂は、以下の方法で作製することができる。すなわち、
ポリエステル樹脂を結晶化槽に通した後、筒状容器に連続的に導入し、これに温熱風を供給すると共に、下記式(1)及び式(2)の関係を満足するように固相重合を行なうことで、前記AV、IVの分布を有するポリエステル樹脂は好適に作製される。
0.004×W1.65≦S×V≦0.056×W1.65 ・・・(1)
400≦W≦40000 ・・・(2)
W:単位時間当たりの樹脂投入量[kg/hr]
S:筒状容器の軸心方向に直交する断面の面積[m
V:温熱風量[Nm/hr]
前記式(1)及び式(2)の関係のうち、より好ましくは、
0.006×W1.65≦S×V≦0.040×W1.65 ・・・(3)
500≦W≦25000 ・・・(4)
さらに好ましくは
0.008×W1.65≦S×V≦0.025×W1.65 ・・・(5)
600≦W≦15000 ・・・(6)
前記式(1)〜(6)で表される範囲を図3に示す。図3中において、測定点として示した「●」等の記号は測定結果をプロットしたものであり、更に「●」は密着、耐候性ともに最良のものを、「○」は密着、耐候性ともに良好なものを、「△」は密着、耐候性ともにやや良いものを、「×」は密着、耐候性ともに劣るものをそれぞれ示す。
図3に示すプロットを整理すると、Wの1.65乗で整理することができ、その係数が0.004〜0.056の間で耐候性、密着性がやや良いレベル以上の効果が得られ、0.006〜0.040の間で比較的良いレベル以上の効果が得られ、0.008〜0.025の間で最良の効果が得られる。
上記の式から、筒の軸心方向と直交する断面の断面積Sの筒状容器を用いた固相重合槽で単位時間あたりWの樹脂量を固相重合しようとする場合、温熱風の量Vの好ましい範囲が前記式(1)で求められる。すなわち、前記式(1)を変形すると下記式(1)’となり、好ましいVの範囲が求まる。
0.004×W1.65/S≦V≦0.056×W1.65/S (1)’式
前記式(1)’の特徴は次の2点にある。
(1)温熱風の量Vが断面積Sに逆比例する。すなわち、
断面積が増加すると温熱風の量を減少させることを示す。通常は断面積が大きくなると温熱風の風量を増加させるが、これとは逆のことを行なうことが特徴である。これは、単位面積当たりの温熱風の量を減らすことで、筒状容器を用いた固相重合槽の中で幅方向(筒の軸心方向と直交する断面を含む平面方向)に温度分布を作ることができる。温熱風の量が多いと、筒状容器の断面を含む平面方向に均等に熱風が流れるが、熱風量が少ないと、筒状容器の近くは壁面との摩擦で熱風の流速が低下し、円筒の断面積の中央部分より温度が低下する。その結果、上記のように、ポリエステル樹脂(ペレット間)のAVにバラツキが生じる。すなわち、筒状容器の高温となる中央部(筒の軸心方向と直交する断面からみた中央)でAVが増加し易い。これは熱分解反応でエステル結合が分解しカルボン酸が生成しAV値が大きくなり易いためである。本発明においては、筒状容器の断面積が上記式を満たすことが重要であり、断面積の形状には影響せず、円形、方形、その他の種々の形状を選択できる。
(2)温熱風の量Vが樹脂供給量Wの1.65乗に比例する。すなわち、
樹脂供給量が増加することは、単位時間あたりに処理する樹脂量が増加するため、これらを温度調整するために温熱風の量を増加することが必要である。この際、樹脂量に正比例(1乗)ではなく1.65乗に比例し大きくすることが本発明において重要である。本発明では、温熱風を供給するのは、樹脂に熱を与えるためではなく、固相重合中に発生する結晶化に伴なう発熱を除去するためであり、温熱風を供給して固相重合中の結晶化に伴なう発熱を除去することに着目したことで1.65乗とした。すなわち、樹脂(ペレット)に熱を供給するのであれば、ペレットの外から中に向かい熱が伝わればよく、表面積の大きな外側から内部に熱を伝えるため熱風量は1乗で済む。しかし、実際にはペレット内部の発熱を取り除く必要があり、これは断面積の小さなペレット中央部から熱を取るため、風量を大きくする必要があり、1.65乗に比例して大きくする必要がある。
温熱風の量が式(1)’の上限以下であることで、筒状容器内で幅方向(断面積方向)に温度分布を形成することができ、AV分布が形成される。また、温熱風の量が式(1)’の下限以上であることで、筒状容器内の幅方向(断面積方向)の風速ムラが防止される上、ペレット内で結晶化熱の蓄熱に伴ない局所的に高温となるのを回避できる。これにより、AVのバラツキを増大し過ぎない程度に与えることができる。
本発明では、樹脂供給量Wが前記式(2)の範囲を満たす場合が好ましく、より好ましくは式(4)の範囲、さらに好ましくは式(6)式の範囲を満たす場合である。このように、従来の樹脂供給量より多いことが重要である。
樹脂供給量が前記式の下限値以上であることで、樹脂間に上記温度分布が与えられ(樹脂量が保たれて樹脂の温度が均等にならされることがない)、上記のAV分布を付与することができる。一方、樹脂供給量が前記式の上限値以下であることで、樹脂の供給が多くなり過ぎないため樹脂間の摩擦で樹脂速度に差異が生じ、容器中の樹脂に流速分布を与えやすい。
筒状容器中におけるポリエステル樹脂の充填率は、70%以上99%以下であることが好ましい。
充填率とは、固相重合槽の筒状容器中に樹脂が詰まっている高さを該容器の高さで除算して百分率で示したものである。
通常は反応効率を上げるために容器中に樹脂をフル重点して運転するが、本発明では、筒状容器の上部に少し空間を空けて固相重合することが好ましい。上部に少し空間が存在することで、上述のような樹脂の流速分布を形成することができる。樹脂(ペレット)は、筒状容器内を流下する際、容器壁面近傍では壁面との摩擦で流速が低下する。しかし、筒状容器に完全に樹脂が充満されると、その上から樹脂が押し込まれるため、樹脂間の摩擦が強くなって樹脂同士が引っ張り合い、等速で移動するプラグフローとなる。したがって、充填率を99%以下にすることで、樹脂の流速分布が与えられ、1%以上のIV分布を確保することができる。また、充填率を70%以上にすることで、壁面との摩擦による流速分布を形成する前に樹脂が反応容器から出てしまうのを回避し、流速分布を形成して1%以上のIV分布を確保することができる。
充填率としては、より好ましくは75%以上97%以下であり、さらに好ましくは78%以上95%である。
固相重合時における筒状容器中におけるポリエステル樹脂の温度は、180〜230℃が好ましく、190〜220℃がより好ましく、さらに好ましくは195℃〜209℃である。なお、ポリエステル樹脂の温度は、筒状反応容器の長手方向に10等分した箇所に設けられたポートからセンサーを挿入し、各点で壁面〜中央〜壁面の間を10等分した各点で測温し、これら100点の平均を求めて樹脂温度とした。
また、固相重合時における筒状容器中でのポリエステル樹脂の滞留時間は、12〜50時間[hr]が好ましく、15〜40時間[hr]がより好ましく、さらに好ましくは18〜30時間[hr]である。滞留時間とは、ポリエステル樹脂が、筒状容器内に導入された時点から排出口から排出された時点までの経過時間をいう。
本発明では、結晶化槽を構成する筒状容器が、実質的に外部加熱設備を持たないことが好ましい。通常の固相重合用の反応容器では、積極的に外部からも加熱するのが普通であるが、本発明ではこれを行なわないことで、上記した温度分布を形成し易くしている。
ここで、「実質的に外部加熱設備を持たない」とは、反応容器の表面積の70%以上の領域に加熱装置を備えていないことをいい、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは100%の範囲、すなわち全く加熱設備を備えていないことをいう。なお、加熱設備とは、熱媒による間接加熱や、熱源(ニクロム線、IRヒーター等)による直接加熱のいずれをもさす。保温材はこの範囲には含まない。
このような固相重合に先立ち、樹脂(ペレット)の融着を防止するためには、上記のように結晶化処理を施すことが好ましい。結晶化処理の詳細については、既述した通りである。
固相重合は、バッチ式(容器内に樹脂を入れ、この中で所定の時間熱を与えながら撹拌する方式)で実施してもよく、連続式(加熱した筒の中に樹脂を入れ、これを加熱しながら所定の時間滞流させながら筒中を通過させて、順次送り出す方式)で実施してもよい。
固相重合をするには、ポリエステル樹脂はペレット化して行なうことが好ましい。中でも、好ましいサイズは、1mm以上1000mm以下であり、より好ましくは10mm以上500mm以下であり、さらに好ましくは50mm以上200mm以下である。
〜冷却〜
冷却槽60は、固相重合槽40での固相重合を終えて排出されたポリエステル樹脂を冷却する。冷却は、筒状の冷却槽(容器)内に熱伝導性のスクリューが配されてスクリューに樹脂を直接接触させて熱交換することで冷却を行なう攪拌方式、あるいは筒状の冷却槽(容器)内に温調風を送り込み、ペレット状等の樹脂を非接触で間接的に温調する非攪拌方式、等により行なうことができる。
冷却は、120〜20℃の温度領域に降温すればよく、好ましくは80〜40℃である。
冷却槽60で冷却されたポリエステル樹脂は、図示しない溶融押出機に供され、ポリエステルフィルムの作製に用いられる。
本発明のポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、およびこれらの変性ポリエステル(イソフタル酸、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等を共重合したもの)が好ましく、より好ましいものは、樹脂のコストパフォーマンスに優れる点で、PETである。
−エステル化工程−
ここで、前記結晶化及び乾燥、固相重合に供するポリエステル樹脂の製造例として、エステル化反応及び重縮合反応を設けてポリエステル樹脂を生成するエステル化工程について説明する。
エステル化工程では、(a)エステル化反応、及び(b)エステル化反応で生成されたエステル化反応生成物を重縮合反応させる重縮合反応を設けて構成することができる。
(a)エステル化反応
ポリエステルを重合生成する際のエステル化反応において、触媒としては、チタン(Ti)化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、アルミニウム化合物等を使用できる。触媒の詳細については後述する。このうち、触媒としてTi化合物を用いるのが好ましい。この場合、Ti化合物の添加量は、Ti元素換算値で1ppm以上30ppm以下が好ましく、より好ましくは2ppm以上20ppm以下、さらに好ましくは3ppm以上15ppm以下の範囲で重合を行なうことが好ましい。Ti系化合物の量がTi元素換算で1ppm以上であると、重合速度が速くなり、好ましいIVが得られる。また、Ti化合物の量がTi元素換算で30ppm以下であると、末端COOH量を平均値で5〜20の範囲を満足するように調節することが可能であり、また良好な色調が得られる。
Ti化合物を用いたTi系ポリエステルの合成には、例えば、特公平8−30119号公報、特許第2543624号、特許第3335683号、特許第3717380号、特許第3897756号、特許第3962226号、特許第3979866号、特許第399687号1号、特許第4000867号、特許第4053837号、特許第4127119号、特許第4134710号、特許第4159154号、特許第4269704号、特許第4313538号、特開2005−340616号公報、特開2005−239940号公報、特開2004−319444号公報、特開2007−204538号公報、特許3436268号、特許第3780137号等に記載の方法を適用することができる。
本発明のポリエステル樹脂は、原料物質として、(A)ジカルボン酸成分と(B)ジオール成分とを用いて、これらの成分を重縮合することにより得られる。
ポリエステル樹脂の原料物質として用いられる(A)ジカルボン酸成分としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、イソソルビド、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸等の芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸もしくはそのエステル誘導体が挙げられる。
ジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸の少なくとも1種が用いられる場合が好ましい。より好ましくは、ジカルボン酸成分のうち、芳香族ジカルボン酸を主成分として含有する。なお、「主成分」とは、ジカルボン酸成分に占める芳香族ジカルボン酸の割合が80質量%以上であることをいう。芳香族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分を含んでもよい。このようなジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸などのエステル誘導体等である。
ポリエステル樹脂の原料物質として用いられる(B)ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールA、1,3―ベンゼンジメタノール,1,4−ベンセンジメタノール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、などの芳香族ジオール類等が挙げられる。
ジオール成分として、脂肪族ジオールの少なくとも1種が用いられる場合が好ましい。脂肪族ジオールとして、エチレングリコールを含むことができ、好ましくはエチレングリコールを主成分として含有する。なお、主成分とは、ジオール成分に占めるエチレングリコールの割合が80質量%以上であることをいう。
脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール)の使用量は、前記芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸)及び必要に応じそのエステル誘導体の1モルに対して、1.015〜1.50モルの範囲であるのが好ましい。該使用量は、より好ましくは1.02〜1.30モルの範囲であり、更に好ましくは1.025〜1.10モルの範囲である。該使用量は、1.015以上の範囲であると、エステル化反応が良好に進行し、1.50モル以下の範囲であると、例えばエチレングリコールの2量化によるジエチレングリコールの副生が抑えられ、融点やガラス転移温度、結晶性、耐熱性、耐加水分解性、耐候性など多くの特性を良好に保つことができる。
PETは、テレフタル酸とエチレングリコールとをPET成分全体の90モル%以上含むものが好ましく、より好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは98モル%以上含むものである。
エステル化反応及び/又はエステル交換反応には、従来から公知の反応触媒を用いることができる。該反応触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物、リン化合物などを挙げることができる。通常、ポリエステルの製造方法が完結する以前の任意の段階において、重合触媒としてアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物を添加することが好ましい。このような方法としては、例えば、ゲルマニウム化合物を例に挙げると、ゲルマニウム化合物粉体をそのまま添加することが好ましい。
これらの中でより好ましいポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)であり、さらに好ましいのはPETである。また、前記PETとしては、ゲルマニウム(Ge)系触媒、アンチモン(Sb)系触媒、アルミニウム(Al)系触媒、及びチタン(Ti)系触媒から選ばれる1種又は2種以上を用いて重合されるPETが好ましく、より好ましくはTi系触媒を用いたものである。
前記Ti系触媒は、反応活性が高く、重合温度を低くすることができる。そのため、特に重合反応中にPETが熱分解し、COOHが発生するのを抑制することが可能であり、本発明のポリエステルフィルムにおいて、末端COOH量を所定の範囲に調整するのに好適である。
前記Ti系触媒としては、酸化物、水酸化物、アルコキシド、カルボン酸塩、炭酸塩、蓚酸塩、有機キレートチタン錯体、及びハロゲン化物等が挙げられる。Ti系触媒は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、二種以上のチタン化合物を併用してもよい。
Ti系触媒の例としては、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテトラマー、テトラ−t−ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネート等のチタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物、チタンアルコキシドと珪素アルコキシドもしくはジルコニウムアルコキシドとの混合物の加水分解により得られるチタン−珪素もしくはジルコニウム複合酸化物、酢酸チタン、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム、蓚酸チタンナトリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸−水酸化アルミニウム混合物、塩化チタン、塩化チタン−塩化アルミニウム混合物、チタンアセチルアセトナート、有機酸を配位子とする有機キレートチタン錯体、等が挙げられる。
前記Ti系触媒の中でも、有機酸を配位子とする有機キレートチタン錯体の少なくとも1種が好適に用いることができる。有機酸としては、例えば、クエン酸、乳酸、トリメリット酸、リンゴ酸等を挙げることができる。中でも、クエン酸又はクエン酸塩を配位子とする有機キレート錯体が好ましい。
例えばクエン酸を配位子とするキレートチタン錯体を用いた場合、微細粒子等の異物の発生が少なく、他のチタン化合物に比べ、重合活性と色調の良好なポリエステル樹脂が得られる。更に、クエン酸キレートチタン錯体を用いる場合でも、エステル化反応の段階で添加することにより、エステル化反応後に添加する場合に比べ、重合活性と色調が良好で、末端カルボキシル基の少ないポリエステル樹脂が得られる。この点については、チタン触媒はエステル化反応の触媒効果もあり、エステル化段階で添加することでエステル化反応終了時におけるオリゴマー酸価が低くなり、以降の重縮合反応がより効率的に行なわれ、またクエン酸を配位子とする錯体はチタンアルコキシド等に比べて加水分解耐性が高く、エステル化反応過程において加水分解せず、本来の活性を維持したままエステル化及び重縮合反応の触媒として効果的に機能するものと推定される。
また、一般に、末端カルボキシル基量が多いほど耐加水分解性が悪化することが知られており、本発明の添加方法によって末端カルボキシル基量が少なくなることで、耐加水分解性の向上が期待される。
前記クエン酸キレートチタン錯体としては、例えば、ジョンソン・マッセイ社製のVERTEC AC−420などの市販品として容易に入手可能である。
芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールは、これらを含むスラリーを調製し、これをエステル化反応工程に連続的に供給することにより導入することができる。
本発明においては、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとを、チタン化合物を含有する触媒の存在下で重合するとともに、チタン化合物の少なくとも一種が有機酸を配位子とする有機キレートチタン錯体であって、有機キレートチタン錯体とマグネシウム化合物と置換基として芳香環を有しない5価のリン酸エステルとをこの順序で添加する過程を少なくとも含むエステル化反応工程を設けて構成されるのが好ましい。この場合、このエステル化反応工程に加え、エステル化反応工程で生成されたエステル化反応生成物を重縮合反応させて重縮合物を生成する重縮合工程を設けて構成されているポリエステル樹脂の製造方法によりポリエステルフィルムを作製する態様がより好ましい。なお、重縮合工程については、後述する。
この場合、エステル化反応の過程において、チタン化合物として有機キレートチタン錯体を存在させた中に、マグネシウム化合物を添加し、次いで特定の5価のリン化合物を添加する添加順とすることで、チタン触媒の反応活性を適度に高く保ち、マグネシウムによる静電印加特性を付与しつつ、かつ重縮合における分解反応を効果的に抑制することができるため、結果として着色が少なく、高い静電印加特性を有するとともに高温下に曝された際の黄変色が改善されたポリエステル樹脂が得られる。
これにより、重合時の着色及びその後の溶融製膜時における着色が少なくなり、従来のアンチモン(Sb)触媒系のポリエステル樹脂に比べて黄色味が軽減され、また、透明性の比較的高いゲルマニウム触媒系のポリエステル樹脂に比べて遜色のない色調、透明性を持ち、しかも耐熱性に優れたポリエステル樹脂を提供できる。また、コバルト化合物や色素などの色調調整材を用いずに高い透明性を有し、黄色味の少ないポリエステル樹脂が得られる。
このポリエステル樹脂は、透明性に関する要求の高い用途(例えば、光学用フィルム、工業用リス等)に利用が可能であり、高価なゲルマニウム系触媒を用いる必要がないため、大幅なコスト低減が図れる。加えて、Sb触媒系で生じやすい触媒起因の異物の混入も回避されるため、製膜過程での故障の発生や品質不良が軽減され、得率向上による低コスト化も図ることができる。
上記において、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールを、マグネシウム化合物及びリン化合物の添加に先立って、チタン化合物である有機キレートチタン錯体を含有する触媒と混合する場合、有機キレートチタン錯体等はエステル化反応に対しても高い触媒活性を持つので、エステル化反応を良好に行なわせることができる。このとき、ジカルボン酸成分及びジオール成分を混合した中にチタン化合物を加えてもよい。また、ジカルボン酸成分(又はジオール成分)とチタン化合物を混合してからジオール成分(又はジカルボン酸成分)を混合してもよい。また、ジカルボン酸成分とジオール成分とチタン化合物とを同時に混合するようにしてもよい。混合は、その方法に特に制限はなく、従来公知の方法により行なうことが可能である。
エステル化反応させるにあたり、チタン化合物である有機キレートチタン錯体と添加剤としてマグネシウム化合物と5価のリン化合物とをこの順に添加する過程を設けることが好ましい。このとき、有機キレートチタン錯体の存在下、エステル化反応を進め、その後はマグネシウム化合物の添加を、リン化合物の添加前に開始する。
(リン化合物)
5価のリン化合物として、置換基として芳香環を有しない5価のリン酸エステルの少なくとも一種が用いられる。本発明における5価のリン酸エステルとしては、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリ−n−ブチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリス(トリエチレングリコール)、リン酸メチルアシッド、リン酸エチルアシッド、リン酸イソプロピルアシッド、リン酸ブチルアシッド、リン酸モノブチル、リン酸ジブチル、リン酸ジオクチル、リン酸トリエチレングリコールアシッド等が挙げられる。
5価のリン酸エステルの中では、炭素数2以下の低級アルキル基を置換基として有するリン酸エステル〔(OR)−P=O;R=炭素数1又は2のアルキル基〕が好ましく、具体的には、リン酸トリメチル、リン酸トリエチルが特に好ましい。
特に、前記チタン化合物として、クエン酸又はその塩が配位するキレートチタン錯体を触媒として用いる場合、5価のリン酸エステルの方が3価のリン酸エステルよりも重合活性、色調が良好であり、更に炭素数2以下の5価のリン酸エステルを添加する態様の場合に、重合活性、色調、耐熱性のバランスを特に向上させることができる。
リン化合物の添加量としては、P元素換算値が50ppm以上90ppm以下の範囲となる量が好ましい。リン化合物の量は、より好ましくは60ppm以上80ppm以下となる量であり、さらに好ましくは65ppm以上75ppm以下となる量である。
(マグネシウム化合物)
マグネシウム化合物を含めることにより、静電印加性が向上する。この場合に着色がおきやすいが、本発明においては、着色を抑え、優れた色調、耐熱性が得られる。
マグネシウム化合物としては、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等のマグネシウム塩が挙げられる。中でも、エチレングリコールへの溶解性の観点から、酢酸マグネシウムが最も好ましい。
マグネシウム化合物の添加量としては、高い静電印加性を付与するためには、Mg元素換算値が50ppm以上となる量が好ましく、50ppm以上100ppm以下の範囲となる量がより好ましい。マグネシウム化合物の添加量は、静電印加性の付与の点で、好ましくは60ppm以上90ppm以下の範囲となる量であり、さらに好ましくは70ppm以上80ppm以下の範囲となる量である。
本発明におけるエステル化反応工程においては、触媒成分である前記チタン化合物と、添加剤である前記マグネシウム化合物及びリン化合物とを、下記式(i)から算出される値Zが下記の関係式(ii)を満たすように、添加して溶融重合させる場合が特に好ましい。ここで、P含有量は芳香環を有しない5価のリン酸エステルを含むリン化合物全体に由来するリン量であり、Ti含有量は、有機キレートチタン錯体を含むTi化合物全体に由来するチタン量である。このように、チタン化合物を含む触媒系でのマグネシウム化合物及びリン化合物の併用を選択し、その添加タイミング及び添加割合を制御することによって、チタン化合物の触媒活性を適度に高く維持しつつも、黄色味の少ない色調が得られ、重合反応時やその後の製膜時(溶融時)などで高温下に曝されても黄着色を生じ難い耐熱性を付与することができる。
(i)Z=5×(P含有量[ppm]/P原子量)−2×(Mg含有量[ppm]/Mg原子量)−4×(Ti含有量[ppm]/Ti原子量)
(ii)0≦Z≦5.0
式(i)及び式(ii)で示される関係は、リン化合物はチタンに作用のみならずマグネシウム化合物とも相互作用することから、3者のバランスを定量的に表現する指標となるものである。
前記式(i)は、反応可能な全リン量から、マグネシウムに作用するリン分を除き、チタンに作用可能なリンの量を表現したものである。値Zが正の場合は、チタンを阻害するリンが余剰な状況にあり、逆に負の場合はチタンを阻害するために必要なリンが不足する状況にあるといえる。反応においては、Ti、Mg、Pの各原子1個は等価ではないことから、式中の各々のモル数に価数を乗じて重み付けを施してある。
本発明においては、特殊な合成等が不要であり、安価でかつ容易に入手可能なチタン化合物、リン化合物、マグネシウム化合物を用いて、反応に必要とされる反応活性を持ちながら、色調及び熱に対する着色耐性に優れたポリエステル樹脂を得ることができる。
前記式(ii)において、重合反応性を保った状態で、色調及び熱に対する着色耐性をより高める観点から、1.0≦Z≦4.0を満たす場合が好ましく、1.5≦Z≦3.0を満たす場合がより好ましい。
本発明における好ましい態様として、エステル化反応が終了する前に、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールに、1ppm以上30ppm以下のクエン酸又はクエン酸塩を配位子とするキレートチタン錯体を添加後、該キレートチタン錯体の存在下に、60ppm以上90ppm以下(より好ましくは70ppm以上80ppm以下)の弱酸のマグネシウム塩を添加し、該添加後にさらに、60ppm以上80ppm以下(より好ましくは65ppm以上75ppm以下)の、芳香環を置換基として有しない5価のリン酸エステルを添加する態様が挙げられる。
エステル化反応は、少なくとも2個の反応器を直列に連結した多段式装置を用いて、エチレングリコールが還流する条件下で、反応によって生成した水又はアルコールを系外に除去しながら実施することができる。
また、上記したエステル化反応は、一段階で行なってもよいし、多段階に分けて行なうようにしてもよい。
エステル化反応を一段階で行なう場合、エステル化反応温度は230〜260℃が好ましく、240〜250℃がより好ましい。
エステル化反応を多段階に分けて行なう場合、第一反応槽のエステル化反応の温度は230〜260℃が好ましく、より好ましくは240〜250℃であり、圧力は1.0〜5.0kg/cmが好ましく、より好ましくは2.0〜3.0kg/cmである。第二反応槽のエステル化反応の温度は230〜260℃が好ましく、より好ましくは245〜255℃であり、圧力は0.5〜5.0kg/cm、より好ましくは1.0〜3.0kg/cmである。さらに3段階以上に分けて実施する場合は、中間段階のエステル化反応の条件は、前記第一反応槽と最終反応槽の間の条件に設定するのが好ましい。
(b)重縮合(エステル交換反応工程)
重縮合は、エステル化反応で生成されたエステル化反応生成物を重縮合反応させて重縮合物を生成する。重縮合反応は、1段階で行なってもよいし、多段階に分けて行なってもよい。
エステル化反応で生成したオリゴマー等のエステル化反応生成物は、引き続いて重縮合反応に供される。この重縮合反応は、多段階の重縮合反応槽に供給することにより好適に行なうことが可能である。
例えば、3段階の反応槽で行なう場合の重縮合反応条件は、第一反応槽は、反応温度が255〜280℃、より好ましくは265〜275℃であり、圧力が13.3×10−3〜1.3×10−3MPa(100〜10torr)、より好ましくは6.67×10−3〜2.67×10−3MPa(50〜20torr)であって、第二反応槽は、反応温度が265〜285℃、より好ましくは270〜280℃であり、圧力が2.67×10−3〜1.33×10−4MPa(20〜1torr)、より好ましくは1.33×10−3〜4.0×10−4MPa(10〜3torr)であって、最終反応槽内における第三反応槽は、反応温度が270〜290℃、より好ましくは275〜285℃であり、圧力が1.33×10−3〜1.33×10−5MPa(10〜0.1torr)、より好ましくは6.67×10−4〜6.67×10−5MPa(5〜0.5torr)である態様が好ましい。
本発明においては、上記のエステル化反応工程及び重縮合工程を設けることにより、チタン原子(Ti)、マグネシウム原子(Mg)、及びリン原子(P)を含むと共に、下記式(i)から算出される値Zが、前記の関係式(ii)を満たすポリエステル樹脂を生成することができる。
ポリエステル樹脂は、0≦Z≦5.0を満たすものであることで、Ti、P、及びMgの3元素のバランスが適切に調節されているので、重合反応性を保った状態で、色調と耐熱性(高温下での黄着色の低減)とに優れ、かつ高い静電印加性を維持することができる。また、本発明では、コバルト化合物や色素などの色調調整材を用いずに高い透明性を有し、黄色味の少ないポリエステル樹脂を得ることができる。
前記式(i)は既述のように、リン化合物、マグネシウム化合物、及びリン化合物の3者のバランスを定量的に表現したものであり、反応可能な全リン量から、マグネシウムに作用するリン分を除き、チタンに作用可能なリンの量を表したものである。値Zが0未満、つまりチタンに作用するリン量が少な過ぎると、チタンの触媒活性(重合反応性)は高まるが、耐熱性が低下し、得られるポリエステル樹脂の色調は黄色味を帯び、重合後の例えば製膜時(溶融時)にも着色し、色調が低下する。また、値Zが5.0を超える、つまりチタンに作用するリン量が多過ぎると、得られるポリエステルの耐熱性及び色調は良好なものの、触媒活性が低下しすぎ、生成性に劣る。
本発明においては、上記同様の理由から、前記式(ii)は、1.0≦Z≦4.0を満たす場合が好ましく、1.5≦Z≦3.0を満たす場合がより好ましい。
Ti、Mg、及びPの各元素の測定は、高分解能型高周波誘導結合プラズマ−質量分析(HR-ICP-MS;SIIナノテクノロジー社製AttoM)を用いてポリエステル樹脂中の各元素を定量し、得られた結果から含有量[ppm]を算出することにより行なうことができる。
また、生成されるポリエステル樹脂は、更に、下記の関係式(iii)で表される関係を満たすものであることが好ましい。
重縮合後にペレットとしたときのb値 ≦ 4.0 ・・・(iii)
重縮合して得られたポリエステル樹脂をペレット化し、該ペレットのb値が4.0以下であることにより、黄色味が少なく、透明性に優れる。b値が4.0以下である場合、Ge触媒で重合したポリエステル樹脂と遜色ない色調になる。
b値は、色味を表す指標となるものであり、ND−101D(日本電色工業(株)製)を用いて計測される値である。
また更に、ポリエステル樹脂は、下記の関係式(iv)で表される関係を満たしていることが好ましい。
色調変化速度[Δb/分]≦ 0.15 ・・・(iv)
重縮合して得られたポリエステル樹脂のペレットを、300℃で溶融保持した際の色調変化速度[Δb/分]が0.15以下であることにより、加熱下に曝された際の黄着色を低く抑えることができる。これにより、例えば押出機で押し出して製膜する等の場合に、黄着色が少なく、色調に優れたフィルムを得ることができる。
前記色調変化速度は、値が小さいほど好ましく、0.10以下であることが特に好ましい。
色調変化速度は、熱による色の変化を表す指標となるものであり、下記方法により求められる値である。すなわち、
ポリエステル樹脂のペレットを、射出成形機(例えば東芝機械(株)製のEC100NII)のホッパーに投入し、シリンダ内(300℃)で溶融保持させた状態で、その保持時間を変更してプレート状に成形し、このときのプレートb値をND−101D(日本電色工業(株)製)により測定する。b値の変化をもとに変化速度[Δb/分]を算出する。
<ポリエステルフィルム>
本発明のポリエステルフィルムは、上記のように結晶化処理、固相重合等を経た後のポリエステル樹脂を溶融押出機に投入して溶融混練し、口金(押出ダイ)から押出すことにより成形することにより作製されるものである。
成形されたポリエステルフィルムの延伸前の厚みは、0.3〜6mmが好ましく、より好ましくは0.5〜5mmであり、さらに好ましくは0.8〜4mmである。
また、延伸後の厚みは、40〜500μmが好ましく、より好ましくは50〜400μmであり、さらに好ましくは70〜300μmである。
成形は、固相重合後に冷却した後、ポリエステルを乾燥させて残留水分を100ppm以下にした後に、溶融押出機を用いて溶融混練して行なえる。溶融温度は、250℃以上320℃以下が好ましく、260℃以上310℃以下がより好ましく、270℃以上300℃以下がさらに好ましい。溶融押出機は、単軸でも多軸でもよい。熱分解による末端COOHの発生がより抑制される点で、押出機内を窒素置換して行なうのが好ましい。
溶融された溶融樹脂(メルト)は、ギアポンプ、濾過器等を通して、押出ダイから押出す。このとき、単層で押出してもよいし、多層で押出してもよい。
上記の押出による成形工程の後には、作製された押出フィルム(未延伸フィルム)を2軸延伸することにより、本発明のポリエステルフィルムを好適に作製することができる。
具体的には、未延伸のポリエステルフィルムを、70℃以上140℃以下の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に3倍以上5倍以下の延伸率で延伸し、20℃以上50℃以下の温度のロール群で冷却することが好ましい。続いて、フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、80℃以上150℃以下の温度に加熱された雰囲気中で、長手方向に直角な方向(幅方向)に3倍以上5倍以下の延伸率で延伸する。
延伸率は、長手方向と幅方向それぞれ3倍以上5倍以下とするのが好ましい。また、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は、9倍以上15倍以下であることが好ましい。面積倍率が9倍以上であると、得られる二軸延伸積層フィルムの反射率や隠蔽性、フィルム強度が良好であり、また面積倍率が15倍以下であると、延伸時の破れを回避することができる。
二軸延伸する方法としては、上述のように、長手方向と幅方向の延伸とを分離して行なう逐次二軸延伸方法のほか、長手方向と幅方向の延伸を同時に行なう同時二軸延伸方法のいずれであってもよい。
得られた二軸延伸フィルムの結晶配向を完了させて、平面性と寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内にて、好ましくは原料となる樹脂のガラス転移温度(Tg)以上融点(Tm)未満の温度で1秒以上30秒以下の熱処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却する。一般に、熱処理温度(Ts)が低いとフィルムの熱収縮が大きいため、高い熱寸法安定性を付与するためには、熱処理温度は高い方が好ましい。しかしながら、熱処理温度を高くし過ぎると配向結晶性が低下し、その結果形成されたフィルムが耐加水分解性に劣ることがある。そのため、本発明のポリエステルフィルムの熱処理温度(Ts)としては、40℃≦(Tm−Ts)≦90℃であるのが好ましい。より好ましくは、熱処理温度(Ts)を50℃≦(Tm−Ts)≦80℃、更に好ましくは55℃≦(Tm−Ts)≦75℃とすることが好ましい。
更には、本発明のポリエステルフィルムは、太陽電池モジュールを構成するバックシートとして用いることができるが、モジュール使用時には雰囲気温度が100℃程度まで上昇することがある。そのため、熱処理温度(Ts)としては、160℃以上Tm−40℃(但し、Tm−40℃>160℃)以下であるのが好ましい。より好ましくは170℃以上Tm−50℃(但し、Tm−50℃>170℃)以下、更に好ましくはTsが180℃以上Tm−55℃(但し、Tm−55℃>180℃)以下である。
また必要に応じて、幅方向あるいは長手方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。
「3〜12%」の数値は、以下の式により算出される。
100×(弛緩前の長さ−弛緩後の長さ)/(弛緩処理前の長さ)
弛緩前、後の長さの測定法
幅方向:テンターで拡幅して延伸するが、その最大幅を「弛緩前の長さ」、テンター出口の幅を「弛緩後の長さ」とする
長手方向:延伸した後にMD方向に一定間隔で2点マークをつける(弛緩前の長さ)。この後弛緩しこの2点間の長さを求める(弛緩後の長さ)
<太陽電池用バックシート>
本発明の太陽電池用バックシートは、既述の本発明のポリエステルフィルムを設けて構成したものであり、被着物に対して易接着性層、紫外線吸収層、光反射性のある白色層などの機能性層を少なくとも1層設けて構成することができる。既述の本発明のポリエステルフィルムを備えるので、長期使用時において安定した耐久性能を示す。
本発明の太陽電池用バックシートは、例えば、1軸延伸後及び/又は2軸延伸後のポリエステルフィルムに下記の機能性層を塗設してもよい。塗設には、ロールコート法、ナイフエッジコート法、グラビアコート法、カーテンコート法等の公知の塗布技術を用いることができる。
また、これらの塗設前に表面処理(火炎処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等)を実施してもよい。さらに、粘着剤を用いて貼り合わせることも好ましい。
−易接着性層−
本発明のポリエステルフィルムは、太陽電池モジュールを構成する場合に太陽電池素子が封止剤で封止された電池側基板の該封止材と向き合う側に、易接着性層を有していることが好ましい。封止剤(特にエチレン−酢酸ビニル共重合体)を含む被着物(例えば太陽電池素子が封止材で封止された電池側基板の封止剤の表面)に対して接着性を示す易接着性層を設けることにより、バックシートと封止材との間を強固に接着することができる。具体的には、易接着性層は、特に封止材として用いられるEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)との接着力が10N/cm以上、好ましくは20N/cm以上であることが好ましい。
さらに、易接着性層は、太陽電池モジュールの使用中にバックシートの剥離が起こらないことが必要であり、そのために易接着性層は高い耐湿熱性を有することが望ましい。
(1)バインダー
本発明における易接着性層は、バインダーの少なくとも1種を含有することができる。
バインダーとしては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン等を用いることができる。中でも、耐久性の観点から、アクリル樹脂、ポリオレフィンが好ましい。また、アクリル樹脂として、アクリルとシリコーンとの複合樹脂も好ましい。好ましいバインダーの例として、以下のものを挙げることができる。
前記ポリオレフィンの例として、ケミパールS−120、同S−75N(ともに三井化学(株)製)が挙げられる。前記アクリル樹脂の例として、ジュリマーET−410、同SEK−301(ともに日本純薬工業(株)製)が挙げられる。また、前記アクリルとシリコーンとの複合樹脂の例として、セラネートWSA1060、同WSA1070(ともにDIC(株)製)、及びH7620、H7630、H7650(ともに旭化成ケミカルズ(株)製)が挙げられる。
前記バインダーの量は、0.05〜5g/mの範囲が好ましく、0.08〜3g/mの範囲が特に好ましい。バインダー量は、0.05g/m以上であることでより良好な接着力が得られ、5g/m以下であることでより良好な面状が得られる。
(2)微粒子
本発明における易接着性層は、微粒子の少なくとも1種を含有することができる。易接着性層は、微粒子をバインダーに対して5質量%以上1000質量%以下含有することが好ましい。
微粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化錫等の無機微粒子が好適に挙げられる。特にこの中でも、湿熱雰囲気に曝されたときの接着性の低下が小さい点で、酸化錫、シリカの微粒子が好ましい。
微粒子の粒径は、10〜700nm程度が好ましく、より好ましくは20〜300nm程度である。粒径が前記範囲の微粒子を用いることにより、良好な易接着性を得ることができる。微粒子の形状には特に制限はなく、球形、不定形、針状形等のものを用いることができる。
微粒子の易接着性層中における添加量としては、易接着性層のバインダーに対して5〜400質量%が好ましく、より好ましくは50〜300質量%である。微粒子の添加量は、5質量%以上であると、湿熱雰囲気に曝されたときの接着性に優れており、1000質量%以下であると、易接着性層の面状がより良好である。
(3)架橋剤
本発明における易接着性層は、架橋剤の少なくとも1種を含有することができる。
架橋剤の例としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。湿熱経時後の接着性を確保する観点から、これらの中でも特にオキサゾリン系架橋剤が好ましい。
前記オキサゾリン系架橋剤の具体例として、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2,2’−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2、2’−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等が挙げられる。さらに、これらの化合物の(共)重合体も好ましく利用することができる。
また、オキサゾリン基を有する化合物として、エポクロスK2010E、同K2020E、同K2030E、同WS500、同WS700(いずれも日本触媒化学工業(株)製)等も利用できる。
易接着性層中における架橋剤の好ましい添加量は、易接着性層のバインダー当たり5〜50質量%が好ましく、より好ましくは20〜40質量%である。架橋剤の添加量は、5質量%以上であることで良好な架橋効果が得られ、反射層の強度低下や接着不良が起こりにくく、50質量%以下であることで塗布液のポットライフをより長く保てる。
(4)添加剤
本発明における易接着性層には、必要に応じて、更にポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、シリカ等の公知のマット剤、アニオン系やノニオン系などの公知の界面活性剤などを添加してもよい。
(5)易接着性層の形成方法
本発明の易接着性層の形成方法としては、易接着性を有するポリマーシートをポリエステルフィルムに貼合する方法や塗布による方法があるが、塗布による方法は、簡便でかつ均一性の高い薄膜での形成が可能である点で好ましい。塗布方法としては、例えば、グラビアコーターやバーコーターなどの公知の方法を利用することができる。塗布に用いる塗布液の溶媒としては、水でもよいし、トルエンやメチルエチルケトンのような有機溶媒でもよい。溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
(6)易接着性層の物性
本発明における易接着性層の厚みには、特に制限はないが、通常は0.05〜8μmが好ましく、より好ましくは0.1〜5μmの範囲である。易接着性層の厚みは、0.05μm以上であることで必要とする易接着性が得られやすく、8μm以下であることで面状をより良好に維持することができる。
また、本発明における易接着性層は、ポリエステルフィルムとの間に着色層(特に反射層)が配置された場合の該着色層の効果を損なわない観点から、透明性を有していることが好ましい。
−紫外線吸収層−
本発明のポリエステルフィルムには、紫外線吸収剤を含む紫外線吸収層が設けられてもよい。紫外線吸収層は、ポリエステルフィルム上の任意の位置に配置することができる。
紫外線吸収剤は、アイオノマー樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロースエステル樹脂等とともに、溶解、分散させて用いることが好ましく、400nm以下の光の透過率を20%以下にするのが好ましい。
−着色層−
本発明のポリエステルフィルムには、着色層を設けることができる。着色層は、ポリエステルフィルムの表面に接触させて、あるいは他の層を介して配置される層であり、顔料やバインダーを用いて構成することができる。
着色層の第一の機能は、入射光のうち太陽電池セルで発電に使われずにバックシートに到達した光を反射させて太陽電池セルに戻すことにより、太陽電池モジュールの発電効率を上げることにある。第二の機能は、太陽電池モジュールをオモテ面側から見た場合の外観の装飾性を向上することにある。一般に太陽電池モジュールをオモテ面側から見ると、太陽電池セルの周囲にバックシートが見えており、バックシートに着色層を設けることにより装飾性を向上させることができる。
(1)顔料
本発明における着色層は、顔料の少なくとも1種を含有することができる。顔料は、2.5〜8.5g/mの範囲で含有されるのが好ましい。より好ましい顔料含有量は、4.5〜7.5g/mの範囲である。顔料の含有量が2.5g/m以上であることで、必要な着色が得られやすく、光の反射率や装飾性をより優れたものに調整することができる。顔料の含有量が8.5g/m以下であることで、着色層の面状をより良好に維持することができる。
顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、群青、紺青、カーボンブラック等の無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料が挙げられる。これら顔料のうち、入射する太陽光を反射する反射層として着色層を構成する観点からは、白色顔料が好ましい。白色顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルクなどが好ましい。
顔料の平均粒径としては、0.03〜0.8μmが好ましく、より好ましくは0.15〜0.5μm程度が好ましい。平均粒径が前記範囲内であると、光の反射効率が低下する場合がある。
入射した太陽光を反射する反射層として着色層を構成する場合、顔料の反射層中における好ましい添加量は、用いる顔料の種類や平均粒径により変化するため一概には言えないが、1.5〜15g/mが好ましく、より好ましくは3〜10g/m程度である。添加量は、1.5g/m以上であることで必要な反射率が得られやすく、15g/m以下であることで反射層の強度をより一層高く維持することができる。
(2)バインダー
本発明における着色層は、バインダーの少なくとも1種を含有することができる。バインダーを含む場合の量としては、前記顔料に対して、15〜200質量%の範囲が好ましく、17〜100質量%の範囲がより好ましい。バインダーの量は、15質量%以上であることで着色層の強度を一層良好に維持することができ、200質量%以下であることで反射率や装飾性が低下するのを防止できる。
着色層に好適なバインダーとしては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン等を用いることができる。バインダーは、耐久性の観点から、アクリル樹脂、ポリオレフィンが好ましい。また、アクリル樹脂として、アクリルとシリコーンとの複合樹脂も好ましい。好ましいバインダーの例として、以下のものが挙げられる。
前記ポリオレフィンの例としては、ケミパールS−120、同S−75N(ともに三井化学(株)製)などが挙げられる。前記アクリル樹脂の例としては、ジュリマーET−410、SEK−301(ともに日本純薬工業(株)製)などが挙げられる。前記アクリルとシリコーンとの複合樹脂の例としては、セラネートWSA1060、WSA1070(ともにDIC(株)製)、H7620、H7630、H7650(ともに旭化成ケミカルズ(株)製)等を挙げることができる。
(3)その他の添加剤
本発明における着色層には、バインダー及び顔料以外に、必要に応じて、さらに架橋剤、界面活性剤、フィラー等を添加してもよい。
架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。着色剤中における架橋剤の添加量は、着色層のバインダー当たり5〜50質量%が好ましく、より好ましくは10〜40質量%である。架橋剤の添加量は、5質量%以上であることで良好な架橋効果が得られ、着色層の強度や接着性を高く維持することができ、また50質量%以下であることで、塗布液のポットライフをより長く維持することができる。
界面活性剤としては、アニオン系やノニオン系等の公知の界面活性剤を利用することができる。界面活性剤の添加量は、0.1〜15mg/mが好ましく、より好ましくは0.5〜5mg/mが好ましい。界面活性剤の添加量は、0.1mg/m以上であることでハジキの発生が効果的に抑制され、また、15mg/m以下であることで接着性に優れる。
さらに、着色層には、上記の顔料とは別に、シリカ等のフィラーなどを添加してもよい。フィラーの添加量は、着色層のバインダーあたり20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下である。フィラーを含むことにより、着色層の強度を高めることができる。また、フィラーの添加量が20質量%以下であることで、顔料の比率が保てるため、良好な光反射性(反射率)や装飾性が得られる。
(4)着色層の形成方法
着色層の形成方法としては、顔料を含有するポリマーシートをポリエステルフィルムに貼合する方法、ポリエステルフィルム成形時に着色層を共押出しする方法、塗布による方法等がある。このうち、塗布による方法は、簡便でかつ均一性の高い薄膜での形成が可能である点で好ましい。塗布方法としては、例えば、グラビアコーターやバーコーターなどの公知の方法を利用することができる。塗布に用いられる塗布液の溶媒としては、水でもよいし、トルエンやメチルエチルケトンのような有機溶媒でもよい。しかし、環境負荷の観点から、水を溶媒とすることが好ましい。
溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
(5)着色層の物性
着色層は、白色顔料を含有して白色層(光反射層)として構成されることが好ましい。反射層である場合の550nmの光反射率としては、75%以上であるのが好ましい。反射率が75%以上であると、太陽電池セルを素通りして発電に使用されなかった太陽光をセルに戻すことができ、発電効率を上げる効果が高い。
白色層(光反射層)の厚みは、1〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましく、更に好ましくは1.5〜10μm程度である。膜厚が1μm以上である場合、必要な装飾性や反射率が得られやすく、20μm以下であると面状に優れる。
−下塗り層−
本発明のポリエステルフィルムには、下塗り層を設けることができる。下塗り層は、例えば、着色層が設けられるときには、着色層とポリエステルフィルムとの間に下塗り層を設けてもよい。下塗り層は、バインダー、架橋剤、界面活性剤等を用いて構成することができる。
下塗り層中に含有するバインダーとしては、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン等が挙げられる。下塗り層には、バインダー以外にエポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤、アニオン系やノニオン系等の界面活性剤、シリカ等のフィラーなどを添加してもよい。
下塗り層を塗布形成するための方法や用いる塗布液の溶媒には、特に制限はない。
塗布方法としては、例えば、グラビアコーターやバーコーターを利用することができる。前記溶媒は、水でもよいし、トルエンやメチルエチルケトンのような有機溶媒でもよい。溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
塗布は、2軸延伸した後のポリエステルフィルムに塗布してもよいし、1軸延伸後のポリエステルフィルムに塗布してもよい。この場合、塗布後に初めの延伸と異なる方向に更に延伸してフィルムとしてもよい。さらに、延伸前のポリエステルフィルムに塗布した後に、2方向に延伸してもよい。
下塗り層の厚みは、0.05μm〜2μmが好ましく、より好ましくは0.1μm〜1.5μm程度の範囲が好ましい。膜厚が0.05μm以上であることで必要な接着性が得られやすく、2μm以下であることで、面状を良好に維持することができる。
−フッ素系樹脂層・ケイ素系樹脂層−
本発明のポリエステルフィルムには、フッ素系樹脂層及びケイ素系(Si系)樹脂層の少なくとも一方を設けることが好ましい。フッ素系樹脂層やSi系樹脂層を設けることで、ポリエステル表面の汚れ防止、耐候性向上が図れる。具体的には、特開2007−35694号公報、特開2008−28294号公報、WO2007/063698明細書に記載のフッ素樹脂系塗布層を有していることが好ましい。
また、テドラー(DuPont社製)等のフッ素系樹脂フィルムを張り合わせることも好ましい。
フッ素系樹脂層及びSi系樹脂層の厚みは、各々、1μm以上50μm以下の範囲が好ましく、より好ましくは1μm以上40μm以下の範囲が好ましく、更に好ましくは1μm以上10μm以下である。
−無機層−
本発明のポリエステルフィルムは、更に、無機層が設けられた形態も好ましい。無機層を設けることで、ポリエステルへの水やガスの浸入を防止する防湿性やガスバリア性の機能を与えることができる。無機層は、ポリエステルフィルムの表裏いずれに設けてもよいが、防水、防湿等の観点から、ポリエステルフィルムの電池側基板と対向する側(前記着色層や易接着層の形成面側)とは反対側に好適に設けられる。
無機層の水蒸気透過量(透湿度)としては、10g/m・d〜10−6g/m・dが好ましく、より好ましくは10-1g/m・d〜10−5g/m・dであり、さらに好ましくは10-2g/m・d〜10−4g/m・dである。
このような透湿度を有する無機層を形成するには、下記の乾式法が好適である。
乾式法により防湿性やガスバリア性の無機層(以下、ガスバリア層ともいう。)を形成する方法としては、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、誘導加熱蒸着、及びこれらにプラズマやイオンビームによるアシスト法などの真空蒸着法、反応性スパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、ECR(電子サイクロトロン)スパッタリング法などのスパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的気相成長法(PVD法)、熱や光、プラズマなどを利用した化学的気相成長法(CVD法)などが挙げられる。中でも、真空下で蒸着法により膜形成する真空蒸着法が好ましい。
ここで、ガスバリア層を形成する材料が無機酸化物、無機窒化物、無機酸窒化物、無機ハロゲン化物、無機硫化物などを主たる構成成分とする場合は、形成しようとするガスバリア層の組成と同一の材料を直接揮発させて基材などに堆積させることも可能であるが、この方法で行なう場合には、揮発中に組成が変化し、その結果、形成された膜が均一な特性を呈さない場合がある。そのため、1)揮発源として、形成するバリア層と同一組成の材料を用い、無機酸化物の場合は酸素ガスを、無機窒化物の場合は窒素ガスを、無機酸窒化物の場合は酸素ガスと窒素ガスの混合ガスを、無機ハロゲン化物の場合はハロゲン系ガスを、無機硫化物の場合は硫黄系ガスを、それぞれ系内に補助的に導入しながら揮発させる方法、2)揮発源として無機物群を用い、これを揮発させながら、無機酸化物の場合は酸素ガスを、無機窒化物の場合は窒素ガスを、無機酸窒化物の場合は酸素ガスと窒素ガスの混合ガスを、無機ハロゲン化物の場合はハロゲン系ガスを、無機硫化物の場合は硫黄系ガスを、それぞれ系内に導入し、無機物と導入したガスを反応させながら基材表面に堆積させる方法、3)揮発源として無機物群を用い、これを揮発させて、無機物群の層を形成させた後、それを無機酸化物の場合は酸素ガス雰囲気下、無機窒化物の場合は窒素ガス雰囲気下、無機酸窒化物の場合は酸素ガスと窒素ガスの混合ガス雰囲気下、無機ハロゲン化物の場合はハロゲン系ガス雰囲気下、無機硫化物の場合は硫黄系ガス雰囲気下で保持することにより無機物層と導入したガスを反応させる方法、等が挙げられる。
これらのうち、揮発源から揮発させることが容易であるという点で、2)又は3)がより好ましく用いられる。さらには、膜質の制御が容易である点で2)の方法が更に好ましく用いられる。また、バリア層が無機酸化物の場合は、揮発源として無機物群を用い、これを揮発させて、無機物群の層を形成させた後、空気中で放置することで、無機物群を自然酸化させる方法も、形成が容易であるという点で好ましい。
また、アルミ箔を貼り合わせてバリア層として使用することも好ましい。厚みは、1μm以上30μm以下が好ましい。厚みは、1μm以上であると、経時(サーモ)中にポリエステルフィルム中に水が浸透し難くなって加水分解を生じ難く、30μm以下であると、バリア層の厚みが厚くなり過ぎず、バリア層の応力でフィルムにベコが発生することもない。
<太陽電池モジュール>
本発明の太陽電池モジュールは、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池素子を、太陽光が入射する透明性の基板と既述の本発明のポリエステルフィルム(太陽電池用バックシート)との間に配置して構成されている。基板とポリエステルフィルムとの間は、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体等の樹脂(いわゆる封止材)で封止して構成することができる。
太陽電池モジュール、太陽電池セル、バックシート以外の部材については、例えば、「太陽光発電システム構成材料」(杉本栄一監修、(株)工業調査会、2008年発行)に詳細に記載されている。
透明性の基板は、太陽光が透過し得る光透過性を有していればよく、光を透過する基材から適宜選択することができる。発電効率の観点からは、光の透過率が高いものほど好ましく、このような基板として、例えば、ガラス基板、アクリル樹脂などの透明樹脂などを好適に用いることができる。
太陽電池素子としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系、銅−インジウム−ガリウム−セレン、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル、ガリウム−砒素などのIII−V族やII−VI族化合物半導体系など、各種公知の太陽電池素子を適用することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
(実施例1〜44、比較例1〜5)
−1.ポリエチレンテレフタレートの合成−
以下に示すように、テレフタル酸及びエチレングリコールを直接反応させて水を留去し、エステル化した後、減圧下で重縮合を行なう直接エステル化法を用いて、連続重合装置によりポリエステル樹脂(PETサンプル)を得た。
(1)エステル化反応
高純度テレフタル酸4.7トンとエチレングリコール1.8トンを90分かけて混合してスラリー形成させ、3800kg/hの流量で連続的に第一エステル化反応槽に供給した。更に、クエン酸がTi金属に配位したクエン酸キレートチタン錯体(VERTEC AC−420、ジョンソン・マッセイ社製)のエチレングリコール溶液を連続的に供給し、反応槽内温度250℃、攪拌下で平均滞留時間約4.3時間で反応を行なった。このとき、クエン酸キレートチタン錯体は、Ti添加量が元素換算値で9ppmとなるように連続的に添加した。このとき、得られたオリゴマーの酸価は600eq/トンであった。
この反応物を第二エステル化反応槽に移送し、攪拌下、反応槽内温度250℃で、平均滞留時間で1.2時間反応させ、酸価が200eq/トンのオリゴマーを得た。第二エステル化反応槽の内部は3ゾーンに仕切られており、3ゾーンのうち、第2ゾーンから酢酸マグネシウムのエチレングリコール溶液を、Mg添加量が元素換算値で75ppmになるように連続的に供給し、続いて第3ゾーンから、リン酸トリメチルのエチレングリコール溶液を、P添加量が元素換算値で65ppmになるように連続的に供給した。
(2)重縮合反応
得られたエステル化反応生成物を連続的に第一重縮合反応槽に供給し、攪拌下、反応温度270℃、反応槽内圧力2.67×10−3MPa(20torr)で、平均滞留時間約1.8時間で重縮合させた。更に、第二重縮合反応槽に移送し、この反応槽において攪拌下、反応槽内温度276℃、反応槽内圧力6.67×10−4MPa(5torr)で滞留時間約1.2時間の条件で反応(重縮合)させた。次いで、更に第三重縮合反応槽に移送し、この反応槽において反応槽内温度278℃、反応槽内圧力2.0×10−4MPa(1.5torr)、滞留時間1.5時間の条件にて、反応(重縮合)を行なってポリエチレンテレフタレートを得た。
得られたポリエチレンテレフタレートをペレット化(直径45mm)し、PETペレットを得た。
得られたポリエチレンテレフタレートについて、高分解能型高周波誘導結合プラズマ−質量分析(HR-ICP-MS;SIIナノテクノロジー社製 AttoM)を用いて、PET中のチタン元素(Ti)、マグネシウム元素(Mg)、及びリン元素(P)を定量し、得られた結果から含有量[ppm]を算出した。その結果、Ti=9ppm、Mg=75ppm、P=60ppmであった。なお、Pは当初の添加量に対して僅かに減少しているが、重合過程において揮発したものと推定される。
−2.結晶化・乾燥−
次に、得られたPETペレットを、図1に示すように乾燥・結晶化槽10に供給し、155℃で5時間、窒素ガス雰囲気中で滞留させながら、ポリエステル樹脂を乾燥させると共に結晶化処理を施した。ここで、結晶化処理は、下記表1〜表2に示すように攪拌方式と非攪拌方式とを選択して行なった。各方式の詳細は以下の通りである。乾燥及び結晶化処理により、樹脂の含水率は100ppmとなり、樹脂の結晶化度は35%となった。
(A)非撹拌方式:
図2−(a)に示すように、円筒状の容器(使用する固相重合用の円筒容器の1/4の体積)の内部に、下記表1〜表2に記載の個数(個/m)の円錐状の邪魔板(直径30cm、高さ30cm)を均等に設置し、下方から容器内部に下記表1〜表2に記載の結晶化温度より3℃高い温熱風(Nガス)を導入して加熱を行なって、樹脂温度を下記表1〜表2に示す温度に調節した。なお、樹脂温度は、筒状の容器の長手方向に10等分した箇所に設けられたポートからセンサーを挿入し、各箇所で壁面〜中央〜壁面の間を10等分した各点で測温し、これら100点の平均を求めて樹脂温度とした。
(B)攪拌方式:
図2−(b)に示すように、円筒状の容器(使用する固相重合用の円筒容器の1/4の体積)を水平に設置し、この容器内に1本のスクリューを配設して回転させ(器内で10回転)、樹脂が容器全長を通過する間の滞留時間が下記表1〜表2に示す時間となるように運転した。なお、ここでの加熱は、円筒状の容器の外壁に沿って配設された温調循環系内に熱媒を通して外部から加熱すると共に、容器内部に下記表1〜表2に記載の結晶化温度より3℃高い温熱風(Nガス)を導入し、器内外から加熱を行なって樹脂温度を下記表1〜表2に示す温度に調節した。なお、樹脂温度は、筒状の容器の長手方向に10等分した箇所に設けられたポートからセンサーを挿入し、各箇所で壁面〜撹拌用の回転軸までの間を5等分した点で測温し、これら50点の平均を求めて樹脂温度とした。
−3.固相重合−
結晶化処理を終えたPETペレットを、窒素雰囲気下、図1に示すような円筒状の反応容器(反応容器の断面積:5mm)の上方から下方に向かって自由落下させ、固相重合を実施した。このとき、単位時間当たりのペレット投入量W[kg/hr]、反応容器の重力方向(円筒状反応容器の長さ方向(軸心方向))に直交する断面の断面積S[m]、熱風量V[Nm/hr]を調整することにより、PETペレットの落下方向と直行する方向の、ペレット(樹脂)の温度分布を下記表1〜表2に示すように制御し、末端COOH量(AV)及び固有粘度(IV)を下記表1〜表2に示す値に調節した。
また、PETペレットの反応容器内における充填率、樹脂の平均温度及び滞留時間は、下記表1〜表2に示す通りとした。なお、樹脂の平均温度は、筒状の反応容器の長手方向に10等分した箇所に設けられたポートからセンサーを挿入し、各箇所で壁面〜中央〜壁面の間を10等分した各点で測温し、これら100点の平均を求めて樹脂温度とした。
固相重合は、容器外部からの加熱を行なう場合と行なわない場合の両方を実施した。ここで、容器外からの外部加熱を行なわない場合、反応容器の外壁にガラスウールの断熱材を10cm厚で巻き、前記結晶化処理及び乾燥の際に与えられた熱で固相重合が進行するようにした。また、外部加熱を行なう場合は、器内の熱に加え、下記表1〜表2に示す領域(反応容器の全長に対する外部加熱を行なった長さの比率に相当する領域)を器外から電熱ヒータで熱し、固相重合を行なった。
固相重合中におけるPETペレットの落下方向と直行する方向(円筒状反応容器の円形断面を含む平面方向)の、ペレットの温度分布、ペレットの流速分布を、以下に示す方法で測定した。測定結果を下記表1〜表2に示す。
(1)筒状容器内のPETペレットの流速分布
筒状容器内に供給されたPETペレットのうち最上部に、図5に示すように、筒状容器の円形断面の半径を5等分した各同心円上を円心を軸に30°間隔(θ=30°)で区切って着色したペレット54を置いた(同じ半径上のペレットを同じ色にし、各半径ごとにペレットが区別できるようにした。)。尚、図5は、図1のA−A’線断面における断面図であり、筒状容器内のPETペレットの流速分布の測定方法を説明するための図である。従って、図5中では着色したペレット54のみを示す。
この状態で固相重合反応を行ない(装置を稼動し)、各色のペレットが筒状容器の下から出てくる時間を計測し、各色毎に滞留時間の平均値を求めた。そして、筒状容器中のペレットの充填高さと得られた滞留時間から、各色毎の平均流速を求め、その最大速度と最小速度の差を平均速度で除算し、百分率で表したものを流速分布(ポリエステル樹脂の移動速度分布)とした。
(2)筒状容器内のPETペレットの温度分布
筒状容器に側面から半径方向に熱電対を差し込む。この差込長さを変え、半径長(筒状容器の中央)、半径の4/5、半径の3/5、半径の2/5、半径の1/5、半径の1/10の各位置、及び筒状容器の内壁面の位置にて温度測定を行なった。この測定を、筒状容器内のペレットの充填高さを5等分したそれぞれの位置で同様に行なった。そして、各層毎に最高温度と最低温度の差を平均温度で除算して百分率で表し、各位置における温度分布を求めた。この5つの位置での温度分布の平均値を求め、「ポリエステル樹脂の温度分布」とした。
−3.樹脂の評価−
(IVのバラツキ)
固相重合後の固有粘度(IV)のバラツキを下記の方法で評価した。
固相重合が終了し、図1に示すように筒状容器の下方から排出されたPETペレットから任意の50点をサンプリングした。なお、サンプリングは、筒状容器に充填された容量のペレットが排出されてくる時間を50等分して行なった。そして、各点でサンプリングされたペレットサンプルの各々について、下記方法によりIVを測定し、その最大値と最小値の差を平均値で除算して百分率で表し、「IVのバラツキ」とした。ここで、50点の平均値を「IV」とした。
固有粘度の測定は、1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノール(=2/3[質量比])混合溶媒中の30℃での溶液粘度から求めた。
(AVのバラツキ)
固相重合後の末端カルボキシル基量(AV)のバラツキを下記の方法で評価した。
固相重合が終了し、図1に示すように筒状容器の下方から排出されたPETペレットから任意の50点をサンプリングした。なお、サンプリングは、筒状容器に充填された容量のペレットが排出されてくる時間を50等分して行なった。そして、各点でサンプリングされたペレットサンプルの各々について、下記方法によりAVを測定し、その最大値と最小値の差を平均値で除算して百分率で表し、「AVのバラツキ」とした。ここで、50点の平均値を「AV」とした。
末端COOH量の測定は、PETペレットをベンジルアルコール/クロロホルム(=2/3;体積比)の混合溶液に完全溶解させ、指示薬としてフェノールレッドを用いて、これを基準液(0.025N KOH−メタノール混合溶液)で滴定し、その適定量から末端カルボン酸基の量(eq/トン;=末端COOH量)を算出した。
−4.押出成形−
上記のように固相重合を終えた各PETサンプルを、含水率50ppm以下に乾燥させた後、直径50mmの1軸混練押出機のホッパーに投入し、N気流下、280℃で溶融して3t/hrで押出した。この溶融体(メルト)をギアポンプ、濾過器(孔径20μm)を通した後、幅0.8mのダイから押出すと共に、10℃に温調された直径1.5mのキャストロール(冷却ロール)上でキャストした。
−5.延伸、巻取り−
上記方法で冷却ロール上に押出し、固化した未延伸フィルムに対し、以下の方法で逐次2軸延伸を施し、75μm、125μm、188μm、250μm、300μmの厚みのフィルムを得た。なお、延伸は、縦延伸を90℃で、横延伸を115℃で縦延伸、横延伸の順に行なった。その後、210℃で10秒間熱固定した後、210℃で横方向に6%緩和した。延伸後、両端を10cmずつトリミングした後、両端に厚み出し加工を施した後、直径30cmの樹脂製巻芯に巻き付けた。なお、幅は1.5m、巻長は2000mであった。
<延伸方法>
(a)縦延伸
未延伸フィルムを周速の異なる2対のニップロールの間に通し、縦方向(搬送方向)に延伸した。なお、予熱温度を90℃、延伸温度を90℃、延伸倍率を3.4倍、延伸速度を3000%/秒として実施した。
(b)横延伸
縦延伸した前記フィルムに対し、テンターを用いて下記条件にて横延伸した。
<条件>
・予熱温度:110℃
・延伸温度:115℃
・延伸倍率:3.8倍
・延伸速度:70%/秒
以上のようにして、本発明及び比較用のPETフィルムを作製した。次に、作製したPETフィルムを用いて、以下の評価を行なった。
−6.フィルムの評価−
以上のようにして作製したPETフィルムについて、以下の評価を行なった。測定結果を下記表1〜表2に示す。
(密着性)
PETフィルムの表面にコロナ処理を施した後、下記組成の諸成分を混合して調製された易接着性層用塗布液を、バインダー塗布量が0.09g/mになるように、コロナ放電処理面に塗布した。その後、180℃で1分間乾燥させ、易接着性層を形成した。
<易接着性層用塗布液の組成>
・ポリオレフィン樹脂水分散液 ・・・5.2部
(バインダー:ケミパールS75N、三井化学(株)製、固形分:24質量%)
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル ・・・7.8部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%)
・オキサゾリン化合物 ・・・0.8部
(エポクロスWS−700、日本触媒(株)製、固形分25質量%)
・シリカ微粒子水分散物 ・・・2.9部
(アエロジルOX−50、日本アエロジル(株)製、固形分:10質量%)
・蒸留水 ・・・83.3部
易接着性層が形成されたPETフィルムを、120℃で100%RHの環境下で90時間の条件(30年以上に相当する強制経時条件)にてサーモ処理を行なった。サーモ処理後の易接着性層の表面に、剃刀を用いて5mm間隔の切れ込みを縦、横各10本入れ、合計で100の升目を形成した。これを室温(25℃)の水に1時間浸漬した後に取り出し、直ちに表面の水をふき取って粘着テープ(日東電工(株)製のポリエステル粘着テープNo.31B)を貼り付け、良くしごいた後、粘着テープを一気に引き剥がした。
引き剥がした後の易接着層の剥がれた面積を計測し、全面積中に占める剥がれた面積の割合を「剥離率」として示した。ここで、剥離率は、固相重合後の各樹脂毎にそれぞれ75μm厚、125μm厚、188μm厚、250μm厚、300μm厚のPETフィルムを用いて行ない、平均値にて示した。結果を下記表1〜表2に示す。
上記では、水に浸漬後の密着(ウェット密着)を評価しており、易接着層とPETフィルムとの間の静電結合は水により切れ易いことから、より過酷な密着評価となっている。
(耐候性)
上記で作製したPETフィルムを、120℃、100%RHの環境条件下に50時間、60時間、70時間、80時間、90時間、100時間、110時間、120時間、130時間放置して、サーモ処理を施した。サーモ処理後のPETフィルムについて、各々のMD方向における破断伸度を測定し、得られた測定値をもとに、サーモ処理後の破断伸度をサーモ処理前の破断伸度で除算し、各サーモ処理時間での破断伸度保持率を下記式から求めた。横軸にサーモ時間、縦軸に破断伸度保持率をとってプロットし、これを結んで破断伸度保持率が50%になるまでの熱処理の時間(hr;破断伸度保持率半減期)を求めた。この操作を、75μm厚、125μm厚、188μm厚、250μm厚、300μm厚のPETフィルムに対して行ない、破断伸度保持率の平均値を求めた。
なお、破断伸度(%)は、ポリエステルフィルムから、1cm×20cmの大きさのサンプル片を切り出し、このサンプル片をチャック間5cm、20%/分にて引っ張って求めた。また、破断伸度保持率半減期は、その時間が長いほどポリエステルフィルムの耐加水分解性に優れることを示し、破断伸度保持率を50%以上保てることが耐加水分解性として実用上許容できる範囲である。
破断伸度保持率[%]=(サーモ処理後の破断伸度)/(サーモ処理前の破断伸度)×100
上記した操作を下記表1〜表2の各固相重合水準に対して実施し、前記の破断伸度保持率半減期を下記表1〜表2に「耐候性時間」として示す。
前記表1〜表2におけるIVの単位は、dL/gであり、AVの単位はeq/トンである。前記表1〜表2に示すように、実施例では、密着性及び耐候性の両立を図ることができた。これに対し、比較例では、密着性と耐候性の両方を満たすことはこんなんであった。
10,10a,10b・・・乾燥・結晶化槽
20・・・連結槽
32,34,36・・・結晶化槽
40・・・固相重合槽
44・・・ポリエステル樹脂(ペレット)
60・・・冷却槽

Claims (12)

  1. 結晶化処理されたポリエステル樹脂を、筒状容器の一端から連続的に導入し、該筒状容器内に温熱風を供給しながら、他端に向けて前記筒状容器中を移動させると共に、該筒状容器の軸心方向に直交する方向における、ポリエステル樹脂の温度分布を0.5%以上10%以下に制御して固相重合を行なう固相重合工程を有するポリエステル樹脂の製造方法。
  2. 前記固相重合工程は、前記筒状容器の軸心方向に直交する方向における、前記筒状容器に導入されたポリエステル樹脂の移動速度分布を、0.1%以上10%以下に制御して固相重合を行なう請求項1に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  3. 下記式(1)及び下記式(2)を満足するように前記固相重合を行なう請求項1又は請求項2に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
    0.004×W1.65≦S×V≦0.056×W1.65 ・・・(1)
    400≦W≦40000 ・・・(2)
    〔W:単位時間当たりの樹脂投入量[kg/hr]、S:筒状容器の軸心方向に直交する断面の面積[m]、V:温熱風量[Nm/hr]〕
  4. 前記筒状容器中におけるポリエステル樹脂の充填率が、70%以上99%以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  5. 前記筒状容器へのポリエステル樹脂の導入前に予め、該ポリエステル樹脂を120℃以上180℃以下の温度に加熱して結晶化処理を行なう結晶化処理工程を更に有し、前記固相重合工程は、前記結晶化処理工程で加熱されたポリエステル樹脂が筒状容器に導入され、該筒状容器外からの加熱をせずに固相重合を行なう請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  6. 前記筒状容器へのポリエステル樹脂の導入前に予め、該ポリエステル樹脂を加熱して結晶化処理を行なう結晶化処理工程を更に有し、前記結晶化処理工程は、筒状の結晶化槽として1以上10以下の連結槽中でポリエステル樹脂を加熱して結晶化処理する請求項1〜請求項5のいずれかに記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  7. 前記固相重合工程において前記筒状容器中におけるポリエステル樹脂の温度が180℃以上230℃以下の範囲であり、該筒状容器中におけるポリエステル樹脂の滞留時間が12〜50時間である請求項1〜請求項6のいずれかに記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂の製造方法により作製され、末端カルボン酸基の量(AV)が5eq/トン以上20eq/トン以下であり、前記AVのバラツキが1%以上20%以下であるポリエステル樹脂。
  9. 固有粘度(IV)が0.7dL/g以上0.9dL/g以下の範囲であり、前記IVのバラツキが1%以上20%以下である請求項8に記載のポリエステル樹脂。
  10. 請求項8又は請求項9に記載のポリエステル樹脂を含むポリエステルフィルム。
  11. 請求項10に記載のポリエステルフィルムを含む太陽電池用バックシート。
  12. 太陽光が入射する透明性の基板と、前記基板の一方の側に配された太陽電池素子と、該太陽電池素子の前記基板が配された側と反対側に配された請求項11に記載の太陽電池用バックシートと、を備えた太陽電池モジュール。
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