JP2012134071A - 有機電界発光素子の製造方法及び有機電界発光素子 - Google Patents

有機電界発光素子の製造方法及び有機電界発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】容易にコントラストをつけることができ、かつ製造コストを下げることができると同時に、パターン化に用いる有機電界発光素子として正孔注入層にアリールアミン骨格を有する化合物以外の材料をも適用することが可能であり、材料選択の幅を広げることができる有機電界発光素子の製造方法。
【解決手段】窒素ガス及び希ガスのいずれかを含むガス雰囲気下で陽極を表面処理する表面処理工程と、前記表面処理工程により表面処理された陽極上に少なくとも正孔注入層と発光層とを含む有機電界発光素子を作製する有機電界発光素子作製工程と、有機電界発光素子の発光面の少なくとも一部に電磁波を照射して輝度を変化させる電磁波照射工程とを含むことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機電界発光素子の製造方法及び有機電界発光素子に関する。
有機電界発光素子は、面発光が可能であることから、次世代のディスプレイ、照明デバイス、バックライトとして期待されている。有機電界発光素子を用いたディスプレイに文字乃至画像の発光パターンを表示するためには、電極若しくは有機電界発光素子を表示パターン状に加工して発光させる方法、又は電極をマトリックス状に加工して駆動回路を用いて発光表示させる方法が用いられている。前者の方法と後者の方法とは、有機電界発光素子の使用目的、製造コストなどに応じて使い分けられるが、例えば、前者では、特定のパターンしか表示できないものの、パターニングに伴う高度な微細加工技術、並びに複雑な配線及び駆動回路が不要であり、低コストで発光性の広告、固定表示装置などを作製することができる。
有機電界発光素子を表示パターン状に加工する方法としては、有機電界発光素子に電磁波を照射(以下、「露光」乃至「光照射」ともいう)することで、部分的に駆動電圧(以下、「発光開始電圧」ともいう)を上昇させ、発光輝度を低下させる方法がいくつか提案されている。
例えば、紫外線を発光材料からなる発光層に照射し、該照射部分を非発光領域とする有機電界発光素子のパターン化方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、アリールアミンを含有する少なくとも一層のホール輸送層及び電子輸送性発光層を有する積層型有機電界発光素子を製造する方法において、ホール輸送層を電磁波照射により特性を変化させて、有機電界発光素子の発光部の明るさを部分的に、かつ任意に調整することが提案されている(特許文献2参照)。
これらの提案では、発光効率がよく、かつ簡便にパターン化ができ、かつ発光部の明るさを部分的に任意に調整できる有機電界発光素子を製造することができる。
しかしながら、パターン形成に用いられる有機電界発光素子は、一度に大量生産され、必要に応じてパターンを露光して使用することが想定されるのに対し、これらの提案では、正孔注入層を形成した後に電磁波照射を行い、残りの層を形成する必要があり、このようにそれぞれの有機電界発光素子を製造の途中で電磁波照射する場合には、製造効率が低下するという問題があった。
また、前述のように一度に大量生産された有機電界発光素子に対してパターンを形成する場合には、有機電界発光素子の電磁波に対する感受性を更に高めて、露光時間を減少させることが、製造コストを下げ、商品価値を高めることになるが、これらの提案では、このような場合にパターン形成を容易にする有機電界発光素子の製造については、記載も示唆もされていない。
更に、露光により駆動電圧が上昇する有機電界発光素子では、正孔注入層の材料が重要であることがわかっており、前記提案で使用されているアリールアミン骨格を有する材料を正孔注入層に用いた場合には、電磁波照射で駆動電圧を容易に上昇させることができ、その部分に流れる電流を減らすことができるが、有機電界発光素子の正孔注入層の材料として一般的に知られる銅フタロシアニン(CuPc)乃至イリジウム錯体を正孔注入層に用いた有機電界発光素子では、電磁波照射を行ってもほとんど駆動電圧が上昇せず、パターン形成に用いる有機電界発光素子としては、使用することができないという問題があった。
一方、有機電界発光素子の製造においては、有機電界発光素子を構成する電極(例えば、ITO膜)の表面処理として、酸素プラズマ処理やUV−オゾン処理を行うことが一般的であり、これらの処理によって電極上の有機物を分解洗浄し、電極上の有機膜におけるHOMO準位との障壁をなくして駆動電圧を下げられることが知られている。また、酸素ガスを用いた電極の表面処理では、必ずしも十分な耐久性をもつ素子が得られないという問題があり、前記問題を解決するため、窒素ガス、アルゴンガス等の酸素を含まないガスを用いた表面処理の方法が提案されている。
例えば、20eV〜100eVのエネルギー範囲にある不活性ガスにより正イオンを、ITO膜に照射して表面改質を行うことが提案されている(特許文献3参照)。
また、陽極と陰極の間に、有機発光体を含有する有機発光層が設けられている有機電界発光素子において、前記陽極の表面部中に、窒素、イオウ、セレン、テルル、リン及びハロゲン元素より選ばれた少なくとも1種の元素をプラズマ化して前記陽極の表面を処理することが提案されている(特許文献4参照)。
しかしながら、これらの提案においては、有機電界発光素子の耐久性を向上させるという課題の解決手段として、特定のガスを用いて表面処理を行うものであり、特定のガスを用いて陽極を表面処理することによって、有機電界発光素子の電磁波に対する感受性を上昇させ、より短時間の電磁波照射でコントラストをつけることが可能であることについては、記載も示唆もされていない。
したがって、より容易に発光パターンを形成でき、より効率的にコントラストをつけることができる有機電界発光素子の製造方法及び有機電界発光素子としては、未だ満足できるものが得られておらず、しかも、アリールアミン骨格を有する化合物以外の正孔注入層材料は、パターン形成に用いる有機電界発光素子の正孔注入層材料として使用できないのというのが現状である。
特許第2793373号公報 特許第3599077号公報 特開2000−133064号公報 特開2000−348868号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、容易にコントラストをつけることができ、かつ製造コストを下げることができると同時に、パターン化に用いる有機電界発光素子として正孔注入層にアリールアミン骨格を有する化合物以外の材料をも適用することが可能であり、材料選択の幅を広げることができる有機電界発光素子の製造方法及び有機電界発光素子を提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的を達成するため、鋭意検討を行った結果、(1)正孔注入層の材料によって電磁波照射に対する感光性に違いがあること、及び(2)陽極を酸素ガスを用いて表面処理した場合に比べて、窒素ガス又は希ガスを用いて表面処理した場合には、電磁波露光による駆動電圧の上昇が顕著になることの知見を得た。
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 窒素ガス及び希ガスの少なくともいずれかを含むガス雰囲気下で陽極を表面処理する表面処理工程と、
前記表面処理された陽極上に少なくとも正孔注入層と発光層とを含む有機電界発光素子を作製する有機電界発光素子作製工程と、
有機電界発光素子の発光面の少なくとも一部に電磁波を照射して前記発光面の輝度を変化させる電磁波照射工程と、
を含むことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法である。
<2> 表面処理が、プラズマ処理である前記<1>に記載の有機電界発光素子の製造方法である。
<3> 表面処理が、紫外線照射処理である前記<1>に記載の有機電界発光素子の製造方法である。
<4> 正孔注入層が、アリールアミン骨格を有する化合物を含む前記<1>から<3>に記載の有機電界発光素子の製造方法である。
<5> 正孔注入層が、電子受容性化合物を含み、
前記電子受容性化合物の含有量が、前記正孔注入層の厚み方向に分布を有する前記<1>から<4>に記載の有機電界発光素子の製造方法である。
<6> 前記正孔注入層が単層構造であり、かつ厚み方向に前記電子受容性化合物を含む部分と含まない部分とを有する前記<1>から<4>に記載の有機電界発光素子の製造方法である。
<7> 電子受容性化合物を含む部分が、少なくとも正孔注入層の陽極に接する前記<6>に記載の有機電界発光素子の製造方法である。
<8> 電子受容性化合物を含む部分の平均厚みが、20nm以下である前記<6>から<7>のいずれかに記載の有機電界発光素子の製造方法である。
<9> 前記正孔注入層が多層構造であり、かつ厚み方向に前記電子受容性化合物を含む層と含まない層とを積層してなる前記<1>から<4>に記載の有機電界発光素子の製造方法である。
<10> 電子受容性化合物を含む層が、少なくとも正孔注入層の陽極に接する前記<9>に記載の有機電界発光素子の製造方法である。
<11> 電子受容性化合物を含む層の平均厚みが、20nm以下である前記<9>から<10>のいずれかに記載の有機電界発光素子の製造方法である。
<12> 前記<1>から<11>のいずれかに記載の有機電界発光素子の製造方法により製造されることを特徴とする有機電界発光素子である。
<13> 発光面上に電磁波照射工程で照射した波長の電磁波を吸収する層を更に有する前記<12>に記載の有機電界発光素子である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、容易にコントラストをつけることができ、かつ製造コストを下げることができると同時に、パターン化に用いる有機電界発光素子として正孔注入層にアリールアミン骨格を有する化合物以外の材料をも適用することが可能であり、材料選択の幅を広げることができる有機電界発光素子の製造方法及び有機電界発光素子を提供することができる。
図1は、本発明の実施例1における電磁波照射前後の電圧−輝度特性を示すグラフである。 図2は、本発明の実施例5における電磁波照射前後の電圧−輝度特性を示すグラフである。
(有機電界発光素子の製造方法)
本発明の有機電界発光素子の製造方法は、少なくとも、表面処理工程と、有機電界発光素子作製工程と、電磁波照射工程とを含んでなり、必要に応じて、その他の工程を含む。
前記有機電界発光素子は、一対の電極、即ち陽極と陰極と、両電極の間に発光層と正孔注入層とを含む有機層を有し、目的に応じてその他の層を有していてもよい。
前記有機層は、少なくとも発光層と正孔注入層とを有し、更に必要に応じて、正孔輸送層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、電子注入層などを有していてもよい。
前記有機電界発光素子は、前記陽極上に正孔注入層を設けた積層構成を有する。該積層構成と発光層との間に前記正孔輸送層を有することが好ましく、前記陰極と前記発光層との間に前記電子輸送層を有することが好ましい。また、前記電子輸送層と前記陰極との間に前記電子注入層を設けてもよい。更に、前記発光層と前記正孔輸送層との間に正孔輸送性中間層(電子ブロック層)を設けてもよく、前記発光層と前記電子輸送層との間に電子輸送性中間層(正孔ブロック層)を設けてもよい。各有機層は複数の二次層に分かれていてもよい。
前記発光層を含む各有機層は、公知の方法に従って形成することができるが、例えば、蒸着法、スパッタ法等の乾式製膜法、湿式塗布方式、転写法、印刷法、インクジェット方式などにより好適に形成することができる。
<表面処理工程>
前記表面処理工程は、窒素ガス及び希ガスの少なくともいずれかを含むガス雰囲気下で陽極を表面処理する工程である。前記表面処理を行なわない有機電界発光素子は耐久性に劣ることは公知であり、表面処理は、有機電界発光素子の耐久性を向上させる目的で行われる。本発明では、窒素ガス及び希ガスの少なくともいずれかを含むガス雰囲気下で表面処理を行う本工程を含むことにより、後述する電磁波露光による駆動電圧の上昇が顕著になるという効果が得られる。
−陽極−
前記陽極を構成する材料としては、例えば、アンチモンやフッ素などをドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物;金、銀、クロム、ニッケル等の金属;これらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物;ヨウ化銅、硫化銅等の無機導電性物質;ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の有機導電性材料、これらと導電性金属酸化物との積層物などが挙げられる。これらの中でも、導電性金属酸化物が好ましく、生産性、高導電性、透明性等の観点から、ITOが特に好ましい。
前記陽極の形成方法については、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができ、例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式;真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式;CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などが挙げられる。これらの中から、前記陽極を構成する材料との適性を考慮し、適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができ、例えば、陽極の材料としてITOを選択する場合には、直流又は高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などによって形成することができる。なお、後述する陰極の材料として金属などを選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法などによって形成することができる。
なお、前記陽極を形成する際にパターニングを行う場合は、フォトリソグラフィー等による化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザー等による物理的エッチングによって行ってもよい。また、マスクを重ねて真空蒸、スパッタなどによって行ってもよいし、リフトオフ法乃至印刷法によって行ってもよい。
−窒素ガス及び希ガスの少なくともいずれかを含むガス−
前記のようにして形成された陽極に対して、前記窒素ガス及び希ガスの少なくともいずれかを含むガスを用いて表面処理を行う。前記窒素ガス乃至希ガスを処理ガスとして表面処理を行なうことで、全く同じ素子構成でも電磁波露光による電圧上昇が顕著となり、短時間で露光できる素子とすることができる。
前記希ガスには、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、ウンウンオクチウムが含まれるが、これらの中でも、アルゴンが低コストである点で好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記窒素ガス及び希ガスは、酸素などのその他のガスと混合して使用してもよいが、その場合の窒素ガス乃至希ガスの含有量としては、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、40質量%以上が特に好ましい。前記含有量が、10質量%未満であると、露光時の電圧上昇を顕著にする効果が得られないことがある。
−表面処理−
前記表面処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラズマ処理、イオンビームスパッタリング等の各種スパッタリング、紫外線照射処理、ラジカルビーム処理など、公知の表面処理方法を挙げられる。これらの中でも、短時間で処理でき、さまざまなガス雰囲気下で行なうことができる点で、プラズマ処理及び紫外線照射処理が好ましい。
前記プラズマ処理としては、前記窒素ガス又は前記希ガスをプラズマ化して基板表面を処理できれば装置、条件などは適宜選択できるが、プラズマ化したガスによって電極表面の凹凸が大きくならない条件で行なうことが必要である。電極表面の凹凸が処理前に比較して大きくなるような条件は好ましくなく、有機電界発光素子にした際に電極間のショートが発生しやすくなる可能性がある。
前記紫外線処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、紫外線の波長としては、10nm〜400nmが好ましい。紫外線の具体的な光源としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、水素(重水素)ランプ、希ガス(例えば、キセノン、アルゴン、ヘリウム、ネオン等)放電ランプ、窒素レーザー、エキシマレーザー(例えば、XeCl、XeF、KrF、KrCl等)、水素レーザー、ハロゲンレーザー、各種可視−赤外レーザーの高調波などが挙げられる。
<有機電界発光素子作製工程>
前記有機電界発光素子作製工程は、前記表面処理工程により表面処理された陽極の表面に正孔注入層と発光層とを形成する工程であり、該工程により陽極と正孔注入層と発光層とからなる積層構成が形成される。
前記有機電界発光素子作製工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、大気に暴露させると、酸素が吸着する可能性があるため、前記ガスによる表面処理の後、大気に暴露せずに上記の各層を形成することが好ましい。
<<正孔注入層>>
前記正孔注入層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。前記正孔注入層は、単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
前記正孔注入材料としては、低分子化合物であってもよく、高分子化合物であってもよく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ピロール誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、チオフェン誘導体、有機シラン誘導体、カーボンなどが挙げられる。これらの中でも、アリールアミン骨格を有する材料を正孔注入層に用いた有機電界発光素子で電磁波露光により駆動電圧が上昇しやすくなる点で、アリールアミン誘導体が好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記正孔注入層の形成方法としては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができるが、例えば、蒸着法、スパッタ法等の乾式製膜法、湿式塗布方式、転写法、印刷法、インクジェット方式などにより好適に形成することができる。
本発明に用いることができる正孔注入材料の具体例として、以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
前記正孔注入層は、pドープされていてもよく、具体的には電子受容性化合物を含有する。
前記pドープされた正孔注入層は、正孔注入材料と、電子受容性化合物を共蒸着することで形成することができる。
前記電子受容性化合物としては、電子受容性で有機化合物を酸化する性質を有すれば、無機化合物でもよく、有機化合物でもよい。
前記無機化合物としては、例えば、塩化第二鉄、塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、五塩化アンチモン等のハロゲン化金属;五酸化バナジウム、三酸化モリブデン等の金属酸化物などが挙げられる。
前記有機化合物としては、例えば、置換基としてニトロ基、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基等を有する化合物;キノン系化合物、酸無水物系化合物、フラーレンなどが挙げられる。
これらの電子受容性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電子受容性化合物の含有量としては、材料の種類によって異なり、一義的には決定できないが、正孔注入層材料に対して、0.01質量%〜50質量%が好ましく、0.05質量%〜20質量%がより好ましく、0.1質量%〜10質量%が特に好ましい。
前記含有量が、前記好ましい範囲内であると、正孔注入層内のキャリヤ数が増加するために正孔注入性、輸送性が改善する。一方、前記含有量が50質量%を超えると、逆にキャリヤ数が減少したりして結果的に正孔注入性、輸送性が低下する可能性があり、好ましくない。
前記正孔注入層が前記電子受容性化合物を含む場合において、前記電子受容性化合物が前記正孔注入層の全域にドープされていると、電磁波露光しても駆動電圧が上昇しない素子となってしまうため、前記正孔注入層の厚み方向の一部に電子受容性化合物を含む、つまり、前記電子受容性化合物の含有量が、前記正孔注入層の厚み方向に分布を有することが好ましい。
前記含有量の分布としては、例えば、前記正孔注入層が単層であり、前記層の厚み方向で前記電子受容性化合物を含む部分と含まない部分とを有してもよいし、前記正孔注入層が多層積層してなり、前記電子受容性化合物を含む層と含まない層とを有してもよい。
前記正孔注入層における前記電子受容性化合物を含む中の部分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも正孔注入層の陽極に接することが好ましい。陽極の近傍に前記電子受容性化合物を含有させることで、素子面内に意図しない輝度ムラが発生することを抑制でき、かつ電磁波露光が可能な素子とすることができる。
前記正孔注入層における前記電子受容性化合物を含む部分の平均厚みとしては、前記正孔注入層の全域に亘らない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20nm以下が好ましい。前記平均厚みが、20nmを超えると、電磁波露光による駆動電圧の上昇が生じ難くなる。
<<発光層>>
前記発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、及び電子輸送層のいずれかから電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
前記発光層は、発光材料を含む。該発光層は発光材料のみで構成されていてもよいし、ホスト材料と発光材料の混合層でもよい(後者の場合、発光材料を「発光性ドーパント」もしくは「ドーパント」と称する場合がある)。
更に、前記発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいてもよい。
前記発光層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2nm〜500nmが好ましく、外部量子効率の観点から、3nm〜200nmがより好ましく、5nm〜100nmが特に好ましい。
また、前記発光層は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。
−発光材料−
前記発光材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、蛍光発光材料であってもよいし、燐光発光材料であってもよい。また、これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記発光性ドーパントは、ホスト化合物との間で、イオン化ポテンシャルの差(ΔIp)と電子親和力の差(ΔEa)が、1.2eV>ΔIp>0.2eV、及び/又は1.2eV>ΔEa>0.2eVの関係を満たすドーパントであることが、駆動耐久性の観点で好ましい。
前記発光層中の発光性ドーパントの含有量は、発光層中に一般的に発光層を形成する全化合物質量に対して、0.1質量%〜50質量%が好ましく、耐久性、外部量子効率の観点から1質量%〜50質量%がより好ましく、2質量%〜40質量%が特に好ましい。
−−燐光発光材料−−
前記燐光発光材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、遷移金属原子又はランタノイド原子を含む錯体、などが挙げられる。
前記遷移金属原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、金、銀、銅、白金などが挙げられる。これらの中でも、レニウム、イリジウム、白金が好ましく、イリジウム、白金が特に好ましい。
前記錯体の配位子としては、例えば、G.Wilkinson等著,Comprehensive Coordination Chemistry, Pergamon Press社1987年発行、H.Yersin著,「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」 Springer−Verlag社1987年発行、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社1982年発行等に記載の配位子などが挙げられる。
前記錯体は、化合物中に遷移金属原子を1つ有してもよいし、2つ以上有するいわゆる複核錯体であってもよい。なお、異種の金属原子を同時に含有していてもよい。
前記燐光発光材料としては、例えば、米国特許第6303238号明細書、米国特許第6097147号明細書、WO00/57676号パンフレット、WO00/70655号パンフレット、WO01/08230号パンフレット、WO01/39234号パンフレット、WO01/41512号パンフレット、WO02/02714号パンフレット、WO02/15645号パンフレット、WO02/44189号パンフレット、WO05/19373号パンフレット、WO2004/108857号パンフレット、WO2005/042444号パンフレット、WO2005/042550号パンフレット、特開2001−247859号公報、特開2002−302671号公報、特開2002−117978号公報、特開2003−133074号公報、特開2002−235076号公報、特開2003−123982号公報、特開2002−170684号公報、EP1211257号明細書、特開2002−226495号公報、特開2002−234894号公報、特開2001−247859号公報、特開2001−298470号公報、特開2002−173674号公報、特開2002−203678号公報、特開2002−203679号公報、特開2004−357791号公報、特開2006−93542号公報、特開2006−261623号公報、特開2006−256999号公報、特開2007−19462号公報、特開2007−84635号公報、特開2007−96259号公報等に記載の燐光発光化合物などが挙げられる。
これらの中でも、Ir錯体、Pt錯体、Cu錯体、Re錯体、W錯体、Rh錯体、Ru錯体、Pd錯体、Os錯体、Eu錯体、Tb錯体、Gd錯体、Dy錯体、Ce錯体が好ましく、Ir錯体、Pt錯体、Re錯体がより好ましく、金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含むIr錯体、Pt錯体、Re錯体が更に好ましく、発光効率、駆動耐久性、色度等の観点から、3座以上の多座配位子を含むIr錯体、Pt錯体、Re錯体が特に好ましい。
本発明に用いることができる燐光発光材料の具体例として、以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
−−蛍光発光材料−−
前記蛍光発光材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ピラン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、ピラリジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、シクロペンタジエン、スチリルアミン、芳香族ジメチリディン化合物、縮合多環芳香族化合物(例えば、アントラセン、フェナントロリン、ピレン、ペリレン、ルブレン、又はペンタセン等)、8−キノリノールの金属錯体;ピロメテン錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体;ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物;有機シラン、これらの誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−ホスト材料−
前記ホスト材料は、電荷輸送材料であることが好ましい。
前記電荷輸送材料としては、正孔輸送性に優れる正孔輸送性ホスト材料、及び電子輸送性に優れる電子輸送性ホスト材料を用いることができる。
−−正孔輸送性ホスト材料−−
前記正孔輸送性ホスト材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ピロール、インドール、カルバゾール、アザインドール、アザカルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、又はそれらの誘導体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、インドール誘導体、カルバゾール誘導体、芳香族第三級アミン化合物、チオフェン誘導体が好ましく、分子内にカルバゾール基を有するものがより好ましく、t−ブチル置換カルバゾール基を有する化合物が特に好ましい。
−−電子輸送性ホスト材料−−
前記電子輸送性ホスト材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物;フタロシアニン又はこれらの誘導体(他の環と縮合環を形成してもよい)、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体、メタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ル、ベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、耐久性の観点から、金属錯体化合物が好ましく、金属に配位する少なくとも1つの窒素原子又は酸素原子又は硫黄原子を有する配位子をもつ金属錯体がより好ましい。
前記金属錯体化合物としては、例えば、特開2002−235076号公報、特開2004−214179号公報、特開2004−221062号公報、特開2004−221065号公報、特開2004−221068号公報、特開2004−327313号公報等に記載の化合物などが挙げられる。
本発明に用いることができる正孔輸送性ホスト材料及び電子輸送性ホスト材料としては、以下の化合物、及びこれらの重水素化体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
<電磁波照射工程>
前記電磁波照射工程は、有機電界発光素子の発光面の少なくとも一部に電磁波を照射し、有機電界発光素子の発光面内の輝度を変化させる工程である。
電磁波照射により、露光部の素子特性が変化し、駆動電圧を上昇させることができるため、発光面の輝度を部分的に且つ任意の明るさに変化させることができる。また、前記電磁波照射により露光部と未露光部とで輝度の差、つまりコントラストをつけることができるため、有機電界発光の発光面に対して任意のパターン状に電磁波照射を行うことで、任意の輝度パターンを形成することが可能である。
本発明において用いる電磁波としては、真空波長にして10−17〜10m程度の範囲のものであり、γ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線などを包含する。これらの中でも、紫外線乃至可視光線が好ましい。
電磁波照射の装置としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、水素(重水素)ランプ、希ガス(キセノン、アルゴン、ヘリウム、ネオンなど)放電ランプ、窒素レーザー、エキシマレーザー(例えば、XeCl、XeF、KrF、KrClなど)、水素レーザー、ハロゲンレーザー、各種可視−赤外レーザーの高調波などが挙げられる。
前記有機電界発光素子に対する電磁波照射は、(ィ)全面に対して照射強度を変える場合(例えば、白黒ネガフィルムのような部分的に透過度の異なるフィルターを通して露光したり、微小な光源から発生する光の照射強度を変化させながら走査させるなど)或いは(ロ)マスキングにより部分的に照射する場合などがある。部分露光をする場合には、例えば、シャドウマスクを用いて密着露光したり、あるいは投影露光(レンズで集光した光、又は微小な光源から発生する光を用いて部分的に露光する、これにシャドウマスクを併用するなど)によって実施する。
前記電磁波量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1J/cm〜10,000J/cmが好ましく、5J/cm〜1,000J/cmがより好ましい。前記照射時間が、1J/cm未満であると、電圧上昇が不十分となり、露光部分と未露光部分とでコントラストがつけられないことがあり、10,000J/cmを超えると、駆動電圧の上昇にとどまらず、素子全体が劣化してしまうことがある。
<その他の工程>
本発明の有機電界発光素子の製造方法は、その他の工程として、前記正孔注入層上に、目的に応じて選択される、正孔輸送層、正孔輸送性中間層(電子ブロック層)、電子輸送性中間層(正孔ブロック層)、電子輸送層、及び電子注入層の各機能層、並びに陰極を配する工程を更に含んでもよい。
<<正孔輸送層>>
前記正孔輸送層は、前記正孔注入層とともに、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。
前記正孔輸送層としては、単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
前記正孔輸送層の材料及び含有される電子受容性化合物としては、前記正孔注入層と同様のものが挙げられる。
<<電子注入層、電子輸送層>>
前記電子注入層、及び電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。これらの層に用いる電子注入材料及び電子輸送材料としては、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよく、具体的には、ピリジン誘導体、キノリン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、フタラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、トリアジン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体及びメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾール乃至ベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、シロールに代表される有機シラン誘導体などが好ましい。
前記電子注入層及び電子輸送層には、電子供与性ドーパントを含有させることができる。
前記電子注入層及び電子輸送層に導入される電子供与性ドーパントとしては、電子供与性で有機化合物を還元する性質を有していればよく、Li等のアルカリ金属、Mg等のアルカリ土類金属、希土類金属を含む遷移金属、還元性有機化合物などが好適に用いられる。前記金属としては、特に仕事関数が4.2eV以下の金属が好適に使用でき、具体的には、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Cs、La、Sm、Gd、及びYbなどが挙げられる。また、還元性有機化合物としては、例えば、含窒素化合物、含硫黄化合物、含リン化合物などが挙げられる。
これらの電子供与性ドーパントは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電子供与性ドーパントの含有量としては、材料の種類によって異なるが、電子輸送層材料に対して0.1質量%〜99質量%であることが好ましく、1.0質量%〜80質量%であることが更に好ましく、2.0質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
前記電子注入層、及び前記電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
<<正孔ブロック層、電子ブロック層>>
前記正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が陰極側に通り抜けることを防止する機能を有する層であり、通常、発光層と陰極側で隣接する有機化合物層として設けられる。
前記電子ブロック層は、陰極側から発光層に輸送された電子が陽極側に通り抜けることを防止する機能を有する層であり、通常、発光層と陽極側で隣接する有機化合物層として設けられる。
前記正孔ブロック層を構成する化合物としては、例えば、BAlq等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、BCP等のフェナントロリン誘導体などが挙げられる。
前記電子ブロック層を構成する化合物としては、例えば、前述の正孔輸送材料として挙げたものが利用できる。
前記正孔ブロック層及び電子ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmが好ましく、5nm〜200nmがより好ましく、10nm〜100nmが特に好ましい。また正孔ブロック層及び電子ブロック層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
<<電極>>
前記有機電界発光素子は、一対の電極、即ち陽極と陰極とを含む。前記有機電界発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は透明であることが好ましい。通常、陽極は有機化合物層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、陰極は有機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよい。
前記電極としては、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、有機電界発光素子の用途、目的に応じて公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
前記電極を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの混合物等が好適に挙げられる。
−陽極−
陽極としては、本発明における、前記陽極と同様に形成する。
−陰極−
前記陰極を構成する材料としては、例えば、アルカリ金属(例えばLi、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(例えばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
これらの中でも、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
前記アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01質量%〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
前記陰極の形成方法及び前記陰極を形成する際のパターニングとしては、前記陽極と同様に行うことができる。
<<基板>>
前記有機電界発光素子は、基板上に設けられていることが好ましく、電極と基板とが直接接する形で設けられていてもよいし、中間層を介在する形で設けられていてもよい。
前記基板の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ガラス(無アルカリガラス、ソーダライムガラス等)等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料などが挙げられる。
前記基板の形状、構造、大きさなどについては、特に制限はなく、発光素子の用途、目的などに応じて適宜選択することができる。一般的には、前記基板の形状としては、板状であることが好ましい。前記基板の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2種以上の部材で形成されていてもよい。基板は透明でも不透明でもよく、透明な場合は無色透明でも有色透明でもよい。
前記基板には、その表面又は裏面に透湿防止層(ガスバリア層)を設けることができる。
前記透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、例えば、窒化珪素、酸化珪素等の無機物などが挙げられる。
前記透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
<<保護層>>
有機電界発光素子全体は保護層によって保護されていてもよい。
前記保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属;MgO、SiO、SiO、Al、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe、Y、TiO等の金属酸化物;SiNx、SiNxOy等の金属窒化物;MgF、LiF、AlF、CaF等の金属フッ化物;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質などが挙げられる。
前記保護層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、転写法などが挙げられる。
−封止容器−
前記有機電界発光素子は、封止容器を用いて素子全体が封止されていてもよい。更に、前記封止容器と有機電界発光素子の間の空間には、水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。
前記水分吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウムなどが挙げられる。
前記不活性液体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類;パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤;塩素系溶剤、シリコーンオイル類などが挙げられる。
−樹脂封止層−
前記有機電界発光素子は、大気からの酸素や水分による素子性能劣化を樹脂封止層により封止することで抑制することが好ましい。
前記樹脂封止層の樹脂素材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂、エステル系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、水分防止機能の観点から、エポキシ樹脂が特に好ましい。前記エポキシ樹脂の中でも熱硬化型エポキシ樹脂、又は光硬化型エポキシ樹脂が好ましい。
前記樹脂封止層の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂溶液を塗布する方法、樹脂シートを圧着又は熱圧着する方法、蒸着、スパッタリング等により乾式重合する方法などが挙げられる。
−封止接着剤−
前記有機電界発光素子に用いられる封止接着剤は、端部よりの水分や酸素の侵入を防止する機能を有する。
前記封止接着剤の材料としては、前記樹脂封止層で用いる材料と同じものを用いることができる。これらの中でも、水分防止の点からエポキシ系の接着剤が好ましく、光硬化型接着剤あるいは熱硬化型接着剤が特に好ましい。
前記封止接着剤にフィラーを添加することも好ましい。前記フィラーとしては、例えばSiO、SiO(酸化ケイ素)、SiON(酸窒化ケイ素)、SiN(窒化ケイ素)等の無機材料が好ましい。該フィラーの添加により、封止接着剤の粘度が上昇し、加工適正が向上し、及び耐湿性が向上する。
前記封止接着剤は、乾燥剤を含有してもよい。前記乾燥剤としては、例えば酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、などが挙げられる。前記乾燥剤の添加量は、前記封止接着剤に対し0.01質量%〜20質量%が好ましく、0.05質量%〜15質量%がより好ましい。前記添加量が、0.01質量%未満であると、乾燥剤の添加効果が薄れることになり、20質量%を超えると、封止接着剤中に乾燥剤を均一分散させることが困難になることがある。
本発明においては、前期乾燥剤の入った封止接着剤をディスペンサー等により任意量塗布し、塗布後第2基板を重ねて、硬化させることにより封止することができる。
−駆動−
前記有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常、2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
前記有機電界発光素子は、薄膜トランジスタ(TFT)によりアクティブマトリックスへ適用することができる。薄膜トランジスタの活性層としてアモルファスシリコン、高温ポリシリコン、低温ポリシリコン、微結晶シリコン、酸化物半導体、有機半導体、カーボンナノチューブ等を適用することができる。
前記有機電界発光素子は、例えばWO2005/088726号パンフレット、特開2006−165529号公報、米国特許出願公開2008/0237598A1明細書などに記載の薄膜トランジスタを適用することができる。
前記有機電界発光素子は、特に制限はなく、種々の公知の工夫により、光取り出し効率を向上させることができる。例えば、基板表面形状を加工する(例えば、微細な凹凸パターンを形成する)こと、基板、ITO層、有機層の屈折率を制御すること、基板、ITO層、有機層の膜厚を制御することなどにより、光の取り出し効率を向上させ、外部量子効率を向上させることが可能である。
前記有機電界発光素子からの光取り出し方式は、トップエミッション方式であってもボトムエミッション方式であってもよい。
前記有機電界発光素子は、共振器構造を有してもよい。例えば、透明基板上に、屈折率の異なる複数の積層膜よりなる多層膜ミラー、透明又は半透明電極、発光層、及び金属電極を重ね合わせて有する。発光層で生じた光は多層膜ミラーと金属電極を反射板としてその間で反射を繰り返し共振する。
別の好ましい態様では、透明基板上に、透明又は半透明電極と金属電極がそれぞれ反射板として機能して、発光層で生じた光はその間で反射を繰り返し共振する。
共振構造を形成するためには、2つの反射板の有効屈折率、反射板間の各層の屈折率と厚みから決定される光路長を所望の共振波長の得るのに最適な値となるよう調整される。第1の態様の場合の計算式は、特開平9−180883号公報に記載されている。第2の態様の場合の計算式は、特開2004−127795号公報に記載されている。
−用途−
前記有機電界発光素子は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信等に好適に利用できる。
前記有機ELディスプレイをフルカラータイプのものとする方法としては、例えば「月刊ディスプレイ」、2000年9月号、33〜37ページに記載されているように、色の3原色(青色(B)、緑色(G)、赤色(R))に対応する光をそれぞれ発光する有機電界発光素子を基板上に配置する3色発光法、白色発光用の有機電界発光素子による白色発光をカラーフィルターを通して3原色に分ける白色法、青色発光用の有機電界発光素子による青色発光を蛍光色素層を通して赤色(R)及び緑色(G)に変換する色変換法などが知られている。また、上記方法により得られる異なる発光色の有機電界発光素子を複数組み合わせて用いることにより、所望の発光色の平面型光源を得ることができる。例えば、青色及び黄色の発光素子を組み合わせた白色発光光源、青色、緑色、赤色の発光素子を組み合わせた白色発光光源などが挙げられる。
(有機電界発光素子)
本発明の有機電界発光素子は、本発明の前記有機電界発光素子の製造方法により製造されてなる。
前記有機電界発光素子は、一対の電極、即ち陽極と陰極と、両電極の間に発光層と正孔注入層とを含む有機層を有し、更に必要に応じて、正孔輸送層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、電子注入層、などを有していてもよい。
前記有機電界発光素子は、陽極上に正孔注入層を設けた積層構造を有する。積層構造と発光層との間に正孔輸送層を有することが好ましく、陰極と発光層との間に電子輸送層を有することが好ましい。また、電子輸送層と陰極との間に電子注入層を設けてもよい。更に、発光層と正孔輸送層との間に正孔輸送性中間層(電子ブロック層)を設けてもよく、発光層と電子輸送層との間に電子輸送性中間層(正孔ブロック層)を設けてもよい。各有機層は複数の二次層に分かれていてもよい。
前記電極、発光層、正孔注入層を含む各有機層としては、本発明の前記有機電界発光素子の製造方法で述べた構成のすべてを適用することができる。
本発明の製造方法は、吸収層設置工程を更に含んでもよい。
前記電磁波照射工程により露光された有機電界発光素子は、その発光面上に、前記電磁波照射工程で照射した波長の電磁波を吸収する層を有してもよい。
前記電磁波照射工程において露光された有機電界発光素子は、照射された電磁波の波長に対し感受性が上昇するため、前記有機電界発光素子の発光面に外部からの特定の波長を含む光に曝された場合に輝度が低下してしまうことがある。そこで、意図しない露光を防止するため、電磁波照射工程で照射した波長の電磁波を吸収する層を有機電界発光素子の発光面上に設けることが好ましい。
前記電磁波を吸収する層としては、特に制限はなく、吸収する波長に応じて適宜選択することができ、例えば、フィルター、フィルムなどが挙げられる。
前記の層を設置する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機電界発光素子全体を包んでもよいし、有機電界発光素子の発光面を覆うように被せてもよい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<有機電界発光素子の作製>
100nm厚のITO付きガラス基板(基板厚み0.7mm、ジオマテック株式会社製スーパーフラットITO)を洗浄して十分に乾燥した後、ITO表面を、EXAM型プラズマクリーニング装置(神港精機株式会社製)を用いて基板の表面処理を行なった。処理ガスには、窒素ガスを用いた。前記表面処理の条件としては、高周波電源の出力を80W、ガス流量を70mL/min、処理時間を60秒間とした。また、処理中の圧力は、100Paとした。次いで、真空蒸着装置(トッキ株式会社製CM470)に基板を投入し、下記構造式で表されるCuPc(銅フタロシアニン)を40nm蒸着した。次いで、α−NPD〔N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン〕を10nm蒸着した。次いで、発光層として12質量%のIr(mppy)3〔トリス[2−(p−トリル)ピリジン]イリジウム(III)〕をドープしたCBP〔4,4'−ビス[9−ジカルバゾリル]−2,2'−ビフェニル〕を30nm、更にAlq3〔トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(III)〕を50nm蒸着した。蒸着レートは、いずれも0.2nm/sとした。次いで、LiF(フッ化リチウム)を1nm蒸着し、最後に陰極としてAl(アルミニウム)100nmを蒸着により積層した。LiFの蒸着レートは、0.02nm/sとし、Alの蒸着レートは、1nm/sとした。次に、封止ガラスを、UV硬化接着剤(ナガセケムテックス株式会社製XNR5516Z)を用いて接着し、発光面積が2mm×2mmの有機電界発光素子を得た。なお、蒸着速度及び各層厚みは、水晶振動子を用いて測定した。
最終的に得られた有機電界発光素子の構成は、陽極側から、ITO(100nm)/CuPc(40nm)/NPD(10nm)/12質量%Ir(mppy)3+CBP(30nm)/Alq3(50nm)/LiF(1nm)/Al(100nm)である。以下に、CuPc、NPD、CBP、Ir(mppy)3、Alq3の構造式を示す。
上記で得られた2mm角の発光面全体にキセノン水銀ランプからの電磁波(280mW/cm)を、10分間照射した。
<測定方法>
以下のようにして、得られた有機電界発光素子の輝度及び発光開始電圧について測定した。
−有機電界発光素子の輝度の測定−
電磁波照射前後の有機電界発光素子について、ケースレーインスツルメンツ社(Keithley Instruments Inc.)製ソースメジャーユニットSMU−1を用いて、直流電圧を素子に印加し、発光させた。その輝度を株式会社トプコン製SR−3を用いて測定した。電磁波照射による電圧−輝度特性の変化を図1に示す。
また、電磁波照射前後の電圧−輝度特性から10V印加時の輝度を比較した。結果を表1に示す。なお、電磁波照射前後における輝度変化率は、下記式(1)により求めた。
輝度変化率(%)=〔(電磁波未照射の輝度−電磁波照射後の輝度)/電磁波未照射の輝度〕×100 ・・・(1)
−駆動電圧の測定−
ケースレーインスツルメンツ社(Keithley Instruments Inc.)製ソースメジャーユニットSMU−1を用いて、直流電流を各素子に流して発光させた。このとき発光を開始するのに必要な電圧を駆動電圧(V)とした。
(比較例1)
実施例1において、電極の表面処理に用いるガスを窒素ガスから酸素ガスに変更した以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製し、評価を行った。
(実施例2)
実施例1において、正孔注入層の材料をCuPcからIr(mppy)3に変更したこと以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製し、評価を行った。
(比較例2)
実施例2において、電極の表面処理に用いるガスを窒素ガスから酸素ガスに変更した以外は、実施例2と同様にして有機電界発光素子を作製し、評価を行った。
(実施例3)
実施例1において、正孔注入層の材料をCuPcから下記構造式で表されるm−MTDATA〔4,4’,4’’−ニトリロトリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアニリン]〕に変更した以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製し、評価を行った。
(比較例3)
実施例3において、電極の表面処理に用いるガスを窒素ガスから酸素ガスに変更した以外は、実施例3と同様にして有機電界発光素子を作製し、評価を行った。
(実施例4)
実施例1において、正孔注入層の材料をCuPcから下記構造式で表されるDNTPD〔N,N'−ジフェニル−N,N’−ビス−[4−(フェニル−m-トリル−アミノ)−フェニル]−ビフェニル−4,4’−ジアミン〕に変更した以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製し、評価を行った。
(比較例4)
実施例4において、電極の表面処理に用いるガスを窒素ガスから酸素ガスに変更した以外は、実施例4と同様にして有機電界発光素子を作製し、評価を行った。
(実施例5)
実施例1において、正孔注入層の材料をCuPcから下記構造式で表される2−TNATA〔4,4’,4’’−トリス[N,N−(2−ナフチル)フェニルアミノ]トリフェニルアミン〕に変更した以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製し、評価を行った。なお、電磁波照射による電圧−輝度特性の変化を図2に示す。
(実施例6)
実施例5において、電極の表面処理に用いるガスを窒素ガスから窒素/酸素混合ガス(体積比率=1/1)に変更した以外は、実施例5と同様にして有機電界発光素子を作製し、評価を行った。
(実施例7)
実施例5において、電極の表面処理に用いるガスを窒素ガスからアルゴンガスに変更した以外は、実施例5と同様にして有機電界発光素子を作製し、評価を行った。
(実施例8)
実施例5において、電極の表面処理に用いるガスを窒素ガスからキセノンガスに変更した以外は、実施例5と同様にして有機電界発光素子を作製し、評価を行った。
(比較例5)
実施例5において、電極の表面処理に用いるガスを窒素ガスから酸素ガスに変更した以外は、実施例5と同様にして有機電界発光素子を作製し、評価を行った。
(実施例9)
実施例7において、電極の表面処理をプラズマ処理から20分間紫外線を照射する紫外線照射処理に変更した以外は、実施例5と同様にして有機電界発光素子を作製し、評価を行った。なお、紫外線照射は、有限会社ミズカプランニング製PL−16を用いてガスフロー量1L/min.の条件で行った。
(実施例10)
実施例9において、電極の表面処理に用いるガスを窒素ガスから窒素/酸素混合ガス(体積比率=8/2)に変更した以外は、実施例9と同様にして有機電界発光素子を作製し、評価を行った。
(比較例6)
実施例9において、電極の表面処理に用いるガスをアルゴンガスから酸素ガスに変更した以外は、実施例9と同様にして有機電界発光素子を作製し、評価を行った。
(実施例11)
実施例1において、ITOにCuPcを40nm蒸着させる代わりに、ITOに2−TNATAを35nm、ついで0.3質量%の下記構造式で表される電子受容性化合物(F4TCQN:2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン)をドープした2−TNATAを5nm蒸着させた以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製し、評価を行った。なお、電子受容性化合物がドープされた正孔注入層は、正孔注入材料と、電子受容性化合物を共蒸着することで形成した。2−TNATAの蒸着レートを0.5nm/sとし、F4TCNQの蒸着レートを0.0015nm/sとすることで電子受容性化合物の含有量を0.3質量%とした。
(比較例7)
実施例11において、電極の表面処理に用いるガスを窒素ガスから酸素ガスに変更した以外は、実施例11と同様にして有機電界発光素子を作製し、評価を行った。
(実施例12)
実施例11において、ITOに0.3質量%のF4TCQNをドープした2−TNATAを5nm、次いで2−TNATAを35nm蒸着させるように蒸着の順序を変更した以外は、実施例11と同様にして有機電界発光素子を作製し、評価を行った。
(比較例8)
実施例12において、電極の表面処理に用いるガスを窒素ガスから酸素ガスに変更した以外は、実施例12と同様にして有機電界発光素子を作製し、評価を行った。
(実施例13)
実施例1において、ITOにCuPcを40nm蒸着させる代わりに、ITOに0.3質量%のF4TCNQをドープした2−TNATAを40nm蒸着させ、電磁波の照射時間を10分から200分に変更した以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製し、評価を行った。
(比較例9)
実施例13において、電極の表面処理に用いるガスを窒素ガスから酸素ガスに変更した以外は、実施例13と同様にして有機電界発光素子を作製し、評価を行った。
(比較例10)
実施例1において、電極の表面処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製し、評価を行った。
(実施例14)
実施例5と同様にして有機電界発光素子を作製した。得られた素子に紫外線カットフィルター(富士フイルム株式会社製SC−42)を貼り付けて、1ヶ月間明所保管(蛍光灯下、1000ルクスの環境)した。保管前後の10V印加時の輝度を表2に示す。
(実施例15)
実施例5と同様にして有機電界発光素子を作製した。得られた素子を1ヶ月間明所保管(蛍光灯下、1000ルクスの環境)した。保管前後の10V印加時の輝度を表2に示す。
実施例1〜15及び比較例1〜10における上述の各種評価の結果を以下の表1及び2に示す。
図1から、CuPcを正孔注入層に含む有機電界発光素子において、電磁波照射により素子の駆動電圧が増大したことがわかる。10V印加時の輝度は、電磁波照射を行わなかった素子で450cd/m、10分間の電磁波照射を行った素子で200cd/mであった。また、10分間の電磁波照射により、等電圧駆動での輝度が0.31倍となった。
前記CuPcは、アリールアミン骨格を有する材料を用いた場合に比べ、発光開始電圧が低いことから、有機電界発光素子の正孔注入層材料として有用であるが、電磁波照射に対する感受性が低いため、発光パターンを電磁波で露光するための有機電界発光素子の正孔注入層材料としては、通常使用できないものと考えられてきた。しかし、窒素ガス乃至希ガスを陽極の表面処理ガスとして用いることで、CuPcもそのような有機電界発光素子の正孔注入層材料として十分に使用できることがわかる。
図2から、アリールアミン骨格を有する化合物である2−TNATAを正孔注入層に含む有機電界発光素子において、電磁波照射により素子の駆動電圧が増大したことがわかる。その増大率は、CuPcを正孔注入層材料として用いた場合よりも大きく、アリールアミン骨格を有する正孔注入層材料は、電磁波照射の感受性が高いことが分かる。
表1から分かるように、正孔注入層が同じ材料であれば、陽極の表面処理に窒素ガスや希ガスを用いることで、同じ電磁波照射量でも駆動電圧の上昇を大きくすることができ、すなわち、短時間の電磁波照射で大きなコントラストを得ることが可能な有機電界発光素子を製造することができた。また、正孔注入層にアリールアミン骨格を含むm−MTDATA、DNTPD、2−TNATAを用いることで、より短時間の電磁波照射で駆動電圧を変化させることが可能となり露光によりパターンを描く用途の有機電界発光素子として有利であることが分かった。
また、表1から電子受容性化合物を正孔注入層の全体に含有させた実施例13の素子は駆動電圧を上昇させるために非常に長時間の電磁波照射を要する素子であることがわかる。これに対して実施例11及び12では、部分的に電子受容性化合物を含有させることで有機電界発光素子の低電圧化を実現しつつ(10Vでの輝度が実施例5と比較して高い)、短時間で露光可能な素子となった。
比較例10から、陽極の表面処理を行なわない場合には、酸素ガスによる表面処理を行った場合に比べ、露光による駆動電圧は上昇し易いが、もともとの素子全体の駆動電圧が高く、電気効率が非常に低い素子となることが分かる。また、表面処理を行なわない有機電界発光素子が素子性能で劣ることは公知であり、露光の有無に関わらず、素子としての性能が非常に低くなる。
また、表2から分かるように、有機電界発光素子を製造した後にフィルターなどの特定の波長を吸収する層を素子の発光面上に設置することで、意図しない露光を防止することができる。
本発明の有機電界発光素子の製造方法により製造された有機電界発光素子は、短時間の電磁波照射でも効果的に照射部分の駆動電圧を上昇させることができるため、容易にコントラストをつけることができ、かつ製造コストを下げることが可能となる。
また、露光有機電界発光素子の正孔注入層にアリールアミン骨格を有する材料以外の材料をも用いることが可能となり、材料選択の幅を広げることができる。特にCuPc及びIr(mppy)3を用いた有機電界発光素子は、アリールアミン骨格を有する材料を用いた有機電界発光素子に比べて、駆動電圧が低いため、発光効率の点で有利である。

Claims (9)

  1. 窒素ガス及び希ガスの少なくともいずれかを含むガス雰囲気下で陽極を表面処理する表面処理工程と、
    前記表面処理された陽極上に少なくとも正孔注入層と発光層とを含む有機電界発光素子を作製する有機電界発光素子作製工程と、
    前記有機電界発光素子の発光面の少なくとも一部に電磁波を照射して前記発光面の輝度を変化させる電磁波照射工程と、
    を含むことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  2. 表面処理が、プラズマ処理である請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  3. 表面処理が、紫外線照射処理である請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  4. 正孔注入層が、アリールアミン骨格を有する化合物を含む請求項1から3のいずれかに記載の有機電界発光素子の製造方法。
  5. 正孔注入層が、電子受容性化合物を含み、
    前記電子受容性化合物の含有量が、前記正孔注入層の厚み方向に分布を有する請求項1から4のいずれかに記載の有機電界発光素子の製造方法。
  6. 電子受容性化合物を含む部分が、少なくとも正孔注入層の陽極に接する請求項5に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  7. 電子受容性化合物を含む部分の平均厚みが、20nm以下である請求項5から6のいずれかに記載の有機電界発光素子の製造方法。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の有機電界発光素子の製造方法により製造されることを特徴とする有機電界発光素子。
  9. 発光面上に電磁波照射工程で照射した波長の電磁波を吸収する層を更に有する請求項8に記載の有機電界発光素子。
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