JP2012135274A - 魚介類加工品の製造方法 - Google Patents

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哲司 小山
Tadakazu Shioiri
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Abstract

【課題】粗脂肪分が低い等の理由によって利用度の低い魚介類或いは未利用魚介類について、その食味、食感を改善し、食用に供されるようにする。
【解決手段】魚介類に油脂を注入しその組織中に分散させる魚介類加工品の製造方法について、魚介類の組織中に、乳化調整油脂をpH調整剤と共に、インジェクターを用いて注入し、それによって上記組織中に油脂成分を保持させ、上記組織中に油脂成分を保持させた魚介類を密封包装状態とし、真空脱気することによって、組織中に油脂成分を拡散、浸透させ、上記油脂成分の拡散、浸透した魚介類を凍結処理することによって、乳化調整油脂を油脂、調味水溶液及び乳化剤に分離し、乳化油脂による白濁した色相を解消させた構成とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、魚介類に油脂を注入しその組織中に分散させる魚介類加工品の製造方法に関するものである。
捕獲される魚介類は多岐に亘るが、消費量の多い魚介類でも季節によっては評価の下がるものや、元々食味、食感が好まれないなど人気のないものもあり、そうした魚介類は、捕獲されても各種加工食品や飼料、肥料などの原料に回されたり、場合によっては廃棄されたりするというルートを辿ることがある。しかし、中には肉質の改良によって食味、食感の向上するものもあり、そのため、水産加工業界などでは、市場に供給されるように魚介類の肉質を改良する技術が開発されている。その方法は様々であるが、例えば、インジェクターと通称される塩水・調味液注入機を用い、塩水等に替えて油脂を注入する技術が試みられた。しかし、塩水と油脂では性状が異なり、中々思い通りの結果を得ることができないという問題があった。
注入可能な油脂として、例えば、液状のオイルが考えられるが、これを魚肉組織に注入しても、経時的にはほとんどが流出してしまい、組織内に留まることがない。一方、マヨネーズ状の乳化油脂や硬化油脂を用いた場合は、インジェクターノズルの目詰まりを起こし易く、油脂の温度を高めることを要し、そのために魚介類の品質に影響を及ぼすことがある。また、粘度を低くした乳化油脂を注入しても、注入した状態のままで、或いは筋肉膜間に留まってそれ以上分散せず、筋肉組織に取り込まれないという問題がある。このような加工品では色調、色沢にムラを生じるので、外観も好ましい状態には至らず、違和感が残る。
先行技術には、例えば特開平9−173022号があり、同号の発明は油脂含量の低い魚肉に油脂を強化するだけでなく、食感、風味を改良し、さらに歩留まりを向上させ、焼縮みを少なくすることを目的とすると明細書に記載されている。また、その手段として、熱凝固性蛋白質等の蛋白質、増粘多糖類、カルシウム剤、可食性繊維、化工澱粉の1種又は2種以上の混合物から成る品質改良剤と、動物性及び/又は植物性油脂と、水を魚肉に適用することが記載されている。上記適用の具体的な方法としては、被覆、塗布、噴霧、浸漬、及び/又は注入、が列挙されている。しかし、注入ですら上記の問題があって目的を達成できないのであるから、他の方法は推して知るべしというべきであり、上記発明によって本発明の目的を達成することはできない。
特開平9−173022号
本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は、粗脂肪分が低い等の理由によって利用度の低い魚介類或いは未利用魚介類について、その食味、食感を改善し、食用に供されるようにするとともに、さらには、賞揚される食味が得られるようにすることである。また、本発明の他の課題は、本発明の方法によって水産資源の有効な利用を促進すること及び魚肉蛋白資源をより有効に利用できるようにすることである。
前記の課題を解決するため、本発明は、魚介類に油脂を注入しその組織中に分散させる魚介類加工品の製造方法について、魚介類の組織中に、乳化調整油脂をpH調整剤と共に、インジェクターを用いて注入し、それによって上記組織中に油脂成分を保持させ、上記組織中に油脂成分を保持させた魚介類を密封包装状態とし、真空脱気することによって、組織中に油脂成分を拡散、浸透させ、上記油脂成分の拡散、浸透した魚介類を凍結処理することによって、乳化調整油脂を油脂、調味水溶液及び乳化剤に分離し、乳化油脂による白濁した色相を解消させるようにするという手段を講じたものである。
本発明に係る魚介類加工品の製造方法は、魚介類の組織中に油脂を注入し分散させ、かつその状態を保持することを目的とする。よって、そうした発想自体は前述の先行技術にも見られるが、本発明はこの発想の実用化を数段階推し進めてなされたもので、食味、食感の改善、色調、色沢当該環状の違和感のない、魚介類加工品の製造が可能になる。
そのための手段として本発明では、以下の化学的、物理学的手法を結合している。
A.油脂を、親和性の高い水溶液状にして分散する乳化技術。
B.pH調整剤等を利用した浸透、保水技術。
C.真空脱気による成分の浸透技術。
D.成分の、インジェクターと通称される塩水・調味液注入機による注入技術。
上記解決手段における、魚介類の組織中に、乳化調整油脂をpH調整剤と共に使用し、インジェクターを用いて注入する点は、前項AとDの組み合わせによるものである。乳化調整油脂は油脂を加工デンプン(オクテニルコハク酸デンプンナトリウム)により調整したもので、これによって、特に親和性が改善される。上記pH調整剤は、アルカリ性剤によって乳化調整油脂を魚介類の組織に保持させるために使用するが、また、食感を向上する役割も担っている。
上記乳化調整油脂は、例えば、植物油脂、食塩、砂糖、乳酸ナトリウム及び乳化剤等によって構成される。残部は清水である。これらの構成成分において、植物油脂は油脂量や香味等の強化及び食味向上のために必要なものである。なお、植物油脂に替えて動物性油脂を使用することも可能である。また、食塩は食味を付与し、保存性を高めるもので、これについては例えば塩化カリウムをもって替えることができる。砂糖も食味を付与し、拡散性を高めるものであり、これについては例えばデキストリン、馬鈴薯デンプン又はコーンスターチをもって替えることができる。乳酸ナトリウムは食味を付与し保水性を高めるものであり、これについては例えば酢酸ナトリウムも使用することができる。乳化剤は乳化とその均一化のために必要であり、これについては、例えば、卵黄、大豆、乳、ホエー等の食品素材、食品添加物としてカゼインナトリウム、大豆レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びポリソルベートを以って替えることができる。
上記乳化調整油脂は、質量比で、植物油脂18.00〜55.00%、食塩6.00〜9.00%、砂糖0.30〜1.00%、調味料(有機酸等)2.20〜4.80%、乳化剤0.70〜1.85%、残部清水の成分比率を有するものであることが望ましい。即ち、植物油脂は20.00%未満では油脂量、香味等が不十分であり、かつ、食味向上につながらず、また、55.00%を超えて添加しても却って食味、食感を損なうことがあるので上記の範囲とする。食塩は食味を付与し保存性を得るために6.00〜9.00%の範囲とし、砂糖は食味付与及び拡散性を考慮して0.30〜1.00%の範囲とし、調味料は食味を付与し保水性を得るために2.20〜4.80%とし、乳化剤は乳化、均一化を得るために0.70〜1.85%、の範囲とすることが望ましい。
上記pH調整剤としては、炭酸水素ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、L−酒石酸ナトリウムが主なものである。醸造酢等に含まれる酢酸ナトリウム、その他、リン酸、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、氷酢酸、フマル酸、DL−リンゴ酸もpH調整剤としての機能を有する。pH調整剤は、pH調整及び保存性向上等に資するものであるが、保水性を高める目的にもかなうものである。即ち、pH調整剤として重曹(炭酸水素ナトリウム)を使用することができるが、重曹は膨潤して保水性を高める。従って、前記乳化調整油脂を含有する溶液を魚介類の組織へ浸透させ、かつ、組織内に保持させることを可能にする。なお、乳化調整油及びpH調整剤は、化学的に合成されたもののみを指す訳ではなく、卵黄、デンプン、大豆、乳、コンブ、その他の自然食品、醸造酢等に含まれた形態のものを含む。
本発明を適用する魚介類として、特にこれを制限する要素は見当たらない。想定される魚類を挙げれば、鮭鱒類、カジキ類、マグロ類、タラ類、ブリ類、アジ類、タイ類、カレイ類、サメ類、ホッケ、赤魚、キンメダイ、スズキ、ボラ、ムツ、スギ、サワラ、シルバー、貝類ではホタテガイ、イタヤガイ、甲殻類ではエビ、シャコ等がある。この内、具体的には、一般的な魚介類であるが季節によって食味の評価の変化があるものとして、例えば、アキザケ(秋鮭)、イナダ(ブリの成長名)、ブリ、サバ、赤魚等がある。この場合、従来は評価の低かったものを季節に寄らず評価の安定した魚介類として提供する意義がある。また、一般的ではないがより食用に供されるべきものとして、ガストロ、マンダイ、マンボウを挙げることができる。さらに、従来は食用とされていないが、食感、食味の改良によって食用になり得るものに、ブラックバス、ブルーギル、ナマズがあるが、この場合には新たな食材を開発し、市場に提供できることになる。本発明の方法を実施する場合、主としてフィレ、チャンク等の裁断加工した魚介類を想定している。しかし、これら以外のものも対象とすることは可能である。
本発明は、さらに、インジェクターと通称される塩水・調味液注入機による注入成分の技術をもう一つの手段とする。インジェクターは、従来、塩蔵食品、塩干食品の製造に用いられたもので、多数の針状ノズルを所定のピッチで配列した構造を持ち、それらの針状ノズルを通じて注入成分をポンプにより魚介類の組織に注入するもので、魚介類はコンベアによって移動しながら針状ノズルの刺入を繰り返し受ける。インジェクターによる魚肉への塩水注入技術は、従来から公知であるが、従来技術では粘度の高い油脂を注入できないこと、魚肉組織の筋節間に乳化油脂が溜まり白く残ってしまうことの2点が課題であった。これらの課題を解決するため本件の発明者は様々な方面から問題点を検討するとともに、鋭意研究を行った結果、好適な油脂注入条件を見出した。インジェクターにおける改良要件としては、注入圧力を0.3〜1.4Mpaに設定する。この数値は従来の平均値よりも小さい数値であり、下限側は注入量も少なく、ブリ、イナダ、赤魚に適し、上限側は注入量も多く、アキザケ、サバに適した数値である。インジェクターは、多数の針状ノズルを用いて油脂を注入する点は従来と変わらない。油脂注入条件の一つとして、針状ノズル1本当たりの魚介類の面積を例示すると0.85〜1.7cm/本が好ましい値であった。
また、本発明は油脂白濁について、これを解消することができる技術をも開発したということができる。油脂白濁の解消は、前記のC項における真空脱気に続けて凍結処理を行うことによるもので、凍結によって乳化調整油脂が油脂、調味水溶液、乳化剤に分離されるので、乳化油脂による白濁を起さずに済むというメカニズムによる。この点、インジェクターの改良とは関係ないが、折角魚介類に油脂を注入し分散させることができても、その油脂が消費者に違和感を与えたのでは購買意欲を喚起することはできないという観点から開発されたものであり、本発明による顕著な成果の一つである。
本発明は以上のように構成されかつ作用するものであるから、粗脂肪分が低い等の理由によって利用度の低い魚介類或いは未利用魚介類について、乳化調整油脂を、インジェクターを用いて注入し、組織中に分散し、その油脂成分等を保持するとともに、凍結処理することによって、白濁した色相を解消し、食味、食感を改善するのみならず、付加価値の高い魚介類加工品を提供することができるようになった。また、本発明によれば、本発明の方法によって多種の水産資源の有効な利用を促進することが可能になり、かつまた、魚肉蛋白資源をより有効に利用することができるという効果を奏する。
以下、実施形態及び実施例を示して、本発明をより詳細に説明する。
<本発明に係る製造方法の手順>
本発明の製造方法の工程を、順を追って示すと以下のとおりである。

1.対象魚介類の準備
冷凍保管されていた魚介類を解凍し、公知の必要な前処理を行い、割裁機を用いて割裁処理し、二ツ割、フィレを形成し、それの尾部、鰭等を取り除き、汚れを洗浄する。上記フィレとある形態に変えてチャンクとすることもあり、その他、魚介類の種類ないしは商品形態など、必要に応じて対象魚介類を準備することができる。

2.乳化調整油脂等の調製
乳化調整油脂の成分及び配合比率については、表4及び表5に具体的に示しているが、市販品の中に使用可能なものについて、その一例を示すと以下のとおりである。ヨークランF:54.94%(キューピータマゴ株式会社製乳化油脂:植物油脂50.0%、食塩9.0%、砂糖1.0%、調味料2.0%、乳化剤2.0%、残部清水36.0%)、コンブ液2.75%、乳酸ナトリウム2.75%、品質保持剤0.73%を混合して乳化調整油脂を調製する。
上記調整された乳化調整油脂中には、pH調整剤0.51%が品質保持剤の中に含まれている。品質保持剤には上記pH調整剤の他、0.08%のトレハロース、0.01%の酸化防止剤、0.02%のデキストリン、及び0.11%の調味料、砂糖、食塩が含まれている。上記の成分比率は列挙した成分を構成要素とする乳化調整油脂全量を100%としたときの割合である。この乳化調整油脂と、食塩(2.20%)及び水(36.63%)を夫々(61.17:2.20:36.63の割合で)混合し、インジェクターによって注入すべき注入液を調製する。

3.注入液の魚介類への注入
インジェクターを始動し、圧力、搬送ラインの速度を設定し、上記注入液の注入率を設定する。上記準備がなされた魚介類を搬送ラインに投入し、設定に従って、インジェクターを用いて上記注入液を注入し、それによって上記組織中に油脂成分を保持させる。油脂成分の保持された魚介類は、濃度5.00〜7.00%の塩水を用いてその表面に残置している油脂をすすぎ、搬送ラインから取り出し、容器を用いて水切りを行う。

4.魚介類への注入液の分散
上記組織中に油脂成分を保持させた魚介類を密封包装状態とし、真空脱気することによって、組織中に油脂成分を拡散、浸透させる。密封包装にはガスバリヤー性のプラスチックシートから成るものを用い、その内部に上記魚介類を配置した上で包装体を密封し、真空ポンプを用いて包装体内部を130〜200hPaの減圧状態とし、3.6〜4.0秒間上記減圧状態を維持する。

5.冷凍処理
上記目的油脂成分の拡散、浸透した魚介類を凍結処理する。凍結処理は前工程で密封包装した魚介類を凍結処理用コンテナの内部に移して行い、4.0〜10.0℃にて6.0〜24.0時間程度の時間をかけて行う。この凍結処理によって、乳化調整油脂を油脂、調味水溶液及び乳化剤に分離し、乳化油脂による白濁した色相の解消した製品を提供することができる。なお、凍結処理に先立って、金属探知機による異物検査、皮目、身色等の外観選別を行うことが望ましい。

6.保管等
前工程において完成した製品は、販売までの間、冷凍保管する。保管にはマイナス18.0〜マイナス25.0℃の温度を維持する。保管中の製品は注文に応じて出荷するので、保管前の適当な時期に内容量を計量し、出荷の前には塩分基準、微生物検査を実施しておくことが望ましい。なお、製品は冷蔵パックに包装した形態で行うことができるが、この冷蔵パックを予定して工程4で使用する包装体を選択しても良い。
上記工程3におけるインジェクターの条件を示す。当該インジェクターには、株式会社ニッコー製の塩水・調味液注入機「NSI−240」を使用することができる。
<インジェクターの設定条件その1>
表1
Figure 2012135274

表1において、搬送速度とあるのは本発明の方法を適用する対象魚介類を載せて搬送するコンベアの速度、注入回数とあるのはインジェクターの針状ノズルを魚介類の組織に刺入する回数ないしは速度、ピッチ幅とあるのは多数の針状ノズルの配置間隔、ピッチ×ショットとあるのは搬送速度とピッチ幅の積を夫々示しており、ピッチ×ショットは油脂注入量に比例する。
<インジェクターの設定条件その2>
表2
Figure 2012135274

表2は、乳化調整油脂等を針状ノズルから魚介類の組織中に注入する際の注入圧力を示しており、秋鮭、サバは注入圧力が高く、かつ、注入量も多目であり、ブリ、赤魚は注入圧力が低く、かつ、注入量も少な目であり、これに対しイナダはその中間である。これは、対象魚肉の身質強度に応じて注入圧力を変化させた例であるが、表2の範囲は魚介類に対する注入圧力の範囲を概ねカバーしているので、本発明の方法における乳化調整油脂等の注入圧力としては、表2の結果の包含される0.3〜1.4Mpaの範囲の適当であることが分かる。表1と表2を見ると、搬送速度の遅い秋鮭、サバ等に対しては注入圧力を高目に設定し、搬送速度の早いブリ、赤魚等に対しては注入圧力を低目に設定していることが分かるが、これも上記対象魚肉の身質強度によるものである。
<インジェクターの設定条件その3>
表3
Figure 2012135274

表3は針状ノズルの配置範囲を密度とともに示している。横4針が25セットで計100本、それが4列あるから合計400本となる。なお、前記のインジェクターを使用する場合には、4針×25セット(100本)から注入可能である。
<乳化調整油脂の配合比率>
上記配合比率の例1について、以下の表4によって説明する。
表4
Figure 2012135274

表4に示した乳化調整油脂は植物油脂の比率が最小限度に近い例である。
上記配合比率の例2について、表5によって説明する。
表5
Figure 2012135274

表5に示した乳化調整油脂は植物油脂の比率が最大限度に近い例である。
本発明に係る魚介類加工品の製造方法の実施例1、2、3について、表6によって説明する。
表6
Figure 2012135274

表6はそれぞれ大きさの異なる秋鮭1、2、3、4、天然ブリ1、2を対象魚介類とし、それらの各フィレ肉に、表4及び表5の配合比率を有する乳化調整油脂をpH調整剤と共に、表1ないし3の設定条件にて、インジェクターを用いて注入した実施例1、2、3を示している。
上記実施例1、2、3について本発明の方法により製造した魚介類の評価のために、重量、粗脂肪合計等を計測したので、その結果を表7に示す。
表7
Figure 2012135274

表7における魚介類は表6に示したのと同じである。また、既存粗脂肪、注入油脂量及びそれらの合計である粗脂肪合計の単位は100分率(%)である。
表7によれば、乳化調整油脂の注入率として質量比で117.14〜129.60%、粗脂肪合計として7.19〜10.24%という値が得られた。通常、脂の乗ったといわれる魚介類における値は、夫々質量比で114.06〜119.70%、粗脂肪合計は9.44〜10.82%であるから、本発明によって十分な量の粗脂肪の注入されたことが分かる。しかも、本発明における数値は初期の注入率ではなく、最終の注入率であり、商品の品質にそのまま反映するものである。
本発明の魚介類加工品の製造方法を実施して製造された魚介類の組織には、粗脂肪分が十分に補充されている。そこで、上記実施例1ないし6の魚肉の質を評価するテストを行ったので、その結果を次表に示す。なお、評価方法は5点評価法(5点満点)とした。
表8
Figure 2012135274

表8によれば、ほぼ全ての魚肉について満足すべき結果が得られており、利用度の低い魚介類の食味、食感を改善することができたことが分かる。
本発明の効果を確認するため、本発明を適用しない魚介類の質を評価するテストを行ったので、その結果を次表に示す。なお、対象魚介類は表8の中から代表として、秋鮭1、ブリ1と同じものを使用した。評価方法は表8と同じく5点評価法である。
表9
Figure 2012135274

表9によれば、予想したとおりであるが、肉質、うま味、食感の何れも本発明を適用した魚介類に劣ることが分かる。
さらに本発明では、乳化調整油脂を油脂、調味水溶液及び乳化剤に分離し、乳化油脂による白濁した色相を解消させることができたことについても高く評価できるものである。上記のように、本発明の製造方法によれば、利用度の低い魚介類或いは未利用魚介類について、それらの食味と食感を著しく向上させることができるものであるので、ほぼ全ての目的を達成したということができる。

Claims (3)

  1. 魚介類に油脂を注入しその組織中に分散させる魚介類加工品の製造方法であって、魚介類の組織中に、乳化調整油脂をpH調整剤と共に、インジェクターを用いて注入し、それによって上記組織中に油脂成分を保持させ、上記組織中に油脂成分を保持させた魚介類を密封包装状態とし、真空脱気することによって、組織中に油脂成分を拡散、浸透させ、上記油脂成分の拡散、浸透した魚介類を凍結処理することによって、乳化調整油脂を油脂、調味水溶液及び乳化剤に分離し、乳化油脂による白濁した色相を解消させた構成を有する魚介類加工品の製造方法。
  2. 乳化調整油脂は、質量比で、植物油脂18.00〜55.00%、食塩6.00〜9.00%、砂糖0.30〜1.00%、調味料2.20〜4.80%、乳化剤0.70〜1.85%、残部清水の成分比率を有する請求項1記載の魚介類加工品の製造方法。
  3. 魚介類は、秋鮭に代表される脂肪分の少ない魚種であり、それをフィレ、チャンクの形態で使用する請求項1記載の魚介類加工品の製造方法。
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