本発明の第1実施形態について、図1〜図12を参照して説明する。
図1に示すように、本第1実施形態に係るコンベヤスケール10は、ベルトコンベヤ12を備えている。このベルトコンベヤ12は、例えば屋外に設置されており、そのキャリア側ベルト14上に、コークスや石灰石等の細状の被輸送物100が連続的に供給される。そして、図1に太実線の矢印16で示す方向(図1において左側から右側)へキャリア側ベルト14が走行することで、当該キャリア側ベルト14上の被輸送物100が同方向16へ連続的に輸送される。
キャリア側ベルト14は、その走行方向16である水平方向に沿って並列に配置された複数の自由回転ローラ(プーリ)18,18,…によって支持されている。これら複数のローラ18,18,…の一部、例えば図1において中央に位置する1つのローラ20は、荷重検出手段としての例えば2台のロードセル22および24が付随された計量ローラである。また、この計量ローラ20とは別の1つのローラ18、例えば計量ローラ20の上流側(図1において左側)に隣接するローラ26には、キャリア側ベルト14の走行距離を検出するための走行距離検出手段としてのロータリ式のパルス発生器(PG)28が取り付けられている。さらに、キャリア側ベルト14の上方であって、当該キャリア側ベルト14(および被輸送物100)を挟んで計量ローラ20と対向する位置に、距離測定手段としての1台の非接触型距離センサ30が配置されている。この距離センサ30は、例えば赤外線反射式の一方向測定タイプものであり、図1に破線の矢印30aで示すように真下にある被輸送物100の表面(上面)に向けて赤外線ビームを発射すると共に、これとは逆向きの矢印30bで示すように被輸送物100の表面によって反射された当該赤外線ビームの反射光を受け、この間の時間に基づいて、その設置位置から被輸送物100の表面までの距離を測定する。
具体的には、図2に示すように、キャリア側ベルト14の走行方向16(図2の紙面の表裏方向)に直交する仮想的な平面において、当該キャリア側ベルト14の中心Oの真上に位置するように、距離センサ30が設けられる。なお、距離センサ30は、図示しない適当な支持部材を介して、ベルトコンベヤ12の図示しない基部に固定されている。
そして、図2から分かるように、計量ローラ20は、上述の仮想平面において、上方に向かって概略凹状(下方に向かって概略凸状)を成すように言わば概略トラフ形に配置された3つの自由回転ローラ20a,20bおよび20cを有する3槽ローラである。走行距離検出用のローラ26を含む他のローラ18,18,…もまた、同様の3槽ローラである。キャリア側ベルト14は、これらの3槽ローラ18,18,…によって支持されることで、その仮想平面(および当該仮想平面に平行な平面)による断面が概略トラフ形に湾曲するように、つまりは被輸送物100がこぼれ落ち難い形状となるように、整形される。なお、計量ローラ20は、これに付随された2台のロードセル22および24ならびに上述したのとは別の図示しない適当な支持部材を介して、ベルトコンベヤ12の基部に固定されている。そして、走行距離検出用のローラ26を含む他のローラ18,18,…のそれぞれは、図示しないさらに別の支持部材を介して、ベルトコンベヤ12の基部に固定されている。
図1に戻って、各ロードセル22および24は、自身に印加された荷重の大きさに応じた直流電圧値を持つアナログ荷重検出信号Sw1およびSw2を出力する。このアナログ荷重検出信号Sw1およびSw2は、ベルトコンベヤ12から離れた場所、例えば管理室、に設置された制御装置50に入力される。また、パルス発生器28は、キャリア側ベルト14がΔLzという比較的に短い所定の距離だけ走行するたびに、矩形のパルス信号Spを出力する。このパルス信号Spもまた、制御装置50に入力される。さらに、距離センサ30は、自身による距離測定値を表すデジタル態様の距離測定信号Sdを出力する。この距離測定信号Sdもまた、制御装置50に入力される。
制御装置50は、図3に示すように、各ロードセル22および24からのアナログ荷重検出信号Sw1およびSw2が入力される加算回路52を有している。加算回路52は、入力された各アナログ荷重検出信号Sw1およびSw2を加算し、この加算後のアナログ荷重検出信号Sw(=Sw1+Sw2)は、増幅回路54によって適当に増幅された後、A/D変換回路56に入力される。なお、図示は省略するが、増幅回路54の前段または後段には、アナログ荷重検出信号Swに含まれる比較的に高い周波数帯域のノイズ成分、主に電気的な要因によるノイズ成分、を除去するためのアナログローパスフィルタ回路が設けられている。
A/D変換回路56は、入力されたアナログ荷重検出信号Swを、クロックパルス生成手段としてのクロックパルス生成回路58から与えられるクロックパルスCLKの立ち上がり(または立ち下がり)に合わせてサンプリングする。これによって、アナログ荷重検出信号Swは、デジタル態様の信号(以下、これについてもSwという符号で表す。)に変換される。なお、このA/D変換回路56によるサンプリング周期、つまりクロックパルスCLKの周期ΔTsは、パルス発生器28から出力されるパルス信号Spの周期ΔTzよりも遥かに短く、例えばΔTs=1msである。
A/D変換回路56による変換後のデジタル荷重検出信号Swは、入出力インタフェース回路60を介して、演算手段としてのCPU(Central Processing Unit)62に入力される。また、CPU62には、入出力インタフェース回路60を介して、クロックパルスCLKも入力される。さらに、CPU62には、入出力インタフェース回路60を介して、パルス発生器28からのパルス信号Spが入力されると共に、距離センサ30からの距離測定信号Sdも入力される。ただし、パルス信号Spについては、その態様、特に電圧値が、CPU62の入力仕様に即さないため、パルス整形回路64によって適当に整形された上で、CPU62に入力される。
CPU62は、デジタル荷重検出信号Swとパルス信号Spとに基づいて、被輸送物100の輸送量を重量で表す輸送重量値Wを求める。併せて、CPU62は、距離測定信号Sdとパルス信号Spとに基づいて、被輸送物100の輸送量を体積で表す輸送体積値Vを求める。
これら輸送重量値Wおよび輸送体積値Vの具体的な算出要領については、後で詳しく説明するが、両者の間には、概ね一定の関係が存在する。詳しくは、両者の比である次の式1によって表される見かけ比重値Kが概ね一定である、という関係がある。
《式1》
K=W/V
また、両者を比較すると、後述する理由から、輸送重量値Wの方が輸送体積値Vよりも精確である。ただし、輸送重量値Wを得るのに必要な各ロードセル22および24を含む測定系、言わば重量測定系は、キャリア側ベルト14を介して常に振動荷重や衝撃荷重を受けている状態にあるため、故障し易い。これに対して、輸送体積値Vを得るのに必要な距離センサ30を含む非接触型の測定系は、そのような振動荷重や衝撃荷重を受けないため、重量測定系に比べて遥かに故障し難い。特に、定期的な保守管理等が適切に行われるのであれば、非接触型測定系については、基本的に故障しない、言い換えれば常に正常である、と見なすことができる。加えて、重量測定系を構成する各ロードセル22および24から出力されるアナログ荷重検出信号Sw1およびSw2の信号レベルは、極めて微小であり、ゆえに、当該アナログ荷重検出信号Sw1およびSw2は、非接触型測定系を構成する距離センサ30から出力されるデジタル態様の距離測定信号Sdに比べて温度や湿度等の環境の変化による影響を受け易く、これもまた、当該各ロードセル22および24を含む重量測定系の異常に発展する恐れがある。
これらの点を踏まえて、非接触型測定系は常に正常である、という前提が立てられる。そして、この前提の下、CPU62は、輸送重量値Wと輸送体積値Vとを比較して、詳しくは上述の見かけ比重値Kを監視して、重量測定系が正常であるか否かを判定する。
例えば、重量測定系が正常であるときには、当該重量測定系から得られる輸送重量値Wは正常値であるので、見かけ比重値Kは概ね一定である、という関係が維持される。この場合、CPU62は、重量測定系が正常であるものと判定して、当該重量測定系から得られる精確な輸送重量値Wを、情報出力手段としてのディスプレイに表示する。
そして、重量測定系に故障等の異常が発生すると、輸送重量値Wが異常値になるため、見かけ比重値Kが過度に変化する。この場合、CPU62は、重量測定系に異常が発生したものと判定して、その旨を表す警告メッセージを、ディスプレイ66に表示する。
なお、CPU62の動作は、当該CPU62に付属された記憶手段としてのメモリ回路68に記憶されている制御プログラムによって制御される。また、CPU62には、入出力インタフェース回路60を介して、当該CPU62に各種命令を入力するための命令入力手段としての操作キー70も接続されている。この操作キー70は、ディスプレイ66と一体化されたものでもよく、例えばタッチスクリーンによって実現されてもよい。
ところで、非接触型測定系は、重量測定系が正常であるか否かの判定のために重量測定系と比較される言わば比較対照手段として機能するが、このような比較対照手段としての非接触型測定系に高いコストを掛けることは好ましくない。それゆえに、本第1実施形態では、非接触型測定系を構成する距離測定手段として、上述の如く一方向測定タイプの距離センサ30が1台のみ採用される。つまり、当該距離測定手段を含む非接触型測定系が、極めて簡素かつ安価な構成とされている。その一方で、たとえこのように簡素かつ安価な構成の非接触型測定系であっても、出来る限り精確な輸送体積値Vが得られることが肝要である。そこで、当該輸送体積値Vは、次のような要領で求められる。
即ち、図2に示した仮想平面において、図4に示すようなX−Y直交座標が設定される。具体的には、キャリア側ベルト14の(上面の)中心Oが、原点とされる。そして、この原点Oを通る水平な直線が、X軸とされ、当該原点Oを通る鉛直線が、Y軸とされる。なお、図4は、キャリア側ベルト14の下流側から当該キャリア側ベルト14の上流側に向かう視線で仮想平面を示した図であり、この図4においては、Y軸よりも右側が、X軸の正領域とされ、Y軸よりも左側が、X軸の負領域とされる。そして、X軸よりも上方側が、Y軸の正領域とされ、X軸よりも下方側が、Y軸の負領域とされる。
このようなX−Y直交座標が設定された上で、当該X−Y直交座標における距離センサ30の設置位置(例えば赤外線ビームの発受光位置)Psが決定され、つまり原点OからY軸上にある当該距離センサ30の設置位置Psまでの距離、言わば設置高さHsが、決定される。そして、この距離センサ30によって、自身の設置位置PsからY軸上における被輸送物100の上面(表面)位置Paまでの距離Hdが測定される。さらに、この距離測定値Hdが距離センサ30の設置高さHsから差し引かれることによって、つまり次の式2に基づいて、原点OからY軸上における被輸送物100の上面位置Paまでの距離、言わば当該被輸送物100の積載高さHyが、求められる。
《式2》
Hy=Hs−Hd
そして、この式2によって求められた被輸送物100の積載高さHyがHy=bと置かれた上で、図4のX−Y直交座標における当該被輸送物100の上面形状、つまり当該上面と仮想平面との交線の形状が、次の式3のような2次関数式によって近似的に表現される。
《式3》
fa(x)=−a・x2+b where b=Hy
この式3において、xは、任意のX座標値である。そして、aは、被輸送物100の体積や性状等によって種々の値を取り得る係数である。なお、この式3の右辺に含まれる被輸送物100の積載高さb(=Hy)は、一定ではないので、一種の変数と見なすことができ、そうすると、式3の左辺は、fa(x,b)と表現することもできるが、ここでは、原則通りにfa(x)と表現する。
この式3によれば、被輸送物100の上面形状は、図4に一点鎖線の曲線110で示すような放物線によって近似的に表現される。つまり、被輸送物100の積載高さbが決まれば、係数aの値によって、被輸送物100の上面形状を表す曲線110の広がりの程度が決まり、ひいては当該曲線110とX軸との成す角度、言わば安息角θが、決まる。例えば、係数aの値が小さいほど、曲線110の広がりが大きくなり、安息角θが小さくなる。これとは反対に、係数aの値が大きいほど、曲線110の広がりが小さくなり、安息角θが大きくなる。
ここで、安息角θの頂点である曲線110とX軸との交点に注目すると、この交点のX座標値は、次の式4によって求められる。
《式4》
x=±(b/a)1/2 ∵ fa(x)=0
そして、この式4の絶対値|x|=(b/a)1/2を、nという比例係数(調整係数)を用いて、bを変数とする次の式5のような1次関数式で表し、さらに、この式5を、係数aについての式に変形すると、当該係数aは、式6のように表される。
《式5》
|x|=(b/a)1/2=n・b
《式6》
a=1/(n2・b)
この式6によれば、比例係数nの値が大きいほど、係数aの値が小さくなり、上述の式3で表される曲線110の広がりが大きくなり、安息角θが小さくなる。これとは反対に、比例係数nの値が小さいほど、係数aの値が大きくなり、曲線110の広がりが小さくなり、安息角θが大きくなる。つまり、比例係数nの値によって、安息角θを含む曲線110の形状が変わる。加えて、被輸送物100の積載高さbによっても、係数aの値が変わり、ひいては安息角θを含む曲線110の形状が変わる。
そして、この式6が、上述の式3に代入されることで、当該式3は、次の式7のように表される。
《式7》
fa(x)=−{1/n2・b}・x2+b
この式7によれば、比例係数nのみならず、被輸送物100の積載高さbまでもが、変数xの係数とされ、つまり安息角θを含む曲線110の形状を決定づける要素とされる。従って、式3よりも、この式7の方が、被輸送物100の上面形状を忠実に表現し得るものと、期待される。ゆえに、実際には、式3に代えて、この式7によって、当該被輸送物100の上面形状が近似的に表現される。なお、この式7における比例係数nの値は、被輸送物100の種類や性状、或いはキャリア側ベルト14への供給態様等に応じて、適宜に決定される。この比例係数nの値の決定要領については、後で詳しく説明する。
この式7による被輸送物100の上面形状の近似表現と併せて、図4のX−Y直交座標におけるキャリア側ベルト14の上面形状が、次の式8のような2次関数式によって表現される。なお、この式8におけるmは、0よりも大きい係数(m>0)である。そして、この係数mの値を含む式8の2次関数式は、例えばキャリア側ベルト14の上面形状および寸法の実測結果、或いは設計値に基づいて、予め定められる。
《式8》
fb(x)=m・x2
この式8で表されるキャリア側ベルト14の上面形状の言わば模擬曲線fb(x)と、上述の式7で表される被輸送物100の上面形状の言わば近似曲線fa(x)と、によって囲まれた領域が、仮想平面による被輸送物100の断面を表す。そして、この断面のX軸に沿う方向(要するにキャリア側ベルト14の幅方向)における端縁のX座標値は、fa(x)=fb(x)の解として、次の式9の如く一義的に決まる。
《式9》
x=±α where fa(x)=fb(x)
そうすると、図4のX−Y直交座標における被輸送物100の断面積Aは、次の式10によって求められる。
《式10》
A=∫−α α{fa(x)−fb(x)}・dx
そして、この式10によって求められた断面積Aに、例えばLというキャリア側ベルト14の任意の単位走行距離が乗ぜられることで、つまり次の式11に基づいて、当該任意の単位走行距離L分の被輸送物100の輸送体積値Vが求められる。
《式11》
V=L・A
このような要領により被輸送物100の輸送体積値Vが求められるが、厳密には、上述のパルス発生器28からパルス信号Spが1パルス出力されるたびに、つまりキャリア側ベルト14が所定距離ΔLzだけ走行するたびに、当該所定距離ΔLz分の輸送体積値V〈q〉(q;パルス信号Spの番号を表すインデックス)が求められる。
これと並行して、パルス発生器28からパルス信号Spが1パルス出力されるたびに、上述したデジタル荷重検出信号Swに基づいて、図示しない働長Ld上にある被輸送物100の重量、いわゆる瞬間荷重Wd〈q〉が、求められる。なお、働長Ldの定義および瞬間荷重Wd〈q〉の求め方については、公知であるので、ここでの詳しい説明は省略する。また、デジタル荷重検出信号Swには、計量ローラ20自体や当該計量ローラ20上のキャリア側ベルト14自体等の重量成分、いわゆる風袋成分、が含まれているが、この風袋成分は上述したメモリ回路68に予め記憶されており、詳しくは被輸送物100が積載されていない空荷状態にあるときのデジタル荷重検出信号Swが当該風袋成分として記憶されており、この風袋成分が差し引かれた後のデジタル荷重検出信号Swに基づいて、瞬間荷重Wd〈q〉が求められる。そして、次の式12に基づいて、所定距離ΔLz分の輸送重量値W〈q〉が求められる。
《式12》
W〈q〉=Wd〈q〉・(ΔLz/Ld)
併せて、上述の式1に準拠する次の式13に基づいて、任意のタイミングqにおける見かけ比重値K〈q〉が求められる。
《式13》
K〈q〉=W〈q〉/V〈q〉
この見かけ比重値K〈q〉は、上述したように(重量測定系および非接触型測定系のいずれも正常であるときには)概ね一定である。その一方で、この見かけ比重値K〈q〉の要素である体積測定値V〈q〉は、上述の式7における比例係数nの値によって変わる。従って、比例係数nとして適切な値が適用されれば、見かけ比重値K〈q〉は概ね一定になる。これとは反対に、比例係数nとして不適切な値が適用されれば、見かけ比重値K〈q〉は一定にならない。この点に着目して、比例係数nとして様々な仮の値が適用され、それぞれの仮値が適用されたときの仮の見かけ比重値K〈q〉が求められる。そして、この仮の見かけ比重値K〈q〉が最も一定となるような比例係数nの値が見出され、その値が当該比例係数nの最適値naとして決定される。
具体的には、式7における比例係数nとして、例えばn=1.0〜4.0という仮値が、0.1刻みで代入される。このとき、それぞれの仮値、言わば仮比例係数が、j=1〜Jという整理番号によってn〈j〉と表現される。すると、任意の仮比例係数n〈j〉が適用されたときの任意のタイミングqにおける式7は、次の式14のようになる。
《式14》
fa(x)〈j,q〉=−{1/n〈j〉2・b〈q〉}・x2+b〈q〉
そして、この式14によって表される被輸送物100の上面形状の言わば仮近似曲線fa(x)〈j,q〉と、上述の式8によって表されるキャリア側ベルト14の上面形状の模擬曲線fb(x)と、の交点のX座標値は、上述の式9に準拠する次の式15の如く一義的に決まる。
《式15》
x=±α〈j,q〉 where fa(x)〈j,q〉=fb(x)
従って、任意の仮比例係数n〈j〉が適用されたときの任意のタイミングqにおける被輸送物100の仮の断面積A〈j,q〉は、上述の式10に準拠する次の式16によって求められる。
《式16》
A〈j,q〉=∫−α〈j,q〉 α〈j,q〉{fa(x)〈j,q〉−fb(x)}・dx
さらに、この仮断面積A〈j,q〉に所定距離ΔLzが乗ぜられることで、つまり上述の式11に準拠する次の式17に基づいて、任意の仮比例係数n〈j〉が適用されたときの任意のタイミングqにおける当該所定距離ΔLz分の被輸送物100の仮輸送体積値V〈j,q〉が求められる。
《式17》
V〈j,q〉=ΔLz・A〈j,q〉
そして、上述の式13(式1)に準拠する次の式18に基づいて、任意の仮比例係数n〈j〉が適用されたときの任意のタイミングqにおける仮の見かけ比重値K〈j,q〉が求められる。なお、この式18における輸送重量値W〈q〉は、式13におけるのと同じであり、つまり上述の式12によって求められる。
《式18》
K〈j,q〉=W〈q〉/V〈j,q〉
このような要領による仮の見かけ比重値K〈j,q〉の算出が、パルス発生器28からパルス信号SpがQ(Q;1以上の整数)パルス出力されるまで1パルスごとに繰り返される。これによって、それぞれの仮比例係数n〈j〉について仮の見かけ比重値K〈j,q〉がQ個ずつ算出される。そして、これらの仮の見かけ比重値K〈j,q〉(=K〈1,1〉〜K〈J,Q〉)は、図5に示す如くテーブルに纏められた状態でメモリ回路68に記憶される。
この図5に示すテーブルにおいて、それぞれの仮比例係数n〈j〉(整理番号j)ごとに仮の見かけ比重値K〈j,q〉の標準偏差σk〈j〉が求められる。例えば、整理番号jがj=1の仮比例係数n〈1〉については、この仮比例係数n〈1〉が適用されたK〈1,1〉,K〈1,2〉,K〈1,3〉…,K〈1,Q−1〉,K〈1,Q〉というQ個の仮の見かけ比重値K〈1,q〉(q=1〜Q)から、当該仮の見かけ比重値K〈1,q〉の標準偏差σk〈1〉が求められる。他の仮比例係数n〈2〉〜n〈J〉についても、同様に、それぞれの仮の見かけ比重値K〈2,q〉〜K〈J,q〉の標準偏差σk〈2〉〜σk〈J〉が求められる。
ここで、それぞれの仮比例係数n〈j〉ごとの標準偏差σk〈j〉は、当該それぞれの仮比例係数n〈j〉ごとの仮の見かけ比重値K〈j,q〉のバラツキ度合を示す。例えば、標準偏差σk〈j〉が小さいほど、仮の見かけ比重値K〈j,q〉のバラツキが小さく、つまり当該仮の見かけ比重値K〈j,q〉が一定である(または一定に近い)ことを意味する。一方、標準偏差σk〈j〉が大きいほど、仮の見かけ比重値K〈j,q〉のバラツキが大きく、つまり当該仮の見かけ比重値K〈j,q〉が一定でないことを意味する。従って、この標準偏差σk〈j〉が最小となる仮比例係数n〈j〉が、最適比例係数naとして決定される。
なお、より厳密に言えば、上述のQパルス分の期間が、1つの区分p(p;区分の番号を表すインデックス)とされる。そして、この1区分pごとに、最適比例係数na[p]が求められ、ひいては被輸送物100の上面形状を表す近似曲線fa(x)[p]の2次関数式が次の式19の如く組み立てられる。この式19における被輸送物100の積載高さb[p]には、例えば当該1区分pにおける積載高さb〈q〉の平均値が代入される。つまり、当該被輸送物100の平均積載高さb[p]は、式20によって求められる。
《式19》
fa(x)[p]=−{1/na[p]2・b[p]}・x2+b[p]
《式20》
b[p]={Σb〈q〉}/Q where q=1〜Q
そして、式19によって表される1区分pにおける被輸送物100の上面形状の近似曲線fa(x)[p]と、上述の式8によって表されるキャリア側ベルト14の上面形状の模擬曲線fb(x)と、の交点のX座標値が、次の式21によって一義的に求められる。
《式21》
x=±α[p] where fa(x)[p]=fb(x)
その上で、1区分pにおける被輸送物100の(平均的な)断面積A[p]が、次の式22によって求められる。
《式22》
A[p]=∫−α[p] α[p]{fa(x)[p]−fb(x)}・dx
さらに、この断面積A[p]に1区分p分のキャリア側ベルト14の走行距離(=Q・ΔLz)が乗ぜられることで、つまり次の式23に基づいて、当該1区分p分の被輸送物100の輸送体積値V[p]が求められる。
《式23》
V[p]=Q・ΔLz・A[p]
これと並行して、次の式24に基づいて、1区分p分の輸送重量値W[p]が求められる。
《式24》
W[p]=ΣW〈q〉 where q=1〜Q
そして、次の式25に基づいて、1区分p分の見かけ比重値K[p]が求められる。
《式25》
K[p]=W[p]/V[p]
実際には、この1区分p分の見かけ比重値K[p]が監視される。そして、この監視結果から、重量測定系が正常に動作しているか否かが判定される。具体的な判定要領は、次の通りである。
即ち、1区分pごとに、見かけ比重値K[p]と、この見かけ比重値K[p]の標準的な値である基準比重値Ksと、が比較される。そして、これら両者の相違度合が求められ、詳しくは次の式26に基づいて絶対変動量E[p]が求められる。
《式26》
E[p]=|K[p]−Ks|
なお、基準比重値Ksは、事前の調整運転時に定められる。この事前の調整運転時には、まず。実際の稼働時と同じ条件で被輸送物100が輸送される。この状態で、所定のP(P;1以上の整数)区分にわたって合計P個の見かけ比重値K[p](p=1〜P)が求められる。そして、このP個の見かけ比重値K[p]の平均値が、基準比重値Ksとして定められる。つまり、基準比重値Ksは、次の式27に基づいて定められる。これとは別に、基準比重値Ksとして、適当な値が手動(操作キー70)で設定されてもよい。
《式27》
Ks={ΣK[p]}/P where p=1〜P
その上で、式26に基づいて求められた絶対変動量E[p]と、予め定められた許容絶対変動量Emaxと、が比較される。ここで言う許容絶対変動量Emaxとは、見かけ比重値K[p]の絶対的な変動量として許容される限界値であり、この許容絶対変動量Emaxもまた、事前の調整運転時に定められる。例えば、見かけ比重値K[p]が最大でe%変動することが見込まれる場合には、この言わば許容変動率eが基準比重値Ksに乗ぜられることで、つまり次の式28に基づいて、許容絶対変動量Emaxが定められる。なお、許容変動率eの値は、任意に設定可能である。
《式28》
Emax=(e/100)・Ks
この許容絶対変動量Emaxと、式26に基づいて求められた絶対変動量E[p]と、が比較された結果、当該絶対変動量E[p]が許容絶対変動量Emax以下であるとき、つまり次の式29が満足されるときは、重量測定系が正常である、と判定される。一方、式29が満足されないときは、重量測定系は異常である、と判定される。
《式29》
E[p]≦Emax
このように、1区分pごとの見かけ比重値K[p]が、その絶対的な基準である基準比重値Ksと比べて、過度に変化していないかどうかに基づいて、重量測定系が正常であるか否かが判定される。この判定要領によれば、見かけ比重値K[p]が比較的に長い期間を掛けて過度に変化した場合でも、これを適確に検知することができる。つまり、そのような状況を誘発させる重量測定系の異常を適確に検知することができる。なお、通常は、ベルトコンベヤ12(キャリア側ベルト14)上を搬送される被輸送物100の実際の重量と、当該被輸送物100の実際の体積とは、互いに対応するので、これら実際の重量および実際の体積が増減したとしても、両者の比である実際の見かけ比重値は、概ね一定であり、大きく変動することはない。このような性質から、当該見かけ比重値K[p]を監視することで、重量測定系の異常の有無の判定が適確に行われる。
これとは別の判定要領として、1区分pごとの見かけ比重値K[p]の変動量ΔK[p]が監視される。即ち、1区分pごとに、その1つ前の区分p−1との間で、互いの見かけ比重値K[p]およびK[p−1]が比較される。そして、次の式30に基づいて、両者の差、言わば相対的な変化度合を表す相対変動量ΔK[p]が、求められる。
《式30》
ΔK[p]=|K[p]−K[p−1]|
その上で、この式34に基づいて求められた相対変動量ΔK[p]と、予め定められた許容相対変動量ΔKmaxと、が比較される。ここで言う許容相対変動量ΔKmaxとは、1区分pという一定の期間内における見かけ比重値K[m]の変動量として許容される限界値であり、この許容相対変動量ΔKmaxもまた、事前の調整運転時に定められる。詳しくは、見かけ比重値K[p]は一定のバラツキを持つ、という前提の下、上述したP区分にわたる見かけ比重値K[p](p=1〜P)の標準偏差σが求められる。そして、隣接する2つの区分pおよびp−1間では、互いの見かけ比重値K[p]およびK[p−1]に最大で当該標準偏差σのβ(β:正数)倍の差があるものと仮定され、これを根拠に、次の式31に基づいて、許容相対変動量ΔKmaxが定められる。なお、標準偏差σに掛けられる言わばバラツキ係数βの値としては、例えばβ=3〜4程度が適当である。
《式31》
ΔKmax=β・σ
この許容相対変動量ΔKmaxと、式30に基づいて求められた相対変動量ΔK[p]と、が比較された結果、当該相対変動量ΔK[p]が許容相対変動量ΔKmax以下であるとき、つまり次の式32が満足されるときは、上述の式29が満足されることを条件として、重量測定系が正常である、と判定される。一方、式32が満足されないときは、重量測定系は異常である、と判定される。
《式32》
ΔK[p]≦ΔKmax
このように、1区分mごとの見かけ比重値K[p]の変動量ΔK[p]が過大でないかどうかによっても、重量測定系が正常であるか否かが判定される。この判定要領によれば、当該1区分pごとという比較的に短い期間内に見かけ比重値K[p]が過度に変化したとしても、これを適確に検知することができる。要するに、そのような状況を誘発させる重量測定系の異常を適確に検知することができる。
そして、重量測定系が正常であるとき、つまり式29および式32の両方が満足されるときは、上述の式24によって求められた1区分p分の輸送重量値W[p]がディスプレイ66に表示される。このとき同時に、重量測定系が正常であることを表すメッセージがディスプレイ66に表示されてもよい。
一方、重量測定系が異常であるとき、つまり式29および式32の少なくともいずれかが満足されないときは、その旨を表す警告メッセージがディスプレイ66に表示される。
なお、重量測定系が異常であるときは、精確な輸送重量値W[p]が得られないので、この輸送重量値W[p]がディスプレイ66に表示されるのは好ましくない。また、上述した輸送体積値V[p]の算出要領から分かるように、当該輸送体積値V[p]は、輸送重量値W[p]との比である見かけ比重値K[p]を一種の要素として求められるため、精確な輸送重量値W[p]が得られないのであれば、当然に、輸送体積値V[p]も不精確な値となる。
このような状況においても、被輸送物100の輸送量を求めるというコンベヤスケール10本来の機能が保証されるようにするべく、異常発生時には、上述の式19に代えて、次の式33に基づいて、被輸送物100の上面形状が推定される。
《式33》
fs(x)[p]=−{1/ns2・b[p]}・x2+b[p]
なお、この式33において、nsは、比例係数nの標準値である基準係数であり、この基準係数nsもまた、事前の調整運転時に定められる。即ち、事前の調整運転時には、1区分pごとに最適比例係数na[p]が求められるため、合計P個の最適比例係数na[p](p=1〜P)が求められる。そして、このP個の最適比例係数na[p]の平均値が、基準係数nsとして定められる。つまり、基準係数nsは、次の式34に基づいて定められる。
《式34》
ns={Σna[p]}/P where p=1〜P
そして、式33によって表される被輸送物100の上面形状の言わば推定近似曲線fs(x)[p]と、上述の式8によって表されるキャリア側ベルト14の上面形状の模擬曲線fb(x)と、の交点のX座標値が、次の式35によって一義的に求められる。
《式35》
x=±α’[p] where fs(x)[p]=fb(x)
その上で、1区分pにおける被輸送物100の断面積A[p]が、次の式36によって推定され、言わば当該1区分pにおける被輸送物100の推定断面積A’[p]が求められる。
《式36》
A’[p]=∫−α’[p] α’[p]{fs(x)[p]−fb(x)}・dx
そして、この推定断面積A’[p]に1区分p分のキャリア側ベルト14の走行距離(=Q・ΔLz)が乗ぜられることで、つまり次の式37に基づいて、当該1区分p分の被輸送物100の推定輸送体積値V’[p]が求められる。
《式37》
V’[p]=Q・ΔLz・A’[p]
さらに、この推定輸送体積値V’[p]に上述の基準比重値Ksが乗ぜられることで、つまり次の式38に基づいて、1区分p分の被輸送物100の推定輸送重量値W’[p]が求められる。
《式38》
W’[p]=Ks・V’[p]
重量測定系が異常であるときは、当該重量測定系から得られる輸送重量値W[p]に代えて、この推定輸送重量値W’[p]がディスプレイ66に表示される。この推定輸送重量値W’[p]は、重量測定系が正常なときの輸送重量値W[p]ほど精確ではないが、当該重量測定系が異常であるときの言わば暫定的な輸送量を表す値としては十分な精度を持つ。従って、暫定的ではあるものの、被輸送物100の輸送量を求めるというコンベヤスケール10本来の機能は十分に維持される。なお、重量測定系が異常であるときには、見かけ比重値K[p]は算出されない。
このように、本第1実施形態によれば、重量測定系が正常なときには、当該重量測定系によって得られる精確な輸送重量値W[p]がディスプレイ66に表示される。そして、重量測定系に異常が発生したときには、非接触型の測定系によって得られる推定輸送重量値W’[p]がディスプレイ66に表示される。つまり、被輸送物100の輸送量を求めるというコンベヤスケール10本来の機能が確実に保証される。さらに、非接触型測定系は、重量測定系が正常であるか否かの判定のために重量測定系と比較される比較対照手段としての役割をも担う。従って、重量測定系が正常であるか否かを診断するための特別な手段を設ける必要がない。しかも、非接触型測定系を構成する距離測定手段として、一方向測定タイプの距離センサ30が1台のみ採用される。ゆえに、距離測定手段を含む非接触型測定系を簡素かつ安価な構成で実現することができ、ひいては非接触型測定系を含むコンベヤスケール全体もまた簡素かつ安価な構成で実現することができる。
ここで、CPU62の具体的な動作について説明する。
まず、事前の調整運転時の動作について説明すると、CPU62は、操作キー70による調整モードの選択操作に応答して、図6および図7のフローチャートで示される調整タスクを実行する。なお、この調整タスクの実行に先立って、キャリア側ベルト14の上面形状を表す上述の式8の関数式fb(x)と、式28における許容変動率eと、式31におけるバラツキ係数βとが、適宜に設定される。併せて、1区分p分の総パルス数Qと、この調整タスクにおける繰り返し実行区分数Pとが、設定される。そして、言うまでもなく、1パルス分のキャリア側ベルト14の走行距離(所定距離)ΔLzは既知であり、距離センサ30の設置高さHsも既知である。
この調整タスクにおいて、CPU62は、最初にステップS1の初期設定を行う。詳しくは、上述のqというパルス信号Spの番号を表すインデックス値にその初期値として“1”を設定すると共に、pという区分番号を表すインデックス値にもその初期値としての“1”を設定する。
そして、CPU62は、ステップS3に進み、1パルス分のパルス信号Spが入力されるまで待機し、当該パルス信号Spが入力されると、厳密には当該パルス信号Spの立ち上がり(または立ち下がり)を検出すると、ステップS5に進む。このステップS5において、CPU62は、デジタル荷重検出信号Swを取得し、さらに、ステップS7に進み、上述の式12に基づいて所定距離ΔLz分の輸送重量値W〈q〉を求める。
続いて、CPU62は、ステップS9に進み、距離センサ30から距離測定信号Sdを取得し、さらに、ステップS11に進み、上述の式2に基づいて被輸送物100の積載高さHyを求める。そして、ステップS13に進み、この被輸送物100の積載高さHyをHy=b〈q〉と置き換え、その後、ステップS15に進む。
ステップS15において、CPU62は、上述のjという整理番号にその初期値として“1”を設定する。そして、ステップS17に進み、当該整理番号jに応じた比例係数n〈j〉を特定する。さらに、ステップS19に進み、上述の式14に当該比例係数n〈j〉を代入することで、被輸送物100の上面形状を表す2次関数式fa(x)〈q〉を組み立てる。そして、ステップS21に進み、上述の式15に基づいてキャリア側ベルト14の幅方向における被輸送物100の端縁のX座標値α〈j,q〉を求め、さらに、ステップS23に進み、上述の式16に基づいて当該被輸送物100の断面積A〈j,q〉を求める。次いで、ステップS25に進み、上述の式17に基づいて所定距離ΔLz分の被輸送物100の輸送体積値V〈j,q〉を求めた後、ステップS27に進み、上述の式18に基づいて見かけ比重値K〈j,q〉を求める。
ステップS27の実行後、CPU62は、ステップS29に進み、今現在の整理番号jとその最大値Jとを比較する。ここで、例えば、今現在の整理番号jが最大値Jよりも小さい(j<J)場合、つまり全ての比例係数n〈j〉について現タイミングqでの見かけ比重値K〈j,q〉の算出が未だ終わっていない場合は、ステップS31に進み、整理番号jを“1”だけインクリメントした後、ステップS17に戻り、当該インクリメント後の整理番号jに応じた次の比例係数n〈j〉を特定する。一方、ステップS29において、今現在の整理番号jが最大値Jと等価(j=J)である場合、つまり全ての比例係数n〈j〉について現タイミングqでの見かけ比重値K〈q〉の算出が終わった場合は、当該ステップS29からステップS33に進む。
ステップS33において、CPU62は、今現在のパルス信号Spの番号qと1区分p分の総パルス数Qとを比較する。ここで、例えば、今現在のパルス番号qが1区分p分の総パルス数Qよりも小さい(q<Q)場合、つまり未だ1区分pの途中である場合は、ステップS35に進み、パルス番号qを“1”だけインクリメントした後、ステップS3に戻り、次のパルス信号Spが入力されるのを待つ。一方、ステップS33において、今現在のパルス番号qが1区分p分の総パルス数Qと等価(q=Q)である場合、つまり現タイミングqが1区分pの最終タイミングQである場合は、当該ステップS33から図7のステップS37に進む。
ステップS37において、CPU62は、上述の整理番号jをその初期値である“1”に戻す。そして、ステップS39に進み、当該整理番号jに応じた比例係数n〈j〉について見かけ比重値K〈j,q〉の標準偏差σk〈j〉を算出する。さらに、ステップS41に進み、今現在の整理番号jとその最大値Jとを比較する。ここで、例えば、今現在の整理番号jが最大値Jよりも小さい(j<J)場合、つまり全ての比例係数n〈j〉について標準偏差σk〈j〉の算出が未だ終わっていない場合は、ステップS43に進み、整理番号jを“1”だけインクリメントした後、ステップS39に戻り、当該インクリメント後の整理番号jに応じた次の比例係数n〈j〉について標準偏差σk〈j〉の算出を行う。一方、ステップS41において、今現在の整理番号jが最大値Jと等価(j=J)である場合、つまり全ての比例係数n〈j〉について標準偏差σk〈j〉の算出が終わった場合は、当該ステップS41からステップS45に進む。
ステップS45において、CPU62は、全ての比例係数n〈j〉についての標準偏差σk〈j〉を比較する。そして、標準偏差σk〈j〉が最小となる比例係数n〈j〉を、最適比例係数na[p]として決定する。この最適比例係数na[p]の決定後、CPU62は、ステップS47に進み、当該最適比例係数na[p]を上述の式19に代入することで、被輸送物100の上面形状を表す2次関数式fa(x)[p]を組み立てる。
その上で、CPU62は、ステップS49に進み、上述の式21に基づいてキャリア側ベルト14の幅方向における被輸送物100の端縁のX座標値α[p]を求めた後、ステップS51に進み、上述の式22に基づいて当該被輸送物100の断面積A[p]を求める。そして、ステップS53に進み、上述の式23に基づいて1区分p分の被輸送物100の輸送体積値V[p]を求め、さらに、ステップS55に進み、上述の式24に基づいて1区分p分の被輸送物100の輸送重量値W[p]を求める。そして、ステップS57に進み、上述の式25に基づいて1区分pにおける見かけ比重値K[p]を求める。
ステップS57の実行後、CPU62は、ステップS59に進む。そして、このステップS59において、今現在の区分番号pと調整タスクにおける繰り返し実行区分数Pとを比較する。ここで、例えば、今現在の区分番号pが繰り返し実行区分数Pよりも小さい(p<P)場合、つまり未だ繰り返し実行区分数P分の見かけ比重値K[p]が算出されていない場合は、ステップS61に進む。そして、このステップS61において、区分番号pを“1”だけインクリメントした後、ステップS63に進み、上述のパルス番号qをその初期値である“1”に戻して、図6のステップS3に戻る。一方、ステップS59において、今現在の区分番号pが繰り返し実行区分数Pと等価(p=P)である場合、つまり繰り返し実行区分数P分の見かけ比重値K[p]が算出された場合は、当該ステップS59からステップS65に進む。
ステップS65において、CPU62は、上述の式27に基づいて基準比重値Ksを求める。そして、ステップS67に進み、上述の式28に基づいて許容絶対変動量Emaxを求める。さらに、ステップS69に進み、上述の式29に基づいて許容相対変動量ΔKmaxを求める。次いで、ステップS71に進み、上述の式34に基づいて基準係数nsを求めた後、ステップS73に進み、上述の式33に当該基準係数nsを代入することで、被輸送物100の上面形状を推定するための基準式fs(x)[p]を組み立てる。このステップS73の実行をもって、調整タスクを終了する。
この調整タスクによる事前の調整運転の終了後、実際の稼働に入るが、この実際の稼働時に、操作キー70の操作によって稼働モードが選択されると、CPU62は、図8〜図10のフローチャートで示される稼働タスクを実行する。
この稼働タスクにおいて、CPU62は、まず、図8のステップS101に進み、初期設定を行う。詳しくは、パルス番号qに初期値である“1”を設定すると共に、区分番号pにも初期値である“1”を設定する。さらに、重量測定系が異常であるか否かを表すフラグFに“0”を設定する。このフラグFは、これが“0”であるときに、重量測定系が正常であることを表し、“1”であるときに、重量測定系が異常であることを表す。
このステップS101の初期設定の実行後、CPU62は、ステップS103に進むが、当該ステップS103〜ステップS113については、図6に示した調整タスクにおけるステップS3〜ステップS13の処理と全く同じである。従って、ステップS103〜ステップS113についての詳しい説明は省略する。
ステップS113の次のステップS115において、CPU62は、上述のフラグFに“0”が設定されているか否か、つまり重量測定系が正常であるか否か、を判定する。ここで、例えば、当該フラグFに“0”がセットされている場合、つまり重量測定系が正常である場合、CPU62は、ステップS117に進む。なお、ステップS117〜図9のステップS157は、図6に示した調整タスクにおけるステップS15〜図7のステップS55の処理と全く同じであるので、このステップS117〜ステップS157についての詳しい説明も省略する。
ステップS157の次のステップS159において、CPU62は、当該ステップS157で算出された1区分p分の輸送重量値W[p]をディスプレイ66に表示する。なお、このステップS159における輸送重量値W[p]のディスプレイ66への表示は、例えば次にステップS159が実行される直前まで継続される。ただし、ステップS159の実行後、上述のフラグFに“1”が設定された場合、つまり重量測定系に異常が発生した場合には、後述の説明から分かるように、次に当該ステップS159が実行されることはない。この場合は、例えば後述のステップS191が実行される直前まで当該ステップS159における輸送重量値W[p]の表示が継続される。
ステップS159の実行後、CPU62は、ステップS161に進み、上述の式25に基づいて1区分pにおける見かけ比重値K[p]を求める。さらに、CPU62は、ステップS163に進み、上述の式26に基づいて絶対変動量E[p]を求めた後、図10のステップS165に進む。そして、このステップS165において、絶対変動量E[p]と許容絶対変動量Emaxとを比較する。ここで、例えば、絶対変動量E[p]が許容絶対変動量Emax以下(E[p]≦Emax)である場合、つまり上述の式29が満足される場合は、重量測定系が正常であるものと判定して、ステップS167に進む。
ステップS167において、CPU62は、今現在の区分番号pがp=1であるか否か、つまり今現在の区分pが最初の区分1であるか否か、を判定する。ここで、例えば、今現在の区分pが最初の区分1である場合は、ステップS169に進み、区分番号pを“1”だけインクリメントした後、ステップS171に進む。そして、このステップS171において、上述のパルス番号qをその初期値である“1”に戻して、図8のステップS103に戻る。一方、ステップS167において、今現在の区分pが最初の区分1でない場合は、当該ステップS167からステップS173に進む。
ステップS173において、CPU62は、上述の式30に基づいて、相対変動量ΔK[p]を求める。そして、ステップS175に進み、この相対変動量ΔK[p]と許容相対変動量ΔKmaxとを比較する。ここで、例えば、相対変動量ΔK[p]が許容相対変動量ΔKmax以下(ΔK[p]≦ΔKmax)である場合、つまり上述の式32が満足される場合は、ステップS169に進む。一方、ステップS175において、相対変動量ΔK[p]が許容相対変動量ΔKmaxよりも大きい(ΔK[p]>ΔKmax)場合は、当該ステップS175からステップS177に進む。そして、このステップS177において、重量測定系が異常であることを表す警告メッセージをディスプレイ66に表示する。このとき、相対変動量ΔK[p]が異常値であることをも併せて表示する。なお、このステップS177における警告メッセージの表示は、例えば重量測定系の異常が解消されるまで、要するにコンベヤスケール10の稼働が一旦停止されるまで、継続される。そして、CPU62は、ステップS179に進み、上述のフラグFに“1”を設定した後、ステップS169に進む。
なお、上述のステップS165において、絶対変動量E[p]が許容絶対変動量Emaxよりも大きい(E[p]>Emax)である場合、CPU62は、当該ステップS165からステップS181に進む。そして、このステップS181において、重量測定系が異常であることを表す警告メッセージを、絶対変動量E[p]が異常値であることと併せて、ディスプレイ66に表示する。なお、このステップS181における警告メッセージの表示もまた、重量測定系の異常が解消されるまで継続される。そして、このステップS181の実行後、CPU62は、ステップS179に進む。
ステップS179でフラグFに“1”が設定されると、次の機会に図8のステップS115が実行されたときに、CPU62は、当該ステップS115から図10のステップS183に進む。そして、このステップS183において、上述の式35に基づいてキャリア側ベルト14の幅方向における被輸送物100の端縁のX座標値α’[p]を求める。なお、このステップS183における当該X座標値α’[p]の算出に当たっては、調整モードで得られた基準係数nsを含む基準式fs(x)[p]が適用される。
ステップS183の実行後、CPU62は、ステップS185に進み、上述の式36に基づいて被輸送物100の推定断面積A’[p]を求める。そして、ステップS187に進み、上述の式37に基づいて推定輸送体積値V’[p]を求める。さらに、ステップS189に進み、上述の式38に基づいて推定輸送重量値W’[p]を求め、次のステップS191において、当該推定輸送重量値W’[p]をディスプレイ66に表示する。なお、このステップS191における推定輸送重量値W’[p]のディスプレイ66への表示は、例えば次に当該ステップS191が実行される直前まで継続される。そして、このステップS191の実行後、CPU62は、ステップS169に進む。
このようにしてCPU62が動作することによって、コンベヤスケール10本来の機能が確実に保証されることを含め、上述したような多大なる効果が発揮される。
なお、本第1実施形態においては、重量測定系が正常なときに、当該重量測定系から得られる輸送重量値W[p]のみがディスプレイ66に表示されることとしたが、これに限らない。例えば、輸送重量値W[p]と共に、輸送体積値V[p]も、ディスプレイ66に表示されるようにしてもよい。ただし、上述したように、輸送体積値V[p]は、輸送重量値W[p]との比である見かけ比重値K[p]を一種の要素として求められるため、当該輸送重量値W[p]よりは精確ではない。しかし、精確な輸送重量値W[p]を言わば主たる輸送量として表示し、これと併せて、輸送体積値V[p]を言わば副次的な輸送量として表示することは、例えば両者を比較し得ることを含め、相応の価値がある。
また、本第1実施形態では、図5に示したテーブルにおける標準偏差σk〈j〉が最小となる仮比例係数n〈j〉が、最適比例係数naとして決定されることとしたが、これに限らない。例えば、次のような要領によって、最適比例係数naが決定されてもよい。
即ち、上述した(1区分p分の)Qパルスにわたって、n〈1〉〜n〈J〉というそれぞれの仮比例係数n〈j〉ごとに、式17に基づく仮輸送体積値V〈j,q〉が求められる。併せて、上述の式12に基づく輸送重量値W〈q〉が求められる。そして、次の式39に基づいて、それぞれの仮比例係数n〈j〉ごとに、当該Qパルスにわたる仮の平均見かけ比重値Ka〈j〉が求められる。
《式39》
Ka〈j〉={ΣW〈q〉}/{ΣV〈j,q〉} where q=1〜Q
その上で、それぞれの仮比例係数n〈j〉ごとに、それぞれのタイミングqにおける仮輸送体積値V〈j,q〉に基づく重量値、言わば仮輸送重量値W”〈j,q〉が、次の式40によって求められる。
《式40》
W”〈j,q〉=Ka〈j〉・V〈j,q〉
ここで、それぞれの仮比例係数n〈j〉ごとの仮輸送重量値W”〈j,q〉の分散をσa2〈j〉とし、輸送重量値W〈q〉の分散をσw2とすると、当該輸送重量値W〈q〉に対する仮輸送重量値W”〈j,q〉の当てはまりの良さを表す寄与率R2〈j〉は、次の式41によって求められる。
《式41》
R2〈j〉=σa2〈j〉/σw2
この式41によって求められる寄与率R2〈j〉は、その値が1に近いほど、輸送重量値W〈q〉と仮輸送重量値W”〈j,q〉との関係が一定であることを表す。そこで、それぞれの仮比例係数n〈j〉ごとに、当該寄与率R2〈j〉が求められる。そして、この寄与率R2〈j〉が最も1に近い仮比例係数n〈j〉が、最適比例係数naとして決定されてもよい。
さらに、これとは別の次の要領によって、最適比例係数naが決定されてもよい。
即ち、被輸送物100の実際の或る体積量と、その実際の重量値と、の比から求められた実際の見かけ比重値、言わば真正比重値Kbが、予め設定される。その上で、図5に示したテーブルにおけるそれぞれの仮比例係数n〈j〉ごとの仮の見かけ比重値K〈j,q〉と、当該真正比重値Kbと、の差、言わば誤差D〈j,q〉が、次の式42によって求められる。そして、この誤差D〈j,q〉は、図11に示す如く別のテーブルに纏められた状態でメモリ回路68に記憶される。
《式42》
D〈j,q〉=K〈j,q〉−Kb
さらに、この図11に示すテーブルにおいて、それぞれの仮比例係数n〈j〉(整理番号j)ごとに誤差D〈j,q〉の2乗和D2〈j〉が求められる。つまり、次の式43によって当該2乗和D2〈j〉が求められる。
《式43》
D2〈j〉=ΣD〈j,q〉2 where q=1〜Q
この式43によって求められるそれぞれの仮比例係数n〈j〉ごとの誤差2乗和D2〈j〉は、当該それぞれの仮比例係数n〈j〉ごとの仮の見かけ比重値K〈j,q〉の真正比重値Kbに対する全体的な近似度合を示す。例えば、誤差2乗和D2〈j〉が小さいほど、仮の見かけ比重値K〈j,q〉は全体的に真正比重値Kbに近似していることを表し、つまりは当該見かけ比重値K〈j,q〉が一定である(または一定に近い)ことを表す。一方、誤差2乗和D2〈j〉が大きいほど、仮の見かけ比重値K〈j,q〉は全体的に真正比重値Kbから乖離していることを表し、つまりは当該見かけ比重値K〈j,q〉は一定でないことを表す。このことから、誤差2乗和D2〈j〉が最小となる仮比例係数n〈j〉が、最適比例係数naとして決定されてもよい。
いずれにしても、輸送重量値W〈q〉と仮の輸送体積値V〈j,q〉とが互いに一定の関係となるような仮比例係数n〈j〉が最適比例係数naとして決定され、ひいては被輸送物100の上面形状を表す関数式fa(x)〈j〉が組み立てられるようにするのが、肝要である。
なお、図5に示したものを含め、仮比例係数n〈j〉として、1.0〜4.0という値を0.1刻みで代入することとしたが、これは一例であり、これらの値に限定されることはない。
また、式26に基づく見かけ比重値K[p]の絶対変動量E[p]については、1区分pごとに求められることとしたが、これに限らない。例えば、一定数の区分c(c:1以上の整数)置きに、当該絶対変動量E[p]が求められてもよい。極端には、定期的ではなく、不定期的に、当該絶対変動量E[p]が求められてもよい。
さらに、式36に基づく絶対変動量E[p]に代えて、例えば、次の式44に基づいて絶対変動率E’[p]が求められ、この絶対変動率E’[p]と式45に基づく許容絶対変動率Emax’との比較によって、重量測定系が正常であるか否かが判定されてもよい。
《式44》
E’[p]=|(K[p]−Ks)/Ks|
《式45》
Emax’=e/100
加えて、式30に基づく見かけ比重値K[p]の相対変動量ΔK[p]については、1区分ごとに求められることとし、つまり隣接する区分pおよびp−1間の見かけ比重値K[p]およびK[p−1]の差としたが、これに限らない。例えば、互いに一定数の区分r(r:2以上の整数)だけ離れた2つの区分pおよびp−r間の見かけ比重値K[p]およびK[p]の差に基づいて、相対変動量ΔK[p]が求められてもよい。つまり、式30に代えて、次の式46に基づいて、当該相対変動量ΔK[p]が求められてもよい。
《式46》
ΔK[p]=|K[p]−K[p−r]|
そして、この式46または上述の式30に基づく相対変動量ΔK[p]に代えて、例えば次の式47に基づいて、相対変動率ΔK’[p]が求められ、この相対変動率ΔK’[p]と式48に基づく許容相対変動率ΔKmax’との比較によって、重量測定系が正常であるか否かが判定されてもよい。なお、式48におけるγは、任意に設定可能な許容変動率(%)である。
《式47》
ΔK’[p]=|(K[p]−K[p−1])/K[p]|
《式48》
ΔKmax’=γ/100
また、稼働時において、所定の期間にわたって重量測定系が正常であるときは、上述した調整運転時と同様の要領で基準比重値Ks,許容絶対変動量Emaxおよび許容相対変動量ΔKmaxが求められると共に、基準係数nsが求められ、ひいては基準式fs(x)が組み立てられてもよい。つまり、稼働時の途中で適宜にこれらの要件Ks,Emax,ΔKmax,nsおよびfs(x)が更新されてもよい。
さらに、上述した式3の2次関数式を根本として、被輸送物100の上面形状が近似的に表現されたが、これに限らない。例えば、次の式49のような1次関数式を根本として、当該被輸送物100の上面形状が近似表現されてもよい。
《式49》
fa(x)=a・x+b where x<0(X軸の負領域)
fa(x)=−a・x+b where x≧0(X軸の正領域)
この式49によれば、被輸送物100の上面形状は、X軸の負領域において、図12に一点鎖線120で示すような直線によって近似表現される。一方、X軸の正領域においては、図12に別の一点鎖線130で示すような直線によって近似表現される。つまり、被輸送物100の積載高さbが決まれば、係数aの値によって、被輸送物100の上面形状を表すこれらの直線120および130の傾斜が決まり、ひいては安息角θが決まる。そして、この安息角θの頂点である各直線120および130とX軸との交点に注目すると、この交点のX座標値は、次の式50によって求められる。
《式50》
x=±(b/a) ∵ fa(x)=0
さらに、この式50の絶対値|x|=b/aを、上述した比例係数nを用いて、bを変数とする次の式51のような1次関数式で表し、この式51を、係数aについての式に変形すると、当該係数aは、式52のように表される。
《式51》
|x|=b/a=n・b
《式52》
a=1/n
そして、この式52が上述の式49に代入されることによって表される次の式53に基づいて、被輸送物100の上面形状が近似表現されてもよい。
《式53》
fa(x)=1/n・x+b where x<0(X軸の負領域)
fa(x)=−1/n・x+b where x≧0(X軸の正領域)
また、このような式49を根拠とする1次関数式(式53)と、上述した式3の2次関数式を根本とする2次関数式(式7)と、の両方によって、被輸送物100の上面形状が並行して近似表現され、このうちの見かけ比重値Kのバラツキが小さい方に基づいて、当該被輸送物100の上面形状が実際(最終的)に近似表現されてもよい。つまり、両関数式のうちの好適な方が(例えば1区分pごとに)適宜に採用されてもよい。
さらにまた、次の式54のような指数関数式を根本として、被輸送物100の上面形状が近似表現されてもよい。
《式54》
fa(x)=b・exp(−a・|x|) where x<0
fa(x)=b・exp(−a・x) where x≧0
いずれにしても、その時々の状況に応じた適宜の関数式に基づいて、被輸送物100の上面形状が近似表現されればよい。
なお、本第1実施形態においては、1つの計量ローラ20が2台のロードセル22および24によって支持される構成とされたが、これに限らない。例えば、複数の計量ローラが設けられてもよいし、1台または3台以上のロードセルが設けられてもよい。また、本第1実施形態のようなアナログ式のロードセル22および24ではなく、デジタル式のロードセルが採用されてもよい。
そして、キャリア側ベルト14については、水平方向に沿って走行するものとしたが、傾斜角を持って走行するものであってもよい。また、当該キャリア側ベルト14は、3槽ローラ18,18,…によって支持されることで、その仮想平面による断面が概略トラフ形に湾曲するように整形されたが、特段な必要性がなければ、このような整形は成されなくてもよい。つまり、各ローラ18,18,…は、3槽のものに限らない。
特に、キャリア側ベルト14(コンベヤベルト)が、図13に示すような平ベルトである場合は、より簡潔的に被輸送物100の断面積Aを求めることが可能となる。例えば、上述の式53の1次関数式によって被輸送物100の上面形状が近似表現される、とすると、この式53によって近似表現される被輸送粒100の上面形状は、図13に一点鎖線140および150で示すような直線状になる。これらの直線140および150を含む図13から容易に理解できるように、被輸送物100の断面積Aは、次の式55によって極めて簡単に求められる。
《式55》
A=n・b2
また、本第1実施形態では、走行距離検出手段として、ロータリ式のパルス発生器28が採用されたが、これに限らない。例えば、キャリア側ベルト14を含むコンベヤベルトに、その走行方向に沿って一定間隔で適当なマークを付すと共に、このマークを光学式等の適当なセンサによって検出することで、当該キャリア側ベルト14の走行距離を検出するような構成であってもよい。また、上述した特許文献2としての特開2004−144643号公報に開示されているのと同様に、距離センサ30の上流側または下流側に同じ仕様の距離センサを設け、これら両センサによって被輸送物100の同じ上面位置Paを検知することによって、当該両センサ間の距離に相当する距離をキャリア側ベルト14が走行したことを検出する構成であってもよい(言い換えれば、両センサによって被輸送物100の同じ上面位置Paを検知したときの時間差に基づいて、キャリア側ベルト14の走行速度を求めてもよい)。
さらに、ディスプレイ66に表示される輸送重量値W[m]や推定輸送重量値W’[m]等の情報については、管理用のパーソナルコンピュータや印刷装置等の適宜の外部装置にも出力されるようにしてもよい。
そして、重量測定系に異常が発生したときに、その旨を表す警告メッセージがディスプレイ66に表示されるようにしたが、これに限らない。例えば、適当なランプ等の照明が点灯したり、或いは、ブザーやベル等の適当な警報器が鳴動したり、さらには、スピーカから音声で当該警告メッセージが出力されるようにしてもよい。
次に、本発明の第2実施形態について、図14〜図16を参照して説明する。
本第2実施形態に係るコンベヤスケール10は、図14に示すように、2台の距離センサ30および32を備えるものであり、これ以外のハードウェア構成は、上述した第1実施形態と同様である。従って、当該第1実施形態と同様の部分については、同一符号を付して、それらの詳細な説明を省略する。
各距離センサ30および32は、互いに同じ規格のものであり、上述した仮想平面において、当該仮想平面に設定されたX−Y直交座標のY軸に関して互いに線対称の位置関係にある。詳しくは、一方の距離センサ30は、X−Y直交座標上の(−u,Hs)という座標位置にあり、他方の距離センサ32は、当該X−Y直交座標上の(u,Hs)という座標位置にある。そして、一方の距離センサ30によっては、自身の設置位置Ps1からその直下の被輸送物100の上面位置Pa1までの距離Hd1が測定される。他方の距離センサ30によっても、同様に、自身の設置位置Ps2からその直下の被輸送物100の上面位置Pa2までの距離Hd2が測定される。そして、上述の式2に倣って、それぞれの距離センサ30および32の直下における被輸送物100の積載高さHy1およびHy2が求められる。
その上で、被輸送物100の上面形状が、次の式56のような2次関数式によって近似的に表現される。なお、この式54において、a1,a2およびa3は、種々の値を取り得る係数である。
《式56》
fa(x)=a1・x2+a2・x+a3
この式56によれば、被輸送物100の上面形状は、図14に一点鎖線で示すように、各距離センサ30および32の設置位置Ps1およびPs2を通る曲線200によって近似表現される。ここで、一方の距離センサ30の直下における被輸送物100の積載高さHy1がHy1=b1と置かれ、他方の距離センサ32の直下における当該被輸送物100の積載高さHy2がHy2=b2と置かれると、この式56から、次の式57および式58が成立する。
《式57》
fa(−u)=a1・u2−a2・u+a3=b1
《式58》
fa(u)=a1・u2+a2・u+a3=b2
そして、式57から式58が差し引かれることで、次の式59が導き出され、さらに、この式59が係数a2についての式に変形されることで、当該係数a2は、式60のように表される。
《式59》
−2・a2・u=b1−b2
《式60》
a2=(b2−b1)/(2・u)
加えて、式60が式57または式58に代入されることによって、次の式61が成立する。
《式61》
2・a1・u2+2・a3=b1+b2
その一方で、上述の式56の左辺fa(x)が最大となるX座標値は、次の式62によって求められる。
《式62》
x=−a2/(2・a1)
∵ dfa(x)/dx=2・a1・x+a2=0
従って、この式62が式56に代入されることによって、当該式56の左辺fa(x)の最大値fa{−a2/(2・a1)}は、次の式63のようになる。
《式63》
fa{−a2/(2・a1)}=−a22/(2・a1)+a3
さらに、この最大値fa{−a2/(2・a1)}が、比例係数nを用いて、b1を変数とする次の式64のように表される。
《式64》
fa{−a2/(2・a1)}=−a22/(2・a1)+a3=n・b1
この最大値n・b1は、b1よりも大きく(n・b1>b1)、そうすると、比例係数nは、1よりも大きい値(n>1)となる。この点を鑑みて、比例係数nとして、例えばn=1.0〜2.0という値(仮値)が、0.1刻みで代入される。そして、それぞれの比例係数nごとに、例えば上述の式60と式61と式64との連立方程式に基づいて、式56における各係数a1,a2およびa3が決定される。その上で、上述の第1実施形態と同様、それぞれの比例係数nごとに、(仮の)見かけ比重値Kが求められ、この見かけ比重値Kのバラツキが最小となる比例係数nが、最適比例係数naとして決定される。これ以降は、第1実施形態と同じ要領であるので、詳しい説明は省略する。
なお、本第2実施形態においても、図15に一点鎖線210および220で示すような直線によって、被輸送物100の上面形状が近似表現されてもよい。つまり、一方の距離センサ30の設置位置Ps1を通る直線210と、他方の距離センサ32の設置位置Ps2を通る直線220と、によって、当該被輸送物100の上面形状が近似表現されてもよい。この場合、一方の距離センサ30に係る直線210とX軸(キャリア側ベルト14の上面)との交点は、当該一方の距離センサ30の直下における被輸送物100の積載高さb1を変数とする比例係数nとの積(=−n・b1)によって表される。そして、他方の距離センサ32に係る直線220とX軸との交点は、当該他方の距離センサ32の直下における被輸送物100の積載高さb2を変数とする比例係数nとの積(=n・b2)によって表される。
また、キャリア側ベルト14が、図16に示すような平ベルトである場合には、4つの直線230,240,250および260によって、被輸送物100の表面形状が近似表現される。例えば、直線230は、一方の距離センサ30の設置位置Ps1を通り、かつ、X軸と交差する。このX軸との交点は、上述の図15と同様、当該一方の距離センサ30の直下における被輸送物100の積載高さb1を変数とする比例係数nとの積(=−n・b1)によって表される。そして、直線240は、一方の距離センサ30の設置位置Ps1を通り、かつ、Y軸と直交する。さらに、直線250は、他方の距離センサ32の設置位置Ps2を通り、かつ、Y軸と直交する。そして、直線260は、他方の距離センサ32の設置位置Ps2を通り、かつ、X軸と交差する。このX軸との交点は、当該他方の距離センサ32の直下における被輸送物100の積載高さb2を変数とする比例係数nとの積(=n・b2)によって表される。
この図16に示す各直線230,240,250および260によれば、被輸送物100の断面積Aは、次の式65によって簡単に求められる。
《式65》
A=(1/2)・n・b12+u・b1+u・b2+(1/2)・n・b22
=u・(b1+b2)+n・(1/2)・(b12+b22)
いずれにしても、その時々の状況に応じた適宜の関数式に基づいて、被輸送物100の上面形状が近似表現されればよい。
なお、3台以上の距離センサが設けられてもよいが、当該距離センサの台数が少ないほど、当該距離センサを含む非接触型測定系の構成をより簡素かつ安価に実現できることは言うまでもない。