JP2012145814A - エレクトロクロミックミラー - Google Patents

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Abstract

【課題】正負の電源を使わず、消色時により明るく着色時により暗い、即ち、反射率の変化幅が広い、全固体型エレクトロクロミックミラーを得る。
【解決手段】透明基板と、前記透明基板の厚さ方向一方の側に設けられた透明導電膜と、前記透明導電膜の厚さ方向一方の側で前記透明基板とは反対側に設けられ、前記透明導電膜と対になる電極膜とを備え、前記透明導電膜と前記電極膜との間に、下記(i)および(ii)のいずれかを備えたエレクトロクロミックミラーである。(i)前記透明導電膜に近い側から厚さ方向にこの順で積層された、還元着色膜、インジウム層、第一の固体電解質膜、および酸化還元膜。(ii)前記透明導電膜に近い側から厚さ方向にこの順で積層された、還元着色膜、第二の固体電解質膜、インジウム層、第一の固体電解質膜、および酸化還元膜。
【選択図】図4

Description

本発明は、電圧を印加することにより反射率を可変できるエレクトロクロミックミラーに関し、特に全固体型エレクトロクロミックミラーに関する。
電圧の印加により可逆的な着色を発現する全固体型エレクトロクロミックミラーの技術が知られている。図1は、全固体型エレクトロクロミックミラーの従来例の概略を示す断面図である。図1を引用して説明すると、全固体型エレクトロクロミックミラー1の基本構造は、ガラス基板などの透明基板2の上に、透明電極膜3/酸化着色膜4/固体電解質膜5/還元着色膜6/反射膜兼電極膜7を備えた構造である。なお、酸化着色膜4と還元着色膜6とは、積層順を互いに入れ替えてもよい。
特許文献1には、酸化着色膜4が水酸化ニッケル膜であり、固体電解質膜5が酸化タンタル膜であり、還元着色膜6が酸化タングステン膜であり、反射膜兼電極膜7がアルミニウム膜である、全固体型エレクトロクロミックミラーが開示されている。
非特許文献1には、特許文献1における水酸化ニッケル膜を、酸化イリジウムと酸化スズとの混合物の膜に替えた全固体型エレクトロクロミックミラーが開示されている。
全固体型エレクトロクロミックミラーにおいて、ミラーを着色させる働きをするのは主に還元着色膜である。図1に図示する形式のミラーにおいて、酸化着色膜は、それ自体がわずかに着色すると共に還元着色膜の着色を助け、ミラーの着色に寄与する。
特許文献1及び非特許文献1に開示のミラーにおいては、酸化着色膜である、水酸化ニッケル又は酸化イリジウムと酸化スズとの混合物の膜が、反射膜であるアルミニウム膜の前面にあり、ミラーの着色に寄与している。
しかし、水酸化ニッケル又は酸化イリジウムと酸化スズとの混合物の膜は、消色時に完全に透明な膜とはならず、そのために、消色時に明るいミラーを実現することが困難であった。この問題に対し、消色時に明るいミラーを実現するために酸化着色膜の膜厚を薄くすると、還元着色膜が十分に着色せず、着色時に暗いミラーが実現できない。還元着色膜を十分に着色させるためには、還元着色膜の還元を補償できるほどの体積(即ち厚さ)の酸化着色膜が必要だからである。
他方、エレクトロクロミックミラーを搭載する車の設計上は、0Vから一定の正電圧(例えば1.5V)の範囲でミラーの着色と消色が可能であれば、正負の電源を使わずに済み、制御系を単純かつ安価にできるという利益がある。ただし、図1に図示する形式のミラーにおいて、正負の電圧を印加せずミラーの着色と消色とを制御しようとすれば、酸化着色膜を厚くする必要があり、結果として消色時に明るいミラーを実現するのが困難となる。
さらには、図1に図示する形式のミラーは、還元着色膜と酸化着色膜の両方が着色するため、両者のバランスがよくないと、消色時に一方の着色膜の色が消えきれないという問題があった。この問題を起こさないためには、還元着色膜と酸化着色膜のバランスをよくする製造上の難しさがある。
特許文献2には、上記の全固体型エレクトロクロミックミラーとは異なる形式の全固体型エレクトロクロミックミラーが開示されている。図2が、特許文献2に開示のミラーの概略を示す断面図である。図2を引用して説明すると、特許文献2に開示のエレクトロクロミックミラー21は、透明基板22、透明電極層23、通電着色層24、固形水素イオン誘導層25、水素イオンを透過しうる反射板26、固形水素イオン誘導層27、水素イオン貯蔵層28、同時に電極として作用する触媒層29、封止用金属層30、接着剤31、止め板32を備える。
特許文献2に開示のミラーにおいて、通電着色層24は水素イオン貯蔵層28から供給される水素イオンによって着色する。反射板26は、水素イオンが透過可能な金属からなる膜であり、そのような金属として、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、及びそれらの混合物、又は、それらの金属と銀あるいは金の合金が従来知られている。
しかしながら、上記の水素イオンが透過可能な金属は反射率がそれほど高くなく、特許文献2に開示のミラーは、消色時に明るいミラーを実現することが難しい。
また、特許文献2に開示のミラーは、電圧の印加により、水素イオン貯蔵層28の水素イオンが通電着色層24に侵入することで着色し、逆極性の電圧の印加により、水素イオンが水素イオン貯蔵層28に戻ることで消色する仕組みであり、正負の電源を備えることが必要である。
特開昭63−23135号公報 特開平01−161224号公報
All-Solid Large-Area Variable Reflectance EC Mirror with a Compound Film of Iridium Oxide and Tin Oxide. Japan Display‘86 (Proceedings of 1986 International Display Research Conference), pp372-375.
前述のとおり、従来、正負の電源を使わずに、消色時により明るく着色時により暗い全固体型エレクトロクロミックミラーを得ることは困難であった。図1に図示する形式のミラーだと、片電源の場合、消色時の反射率が55%程度、着色時の反射率が15%程度であった。なお、ここでの反射率は、JIS Z8701「色の表示方法」に基づく表示方法を使い、JIS Z8720「測定用の標準の光及び標準光源」のD65光源での2度視野での反射率(JIS Z8701のY値)である。
上記事実を考慮して、本発明は、正負の電源を使わず、消色時により明るく着色時により暗い、即ち、反射率の変化幅が広い、全固体型エレクトロクロミックミラーを得ることが目的である。
本発明は、透明基板と、前記透明基板の厚さ方向一方の側に設けられた透明導電膜と、前記透明導電膜の厚さ方向一方の側で前記透明基板とは反対側に設けられ、前記透明導電膜と対になる電極膜とを備え、前記透明導電膜と前記電極膜との間に、下記(i)および(ii)のいずれかを備えたエレクトロクロミックミラーである。
(i)前記透明導電膜に近い側から厚さ方向にこの順で積層された、還元着色膜、インジウム層、第一の固体電解質膜、および酸化還元膜
(ii)前記透明導電膜に近い側から厚さ方向にこの順で積層された、還元着色膜、第二の固体電解質膜、インジウム層、第一の固体電解質膜、および酸化還元膜
本発明のエレクトロクロミックミラーにおいて、前記インジウム層は、島状組織または網状組織であることが好ましい。
本発明のエレクトロクロミックミラーにおいて、前記インジウム層は、厚さが100nm以下の範囲であることが好ましい。
本発明のエレクトロクロミックミラーにおいて、前記酸化還元膜は、酸化イリジウム、水酸化イリジウム、酸化イリジウムと酸化スズとの混合物、水酸化イリジウムと酸化スズとの混合物、酸化ニッケル、または水酸化ニッケルを含むことが好ましい。
本発明のエレクトロクロミックミラーにおいて、前記還元着色膜は、酸化タングステンを含み、膜厚が300nm以上1000nm以下の範囲であることが好ましい。
本発明のエレクトロクロミックミラーにおいて、前記第一の固体電解質膜および前記第二の固体電解質膜は、酸化タンタルを含み、両者の膜厚の合計が300nm以上1000nm以下の範囲であることが好ましい。本発明のエレクトロクロミックミラーが前記第二の固体電解質膜を有しない場合は、前記第一の固体電解質膜の膜厚が300nm以上1000nm以下の範囲であることが好ましい。
本発明によれば、正負の電源を使わず、消色時により明るく着色時により暗い、即ち、反射率の変化幅が広い、全固体型エレクトロクロミックミラーを得ることができる。
エレクトロクロミックミラーの従来例の概略を示す断面図である。 エレクトロクロミックミラーの別の従来例の概略を示す断面図である。 インジウムの膜厚と消色時の反射率との関係を示すグラフである。 本発明のエレクトロクロミックミラーの第一の構成例の概略を示す断面図である。 本発明のエレクトロクロミックミラーの第二の構成例の概略を示す断面図である。 本発明の実施例に係るエレクトロクロミックミラーの分光反射率を示すグラフである。 本発明の実施例に係るエレクトロクロミックミラーの分光反射率を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明のエレクトロクロミックミラーの第一の構成は、
透明基板と、透明導電膜と、還元着色膜と、インジウム層と、第一の固体電解質膜と、酸化還元膜と、電極膜とを備え、透明基板の厚さ方向一方の側に、透明基板に近い側から順に、透明導電膜、還元着色膜、インジウム層、第一の固体電解質膜、酸化還元膜、及び電極膜が積層されてなる。
本発明のエレクトロクロミックミラーの第二の構成は、
透明基板と、透明導電膜と、還元着色膜と、第二の固体電解質膜と、インジウム層と、第一の固体電解質膜と、酸化還元膜と、電極膜とを備え、透明基板の厚さ方向一方の側に、透明基板に近い側から順に、透明導電膜、還元着色膜、第二の固体電解質膜、インジウム層、第一の固体電解質膜、酸化還元膜、及び電極膜が積層されてなる。
エレクトロクロミックミラーを上記の第一の構成または第二の構成とすることで、正負の電源を使わず、消色時により明るく着色時により暗く、即ち、反射率の変化幅を広くすることができる。
本発明のエレクトロクロミックミラーにおいては、インジウム層がミラーの反射層である。エレクトロクロミックミラーにおいて、反射層の背面側(光が入射する側の反対側。以下同じ。)に設けられた層は、光透過性や着色性が要求されない。本発明において、インジウム層の背面側に設けられた、第一の固体電解質膜、酸化還元膜、及び電極膜は、光透過性や着色性が要求されず、その分、それぞれの構成材料や膜厚について選択の自由度が大きく、還元着色膜のエレクトロクロミズムの発現に好適な構成材料や膜厚を選択することができる。
本発明における酸化還元膜は、還元着色膜の着色時に酸化され、その後、還元着色膜の消色時に還元される膜で、還元着色膜の着色機能を補償する膜である。
本発明における酸化還元膜は、図1に図示する形式の全固体型エレクトロクロミックミラーにおける酸化着色膜4に相当する膜であるが、反射層の背面側にあるので、光透過性および着色性を要しない。酸化還元膜は、適度に電気的に酸化還元する材料で形成すればよい。もちろん、特許文献1および非特許文献1に記載されている、酸化着色膜の材料を使用してもよい。
本発明における酸化還元膜は、光透過性を要しないので厚くすることが可能であり、還元着色膜の着色を補償するのに十分な厚さ、延いてはエレクトロクロミックミラーを片電源で着色・消色させるのに適度な厚さを確保できる。したがって、本発明によれば、エレクトロクロミックミラーの光学的性能を損なうことなく、片電源での作動が実現できる。
本発明のエレクトロクロミックミラーにおいて、反射層はインジウムからなる層である。インジウムは反射率が高い金属であり、インジウムからなる層は高い反射率を有し、エレクトロクロミックミラーの消色時の明るさを確保できる。
本発明においてインジウム層は、インジウムが存在する領域と、インジウムが存在しない領域とが、混在していることが好ましい。換言すれば、インジウム層は、厚さ方向に貫通した孔または隙間を有することが好ましい。インジウム層に、厚さ方向に貫通した孔または隙間が存在することにより、厚さ方向の水素イオン透過性がよく、還元着色膜の着色が良好である。
本発明においてインジウム層は、具体的には、微小な皮膜が離散的に分布する島状組織、又は、微小な皮膜が相互連結した網状組織であることが好ましい。インジウム層が島状組織または網状組織であることにより、厚さ方向の水素イオン透過性がよく、還元着色膜の着色が良好である。
インジウム層において、厚さ方向に貫通した孔または隙間は、還元着色膜の着色ムラの抑制の観点から、インジウム層の面方向全体に万遍なく散在していることが好ましい。
なお、インジウム層が厚さ方向に貫通した孔または隙間を有する場合、インジウム層の厚さとは、インジウムが存在する領域のなかで最も厚い箇所の厚さをいう。
インジウム層を島状組織または網状組織に成形する方法としては、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法により還元着色膜上にインジウム層を形成する際に、その厚さを制御することで、厚さ方向に貫通した微小な孔または隙間を形成する方法が挙げられる。
真空蒸着法によるインジウムの製膜においては、蒸着を開始した初期のうちに被覆率100%に近い密な島状組織が形成され、蒸着を続けると島状組織を維持しながら厚さ方向に組織が成長する。そして、製造条件にもよるが、厚さ100nm超になると、島状組織の間の亀裂状の隙間をインジウムが覆い、被覆率100%のインジウムの膜になると推測される。真空蒸着法によりインジウム層を形成する場合、インジウム層の厚さを100nm以下に設定することにより、インジウム層を島状組織または網状組織に成形することができ、厚さ方向の水素イオン透過性が良好である。スパッタリング法による製膜においても、上記と同様の現象が起こるものと推測される。
なお、真空蒸着法やスッパタリング法によりインジウム層を形成する場合、インジウム層の厚さとは、インジウムが蒸着された領域のなかで最も厚い箇所の厚さをいう。
図3は、真空蒸着法により形成したインジウムの膜厚と、消色時の反射率との関係を示すグラフである。ここでの反射率は、JIS Z8701「色の表示方法」に基づく表示方法を使い、JIS Z8720「測定用の標準の光及び標準光源」のD65光源での2度視野での反射率(JIS Z8701のY値)である。図3に示すとおり、消色時の反射率は、インジウム層の厚さが10nm以上であると40%を超え、40nm程度で飽和する。
真空蒸着法によりインジウム層を形成する場合、インジウム層の厚さの下限は、消色時の反射率を自動車用ミラーの欧州法規である40%以上にするため、10nmに設定することが好ましい。インジウム層の厚さが10nm以上であると、密な島状組織または網状組織のインジウム層を形成することができ、高い反射率が得られる。したがって、インジウム層の厚さは、反射率と水素イオン透過性の観点から、10nm〜100nmが好ましく、20nm〜80nmがより好ましく、30nm〜60nmが更に好ましく、30nm〜50nmが特に好ましい。
スパッタリング法によりインジウム層を形成する場合も、上記と同様と推測される。
インジウム層が島状組織または網状組織であることは、ミラーの厚さ方向の切断面を電子顕微鏡で観察し、インジウム層に厚さ方向に貫通した孔または隙間が存在することにより確認することができる。
また、島状組織または網状組織のインジウム層は、導電性がないか、導電性があっても被覆率100%のインジウムの膜に比較し電流が流れにくいので、電気抵抗を測定することによって確認できる。インジウムの膜厚が100nmのときの導電性(電気抵抗)は、2Ω/cm程度であるので、その2桁以上の抵抗を示せば、島状組織になっていると確認できる。
<第一の構成>
図4には、本発明のエレクトロクロミックミラーの第一の構成の一例が、概略的な断面図により示されている。以下、図4に示される構成例を引用して、本発明の第一の構成を説明する。
図4に示されるエレクトロクロミックミラー101は、透明基板102と、透明導電膜103と、還元着色膜104と、インジウム層105と、第一の固体電解質膜106と、酸化還元膜107と、電極膜108とを備え、透明基板102の厚さ方向一方の側に、透明基板102に近い側から順に、透明導電膜103、還元着色膜104、インジウム層105、第一の固体電解質膜106、酸化還元膜107、及び電極膜108が積層されている。
透明導電膜103と電極膜108には、外部配線が取り付けられ、スイッチや光センサー等の制御手段を介して外部電源に繋がり、外部回路120を構成する。
透明基板102は、透明導電膜103と接していない側が、エレクトリックミラーのオモテ面側(光が入射する側)となる。透明基板102を構成する材料は、透明性(光透過性)を有するものであれば特に制限はない。例えば、ガラス(無機ガラス)や樹脂を挙げることができる。透明基板102は、その形状が平坦でもよく、所定の曲率で湾曲していてもよい。
透明導電膜103は、透明基板102の背面側に透明基板102と接して形成されている。透明導電膜103は、例えば、インジウムやスズの酸化物を材料とする膜であり、通常ITO(酸化インジウムスズ)からなる膜である。
透明導電膜103の厚さには、特に制限はないが、光透過性が高いことと導電性が高いことの観点から、例えば、100nm〜300nmの範囲で設定することができる。さらに、光干渉色で黄色から赤色の不適切な色が現れないために、150nm前後で設定することが好ましい。
還元着色膜104は、透明導電膜103の背面側に透明導電膜103と接して形成されている。還元着色膜104は、電圧の印加により、可逆的な着色および消色、即ちエレクトロクロミズムを発現する膜である。
還元着色膜104は、その構成物質の還元により着色し、その後、酸化により消色する膜である。還元着色膜104は、例えば、タングステン、モリブデン、マンガン、バナジウムなどの酸化物、またはこれらの混合物を材料とする膜であり、酸化タングステンからなる膜であることが好ましい。
還元着色膜104の厚さには、特に制限はなく、光透過性と反射率の変化幅の観点から、300nm〜1000nmの範囲で設定することが好ましい。
インジウム層105は、還元着色膜104の背面側に還元着色膜104と接して形成されている。インジウム層105は、微小な皮膜が離散的に分布する島状組織、又は、微小な皮膜が相互連結した網状組織の層である。インジウム層105は、インジウムからなる膜であり、材料のインジウムの純度は高いことが好ましく、純度100%が最も好ましいが、不可避的に混入する不純物は総量1%まで許容される。
本発明の第一の構成においては、反射層であるインジウム層105が、還元着色膜104の背面に、還元着色膜104と接して設けられていることにより、着色および消色の効果がミラーの反射率に反映されやすく、反射率の変化幅を広げる点で有利である。
第一の固体電解質膜106は、インジウム層105の背面側にインジウム層105と接して形成されている。第一の固体電解質膜106は、水を含む膜であり、この水の電解により発生したイオン(H及びOH)が、還元着色膜104の着色および消色に寄与する。第一の固体電解質膜106は、例えば、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、イットリウム、ランタン、ケイ素などの酸化物、またはこれらの混合物を材料とする膜であり、中でも酸化タンタルからなる膜であることが好ましい。
第一の固体電解質膜106の厚さには、特に制限はない。第一の固体電解質膜106は、光透過性を要しないので厚くしてよく、還元着色膜104のエレクトロクロミズムの発現に好適な膜厚を選択することができる。例えば、300nm〜1000nmの範囲で設定することができる。
酸化還元膜107は、第一の固体電解質膜106の背面側に第一の固体電解質膜106と接して形成されている。酸化還元膜107は、還元着色膜104の着色時に酸化され、その後、還元着色膜104の消色時に還元される膜であり、還元着色膜104の着色を補償する。酸化還元膜107は、例えば、イリジウム、ニッケル、クロム、バナジウム、ルテニウム、ロジウム、スズなどの酸化物または水酸化物、またはこれらの混合物を材料とする膜であり、中でも酸化イリジウム、水酸化イリジウム、酸化イリジウムと酸化スズとの混合物、水酸化イリジウムと酸化スズとの混合物、酸化ニッケル、または水酸化ニッケルからなる膜であることが好ましい。
酸化還元膜107の厚さには、特に制限はない。酸化還元膜107は、光透過性を要しないので厚くしてよく、還元着色膜104の補償に好適な膜厚を選択することができる。酸化還元膜107の厚さは、0〜1.2Vの駆動電圧範囲で還元着色膜を十分に着色および消色させるために、還元着色膜104の厚さの3分の1以上とすることが好ましい。
電極膜108は、酸化還元膜107の背面側に酸化還元膜107と接して形成されている。電極膜108は、例えば、アルミニウム、銀、クロム等を材料とする膜であり、アルミニウムからなる膜であることが好ましい。
電極膜108の厚さには、特に制限はないが、例えば、導電性の観点から下限を100nm以上に設定し、製造効率の観点から上限を設定する。
透明基板102上に、透明導電膜103、還元着色膜104、インジウム層105、第一の固体電解質膜106、酸化還元膜107、及び電極膜108を形成する方法としては、特に制限なく通常用いられる方法を適用することができる。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法等を挙げることができる。
透明導電膜103、還元着色膜104、インジウム層105、第一の固体電解質膜106、酸化還元膜107、及び電極膜108は、前述のとおり金属、金属酸化物、金属水酸化物、及びそれらの混合物を構成材料とするが、不可避的に混入する不純物は許容される。
<第二の構成>
図5には、本発明のエレクトロクロミックミラーの第二の構成の一例が、概略的な断面図により示されている。以下、図5に示される構成例を引用して、本発明の第二の構成を説明する。
図5に示されるエレクトロクロミックミラー201は、透明基板202と、透明導電膜203と、還元着色膜204と、第二の固体電解質膜206bと、インジウム層205と、第一の固体電解質膜206aと、酸化還元膜207と、電極膜208とを備え、透明基板板202の厚さ方向一方の側に、透明基板板202に近い側から順に、透明導電膜203、還元着色膜204、第二の固体電解質膜206b、インジウム層205、第一の固体電解質膜206a、酸化還元膜207、及び電極膜208が積層されている。
透明導電膜203と電極膜208には、外部配線が取り付けられ、スイッチや光センサー等の制御手段を介して外部電源に繋がり、外部回路220を構成する。
透明基板202、透明導電膜203、還元着色膜204、インジウム層205、酸化還元膜207、及び電極膜208はそれぞれ、本発明の第一の構成における透明基板102、透明導電膜103、還元着色膜104、インジウム層105、酸化還元膜107、及び電極膜108に相当し、それぞれの形状、構成材料および膜厚は、本発明の第一の構成について既述したのと同様である。
第一の固体電解質膜206aは、インジウム層205の背面側にインジウム層205と接して形成されており、本発明の第一の構成における第一の固体電解質膜106に相当する。第一の固体電解質膜206aの構成材料は、第一の固体電解質膜106について既述したとおりである。
第一の固体電解質膜206aの厚さには、特に制限はない。本発明の第二の構成においては、第二の固体電解質膜206bも設けられているので、第一の固体電解質膜206aの厚さと第二の固体電解質膜206bの厚さとの合計を、固体電解質膜として必要とされる膜厚、例えば、300nm〜1000nmの範囲で設定することができる。
第二の固体電解質膜206bは、還元着色膜204の背面側に還元着色膜204と接して形成されている。第二の固体電解質膜206bは、水を含む膜であり、この水の電解により発生したイオン(H及びOH)が、還元着色膜204の着色および消色に寄与する。
第二の固体電解質膜206bは、例えば、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、イットリウム、ランタン、ケイ素などの酸化物、またはこれらの混合物を材料とする膜であり、中でも酸化タンタルからなる膜であることが好ましい。第二の固体電解質膜206bの構成材料は、第一の固体電解質膜206aの構成材料と同じでもよく、異なっていてもよい。
第二の固体電解質膜206bの厚さには、特に制限はないが、光透過性が要求されるので、通常は、第一の固体電解質膜206aよりも薄い。第二の固体電解質膜206bの厚さは、光透過性と反射率の変化幅の観点から、例えば、50nm〜100nmの範囲で設定することができる。
透明基板202上に、透明導電膜203、還元着色膜204、第二の固体電解質膜206b、インジウム層205、第一の固体電解質膜206a、酸化還元膜207、及び電極膜208を形成する方法としては、特に制限なく通常用いられる方法を適用することができる。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法等を挙げることができる。
透明導電膜203、還元着色膜204、第二の固体電解質膜206b、インジウム層205、第一の固体電解質膜206、酸化還元膜207、及び電極膜208は、前述のとおり金属、金属酸化物、金属水酸化物、及びそれらの混合物を構成材料とするが、不可避的に混入する不純物は許容される。
本発明は、例えば、車両の後方確認用としてアウタミラーやインナミラーに用いられて、電圧を印加することにより反射率を変化させるエレクトロクロミックミラーに好適である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例で測定した反射率は、JIS Z8701「色の表示方法」に基づく表示方法を使い、JIS Z8720「測定用の標準の光及び標準光源」のD65光源での2度視野での反射率(JIS Z8701のY値)である。
(実施例1)
<第一の構成のエレクトロクロミックミラー>
市販の真空蒸着装置を用いて、50mm×60mm×1.1mmのガラス基板上に、ITOを蒸着し、厚さ150nmの透明導電膜を形成した。
次に、上記で得た透明導電膜上に、酸化タングステン(WO)を蒸着し、厚さ500nmの還元着色膜を形成した。
次に、上記で得た還元着色膜上に、インジウムを蒸着し、厚さ40nmのインジウム層を形成した。
次に、上記で得たインジウム層上に、酸化タンタル(Ta)を蒸着し、厚さ600nmの固体電解質膜を形成した。
次に、上記で得た固体電解質膜上に、酸化イリジウムと酸化スズとの混合物(IrO−SnO)を蒸着し、厚さ200nmの酸化還元膜を形成した。
次に、上記で得た酸化還元膜上に、アルミニウムを蒸着し、厚さ100nmの電極膜を形成した。
そして、透明導電膜と電極膜の端にそれぞれ外部配線を設置し、これらの外部配線をスイッチを介して外部電源に接続した。
このようにして、本発明のエレクトロクロミックミラーを得た。
上記で得たエレクトロクロミックミラーの消色時および着色時の分光反射率を、市販の分光反射率計を用いて測定した。その結果を図6に示す。消色時の反射率は79%、着色時の反射率は6.8%であった。該エレクトロクロミックミラーは、消色時に明るく着色時に暗く、反射率の変化幅が広かった。
上記の作製工程において、インジウムを蒸着した後、インジウム層の電気抵抗を測定したところ、1kΩ/cm以上であった。このことから、インジウム層が島状組織になっていることが確認された。
(実施例2)
<第二の構成のエレクトロクロミックミラー>
市販の真空蒸着装置を用いて、50mm×60mm×1.1mmのガラス基板上に、ITOを蒸着し、厚さ150nmの透明導電膜を形成した。
次に、上記で得た透明導電膜上に、酸化タングステン(WO)を蒸着し、厚さ500nmの還元着色膜を形成した。
次に、上記で得た還元着色膜上に、酸化タンタル(Ta)を蒸着し、厚さ100nmの固体電解質膜を形成した。
次に、上記で得た固体電解質膜上に、インジウムを蒸着し、厚さ40nmのインジウム層を形成した。
次に、上記で得たインジウム層上に、酸化タンタル(Ta)を蒸着し、厚さ500nmの固体電解質膜を形成した。
次に、上記で得た固体電解質膜上に、酸化イリジウムと酸化スズとの混合物(IrO−SnO)を蒸着し、厚さ200nmの酸化還元膜を形成した。
次に、上記で得た酸化還元膜上に、アルミニウムを蒸着し、厚さ100nmの電極膜を形成した。
そして、透明導電膜と電極膜の端にそれぞれ外部配線を設置し、これらの外部配線をスイッチを介して外部電源に接続した。
このようにして、本発明のエレクトロクロミックミラーを得た。
上記で得たエレクトロクロミックミラーの消色時および着色時の分光反射率を、市販の分光反射率計を用いて測定した。その結果を図7に示す。消色時の反射率は76.9%、着色時の反射率は7.0%であった。該エレクトロクロミックミラーは、消色時に明るく着色時に暗く、反射率の変化幅が広かった。
1 エレクトロクロミックミラー
2 透明基板
3 透明電極膜
4 酸化着色膜
5 固体電解質膜
6 還元着色膜
7 反射膜兼電極膜
20 外部回路
21 エレクトロクロミックミラー
22 透明基板
23 透明電極層
24 通電着色層
25 固形水素イオン誘導層
26 水素イオンを透過しうる反射板
27 固形水素イオン誘導層
28 水素イオン貯蔵層
29 同時に電極として作用する触媒層
30 封止用金属層
31 接着剤
32 止め板
40 外部回路
101、201 エレクトロクロミックミラー
102、202 透明基板
103、203 透明導電膜
104、204 還元着色膜
105、205 インジウム層
106、206a 第一の固体電解質膜
206b 第二の固体電解質膜
107、207 酸化還元膜
108、208 電極膜
120、220 外部回路

Claims (6)

  1. 透明基板と、
    前記透明基板の厚さ方向一方の側に設けられた透明導電膜と、
    前記透明導電膜の厚さ方向一方の側で前記透明基板とは反対側に設けられ、前記透明導電膜と対になる電極膜とを備え、
    前記透明導電膜と前記電極膜との間に、下記(i)および(ii)のいずれかを備えたエレクトロクロミックミラー。
    (i)前記透明導電膜に近い側から厚さ方向にこの順で積層された、還元着色膜、インジウム層、第一の固体電解質膜、および酸化還元膜
    (ii)前記透明導電膜に近い側から厚さ方向にこの順で積層された、還元着色膜、第二の固体電解質膜、インジウム層、第一の固体電解質膜、および酸化還元膜
  2. 前記インジウム層は、島状組織または網状組織である、請求項1に記載のエレクトロクロミックミラー。
  3. 前記インジウム層は、厚さが100nm以下の範囲である、請求項1または請求項2に記載のエレクトロクロミックミラー。
  4. 前記酸化還元膜は、酸化イリジウム、水酸化イリジウム、酸化イリジウムと酸化スズとの混合物、水酸化イリジウムと酸化スズとの混合物、酸化ニッケル、または水酸化ニッケルを含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のエレクトロクロミックミラー。
  5. 前記還元着色膜は、酸化タングステンを含み、膜厚が300nm以上1000nm以下の範囲である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のエレクトロクロミックミラー。
  6. 前記第一の固体電解質膜および前記第二の固体電解質膜は、酸化タンタルを含み、両者の膜厚の合計が300nm以上1000nm以下の範囲である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のエレクトロクロミックミラー。
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