JP6376579B1 - 魚肉製品の製造方法 - Google Patents

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【課題】改質された魚肉製品を効率的に製造できる方法の提供。【解決手段】魚体の二次循環系に魚肉改質剤を注入する工程を含む魚肉製品を製造する方法。ブリ、ハマチ、マグロおよびタイから選択される1以上の魚種のセンターカットまたはフィレである魚体に、抗酸化剤としてビタミンCおよび/またはビタミンE、香料、栄養補助成分そして柑橘類の果汁を含む魚肉改質剤を注入する魚肉製品を製造する方法。【選択図】なし

Description

本発明は、改質された魚肉製品を効率的に製造する方法に関するものである。
特にブリ、ハマチ、マグロ、カツオなどの魚肉に多く含まれる血合肉は、ミオグロビンやヘモグロビンを多く含み、酸化により褐変し易い。魚肉の商品価値は褐変すると著しく下がり、廃棄せざるを得ないこともある。
本発明者らの研究グループは、養殖ブリの飼料にユズの果皮や果汁を混合し、魚体に対するユズ由来の抗酸化作用を試験していたところ、魚肉製品の血合肉の褐変が抑制されるのみならず、生臭さも抑制され、製品価値が高まることを見出した。その後、ミカン、スダチ、カボス、レモン、オリーブ、茶、ブドウなどを飼料に混合して、ブリ、ハマチ、タイ、ヒラメ、ハタ、アユ、ニジマスなどを養殖し、魚肉を改質することが全国的に広まった。
しかし上記の様に魚肉改質剤を飼料に混合する方法には手間や時間がかかり、また、改質の程度が個体により一定でないという問題があった。特許文献1には、魚肉の褐変防止を目的として、リグナン類を飼料に混合する方法の他、鮮魚の切身に塗布する方法が記載されている。
ところが、リグナン類を鮮魚の切身に塗布しても、魚身の酸化は表面のみで起こるのではなく、酸化酵素などにより内部でも起こるので、褐変や生臭さの抑制に対する効果は十分でない。そこで、非特許文献1,2には、抗酸化作用を有するL−アスコルビン酸(ビタミンC)とセレノネイン酸化型二量体をアジとブリの動脈または静脈に注射して魚肉の酸化を抑制する技術が開示されている。
特開2010−57367号公報
Yasuyuki Tsukamasaら,Fish Sci.,79,pp.349−355(2013) 山下由美子ら,日本水産学会誌,79(5),pp.863−868(2013)
上述したように、魚肉を改質するために、養殖魚飼料に魚肉改質剤を混合する方法の他、魚体の動脈または静脈に魚肉改質剤を注射する方法が開発されている。
しかし注射方法では、血液を介して魚肉改質剤を魚肉に送達しなければならないため、生体に対して注射する必要があり、魚を締めた後、例えばフィレに対して行うことはできない。よって非特許文献1では、生きたアジを10℃の人工海水に1〜3分間浸漬して麻酔した後、魚肉改質剤を注射している。非特許文献2には詳しい注射条件の記載は無いが、活動中の魚体の血管に注射することは困難であることから、同様に何らかの方法で麻酔していると考えられる。
ところが、魚を薬剤により麻酔するとすれば商品化することができなくなるし、非特許文献1に記載の方法のように冷却により麻酔することは難しい場合があり、魚を死なせてしまうこともあり得る。少なくとも、養殖魚の商品化に当たって個々の魚を逐一麻酔して注射することは、効率の面から実際的ではない。
そこで本発明は、改質された魚肉製品を効率的に製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、魚体の二次循環系を利用すれば、例えばフィレの状態でも魚肉改質剤を注入することができ、魚肉全体に魚肉改質剤を満遍なく、簡便かつ効率的に行き渡らせることが可能であることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
[1] 魚肉製品を製造する方法であって、
魚体の二次循環系に魚肉改質剤を注入する工程を含むことを特徴とする方法。
[2] 上記魚体がセンターカットまたはフィレである上記[1]に記載の方法。
[3] 上記魚体が、ブリ、ハマチ、マグロおよびタイから選択される1以上の魚種の魚体である上記[1]または[2]に記載の方法。
[4] 上記魚肉改質剤が抗酸化剤を含む上記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 上記抗酸化剤がビタミンCおよび/またはビタミンEを含む上記[4]に記載の方法。
[6] 上記魚肉改質剤が香料を含む上記[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7] 上記魚肉改質剤が栄養補助成分を含む上記[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8] 上記魚肉改質剤が柑橘類の果汁を含む上記[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
本発明方法によれば、魚のフィレの状態などにおいても魚肉を有効に改質することができ、価値の高い魚肉製品を簡便かつ効率的に製造することが可能になる。よって本発明は、水産業、特に魚の養殖業に寄与するものとして、非常に有用である。
図1は、二次循環系口を含むブリのフィレの頭側断面の写真である。 図2は、ブリのフィレの二次循環系口から青色色素水溶液を注入し、一晩静置した後の写真である。 図3は、精製水または抗酸化剤を二次循環系口から注入し、氷中で一晩保存したブリフィレの外観写真である。 図4は、精製水または魚肉改質剤を二次循環系口から注入し、氷中で一晩保存し、更に4℃で48時間静置したブリフィレの外観写真である。 図5は、対照群と魚肉改質剤投与群のブリフィレの血合肉中央部の色彩測定結果を示すグラフである。 図6は、対照群と魚肉改質剤投与群のブリフィレにおける過酸化脂質量の測定結果を示すグラフである。
本発明に係る魚肉製品の製造方法は、魚体の二次循環系に魚肉改質剤を注入する工程を含むことを特徴とする。
本発明方法で魚肉改質剤を注入すべき魚体は特に制限されず、生きた状態の生体であってもよいし、締めた後のもの、更に、締めてから血抜きをしたものであってもよい。しかし本発明方法では、締めた後の状態であっても魚肉へ魚肉改質剤を行き渡らせることが可能であるし、また、生きた状態では魚肉改質剤の注入のために麻酔するか、或いは、麻酔しない場合には暴れ得る状態で魚肉改質剤を注入する必要があるため、締めた後(死んだ後)の魚体に魚肉改質剤を注入することが好ましい。
魚体の魚種は、食用のものであれば海水魚でも淡水魚でもよく、特に制限されない。しかし、本発明方法は魚肉製品の製造に関するものであるので、養殖魚の魚体、特に同様の大きさの同一魚種に適用し、魚肉製品をより一層効率的に製造することが好ましい。養殖魚としては、例えば、ブリ、ハマチ、タイ、ヒラメ、マグロ、カンパチ、シマアジ、イサキ、ハタなどの養殖海水魚;ウナギ、イワナ、アマゴ、マスなどの養殖淡水魚を挙げることができる。特に本発明方法によれば、抗酸化剤を用いて魚肉製品の酸化や変色を効果的に抑制できるため、酸化され易く変色し易い血合肉を比較的多く含むブリ、ハマチ、マグロや、黒変が問題となるタイの魚体に本発明方法を適用することが好ましい。
魚体としては、生体の他、締めた後、および締めてから血抜きした状態の「ラウンド」、ラウンドから内臓を除去した「セミドレス」、セミドレスから頭部(カマ)を除去した「ドレス」、ドレスを背骨の部分で割り、ヒレを除去した「センターカット」、ドレスから尾、ヒレおよび背骨などを除去した「フィレ」を挙げることができる。これらの中では、比較的大きく見出し易い二次循環系口が認められる、ドレス、センターカットおよびフィレが好ましい。
魚類の二次循環系は、かつては脊椎動物のリンパ系に相当するものと考えられていたが、リンパ系とは異なり動脈などと連絡しているため、従来の循環系を一次循環系と呼び、リンパ系と区別するようになったものである。魚類の一次循環系と二次循環系は、出鰓弁動脈、背大動脈および体節動脈において吻合状血管で連絡しているが、その入口は極めて狭いため、ほとんどの赤血球は吻合状血管を通過することはできず、二次循環系におけるヘマトクリット値は一次循環系に比べて極めて低い。
一般的に魚肉として認識されているフィレや、フィレを適度な厚さに切断した切身には、太い一次循環系血管は存在せず、毛細血管のみが存在するため、一次循環系を介して魚肉改質剤を魚肉へ供給するには、血流を利用すべく魚が生きているうちに動脈や静脈へ魚肉改質剤を注入する必要がある。しかし、それには魚を麻酔するか、或いは活動中の魚の動脈または静脈へ魚肉改質剤を注入しなければならないという非常に困難な作業が必要となる。一方、魚類には背骨と平行して比較的太い二次循環系血管が存在しており、フィレなどの断面においてその末端を見出すことは容易であり、また、当該二次循環系血管を介してフィレ全体へ魚肉改質剤を容易に行き渡らせることが可能である。ブリフィレの頭部側断面における当該二次循環系血管の末端口を図1に示す。図1中、黒丸中が二次循環系血管の末端口である。
本発明方法で用いる魚肉改質剤は、魚肉を改質できるものであれば特に制限されないが、二次循環系に注入できるよう液状のものであることが好ましい。魚肉改質剤の有効成分である魚肉改質成分としては、例えば、酸化による劣化や変色を抑制する抗酸化剤、魚肉特有の生臭さを抑制する香料、栄養補助成分、食味を改善する調味料や旨味成分などを挙げることができる。
抗酸化剤としては、ビタミンC(アスコルビン酸)やビタミンE(α−トコフェロール)などの抗酸化性ビタミン;没食子酸エピガロカテキン、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、没食子酸エピカテキン、クエルセチン、エスペリジン、プテロスティルベン、プロアンソシアニジン、カルノシン酸などの抗酸化性ポリフェノール;βカロテン、ビタミンA、リコペン、ルテイン、アスタキサンチンなどの抗酸化性カロテノイド;グルタチオンなどの抗酸化性ペプチド;イソマルツロースなどの抗酸化性糖類;ブチルヒドロキシアニソールなどの合成抗酸化剤;その他、尿酸、メラトニン、ウロビリノーゲンなどを挙げることができる。
香料は、主に天然香料と合成香料に分けられる。天然香料は、主に植物原料を抽出、圧搾、蒸留などに付して得られる。植物原料としては、ローズ、ジャスミン、キンモクセイなどの花;カシスなどの花蕾;ペパーミント、スペアミント、シソ、ローズマリー、セージなどの全草;ローレル、ウインターグリーン、ユーカリ、茶などの葉;シナモン、キハダなどの樹皮;ジンジャー、ターメリックなどの根茎;ミカン、ユズ、スダチ、田熊スダチ(直七)、カボス、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、ブドウ、バニラなどの果実;ナツメグ、ビターアーモンド、マスタードなどの種子などを挙げることができる。
栄養補助成分としては、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、αリノレン酸、アラキドン酸、γ−リノレン酸などの必須脂肪酸;ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンH、ビタミンK、ビタミンP、ビタミンU、コバラミンなどのビタミン類;亜鉛、鉄、銅、クロム、セレン、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム、コバルト、モリブデンなどのミネラル類;トリプトファン、スレオニン、ロイシン、イソロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、アスパラギン、セリン、プロリン、グルタミン、チロシン、γ−アミノ酪酸、タウリンなどのアミノ酸類などを挙げることができる。
なお、ミカン、ユズ、スダチ、田熊スダチ(直七)、カボス、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツなどの柑橘類果実は、香り成分の他に、抗酸化作用なども示すビタミンCなども豊富に含んでいるため、抗酸化剤や栄養補助成分の原料としても用いることができ、柑橘類果実の果汁や、果皮または種子の圧搾油をそのまま抗酸化剤や香料や栄養補助成分として用いてもよい。
調味料としては、砂糖、塩、酢、醤油、酒、味醂などを挙げることができる。旨味成分としては、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸などを挙げることができる。
魚肉改質成分は、液状のものであればそのまま、或いは希釈した上で魚肉改質剤として二次循環系に注入する。固体のものであれば、溶媒に溶解または分散させた上で魚肉改質剤として二次循環系に注入する。魚肉改質成分の溶解、分散、希釈に用いる溶媒としては水が好ましいが、エタノール水を用いてもよい。また、溶解や分散のために、食用の界面活性剤や増粘多糖類を用いてもよい。魚肉改質剤としての溶液や分散液の濃度は、使用する魚肉改質成分の種類などに応じて適宜調整すればよい。
魚肉であるフィレ等においては、比較的太い二次循環系血管が背骨と平行に存在しており、当該二次循環系血管は頭部側ほど太く、尾部側ほど細い。よって、少なくとも頭部を切断し、躯幹部の頭部側断面において二次循環系血管口を見出し、そこから魚肉改質剤を注入することが好ましい。フィレなどの尾部側断面における二次循環系血管口から魚肉改質剤を注入してもよいが、頭部側断面の二次循環系血管口に比べて細いため、その場合には背骨方向と直交する方向で尾部側の一部を切断してもよい。
魚肉改質剤の注入方法は特に制限されないが、魚肉改質剤を魚体全体に行き渡らせる必要があるため、シリンジなど魚肉改質剤を加圧注入できる器具を用いることが好ましい。また、二次循環系血管にある程度挿入できるカテーテルを用いてもよい。シリンジの先端やカテーテルなどの径は、魚肉改質剤が注入時に漏出しないよう、魚肉改質剤を注入すべき二次循環系血管の径に合わせて選択することが好ましく、二次循環系血管径の90%以上、110%以下程度とすることが好ましい。カテーテルなどの具体的な径は、魚種や魚齢などにもよるが、例えば外径を1mm以上、2mm以下、内径を0.8mm以上、1.8mm以下とすることができる。
魚肉改質剤の注入量は、魚肉改質成分の種類や魚肉改質剤の濃度などに応じて適宜調整すればよいが、例えば、魚肉改質剤を注入すべき魚体の質量に対して、0.05質量%以上、5質量%以下とすることができる。
本発明によれば、例えば、抗酸化剤を用いれば酸化され難く鮮度が長持ちする魚肉製品を、香料を用いれば魚特有の生臭さが抑制された魚肉製品を、栄養補助成分を用いれば栄養価がより高い魚肉製品を、調味料や旨味成分を用いれば調理の手間を省略可能な魚肉製品を、即ち、商品価値の高い魚肉製品を非常に簡便かつ効率的に製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1: 予備実験
体重約2kgの養殖ブリ2年魚の延髄を切断して即殺し、海水中で十分に脱血した後、三枚におろし、得られたフィレの頭部側の二次循環系口に、外径:1.2mm、内径:1.1mmのポリエチレン製チューブを差し込み、他端に10mLシリンジを繋いだ。食用青色色素(「食用色素青」,ホームメイド社製)の1質量%水溶液20mLをシリンジに入れ、注入口から溢れ出ないよう色素水溶液を二次循環系へゆっくりと注入した。フィレを4℃で一晩静置した後の写真を図2に示す。
図2の通り、注入された青色色素水溶液は、二次循環系を介してフィレ全体に行き渡らせられることが分かる。なお、フィレには一次循環系の毛細血管が存在するが、水溶液を注入するに十分な太さの一次循環系血管は存在しなかった。
実施例2: ブリフィレの改質実験
(1)ブリフィレの処理
体重2〜3kgの養殖ブリ2年魚4匹の延髄を切断して即殺し、海水中で十分に脱血した後、三枚におろした。別途、ビタミンC(アスコルビン酸)0.5gとビタミンE(α−トコフェロール)3.3gを適量の精製水に加え、更に精製水を加えて全量を100mLにし、pHメーターでpHを測定しつつ水酸化ナトリウムでpHを7.0に調整することにより、魚肉改質剤を調製した。上記で得られたフィレ8枚を4枚ずつ2群に分け、外径:1.2mm、内径:1.1mmのポリエチレン製チューブとシリンジを用い、対照群には精製水を、魚肉改質剤投与群には上記魚肉改質剤を、フィレ質量に対して1質量%、頭部側の二次循環系口より溢れ出ないようゆっくりと注入した。個体差の影響を考慮して、1匹の個体から取れた2枚のフィレの内の一方を対照群とし、他方を魚肉改質剤投与群とした。処理した各フィレは、皮側を下にして、4℃で一晩保存した。
(2)外観
次に、各フィレから厚み約1cmの切身を3枚ずつ切り出し、発泡スチロールトレーに並べ、食品包装フィルムで覆って4℃で静置した。4℃での静置の開始時(0時間後)における各フィレの写真を図3に、4℃での静置の開始から48時間後における各フィレの写真を図4に示す。
図3の通り、氷中で一晩保存した時点では、対照群と魚肉改質剤投与群との間で外観にそれ程の違いは認められない。血合肉中に多少黒ずんだ箇所が見られる切身もあるが、同じ個体から得られた対照群と魚肉改質剤投与群の切身間での比較から、個体差によるものと考えられる。
しかし図4の通り、4℃での静置開始から48時間後では、特に対照群の血合肉中、普通肉との境界付近から褐色、更に濃褐色の褐変が確認された。一方、魚肉改質剤投与群の血合肉中にも褐変が認められるが、その色や範囲は対照群に比べて明らかに抑制されていた。
(3)色彩測定
4℃での静置開始から0,12,24,36,48,72および96時間後に、色彩計(「CR−20」コニカミノルタ社製)を用い、血合肉の中央部におけるL*値、a*値およびb*値を測定した。結果を図5に示す。なお、L*値は明度を示し、値が高いほど白色に近いことを表し、低いほど黒色に近いことを表す。また、a*値は高いほど赤色に近いことを表し、低いほど緑色に近いことを表し、b*値は高いほど黄色に近いことを表し、低いほど青色に近いことを表す。更に、血合肉の褐変度合は、a*/b*比により表すことができ(落合芳博ら,日本水産学会誌,54(4),pp.649−653(1988))当該比が低いほど褐変が進行しており、高いほど褐変が抑制されていることが表される。図5中、「**」は、2元配置分散分析(Two−way ANOVA)に続くボンフェローニテストにおいてp<0.01で対照群に対して有意差があることを示し、「***」はp<0.001で対照群に対して有意差があることを示し、「****」はp<0.0001で対照群に対して有意差があることを示す。
図5に示される結果の通り、対照群に比べ、魚肉改質剤投与群では、血合肉の暗色化や褐変が有意に抑制されていることが明らかにされた。
(4)過酸化脂質測定
魚肉の血合肉の褐変の原因としては、血合肉に含まれるミオグロビンが酸化されてメトミオグロビンに変化することの他、酸化による脂質から過酸化脂質への変化がある。そこで、TBA(チオバルビツール酸)比色法により、血合肉中の過酸化脂質を測定した。
具体的には、4℃での静置開始から0,24,48および96時間後に、各切身から血合肉試料を採取し、チューブ中、−80℃で測定時まで保存した。測定は、TBARS assay kit(Cayman社製)を用いて行った。結果を図6に示す。図6中、「***」は、2元配置分散分析(Two−way ANOVA)に続くボンフェローニテストにおいてp<0.001で対照群に対して有意差があることを示し、「****」はp<0.0001で対照群に対して有意差があることを示す。
図6に示される結果の通り、対照群では褐変の原因となる過酸化脂質が経時的に増加するのに対して、魚肉改質剤投与群では過酸化脂質の生成が有意に抑制されることが実証された。このように本発明方法によれば、フィレの状態でも魚肉全体に改質剤を簡便に行き渡らせることが可能であり、魚肉改質剤の効果を有効に発揮せしめることができる。

Claims (8)

  1. 魚肉製品を製造する方法であって、
    魚体の二次循環系に魚肉改質剤を注入する工程を含むことを特徴とする方法。
  2. 上記魚体がセンターカットまたはフィレである請求項1に記載の方法。
  3. 上記魚体が、ブリ、ハマチ、マグロおよびタイから選択される1以上の魚種の魚体である請求項1または2に記載の方法。
  4. 上記魚肉改質剤が抗酸化剤を含む請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 上記抗酸化剤がビタミンCおよび/またはビタミンEを含む請求項4に記載の方法。
  6. 上記魚肉改質剤が香料を含む請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 上記魚肉改質剤が栄養補助成分を含む請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 上記魚肉改質剤が柑橘類の果汁を含む請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
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