JP2012136484A - 腸内有害物質吸着剤及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の腸内毒素吸着剤は、ゼリー状又はゲル状の剤型であり、ヤシ殻由来の植物炭末及び熱硬化性樹脂由来の炭末から選ばれる少なくとも一種の活性炭、並びにローカストビーンガム、カラギーナン、ペクチン、ポリデキストロース、アガロース、アガロペクチン及びキサンタンガムから選ばれる少なくとも一種の多糖類を含有する。好ましくは、植物炭末は、水蒸気賦活されたヤシ殻由来の植物炭末である。好ましくは、多糖類は、少なくともポリデキストロースを含んで構成される。
【選択図】なし
Description
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の腸内毒素吸着剤において、前記植物炭末は、水蒸気賦活処理された植物炭末であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の腸内毒素吸着剤において、腎疾患若しくは肝疾患の患者用、又は解毒用の食品又は医薬品であることを特徴とする。
本実施形態において用いられる活性炭は、表面に微細な空孔を持ち、腸内毒素を選択的に吸着する。活性炭は、ヤシ殻由来の植物原料又は熱硬化性樹脂由来の樹脂原料を、公知の方法を用い高温にて焼成したものを使用することができる。活性炭の原料として、好ましくはヤシ殻由来の植物原料が用いられる。ヤシ殻は天然物であるため、生体への適用に関し、安全性をより向上させることができる。また、腸内毒素の選択吸着性を向上させることができる。
(1)本実施形態の腸内毒素吸着剤は、多糖類としてローカストビーンガム、カラギーナン、ペクチン、ポリデキストロース、アガロース、アガロペクチン及びキサンタンガムから選ばれる少なくとも一種を含有する。したがって、炭末を摂取したときの便秘等の副作用の発生を軽減することができる。また、経口摂取時における不快感を緩和させ、摂取を容易にすることができる。つまり、腸内毒素吸着剤を経口摂取する際、活性炭由来のざらつき等の不快感を低減させることができる。また、摂取する水分量を減少させることができる。
(5)好ましくは、多糖類は、少なくともポリデキストロースを含んで構成される。これにより、優れた整腸作用を発揮するとともに、腸管の微生物による分解が少なく、膠質浸透圧を維持できる。
・上記実施形態の腸内毒素吸着剤は、ヒトが摂取する飲食品又は医薬品等に対して適用することができるのみならず、ペット、家畜等の飼養動物に対する飼料、薬剤等に適用してもよい。
(実施例1)
ヤシ殻植物から作られ、水蒸気賦活処理された植物炭末(平均粒子径4μm)を10質量部、ローカストビーンガム0.28質量部、カラギーナン0.15質量部、ペクチン0.1質量部、ラクチュロース5質量部、ポリデキストロース25質量部、還元麦芽糖水飴12.5質量部、及び酸味料1質量部からなる配合成分に水を加え、混合物全体を100質量部とした。そして、混合物を90℃で加熱溶解した後、20gずつの小袋に充填、冷却することにより、実施例1のゼリー状の腸内毒素吸着剤を調製した。
ヤシ殻植物から作られ、水蒸気賦活処理された植物炭末(平均粒子径4μm)を10質量部、寒天1質量部、ラクチュロース5質量部、ポリデキストロース25質量部、還元麦芽糖水飴12.5質量部、及び酸味料1質量部からなる配合成分に水を加え、混合物全体を100質量部とした。そして、混合物を90℃で加熱溶解したものを、20gずつの小袋に充填、冷却することにより、実施例2のゼリー状の腸内毒素吸着剤を調製した。
ヤシ殻植物から作られ、水蒸気賦活処理された植物炭末(平均粒子径4μm)を10質量部、カラギーナン0.44質量部、キサンタンガム0.16質量部、ローカストビーンガム0.16質量部、ラクチュロース5質量部、ポリデキストロース25質量部、還元麦芽糖水飴12.5質量部、酸味料1質量部からなる配合成分に水を加え、混合物全体を100質量部とした。そして、混合物を90℃で加熱溶解したものを、20gずつの小袋に充填、冷却することにより、実施例3のゼリー状の腸内毒素吸着剤を調製した。
ヤシ殻植物から作られ、水蒸気賦活処理された植物炭末(平均粒子径15μm)を使用した以外、実施例1と同様に製造することにより、実施例4のゼリー状の腸内毒素吸着剤を調製した。
実施例1と同様の方法にてヤシ殻炭末の代わりに、熱硬化性樹脂由来の炭素源を原料として製造された球状活性炭末(商品名クレメジン:クレハ社製)を用いて、実施例5のゼリー状の腸内毒素吸着剤を調製した。
まず、水蒸気賦活処理されたヤシガラ炭末(平均粒子径4μm)16質量部とコンニャク粉16質量部に5%グリセリン水溶液750質量部を加えて90℃で加熱して溶解させ、その後、40℃まで冷却させた。これに、酸化カルシウム0.64質量部を40℃のお湯50質量部に溶いたものを加えよく攪拌する。これを型に入れて加熱して凝固させる。これを水にさらしてグリセリンを除去した後、熱風乾燥し、さらに粉砕して比較例1の植物炭末50%含有コンニャク粉末を得た。
水蒸気賦活ヤシガラ炭末(平均粒子径4μm)を1号ハードカプセルに充填することにより比較例2のカプセル状の腸内毒素吸着剤を製造した。ハードカプセル内における水蒸気賦活ヤシガラ炭末の内容量は、400mgである。
実施例1と同様の方法にてヤシ殻炭末の代わりに、植物炭末として市販の竹炭末(平均粒子径4μm)を用いて、比較例3のゼリー状の腸内毒素吸着剤を調製した。
クレメジンの顆粒状物を比較例4の腸内毒素吸着剤とした。
(比較例5)
クレメジンの顆粒状物を1号ハードカプセルに充填することにより比較例5のカプセル状の腸内毒素吸着剤を製造した。ハードカプセル内におけるクレメジンの内容量は、400mgである。
ヤシ殻植物から作られ、水蒸気賦活処理された植物炭末のみからなる腸内毒素吸着剤を比較例6とした。
市販の竹炭粉末(賦活処理なし)を比較例7の腸内毒素吸着剤とした。
(比較例8)
市販の備長炭末(賦活処理なし)を比較例8の腸内毒素吸着剤とした。
市販の備長炭末を水蒸気賦活処理したものを比較例9の腸内毒素吸着剤とした。
<試験例1:尿毒素吸着試験>
実施例1,2,5、比較例3,4,6〜9の腸内毒素吸着剤を用い、尿毒素及び消化酵素に対する吸着性について試験した。
吸着対象物としてクレアチニンとp−ヒドロキシフェニル酢酸を使用する場合、クレアチニンとp−ヒドロキシフェニル酢酸をそれぞれ10mg/dLの水溶液として調製し、この水溶液に各例の腸内毒素吸着剤を植物炭末又は活性炭としてそれぞれ2.5g/50mL量加え、37℃で3時間攪拌した。攪拌後の上清部の吸光度を測定するとともに、腸内毒素吸着剤を加えてない場合の吸光度と比較し、吸着率を求めた。吸着対象物としてキモトリプシン(消化酵素)を使用する場合、キモトリプシンを10mg/dLの水溶液として調製し、この水溶液に各例の腸内毒素吸着剤を植物炭末又は活性炭として0.125g/50mL量加え21℃で3時間攪拌した。攪拌後、同様に上清部の吸光度を測定するとともに、植物炭末又は活性炭を加えてない場合の吸光度と比較し、吸着率を求めた。その結果を表1,2に示す。
実施例1〜5、比較例1,2,4,5の腸内毒素吸着剤について、経口摂取する際の味覚、ざらつき感(食感)、及び摂取するのに必要な水分量について評価した。各例の腸内毒素吸着剤は、植物炭末又は活性炭として2gを経口摂取することにより評価した(n=5の平均値)。
表中の○は、食べやすい、△は、やや食べづらい、×は、非常に食べづらい、を示す。
(ざらつき感の評価)
表中の○は、殆どざらつきなし、△は、ややざらつきが気になる、×は、強くざらつきを感じる、を示す。
実施例1,5と比較例2,4の腸内毒素吸着剤について、一日に植物炭末又は活性炭として6g摂取した場合の便秘の発生頻度について試験した。腸内毒素吸着剤は、20人に1回摂取させ、便秘の発生人数を求めた。便秘の発生数については、摂取後、翌日中に便が出ない場合を便秘として、その発生人数をカウントした。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の腸内有害物質吸着剤において、前記植物炭末は、水蒸気賦活処理された植物炭末であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の腸内有害物質吸着剤において、腎疾患若しくは肝疾患の患者用、又は解毒用の食品又は医薬品であることを特徴とする。
本実施形態において用いられる炭末は、表面に微細な空孔を持ち、腸内の有害物質を吸着する。炭末は、植物原料又は熱硬化性樹脂由来の樹脂原料を、公知の方法を用い高温にて焼成したものを使用することができる。炭末の原料として、好ましくはヤシ殻由来の植物原料が用いられる。ヤシ殻は天然物であるため、生体への適用に関し、安全性が高い。また、腸内の有害物質の吸着性が高い。
(1)本実施形態の腸内有害物質吸着剤は、多糖類としてローカストビーンガム、カラギーナン、ペクチン、ポリデキストロース、アガロース、アガロペクチン及びキサンタンガムから選ばれる少なくとも一種を含有する。したがって、炭末を摂取したときの便秘等の副作用の発生を軽減することができる。また、経口摂取時における不快感を緩和させ、摂取を容易にすることができる。つまり、腸内有害物質吸着剤を経口摂取する際、炭末由来のざらつき等の不快感を低減させることができる。また、摂取する水の量を減少させることができる。
(5)好ましくは、多糖類は、少なくともポリデキストロースを含んで構成される。これにより、優れた整腸作用を発揮するとともに、腸管の微生物による分解が少なく、膠質浸透圧を維持できる。
・上記実施形態の腸内有害物質吸着剤は、ヒトが摂取する飲食品又は医薬品等に対して適用することができるのみならず、ペット、家畜等の飼養動物に対する飼料、薬剤等に適用してもよい。
(実施例1)
ヤシ殻から作られ、水蒸気賦活処理された植物炭末(平均粒子径4μm)を10質量部、ローカストビーンガム0.28質量部、カラギーナン0.15質量部、ペクチン0.1質量部、ラクチュロース5質量部、ポリデキストロース25質量部、還元麦芽糖水飴12.5質量部、及び酸味料1質量部からなる配合成分に水を加え、混合物全体を100質量部とした。そして、混合物を90℃で加熱溶解した後、20gずつの小袋に充填、冷却することにより、実施例1のゼリー状の腸内有害物質吸着剤を調製した。
ヤシ殻から作られ、水蒸気賦活処理された植物炭末(平均粒子径4μm)を10質量部、寒天1質量部、ラクチュロース5質量部、ポリデキストロース25質量部、還元麦芽糖水飴12.5質量部、及び酸味料1質量部からなる配合成分に水を加え、混合物全体を100質量部とした。そして、混合物を90℃で加熱溶解したものを、20gずつの小袋に充填、冷却することにより、実施例2のゼリー状の腸内有害物質吸着剤を調製した。
ヤシ殻から作られ、水蒸気賦活処理された植物炭末(平均粒子径4μm)を10質量部、カラギーナン0.44質量部、キサンタンガム0.16質量部、ローカストビーンガム0.16質量部、ラクチュロース5質量部、ポリデキストロース25質量部、還元麦芽糖水飴12.5質量部、酸味料1質量部からなる配合成分に水を加え、混合物全体を100質量部とした。そして、混合物を90℃で加熱溶解したものを、20gずつの小袋に充填、冷却することにより、実施例3のゼリー状の腸内有害物質吸着剤を調製した。
ヤシ殻から作られ、水蒸気賦活処理された植物炭末(平均粒子径15μm)を使用した以外、実施例1と同様に製造することにより、実施例4のゼリー状の腸内有害物質吸着剤を調製した。
実施例1と同様の方法にてヤシ殻由来の植物炭末の代わりに、熱硬化性樹脂由来の炭素源を用いて製造された球状活性炭(商品名クレメジン:クレハ社製)を用いて、実施例5のゼリー状の腸内有害物質吸着剤を調製した。
まず、水蒸気賦活処理されたヤシ殻由来の植物炭末(平均粒子径4μm)16質量部とコンニャク粉16質量部に5%グリセリン水溶液750質量部を加えて90℃で加熱して溶解させ、その後、40℃まで冷却させた。これに、酸化カルシウム0.64質量部を40℃のお湯50質量部に溶いたものを加えよく攪拌する。これを型に入れて加熱して凝固させる。これを水にさらしてグリセリンを除去した後、熱風乾燥し、さらに粉砕して比較例1の植物炭末50%含有コンニャク粉末を得た。
水蒸気賦活処理されたヤシ殻由来の植物炭末(平均粒子径4μm)を1号ハードカプセルに充填することにより比較例2のカプセル状の腸内有害物質吸着剤を製造した。ハードカプセル内における植物炭末の内容量は、400mgである。
クレメジンの顆粒状物を比較例3の腸内有害物質吸着剤とした。
(比較例4)
クレメジンの顆粒状物を1号ハードカプセルに充填することにより比較例4のカプセル状の腸内有害物質吸着剤を製造した。ハードカプセル内におけるクレメジンの内容量は、400mgである。
ヤシ殻植物から作られ、水蒸気賦活処理された植物炭末のみからなる腸内有害物質吸着剤を比較例5とした。
市販の備長炭末(賦活処理なし)を比較例6の腸内有害物質吸着剤とした。
市販の備長炭末を水蒸気賦活処理したものを比較例7の腸内有害物質吸着剤とした。
<試験例1:尿毒素吸着試験>
実施例1,2,5、比較例3,5〜7の腸内有害物質吸着剤を用い、尿毒素としてのクレアチニンに対する吸着性について試験した。
吸着対象物としてクレアチニンを使用する場合、クレアチニンを10mg/dLの水溶液として調製し、この水溶液に各例の腸内有害物質吸着剤を炭としてそれぞれ2.5g/50mL量加え、37℃で3時間攪拌した。攪拌後の上清部の吸光度を測定するとともに、腸内有害物質吸着剤を加えてない場合の吸光度と比較し、吸着率を求めた。その結果を表1に示す。
実施例1〜5、比較例1〜4の腸内有害物質吸着剤について、経口摂取する際の味覚、ざらつき感(食感)、及び摂取するのに必要な水の量について評価した。各例の腸内有害物質吸着剤は、炭として2gを経口摂取することにより評価した(n=5の平均値)。
表中の○は、食べやすい、△は、やや食べづらい、×は、非常に食べづらい、を示す。
(ざらつき感の評価)
表中の○は、殆どざらつきなし、△は、ややざらつきが気になる、×は、強くざらつきを感じる、を示す。
実施例1,5と比較例2,3の腸内有害物質吸着剤について、一日に炭として6g摂取した場合の便秘の発生頻度について試験した。腸内有害物質吸着剤は、20人に1回摂取させ、便秘の発生人数を求めた。便秘の発生数については、摂取後、翌日中に便が出ない場合を便秘として、その発生人数をカウントした。
Claims (6)
- ゼリー状又はゲル状の剤型である腸内毒素吸着剤において、
ヤシ殻由来の植物炭末及び熱硬化性樹脂由来の炭末から選ばれる少なくとも一種の活性炭、並びにローカストビーンガム、カラギーナン、ペクチン、ポリデキストロース、アガロース、アガロペクチン及びキサンタンガムから選ばれる少なくとも一種の多糖類を含有することを特徴とする腸内毒素吸着剤。 - 前記活性炭は、ヤシ殻由来の植物炭末であることを特徴とする請求項1に記載の腸内毒素吸着剤。
- 前記植物炭末は、水蒸気賦活処理された植物炭末であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の腸内毒素吸着剤。
- 前記多糖類は、少なくともポリデキストロースを含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の腸内毒素吸着剤。
- 腎疾患若しくは肝疾患の患者用、又は解毒用の食品又は医薬品であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の腸内毒素吸着剤。
- ゼリー状又はゲル状の剤型である腸内毒素吸着剤の製造方法において、
水、ヤシ殻由来の植物炭末及び熱硬化性樹脂由来の炭末から選ばれる少なくとも一種の活性炭、並びにローカストビーンガム、カラギーナン、ペクチン、ポリデキストロース、アガロース、アガロペクチン及びキサンタンガムから選ばれる少なくとも一種の多糖類を混合し、加熱溶解後、冷却することを特徴とする腸内毒素吸着剤の製造方法。
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