JP4147880B2 - 車両用衝撃吸収シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、衝突などにより車両に前後方向の衝撃が加わった時にシート着座者にかかる衝撃を緩和する車両用衝撃吸収シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両衝突時に衝突エネルギーを吸収して乗員に加わる加速度を減ずる方策としてバンパーや車体によるエネルギー吸収がある。それに加えて、さらにエネルギー吸収性能を高めて衝突時の乗員保護を図る目的で、自動車の車体に衝撃力が働いた場合に車体に対しシートを移動させながら圧縮破壊して衝撃エネルギーを吸収する自動車用衝撃吸収シートが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−61274号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記自動車用衝撃吸収シートにおいては次のような問題点があった。
(1)衝撃力の大小にかかわらず繊維強化プラスチック製エネルギー吸収部材が破壊されるため軽微な衝突であってもエネルギー吸収部材の交換が必要となる。
(2)エネルギー吸収性能を調整しようとするとエネルギー吸収部材の材質・形状・構造を変更して作りなおさねばならない。
本発明は、車両前後方向に一定以上の衝撃力が働いたときに乗員に加わる加速度を簡潔な構造で低減できる車両用衝撃吸収シートを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、車両用シートにおいて、車両前後方向に一定以上の衝撃力が働いたときにシートの車両に対する前後方向への移動を可能とする前後動許容機構と、前記シートの前記車両に対する前後方向への移動時に延伸されながらエネルギーを吸収するエネルギー吸収部材とを備えており、前記前後動許容機構は、前記シート側に固定されるとともに連結部材によって連結された一組のアッパレールと、前記車両側に固定されるとともに連結部材によって連結された一組のロアレールとを前後方向に沿って摺動可能とした構成とされ、前記エネルギー吸収部材は、面状で且つロール状に形成され、前記アッパレール側の前記連結部材と前記ロアレール側の前記連結部材とに架け回して取り付けられている構成としたところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1記載のものにおいて、前記エネルギー吸収部材は、延伸された後に復元可能となっているところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2記載のものにおいて、前記車両側と前記シート側との少なくともいずれか一方には、取り付けられた前記エネルギー吸収部材に付与する張力を調整可能な張力調整機構が設けられているところに特徴を有する。
請求項4の発明は、請求項3記載のものにおいて、前記張力調整機構は、前記アッパレールと前記ロアレールとの少なくともいずれか一方に対して前記連結部材の取付位置を前後に調整可能とした構成とされているところに特徴を有する
【0008】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
車両前後方向に一定以上の衝撃力が働いたときにのみ作動する前後動許容機構を備えているため一定未満の衝撃ではエネルギー吸収部材に力がかからず軽微な衝撃でのエネルギー吸収部材交換が免れうる。また、エネルギー吸収をエネルギー吸収部材の延伸で行うため簡潔な構造で容易にエネルギー吸収特性を調整することができる。
一定以上の衝撃力が働いたときに、面状に形成されたエネルギー吸収部材が延伸されながらエネルギーが面内に分散され効率よく吸収される。
前後動許容機構の中にエネルギー吸収部材を組み込むことができる。これによって衝撃吸収機構がさらに簡潔になる。
【0010】
<請求項の発明>
エネルギー吸収部材を繰り返し使用することができるから、従来のように車両が衝突する度にエネルギー吸収部材を交換する必要があるものと比較すると、低コスト化を図ることができる。
【0011】
<請求項3,4の発明>
エネルギー吸収部材を車両側とシート側との間に取り付けた後に、張力調整機構によってエネルギー吸収部材に所望の張力を付与することができる。従って、例えば、張力調整機構を有していないものにおいて、エネルギー吸収部材に張力を付与しつつ、車両側とシート側との間にエネルギー吸収部材を取り付ける場合と比較して、作業性が良好となる。そして、このエネルギー吸収部材に付与された張力以上の衝撃力が車両に作用すると、エネルギー吸収部材が延伸されてエネルギーが吸収される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る車両用衝撃吸収シートを図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施例である自動車用衝撃吸収シートの分解斜視図である。また、図2乃至図5は図1における各断面を表す断面図である。図において、前後動許容機構10は主として連結部材14によって連結された一組のアッパレール11と連結部材13によって連結された一組のロアレール12とからなる。アッパレール11とロアレール12は、ローラ17aおよびボール17bを介して組みつけられ円滑に摺動することができる。
【0013】
図2に示すように、連結部材13は各ロアレール12を貫通して取り付けられており、これによって各アッパレール11は図1のX方向の摺動を規制される。各アッパレール11は、連結部材13に突き当たった状態で位置決めされ、各アッパレール11の連結部材13に突き当てた側と反対の端においてロアレール12に固定される移動規制部材16によってX方向と逆方向の摺動を規制される。移動規制部材16は、金属あるいはプラスチック等の硬質の材質で作られ、一定の力がかかったときに破損するよう設計されている。
【0014】
一組のアッパレール11と一組のロアレール12が上記のように組みつけられ位置決めされた状態で、面状エネルギー吸収部材15が連結部材13と連結部材14の間に取り付けられている。この面状エネルギー吸収部材15は、布製でロール状のもので、図11に示すように合成繊維あるいは天然繊維製の平布151の両端末を折り返し状に縫って鉄製丸棒153を通し、両端末の丸棒153同士をホグリング154で固定したものである。
【0015】
一組のアッパレール11には車両用シート20が取り付けられ、一組のロアレール12の各端末部はブラケットを介して図示しない自動車フロアに固定される。
【0016】
かかる車両用衝撃吸収シートは、次のように作用する。図1のX方向を車両の前方向に合わせてシートを車両に取り付けた場合、通常はシート20のX方向への動きは、アッパレール11が連結部材13に当たって止められ、X方向と逆方向への動きはアッパレール11が移動規制部材16に当たって止められている。当車両が後突などにより車両後方から強い衝撃力を受けると、シート20は強い慣性力でX方向と逆の方向に動こうとする。このときアッパレール11も、シート20とともにX方向と逆の方向に動こうとして移動規制部材16に強い力を及ぼす。移動規制部材16は設計された一定以上の力が加わると破損し、アッパレール11はさらにX方向と逆の方向に動こうとする。このときロアレール12同士を繋ぐ連結部材13とアッパレール11同士を繋ぐ連結部材14との間には面状エネルギー吸収部材15が張設されているのでシート20のX方向と逆の方向への動きに伴って面状エネルギー吸収部材15に引っ張り力が働く。この引っ張り力によってシート20が移動するエネルギーが徐々に吸収され乗員への衝撃力が緩和される。
【0017】
かかる車両用衝撃吸収シートにおいて、シートの位置を前後に調節する機能を付加したいときは、前後動許容機構10の一組のロアレール12を図示しない通常のシート前後位置調整機構のアッパレールに取り付ければよい。面状エネルギー吸収部材15は、合成繊維や天然繊維製の布に限らずゴムシートやプラスチックのシートであってもよい。いずれの場合においても面状エネルギー吸収部材15の材質を変更したり重ねて使用したりすることによりエネルギー吸収性能を容易にコントロールできる。
【0018】
面状エネルギー吸収部材15の車両フロア側への固定は、ロアレール12間を繋ぐ連結部材13に対して行ったが、これに限定されるものではなく、連結部材13に相当する棒状部材を直接フロアもしくは通常のシート前後位置調整機構を付加した場合の該シート前後位置調整機構のアッパレールに固定してもよい。ただしその場合は、前後動許容機構10が一体として独立しなくなるので組み付けにおいて工夫が必要となる。
【0019】
本発明に係る車両用衝撃吸収シートの第2の実施例を図6乃至図10に基づいて説明する。第1の実施例との違いは、車両の前後いずれの方向からの衝撃力に対してもエネルギー吸収ができるように構成した点にある。第1の実施例と共通する部分の説明は省略し、違いの部分のみ説明する。
【0020】
図6は本発明の第2の実施例である自動車用衝撃吸収シートの分解斜視図である。また、図7乃至図10は図6における各断面を表す断面図である。図において、前後動許容機構10aは、主として連結部材14と18によって繋がれた一組のアッパレール11と連結部材13と19によって繋がれた一組のロアレール12とからなる。
【0021】
図7に示すように、連結部材13は各ロアレール12の側面に固定されており、各アッパレール11のX方向の摺動は各ロアレール12に固定された移動規制部材16aによって規制される。また、図10に示すように、連結部材19は各ロアレール12の側面に固定されており、各アッパレール11のX方向と逆方向の摺動は各ロアレール12に固定された移動規制部材16bによって規制される。各アッパレール11は、その両端において各ロアレール12に固定された移動規制部材16aと16bに当たって位置決めされている。面状エネルギー吸収部材15aが連結部材13と14の間に、面状エネルギー吸収部材15bが連結部材18と19の間に取り付けられている。
【0022】
かかる車両用衝撃吸収シートは、次のように作用する。図6のX方向を車両の前方向に合わせてシートを車両に取り付けた場合、通常はシート20のX方向への動きは、アッパレール11が移動規制部材16aに当たって止められ、X方向と逆方向への動きはアッパレール11が移動規制部材16bに当たって止められている。
【0023】
当車両が後突などにより車両後方から強い衝撃力を受けた場合は第1の実施例と同じく移動規制部材16bが破損して、面状エネルギー吸収部材15aに働く引っ張り力によってシート20が移動するエネルギーが徐々に吸収され乗員への衝撃力が緩和される。当車両が前突などにより車両前方から強い衝撃力を受けた場合は、シート20は強い慣性力でX方向に動こうとする。このときアッパレール11も、シート20とともにX方向に動こうとして移動規制部材16aに強い力を及ぼす。移動規制部材16aは設計された一定以上の力が加わると破損し、アッパレール11はさらにX方向に動こうとする。このときロアレール12同士を繋ぐ連結部材19とアッパレール11同士を繋ぐ連結部材18との間には面状エネルギー吸収部材15bが張設されているのでシート20のX方向への動きに伴って面状エネルギー吸収部材15bに引っ張り力が働く。この引っ張り力によってシート20が移動するエネルギーが徐々に吸収され乗員への衝撃力が緩和される。
【0024】
続いて、第3の実施例を図1ないし図1によって説明する。この第3の実施例では、取付状態としたエネルギー吸収部材40,41に付与する張力を調整可能な張力調整機構42を備えたものを示す。なお図1は、本発明の第3の実施例である自動車用衝撃吸収シートの分解斜視図であり、また図1ないし図1は、図1における各断面を表す断面図である。
【0025】
前後動許容機構30は、大まかにはシートSに固定されるとともに連結部材33により連結された一組のアッパレール31と、図示しない車両のフロアに固定されるとともに一対の連結部材34,35により連結された一組のロアレール32とを備えている。アッパレール31とロアレール32とにおける縦向き(左右)の対向面には、図1に示すように、それぞれガイドGがねじ止めされており、両ガイドG間に介設されたボールベアリングBによって、アッパレール31とロアレール32は、互いに前後方向に沿って円滑に摺動可能とされている。アッパレール31とロアレール32とにおける横向き(上下)の対向面には、それぞれ連結部材33,34,35がボルト36,37及びナット38,39により取り付けられている。
【0026】
アッパレール31は、図1及び図1に示すように、その長さ方向略中央位置にて連結部材33により繋げられている。これに対しロアレール32は、前後一対の連結部材34,35により繋げられており、両連結部材34,35がアッパレール31の連結部材33に対してそれぞれ前後に離間して配される。ロアレール32における前側の連結部材34(車両側)とアッパレール31の連結部材33(シートS側)とには、その幅方向略中央位置において、合成繊維製あるいは天然繊維製の面状の布をループ状にしてなるエネルギー吸収部材40が架け回されている。一方、アッパレール31の連結部材33(シートS側)と、ロアレール32における後側の連結部材35(車両側)とには、前側のエネルギー吸収部材40の両側方位置において、2本のエネルギー吸収部材41が架け回されている。各エネルギー吸収部材40,41は、引っ張り力を受けたときには延伸可能とされ、引っ張り力が除かれたときには元の形状に復元可能とされている。なお各エネルギー吸収部材40,41の詳細な態様は、上記第1の実施例にて説明したのと同様である(図11参照)。
【0027】
さて、ロアレール32における前側の連結部材34は、ロアレール32に対して張力調整機構42を介して取り付けられており、この張力調整機構42によってロアレール32に対する連結部材34の前後位置の調整、すなわち各エネルギー吸収部材40,41に付与する張力の調整が可能となっている。以下、張力調整機構42について詳細に説明する。
【0028】
前側の連結部材34は、その上面側に配されたブラケット43と共にロアレール32に対してボルト37及びナット39により取り付けられている。ロアレール32の両側端部に開設されたボルト挿通孔44は、ボルト37がブラケット43及び連結部材34と共に前後動できるよう前後方向に沿って細長い長孔となっている。ブラケット43は、縦断面略L字型に形成されるとともにその前端の立ち上がり部分43aが、ロアレール32の前端に形成された立ち上がり部分32aに対して調整ボルト45及び調整ナット46によって取り付けられている。調整ボルト45は、ロアレール32の立ち上がり部分32a及びブラケット43の立ち上がり部分43aにそれぞれ形成された孔に対して前方から貫挿されるとともに、ブラケット43の後側に突出した部分に調整ナット46が螺合されている。そして、調整ボルト45または調整ナット46を締めたり、緩めたりすることで、ロアレール32に対してブラケット43、ボルト37(ナット39)及び連結部材34を相対的に前後に移動させることができ、これに伴って各連結部材33,34,35間の間隔、並びに各エネルギー吸収部材40,41に付与する張力を調整できるようになっている。
【0029】
上記のような構成の自動車用衝撃吸収シートを組み付けるにあたっては、アッパレール31とロアレール32とを互いに摺動自在に組み付ける一方、既述した張力調整機構42によって前側の連結部材34を図1の二点鎖線に示すように後ろ寄りの位置に配するとともに、それに合わせてアッパレール31の連結部材33も後ろ寄りの位置に配することで、各連結部材33,34,35間の間隔を狭くしておき、その状態で各エネルギー吸収部材40,41を取り付けるようにする。これにより、各エネルギー吸収部材40,41を延伸させることなく取り付けることが可能となるので、作業性に優れる。
【0030】
その後、張力調整機構42によってロアレール32に対して前側の連結部材34を相対的に前方へ移動させる(図1中の矢線A)。すると、前側のエネルギー吸収部材40によってアッパレール31の連結部材33が前方へ引っ張られることで、アッパレール31がロアレール32に対して前方へ摺動するとともに連結部材33が前方へ移動される(図1中の矢線B)。その結果、図1の実線に示すように、各連結部材33,34,35間の間隔が広げられるとともに、各エネルギー吸収部材40,41が延伸されて張力が付与されることになる。アッパレール31とロアレール32とは、各エネルギー吸収部材40,41の張力によって互いにほぼ静止した状態に保持される。このとき、各エネルギー吸収部材40,41に付与する張力は、張力調整機構42をなす調整ボルト45や調整ナット46の締め具合を適宜に設定することで、所望の大きさに調整することが可能である。その後、ロアレール32を車両のフロアに、アッパレール31をシートSにそれぞれ固定する。なお上記した組付手順は、適宜に変更することが可能である。
【0031】
このように各エネルギー吸収部材40,41に所定の張力が付与された状態では、その張力を上回る衝撃力が車両に作用しない限りは、各エネルギー吸収部材40,41が延伸されることがない。これにより、設定した張力を下回る軽微な衝撃力が作用しただけでは、エネルギー吸収部材40,41によるエネルギー吸収が行われないようになっている。なお各エネルギー吸収部材40,41に設定する張力、すなわちエネルギー吸収がなされ得る衝撃力の設定値を変更する場合には、既述した通り張力調整機構42によって簡単に調整することができる。
【0032】
以上のようにして車両用衝撃吸収シートが車両に搭載された後、車両が後突などにより設定値以上の衝撃力を後方から受けると、シートSは慣性によって車両に対して相対的に後方(図1のX方向と逆の方向)へ移動しようとする。このときアッパレール31も、シートSと共に後方へ移動しようするので、アッパレール31の連結部材33が前側のエネルギー吸収部材40を引っ張って徐々に延伸させつつ後退することで、衝撃エネルギーが吸収され、もって乗員に作用する衝撃を軽減できる。一方、車両が前突などにより設定値以上の衝撃力を前方から受けた場合には、シートSは慣性によって車両に対して相対的に前方(図1のX方向)へ移動しようとする。このときアッパレール31も、シートSと共に前方へ移動しようとするので、アッパレール31の連結部材33が後側の2本のエネルギー吸収部材41を引っ張って徐々に延伸させつつ前進することで、衝撃エネルギーが吸収され、もって乗員に作用する衝撃を軽減できる。
【0033】
以上説明したように本実施例によれば、エネルギー吸収部材40,41が延伸された後に復元可能となっているから、エネルギー吸収部材40,41を繰り返し使用することができる。従って、従来のもの(特開平7−61274号公報に記載のもの)では、車両が衝突したときに繊維強化プラスティック製エネルギー吸収部材が圧縮破壊されることで衝撃エネルギーが吸収されるようになっているため、衝突が起こる度に繊維強化プラスティック製エネルギー吸収部材を交換する必要があって高コストとなり勝ちであるのと比較すると、本実施例では低コスト化を図ることができる。しかも、本実施例によれば、上記した第1及び第2の実施例と比較して、衝突の度に交換が必要となる移動規制部材16,16a,16bを省略しているから、一層の低コスト化が実現されている。
【0034】
さらには、エネルギー吸収部材40,41をロアレール32の連結部材34,35(車両側)とアッパレール31の連結部材33(シートS側)との間に取り付けた後に、張力調整機構42によってエネルギー吸収部材40,41に所望の張力を付与することができる。従って、例えば上記した第1及び第2の実施例のように張力調整機構を有していないものにおいて、移動規制部材16,16a,16bを省略して低コスト化を図るには、面状エネルギー吸収部材15,15a,15bに所定の張力を付与しつつ車両側とシート側との間に面状エネルギー吸収部材15,15a,15bを取り付ける必要があるが(図1または図6を参照)、このものと比較して本実施例では作業性が良好となる。
【0035】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)面状のエネルギー吸収部材として樹脂製のシート材を使用してもよく、そのようなものも本発明に含まれる。
【0036】
(2)上記した第3の実施例では、張力調整機構によってロアレールにおける前側の連結部材について位置調整するものを示したが、後側の連結部材について位置調整するようにしたものも本発明に含まれる。
(3)また上記した第3の実施例において、シートの前後位置を調整する機能を付加したいときには、前後動許容機構をなすロアレールを、周知のシート前後位置調整機構のアッパレールに取り付けるようにすればよい。
(4)またエネルギー吸収部材としては、例えば伸び弾性率の異なる複数種類の繊維を編成して形成するようにしてもよく、その場合には、各繊維の材質や編み方等を適宜に選定することにより最適な衝撃吸収特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例に係る自動車用衝撃吸収シートの分解斜視図である。
【図2】 図1のA−A断面図である。
【図3】 図1のB−B断面図である。
【図4】 図1のC−C断面図である。
【図5】 図1のD−D断面図である。
【図6】 本発明の第2の実施例に係る自動車用衝撃吸収シートの分解斜視図である。
【図7】 図6のE−E断面図である。
【図8】 図6のF−F断面図である。
【図9】 図6のG−G断面図である。
【図10】 図6のH−H断面図である。
【図11】 面状エネルギー吸収部材の説明図である。
【図1】 本発明の第3の実施例に係る自動車用衝撃吸収シートの分解斜視図である。
【図1】 図1のI−I断面図である。
【図1】 図1のJ−J断面図である。
【図1】 図1のK−K断面図である。
【符号の説明】
10,30…前後動許容機構
15,15a,15b…面状エネルギー吸収部材
20,S…シート
40,41…エネルギー吸収部材
42…張力調整機構

Claims (4)

  1. 車両用シートにおいて、車両前後方向に一定以上の衝撃力が働いたときにシートの車両に対する前後方向への移動を可能とする前後動許容機構と、前記シートの前記車両に対する前後方向への移動時に延伸されながらエネルギーを吸収するエネルギー吸収部材とを備えており、
    前記前後動許容機構は、前記シート側に固定されるとともに連結部材によって連結された一組のアッパレールと、前記車両側に固定されるとともに連結部材によって連結された一組のロアレールとを前後方向に沿って摺動可能とした構成とされ、
    前記エネルギー吸収部材は、面状で且つロール状に形成され、前記アッパレール側の前記連結部材と前記ロアレール側の前記連結部材とに架け回して取り付けられていることを特徴とする車両用衝撃吸収シート。
  2. 前記エネルギー吸収部材は、延伸された後に復元可能となっていることを特徴とする請求項1記載の車両用衝撃吸収シート。
  3. 記車両側と前記シート側との少なくともいずれか一方には、取り付けられた前記エネルギー吸収部材に付与する張力を調整可能な張力調整機構が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項記載の車両用衝撃吸収シート。
  4. 記張力調整機構は、前記アッパレールと前記ロアレールとの少なくともいずれか一方に対して前記連結部材の取付位置を前後に調整可能とした構成とされていることを特徴とする請求項記載の車両用衝撃吸収シート。
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