JP2012132261A - 木造建築物の仕口部補強金物 - Google Patents

木造建築物の仕口部補強金物 Download PDF

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重徳 西田
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Abstract

【課題】板状屈曲部に変形を生じさせる変形荷重を大きくすることなく、屈曲部が伸縮変形する段階でのエネルギー吸収性能を向上することが可能であると共に、ブレースとの干渉や面外変形の発生を防止することも可能な木造建築物の仕口部補強金物を提供する。
【解決手段】荷重Fの作用方向に対し傾きをもった斜面で山部9と谷部10を反復形成して構成され、伸縮変形して変形エネルギーを吸収する板状屈曲部5を備えて、構造材を接合して形成した仕口部に設けられる木造建築物の仕口部補強金物であって、板状屈曲部が、複数の屈曲部群5A,5Bと、これら屈曲部群を順次連結する平坦な連結部11とから構成され、隣接する2つの屈曲部群相互で、それらの断面積が荷重の作用方向に沿って増減変更されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、板状屈曲部に変形を生じさせる変形荷重を大きくすることなく、屈曲部が伸縮変形する段階でのエネルギー吸収性能を向上することが可能であると共に、ブレースとの干渉や面外変形の発生を防止することも可能な木造建築物の仕口部補強金物に関する。
木造建築物において、柱と梁や土台などの木製構造材を互いに接合して形成した仕口部に設けられる仕口部補強金物であって、伸縮変形して変形エネルギーを吸収する板状屈曲部を備えたものが特許文献1に開示されている。
特許文献1の「仕口補強用具」は、水平部材と垂直部材を略直角に接合する仕口部に取付ける仕口補強用具を両側の取付部とそれらの取付部を連結する連結部とから構成し、その連結部に設ける変形部を、仕口部の内側の隅部を中心としてほぼ放射状に延びる複数の屈曲線に沿って交互に屈曲して蛇腹状に形成し、かつ各屈曲部の高さが隅部に近い方から外側へ向けて漸増するように構成する。変形部の幅を狭くして外力による変形を変形部に集中させたり、隣接して設置した対をなす仕口補強用具の間からブレースをとるように構成してもよいものである。
特開2010−31630号公報
板状屈曲部を有する仕口部補強金物は、一般的な仕口部補強金物と比較して、屈曲部による伸縮作用を得ることができて、変形吸収性能に優れている。しかしながら、屈曲部が伸縮変形する段階では、入力荷重を負担してエネルギー吸収する作用に乏しく、このエネルギー吸収能力の面で改善の余地がある。エネルギー吸収能力を向上するには、仕口部補強金物全体の板厚を増加させるなど、剛性を高めることが考えられる。
板状屈曲部を有する仕口部補強金物の作用は詳細には、当該屈曲部に変形を生じさせる荷重(以下、「変形荷重」という)よりも大きな荷重が入力されると、屈曲部を構成する一様に形成された山部及び谷部がすべて同時に、同程度の変形を生じる。他方、変形荷重よりも小さな荷重に対しては、仕口部補強金物全体として僅かに弾性変形するに止まる。
上述したように、エネルギー吸収作用を考慮して剛性を高めるようにすると、すなわち仕口部補強金物を強くし過ぎると、変形荷重が大きくなってしまい、仕口部での荷重負担が増大して、屈曲部に変形が生じる前に、仕口部に損傷を発生させてしまうおそれがあるという課題があった。
また、板状屈曲部は、仕口部に設けられる仕口部補強金物を立体化した形状とするため、仕口部のスペースを狭めることとなり、仕口部にブレースを取り付ける場合に、当該ブレースと干渉してしまう場合があった。
また、板状屈曲部については、山部及び谷部を多数連続的に形成することで変形吸収性能を向上できるが、間断なく形成すると却って、面外へ向けて変形し易くなってしまうという面もあり、改善が望まれていた。
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、板状屈曲部に変形を生じさせる変形荷重を大きくすることなく、屈曲部が伸縮変形する段階でのエネルギー吸収性能を向上することが可能であると共に、ブレースとの干渉や面外変形の発生を防止することも可能な木造建築物の仕口部補強金物を提供することを目的とする。
本発明にかかる木造建築物の仕口部補強金物は、荷重の作用方向に対し傾きをもった斜面で山部と谷部を反復形成して構成され、伸縮変形して変形エネルギーを吸収する板状屈曲部を備えて、構造材を接合して形成した仕口部に設けられる木造建築物の仕口部補強金物であって、上記板状屈曲部が、複数の屈曲部群と、これら屈曲部群を順次連結する平坦な連結部とから構成され、隣接する2つの上記屈曲部群相互で、それらの断面積が荷重の作用方向に沿って増減変更されていることを特徴とする。
前記屈曲部群それぞれの断面積が、荷重の作用方向に沿って、増減変更されていることを特徴とする。
本発明にかかる仕口部補強金物にあっては、板状屈曲部に変形を生じさせる変形荷重を大きくすることなく、屈曲部が伸縮変形する段階でのエネルギー吸収性能を向上することができると共に、ブレースとの干渉や面外変形の発生を防止することができる。
本発明にかかる木造建築物の仕口部補強金物の好適な実施形態を示す、仕口部への取付状態の斜視図である。 図1に示した仕口部補強金物の板状屈曲部の詳細を説明するための、図1中A部を拡大した説明図である。 図2に示した板状屈曲部の各屈曲部群の変形例を説明するための説明図である。 図3に示した各屈曲部群の他の変形例を説明するための説明図である。 図3に示した各屈曲部群のさらに他の変形例を説明するための説明図である。
以下に、本発明にかかる木造建築物の仕口部補強金物の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1に示すように、木造建築物では一般に、柱材などの縦向き木製構造材1と土台や梁材などの横向き木製構造材2とを縦横に突き合わせて接合した箇所に仕口部3が形成される。柱材間に架け渡される横桟も横向き木製構造材2であって、柱材に横桟を突き合わせて接合した箇所にも、仕口部3が形成される。仕口部3では、縦向き木製構造材1の縦側面1aと横向き木製構造材2の横平面2aとがほぼ直角をなす関係で互いに面するように、縦向き及び横向き木製構造材1,2が接合される。
本実施形態にかかる木造建築物の仕口部補強金物4は、上述したような縦向き木製構造材1と横向き木製構造材2とを接合して形成される仕口部3であれば、どのような仕口部3に対しても用いることができる。
本実施形態にかかる木造建築物の仕口部補強金物4は、ステンレス鋼などの金属製の板材から形成される。仕口部補強金物4は、蛇腹状に形成される板状屈曲部5と、屈曲部5の両側に形成される一対の平坦な板状の荷重入力部6と、各荷重入力部6の外側にほぼ直角に折り曲げて形成され、仕口部補強金物4を仕口部3へ設置するために縦向き木製構造材1の縦側面1a及び横向き木製構造材2の横平面2aに取り付けられる取付部7とを備え、これらが一体形成されて構成される。
屈曲部5の伸縮方向両端に位置する各荷重入力部6は、適宜幅寸法で、屈曲部5から木製構造材1,2の長さ方向に入隅外方へ向かって延出され、これにより木製構造材1,2の長さ方向に沿う側縁部6aが長く形成される。このように、荷重入力部6の側縁部6aの長さ寸法を木製構造材1,2の長さ方向へ長く形成することにより、当該荷重入力部6による屈曲部5と木製構造材1,2に接合される取付部7との間での効果的な荷重伝達が確保される。
各荷重入力部6の、入隅に面する内縁6bは、屈曲部5の内縁5aに一連に連続させて弧状に形成される。従って、仕口部補強金物4と仕口部3の角隅との間には、扇状の隙間Cが形成される。
各荷重入力部6には、それらの側縁部6aから連続して、かつ当該側縁部6aの全長にわたって、取付部7が一対形成される。換言すれば、取付部7は、荷重入力部6を介して、屈曲部5の伸縮方向両端にそれぞれ一体的に形成される。各取付部7は、2つの木製構造材1,2それぞれに接合するためにそれらに面するように、荷重入力部6からL字状に立ち上がるように折り曲げられる。
一対の取付部7はともに、互いに面するように、荷重入力部6に対してその表面側もしくは裏面側のいずれか一方の側へ折り曲げて形成される。すなわち、取付部7はともに、同じ向きに折り曲げられる。
これにより、反対向きに折り曲げた場合に比べ、仕口部補強金物4は、屈曲部5を横切る左右横向きのせん断作用に対し、左右どちらの方向に対しても効果的に抵抗しつつ、木製構造材1,2から取付部7に入力される荷重を、荷重入力部6及び屈曲部5へ効率よく伝達することができる。図示例にあっては、取付部7は、略四角形状の外形輪郭で形成されているけれども、取付箇所のスペースに応じてどのような形態で形成しても良い。
取付部7には、これを木製構造材1,2に取り付けるネジを挿通するための複数のネジ孔8が形成される。ネジ孔8に挿通したネジで取付部7を木製構造材1,2に取り付けることで、仕口部補強金物4は、2つの木製構造材1,2間の仕口部3に設置され、木製構造材1,2同士を連結しつつ、当該仕口部3を補強するようになっている。
板状屈曲部5は、取付部7を介して木製構造材1,2から荷重Fを入力する荷重入力部6に連設されている。屈曲部5は図1及び当該図1のA部を拡大して示す図2(a)の側断面で理解されるように、板材を、荷重入力部6からの荷重Fの作用方向に対し傾きをもった斜面で山部9と谷部10を反復形成して、例えば断面が正弦波形状となるように形成して、波状に屈曲させて構成される。このように波状に屈曲させることにより、屈曲部5は、蛇腹状であって、山部9及び谷部10が並ぶ方向に向かって伸縮変形して変形エネルギーの吸収が可能とされる。伸縮変形可能な屈曲部5は、その伸縮方向に変形荷重よりも小さな荷重Fが作用しても殆ど伸縮変形せず、変形荷重以上の荷重Fが入力されると伸縮変形し、この伸縮変形により、弾塑性域においてヒステリシスループを描くエネルギ吸収作用を発揮して、当該入力荷重Fを吸収するようになっている。変形荷重は、設計的に適宜に設定される。
屈曲部5は、荷重入力部6の表面側もしくは裏面側のいずれか一方の側に寄せて一対の取付部7の間に位置するように、荷重入力部6に対して、取付部7の折り曲げ側へ屈曲させて形成される。取付部7が荷重入力部6の表面側へ折り曲げて形成されている場合、屈曲部5の波状の山部9及び谷部10は、荷重入力部6の板面を基準として、裏面側へは屈曲形成されずに、表面側へ向かってのみ屈曲形成される。なお、屈曲部5は、荷重入力部6の表面側及び裏面側にそれぞれ屈曲形成したものでも良いことは言うまでもない。
屈曲部5を荷重入力部6の表面側へ寄せて形成することで、屈曲部5は圧縮変形時、荷重入力部6を基準として、おおよそ表面側外方へのみ迫り出すように変形される。また、取付部7間に位置するように形成することで、屈曲部5及びこれを変形させるスペースが、取付部7間に確保される。
板状屈曲部5は図2に示すように、複数の屈曲部群5A,5Bと、これら屈曲部群5A,5Bを順次、荷重Fの作用方向に沿って連結する平坦な連結部11とから構成される。連結部11は荷重Fの作用方向に沿って平坦面で形成される。図2(b)は、板状屈曲部5を山部9側から見下ろした展開図である。各屈曲部群5A,5Bは、上記山部9と谷部10とから形成される。そして、各屈曲部群5A,5Bは、隣接する2つの当該屈曲部群5A,5B相互で、それらの断面積が荷重Fの作用方向に沿って増減変更されて形成される。図示例にあっては、2つの屈曲部群5A,5Bが示されていて、左側の第1屈曲部群5Aの幅寸法Waに対し、右側の第2屈曲部群5Bの幅寸法Wbが大きく設定されている。断面積とは、屈曲部5を、荷重Fの作用方向と直交する方向に沿ってスライスした断面の面積をいう。従って、図2(b)の場合、第1屈曲部群5Aよりも第2屈曲部群5Bの方が断面積が増加されている。屈曲部群5A,5Bの数は、2つに限らず、3つ以上であってもよく、各屈曲部群5A,5B相互間に連結部11が設けられる。
次に、本実施形態にかかる木造建築物の仕口部補強金物4の作用について説明する。仕口部補強金物4は、一対の取付部7それぞれを2つの木製構造材1,2に対し接合することで、板状屈曲部5をこれら木製構造材1,2で挟んだ形態で、仕口部3に設置される。地震などの外力の作用により建物に反復する揺れが生じ、これにより、木製構造材1,2同士の間に、入隅を開いたり閉じたりする角度変化を生じさせる荷重が加わると、その荷重の一部が取付部7から仕口部補強金物4に入力される。
仕口部補強金物4は、仕口部3を大きく変形させる入力荷重Fが入力されると、板状屈曲部5が伸縮変形し、弾塑性ヒステリシスループを描くエネルギ吸収作用で、入力荷重Fに対しこれを緩衝しつつ吸収し、これにより仕口部3を補強することができる。
特に、本実施形態では、板状屈曲部5を、第1及び第2屈曲部群5A,5Bと、これら屈曲部群5A,5Bを順次、荷重Fの作用方向に沿って連結する平坦な連結部11とから構成し、隣接する2つの第1及び第2屈曲部群5A,5B相互で、それらの断面積を荷重Fの作用方向に沿って増減変更して形成したので、板状屈曲部5を構成する山部9及び谷部10がすべて同時に、同程度の変形を生じることはなく、設定した断面積の大小に従って、順次変形を生じることになる。言い換えれば、徐々に抵抗力を増大することができる。図2(b)の例であれば、入力荷重Fで第1屈曲部群5Aが先行して変形しても、断面積の大きな第2屈曲部群5Bは変形せず、より大きな入力荷重Fの作用で、第2屈曲部群5Bも変形する。そして、板状屈曲部5において、先行する変形が生じることにより変形性能を確保している状態で、依然、変形に移行しない部分が存在し、当該部分によりエネルギー吸収作用を確保することができて、変形吸収性能とエネルギー吸収性能とを共に両立させて優れた補強性能を確保することができる。すなわち、荷重Fの作用方向に沿って並ぶ屈曲部群5A,5Bの断面積を増減変更することによって、板状屈曲部5全体を同時に伸縮変形させないようにし、これによりいずれかの屈曲部群5Aで変形作用を確保することができると共に、他の屈曲部群5Bでエネルギー吸収作用を確保することができる。
また、板状屈曲部5に、平坦な連結部11を備えたので、この連結部11位置を通してブレースを配置することができ、仕口部補強金物4とブレースとの干渉を防止することができる。さらに、多数の山部9及び谷部10を備える場合であっても、平坦な連結部11を備えて板状屈曲部5を複数の屈曲部群5A,5Bに分割するようにしていて、個々の屈曲部群5A,5Bは面外変形し難いので、板状屈曲部5全体として、面外変形を生じ難くなり、仕口部補強金物4が面外へ座屈変形することを防止できる。例えば、仕口部補強金物4を仕口部3に2つ並設する場合には、これら仕口部補強金物4の連結部11同士をボルト締結等で拘束することにより、一層強固に構成することができて、確実に仕口部補強金物4の面外変形を防止することができる。
以上説明したように、本実施形態にかかる木造建築物の仕口部補強金物4にあっては、単に板状屈曲部5全体の剛性を高く設定するのとは異なり、平坦な連結部11で連結するようにして複数に分割形成した屈曲部群5A,5Bの隣接するもの同士で、それらの断面積を荷重Fの作用方向に沿って増減変更させるようにしていて、これにより先行して変形する部分と後行して変形する部分を共に確保して、板状屈曲部5に変形を生じさせる変形荷重を大きくすることなく、屈曲部5が伸縮変形する段階でのエネルギー吸収性能を向上することができる。また、平坦な連結部11を設けたので、ブレースとの干渉や面外変形の発生を防止することができる。
図3には、上記実施形態の変形例が示されている。この変形例では、各屈曲部群5A,5Bそれぞれにおいて、その断面積が、荷重Fの作用方向に沿って、増減変更されて形成される。図3(a)は、各屈曲部群5A,5Bの側断面を示し、図3(b)〜(d)には、各屈曲部群5A,5Bを山部9側から見下ろした展開図が示されている。
図3(b)に示す例では、荷重入力部6や連結部11に連なる両側の山部9の端縁9aから屈曲部群5A,5B中央の谷部10に向かって、屈曲部群5A,5Bの幅寸法が増加するように設定され、当該山部端縁9aの幅寸法W1よりも、谷部10の幅寸法W2が大きくなるように形成されている。従って、図3(b)の場合、両側の山部端縁9aから中央の谷部10に向かって順次断面積が増加されている。
図3(c)に示す例では、両側の山部9において、谷部10に面する斜面の幅寸法W3(断面積)が、谷部10とは反対側に位置する斜面の幅寸法W4(断面積)よりも、大きく設定されている。
図3(d)に示す例では、両側の山部9における頂部9bの幅寸法W5(断面積)が最も大きく設定され、谷部10の幅寸法W6(断面積)がそれよりも小さく設定され、谷部10とは反対側に位置する山部9の端縁9aにおける幅寸法W7(断面積)が最も小さく設定されると共に、これら頂部9b、谷部10及び端縁9a間で順次、断面積が連続的に増減変更されている。
このように各屈曲部群5A,5Bそれぞれにおいても、その断面積を、荷重Fの作用方向に沿って、増減変更することにより、各屈曲部群5A,5Bを構成する山部9及び谷部10がすべて同時に、同程度の変形を生じることはなく、設定した断面積の大小に従って、順次変形を生じさせることができる。すなわち、各屈曲部群5A,5Bにおいても徐々に抵抗力を増大することができる。図3(b)及び(c)の例であれば、入力荷重Fで山部9が先行して変形しても、谷部10は変形せず、より大きな入力荷重Fの作用で、谷部10も変形する。図3(d)の例であれば、谷部10の変形が先行して、その後、山部9の変形に移行する。従って、各屈曲部群5A,5B個々においても、変形吸収性能とエネルギー吸収性能とを共に両立させて優れた補強性能を確保することができる。
図4には、他の変形例が示されている。図4(a)は、屈曲部群5A,5Bの断面積を、荷重Fの作用方向に沿って、一連に連続的に増加もしくは減少させた(W8→W9)ものである。図4(b)は、図3(b)とは反対に、荷重入力部6に連なる両側の山部9の端縁9aから屈曲部群5A,5B中央の谷部10に向かって幅寸法が減少するように設定し、当該山部端縁9aの幅寸法W1よりも、谷部10の幅寸法W2が小さくなるように形成している。
図5には、さらに他の変形例が示されている。図5は、山部9や谷部10を屈曲形成する前の折り線Lを示した平面図である。屈曲形成すると、屈曲部群5A,5Bは、湾曲した形態に形成される。図中、折り線Lの長さは、荷重Fの作用方向に沿う左側から右側に向かって、順次長く形成されていて、これによっても、屈曲部群5A,5Bの断面積を増減変更することができる。
これら図4および図5に示した変形例であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することはもちろんである。
上記実施形態にあっては、最も容易に断面積を増減変更し得る方法として、幅寸法を変更する場合を例にとって説明したが、板状屈曲部5の板厚を変更するようにしてもよく、さらに山部9や谷部10の変形作用は、それら周りに発生するモーメントと関連することから、山部9の頂部9aや谷部10の底部10a(図3(a)参照))で重点的に肉厚を厚く設定するなどの方法を採用しても良いことはもちろんである。
また、図3から図5では、2つの山部9に1つの谷部10を挟んだ形態の屈曲部群5A,5Bを例示して説明したが、山部9及び谷部10の数を問わないことはもちろんである。
1,2 縦向き及び横向き木製構造材
3 仕口部
4 仕口部補強金物
5 板状屈曲部
5A,5B 屈曲部群
9 山部
10 谷部
11 連結部
F 荷重

Claims (2)

  1. 荷重の作用方向に対し傾きをもった斜面で山部と谷部を反復形成して構成され、伸縮変形して変形エネルギーを吸収する板状屈曲部を備えて、構造材を接合して形成した仕口部に設けられる木造建築物の仕口部補強金物であって、
    上記板状屈曲部が、複数の屈曲部群と、これら屈曲部群を順次連結する平坦な連結部とから構成され、
    隣接する2つの上記屈曲部群相互で、それらの断面積が荷重の作用方向に沿って増減変更されていることを特徴とする木造建築物の仕口部補強金物。
  2. 前記屈曲部群それぞれの断面積が、荷重の作用方向に沿って、増減変更されていることを特徴とする請求項1に記載の木造建築物の仕口部補強金物。
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