JP2012132057A - ゴルフクラブフェース用チタン合金 - Google Patents

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Abstract

【課題】ドライバー、アイアンなどのゴルククラブフェース用素材として、高いヤング率および強度・延性バランスを有するα+β型チタン合金を提供する。
【解決手段】質量%で、4.7〜5.5%のAl、0.5〜1.4%のFe、0.03%以下のN、かつ、式(1)より計算される[O]eqが0.25〜0.34%となるO、Nを含有し、残部Tiおよび不純物からなる、高強度、高ヤング率を特徴とするゴルフクラブフェース用チタン合金である。α相を固溶強化するAl、O、Nを添加するとともに、β安定化元素として安価なFeを選び、それら元素の添加量を適正に制限することにより、冷間加工強化あるいは時効強化熱処理に頼ることなく、高い強度と、反発係数規制を満足する高いヤング率を両立できると同時に、破断伸びも大きく良好であり、高い強度・延性バランスを示す。
[O]eq=[O]+2.77[N]・・・式(1)
【選択図】なし

Description

本発明は、ドライバーを主とするゴルフクラブのフェース用素材に使用されるチタン合金に関する。
近年、ゴルフクラブに反発係数規制(SLEルール)が導入されると共に、ゴルフクラブフェース用に使用されているチタン合金素材の種類は大きく変化した。反発係数規制が施行される前は、低ヤング率で容易に高い反発性能が得られ、高強度で耐久性に優れた、Ti−15%V−3%Cr−3%Sn−3%Al合金を主とするβ型チタン合金が主流であった。しかし、反発係数規制の導入に伴い、低ヤング率のβ型チタン合金で、反発係数を低くして規制を満足するには、フェース板厚を厚くしてフェース面の剛性を高めるより他ない。これにより、VやMo等の高価な合金元素を多量に含むβ型チタン合金をフェース素材に適用する際に、コストアップは避けられない。さらに、他のチタン合金に比べて比重も大きく、板厚を厚くすることに伴い、フェースは重くなる。こうして、フェースにβ型チタン合金を使用したゴルフクラブヘッドの容積は制限され、ボールを打つ際のスウィートスポットが相対的に小さくなることから、ユーザーにとって使い難いという問題もある。こうして、β型チタン合金は、ゴルフクラブフェース用素材の主流ではなくなってきている。
β型チタン合金に比べヤング率の高いα+β型チタン合金が、ドライバーフェース用素材として今や主流となりつつある。ヤング率の高いα+β型チタン合金を使用することにより、フェースを薄くしても反発係数は高くなりにくく、β型チタン合金に比べ反発係数規制をクリアする板厚自由度が高まる。また、β型チタン合金に比べ比重が小さく、同じ質量でもクラブヘッドの容量を大きくすることが可能である。さらに、β型合金に比べ高価な合金元素の含有量が低いことから、素材コストも低いといった多くのメリットがある。このα+β型チタン合金としては、Ti−6%Al−4%Vが代表的であるが、他にも、例えば、Ti−5%Al−1%Fe、Ti−4.5%Al−3%V−2%Fe−2%Mo、Ti−4.5%Al−2%Mo−1.6%V−0.5Fe−0.3%Si−0.03%C、 Ti−6%Al−6%V−2%Sn、Ti−6%Al−2%Sn−4%Zr−6%Mo、Ti−8%Al−1%Mo−1%V、Ti−6%Al−1%Feなどが使用されている。
これらの合金を使用すれば、β型チタン合金製フェースよりフェース厚みを薄くしても反発係数規制を満足し、かつ、適正な強度・延性範囲のチタン合金を使用することにより、必要とされる耐久性も付与できる。この時、フェース厚みを薄くしても、高い耐久性を要求される高グレードのゴルフクラブにおいて、フェース形状や構造を変えて反発性能を制御できる丸棒製品等では、ヤング率120GPa以上、引張強さ950MPa以上、破断伸び15%以上を有することが望ましく、フェース成形加工時に加工度の少ない薄板製品等では、板面内の一方向でヤング率135GPa以上、引張強さ1100MPa以上、破断伸び7%以上を有することが望ましい。この時、ヤング率は反発係数規制をクリアするために、引張強さと延性は良好な耐久性を得るために、上記の値を満足することが望ましい。しかし、一般的にα+β型合金は加工性が良好でなく、板厚を薄くしても高耐久性および反発係数規制を満足する高強度、高ヤング率と、良好な熱間加工性を両立する合金は限られている。
例えば、最も汎用的なα+β型合金であるTi−6%Al−4%V合金は、フェース素材として十分な強度、ヤング率を有しており、ゴルフクラブフェース用合金として、既に広く使用されている。しかし、この合金は、高温で固溶強化能を示し熱間加工時の変形抵抗を増大させるAlを6%含有しており、熱間加工性が良くないこと、また、高価なβ安定化元素であるVを4%含有し、素材コストが比較的高いという問題があった。
特許文献1には、Ti−6%Al−4%V合金と同様に高い比強度を有し、低コストの合金が提案されている。これはβ安定化元素として、VやMoなどの高価で比重の重い元素を、安価でβ安定化能の高いFeに置換すること、比重が軽いα安定化元素であるAlを多く添加することにより、高比強度かつ低コストを狙ったα+β型合金である。しかし、この合金は、Alを5.5〜7%含有し、熱間加工しにくいという難点を有する。特に、フェース素材への加工コストを下げるには、軽いプレス成形と研磨工程のみによりフェース形状に加工できる板製品での供給が望まれるが、当該合金では高い熱間変形抵抗により、板製品への形状造り込みは困難である。特に、熱間圧延の際、この合金の適正な熱延温度範囲は狭く、それより少しでも温度が低下すると、耳割れが発生しやすく、成品歩留が低いという問題があった。
特許文献2には、高強度・低反発チタン合金フェースを含むゴルフクラブヘッドが提案されている。フェースを構成するチタン合金において、AlおよびFeの含有量が規定されており、それにより高いヤング率と引張強度が得られるとある。特許文献2にこの合金の具体的な製造方法は記載されていないが、特許請求の範囲に示されるAlおよびFeに不可避的不純物を含む合金組成で、特許請求の範囲に記載される引張強度1200〜1600MPaを得るには、製造方法がかなり限定される。すなわち、熱延、鍛造などの熱間加工まま、あるいは、熱間加工または冷間加工後に焼鈍処理を行う場合にはこのような強度を得ることはできない。さらに、熱間あるいは冷間加工品に時効熱処理を行った場合においても、この強度範囲の製品を得ることはできない。唯一、非常に高い加工率まで冷間加工したままの場合にのみ得られる可能性がある。しかし、その場合、高強度は得られるが延靭性は著しく低下する。そのような状態のフェースを使用したゴルフクラブにおいて、フェース面にいったん疲労亀裂が発生すると、その伝播を抑えることはできない。こうして、昨今のゴルフクラブフェースに要求される高い耐久性を確保できない問題があった。
また、特許文献3には、溶接部を含むゴルフクラブヘッドで熱影響部の耐久性が高く、ヤング率および強度を熱処理により調整可能なフェース用チタン合金が提案されている。これはAl、Fe、O、Nを適正量添加することで強度を調整し、熱影響部の疲労特性を向上させると共に、時効強化熱処理などの熱処理条件をコントロールすることでヤング率を制御することを特徴とする。しかし、特許文献3が出願された後に反発係数規制が施行されて、ヤング率の高い合金のみが求められるようになり、特許文献3に記載される請求の範囲の合金組成および熱処理条件では、反発係数規制を満足する高いヤング率が得られない場合もあるという問題があった。
特開2004−10963号公報 特開2006−212092号公報 特開2005−220388号公報 特開2005−220388号公報 特開2008−106317号公報 特開2008−133531号公報
本発明は、上記課題を解決し、高いヤング率および強度・延性バランスを有するα+β型チタン合金を提供することを目的とするものである。
発明者らは、α相を固溶強化するAl、O、Nを添加するとともに、β安定化元素として安価なFeを選び、それら元素の添加量を適正に制限することにより、室温でのβ相分率を低減させると、冷間加工強化あるいは時効強化熱処理に頼ることなく、高い強度と、反発係数規制を満足する高いヤング率を両立できることを見出した。同時に、破断伸びも大きく良好であり、高い強度・延性バランスを示し、高い耐久性が得られることを見出した。また、この合金は、比重も軽く、ゴルフクラブフェース用途に最適な素材である。さらには、Ti−6%Al−4%V合金を主とする他のα+β型合金に比べ、熱間加工性を低下させるAlの含有量を低く制限しており、熱間圧延時の圧延負荷が低く、熱間圧延時のキズや耳割れが発生しにくいことから、薄板を含む、あらゆる形状の製品への製造性が良好であるという利点を有する。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、以下の手段を骨子とする。
質量%で、4.7〜5.5%のAl、0.5〜1.4%のFe、0.03%以下のN、かつ、式(1)より計算される[O]eqが0.25〜0.34%となるO、Nを含有し、残部Tiおよび不可避的不純物からなる、高強度、高ヤング率を特徴とするゴルフクラブフェース用チタン合金。
[O]eq=[O]+2.77[N]・・・式(1)
ここで、[O]は酸素濃度(質量%)、[N]は窒素濃度(質量%)である。
本発明により、高い強度・延性バランスおよびヤング率を有することを特徴とする、α+β型チタン合金を提供できる。
本発明者らは上記課題を解決すべく、チタン合金の材質特性に及ぼす成分元素および製造方法の影響を詳しく調査した結果、Fe、Al、O、N添加量をコントロールすることにより、薄肉化しても高耐久性が求められる高グレードのゴルククラブフェース用素材に要求される高い強度・延性バランスと、高いヤング率を具備し、良好な熱間加工性を有するα+β型チタン合金を製造することが可能であることを見出した。特に、α相に固溶して強化する働きのあるOとNの添加量を[O]eq式で適正な範囲に規定することにより、延性を落とさずに、ハイエンドのゴルフクラブフェースとして要求される高い強度とヤング率を確保できることを見出した。さらに、Alを主としてO、Nを添加してα相を複合強化した本発明合金では、板製品を製造する場合、一方向熱延もしくは冷延により、材質異方性をもたらす集合組織が著しく発達し、圧延方向に垂直な方向である板幅方向のヤング率及び強度が、圧延方向よりも増大する材質異方性が生じる。
ゴルフクラブフェース面において、ヤング率と引張強度は、ゴルフクラブフェース面の縦方向において目標値を実現すれば十分である。従って、板の少なくとも一方向でヤング率と引張強度を実現すればよい。そして、薄板製品においては、一方向圧延を行うことにより、圧延幅方向についてヤング率と引張強度について目標を実現することが可能である。即ち、ゴルフクラブフェース面の縦方向を前記板幅方向にとれば、ゴルフクラブフェースに必要とされる一方向(ゴルフクラブフェース面の縦方向)での高いヤング率と引張強度を得ることができる。
本発明は以上の知見に基づいてなされたものである。以下に、本発明に示した各種添加元素を選択した理由と、その添加量範囲を限定した理由を示す。
Feは、β相安定化元素のうちで安価な添加元素であり、β相を強化する働きを有する。かつ、β安定化能が高いため、比較的低い添加量でもβ相を安定化できる特性を有する。ゴルフクラブフェースとして必要な強度を得るには、0.5%以上のFeの添加が必要である。一方、FeはTi中で凝固偏析しやすく、また、多量に添加すると、α相に比べてヤング率の低いβ相の体積分率が増えるため、バルクのヤング率が低下してしまい、丸棒製品でヤング率120GPa、薄板製品で板面内の一方向でヤング率135GPa未満となって、ゴルフクラブフェースとして反発係数規制をクリアすることが困難となる。それらの影響を考慮して、Feの添加量の上限を1.4%とした。なお、強度特性を重視するとともに、ヤング率低下による反発係数規制を確実にクリアするには、Fe添加量の下限として0.7%、上限として1.2%が望ましい。
Alはチタンα相の安定化元素であり、高い固溶強化能を有すると共に、安価な添加元素である。後述するO、Nとの複合添加により、高グレードのゴルフクラブフェースとして耐久性を確保できる必要な強度レベルである、丸棒製品で引張強さ950MPa以上、薄板製品で板面内の一方向で引張強さ1100MPa以上を得るため、添加量の下限を4.7%とした。一方、5.5%を超えてAlを添加すると、変形抵抗が高くなり過ぎて、延性が低下し、ゴルフクラブフェースとして耐久性上必要な延性を達成できなくなると共に、熱間変形抵抗増大により熱間加工性の低下をもたらす。したがって、Alの添加量は5.5%以下にする必要がある。
OおよびNはいずれもα相中に侵入型固溶して、室温付近の温度でα相を固溶強化する作用を有する。Alとの複合添加により、高強度さらには高ヤング率を達成することが可能となる。その一方で、Alと異なり、熱間変形抵抗を上昇させないため、O、Nを添加することによりAl添加量を抑えることが可能となる。特許文献4〜6に記載されているように、Tiに及ぼすOとNの強化機構の類似性から、室温での強度に及ぼすOおよびNの働きは、前記式(1)に示す[O]eqにより一義的に表すことができる。[O]eqが0.25%未満となるO、Nの添加では、高グレードのゴルフクラブフェースとして十分な耐久性を示す、丸棒製品で引張り強さ950MPa以上、薄板製品で板面内の一方向で引張り強さ1100MPa以上の強度を安定して得ることはできない。また、[O]eqが0.34%を超える範囲のO、Nを添加すると、強度が高くなり過ぎて延性が低下し、薄板製品の板面内の一方向で破断伸び7%を確保できなくなる。したがって、式(1)で示される[O]eqの下限を0.25%、上限を0.34%とした。
板製品の場合、本発明に規定した化学成分範囲内のチタン合金の一方向熱延材もしくは冷延材の板幅方向のヤング率Eは、前記[O]eqの範囲内では、式(2)に従って[O]eqに比例して、増加することを見出した。これはα相安定化元素の増加により、ヤング率を低下させるβ相が減少するためである。本発明の[O]eqの範囲でO、Nを添加することにより、板幅方向のヤング率は140GPa前後の値を得ることができる。
E=41.2[O]eq+130.2・・・式(2)
N添加量については、高濃度のNを含むスポンジチタンを使用する通常の方法により、0.030%を超えるNを添加すると、LDI(Low density Inclusion)と呼ばれる未溶解介在物が生成しやすくなり、製品の歩留が低くなるため、0.030%を上限とした。
この時、丸棒や厚板など、フェース形状への成形加工の際に比較的大きな加工度を伴い、フェース形状を制御することにより反発係数を低く抑えることのできる場合は、上記成分範囲を有することにより、優れた特性を有するゴルフクラブフェースを得ることができる。上記成分範囲を有する本発明合金は、比較的良好な加工性も具備することから、フェース素材として好適である。
一方、フェース形状への成形加工で軽度の加工しか行わず、フェース形状により反発係数を低く抑える余地の少ない薄板製品を製造する場合、Transverse-textureと呼ばれる集合組織を発達させると、板幅方向の引張強さ及びヤング率が高くなり、ゴルフクラブフェース用素材として好ましい。上記成分範囲にAl、Fe、Oを制限し、β単相域、もしくは、β変態点直下のα+β2相域温度に加熱して一方向熱延するか、あるいはさらに、熱延方向と同じ方向に一方向冷延した後に通常用いられる好適な条件で焼鈍するとTransverse-textureは発達しやすく、板幅方向の強度とヤング率が高くなるため、フェース用素材として最適なものを製造することが可能である。
この薄板素材を製造する際、熱間あるいは冷間圧延開始から終了まで、一貫して一方向にのみ圧延する理由は、本発明が目的とする、材質異方性に伴う板幅方向の高いヤング率が得られるTransverse-textureを効率的に得るためである。こうして、高いヤング率と強度・延性バランスを有する該チタン合金薄板の板幅方向をゴルフクラブフェースの縦方向かそれに近い方向に配置することにより、反発係数規制に対応し、かつ、高い耐久性を具備するフェースを製造することが可能となる。
<実施例1>
真空アーク溶解法により表1に示す組成を有するチタン材を溶解し、これを熱間鍛造して直径100mmのビレットとした。このビレットを950℃に加熱した後、熱間圧延によりφ18mmの丸棒を製造した。この丸棒に、800℃、2hの焼鈍を行った後、平均直径6mmのJIS14号引張試験片を採取して引張特性を調べた。また、熱延キズの深さを、レーザー三次元粗度計により、熱延キズ開口部の表面からの深さとして測定した(○:最大キズ深さ≦0.5mm、×:最大キズ深さ≧0.5mm)。高グレードのゴルフクラブフェース用丸棒素材として良好な耐久性を得るには、引張強さ950MPa程度以上、かつ、破断伸び15%以上が必要である。また、ヤング率120GPa以上が必要である。それらの結果も合せて、表1に示す。
Figure 2012132057
表1において、試験番号1、2はそれぞれ、Ti−6%Al−4%V合金、Ti−7%Al−1%Feでの結果である。試験番号1、2ともに引張強さ(TS)は目標値950MPaを超えているが、0.5mm以上の深さの熱延キズが発生しており、熱間加工性は悪い。
これに対し、本発明の実施例である試験番号4、5、8、9、12、13、15、16、18、19、20は、950MPa以上の高い引張強さ(TS)と15%を超える高い破断伸び(EL)を示しており、優れた耐久性を有したフェースの製造が可能である。
一方、試験番号3、7、11では、引張強さが950MPa以下と、フェース用素材として十分な強度を有していない。試験番号3、7、11の順に、それぞれ、Al、Fe、[O]eq量が本発明の下限値を下回っていたため、固溶強化能が十分でなく、引張強さが低くなったためである。
試験番号6、14では、破断伸びが15%を下回っており十分な延靭性を保有せず、高い耐久性を付与できない。試験番号6は、Alの添加量が本発明の上限値を越えて添加されたため、試験番号14では[O]eqが上限を超えたため、それぞれ強度が上り過ぎて延性が低下したためである。また、試験番号17では、Nが本発明の上限を越えて添加されており、LDI発生が確認されたため、試験を中断した。
上記のうち、試験番号6、17では、熱延後に0.5mmを超える深さの表面欠陥が多発した。試験番号6では、熱間加工性を低下させるAlが本発明の上限を超えて添加されており、熱延キズが発生したためである。また、試験番号17では、過剰のN含有によりLDIが発生し、表面近傍のものが欠陥として認識されたためである。
試験番号10では、Fe量が高すぎ、ヤング率が120GPaを下まわった。
以上の結果より、本発明に規定された元素含有量を有するチタン合金は、引張強さと破断伸びが高く、ゴルフクラブフェース向け素材として優れた材質特性を有すると共に、良好な熱間加工性を有する。一方、本発明に規定された合金元素量を外れると、熱間加工性が低下するとともに、引張強さ及び延性といった必要な材質特性を満足することはできない。
<実施例2>
真空アーク溶解法により、表1の試験番号5、9、12に示す化学組成のチタン材を溶解し、これを熱間鍛造して厚さ180mmのスラブとした。このスラブを表2に示す条件により一方向に熱間圧延して、厚さ4mmの熱延板を製造した。これをショットブラスト処理後、酸洗して酸化スケールを除去した際に表面キズ深さをデプスゲージで測定し、熱間加工性を評価した(○:最大キズ深さ≦0.3mm、×:最大キズ深さ≧0.3mm)。この時の結果と、引張特性を調べた結果も併せて表2に示す。
Figure 2012132057
表2はそれぞれ、表1の試験番号5、9、12に示す化学組成の板製品における結果である。このうち、表2の条件で製造した板はいずれも、ゴルフクラブフェースに用いる薄板製品に必要とされる、板幅方向の引張強さ(1100MPa以上)およびヤング率(135GPa以上)を十分に満足すると共に、板幅方向の破断伸びも7%以上を確保しており、これらの板材を使用して製造したゴルフクラブフェースは、反発係数規制に適合する特性と良好な耐久性を兼ね備える。また、熱延酸洗板には0.3mmを超える深さの表面欠陥は発生しておらず、良好な熱延性を示す。したがって、これら薄板材はゴルフクラブフェース用素材として好適である。
特に、試験番号21、23、24、26、28、29、31、33、34は、板幅方向で142GPa以上の高いヤング率を有すると共に、同じ化学組成の合金で比較した場合、試験番号22、25、27、30、32、35に比べて引張強さは高くなっており、反発係数規制に対し優れた性能を有すると共に、良好な耐久性を有する。これは、試験番号22、25、27、30、32、35では、熱延前の加熱温度がα+β2相域の比較的低い温度であったため、β単相域、もしくは、β変態点直下のα+β2相温度まで加熱した場合に比べてTransverse-texture発達が少なく、材質異方性が大きくならなかったのに対し、試験番号23、24、28、29、33、34はβ単相域に加熱して熱延したことにより、特にTransverse-textureが発達して板面内の材質異方性が大きくなり、板幅方向で高いヤング率と引張強さが共に高く得られたためである。
以上の結果より、ゴルフクラブフェース用板素材として優れた特性を具備するため、板幅方向で高いヤング率、引張強さ及び延性を有するには、本発明に示す成分範囲の添加元素を有するチタン合金を一方向熱延することにより製造することができる。
本発明のチタン合金は、丸棒製品では、ヤング率120GPa、引張強さ950MPa、破断伸び15%以上、薄板製品では、板面内の一方向でヤング率135GPa、引張強さ1100MPa、破断伸び7%以上が得られる結果、ゴルフクラブフェースに加工した場合に、反発係数規制を満足すると共に、優れた耐久性を有し、高グレードのゴルフクラブフェース用途に適した材料を提供することができるものとなっている。

Claims (1)

  1. 質量%で、4.7〜5.5%のAl、0.5〜1.4%のFe、0.03%以下のN、かつ、式(1)より計算される[O]eqが0.25〜0.34%を満たすO、Nを含み、残部Tiおよび不可避的不純物からなる、高強度、高ヤング率を特徴とするゴルフクラブフェース用チタン合金。
    [O]eq=[O]+2.77[N]・・・式(1)
    ここで、[O]は酸素濃度(質量%)、[N]は窒素濃度(質量%)である。
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