JP2012133027A - エレクトロクロミックミラー - Google Patents

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Abstract

【課題】エレクトロクロミック層の着色異常や色ムラの発生が抑制されたエレクトロクロミックミラーを得る。
【解決手段】透明基板と、前記透明基板の厚さ方向一方の側に設けられた透明電極膜と、前記透明電極膜の厚さ方向一方の側で前記透明基板とは反対側に設けられ、酸化着色膜と固体電解質膜と還元着色膜とを含むエレクトロクロミック層と、前記エレクトロクロミック層の厚さ方向一方の側で前記透明電極膜とは反対側に設けられたアルミニウム膜とを備え、前記アルミニウム膜の膜厚が200nm以上である、エレクトロクロミックミラーである。
【選択図】図3

Description

本発明は、電圧を印加することにより反射率を可変できるエレクトロクロミックミラーに関し、特に全固体型エレクトロクロミックミラーに関する。
電圧の印加により可逆的な着色を発現する全固体型エレクトロクロミック素子及びミラーの技術が知られている。図1は、全固体型エレクトロクロミック素子あるいはミラーの従来例の概略を示す断面図である。図1を引用して説明すると、全固体型エレクトロクロミック素子1の基本構造は、ガラス基板などの透明基板2の上に、透明電極膜3/酸化着色膜8/固体電解質膜9/還元着色膜10/対向電極膜5を備えた構造である。エレクトロクロミックミラー1の構造も、基本的にはエレクトロクロミック素子1と同じであり、ただし対向電極膜5が反射膜をも兼ねる。なお、酸化着色膜8と還元着色膜10とは、積層順を互いに入れ替えてもよい。酸化着色膜8と固体電解質膜9と還元着色膜10とは、3層をあわせてエレクトロクロミック層4とも呼称される。
従来、エレクトロクロミックミラーの反射膜兼電極膜としては、アルミニウム、銀あるいはクロムなどからなる膜が提案されているが、実用上は、アルミニウムからなる膜を用いている。なぜならば、アルミニウムと銀以外の金属は反射率が低く、反射膜としての実用性に乏しい。また、銀は、酸化しにくい金属ではあるが、拡散しやすい金属であり、エレクトロクロミック層へと拡散してその機能を著しく低下させるため、実用性に乏しい。
一方、アルミニウムは、反射率が高く、銀ほどの拡散性がない。さらに、アルミニウムは、水やイオンを透過しにくい金属であり、例えば食品を湿気から保護するための包装材に適用されている。そのため、反射膜兼電極膜としてアルミニウムを使用した場合には、エレクトロクロミック層に水やイオンが侵入することを防ぐ効果も期待できる。
アルミニウム膜を反射膜として使用するには、膜厚は30nm以上あればよく、アルミ鏡においては通常30nm〜50nmである。エレクトロクロミックミラーを作製する場合には、アルミニウム膜の膜厚は従来100nm程度である。
全固体型エレクトロクロミック素子あるいはミラーの耐久性向上や性能安定化を目的に、樹脂またはイオン絶縁酸化膜で、エレクトロクロミック層を被覆する技術が開示されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特許文献1及び2に開示のエレクトロクロミック素子は、エレクトロクロミック層を樹脂で封止して、更に封止用ガラスで覆うことで、耐久性を持たせる技術である。
特許文献3に開示のエレクトロクロミックミラーは、特許文献1及び2における封止用樹脂を、水やイオンを透過しにくい樹脂に替えることで、封止用ガラスを廃止もしくはプラスチックフィルムに替える技術である。
特許文献4に開示のエレクトロクロミックミラーは、特許文献3における封止用樹脂を、イオン絶縁酸化膜(AlやTaからなる膜)に替えることで、更なる耐久性向上や性能安定化を図った技術である。
特開昭57−158622号公報 特開昭63−294536号公報 特開2000−002895号公報 特開2005−099606号公報
前述のとおり、エレクトロクロミックミラーに関する従来技術は、水やイオンの透過性の低い材料からなる膜によってエレクトロクロミック層を被覆することを、着色異常や色ムラの抑制策としていた。
しかしながら、過酷な環境下で使用されることもある車にエレクトロクロミックミラーが搭載された場合、水やイオンの透過性の低い材料からなる膜とはいえ、水やイオンの透過を抑制できない場合が考えられる。
また、従来技術は、着色異常や色ムラの原因が、エレクトロクロミック層に入り込む水やイオンであるとの前提の下に、水やイオンの透過性の低い材料からなる膜でエレクトロクロミック層を被覆し、着色異常や色ムラの低減を図ろうとしていた。しかし、着色異常や色ムラの原因が、外からミラー内に侵入する水やイオンによるものか定かではない。
そもそも、エレクトロクロミックミラーは、水やイオンを透過しにくいアルミニウムを反射膜兼電極膜として実用しており、アルミニウム膜のさらに外側を、アルミニウム膜よりも水やイオンを透過しやすい材料で被覆することが、真に着色異常と色ムラの対策になっているかは疑問である。
本発明者が行った実験では、水やイオンを直接エレクトロクロミック層に浸入させたときに着色異常が起こる結果を得られていない。例えば、基板上にエレクトロクロミック層のみの構成を有する試料を、水に浸けても、リチウムイオンを多量に含む電解液に浸けても、着色異常や色ムラは確認できなかった。
エレクトロクロミック層の着色に関連し、還元着色膜の構成物質として多用される酸化タングステン(WO)について、酸化タングステンを水素ガスで着色することができるという報告がなされている[Solar Energy Materials and Solar Cells, Volume54, Issues1-4, pp99-108 (13 July 1998) “Examination of the kinetics and performance of a catalytically switching (gasochromic) device” ]。
上記事実を考慮して、本発明は、エレクトロクロミック層の着色異常や色ムラの発生が抑制されたエレクトロクロミックミラーを得ることが目的である。
本発明は、透明基板と、前記透明基板の厚さ方向一方の側に設けられた透明電極膜と、前記透明電極膜の厚さ方向一方の側で前記透明基板とは反対側に設けられ、酸化着色膜と固体電解質膜と還元着色膜とを含むエレクトロクロミック層と、前記エレクトロクロミック層の厚さ方向一方の側で前記透明電極膜とは反対側に設けられたアルミニウム膜とを備え、前記アルミニウム膜の膜厚が200nm以上である、エレクトロクロミックミラーである。
本発明のエレクトロクロミックミラーにおいて、前記エレクトロクロミック層は、前記酸化着色膜と前記固体電解質膜と前記還元着色膜とが、前記透明電極膜に近い側から酸化着色膜、固体電解質膜、還元着色膜の順に積層されてなる層であることが好ましい。
本発明のエレクトロクロミックミラーにおいて、前記還元着色膜は、酸化タングステンおよび酸化モリブデンの少なくとも1種を含む膜であることが好ましい。
本発明のエレクトロクロミックミラーにおいて、前記酸化着色膜は、酸化イリジウム、酸化イリジウムと酸化スズとの混合物、または酸化ニッケルを含む膜であることが好ましい。
本発明のエレクトロクロミックミラーにおいて、前記固体電解質膜は、酸化タンタルまたは酸化ケイ素を含む膜であることが好ましい。
本発明によれば、エレクトロクロミック層の着色異常や色ムラの発生が抑制されたエレクトロクロミックミラーを得ることができる。
エレクトロクロミック素子あるいはミラーの従来例の概略を示す断面図である。 エレクトロクロミックミラーの着色異常や色ムラの発生メカニズムを説明する模式図である。 本発明のエレクトロクロミックミラーの構成例の概略を示す断面図である。 本発明の実施例に係る試料の概略を示す断面図である。 本発明の実施例に係る試料の分光反射率を示すグラフである。 本発明の実施例に係る試料の波長740nmにおける反射率を示すグラフである。 本発明の実施例に係る試料の分光反射率から求めた色度座標(x、y)をXYZ表色系色度図にあてはめた図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明のエレクトロクロミックミラーは、透明基板と、透明電極膜と、エレクトロクロミック層と、アルミニウム膜とを備え、透明基板の厚さ方向一方の側に、透明基板に近い側から順に、透明電極膜とエレクトロクロミック層とアルミニウム膜とが積層されてなる。前記エレクトロクロミック層は、酸化着色膜と固体電解質膜と還元着色膜とを含む。そして、本発明のエレクトロクロミックミラーは、前記アルミニウム膜の膜厚が200nm以上である。
エレクトロクロミックミラーを上記構成とすることで、エレクトロクロミック層の着色異常や色ムラの発生を抑制することができる。
本発明のエレクトロクロミックミラーは、エレクトロクロミック層の着色異常や色ムラの発生を抑制することができ、したがって、耐久性が高く、性能の信頼性も高い。
図3には、本発明のエレクトロクロミックミラーの構成の一例が、概略的な断面図により示されている。以下、図3に示される構成例を引用して、本発明を説明する。
図3に示されるエレクトロクロミックミラー101は、透明基板102と、透明基板102の厚さ方向一方の側に設けられた透明電極膜103と、透明電極膜103の厚さ方向一方の側で透明基板102とは反対側に設けられたエレクトロクロミック層104と、エレクトロクロミック層104の厚さ方向一方の側で透明電極膜103とは反対側に設けられたアルミニウム膜105とを備える。
エレクトロクロミック層104は、酸化着色膜108と固体電解質膜109と還元着色膜110とを含む。
透明電極膜103には、外部配線111が取り付けられ、アルミニウム膜105には、外部配線112が取り付けられる。外部配線111と外部配線112とは、スイッチや光センサー等の制御手段(不図示)を介して外部電源(不図示)に繋がり、電圧を透明電極膜103とアルミニウム膜105とに印加する。
透明基板102は、透明電極膜103と接していない側が、エレクトリックミラーのオモテ面側(光が入射する側)となる。透明基板102を構成する材料は、透明性(光透過性)を有するものであれば特に制限はない。例えば、ガラス(無機ガラス)や樹脂を挙げることができる。透明基板102は、その形状が平坦でもよく、所定の曲率で湾曲していてもよい。
透明電極膜103は、透明基板102の背面側(光が入射する側の反対側。以下同じ。)に透明基板102と接して形成されている。透明電極膜103は、例えば、インジウムやスズの酸化物を材料とする膜であり、通常ITO(酸化インジウムスズ)からなる膜である。
透明電極膜103の厚さには、特に制限はないが、光透過性と電極機能の両立の観点から、例えば、100nm〜200nmの範囲で設定することができる。
透明基板102上に、透明電極膜103を形成する方法としては、特に制限なく通常用いられる方法を適用することができる。例えば、蒸着法、スパッタリング法等を挙げることができる。
エレクトロクロミック層104は、透明電極膜103の背面側に透明電極膜103と接して形成されている。エレクトロクロミック層104は、電圧の印加により該層内でイオンの移動が生じ、可逆的な着色および消色、即ちエレクトロクロミズムを発現する。
図3に示した構成例においては、エレクトロクロミック層104は、透明電極膜103に近い側から順に、酸化着色膜108と固体電解質膜109と還元着色膜110とが積層されてなる。酸化着色膜108と還元着色膜110とは積層順を互いに入れ替えてもよいが、還元着色膜110がアルミニウム膜105と接する構成が好ましい。還元着色膜110がアルミニウム膜105と接する構成のとき、アルミニウム膜105の膜厚を200nm以上とすることで奏される効果が顕著である。
酸化着色膜108は、その構成物質の酸化により着色し、その後、還元により消色する膜である。酸化着色膜108は、例えば、イリジウム、ニッケル、クロム、バナジウム、ルテニウム、ロジウム、スズなどの酸化物、またはこれらの混合物を材料とする膜であり、中でも酸化イリジウム、酸化イリジウムと酸化スズとの混合物、または酸化ニッケルからなる膜であることが好ましい。
固体電解質膜109は、微量の水を含む膜であり、この水の電解により発生したイオン(H及びOH)が、酸化着色膜108と還元着色膜110の着色および消色に寄与する。固体電解質膜109は、例えば、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、イットリウム、ランタン、ケイ素などの酸化物、またはこれらの混合物を材料とする膜であり、中でも酸化タンタル、または酸化ケイ素からなる膜であることが好ましい。
還元着色膜110は、その構成物質の還元により着色し、その後、酸化により消色する膜である。還元着色膜110は、例えば、タングステン、モリブデン、マンガン、バナジウムなどの酸化物、またはこれらの混合物を材料とする膜であり、酸化タングステン、酸化モリブデン、または酸化タングステンと酸化モリブデンとの混合物からなる膜であることが好ましい。
エレクトロクロミック層104の厚さには、特に制限はなく、光透過性とエレクトロクロミズムの両立の観点から、例えば、酸化着色膜108を100nm〜300nmの範囲で設定し、固体電解質膜109を400nm〜700nmの範囲で設定し、還元着色膜110を400nm〜700nmの範囲で設定することができる。
透明基板102上に、酸化着色膜108、固体電解質膜109、及び還元着色膜110を形成する方法としては、特に制限なく通常用いられる方法を適用することができる。例えば、蒸着法、スパッタリング法等を挙げることができる。
アルミニウム膜105は、エレクトロクロミック層104の背面側にエレクトロクロミック層104と接して形成されており、膜厚が200nm以上である。
アルミニウム膜105は、アルミニウムからなる膜であり、材料のアルミニウムの純度は高いことが好ましく、純度100%が最も好ましいが、不可避的に混入する不純物は許容される。
本発明において、アルミニウム膜105の膜厚を200nm以上とする理由を、図2に示した模式図に沿って説明すると以下のとおりである。なお、以下に説明するメカニズムは推定であり、本発明は特定の理論に拘束されるものではない。
反射膜兼電極膜であるアルミニウム膜25のエレクトロクロミック層24と接していない側の表面は、ミラーの中に侵入してくる空気中の水に曝されやすく、前記表面およびその厚み方向近傍において、水によるアルミニウムの酸化反応が起こる。アルミニウムと水との反応を化学反応式で示すと、
2Al+3HO → Al+6H
または、
Al+3HO → Al(OH)+3H
である。
上記の反応により生成した水素は、アルミニウム膜25内を拡散し、酸化タングステン(WO)からなる還元着色膜30に到達し、WOと反応し、その結果、還元着色膜30が青く着色する。WOと水素との反応を化学反応式で示すと、
WO+xH → HWO
である。
上記の一連の化学反応がアルミニウム膜25と還元着色膜30において起こり、アルミニウム膜25を形成するアルミニウムの酸化が、還元着色膜30の着色異常として出現するものと推定される。アルミニウム膜25の前記表面およびその厚み方向近傍で所々にアルミニウムの酸化が起きたり、発生した水素の拡散が一様でない場合などには、還元着色膜30に色ムラが出現するものと考えられる。
したがって、アルミニウム膜25の膜厚を厚くすると、アルミニウム膜25の前記表面およびその厚み方向近傍で生成した水素が還元着色膜30に到達しにくくなり、還元着色膜30の着色異常の発生が抑えられるものと考えられる。また、着色異常の発生が抑えられることには、アルミニウム自体の水素蓄積能も寄与するものと推定される。
なお、ここでは、還元着色膜30が酸化タングステン(WO)からなる場合を例に説明したが、上記のメカニズムは、酸化モリブデン等のほかの還元着色材料で還元着色膜を形成した場合においても同じである。
本発明のエレクトロクロミックミラーにおいては、アルミニウム膜105の膜厚は、200nm以上であればよく、上限は特にない。アルミニウム膜105の膜厚を厚くすることによる着色異常の抑制効果は、膜厚300nm程度で飽和すると考えられ、また製造効率の観点からは厚くし過ぎないことが好ましいことから、アルミニウム膜105の膜厚は200nm〜300nmが好適な範囲である。
透明基板102上に、アルミニウム膜105を形成する方法としては、特に制限なく通常用いられる方法を適用することができる。例えば、蒸着法、スパッタリング法等を挙げることができる。蒸着法を適用する場合、アルミニウム膜105の厚さを200nm以上とすることは、蒸着時間を従来に比べて少し長くするだけで可能であり、従来の工法を大幅に変えることなく達成可能である。
アルミニウム膜105は、透明電極膜103とエレクトロクロミック層104と一緒に、樹脂などからなるシール層(不図示)で被覆され、該シール層と透明基板102とにより封止されていてもよい。アルミニウム膜105の酸化を抑制する観点からは、透明電極膜103とエレクトロクロミック層104とアルミニウム膜105とがシール層で被覆され、該シール層と透明基板102とにより封止されていることが好ましい。
透明電極膜103、酸化着色膜108、固体電解質膜109、還元着色膜110、アルミニウム膜105は、前述のとおり金属、金属酸化物、金属水酸化物、及びそれらの混合物を構成材料とするが、不可避的に混入する不純物は許容される。
本発明は、例えば、車両の後方確認用としてアウタミラーやインナミラーに用いられて、電圧を印加することにより反射率を変化させるミラーに好適である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
32mm×46mm×1.1mmのガラス基板上に、以下のようにして、還元着色膜とアルミニウム膜とを形成した。即ち、市販の真空蒸着装置を用いて、ガラス基板上に、酸化タングステン(WO)を蒸着し、連続してアルミニウムを蒸着した。WOからなる還元着色膜の厚さは、500nmとした。アルミニウム膜の厚さは、200nm、250nm、及び300nmとした。
図4に上記で得た試料の概略を示す断面図を示す。図4に示す試料201は、ガラス基板202の厚さ方向一方の側に、還元着色膜210を備え、還元着色膜210の厚さ方向一方の側でガラス基板202とは反対側に、アルミニウム膜205を備える。
(比較例1)
実施例1において、アルミニウム膜の厚さを50nm、100nm、及び150nmに替えた以外は実施例1と同様にして、ガラス基板上に酸化タングステン(WO)とアルミニウムを蒸着し、試料を得た。
−試料の評価−
実施例1及び比較例1で得た各試料について、作製後すぐに、ミノルタ株式会社製の分光測色計CM−3700dを用いて分光反射率を測定した。
図5に分光反射率を示す。図5において、各曲線の右に添えた数字は、試料のアルミニウム膜の膜厚を意味する。図5に明らかなとおり、アルミニウム膜の厚さ150nm以下の各試料は、長波長側の反射率が著しく低下していた。アルミニウム膜の厚さ200nm以上の各試料は、長波長側の反射率の低下がほとんどなかった。
図6に波長740nmでの反射率を示す。膜厚50nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nmの順に、反射率は、30.00%、47.29%、58.00%、64.75%、66.00%、67.00%であった。
アルミニウム膜の厚さ150nm以下の各試料において観察された長波長側の反射率の低下は、WOの着色分光特性と類似していた。
以上のことから、アルミニウム膜の表面およびその厚み方向近傍においてアルミニウムの酸化によって水素が発生し、水素がアルミニウム膜内を拡散してWO膜内に到達して、WOを還元し着色させているものと推定された。
アルミニウム膜の厚さ100nmの試料と200nmの試料について、図5に示した分光反射率から求めた色度座標(x、y)をXYZ表色系色度図にあてはめたのが図7である。厚さ200nmの試料は無彩色に近かったが、厚さ100nmの試料は青みがかっていた。
(参考例)
実施例1において、アルミニウムを銀またはロジウムに替えて、銀またはロジウムからなる膜を、WOからなる還元着色膜上に形成した。
実施例1と同様にして分光反射率を測定したところ、銀またはロジウムからなる膜の膜厚が薄いほど、長波長側の反射率が低下する現象は観察されなかった。
(実施例2)
<エレクトロクロミックミラーの作製>
市販の真空蒸着装置を用いて、110mm×170mm×1.1mmのガラス基板上に、ITOを蒸着し、厚さ150nmの透明電極膜を形成した。
次に、上記で得た透明電極膜上に、酸化イリジウムと酸化スズとの混合物(IrO−SnO)を蒸着し、厚さ180nmの酸化着色膜を形成した。
次に、上記で得た酸化着色膜上に、酸化タンタル(Ta)を蒸着し、厚さ600nmの固体電解質膜を形成した。
次に、上記で得た固体電解質膜上に、酸化タングステン(WO)を蒸着し、厚さ50nmの還元着色膜を形成した。
次に、上記で得た還元着色膜上に、アルミニウムを蒸着し、厚さ200nmのアルミニウム膜を形成した。
そして、透明電極膜とアルミニウム膜の端にそれぞれ外部配線を設置し、これらの外部配線をスイッチを介して外部電源に接続した。
このようにして、本発明のエレクトロクロミックミラーを得た。該エレクトロクロミックミラーは、良好なエレクトロクロミズムを発現し、反射率も良好であった。また、該エレクトロクロミックミラーは、作製直後および3カ月経過後において、着色異常や色ムラが観察されなかった。
1、21 エレクトロクロミック素子またはエレクトロクロミックミラー
2、22 透明基板
3、23 透明電極膜
4、24 エレクトロクロミック層
5、25 対向電極膜または反射膜兼電極膜
6 樹脂
7 封止用ガラス
8、28 酸化着色膜
9、29 固体電解質膜
10、30 還元着色膜
11 外部配線
12 外部配線
101 エレクトロクロミックミラー
102 透明基板
103 透明電極膜
104 エレクトロクロミック層
105 アルミニウム膜
108 酸化着色膜
109 固体電解質膜
110 還元着色膜
111 外部配線
112 外部配線
201 試料
202 ガラス基板
205 アルミニウム膜
210 還元着色膜

Claims (5)

  1. 透明基板と、
    前記透明基板の厚さ方向一方の側に設けられた透明電極膜と、
    前記透明電極膜の厚さ方向一方の側で前記透明基板とは反対側に設けられ、酸化着色膜と固体電解質膜と還元着色膜とを含むエレクトロクロミック層と、
    前記エレクトロクロミック層の厚さ方向一方の側で前記透明電極膜とは反対側に設けられたアルミニウム膜とを備え、
    前記アルミニウム膜の膜厚が200nm以上である、エレクトロクロミックミラー。
  2. 前記エレクトロクロミック層は、前記酸化着色膜と前記固体電解質膜と前記還元着色膜とが、前記透明電極膜に近い側から酸化着色膜、固体電解質膜、還元着色膜の順に積層されてなる層である、請求項1に記載のエレクトロクロミックミラー。
  3. 前記還元着色膜は、酸化タングステンおよび酸化モリブデンの少なくとも1種を含む、請求項1または請求項2に記載のエレクトロクロミックミラー。
  4. 前記酸化着色膜は、酸化イリジウム、酸化イリジウムと酸化スズとの混合物、または酸化ニッケルを含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のエレクトロクロミックミラー。
  5. 前記固体電解質膜は、酸化タンタルまたは酸化ケイ素を含む、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のエレクトロクロミックミラー。
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