JP2012136169A - 自動車用シートベルト装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】自動車用シートベルト装置10は、ショルダベルト12を含み、ショルダベルト12の着座乗員の胸部または胸部と腹部に対応するウエビング部分16にダイラタント特性を有するシート材20が配置されている。ショルダベルト12のウエビング部分16に中空袋状部が形成されており、ダイラタント特性シート材20は中空袋状部内に配置されている。ウエビング部分16とは別部材からなるスリーブがウエビング部分16を囲むようにかつウエビング部分16に着脱可能に設けられている。スリーブに中空袋状部が形成されており、ダイラタント特性シート材20がスリーブの中空袋状部内に配置されている。ダイラタント特性シート材20は衝撃を受けると瞬時に粘性を増し、衝撃エネルギを吸収し、消散させる。
【選択図】図1
Description
(イ)通常時における肌触りが固く、装着感触に改善の余地があった。
(ロ)車両衝突時におけるエネルギ吸収効率に改善の余地があった。
これは、ウエビングに荷重がかかった際ウエビングを構成する繊維が伸びることによりエネルギを吸収するが、繊維が伸びるだけによるエネルギ吸収ではエネルギ吸収効率に改善の余地がある。
(ハ)車両衝突時におけるシートベルトによる乗員保持性に改善の余地があった。
すなわち、車両衝突時にウエビングに引張荷重がかかると図9および図10に示すようにウエビング1の横断面がV字状にかつ乗員側に凸状に折れる場合があり、広幅の平面で乗員からの荷重を受ける場合に比べて単位面積当たりの荷重が増加して乗員への衝撃が増大し、かつV字の線状の先端2が乗員の体に食い込むおそれがあった。
特許文献1は、シートベルトを構成するウエビング内に軟質材である衝撃緩衝ゴムを設定した自動車用シートベルト装置を開示している。
この場合、ソフト感があり通常時のシートベルトの装着感触を向上できる。
また、車両衝突時において衝撃緩衝ゴムが乗員からウエビングに伝わる衝撃を吸収しウエビングから乗員への衝撃を和らげることができる。その際、ウエビング繊維の延びによるエネルギ吸収を阻害することないので、緩衝ゴムによるエネルギ吸収とウエビング繊維の延びによるエネルギ吸収の和のエネルギ吸収が得られ、エネルギ吸収量が増大される。
この場合も、通常時のシートベルトの装着感触が向上され、かつエネルギ吸収量が増大される。
(1) 本発明の自動車用シートベルト装置は、ショルダベルトを含み、該ショルダベルトにおける着座乗員の胸部または胸部と腹部に対応するウエビング部分にダイラタント特性を有するシート材が配置されている。
ートベルト装置。
(イ)ダイラタント特性シート材は衝撃荷重が作用していない状態では柔らかいため、通常のベルト使用時にはソフト感があり、シートベルトの装着感触が向上する。
(ロ)車両衝突時にダイラタント特性シート材に衝撃荷重が作用すると、瞬時に硬化するとともに衝撃エネルギを吸収する。その際、シート材を内蔵した部位においてウエビングが伸びることによるエネルギ吸収を阻害しない。そのため、ダイラタント特性シート材によるエネルギ吸収量とウエビングが伸びることによるエネルギ吸収量との和のエネルギが吸収され、布製シートベルトの場合に比べてエネルギ吸収量が増える。
(ハ)車両衝突時にダイラタント特性シート材に衝撃荷重が作用するとダイラタント特性シート材は瞬時に硬化するので、ダイラタント特性シート材は平板状に硬化する。平板状に硬化したシート材は広い面積でかつ板状平面で乗員を支持するため、エネルギ吸収効率が良く、かつ支持面の単位面積当たりの荷重が小さくなり、乗員への衝撃が低減する。また、従来のようにウエビングの断面がV字状に折れてV字の線状の先端が乗員の体に食い込むことがない。これらにより、車両衝突時におけるシートベルトによる乗員保持性を改善できる。
図中、INは車両幅方向内側を示し、UPは上方を示し、Pは車両前後方向乗員対向側を示す。
本発明の実施例1に係る自動車用シートベルト装置10は、図1〜図5に示すように、ショルダベルト12およびラップベルト13を含むウエビング11と、タングプレート14、スリップジョイント15を含む。ウエビング11の一端はリトラクタに連結され、他端は床またはシートに固定のアンカに連結されている。
ダイラタント特性シート材20の一部分に衝撃力が加わった場合でも、その衝撃力が加わった部分のみならず、その衝撃力が伝達された部分も瞬時に剛性が増して固体エラストマとして振る舞い、衝撃エネルギを吸収し消散させる。
ダイラタント特性を示すポリマ組成物は、ポリボロシロキサン、キサンタンガム、カーゴムおよびポリビニルアルコール四ホウ酸ナトリウムよりなる群から選択された1種以上のポリマである。これらのポリマ組成物、たとえばポリボロシロキサンは、低速で力が印加されると容易に変形してポリマ組成物に接触する対象物外形に順応し、高速で力が加わると瞬時に粘性が増加して固体ポリマとなり衝撃エネルギを吸収する。固体ポリマを休止状態にすると元のゲル状態にゆるやかに復帰する。
潤滑剤は、たとえば炭化水素系グリースまたは流体であり、充填剤は、微小粒または粉末のプラスチック、セラミック、金属または繊維材料である。
以上は、本発明の実施例1と実施例2に共通に適用される。
ダイラタント特性シート材20は、ショルダベルト11における着座乗員の胸部に当たるかまたは胸部と腹部に当たるウエビング部分16に、以下のように配置される。すなわち、ショルダベルト11のうち着座乗員の胸部に当たるかまたは胸部と腹部に当たるウエビング部分16に図2または図5に示すように中空袋状部17が形成されており、中空袋状部17内にダイラタント特性シート材20が配置されている。ウエビング11のうち着座乗員の胸部に当たるかまたは胸部と腹部に当たるウエビング部分16以外の部分18は、図3に示すように従来どおりの1枚ものウエビングからなる。
まず、ダイラタント特性シート材20は衝撃荷重が作用していない状態では柔らかいため、通常のベルト使用時にはウエビング部分16は柔らかい詰め物があるウエビングとなっている。そのため、胸部に当たるかまたは胸部と腹部に当たるウエビング部分16はそれ以外のウエビング部分18に比べてソフト感があり、シートベルトの装着感触が向上する。これによって、従来技術で述べた柔らかい詰め物の無いシートベルトに存在した、「(イ)通常時における肌触りが固く、装着感触に改善の余地があった」という課題が解決される。
また、車両衝突時にダイラタント特性シート材20に衝撃荷重が作用するとダイラタント特性シート材20はウエビング部分16の断面がV字状になる前に瞬時に硬化するので、ダイラタント特性シート材20は平板状に硬化する。したがって、従来のようにウエビング11の断面がV字状に折れてV字の線状の先端が乗員の体に食い込んで障害値を高めることがない。これによって、車両衝突時における乗員の体の保持性と乗員への衝撃反力を改善できる。
従来技術では、装着時の感触向上と衝撃吸収効率の向上は背反事項であったが、本発明により両立可能となる。
以上の作用、効果は、本発明の実施例1と実施例2に適用できる。
ダイラタント特性シート材20は従来知られたかつ市販されている材料であり、内部に中空部を有する袋状部17の作製技術も従来知られた技術である。したがって、ウエビング11のうち、着座乗員の胸部に当たるかまたは胸部と腹部に当たるウエビング部分16に中空袋状部17を形成し、該中空袋状部17にダイラタント特性シート材20を配置してシート剤20を包むことにより、本発明のウエビング部分16にダイラタント特性シート材20を内蔵した自動車用シートベルト装置10を提供できる。ウエビング11のうち着座乗員の胸部に当たるかまたは胸部と腹部に当たるウエビング部分16以外の部分18は従来ウエビングと同じ構造のため、周囲の部品の設計、製造変更は必要ない。
本発明の実施例1で実施例1、2に適用可能とした部分は本発明の実施例2にも適用される。本発明の実施例2の自動車用シートベルト装置10にも適用される。
本発明の実施例2の自動車用シートベルト装置10はさらにつぎの構成、作用、効果を有する。
12 ショルダベルト
15 スリップジョイント
16 胸部に当たるかまたは胸部と腹部に当たるウエビング部分
17 中空袋状部
20 ダイラタント特性シート材
21 スリーブ
Claims (3)
- ショルダベルトを含む自動車用シートベルト装置であって、前記ショルダベルトにおける着座乗員の胸部または胸部と腹部に対応するウエビング部分にダイラタント特性を有するシート材が配置されている自動車用シートベルト装置。
- 前記ショルダベルトのうち前記着座乗員の胸部または胸部と腹部に対応するウエビング部分に中空袋状部が形成されており、前記ダイラタント特性シート材が前記中空袋状部内に配置されている請求項1記載の自動車用シートベルト装置。
- 前記ショルダベルトのうち前記着座乗員の胸部または胸部と腹部に対応するウエビング部分に該ウエビング部分とは別部材からなるスリーブが前記ウエビング部分を囲むようにかつ前記ウエビング部分に着脱可能に設けられており、前記スリーブに中空袋状部が形成されており、前記ダイラタント特性シート材が前記スリーブの前記中空袋状部に配置されている請求項1記載の自動車用シートベルト装置。
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